ウエファーアルカリ電池
薄板状構造のウエファーアルカリ電池を開示する。電池は、該電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部を有する。対向する側部は、それらの間に短電池寸法を画定する。該電池は、積層構造を形成するように1つに結合された陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含む。該電池は、陽極材料及び陰極材料を収める単一フレーム又は別個の2つのフレームを含む。陽極アセンブリは、その中に、通常は亜鉛を含む陽極材料を有しており、陰極アセンブリは、その中に、通常は二酸化マンガンを含む陰極材料を有する。電池は、耐久性があり、好ましくは堅く、細長い漏れブロック経路を有し、電解質漏れを起こさない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ほぼ薄板状の構成を有する、面積対厚さのアスペクト比が大きいウエファーアルカリバッテリに関する。本発明は、主態様では、陽極が亜鉛を含み、陰極が二酸化マンガンを含む、ウエファーアルカリバッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアルカリ電気化学電池は、亜鉛を含む陽極と、二酸化マンガンを含む陰極とを有する。電池は、通常、円筒形の外部ハウジングから形成される。新しい電池は、約1.6ボルトの開回路電圧(EMF)を有し、中程度の供給状態(medium drain service)(100〜300ミリアンペア)において典型的な平均動作時電圧約1.0〜1.2ボルトを有する。円筒形ハウジングは、初めに拡大された開口端と反対側の閉止端とから形成される。電池内容物が供給された後、絶縁グロメットと負端子エンドキャップとを備えたエンドキャップアセンブリが、ハウジング開口端に挿入される。開口端は、ハウジング縁部を絶縁グロメットの縁部に被せて圧着し、絶縁グロメットの周りでハウジングを径方向に圧縮して緊密な封止をもたらすことによって閉じられる。絶縁グロメットは、負側のエンドキャップを電池ハウジングから電気的に絶縁する。反対側の閉止端のところで、電池ハウジングの一部分が正端子を形成する。
【0003】
従来の円筒形アルカリ電池は、一般的に認識可能な様々なサイズ、すなわち、AAAA、AAA、AA、C、及びDサイズ電池で入手可能である。同一出願人による米国特許出願第10/722879号(2003年11月26日出願)には、電池内容物が固体金属ケーシングに収められた薄板状電池が記載されている。該金属ケーシングは、閉止端と反対側の開口端とを有する一体型の主要表面を有する。電池内容物は、開口端に挿入され、次いで該開口端がエンドキャップで封止される。エンドキャップは、金属スカートと、プラスチック絶縁グロメットと、グロメット内に配置された金属支柱又はリベットを備えるように設計される。金属スカートは、絶縁グロメットの周りに圧縮され、グロメットは、金属支柱の周りに圧縮されて、両方の境界面に耐アルカリシールを形成する。次いで、エンドキャップアセンブリの金属スカートが溶接によって金属ケーシングに接合される。
【0004】
望ましい電池厚が、より小さく、例えば約6mmよりもはるかに小さくなっているので、そのような電池に陽極材料及び陰極材料を充填することがますます困難になっている。ゆえに、電池厚が約6mm未満、例えば約0.5mm〜6mm、望ましくは約1.5〜4mmのときでも容易に製作して電池内容物で充填できる、扁平又は薄板状アルカリ電池が必要とされている。これによって、薄い角柱型のアルカリ電池が、薄いリチウムイオン電池のような薄い充電式電池によって通常は電力供給される小さい電子デバイス用の一次(非充電式)電源又はバックアップ電源として利用可能になる。また、電池化学及び内部構成要素の適切な調節によって、薄い充電式アルカリ電池を構築することもできる。近年、携帯型ラジオ、オーディオプレイヤー、及び通信デバイスなどの多くの電子デバイスが、より小さく、且つより薄くなっている。ゆえに、そのような小さい電子デバイスで使用するための、全厚の小さい、薄い薄板状のウエファー電池が必要とされている。
【0005】
1次アルカリ電気化学電池には、通常、亜鉛陽極活物質、アルカリ電解質、二酸化マンガン陰極活物質、電解質透過性セパレータフィルム、通常はセルロース又はセルロース繊維若しくはポリビニルアルコール繊維のフィルムが含まれる。陽極活物質には、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はアクリル酸コポリマーのナトリウム塩のような従来のゲル化剤及び電解質と混合された、亜鉛粒子を含めることができる。ゲル化剤は、亜鉛粒子を懸濁させ、且つそれらを互いに接触した状態に維持する働きをする。通常、陽極活物質に挿入された導電性金属の爪は、負端子エンドキャップに電気的に接続された陽極集電体の役割を果たす。電解質は、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化リチウムの水溶液にすることができる。陰極には、通常、電気伝導度を高めるために、導電性添加物、通常はグラファイト材料と混合された電気化学的活物質として粒子状二酸化マンガンが含まれる。所望により、少量のポリマー結合剤、例えば、ポリエチレン結合剤、及びチタン含有化合物のような他の添加物を、陰極に加えることもできる。
【0006】
陰極で使用される二酸化マンガンは、好ましくは、硫酸マンガン及び硫酸の液槽の直接電気分解によって製造される、電解二酸化マンガン(EMD)である。EMDは、高密度且つ高純度であるので望ましい。EMDの電気伝導度(1/固有抵抗)は、かなり低い。個々の二酸化マンガン粒子間の電気伝導度を改善するために、導電性材料が陰極混合物に添加される。そのような導電性添加物は、また、二酸化マンガン粒子と、従来の円筒形アルカリ電池では陰極集電体の役割も果たす電池ハウジングとの間の電気伝導度を改善する。適した導電性添加物には、例えば、アセチレンブラックを含めたカーボンブラックなど、グラファイト、グラファイト状材料、導電性炭素粉末を含めることができる。好ましくは、導電性材料は、薄片状結晶の天然グラファイト、若しくは薄片状結晶の合成グラファイト、或いは膨張若しくは剥離グラファイト又はグラファイト状炭素ナノ繊維、及びこれらの混合物を含む。
【0007】
現在、MP3オーディオプレイヤー及びミニディスク(MD)プレイヤーのような小さな電子デバイスに電力供給するために使用される、小さいサイズの方形の充電式バッテリが利用可能である。これらのバッテリは、通常は小さく、幾分チューインガムのパックのサイズの、方形(直方体)である。本明細書で使用するとき、用語「直方体(cuboid)」は、その通常の幾何学的定義、すなわち、「方形の平行六面体」を意味するものとする。そのようなバッテリは、例えば、国際電気標準会議(IEC)によって規定された該バッテリについての標準サイズに従って、充電式ニッケル金属水素化物(NiMH)サイズF6又は7/5F6サイズの直方体の形態をとることができる。F6サイズは、厚さ6.0mm、幅17.0mm、長さ35.7mm(ラベルを含まない)である。長さを約48.0mmほどの大きさにすることができる、F6サイズの変形形態がある。7/5−F6サイズは、厚さ6.0mm、幅17.0mm、長さ67.3mmである。MP3オーディオプレイヤー又はミニディスク(MD)プレイヤーのような小型のデジタルオーディオプレイヤーに電力供給するために使用されるときには、F6又は7/5F6 NiMH充電式バッテリの平均動作時電圧は、約1.0〜1.2ボルト、通常約1.12ボルトである。
【0008】
ミニディスク(MD)プレイヤーに電力供給するために使用されるときには、バッテリは、約200〜250ミリアンペアの割合で消耗する。デジタルオーディオMP3プレイヤーに電力供給するために使用されるときには、バッテリは、通常約100ミリアンペアの割合で消耗する。
【0009】
小さいサイズの直方体形(方形平行六面体)ニッケル金属水素化物バッテリと同じサイズ及び形状の小さい扁平なアルカリバッテリがあることが望ましく、それによって、ミニディスク又はMP3プレイヤーのような小さい電子デバイスに電力供給するために、その小さいアルカリサイズバッテリをニッケル金属水素化物バッテリと交換可能に使用できるようになる。
【0010】
また、前述したように、全厚が6mm未満、例えば、約0.5〜6mm、好ましくは約1.5〜4mmのウエファーアルカリ電池があることも望ましい。
【0011】
ウエファー電池が、電解質漏れの可能性を最小限に抑える、又は大幅に低減するように設計されることが望ましい。参考文献、M・ハル(M.Hull)、H・ジェイムズ(H.James)、「アルカリ電池は何故漏れるか(Why Alkaline Cells Leak)」、電気化学会雑誌(Journal of the Electrochemical Society)、第124巻、第3号、1977年3月、332〜329頁)、並びにS・デイヴィス(S.Davis)、M・ハル(M.Hull)、「アルカリ電池漏れの側面(Aspects of Alkaline Cell Leakage)」、電気化学会雑誌(Journal of the Electrochemical Society)、第125巻、第12号、1978年12月)では、吸着された水分の存在下で、外部電池負端子上で大気中の酸素が電気化学的に還元されてOH−イオンを形成する観点から、アルカリ電池漏れの一側面が説明されている。次いで、これら電気化学的に発生したOH−イオンは、K(H2O)x+又はNa(H2O)x+のような水和した正イオンを引き付ける。K(H2O)x+又はNa(H2O)x+イオンは、電池内部で発生し、負のシール表面をまたいで電池外部へと移動して、水分を吸着したフィルム内の電気的中性を維持する。これは、KOH又はNaOH電解質を電池内部から端子表面へと引き寄せる傾向にあり、したがって、そのような電解質の電池内部から端子表面への移動(migration)又は沿面移動(creepage)を事実上促進する。
【0012】
また、そのような薄いウエファー電池が、電力消費の大きいデバイス用の長寿命電源として役立つように十分な活物質を含有することも望ましい。したがって、薄いことに加えて、ウエファー電池は、また、かなりの割合でかなりの時間にわたって電気エネルギーを供給するための十分な活物質を含有するように、投影面積及び十分に大きい内部容積を有するべきである。
【0013】
以下の議論では、ウエファー電池は、薄い薄板状の単電池を意味するものとする。電池は、その表面のうちの1つ以上が、平らな表面、又は湾曲した表面若しくはランダムに歪んだ表面であってよい。電池は、均一な厚さであってよく、又はその厚さが地点によって異なってもよい。電池は、任意の点、軸、若しくは平面に関して対称又は非対称であってよい。電池の「設置面積」は、電池の可能な向きすべてが考慮されているときに、任意の平面上の電池の最大直交投影面積として定義される。
【0014】
電池の縁部とは、外表面であり、そのうちの1つ以上が、電池の形状に応じて厚さ寸法を構成することになる。厚さが一定でない電池の場合、厚さは、いずれか所与の点で最大値をもつことになる。電池の面とは、該電池の設置面積を画定し、且つ名目上垂直な厚さ軸を有する、一外表面である。電池が扁平で均一な厚さの場合、どの面の面積も電池設置面積に等しくなる。電池が湾曲している、若しくは不均一な厚さである、又はその両方である場合、どの面の面積も、電池設置面積に合致する、又はそれを上回る可能性がある。同様に、電池の縁部は、均一な厚さである必要はない。
【0015】
そのようなウエファー電池が、例えば側部のうちの少なくとも1つが多角形、或いは円形、卵形、又は少なくとも部分的に曲線状である、様々な全体形状及びサイズに一致するように、容易に製造されることが望ましい。
【0016】
ゆえに、6mm未満の小さい電池厚であっても電池内容物の容易な挿入が可能なように、かかるウエファー電池を容易に製造されるようにすることが望ましい。ウエファー電池は、さらに、発生したガスによる内圧に耐え、機械的誤用及び取扱いによる損傷を起こさず、シール不具合に起因した電解質漏れを回避するように、十分に頑丈で耐久性がなければならない。
【0017】
本発明の主態様は、1次又は2次ウエファーアルカリ電池を対象とする。該ウエファー電池は、電気的エネルギー源の役割を果たすように設計され、負端子及び正端子と、前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部とを含む。対向する側部は、いずれかの地点でそれらの間に平均短電池寸法(厚さ)を画定する。該電池は、積層構造を形成するように1つに結合された陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含む。
【0018】
一態様では、電池を、その中の導電性要素と非導電性要素との間に様々なシール境界面を含んだ、ほぼ薄板状の構成にすることができる。アルカリ電解質に対して耐性のあるシーラントが、これらの境界面内に配置される。シーラントを含むシール境界面は、機械的な設計特徴によって、又は構造用接着剤を用いて、剥離力及び剪断力から保護される。電池内部から2つの電池端子のいずれかへの潜在的漏れ経路が、確実にバッテリ厚さ寸法よりもかなり大きくなるようにするために、新規の電池設計及び上包み(over-wrap)設計が使用される。
【0019】
主態様では、本発明のウエファーアルカリ電池は、亜鉛を含む陽極と、二酸化マンガンを含む陰極と、アルカリ電解質、好ましくは水酸化カリウム水溶液とを有する。ただし、ウエファーアルカリ電池は、他の活物質の陽極及び陰極を有してよく、また、他のアルカリ電解質が可能である。例えば、陽極は、亜鉛、カドミウム、又は水素貯蔵合金(metal hydride alloy)を含んでよく、陰極は、二酸化マンガン、オキシ水酸化ニッケル、酸化銀(Ag2O若しくはAgO、単独若しくは混合で)、酸化銅(CuO)、酸化銀銅(silver copper oxide)(AgCuO2若しくはAg2Cu2O3、単独若しくはそれらの混合で、又はMnO2との混合で)を含んでよい。以上に列挙した陽極材料は、それぞれ、以上に列挙した陰極材料それぞれと組み合わせることができる。アルカリ電解質は、電解質が電池内部から移動する傾向を低減する、水酸化ナトリウム、又は水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの混合物を含んでよい。ウエファー電池は、また、充電式バッテリの形態であってもよい。
【0020】
陽極アセンブリ内又は陰極アセンブリ内にはセパレータ層が含まれており、そのセパレータ層は、イオン透過性のフィルム、膜、又は不織布であってよい。別の方法として、セパレータ層は、陽極アセンブリと陰極アセンブリとの間に位置してもよく、また一部の実施形態では、陽極アセンブリと陰極アセンブリとの合わせ面によって形成されたシール領域の一部分に突き出てもよい。
【0021】
特定の実施形態では、電池は、直方体形である。電池は、薄い厚さでよく、例えば、約0.5〜6mm、例えば約1.5〜6mm、通常は約1.5〜4mmである。
【0022】
本発明の主態様では、陽極アセンブリは、前記陽極のためのハウジングを含み、陰極アセンブリは、前記陰極のためのハウジングを含む。セパレータ層は、反対側のアセンブリに面するように陽極アセンブリ若しくは陰極アセンブリ内に配置されてよく、又は、セパレータは、これら2つのアセンブリの間に配置されてよい。陽極アセンブリ及び陰極アセンブリは、好ましくは、陽極活物質と陰極活物質との間に位置するセパレータとともに接着結合されて、耐久性のある、好ましくは堅い、小型の積層構造を形成する。
【0023】
本発明の一態様では、陽極アセンブリの一部を形成する陽極ハウジングは、陽極キャビティの境界を画定する内側周縁部を有する、好ましくは耐久性プラスチック製の陽極フレームを含む。フレームは、前記周縁部に沿って前側部と反対側の後側部とを有する。陽極集電板は、電池の外表面境界に面するように、フレームの後側部に結合される。陽極材料は、前記陽極集電板と接触するように、前記陽極キャビティに挿入される。集電板は、導電性であり、好ましくは金属、好ましくは、銅、黄銅、青銅、スズ、若しくは亜鉛、又は、亜鉛、スズ、銀、インジウム、若しくはビスマスでめっきされた銅若しくは黄銅、又はこれらの金属の組み合わせである。
【0024】
陰極アセンブリの一部を形成する陰極ハウジングは、陰極キャビティの境界を画定する内側周縁部を有する、好ましくは耐久性プラスチック製の陰極フレームを含む。フレームは、前記周縁部に沿って前側部と反対側の後側部とを有する。陰極集電板は、電池の外表面境界に面するように、フレームの後側部に結合される。陰極材料は、前記陰極集電板と接触するように、陰極キャビティに挿入される。陰極集電板は、好ましくはニッケル、ニッケルめっき鋼、又は炭素コーティングされた金属板であり、好ましくは、炭素コーティング若しくは炭化されたニッケル板である。或いは、陰極集電板は、ニッケルでめっき又は被覆された、冷延鋼製であってよい。ニッケルに炭素を重ねてもよく、又はコバルト層を重ね、次いでそのコバルトの上に炭素層を重ねてもよい。他の実施形態では、陰極集電体に炭素を重ね、次いで炭素含有塗料でコーティングしてもよい。
【0025】
他の態様では、別個の陽極フレーム及び陰極フレームの代わりに単一のフレームを使用してもよい。そのような実施形態では、好ましくはプラスチック製の単一フレーム構成には、陽極材料及び陰極を単一フレームの両側に詰め入れることができ、個々のフレームを1つに結合する必要が避けられるという利点がある。
【0026】
本発明の積層ウエファー電池構造の利点は、非常に小さいサイズ、例えば1cm2から、非常に大きいサイズ、例えば600cm2までに及ぶ、事実上あらゆる設置面積の、ただし全厚が小さい、例えば約1.5〜6mm、通常約1.5〜4mmの電池を、容易に製作できることである。電池厚は、さらに小さくすることができ、例えば、約0.5mmほどの薄さにすることができる。したがって、電池を、全厚の小さい電子デバイスのキャビティに容易に嵌め込むことができる。積層電池構造の他の利点は、事実上あらゆる所望の全体形状、例えば、多角形、卵形、円形、曲線状、又は一部が多角形で一部が曲線状の形状にも作製できることである。本発明の積層電池は、耐久性があり、緊密に結合されるので、高湿/低湿の、高温/低温の気候及び雰囲気に曝すことができ、それでも電解質漏れを起こさない。
【0027】
本発明のウエファー電池では、電解質漏れの可能性が3つの方法によって低減される。
1)電池内部と陽極集電板及び陰極集電板との間に、非常に緊密に結合された、本質的に電解質不透過性のシールを作り出すことによる方法。
2)電池内の電解質が電池から脱出するために通らなければならない、非常に長い曲がりくねった経路(漏れブロック経路)を作り出すことによる方法。全漏れブロック経路は、フレーム幅に、フレームの外縁部から露出した電池端子までの距離を加えた合計から成る。
3)露出した外部負接点の表面積を最小限まで削減し、それによって外部負接点表面上での全体的なOH−発生速度を低減することによる方法。
【0028】
電解質漏れ低減方法1に関して、緊密に結合された電解質不透過性シールは、本発明のウエファー電池では、好ましくは、フレーム縁部と陽極集電板及び陰極集電板それぞれの縁部との間に段階的な接着剤シールを用いて達成される。段階的シールは、集電板をそれぞれのフレームに結合するためにプラスチックフレームの縁部に沿って並置された(隣に並べられた)配置で、異なる接着剤の少なくとも2つのコーティングを含む。外側の接着剤コーティングは、好ましくはエポキシのような構造型接着剤である。そのような接着剤は、積層電池構成に構造強度を付与する。内側のコーティングは、好ましくは接着剤シーラントであり、これは、例えば、ポリアミド若しくは官能化ポリエチレン、又はアスファルト溶液であってよい。そのようなシーラントコーティングは、全体的な結合を改善するが、その主要な機能は、電解質を密封することである。別の方法として、構造用接着剤に加えて、又は構造用接着剤の代わりに、リベットを使用することもでき、リベット間のフレームの部分にシーラントコーティングを適用することができる。
【0029】
電解質漏れ低減方法2に関し、これは、電解質が電池内部から外部環境に漏れる可能性を低減するために、長さを増大させた、又は比較的長い妨害経路を設けるものである。この点において、いずれかの活性電極の縁部からそれに対応するバッテリ外部の端子接点まで測定される潜在的な漏れ経路の長さを、全体的な電池厚よりもかなり大きくなるように設定することが望ましいことがわかった。本明細書の好ましい実施形態では、潜在的な漏れ経路(漏れブロック経路)とバッテリ厚との比は、1.5よりも大きく、より好ましくは2よりも大きい。
【0030】
これは、別々に、又は協働する形で採用できる、異なる2つの手段によって達成される。
【0031】
第1の手段では、プラスチックフレームの幅が第1の漏れブロック経路Aを提供する。プラスチックフレームの幅(漏れブロック経路A)は、フレームの内側周縁部(バッテリ活物質及び電解質と接触している)からその外側周縁部まで測定され、ほぼ電池の厚さ寸法ほどの長さ、又はそれよりも長くなるように設定すべきである。ゆえに、厚さ3mm(1/8”)の電池では、フレームの幅(A)は、望ましくは約3mm(1/8”)以上である。漏れを防止するためにフレーム幅(漏れブロック経路A)を最大限まで増大させることが望ましいが、これが、電池内の活物質に利用可能な内部容積を犠牲にすることになることが認識されよう。したがって、所与の電池設置面積(陽極フレーム若しくは陰極フレームの面に平行又はほぼ平行な電池側部)について、妥当な量の活物質を電池に詰め込むことのできる、フレーム幅の上限が存在する。
【0032】
第2の手段では、プラスチックフレームの露出した縁部すべてと、さらに2つの導電性エンドプレート(集電板)の表面の大部分(フレームの外側周縁部からある距離に位置する、各エンドプレート上の小さい端子接点領域だけは除く)とを含めて、電池の外部表面が、望ましくは、シーラントによって電池の外部表面に接着されたプラスチックフィルムで覆われる。好ましい実施形態では、露出した接点、例えば負接点が、フレームのすべての外縁部から可能な最大距離のところで導電性エンドプレート上に配置される。したがって、少なくとも電池厚と同程度の長さの、陽極フレームの外側周縁部から露出した負接点までの距離Bが画定される。距離Bは、第2の電解質漏れブロック経路(ブロック経路B)の長さを画定する。好ましくは第1及び第2の重ね合わされた収縮フィルムラップバンドを含み、好ましくはそれらのラップ間及び第1のラップと電池表面との間にシーラントを有するフィルムラップが、距離Bを横切っている。第1のフィルムバンドと電池との間のシーラント及び2つのフィルムバンド間のシーラントは、優れた電解質ブロック特性の達成に役立ち、経路Bに沿って電解質が漏れる可能性を防ぎ、又は大きく遅延させる。第1のプラスチック収縮ラップは、好ましくは、電池の周囲(縁部)の周りに適用された、プラスチックチュービングのフィルムバンド(周囲バンド)である。未収縮のバンドの中心軸は、厚さ方向に平行に向けられている。収縮後、このバンドは、すべての縁部と導電性エンドプレートのかなりの部分とを含めた、シーラントを支承する外部表面の大部分を覆って接着される。電池端子接点領域は除く(剥き出しのままにする)。したがって、潜在的な漏れ経路は、さらに、フレームの外側周縁部から電池端子の近傍に向かって延長される。
