説明

インプリントリソグラフィ

オブジェクトと別のオブジェクトとの相互アライメントに用いる特定のアライメント構成を備えたオブジェクトが開示される。アライメント構成は、実質的に規則的な格子の形態の第1の微細アライメントマークと、第1のアライメントマークと同じエリア内に位置する第2の粗アライメントマークとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、アライメントに関し、特に(これに限定されないが)インプリントリソグラフィにおけるアライメントに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ分野では、所与の基板領域上のフィーチャの密度を増大するために、リソグラフィパターン内のフィーチャのサイズを低減するという従来からの要望がある。フォトリソグラフィ分野では、小さいフィーチャへの努力によってコスト高ではあるが液浸リソグラフィ及び極端紫外線(EUV)リソグラフィなどの技術が開発されてきた。
【0003】
[0003] ますます関心が高まっているより小さいフィーチャ(例えば、ナノメートルサイズのフィーチャ、例えば、50nm以下、25nm以下又は10nm以下のサイズのフィーチャ)を得るための潜在的に低コストである方法が、一般に、「スタンプ」(多くの場合、インプリントリソグラフィテンプレートと呼ばれる)を用いて基板上にパターンを転写するステップを含むいわゆるインプリントリソグラフィである。インプリントリソグラフィの利点は、フィーチャの解像度が、例えば放射源の放射波長又は投影システムの開口数によって制限されないということである。その代わりに、解像度は、主としてインプリントリソグラフィテンプレート上のパターン密度に制限される。
【0004】
[0004] インプリントリソグラフィは、パターンが形成される基板の表面上にあるインプリント可能媒体のパターニングを含む。パターニングは、インプリントリソグラフィテンプレートのパターン付き表面とインプリント可能媒体の層とを接触させて(例えば、インプリントリソグラフィテンプレートをインプリント可能媒体に近づける、又はインプリント可能媒体をインプリントリソグラフィテンプレートに近づける、あるいはその両方)、インプリント可能媒体がパターン付き表面の凹部に流入し、パターン付き表面上の突起によって脇に押しのけられるステップを含んでいてもよい。凹部と突起は、インプリントリソグラフィテンプレートのパターン付き表面のパターンフィーチャを画定する。通常、パターン付き表面とインプリント可能媒体とが接触した時にインプリント可能媒体は流動可能である。インプリント可能媒体のパターニングに続けて、例えば、インプリント可能媒体を化学線に照明することで、インプリント可能媒体は、好適には非流動又は凍結状態(すなわち、固定状態)にされる。次に、インプリントリソグラフィテンプレートのパターン付き表面とパターン形成されたインプリント可能媒体とは分離される。次に、通常、基板とパターン形成されたインプリント可能媒体とは、さらに処理されて基板のパターン形成又は別のパターン形成が実行される。インプリント可能媒体は、パターンが形成される基板の表面上に液滴の形態で提供され得るが、代わりに、スピンコーティングなどを用いて提供してもよい。
【0005】
[0005] 基板上に提供されたインプリント可能媒体にパターンを正確に付与できるためには、そのパターンをインプリントするのに用いるインプリントリソグラフィテンプレートを基板の特定のエリア又は部分に正確に整列させることができる必要がある。これは、例えば、第2のインプリントされた層と第1のインプリントされた層を互いに精度良く位置決めして機能するデバイスを得ることができるといった所望のオーバレイ仕様を達成するために必要である。異なる層のこの精度の良い相互位置決めのために、そのパターンをインプリントするのに用いるインプリントリソグラフィテンプレートを基板の特定のエリア又は部分に(繰り返して)正確に整列させることができることが重要である。インプリントリソグラフィテンプレートがインプリント可能媒体に接触する(すなわち、接触している)前に部分的又は粗アライメントを実行することができる。インプリントリソグラフィテンプレートがインプリント可能媒体内にインプリントされた時点で最終の微細アライメントを実行し、その後、例えば、インプリント可能媒体内のパターンをUV放射の露光などによって凝固又は凝結させることができる。代替的に又は追加的に、粗及び/又は微細アライメントは、インプリント可能媒体がインプリントリソグラフィテンプレートの凹部を充填し、その突起の周囲を流れる時に、又はその後に実行してもよい。粗アライメントによってインプリントリソグラフィテンプレートと基板のアライメントマークとを微細アライメントシステムの捕捉範囲内に移動できるため、微細アライメントの前に粗アライメントが必要な場合がある。インプリントリソグラフィテンプレートと基板のアライメントマークが微細アライメントシステムの捕捉範囲内にない場合、微細アライメントが不可能になる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 粗アライメントは、インプリントリソグラフィテンプレート上又はその内部のボックス又はクロス(あるいは、その他のアライメントマーク)を基板上又はその内部のボックス又はクロス(あるいは、その他のアライメントマーク)に整列させるステップを含んでもよい。一例として、ボックスインボックスアライメントが挙げられる。微細アライメントは、普通、1つがインプリントリソグラフィテンプレート上又はその内部にあり、1つが基板上又はその内部にある2つの離間した格子上に又はそこを通して放射を誘導するステップを含む。放射の回折及び/又はフリンジの移動をアライメント工程で使用できる。しかし、そのようなアライメントを実行する方法に関連付けられた1つ又は複数の問題がある。
【0007】
[0007] 粗アライメントと微細アライメントとを実行するために、オブジェクトのアライメント構成は2つのアライメントマークを含み、第1のアライメントマークは微細アライメントのためのフィーチャを有し、第2のアライメントマークは粗アライメントのためのフィーチャを有する。オブジェクトは、アライメントをさらに向上させるために複数のアライメント構成を含んでもよい(例えば、オブジェクトが無限の剛性を有さず、オブジェクトの複数の部分によって、又はそれを用いて実行する必要がある可能性があるため、このことは有益である)。現在、これらの異なるアライメントマークを提供することは、インプリントリソグラフィテンプレートと基板上のあまりに大きいスペースを占める。このスペースは別に、例えば、デバイスパターンフィーチャ(インプリントリソグラフィテンプレートの場合)、又はインプリントリソグラフィテンプレートを用いてデバイスパターンフィーチャを提供するためのスペース(基板の場合)に使用できる。したがって、第1及び第2のアライメントマークで占有されるスペースによって、最終的には、インプリントリソグラフィ工程を用いて基板上で作成されるパターンのスループットの低下及び/又はそのようなインプリントリソグラフィ工程を用いて形成される任意のデバイス又はその他の構造のコストの増大が引き起こされる。
【0008】
[0008] 追加的に又は代替的に、インプリントリソグラフィテンプレートの処理(例えば、インプリントリソグラフィテンプレートのメサの形成)の結果、インプリントリソグラフィテンプレート上のアライメントマークの不透明なフィーチャが劣化するか、又は除去されるという問題がある。基板へのパターンの正確な付与及びオーバレイを確保するためにアライメントは重要なため、アライメントマークのそのような不透明なフィーチャの除去又は劣化は問題である。
