説明

インライン型基板処理装置

【課題】 ハードディスク等の磁気記録ディスクの製造に用いられると好適なインライン型基板処理装置を提供する。
【解決手段】 真空中で基板を処理する処理チャンバーを含む複数の真空チャンバーが接続された第一第二の無終端状の搬送路1,2に沿って、基板を保持するための基板保持具51,52をそれぞれ周回させる第一第二の周回機構がそれぞれ設けられている。第一の基板保持具51から基板を取り外し、第三の搬送路3に沿って基板を大気に取り出すことなく真空中で搬送し、第二の基板保持具52に移載する搬送系が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、インライン型基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インライン型基板処理装置が用いられる技術分野として、ハードディスク等の磁気記録ディスクの製造が挙げられる。ハードディスク等の磁気記録ディスクの製造は、大まかには、下地膜作成から、記録層用の磁性膜作成、記録層を保護する保護膜の作成までを行う前工程と、保護膜作成の後、基板の表面への潤滑層の形成等を行う後工程に分かれる。潤滑層は、情報の記録や読み取りの際の磁気ヘッドの接触を考慮して設けられるものである。
【0003】
潤滑層の形成は、以下の手順で行われている。まず、記録層用などの薄膜は、通常、真空チャンバーで作成されるから、成膜後の基板を大気に取り出す。そして、成膜中に基板の表面に付着した汚損物質や基板の表面に形成された突起を除去するため、バーニッシュされる。バーニッシュは、テープ状の研磨具を基板の表面に擦り付けて突起や突起とともに汚損物質を除去する処理である。尚、汚損物質とは、基板を汚損するガス、イオン、微粒子等の総称である。
【0004】
上記バーニッシュを行った後、潤滑層の形成が行われる。潤滑剤としては、パーフルオロポリエーテル(PFPE)等のフッ素系潤滑剤が使用されている。このような潤滑剤は、塗布の際の均一性の向上等の理由から、溶剤によって希釈されて用いられる。塗布の方法としては、基板を液中に付けるディップ法、基板を回転させながら液を滴下するスピンコート法等が採用されている。
【0005】
尚、本明細書において、「基板」とは、製品であるディスクの基になる板の意味で使用している。また、成膜処理や層形成処理が既に行われている場合、薄膜や層の表面を「基板の表面」と言う場合がある。
【特許文献1】特開平9−97428号公報
【特許文献2】特開平11−229150号公報
【特許文献3】特開平9−974268号公報
【特許文献4】特開昭62−227230号公報
【特許文献5】特開平3−71426号公報
【特許文献6】特開平8−63747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年における磁気記録ディスクの記録密度の向上は目覚ましいものがあり、例えばハードディスクの場合、2000年には20ギガビット/平方インチ、2001年には40ギガビット/平方インチになろうとしている。記録密度の向上を可能にする要因の一つに、スペーシングの減少が挙げられる。図19は、スペーシングについて説明する図である。
【0007】
図19では、磁気記録ディスクの一例としてハードディスクの場合が示されている。図19に示すように、ハードディスクは、基板9上に記録層91が形成され、記録層91の上に保護膜92が形成され、保護膜92の上に潤滑層93が形成された構造となっている。情報の記録及び読み出しを行う磁気ヘッドは、ハードディスクの表面から僅かに離れた位置に位置する。スペーシングは、磁気ヘッドの記録再生素子部900と記録層91との間の距離(図19にSで示す)である。また、記録再生素子部900と潤滑層93との間の距離は、ヘッド浮上量と呼ばれる(図19にdで示す)。記録密度を向上させるには、スペーシングSを小さくすることが重要である。
【0008】
スペーシングSの減少に伴い、製造プロセスに対する要求も年々厳しいものとなっている。スペーシングSを減少させるには、ヘッド浮上量dを小さくする必要があり(現在市販されているハードディスクドライブではヘッド浮上量は10〜20nm程度)、保護膜92や潤滑層93の厚さを薄くしていく必要がある。保護膜92の厚さが薄くなるのに伴い、より緻密で硬度の高い保護膜92を作成することが求められている。また、潤滑層93の厚さが薄くなるのに伴い、潤滑層93の厚さの均一性や潤滑層の付着強度の向上等の要求がより厳しくなっている。
【0009】
このような点を背景として、保護膜92の作成方法は、従来のスパッタ法から化学蒸着(CVD)法に移行しつつある。保護膜92としては通常カーボン膜が作成されるが、CVD法によると、ダイヤモンドライクカーボン(diamond-like-carbon,DLC)と呼ばれる硬度の高い緻密なカーボン膜をより薄く安定して作成できるからである。しかしながら、CVD法により作成した保護膜92の表面には、残留ガス等の影響からガスやイオン等の汚損物質が付着していたり、異常成長等が原因で微小な突起が形成されたりし易い。汚損物質や突起が存在する状態で潤滑層93の形成を行うと、潤滑層93の付着強度が低下したり、潤滑層93の厚さが均一でなくなったりしたりする問題が生じ易い。
【0010】
潤滑層93の付着強度は、潤滑剤を構成する高分子の末端基が保護膜92のカーボンと充分に結合することにより向上する。より高い付着強度のためには、高分子の一方又は双方の末端基が保護膜92の表面のカーボンと結合していることが好ましい。一方、磁気ヘッドの記録再生素子部900の吸着を防止する潤滑層93の本来の目的のためには、潤滑層93の表面付近では、高分子の自由度が高いことが望ましい。即ち、双方の末端基が未結合であることが好ましい。
【0011】
一方又は双方の末端基が保護膜92のカーボンに結合している高分子をボンデッドルブ(bonded lub)、双方の末端基が未結合である高分子をフリールブ(free lub)、潤滑層93の全厚さに対するボンデッドルブの厚さをボンデッドレシオとそれぞれ呼ぶ。ボンデッドレシオは、20〜30%程度が最適であるとされているが、潤滑層93の厚さが薄くなるにつれてボンデッドレシオの要求精度は厳しくなる傾向にある。
【0012】
要求されるボンデッドレシオを満足するため、潤滑層93の形成後、潤滑層93に対して熱エネルギー又は光エネルギー等を与え末端基の結合を制御する処理(以下、後処理と呼ぶ)が行われる。しかしながら、成膜直後の保護膜92の表面は、化学的に活性で、大気に晒されると、大気中のガスやイオン等の汚損物質が多く吸着される。この結果、潤滑層93を形成した際、潤滑層93と保護膜92との間に汚損層が形成されてしまう。この汚損層が形成されると、後処理においてボンデッドレシオの制御精度を充分に確保することが困難となってしまう。このような問題を防止するため、汚損物質等を減少させる設備等、製造環境の整備に対して多大な投資を余儀なくされているのが現状である。
【0013】
本願の発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、ハードディスク等の磁気記録ディスクの製造に用いられると好適なインライン型基板処理装置を提供する技術的意義を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載のインライン型基板処理装置の発明は、第一の無終端状の搬送路に沿って接続され、真空中で基板を処理する処理チャンバーを含む第一のグループの真空チャンバーと、
第二の無終端状の搬送路に沿って接続され、真空中で基板を処理する処理チャンバーを含む第二のグループの真空チャンバーと、
前記基板を保持するための基板保持具を前記第一の無終端状の搬送路に沿って周回させる第一の周回機構と、
前記基板を保持するための第二の基板保持具を第二の搬送路に沿って周回させる第二の周回機構と、
第一の基板保持具から基板を取り外し、第三の搬送路に沿って基板を大気に取り出すことなく真空中で搬送し、第二の基板保持具に移載する搬送系とを備えているという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項2記載のインライン型基板処理装置の発明は、前記請求項1の構成において、前記第一のグループの真空チャンバーは、前記第一の搬送路上において互いに気密に接続されており、前記第二のグループの真空チャンバーは、前記第二の搬送路上において互いに気密に接続されているという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項3記載のインライン型基板処理装置の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記第一の搬送路は方形であり、前記第二の搬送路は方形であるという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項4記載のインライン型基板処理装置の発明は、前記請求項12又は3の構成において、前記第一の搬送路上において第一の基板保持具に未処理の基板を搭載する機構と、第二の搬送路上において第二の基板保持具から処理済みの基板を回収する機構とを備えているという構成を有する。
【0015】