【0033】
第2のプラスチック収縮ラップ、好ましくはプラスチックチュービングのフィルムバンド(横バンド)が、第1のバンドに対して直角に電池に適用される。未収縮のバンドの中心軸は、厚さ寸法に対して垂直に向けられている。第2の収縮ラップ(横バンド)は、密接に収縮されて、残りの露出表面の大部分を被覆する。横バンドには、外側の金属エンドプレート上の、シーラントが存在しない接点領域と位置合わせされた、穿孔された又は切り抜かれた小さい穴が設けられていて、電池端子を露出させる。第1及び第2の収縮ラップバンド(周囲バンド及び横バンド)は、併せて、電池端子を除いた電池の外部表面全体を被覆する。
【0034】
耐漏れ性をさらに高めるために、第2の横バンドを適用する前に、第1の収縮ラップバンド(周囲バンド)の外部表面を追加シーラントでコーティングし、それによって第1のバンド(周囲バンド)の外部と第2のバンド(横バンド)との間にシールをもたらしてもよい。これによって、確実に、漏れた電解質に残っている出口点が、露出した電池接点だけになる。
【0035】
1つに結合された別個の陽極フレーム及び陰極フレームが存在する場合、本明細書で言及する第1の電解質漏れブロック経路(ブロック経路A)を、陽極フレーム周縁部の幅、すなわち、フレーム内の中空スペースを取り囲むフレーム縁部の幅と等しい長さを有するものとして定義することができる。(ただし、類推により、電池の陰極側では陰極フレームの幅が第1のブロック経路Aを決定することが理解されよう。)陽極材料と陰極材料との両方を収める単一の共通フレームが存在する場合、第1の電解質漏れブロック経路(ブロック経路A)は、この共通フレームの縁部の幅と等しい長さを有するものとして定義される。前述した第2の電解質漏れブロック経路(ブロック経路B)は、陽極フレームの外側周縁部境界から電池表面上の露出した負接点までの距離として測定される。総電解質漏れブロック経路A+Bは、望ましくは電池厚の少なくとも約1.5〜4倍であり、非常に大きい設置面積を有する電池ではさらに大きくなり得る。
【0036】
漏れ低減方法3に関し、これは、電池設置面積の総面積に比べ、外部の負接点の面積を最小限に抑えることによって達成される。ゆえに、シーラント及び収縮プラスチックフィルムを使用して、負接点の外部表面のできる限り多くを被覆することによって、露出した接点面積と電池設置面積との比が最小限に抑えられる。好ましくは、この比は、5%未満(設置面積1cm2〜14.5cm2の電池の場合)、より好ましくは1%未満(設置面積14.5cm2〜603cm2の電池の場合)、最も好ましくは0.1%未満(設置面積603cm2以上の電池の場合)である。
【0037】
ここに記載の配置は、正方形、長方形、多角形、円形、若しくは楕円形のような様々な形状、及び平らでも湾曲していてもよい表面を有する、本発明のウエファー電池に適用可能である。
【0038】
全漏れ経路は、フレーム幅に、フレームの外縁部から電池端子までの距離を加えた合計から成る。本発明の好ましい実施形態では、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも2倍である。より好ましくは、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも3倍であり、最も好ましくは、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも4倍である。電池外部をシーラント及び収縮プラスチックフィルムで被覆することによって、潜在的な漏れ経路は、さらに、フレームの外側周縁部から電池端子まで延長される。本明細書に開示の設計原理を用いると、非常に面積の大きい、例えば、21.6cm×27.9cm若しくは603cm2(約8.5in×11in若しくは93.5in2)又はそれ以上の面積の、薄いアルカリ電池を構築することができる。
【0039】
本発明の代表的なウエファーアルカリ電池10を図1に示す。図1の実施形態では、電池は、隅角部が丸み付けされた、全体的に方形の形状をしている。電池10は、電池の主要部を形成する2つの対向する方形薄板状表面20’及び80’と、それらの間にある2対の対向する方形端面とを有しており、その1対が端面110a、110bであり、第2の対が端面110c及び110dである。対向する薄板状表面20’及び80’は、好ましくは互いに平行である。図1に示したように、対向する端面110a及び110bは、好ましくは互いに平行であり、対向する端面110c及び110dは、好ましくは互いに平行である。ゆえに、電池10は、隅角部が丸み付けされた直方体(方形平行六面体)の形状である。
【0040】
対向する薄板状表面20’及び80’が、他の形状、例えば多角形であってもよく、また円形若しくは楕円形であってもよく、様々な表面積の、曲線状の周囲、又は一部が曲線状の周囲であってもよいことが理解されよう。したがって、本発明は、方形電池だけに限定されるものではない。対向する薄板状表面20’及び80’は、平行でなくてもよい。ゆえに、望むなら、電池は、変化する厚さであってよい。対向する薄板状表面20’及び80’は、平らでなくてもよい。ゆえに、望むなら、電池は、一定又は変化する厚さで、単一曲率又は2重曲率をもつことができる。単一曲率の電池は、例えば、図9B及び9Cに示されている。図9Bでは、電池は、上面20’から見下ろしたときに、内側に湾曲している(凹面)。図9Cでは、電池は、上面20’から見下ろしたときに、外側に湾曲している(凸面)。図9Cでは、電池は、また、一端110aでは、反対側の端部110bよりも薄い。また同様に、端部11Oaでの電池の幅は、反対側の端部110bでの幅とは異なるものであってよい。図9Cでは、電池の幅は、端部110aでは、反対側の端部110bでの幅よりも小さい。電池表面は、また、多重曲率の表面であってもよい。図9Aでは、2重(鞍状(saddle))曲率の電池が示されている。
【0041】
例えば図1Aに示したように、電池の薄板状構造が形成された後、1つ以上のプラスチックフィルムバンドを電池の表面に適用することができる。バンドは、好ましくは熱収縮性プラスチック材料製であり、望ましくはポリ塩化ビニルフィルム製である。図8Aに示したように、電池端子接点領域25及び26を除いた電池の外側が、初めに、シーラント120(後述する接着剤シーラントB)の第1の外層で被覆される。次いで、第1の熱収縮ラップ、すなわち、収縮プラスチックの周囲フィルムバンド210が、電池の周縁部の周りに適用される(図8B)。バンド210は、好ましくは、中空の内部212を画定する閉じた主要表面211から形成される。フィルムバンド210が電池の表面上に熱収縮されると、フィルムバンド210の主要部211は、電池表面上に折り重なり、第1の外側シーラント層120に付着する(図8C)。シーラント120の一部分は、端子接点領域25を除く中央部(図8C)で露出したままである。外側シーラント121(後述する接着剤シーラントB)の第2の層が、周囲の収縮プラスチックバンド210の外表面に適用される、ただし、電池の周縁部では所望により該シーラント121を省略してもよい。次いで、第2の熱収縮ラップ、すなわち、収縮プラスチックの横フィルムバンド220が、収縮プラスチックの周囲バンド210に垂直に適用されて、残りの露出した薄板状表面20’及び80’を被覆する。横フィルムバンド220が電池表面上に熱収縮されると、該フィルムバンドは、第2のシーラント層121と接触する。したがって、横バンド220は、周囲バンド210を覆って適用された第2のシーラント層121に接着する。横バンド220は、また、薄板状表面20’及び80’に適用された、ただし収縮プラスチックの周囲バンド210によって覆われていなかった、第1のシーラント120の露出部分(図8C)にも接着する。横バンド220には、薄板状表面20’上の端子接点領域25を露出させる穴222と、薄板状表面80’上の反対側の端子接点領域26を露出させるバンド220の反対側の面上の同様の穴(図示せず)とが設けられている。例えば図2に示した特定の実施形態では、端子接点領域25は、電池の負端子を提供し、反対側の接点領域26は、正端子を提供する。横バンド220が周囲バンド210上に収縮した後で、該横バンド220の小さい部分が、バンド220の開口端のところに小さい孔又は窓224をもたらす。下層の周囲バンド210の小さい部分が、窓224を通じて露出した状態で示されている(図8E)。
【0042】
好ましくは、電池10の全厚は、小さく、例えば約0.5〜6mm、例えば約1.5〜6mm、より典型的には約1.5〜4mmである。
【0043】
電池10(図1)の具体的な構成は、図1Aに切欠図で、図2及び図3にそれぞれ縦断面図及び横断面図で示されている。電池10は、初めにアセンブリ30A(図4A)のような陽極アセンブリを形成し、次いでアセンブリ70A(図4B)のような陰極アセンブリを形成することを特徴とする。次いで、陽極アセンブリ30A及び陰極アセンブリ70Aが、好ましくは接着剤によって互いに結合されて、完成した電池を形成する。完成した電池は、好ましくはシーラントでコーティングされ、好ましくはポリ塩化ビニル製の熱収縮性プラスチックフィルム200で、好ましくは2回包まれる。プラスチックフィルム200に熱が加えられて、電池のラベルを形成する。他の種類の外側フィルムラップ200、例えば、接着剤コーティングされたプラスチックフィルム、及び熱収縮性ポリオレフィン又はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用することができる。前述したように、外側フィルムラップ200は、好ましくは2重ラップを含み、すなわち、電池の周縁部の周りに適用された第1のフィルムバンド210と、第1のフィルム210を覆って横方向に適用された第2のラップ220とを含む。
【0044】
接着剤又はシーラントは、様々な構成要素に好ましい位置でコーティング又は適用される。接着剤及びシーラントの一般的な種類について説明し、特に好ましいものを指定する。ただし、特定の接着剤及びシーラントの代替が可能であることが理解され、したがって、本発明を本明細書に提示のものだけに制限しようとするものではない。本明細書に記載のウエファー電池10の実施形態を形成する際に使用される接着剤/シーラントには、3つの種類がある。
【0045】
接着剤A:これは、主に、結合される構成要素に保持強度を付与する、構造用接着剤である。接着剤Aにエポキシ系接着剤を使用することが好ましい。好ましいエポキシ接着剤は、例えば、3M社(3M Company)から2216の商品名で入手可能な2成分エポキシから成るものであってよい。また、単成分の、3Mから非金属充填エポキシ2214(non-metallic filled epoxy 2214)の商品名で入手可能な熱活性型エポキシ、又は3MからLC−1211の商品名で入手可能なUV開始型アクリレート接着剤、又は3MからAF−111 スコッチウェルドフィルム接着剤(AF-111 Scotch-Weld film adhesive)の商品名で入手可能なフィルム接着剤であってもよい。
【0046】
接着剤シーラントB:これは、構成要素を1つに結合させるのに役立ち、また同時にシーラントの役割も果たす、すなわち、アルカリ電解質を密封し、且つその透過を妨害する働きをする、粘着性接着剤である。接着剤シーラントBは、好ましくは、粘着性ポリアミドを含む溶剤系溶液として適用される。或いは、シーラントBは、グラフト側基(grafted side groups)をもつポリエチレンである、官能化ポリエチレンを含んでもよい。好ましい官能化ポリエチレン接着剤シーラントは、中国のハルビン・レナウン・テック社(Haerbin Renown Tech.Co.Ltd.)から商標名J−43接着剤(J-43 adhesive)として入手可能である。或いは、アスファルトであってもよい。ポリアミド樹脂を含む溶剤系溶液の形態をした好ましいシーラントBは、スペシャルティ・ケミカルズ社(Specialty Chemicals Co.)から商品名スペックシール(Specseal)として販売されている。粘着性ポリアミド樹脂を含む他の好ましい溶剤系溶液は、商標名REAMID−100及びVERSAMID−100として入手可能である(ヘンケル社(Henkel Corp.)又はコグニス社(Cognis Corp.)から)。そのような接着剤構成成分は、望ましくは低分子量の熱可塑性ポリアミド樹脂である。好ましいポリアミド樹脂は、商標名REAMID−100及びVERSAMID−100として入手可能である(ヘンケル社(Henkel Corp.)又はコグニス社(Cognis Corp.)から)。これらの樹脂は、室温でゲルであって、分子量約390の二量体化脂肪酸であり、且つ二量体化脂肪酸とジアミンとの反応生成物である。より高分子量のポリアミド系接着剤構成成分を使用できるが、低分子量の構成成分は、選択される好ましい溶剤中により容易に溶解するので好ましい。接着剤構成成分は、所望の粘度になるように溶剤に溶解される。イソプロパノール又はトルエンのような様々な溶剤、並びに溶剤の混合物を使用することができる。好ましくは、取扱時に比較的無害な性質であるので、イソプロパノールが溶剤として使用される。ポリアミドは、水酸化カリウム電解質による化学的侵食に耐えるという、さらなる利点を有する。ジェットスプレー方法を含めた従来のスプレーコーティング技術を使用して、接着剤を電池構成要素に適用することができる。接着剤は、電池のポリマー構成要素の所望の表面間、電池の金属構成要素の表面間、又は電池のポリマー構成要素の表面と電池の金属構成要素の表面との間に接着剤シールをもたらすように適用することができる。
【0047】
接着剤C:この接着剤は、主に、同一又は類似のプラスチック材料製の2つのプラスチック構成要素を結合させるために使用される。したがって、好ましい接着剤は、やはり、結合されているプラスチック材料と同一のポリマーベースを有する。例えば、結合されているプラスチック材料が耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)である場合、好ましい接着剤は、やはりポリスチレン接着剤樹脂を含有する。そのような接着剤は、適した溶剤に溶解した接着剤樹脂を含む溶剤系溶液の形態で便利に適用することができる。
【0048】
本発明の特定の実施形態について記載する際、特に指示のない限り、接着剤は、以上で指定した接着剤A、B、又はCを参照することによって与えられる。
【0049】
好ましい陽極アセンブリ30A(図4A)は、外側周縁部33aと内側周縁部37とを有する、好ましくはプラスチック製の陽極フレーム30を含む。内側周縁部37は、中空の内部スペース33bを取り囲む。陽極フレーム30は、好ましくは、耐久性があり、さらに可撓性で接着結合可能でもある、プラスチック材料から構成される。フレーム30に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスルホン、又はポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックである。陽極アセンブリ30Aは、また、陽極材料40と、陽極集電板20と、セパレータシート50とを含む。所望により、セパレータシートを、陰極アセンブリ70Aの一部として含めてもよく、又は陽極アセンブリと陰極アセンブリとの間の別個の物体として含めてもよい。組立時には、集電板20を、フレーム30の後側部に接着結合させることができる(図4A)。そのような実施形態(図4A)では、フレーム30とそれに結合した陽極集電板20とが、事実上、陽極材料40のためのハウジングを形成する。好ましい集電板20は、銅製である。板20は、望ましくは、厚さ約6〜8mil(0.152〜0.203mm)である。集電板20は、好ましくは、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤20a(前述の接着剤A)のバンドと、フレームの内縁部に隣接したシーラント材料20b(前述の接着剤シーラントB)のバンドとから成る段階的シールを用いて、フレーム30の後側の縁部33aに固定かつ封止される。段階的シールの代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的シールが好ましい。接着剤層の厚さを制御するために、スペーサビーズを構造用接着剤に組み込むことができる。次いで、陽極材料40を、集電板20に押し当てられた配置になるようにフレーム30内の内部スペース33bに挿入することができる。フレーム30には、フレームの内縁を形成する、陥凹したレッジ(ledge)36を設けてよい。陥凹レッジ36は、好ましくは接着剤37でコーティングされる。接着剤37は、溶剤系接触接着剤、例えば、3M社(3M Company)から商品名1357−Lで入手可能な接触接着剤、又は3Mから商品名30−NFで入手可能な水系接触接着剤であってよい。レッジ36に適用するための好ましい溶剤系接着剤は、10重量%の耐衝撃性ポリスチレンと90重量%のトルエンとの溶液を含む。セパレータシート50の縁部がレッジ36に接して配置され、且つ接着剤コーティング37によって該レッジに結合されるように、セパレータシート50を陽極材料40上に被せて挿入してよい。或いは、超音波又は熱及び圧力溶接法によって、セパレータシート50の縁部をレッジ36に溶接してもよい。したがって、完成した陽極アセンブリ30は、集電板20及びセパレータ50がフレーム30の両側に結合した、集電板20に押し当てられた陽極材料40を含む積層構造の形態である。
【0050】
好ましい陰極アセンブリ70A(図4B)は、外側周縁部73aと内側周縁部77とを有する、好ましくはプラスチック製の陰極フレーム70を含む。内側周縁部77は、中空の内部スペース73bを取り囲む。陰極フレーム70は、好ましくは、耐久性があり、さらに可撓性で接着結合可能でもある、プラスチック材料から構成される。フレーム70に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリスルホン、又はポリ塩化ビニルプラスチックである。陰極アセンブリ70Aは、また、陰極材料60と陰極集電板80とを含む。陰極集電板80は、望ましくはニッケルめっき鋼板であり、好ましくは、ニッケルの上を炭素層が覆う、ニッケルめっき鋼である。鋼板は、通常、冷延鋼であってよい。他の適した陰極集電板80は、米国特許第6,555,266B1号に開示されているような、ニッケル層をコバルト層が覆い、コバルトを炭素塗料層が覆う、ニッケルめっき鋼板であってよい。他の適した陰極集電体は、エッチングされ、炭化され、炭素塗料コーティングでコーティングされた、純ニッケル板である。ニッケル板は、望ましくは、厚さ約6〜8mil(0.152〜0.203mm)であってよい。ニッケル板上の炭素コーティングは、例えば、米国特許第6,555,266号に記載されているような、溶剤系コーティング法によって適用されてよい。ニッケル板は、該ニッケル板を高温で動作している炉に通過させることによって炭化されてよく、その際、揮発した炭素前駆体から炭素がニッケル表面上に蒸着する。ニッケル表面上に炭素を蒸着させて炭化ニッケル表面を形成する後者の技術については、米国特許第2,051,828号(ウィリアム・F・デスター(William F. Dester)、1936年8月25日)に記載されている。アルカリ電池における炭化ニッケル集電体の使用については、米国特許第3,713,896号(ラルフ・H・フェルダケ(Ralph H. Feldhake)、1970年8月19日)に記載されている。
【0051】
組立時には、集電板80をフレーム70の後側部に接着結合させてよい(図4B)。かかる実施形態(図4B)では、フレーム70とそれに結合した陰極集電板80とが、事実上、陰極材料60のためのハウジングを形成する。集電板80は、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤70a(前述の接着剤A)のバンドと、フレームの内縁部に隣接したシーラント材料70b(前述の接着剤シーラントB)のバンドとから成る段階的シールを好ましくは用いて、フレーム70の後側の縁部73aに結合されてよい。段階的シールの代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的シールが好ましい。次いで、陰極材料60を、集電板80に押し当てられた配置になるようにフレーム70内の内部スペース73bに挿入することができる。したがって、完成した陰極アセンブリ70aは、集電板20に押し当てられた陰極材料60を含む、ただし陰極材料60の一部分が露出した、積層構造の形態である。
【0052】
次いで、陽極アセンブリ30Aを陰極アセンブリ70Aに接着固定して、陽極材料40と陰極材料60とが互いに向き合い、且つそれらの間にセパレータ50が存在する、単一積層電池構造10を形成することができる(図1A)。陽極アセンブリ30A及び陰極アセンブリ70Aは、陽極フレーム30の露出縁部33a(図4A)に接着剤を適用することによって、便利に1つに結合される。陽極フレーム縁部は、通常、接着剤を適用するのに十分な空間をもたらす約0.31〜0.63cm(1/8〜1/4インチ)の幅であってよい。接着剤32は、望ましくは、フレーム30のプラスチック材料と同じ部類由来の接着剤樹脂を含有する。ゆえに、フレーム30が耐衝撃性ポリスチレン製の場合、好ましい接着剤32は、耐衝撃性ポリスチレンのトルエン溶液である。或いは、フレームがABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)若しくはPVC(ポリ塩化ビニル)から作製される場合、これらのプラスチックポリマーのトルエン溶液又は他の溶剤溶液を使用してよい。接着剤32が陽極フレーム30の縁部33aに適用された後、陽極フレーム30は、陰極フレーム70上に押圧され、それによって陽極アセンブリ30Aを陰極アセンブリ70aに接着結合させ、結合された積層構造を形成して、図1〜3に示した完成した電池10を形成する。図1A、図2、及び図3に最もよく示されている完成した電池10は、堅く、頑丈で、且つ小型である。結合された積層電池構成は、電池内容物をその中に保持する、緊密に封止された電池をもたらす。図2及び図3に示したように、電池は、1層又は2層のシーラントでコーティングされ、1層又は2層のプラスチックフィルム、好ましくはポリ塩化ビニルの熱収縮性フィルムで包まれてよい。フィルムに熱が加えられると、該フィルムは、電池の境界表面の周りで収縮してラベルを形成する。
【0053】
