説明

ウェーハアライメント装置及びそれを用いたウェーハ搬送装置

【課題】安定した高速スループットでノッチ位置を検出できると共に、従来のノッチ検出手段を有効利用して容易に実現できるウェーハ把持方式のウェーハアライメント装置を提供する。
【解決手段】ウェーハの位置合わせする装置において、ウェーハ外周縁に接触する各把持アーム10、20の接触部には、ウェーハ外周縁のノッチが前記把持アームの接触部の位置にある場合にはこのノッチを検出するノッチ検出手段が設けられ、ノッチ検出手段のうち前記ノッチを検出したノッチ検出手段を有する把持アームがある場合には、少なくともこのノッチ検出したノッチ検出手段を有する把持アームのウェーハの把持状態を解除する解除機構と、この把持序状態を解除された把持アームを除く1以上の把持アームのウェーハに対する把持状態を維持する維持機構とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造または検査等に使用されるミニエンバイロメント装置等のウェーハ搬送において、ウェーハ外周縁のノッチ位置等に基づきウェーハの位置決め等を行うウェーハアライメント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場等で使用される半導体製造装置、検査装置等では、ウェーハを収納容器などから装置本体内への搬送途中で、ウェーハ外周形状データからウェーハの中心・ノッチ位置等を検出し、ウェーハの位置合わせ等を行うプリアライメント装置(一般に、半導体製造装置等でウェーハの加工・部品実装時に用いられるアライメント装置に対してプリアライメント装置と称する)が、位置合わせ手段として用いられている。
【0003】
プリアライメント装置は、ウェーハの外周形状を取得するためのエッジ検出部と、検出ノッチ位置の位置あわせするための回転機構部と、各機構の制御・計算等を行う制御機能部を備え、ウェーハの外周形状をエッジ検出部、例えばラインセンサ等で取得し、制御機能部でウェーハ外周データからノッチ形状の特徴を検出し、検出したノッチ位置を基に回転機構部で位置あわせを行うという方式が広く知られており、実現されている。
【0004】
従来、半導体製造装置及び検査装置等のウェーハ搬送装置では、ウェーハ搬送時のウェーハ保持方式としてウェーハの裏面を吸着して保持する方式が主流を占めており、プリアライメント装置でも同様にウェーハの裏面を吸着する方式が主流であった。
【0005】
しかしながら、近年、ウェーハ裏面への汚染影響が問題視されてきており、この裏面吸着方式に替わるウェーハ外周縁を把持する方式が次第に増えつつあり、プリアライメント装置でも同様のウェーハ保持方法を採用する傾向にある。
【0006】
従来のウェーハ把持方式のプリアライメント装置では、ウェーハ外周縁を把持する把持機構部がノッチ位置と重なる場合、取得したウェーハ外周データからノッチ位置を検出することができず、重ならないよう把持し直してから再検出するため、スループットが低下することが知られている。これを解決するために、ウェーハ外周形状を検出する検出センサのスポット径を工夫したプリアライメント装置(例えば、特許文献1参照)や、把持機構部のウェーハ外周の縁との接触部である把持爪の形状を工夫することにより、ウェーハを持ち直しすることなくノッチ位置合わせを実現するプリアライメント装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−243294号公報
【特許文献2】特開2007−287729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ウェーハ外周形状の検出センサのスポット径を工夫したプリアライメント装置では、ウェーハ外周形状を取得するエッジ検出部の検出センサビーム径を絞る必要があった。そのため、従来の裏面吸着保持方式でのウェーハ外周形状のエッジ検出部、例えばラインセンサ等は利用できなく、また、ビーム径の絞りによりエッジ検出の範囲も狭くなり、ノッチ形状の特徴(位置等)が検出し難くなる。
【0009】
また、上述の把持爪の形状を工夫したプリアライメント装置では、ウェーハ外周データのノッチ形状内部に、把持機構部のウェーハ接触部が重なり、ノッチ形状と組み合わることでノッチ特徴量が変る為、ノッチ形状の特徴(位置)が検出し難くなる。
【0010】