上記課題を解決するため、請求項5記載のインライン型基板処理装置の発明は、前記請求項4の構成において、前記第一のグループの真空チャンバーのいずれかには、前記第一の基板保持具に基板を搭載する搭載用ロボットが設けられており、前記第二のグループの真空チャンバーのいずれかには、前記第二の基板保持具から基板を回収する回収用ロボットが設けられているという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項6記載のインライン型基板処理装置の発明は、前記請求項5の構成において、前記第一のグループの真空チャンバーのいずれかは、前記第一の基板保持具に基板を搭載する際に大気に開放されるロードロックチャンバーであり、前記搭載用ロボットはこのロードロックチャンバーに設けられており、前記第二のグループの真空チャンバーのいずれかは、前記第二の基板保持具から基板を回収する際に大気に開放されるアンロードロックチャンバーであり、前記回収用ロボットはこのアンロードロックチャンバーに設けられているという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項7記載のインライン型基板処理装置の発明は、前記請求項1乃至6いずれかの構成において、前記第三の搬送路上には別の真空チャンバーが配設されており、この別の真空チャンバーは、前記第一のグループの真空チャンバーのいずれかと気密に接続されているとともに前記第二のグループの真空チャンバーのいずれかと気密に接続されているという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項8記載のインライン型基板処理装置の発明は、前記請求項1乃至7いずれかの構成において、前記第三の搬送路上には、前記第一の基板保持具から基板を取り外して前記第二の基板保持具に搭載する移載用ロボットが設けられているという構成を有する。
【発明の効果】
【0016】
以下に説明する通り、本願発明によれば、第一の基板保持具から取り外された基板が第三の搬送路に沿って大気に取り出されることなく真空中で搬送されて第二の基板保持具に移載されるので、装置全体の占有面積をそれほど増大させることなく、より多くの真空チャンバーを増設できる。このため、より多くの処理を真空中で一貫して行うようにする場合、非常に適したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本願発明の実施の形態について説明する。以下では、磁気ディスク製造装置の発明の各実施形態が説明されるが、これらの実施形態は、本願発明のインライン式基板処理装置の実施形態でもある。図1は、第一の実施形態に係る磁気記録ディスク製造装置の平面概略図であり、本願発明の実施形態に係るインライン型基板処理装置の平面概略図でもある。図1に示す磁気記録ディスク製造装置の一番目の大きな特徴点は、記録層の形成などの前工程と、潤滑層の形成などの後工程とが、一つの装置で行えるようになっている点である。また、図1に示す磁気記録ディスク製造装置の二番目の大きな特徴点は、記録層の形成工程から潤滑層の形成工程までを含む各工程が基板9を大気に取り出すことなく真空中で一貫して行えるようになっている点である。
【0018】
具体的に説明すると、まず、図1に示す装置は、複数の真空チャンバー10〜17,20〜29を基板9の搬送路1,2に沿って並べたインライン型の装置になっている。各真空チャンバー10〜17,20〜29は、専用又は兼用の排気系(図1中不図示)によって排気される気密な容器である。各真空チャンバー10〜17,20〜29の境界部分には、ゲートバルブ4が設けられている。
【0019】
複数の真空チャンバー10〜17,20〜29は、第一の方形な搬送路(以下、第一搬送路)1に沿って並べられた第一のグループ10〜17と、第二の方形な搬送路(以下、第二搬送路)2に沿って並べられた第二のグループ20〜29に分けられる。そして、第一搬送路1と、第二搬送路2とをつなぐようにして第三搬送路3が設定されており、この第三搬送路3上にも一つの真空チャンバー31が設けられている。この第三搬送路3上の真空チャンバー31は、第一のグループの真空チャンバーの一つ16と、第二のグループの真空チャンバーの一つ21とに対して気密に接続されたものであり、第一搬送路1から第二搬送路2へ基板9が大気に取り出されることなく搬送されるようにするものである。第一のグループの真空チャンバーでは、主に下地膜の作成から保護膜の作成までの工程が行われる。また、第二のグループの真空チャンバーでは、保護膜作成の後の潤滑層形成までの工程が主に行われる。
【0020】
第一第二第三搬送路1,2,3を通して基板9を搬送する搬送系の構成について、以下に説明する。搬送系は、基板9を保持する基板保持具51を第一搬送路1に沿って周回させる第一周回機構と、第一搬送路1上の基板保持具(以下、第一基板保持具)51に基板9を搭載する搭載用ロボット61と、基板9を保持する別の基板保持具52を第二搬送路2に沿って周回させる第二周回機構と、第二搬送路2上の基板保持具(以下、第二基板保持具)52から基板9を回収する回収用ロボット62と、第一基板保持具51から基板9を取り外して第二基板保持具52に搭載する移載ロボット63とから主に構成されている。
【0021】
搭載用ロボット61、回収用ロボット62、及び移載用ロボット63は、基本的に同じ構成であり、先端に基板9を保持する多関節アームを備えたロボットである。第一第二基板保持具51,52は、共に同じ構成の部材である。また、第一周回機構及び第二周回機構も、基本的には共に同じ構成の機構である。以下、一例として、第一基板保持具51及び第一周回機構の構成について説明する。
【0022】
第一周回機構は、第一保持具51を第一搬送路1上で直線移動させる直線移動機構と、第一基板保持具51の搬送の向きを転換する方向転換機構とから主に構成されている。第一基板保持具51及び直線移動機構の構成について、図2及び図3を使用して説明する。図2及び図3は、図1に示す装置における第一基板保持具51及び直線移動機構の構成を示す図であり、図2はその正面概略図、図3は側断面概略図である。
【0023】
第一基板保持具51は、板状の保持具本体511と、保持具本体511に取り付けられた保持爪512とから主に構成されている。保持爪512は合計で八つ設けられており、四つが一組となって一枚の基板9を保持する。従って、第一基板保持具51は同時に二枚の基板9を保持するようになっている。保持具本体511は、図2に示すように、基板9より少し大きなほぼ円形の開口を二つ有している。各四つの保持爪12は、ほぼ円形の開口を挟んで二つずつ両側に設けられており、基板9を側縁で挟み込むようにして保持するようになっている。
【0024】
具体的には、保持具本体511のほぼ円形の開口の両側から下方に延びる別の開口を有しており、この開口内にはほぼ垂直に延びるようにして一対の板バネ514が設けられている。各板バネ514の先端には、爪取付具515が固定されている。各爪取付具515は、図2に示すように、ほぼ台形状の板材であり、上下に位置する面に各々保持爪512をねじ止めによって固定している。尚、各保持爪512の先端は、V字状になっている。そして、基板9の縁がこのV字状の先端に落とし込まれるようになっている。
【0025】
また、各ロボット61,62,63は、保持具本体511のほぼ円形の開口から遠ざかるようにして一対の板バネ514をその弾性に逆らって押し広げる一対のレバー60を備えている。基板9を第一基板保持具51に搭載する際には、一対のレバー60によって両側の板バネ514を押し広げ、基板9を保持具本体511のほぼ円形の開口内に位置させる。そして、レバー60を戻して板バネ514をその弾性によって元の姿勢に復帰させる。この結果、基板9が四つの保持爪512によって係止される。同様にして、もう一枚の基板9を別の四つの保持爪512によって係止すると、二枚の基板9が第一基板保持具51によって保持された状態となる。第一基板保持具51から基板9を取り外す場合には、これと全く逆の動作となる。
【0026】
また、図2に示すように、第一基板保持具51の下端部には小さな磁石(以下、保持具側磁石)513を多数備えている。各保持具側磁石513は、上下の面に磁極を有している。そしてこの保持具側磁石513は、図2に示すように、配列方向に交互に逆の磁極になっている。また、第一基板保持具51の下側には、隔壁70を挟んで磁気結合ローラ711が設けられている。磁気結合ローラ711は丸棒状の部材であり、図2に示すように、螺旋状に延びる細長い磁石(以下、ローラ側磁石)712を有している。このローラ側磁石712は互いに異なる磁極で二つ設けられており、二重螺旋状になっている。
【0027】
磁気結合ローラ711は、ローラ側磁石712が隔壁70を挟んで保持具側磁石513に向かい合うよう配置されている。隔壁70は、透磁率の高い材料で形成されており、保持具側磁石513とローラ側磁石712とは、隔壁70を通して磁気結合している。尚、隔壁70の第一基板保持具51側の空間は真空側(各真空チャンバーの内部側)であり、磁気結合ローラ711側の空間は大気側である。このような磁気結合ローラ711は、図1に示す方形の第一搬送路1に沿って設けられている。
【0028】
また、図3に示すように、第一基板保持具51は、水平な回転軸の回りに回転する主プーリ714の上に載せられている。主プーリ714は、第一基板保持具51の移動方向に沿って多数設けられている。また、第一基板保持具51の下端部分には、垂直な回転軸の回りに回転する一対の副プーリ715,715が当接している。この副プーリ715,715は、第一基板保持具51の下端部分を両側から挟むように押さえて第一基板保持具51の転倒を防止している。この副プーリ715,715も第一基板保持具51の移動方向に多数設けられている。
【0029】
図3に示すように、磁気結合ローラ711には傘歯車を介して駆動棒716が連結されている。そして、駆動棒716には移動用モータ717が接続されており、駆動棒716を介して磁気結合ローラ711をその中心軸の周りに回転させるようになっている。磁気結合ローラ711が回転すると、図2に示す二重螺旋状のローラ側磁石712も回転する。この際、ローラ側磁石712が回転する状態は、保持具側磁石513から見ると、交互に異なる磁極の複数の小さな磁石が一列に並んでその並びの方向に沿って一体に直線移動しているのと等価な状態となる。従って、ローラ側磁石712に結合している保持具側磁石513は、ローラ側磁石712の回転とともに直線移動し、この結果、第一基板保持具51が全体に直線移動することになる。この際、図3に示す主プーリ714及び副プーリ715,715は従動する。
【0030】