【0009】
[0009] したがって、本発明のある実施形態の目的は、本明細書又はその他の文献のいずれに記載されているかを問わず、従来技術の欠点の少なくとも1つを除去し又は緩和すること、あるいは従来技術の代替策を提供することである。
【0010】
[0010] 一態様によれば、オブジェクトを別のオブジェクトに互いに整列させる際に用いるアライメント構成を備えたオブジェクトであって、該アライメント構成が、実質的に規則的な格子の形態の第1の微細アライメントマークと、第1のアライメントマークと同じエリアに位置する第2の粗アライメントマークとを含む、オブジェクトが提供される。
【0011】
[0011] オブジェクトは、インプリントリソグラフィテンプレート又は基板であってもよく、及び/又は別のオブジェクトは、基板又はインプリントリソグラフィテンプレートであってもよい。
【0012】
[0012] 第2のアライメントマークは、実質的に規則的な格子のギャップ又は線の幅とは異なる幅のギャップ又は線を含んでもよい。
【0013】
[0013] 第2のアライメントマークは、実質的に規則的な格子内の欠けた線、及び/又は実質的に規則的な格子内の追加の線、及び/又は実質的に規則的な格子内の太線、及び/又は実質的に規則的な格子内の細線、及び/又は実質的に規則的な格子内の欠けた又は追加の斜線、及び/又は実質的に規則的な格子内の又はその周囲のボックス、及び/又は実質的に規則的な格子内の増加したか若しくは低減した長さの線又はギャップから選択した1つ以上を含んでもよい。
【0014】
[0014] 実質的に規則的な格子は、1μm〜20μm程度のピッチを有する線及び/又はギャップ、及び/又は1:1のデューティ又は別のデューティを有する線及び/又はギャップ、及び/又は10nm〜100nm程度の厚さを有する線及び/又はギャップから選択した1つ以上を含んでもよい。このような格子は、インプリントリソグラフィのアライメントにおいて特に有用性を見出し得る。
【0015】
[0015] 第2のアライメントマークは、第1のアライメントマークと同じエリアに位置する。したがって、第2のアライメントマークは、実質的に規則的な格子内に位置にしてもよい。追加的に又は代替的に、第2のアライメントマークは、実質的に規則的な格子の直ぐ隣に位置していてもよい。
【0016】
[0016] 第1のアライメントマーク及び/又は第2のアライメントマークは、オブジェクトの突起又は凹部内に形成され、又はそれによって形成され、又はそれを含んでもよい。
【0017】
[0017] 第1のアライメントマーク及び/又は第2のアライメントマークは、使用時にオブジェクトを別のオブジェクトに整列させるのに用いる電磁放射に対して不透過である材料を含んでもよい。
【0018】
[0018] アライメントマーク構成は、別のオブジェクト上に提供されたアライメントマーク構成と実質的に同じであってもよい。これによって、オブジェクトと別のオブジェクトとのアライメントが容易になり、又は簡単になる。
【0019】
[0019] 一態様によれば、オブジェクトを別のオブジェクトに整列させる方法であって、該オブジェクトと該別のオブジェクトが各々、実質的に規則的な格子の形態の第1の微細アライメントマークと、規則的な格子と同じエリアに位置する第2の粗アライメントマークとを含むアライメント構成を含み、該方法は、第2の粗アライメントマークを用いてオブジェクトと別のオブジェクトとの比較的粗いアライメントを実行するステップと、第1の微細アライメントマークを用いてオブジェクトと別のオブジェクトとの比較的微細なアライメントを実行するステップとを含む、方法が提供される。
【0020】
[0020] 粗アライメントは、カメラ又は放射強度測定を用いて実行してもよい。
【0021】
[0021] 微細アライメントは、回折ベースの技術を用いて、又はモアレパターンベースの技術を用いて実行してもよい。
【0022】
[0022] 本明細書に記載する方法は、本明細書に記載するオブジェクトの1つ又は複数のフィーチャを有するか又は含んでもよい。多数の例の1つとして、オブジェクトは、インプリントリソグラフィテンプレート又は基板であってもよく、及び/又は別のオブジェクトは基板又はインプリントリソグラフィテンプレートであってもよい。
【0023】
[0023]一態様によれば、インプリントリソグラフィテンプレートのメサを形成する方法であって、第1の材料を用いてインプリントリソグラフィテンプレート上に不透明なアライメントマークを提供するステップと、インプリントリソグラフィテンプレートの一部をインプリントリソグラフィテンプレートのメサの形成で使用する第2の材料で覆うステップと、第2の材料によって覆われないインプリントリソグラフィテンプレートの部分を除去するステップであって、第2の材料で覆われるインプリントリソグラフィテンプレートの残りの部分がメサを形成するステップと、第2の材料を除去するステップとを含み、第1の材料は、第2の材料の除去が第1の材料の実質的な除去をもたらさないよう第2の材料とは異なる、方法が提供される。
【0024】
[0024] 第1の材料は、クロム、金、ケイ素、又は窒化ケイ素などの金属を含んでもよい。
【0025】
[0025] 第2の材料は、チタン、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、金、又はケイ素から選択した1つ以上を含んでもよい。
【0026】
[0026] 第2の材料によって覆われるインプリントリソグラフィテンプレートの部分は、インプリントリソグラフィ工程で使用するパターンを含んでもよい。
【0027】
[0027] 第2の材料によって覆われるインプリントリソグラフィテンプレートの部分は、アライメントマークを含んでもよい。
【0028】
[0028] 第2の材料を除去するステップは、エッチング工程を含んでもよい。エッチング工程は、HSO/Hの混合物、NH/Hの混合物、HSO、又はHPOから選択した1つ以上の使用を含んでもよい。
【0029】
[0029] アライメントマークは、インプリントリソグラフィテンプレート内の突起又は凹部を含んでもよい。
【0030】
[0030] 第1の材料は、インプリントリソグラフィテンプレートを基板などの別のオブジェクトに整列させるのに用いる電磁放射に対して不透過であってもよい。
【0031】
[0031] インプリントリソグラフィテンプレートは、溶融シリカ又は石英から形成されてもよい。
【0032】
[0032] 一態様によれば、上記の方法を用いて形成されるインプリントテンプレートのメサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
[0033] 以下、添付の図面を参照しながら、本発明の特定の実施形態について説明する。
【図1】[0034]図1a及び図1bは、ホットインプリントリソグラフィ及びUVインプリントリソグラフィの例の概略的に示す。
【図2】[0035]図2a及び図2bは、それぞれインプリントリソグラフィテンプレートと基板上に提供された第1のアライメントマークを概略的に示す。
【図3】[0036]各々がアライメント構成を備えたインプリントリソグラフィテンプレートと基板を、側面視で、概略的に示す。
【図4】[0037]図4a及び図4bは、それぞれインプリントリソグラフィテンプレートと基板上で使用する本発明のある実施形態によるアライメント構成を概略的に示す。
【図5】[0038]それぞれが本発明のある実施形態によるアライメント構成を備えたインプリントリソグラフィテンプレートと基板を、側面視で、概略的に示す。
