説明

エレベータ装置用巻上機

【課題】ドラムブレーキ近傍を効果的冷却することができるようにして小型化や薄型化を可能にしたエレベータ装置用巻上機を提供する。
【解決手段】筺体7に円環状凹部19の空間部25と連通した少なくとも一対の連通孔14,15を形成し、空間部25で回転して連通孔14,15を通して流れる冷却空気流を形成する気流形成用突起部24を設け、この回転する気流形成用突起部24によって円環状凹部19に形成された空間部25の空気を強制移動させ、筐体7に形成した連通孔14,15を通して空間部25内の空気の流れを発生させ、この空気流によって、モータ固定子20およびモータ回転子21の近傍は勿論、ブレーキドラム9の近傍も冷却するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降路内に配置して使用されるエレベータ装置用巻上機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なエレベータ装置では、乗りかごを上下方向に昇降させるためのエレベータ装置用巻上機やモータの制御装置、あるいは乗りかごが加速した際の非常制動に使われる調速機などを、建物最上部に形成した機械室内に設置している。しかし近年、乗りかごの昇降速度が比較的遅いエレベータにおいては、機械室レスエレベータと呼ばれる機械室の無いエレベータが主流となっている。このようなエレベータの場合、従来は機械室に設置していたもの全てを昇降路内に設置し、エレベータ装置用巻上機も、乗りかごと昇降路壁間の数百mm程度の隙間に配置しなければならず、薄型に構成する必要がある。このような薄型巻上機において、その熱源であるモータ固定子の温度上昇を抑制するために空冷を行う構成が知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2004−108579号公報
【特許文献2】特開2006−81305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2を含むエレベータ装置用巻上機は、懸垂荷重を支持する筐体内にブレーキドラムを可回転的に対向配置して構成され、このブレーキドラムを覆う形状となるが、熱源であるモータ固定子を覆う構造となるため、その熱がモータ回転子を介してブレーキドラムヘ伝わり、ブレーキドラムが熱膨張してしまう。しかも、空冷構造は熱源であるモータ固定子の温度上昇を抑制するものであるため、ブレーキドラムを効果的に冷却することができず、この熱膨張量が大きくなると、このブレーキドラムを圧接して制動する電磁ブレーキ装置との関係に悪影響を与えてしまい、電磁ブレーキ装置の大型化を招いてしまう。
【0005】
本発明の目的は、ブレーキドラム近傍を効果的冷却することができるようにして小型化や薄型化を可能にしたエレベータ装置用巻上機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、筐体と、この筐体に対して可回転的に支持したブレーキドラムと、前記筺体の前記ブレーキドラムとの対向部に形成した円環状凹部に配置したモータ固定子と、このモータ固定子に対向した位置の前記円環状凹部内の空間部に配置され前記ブレーキドラムに固定したモータ可動子と、前記ブレーキドラムと一体的に回転する綱車と、前記ブレーキドラムを制動するように前記筺体に設けた電磁ブレーキ装置とを備えたエレベータ装置用巻上機において、前記筺体に前記円環状凹部の空間部と連通した少なくとも一対の連通孔を形成し、前記空間部で回転して前記連通孔を通して流れる冷却空気流を形成する気流形成用突起部を設けたことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、ブレーキドラムと共に回転する気流形成用突起部によって円環状凹部に形成された空間部の空気を強制移動することになり、筐体に形成した連通孔を通して空間部内の空気の流れを発生させ、この空気流によって、モータ固定子およびモータ回転子の近傍、またブレーキドラムの近傍を冷却することができる。このため、ブレーキパッドとブレーキドラム間のギャップが減少してしまう熱膨張を防いでエレベータ装置用巻上機の小型化および薄型化を実現することができる。
【0008】
また本発明は、上記の構成に加えて、前記気流形成用突起部は、前記モータ回転子の外側に設け、前記連通孔は、前記気流形成用突起部の外側に位置する前記筺体に形成したことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、従来の構成を余り変更することなく、また気流形成用突起部の回転によって空間部から連通孔を通して外部の周囲空間に至る気流を容易に形成し、この気流によってモータ固定子およびモータ回転子は勿論、その近傍に位置するブレーキドラムを効果的に冷却することができる。