すなわち、従来のプリアライメント装置においては、検出手段を用いてウェーハ外周データからノッチ位置を検出するというプリアライメント装置において重要な部分で、従来主流であった裏面吸着保持方式で採用されていた検出手段及び検出処理方法が適用できず、ウェーハのエッジ(ノッチ形状)を検出する新たな手段が必要となる。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を解決し、安定した高速スループットでノッチの位置を検出できると共に、従来のノッチ検出手段を有効利用して容易に実現できるウェーハ把持方式のプリアライメント装置及びそれを用いたウェーハ搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべく、本発明に係るウェーハアライメント装置は、ウェーハをその外周縁で把持する複数の把持アームと、前記ウェーハ外周縁に形成されたノッチの位置を取得するエッジ検出部と、把持したウェーハを回転するための回転機構部を備え、取得したノッチ位置を基に前記ウェーハの位置合わせするウェーハアライメント装置において、前記ウェーハ外周縁に接触する各把持アームの接触部には、前記ウェーハ外周縁のノッチが前記把持アームの接触部の位置にある場合には、このノッチを検出するノッチ検出手段が設けられ、且つ前記アライメント装置は、前記ノッチ検出手段のうち前記ノッチを検出したノッチ検出手段を有する把持アームがある場合には、少なくともこのノッチ検出したノッチ検出手段を有する把持アームの前記ウェーハの把持状態を解除する解除機構と、この把持状態を解除された把持アームを除く1以上の把持アームの前記ウェーハに対する把持状態を維持する維持機構とを有するものである。また、本発明に係るウェーハ搬送装置は、上記のウェーハアライメント装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ウェーハ把持方式のプリアライメント装置において、安定した高速スループットでノッチの位置を検出でき、かつ、従来の検出手段を有効利用して容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のウェーハアライメント装置(プリアライメント装置)の構成を示す側面図、図2はその上面図である。図1に示すように、プリアライメント装置は、ウェーハ1をその外周縁(エッジ)1aの位置で把持する複数の把持アーム10(把持機構部)と、把持アーム10を回転させる回転機構部30と、ウェーハ1の外周形状を取得するエッジ検出部2と、エッジ検出部2で取得した取得データの処理及び各把持機構部・回転機構部30等の各機構の駆動制御を行う制御部(図示せず)とを備える。エッジ検出部2としては、例えば既知の光学式ラインセンサが用いられる。把持アーム10及び回転機構部30は装置ベース3上に設けられる。各把持アーム10は、回転機構部30に接続されるアーム基部11と、そのアーム基部11からウェーハ1の外周縁1aに延出する腕部12と、腕部12の先端に設けられウェーハ1と接触する接触部50とからなる。
【0015】
図2に示すように、複数の把持アーム10は、ウェーハ1の周方向にほぼ等間隔に6つ配置され、互いに隣接しない3本の把持アーム10a,10b,10c(20a,20b,20c)を1つの組とし、1組3本の把持アームは連動し、組単位で把持・開放動作(後述する)ができる機構を備える。把持アーム10は1組3本である必要は無く、2本でも4本以上でもよく、また2組である必要も無く、ウェーハ1を落下することなく把持できればよい。例えば1組2本で、4組のような構成でもウェーハ1を落下することなく把持できればよい。また、組単位での動作でなく1つの把持アーム10ごとに把持・開放動作する機構であってもよい。
【0016】
図6は、把持アーム10の把持・開放状態を示す一部側面図である。図6に示すように、各把持アーム10は、ウェーハ把持時では、回転機構部30と接続して回転機構部30と共に回転し、ウェーハ開放時では、回転機構部30とは切り離され、回転機構部30が回転しても回転しない。
【0017】
具体的には、図7に示すように、回転機構部30の側面には、把持アーム10を接続する接続部34と、その接続部34に設けられ把持アーム10側(図中、矢印31a)に往復移動可能な連結アーム31とが設けられる。連結アーム31の先端には、ラッチ32と、そのラッチ32を駆動させる接続部アクチュエータ33とが設けられる。ラッチ32は、接続部アクチュエータ33の駆動により可動腕部31の先端を中心に回動する(図中、矢印32a)。把持アーム基部11の内側(回転機構部30側)11aには、連結アーム31と接続される接続口14が形成されている。接続口14には連結アーム31のラッチ33と係合する係止突起部14aが形成されている。ラッチ32の回動により、可動アーム31が把持アーム10と接続(施錠)状態又は接続解除される。把持アーム10と装置ベース3との間には、スライダ15が介在し、把持アーム10は装置ベース3上を摺動する。
