説明

イシクラゲ(Nostoccommune)のコロニー、可食イシクラゲを培養するための方法、可食イシクラゲ製剤および健康を促進するためのそれらの使用

ネンジュモ属製剤、ネンジュモ属製剤を含む栄養補助食品、およびイシクラゲ(Nostoc commune。Nostoc sphaericumまたはNostoc commune var.sphaericumとしても知られる)を含む食品が開示される。薬剤組成物をさらに含むことができるネンジュモ属製剤が説明される。本発明はさらに、これらのネンジュモ属製剤を生産するためのプロセスに関する。本発明はさらに、本発明のネンジュモ属製剤、栄養補助食品、食品および/または薬理学組成物を利用して個人の健康を促進するための方法に関する。この本発明はさらに、イシクラゲを培養するための方法であって、(a).イシクラゲを分離し精製すること、(b).イシクラゲを培養すること、および(c).イシクラゲの最適な増殖のための適当な条件を含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の記載)
本出願は、米国特許法119条の下で、そのそれぞれの開示が参照によって本明細書に組み込まれた2004年2月3日出願の米国特許仮出願第60/541,290号および2004年2月3日出願の米国特許仮出願第60/541,286号の優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、分離されたイシクラゲ(Nostoc commune)細胞およびコロニー、それらを生産するための方法、イシクラゲを含む組成物、栄養補助食品、医薬品、食品等、および様々な医学的状態を治療するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
原核生物である藍藻(藍色細菌)は、地球上で最も原始的な生物形態の1つである。この原核生物は、光合成をする能力を有するなど、植物と構造的特徴を共有する。さらに藍藻は、細胞壁を持たない点で、原始的な細菌と構造的特徴を共有する。しかし藍藻は、動物界のより高次の生物といくつかの特徴を共有する。それらが共有する1つの特徴は、それらがしばしば細胞膜上にグリコーゲンに似た複雑な糖を含むことである。藍藻は非常に多様である。例えば可食種と有毒種の両方が存在する。多くの種が、温泉、深海の噴火口、および極氷環境を含む地球上の最も厳しい生息環境に適応している。藍藻の1つの属、ネンジュモ(Nostoc)属は、数千年にわたって食品として使用されてきた。日本やハワイの人々、アフリカのチャド(Chad)湖、北米のクラマス(Klamath)湖、メキシコのテスココ(Texcoco)湖および南米のチチカカ(Titikaka)湖を含む大きな淡水湖がある地域に居住する人々など、多様な地域社会の人々が、食事における藍藻類の価値および健康上の利点を長く認識してきた。
【0004】
最近の研究から、これらの土着の人々が藍藻を摂取する価値を信じていることが確認された。具体的に言うと、この最近の研究によれば、藍藻全般、特にネンジュモ属に健康上の利点がある。このような利点の1つは、生薬としての使用および手術時の使用である(Ang−Lee、2001年参照)。他の利点には、抗菌薬、抗炎症薬としての使用、抗発癌物質、抗ウイルス薬およびコレステロール低下活性としての使用などが含まれる(Aidら、2000年、Golakotiら、1995年、Gonzalezら、1999年、Smithら、1994、Murakamiら、1997年、Esserら、1999年、Hayashiら、1996年、およびKnubelら、1990年を参照されたい)。したがって、ネンジュモ属の健康上の利点を利用するために、ネンジュモ属を大量に生産することが望ましい。次いでこの大量のネンジュモ属を、食品への添加物として使用し、または医薬組成物への添加物として使用することができ、あるいは医薬組成物、栄養補助食品の主要な有効成分として使用し、薬剤などとして使用することができる。
【0005】
Nostoc sphaericumまたはNostoc commune var.sphaericumとしても知られている藍色細菌Nostoc commune(イシクラゲ)は、自然生息地では肉眼で見える球形のコロニー(「パール(pearl)」)として出現する。イシクラゲは、ネンジュモ目(Nostocales)、ネンジュモ科(Nostocaceae)に属する糸状の窒素固定藍色細菌である(KomarekとAnagnostidis,1989年)。水田、浅瀬、池、広い野原などの自然生息地で、N.communeは、ゼラチン状の基質の中に埋没した糸状体からなる肉眼で見える球形のコロニーを形成することができる。コロニーのサイズは、直径数十mmから数十cmであり、記載された最大のものは湿重量2.6kgである(Doddsら、1995年)。コロニーの色は、黄緑から赤褐色、濃緑色から黒である(Potts,2000年)。糸状体は枝分かれしておらず、大規模にねじれており、主に栄養細胞からなり、糸状体の中央に少しの異質細胞がある。
【0006】
N.communeの繁殖は環境条件に応じた以下の異なる4つの方法で起こる:1)糸状体から断片化されたN.communeの単細胞は新しいコロニーを形成することができる、2)アキネートの形成および発芽、3)連鎖体が分散し新しいコロニーを形成する、4)大きなコロニーは芽を出して別のコロニーを形成することができる(Doddsら、1995年)。
【0007】
しかし、大量のネンジュモ属を生産する現在の方法には欠点がある。近代農業技術の出現で、人類は、大量の穀物および他の農産物を生産することができるようになった。しかし、肥料、農薬、殺菌剤、殺虫剤、除草剤およびその他の有害廃棄物からの流出物の存在を含め、これらの技術に関連した欠点もある。したがって、大量の藍藻をその自然源、具体的にはネンジュモ属から収穫することに関する1つの潜在的な欠点は、肥料、農薬、殺菌剤、殺虫剤、除草剤およびその他の有害廃棄物の流出による潜在的な汚染である。したがって、これらの汚染物質を比較的に含まない大量の藍藻を生産することが望ましい。潜在的に危険なこれらの汚染物質を従来の方法で除去すると、多くの場合にとてつもなく費用がかかる。さらに、最近の研究は、これらの汚染物質の存在がネンジュモ属の破壊につながる可能性があることを示している(Qiuら、2002年参照)。
【0008】
藍藻がその自然源から収穫されるときには、上記の人工汚染物質だけでなく、泥、砂、草、ほこりなどの天然汚染物質からの潜在的な汚染もある。藍藻からこれらの汚染物質を大規模に除去すると、大規模分離の費用がとてつもなく大きくなる。純培養コロニーの形成を妨げるその他の可能な汚染物質には、細菌、その他の藻類、菌類および他の生物などがある。藍藻からこれらの汚染物質を大規模に除去すると、大規模分離プロセスの費用がさらに大きくなる。
【0009】
藍藻をその自然源から収穫する潜在的な他の欠点は、存在する藍藻コロニーのサイズが非常に多様であることである。藍藻が様々なサイズで存在すると、藍色細菌の純培養コロニーの生産はひどく費用のかかるものになる。これらの費用を増大させる1つの因子は上記汚染物質の除去である。したがって理想的には、藍藻コロニーのサイズがおおむね均一であることが望ましい。