図1に示す構成において、第一第二搬送路1,2の各々角の部分に設けられた真空チャンバーは、基板9の搬送方向を90度転換する方向転換機構を備えた方向転換チャンバー17,29になっている。図4を使用して、一例として方向転換チャンバー17に備えられた方向転換機構の構成について説明する。図4は、図1に示す方向転換チャンバー17に備えられた方向転換機構の構成を示す側面概略図である。図4に示す方向転換機構は、上述した構成と同様の磁気結合ローラ(図4中不図示)等を含む直線移動機構を全体に保持した保持体721と、この保持体721を回転させて直線移動機構全体を回転させる回転用モータ722とから主に構成されている。
【0031】
まず、図4中不図示の磁気結合ローラの軸には、駆動棒716が傘歯車等の運動転換機構を介して連結されている。この駆動棒716の後端には、図4に示すように別の傘歯車723が設けられている。この別の傘歯車723には、鉛直な姿勢の動力伝達棒724が連結されている。即ち、動力伝達棒724の先端には傘歯車725が設けられて駆動棒716の後端の傘歯車723に螺合している。動力伝達棒724の後端は、移動用モータ717の出力軸が連結されている。
【0032】
一方、方向転換機構を構成する保持体721は、円柱状又は円筒状の部材であり、その軸方向を鉛直にして配置されている。保持体721は、図4に示すように、鉛直方向に長い貫通孔を有し、この貫通孔に挿通された状態で上記動力伝達棒724が配置されている。貫通孔の内面と動力伝達棒724との間の間隙部分には、ベアリング725が配置され、動力伝達棒724の回転を許容しつつ貫通孔の部分に動力伝達棒724を保持している。
【0033】
上記保持体721は、より大きな径のほぼ円筒状の保持具カバー726の内側に配置されている。この保持具カバー726は、内側に保持体721を収納して保持するとともに方向転換機構が配置された方向転換チャンバー17,29の底板部分727に取り付けられている。即ち、方向転換チャンバー17,29の底板部分727には、保持具カバー726の外径に適合する大きさの円形の開口を有し、この開口に保持具カバー726をはめ込んで固定している。保持具カバー726と底板部分727との接触面にはOリング等のシール材が設けられている。
【0034】
また、保持具カバー726とその内側の保持体721との間の間隙には、上下に並べて設けた四つのベアリング729と、上側の二つのベアリング729の間に挟み込むようにして設けたメカニカルシール728とが設けられている。メカニカルシール728は、保持体721の回転を許容しつつ保持体721と保持具カバー726との間の間隙を真空シールするためのものであり、磁性流体を使用したシール機構等が好適に使用できる。
【0035】
また一方、保持体721の下面にはプーリ取付具730が設けられており、このプーリ取付具730の下端に保持具側プーリ731が固定されている。保持具側プーリ731は、保持体721の中心軸と同心状に配置されたものである。さらに、保持具側プーリ731と同じ高さの位置には、モータ側プーリ732が配置されている。このモータ側プーリ732には、上方に突出させた回転用モータ722の出力軸が連結されている。また、モータ側プーリ732と保持具側プーリ731とを連結するようにして、ベルト733が張架されている。具体的には、保持具側プーリ731及びモータ側プーリ732はタイミングプーリから構成され、ベルトはタイミングベルトから構成されている。
【0036】
また、保持体721の上面には、図4に示すような保持枠734が固定されている。保持枠734は、図2に示す第一基板保持具51や磁気結合ローラ711等を全体に保持するためのものである。保持枠734の下側部分の先端には、図4に示すように支柱735が数本配置されており、この支柱681によって前述した主プーリ714や一対の副プーリ715,715が保持されている。そして、保持枠734と保持体721との間は真空シールされており、保持枠734の内部からの方向転換チャンバー17内のリークを防止している。
【0037】
このような方向転換チャンバー17の方向転換機構の動作について説明する。まず、移動用モータ717が駆動されると、動力伝達棒724及び駆動棒716を介して図4中不図示の磁気結合ローラに回転駆動が伝達され、磁気結合ローラが回転する。これによって、上方の第一基板保持具51が直線移動する。
【0038】
第一基板保持具51が移動して方向転換チャンバー17内の所定位置に達すると、回転用モータ722が駆動される。回転用モータ722の動力は、モータ側プーリ732からベルト733によって保持具側プーリ731に伝えられ、保持具側プーリ731を回転させる。これによって、上方の保持体721が回転し、保持体721上に保持されていた直線移動機構が全体に回転する。この結果、第一基板保持具51も回転する。回転角度が90度に達すると回転用モータ722は駆動を停止し、第一基板保持具51の回転も停止する。これによって、第一基板保持具51の搬送の向きが90度曲げられる。
【0039】
その後、所定の制御信号を受けた後さらに直線移動機構が駆動され、90度曲げられた第一搬送路1に沿って第一基板保持具51を移動させ、次の真空室チャンバーまで第一基板保持具51を搬送させる。従って、曲げられた後の第一搬送路1においても、基板91の板面は搬送方向の側方に向くようになっている。上記方向転換機構の構成において、90度等の所定角度の回転の制御は、回転用モータ722の制御によって行っても良いし、保持体721が所定角度回転したのを検出する不図示のセンサ機構等によって行ってもよい。
【0040】
次に、第一第二のグループの真空チャンバーの構成について説明する。まず、第一のグループの真空チャンバーについて説明する。第一のグループの真空チャンバーは、大気側から基板9を搬入する際に基板9が一時的に滞留するチャンバーであるロードロックチャンバー11と、ロードロックチャンバー11の次に基板9が搬送されるチャンバーであるプリヒートチャンバー12と、プリヒートチャンバー12の次に基板9が搬送されるチャンバーである下地膜作成チャンバー13と、下地膜作成チャンバー13の次に基板9が搬送されるチャンバーである磁性膜作成チャンバー14と、磁性膜作成チャンバー14の次に基板9が搬送されるチャンバーである保護膜作成チャンバー15と、第二搬送路2に基板9が搬送される際に一時的に基板9が滞留するチャンバーである第一中継チャンバー16と、方向転換チャンバー17と、補助真空チャンバー10とから成っている。
【0041】
ロードロックチャンバー11には、搭載用ロボット61が設けられている。搭載用ロボット61は、大気側であるロードステーションに配置された搭載用カセット611から基板9を一枚ずつ取り出して、第一基板保持具51に基板9を搭載するものである。プリヒートチャンバー12は、基板9を加熱して基板9の表面又は内部のガスを予め放出させるものである。プリヒートチャンバー12は、輻射加熱ランプによって基板9を所定の温度まで加熱するよう構成される。
【0042】
下地膜作成チャンバー13及び磁性膜作成チャンバー14は、ともにスパッタリングにより所定の薄膜を作成するようになっている。一例として、磁性膜作成チャンバー14の構成について、図5を使用して説明する。図5は、図1に示す磁性膜作成チャンバー14の構成を示す平面概略図である。
【0043】
磁性膜作成チャンバー14は、内部を排気する排気系141と、内部にプロセスガスを導入するガス導入系142と、内部の空間に被スパッタ面を露出させて設けたターゲット143と、ターゲットにスパッタ放電用の電圧を印加するスパッタ電源144と、マグネトロンスパッタリングを行うためにターゲット143の背後に設けられた磁石機構145とから主に構成されている。
【0044】
ガス導入系142によってプロセスガスを導入しながら排気系141によって磁性膜作成チャンバー14内を所定の圧力に保ち、この状態でスパッタ電源144を動作させる。この結果、スパッタ放電が生じてターゲット143がスパッタされ、スパッタされたターゲット143の材料が基板9に達して基板9の表面に所定の磁性膜が作成される。
【0045】
保護膜作成チャンバー15は、プラズマ形成手段150を備えており、プラズマCVD(化学蒸着)により保護膜を作成するようになっている。図6は、図1に示す保護膜作成チャンバー15の構成を示す平面概略図である。保護膜作成チャンバー15は、内部を排気する排気系151を備えている。プラズマ形成手段150は、CH等の炭化水素化合物ガスと水素ガスを混合して内部に導入する不図示のプロセスガス導入系152と、プロセスガスに高周波エネルギーを与えてプラズマPを形成する高周波電源153等から構成されている。炭化水素化合物ガスがプラズマP中で分解し、基板9の表面にカーボンの薄膜が堆積するようになっている。基板保持具51を介して基板9に高周波電圧を与え、プラズマPとの相互作用によって基板9に負の直流分の電圧である自己バイアス電圧を与えるよう構成する場合がある。
【0046】
尚、図1に示すように、本実施形態では、各々二つの下地膜作成チャンバー13と磁性膜作成チャンバー14とが設けられており、一つの下地膜作成チャンバー13、もう一つの下地膜作成チャンバー13、一つの磁性膜作成チャンバー14、もう一つの磁性膜作成チャンバー14の順に基板9が搬送されるようになっている。即ち、下地膜を二層に亘って形成し、その上に、磁性膜を二層に亘って形成するようになっている。尚、下地膜の上に磁性膜を形成したものが二層にわたって積層されるようにする場合もある。下地膜としては例えばCr膜、磁性膜としては例えばCoCrTa膜が作成される。また、保護膜作成チャンバー15が二つ設けられており、最初の保護膜作成チャンバー15で必要な厚さの半分の成膜を行い、次の保護膜作成チャンバー15で残りの半分の厚さの成膜を行うようになっている。
【0047】
次に、第二のグループの真空チャンバーの構成について説明する。第二のグループの真空チャンバーは、基板9が搬送される順に、第一搬送路1から第三搬送路3を通って搬送された基板9が一時的に滞留するチャンバーである第二中継チャンバー21、基板9の表面の汚損物質をプラズマアッシングによって除去する第一クリーニングチャンバー22、基板9の表面にガスを噴射して基板9の表面の汚損物質を吹き飛ばすガスブローを行う第二クリーニングチャンバー23、基板9の表面の突起を除去するバーニッシュを行うバーニッシュチャンバー24、潤滑層の形成を行う潤滑層形成チャンバー25、潤滑層形成後に後処理を行う後処理チャンバー26、基板9を冷却する冷却チェンバー27、補助真空チャンバー20、大気側に基板9を搬出する際に基板9が一時的に滞留するチャンバーであるアンロードロックチャンバー28、方向転換チャンバー29となっている。