【0018】
把持アーム10が開放(接続解除)状態から把持状態になる動作を説明する。連結アーム31を把持アーム10側に移動させることで、ラッチ32を接続口14に挿入する。挿入後、アクチュエータ33を駆動してラッチ32を係止突起部14aに係合させ、図8に示すように、把持アーム10は施錠される。施錠後、連結アーム31を回転機構部30側に移動させることで、アーム把持部10の接触部50がウェーハ1の外周縁11aを把持する。他方、把持アーム10が把持状態から開放状態する動作は、上記の開放状態から把持状態にする動作を逆の順序で動作すればよい。
【0019】
把持アーム10は、ウェーハ半径方向中心に向かって各把持アーム10を押し付けることでウェーハ1の外周縁1aを保持し、その逆の動作をすることによりウェーハ外周縁1aを開放する。他の装置からのウェーハ1の受渡し時のウェーハ落下防止等に備えて、把持アーム10とは別にウェーハ支える機構を具備してもよい。また、別途、ウェーハの有無を検出する装置を具備し、ウェーハの確認に利用してもよい。
【0020】
図3及び図4は把持アーム10とウェーハ1の接触する部位の要部拡大図であり、図3はその側面図、図4は上面図である。
【0021】
複数の把持アーム10の接触部50は、それぞれウェーハ外周縁1aをウェーハ1中心方向に押すことでウェーハ1を把持するべく爪状に形成されている。それら接触部50の内側にはノッチ検出手段(接触検知部55)が設けられている。すなわち、ウェーハ先外周縁50に設けられている接触検知部55がウェーハ外周縁1aと接触する。
【0022】
接触検知部55は、ウェーハ水平方向においてウェーハ外周縁1aの形状を検知できる機能を有する。例えば、接触検知部55は、ウェーハ外周縁1aへの圧力を電気的に取得する手段(例えば、感圧センサ等)で構成される。接触検知部55は、ウェーハ外周縁1aに接触した際、一定の圧力を検出するが、ノッチ1bにおいてはその圧力は検出されない。すなわち、接触検知部55は、連続的な圧検出の途切れを検出することでノッチ1bの位置を特定し、ノッチ1bと把持アーム20cとの干渉を検知することができる。
【0023】
ただし、ノッチ幅Wnとウェーハ接触部幅Wtの幅の関係は、
Wn<Wt
であることが望ましい。
【0024】
ノッチ幅Wnとウェーハ接触部幅Wtの幅の関係が上記(1)式を満たさなくとも、単に接触の有無検知によってノッチを検出してもよい。
【0025】
次に、本プリアライメント装置を用いたウェーハのプリアライメント方法を説明する。まず、6本の把持アーム10(10a〜10c,20a〜20c)を把持状態にしてウェーハ1を把持する。次に、各把持アーム10の接触検知部55でノッチ1bの有無を検出する。
【0026】
ノッチ1bが検出されなかった場合、ノッチ1bと把持アーム10とは重なっていないので、回転機構部30を駆動し、ウェーハ1を回転させ、エッジ検出部2でウェーハ外周形状データを検出する。
【0027】
他方、接触検知部55でノッチ1bが検出された場合、図5に示すように、ノッチ1bを検出した接触検知部55を含む1組3本の把持アーム20a〜20cを同時に把持状態から開放(接続解除)する。このとき、把持状態にある(開放していない)把持アーム10a〜10cの組のみでウェーハ1を保持できる。把持アーム10は、上述したように、把持状態にすると回転機構部30と連結する構成となっており、回転機構30を回転させることで把持アーム10a〜10cも回転し、把持アーム10a〜10cに保持されているウェーハ1を回転させることができる。ウェーハ1の回転と共に、エッジ検出部2が連動してウェーハ外周縁1aの形状を取得し、取得したウェーハ外周形状データを用いてノッチ形状を特定する。すなわち、プリアライメント装置は、把持アーム10が予めノッチ1bとの重なりを検知し、開放した状態の把持アーム20a〜20cは回転機構部30との接続が解除され、ウェーハ外形データ取得時の回転時には連動して回転しないためにエッジ検出部2に干渉することなく、ウェーハ外周縁1aの形状を取得することができる。
【0028】
また、把持アーム10とノッチ1bとの重なりを検知したときは、ノッチ1bを検知した把持アーム20cの近辺のウェーハ外周データから探索を開始することで、ノッチ位置検出の速度向上を図ることもできる。
【0029】
このように、本プリアライメント装置によれば、ノッチ位置と把持アーム位置の重なりを予め検知し回避することで、把持アームの干渉という阻害要因がなく、ウェーハ外周データからノッチ位置を検出することができ、しかも、ウェーハ外周データからのノッチ位置検出処理にはウェーハ裏面吸着方式と同様の検出手段及び検出処理方法(検出アルゴリズム)を用いることができることにより、容易にプリアライメントを実現することができる。