【0010】
藍藻をその自然源から収穫する他の欠点は、藍藻を収穫できる時期が1年の特定の時期に限定されることである。具体的には藍藻の収穫は春から夏の間に限られる。したがって1年を通じて藍藻を収穫できることが望ましい。これらのことを考慮して本発明は開発された。
【0011】
(関連技術の説明)
本発明の発明者の知る限りでは、本発明の前に、ネンジュモ属の純培養コロニーが大量に培養されたことはない。
【0012】
米国特許第6,667,171号は、藍色細菌を含む複数の光合成ミクロン(photosynthetic micron)を使用して、流れているガス流から含炭素化合物を除去するための装置を記載している。米国特許第6,579,741号は、大量の不飽和脂肪酸および/または光合成色素および/または多糖を産生する能力を有する藻類を、ドーム形、円錐形または円筒形の装置を使用して培養する方法を開示している。しかし米国特許第6,579,741号は、汚染物質を非常に多く含む最終溶液を生み出すという欠点を有する。したがって、藍色細菌全般、特にネンジュモ属、特にイシクラゲの潜在的な健康上の利点のため、上記汚染物質を含まない純培養されたこれらの生物を大量に生産することが望ましい。これらのことを考慮して本発明は開発された。
【0013】
Huangらの参照文献はネンジュモ属の懸濁液を開示している。しかし、Huangらはネンジュモ属のコロニーを生成しておらず、したがって彼らが言う懸濁液は糸状体の懸濁液でしかない。言い換えると、Huangらは、コロニー(微小コロニーまたは大規模コロニー)の生成を可能にする条件を開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
(発明の概要)
本発明は、分離されたイシクラゲ細胞、分離されたイシクラゲ株、ならびに分離されたこれらのイシクラゲ細胞および株の大量培養のための方法に関する。詳細には本発明は、純培養イシクラゲを培養するための方法に関する。詳細には本発明は、純培養イシクラゲの大規模培養のための方法に関する。
【0015】
本発明の他の実施形態は、可食イシクラゲ製剤、栄養補助食品、ならびにこのイシクラゲ製剤および/または栄養補助食品を含む食品(医用食品を含む)を提供する。本発明はさらに、イシクラゲを含む医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の可食イシクラゲ製剤は、任意選択で、イシクラゲの生鮮バイオマスおよび/または乾燥粉末を含む。このイシクラゲ製剤は、タンパク質、脂肪酸、アミノ酸、多糖、ビタミン、天然色素およびミネラルから選択された1つの要素またはこれらの要素の任意の組合せを含むことができる。本発明の食品は、飲用に適した任意の液体にネンジュモ属の乾燥粉末を溶解すること、あるいは任意の液体および/または固体にこの粉末を懸濁させることを含む。
【0017】
本発明の栄養補助食品は本発明のイシクラゲ製剤を含む。この栄養補助食品はさらに、ハーブまたはハーブ抽出物、藻類バイオマスまたは藻類バイオマス抽出物、菌類抽出物、酵素、繊維源、ミネラル、ビタミンなどのうち1つの成分か、またはこれらの成分の任意の組合せを含むことができる。
【0018】
本発明の食品は、本発明のイシクラゲ製剤および/または本発明の栄養補助食品を含む。この食品はさらに、ハーブまたはハーブ抽出物、藻類バイオマスおよび藻類バイオマス抽出物、菌類抽出物、酵素、繊維源、ミネラル、ビタミンなどのうち1つの成分か、またはこれらの成分の任意の組合せを含むことができる。
【0019】
本発明の医薬組成物は、薬理学的に有効な量の本発明のイシクラゲ製剤を含む。この組成物はさらに、処方薬および/または市販薬を含むことができる。これらの組合せは以下の1つまたは複数の効果を有利に生み出すことができる:
1)相加的および/または相乗的な利点、
2)イシクラゲ製剤が含まれない処方薬の使用に関連した副作用および/または有害作用の低減、ならびに/あるいは
3)大豆(soy)製剤が含まれない場合に必要な処方薬の量に比べた場合の処方薬の用量を低減する能力。
【0020】
個人の健康を促進するための方法において、本発明のイシクラゲ製剤、栄養補助食品、食品および/または医薬組成物を有利に利用することができる。
【0021】
本発明のイシクラゲ製剤、栄養補助食品、食品および医薬組成物はさらに、タンパク質、脂肪酸、アミノ酸、多糖、ビタミン、天然色素および/またはミネラルのうちの1つまたはこれらの任意の組合せを提供することができる。本発明のイシクラゲ製剤、栄養補助食品、食品および医薬組成物によって提供されるタンパク質、脂肪酸、アミノ酸、多糖、ビタミン、天然の色素および/またはミネラルは、健康上の多数の利点を個人に提供することができる。本発明の医薬組成物はさらに、適当な担体、賦形剤、希釈剤、溶媒和物または他の不活性担体を含むことができる。
【0022】
本発明の他の実施形態は、藍色細菌または他の細菌種の大規模培養向けに設計されたバイオリアクタである。このバイオリアクタについては図面を参照して説明する。これらの図面は単にバイオリアクタの一実施形態を例示するものであって、これらの図面を、本発明のこの実施形態の範囲を限定するものと解釈すべきでないことを当業者は理解されたい。
【0023】
本発明の追加の詳細および利点は以下の詳細な説明において提供される。
【0024】
(発明の詳細な説明)
本明細書の目的上、特に明記しない限り、明細書中で使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数値は、全ての場合に、用語「約」によって修飾されているものと理解されたい。したがってそうではないと明示されない限り、以下の明細書に記載される数値パラメータは、本発明が得ようとする所望の特性に応じて変動する可能性のある近似値である。少なくとも同等物の原則を請求項の範囲に適用することを制限しようとすることなく、それぞれの数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字を考慮して、および通常の丸め手法を適用することによって解釈されなければならない。
【0025】
本発明の幅広い範囲を記述する数値範囲および数値パラメータが近似値であるとはいえ、特定の例において記載される数値はできるだけ正確に報告される。しかしあらゆる数値は、それらのそれぞれの試験測定値中に見られる標準偏差に必然的に起因するある種の誤差を本来的に含む。さらに、本明細書に開示された全ての範囲は、その中に含まれる全ての部分範囲を包含するものと理解されたい。例えば、範囲「1から10」は、最小値1と最大値10の間(1と10を含む)の全ての部分範囲、すなわち、最小値1またはそれ以上、例えば1ないし6.1に始まり、最大値10またはそれ以下、例えば5.5ないし10に終わる全ての部分範囲を含むと考えなければならない。さらに、「本明細書に組み込まれる」として参照される一切の参照文献は、その全体が組み込まれるものと理解されたい。
【0026】
さらに、この明細書で使用されるとき、「一つの(a、an)」および「その(the)」は、明確に1つの指示物に限定されない限り複数の指示物を含むことに留意されたい。
【0027】