【0048】
第一クリーニングチャンバー22は、本実施形態の大きな特徴点の一つとなっている。第一クリーニングチャンバー22の構成について、図7を使用して説明する。図7は、図1に示す第一クリーニングチャンバー22の構成を示す平面概略図である。
【0049】
第一クリーニングチャンバー22は、酸素プラズマによって基板9の表面の汚損物質をアッシング(灰化)するようになっている。第一クリーニングチャンバー22の構成は、ガス導入系222が酸素ガスを導入するものである以外は、図6に示す保護膜作成チャンバー15とほぼ同様である。即ち、第一クリーニングチャンバー22は、基板9の両側に位置する一対の高周波電極223と、高周波電極223に高周波電圧を与えてプラズマPを形成する高周波電源224とを備えている。
【0050】
高周波電極223は内部が中空であり、基板9を臨む面にガス吹き出し孔を多数有している。ガス導入系222は、高周波電極223内を経由して第一クリーニングチャンバー22内に酸素ガスを導入するようになっている。尚、ガス導入系222は、バッファ用のガスや放電特性を改善するためのガスを酸素に添加して導入する場合がある。
【0051】
前述した保護膜作成チャンバー15で保護膜が作成された基板9の表面には、カーボン又はハイドロカーボンより成る汚損物質が基板9の表面に付着していることがある。これは、以下のような原因による。
【0052】
カーボンの付着は、主に、保護膜作成チャンバー15の浮遊パーティクルに起因している。即ち、保護膜作成チャンバー15内では、基板9の表面のみならず、保護膜作成チャンバー15内の構造物の表面や第一基板保持具51の表面等にも薄膜(カーボン膜)が堆積する。これらの薄膜は、ある程度の厚さに堆積すると、内部応力等によって剥離する。この剥離した破片は、パーティクルとなって保護膜作成チャンバー15内を浮遊する。この浮遊パーティクルが基板9の表面に付着すると、潤滑層形成の際にこの付着点での潤滑剤の濡れ性(接触性)を悪化させたり、保護膜作成の際に異常成長を生じさせて基板9の表面に微小な突起を形成したりすることがある。
【0053】
また、ハイドロカーボンの付着は、保護膜作成チャンバー15内の残留ガスが影響している。即ち、保護膜は、炭化水素化合物ガスのプラズマ中での分解を利用して作成されるが、保護膜作成チャンバー15内には、未分解の炭化水素化合物ガスが残留しており、この残留ガスが分子又はある程度の大きさのパーティクルとなって基板9の表面に付着することがある。このような分子又はパーティクルが付着していると、やはり、潤滑剤の濡れ性を悪化させたり、潤滑層の特性に悪影響を与えたりすることがある。
【0054】
このような汚損物質が付着した基板9の表面を酸素プラズマに晒すと、酸素プラズマ中で生成される酸素イオン、活性種である単原子酸素分子(O)、又は、活性酸素分子(O)等の作用により、カーボンやハイドロカーボンが急激に酸化され(燃やされ)、二酸化炭素や水等の揮発物となる。これらの揮発物は、第一クリーニングチャンバー22の排気系221によって排気される。このようなアッシングを行うことで、潤滑層の密着性が悪化したり、ディスクの表面の微小な突起により磁気ヘッドの読み取りが阻害されたりする問題が抑制される。
【0055】
アッシングの条件については、慎重な検討が必要である。というのは、あまりアッシングをやり過ぎると、表面の保護膜(カーボン膜)を削ってしまうことになるからである。アッシングの条件について、一例を示すと、以下の通りである。
第一クリーニングチャンバー22内の圧力:1〜2Pa
酸素ガスの流量:100SCCM(SCCMは、0℃一気圧で換算した気体の流量(cm/分)
高周波電力:13.56MHz,50W
基板9の大きさ:直径3.5インチ
上記条件でアッシングを行う場合、0.3秒〜2.0秒程度で汚損物質の充分な除去が行え、また、問題となる保護膜の削れも生じない。尚、50Wを越える高周波電力又は2.0秒を越える時間でアッシングを行うと、保護膜の削れが生じる恐れがある。従って、50W以下の高周波電力及び2.0秒以下の時間でアッシングを行うことが好ましい。
【0056】
次に、第二クリーニングチャンバー23について説明する。図8は、図1に示す第二クリーニングチャンバー23の構成を示す平面概略図である。第二クリーニングチャンバー23は、内部を排気する排気系231と、基板9の表面にガスを噴射するノズル232を先端に備えたガス導入管233とを備えている。ノズル232は、基板9と平行に設けられた円盤状であり、基板9より少し大きい。また、ノズル232には、前方の基板9に向かってガスを噴射するガス噴射口が多数均等間隔をおいて設けられている。
【0057】
ノズル232から基板9の表面にガスが噴射され、基板9の表面に付着している汚損物質が吹き飛ばされるようになっている。第二クリーニングチャンバー23内の圧力は1×10−4〜1×10−5Pa程度、基板9の表面におけるガスの噴射圧力は100Pa程度である。ガスには、アルゴン等の不活性ガス又は窒素等が使用される。また、ガス導入管232につながる不図示の配管上には、汚損物質を取り除くフィルタが設けられることが好ましい。
【0058】
上述したガスブロークリーニングは、大気中で行うことも可能である。しかしながら、大気中で行うと、雰囲気自体の清浄度が真空中に比べて悪いため、クリーニング後も基板9の表面に汚損物質が付着している恐れが真空中で行う場合に比べて高い。尚、プラズマやガスブローによって基板9の表面をクリーニングする構成の他、極細繊維によってクリーニングする構成も採用可能である。即ち、メガネ拭きとして市販されているような0.06デニール程度の極細繊維よりなる布で基板9の表面を擦るようにしてクリーニングしても良い。
【0059】
次に、バーニッシュチャンバー24について説明する。図9は、図1に示すバーニッシュチャンバー24の構成を示す側面概略図である。図9に示すように、バーニッシュチャンバー24は、内部を排気する排気系241と、基板9を保持して基板9と同軸の回転軸の周りに基板9を回転させる回転機構8と、回転機構8により回転する基板9の表面に押し付けられるバーニッシュテープ242とを備えている。
【0060】
回転機構8の詳細について、図10を使用して説明する。図10は、図9に示す回転機構8の構成を示す断面概略図である。図10に示すように、回転機構8は、水平に延びる棒状の前後駆動軸81と、前後駆動軸81と同軸に設けられた円筒状の回転駆動軸82と、前後駆動軸81を駆動させる第一前後駆動源83と、回転駆動軸82を駆動させる回転駆動源84と、前後駆動軸81及び回転駆動軸82を全体に前後移動させる第二前後駆動源85から主に構成されている。
【0061】
前後駆動軸81の先端には、駆動ヘッド86が設けられている。駆動ヘッド86は、基板9の中央の開口より僅かに小さい円盤状部861と、前後駆動軸81と同軸の円錘面を成すテーパー部862とから形成されている。また、回転駆動軸82の先端には、接触片821が設けられている。接触片821は、基板9を保持する際に基板9の開口の縁に接触する部材である。図11は、図10に示す接触片821の配置位置を示す正面図である。図11に示すように、接触片821は、前後駆動軸81と同軸の円周上に120度ずつ離れて三カ所に配置されている。尚、図10に示すように、各接触片821は、曲面より成る凹部状又はV字状の断面形状となっている。
【0062】
また、図10に示すように、テーパー部862のテーパー面に接触するようにして被駆動片822が設けられている。被駆動片822と、接触片821とは、連結板824によって連結されている。また、回転駆動軸82の先端面には突起が設けられており、被駆動片822は、コイルスプリング等のバネ部材823を介して突起に固定されている。尚、接触片821は、回転駆動軸82の先端の突起の部分より外側に位置し、先端面上で滑動するようになっている。
【0063】
前後駆動軸81は、切断可能なジョイント機構811を介して第一前後運動源83に連結されている。第一前後駆動源83は、サーボモータとボールねじの組み合わせ又はエアシリンダ等の直線運動源である。また、回転駆動源84は、回転駆動軸82の周面に設けられたギヤを介して連結されたモータである。さらに、第二前後駆動源85は、前後駆動軸81、回転駆動軸82、第一前後駆動源83及び回転駆動源84等を保持したフレーム851を移動させてこれらを一体に前後運動させるものである。尚、回転駆動軸82は、メカニカルシール等の真空シールを介してバーニッシュチャンバー24の器壁を気密に貫通している。また、バーニッシュチャンバー23内には、上記回転機構8と連動する不図示のレバーが設けられている。レバーの構成は、前述した各ロボット61,62,63が備えるレバー60と同様である。
【0064】
一方、図9に示すように、バーニッシュテープ242は、バーニッシュチャンバー24内に設けられた巻装ローラ243に巻かれており、巻装ローラ243から引き出されて使用されるようになっている。バーニッシュチャンバー24内には、使用済みのバーニッシュテープ242を巻き取る巻き取りローラ244が設けられている。巻き取りローラ244は、バーニッシュチャンバー24内に設けられた真空モータ(真空雰囲気内で使用可能なモータ)245によって回転され、使用済みのバーニッシュテープ242を巻き取るようになっている。尚、この巻き取りの動作により、巻装ローラ243が従動回転し、未使用のバーニッシュテープ242が引き出されるようになっている。
【0065】
また、回転機構8により基板9が保持されて回転する際に、バーニッシュテープ242を基板9に押し付ける押し付け具247が設けられている。押し付け具247には、押し付け具247を駆動する駆動機構87が設けられている。図12は、図9に示す押し付け具247を駆動する駆動機構87の構成を示す側面概略図である。