【図6】[0039]図6a〜図6hは、インプリントリソグラフィテンプレートのメサを形成する方法を概略的に示す。
【図7】[0040]図7a〜図7eは、本発明のある実施形態によるインプリントリソグラフィテンプレートのメサの形成方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[0041] インプリントリソグラフィの2つの方法の例を図1a〜図1bに概略的に示す。
【0035】
[0042] 図1aは、いわゆるホットインプリントリソグラフィ(又はホットエンボス)の一例を示す。典型的なホットインプリント工程では、テンプレート2が、基板6の表面に提供された熱硬化性又は熱可塑性のインプリント可能媒体4内にインプリントされる。インプリント可能媒体4は、例えば樹脂であってもよい。樹脂は、例えばスピンコーティングし、基板表面に、又は図示の例のように、基板6の平坦化・転写層8に焼成してもよい。熱硬化性ポリマー樹脂を使用する場合、樹脂はテンプレートに接触すると、テンプレート上に形成されたパターンフィーチャ内に流入する程度に十分に流動可能な状態になるような温度に加熱される。次に、樹脂の温度は、上昇して樹脂を熱硬化(架橋結合)させ、樹脂は固体化し所望のパターンを不可逆的に採用する。次に、テンプレート2を除去してパターン形成された樹脂を冷却することができる。熱可塑性ポリマー樹脂の層を使用するホットインプリントリソグラフィでは、熱可塑性樹脂が加熱されてテンプレート2によるインプリントの直前に自由に流動可能な状態になる。場合によって、熱可塑性樹脂を樹脂のガラス転移温度より大幅に高い温度まで上昇させる必要がある。テンプレートは流動性樹脂に接触し、次に流動性樹脂はガラス転移温度より下の温度まで冷却され、その間、テンプレート2が所定位置でパターンを硬化させる。その後、テンプレート2は除去される。パターンは、樹脂の残りの層から浮き彫りになったフィーチャからなり、次に、残りの層は、適切なエッチング工程によって除去され、パターンフィーチャだけが後に残される。ホットインプリントリソグラフィ工程で使用される熱可塑性ポリマー樹脂の例は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(ベンジルメタクリレート)、又はポリ(シクロヘキシルメタクリレート)である。ホットインプリントの詳細情報については、例えば、米国特許第4,731,155号及び米国特許第5,772,905号を参照されたい。
【0036】
[0043] 図1bは、紫外線(UV)放射を透過する透明な又は半透明のテンプレートとインプリント可能媒体としてのUV硬化性液体(本明細書では「UV」という用語が便宜上使用されているが、インプリント可能媒体を硬化させる任意の適切な化学線放射を含むものと解釈すべきである)の使用を含むUVインプリントリソグラフィの一例を示す。UV硬化性液体は、多くの場合、ホットインプリントリソグラフィで使用される熱硬化性及び熱可塑性樹脂よりも粘性が低く、したがって、はるかに速く移動してテンプレートのパターンフィーチャを充填することができる。図1aの工程と同様の方法で石英テンプレート10が、UV硬化性樹脂12に当てられる。しかし、ホットインプリントの場合のような熱又は温度サイクリングを用いるのではなく、石英テンプレート10を通してインプリント可能媒体12上に印加されるUV放射14でインプリント可能媒体12を硬化させることでパターンは固化する。テンプレート10を除去した後で、インプリント可能媒体12はエッチングされる。UVインプリントリソグラフィによって基板をパターン形成する特定の方法は、いわゆるステップアンドフラッシュインプリントリソグラフィ(SFIL:Step and Flash Imprint Lithography)である。ステップアンドフラッシュインプリントリソグラフィは、従来、IC製造で使用されている光ステッパと類似の方法で基板を細かいステップでパターン形成するために使用することができる。UVインプリントの詳細情報については、例えば、米国特許出願公開第2004−0124566号、米国特許第6,334,960号、PCT特許出願公開W02/067055号、及びJ. Haismaの論文「Mold-assisted nanolithography: A process for reliable pattern replication」、J.Vac.Sci.Technol.B14(6)、Nov/Dec 1996を参照されたい。
【0037】
[0044] また、上記インプリント技術の組合せも可能である。例えば、インプリント可能媒体の加熱及びUV硬化の組合せを記述する米国特許出願公開第2005−0274693号を参照されたい。
【0038】
[0045] 上記のように、インプリントリソグラフィテンプレートを基板の一部又は一エリアに正確に整列させてその基板上に提供されるインプリント可能媒体内にパターンを確実に正確にインプリントすることが可能であることが望ましい。また、上記のように、基板の1つ又は複数の部分とのインプリントリソグラフィテンプレートのアライメントで使用する提案の(従来技術の)アライメントマーク構成に関連付けられた1つ又は複数の問題がある。図2a及び図2bを用いて上記の問題の1つを説明する。
【0039】
[0046] 図2aは、規則的な格子の形態の第1のアライメントマーク20を概略的に示す。規則的な格子は、複数の実質的に等間隔の線から構成される。線は、アライメント工程で使用される電磁放射に対して不透過である材料の蒸着によって提供できる。代替的に又は追加的に、整列させるオブジェクトに形成された凹部内又は突起上に不透明な材料を提供してもよい。複数の等間隔の線は、不透明な材料を有さない位相格子であってもよい。図2aの第1のアライメントマーク20は、別のオブジェクトに対して整列する第1のオブジェクト上にあってもよい。図2bは、同様の又は同一の第1のアライメントマーク22(規則的な格子の形態の)をその別のオブジェクト上に提供できることを示す。オブジェクトは、インプリントリソグラフィテンプレート又は基板であってもよい。別のオブジェクトは、基板又はインプリントリソグラフィテンプレートであってもよい。オブジェクトと別のオブジェクトは、互いに整列する必要がある。ある実施形態では、オブジェクトはインプリントリソグラフィテンプレートであり、別のオブジェクトは基板であって、インプリントリソグラフィテンプレートと基板は互いに整列する必要がある。
【0040】
[0047] 規則的な格子の形態の第1のアライメントマーク20、22は、当技術分野で知られているように回折ベースの方法(例えば、モアレパターンなどを含む)を用いて互いに整列する。そのような方法は、例えば、インプリントリソグラフィテンプレートと基板などのオブジェクトと別のオブジェクトとの微細アライメントに使用される。
【0041】
[0048] 規則的な格子内の線又はギャップは、1μm〜20μm程度のピッチを有してもよい。デューティは1:1であってもよいが、その他のデューティも可能である。格子の線又はギャップは、10nm〜100nm程度の厚さを有してもよい。
【0042】
[0049] 図3は、互いに整列する必要があるインプリントリソグラフィテンプレート24と基板26の側面図を概略的に示す。インプリントリソグラフィテンプレートは、図2aに示し、それに関連して説明する規則的な格子の形態の第1のアライメントマーク20を備える。基板26は、図2bに示し、それに関連して説明する規則的な格子の形態の同じ又は同様の第1のアライメントマーク22を備える。
【0043】