【0030】
次に、本実施形態のプリアライメント装置の動作フローを、従来のプリアライメント装置の動作フローと比較して説明する。
【0031】
図9は、従来のプリアライメント装置の動作(制御方式)と本発明のプリアライメント装置の動作をそれぞれ示すフローチャートである。図9に示すように、従来のプリアライメント装置における動作500及び本実施形態のプリアライメント装置における動作600では、はじめに他の何らかの装置から、プリアライメント対象となるウェーハを把持機構部に渡され把持動作(ステップ100)を実施する。このときウェーハの搬送元は搬送ロボット等の装置、或いは人である。
【0032】
従来のプリアライメント装置動作500では、ウェーハ1を把持するとウェーハ1の回転を開始し(ステップ110)、その回転と連動してウェーハ外周データを取得(ステップ120)し、ウェーハ回転を終了(ステップ130)後、外周データからノッチ位置を検索(ステップ140)する。このとき、問題なくノッチ位置を検出できれば良いが、ノッチが把持アームと重なり、ノッチの検出に失敗した場合(ステップ200)には、ウェーハ1を把持しなおすことで把持位置を変更する(ステップ210)。把持位置の変更後、再度、ウェーハを回転させ(ステップ220)、ウェーハ外周データを取得し(ステップ230)、ウェーハの回転終了(ステップ240)後、ノッチ位置を検出しなおす(ステップ250)。すなわち、従来の制御方式500では、把持アームとノッチ位置重なる場合の回避処理として、ウェーハを異なる位置で把持し直し、ノッチを再検出する方法をとるため、スループットが増大する。
【0033】
なお、ノッチ位置の検出後は、ノッチ判定位置にウェーハを回転させることでウェーハの位置合わせ行い(ステップ150)、ウェーハを他の装置へ搬送する(ステップ160)。
【0034】
本実施形態のプリアライメント装置の動作600では、ウェーハ1が把持機構部(複数の把持アーム10)に受け渡された後、上述した方法により把持アーム10とノッチ1bの重なりを検出し、把持アーム20cを開放(ステップ300)することで、従来の制御方式におけるノッチ位置重なり時の退避処理(ステップ200〜250)を省略することができ、スループットの低下を防ぐことができる。
【0035】
なお、本実施形態の動作600において、把持アーム10とノッチ位置の重なりを回避するのとは別の目的で、例えば再検出を試みる時に把持位置を変更してみる等の目的でステップ200〜250の処理を追加してもよい。この場合、把持アーム10とノッチ位置の重なりを検知し、把持アーム回避処理を行うことで、安定した高スループットの把持方式プリアライメント装置を実現することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態のプリアライメント装置の基本的な構成は、前実施形態の装置とほぼ同じであるが、本実施形態は、把持アームの構成が前実施形態の装置と異なる。
【0036】
図10(a)は、本実施形態のプリアライメント装置のウェーハ把持状態を示す要部拡大側面図であり、図10(b)は、ウェーハ開放状態を示す要部拡大側面図である。図10(a)及び図10(b)に示すように、把持アーム40の腕部41には、ウェーハ接触部50がウェーハ外周縁1aから離れるように傾倒(図中、矢印44a)する関節部(ヒンジ)42と、関節部42を駆動するアクチュエータとが設けられる。また、把持アーム40の基部43は、回転機構部30に常に接続されているが、ウェーハ1の把持動作時又は開放動作時に、把持アーム40の可動部(関節部から先外周縁)44がウェーハ1にダメージを付与することなく把持・開放動作ができるように、ウェーハ径方向(図中、矢印43a)に移動可能な構成となっている。
【0037】
把持アーム40の把持動作時には、可動部44を把持位置にしてから基部43を回転機構部30側に移動させてウェーハ1を把持する。把持アーム40の開放状態時には、基部43を回転機構部30から離れる方向に移動後、アクチュエータにより関節部42を駆動して可動部44を傾倒させ、ウェーハ1の下側に格納する。本装置では、接触検知部55でノッチを検出した把持アーム群40の可動部44が、ウェーハ1の下側に倒れこむことで、それらの把持アーム40は、ウェーハ1を把持し回転移動する他の把持アーム40及びエッジ検出部2との干渉を避けることができる。
(第3の実施形態)