【0066】
図12に示すように、駆動機構87は、押し付け具247が先端に固定された駆動軸871と、駆動軸871を前方に押し出して押し付け具247を基板9に押し付けるトルクモータ872と、駆動軸871及びトルクモータ872を全体に前後移動させる直線駆動源873とから主に構成されている。
【0067】
トルクモータ872の出力軸には、ボールねじ874が連結されている。駆動軸871の後端部分は中空になっており、ボールねじ874が噛み合っている。駆動軸871は、不図示の回転規制部によって回転しないようになっている。また、直線駆動源873には、モータとボールねじの組み合わせ又はエアシリンダ等が使用できる。尚、駆動軸871は、メカニカルシール等の真空シールを介してバーニッシュチャンバー24の器壁を気密に貫通している。また、図9から判るように、バーニッシュテープ242、巻装ローラ243、巻き取りローラ244、真空モータ246、押し付け具247、及び、駆動機構87は、基板9が位置する位置を挟んで両側に設けられている。
【0068】
尚、押し付け具247の押し付け面の幅は、基板9の半径から中央の開口の半径を引いた長さにほぼ等しい長さとなっている。但し、バーニッシュテープ242及び押し付け具247に対して基板9を径方向に相対的に移動させながら基板9を回転するようにすれば、上記幅より短くても良い。
【0069】
図9に示すバーニッシュチャンバー24の動作について、以下に説明する。バーニッシュチャンバー24内が排気系241によって所定の真空圧力に排気されている状態で、基板9を保持した第二基板保持具52がバーニッシュチャンバー24内に移動して停止する。この際の停止位置は、一方の基板9の中心が、図9及び図10に示す前後駆動軸81の中心軸に一致する位置である。尚、この際、第二前後駆動源85は、前後駆動軸81や回転駆動軸82の先端部分が基板9より手前側に位置するよう、前後駆動軸81や回転駆動軸82を退避させている。
【0070】
次に、第二前後駆動源85が駆動され、前後駆動軸81や回転駆動軸82が一体に前進し、所定の位置で停止する。この位置では、図10に示すように、駆動ヘッド86が基板9の開口から突出するとともに、接触片821が基板9と同一垂直面上に位置する。この状態で、第一前後駆動源83が駆動され、前後駆動軸81が後退する。後退に伴い、テーパー部862のテーパー面に接触している被駆動片822が、バネ部材823の弾性に逆らって外側に移動する。この結果、各接触片821も外側に移動し、基板9の開口の縁に接触する。第一前後駆動源83は、前後駆動軸81に対してそれを後退させる向きに適切な力を加えている。従って、各接触片821が適切が圧力により基板9の開口の縁に押し付けられた状態となる。これにより、基板9が保持された状態となる。この状態で、不図示のレバーが駆動され、第二基板保持具52の一対の板バネ(図9中不図示)を押し広げる。この結果、基板9は、回転機構8にのみ保持された状態となる。
【0071】
次に、回転機構8の回転駆動源84が動作し、前後駆動軸81及び回転駆動軸82を一体に回転させる。この結果、各接触片821を介して保持されている基板9も一体に回転する。尚、この回転の際、ジョイント機構811は、前後駆動軸81と第一前後駆動源83との連結を切り離す。
【0072】
そして、基板9が回転している際、基板9の両側の押し付け具247の駆動機構87が駆動される。まず、駆動機構87のうち、直線駆動源873が動作し、両側の押し付け具247が所定の前進位置まで前進する。この前進位置は、押し付け具247がバーニッシュテープ242を基板9に押し付ける状態となる少し手前の位置である。次に、トルクモータ872が動作し、押し付け具247を少し前進させる。この結果、押し付け具247がバーニッシュテープ242を基板9に押し付ける。トルクモータ872の発生トルクが調節され、バーニッシュテープ242の押し付け圧力が所定の値に制御される。
【0073】
バーニッシュテープ242の押し付けにより、基板9の表面に存在する突起が削り取られる。また、突起の除去に加え、基板9の表面に汚損物質が付着している場合、この汚損物質が除去されることもある。バーニッシュテープ242としては、ポリエチレンテレフタレート製又はポリアミド製のフィルム上にアルミナ粒子又は炭化シリコン(SiC)粒子等の研磨砥粒を担持したものが使用される。また、基板9の回転速度は、100〜4000rpm程度で良い。
【0074】
尚、押し付け具247の押し付け力は、慎重な検討が必要である。バーニッシュテープ242によるバーニッシュを真空中で行う場合、バーニッシュテープ242と基板9の表面との間の摩擦力が大気中の場合よりも大きくなる。このため、大気中の場合と同様の力で押し付けると、基板9の表面を過剰に削り取ってしまい、突起を取るだけではなく、保護膜の厚さを薄くしてしまう恐れがある。例えば1.0×10−2〜100Pa程度の真空中でのバーニッシュの場合、押し付け力は9.8〜588mN程度とすることが好ましい。
【0075】
また、バーニッシュテープ242を基板9の表面に押し付けた状態で、基板9で無くバーニッシュテープ242の移動(巻き取り)を行ってバーニッシュを行う場合もある。また、基板9の回転とバーニッシュテープ242の移動の双方を行う場合もある。バーニッシュテープ242を基板9に押し付けた状態でバーニッシュテープ242の移動を行う場合、押し付け具247には従動ローラに相当する構成が採用される。
【0076】
このようなバーニッシュを基板9の両面の全面に亘って行った後、駆動機構87が押し付け具247を所定の後退位置まで後退させ、回転駆動源84は回転を停止する。次に、不図示のレバーによる第二基板保持具52の板バネの押し広げを解除し、各保持爪によって再び基板9を保持させる。その後、回転機構8は、ジョイント機構811によって再び第一前後駆動源83と前後駆動軸81とを連結させた後、第一駆動源81を動作させて、前後駆動軸81を所定距離前進させる。この結果、バネ部材823の弾性により接触片821が内側に移動して基板9の保持が解消される。そして、第二前後駆動源85を動作させて、前後駆動軸81及び回転駆動軸82を一体に後退させ、元の退避位置に戻す。
【0077】
次に、第二基板保持具52を移動させ、もう一つの基板9の中心が、前後駆動軸81と同軸になる位置で停止させる。そして、前述したのと同様の動作を繰り返して、もう一つの基板9に対してもバーニッシュを行う。尚、図1に示すように、本実施形態では、潤滑層形成チャンバー25を挟んでバーニッシュチャンバー24が二つ設けられている。従って、潤滑層形成の前と後にバーニッシュを行うようになっている。
【0078】
次に、潤滑層形成チャンバー25について説明する。図13は、図1に示す潤滑層形成チャンバー25の構成を示す側面概略図である。潤滑層形成チャンバー25は、真空中で基板9の表面に潤滑層を形成するものである。具体的には、潤滑層形成チャンバー25は、真空蒸着法により基板9の表面に潤滑層を形成するようになっている。図13に示すように、潤滑層形成チャンバー25は、内部を排気する排気系251と、内部に潤滑剤を貯めた一対の坩堝252と、坩堝252内の潤滑剤を加熱して蒸発させるヒータ253と、蒸着中に基板9を回転させて蒸着を均一化する回転機構8とを備えている。
【0079】
潤滑剤は、溶剤に溶かさずに坩堝252内に貯められている。ヒータ253は、抵抗発熱方式のものが使用されている。場合によっては、電子線を照射して加熱するものや、高周波によって加熱するものでも良い。尚、坩堝252の上側には、必要に応じてシャッタが設けられる。回転機構8は、図9に示すバーニッシュチャンバー24が備えるものと同様である。但し、図13に示す回転機構8は、各々の基板9を同時に保持して回転できるよう、二つ設けられている。
【0080】
図13に示す潤滑層形成チャンバー25の動作について、以下に説明する。排気系251により所定の真空圧力に排気されている状態で、基板9を保持した第二基板保持具52が潤滑層形成チャンバー25内に移動して停止する。そして、回転機構8が各基板9を保持して回転させる。並行して、ヒータ253が動作して坩堝252内の潤滑剤を加熱する。加熱により潤滑剤が蒸発し、各基板9の表面に付着して潤滑層としての潤滑膜を堆積させる。即ち、二枚の基板9に同時に潤滑膜が作成される。潤滑剤としては、PEPEを主成分としたもので、分子量が2000〜4000程度のものが使用できる。このような潤滑剤としては、例えばAUSMONT社から製品名ZDOL2000,ZDOL4000等として販売されている。
【0081】
ヒータ253による加熱温度は50〜310℃、潤滑層形成チャンバー25内の圧力は、1.0×10−2〜100Pa程度で良い。このような条件で蒸着を行うと、3〜5秒程度で厚さ1〜2nm程度の潤滑膜が作成できる。尚、回転機構8による回転速度は、前述したバーニッシュの場合よりも低く、5〜500rpm程度でよい。このようにして潤滑層の形成を行った後、ヒータ253の動作及び回転機構8の動作を止める。基板9を第二基板保持具52に戻すとともに潤滑層形成チャンバー25内を再度排気した後、第二基板保持具52を次の後処理チャンバー26に移動させる。
【0082】
次に、後処理チャンバー26及び冷却チェンバー27の構成について説明する。図14は、図1に示す後処理チャンバー26の構成を示す側面概略図である。ボンデッドレシオは、前述した通り、20〜30%程度が最適であるとされている。本実施形態では、後処理チャンバー26で基板を加熱するとともにその加熱の温度及び時間を調節することにより、このボンデッドレシオを達成するようにしている。具体的には、基板9の温度を30〜150℃程度に3〜5秒程度維持することにより上記ボンデッドレシオを達成できる。
【0083】