本発明は、ネンジュモ属に属する藍色細菌株の生物学的に純粋な培養物を提供する。この培養物はネンジュモ属のコロニーを含み、実質的に全ての前記コロニーが約3mmから約5mmの直径を有し、前記培養物は汚染物質を実質的に含まず、この汚染物質は、農薬、殺菌剤、殺虫剤および除草剤からなる群から選択される。ネンジュモ属の好ましい種はイシクラゲである。
【0028】
藍色細菌の生物学的に純粋な培養物とは、培養物が、農薬、殺菌剤、殺虫剤および除草剤などの汚染物質を実質的に含まず、かつ泥、砂、草および/またはほこりなどの天然の汚染物質を含む他の汚染物質を実質的に含まず、かつ菌類、他の藻類などの他の生物を実質的に含まないことを意味する。実質的に含まないとは、ネンジュモ属株が、少なくとも純度90%、より好ましくは少なくとも純度95%、最も好ましくは少なくとも純度99%の量で存在することを意味する。
【0029】
実質的に全てのコロニーが約3mmから約5mmの直径を有するとは、少なくとも80%のコロニーが約3mmから5mmの直径を有し、より好ましくは少なくとも85%のコロニーが約3mmから5mmの直径を有し、よりいっそう好ましくは少なくとも90%のコロニーが約3mmから5mmの直径を有し、最も好ましくは少なくとも99%のコロニーが約3mmから5mmの直径を有することを意味する。コロニーが微小コロニーであるときには、実質的に全てのコロニーが3mm未満のサイズを有する。しかし、コロニーが大規模コロニーであるときには、数週間後に3mm超の直径を得ることができ、さらに数週間増殖させると、10mm超の直径を有するコロニーを得ることができる。具体的には、4週間後に、約80%のコロニーが直径10mmに達した。
【0030】
本発明は、約0.1mmの直径を有するコロニーを増殖させることから開始される。したがってコロニーは少なくとも0.1mmのサイズを有し、前記コロニーは、少なくとも1mmの好ましい直径を有する段階、続いて少なくとも2mmのより好ましいサイズを経て、次いで大部分のコロニーが最も好ましい約3mmから5mmの直径を有する段階を経る。この段階で、3mmから5mmのサイズを有するコロニーの数は、約4mmを中心としたガウス型分布に従う傾向がある。言い換えると、大部分のコロニーが3mmから5mmである。
【0031】
コロニーが均一であること(大部分のコロニーの直径が約3mmから5mmであること)は、様々なサイズのコロニーを有することに関連した処理費が低減する点で有利である。コロニーのサイズが約3mm未満であるとき、コロニーおよび前記コロニーから得られる製品の品質はよくない。コロニーのサイズが5mm超であると、コロニーが増殖するのに時間がかかり、より高い費用につながる。自然界ではコロニーの増殖があまりよく調節されないので、本発明の発明者達は、コロニーの20〜30%が直径約3mmから5mmであると推定している。
【0032】
他の実施形態では、本発明が、ネンジュモ属に属する藍色細菌株の生物学的に純粋な培養物を生産する方法を提供し、前記方法は、
a)自然源からネンジュモ属コロニーを採集すること、
b)前記ネンジュモ属コロニーを無菌培地で洗浄すること、
c)前記ネンジュモ属コロニーを粉砕して、粉砕されたネンジュモ属コロニーを生成すること、
d)前記粉砕されたネンジュモ属コロニーを寒天平板上に広げること、
e)前記ネンジュモ属コロニーを含む前記寒天平板に蛍光を照射すること、
f)前記ネンジュモ属コロニーを新しい寒天平板へ移すこと、
g)ステップf)を1ないし3回繰り返すこと
を含む。上記の方法は、ネンジュモ属株コロニーの生物学的に純粋な培養物を生成する。上記の方法の好ましい種はイシクラゲだが、上記の方法は、ネンジュモ属の他の種および他の藍色細菌とともに使用することもできるのは当然のことである。
【0033】
増殖培地/無菌培地/寒天平板用培地を表1に示す。これらの培地を使用してコロニーを洗浄しコロニーを増殖させ、これらの培地を使用して連鎖体の生成促進を助け、あるいは微小コロニーまたは大規模コロニーの形成を助け、これらの培地を使用してコロニーを再懸濁し、かつ/あるいはこれらの培地を寒天平板中で使用してコロニー増殖を促進することができる。増殖培地で使用される水が無菌であり、そのため増殖培地も無菌であることが好ましい。
【表1】

【0034】
具体的には、上記の培地を有利に使用して、コロニーの分化のための理想的な条件を生み出すことができる。例えば、Algaen III培地を有利に使用して、大規模コロニーを生み出すことができ、微小コロニーの増殖および繁殖はAlgaen I培地で有利に達成することができる。他の例では、Algaen II培地を有利に使用して、大規模コロニーを洗浄し、連鎖体を生成させることができる。連鎖体は、一部の藍色細菌によって形成される小さな運動性の糸状体であり、藍色細菌が環境ストレスにさらされたとき、または新しい培地に入れられたときに生じる可能性がある。コロニーにストレスを与える方法には、乳鉢と乳棒でコロニーを粉砕する方法、あるいはコロニーをすりつぶしまたは粉末にする他の方法が含まれる。連鎖体を生み出す他のストレス法は当業者に知られており、それらも本発明の範囲に含まれる。
【0035】
微小コロニーおよび/または大規模コロニーを粉砕する好ましい方法は乳鉢と乳棒を用いて実施されるが、グラインダを使用する方法、粉末にする他の方法などを含む、コロニーのサイズを低減させる当業者に知られている他の方法を使用することも本発明の範囲に含まれる。
【0036】
微小コロニーおよび大規模コロニーは、異なる培地および異なる強さの蛍光を使用することによって選択的に生成することができる。微小コロニーは、無菌培地、好ましくはAlgaen I(表1に示す)のような培地に連鎖体を懸濁させ、Algaen Iなどの無菌培地を含み、寒天を0.5〜50重量%、より好ましくは1〜10重量%、よりいっそう好ましくは1.5〜5重量%含む寒天平板の上に、懸濁させた連鎖体を広げることによって、連鎖体から生み出すことができる。次いでこの寒天平板に、比較的に低い光強度の蛍光を照射する。比較的に低い光強度とは、1〜50μmol光子m−2−2、好ましくは5〜20μmol光子m−2−2、より好ましくは5〜15μmol光子m−2−2、最も好ましくは8〜10μmol光子m−2−2の光強度を意味する。
【0037】
生物学的に純粋な微小コロニーは、コロニーを寒天平板から、同一の増殖培地または異なる増殖培地、好ましくは表1に示したAlgaen Iなどの100mlから2lの同一の増殖培地へ移すことによって増殖させ、繁殖させることができる。200ml容器が好ましい。この増殖培地に中程度の強度の蛍光を照射する。中程度の強度とは、50〜400μmol光子m−2−2、好ましくは100〜250μmol光子m−2−2、より好ましくは150〜250μmol光子m−2−2、最も好ましくは200〜250μmol光子m−2−2の光強度が使用されることを意味する。藍色細菌株の生物学的に純粋な培養物を使用して、大量の藍色細菌、特にネンジュモ属の藍色細菌種、特にイシクラゲを培養することができる。大量の藍色細菌とは、100mlから20l、好ましくは200mlから15l、より好ましくは500mlから10l、よりいっそう好ましくは1lから5l、最も好ましくは2lから5lを生成することができることを意味する。この培養物にCO濃縮空気をバブリングして、培養物を混合することができる。
