説明

ウエザストリップ及びその製造方法

【課題】シール性や外観品質を向上させるように押出成形部を型成形部で接続したウエザストリップ及びその製造に際して型成形部の形成範囲内でコア金型を抜き取ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】ウエザストリップ5は、押出成形された押出成形部6と、これの両端部を直線状に接続する型成形部7とからなり、スライディングルーフの周縁に沿って取付けられるトリム部11と、トリム部11から突出する中空シール部15とを備える。型成形部7は、その接続幅W1が2.0mmに設定され、その中空シール部15において、その内周面15cを成形するコア金型を成形後に抜き取るためのコア抜き孔44が形成されている。コア抜き孔44は、中空シール部15の内周面15cの周方向に沿った長さが、当該内周面15cの周長の30%となるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のボディのルーフパネル開口部とこのルーフパネル開口部を開閉する可動ルーフとの間をシールするウエザストリップ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等のボディのルーフパネルに形成されたルーフパネル開口部には、当該ルーフパネル開口部を開閉するスライディングルーフ等の可動ルーフが設けられており、当該可動ルーフの周縁にはウエザストリップが取付けられている。
【0003】
当該ウエザストリップは、可動ルーフの周縁に沿って取付けられる取付基部と、取付基部の側面から突出し、中空部を有する中空シール部とを備えている。そして、可動ルーフを閉めたときに、中空シール部がルーフパネル開口部の周縁部に圧接されることによって、ルーフパネルと可動ルーフとの間がシールされるようになっている。
【0004】
この種のウエザストリップは、一般に、押出成形により長尺状に形成された1本の押出成形部の端部同士がつなぎ合わされて環状に形成される。すなわち、押出成形部の端部が金型装置内に支持固定された状態で、その端部間に射出成形により型成形部が成形されることで、端部同士が接続されて環状のウエザストリップが形成される。
【0005】
上記のように中空シール部を備えたウエザストリップにおいては、型成形部の成形に際し、金型装置内のキャビティ内に中空部を形成するためのコア金型を配置しておく必要がある。このコア金型は、中空部を形成するためのコア本体と、該コア本体から外部に突出する把持部とから構成される。コア本体は、ゴム等の弾性材料でその大部分が包まれることになるのであるが、型成形部の成形後には、当該コア本体を成形品の中空シール部から抜き取る必要がある。
【0006】
このため、従来では、押出成形部の端部近傍の中空シール部に、コア本体の抜き取り用の開口部、いわゆる「コア抜き孔」を設けておく必要があった(例えば、特許文献1参照。)。かかる構成では、型成形前にコア抜き孔を形成する工程が必要となり、また、このコア抜き孔を介してコア本体を配置し、さらにコア本体の先端に他方の押出成形部の中空シール部の端部を挿入しなければならず、挿入の容易性を考慮してコア本体の先端をテーパ状にすると挿入代及び型成形部の幅が広くなり、生産性の低下やコスト増大などの不具合が生じるおそれがあった。
【0007】
これに対し、接着媒体となるシート材を挟んで、押出成形部の端部を対峙させ、熱加工して接合する技術なども提案されている(例えば、特許文献2参照。)。かかる構成では、接続部の幅寸法を小さくすることができるが、接続部において中空部が塞がれてしまうため、可動ルーフ等の開閉部材の閉鎖時における荷重が接続部近傍にて局部的に大きくなるおそれがある。また、シート材の厚みに合わせて押出成形部の長さ調整や端部の位置決めをより厳密に行う必要があるとともに、取付基部の溝部等も塞がれてしまうため、接合工程後にシート材を切断する工程が不可欠となり、生産性の低下やコスト増大などの不具合が生じるおそれがあった。さらに、押出成形部と接合部との間に段差が生じやすく、シール性の低下なども懸念される。
【0008】
上記従来技術よりも生産性の低下やコスト増大を抑制可能な技術として、型成形部の範囲内にコア抜き孔を設ける技術も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭59−169929号公報
【特許文献2】特開2000−263649号公報
【特許文献3】特開平7−164978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献3の特開平7−164978号公報に記載のウエザストリップは、ウエザストリップ長手方向における型成形部の幅(接続幅)が比較的大きく、そこに形成される開口部もコア抜き孔のみならず、エア抜き孔としても利用される開口面積の比較的大きなものであるため、見映えが悪く、外観品質の低下等を招くおそれがあった。
【0011】
さらに、型成形部に大きな開口部が形成されることで、型成形部とその近傍の押出成形部と間で、開閉部材の閉鎖時にかかる荷重差が大きくなり、シール性が低下するおそれもある。
【0012】
さらにまた、この荷重差が大きくなるのを防止するため、特開平7−164978号公報に記載のウエザストリップでは、開閉部材の閉鎖時に中空シール部を支持しつつ開口部を閉塞する支持リップが設けられている。このような支持リップが設けられると、コア抜き作業が行いにくくなるおそれがある。
【0013】
なお、中空シール部が取付基部の側面にあり、中空シール部の一部を取付基部の側壁が構成している場合においては、上述した中空シール部内に設置されるコア本体の一部が取付基部の側壁を形成し、しかも取付基部はその形状を保持できる肉厚で形成されるものであるため、コア本体の抜き取り作業時には、中空シール部のシール壁側部分の変形だけに頼ることになり、コア抜き作業が行いにくくなる。