図14に示すように、後処理チャンバー26内には、第二基板保持具52に保持された基板9の両側の位置になるように赤外線ランプ261が設けられている。また、後処理チャンバー26には、排気系262が設けられており、後処理中、後処理チャンバー26内を1×10−4〜1×10−5Pa程度に排気するようになっている。尚、潤滑層形成後の工程であるので、後処理を真空中で行うことは、必須の条件ではないが、後処理を真空中で行うことにより、高温に加熱された潤滑層の表面に汚損物質の不純物が吸着されて取り込まれることが防止できる。
【0084】
尚、本実施形態では加熱より後処理を行ったが、光照射により後処理を行うことも可能である。例えば、光重合作用のある潤滑剤では、紫外線等の光を照射することにより重合度を調整して基板9への付着性や表面の潤滑性を調節することが可能である。この場合は、前述した赤外線ランプに代えて紫外線ランプなどを使用する。
【0085】
また、冷却チェンバー27は、後処理後に基板9を冷却して、後のアンロードロックチャンバー28内の回収用ロボット62による取り扱い等を容易にするものである。冷却チェンバー27は、水素又はヘリウム等の冷却用ガスを基板9の表面に吹き付け、基板9を100℃以下に冷却するようになっている。特開平11−203734号公報に開示された冷却機構を、この冷却チェンバー27に用いると好適である。アンロードロックチャンバー28に設けられた回収用ロボット62は、基板9を第二基板保持具52から取り外して、大気側のアンロードステーションに配置された回収用カセット621に搬送するものである。
【0086】
次に、磁気記録ディスクの製造方法の発明の実施形態の説明も兼ねて、上記構成に係る本実施形態の装置の全体の動作について、以下に説明する。まず、基板9は、大気側のロードステーションに配置された搭載用カセット611から搭載用ロボット61によって一枚ずつロードロックチャンバー11に搬入され、第一基板保持具51に搭載される。第一基板保持具51は、プリヒートチャンバー12に移動して基板9が予備加熱される。その後、第一基板保持具51は、下地膜作成チャンバー13、磁性膜作成チャンバー14、保護膜作成チャンバー15に順次移動し、基板9の上に、下地膜、磁性膜、保護膜が積層される。
【0087】
この基板9は、第一中継チャンバー16において、移載用ロボット63により第一基板保持具51から取り外され、第二中継チャンバー21に待機する第二基板保持具52に搭載される。基板9が取り外された第一基板保持具51は、ロードロックチャンバー11に戻り、次の基板9が搭載される。そして、同様に第一搬送路1を周回する。
【0088】
一方、第二中継チャンバー21において基板9が搭載された第二基板保持具52は、第一クリーニングチャンバー22、第二クリーニングチャンバー23、バーニッシュチャンバー24、潤滑層形成チャンバー25に順次移動し、保護膜の上に潤滑層が形成される。そして、第二基板保持具52は、後処理チャンバー26、冷却チェンバー27の順に移動して基板9の後処理及び冷却が行われる。第二基板保持具52は、アンロードロックチャンバー28に達して、回収用ロボット62により基板9が第二基板保持具52から取り外され、大気側の回収用カセット621に搬出される。第二基板保持具52は、基板9が取り外された後、第二中継チャンバー21に移動して再び次の基板9の保持に使用され、第二搬送路2を周回する。尚、各チャンバー10〜17,20〜29には、基板保持具51,52が位置しており、タクトタイム毎に次の各チャンバー10〜17,20〜29に移動する。
【0089】
上記構成及び動作に係る本実施形態の装置は、以下のような技術的意義を有する。まず、一つの装置で、下地膜の作成から潤滑層の形成まで一貫して行えるので、生産設備のコストや装置を運転する人件費のコスト等が、従来に比べて安価となる。また、搭載用カセット611内の全ての基板9が処理されて回収用カセット621に回収されるまでの間、装置は無人運転することが可能であり、無人運転の時間が従来に比べて長くなる。このため、生産性の点でも向上する。
【0090】
そして、保護膜の作成の後も、真空中で一貫して潤滑層の形成まで行うので、保護膜と潤滑層との界面や潤滑層中、又は、潤滑層の表面への汚損物質の混入又は付着が抑制される。このため、本実施形態によれば、汚損物質による記録層の汚損、潤滑層の付着性の低下、潤滑層の膜厚の不均一化、潤滑層のボンデッドレシオ制御の精度低下等の問題の発生が抑制され、スペーシングが減少しつつある磁気記録ディスクの製造に極めて適した構成が提供される。
【0091】
また、潤滑層の形成の前に基板9の表面の汚損物質がプラズマアッシング及びガスブローによって除去されるので、この点で、さらに上記効果が高く得られる。プラズマアッシングは、主に有機系の汚損物質の除去に効果的であり、ガスブローは、金属やガラス等の無機系の汚損物質の除去に効果的である。そして、第一第二クリーニングチャンバー22,23でのクリーニングの後、基板9が大気に晒されることなく潤滑層形成チャンバー25に運ばれて潤滑層が形成されるので、清浄化された表面が大気によって汚損されることがなく、清浄な表面のまま潤滑層が形成される。このため、上記効果がさらに高く得られる。
【0092】
また、バーニッシュが真空中で行われるので、バーニッシュの際に大気中の汚損物質が基板9に付着することが無い。この点でも、汚損物質に起因した問題がさらに抑制されている。そして、バーニッシュ後に、基板9が大気に晒されることなく潤滑層形成チャンバー25に搬送されて潤滑層が形成されるので、同様にこの効果がさらに高く得られる。
【0093】
また、潤滑層の特性を改善する後処理が真空中で行われるため、後処理の際に基板9の表面に大気中の汚損物質が付着することが無い。この点でも、汚損物質に起因した問題がさらに抑制されている。そして、潤滑層形成後に、基板9が大気に晒されることなく後処理チャンバー26に搬送されて潤滑層が形成されるので、同様にこの効果がさらに高く得られる。
【0094】
また、潤滑剤を溶剤に溶かすことなく使用する構成は、以下のような技術的意義を有する。潤滑剤を希釈する溶剤としては、潤滑剤がフッ素系であることから、以前はフロンが多く使用された。しかしながら、オゾン層破壊の問題を背景として、パーフルオロカーボン(PFC)等のフロン代替溶剤が多く使用されるようになった。しかし、このフロン代替溶剤も、地球温暖化の原因物質であるとされ、溶剤の使用そのものを問題視する傾向もある。
【0095】
溶剤を使用することの別の問題は、潤滑層の汚損である。溶剤に溶解して塗布する結果、潤滑層に不純物が混入し、これが原因で、イオン等の不純物が存在することによる磁気ヘッドの腐食、潤滑層表面に存在する突起による磁気ヘッドの機械的損傷、潤滑特性が充分でないことによる磁気ヘッドのディスク表面への吸着等の問題が生じることがある。本実施形態の方法及び装置では、溶剤を使用しないので、このような溶剤を使用することに起因する問題は無い。
【0096】
但し、実用的には、潤滑剤の取り扱いを容易する等の目的から、少量の溶剤を使用する場合もある。溶剤としては、3M社製のHFE7300,7100(商品名)等のパーフルオロアルキル系溶剤が使用される。使用量は、潤滑剤に対して1体積%以下である。
【0097】
次に、第二の実施形態の磁気記録ディスク製造装置について説明する。図15は、第二の実施形態の磁気記録ディスク製造装置の主要部を示す図である。図15に示す実施形態の装置は、基板9の表面をクリーニングするためのプラズマアッシングを行う構成が、前述した実施形態と異なっている。即ち、この図15に示す実施形態では、保護膜作成チャンバー15でアッシングを行うようになっており、図15にはこの保護膜作成チャンバー15の構成が示されている。
【0098】
図15に示す保護膜作成チャンバー15は、図6に示すものとほぼ同様であるが、ガス導入系152の構成が異なっている。即ち、図15に示すガス導入系152は、炭化水素化合物と水素の混合ガスと、酸素ガスとを、バルブ154で切り替えて選択的に保護膜作成チャンバー15に導入することができるようになっている。
【0099】
図15に示す構成において、保護膜を作成する場合、炭化水素化合物と水素の水素ガスを導入するようにする。保護膜の作成の後、第一基板保持具51を移動させず、排気系151によって保護膜作成チャンバー15内を5×10−2Pa程度まで排気する。そして、バルブ154の開閉によって導入ガスを酸素に切り替える。そして、前述した実施形態と同様に、酸素の高周波プラズマによりアッシングを行う。
【0100】
この図15に示す実施形態では、基板9の表面の汚損物質のみならず、第一基板保持具51に付着した汚損物質も除去できるという特段の技術的意義がある。第一基板保持具51に汚損物質が付着したままであると、次の基板9の保持の際などにこの汚損物質が基板9に移動して付着し易い。本実施形態の装置によれば、基板9の表面に加え、このような第一基板保持具51を経由した汚損物質の付着も抑制できるという効果がある。また、プラズマがより拡散するように条件を設定すると、保護膜作成チャンバー15内の構造物の露出面に付着した汚損物質を除去するようにすることも可能である。
【0101】
次に、第三の実施形態の磁気記録ディスク製造装置について説明する。図16は、第三の実施形態の磁気記録ディスク製造装置の主要部を示す図である。この第三の実施形態の装置は、前述した第一の実施形態に対して、基板9の表面をクリーニングする第三クリーニングチャンバー200を追加した構成となっている。第三クリーニングチャンバー200は、図1に示す構成において、例えば、第二クリーニングチャンバー23とバーニッシュチャンバー24との間に設けることができる。図16は、この第三クリーニングチャンバー200の構成を示した側面概略図となっている。
【0102】
図16に示す第三クリーニングチャンバー200は、基板9の表面にレーザーを照射してクリーニングするようになっている。即ち、第三クリーニングチャンバー200は、レーザー発振器201と、レーザー発振器201から発振されたレーザー光を内部に導入する導入窓202とを備えている。導入窓202は、第三クリーニングチャンバー200の開口を気密に塞ぐように設けられている。レーザー光による基板9の表面のクリーニングは、主に、アブレーション効果によって行われる。即ち、基板9の表面に付着した汚損物質にレーザー光が照射されると、レーザー光のエネルギーにより汚損物質の結合が解かれて除去される。尚、第三クリーニングチャンバー200も排気系203を有しており、上記クリーニングも同様に真空中で行われる。