【0010】
また本発明は、上記の構成に加えて、前記気流形成用突起部は、前記ブレーキドラムに設けたことを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、従来の構成を余り変更することなく、モータ固定子およびモータ回転子がギャップを介して対向する部分の空間部を用いてブレーキドラムを効果的に冷却する空気流を形成することができる。
【0012】
さらに本発明は、上記の構成に加えて、前記一対の連通孔のうちの一方は、前記ブレーキドラムにおける回転中心軸からの距離が前記気流形成用突起部よりも大きな外側位置に設け、前記一対の連通孔のうちの他方は、前記ブレーキドラムにおける回転中心軸からの距離が前記気流形成用突起部よりも小さな内側位置に設けたことを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、ブレーキドラムと共に気流形成用突起部が回転するとき、内側に位置した連通孔から周囲空間の空気を取り込み、外側に位置した連通孔から排出する空気流を形成して、効果的な冷却を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるエレベータ装置用巻上機は、ブレーキドラムと共に回転する気流形成用突起部によって円環状凹部に形成された空間部の空気を強制移動することになり、筐体に形成した連通孔を通して空間部内の空気の流れを発生させ、この空気流によって、モータ固定子およびモータ回転子の近傍、またブレーキドラムの近傍を冷却することができる。このため、ブレーキパッドとブレーキドラム間のギャップが減少してしまう熱膨張を防いでエレベータ装置用巻上機の小型化および薄型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態によるエレベータ装置用巻上機の断面図である。
【図2】図1に示したエレベータ装置用巻上機のモータ回転子を示す正面図である。
【図3】図2に示したモータ回転子の側面図である。
【図4】図1に示したエレベータ装置用巻上機の正面図である。
【図5】図4に示したエレベータ装置用巻上機の側面図である。
【図6】図4に示したエレベータ装置用巻上機の背面図である。
【図7】図4に示したエレベータ装置用巻上機の気流形成時の正面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態によるエレベータ装置用巻上機の断面図である。
【図9】図8に示したエレベータ装置用巻上機のブレーキドラムを示す正面図である。
【図10】図1に示したエレベータ装置用巻上機を使用したエレベータ装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図10は、本発明の一実施の形態によるエレベータ装置用巻上機を使用したエレベータ装置の断面図である。昇降路1内には、一対のガイドレール2に沿って昇降可能な乗りかご3と、図示しない主索によって乗りかご3に連結されて一対のガイドレール4に沿って昇降可能な釣合おもり5と、昇降路1と乗りかご3の間にある隙間に設置したエレベータ装置用巻上機6とが設けられている。このエレベータ装置用巻上機6は、その詳細構成について後述するが、乗りかご3側に固定側の筺体7を位置させ、この筺体7に対して可回転的な綱車8は昇降路壁側に位置させている。
【0018】
図4および図5は、上述したエレベータ装置用巻上機6の正面図および側面図である。エレベータ装置用巻上機6は、乗りかご3とつり合いおもり5の間を連結した複数本の主索が、綱車8に形成した複数の溝部にそれぞれ合致するように巻き掛けられ、綱車8の回転によって主索が駆動されると、乗りかご3とつり合いおもり5とがそれぞれのガイドレール2,4に沿って逆方向に昇降するように構成されている。この綱車8の乗りかご3側外周部にはブレーキドラム9が一体的結合され、このブレーキドラム9のさらに乗りかご3側には筐体7が配置されており、筐体7に対して綱車8およびブレーキドラム9は可回転的な関係で支持されている。
【0019】
詳細を後述するように綱車8またはブレーキドラム9と筺体7との嵌合対向部には、アウタロータ型モータが構成され、このアウタロータ型モータの回転子が綱車8またはブレーキドラム9の外周部に構成され、アウタロータ型モータの固定子が筺体7の対向部に構成されている。アウタロータ型モータへの通電によって綱車8およびブレーキドラム9で代表される可動部は一体的に回転駆動されるが、通電が遮断され、筺体7の上下部にそれぞれ配置した同一構成の電磁ブレーキ装置10,11のブレーキパッド12,13を圧接すると制動される構成となっている。