本発明の一態様は、電池内部から電解質が外部脱出点に到達するまでに通る長い漏れ経路が設けられるように、電池を設計することである。(これは、様々な電池構成要素に前述の接着剤及び接着剤シーラントを与えることに加えて実施される。)ゆえに、本発明のウエファー電池10は、フレーム30及び70(又は、図7A及び図7Bに示した単一フレームの実施形態の場合にはフレーム130)が、好ましくは少なくとも総電池厚ほどの大きさの、フレーム縁部幅(例えば、図4Aに示した縁部33aと37との間、又は図4Bに示した縁部73aと77との間、又は図7Bに示した縁部130aと137との間)をもつように設計される。これは、例えば図2に示したように、電解質が電池内部からフレームの外端まで通る、比較的長い第1の漏れブロック経路「経路A」をもたらす。次いで、外側の熱収縮性フィルムラップ200(図8A〜8Eに示したように2重のフィルムラップ210及び220を含んでもよい)が、第2の漏れブロック経路「経路B」をもたらす。ブロック経路Bは、フレーム(例えば、フレーム30)の外側周縁部から距離「B」(図2)のところにある導電性エンドプレート(例えば、エンドプレート20)上に配置された露出端子接点(例えば、端子接点25)からの距離として定義され、それは、少なくともフレーム幅ほどの長さの距離、すなわち、電池厚にほぼ等しい又はそれ以上の距離である。この状況では、総電解質漏れブロック経路A+B(図2)は、好ましくは電池厚の少なくとも2倍である。漏れブロック経路A及びBに対するのと同一の定義が、図7A及び図7Bに示した本発明の単一フレーム130の実施形態にも同様に当てはまることが理解されよう。
【0054】
本発明の電池10に好ましい放電レートは、例えば、約15〜45ミリワット/cm2(13.5〜40.5ミリアンペア/cm2)ほどの大きさであってよい。(平方センチメートル面積は、陽極/陰極境界面での面積に基づく。)全体寸法が幅4cm×長さ8cm×厚さ3mmの典型的なウエファー電池10は、電流ドレインレート(current drain rate)約1〜1,000ミリアンペア、好ましくは約10ミリアンペア〜100ミリアンペアに対応し得る。
【0055】
図5A及び図5Bに示した代替的な実施形態では、陽極フレーム30及び陰極フレーム70を、それぞれのフレーム縁部33a及び73aに沿って突出リベットを含むように一体成型することによって、完成した電池の構造健全性を高めることができる。そのような一体成型されたリベット35が、陽極フレーム30の後面縁部から突き出る様子が示されている。同様に、一体成型されたリベットが、陰極フレーム70の後面縁部から突き出る様子が示されている。陽極集電板20には、その縁部に沿って、陽極フレーム30上の突出リベット35と対合するための孔22が設けられている。同様に、陰極集電板80には、その縁部に沿って、陰極フレーム70上の突出リベット75と対合するための孔82を設けることができる。したがって、リベット35を孔22に挿通することによって、陽極集電板20を陽極フレーム30に固定することができ、リベット75を孔82に挿通することによって、陰極集電板80を陰極フレーム70に固定することができる。次いで、リベットヘッドに熱と圧力を加えることによって、該リベットヘッドをピーニング処理(peened)(積層化)することができる。望ましくは、陽極集電板上のリベット孔22間のスペース及び陰極集電板上のリベット孔82間のスペースにも、シーラントを適用してよい。そのような目的に好ましいシーラントは、中国のハルビン・レナウン・テック社(Haerbin Renown Tech.Co.Ltd.)から商品名J−43接着剤(J-43 Adhesive)として入手可能であるような、粘着性のある官能化ポリエチレン樹脂を有する溶剤系シーラントであってよい。図6A及び図6Bに示した実施形態では、陽極フレームに沿った突出リベット35は、陽極フレーム30の縁部に沿った浅い窪んだスペース38から突き出る陥凹した基部を有してよい。そのような構成によって、リベットヘッドが陽極集電板20の孔22に挿入されて積層化された後で、該リベットヘッドを該陽極集電板の表面よりも低い水平面に下げることができる。同一の陥凹リベットヘッド構成を、陰極フレーム70から突き出るリベット75に使用してよい。
【0056】
図4A及び図4Bに示した実施形態、並びに図5A及び図5Bに示したリベットを備えた実施形態にしたがって、電池10を作製した。図4A及び図4Bに示した陽極アセンブリ及び陰極アセンブリを使用する特定の構成では、電池は、全厚2.8mm、幅38.1mm(1.5インチ)、長さ38.1mm(1.5インチ)であった。電池を、約0.6ボルトのカットオフ電圧まで77.5〜0.775ミリワット/cm2の様々な一定レートで放電させた(面積は、陽極と陰極との間の境界面積に基づく)。約0.6ボルトのカットオフまでの放電サイクルの間、平均負荷電圧は、約1.1ボルトであった。したがって、前述のワット密度範囲は、電流ドレイン密度約70.5〜0.705ミリアンペア/cm2となる。この放電範囲では、電池は、元の厚さの最大約10%の厚さが膨らんだ。電池は、破裂せず、電解質の漏れもなかった。電子デバイスのバッテリキャビティ内で電池が密接に膨張しすぎないようにするために、公称10%の電池膨張を見込むように、該バッテリキャビティを電池よりも十分に大きく設計する、又は電池をキャビティ開口部よりも厚さが十分に小さくなるように設計することが推奨される。
【0057】
他の好ましいウエファー電池の実施形態(図7A及び図7B)では、図4A及び図4Bの実施形態に示した2つのフレーム30及び70の代わりに、単一フレーム130を使用してよい。好ましくはプラスチック製の単一フレーム構成には、陽極材料40及び陰極60を単一フレーム130の両側に詰め込むことができ、個々のフレームを1つに結合させる必要がないという利点がある。図7Bに最も良く示された単一フレーム130は、中空の内部スペース133bを取り囲む内側周縁部132を有する。図7A及び図7Bに示した単一フレームの実施形態の状況では、陽極アセンブリは、陽極集電体20と、陽極40と、セパレータ50と、フレーム130の上側とを含む。陰極アセンブリは、陰極集電体80と、陰極60と、同じフレーム130の下側とを含む。陽極集電体20及び陰極集電体80は、フレーム130の両反対側に結合されて、薄板状電池構成を形成する。
【0058】
単一フレームを使用する実施形態のための電池構成(図7A及び図7B)を達成するには、接着剤137が、フレーム130の内縁に沿って陥凹レッジ136に適用される(図7B)。
【0059】
接着剤137は、溶剤系接触接着剤、例えば、3M社(3M Company)から商品名1357−Lで入手可能な接触接着剤、又は3Mから商品名30−NFで入手可能な水系接触接着剤であってよい。レッジ136に適用するための好ましい溶剤系接着剤は、10重量%の耐衝撃性ポリスチレンと90重量%のトルエンとの溶液を含む。
【0060】
セパレータシート50は、接触接着剤137によって陥凹レッジ136に結合される。或いは、接着剤を使用せずに、熱及び圧力によって、又は超音波によって、セパレータシート50を陥凹レッジ136に直接溶接してもよい。
【0061】
陰極60は、セパレータシート50の露出した側部の上に押圧される。次いで、陰極集電板80の縁部がフレーム130の縁部と接触するように、該集電板80が陰極60に被せて適用される。段階的接着剤80a及び80bは、図7A及び図7Bから推測されるように、陰極集電体80をフレーム130の下側にしっかりと結合された状態で保持する。
【0062】
陽極40は、セパレータシート50の反対側の露出した側部上に押し出され、又は押圧される。次いで、陽極集電板20が、該集電板20の縁部がフレーム130の縁部と接触するように、陽極40に被せて適用される。段階的接着剤130A及び130bは、図7Aのように陽極集電体20をフレーム130の上側にしっかりと結合された状態で保持する。
【0063】
段階的シールは、好ましくはフレーム130の縁部133aに沿って適用される。段階的シールは、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤130a(前述の接着剤A)のバンドと、シーラント材料130b(前述の接着剤シーラントB)のバンド(フレームの内縁部に隣接)とを含んでよい。段階的シールの代わりに均一な組成の単一の接着剤をフレーム130の表面133aに沿って適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的シールが好ましい。
【0064】
同様の段階的接着剤を、フレーム130の反対側の側部に適用してよく、又は陰極集電板80の縁部に沿って適用してよい。後者は、図7Bに示されている。段階的接着剤は、陰極集電板80の外縁部に隣接した構造用接着剤80a(前述の接着剤A)と、陰極集電板80の内縁部に隣接したシーラント材料80b(前述の接着剤シーラントB)のバンドとを含む。段階的接着剤の代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的接着剤が好ましい。
【0065】
非限定例として、設置面積サイズ38.1mm×76.2mm(1.5インチ×3.0インチ)の薄いウエファー電池10(厚さ4mm)の場合、典型的な動作時電流ドレインは、約1ミリアンペア〜約2,000ミリアンペア、典型的には約10〜250ミリアンペア、より典型的には約10〜100ミリアンペアになり得る。一般に、よりサイズの大きい本発明の電池10(厚さではなく、それらの陽極/陰極境界面積に関して)が、ますます高い電流ドレイン需要において該電池に良好な性能を示させることが理解されよう。
【0066】
特定のタイプの亜鉛粉末合金、亜鉛粒径、及び特定のタイプの陽極集電体の場合、水素ガスが陰極へと拡散し、且つ陰極材料によって酸化されて水を形成できるよりも速く、陽極が水素ガスを生成することがある。したがって、何らかの形態のガス管理システムが必要となり得る。具体的には、蓄積した水素ガスを排気するためのシステムが必要となり得る。これは、例えば、米国特許第4,105,831号(ポラロイド社(Polaroid Corporation))によって開示されているのと同様に、その長さ全体にわたって配置された多孔質インサートを有するガス透過性ポリマーのチューブの形態をとることができ、該チューブは、陽極キャビティを横切り、プラスチックフレームの外縁部を越えたところで終端する。
【0067】
以下の、陽極40、陰極60、及びセパレータ50の化学組成に関する電池組成についての説明は、前述の実施形態で開示した代表的なウエファー電池10に適用可能である。
【0068】
前述の電池10では、陰極60は、二酸化マンガンと電解質とを含み、陽極40は、亜鉛と、ゲル化剤と、電解質とを含む。電解質水溶液は、KOHと酸化亜鉛との従来の混合物を含む。陽極材料40は、水銀フリーの(水銀無添加の)亜鉛合金粉末を含有するゲル化した混合物の形態にすることができる。すなわち、電池は、重量当たり亜鉛の約100ppm未満の総水銀含有量を有し、好ましくは重量当たり亜鉛の50ppm未満の水銀を含有する。また、電池は、好ましくは、鉛が添加されておらず、したがって事実上無鉛であり、すなわち、総鉛含有量は、陽極中の総亜鉛量の30ppm未満、望ましくは15ppm未満である。そのような混合物は、通常、KOH電解質水溶液、ゲル化剤(例えば、ノベオン(Noveon)(旧B.F.グッドリッチ(B. F. Goodrich))から商標名CARBOPOL C940として入手可能なアクリル酸コポリマー)、及び界面活性剤(例えば、ローヌ・プーラン(Rhone Poulenc)から商標名GAFAC RA600として入手可能な有機リン酸エステル系界面活性剤)を含有することができる。このような混合物は、単に実例として与えるにすぎず、本発明を制限しようとするものではない。亜鉛陽極用の他の代表的なゲル化剤は、米国特許第4,563,404号に開示されている。
【0069】
本発明の電池10に利用するための陰極60は、望ましくは、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,207,322B1号に記載されている種類の軟質又は半固体陰極である。ただし、例えば陰極の約87〜93重量%の二酸化マンガン含有量を有する、より従来型の固体二酸化マンガン陰極も、やはり使用できることが理解されよう。それでも、軟質又は半固体陰極が、それらを陰極フレーム70内のキャビティ73bへと容易に成型できることから、本発明のウエファー電池に利用するのに望ましいことがわかっている。さらに、電池の耐用期間中、陰極集電体80の露出表面と密接且つ均一な接触を維持することが判明したので、本発明の接着固定された電池の状況では、そのような軟質又は半固体陰極が好ましい。接着剤によって積層化された本発明の電池10では、固体陰極を陰極集電体と密接且つ均一に接触した状態に保持するための強い圧縮力が存在せず、そのような接触は、時間が経つといくらか緩むことがある。ゆえに、軟質又は半固体陰極が好ましい。
【0070】
本明細書で使用するとき、用語「半固体」は、広く、真の固体と真の液体との間の中間的性質のすべての物理状態に及ぶものとする。ゆえに、半固体という用語は(これだけに限定するものではないが、例えば)、一般にパテ及びペーストに関係付けられる、柔らかい質感及びレオロジー特性を有する物理状態を包含するものとする。本明細書で使用するとき、半固体材料は(これだけに限定するものではないが、例えば)、液体のように自由流動性ではないが、一般に該材料を導管内で移動させるのに外力を必要とする材料を包含する。また、半固体という用語は(これだけに限定するものではないが、例えば)、押出可能であり、且つ外力を受けて破砕することなく変形できる材料にも当てはまるものとする。
【0071】
本発明のウエファー電池で使用するのに望ましい半固体陰極60は、以下のような、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,207,322B1号に記載の特性及び組成範囲を有することができる。
【0072】
したがって、本発明の電池10用の半固体陰極60は、望ましくは、該陰極の80重量%未満、好ましくは該陰極の約40〜80重量%、典型的には約45〜78重量%、より典型的には45〜70重量%の量の二酸化マンガンを含む。二酸化マンガンを含む半固体陰極は、パテ若しくはペースト、又は測定可能な粘度を有する高粘性材料の形態であってよい。
【0073】
軟質陰極60は、通常、該陰極の約45〜78重量%、より典型的には該陰極の約45〜70重量%のMnO2(EMD)と、カーボンブラック(シャウィンガン(Shawingan)アセチレンブラック、より好ましくは、WO9703133に記載されているような、ベルギーのティムカル(Timcal)から得られるMM131又はMM179のような黒鉛化カーボンブラック)と、KOH電解質水溶液(7〜9、標準)とを含む。好ましくは、また、少量のグラファイトも添加される。有利には、カーボンブラックは、好ましくは半固体陰極の約4〜15重量%含まれる。カーボンブラックは、半固体陰極の伝導度を増大させ、陰極を半固体状態に維持するための内部の網状構造をもたらす。カーボンブラックは、また、電解質吸収体の役割も果たしており、アルカリ電解質溶液を固定化するので、自由な流体電解質が明らかではなくなる。グラファイトは、陰極の約1重量%〜8重量%含まれてよく、陰極の伝導度を改善する。望ましくは、本発明の半固体陰極は、また、水酸化カリウムを含む電解質溶液も含む。半固体陰極は、また、ポリテトラフルオロエチレンのような結合剤も含んでよく、望ましくは該陰極の約0〜2重量%含む。所望により、稠度(consistency)を調節するために、サザンクレイプロダクツ社(Southern Clay Products Company)のラポナイト(Laponite)RDS粘土のような粘土を2重量%未満加えてもよい。
【0074】
半固体陰極60は、多孔率約30〜70%、好ましくは約35〜70%、より好ましくは約40〜70%であってよい。本明細書では、多孔率は、非固体材料、すなわち電解質+空気から構成される、陰極の体積分率を意味するものと理解される。また、半固体陰極60は、望ましくは、全陰極の重量%として、アルカリ電池用の固体MnO2含有陰極で従来使用されるよりも高い電解質含有量を有してよい。半固体陰極材料60は、全陰極材料の約6〜18重量%のKOH含有量(純粋)と、約9〜27重量%の総水分含有量とを有してよい。KOHに関して本明細書及び実施例で使用するとき、KOH(純粋)という用語は、計算の目的で、純粋な無水KOH含有量である(すなわち、水を含めない)。
【0075】
陰極多孔率は、電解質、他の液体、及び封じ込められた空気(固体の孔隙内に封じ込められた液体及び空気の体積を含める)が占める体積を決定し、その体積を陰極の見掛体積で除して100を乗じることによって計算してよい。(見掛体積は、試料の外部境界内に含まれる試料の全体積である。)陰極多孔率は、固体が陰極へと混合される前に、従来のヘリウム置換法によって初めに各固体の実密度を得ることによって、簡便に計算してよい。(各固体の実密度は、固体試料の重量を、その実体積、すなわち、固体試料の見掛体積から封じ込められた空気が占める体積を減じた体積で除したものである。)次いで、陰極へと混合すべき固体の各重量をそれぞれの実密度で除して、陰極中の固体の実体積を得る。全体としての陰極の見掛体積から固体の実体積を差し引き、この差を陰極の見掛体積で除し、100を乗じて、多孔率%を得る。
【0076】
電解二酸化マンガンは、通常、約1〜100μm、望ましくは約20〜60μmの平均粒径を有する。グラファイトは、通常、天然、合成、若しくは膨張グラファイト、又はそれらの混合物の形態である。グラファイトは、また、グラファイト状炭素ナノ繊維を、単独で、又は、天然、合成、若しくは膨張グラファイトとの混合で含むこともできる。そのような陰極混合物は、例示を目的としたものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0077】
陽極材料40は、亜鉛合金粉末62〜72重量%(合金及びめっき材料として200〜500ppmのインジウムを含有する99.9重量%亜鉛)、38重量%のKOHと約2重量%のZnOとを含むKOH水溶液、ノベオン(Noveon)から商標「CARBOPOL C940」として市販される架橋アクリル酸ポリマーゲル化剤(例えば0.5〜2重量%)、及び、任意で、グレイン・プロセシング社(Grain Processing Co.)から商標「ウォーターロックA−221(Waterlock A-221)」として市販される、デンプン骨格鎖上にグラフトされた加水分解ポリアクリロニトリル(0.001〜0.5重量%)、ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)から商標RM−510として入手可能な、有機リン酸エステル界面活性剤RA−600又はジオニル(dionyl)フェノールリン酸エステル界面活性剤(10〜100ppm)を含む。本明細書で使用するとき、亜鉛という用語は、亜鉛を非常に高濃度で含む、例えば、亜鉛を少なくとも99.9重量%含む、亜鉛合金粉末を包含すると理解されるものとする。そのような亜鉛合金材料は、電気化学的には事実上純粋な亜鉛として機能する。
【0078】
本発明の薄板状アルカリ電池10の陽極40に関して、亜鉛粉末の平均粒径は、望ましくは約1〜350μm、望ましくは約1〜250μm、好ましくは約20〜250μmである。通常、亜鉛粉末は、平均粒径約150μmであってよい。陽極40における亜鉛粒子は、針状又は球状の形状のものにすることができる。陽極中の亜鉛のかさ密度(bulk density)は、陽極1立方センチメートル当たり亜鉛約1.75〜2.2グラムである。陽極中の電解質水溶液の体積%は、好ましくは陽極の約69.2〜75.5体積%である。
【0079】
電池10は、EMDの容量mA・hr(EMD1g当たり410mA・hrに基づく)を亜鉛の容量mA・hr(亜鉛1g当たり820mA・hrに基づく)によって除すと約1になるように、従来式にバランスをとることができる。ただし、陰極が過剰になるように電池のバランスをとることによって、完全放電時のバルジング(deep discharge bulging)を低減することができる。ゆえに、電池のバルジングを低減するために、EMDの理論総容量を亜鉛の理論総容量で除すと、約1.03〜1.10、望ましくは約1.05〜1.08、好ましくは約1.07になるように、電池10のバランスをとることができる。
【0080】
試験電池の実施例1
図1〜3に示した正方形構成の試験電池10を準備した。試験電池10は、長さ38.1mm(1.5インチ)、幅38.1mm(1.5インチ)、全厚2.8mmとした。電池10を、電池の外表面に適用されたラベル200なしに試験した。陽極40及び陰極60は、以下の組成とした。
【0081】
【表1】
注:
1.亜鉛粒子は、平均粒径約150μmであり、総インジウム含量約200ppmをもたらすようにインジウムで合金且つめっきした。
2.H2O中3重量%の、ローヌ・プーラン(Rhone Poulenc)から得られる有機リン酸エステル系界面活性剤溶液RM510。
3.電解質溶液は、合計で電解質溶液の約1.5重量%を構成するゲル化剤ウォーターロックA221(Waterlock A221)及びカーボポールC940(Carbopol C940)と、約2重量%のZnOとを含有した。
【0082】
【表2】
注:
1.グラフマックスMP12ドゥ天然グラファイト(Grafmax MP12 du natural graphite)、ナショナル・デ・グラファイト(Nacional DeGrafite)より。
【0083】
陽極プラスチックフレームは、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)プラスチック材料から構成され、厚さ約0.76mmであった。陰極プラスチックフレームは、HIPSプラスチック材料から構成され、厚さ約1.52mmであった。セパレータ50は、セロファンフィルムに積層されたポリビニルアルコール繊維の不織布シートを含んだ。陰極は、1.61gのMnO2を有した。陽極、陰極、電解質、及びセパレータは、電池の外部体積の約37%を構成した。
【0084】
一連の電力需要にわたって電池の性能の指示を与える以下の方法で、電池を放電させた。
【0085】
新しい電池10を、初めに、電力ドレイン500ミリワット(454ミリアンペア)で、カットオフ電圧約0.6ボルトまで放電させた。測定された容量は、37.1mW・hrであった。電池を1時間休ませた後、同じ電池を250ミリワット(227ミリアンペア)のレートでカットオフ電圧0.6ボルトまで放電させた。このドレインについて測定された増分容量は、100.4mW・hrであった。電池を1時間休ませた後、同じ電池を100ミリワット(90.9ミリアンペア)のレートでカットオフ電圧0.6ボルトまで放電させた。このドレインについて測定された増分容量は、90.19mW・hrであった。次いで、同じ電池を、各放電間で1時間休ませて、15ミリワット、10ミリワット、及び5ミリワットで、カットオフ0.6ボルトまで増分的に放電させた。最後の3つの放電の増分容量は、それぞれ30.99、106.28、及び8.87mW・hrであった。
【0086】
放電試験が完了した後、電池をバルジング及び漏れについて調べた。電池の全厚が約10%膨張した、すなわち、厚さ約2.8mmから3.1mmに膨張したことがわかった。電解質の漏れは認められなかった。
【0087】