【0014】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、外観品質が良好でかつシール性の低下等を招かないルーフパネルの外周部に取付けられるウエザストリップを提供することにある。また、押出成形部を型成形部で接続するウエザストリップを製造するに際し、ウエザストリップの外観品質やシール性の低下等を招くことなく、コア金型を型成形部の範囲内の比較的狭い幅において抜き取ることができるウエザストリップの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下、上記問題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0016】
手段1.押出成形された押出成形部(押出成形一般部)と、当該押出成形部の端部を直線状に接続する型成形部(型成形接続部)とから構成され、
ボディのルーフパネル開口部を開閉する可動ルーフの周縁に取付けられる取付基部と、
該取付基部から突出するように設けられ、前記可動ルーフの閉鎖時に前記ルーフパネル開口部の周縁に圧接されるシール壁を備えた中空シール部とを有してなるウエザストリップであって、
前記型成形部は、
ウエザストリップ長手方向における幅(接続幅)が0.5mm以上3.0mm以下となるように形成されるとともに、
その中空シール部において、当該中空シール部の内周面を成形するためのコア金型部材を成形後に抜き取るためのコア抜き孔が形成され、
当該コア抜き孔は、
前記ルーフパネル開口部の周縁に圧接される前記シール壁のシール面を除く範囲において、前記中空シール部の内周面の周方向に沿った長さが、当該内周面の周長の15%以上45%以下となるように形成されていることを特徴とするウエザストリップ。
【0017】
上記手段1によれば、型成形部の中空シール部の成形に使用するコア金型部材を成形後に抜き取るためのコア抜き孔が型成形部自体(型成形部の範囲内の比較的狭い幅)に設けられる。すなわち、本手段では、型成形部の接続幅が0.5mm以上3.0mm以下と比較的狭く、ひいてはそこに開口するコア抜き孔の開口面積も比較的小さいため、型成形部及びコア抜き孔が目立ちにくいものとなる。結果として、見映えが向上し、外観品質の向上を図ることができる。
【0018】
型成形部の接続幅を0.5mm未満としてしまうと、コア金型部材のコア本体を支持する把持部を非常に薄肉なものとしなければならず、コア金型部材の強度確保が難しく、金型の耐久性が低下するおそれがある。一方、型成形部の接続幅が3.0mmを越えるものは、見映えが悪くなるおそれがある。
【0019】
また、本手段のコア抜き孔は、中空シール部の内周面の周方向に沿った長さが、当該内周面の周長の15%以上45%以下となるように形成されている。尚、より好ましくは、25%以上40%以下となるように形成されている。また、一般的なウエザストリップの中空シール部の内周面(コア本体の外周面)の周長が30mm〜50mmであることを考慮すれば、コア抜き孔を型成形部の接続幅全域(最大で3.0mm)に設けたとしても、本手段のコア抜き孔は、ウエザストリップ長手方向よりも中空シール部の周方向に長いものとなる。なお、押出成形部に事前にコア抜き孔を形成する工程が不要となる。また、背景技術に記載したような押出成形部の接続に特殊なシート材等を使用する必要もない。結果として、生産性の低下やコスト増大を抑制することができる。
【0020】
また、シート材により中空シール部が塞がれることもないため、可動ルーフの閉鎖時における荷重が接続部近傍にて局部的に大きくなるおそれもない。さらに、型成形部と押出成形部との間に段差が生じにくく、シール性の低下を抑制することができる。
【0021】
また、本手段の構成によれば、可動ルーフの閉鎖時に中空シール部を支持しつつコア抜き孔を閉塞する上記の背景技術に記載したような支持リップなどを設けずとも、型成形部とその近傍の押出成形部と間における可動ルーフの閉鎖時にかかる荷重差が大きくならない。
【0022】
結果として、本手段によれば、ウエザストリップのシール性や外観品質の低下等を招くことはない。
【0023】
手段2.前記取付基部は、前記可動ルーフの周縁に沿って取付けられ、外周側側壁部及び内周側側壁部並びに両側壁部を連結する連結部を具備する断面略U字状をなし、
前記外周側側壁部の端部から斜め外側に延出しかつ前記シール壁とともに前記中空シール部の一部を構成する延出基部、又は、前記シール壁から斜め外側又は真下に延びる水切りリップを備え、
前記水切りリップに隣接する前記シール壁又は前記延出基部のいずれか一方の位置に、前記コア抜き孔を設けたことを特徴とする手段1に記載のウエザストリップ。
【0024】
上記手段2によれば、取付基部を断面略U字状としているのでフランジ部への取付けが容易になる。また、コア抜き孔を水切りリップに隣接する位置に設けることにより、中空部内に水が残留することなく水切りリップをつたって排出させることができるとともに、延出基部に設けた場合には、コア抜き孔を隠すことができ、型成形部にコア抜き孔が存在しても、ウエザストリップのシール性や外観品質の低下を防止することができる。
【0025】
手段3.前記型成形部は、前記取付基部や前記中空シール部を合わせた全体がIRHD40度のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)により形成されていることを特徴とする手段1又は2に記載のウエザストリップ。
【0026】