本実施形態のプリアライメント装置の基本的な構成は、第1及び第2の実施形態の装置とほぼ同じであるが、本実施形態は、回転機構部の構成及び把持アームの配置が前実施形態の装置と異なる。
【0038】
図11は、本実施形態のプリアライメント装置の構成を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。図11(a)及び図11(b)に示すように、回転機構部30は、装置ベース3上を回転する回転円板部35を有する。回転円板部35は、径がウェーハ1の径より大きく形成されている。把持アーム10(基部11、腕部12及び接触部50いずれも)は、ウェーハ1の外側の回転円板部35上に配置される。また、把持アーム15a〜15c、25a〜25cには、把持アーム15a〜15c、25a〜25cウェーハ径方向に移動させるためのアクチュエータが設けられる。
【0039】
図中、内側に記載されている把持アーム15a〜15cは把持状態を示し、外側に記載されている把持アーム25a〜25cは開放状態を示している。
【0040】
把持アーム10の把持動作又は開放動作時には、アクチュエータを駆動し、把持アームを内側に移動させる(伸ばす)ことで把持状態になり、把持アームとノッチの重なりを検出した場合、把持アームを外側に移動させる(縮ませる)ことで開放状態とする。
【0041】
回転機構部30を回転させると、ウェーハ把持状態の把持アーム15a〜15cとウェーハ開放状態の把持アーム25a〜25cは共に回転するが、開放状態25a〜25cの把持アーム10をエッジ検出部2より外側に退避させることで、把持アーム25a〜25cがエッジ検出部2に干渉しない。エッジ検出部は2a,2bのように、ウェーハ1の上方及び下方に分割して固定することにより、把持アーム10の把持・開放状態によらず把持アームの回転移動を妨げない。
【0042】
本実施形態では、回転機構部30と把持アーム15a〜15c,25a〜25cを同時に回転させる構成であるが、把持アームの干渉という阻害要因なくノッチ位置を検出するプリアライメント装置を実現することができる。
(第4の実施形態)
本実施形態のプリアライメント装置の基本的な構成は、前実施形態の装置とほぼ同じであるが、本実施形態では、第1の実施形態のノッチ検出手段である感圧センサとは異なり、機械式のノッチ検出手段を備える点において異なる。
【0043】
図12は、把持アーム10とウェーハ外周縁1aとの接触部分の側面図、図13は同上面図である。図12及び図13に示すように、把持アーム10の先端に設けられるノッチ検出手段61は、ウェーハ1の外周縁1aに接する複数の爪部65と、爪部65をそれぞれ支持しウェーハ径方向に移動可能な複数の把持ピン60とを有する。爪部65は、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等、加工が容易で変形しにくい樹脂で形成される。ノッチ検出手段61は、把持ピン60を移動させるアクチュエータと、把持ピン60の移動量を検出する手段とをさらに有する。
【0044】
把持アーム10がウェーハ1を把持する際、全ての把持ピン60は、各爪部65がウェーハ1の外周縁1aに接触して、ウェーハ中心方向に移動する。この把持ピン60の移動量によって、ノッチ1bの有無を検出することができる。
【0045】
ノッチ1bの有無を検出するために、ノッチ検出手段61は、把持アームのウェーハ接触幅Wtとノッチ幅Wnと把持ピン幅Wcの関係が、
Wc<Wn<Wt
となるように構成する。
【0046】
また、ノッチ幅Wn内にWcを複数本配置できるような把持ピン間隔Wsであることが望ましく、1つのノッチ1b内に入る把持ピン60の本数をM本としたときに、
Wc×M+Ws×(M−1)<Wn
であるように構成するとよい。
【0047】
このような形状検出部61を設けた把持アーム10でウェーハ1を把持した場合、爪部65はウェーハ外周縁1aの形状に沿うよう移動するため、ノッチ形状内に沿った場合の長さLc1とウェーハ外周縁に沿った場合の長さLc2で、最大ノッチ深さLnの差分を検知することで、把持アーム10とノッチ1bの重なりを検知することができる。このとき、予め判明している把持ピン間隔Wsと把持ピン本数から、ノッチ幅にかかっている幅を推定し、ノッチ重なり判定に用いることもできる。
【0048】
ノッチ検出手段61は、本実施形態では把持ピン60をウェーハ中心方向へ引く方式のものであるが、ウェーハ外側から押す構成としてもよく、爪部65がウェーハ外周縁1aに接触したとき移動量によってウェーハ外周縁1aの形状が検知できれば、把持ピン60の伸縮(移動)方向にはこだわらない。
【0049】