[0050] 基板26とインプリントリソグラフィテンプレート24との微細アライメントは、基板26とインプリントリソグラフィテンプレート24の第1のアライメントマーク20、22による、又はそれを用いた適当なアライメントによって実行できる。そのような微細アライメントを実行する前に、第1のアライメントマーク20、22のフィーチャよりも粗い1つ又は複数のフィーチャを含んでもよい(例えば、第1のアライメントマーク20、22のフィーチャよりも大きい1つ又は複数の寸法を有する)第2のアライメントマーク28、30を用いてインプリントリソグラフィ24と基板26の粗アライメントを実行してもよい。例えば、第2のアライメントマーク28、30は、上記のボックス又はクロスであってもよい。インプリントリソグラフィテンプレート24と基板26の粗アライメントを実行して微細な第1のアライメントマーク20、22を捕捉範囲などに移動させ、次に微細アライメントを実行してもよい。
【0044】
[0051] 微細アライメントマークのアライメントで使用する信号は格子の規則性のためにピッチ幅で周期的であるため、微細アライメントマークは粗アライメントに使用できない。したがって、微細アライメントマークを用いて位置xにいるか、又は位置x+P(ピッチ)にいるかを確認することはできない。
【0045】
[0052] 図3は、第1のアライメントマーク20、22と第2のアライメントマーク28、30が互いに離れた位置にあることを示す。この結果、インプリントリソグラフィテンプレート24と基板26の両方上でアライメントマーク自体がかなりの量のスペースを占有することになる。インプリントリソグラフィテンプレート24の場合、このスペースを別の(デバイス)パターンフィーチャに使用でき、あるいは、インプリントリソグラフィテンプレート24のサイズ又は重量を(及びおそらくはコストも)低減することでこのスペースを節約できる。同様に、基板26上にアライメントマークが占有するスペースによって、インプリント工程を用いて貴重なデバイス又はその他の構造を作成できるエリアが失われ、提供される各々のデバイス又は構造のスループットが低減し、及び/又はそのコストが増大する。
【0046】
[0053] 本発明のある実施形態に従って、図2及び図3のアライメントマーク構成に関連付けられた欠点の1つ以上を克服できる。本発明のある実施形態によれば、オブジェクトを別のオブジェクト(例えば、基板又はインプリントリソグラフィテンプレート)に整列させる際に用いるアライメントマーク構成を備えたオブジェクト(例えば、インプリントリソグラフィテンプレート又は基板)が提供される。アライメントマーク構成は、実質的に規則的な格子の形態の第1の微細アライメントマークを含む。アライメントマーク構成は、第1のアライメントマークと同じエリアに位置する第2の粗アライメントマークをさらに含む。
【0047】
[0054] 第1のアライメントマークは、規則性が第2のアライメントマークの存在によって破られる可能性があるため、「実質的に」規則的であるといってもよい。第2のアライメントマークがなければ、第1のアライメントマークは規則的な格子にとどまる。したがって、全体としてのアライメントマーク構成は、意図的な(例えば、格子の)不規則性を含むか又はそれに隣接する規則的な格子を含むという説明ができる。第2のアライメントマーク(規則的な格子の構造に対する意図的な不規則性と呼んでもよい)は、1つ又は複数の欠けた線、1つ又は複数の追加の線、1つ又は複数の太線、1つ又は複数の細線、1つ又は複数の欠けた又は追加の斜線、規則的な格子内又はその周囲のボックス、格子内の増加したか若しくは低減した長さの線又はギャップ、あるいはそれらの任意の組合せであってもよい。実際は、任意の不規則性で十分である。実質的に規則的な格子内の線又はギャップとは異なる幅を有する線又はギャップを含む第2のアライメントマークはより容易に提供できる。
【0048】
[0055] 第1及び第2のアライメントマークは同じエリア内に位置するため(従来技術の例のように互いに離間した構成とは異なり)、アライメントマークが全体としてオブジェクト上に占有するスペースは少ない。第1のアライメントマークと同じエリア内に位置する第2のアライメントマークは、実質的に規則的な格子内に位置してもよく、又は実質的に規則的な格子の直ぐ隣に(すなわち、離間せずに)位置してもよい。
【0049】
[0056] 本発明のある実施形態について図4a、図4b及び図5を参照しながら以下に説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。異なる図中の同様のフィーチャは、図を見やすくし一貫性を保つために、同じ参照番号が付与されている。なお、図は正確な縮尺で描かれていない。
【0050】
[0057] 図4aは、インプリントリソグラフィテンプレート上に提供されたアライメント構成を概略的に示す。アライメント構成は、微細アライメントに使用する実質的に規則的な格子の形態の第1のアライメントマーク32を含む。第2のアライメントマーク34は、実質的に規則的な格子の形態の第1のアライメントマーク32と同じエリア内に位置し、粗アライメントに使用される。この例では、第2のアライメントマーク34(意図的な不規則性として説明できる)は、第1のアライメントマーク32の実質的に規則的な格子のギャップ又は線よりも幅が広い線である。別の例では、第2のアライメントマークは、第1のアライメントマーク32の実質的に規則的な格子のギャップ又は線よりも幅が広いギャップなどの形態のフィーチャであってもよく、又はそれを含んでもよい。上記のように、第2のアライメントマークは、他の実施形態では、多数の異なる形態の1つをとってもよい。
【0051】
[0058] 図4bは、基板上に提供されたアライメント構成を概略的に示す。アライメント構成は、微細アライメントに使用する実質的に規則的な格子の形態の第1のアライメントマーク36を含む。第2のアライメントマーク38は、実質的に規則的な格子の形態の第1のアライメントマーク36と同じエリア内に位置し、粗アライメントに使用される。この例では、第2のアライメントマーク38(意図的な不規則性として説明できる)は、第1のアライメントマーク36の実質的に規則的な格子のギャップ又は線よりも幅が広い線である。別の例では、第2のアライメントマークは、第1のアライメントマーク36の実質的に規則的な格子のギャップ又は線よりも幅が広いギャップなどの形態のフィーチャであってもよく、又はそれを含んでもよい。上記のように、第2のアライメントマークは、他の実施形態では、多数の異なる形態の1つをとってもよい。
【0052】
[0059] オブジェクト(例えば、インプリントリソグラフィテンプレート)と別のオブジェクト(例えば、基板)のアライメントマーク構成は実質的に同じであってもよく、そのため各オブジェクト上のスペースの節約だけでなく、アライメントもより迅速に実行できる(例えば、第1及び第2のアライメントマークが同じエリア内にあるため)。
【0053】
[0060] 格子の線は、アライメント工程で使用される電磁放射に対して不透過である材料の蒸着によって提供できる。代替的に又は追加的に、整列させるオブジェクトに形成された凹部内又は突起上に不透明な材料を提供してもよい。複数の等間隔の線は、不透明な材料を有さない位相格子であってもよい。
【0054】
[0061] 微細アライメントマークのアライメントで使用する信号は格子の規則性のためにピッチ幅で周期的であるため、微細アライメントマーク(例えば、規則的な格子の形態の)は粗アライメントに使用できない。したがって、微細アライメントマークを用いて位置xにいるか又は位置x+P(ピッチ)にいるかを確認することはできない。第2のアライメントマーク(不規則性と説明してもよい)の組み込みは、第2の粗アライメントマークのアライメントに使用する信号が周期的でなく、したがって、位置決定に用いることができるということを意味する。