【0038】
大規模コロニーは、表1に示したAlgaen IIIなどの異なる培地に微小コロニーを移し、高強度の蛍光を培養に照射することによって誘導することができる。高強度とは、400〜1000μmol光子m−2−2、好ましくは450〜600μmol光子m−2−2、より好ましくは500〜600μmol光子m−2−2、最も好ましくは500〜550μmol光子m−2−2の光強度が使用されることを意味する。
【0039】
任意選択で、この培養物にCO濃縮空気をバブリングして、培養物を混合することができる。この培養物を、2日から10週間、より好ましくは5日から5週間、より好ましくは1週間から5週間増殖させる。1週間後、実質的に全てのコロニーの直径が3mm以上であり、2週間後、90%のコロニーが5mmの直径を有し、4週間後、80%のコロニーが少なくとも10mmの直径を有する。
【0040】
上記のように生成されたコロニーは、その中に汚染物質が存在しないため、自然源から大量に分離されたコロニーよりも有利である。さらに、このように培養されたコロニーは、自然源から分離されたネンジュモ属には存在しない他の品質を有する。そのような違いの1つは、野生のネンジュモ属は、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルクロン酸を含み、培養されたネンジュモ属は、上記のとおりに培養された場合に、上記の炭水化物のほかに、単糖であるラムノースおよびフコースを含むことである。さらに、培養されたコロニーでは自然界で生じるコロニーよりも多くのフィコビリタンパク質が生産される。一般に、本発明において作られた培養物では、フィコビリタンパク質の量が0.8から1.2重量%程度であり、一方、自然界では、一般にフィコビリタンパク質の量がこれよりも少なく、一般に0.3%から1.0%である。増殖条件を操作することによって、フィコビリタンパク質の量を1.5重量%以上のレベルまで増やすことができる。フィコビリタンパク質は、それらの推測される抗酸化活性のため、健康上の利点を有すると考えられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、本発明のバイオリアクタを図面を参照して説明する。バイオリアクタの構成要素を指す文字の他に、これらの図面はさらに、それぞれの構成要素のサイズに関する寸法情報を含む。事実上この寸法情報は例にすぎず、この情報を、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0042】
一実施形態に関して、図1のバイオリアクタが三次元で示されている。図1ではバイオリアクタユニットが、ベースボードCに取り付けられた3つ以上の車輪Aを有する。好ましい構成は4つの車輪Aを含むが、様々な車輪数が本発明の範囲に含まれる。車輪Aは別々にベースボードCに取り付けることもでき、当業者によって容易に知られる手段によってそれぞれの車輪にアクセルが提供される。あるいは、1つの車輪から別の車輪まで延びるアクセルによって2つの車輪を互いに取り付けることもできる(このオプションに関しては図4Bの車輪アクセルOを参照されたい)。それぞれの車輪がそれ自体のアクセルを有することが好ましい。水平支持棒MまたはベースボードCに車輪を取り付ける手段も含まれる(図1には示されていないが、図9のフレームへの取付け手段Sの一例を参照されたい)。これらの取付け手段は当業者によく知られている。ベースボードCの上には垂直支持棒Eおよび中心垂直支持棒Bがある。垂直支持棒Eおよび中心垂直支持棒Bは増殖柱支持ボードDを支持する。増殖柱支持ボードDの上には増殖柱Jがある。ベースボードC上には、増殖柱Jの上部を支持するために使用される直立した中心垂直支持棒Gが取り付けられている。中心垂直支持棒Gは補強棒Fによって固定されており、補強棒Fは増殖柱支持ボードDに取り付けられている。中心垂直支持棒Gには斜め支持棒Hが取り付けられており、斜め支持棒Hは上部水平支持棒Iに取り付けられている。1本または数本の中心垂直支持棒Gを使用することができ、2本の中心垂直支持棒Gが好ましいことを理解されたい。図1には第2の中心垂直支持棒Gが示されていないが、2本の中心垂直支持棒Gは図2において見ることができる。上部水平支持棒Iは、増殖柱接続補強材Kの下または上に配置され、増殖柱接続補強材Kは増殖柱Jを互いに対して固定する。増殖柱接続補強材Kは上部水平支持棒Iに取り付けられている。接続補強材Kは、増殖柱Jが内側にぴったりとはまる大きさの支持環Lに接続されている。
【0043】
図1では、ベースボードCが増殖柱支持ボードDよりも長く示されており、それぞれの幅は一端でそろっており、ベースボードは他端に張出し部分を有する。増殖柱支持ボードDとベースボードCの寸法が同じであり、そのため張出し部分のないケースを本発明が包含することを理解されたい。さらに、本発明には、増殖柱支持ボードDがベースボードCの幅端部とそろっていないケースも含まれる。
【0044】
増殖柱は、ガラス、石英、様々なプラスチック、または様々なポリマー材料とすることができ、アクリルポリマー材料であることが好ましい。留意すべきは蛍光に対する材料の透明性である。藍色細菌(または任意の細菌。ネンジュモ属が好ましく、Nostoc commune種が特に好ましい)の培養物には蛍光が照射されるので、増殖柱の材料は、透射光の強度および所望の波長に対して十分に透明でなければならない。
【0045】
図1にはさらに、スイッチ/弁Tによって調節された空気注入用の管A.I.および培地取出用の管M.O.が示されている。これらのスイッチ/弁Tは増殖柱Jに接続されており、任意のタイプの空気を注入し、培養物を含む培地を取り出すために使用することができる。空気はCO濃縮空気であることが好ましい。
【0046】
図2に、中心垂直支持棒B、垂直支持棒E、補強棒F、中心垂直支持棒G、斜め支持棒Hおよび上部水平支持棒Iを含む、バイオリアクタの棒フレーム網および車輪Aを示す。さらに、図1に示したベースボードCは水平支持棒Mの格子によって支持することができ、増殖柱支持ボードDは、水平支持棒Nの格子によって支持することができる。水平支持棒Mの格子および水平支持棒Nの格子を持たないバイオリアクタも企図され、これも本発明の範囲に含まれる。
【0047】
鋼、鉄、アルミニウム、これらの金属の様々な合金、これらの金属と他の金属の合金、個別に使用される他の金属および他の金属の合金を含む任意の金属を棒フレーム網に対して使用することができる。鋼が特に好ましい。木製の棒フレーム網およびプラスチック製の棒フレーム網も企図される。フレーム網を決定する制限因子はフレーム棒の構造完全性であり、すなわち棒がバイオリアクタの重量を支持することができるかどうかである。フレーム網を決定する他の因子は、棒を一体にうまく取り付けることができるかどうかである。例えば、鋼をフレーム網として使用する場合、棒は、はんだ付け、鋳造、クランプ、または当業者に知られている他の手段によって取り付けることができる。プラスチック製および木製の棒では、取付け方法に、ねじ、くぎ、ナット/ボルト、蝶番、および当業者に知られている他の手段が含まれる。これらの制限に留意すれば、フレーム網は、これらの制限を満たす、知られているほとんど如何なる材料によって製作することができる。