上記手段3によれば、型成形部の全体がIRHD40度の比較的軟質のTPVで形成されているため、型成形部の中空シール部と押出成形部の中空シール部(スポンジゴム製)の反発力を同等にすることができ、シール性の低下を防止することができる。また、型成形部の取付基部においては、その剛性が押出成形部より低くなり、取付安定性が悪くなるように思われるが、型成形部はウエザストリップの長手方向に対して短い区間のため、両隣りの押出成形部の取付基部の剛性が補助するため、軟質TPVで構成されていても取付安定性が悪くなるようなことはない。
【0027】
さらに、型成形部の全体を中空シール部の剛性に合わせて1つの材料(軟質TPV)で構成できるので、各部の剛性に合わせて2色成形したものに比べて成形が容易かつ安価にできる。
【0028】
手段4.押出成形された押出成形部と、当該押出成形部の端部を直線状に接続するようにして、複数の金型部材からなる金型装置によって成形された型成形部とから構成されるとともに、
ボディのルーフパネル開口部を開閉する可動ルーフの周縁に取付けられる取付基部と、
該取付基部から突出するように設けられ、前記可動ルーフの閉鎖時に前記ルーフパネル開口部の周縁に圧接されるシール壁を備えた中空シール部とを有してなるウエザストリップの製造方法であって、
前記型成形部の成形に際し、前記型成形部の中空シール部の内周面を成形するコア本体と該コア本体から突出する把持部とからなるコア金型部材のうち、前記コア本体の両端がそれぞれ前記押出成形部の中空シール部の端末に挿入された状態で、ウエザストリップ長手方向における前記型成形部の接続幅が0.5mm以上3.0mm以下となるように、前記コア金型部材を前記金型装置の所定位置に設定し、前記金型部材を閉じて、前記金型装置内にキャビティを形成し、該キャビティに型成形部の材料を充填して、型成形部を形成するとともに、
当該型成形部には、少なくとも前記把持部により、前記コア本体を成形後に抜き取るためのコア抜き孔が、前記中空シール部のうち前記ルーフパネル開口部の周縁に圧接される前記シール壁のシール面を除く範囲において、前記中空シール部の内周面の周方向に沿った長さが当該内周面の周長の15%以上45%以下となるように形成されるようにし、
前記型成形部を形成して前記金型装置の金型部材を型開した後に、前記コア抜き孔から前記コア本体を取出すようにしたことを特徴とするウエザストリップの製造方法。
【0029】
上記手段4によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。なお、本手段では、ウエザストリップ長手方向に対するコア抜き孔の幅が最大でも3.0mmと比較的狭く設定されている分、中空シール部の周方向に対するコア抜き孔の長さをある程度確保する必要がある。コア本体のウエザストリップ長手方向に対する長さにもよるが、最大でも3.0mm幅の中空シール部を形成できるコア本体のコア抜き作業を行うためには、中空シール部の内周面の周方向に沿ったコア抜き孔の長さが、最低でも中空シール部の内周面(コア本体の外周面)の周長の15%以上であることが好ましい。なお、コア抜き孔がシール壁に設けられる場合には25%以上であることがより好ましい。仮にコア抜き孔の長さが中空シール部の内周面の周長の15%を下回る場合には、コア金型部材を容易に抜き取れず、コア抜き孔周縁が破れる等の不具合が生じるおそれがある。
【0030】
その反面、中空シール部の周方向に対する長さが長すぎては、シール面の確保や水の浸入防止を図ることが困難となる。このため、中空シール部の周方向に対するコア抜き孔の長さは、中空シール部の内周面の周長の45%以下とすることが好ましい。なお、コア抜き孔がシール壁に設けられる場合には40%以下とすることがより好ましい。
【0031】
手段5.前記複数の金型部材のうち、前記コア本体の外周面と対向する所定の金型部材において、前記コア本体に挿入された前記押出成形部を係り止める係止突起を形成したことを特徴とする手段4に記載のウエザストリップの製造方法。
【0032】
上記手段5によれば、係止突起を設けることにより、押出成形部の長手方向の比較的広範囲を挟持しなくとも、十分に保持することが可能となり、キャビティ内への材料射出時の射出圧により押出成形部がコア本体から外れてしまうおそれを低減することができる。これにより、押出成形部へのコア本体の挿入量を少なくすることができるため、コア本体の長さを短くし、ひいてはコア抜き孔を比較的小さく形成することが可能となる。結果として、コア抜き作業が行いやすくなり、生産性の向上が図られるとともに、外観品質の向上を図ることができる。
【0033】
なお、コア本体に係止突起を設けることも可能である。ただし、コア本体が大きくなってしまい、コア本体の挿入・抜き作業が行いにくくなるので、対向する金型部材のみに係止突起を設けることが好ましい。
【0034】
手段6.前記型成形部の材料として、IRHD40度のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)を用いたことを特徴とする手段4又は5に記載のウエザストリップの製造方法。
【0035】
上記手段6によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏される。また、通常、型成形部を成形するに際しては、コア本体の両端部をそれぞれ押出成形部の中空シール部の端部に挿入するとともに、金型装置にセットし、金型装置のキャビティ内へ材料を供給する。この時の射出圧により押出成形部がコア本体から外れてしまわないように、当該コア本体と所定の金型部材との間で押出成形部の端部を挟持する。しかしながら、従来、型成形部の材料として使用されるEPDM等のスポンジゴム材料は比較的粘度が高く、高圧で射出する必要があるため、押出成形部の長手方向の広範囲を挟持する必要があった。つまり、押出成形部の両端部へのコア本体の挿入量も多く必要となり、コア本体自体の長さ、ひいてはそれを抜き取るためのコア抜き孔の長さもウエザストリップの長手方向に対し長いものとなってしまうおそれがあった。また、EPDM等のゴム材料は金型部材に高熱をかけて加硫する必要があるため、金型部材で押え付けられた押出成形部の端部に、その痕跡が残ってしまうおそれがあった。