【0055】
[0062] 図5は、図4aで参照するインプリントリソグラフィテンプレート40と図4bで参照する基板42の側面図を概略的に示す。インプリントリソグラフィテンプレート40と基板42とを(比較的幅広の)線の形態の第2のアライメントマーク34、38を用いて比較的粗い形で整列させて第1の微細アライメントマーク32、36を微細アライメントシステム(粗アライメントに用いるアライメントシステムと同一であってもよく、又はそうでなくてもよい)の捕捉範囲内に移動させることができる。インプリントリソグラフィテンプレート40と基板42との後続の比較的微細なアライメントは、(比較的微細な)実質的に規則的な格子32、36の形態の第1のアライメントマークを用いて実行できる。粗アライメントは、カメラなど、又は放射強度測定を用いて実行できる。微細アライメントは、当技術分野で知られているように回折ベースの技術を用いて実行できる。
【0056】
[0063] 図3と図5の比較から、図5に示す本発明のある実施形態によるアライメント構成は図3に示すアライメント構成よりも占有するスペースが少ないことが理解されよう。本発明のある実施形態のアライメント構成が占有するスペースの低減の結果、例えば、より小さく、軽量で、安価なインプリントリソグラフィテンプレートが提供される。代替的に又は追加的に、本発明のある実施形態のアライメント構成が占有するスペースの低減の結果、例えば、基板上により多くの(デバイス)パターンを提供し、したがって、そのようなインプリントリソグラフィ工程を用いて作成されるデバイス又は構造のコストを低減し、及び/又はそのような工程のスループットを高める能力が得られる。
【0057】
[0064] 第1のアライメントマーク及び/又は第2のアライメントマークは、整列させるオブジェクトの1つ又は複数の突起又は凹部内に形成され、又はそれによって形成されるか、又はそれを含んでもよい。これらの凹部又は突起は、当技術分野で知られているように、1つ又は複数のエッチング工程などを用いて形成できる。代替的に又は追加的に、第1のアライメントマーク及び/又は第2のアライメントマークをオブジェクト内部に、例えば、そのオブジェクトの表面近くに埋め込むことができる。第1のアライメントマーク及び/又は第2のアライメントマークは、使用時にオブジェクトを別のオブジェクトに整列させるのに用いる電磁放射に対して不透過である材料を含むか、又は含んでもよい。異なるオブジェクトのアライメントマークのアライメントに使用する任意の信号のコントラスト又は信号対雑音比を改善できるという点で、不透明な材料の提供は有利である。
【0058】
[0065] 上記のように、インプリントリソグラフィテンプレートを基板に正確に整列させることができることが望ましい。これを達成するために、インプリントリソグラフィテンプレート(例えば)上のアライメントマークがインプリントリソグラフィテンプレートの処理中に実質的に劣化するか、又は除去されないようにすることが望ましい。そのような工程は、例えば、インプリントリソグラフィテンプレートのメサなどの提供を含んでもよい。図6a〜図6hは、インプリントリソグラフィテンプレートのメサの提供に関連付けられたアライメントマークを構成又は形成する不透明な材料の除去(又は潜在的な除去)という潜在的な問題を概略的に示す。
【0059】
[0066] 図6aは、未加工の基板状の形態のインプリントリソグラフィテンプレート50を概略的に示す。インプリントリソグラフィテンプレート50のメサ、又はそのためのメサを形成する方法のこの段階では、追加的に又は代替的に、インプリントリソグラフィテンプレート50は、材料の塊などとして記述できる(この段階では、パターンフィーチャなどが存在しないため)。材料の塊、したがって、インプリントリソグラフィテンプレート50は、例えば、溶融シリカ又は石英から形成されてもよい。インプリントリソグラフィテンプレート50上にクロム層52が提供される。クロム層52上にレジスト層54が提供される。
【0060】
[0067] 図6bは、レジスト層54が例えば標準のフォトリソグラフィ工程など(例えば、微粒子ビーム又は電磁放射のビームの使用を含む)、又はインプリント工程を用いてパターン形成されていることを示す。パターニングは、インプリントリソグラフィテンプレート50上にアライメント領域56を提供し(工程内の後の段階で)、基板などの上に提供されたインプリント可能媒体内にパターンをインプリントするのに用いるインプリントリソグラフィテンプレート50上にパターニング領域58を提供するように設計されている。
【0061】
[0068] 図6cは、適当なエッチング工程などの後で、パターン形成されたレジスト層54によって覆われないクロム層52とインプリントリソグラフィテンプレート50の一部分が除去され(例えば、エッチングで除去され)、インプリントリソグラフィテンプレート50内にアライメント領域56とパターン形成された領域58とを形成することを示す。
【0062】
[0069] 図6dは、レジスト及びクロム層の一部を除去してアライメント領域56内の突起上にクロム層60の一部だけを残してもよいことを示す。クロム層60の残余部分の寸法は、図を見やすくするために誇張されている。別の実施形態では、クロムをアライメント領域56の凹部内に残してもよい(又は提供してもよい)。
【0063】
[0070] クロム層60の残余部分はアライメント領域56を用いてインプリントリソグラフィテンプレートを整列するのに用いられる放射に対して不透過であるため、アライメント工程で使用する信号のコントラスト及び/又は信号雑音比を改善する。
【0064】
[0071] 図6eは、インプリントリソグラフィテンプレート50のメサを形成するために別のクロム層62がインプリントリソグラフィテンプレート50上に蒸着されることを示す。別のクロム層62を用いてインプリントリソグラフィテンプレート50の後続の処理中、パターン領域58(及び、この実施形態では、アライメント領域56)が保護される。
【0065】
[0072] インプリントリソグラフィテンプレート50の周縁部の周囲の別のクロム層62の一部が除去され、インプリントリソグラフィテンプレート50の周縁部は(保護のための)別のクロム層62によって覆われなくなる。その結果としての別のクロム層62の覆われた状態を図6fに示す。
【0066】
[0073] 図6gは、別のクロム層62によって覆われないインプリントリソグラフィテンプレート50の部分が除去された(例えば、エッチング工程を用いて)状態を示す。別のクロム層62によって覆われたインプリントリソグラフィテンプレート50の残余部分は上記のメサ64を形成する。
【0067】
[0074] クロムは、アライメントマークの不透明エリア又は部位を提供し、インプリントリソグラフィテンプレートの処理中にパターンフィーチャを保護する材料として使用される。これは、クロムがインプリントリソグラフィテンプレートを形成するのに使用する石英及び溶融シリカへの優れた接着性を示すからである。しかし、クロムはアライメントマークとインプリントリソグラフィテンプレートの処理中の保護層のための不透明材料として使用されるため、別の(保護)クロム層の除去の結果、インプリントリソグラフィテンプレートのアライメント領域内に先に提供されたクロム領域が除去されるか、又は少なくとも実質的に劣化することがある。例えば、図6hは、インプリントリソグラフィテンプレート50から別の(保護)クロム層が除去された時に、アライメント領域56内にクロムが残っていないことを示す。アライメント領域内の不透明なクロムはアライメント領域56を用いてインプリントリソグラフィテンプレートを整列させるための任意の信号の信号対雑音比又はコントラストを高めるため、このことは問題である。不透明材料なしでは、アライメントは不可能になりかねない。