本明細書に開示の設計原理を用いると、非常に面積の大きい、例えば、21.6cm×27.9cm若しくは603cm2(約8.5in×11in若しくは93.5in2)又はそれ以上の面積の、薄いアルカリ電池を構築することができる。より複雑なフレーム設計に関わる本発明の他の実施形態は、本発明の概念内にある。例えば、ウエファー電池を、フレーム内に内部パーティション若しくはリブを設けて構築し、それによって陽極フレーム又は陰極フレームの内部を多数の容積に細分することもできる。これらの内部リブを、接着剤、段階的シール(隣に並べられた配置のシーラントコーティング及び接着剤コーティング)、又はシーラントとリベットとによってエンドプレートに取り付けることによって、全体的な電池構造を機械的に補強して、より大きい剛性及び耐曲げ性を与えることができる。この特徴は、面積の大きい電池の場合に特に有用であり、最も外側の周囲シールに、電池エンベロープの曲げ又はねじりに起因した剪断又は剥がれによる故障に対する追加的な保護をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明のウエファー電池の一実施形態の斜視図。
【図1A】2重フレーム構成を有する図1のウエファー電池の実施形態の切欠断面図。
【図2】部位線2−2に沿った図1の電池の横断立面図。
【図3】部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。
【図4A】陽極アセンブリを構成する諸構成要素を示す、一実施形態の分解図。
【図4B】陰極アセンブリを構成する諸構成要素を示す、一実施形態の分解図。
【図5A】リベット付き陽極アセンブリを構成する諸構成要素を示す分解図。
【図5B】リベット付き陰極アセンブリを構成する諸構成要素を示す分解図。
【図6A】リベットが陽極プラスチックフレームから陽極集電板の孔を通って突き出る様子を示す、図5Aの陽極アセンブリの断面図。
【図6B】リベットヘッドが陽極集電板の表面よりも下方にくるように積層された様子を示す、図5Aの陽極アセンブリの断面図。
【図7A】単一フレーム構成を有する図1のウエファー電池の第2の実施形態の切欠断面図。
【図7B】陽極アセンブリ及び陰極アセンブリを構成する諸構成要素を示す、図7Aのウエファー電池の実施形態の分解図。
【図8A】電池縁部の周りに嵌め込まれる前の収縮性周囲フィルムバンドを示す斜視図。
【図8B】収縮性周囲フィルムバンドが電池縁部の周りに嵌め込まれる様子を示す斜視図。
【図8C】周囲フィルムバンドが電池縁部の周りで収縮された状態の電池を示す斜視図。
【図8D】横収縮性フィルムバンドが周囲フィルムバンドに被せて電池の周りに嵌め込まれる様子を示す斜視図。
【図8E】横フィルムバンドが電池縁部の周りで収縮された状態の電池を示す斜視図。
【図9A】複曲面を有するウエファー電池の実施形態を示す斜視図。
【図9B】単曲面を有するウエファー電池の実施形態を示す斜視図。
【図9C】曲面を有する不均一な厚さのウエファー電池の実施形態を示す斜視図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ほぼ薄板状の構成を有する、面積対厚さのアスペクト比が大きいウエファーアルカリバッテリに関する。本発明は、主態様では、陽極が亜鉛を含み、陰極が二酸化マンガンを含む、ウエファーアルカリバッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアルカリ電気化学電池は、亜鉛を含む陽極と、二酸化マンガンを含む陰極とを有する。電池は、通常、円筒形の外部ハウジングから形成される。新しい電池は、約1.6ボルトの開回路電圧(EMF)を有し、中程度の供給状態(medium drain service)(100〜300ミリアンペア)において典型的な平均動作時電圧約1.0〜1.2ボルトを有する。円筒形ハウジングは、初めに拡大された開口端と反対側の閉止端とから形成される。電池内容物が供給された後、絶縁グロメットと負端子エンドキャップとを備えたエンドキャップアセンブリが、ハウジング開口端に挿入される。開口端は、ハウジング縁部を絶縁グロメットの縁部に被せて圧着し、絶縁グロメットの周りでハウジングを径方向に圧縮して緊密な封止をもたらすことによって閉じられる。絶縁グロメットは、負側のエンドキャップを電池ハウジングから電気的に絶縁する。反対側の閉止端のところで、電池ハウジングの一部分が正端子を形成する。
【0003】
従来の円筒形アルカリ電池は、一般的に認識可能な様々なサイズ、すなわち、AAAA、AAA、AA、C、及びDサイズ電池で入手可能である。同一出願人による米国特許出願第10/722879号(2003年11月26日出願)には、電池内容物が固体金属ケーシングに収められた薄板状電池が記載されている。該金属ケーシングは、閉止端と反対側の開口端とを有する一体型の主要表面を有する。電池内容物は、開口端に挿入され、次いで該開口端がエンドキャップで封止される。エンドキャップは、金属スカートと、プラスチック絶縁グロメットと、グロメット内に配置された金属支柱又はリベットを備えるように設計される。金属スカートは、絶縁グロメットの周りに圧縮され、グロメットは、金属支柱の周りに圧縮されて、両方の境界面に耐アルカリシールを形成する。次いで、エンドキャップアセンブリの金属スカートが溶接によって金属ケーシングに接合される。
【0004】
望ましい電池厚が、より小さく、例えば約6mmよりもはるかに小さくなっているので、そのような電池に陽極材料及び陰極材料を充填することがますます困難になっている。ゆえに、電池厚が約6mm未満、例えば約0.5mm〜6mm、望ましくは約1.5〜4mmのときでも容易に製作して電池内容物で充填できる、扁平又は薄板状アルカリ電池が必要とされている。これによって、薄い角柱型のアルカリ電池が、薄いリチウムイオン電池のような薄い充電式電池によって通常は電力供給される小さい電子デバイス用の一次(非充電式)電源又はバックアップ電源として利用可能になる。また、電池化学及び内部構成要素の適切な調節によって、薄い充電式アルカリ電池を構築することもできる。近年、携帯型ラジオ、オーディオプレイヤー、及び通信デバイスなどの多くの電子デバイスが、より小さく、且つより薄くなっている。ゆえに、そのような小さい電子デバイスで使用するための、全厚の小さい、薄い薄板状のウエファー電池が必要とされている。
【0005】
1次アルカリ電気化学電池には、通常、亜鉛陽極活物質、アルカリ電解質、二酸化マンガン陰極活物質、電解質透過性セパレータフィルム、通常はセルロース又はセルロース繊維若しくはポリビニルアルコール繊維のフィルムが含まれる。陽極活物質には、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はアクリル酸コポリマーのナトリウム塩のような従来のゲル化剤及び電解質と混合された、亜鉛粒子を含めることができる。ゲル化剤は、亜鉛粒子を懸濁させ、且つそれらを互いに接触した状態に維持する働きをする。通常、陽極活物質に挿入された導電性金属の爪は、負端子エンドキャップに電気的に接続された陽極集電体の役割を果たす。電解質は、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化リチウムの水溶液にすることができる。陰極には、通常、電気伝導度を高めるために、導電性添加物、通常はグラファイト材料と混合された電気化学的活物質として粒子状二酸化マンガンが含まれる。所望により、少量のポリマー結合剤、例えば、ポリエチレン結合剤、及びチタン含有化合物のような他の添加物を、陰極に加えることもできる。
【0006】
陰極で使用される二酸化マンガンは、好ましくは、硫酸マンガン及び硫酸の液槽の直接電気分解によって製造される、電解二酸化マンガン(EMD)である。EMDは、高密度且つ高純度であるので望ましい。EMDの電気伝導度(1/固有抵抗)は、かなり低い。個々の二酸化マンガン粒子間の電気伝導度を改善するために、導電性材料が陰極混合物に添加される。そのような導電性添加物は、また、二酸化マンガン粒子と、従来の円筒形アルカリ電池では陰極集電体の役割も果たす電池ハウジングとの間の電気伝導度を改善する。適した導電性添加物には、例えば、アセチレンブラックを含めたカーボンブラックなど、グラファイト、グラファイト状材料、導電性炭素粉末を含めることができる。好ましくは、導電性材料は、薄片状結晶の天然グラファイト、若しくは薄片状結晶の合成グラファイト、或いは膨張若しくは剥離グラファイト又はグラファイト状炭素ナノ繊維、及びこれらの混合物を含む。
【0007】
現在、MP3オーディオプレイヤー及びミニディスク(MD)プレイヤーのような小さな電子デバイスに電力供給するために使用される、小さいサイズの方形の充電式バッテリが利用可能である。これらのバッテリは、通常は小さく、幾分チューインガムのパックのサイズの、方形(直方体)である。本明細書で使用するとき、用語「直方体(cuboid)」は、その通常の幾何学的定義、すなわち、「方形の平行六面体」を意味するものとする。そのようなバッテリは、例えば、国際電気標準会議(IEC)によって規定された該バッテリについての標準サイズに従って、充電式ニッケル金属水素化物(NiMH)サイズF6又は7/5F6サイズの直方体の形態をとることができる。F6サイズは、厚さ6.0mm、幅17.0mm、長さ35.7mm(ラベルを含まない)である。長さを約48.0mmほどの大きさにすることができる、F6サイズの変形形態がある。7/5−F6サイズは、厚さ6.0mm、幅17.0mm、長さ67.3mmである。MP3オーディオプレイヤー又はミニディスク(MD)プレイヤーのような小型のデジタルオーディオプレイヤーに電力供給するために使用されるときには、F6又は7/5F6 NiMH充電式バッテリの平均動作時電圧は、約1.0〜1.2ボルト、通常約1.12ボルトである。
【0008】
ミニディスク(MD)プレイヤーに電力供給するために使用されるときには、バッテリは、約200〜250ミリアンペアの割合で消耗する。デジタルオーディオMP3プレイヤーに電力供給するために使用されるときには、バッテリは、通常約100ミリアンペアの割合で消耗する。
【0009】
小さいサイズの直方体形(方形平行六面体)ニッケル金属水素化物バッテリと同じサイズ及び形状の小さい扁平なアルカリバッテリがあることが望ましく、それによって、ミニディスク又はMP3プレイヤーのような小さい電子デバイスに電力供給するために、その小さいアルカリサイズバッテリをニッケル金属水素化物バッテリと交換可能に使用できるようになる。
【0010】
また、前述したように、全厚が6mm未満、例えば、約0.5〜6mm、好ましくは約1.5〜4mmのウエファーアルカリ電池があることも望ましい。
【0011】
ウエファー電池が、電解質漏れの可能性を最小限に抑える、又は大幅に低減するように設計されることが望ましい。参考文献、M・ハル(M.Hull)、H・ジェイムズ(H.James)、「アルカリ電池は何故漏れるか(Why Alkaline Cells Leak)」、電気化学会雑誌(Journal of the Electrochemical Society)、第124巻、第3号、1977年3月、332〜329頁)、並びにS・デイヴィス(S.Davis)、M・ハル(M.Hull)、「アルカリ電池漏れの側面(Aspects of Alkaline Cell Leakage)」、電気化学会雑誌(Journal of the Electrochemical Society)、第125巻、第12号、1978年12月)では、吸着された水分の存在下で、外部電池負端子上で大気中の酸素が電気化学的に還元されてOH−イオンを形成する観点から、アルカリ電池漏れの一側面が説明されている。次いで、これら電気化学的に発生したOH−イオンは、K(H2O)x+又はNa(H2O)x+のような水和した正イオンを引き付ける。K(H2O)x+又はNa(H2O)x+イオンは、電池内部で発生し、負のシール表面をまたいで電池外部へと移動して、水分を吸着したフィルム内の電気的中性を維持する。これは、KOH又はNaOH電解質を電池内部から端子表面へと引き寄せる傾向にあり、したがって、そのような電解質の電池内部から端子表面への移動(migration)又は沿面移動(creepage)を事実上促進する。
【0012】
また、そのような薄いウエファー電池が、電力消費の大きいデバイス用の長寿命電源として役立つように十分な活物質を含有することも望ましい。したがって、薄いことに加えて、ウエファー電池は、また、かなりの割合でかなりの時間にわたって電気エネルギーを供給するための十分な活物質を含有するように、投影面積及び十分に大きい内部容積を有するべきである。
【0013】
以下の議論では、ウエファー電池は、薄い薄板状の単電池を意味するものとする。電池は、その表面のうちの1つ以上が、平らな表面、又は湾曲した表面若しくはランダムに歪んだ表面であってよい。電池は、均一な厚さであってよく、又はその厚さが地点によって異なってもよい。電池は、任意の点、軸、若しくは平面に関して対称又は非対称であってよい。電池の「設置面積」は、電池の可能な向きすべてが考慮されているときに、任意の平面上の電池の最大直交投影面積として定義される。
【0014】
電池の縁部とは、外表面であり、そのうちの1つ以上が、電池の形状に応じて厚さ寸法を構成することになる。厚さが一定でない電池の場合、厚さは、いずれか所与の点で最大値をもつことになる。電池の面とは、該電池の設置面積を画定し、且つ名目上垂直な厚さ軸を有する、一外表面である。電池が扁平で均一な厚さの場合、どの面の面積も電池設置面積に等しくなる。電池が湾曲している、若しくは不均一な厚さである、又はその両方である場合、どの面の面積も、電池設置面積に合致する、又はそれを上回る可能性がある。同様に、電池の縁部は、均一な厚さである必要はない。
【0015】
そのようなウエファー電池が、例えば側部のうちの少なくとも1つが多角形、或いは円形、卵形、又は少なくとも部分的に曲線状である、様々な全体形状及びサイズに一致するように、容易に製造されることが望ましい。
【0016】
ゆえに、6mm未満の小さい電池厚であっても電池内容物の容易な挿入が可能なように、かかるウエファー電池を容易に製造されるようにすることが望ましい。ウエファー電池は、さらに、発生したガスによる内圧に耐え、機械的誤用及び取扱いによる損傷を起こさず、シール不具合に起因した電解質漏れを回避するように、十分に頑丈で耐久性がなければならない。
【0017】
本発明の主態様は、1次又は2次ウエファーアルカリ電池を対象とする。該ウエファー電池は、電気的エネルギー源の役割を果たすように設計され、負端子及び正端子と、前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部とを含む。対向する側部は、いずれかの地点でそれらの間に平均短電池寸法(厚さ)を画定する。該電池は、積層構造を形成するように1つに結合された陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含む。
【0018】
一態様では、電池を、その中の導電性要素と非導電性要素との間に様々なシール境界面を含んだ、ほぼ薄板状の構成にすることができる。アルカリ電解質に対して耐性のあるシーラントが、これらの境界面内に配置される。シーラントを含むシール境界面は、機械的な設計特徴によって、又は構造用接着剤を用いて、剥離力及び剪断力から保護される。電池内部から2つの電池端子のいずれかへの潜在的漏れ経路が、確実にバッテリ厚さ寸法よりもかなり大きくなるようにするために、新規の電池設計及び上包み(over-wrap)設計が使用される。
【0019】
主態様では、本発明のウエファーアルカリ電池は、亜鉛を含む陽極と、二酸化マンガンを含む陰極と、アルカリ電解質、好ましくは水酸化カリウム水溶液とを有する。ただし、ウエファーアルカリ電池は、他の活物質の陽極及び陰極を有してよく、また、他のアルカリ電解質が可能である。例えば、陽極は、亜鉛、カドミウム、又は水素貯蔵合金(metal hydride alloy)を含んでよく、陰極は、二酸化マンガン、オキシ水酸化ニッケル、酸化銀(Ag2O若しくはAgO、単独若しくは混合で)、酸化銅(CuO)、酸化銀銅(silver copper oxide)(AgCuO2若しくはAg2Cu2O3、単独若しくはそれらの混合で、又はMnO2との混合で)を含んでよい。以上に列挙した陽極材料は、それぞれ、以上に列挙した陰極材料それぞれと組み合わせることができる。アルカリ電解質は、電解質が電池内部から移動する傾向を低減する、水酸化ナトリウム、又は水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの混合物を含んでよい。ウエファー電池は、また、充電式バッテリの形態であってもよい。
【0020】
陽極アセンブリ内又は陰極アセンブリ内にはセパレータ層が含まれており、そのセパレータ層は、イオン透過性のフィルム、膜、又は不織布であってよい。別の方法として、セパレータ層は、陽極アセンブリと陰極アセンブリとの間に位置してもよく、また一部の実施形態では、陽極アセンブリと陰極アセンブリとの合わせ面によって形成されたシール領域の一部分に突き出てもよい。
【0021】
特定の実施形態では、電池は、直方体形である。電池は、薄い厚さでよく、例えば、約0.5〜6mm、例えば約1.5〜6mm、通常は約1.5〜4mmである。
【0022】
本発明の主態様では、陽極アセンブリは、前記陽極のためのハウジングを含み、陰極アセンブリは、前記陰極のためのハウジングを含む。セパレータ層は、反対側のアセンブリに面するように陽極アセンブリ若しくは陰極アセンブリ内に配置されてよく、又は、セパレータは、これら2つのアセンブリの間に配置されてよい。陽極アセンブリ及び陰極アセンブリは、好ましくは、陽極活物質と陰極活物質との間に位置するセパレータとともに接着結合されて、耐久性のある、好ましくは堅い、小型の積層構造を形成する。
【0023】
本発明の一態様では、陽極アセンブリの一部を形成する陽極ハウジングは、陽極キャビティの境界を画定する内側周縁部を有する、好ましくは耐久性プラスチック製の陽極フレームを含む。フレームは、前記周縁部に沿って前側部と反対側の後側部とを有する。陽極集電板は、電池の外表面境界に面するように、フレームの後側部に結合される。陽極材料は、前記陽極集電板と接触するように、前記陽極キャビティに挿入される。集電板は、導電性であり、好ましくは金属、好ましくは、銅、黄銅、青銅、スズ、若しくは亜鉛、又は、亜鉛、スズ、銀、インジウム、若しくはビスマスでめっきされた銅若しくは黄銅、又はこれらの金属の組み合わせである。
【0024】
陰極アセンブリの一部を形成する陰極ハウジングは、陰極キャビティの境界を画定する内側周縁部を有する、好ましくは耐久性プラスチック製の陰極フレームを含む。フレームは、前記周縁部に沿って前側部と反対側の後側部とを有する。陰極集電板は、電池の外表面境界に面するように、フレームの後側部に結合される。陰極材料は、前記陰極集電板と接触するように、陰極キャビティに挿入される。陰極集電板は、好ましくはニッケル、ニッケルめっき鋼、又は炭素コーティングされた金属板であり、好ましくは、炭素コーティング若しくは炭化されたニッケル板である。或いは、陰極集電板は、ニッケルでめっき又は被覆された、冷延鋼製であってよい。ニッケルに炭素を重ねてもよく、又はコバルト層を重ね、次いでそのコバルトの上に炭素層を重ねてもよい。他の実施形態では、陰極集電体に炭素を重ね、次いで炭素含有塗料でコーティングしてもよい。
【0025】
他の態様では、別個の陽極フレーム及び陰極フレームの代わりに単一のフレームを使用してもよい。そのような実施形態では、好ましくはプラスチック製の単一フレーム構成には、陽極材料及び陰極を単一フレームの両側に詰め入れることができ、個々のフレームを1つに結合する必要が避けられるという利点がある。
【0026】
本発明の積層ウエファー電池構造の利点は、非常に小さいサイズ、例えば1cm2から、非常に大きいサイズ、例えば600cm2までに及ぶ、事実上あらゆる設置面積の、ただし全厚が小さい、例えば約1.5〜6mm、通常約1.5〜4mmの電池を、容易に製作できることである。電池厚は、さらに小さくすることができ、例えば、約0.5mmほどの薄さにすることができる。したがって、電池を、全厚の小さい電子デバイスのキャビティに容易に嵌め込むことができる。積層電池構造の他の利点は、事実上あらゆる所望の全体形状、例えば、多角形、卵形、円形、曲線状、又は一部が多角形で一部が曲線状の形状にも作製できることである。本発明の積層電池は、耐久性があり、緊密に結合されるので、高湿/低湿の、高温/低温の気候及び雰囲気に曝すことができ、それでも電解質漏れを起こさない。
【0027】
本発明のウエファー電池では、電解質漏れの可能性が3つの方法によって低減される。
1)電池内部と陽極集電板及び陰極集電板との間に、非常に緊密に結合された、本質的に電解質不透過性のシールを作り出すことによる方法。
2)電池内の電解質が電池から脱出するために通らなければならない、非常に長い曲がりくねった経路(漏れブロック経路)を作り出すことによる方法。全漏れブロック経路は、フレーム幅に、フレームの外縁部から露出した電池端子までの距離を加えた合計から成る。
3)露出した外部負接点の表面積を最小限まで削減し、それによって外部負接点表面上での全体的なOH−発生速度を低減することによる方法。
【0028】
電解質漏れ低減方法1に関して、緊密に結合された電解質不透過性シールは、本発明のウエファー電池では、好ましくは、フレーム縁部と陽極集電板及び陰極集電板それぞれの縁部との間に段階的な接着剤シールを用いて達成される。段階的シールは、集電板をそれぞれのフレームに結合するためにプラスチックフレームの縁部に沿って並置された(隣に並べられた)配置で、異なる接着剤の少なくとも2つのコーティングを含む。外側の接着剤コーティングは、好ましくはエポキシのような構造型接着剤である。そのような接着剤は、積層電池構成に構造強度を付与する。内側のコーティングは、好ましくは接着剤シーラントであり、これは、例えば、ポリアミド若しくは官能化ポリエチレン、又はアスファルト溶液であってよい。そのようなシーラントコーティングは、全体的な結合を改善するが、その主要な機能は、電解質を密封することである。別の方法として、構造用接着剤に加えて、又は構造用接着剤の代わりに、リベットを使用することもでき、リベット間のフレームの部分にシーラントコーティングを適用することができる。
【0029】
電解質漏れ低減方法2に関し、これは、電解質が電池内部から外部環境に漏れる可能性を低減するために、長さを増大させた、又は比較的長い妨害経路を設けるものである。この点において、いずれかの活性電極の縁部からそれに対応するバッテリ外部の端子接点まで測定される潜在的な漏れ経路の長さを、全体的な電池厚よりもかなり大きくなるように設定することが望ましいことがわかった。本明細書の好ましい実施形態では、潜在的な漏れ経路(漏れブロック経路)とバッテリ厚との比は、1.5よりも大きく、より好ましくは2よりも大きい。
【0030】
これは、別々に、又は協働する形で採用できる、異なる2つの手段によって達成される。
【0031】
第1の手段では、プラスチックフレームの幅が第1の漏れブロック経路Aを提供する。プラスチックフレームの幅(漏れブロック経路A)は、フレームの内側周縁部(バッテリ活物質及び電解質と接触している)からその外側周縁部まで測定され、ほぼ電池の厚さ寸法ほどの長さ、又はそれよりも長くなるように設定すべきである。ゆえに、厚さ3mm(1/8”)の電池では、フレームの幅(A)は、望ましくは約3mm(1/8”)以上である。漏れを防止するためにフレーム幅(漏れブロック経路A)を最大限まで増大させることが望ましいが、これが、電池内の活物質に利用可能な内部容積を犠牲にすることになることが認識されよう。したがって、所与の電池設置面積(陽極フレーム若しくは陰極フレームの面に平行又はほぼ平行な電池側部)について、妥当な量の活物質を電池に詰め込むことのできる、フレーム幅の上限が存在する。