【0036】
これに対し、本手段によれば、型成形部の材料がEPDM等よりも粘度が低く、加硫を必要としないTPVにより構成されているため、材料の射出圧により押出成形部の端部がコア本体から外れるおそれも少なくなる。結果として、押出成形部を挟持する範囲を短くすることができ、コア抜き作業が行いやすくなり、生産性の向上が図られるとともに、外観品質の向上を図ることができる。
【0037】
さらに、TPVを用いることで、加硫工程を省略でき、生産性の向上を図ることができるとともに、押出成形部に上記痕跡が残ることもない。また、ゴム材料を用いた場合に比べ、コア抜き作業においてコア抜き孔の周縁にやぶれ等が生じにくい。
【0038】
さらに、上記手段5のように、押出成形部の中空シール部の外周面を係止突起により係止した場合でも、その痕跡が残りにくいため、その作用効果は大きい。
【0039】
手段7.前記型成形に際しては、前記複数の金型部材のうちの所定の金型部材が、前記把持部における前記中空シール部の周方向一方側に当接しかつ前記コア本体に当接するように配置されるとともに、前記キャビティに材料が充填された後、前記コア金型部材から前記所定の金型部材を相対に離間させることで、前記コア抜き孔の一部が形成されるようにしたことを特徴とする手段4乃至6のいずれか1つに記載のウエザストリップの製造方法。
【0040】
上記手段7によれば、コア金型部材の把持部のみならず、これに当接する所定の金型部材によってもコア抜き孔の一部が形成される。つまり、中空シール部の周方向に対して、把持部の幅よりも長いコア抜き孔が形成される。これにより、ウエザストリップ長手方向に対しコア抜き孔がより広く開口できるようになるため、コア抜き作業をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】自動車のルーフパネル等を示す斜視図である。
【図2】ウエザストリップの正面図である。
【図3】ウエザストリップを示す図2のJ−J線断面図である。
【図4】スライディングルーフに取付けた状態のウエザストリップを示す断面図である。
【図5】ウエザストリップの型成形部分を示す斜視図である。
【図6】ウエザストリップを示す図2のK−K線断面図である。
【図7】型成形部の中空シール部等を示す一部拡大断面図である。
【図8】型成形部成形用の金型装置を示す断面図である。
【図9】キャビティ内に材料を充填した状態を示す金型装置の断面図である。
【図10】押出成形部が嵌め込まれた状態の各種金型を示す断面図である。
【図11】別の実施形態のウエザストリップの型成形部分を示す断面図である。
【図12】別の実施形態のウエザストリップの型成形部成形用の金型装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1は自動車のルーフパネル等を示す斜視図である。図2はウエザストリップを示す正面図である。図3はウエザストリップを示す図2のJ−J線断面図である。
【0043】
図1に示すように、自動車等のボディのルーフパネル1には、ルーフパネル開口部2が形成されるとともに、当該ルーフパネル開口部2を開閉する可動ルーフとしてのスライディングルーフ3が設けられている。スライディングルーフ3の周縁には、スライディングルーフウエザストリップ5(以下、単に「ウエザストリップ5」という)が設けられている。
【0044】
図2に示すように、本実施形態のウエザストリップ5は、押出成形によりほぼ直線状に形成される押出成形部6と、押出成形部6の両端末部同士を直線状に接続する型成形部7(図2、図5で散点模様を付した部分)とを備えてなり、全体として環状をなしている。
【0045】
図3に示すように、押出成形部6は、内周側側壁部12と、外周側側壁部13と、両側壁部12、13を連結する連結部14とを具備し、断面略U字状をなす取付基部としてのトリム部11と、外周側側壁部13から車外側に突出して設けられ、内部に中空部15aを有し、円弧状のシール壁15bを有した中空シール部15とを備えている。
【0046】
外周側側壁部13には、その下端部において、ウエザストリップ内周側(図3左側)に向かって突出した保持突起17が一体形成されている。さらに、押出成形部6には、外周側側壁部13の下端部から斜め外側(ウエザストリップ外周側)に延出する延出基部24が設けられるとともに、この延出基部24の下端からさらに斜め外側に延びる水切りリップ25が設けられている。なお、水切りリップ25は延出基部24の下端から真下に延びていても良い。
【0047】
また、内周側側壁部12には、その上端部からウエザストリップ内周側に向けて延出した車外側シールリップ18が一体形成され、その下端部からウエザストリップ内周側に向けて延出した車内側シールリップ19が一体形成されている。
【0048】
車内側シールリップ19は、車内側(図3下側)の本体リップ19aと、車外側(図3上側)の補助リップ19bとからなり、両リップ19a,19b間に中空部19cを有している。
【0049】
トリム部11は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)ソリッドゴムにより構成され、中空シール部15のシール壁15bは、EPDMスポンジゴムにより構成されている。また、車外側シールリップ18の外表面には、EPDMスポンジゴムよりなる被覆層20が、中空シール部15のシール壁15bから延出するように形成されている。
【0050】