【0020】
このような構成のエレベータ装置用巻上機6には、その詳細な働きについては後述するが、図5に示すように筺体7の側部には、内部空間部を側部から外部に開放する連通孔14が複数個形成されており、ここでは一対の連通孔14が主軸16の中心回転軸に対して対照的な位置に形成されている。また、背面図である図6に示すように筺体7の乗りかご3側に面した前面側には、内部空間部を前面側から外部に開放する連通孔15が複数個形成されており、ここでは一対の連通孔15が主軸16の中心回転軸に対して対照的な位置に形成されている。これらの連通孔14,15は図示のものに限らず、位置や数を任意に設定することができる。
【0021】
図1は、エレベータ装置用巻上機6の断面図であり、さらに具体的な構成について説明する。筐体7は、その中心部に形成したボス部に主軸16を嵌合しており、この主軸16の挿入側に軸受17を介して綱車8およびブレーキドラム9が一体的に構成した可動側ハウジング18を片持ち支持している。軸受17の端部にはシール材27が配置されて、軸受17の潤滑剤の移動を制限している。筐体7の綱車8側には円環状凹部19が形成されており、この円環状凹部19内には環状のモータ固定子20が嵌合固定されている。モータ固定子20の外周部には、所定のギャップを介して環状のモータ回転子21が配置され、このモータ回転子21は円環状凹部19内に入り込んだ位置のブレーキドラム9に固定されている。
【0022】
モータ回転子21は円環状の積層電磁鋼板22と複数個の永久磁石23で構成され、積層電磁鋼板22の内周面には永久磁石23が、N極とS極が交互になるよう周方向に貼り付けられている。またモータ回転子21を構成する積層電磁鋼板22の外周面には、筺体7側から見た図2および図3に示すように周方向にほぼ等間隔で、かつ放射状に外側に伸びた複数個の気流形成用突起部24が形成されている。
【0023】
筐体7に形成した円環状凹部19内には、ブレーキドラム9の端部および同端部に固定したモータ回転子21が挿入配置されており、モータ固定子20とモータ回転子21の対向部のギャップと、モータ固定子20およびモータ回転子21と筐体7間に形成した隙間と、筐体7の外周部26の内面とブレーキドラム9との対向部に形成した隙間とは連通して一連の空間部25を形成している。この一連の空間部25に上述した気流形成用突起部24が配置されている。
【0024】
気流形成用突起部24は、モータ回転子21の回転と共に空間部25で回転すると、空間部25内に空気を外側に送り出すファンの働きをする。このときの気流形成用突起部24の回転によって空間部25に空気の流れを形成するために、気流形成用突起部24の近傍で外側に位置する筐体7の外周部26に図5に示した連通孔14を形成し、また、気流形成用突起部24よりも回転中心軸側に位置する筐体7の前面側に図6に示した連通孔15を形成している。こうして空間部25は、連通孔15と連通孔14とにより周囲空間に開放される。
【0025】
従って、モータ回転子21の回転と共に気流形成用突起部24が空間部25で回転すると、気流形成用突起部24の形状によって外側に向かう気流が形成され、連通孔14は排出口となり、一方、連通孔15は吸入口となる。このように放射状に外側に向かう気流や、スパイラル状に外側に向かう気流などを形成するために、気流形成用突起部24の形状や大きさを種々決定することができる。尚、説明は前後するが、図1は、この気流を説明しやすくするために、図5に示した連通孔14の一つと、図6に示した連通孔15の一つが表れる位置で断面している。
【0026】
今、モータ固定子20に交流電流を流すと、周方向に回転変化する磁界が発生するため、モータ回転子21に電磁力が作用し、ブレーキドラム9およびハウジング18に駆動力が発生する。このため、ブレーキドラム9、ハウジング18および綱車8は共に回転し、綱車8に巻回した主索を介して乗りかご3が昇降駆動される。乗りかご3の停止時には、モータ固定子20への通電を遮断し、電磁ブレーキ装置10,11を作動してそのブレーキパッド12,13をブレーキドラム9の外周面に押圧してモータ回転子21や綱車8側を制動する。このとき、モータ固定子20への通電やブレーキパッド12,13をブレーキドラム9に押圧することによって同部近傍が発熱する。
【0027】