【0068】
[0075] 本発明のある実施形態によれば、図6a〜図6hに関連する上記の問題が除去又は緩和できる。本発明のある実施形態によれば、インプリントリソグラフィテンプレートのメサを形成する方法が提供される。この方法は、第1の材料を用いてインプリントリソグラフィテンプレート上に不透明アライメントマークを提供するステップを含む。アライメントマークの不透明的な性質によって、インプリントリソグラフィテンプレートを整列させるための任意の信号(例えば、アライメントマークを透過し、その周囲を通過し、又はそこで回折する電磁放射)のコントラスト及び/又は信号対雑音比を高める。インプリントリソグラフィテンプレートの一部(例えば、中央領域、周縁部は覆われていないので)がインプリントリソグラフィテンプレートのメサの形成で使用する第2の材料で覆われる。第2の材料は、後続の処理などの間、材料の下のフィーチャなどをある程度保護する。次に、第2の材料で覆われないインプリントリソグラフィテンプレートの部分(例えば、周縁領域におけるある深さ)が除去される。第2の材料で覆われていない、又は覆われていなかったインプリントリソグラフィテンプレートの残りの部分(例えば、中央領域又は周縁部以外の領域)はメサを形成する。次に第2の材料が除去される(例えば、エッチングなどによって)。第1の材料は、第2の材料とは異なる。相違点は、第2の材料を除去しても第1の材料は実質的に除去されないという点である。この相違点の結果、第2の材料が除去されても、不透明なアライメントマークを形成する第1の材料は実質的に除去されず、インプリントリソグラフィテンプレートの後続のアライメントに使用できる。
【0069】
[0076] 本発明のある実施形態について図7a〜図7eを参照しながら以下に説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。異なる図中の同様のフィーチャは、図を見やすくし、一貫性を保つために、同じ参照番号が付与されている。なお、図は正確な縮尺で描かれていない。
【0070】
[0077] 図7aは、インプリントリソグラフィテンプレート70を概略的に示す。インプリントリソグラフィテンプレートは、溶融シリカ又は石英などから形成できる。インプリントリソグラフィテンプレートは、インプリントリソグラフィテンプレート70を整列させる際に使用するアライメント領域72と、例えば、基板などの上に提供されたインプリント可能媒体内にパターンをインプリントする際に使用するパターン付領域74とを含む。この実施形態では、アライメント領域72及びパターン付領域74は、インプリントリソグラフィテンプレート70内の突起及び凹部を含む。アライメント領域72及びパターン付領域74は、図6を参照しながら説明したのと同様又は同一の(又はそれと異なる)方法などの任意の適当な方法で提供できる。
【0071】
[0078] 第1の材料(例えば、クロム)を用いてアライメント領域72内のインプリントリソグラフィテンプレート70上に1つ又は複数の不透明なアライメントマーク76が提供される。不透明なアライメントマーク76は、図6に関連する上記と実質的に同じ方法で(又は異なる方法で)提供できる。
【0072】
[0079] クロムは、アライメントマークの不透明エリア又は部位を提供する材料として使用するのに好適である。これは、クロムがインプリントリソグラフィテンプレート70を形成するのに一般に使用される石英及び溶融シリカへの優れた接着性を示すからである。以下に説明するように、その他の材料も使用することができる。
【0073】
[0080] 図7bは、インプリントリソグラフィテンプレート70の一部がインプリントリソグラフィテンプレート70のメサの後続の形成で使用する第2の材料78(例えば、層の形態の)で覆われることを示す。図7bで、第2の材料78は、第1の材料72から形成された不透明なアライメントマーク76を覆わず又はその上に重ならず、実際には第2の材料78が第1の材料76を覆うか又はその上に重なる様子が示されている。
【0074】
[0081] 第1の材料76は、第2の材料78とは異なり、第2の材料78を除去するのに用いる工程によってその後第1の材料76が実質的に除去されることはない。例えば、第1の材料76及び第2の材料78は、異なるエッチング組成又は流体などに対する異なるエッチング耐性を有してもよい。
【0075】
[0082] 第2の材料78で覆われるインプリントリソグラフィテンプレート70の1つ又は複数の部分は、パターン付領域74(すなわち、インプリントリソグラフィ工程で使用するパターン)及び/又は1つ又は複数のアライメント領域72(アライメントマークなどと呼んでもよい)を含んでもよい。第2の材料78は、後続の処理中、パターン付領域74及び/又はアライメント領域72を損傷又は劣化から保護することができる。
【0076】
[0083] インプリントリソグラフィテンプレート70の周縁部の周囲の第2の材料78の一部が除去され、インプリントリソグラフィテンプレート70の周縁部は(保護の)第2の材料78によって覆われない。その結果としてのインプリントリソグラフィテンプレート70を第2の材料78が覆う状態を図7cに示す。
【0077】
[0084] 次に、第2の層78によって覆われないインプリントリソグラフィテンプレート70のある深さの周縁部が、エッチング工程などを用いて除去される。第2の材料78によって覆われた、また覆われているインプリントリソグラフィテンプレート70の(残りの)材料は、インプリントリソグラフィテンプレート70のメサ80を形成する。その結果としての構造を図7dに示す。
【0078】
[0085] 最後に、第2の材料78が例えばエッチング工程中に除去される。エッチング工程は、第2の材料78のタイプ及び/又は性質に固有であってもよく、おそらくは第1の材料76のタイプ及び/又は性質に固有であってもよい(第1の材料を除去しないように)。
【0079】
[0086] 第2の材料は、例えば、チタン、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、金又はケイ素であってもよく、それらはすべてインプリントリソグラフィテンプレートを形成するのに使用される石英及び溶融シリカへの優れた接着性を示す。また、チタン、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、金又はケイ素は他の金属又はポリマー材料(例えば、他の実施形態で必要なその後付与される層)を良好に支持する。
【0080】
[0087] 第2の材料78がチタンの場合、エッチング工程は、HSO/Hの混合物、又はNH/Hの混合物、又はHSOの使用を含んでもよい。第2の材料がニッケル、アルミニウム又はモリブデンの1つ以上である場合、エッチング工程は、HPOの使用を含んでもよい。クロム(及びアライメントマークを形成できるその他の潜在的に可能な金属)はこれらの化学薬品及び混合物に耐性があり、第2の材料の除去中にインプリントリソグラフィテンプレートから除去されず、不透明材料(この例では、クロムの形態の)を含むアライメントマークの完全性が維持される。アライメントマークを形成する(又は少なくとも部分的に形成する)のに用いる不透明材料は、その後付与される第2の材料の除去中に実質的に除去されない限り、クロム以外の材料であってもよいことは言うまでもない。例えば、第1のアライメントマーク内への包含物として、又はそのために使用できるクロム以外の好適な不透明材料は、金及びケイ素、又は窒化ケイ素などの他の金属などであってもよく、又はそれを含有してもよい。