また、図4に示すように、スライディングルーフ3は、平板状のガラスパネル21と、ガラスパネル21の周囲に設けられたロ字状のフレーム22とから構成されている。また、スライディングルーフ3の周縁には、フレーム22の端部が車外側に折り返されるようにして、フランジ部23が形成されている。このフランジ部23にトリム部11が嵌め込まれることで、ウエザストリップ5がスライディングルーフ3の周縁に保持される。かかる状態において、車外側シールリップ18はガラスパネル21の車外側上面に圧接され、車内側シールリップ19はガラスパネル21の周縁部に圧接される。これにより、ガラスパネル21とフレーム22との間がシールされた状態となる。
【0051】
そして、スライディングルーフ3の閉鎖時においては、中空シール部15のシール壁15bのシール面がルーフパネル開口部2の周縁に圧接して潰れ変形することで(図4の二点鎖線参照)、スライディングルーフ3とルーフパネル1との間がシールされる。
【0052】
さらに、押出成形部6においては、水切りリップ25と延出基部24との境界位置でシール壁15bの端部が接合されている。そのため、水切りリップ25の存在により、シール壁15bの表面をつたってきた雨水等の水は、水切りリップ25の先端からルーフパネル1のドリップ溝に落下して雨水等の車内への進入を防止することができる。
【0053】
一方、型成形部7は、図5に示すように、ウエザストリップ長手方向(図5の左右方向)における接続幅W1が2.0mmとなるように形成されている。型成形部7についても、図6に示すように、基本的には押出成形部6とほぼ同様の断面形状を有しており、トリム部11及び中空シール部15等を備えている。但し、型成形部7においては、その全体がIRHD(国際ゴム硬度)40度の動的架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)により構成されている点、補助リップ19b及び被覆層20が設けられていない点において押出成形部6と若干相違している。
【0054】
さらに、型成形部7においては、図5〜図8に示すように、当該型成形部7の中空シール部15の内周面15c(中空部15a)を成形するためのコア金型部材58(図8参照)を成形後に抜き取るためのコア抜き孔44が形成されている。なお、コア抜き孔44は、水切りリップ25に隣接するシール壁15bに設けられており、中空部15a内に雨水等が溜るような部位を形成しないように設けられている。また、コア金型部材58の詳細については後述するが、以下、コア金型部材58をはじめ、他の金型部材については、「部材」の文言を省略して表現する。
【0055】
コア抜き孔44は、中空シール部15のシール壁15bのうち、ルーフパネル開口部2の周縁と圧接するシール面となる範囲W2を除く範囲で、スライディングルーフ3への取付状態において下側(車内側)に位置する部位に形成されている。
【0056】
コア抜き孔44は、ウエザストリップ長手方向において型成形部7の全域(2.0mm幅)に設定されるとともに、中空シール部15の内周面15cの周方向に沿った長さW3が、当該内周面15cの周長W0(図7参照)の30%となるように設定されている。なお、中空シール部15の内周面15cは、シール壁15bの内側面と、延出基部24の外側面とで構成されている。
【0057】
次に、型成形部7を成形するための金型装置51について説明する。図8は、型成形部7を成形するために使用される金型装置51を示す断面図である。金型装置51は、例えば図の下側に位置する固定型52と、複数の可動型(第1の可動型53、第2の可動型54、第3の可動型55、第4の可動型56)とを備えている。また、第2の可動型54と第3の可動型55との間には、コア金型58が設けられる。第1〜第4の可動型53〜56は、図示しないシリンダ等により固定型52に対し相対移動可能に設けられている。なお、固定型52に対して、第1の可動型53、第2の可動型54、第4の可動型56を移動させた後、第3の可動型55とコア金型58を一緒に固定型52から移動させ、第3の可動型55をコア金型58から離れる方向に移動させ、最後にコア金型58を成形品から外す。
【0058】
コア金型58は、コア本体59と、該コア本体59から一体的に延びる把持部60とを備えている。
【0059】
コア本体59は、図10に示すように、中空シール部15内に挿入される挿入部59aの長さW4がそれぞれ3.0mmに設定されるとともに、把持部60の厚みW5が2.0mmに設定されている。
【0060】
固定型52及び各可動型53〜56には、型成形部7の外形形状に対応した成形面がそれぞれ形成されている。また、コア本体59は、中空シール部15の内周面15c(中空部15a)を形成するためのものであって、固定型52及び各可動型53〜56で囲まれた空間の中央に設置される。そして、これら成形面及びコア本体59の外面によって、型成形部7を成形するためのキャビティ61(図8参照)が形成されている。
【0061】
また、図10に示すように、第1の可動型53には、コア本体59の挿入部59aの外周面と対向する位置において、当該挿入部59aに嵌め込まれる押出成形部6を係り止めるための一対の係止突起53aが形成されている。一対の係止突起53aは、ウエザストリップ長手方向(図10の上下方向)に沿った断面形状がそれぞれ直角三角形状をなし、第1の可動型53の成形面に直交する面が互いに相対向するように形成されている。なお、図示は省略するが、第2の可動型54にも同様の係止突起が形成されている。
【0062】
次に、上記の構成を有してなるウエザストリップ5の製造方法及び製造に際しての作用効果について説明する。
【0063】
まず、図示しない押出成形機を用い、公知の押出成形法により押出成形部6を成形する。そして、装着しようとするスライディングルーフ3のフランジ部23の周長に応じた所定の長さに押出成形部6を切断する。
【0064】