しかし、このときモータ回転子21に設けられた気流形成用突起部24も共に回転運動するため、筺体7およびモータ固定子20で代表する固定部側と、モータ回転子21や綱車8等で代表される可動部側との嵌合対向部に形成された空間部25の空気を強制移動させることができる。例えば、乗りかご3側からエレベータ装置用巻上機6を見たとき、ブレーキドラム9および綱車8が時計方向に回転したとすると、図7に示すように筐体7の前面側に形成した連通孔15などから外部周囲空間部の空気を空間部25内に吸い込みながら、筐体7の外周部26に形成した連通部14から排出される空気流を発生させる。
【0028】
この空気流は、図1に示したモータ固定子20およびモータ回転子21の近傍、またブレーキドラム9の近傍を通るため、同部を冷却することができる。しかも、積層電磁鋼板22に設けた気流形成用突起部24は、冷却のための空気流を発生させる効果に加え、空間部25の空気と接触する面積を拡大することになり放熱性能を向上させる効果も得られる。その結果、ブレーキドラム9の温度上昇が抑制され、ブレーキパッド12,13とブレーキドラム9間の熱膨張によるギャップ変動が抑制される。従来のように同部での熱がブレーキドラム9へ伝わって熱膨張すると、ブレーキパッド12,13とブレーキドラム9間のギャップが減少してしまい、これを防止しようとすると電磁ブレーキ装置10,11を大型化してしまうが、上述したように空気流を形成して同部を冷却することができるので、電磁ブレーキ装置10,11を小型にしてエレベータ装置用巻上機6の小型化および薄型化を実現することができる。
【0029】
図1に示したブレーキドラム9および綱車8が逆方向に回転する場合でも、図7に示す同様の冷却空気流を形成することができ、ほぼ同様の効果を得ることができる。この実施の形態では、モータ回転子21を構成する積層電磁鋼板22の外周面に、周方向にほぼ等間隔で、かつ放射状に外側に伸びた複数個の気流形成用突起部24を形成しているため、モータ回転子21の回転に伴って気流形成用突起部24によりやや外側に向かう冷却空気流が形成されることになる。従って、連通部15は連通部14よりも主軸16の中心側に形成するのが望ましい。
【0030】
上述したエレベータ装置用巻上機によれば、筺体7に円環状凹部19の空間部25と連通した少なくとも一対の連通孔14,15を形成し、空間部25でブレーキドラム9と共に回転して連通孔14,15を通して流れる冷却空気流を形成する気流形成用突起部24を設けたため、ブレーキドラム9と共に回転する気流形成用突起部24によって円環状凹部19に形成された空間部25の空気を強制移動することになり、筐体7に形成した連通孔14,15を通して空間部25内の空気の流れを発生させ、この空気流によって、モータ固定子20およびモータ回転子21の近傍は勿論、ブレーキドラム9の近傍も冷却することができる。このため、ブレーキパッド12,13とブレーキドラム9間のギャップが減少してしまう熱膨張を防いでエレベータ装置用巻上機6の小型化および薄型化を実現することができる。
【0031】
また、上述したエレベータ装置用巻上機によれば、気流形成用突起部24はモータ回転子21の外側に設け、連通孔14は、気流形成用突起部24に対応する外側位置の筺体7に形成したため、従来の構成を余り変更することなく、モータ固定子20およびモータ回転子21がギャップを介して対向する部分の空間部25を用いて効果的に冷却空気流を形成することができる。しかも、気流形成用突起部24によって形成した気流を効果的に連通孔14に導いて排出することができる。
【0032】
さらに、上述したエレベータ装置用巻上機によれば、気流形成用突起部24の近傍で外側に位置する筐体7の外周部26に図5に示した連通孔14を形成し、また、気流形成用突起部24よりも回転中心軸側に位置する筐体7の前面側に図6に示した連通孔15を形成しているため、ブレーキドラム9と共に気流形成用突起部24が回転するとき、内側に位置した連通孔15は周囲空間の空気を取り込む吸入口となり、外側に位置した連通孔14は空間部25の空気を外部の周囲空間へ追い出す排気口となり、この空気流を利用してモータ固定子20およびモータ回転子21は勿論、ブレーキドラム9などを効果的な冷却を行うことができる。
【0033】
図8は、本発明の他の実施の形態によるエレベータ装置用巻上機を示す断面図である。図1に示した実施の形態との同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略し、相違部分について説明する。この実施の形態では、冷却のための空気流を形成するよう空間部25に作用する気流形成用突起部24をモータ回転子21ではなくブレーキドラム9に形成している。この気流形成用突起部24は、特に図9に示したブレーキドラム9の正面図から分かるようにモータ回転子21の回転と共に回転するとき、上述した空間部25内の空気を移動するように風圧を受ける形状となっている。ブレーキドラム9の外周部には周方向に所定間隔で複数の気流形成用突起部24が形成され、ブレーキドラム9の回転方向に風圧を受けるように適度の受圧面積を有している。