【0048】
図3Aおよび3Bにフレームの上面図および側面図を示す。図3Aの上面図には水平支持棒Mおよび水平支持棒Nの格子が示されている。図3Bには、垂直支持棒E、中心垂直支持棒B、水平支持棒M、水平支持棒Nの格子および車輪Aが示されている。
【0049】
図4Aおよび4Bに、バイオリアクタの縦方向の側面図およびバイオリアクタの横方向の側面図をそれぞれ示す。図4Aには、垂直支持棒E、中心垂直支持棒B、中心垂直支持棒G、水平支持棒M、水平支持棒Nの格子、上部水平支持棒Iおよび車輪Aが示されている。図4Bには、車輪アクセルO、車輪A、中心垂直支持棒G、補強棒F、斜め支持棒H、垂直支持棒E、中心垂直支持棒Bおよび上部水平支持棒Iが示されている。
【0050】
図5Aおよび5Bにそれぞれ、接続補強材Kおよび支持環Lの上面断面図、ならびに接続補強材Kおよび支持環Lの拡大上面断面図を示す。図5Aには上部水平支持棒Iも示されている。図5Aでは上部水平支持棒Iが接続補強材Kの下に示されているが、上部水平支持棒Iが接続補強材Kの上に配置されている場合も本発明の範囲に含まれる。
【0051】
図6Aおよび6Bはそれぞれ、1つの増殖柱Jおよびその下のベースの上面断面図、ならびに増殖柱Jおよびその下のベースの三次元図である。図6Aには、COまたは他のガスをバブリングすることを可能にする空気注入口A.I.も示されている。この空気注入口は弁を備えまたは弁を持たないこともできる。図6Aにはさらに培地取出口M.O.が示されている。図6Aの下のベースPは、アクリルベースのポリマーなどのポリマーとすることができ、あるいは木または当業者に知られている他の材料を使用することができる。図6Bは、アクリルベースのポリマーなどのポリマー、または当業者に知られている他の任意の材料から作られたベースPを有する増殖柱Jの三次元図を示している。図6Bにはさらに、アクリルベースのポリマーなどのポリマー、または当業者に知られている他の任意の材料から作ることができる支持三角形Qが示されている。
【0052】
図7〜10に本発明の他の実施形態を示す。これらの図には、大量のネンジュモ属を培養するために使用することができるタンクが示されている。図7には、培養のために使用することができるタンクの三次元図が示されている。タンクの材料は、蛍光の通過を許す比較的に透明な任意の材料とすることができ、ガラス、石英およびプラスチックが可能であり、ガラスが特に好ましい。図7にはさらに、2つの空気注入口A.I.および培地取出口M.O.が示されている。1つまたは複数の空気注入口A.I.および1つまたは複数の培地取出口M.O.を有することが本発明の範囲に含まれる。図8は、図7のタンクを支持するフレームRおよび車輪Aの三次元図を示している。培地で満たされたタンクを十分に支持することができる強度を有する任意の材料をフレームとして使用することができる。鋼フレームは特に好ましいフレーム材料である。図9は、図7のタンクを支持するフレームの側面図を示している。図10は、図7のタンクを支持するフレームの下面図を示している。上述の図に小さな変更を加えることも本発明の範囲に含まれる。
【0053】
図11Aおよび11Bに、イシクラゲの増殖に対する光強度(50、100または200mmol m−2−1)の影響を、乾燥重量(図11A)およびChl−a(クロロホルム−a濃度(図11B))に関して示す。初期乾燥重量は0.4g/l、初期Chl−a濃度は5.3mg/lであった。データは2回の実験の平均を表す。
【0054】
Algaen I培地800mlを含む1リットルのガラス瓶の中で、3段階の異なる光強度レベル(すなわち50、100または200μmol m−2−1)を照射し、室温で微小コロニーを培養した。コロニーの増殖は、乾燥重量(DWt)およびクロロフィルa濃度(Chl−a)の増大として測定した。図11Aに示した実験では、50μmol m−2−1が最適光強度であり、これが成熟した大規模コロニーの最大形成を与える。光強度が100および200μmol m−2−1に増大するにつれて増殖速度は低下した(図11A参照)。
【0055】
他の実施形態では本発明が、イシクラゲの生鮮バイオマスまたは乾燥粉末を含む可食イシクラゲ製剤を提供する。ネンジュモ属は、培養物を空気乾燥することを含む当業者に知られている任意の方法によって乾燥することができる。あるいは、空気に吹きつける方法または真空乾燥もネンジュモ属を乾燥させる適当な代替方法である。他の態様では、本発明は、タンパク質、脂肪酸、多糖および/または色素のうちの1つまたはこれらの任意の組合せを含むイシクラゲ製剤を提供する。
【0056】
本発明のイシクラゲ製剤は多くの形態をとることができる。例えば本発明のイシクラゲ製剤は粉剤の形態をとることができる。あるいは本発明のイシクラゲ製剤は錠剤、カプセル剤または液剤の形態をとることができる。本発明のイシクラゲ製剤はさらに、栄養補助食品の中に含め、または栄養物バー、液体飲料、シリアル、乳製品などの食品および本発明の食品の中に含めることができる。
【0057】
本発明のイシクラゲ製剤を栄養補助食品中で利用することができる。一態様では、本発明の栄養補助食品が本発明のイシクラゲ製剤を含む。本発明の栄養補助食品1回分は、本発明のイシクラゲ製剤を1から10グラム含むことができる。
【0058】
本発明の栄養補助食品は、粉剤、錠剤、カプセル剤または液剤を含む消化可能な任意の形態をとることができる。栄養補助食品の溶解度、消化率または他の性質を向上させるために、本発明の栄養補助食品を集塊化し、かつ/または他の方法で処理することもできる。
【0059】
当業者に理解されているように、本発明の栄養補助食品はさらに、ハーブまたはハーブ抽出物、藻類バイオマス、藻類バイオマス抽出物、菌類抽出物、酵素、繊維源、ミネラル、ビタミンなどからなる群から選択された1つの成分またはこれらの成分の組合せとすることができる。
【0060】
本発明は、イシクラゲの生鮮バイオマスまたは乾燥バイオマスを含む消化可能な食品を提供する。本発明の食品は、タンパク質、脂肪酸、多糖および色素のうちの1つまたはこれらの任意の組合せをさらに含むことができるイシクラゲ製剤を含む。
【0061】
この食品はさらに、リン酸カルシウム、大豆レシチン、塩、カリウム、塩化物、人工および天然香料、カラゲネナン(carragenenan)、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、水または乳を含む、保存料、香料、ビタミン、ミネラルなどの任意の1つまたは組合せを含む追加の成分を含むことができる。ただしこれらに限定されるわけではない。本発明で使用するのに適当な炭水化物には、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マンノース、マンニトール、デキストロース、マルトデキストリン、ソルビトール、コーンシロップ固形物および当業者に知られている他の炭水化物が含まれる。
【0062】