続いて、押出成形部6の両端部間を型成形部7により接続する。より詳しくは、各型52〜56等を相互に型開きした状態で、長尺状の押出成形部6を湾曲させ、その両端部が向かい合うように、その中空シール部15をコア金型58のコア本体59の長手方向(図10の上下方向)両端部にそれぞれ嵌め込み、可動型53〜56及びコア金型58を固定型52に対し所定位置にセットし型締めする。これにより、押出成形部6が金型装置51に対し取付固定されるとともに、図8に示すように、キャビティ61が形成される。
【0065】
型締めが完了すると、図10に示すように、コア本体59に嵌め込まれた押出成形部6は、その両端部が型成形部7の接続幅W1(2.0mm)分だけ間隔をあけた状態で対峙するとともに、第1の可動型53等の係止突起53aによりコア本体59からの抜け落ちが防止された状態となる。
【0066】
また、型締めされた状態では、図8に示すように、第3の可動型55が、コア本体59の下面に当接するとともに、当該下面に連続する把持部60の下面にも当接している。
【0067】
そして、この状態で図9に示すように、キャビティ61内に、可塑化状態にあるTPVを図示しないゲートより注入し、充填させる。その後、TPVを固化させる。このとき、型成形部7の中空シール部15には、把持部60及びこれに当接した第3の可動型55の存在によりコア抜き孔44が形成される。
【0068】
TPVの固化完了後、可動型53〜56を型締めとは逆に順次型開きして、成形された型成形部7をコア金型58とともに固定型52から離型する。
【0069】
この段階で、コア本体59と第3の可動型55とが離間した部位では、コア本体59が露出した状態となる。つまり、コア抜き孔44の一部が開口した状態となる。
【0070】
続いて、型成形部7を別途支持した状態で、把持部60を把持し、中空シール部15から引き抜くことにより、コア抜き孔44からコア本体59が取り出される。これにより、中空シール部15の内部には中空部15aが形成される。
【0071】
このようにして、押出成形部6の両端部が型成形部7により接続形成された環状のウエザストリップ5が得られる。
【0072】
以上詳述したように、本実施形態によれば、型成形部7の中空シール部15の成形に使用するコア金型58を成形後に抜き取るためのコア抜き孔44が型成形部7自体に設けられる。このため、押出成形部6に事前にコア抜き孔を形成する工程が不要となる。また、押出成形部6の接続に特殊なシート材等を使用する必要もない。結果として、生産性の低下やコスト増大を抑制することができる。
【0073】
また、シート材により中空シール部15が塞がれることもないため、スライディングルーフ3の閉鎖時における荷重が接続部近傍にて局部的に大きくなるおそれもない。さらに、型成形部7と押出成形部6との間に段差が生じにくく、シール性の低下を抑制することができる。
【0074】
加えて、型成形部7の接続幅W1が2.0mmと比較的狭く、ひいてはそこに開口するコア抜き孔44の開口面積も比較的小さいため、型成形部7及びコア抜き孔44が目立ちにくいものとなる。結果として、見映えが向上し、外観品質の向上を図ることができる。
【0075】
さらに、コア抜き孔44の開口面積が比較的小さいため、スライディングルーフ3の閉鎖時に中空シール部15を支持しつつコア抜き孔44を閉塞する支持リップなどを設けずとも、型成形部7とその近傍の押出成形部6と間におけるスライディングルーフ3の閉鎖時にかかる荷重差が大きくならない。また、コア抜き作業の妨げとなる支持リップ等を設ける必要がない。さらにまた、コア抜き孔44を水切りリップ25に隣接して設けたため、中空部15a内に雨水等が溜るような事はない。
【0076】
コア抜き孔44は、ウエザストリップ長手方向における幅が2.0mmと比較的狭く設定されている分、中空シール部15の内周面15cの周方向に沿った長さW3が、当該内周面15cの周長W0の30%となるように比較的長め設定されているため、コア抜き作業が行いにくくなるおそれもない。
【0077】
結果として、本実施形態のウエザストリップ5及びその製造方法によれば、シール性や外観品質の低下等を招くことなく、コア金型58を比較的容易に抜き取ることが可能となる。
【0078】
また、第1の可動型53等には、コア本体59に嵌め込まれる押出成形部6を係り止めるための一対の係止突起53aが形成されている。これにより、キャビティ61内への材料射出時の射出圧により押出成形部6がコア本体59から外れてしまうおそれを低減することができる。
【0079】
さらに、型成形部7が、EPDM等のゴム材料よりも粘度が低く、加硫を必要としないIRHD40度のTPVにより構成されており、材料の射出圧により押出成形部6がコア本体59から外れるおそれもない。
【0080】
その結果、ゴム材料により成形する場合に比べて、押出成形部6を挟持する範囲を短くすることが可能となる。また、本実施形態のように、コア本体59の挿入部59aの長さW4を3.0mmにするといったように、押出成形部6へのコア本体59の挿入量を少なくすることができるため、コア本体59の長さを短くし、ひいてはコア抜き孔44を比較的小さく形成することが可能となる。
【0081】
また、TPVを用いることで、ゴム材料を加硫する際に高温となる金型によって付される痕跡が押出成形部6に残ることもなく、係止突起53aにより係止した痕跡なども残りにくくなる。さらに、TPVを用いることで、加硫工程を省略できる。
【0082】
結果として、コア抜き作業が行いやすくなり、生産性の向上が図られるとともに、外観品質の向上を図ることができる。
【0083】
また、型成形に際しては、コア金型58の把持部60のみならず、これに当接する第3の可動型55によってもコア抜き孔44の一部が形成される。つまり、中空シール部15の周方向に対して、把持部60の幅よりも長いコア抜き孔44が形成される。これにより、ウエザストリップ長手方向に対しコア抜き孔44がより広く開口できるようになるため、コア抜き作業をより容易に行うことができる。