【0103】
レーザー光による基板9の表面のクリーニングの一例について示すと、
レーザー:エキシマレーザー(波長248nm),
照射エネルギー密度:200mJ/cm以下,
照射方式:1〜100Hz程度のパルス,
パルス数:100以下,
との条件が挙げられる。尚、200mJ/cmを越えると、基板9の表面の保護膜を削る恐れがある。保護膜を削らない範囲でクリーニングを行うため、照射エネルギー密度を低くしたり、パルスの周波数を低くしたり、パルス数を小さくしたりしても良い。
【0104】
尚、レーザー光を基板9の表面の全面に均一に照射できるよう、レーザー光を基板9の径方向に対して走査するとともに、前述した実施形態におけるものと同様の回転機構により基板9を回転させながらレーザー光の照射を行うと好適である。
【0105】
次に、第四の実施形態の磁気記録ディスク製造装置について説明する。図17は、第四の実施形態の磁気記録ディスク製造装置の主要部を示す図である。この第四の実施形態の大きな特徴点は、バーニッシュ処理と潤滑層形成とが一つのチャンバーで行える点である。即ち、第一の実施形態のバーニッシュチャンバー25及び潤滑層形成チャンバー26に代えて、バーニッシュと潤滑層形成とを行うバーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210が設けられている。図17は、このバーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210の構成を示す側面概略図となっている。
【0106】
バーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210は、内部を排気する排気系211と、基板9を保持して基板9と同軸の回転軸の周りに基板9を回転させる回転機構8と、回転機構8により回転する基板9の表面に押し付けられるバーニッシュテープ212と、バーニッシュテープ212によるバーニッシュと同時に基板9の表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布具213とを備えている。
【0107】
回転機構8やバーニッシュテープ212等は、前述した第一の実施形態におけるものと同様なので、説明は省略する。潤滑剤塗布具213は、先端から潤滑剤を吐出するシリンジ214と、シリンジ214に接続された供給ホース215と、潤滑剤を溜めた不図示の容器から潤滑剤を供給ホース216を通してシリンジ214に送る不図示の送出ポンプとから主に構成されている。尚、シリンジ214及び供給ホース215は、基板9が位置する位置の両側に設けられている。
【0108】
磁気記録ディスク製造方法の実施形態の説明も兼ね、図17に示すバーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210の動作について、以下に説明する。バーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210内が排気系211によって所定の真空圧力に排気されている状態で、前述した第一の実施形態と同様に、基板9を保持した第二基板保持具52がバーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210内に移動して所定位置で停止する。そして、回転機構8が一つの基板9を保持して回転させる。この回転の際、基板9の両側の押し付け具が不図示の駆動部により基板9に向けて変位し、基板9の両面にバーニッシュテープ212を押し付ける。この結果、基板9の表面に存在する突起が削り取られる。
【0109】
並行して、潤滑剤塗布具213が動作する。不図示の送出ポンプによって供給ホース215を通してシリンジ214に潤滑剤が送られ、シリンジ214から吐出される。吐出された潤滑剤は、バーニッシュテープ212の上に塗布される。潤滑剤はバーニッシュテープ212の移動とともに移動し、潤滑剤が塗布された部分のバーニッシュテープ212が基板9の表面に押し付けられると、バーニッシュテープ212と基板9との間で潤滑剤が加圧されて薄く引き延ばされ、それとともに基板9の表面に塗布される。潤滑剤としては、前述したPEPEを主成分としたもので良い。前述したように、少量の溶剤を使用する場合もある。また、バーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210内の圧力や押し付け具による押し付け圧力も、前述した実施形態と同様で良い。
【0110】
このようなバーニッシュと潤滑剤の塗布を基板9の両面の全面に亘って行った後、押し付け具を後退させ、回転機構8による回転を停止する。第二基板保持具52を移動させ、回転機構8がもう一つの基板9を保持して回転させる。そして、同様にしてバーニッシュと潤滑層の形成とを同時に行う。尚、バーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210以外の部分での動作は、前述した第一の実施形態と同様である。
【0111】
上記説明から解るように、バーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210は、バーニッシュと潤滑剤の塗布とを同時に行うので、従来に比べて生産性が向上している。尚、この場合の「同時に」とは、バーニッシュと潤滑剤の塗布とが文字通り同時に行われる場合と、厳密には同時に生ずる作用ではないが、おおまかには同時に行われる場合とを含む。また、本実施形態では、バーニッシュや潤滑剤の塗布が、真空中で行われるので、大気中の汚損物質が潤滑層に取り込まれてしまうことが無く、この点でも良質なディスクの製造に貢献できる。但し、大気中でこれらを行っても、生産性を向上させる効果は同様に得られる。
【0112】
また、バーニッシュを真空中で行うことと、バーニッシュと潤滑剤塗布とを同時に行うこととは、非常に密接な関連を有する。即ち、バーニッシュテープ212によるバーニッシュを真空中で行うと、汚損物質低減には非常に有効であるが、バーニッシュテープ212と基板9の表面との間の摩擦力が大気中の場合よりも大きくなるため、バーニッシュが過剰となる恐れがある。バーニッシュが過剰とは、突起を削るだけでなく、予め形成された保護膜等を削ってしまうというような事態である。一方、潤滑剤は、原料のままでは非常に粘性が高い。従って、溶剤に溶かした方が塗布はし易い。しかし、溶剤の使用は前述したような問題がある。
【0113】
本実施形態の構成は、このような問題を一挙に解決する一石二鳥的な技術的意義を有する。つまり、バーニッシュテープを介して基板9に潤滑剤を塗布する構成を採用すると、バーニッシュテープと基板9との間に潤滑剤が入り込むことによって過剰なバーニッシュが防止されるのに加え、粘性の高い潤滑剤であっても基板9への塗布が容易にできるという効果が得られる。
【0114】
尚、上記実施形態では、潤滑剤をバーニッシュテープ212の上に塗布することで基板9の表面への潤滑層の形成を行ったが、第一の実施形態のように、蒸着法によって行ってもよい。即ち、バーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210内に、図13に示すような坩堝252及びヒータ253を設けるようにしても良い。また、スプレー法によって潤滑層の形成を行ってもよい。この場合は、バーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー210内に噴射具を設け、溶剤に溶かした潤滑剤を噴射具から噴射させるようにする。
【0115】
次に、第五の実施形態の磁気記録ディスク製造装置について説明する。図18は、第五の実施形態の磁気記録ディスク製造装置の主要部を示す図である。この第五の実施形態は、バーニッシュチャンバー24の構成が第一の実施形態と異なっている。即ち、この実施形態では、バーニッシュに先だってバーニッシュテープ242の表面を真空中でクリーニングするクリーニング手段88が設けられている点である。クリーニング手段88は、バーニッシュチャンバー24内でバーニッシュテープ242をクリーニングするようになっている。
【0116】
バーニッシュテープ242の表面には、汚損物質として、酸素イオン、硫酸イオン等を持つ分子膜、塵埃、油脂等の有機物等が付着していることがある。このような汚損物質が付着した状態でバーニッシュを行うと、汚損物質が基板9の表面に移動して付着してしまう。本実施形態では、このようなことを考慮し、バーニッシュに先だってバーニッシュテープの表面をクリーニング手段88によってクリーニングするようになっている。具体的は、クリーニング手段88は、バーニッシュチャンバー24内に設けられたイオンビーム源881と、イオンビーム源881に原料ガスを供給するガス供給系882とから主に構成されている。
【0117】
ガス供給系882はアルゴンガス又は酸素ガスを供給するものであり、イオンビーム源881はアルゴンイオン又は酸素イオンのビームをバーニッシュテープ242に照射するようになっている。イオンビームの加速エネルギーは250〜600eV、バーニッシュテープ242への入射角は30〜40度程度とすることが好ましい。尚、イオンビームによるバーニッシュテープ242の損傷が問題となるときは、加速エネルギーを小さくしたり、入射角を大きくしたりする。イオンビームの照射パターンは、幅がバーニッシュテープ242の幅と同じかそれより少し大きい程度、長さが30mm程度のほぼ長方形とする。尚、イオンビーム源881は、不図示の収束電極を備えており、この程度のパターンになるようにイオンビームを収束させる。
【0118】