本発明の食品は、砂糖の一部または全部を人工甘味料に置き換えることによって低カロリー食品の形態で製造することもできる。適当な人工甘味料には、スクラロース(SPLENDA(商標))、アスパルテーム、サッカリンおよびSINETK(アセスルフェーム(acesulfurame)K)が含まれる。ステビアなどの植物由来の甘味料も適している。
【0063】
本発明の食品は、液体に分散させる粉末、錠剤、バー、液体飲料、シリアル、乳製品などを含む多くの形態をとることができる。本発明の食品はさらに、ハーブ、ハーブ抽出物、藻類バイオマス、藻類バイオマス抽出物、菌類抽出物、酵素、繊維源、ミネラル、ビタミンなどの群から選択された1つの成分またはこれらの成分の組合せを含むことができる。
【0064】
本発明はさらに、本発明のネンジュモ属製剤、特に好ましくはイシクラゲ製剤を含む薬理学および/または医薬組成物を提供する。これは、薬学作用因子であるネンジュモ属または薬学作用因子の働きをする他の作用因子とすることができることを理解されたい。このようなネンジュモ属および他の作用因子は、独立しておよび/または相乗的に機能することができる。したがって本発明は、本発明のイシクラゲ製剤を含み、薬剤組成物をさらに含む薬理学および/または医薬組成物を提供する。適当な薬剤組成物には、コレステロールを下げる治療、骨を強くする治療、子宮内膜の治療、化学療法を含む癌の治療、アルツハイマーの治療、潰瘍治療、平伏した治療、皮膚治療、腎臓治療、血液治療、リンパ管治療、肺治療、神経系治療、糖尿病治療、眼治療などで利用される薬剤組成物、薬物および/または処方薬が含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。これらの薬剤組成物には、プレマリン、フォサマックス(Fosamax)、ラロキシフェン、タモキシフェン、SERM(選択的エストロゲンレセプタモジュレータ)および当業者に知られている他の薬物が含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。
【0065】
本発明のイシクラゲ製剤と薬剤組成物とを含む本発明の薬理学組成物の利点は、その組合せが相乗効果を生むことがあることである。したがって、本発明のイシクラゲ製剤が含まれない場合に伝統的に利用される量よりも少ない量の薬剤組成物を本発明の薬理学的組成物中で使用して、実質的に同じ所望の治療効果を達成することができることがある。この特徴はさらに、より少ない量の薬剤組成物が利用されることによって、薬剤組成物によって引き起こされる副作用または有害作用を低減させる追加の利点を提供することができる。
【0066】
本発明はさらに、個人の健康を促進するための方法であって、一日当り50グラム超の生鮮イシクラゲまたは同等量の乾燥バイオマス、好ましくは100グラム超の生鮮イシクラゲまたは同等量の乾燥バイオマスを摂取させることを含む方法を開示する。
【0067】
本発明はさらに、健康を促進しかつ/または増強するための方法であって、本発明のイシクラゲ製剤、ならびに/あるいは本発明のイシクラゲ製剤を含む栄養補助食品および/または食品および/または薬理学的組成物を消化することを含む方法を提供する。
【0068】
セクション1.株の分離および精製方法
春に、米ノースカロライナ州Forsyth郡のYadkin川でイシクラゲのコロニーを採集した。無菌Algaen−I培地で洗浄した後、乳鉢と乳棒でコロニーを粉砕し、Algaen−Iを含む寒天平板上に細胞を広げ、この平板に蛍光を照射した。1週間後、この平板の細胞を新しい平板へ移した。3回移した後、純培養コロニーを得、これを追加の培養に使用した。
【0069】
セクション2.イシクラゲを培養するためのステップ:
イシクラゲの培養は以下のステップを含む:
2a.Algaen−II中での連鎖体の生成
2b.Algaen−III培地を含む寒天平板上での微小コロニーの形成
2c.培養容器中での微小コロニーの増殖および繁殖
2d.培養容器中での大規模コロニーの形成。
【0070】
セクション3.上記のそれぞれの培養ステップの最適条件
3a.連鎖体の生成:
連鎖体の生成を誘導するため、イシクラゲの大規模コロニーを、セクション2で説明したとおりAlgaen−II培地で3回洗浄した。洗浄した大規模コロニーをAlgaen−II培地に再懸濁させ、100μmol光子m−2−1の光を25℃で3日間照射し、その結果、コロニーから連鎖体が解放された。
【0071】
連鎖体は、Algaen−I培地中で大規模コロニーを乳鉢と乳棒ですりつぶして粉にすることによっても得ることができる。
【0072】
3b.寒天平板上での微小コロニーの形成:
連鎖体をAlgaen−I培地に再懸濁させ、寒天1.5%およびAlgaen−I培地を含む寒天平板上に1000細胞/平板の濃度で広げた。平板をパラフィルムで密閉し、10μmol光子m−2−1の光を照射しながら25℃で培養した。1週間後、微小コロニーの形成が顕微鏡で観察された。3週間後、微小コロニーは、液体増殖培地へ移す準備が整った。
【0073】
3c.培養容器中での微小コロニーの増殖および繁殖
上述の寒天平板から得られた微小コロニーを、Algaen−I培地200mlを含む培養容器へ移した。この培養物を、200μmol光子m−2−1の光強度の蛍光灯で照射した。この液体をCO濃縮空気でバブリングすることによって培養物を混合した。培養容器はガラス瓶、透明なプラスチックボトルまたは他の透明な容器とすることができる。この例では200ml培養を使用したが、許容される培養容器の容積は100mlから20リットルである。
【0074】
3d.培養容器中での大規模コロニーの形成
大規模コロニーの形成を誘導するため、微小コロニーを以下の条件の培地へ移した:(a).セクション2で説明したAlgaen−III培地、(b).500μmol光子m−2−1の光強度。これらの条件下で、微小コロニーは分割および繁殖を停止し、その代わりに、全ての微小コロニーは連続的に増殖して体積を増大させた。直径は1mm未満から1週間後に3mm超まで増大した。2週間後、コロニーの90%は直径5mmに達した。4週間後、コロニーの約80%は直径10mmに達した。
【0075】
多数の具体的な詳細に関して本発明を説明したが、本発明の趣旨から逸脱することなく他の形態で本発明を具体化することができることを当業者は理解するであろう。したがって、本発明は上記の例示的な詳細によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるものであることを当業者は理解されたい。さらに本発明は、任意の請求項の任意の制限と他の請求項の1つまたは複数の制限との組合せを包含することを企図する。
【0076】
以下の参照文献はその全体が参照によって組み込まれる。
【0077】
参照文献
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【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】増殖柱が描かれたバイオリアクタの一実施形態の三次元図である。
【図2】増殖柱が省かれたバイオリアクタの一実施形態の三次元図である。
【図3】それぞれフレームの上面図およびフレームの側面図である。
【図4】それぞれバイオリアクタの縦方向の側面図およびバイオリアクタの横方向の側面図である。