【0084】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0085】
(a)上記実施形態では、可動ルーフとしてのスライディングルーフ3の周縁に装着されるウエザストリップ5に具体化されているが、これに限らず、例えばチルト式のものなど、ルーフパネル開口部を開閉可能な他の可動ルーフの周縁に装着されるウエザストリップに具体化してもよい。
【0086】
(b)上記実施形態では、型成形部7のウエザストリップ長手方向における接続幅W1が2.0mmに設定されているが、接続幅W1はこれに限定されるものではない。但し、型成形部7の接続幅W1を0.5mm未満としてしまうと、コア金型58の把持部60を非常に薄肉なものとしなければならず、コア金型58の強度確保が難しく、金型装置51の耐久性が低下するおそれがある。一方、型成形部7の接続幅W1が3.0mmを越えるものは、見映えが悪くなるおそれがある。よって、型成形部7の接続幅W1が0.5mm以上3.0mm以下に設定されることが好ましい。
【0087】
(c)上記実施形態では、中空シール部15の内周面15cの周方向に沿ったコア抜き孔44の長さW3が、当該内周面15cの周長W0の30%となるように設定されているが、コア抜き孔44の長さW3はこれに限定されるものではない。但し、コア抜き孔44の長さW3が中空シール部15の内周面15cの周長W0の15%を下回る場合には、コア本体59を容易に抜き取れず、コア抜き孔44周縁が破れる等の不具合が生じるおそれがある。一方、コア抜き孔44の長さW3が中空シール部15の内周面15cの周長W0の45%を越える場合には、シール面の確保や水の浸入防止を図ることが困難となるおそれがある。よって、コア抜き孔44の長さW3が中空シール部15の内周面15cの周長W0の15%以上45%以下となるように設定されることが好ましい。また、コア抜き孔44がシール壁15bに設けられる場合には、その長さW3を内周面15cの周長W0の25%以上40%以下に設定することがより好ましい。
【0088】
(d)上記実施形態では、型成形部7がTPVにより構成されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の他の材料により構成されることとしてもよい。また、TPVの硬度についてもIRHD20度〜60度のものを用いることができる。
【0089】
(e)上記実施形態では、コア抜き孔44が、中空シール部15のうち、スライディングルーフ3への取付状態において下側に位置する部位に形成されている。コア抜き孔44の形成位置は、これに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、延出基部24にコア抜き孔46が形成されることとしてもよい。このようにすれば、コア抜き孔46を人目から隠すことができ、型成形部7にコア抜き孔46が存在しても、ウエザストリップ5のシール性や外観品質の低下を防止することができる。
【0090】
なお、図11に示すような型成形部7を成形するために使用される金型装置としては、例えば図12に示すような金型装置151が一例に挙げられる。金型装置151は、同図の下側に位置する固定型152と、複数の可動型(第1の可動型153、第2の可動型154、第3の可動型155、第4の可動型156)とを備えている。また、固定型152と第3の可動型155との間には、コア金型158が設けられる。コア金型158は、コア本体159と、該コア本体159から一体的に延びる把持部160とを備えている。
【0091】
(f)上記実施形態では、第1の可動型53等において、コア本体59の挿入部59aに嵌め込まれる押出成形部6を係り止める一対の断面直角三角形状の係止突起53aが形成されている。係止突起53aの構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、断面二等辺三角形のものや、断面四角形状のものを採用してもよい。但し、押出成形部6の抜けを防止する点においては、上記実施形態のように、一対の係止突起の対向面として、ウエザストリップ長手方向に直交する直交面を有することが好ましい。また、係止突起53aを省略した構成としてもよい。
【0092】
なお、コア本体59側に係止突起を設けることも可能であるが、かかる場合、コア本体59が大きくなってしまい、コア抜き作業が行いにくくなるとともに、コア抜き作業中に係止突起により、コア抜き孔44の周縁がやぶれてしまうおそれもあるため、コア本体59と対向する第1の可動型53等に設ける方がより好ましい。
【0093】
(g)上記実施形態では、型成形に際しては、コア金型58の把持部60のみならず、これに当接する第3の可動型55によってもコア抜き孔44の一部が形成される構成となっているが、これに限らず、コア金型58の把持部60のみによって、コア抜き孔44が形成される構成としてもよい。
【0094】
(h)上記実施形態では、外周側側壁部13の下端とシール壁15bの下端との間を延出基部24により接続したものを示したが、中空部15aの断面が小さい場合は延出基部24を省略し、外周側側壁部13の下端とシール壁15bの下端とが直接接続され、当該接続部位から水切りリップ25が延出した構成としてもよい。なお、この場合、コア抜き孔44はシール壁15bに設けるものである。
【0095】