以上、把持方式のプリアライメント装置において、把持ピンの移動量を利用してウェーハ外周データを検知することで把持アームとノッチ位置の重なりを検知し、回避処理を行うプリアライメント装置を実現することができる。
【0050】
第1〜第4の実施形態では、ノッチ検出手段は、感圧センサ等の電気的な圧力により形状を検出するもの、及び、把持ピン等の機械的な移動量により形状を検出するものであるが、他のノッチ検出手段として、ウェーハ1の外周縁1aと把持アーム10との接触形状を撮像する手段を把持アーム10に設けてもよい。また、ウェーハ1を把持・開放する把持アーム等の構成と、ノッチ検出手段の構成は上述の組合せに限られるものではない。
(ウェーハ搬送装置)
本発明に係るウェーハアライメント装置を備えたウェーハ搬送装置(ミニエンバイロメント装置)について説明する。
【0051】
図14は、ウェーハ搬送装置の構成を示す概略図である。図14に示すように、ウェーハ搬送装置は、筐体70と、ウェーハ1を納めた容器71(カセット、またはFOUP(Front Opening Unified Pod))を設置するロードポート部72と、ノッチ位置合わせ等を目的としたプリアライメント装置73と、ウェーハ1の搬送先である半導体の製造装置または検査装置に接続される装置接続部74と、容器71、プリアライメント装置73及び装置接続部74間でウェーハ1を搬送する搬送ロボット75を備える。搬送装置はFFU(Fun Filter Unit)等を備えることにより、容器71や筐体70内をクリーンな環境に維持する。プリアライメント装置73は、第1〜第4実施形態で説明したプリアライメント装置である。ロードポート部72には少なくとも1台以上(図では4台)の容器71が設置され、設置数は使用環境によって適宜決定される。
【0052】
ウェーハ1の搬送については、まずロードポート部72に設置された容器71から、搬送ロボット75がウェーハ1を取得する。取得したウェーハ1は、プリアライメント装置73に搬送され、上述したようにウェーハ71の位置合わせを実施し、搬送ロボット75によって装置接続部74に運ばれ、装置接続部74の開口部77から半導体装置内へ搬送される。半導体装置から戻されたウェーハ1は、装置接続部74で搬送ロボット75によって取り出され、ロードポート部72の容器71内に搬送される。半導体装置からロードポート部72にウェーハ1を戻す途中に、プリアライメント装置73を経由して、ノッチ位置を合わせてから容器に収納することもできる。
【0053】
このように、ウェーハ搬送装置は、プリアライメント装置73でノッチ位置を合わせた状態でウェーハ1を搬送することができる。本実施形態のウェーハ搬送装置は、上述のプリアライメント装置73を用いたことにより、スループットを低下させることなくウェーハ1の位置合わせを行い、搬送することができる。
【0054】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る第1の実施形態のプリアライメント装置を示す側面図である。
【図2】図1のプリアライメント装置の平面図である。
【図3】図1のプリアライメント装置において把持アームとウェーハ接触部分を示す側面図である。
【図4】図1のプリアライメント装置において把持アームとウェーハ接触部分を示す上面図である。
【図5】把持アームの把持状態と開放状態とを示す上面図である。
【図6】第1の実施形態の把持機構部と回転機構部との位置関係を示す側面図である。
【図7】第1の実施形態の把持機構部と回転機構部の構成を示す側面図である。
【図8】図7の把持機構部と回転機構部との係合時を示す一部透明側面図である。
【図9】従来のプリアライメント装置の制御方式と本発明のプリアライメント装置の制御方式をそれぞれ示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態のプリアライメント装置を示し、(a)はウェーハ把持状態の要部側面図であり、(b)はウェーハ開放状態の要部側面図である。
【図11】第3の実施形態のプリアライメント装置を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
【図12】第4の実施形態のプリアライメント装置の把持機構部を示す側面図である。
【図13】第4の実施形態のプリアライメント装置の把持機構部を示す平面図である。
【図14】ウェーハ搬送装置の構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ウェーハ
1a ウェーハ外周縁
1b ノッチ
2 エッジ検出部
3 装置ベース
10 把持アーム
30 回転機構部
31 連結アーム
50 ウェーハ接触部
55 接触検知部
60 把持ピン