【0081】
[0088] 図7eは、第2の材料78の層が除去された時のインプリントリソグラフィテンプレート70を示す。不透明な第1の材料76(この例ではクロムの形態の)がアライメント領域72内の基板上に残っていることが分かる。これは、アライメント領域内に以前に存在した不透明な第1の材料がメサの形成中に除去されている、上記の図6hに示し、同図を参照しながら説明した状況とはまったく対照的である。
【0082】
[0089] 図7に関連して上に示したように、アライメントマークは、インプリントリソグラフィテンプレート内の1つ又は複数の突起又は凹部をさらに含んでもよい。それらの凹部内又は突起上に不透明材料を提供することができる。
【0083】
[0090] 本明細書に記載する不透明材料は、アライメント工程又は方法で使用する電子放射に対して不透過である。例えば、不透明材料は、アライメント工程又は方法で使用するか又は使用できる400nm〜900nmの波長を有する放射に対して不透過である。
【0084】
[0091] 上述し図示した実施形態は、その性質が例示的なものであって制限するものではない。好ましい実施形態だけが図示され説明されており、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を逸脱することなく、すべての変更及び修正が望ましくは保護されることを理解されたい。説明内の「好適な」、「好適には」、「好ましい」又は「より好ましい」などの用語の使用は、そのように記載された特徴が望ましいことを示すが、必ずしも必要ではなく、そのような特徴を有さない実施形態も添付の特許請求の範囲に定義する本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。特許請求の範囲に関して、「ある」、「少なくとも1つの」、又は「少なくとも一部」などの用語は、添付の特許請求の範囲で、特に断りのない限り、特許請求の範囲をそのような特徴に限定する意図がない特徴に先行するものである。「少なくとも一部」及び/又は「一部」といった言語が使用される場合には、その要素は、特に断りのない限り、一部及び/又は要素全体を含むことができる。本明細書に記載するある実施形態のある特徴を、適宜、本明細書に記載する他の実施形態の特徴に組み込むか又はこれと組み合わせてもよい。
【0085】
[0092] 以下の番号の条項に本発明の実施形態を示す。
1.オブジェクトを別のオブジェクトに互いに整列させる際に用いるアライメント構成を備えたオブジェクトであって、該アライメント構成が、
実質的に規則的な格子の形態の第1の微細アライメントマークと、
前記第1のアライメントマークと同じエリアに位置する第2の粗アライメントマークとを含む、オブジェクト。
2.前記オブジェクトはインプリントリソグラフィテンプレート又は基板であり、及び/又は前記別のオブジェクトは基板又はインプリントリソグラフィテンプレートである、条項1に記載のオブジェクト。
3.前記第2のアライメントマークは、前記実質的に規則的な格子のギャップ又は線とは異なる幅を有するギャップ又は線を含む、条項1又は2に記載のオブジェクト。
4.前記第2のアライメントマークは、
前記実質的に規則的な格子内の欠けた線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の追加の線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の太線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の細線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の欠けた又は追加の斜線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の又はその周囲のボックス、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の増加したか若しくは低減した長さの線又はギャップから選択した1つ以上を含む、条項1又は2に記載のオブジェクト。
5.前記実質的に規則的な格子は、1μm〜20μm程度のピッチを有する線及び/又はギャップ、及び/又は1:1のデューティ又は別のデューティを有する線及び/又はギャップ、及び/又は10nm〜100nm程度の厚さを有する線及び/又はギャップから選択した1つ以上を含む、条項1から4のいずれか1項に記載のオブジェクト。
6.前記第2のアライメントマークは、前記実質的に規則的な格子内に位置する、条項1から5のいずれかに記載のオブジェクト。
7.前記第2のアライメントマークは、前記実質的に規則的な格子の直ぐ隣に位置する、条項1から5のいずれかに記載のオブジェクト。
8.前記第1のアライメントマーク及び/又は第2のアライメントマークは、前記オブジェクトの突起又は凹部内に形成され、又はそれによって形成され、又はそれを含む、条項1から7のいずれかに記載のオブジェクト。
9.前記第1のアライメントマーク及び/又は第2のアライメントマークは、使用時に前記オブジェクトを前記別のオブジェクトに整列させるのに用いる電磁放射に対して不透過である材料を含む、条項1から8のいずれかに記載のオブジェクト。
10.前記アライメントマーク構成は、前記別のオブジェクト上に提供されたアライメントマーク構成と実質的に同じである、条項1から9のいずれかに記載のオブジェクト。
11.オブジェクトを別のオブジェクトに整列させる方法であって、該オブジェクトと該別のオブジェクトは各々、実質的に規則的な格子の形態の第1の微細アライメントマークと、規則的な格子と同じエリアに位置する第2の粗アライメントマークとを含むアライメント構成を含み、該方法は、
前記第2の粗アライメントマークを用いて前記オブジェクトと前記別のオブジェクトとの比較的粗いアライメントを実行するステップと、
前記第1の微細アライメントマークを用いて前記オブジェクトと前記別のオブジェクトとの比較的微細なアライメントを実行するステップとを含む、方法。
12.前記粗いアライメントは、カメラ又は放射強度測定を用いて実行される、条項11に記載の方法。
13.前記微細なアライメントは、回折ベースの技術を用いて実行される、条項11又は12に記載の方法。
14.インプリントリソグラフィテンプレートのメサを形成する方法であって、
第1の材料を用いて前記インプリントリソグラフィテンプレート上に不透明なアライメントマークを提供するステップと、
前記インプリントリソグラフィテンプレートの一部を前記インプリントリソグラフィテンプレートの前記メサの形成で使用する第2の材料で覆うステップと、
前記第2の材料によって覆われない前記インプリントリソグラフィテンプレートの部分を除去するステップであって、前記第2の材料で覆われる前記インプリントリソグラフィテンプレートの残りの部分がメサを形成するステップと、
第2の材料を除去するステップとを含み、
前記第1の材料は、前記第2の材料の除去が前記第1の材料の実質的な除去をもたらさないよう前記第2の材料とは異なる、方法。
15.前記第1の材料は、クロム、金、ケイ素、又は窒化ケイ素などの金属を含む、条項14に記載の方法。
16.前記第2の材料は、チタン、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、金、又はケイ素から選択した1つ以上を含む、条項14又は15に記載の方法。