(i)上記実施形態では、特に言及していないが、ウエザストリップ5のコーナー部における中空部15aの潰れを防止するために、当該コーナー部の中空部15a内にパッドを挿入した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…ルーフパネル、2…ルーフパネル開口部、3…スライディングルーフ、5…ウエザストリップ、6…押出成形部、7…型成形部、11…トリム部、12…内周側側壁部、13…外周側側壁部、14…連結部、15…中空シール部、15a…中空部、15b…シール壁、15c…内周面、24…延出基部、25…水切りリップ、44…コア抜き孔、51…金型装置、52…固定型、53〜56…可動型、53a…係止突起、58…コア金型、59…コア本体、60…把持部、61…キャビティ、W0…中空シール部の内周面の周長、W1…型成形部の接続幅、W2…シール面の範囲、W3…コア抜き孔の長さ、W4…挿入部の長さ、W5…把持部の厚み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形された押出成形部と、当該押出成形部の端部を直線状に接続する型成形部とから構成され、
ボディのルーフパネル開口部を開閉する可動ルーフの周縁に取付けられる取付基部と、
該取付基部から突出するように設けられ、前記可動ルーフの閉鎖時に前記ルーフパネル開口部の周縁に圧接されるシール壁を備えた中空シール部とを有してなるウエザストリップであって、
前記型成形部は、
ウエザストリップ長手方向における幅が0.5mm以上3.0mm以下となるように形成されるとともに、
その中空シール部において、当該中空シール部の内周面を成形するためのコア金型部材を成形後に抜き取るためのコア抜き孔が形成され、
当該コア抜き孔は、
前記ルーフパネル開口部の周縁に圧接される前記シール壁のシール面を除く範囲において、前記中空シール部の内周面の周方向に沿った長さが、当該内周面の周長の15%以上45%以下となるように形成されていることを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
前記取付基部は、前記可動ルーフの周縁に沿って取付けられ、外周側側壁部及び内周側側壁部並びに両側壁部を連結する連結部を具備する断面略U字状をなし、
前記外周側側壁部の端部から斜め外側に延出しかつ前記シール壁とともに前記中空シール部の一部を構成する延出基部、又は、前記シール壁から斜め外側又は真下に延びる水切りリップを備え、
前記水切りリップに隣接する前記シール壁又は前記延出基部のいずれか一方の位置に、前記コア抜き孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載のウエザストリップ。
【請求項3】
前記型成形部は、全体がIRHD40度のオレフィン系熱可塑性エラストマーにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のウエザストリップ。
【請求項4】
押出成形された押出成形部と、当該押出成形部の端部を直線状に接続するようにして、複数の金型部材からなる金型装置によって成形された型成形部とから構成されるとともに、
ボディのルーフパネル開口部を開閉する可動ルーフの周縁に取付けられる取付基部と、
該取付基部から突出するように設けられ、前記可動ルーフの閉鎖時に前記ルーフパネル開口部の周縁に圧接されるシール壁を備えた中空シール部とを有してなるウエザストリップの製造方法であって、
前記型成形部の成形に際し、前記型成形部の中空シール部の内周面を成形するコア本体と該コア本体から突出する把持部とからなるコア金型部材のうち、前記コア本体の両端がそれぞれ前記押出成形部の中空シール部の端末に挿入された状態で、ウエザストリップ長手方向における前記型成形部の接続幅が0.5mm以上3.0mm以下となるように、前記コア金型部材を前記金型装置の所定位置に設定し、前記金型部材を閉じて、前記金型装置内にキャビティを形成し、該キャビティに型成形部の材料を充填して、型成形部を形成するとともに、
当該型成形部には、少なくとも前記把持部により、前記コア本体を成形後に抜き取るためのコア抜き孔が、前記中空シール部のうち前記ルーフパネル開口部の周縁に圧接される前記シール壁のシール面を除く範囲において、前記中空シール部の内周面の周方向に沿った長さが当該内周面の周長の15%以上45%以下となるように形成されるようにし、
前記型成形部を形成して前記金型装置の金型部材を型開した後に、前記コア抜き孔から前記コア本体を取出すようにしたことを特徴とするウエザストリップの製造方法。
【請求項5】
前記複数の金型部材のうち、前記コア本体の外周面と対向する所定の金型部材において、前記コア本体に挿入された前記押出成形部を係り止める係止突起を形成したことを特徴とする請求項4に記載のウエザストリップの製造方法。
【請求項6】
前記型成形部の材料として、IRHD40度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いたことを特徴とする請求項4又は5に記載のウエザストリップの製造方法。
【請求項7】
前記型成形に際しては、前記複数の金型部材のうちの所定の金型部材が、前記把持部における前記中空シール部の周方向一方側に当接しかつ前記コア本体に当接するように配置されるとともに、前記キャビティに材料が充填された後、前記コア金型部材から前記所定の金型部材を相対に離間させることで、前記コア抜き孔の一部が形成されるようにしたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のウエザストリップの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−207325(P2011−207325A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76522(P2010−76522)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】