65 爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハをその外周縁で把持する複数の把持アームと、前記ウェーハ外周縁に形成されたノッチの位置を取得するエッジ検出部と、把持したウェーハを回転するための回転機構部を備え、取得したノッチ位置を基に前記ウェーハの位置合わせするウェーハアライメント装置において、
前記ウェーハ外周縁に接触する各把持アームの接触部には、前記ウェーハ外周縁のノッチが前記把持アームの接触部の位置にある場合にはこのノッチを検出するノッチ検出手段が設けられ、
且つ、前記ノッチ検出手段のうち前記ノッチを検出したノッチ検出手段を有する把持アームがある場合には、少なくともこのノッチ検出したノッチ検出手段を有する把持アームの前記ウェーハの把持状態を解除する解除機構と、この把持状態を解除された把持アームを除く1以上の把持アームの前記ウェーハに対する把持状態を維持する維持機構とを有することを特徴とするウェーハアライメント装置。
【請求項2】
請求項1記載のウェーハアライメント装置において、
前記把持アームは、2組備えられ、
前記解除機構は、前記ノッチ検出手段のうち前記ノッチを検出したノッチ検出手段を有する把持アームがある場合には、このノッチ検出したノッチ検出手段を有する把持アームが属する組の把持アームによる前記ウェーハの把持状態を解除し、
他の組の把持アームは、前記維持機構を介して前記ウェーハに対する把持状態を維持するよう構成されているウェーハアライメント装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のウェーハアライメント装置において、前記ウェーハの把持状態にある把持アームは、前記回転機構部と接続して前記回転機構部と共に回転し、他方、前記ウェーハを把持しない状態にある把持アームは、前記回転機構部との接続が解除され回転しない構成としたウェーハアライメント装置。
【請求項4】
請求項3記載のウェーハアライメント装置において、前記回転機構には、前記把持アーム側に往復移動する連結アーム部を設け、その連結アーム部の先端と前記把持アームには、回転機構部と前記把持アームとを互いに接続する接続部が設けられたウェーハアライメント装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載のウェーハアライメント装置において、前記把持アームは、前記接触部側が前記ウェーハ外周縁から離れるように傾倒する関節部と、その関節部を駆動するアクチュエータとを有するウェーハアライメント装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載のウェーハアライメント装置において、前記回転機構部は、前記ウェーハよりも径の大きい回転円板部を有し、前記把持アームは、前記回転円板部上のウェーハ外側に、ウェーハ径方向に移動可能に配置されるウェーハアライメント装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載のウェーハアライメント装置において、前記ノッチ検出手段は、ウェーハ外周縁と接触し電気的に圧力を取得する手段であるウェーハアライメント装置。
【請求項8】
請求項1記載乃至6のいずれか1項記載のウェーハアライメント装置において、前記ノッチ検出手段は、前記ウェーハの外周縁に接する複数の爪部と、爪部をそれぞれ支持しウェーハ径方向に移動可能な複数の把持ピンとを有し、前記把持ピンの移動量により機械的に前記ノッチを検出する手段であるウェーハアライメント装置。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか1項記載のウェーハアライメント装置において、前記ノッチ検出手段は、前記把持アームと前記ウェーハとの接触形状を撮像する手段であるウェーハアライメント装置。
【請求項10】
ウェーハを収納する容器と、ウェーハの位置合わせを行うウェーハアライメント装置と、前記容器からウェーハを前記アライメントに搬送するウェーハ搬送ロボットとを備えたウェーハ搬送装置において、請求項1乃至9のいずれか1項記載のウェーハアライメント装置を用いたことを特徴とするウェーハ搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−21257(P2010−21257A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179016(P2008−179016)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】