【0032】
第2の手段では、プラスチックフレームの露出した縁部すべてと、さらに2つの導電性エンドプレート(集電板)の表面の大部分(フレームの外側周縁部からある距離に位置する、各エンドプレート上の小さい端子接点領域だけは除く)とを含めて、電池の外部表面が、望ましくは、シーラントによって電池の外部表面に接着されたプラスチックフィルムで覆われる。好ましい実施形態では、露出した接点、例えば負接点が、フレームのすべての外縁部から可能な最大距離のところで導電性エンドプレート上に配置される。したがって、少なくとも電池厚と同程度の長さの、陽極フレームの外側周縁部から露出した負接点までの距離Bが画定される。距離Bは、第2の電解質漏れブロック経路(ブロック経路B)の長さを画定する。好ましくは第1及び第2の重ね合わされた収縮フィルムラップバンドを含み、好ましくはそれらのラップ間及び第1のラップと電池表面との間にシーラントを有するフィルムラップが、距離Bを横切っている。第1のフィルムバンドと電池との間のシーラント及び2つのフィルムバンド間のシーラントは、優れた電解質ブロック特性の達成に役立ち、経路Bに沿って電解質が漏れる可能性を防ぎ、又は大きく遅延させる。第1のプラスチック収縮ラップは、好ましくは、電池の周囲(縁部)の周りに適用された、プラスチックチュービングのフィルムバンド(周囲バンド)である。未収縮のバンドの中心軸は、厚さ方向に平行に向けられている。収縮後、このバンドは、すべての縁部と導電性エンドプレートのかなりの部分とを含めた、シーラントを支承する外部表面の大部分を覆って接着される。電池端子接点領域は除く(剥き出しのままにする)。したがって、潜在的な漏れ経路は、さらに、フレームの外側周縁部から電池端子の近傍に向かって延長される。
【0033】
第2のプラスチック収縮ラップ、好ましくはプラスチックチュービングのフィルムバンド(横バンド)が、第1のバンドに対して直角に電池に適用される。未収縮のバンドの中心軸は、厚さ寸法に対して垂直に向けられている。第2の収縮ラップ(横バンド)は、密接に収縮されて、残りの露出表面の大部分を被覆する。横バンドには、外側の金属エンドプレート上の、シーラントが存在しない接点領域と位置合わせされた、穿孔された又は切り抜かれた小さい穴が設けられていて、電池端子を露出させる。第1及び第2の収縮ラップバンド(周囲バンド及び横バンド)は、併せて、電池端子を除いた電池の外部表面全体を被覆する。
【0034】
耐漏れ性をさらに高めるために、第2の横バンドを適用する前に、第1の収縮ラップバンド(周囲バンド)の外部表面を追加シーラントでコーティングし、それによって第1のバンド(周囲バンド)の外部と第2のバンド(横バンド)との間にシールをもたらしてもよい。これによって、確実に、漏れた電解質に残っている出口点が、露出した電池接点だけになる。
【0035】
1つに結合された別個の陽極フレーム及び陰極フレームが存在する場合、本明細書で言及する第1の電解質漏れブロック経路(ブロック経路A)を、陽極フレーム周縁部の幅、すなわち、フレーム内の中空スペースを取り囲むフレーム縁部の幅と等しい長さを有するものとして定義することができる。(ただし、類推により、電池の陰極側では陰極フレームの幅が第1のブロック経路Aを決定することが理解されよう。)陽極材料と陰極材料との両方を収める単一の共通フレームが存在する場合、第1の電解質漏れブロック経路(ブロック経路A)は、この共通フレームの縁部の幅と等しい長さを有するものとして定義される。前述した第2の電解質漏れブロック経路(ブロック経路B)は、陽極フレームの外側周縁部境界から電池表面上の露出した負接点までの距離として測定される。総電解質漏れブロック経路A+Bは、望ましくは電池厚の少なくとも約1.5〜4倍であり、非常に大きい設置面積を有する電池ではさらに大きくなり得る。
【0036】
漏れ低減方法3に関し、これは、電池設置面積の総面積に比べ、外部の負接点の面積を最小限に抑えることによって達成される。ゆえに、シーラント及び収縮プラスチックフィルムを使用して、負接点の外部表面のできる限り多くを被覆することによって、露出した接点面積と電池設置面積との比が最小限に抑えられる。好ましくは、この比は、5%未満(設置面積1cm2〜14.5cm2の電池の場合)、より好ましくは1%未満(設置面積14.5cm2〜603cm2の電池の場合)、最も好ましくは0.1%未満(設置面積603cm2以上の電池の場合)である。
【0037】
ここに記載の配置は、正方形、長方形、多角形、円形、若しくは楕円形のような様々な形状、及び平らでも湾曲していてもよい表面を有する、本発明のウエファー電池に適用可能である。
【0038】
全漏れ経路は、フレーム幅に、フレームの外縁部から電池端子までの距離を加えた合計から成る。本発明の好ましい実施形態では、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも2倍である。より好ましくは、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも3倍であり、最も好ましくは、全漏れ経路は、電池の厚さ寸法の少なくとも4倍である。電池外部をシーラント及び収縮プラスチックフィルムで被覆することによって、潜在的な漏れ経路は、さらに、フレームの外側周縁部から電池端子まで延長される。本明細書に開示の設計原理を用いると、非常に面積の大きい、例えば、21.6cm×27.9cm若しくは603cm2(約8.5in×11in若しくは93.5in2)又はそれ以上の面積の、薄いアルカリ電池を構築することができる。
【0039】
本発明の代表的なウエファーアルカリ電池10を図1に示す。図1の実施形態では、電池は、隅角部が丸み付けされた、全体的に方形の形状をしている。電池10は、電池の主要部を形成する2つの対向する方形薄板状表面20’及び80’と、それらの間にある2対の対向する方形端面とを有しており、その1対が端面110a、110bであり、第2の対が端面110c及び110dである。対向する薄板状表面20’及び80’は、好ましくは互いに平行である。図1に示したように、対向する端面110a及び110bは、好ましくは互いに平行であり、対向する端面110c及び110dは、好ましくは互いに平行である。ゆえに、電池10は、隅角部が丸み付けされた直方体(方形平行六面体)の形状である。
【0040】
対向する薄板状表面20’及び80’が、他の形状、例えば多角形であってもよく、また円形若しくは楕円形であってもよく、様々な表面積の、曲線状の周囲、又は一部が曲線状の周囲であってもよいことが理解されよう。したがって、本発明は、方形電池だけに限定されるものではない。対向する薄板状表面20’及び80’は、平行でなくてもよい。ゆえに、望むなら、電池は、変化する厚さであってよい。対向する薄板状表面20’及び80’は、平らでなくてもよい。ゆえに、望むなら、電池は、一定又は変化する厚さで、単一曲率又は2重曲率をもつことができる。単一曲率の電池は、例えば、図9B及び9Cに示されている。図9Bでは、電池は、上面20’から見下ろしたときに、内側に湾曲している(凹面)。図9Cでは、電池は、上面20’から見下ろしたときに、外側に湾曲している(凸面)。図9Cでは、電池は、また、一端110aでは、反対側の端部110bよりも薄い。また同様に、端部11Oaでの電池の幅は、反対側の端部110bでの幅とは異なるものであってよい。図9Cでは、電池の幅は、端部110aでは、反対側の端部110bでの幅よりも小さい。電池表面は、また、多重曲率の表面であってもよい。図9Aでは、2重(鞍状(saddle))曲率の電池が示されている。
【0041】
例えば図1Aに示したように、電池の薄板状構造が形成された後、1つ以上のプラスチックフィルムバンドを電池の表面に適用することができる。バンドは、好ましくは熱収縮性プラスチック材料製であり、望ましくはポリ塩化ビニルフィルム製である。図8Aに示したように、電池端子接点領域25及び26を除いた電池の外側が、初めに、シーラント120(後述する接着剤シーラントB)の第1の外層で被覆される。次いで、第1の熱収縮ラップ、すなわち、収縮プラスチックの周囲フィルムバンド210が、電池の周縁部の周りに適用される(図8B)。バンド210は、好ましくは、中空の内部212を画定する閉じた主要表面211から形成される。フィルムバンド210が電池の表面上に熱収縮されると、フィルムバンド210の主要部211は、電池表面上に折り重なり、第1の外側シーラント層120に付着する(図8C)。シーラント120の一部分は、端子接点領域25を除く中央部(図8C)で露出したままである。外側シーラント121(後述する接着剤シーラントB)の第2の層が、周囲の収縮プラスチックバンド210の外表面に適用される、ただし、電池の周縁部では所望により該シーラント121を省略してもよい。次いで、第2の熱収縮ラップ、すなわち、収縮プラスチックの横フィルムバンド220が、収縮プラスチックの周囲バンド210に垂直に適用されて、残りの露出した薄板状表面20’及び80’を被覆する。横フィルムバンド220が電池表面上に熱収縮されると、該フィルムバンドは、第2のシーラント層121と接触する。したがって、横バンド220は、周囲バンド210を覆って適用された第2のシーラント層121に接着する。横バンド220は、また、薄板状表面20’及び80’に適用された、ただし収縮プラスチックの周囲バンド210によって覆われていなかった、第1のシーラント120の露出部分(図8C)にも接着する。横バンド220には、薄板状表面20’上の端子接点領域25を露出させる穴222と、薄板状表面80’上の反対側の端子接点領域26を露出させるバンド220の反対側の面上の同様の穴(図示せず)とが設けられている。例えば図2に示した特定の実施形態では、端子接点領域25は、電池の負端子を提供し、反対側の接点領域26は、正端子を提供する。横バンド220が周囲バンド210上に収縮した後で、該横バンド220の小さい部分が、バンド220の開口端のところに小さい孔又は窓224をもたらす。下層の周囲バンド210の小さい部分が、窓224を通じて露出した状態で示されている(図8E)。
【0042】
好ましくは、電池10の全厚は、小さく、例えば約0.5〜6mm、例えば約1.5〜6mm、より典型的には約1.5〜4mmである。
【0043】
電池10(図1)の具体的な構成は、図1Aに切欠図で、図2及び図3にそれぞれ縦断面図及び横断面図で示されている。電池10は、初めにアセンブリ30A(図4A)のような陽極アセンブリを形成し、次いでアセンブリ70A(図4B)のような陰極アセンブリを形成することを特徴とする。次いで、陽極アセンブリ30A及び陰極アセンブリ70Aが、好ましくは接着剤によって互いに結合されて、完成した電池を形成する。完成した電池は、好ましくはシーラントでコーティングされ、好ましくはポリ塩化ビニル製の熱収縮性プラスチックフィルム200で、好ましくは2回包まれる。プラスチックフィルム200に熱が加えられて、電池のラベルを形成する。他の種類の外側フィルムラップ200、例えば、接着剤コーティングされたプラスチックフィルム、及び熱収縮性ポリオレフィン又はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用することができる。前述したように、外側フィルムラップ200は、好ましくは2重ラップを含み、すなわち、電池の周縁部の周りに適用された第1のフィルムバンド210と、第1のフィルム210を覆って横方向に適用された第2のラップ220とを含む。
【0044】
接着剤又はシーラントは、様々な構成要素に好ましい位置でコーティング又は適用される。接着剤及びシーラントの一般的な種類について説明し、特に好ましいものを指定する。ただし、特定の接着剤及びシーラントの代替が可能であることが理解され、したがって、本発明を本明細書に提示のものだけに制限しようとするものではない。本明細書に記載のウエファー電池10の実施形態を形成する際に使用される接着剤/シーラントには、3つの種類がある。
【0045】
接着剤A:これは、主に、結合される構成要素に保持強度を付与する、構造用接着剤である。接着剤Aにエポキシ系接着剤を使用することが好ましい。好ましいエポキシ接着剤は、例えば、3M社(3M Company)から2216の商品名で入手可能な2成分エポキシから成るものであってよい。また、単成分の、3Mから非金属充填エポキシ2214(non-metallic filled epoxy 2214)の商品名で入手可能な熱活性型エポキシ、又は3MからLC−1211の商品名で入手可能なUV開始型アクリレート接着剤、又は3MからAF−111 スコッチウェルドフィルム接着剤(AF-111 Scotch-Weld film adhesive)の商品名で入手可能なフィルム接着剤であってもよい。
【0046】
接着剤シーラントB:これは、構成要素を1つに結合させるのに役立ち、また同時にシーラントの役割も果たす、すなわち、アルカリ電解質を密封し、且つその透過を妨害する働きをする、粘着性接着剤である。接着剤シーラントBは、好ましくは、粘着性ポリアミドを含む溶剤系溶液として適用される。或いは、シーラントBは、グラフト側基(grafted side groups)をもつポリエチレンである、官能化ポリエチレンを含んでもよい。好ましい官能化ポリエチレン接着剤シーラントは、中国のハルビン・レナウン・テック社(Haerbin Renown Tech.Co.Ltd.)から商標名J−43接着剤(J-43 adhesive)として入手可能である。或いは、アスファルトであってもよい。ポリアミド樹脂を含む溶剤系溶液の形態をした好ましいシーラントBは、スペシャルティ・ケミカルズ社(Specialty Chemicals Co.)から商品名スペックシール(Specseal)として販売されている。粘着性ポリアミド樹脂を含む他の好ましい溶剤系溶液は、商標名REAMID−100及びVERSAMID−100として入手可能である(ヘンケル社(Henkel Corp.)又はコグニス社(Cognis Corp.)から)。そのような接着剤構成成分は、望ましくは低分子量の熱可塑性ポリアミド樹脂である。好ましいポリアミド樹脂は、商標名REAMID−100及びVERSAMID−100として入手可能である(ヘンケル社(Henkel Corp.)又はコグニス社(Cognis Corp.)から)。これらの樹脂は、室温でゲルであって、分子量約390の二量体化脂肪酸であり、且つ二量体化脂肪酸とジアミンとの反応生成物である。より高分子量のポリアミド系接着剤構成成分を使用できるが、低分子量の構成成分は、選択される好ましい溶剤中により容易に溶解するので好ましい。接着剤構成成分は、所望の粘度になるように溶剤に溶解される。イソプロパノール又はトルエンのような様々な溶剤、並びに溶剤の混合物を使用することができる。好ましくは、取扱時に比較的無害な性質であるので、イソプロパノールが溶剤として使用される。ポリアミドは、水酸化カリウム電解質による化学的侵食に耐えるという、さらなる利点を有する。ジェットスプレー方法を含めた従来のスプレーコーティング技術を使用して、接着剤を電池構成要素に適用することができる。接着剤は、電池のポリマー構成要素の所望の表面間、電池の金属構成要素の表面間、又は電池のポリマー構成要素の表面と電池の金属構成要素の表面との間に接着剤シールをもたらすように適用することができる。
【0047】
接着剤C:この接着剤は、主に、同一又は類似のプラスチック材料製の2つのプラスチック構成要素を結合させるために使用される。したがって、好ましい接着剤は、やはり、結合されているプラスチック材料と同一のポリマーベースを有する。例えば、結合されているプラスチック材料が耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)である場合、好ましい接着剤は、やはりポリスチレン接着剤樹脂を含有する。そのような接着剤は、適した溶剤に溶解した接着剤樹脂を含む溶剤系溶液の形態で便利に適用することができる。
【0048】
本発明の特定の実施形態について記載する際、特に指示のない限り、接着剤は、以上で指定した接着剤A、B、又はCを参照することによって与えられる。
【0049】
好ましい陽極アセンブリ30A(図4A)は、外側周縁部33aと内側周縁部37とを有する、好ましくはプラスチック製の陽極フレーム30を含む。内側周縁部37は、中空の内部スペース33bを取り囲む。陽極フレーム30は、好ましくは、耐久性があり、さらに可撓性で接着結合可能でもある、プラスチック材料から構成される。フレーム30に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリスルホン、又はポリ塩化ビニル(PVC)プラスチックである。陽極アセンブリ30Aは、また、陽極材料40と、陽極集電板20と、セパレータシート50とを含む。所望により、セパレータシートを、陰極アセンブリ70Aの一部として含めてもよく、又は陽極アセンブリと陰極アセンブリとの間の別個の物体として含めてもよい。組立時には、集電板20を、フレーム30の後側部に接着結合させることができる(図4A)。そのような実施形態(図4A)では、フレーム30とそれに結合した陽極集電板20とが、事実上、陽極材料40のためのハウジングを形成する。好ましい集電板20は、銅製である。板20は、望ましくは、厚さ約6〜8mil(0.152〜0.203mm)である。集電板20は、好ましくは、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤20a(前述の接着剤A)のバンドと、フレームの内縁部に隣接したシーラント材料20b(前述の接着剤シーラントB)のバンドとから成る段階的シールを用いて、フレーム30の後側の縁部33aに固定かつ封止される。段階的シールの代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的シールが好ましい。接着剤層の厚さを制御するために、スペーサビーズを構造用接着剤に組み込むことができる。次いで、陽極材料40を、集電板20に押し当てられた配置になるようにフレーム30内の内部スペース33bに挿入することができる。フレーム30には、フレームの内縁を形成する、陥凹したレッジ(ledge)36を設けてよい。陥凹レッジ36は、好ましくは接着剤37でコーティングされる。接着剤37は、溶剤系接触接着剤、例えば、3M社(3M Company)から商品名1357−Lで入手可能な接触接着剤、又は3Mから商品名30−NFで入手可能な水系接触接着剤であってよい。レッジ36に適用するための好ましい溶剤系接着剤は、10重量%の耐衝撃性ポリスチレンと90重量%のトルエンとの溶液を含む。セパレータシート50の縁部がレッジ36に接して配置され、且つ接着剤コーティング37によって該レッジに結合されるように、セパレータシート50を陽極材料40上に被せて挿入してよい。或いは、超音波又は熱及び圧力溶接法によって、セパレータシート50の縁部をレッジ36に溶接してもよい。したがって、完成した陽極アセンブリ30は、集電板20及びセパレータ50がフレーム30の両側に結合した、集電板20に押し当てられた陽極材料40を含む積層構造の形態である。
【0050】
好ましい陰極アセンブリ70A(図4B)は、外側周縁部73aと内側周縁部77とを有する、好ましくはプラスチック製の陰極フレーム70を含む。内側周縁部77は、中空の内部スペース73bを取り囲む。陰極フレーム70は、好ましくは、耐久性があり、さらに可撓性で接着結合可能でもある、プラスチック材料から構成される。フレーム70に好ましい材料は、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリスルホン、又はポリ塩化ビニルプラスチックである。陰極アセンブリ70Aは、また、陰極材料60と陰極集電板80とを含む。陰極集電板80は、望ましくはニッケルめっき鋼板であり、好ましくは、ニッケルの上を炭素層が覆う、ニッケルめっき鋼である。鋼板は、通常、冷延鋼であってよい。他の適した陰極集電板80は、米国特許第6,555,266B1号に開示されているような、ニッケル層をコバルト層が覆い、コバルトを炭素塗料層が覆う、ニッケルめっき鋼板であってよい。他の適した陰極集電体は、エッチングされ、炭化され、炭素塗料コーティングでコーティングされた、純ニッケル板である。ニッケル板は、望ましくは、厚さ約6〜8mil(0.152〜0.203mm)であってよい。ニッケル板上の炭素コーティングは、例えば、米国特許第6,555,266号に記載されているような、溶剤系コーティング法によって適用されてよい。ニッケル板は、該ニッケル板を高温で動作している炉に通過させることによって炭化されてよく、その際、揮発した炭素前駆体から炭素がニッケル表面上に蒸着する。ニッケル表面上に炭素を蒸着させて炭化ニッケル表面を形成する後者の技術については、米国特許第2,051,828号(ウィリアム・F・デスター(William F. Dester)、1936年8月25日)に記載されている。アルカリ電池における炭化ニッケル集電体の使用については、米国特許第3,713,896号(ラルフ・H・フェルダケ(Ralph H. Feldhake)、1970年8月19日)に記載されている。
【0051】
組立時には、集電板80をフレーム70の後側部に接着結合させてよい(図4B)。かかる実施形態(図4B)では、フレーム70とそれに結合した陰極集電板80とが、事実上、陰極材料60のためのハウジングを形成する。集電板80は、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤70a(前述の接着剤A)のバンドと、フレームの内縁部に隣接したシーラント材料70b(前述の接着剤シーラントB)のバンドとから成る段階的シールを好ましくは用いて、フレーム70の後側の縁部73aに結合されてよい。段階的シールの代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的シールが好ましい。次いで、陰極材料60を、集電板80に押し当てられた配置になるようにフレーム70内の内部スペース73bに挿入することができる。したがって、完成した陰極アセンブリ70aは、集電板20に押し当てられた陰極材料60を含む、ただし陰極材料60の一部分が露出した、積層構造の形態である。
【0052】
次いで、陽極アセンブリ30Aを陰極アセンブリ70Aに接着固定して、陽極材料40と陰極材料60とが互いに向き合い、且つそれらの間にセパレータ50が存在する、単一積層電池構造10を形成することができる(図1A)。陽極アセンブリ30A及び陰極アセンブリ70Aは、陽極フレーム30の露出縁部33a(図4A)に接着剤を適用することによって、便利に1つに結合される。陽極フレーム縁部は、通常、接着剤を適用するのに十分な空間をもたらす約0.31〜0.63cm(1/8〜1/4インチ)の幅であってよい。接着剤32は、望ましくは、フレーム30のプラスチック材料と同じ部類由来の接着剤樹脂を含有する。ゆえに、フレーム30が耐衝撃性ポリスチレン製の場合、好ましい接着剤32は、耐衝撃性ポリスチレンのトルエン溶液である。或いは、フレームがABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)若しくはPVC(ポリ塩化ビニル)から作製される場合、これらのプラスチックポリマーのトルエン溶液又は他の溶剤溶液を使用してよい。接着剤32が陽極フレーム30の縁部33aに適用された後、陽極フレーム30は、陰極フレーム70上に押圧され、それによって陽極アセンブリ30Aを陰極アセンブリ70aに接着結合させ、結合された積層構造を形成して、図1〜3に示した完成した電池10を形成する。図1A、図2、及び図3に最もよく示されている完成した電池10は、堅く、頑丈で、且つ小型である。結合された積層電池構成は、電池内容物をその中に保持する、緊密に封止された電池をもたらす。図2及び図3に示したように、電池は、1層又は2層のシーラントでコーティングされ、1層又は2層のプラスチックフィルム、好ましくはポリ塩化ビニルの熱収縮性フィルムで包まれてよい。フィルムに熱が加えられると、該フィルムは、電池の境界表面の周りで収縮してラベルを形成する。