【0034】
この実施の形態のエレベータ装置用巻上機でも、モータ回転子21と同様に気流形成用突起部24も回転するため、筺体7およびモータ固定子20で代表する固定部側と、モータ回転子21や綱車8等で代表される可動部側との嵌合部である円環状凹部19に形成された空間部25の空気を強制移動することができる。図7の場合と同様に筐体7の前面側に形成した連通孔15などから外部周囲空間部の空気を空間部25内に吸い込みながら、筐体7の外周部26に形成した連通部14から排出される空気流が発生し、この空気流によって、図8に示したモータ固定子20およびモータ回転子21の近傍は勿論、気流形成用突起部24を設けたブレーキドラム9にも冷却用気流を作用させて、同部を同様に冷却することができる。
【0035】
しかも、本実施の形態における気流形成用突起部24は、図1の構成のように主に放射方向に伸びるのではなく、主に水平方向に伸びた形状であるため、仮に、ブレーキパッド12,13とのギャップに影響を及ぼすようにブレーキドラム9が熱膨張したとしても、本実施の形態における気流形成用突起部24は定常状態にあるブレーキパッド12,13と干渉することはない。
【0036】
尚、本発明の各実施の形態では、筺体7に一端を固定した主軸16の自由端側に軸受17を介して綱車8、ブレーキドラム9および可動側ハウジング18で構成した可動部側を可回転的に片持ち支持したが、主軸16とブレーキドラム9側を一体成形し、主軸16の自由端側に軸受17を介して筐体7の中心ボス部を可回転的に配置した構成にも適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 昇降路
2 ガイドレール
3 乗りかご
4 ガイドレール
5 釣合おもり
6 エレベータ装置用巻上機
7 筺体
8 綱車
9 ブレーキドラム
10 電磁ブレーキ装置
11 電磁ブレーキ装置
12 ブレーキパッド
13 ブレーキパッド
14 連通孔
15 連通孔
16 主軸
17 軸受
18 可動側ハウジング
19 円環状凹部
20 モータ固定子
21 モータ回転子
22 積層電磁鋼板
23 永久磁石
24 気流形成用突起部
25 空間部
26 外周部
27 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、この筐体に対して可回転的に支持したブレーキドラムと、前記筺体の前記ブレーキドラムとの対向部に形成した円環状凹部に配置したモータ固定子と、このモータ固定子に対向した位置の前記円環状凹部内の空間部に配置され前記ブレーキドラムに固定したモータ回転子と、前記ブレーキドラムと一体的に回転する綱車と、前記ブレーキドラムを制動するように前記筺体に設けた電磁ブレーキ装置とを備えたエレベータ装置用巻上機において、
前記筺体に前記円環状凹部の空間部と連通した少なくとも一対の連通孔を形成し、前記空間部で回転して前記連通孔を通して流れる冷却空気流を形成する気流形成用突起部を設けたことを特徴とするエレベータ装置用巻上機。
【請求項2】
前記気流形成用突起部は、前記モータ回転子の外側に設け、前記連通孔は、前記気流形成用突起部の外側に位置する前記筺体に形成したことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置用巻上機。
【請求項3】
前記気流形成用突起部は、前記ブレーキドラムに設けたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置用巻上機。
【請求項4】
前記一対の連通孔のうちの一方は、前記ブレーキドラムにおける回転中心軸からの距離が前記気流形成用突起部よりも大きな外側位置に設け、前記一対の連通孔のうちの他方は、前記ブレーキドラムにおける回転中心軸からの距離が前記気流形成用突起部よりも小さな内側位置に設けたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置用巻上機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−9461(P2013−9461A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138619(P2011−138619)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】