【図5】それぞれ接続補強材Kおよび支持環Lの上面断面図ならびに接続補強材Kおよび支持環Lの拡大上面断面図である。
【図6】それぞれ1つの増殖柱およびその下のベースの上面断面図ならびに増殖柱Jおよびその下のベースの三次元図である。
【図7】フレーム上に支持された大タンクの三次元図である。ただしフレームは示されていない。
【図8】図7の大タンクを支持する図示されたフレームの三次元図である。
【図9】図7の大タンクを支持する図示されたフレームの側面図である。
【図10】図の大タンクを支持する図示されたフレームの下面図である。
【図11】イシクラゲの増殖に対する光強度(50、100または200μmmol m−2−1)の影響を、乾燥重量(図11A)およびChl−a(クロロホルム−a濃度(図11B))に関して示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネンジュモ(Nostoc)属に属する藍色細菌株の生物学的に純粋な培養物であって、コロニーを含む培養物。
【請求項2】
種がイシクラゲ(Nostoc commune)である、請求項1に記載の培養物。
【請求項3】
実質的に全ての前記ネンジュモ属コロニーが約3mmから約5mmの直径を有する、請求項1に記載の培養物。
【請求項4】
農薬、殺菌剤、殺虫剤および除草剤からなる群から選択された汚染物質を実質的に含まない、請求項1に記載の培養物。
【請求項5】
前記コロニーの平均直径が約4mmである、請求項3に記載の培養物。
【請求項6】
ネンジュモ属に属する藍色細菌株の生物学的に純粋な培養物を生産する方法であって、
a)ネンジュモ属コロニーを粉砕して、粉砕されたネンジュモ属コロニーを生成すること、
b)前記粉砕されたネンジュモ属コロニーを寒天平板上に広げること、
c)前記ネンジュモ属コロニーを含む前記寒天平板に蛍光を照射すること、
d)前記ネンジュモ属コロニーを新しい寒天平板へ移して、ネンジュモ属の生物学的に純粋な培養物を生み出すこと
を含む方法。
【請求項7】
e)ステップd)を1ないし3回繰り返すこと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記培養物がイシクラゲである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ネンジュモ属のコロニーを培養する方法であって、
a)増殖培地中でネンジュモ属の連鎖体を生成させること、
b)前記ネンジュモ属に蛍光を照射すること、
c)前記照射されたネンジュモ属の微小コロニーを寒天平板上に広げて、ネンジュモ属の微小コロニーを生成させ、前記ネンジュモ属の微小コロニーを培養すること
を含む方法。
【請求項10】
d)ステップa)の前記増殖培地と同一のまたはそれとは異なる増殖培地へ前記微小コロニーを移すステップと、
e)前記増殖培地中の前記微小コロニーに蛍光を照射して、ネンジュモ属の微小コロニーを生成させ、前記ネンジュモ属の微小コロニーを培養するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
d)ステップa)の前記増殖培地と同一のまたはそれとは異なる増殖培地へ前記微小コロニーを移すステップと、
e)少なくとも400μmol光子m−2s−1の蛍光強度を適用して、高分子を生成させ、前記ネンジュモ属の大規模コロニーを培養するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ステップa)の前記増殖培地とは異なる液体増殖培地と同一の培地の中の前記微小コロニーをCOでバブリングすることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記コロニーがイシクラゲである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ステップa)の前記増殖培地と同一のまたはそれとは異なる液体増殖培地の中の前記微小コロニーをCOでバブリングすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも100mlの液体増殖培地が使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
実質的に全ての前記大規模コロニーが少なくとも約5mmの直径を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記コロニーの約80%が少なくとも約10mmの直径を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップd)の前記増殖培地が異なる培地である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
ステップd)の前記増殖培地が異なる培地である、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
ステップd)の前記増殖培地が同一の培地である、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
ステップd)の前記増殖培地が同一の培地である、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
ネンジュモ属に属する藍色細菌株を含む組成物であって、ネンジュモ属コロニーを、許容される希釈剤、賦形剤または担体とともに含む組成物。
【請求項23】
前記ネンジュモ属がイシクラゲである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記ネンジュモ属のサイズが実質的に均一であり、前記ネンジュモ属が約3mmから約5mmの直径を有する、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
農薬、殺菌剤、殺虫剤および除草剤からなる群から選択された汚染物質を実質的に含まない、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
薬剤をさらに含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
薬学的に有効な量のネンジュモ属に属する藍色細菌株を含む医薬組成物であって、コロニーを、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体とともに含む医薬組成物。
【請求項28】
前記ネンジュモ属コロニーが実質的に均一であり、約3mmから約5mmの直径を有する、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
ネンジュモ属および薬剤を含み、前記薬剤が薬学的に活性な成分である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項30】
イシクラゲを含む、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項31】
粉末状のイシクラゲを含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