【0053】
本発明の一態様は、電池内部から電解質が外部脱出点に到達するまでに通る長い漏れ経路が設けられるように、電池を設計することである。(これは、様々な電池構成要素に前述の接着剤及び接着剤シーラントを与えることに加えて実施される。)ゆえに、本発明のウエファー電池10は、フレーム30及び70(又は、図7A及び図7Bに示した単一フレームの実施形態の場合にはフレーム130)が、好ましくは少なくとも総電池厚ほどの大きさの、フレーム縁部幅(例えば、図4Aに示した縁部33aと37との間、又は図4Bに示した縁部73aと77との間、又は図7Bに示した縁部130aと137との間)をもつように設計される。これは、例えば図2に示したように、電解質が電池内部からフレームの外端まで通る、比較的長い第1の漏れブロック経路「経路A」をもたらす。次いで、外側の熱収縮性フィルムラップ200(図8A〜8Eに示したように2重のフィルムラップ210及び220を含んでもよい)が、第2の漏れブロック経路「経路B」をもたらす。ブロック経路Bは、フレーム(例えば、フレーム30)の外側周縁部から距離「B」(図2)のところにある導電性エンドプレート(例えば、エンドプレート20)上に配置された露出端子接点(例えば、端子接点25)からの距離として定義され、それは、少なくともフレーム幅ほどの長さの距離、すなわち、電池厚にほぼ等しい又はそれ以上の距離である。この状況では、総電解質漏れブロック経路A+B(図2)は、好ましくは電池厚の少なくとも2倍である。漏れブロック経路A及びBに対するのと同一の定義が、図7A及び図7Bに示した本発明の単一フレーム130の実施形態にも同様に当てはまることが理解されよう。
【0054】
本発明の電池10に好ましい放電レートは、例えば、約15〜45ミリワット/cm2(13.5〜40.5ミリアンペア/cm2)ほどの大きさであってよい。(平方センチメートル面積は、陽極/陰極境界面での面積に基づく。)全体寸法が幅4cm×長さ8cm×厚さ3mmの典型的なウエファー電池10は、電流ドレインレート(current drain rate)約1〜1,000ミリアンペア、好ましくは約10ミリアンペア〜100ミリアンペアに対応し得る。
【0055】
図5A及び図5Bに示した代替的な実施形態では、陽極フレーム30及び陰極フレーム70を、それぞれのフレーム縁部33a及び73aに沿って突出リベットを含むように一体成型することによって、完成した電池の構造健全性を高めることができる。そのような一体成型されたリベット35が、陽極フレーム30の後面縁部から突き出る様子が示されている。同様に、一体成型されたリベットが、陰極フレーム70の後面縁部から突き出る様子が示されている。陽極集電板20には、その縁部に沿って、陽極フレーム30上の突出リベット35と対合するための孔22が設けられている。同様に、陰極集電板80には、その縁部に沿って、陰極フレーム70上の突出リベット75と対合するための孔82を設けることができる。したがって、リベット35を孔22に挿通することによって、陽極集電板20を陽極フレーム30に固定することができ、リベット75を孔82に挿通することによって、陰極集電板80を陰極フレーム70に固定することができる。次いで、リベットヘッドに熱と圧力を加えることによって、該リベットヘッドをピーニング処理(peened)(積層化)することができる。望ましくは、陽極集電板上のリベット孔22間のスペース及び陰極集電板上のリベット孔82間のスペースにも、シーラントを適用してよい。そのような目的に好ましいシーラントは、中国のハルビン・レナウン・テック社(Haerbin Renown Tech.Co.Ltd.)から商品名J−43接着剤(J-43 Adhesive)として入手可能であるような、粘着性のある官能化ポリエチレン樹脂を有する溶剤系シーラントであってよい。図6A及び図6Bに示した実施形態では、陽極フレームに沿った突出リベット35は、陽極フレーム30の縁部に沿った浅い窪んだスペース38から突き出る陥凹した基部を有してよい。そのような構成によって、リベットヘッドが陽極集電板20の孔22に挿入されて積層化された後で、該リベットヘッドを該陽極集電板の表面よりも低い水平面に下げることができる。同一の陥凹リベットヘッド構成を、陰極フレーム70から突き出るリベット75に使用してよい。
【0056】
図4A及び図4Bに示した実施形態、並びに図5A及び図5Bに示したリベットを備えた実施形態にしたがって、電池10を作製した。図4A及び図4Bに示した陽極アセンブリ及び陰極アセンブリを使用する特定の構成では、電池は、全厚2.8mm、幅38.1mm(1.5インチ)、長さ38.1mm(1.5インチ)であった。電池を、約0.6ボルトのカットオフ電圧まで77.5〜0.775ミリワット/cm2の様々な一定レートで放電させた(面積は、陽極と陰極との間の境界面積に基づく)。約0.6ボルトのカットオフまでの放電サイクルの間、平均負荷電圧は、約1.1ボルトであった。したがって、前述のワット密度範囲は、電流ドレイン密度約70.5〜0.705ミリアンペア/cm2となる。この放電範囲では、電池は、元の厚さの最大約10%の厚さが膨らんだ。電池は、破裂せず、電解質の漏れもなかった。電子デバイスのバッテリキャビティ内で電池が密接に膨張しすぎないようにするために、公称10%の電池膨張を見込むように、該バッテリキャビティを電池よりも十分に大きく設計する、又は電池をキャビティ開口部よりも厚さが十分に小さくなるように設計することが推奨される。
【0057】
他の好ましいウエファー電池の実施形態(図7A及び図7B)では、図4A及び図4Bの実施形態に示した2つのフレーム30及び70の代わりに、単一フレーム130を使用してよい。好ましくはプラスチック製の単一フレーム構成には、陽極材料40及び陰極60を単一フレーム130の両側に詰め込むことができ、個々のフレームを1つに結合させる必要がないという利点がある。図7Bに最も良く示された単一フレーム130は、中空の内部スペース133bを取り囲む内側周縁部132を有する。図7A及び図7Bに示した単一フレームの実施形態の状況では、陽極アセンブリは、陽極集電体20と、陽極40と、セパレータ50と、フレーム130の上側とを含む。陰極アセンブリは、陰極集電体80と、陰極60と、同じフレーム130の下側とを含む。陽極集電体20及び陰極集電体80は、フレーム130の両反対側に結合されて、薄板状電池構成を形成する。
【0058】
単一フレームを使用する実施形態のための電池構成(図7A及び図7B)を達成するには、接着剤137が、フレーム130の内縁に沿って陥凹レッジ136に適用される(図7B)。
【0059】
接着剤137は、溶剤系接触接着剤、例えば、3M社(3M Company)から商品名1357−Lで入手可能な接触接着剤、又は3Mから商品名30−NFで入手可能な水系接触接着剤であってよい。レッジ136に適用するための好ましい溶剤系接着剤は、10重量%の耐衝撃性ポリスチレンと90重量%のトルエンとの溶液を含む。
【0060】
セパレータシート50は、接触接着剤137によって陥凹レッジ136に結合される。或いは、接着剤を使用せずに、熱及び圧力によって、又は超音波によって、セパレータシート50を陥凹レッジ136に直接溶接してもよい。
【0061】
陰極60は、セパレータシート50の露出した側部の上に押圧される。次いで、陰極集電板80の縁部がフレーム130の縁部と接触するように、該集電板80が陰極60に被せて適用される。段階的接着剤80a及び80bは、図7A及び図7Bから推測されるように、陰極集電体80をフレーム130の下側にしっかりと結合された状態で保持する。
【0062】
陽極40は、セパレータシート50の反対側の露出した側部上に押し出され、又は押圧される。次いで、陽極集電板20が、該集電板20の縁部がフレーム130の縁部と接触するように、陽極40に被せて適用される。段階的接着剤130A及び130bは、図7Aのように陽極集電体20をフレーム130の上側にしっかりと結合された状態で保持する。
【0063】
段階的シールは、好ましくはフレーム130の縁部133aに沿って適用される。段階的シールは、フレームの外縁部に隣接した構造用接着剤130a(前述の接着剤A)のバンドと、シーラント材料130b(前述の接着剤シーラントB)のバンド(フレームの内縁部に隣接)とを含んでよい。段階的シールの代わりに均一な組成の単一の接着剤をフレーム130の表面133aに沿って適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的シールが好ましい。
【0064】
同様の段階的接着剤を、フレーム130の反対側の側部に適用してよく、又は陰極集電板80の縁部に沿って適用してよい。後者は、図7Bに示されている。段階的接着剤は、陰極集電板80の外縁部に隣接した構造用接着剤80a(前述の接着剤A)と、陰極集電板80の内縁部に隣接したシーラント材料80b(前述の接着剤シーラントB)のバンドとを含む。段階的接着剤の代わりに均一な組成の単一の接着剤を適用してもよいが、電解質を密封するより優れたシステムをもたらすので段階的接着剤が好ましい。
【0065】
非限定例として、設置面積サイズ38.1mm×76.2mm(1.5インチ×3.0インチ)の薄いウエファー電池10(厚さ4mm)の場合、典型的な動作時電流ドレインは、約1ミリアンペア〜約2,000ミリアンペア、典型的には約10〜250ミリアンペア、より典型的には約10〜100ミリアンペアになり得る。一般に、よりサイズの大きい本発明の電池10(厚さではなく、それらの陽極/陰極境界面積に関して)が、ますます高い電流ドレイン需要において該電池に良好な性能を示させることが理解されよう。
【0066】
特定のタイプの亜鉛粉末合金、亜鉛粒径、及び特定のタイプの陽極集電体の場合、水素ガスが陰極へと拡散し、且つ陰極材料によって酸化されて水を形成できるよりも速く、陽極が水素ガスを生成することがある。したがって、何らかの形態のガス管理システムが必要となり得る。具体的には、蓄積した水素ガスを排気するためのシステムが必要となり得る。これは、例えば、米国特許第4,105,831号(ポラロイド社(Polaroid Corporation))によって開示されているのと同様に、その長さ全体にわたって配置された多孔質インサートを有するガス透過性ポリマーのチューブの形態をとることができ、該チューブは、陽極キャビティを横切り、プラスチックフレームの外縁部を越えたところで終端する。
【0067】
以下の、陽極40、陰極60、及びセパレータ50の化学組成に関する電池組成についての説明は、前述の実施形態で開示した代表的なウエファー電池10に適用可能である。
【0068】
前述の電池10では、陰極60は、二酸化マンガンと電解質とを含み、陽極40は、亜鉛と、ゲル化剤と、電解質とを含む。電解質水溶液は、KOHと酸化亜鉛との従来の混合物を含む。陽極材料40は、水銀フリーの(水銀無添加の)亜鉛合金粉末を含有するゲル化した混合物の形態にすることができる。すなわち、電池は、重量当たり亜鉛の約100ppm未満の総水銀含有量を有し、好ましくは重量当たり亜鉛の50ppm未満の水銀を含有する。また、電池は、好ましくは、鉛が添加されておらず、したがって事実上無鉛であり、すなわち、総鉛含有量は、陽極中の総亜鉛量の30ppm未満、望ましくは15ppm未満である。そのような混合物は、通常、KOH電解質水溶液、ゲル化剤(例えば、ノベオン(Noveon)(旧B.F.グッドリッチ(B. F. Goodrich))から商標名CARBOPOL C940として入手可能なアクリル酸コポリマー)、及び界面活性剤(例えば、ローヌ・プーラン(Rhone Poulenc)から商標名GAFAC RA600として入手可能な有機リン酸エステル系界面活性剤)を含有することができる。このような混合物は、単に実例として与えるにすぎず、本発明を制限しようとするものではない。亜鉛陽極用の他の代表的なゲル化剤は、米国特許第4,563,404号に開示されている。
【0069】
本発明の電池10に利用するための陰極60は、望ましくは、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,207,322B1号に記載されている種類の軟質又は半固体陰極である。ただし、例えば陰極の約87〜93重量%の二酸化マンガン含有量を有する、より従来型の固体二酸化マンガン陰極も、やはり使用できることが理解されよう。それでも、軟質又は半固体陰極が、それらを陰極フレーム70内のキャビティ73bへと容易に成型できることから、本発明のウエファー電池に利用するのに望ましいことがわかっている。さらに、電池の耐用期間中、陰極集電体80の露出表面と密接且つ均一な接触を維持することが判明したので、本発明の接着固定された電池の状況では、そのような軟質又は半固体陰極が好ましい。接着剤によって積層化された本発明の電池10では、固体陰極を陰極集電体と密接且つ均一に接触した状態に保持するための強い圧縮力が存在せず、そのような接触は、時間が経つといくらか緩むことがある。ゆえに、軟質又は半固体陰極が好ましい。
【0070】
本明細書で使用するとき、用語「半固体」は、広く、真の固体と真の液体との間の中間的性質のすべての物理状態に及ぶものとする。ゆえに、半固体という用語は(これだけに限定するものではないが、例えば)、一般にパテ及びペーストに関係付けられる、柔らかい質感及びレオロジー特性を有する物理状態を包含するものとする。本明細書で使用するとき、半固体材料は(これだけに限定するものではないが、例えば)、液体のように自由流動性ではないが、一般に該材料を導管内で移動させるのに外力を必要とする材料を包含する。また、半固体という用語は(これだけに限定するものではないが、例えば)、押出可能であり、且つ外力を受けて破砕することなく変形できる材料にも当てはまるものとする。
【0071】
本発明のウエファー電池で使用するのに望ましい半固体陰極60は、以下のような、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,207,322B1号に記載の特性及び組成範囲を有することができる。
【0072】
したがって、本発明の電池10用の半固体陰極60は、望ましくは、該陰極の80重量%未満、好ましくは該陰極の約40〜80重量%、典型的には約45〜78重量%、より典型的には45〜70重量%の量の二酸化マンガンを含む。二酸化マンガンを含む半固体陰極は、パテ若しくはペースト、又は測定可能な粘度を有する高粘性材料の形態であってよい。
【0073】
軟質陰極60は、通常、該陰極の約45〜78重量%、より典型的には該陰極の約45〜70重量%のMnO2(EMD)と、カーボンブラック(シャウィンガン(Shawingan)アセチレンブラック、より好ましくは、WO9703133に記載されているような、ベルギーのティムカル(Timcal)から得られるMM131又はMM179のような黒鉛化カーボンブラック)と、KOH電解質水溶液(7〜9、標準)とを含む。好ましくは、また、少量のグラファイトも添加される。有利には、カーボンブラックは、好ましくは半固体陰極の約4〜15重量%含まれる。カーボンブラックは、半固体陰極の伝導度を増大させ、陰極を半固体状態に維持するための内部の網状構造をもたらす。カーボンブラックは、また、電解質吸収体の役割も果たしており、アルカリ電解質溶液を固定化するので、自由な流体電解質が明らかではなくなる。グラファイトは、陰極の約1重量%〜8重量%含まれてよく、陰極の伝導度を改善する。望ましくは、本発明の半固体陰極は、また、水酸化カリウムを含む電解質溶液も含む。半固体陰極は、また、ポリテトラフルオロエチレンのような結合剤も含んでよく、望ましくは該陰極の約0〜2重量%含む。所望により、稠度(consistency)を調節するために、サザンクレイプロダクツ社(Southern Clay Products Company)のラポナイト(Laponite)RDS粘土のような粘土を2重量%未満加えてもよい。
【0074】
半固体陰極60は、多孔率約30〜70%、好ましくは約35〜70%、より好ましくは約40〜70%であってよい。本明細書では、多孔率は、非固体材料、すなわち電解質+空気から構成される、陰極の体積分率を意味するものと理解される。また、半固体陰極60は、望ましくは、全陰極の重量%として、アルカリ電池用の固体MnO2含有陰極で従来使用されるよりも高い電解質含有量を有してよい。半固体陰極材料60は、全陰極材料の約6〜18重量%のKOH含有量(純粋)と、約9〜27重量%の総水分含有量とを有してよい。KOHに関して本明細書及び実施例で使用するとき、KOH(純粋)という用語は、計算の目的で、純粋な無水KOH含有量である(すなわち、水を含めない)。
【0075】
陰極多孔率は、電解質、他の液体、及び封じ込められた空気(固体の孔隙内に封じ込められた液体及び空気の体積を含める)が占める体積を決定し、その体積を陰極の見掛体積で除して100を乗じることによって計算してよい。(見掛体積は、試料の外部境界内に含まれる試料の全体積である。)陰極多孔率は、固体が陰極へと混合される前に、従来のヘリウム置換法によって初めに各固体の実密度を得ることによって、簡便に計算してよい。(各固体の実密度は、固体試料の重量を、その実体積、すなわち、固体試料の見掛体積から封じ込められた空気が占める体積を減じた体積で除したものである。)次いで、陰極へと混合すべき固体の各重量をそれぞれの実密度で除して、陰極中の固体の実体積を得る。全体としての陰極の見掛体積から固体の実体積を差し引き、この差を陰極の見掛体積で除し、100を乗じて、多孔率%を得る。
【0076】
電解二酸化マンガンは、通常、約1〜100μm、望ましくは約20〜60μmの平均粒径を有する。グラファイトは、通常、天然、合成、若しくは膨張グラファイト、又はそれらの混合物の形態である。グラファイトは、また、グラファイト状炭素ナノ繊維を、単独で、又は、天然、合成、若しくは膨張グラファイトとの混合で含むこともできる。そのような陰極混合物は、例示を目的としたものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0077】
陽極材料40は、亜鉛合金粉末62〜72重量%(合金及びめっき材料として200〜500ppmのインジウムを含有する99.9重量%亜鉛)、38重量%のKOHと約2重量%のZnOとを含むKOH水溶液、ノベオン(Noveon)から商標「CARBOPOL C940」として市販される架橋アクリル酸ポリマーゲル化剤(例えば0.5〜2重量%)、及び、任意で、グレイン・プロセシング社(Grain Processing Co.)から商標「ウォーターロックA−221(Waterlock A-221)」として市販される、デンプン骨格鎖上にグラフトされた加水分解ポリアクリロニトリル(0.001〜0.5重量%)、ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)から商標RM−510として入手可能な、有機リン酸エステル界面活性剤RA−600又はジオニル(dionyl)フェノールリン酸エステル界面活性剤(10〜100ppm)を含む。本明細書で使用するとき、亜鉛という用語は、亜鉛を非常に高濃度で含む、例えば、亜鉛を少なくとも99.9重量%含む、亜鉛合金粉末を包含すると理解されるものとする。そのような亜鉛合金材料は、電気化学的には事実上純粋な亜鉛として機能する。
【0078】
本発明の薄板状アルカリ電池10の陽極40に関して、亜鉛粉末の平均粒径は、望ましくは約1〜350μm、望ましくは約1〜250μm、好ましくは約20〜250μmである。通常、亜鉛粉末は、平均粒径約150μmであってよい。陽極40における亜鉛粒子は、針状又は球状の形状のものにすることができる。陽極中の亜鉛のかさ密度(bulk density)は、陽極1立方センチメートル当たり亜鉛約1.75〜2.2グラムである。陽極中の電解質水溶液の体積%は、好ましくは陽極の約69.2〜75.5体積%である。
【0079】
電池10は、EMDの容量mA・hr(EMD1g当たり410mA・hrに基づく)を亜鉛の容量mA・hr(亜鉛1g当たり820mA・hrに基づく)によって除すと約1になるように、従来式にバランスをとることができる。ただし、陰極が過剰になるように電池のバランスをとることによって、完全放電時のバルジング(deep discharge bulging)を低減することができる。ゆえに、電池のバルジングを低減するために、EMDの理論総容量を亜鉛の理論総容量で除すと、約1.03〜1.10、望ましくは約1.05〜1.08、好ましくは約1.07になるように、電池10のバランスをとることができる。
【0080】
試験電池の実施例1
図1〜3に示した正方形構成の試験電池10を準備した。試験電池10は、長さ38.1mm(1.5インチ)、幅38.1mm(1.5インチ)、全厚2.8mmとした。電池10を、電池の外表面に適用されたラベル200なしに試験した。陽極40及び陰極60は、以下の組成とした。
【0081】
【表1】
注:
1.亜鉛粒子は、平均粒径約150μmであり、総インジウム含量約200ppmをもたらすようにインジウムで合金且つめっきした。
2.H2O中3重量%の、ローヌ・プーラン(Rhone Poulenc)から得られる有機リン酸エステル系界面活性剤溶液RM510。
3.電解質溶液は、合計で電解質溶液の約1.5重量%を構成するゲル化剤ウォーターロックA221(Waterlock A221)及びカーボポールC940(Carbopol C940)と、約2重量%のZnOとを含有した。
【0082】
【表2】
注:
1.グラフマックスMP12ドゥ天然グラファイト(Grafmax MP12 du natural graphite)、ナショナル・デ・グラファイト(Nacional DeGrafite)より。
【0083】
陽極プラスチックフレームは、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)プラスチック材料から構成され、厚さ約0.76mmであった。陰極プラスチックフレームは、HIPSプラスチック材料から構成され、厚さ約1.52mmであった。セパレータ50は、セロファンフィルムに積層されたポリビニルアルコール繊維の不織布シートを含んだ。陰極は、1.61gのMnO2を有した。陽極、陰極、電解質、及びセパレータは、電池の外部体積の約37%を構成した。
【0084】
一連の電力需要にわたって電池の性能の指示を与える以下の方法で、電池を放電させた。
【0085】