17.前記第2の材料によって覆われるインプリントリソグラフィテンプレートの部分は、インプリントリソグラフィ工程で使用するパターンを含む、条項14から16のいずれかに記載の方法。
18.前記第2の材料によって覆われるインプリントリソグラフィテンプレートの部分は、アライメントマークを含む、条項14から17のいずれかに記載の方法。
19.前記第2の材料を除去するステップは、エッチング工程を含む、条項14から18のいずれかに記載の方法。
20.エッチング工程は、
SO/Hの混合物、
NH/Hの混合物、
SO、又は
PO
から選択した1つ以上の使用を含む、条項19に記載の方法。
21.前記アライメントマークは、前記インプリントリソグラフィテンプレート内の突起又は凹部を含む、条項14から20のいずれかに記載の方法。
22.前記第1の材料は、前記インプリントリソグラフィテンプレートを基板などの別のオブジェクトに整列させるために用いる電磁放射に対して不透過である、条項14から21のいずれかに記載の方法。
23.前記インプリントリソグラフィテンプレートは、溶融シリカ又は石英から形成される、条項14から22のいずれかに記載の方法。
24.条項14から23のいずれかに記載の方法を用いて形成されるインプリントテンプレートのメサ。
【図1a】

【図1b】

【図2a】

【図2b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを別のオブジェクトに互いに整列させる際に用いるアライメント構成を備えたオブジェクトであって、該アライメント構成は、
実質的に規則的な格子の形態の第1の微細アライメントマークと、
前記第1のアライメントマークと同じエリアに位置する第2の粗アライメントマークとを含む、オブジェクト。
【請求項2】
前記オブジェクトはインプリントリソグラフィテンプレート又は基板であり、及び/又は前記別のオブジェクトは基板又はインプリントリソグラフィテンプレートである、請求項1に記載のオブジェクト。
【請求項3】
前記第2のアライメントマークは、前記実質的に規則的な格子のギャップ又は線の幅とは異なる幅を有するギャップ又は線を含む、請求項1又は2に記載のオブジェクト。
【請求項4】
前記第2のアライメントマークは、
前記実質的に規則的な格子内の欠けた線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の追加の線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の太線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の細線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の欠けた又は追加の斜線、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の又はその周囲のボックス、及び/又は
前記実質的に規則的な格子内の増加したか若しくは低減した長さの線又はギャップから選択した1つ以上を含む、請求項1又は2に記載のオブジェクト。
【請求項5】
前記実質的に規則的な格子は、1μm〜20μm程度のピッチを有する線及び/又はギャップ、及び/又は1:1のデューティ又は別のデューティを有する線及び/又はギャップ、及び/又は10nm〜100nm程度の厚さを有する線及び/又はギャップから選択した1つ以上を含む、請求項1から4のいずれかに記載のオブジェクト。
【請求項6】
前記第2のアライメントマークは、前記実質的に規則的な格子内に位置する、請求項1から5のいずれかに記載のオブジェクト。
【請求項7】
前記第2のアライメントマークは、前記実質的に規則的な格子の直ぐ隣に位置する、請求項1から5のいずれかに記載のオブジェクト。
【請求項8】
前記第1のアライメントマーク及び/又は第2のアライメントマークは、前記オブジェクトの突起又は凹部内に形成され、又はそれによって形成され、又はそれを含む、請求項1から7のいずれかに記載のオブジェクト。
【請求項9】
前記第1のアライメントマーク及び/又は第2のアライメントマークは、使用時に前記オブジェクトを前記別のオブジェクトに整列させるのに用いる電磁放射に対して不透過である材料を含む、請求項1から8のいずれかに記載のオブジェクト。
【請求項10】
前記アライメントマーク構成は、前記別のオブジェクト上に提供されたアライメントマーク構成と実質的に同じである、請求項1から9のいずれかに記載のオブジェクト。
【請求項11】
オブジェクトを別のオブジェクトに整列させる方法であって、該オブジェクトと該別のオブジェクトは各々、実質的に規則的な格子の形態の第1の微細アライメントマークと、前記規則的な格子と同じエリアに位置する第2の粗アライメントマークとを含むアライメント構成を含み、該方法は、
前記第2の粗アライメントマークを用いて前記オブジェクトと前記別のオブジェクトとの比較的粗いアライメントを実行するステップと、
前記第1の微細アライメントマークを用いて前記オブジェクトと前記別のオブジェクトとの比較的微細なアライメントを実行するステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記粗いアライメントは、カメラ又は放射強度測定を用いて実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記微細なアライメントは、回折ベースの技術を用いて実行される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
インプリントリソグラフィテンプレートのメサを形成する方法であって、
第1の材料を用いて前記インプリントリソグラフィテンプレート上に不透明なアライメントマークを提供するステップと、
前記インプリントリソグラフィテンプレートの一部を前記インプリントリソグラフィテンプレートの前記メサの形成で使用する第2の材料で覆うステップと、
前記第2の材料によって覆われない前記インプリントリソグラフィテンプレートの部分を除去するステップであって、前記第2の材料で覆われる前記インプリントリソグラフィテンプレートの残りの部分がメサを形成するステップと、
前記第2の材料を除去するステップとを含み、
前記第1の材料は、前記第2の材料の除去が前記第1の材料の実質的な除去をもたらさないよう前記第2の材料とは異なる、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法を用いて形成されるインプリントテンプレートのメサ。

【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6f】
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【図6g】
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【図6h】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【公表番号】特表2013−514638(P2013−514638A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543540(P2012−543540)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064663
【国際公開番号】WO2011/072897
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】