バーニッシュテープ242に照射されたイオンビームは、バーニッシュテープ242の表面に存在する汚損物質を弾き出したり削ったりして除去する。これにより、バーニッシュテープ242の表面が清浄化され、清浄な表面のバーニッシュテープが前述した通り基板の表面に押し付けられてバーニッシュが行われる。このため、バーニッシュテープ242を経由した汚損物質の基板9の表面への付着が防止される。本実施形態では、イオンビームによりバーニッシュテープ242の表面をクリーニングしたが、プラズマやレーザーの作用によってクリーニングすることも可能である。また、前述した第四の実施形態の構成において、バーニッシュテープ212の表面をクリーニングするようにすることも可能である。
【0119】
次に、インライン型基板処理装置の発明の実施形態について補足して説明する。上述したように、図1に示す磁気記録ディスク製造装置は、インライン型基板処理装置の発明の実施形態となっている。即ち、二つの無終端状の搬送路1,2の各々に沿って複数の真空チャンバー10〜17,20〜29が接続され、その二つの搬送路1,2をつなぐ第三搬送路3に沿って基板9を大気に取り出すことなく真空中で搬送する移載用ロボット63が設けられている。
【0120】
無終端状の搬送路1に沿って複数の真空チャンバー10〜17を設け、搬送路1に沿って基板保持具51を周回させる構成は、基板保持具51を大気に取り出すことがないので、基板保持具51を介して大気中の汚損物質が装置に持ち込まれないというメリットがある。しかしながら、このようなインライン型装置において、真空チャンバー10〜17の数をもっと多くしようとすると、搬送路1の全長が長くなってしまう。図1から類推されるように、搬送路1の全長が長くなると、搬送路1で囲まれた空間が大きくなる。この部分の空間は、特に基板9の処理とは無関係な無駄な空間であるので、この部分の空間が大きくなることによる専有面積の増大は、有意義ではない。
【0121】
本実施形態の装置のように、さらに別の無終端状の搬送路2を設定してこの搬送路にそって真空チャンバー20〜29を増設するようにすれば、装置全体の占有面積をそれほど増大させることなく、より多くの真空チャンバーを増設できる。このため、より多くの処理を真空中で一貫して行うようにする場合、非常に適したものとなる。
【0122】
このようなインライン型基板処理装置の考え方は、前述した磁気記録ディスク製造の場合には限られず、適用が可能である。例えば、コンパクトディスクなどの光学式の情報記録媒体の製造や液晶基板等の表示デバイスの製造等においても、インライン型の構成を採用する限り、適用が可能である。尚、磁気記録ディスク製造装置の発明の実施に際しては、上述したようなインライン型の装置に限定されるものではない。搬送ロボットを備えた搬送チャンバーの周囲に複数の処理チャンバーやロードロックチャンバー、アンロードロックチャンバーを配置したクラスターツール型の装置でも良い。
【0123】
尚、「磁気記録ディスク製造装置」という名称は、磁気記録ディスクの製造に用いられる装置の意味である。従って、それのみですべての製造工程が行われる場合と、他の装置において他の製造工程が行われる場合ともを含む。また、本明細書において、「磁気記録ディスク」とは、磁気の作用を利用して情報の記録が行われるディスクの総称であり、光磁気ディスクのように、磁気の作用とともに他の作用も利用して情報を記録するディスクも広く含む。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】実施形態に係る磁気記録ディスク製造装置の平面概略図であり、本願発明の実施形態に係るインライン型基板処理装置の平面概略図でもある。
【図2】図1に示す装置における第一基板保持具51及び直線移動機構の構成を示す正面概略図である。
【図3】図1に示す装置における第一基板保持具51及び直線移動機構の構成を示す側断面概略図である。
【図4】図1に示す方向転換チャンバー17に備えられた方向転換機構の構成を示す側面概略図である。
【図5】図1に示す磁性膜作成チャンバー14の構成を示す平面概略図である。
【図6】図1に示す保護膜作成チャンバー15の構成を示す平面概略図である。
【図7】図1に示す第一クリーニングチャンバー22の構成を示す平面概略図である。
【図8】図1に示す第二クリーニングチャンバー23の構成を示す平面概略図である。
【図9】図1に示すバーニッシュチャンバー24の構成を示す側面概略図である。
【図10】図9に示す回転機構8の構成を示す断面概略図である。
【図11】図10に示す接触片821の配置位置を示す正面図である。
【図12】図9に示す押し付け具247を駆動する駆動機構87の構成を示す側面概略図である。
【図13】図1に示す潤滑層形成チャンバー25の構成を示す側面概略図である。
【図14】図1に示す後処理チャンバー26の構成を示す側面概略図である。
【図15】第二の実施形態の磁気記録ディスク製造装置の主要部を示す図である。
【図16】第三の実施形態の磁気記録ディスク製造装置の主要部を示す図である。
【図17】第四の実施形態の磁気記録ディスク製造装置の主要部を示す図である。
【図18】第五の実施形態の磁気記録ディスク製造装置の主要部を示す図である。
【図19】スペーシングについて説明する図である。
【符号の説明】
【0125】
1 第一搬送路
11 ロードロックチャンバー
12 プリヒートチャンバー
13 下地膜作成チャンバー
14 磁性膜作成チャンバー
15 保護膜作成チャンバー
150 プラズマ形成手段
16 第一中継チャンバー
17 方向転換チャンバー
2 第二搬送路
21 第二中継チャンバー
22 第一クリーニングチャンバー
23 第二クリーニングチャンバー
24 バーニッシュチャンバー
242 バーニッシュテープ
25 潤滑層形成チャンバー
26 後処理チャンバー
27 冷却チャンバー
28 アンロードロックチャンバー
29 方向転換チャンバー
200 第三クリーニングチャンバー
201 レーザー発振器
210 バーニッシュ兼潤滑層形成チャンバー
211 排気系
212 バーニッシュテープ
213 潤滑剤塗布具
3 第三搬送路
4 ゲートバルブ
51 第一基板保持具
52 第二基板保持具
61 搭載用ロボット
62 回収用ロボット
63 移載用ロボット
8 回転機構
88 クリーニング手段
9 基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の無終端状の搬送路に沿って接続され、真空中で基板を処理する処理チャンバーを含む第一のグループの真空チャンバーと、
第二の無終端状の搬送路に沿って接続され、真空中で基板を処理する処理チャンバーを含む第二のグループの真空チャンバーと、
前記基板を保持するための基板保持具を前記第一の無終端状の搬送路に沿って周回させる第一の周回機構と、
前記基板を保持するための第二の基板保持具を第二の搬送路に沿って周回させる第二の周回機構と、
第一の基板保持具から基板を取り外し、第三の搬送路に沿って基板を大気に取り出すことなく真空中で搬送し、第二の基板保持具に移載する搬送系とを備えていることを特徴とするインライン型基板処理装置。
【請求項2】
前記第一のグループの真空チャンバーは、前記第一の搬送路上において互いに気密に接続されており、前記第二のグループの真空チャンバーは、前記第二の搬送路上において互いに気密に接続されていることを特徴とする請求項1記載のインライン型基板処理装置。
【請求項3】
前記第一の搬送路は方形であり、前記第二の搬送路は方形であることを特徴とする請求項1又は2記載のインライン型基板処理装置。
【請求項4】
前記第一の搬送路上において第一の基板保持具に未処理の基板を搭載する機構と、第二の搬送路上において第二の基板保持具から処理済みの基板を回収する機構とを備えていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のインライン型基板処理装置。
【請求項5】
前記第一のグループの真空チャンバーのいずれかには、前記第一の基板保持具に基板を搭載する搭載用ロボットが設けられており、前記第二のグループの真空チャンバーのいずれかには、前記第二の基板保持具から基板を回収する回収用ロボットが設けられていることを特徴とする請求項4記載のインライン型基板処理装置。
【請求項6】
前記第一のグループの真空チャンバーのいずれかは、前記第一の基板保持具に基板を搭載する際に大気に開放されるロードロックチャンバーであり、前記搭載用ロボットはこのロードロックチャンバーに設けられており、前記第二のグループの真空チャンバーのいずれかは、前記第二の基板保持具から基板を回収する際に大気に開放されるアンロードロックチャンバーであり、前記回収用ロボットはこのアンロードロックチャンバーに設けられていることを特徴とする請求項5記載のインライン型基板処理装置。
【請求項7】
前記第三の搬送路上には別の真空チャンバーが配設されており、この別の真空チャンバーは、前記第一のグループの真空チャンバーのいずれかと気密に接続されているとともに前記第二のグループの真空チャンバーのいずれかと気密に接続されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のインライン型基板処理装置。
【請求項8】
前記第三の搬送路上には、前記第一の基板保持具から基板を取り外して前記第二の基板保持具に搭載する移載用ロボットが設けられていることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のインライン型基板処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−108419(P2009−108419A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327286(P2008−327286)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【分割の表示】特願2000−24334(P2000−24334)の分割
【原出願日】平成12年2月1日(2000.2.1)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【出願人】(390037165)日本ミクロコーティング株式会社 (79)
【Fターム(参考)】