新しい電池10を、初めに、電力ドレイン500ミリワット(454ミリアンペア)で、カットオフ電圧約0.6ボルトまで放電させた。測定された容量は、37.1mW・hrであった。電池を1時間休ませた後、同じ電池を250ミリワット(227ミリアンペア)のレートでカットオフ電圧0.6ボルトまで放電させた。このドレインについて測定された増分容量は、100.4mW・hrであった。電池を1時間休ませた後、同じ電池を100ミリワット(90.9ミリアンペア)のレートでカットオフ電圧0.6ボルトまで放電させた。このドレインについて測定された増分容量は、90.19mW・hrであった。次いで、同じ電池を、各放電間で1時間休ませて、15ミリワット、10ミリワット、及び5ミリワットで、カットオフ0.6ボルトまで増分的に放電させた。最後の3つの放電の増分容量は、それぞれ30.99、106.28、及び8.87mW・hrであった。
【0086】
放電試験が完了した後、電池をバルジング及び漏れについて調べた。電池の全厚が約10%膨張した、すなわち、厚さ約2.8mmから3.1mmに膨張したことがわかった。電解質の漏れは認められなかった。
【0087】
本明細書に開示の設計原理を用いると、非常に面積の大きい、例えば、21.6cm×27.9cm若しくは603cm2(約8.5in×11in若しくは93.5in2)又はそれ以上の面積の、薄いアルカリ電池を構築することができる。より複雑なフレーム設計に関わる本発明の他の実施形態は、本発明の概念内にある。例えば、ウエファー電池を、フレーム内に内部パーティション若しくはリブを設けて構築し、それによって陽極フレーム又は陰極フレームの内部を多数の容積に細分することもできる。これらの内部リブを、接着剤、段階的シール(隣に並べられた配置のシーラントコーティング及び接着剤コーティング)、又はシーラントとリベットとによってエンドプレートに取り付けることによって、全体的な電池構造を機械的に補強して、より大きい剛性及び耐曲げ性を与えることができる。この特徴は、面積の大きい電池の場合に特に有用であり、最も外側の周囲シールに、電池エンベロープの曲げ又はねじりに起因した剪断又は剥がれによる故障に対する追加的な保護をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明のウエファー電池の一実施形態の斜視図。
【図1A】2重フレーム構成を有する図1のウエファー電池の実施形態の切欠断面図。
【図2】部位線2−2に沿った図1の電池の横断立面図。
【図3】部位線3−3に沿った図1の電池の横断立面図。
【図4A】陽極アセンブリを構成する諸構成要素を示す、一実施形態の分解図。
【図4B】陰極アセンブリを構成する諸構成要素を示す、一実施形態の分解図。
【図5A】リベット付き陽極アセンブリを構成する諸構成要素を示す分解図。
【図5B】リベット付き陰極アセンブリを構成する諸構成要素を示す分解図。
【図6A】リベットが陽極プラスチックフレームから陽極集電板の孔を通って突き出る様子を示す、図5Aの陽極アセンブリの断面図。
【図6B】リベットヘッドが陽極集電板の表面よりも下方にくるように積層された様子を示す、図5Aの陽極アセンブリの断面図。
【図7A】単一フレーム構成を有する図1のウエファー電池の第2の実施形態の切欠断面図。
【図7B】陽極アセンブリ及び陰極アセンブリを構成する諸構成要素を示す、図7Aのウエファー電池の実施形態の分解図。
【図8A】電池縁部の周りに嵌め込まれる前の収縮性周囲フィルムバンドを示す斜視図。
【図8B】収縮性周囲フィルムバンドが電池縁部の周りに嵌め込まれる様子を示す斜視図。
【図8C】周囲フィルムバンドが電池縁部の周りで収縮された状態の電池を示す斜視図。
【図8D】横収縮性フィルムバンドが周囲フィルムバンドに被せて電池の周りに嵌め込まれる様子を示す斜視図。
【図8E】横フィルムバンドが電池縁部の周りで収縮された状態の電池を示す斜視図。
【図9A】複曲面を有するウエファー電池の実施形態を示す斜視図。
【図9B】単曲面を有するウエファー電池の実施形態を示す斜視図。
【図9C】曲面を有する不均一な厚さのウエファー電池の実施形態を示す斜視図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負端子と正端子とを含むウエファーアルカリ電池であって、
前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の側部をさらに含んでおり、前記側部が、それらの間に短い電池寸法を画定しており、前記短い寸法が、約0.5〜6mmであり、前記電池が、積層構造を形成するように1つに固定された陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含んでおり、前記陽極アセンブリが、その中に陽極材料を含み、前記陰極アセンブリが、その中に陰極材料を含む、ウエファーアルカリ電池。
【請求項2】
陽極材料が、亜鉛、カドミウム、水素貯蔵合金、及びこれらの混合物から成る群から選択され、陰極材料は、MnO2、NiOOH、AgO、Ag2O、CuO、AgCuO2、Ag2Cu2O3、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のウエファー電池。
【請求項3】
電池が、1次アルカリ電池であり、陽極材料が、亜鉛を含んでおり、陰極材料が、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態で水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、陰極が、約45%〜70%の多孔性を持つ半固体である、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
陰極材料が、黒鉛化カーボンブラックをさらに含む、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記陽極アセンブリが、前記陽極のためのハウジングを含んでおり、陰極アセンブリが、前記陰極のためのハウジングを含んでおり、前記陽極アセンブリ及び陰極アセンブリが、それらの間のセパレータと共に積層構造を形成するように1つに接着結合されている、請求項1に記載の電池。
【請求項6】
前記陽極ハウジングが、陽極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陽極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陽極フレームを含んでおり、前記フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、前記陽極ハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記陽極フレームの後側部に結合された陽極集電板をさらに含んでおり、陽極材料が、前記陽極集電板と接触するように前記陽極キャビティに挿入される、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
陰極ハウジングが、陰極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陰極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陰極フレームを含んでおり、前記フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、前記陰極ハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記陰極フレームの後側部に結合された陰極集電板をさらに含んでおり、陰極材料が、前記陰極集電板と接触するように前記陰極キャビティに挿入される、請求項5に記載の電池。
【請求項8】
それらの間に電池の短い寸法を画定する前記側部が、互いに平行な1対の対向する側部を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項9】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項8に記載の電池。
【請求項10】
電池の周囲の少なくとも一部分が、多角形である、請求項1に記載の電池。
【請求項11】
電池の周囲の少なくとも一部分が、曲線状である、請求項1に記載の電池。
【請求項12】
前記電池外表面の少なくとも一部分が、曲率を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項13】
前記外表面の少なくとも一部分が、複合曲率を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項14】
電池の外側から見たときに、前記電池外表面の一部分が、凸曲率を有し、前記外表面の別の部分が、凹曲率を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項15】
電池厚が、均一ではない、請求項1に記載の電池。
【請求項16】
前記電池が、立方形である、請求項1に記載の電池。
【請求項17】
前記電池が、剛構造である、請求項1に記載の電池。
【請求項18】
負端子と正端子とを含む1次アルカリ電池であって、
前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部をさらに含んでおり、前記対向する側部が、それらの間に短い電池寸法を画定しており、前記電池が、陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含む積層構造を形成しており、前記陽極アセンブリが、亜鉛を含む陽極材料のためのハウジングを含んでおり、前記陰極アセンブリが、二酸化マンガンを含む陰極材料のためのハウジングを含んでおり、前記陽極ハウジング及び陰極ハウジングが、それぞれ、共通のユニットフレームを含んでおり、前記共通フレームが、前記陽極ハウジング及び陰極ハウジングそれぞれの少なくとも一部分を形成しており、前記共通フレームが、前記フレームの第1の側部に陽極キャビティを画定し、且つ前記フレームの反対側の第2の側部に陰極キャビティを画定する、内側周縁部を有しており、前記陽極材料が、前記フレームの第1の側部で前記陽極キャビティに挿入され、前記陰極材料が、前記フレームの反対側の第2の側部で前記陰極キャビティに挿入される、1次アルカリ電池。
【請求項19】
陰極材料が、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態で水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、陰極が、約45%〜70%の多孔性を持つ半固体である、請求項18に記載の電池。
【請求項20】
前記積層構造が、前記陽極材料と陰極材料との間にセパレータを有する、請求項18に記載の電池。
【請求項21】
前記陽極ハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記共通フレームの前記第1の側部に結合された陽極集電板をさらに含んでおり、前記陽極材料が、前記陽極集電板と接触している、請求項18に記載の電池。
【請求項22】
前記陰極ハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記フレームの前記反対側の第2の側部に結合された陰極集電板をさらに含んでおり、前記陰極材料が、前記陰極集電板と接触している、請求項18に記載の電池。
【請求項23】
電池の前記1対の対向する側部が、互いに平行である、請求項18に記載の電池。
【請求項24】
前記電池が、立方形である、請求項18に記載の電池。
【請求項25】
前記電池が、剛構造である、請求項18に記載の電池。
【請求項26】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項18に記載の電池。
【請求項27】
負端子と正端子とを含む1次アルカリ電池であって、
前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部をさらに含んでおり、前記対向する側部が、電池厚を画定する短い電池寸法をそれらの間に画定しており、前記電池が、積層構造を形成するように1つに結合された陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含んでおり、前記陽極アセンブリが、亜鉛を含む陽極とアルカリ電解質水溶液とを含んでおり、前記陰極アセンブリが、二酸化マンガンを含む陰極とアルカリ電解質水溶液とを含んでおり、前記陽極アセンブリが、前記陽極を収める陽極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陽極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陽極フレームを含む、陽極ハウジングを含んでおり、前記陽極フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、陽極集電板が、電池の外表面境界に面するように前記フレームの後側部に結合材によって結合されており、前記陽極が、前記陽極集電板の一部分と接触するように前記キャビティに挿入されており、陽極フレーム幅が、前記電池のための第1の細長い漏れブロック経路を提供するために少なくとも電池厚ほど広い幅であり、前記第1の電解質漏れブロック経路が、電解質が電池内部から外部環境に漏れる可能性を低減するために前記陽極フレームと前記陽極集電板との間に前記結合材によって画定される、1次アルカリ電池。
【請求項28】
電池表面上の負端子接点部分及び正端子接点部分を露出させたまま、プラスチックフィルムラップが電池外部表面を覆って適用される、請求項27に記載の電池。
【請求項29】
前記プラスチックフィルムラップと電池外部表面との間に接着剤シーラントが存在する、請求項28に記載の電池。
【請求項30】
前記フィルムラップのバンドが、前記電池の短い寸法を構成する縁部の周囲に適用され、電池の前記縁部の少なくとも大部分を覆って熱収縮される、請求項28に記載の電池。
【請求項31】
プラスチックフィルムラップが、少なくとも第1及び第2のプラスチックフィルム層を含む、請求項28に記載の電池。
【請求項32】
電池表面と前記第1のプラスチックフィルム層との間に接着剤シーラントが存在する、請求項31に記載の電池。
【請求項33】
前記第1のプラスチックフィルム層と前記第2のプラスチックフィルム層との間に接着剤シーラントが存在する、請求項32に記載の電池。
【請求項34】
電池表面と前記第2のプラスチックフィルム層の少なくとも一部分との間に接着剤シーラントが存在する、請求項32に記載の電池。
【請求項35】
電池表面と前記第1のプラスチックフィルム層との間に接着剤シーラントが存在し、電池表面と前記第2のフィルム層の一部分との間に接着剤シーラントが存在し、前記第1のフィルム層と前記第2のフィルム層との間に接着剤シーラントが存在する、請求項31に記載の電池。
【請求項36】
第1及び第2のフィルム層が、それぞれ閉じたフィルムバンドの形態で適用されて、前記電池表面の少なくとも大部分を併せて被覆する役割を果たす、請求項35に記載の電池。
【請求項37】
第1及び第2のフィルム層が、それぞれ閉じたフィルムバンドの形態で適用されて、前記電池表面の少なくとも大部分を併せて被覆する役割を果たしており、前記フィルムバンドが、互いに直角を成す中央長手軸を有する、請求項35に記載の電池。
【請求項38】
前記第1のフィルムバンドが、前記電池の短い寸法を構成する縁部の周囲に適用され、電池の前記縁部の少なくとも大部分を覆って熱収縮されており、前記第2のフィルムバンドが、前記電池の対向する2つの側部の大部分を覆って横方向に適用され、前記第1のフィルムバンドの少なくとも一部を被覆するように熱収縮される、請求項36に記載の電池。
【請求項39】
前記バンドが、それぞれ前記電池を覆って熱収縮される、請求項36に記載の電池。
【請求項40】
電池表面と前記第1のフィルムバンドとの間の接着剤シーラント、電池表面と前記第2のフィルムバンドとの間の接着剤シーラント、及び前記第1のフィルムバンドと前記第2のフィルムバンドとの間の接着剤シーラントが、前記電池のための第2の電解質漏れブロック経路をもたらす、請求項38に記載の電池。
【請求項41】
前記第2の電解質漏れブロック経路が、前記陽極フレームの外側周縁部から前記負端子へと延びており、前記距離が、少なくとも電池厚ほどの長さである、請求項40に記載の電池。
【請求項42】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項29に記載の電池。
【請求項43】
前記第1及び第2の電解質漏れブロック経路が、併せて少なくとも電池厚の約1.5〜4倍の距離に及ぶ、請求項42に記載の電池。
【請求項44】
前記負端子接点を形成する電池表面上の露出面積が、電池設置面積の約1〜5%を成す、請求項29に記載の電池。
【請求項45】
前記電池が、立方形で、且つ剛構造である、請求項29に記載の電池。
【請求項46】
陰極が、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態で水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、陰極が、約45%〜70%の多孔性を持つ半固体である、請求項29に記載の電池。
【請求項47】
陰極材料が、黒鉛化カーボンブラックをさらに含む、請求項46に記載の電池。
【請求項48】
陰極アセンブリが、陰極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陰極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陰極フレームを含んでおり、前記陰極フレームが、前記周縁部を構成する第1の側部と反対側の第2の側部とを有しており、前記陰極アセンブリが、電池の外表面境界に面するように前記陰極フレームの反対側の第2の側部に結合された陰極集電板をさらに含んでおり、陰極材料が、前記陰極集電板と接触するように前記陰極キャビティに挿入される、請求項29に記載の電池。
【請求項49】
陽極及び陰極アセンブリが、それらの間のセパレータと共に積層構造を形成するように1つに接着結合される、請求項48に記載の電池。
【請求項50】
前記積層構造が、前記電池を形成しており、前記積層構造が、電池の内容物が前記構造内部に保持されるように接着封止される、請求項49に記載の電池。
【請求項51】
正端子が、陰極電流板と電気的に接続しており、負端子が、前記陽極集電板と電気的に接続している、請求項49に記載の電池。
【請求項52】
前記電池の前記対向する側部が、互いに平行である、請求項27に記載の電池。
【請求項53】
陽極集電板及び陰極集電板の少なくとも1つが、それぞれ陽極フレーム及び陰極フレームにリベット留めされる、請求項50に記載の電池。
【請求項54】
前記陽極フレーム及び陰極フレームが、電気絶縁材料から構成される、請求項50に記載の電池。
【請求項55】
前記陽極フレーム及び陰極フレームが、プラスチック材料を含む、請求項49に記載の電池。
【請求項56】
陽極集電板が、銅を含む、請求項27に記載の電池。
【請求項57】
陰極集電板が、炭素コーティングされた金属板を含む、請求項48に記載の電池。
【請求項58】
陰極集電板が、炭素コーティングされたニッケル板を含む、請求項49に記載の電池。
【請求項59】
陰極集電板が、ニッケル板を含む、請求項48に記載の電池。
【請求項60】
負端子と正端子とを含む1次アルカリ電池であって、
前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部をさらに含んでおり、前記対向する側部が、それらの間に短い電池寸法を画定しており、前記電池が、積層構造を形成するように1つに結合された陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含んでおり、前記陽極アセンブリが、亜鉛を含む陽極材料とアルカリ電解質とを含んでおり、前記陰極アセンブリが、二酸化マンガンを含む陰極材料とアルカリ電解質とを含んでおり、前記陽極アセンブリが、陽極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陽極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陽極フレームを含んでおり、前記フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、前記陽極アセンブリが、電池の外表面境界に面するように前記フレームの後側部に結合された陽極集電板をさらに含んでおり、陽極材料が、前記陽極集電板と接触するように前記陽極キャビティに挿入されており、前記陽極集電板が、前記陽極集電板に面する前記陽極フレームの後側部に沿って互いに並置された関係で設置された実質的に異なる接着剤である第1及び第2の接着剤を用いて、前記陽極フレームの幅に沿って結合される、1次アルカリ電池。
【請求項61】
第1の接着剤が、前記陽極フレームの外側周縁部の最も近くに適用され、主に、前記陽極フレームと前記陽極集電板との間に構造強度を付与する構造用接着剤の役割を果たしており、第2の接着剤が、前記陽極フレームの内側周縁部のより近くに適用され、前記陽極フレームと前記陽極集電板との間の全体的な結合強度を改善する接着剤シーラントであり、またさらに電解質を密封するためのシーラントの役割も果たす、請求項60に記載の電池。
【請求項62】
前記第1の接着剤が、エポキシ及びUV開始型アクリレート接着剤から成る群から選択され、前記第2の接着剤が、粘着性ポリアミド、官能化ポリエチレン接着剤、及びアスファルトから成る群から選択される、請求項61に記載の電池。
【請求項63】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項60に記載の電池。
【請求項64】
前記電池の全厚が、約1.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項60に記載の電池。
【請求項65】
前記電池が、剛構造である、請求項60に記載の電池。
【請求項66】
陰極が、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態で水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、陰極が、約45%〜70%の多孔性を持つ半固体である、請求項60に記載の電池。
【請求項67】
陰極材料が、黒鉛化カーボンブラックをさらに含む、請求項66に記載の電池。
【請求項68】
前記陰極アセンブリが、陰極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陰極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陰極フレームを含んでおり、前記フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、前記陰極アセンブリが、電池の外表面境界に面するように前記フレームの後側部に結合された陰極集電板をさらに含んでおり、陰極材料が、前記陰極集電板と接触するように前記陰極キャビティに挿入されており、