a)自然源からネンジュモ属コロニーを採集するステップと、
b)前記ネンジュモ属コロニーを無菌培地で洗浄するステップと、
c)前記ネンジュモ属コロニーを粉砕するステップと、
d)前記ネンジュモ属コロニーを寒天平板上に広げるステップと、
e)前記ネンジュモ属コロニーを含む前記寒天平板に蛍光を照射するステップと、
f)前記ネンジュモ属コロニーを新しい寒天平板へ移すステップと、
g)ステップf)を1ないし3回繰り返してネンジュモ属の生物学的に純粋な培養物を生産し、ネンジュモ属の前記生物学的に純粋な培養物を、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体と一緒にするステップと
を含むプロセスによって製造された、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記ネンジュモ属がイシクラゲである、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
抗ウイルス薬、コレステロール低下薬および抗炎症薬からなる群から選択された、疾患を治療するための薬剤をさらに含む、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記薬剤が、アルスロテク(Arthrotec)、アサコール(Asacol)、アウラルガン(Auralgan)、アザルフィジン(Azulfidine)、ベクストラ(Bextra)、セレストン(Celestone)、ダイプロ(Daypro)、デルタソン(Deltasone)、ジクロフェナク、エトドラク、インドシン、ケトプロフェン、ロジン(Lodine)、モビク(Mobic)、ナブメトン(Nebumetone)、ナプロキセン、ピロキシカム、ポンスタン(Ponstan)、プレドニゾン、ロフェコキシブ、サロフォーク(Salofalk)、ソルメドロール(Solumedrol)、プレマリン、フォサマックス(Fosamax)、ラロキシフェン、タモキシフェン、クエン酸タモキシフェン、カソデックス(casodex)、ヒドレア(hydrea)、メルカプトプリン、メトトレキサートレデルレ(methotrexate lederle)およびSERMからなる群から選択された、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
水、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、EDTA、クエン酸、クエン酸アンモニウム鉄および塩化マンガンを含み、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、二塩基性リン酸カリウム、硝酸コバルト、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、ホウ酸および硫酸亜鉛からなる群から選択された1種または数種の要素を含む藍色細菌増殖培地。
【請求項37】
その中に、硝酸ナトリウムが1.5から2.0g/l存在し、炭酸ナトリウムが0.02から0.05g/l存在し、EDTAが0.001から0.003g/l存在し、クエン酸が0.006から0.012g/l存在し、クエン酸第二鉄アンモニウムが0.006から0.012g/l存在し、塩化マンガンが1.81から3.62ppm存在する、請求項36に記載の培地。
【請求項38】
硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、二塩基性リン酸カリウム、硝酸コバルト、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、ホウ酸および硫酸亜鉛からなる群から選択された1種または数種の要素を含み、存在する場合には硫酸マグネシウムが0.015から0.15g/l存在し、存在する場合には塩化カルシウムが0.1から0.54g/l存在し、存在する場合には二塩基性リン酸カリウムが0.01から0.075g/l存在し、存在する場合には硝酸コバルトが0.049から0.17ppm存在し、存在する場合には硫酸銅が0.079から0.3ppm存在し、存在する場合にはモリブデン酸ナトリウムが0.039から1.2ppm存在し、存在する場合にはホウ酸が2.86から12.4ppm存在し、存在する場合には硫酸亜鉛が0.05から0.10ppm存在する、請求項37に記載の培地。
【請求項39】
硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、二塩基性リン酸カリウム、硝酸コバルト、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、ホウ酸および硫酸亜鉛からなる群から選択された全ての要素を含む、請求項38に記載の培地。
【請求項40】
3つ以上の車輪と、フレームと、細菌を培養するための1つまたは複数の容器とを含み、前記車輪が、前記バイオリアクタを移動させることを可能にし、前記車輪が前記フレームを支持し、前記フレームが、細菌を培養するための前記1つまたは複数の容器を支持し、前記1つまたは複数の容器が蛍光の通過を許す材料から作られたバイオリアクタ。
【請求項41】
ネンジュモ属に属する藍色細菌株の生物学的に純粋な培養物を含む食品。
【請求項42】
種がイシクラゲである、請求項41に記載の食品。
【請求項43】
ネンジュモ属が少なくとも50グラム存在する、請求項41に記載の食品。
【請求項44】
イシクラゲが少なくとも50グラム存在する、請求項42に記載の食品。
【請求項45】
健康を促進しまたは増強するための方法であって、健康促進または増強が必要な個人に、ネンジュモ属に属する藍色細菌株の生物学的に純粋な培養物を含む、健康を促進しまたは増強する量の組成物を投与することを含む方法。
【請求項46】
前記ネンジュモ属株がイシクラゲである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ネンジュモ属に属する藍色細菌株の、生物学的に純粋な培養物を含む栄養補助食品。
【請求項48】
前記ネンジュモ属がイシクラゲである、請求項47に記載の栄養補助食品。
【請求項49】
カプセル剤または錠剤の形態の、請求項48に記載の栄養補助食品。
【請求項50】
粉末の形態の、請求項48に記載の栄養補助食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−526768(P2007−526768A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552225(P2006−552225)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/003314
【国際公開番号】WO2005/074622
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506263815)アルガエン コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】