前記陰極集電板が、前記陰極集電板に面する前記陰極フレームの後側部に沿って互いに並置された関係で設置された異なる接着剤である第1及び第2の接着剤を用いて、前記陰極フレームの幅に沿って結合される、請求項60に記載の電池。
【請求項69】
第1の接着剤が、前記陰極フレームの外側周縁部の最も近くに適用され、主に、前記陰極フレームと前記陰極集電板との間に構造強度を付与する構造用接着剤の役割を果たしており、第2の接着剤が、前記陰極フレームの内側周縁部のより近くに適用されており、前記第2の接着剤が、前記陰極フレームと陰極集電板との間の全体的な結合強度を改善する接着剤シーラントであり、またさらに電解質を密封するためのシーラントの役割も果たす、請求項68に記載の電池。
【請求項70】
前記第1の接着剤が、エポキシ及びUV開始型アクリレート接着剤から成る群から選択され、前記第2の接着剤が、粘着性ポリアミド、官能化ポリエチレン接着剤、及びアスファルトから成る群から選択される、請求項69に記載の電池。
【請求項71】
前記陽極フレーム及び陰極フレームが、プラスチック材料を含む、請求項68に記載の電池。
【請求項72】
前記電池が、水酸化カリウム水溶液を含むアルカリ電解質を含む、請求項60に記載の電池。
【請求項73】
前記電池を形成する前記積層構造が、熱収縮性プラスチックフィルムで包まれる、請求項60に記載の電池。
【請求項74】
陽極集電板が、銅を含む、請求項60に記載の電池。
【請求項75】
陰極集電板が、炭素コーティングされた金属板を含む、請求項67に記載の電池。
【請求項76】
陰極集電板が、炭素コーティングされたニッケル板を含む、請求項67に記載の電池。
【請求項77】
陰極集電板が、ニッケル板を含む、請求項67に記載の電池。
【請求項1】
負端子と正端子とを含むウエファーアルカリ電池であって、
前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の側部をさらに含んでおり、前記側部が、それらの間に短い電池寸法を画定しており、前記短い寸法が、約0.5〜6mmであり、前記電池が、積層構造を形成するように1つに固定された陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含んでおり、前記陽極アセンブリが、その中に陽極材料を含み、前記陰極アセンブリが、その中に陰極材料を含む、ウエファーアルカリ電池。
【請求項2】
陽極材料が、亜鉛、カドミウム、水素貯蔵合金、及びこれらの混合物から成る群から選択され、陰極材料は、MnO2、NiOOH、AgO、Ag2O、CuO、AgCuO2、Ag2Cu2O3、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のウエファー電池。
【請求項3】
電池が、1次アルカリ電池であり、陽極材料が、亜鉛を含んでおり、陰極材料が、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態で水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、陰極が、約45%〜70%の多孔性を持つ半固体である、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
陰極材料が、黒鉛化カーボンブラックをさらに含む、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記陽極アセンブリが、前記陽極のためのハウジングを含んでおり、陰極アセンブリが、前記陰極のためのハウジングを含んでおり、前記陽極アセンブリ及び陰極アセンブリが、それらの間のセパレータと共に積層構造を形成するように1つに接着結合されている、請求項1に記載の電池。
【請求項6】
前記陽極ハウジングが、陽極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陽極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陽極フレームを含んでおり、前記フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、前記陽極ハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記陽極フレームの後側部に結合された陽極集電板をさらに含んでおり、陽極材料が、前記陽極集電板と接触するように前記陽極キャビティに挿入される、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
陰極ハウジングが、陰極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陰極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陰極フレームを含んでおり、前記フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、前記陰極ハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記陰極フレームの後側部に結合された陰極集電板をさらに含んでおり、陰極材料が、前記陰極集電板と接触するように前記陰極キャビティに挿入される、請求項5に記載の電池。
【請求項8】
それらの間に電池の短い寸法を画定する前記側部が、互いに平行な1対の対向する側部を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項9】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項8に記載の電池。
【請求項10】
電池の周囲の少なくとも一部分が、多角形である、請求項1に記載の電池。
【請求項11】
電池の周囲の少なくとも一部分が、曲線状である、請求項1に記載の電池。
【請求項12】
前記電池外表面の少なくとも一部分が、曲率を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項13】
前記外表面の少なくとも一部分が、複合曲率を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項14】
電池の外側から見たときに、前記電池外表面の一部分が、凸曲率を有し、前記外表面の別の部分が、凹曲率を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項15】
電池厚が、均一ではない、請求項1に記載の電池。
【請求項16】
前記電池が、立方形である、請求項1に記載の電池。
【請求項17】
前記電池が、剛構造である、請求項1に記載の電池。
【請求項18】
負端子と正端子とを含む1次アルカリ電池であって、
前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部をさらに含んでおり、前記対向する側部が、それらの間に短い電池寸法を画定しており、前記電池が、陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含む積層構造を形成しており、前記陽極アセンブリが、亜鉛を含む陽極材料のためのハウジングを含んでおり、前記陰極アセンブリが、二酸化マンガンを含む陰極材料のためのハウジングを含んでおり、前記陽極ハウジング及び陰極ハウジングが、それぞれ、共通のユニットフレームを含んでおり、前記共通フレームが、前記陽極ハウジング及び陰極ハウジングそれぞれの少なくとも一部分を形成しており、前記共通フレームが、前記フレームの第1の側部に陽極キャビティを画定し、且つ前記フレームの反対側の第2の側部に陰極キャビティを画定する、内側周縁部を有しており、前記陽極材料が、前記フレームの第1の側部で前記陽極キャビティに挿入され、前記陰極材料が、前記フレームの反対側の第2の側部で前記陰極キャビティに挿入される、1次アルカリ電池。
【請求項19】
陰極材料が、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態で水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、陰極が、約45%〜70%の多孔性を持つ半固体である、請求項18に記載の電池。
【請求項20】
前記積層構造が、前記陽極材料と陰極材料との間にセパレータを有する、請求項18に記載の電池。
【請求項21】
前記陽極ハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記共通フレームの前記第1の側部に結合された陽極集電板をさらに含んでおり、前記陽極材料が、前記陽極集電板と接触している、請求項18に記載の電池。
【請求項22】
前記陰極ハウジングが、電池の外表面境界に面するように前記フレームの前記反対側の第2の側部に結合された陰極集電板をさらに含んでおり、前記陰極材料が、前記陰極集電板と接触している、請求項18に記載の電池。
【請求項23】
電池の前記1対の対向する側部が、互いに平行である、請求項18に記載の電池。
【請求項24】
前記電池が、立方形である、請求項18に記載の電池。
【請求項25】
前記電池が、剛構造である、請求項18に記載の電池。
【請求項26】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項18に記載の電池。
【請求項27】
負端子と正端子とを含む1次アルカリ電池であって、
前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部をさらに含んでおり、前記対向する側部が、電池厚を画定する短い電池寸法をそれらの間に画定しており、前記電池が、積層構造を形成するように1つに結合された陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含んでおり、前記陽極アセンブリが、亜鉛を含む陽極とアルカリ電解質水溶液とを含んでおり、前記陰極アセンブリが、二酸化マンガンを含む陰極とアルカリ電解質水溶液とを含んでおり、前記陽極アセンブリが、前記陽極を収める陽極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陽極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陽極フレームを含む、陽極ハウジングを含んでおり、前記陽極フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、陽極集電板が、電池の外表面境界に面するように前記フレームの後側部に結合材によって結合されており、前記陽極が、前記陽極集電板の一部分と接触するように前記キャビティに挿入されており、陽極フレーム幅が、前記電池のための第1の細長い漏れブロック経路を提供するために少なくとも電池厚ほど広い幅であり、前記第1の電解質漏れブロック経路が、電解質が電池内部から外部環境に漏れる可能性を低減するために前記陽極フレームと前記陽極集電板との間に前記結合材によって画定される、1次アルカリ電池。
【請求項28】
電池表面上の負端子接点部分及び正端子接点部分を露出させたまま、プラスチックフィルムラップが電池外部表面を覆って適用される、請求項27に記載の電池。
【請求項29】
前記プラスチックフィルムラップと電池外部表面との間に接着剤シーラントが存在する、請求項28に記載の電池。
【請求項30】
前記フィルムラップのバンドが、前記電池の短い寸法を構成する縁部の周囲に適用され、電池の前記縁部の少なくとも大部分を覆って熱収縮される、請求項28に記載の電池。
【請求項31】
プラスチックフィルムラップが、少なくとも第1及び第2のプラスチックフィルム層を含む、請求項28に記載の電池。
【請求項32】
電池表面と前記第1のプラスチックフィルム層との間に接着剤シーラントが存在する、請求項31に記載の電池。
【請求項33】
前記第1のプラスチックフィルム層と前記第2のプラスチックフィルム層との間に接着剤シーラントが存在する、請求項32に記載の電池。
【請求項34】
電池表面と前記第2のプラスチックフィルム層の少なくとも一部分との間に接着剤シーラントが存在する、請求項32に記載の電池。
【請求項35】
電池表面と前記第1のプラスチックフィルム層との間に接着剤シーラントが存在し、電池表面と前記第2のフィルム層の一部分との間に接着剤シーラントが存在し、前記第1のフィルム層と前記第2のフィルム層との間に接着剤シーラントが存在する、請求項31に記載の電池。
【請求項36】
第1及び第2のフィルム層が、それぞれ閉じたフィルムバンドの形態で適用されて、前記電池表面の少なくとも大部分を併せて被覆する役割を果たす、請求項35に記載の電池。
【請求項37】
第1及び第2のフィルム層が、それぞれ閉じたフィルムバンドの形態で適用されて、前記電池表面の少なくとも大部分を併せて被覆する役割を果たしており、前記フィルムバンドが、互いに直角を成す中央長手軸を有する、請求項35に記載の電池。
【請求項38】
前記第1のフィルムバンドが、前記電池の短い寸法を構成する縁部の周囲に適用され、電池の前記縁部の少なくとも大部分を覆って熱収縮されており、前記第2のフィルムバンドが、前記電池の対向する2つの側部の大部分を覆って横方向に適用され、前記第1のフィルムバンドの少なくとも一部を被覆するように熱収縮される、請求項36に記載の電池。
【請求項39】
前記バンドが、それぞれ前記電池を覆って熱収縮される、請求項36に記載の電池。
【請求項40】
電池表面と前記第1のフィルムバンドとの間の接着剤シーラント、電池表面と前記第2のフィルムバンドとの間の接着剤シーラント、及び前記第1のフィルムバンドと前記第2のフィルムバンドとの間の接着剤シーラントが、前記電池のための第2の電解質漏れブロック経路をもたらす、請求項38に記載の電池。
【請求項41】
前記第2の電解質漏れブロック経路が、前記陽極フレームの外側周縁部から前記負端子へと延びており、前記距離が、少なくとも電池厚ほどの長さである、請求項40に記載の電池。
【請求項42】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項29に記載の電池。
【請求項43】
前記第1及び第2の電解質漏れブロック経路が、併せて少なくとも電池厚の約1.5〜4倍の距離に及ぶ、請求項42に記載の電池。
【請求項44】
前記負端子接点を形成する電池表面上の露出面積が、電池設置面積の約1〜5%を成す、請求項29に記載の電池。
【請求項45】
前記電池が、立方形で、且つ剛構造である、請求項29に記載の電池。
【請求項46】
陰極が、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態で水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、陰極が、約45%〜70%の多孔性を持つ半固体である、請求項29に記載の電池。
【請求項47】
陰極材料が、黒鉛化カーボンブラックをさらに含む、請求項46に記載の電池。
【請求項48】
陰極アセンブリが、陰極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陰極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陰極フレームを含んでおり、前記陰極フレームが、前記周縁部を構成する第1の側部と反対側の第2の側部とを有しており、前記陰極アセンブリが、電池の外表面境界に面するように前記陰極フレームの反対側の第2の側部に結合された陰極集電板をさらに含んでおり、陰極材料が、前記陰極集電板と接触するように前記陰極キャビティに挿入される、請求項29に記載の電池。
【請求項49】
陽極及び陰極アセンブリが、それらの間のセパレータと共に積層構造を形成するように1つに接着結合される、請求項48に記載の電池。
【請求項50】
前記積層構造が、前記電池を形成しており、前記積層構造が、電池の内容物が前記構造内部に保持されるように接着封止される、請求項49に記載の電池。
【請求項51】
正端子が、陰極電流板と電気的に接続しており、負端子が、前記陽極集電板と電気的に接続している、請求項49に記載の電池。
【請求項52】
前記電池の前記対向する側部が、互いに平行である、請求項27に記載の電池。
【請求項53】
陽極集電板及び陰極集電板の少なくとも1つが、それぞれ陽極フレーム及び陰極フレームにリベット留めされる、請求項50に記載の電池。
【請求項54】
前記陽極フレーム及び陰極フレームが、電気絶縁材料から構成される、請求項50に記載の電池。
【請求項55】
前記陽極フレーム及び陰極フレームが、プラスチック材料を含む、請求項49に記載の電池。
【請求項56】
陽極集電板が、銅を含む、請求項27に記載の電池。
【請求項57】
陰極集電板が、炭素コーティングされた金属板を含む、請求項48に記載の電池。
【請求項58】
陰極集電板が、炭素コーティングされたニッケル板を含む、請求項49に記載の電池。
【請求項59】
陰極集電板が、ニッケル板を含む、請求項48に記載の電池。
【請求項60】
負端子と正端子とを含む1次アルカリ電池であって、
前記電池の境界表面の少なくとも大部分を構成する1対の対向する側部をさらに含んでおり、前記対向する側部が、それらの間に短い電池寸法を画定しており、前記電池が、積層構造を形成するように1つに結合された陽極アセンブリと陰極アセンブリとを含んでおり、前記陽極アセンブリが、亜鉛を含む陽極材料とアルカリ電解質とを含んでおり、前記陰極アセンブリが、二酸化マンガンを含む陰極材料とアルカリ電解質とを含んでおり、前記陽極アセンブリが、陽極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陽極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陽極フレームを含んでおり、前記フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、前記陽極アセンブリが、電池の外表面境界に面するように前記フレームの後側部に結合された陽極集電板をさらに含んでおり、陽極材料が、前記陽極集電板と接触するように前記陽極キャビティに挿入されており、前記陽極集電板が、前記陽極集電板に面する前記陽極フレームの後側部に沿って互いに並置された関係で設置された実質的に異なる接着剤である第1及び第2の接着剤を用いて、前記陽極フレームの幅に沿って結合される、1次アルカリ電池。
【請求項61】
第1の接着剤が、前記陽極フレームの外側周縁部の最も近くに適用され、主に、前記陽極フレームと前記陽極集電板との間に構造強度を付与する構造用接着剤の役割を果たしており、第2の接着剤が、前記陽極フレームの内側周縁部のより近くに適用され、前記陽極フレームと前記陽極集電板との間の全体的な結合強度を改善する接着剤シーラントであり、またさらに電解質を密封するためのシーラントの役割も果たす、請求項60に記載の電池。
【請求項62】
前記第1の接着剤が、エポキシ及びUV開始型アクリレート接着剤から成る群から選択され、前記第2の接着剤が、粘着性ポリアミド、官能化ポリエチレン接着剤、及びアスファルトから成る群から選択される、請求項61に記載の電池。
【請求項63】
前記電池の全厚が、約0.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項60に記載の電池。
【請求項64】
前記電池の全厚が、約1.5〜6mmであり、前記全厚が、前記電池の前記対向する側部の外側表面間の距離として定義される、請求項60に記載の電池。
【請求項65】
前記電池が、剛構造である、請求項60に記載の電池。
【請求項66】
陰極が、二酸化マンガンを含む固体と、前記固体との混合状態で水酸化カリウムを含む電解質水溶液とを含んでおり、陰極が、約45%〜70%の多孔性を持つ半固体である、請求項60に記載の電池。
【請求項67】
陰極材料が、黒鉛化カーボンブラックをさらに含む、請求項66に記載の電池。
【請求項68】
前記陰極アセンブリが、陰極キャビティの境界を画定する内側周縁部と、陰極フレームの外側境界を画定する外側周縁部とを有する陰極フレームを含んでおり、前記フレームが、前記周縁部を構成する前側部と反対側の後側部とを有しており、前記陰極アセンブリが、電池の外表面境界に面するように前記フレームの後側部に結合された陰極集電板をさらに含んでおり、陰極材料が、前記陰極集電板と接触するように前記陰極キャビティに挿入されており、
前記陰極集電板が、前記陰極集電板に面する前記陰極フレームの後側部に沿って互いに並置された関係で設置された異なる接着剤である第1及び第2の接着剤を用いて、前記陰極フレームの幅に沿って結合される、請求項60に記載の電池。
【請求項69】
第1の接着剤が、前記陰極フレームの外側周縁部の最も近くに適用され、主に、前記陰極フレームと前記陰極集電板との間に構造強度を付与する構造用接着剤の役割を果たしており、第2の接着剤が、前記陰極フレームの内側周縁部のより近くに適用されており、前記第2の接着剤が、前記陰極フレームと陰極集電板との間の全体的な結合強度を改善する接着剤シーラントであり、またさらに電解質を密封するためのシーラントの役割も果たす、請求項68に記載の電池。
【請求項70】
前記第1の接着剤が、エポキシ及びUV開始型アクリレート接着剤から成る群から選択され、前記第2の接着剤が、粘着性ポリアミド、官能化ポリエチレン接着剤、及びアスファルトから成る群から選択される、請求項69に記載の電池。
【請求項71】
前記陽極フレーム及び陰極フレームが、プラスチック材料を含む、請求項68に記載の電池。
【請求項72】
前記電池が、水酸化カリウム水溶液を含むアルカリ電解質を含む、請求項60に記載の電池。
【請求項73】
前記電池を形成する前記積層構造が、熱収縮性プラスチックフィルムで包まれる、請求項60に記載の電池。
【請求項74】
陽極集電板が、銅を含む、請求項60に記載の電池。
【請求項75】
陰極集電板が、炭素コーティングされた金属板を含む、請求項67に記載の電池。
【請求項76】
陰極集電板が、炭素コーティングされたニッケル板を含む、請求項67に記載の電池。
【請求項77】
陰極集電板が、ニッケル板を含む、請求項67に記載の電池。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公表番号】特表2007−529871(P2007−529871A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503955(P2007−503955)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/007640
【国際公開番号】WO2005/091401
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/007640
【国際公開番号】WO2005/091401
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
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