説明

オフコンタクト印刷方法、オフコンタクト印刷方法を用いた印刷装置及びオフコンタクト印刷方法を用いたボール搭載装置

【課題】オフコンタクト印刷方法において、マスクと基板とのギャップに起因する印刷剤の印刷位置ずれとマスクと基板の寸法の製造誤差を補正する。
【解決手段】印刷装置の枠体に固定されたマスクと、マスクの下方で移動可能に配設されたステージと、このステージに固定された基板と、マスク上に供給された印刷剤をマスクの開口から基板の電極に印刷するスキージとを有する印刷装置を用いて印刷剤を基板上にオフコンタクト印刷する印刷方法において、第1の基板に印刷される印刷剤の位置ずれ量を実測し、位置ずれ量が小さくなるように、第2の基板の印刷中に基板を載置したステージをずれ量に基づいて移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール搭載装置等に用いるフラックス(印刷剤)のオフコンタクト印刷方法、オフコンタクト印刷方法を用いた印刷装置及びオフコンタクト印刷方法を用いたボール搭載装置に関し、詳しくは印刷位置ずれを補正する印刷方法に係るものである。更に、このオフコンタクト印刷方法を用いた印刷装置とボール搭載装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
基板に形成された電極上にマスクに形成された開口からフラックスをオフコンタクトで印刷する印刷方法は、実用に供されている。そして、マスクと基板とのキャップに起因する印刷位置ずれを幾何学的に計算して、マスクの設計値を予め補正するマスク設計方法も公知である。
【0003】
しかし、マスクの設計値を幾何学的計算値等で高精度に補正する方法は、多くのパラメータ(例えば、マスクを構成する材料のヤング率、ポアソン比、貼り付け強度、フラックスを介してのスキージとマスクの摩擦係数等)が必要であり、マスクの設計値を高精度に補正することは困難である。
【0004】
更に、上記の方法では、マスクと基板の製造誤差を補正できない致命的な欠陥がある。大型でファインピッチのマスクと基板の製造誤差は、隣接する開口間や電極間での誤差は小さいが、それらを累積するとピッチ間隔に対して大きくなる。例示すると、電極形成領域の長さが300mmの基板電極間の製造誤差の最大値は大略±15μmで、開口形成領域の長さが300mmのマスク開口間の製造誤差は大略±20μmである。従って、このような精度のマスクを用いて基板の電極にフラックスを印刷する場合、印刷されたフラックスと電極との位置ずれ量は、最大でプラスマイナス25μm前後となる。このようなことから、電極の直径が50μmの場合、フラックスが覆う電極の面積が半分以下となる場合が発生する。ファインピッチのフラックス印刷では電極を覆うフラックスの厚さが薄くなるので、フラックス印刷の位置ずれによるフラックス不足に起因する接合不良が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−179935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、マスクと基板のギャップに起因するフラックス印刷位置のずれ量と、マスクと基板の製造誤差に起因するフラックス印刷位置のずれ量の双方を補正することができない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、キャップ印刷に起因するフラックスの印刷ずれと、マスクと基板の製造誤差に基づくフラックスの印刷ずれと、その他の要因(例えば、印刷中のスキージの押圧摩擦によるマスクの伸び)に起因して惹起するフラックス印刷の位置ずれを一括して補正することを主な特徴とする。更に、マスクと基板の寸法上の製造誤差をオフコンタクト印刷の特性を生かして補正することを特長とする。
【0008】
本発明のオフコンタクト印刷方法は、基板をステージに搭載する工程と、基板をマスクに位置合わせする工程と、基板とマスクの間隔を所定距離に設定する工程と、印刷剤をマスク上に供給する工程と、スキージを降下させてマスクの一部を基板に当接させる工程と、スキージを基板に沿って移動させ、印刷剤をマスクに配設された開口から基板上に印刷する印刷工程と、印刷工程の後、スキージを上昇させてマスクを基板から離間する工程と、基板を次の工程へ送る工程とからなるオフコンタクト印刷方法において、第1の基板を用いて、印刷された印刷剤と電極のずれ量を計測するずれ量計測工程と、ずれ量に基づいて、最初に印刷される印刷剤が最初に印刷される第2の基板の電極とずれないように、第2の基板を移動する工程と、ずれ量に基づいて、第2の基板をスキージの移動方向に移動させながら、印刷剤を第2の基板に印刷する工程を含むことを特徴とする。
本発明の特徴は、電極上に印刷された印刷剤の印刷ずれを計測したデータに基づいて、他の基板を移動させながら印刷することにあり、第2の基板は、第2だけでなく、第3、4、更にm(mは、5以上の整数)の基板を含む。
【0009】
本発明は、ずれ量計測工程において、ずれ量の計測位置は、第1計測位置から第n(nは、2以上の整数)計測位置かなり、所定の2ヶ所の計測位置の間でのずれ量に基づいて基板の移動速度を演算して、所定の2ヶ所の計測位置の間において基板を上記移動速度で移動させながら印刷剤を印刷することを特徴とする。
【0010】
本発明は、第1計測位置が最初に印刷された印刷剤の位置であり、且つ第n計測位置は、最後に印刷された印刷剤の位置であることを特徴とする。
【0011】
本発明のオフコンタクト印刷方法は、基板に形成された複数の電極の上に印刷剤を印刷するための開口を有するマスクと、基板を載置してマスクの下方で移動可能に配設されたステージと、マスク上に供給された印刷剤を上記開口から上記電極に印刷するスキージとを有する印刷装置を用いて、基板をステージに載置する工程と、マスクの下方へ基板を移動し且つマスクと基板とのギャップを所定間隔に設定する工程と、スキージをマスクに沿って移動してマスク上に供給された印刷剤を開口から電極上に印刷する印刷工程と、そして基板をステージから取り外す工程を含む印刷方法で印刷剤を基板に印刷するオフコンタクト印刷方法において、印刷工程は、印刷される印刷剤の位置と電極の位置とのずれを減少させるように印刷剤印刷中に基板を水平方向へ移動させる操作を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明は、マスクの開口から印刷された印刷剤の座標と基板の電極の座標を計測する工程と、電極の座標と印刷剤の座標とのずれ量に基づいて基板を水平方向に移動させる移動量と移動速度を計算する工程と、移動量と移動速度に基づいて印刷剤印刷中に基板を水平方向に移動させる工程とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記オフコンタクト印刷方法を用いた印刷装置を特徴とする。
【0014】
本発明は、上記オフコンタクト印刷方法を用いたボール搭載装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のオフコンタクト印刷方法は、基板に印刷されたフラックスと電極とのずれ量に基づいてフラックス印刷中に基板を移動するので、マスクと基板の製造誤差を含めた全ての差異を補正できるメリットがある。
【0016】
本発明のオフコンタクト印刷方法は、基板とマスクの製造誤差が大きくなる長い基板の精密印刷に適している。20cmを越える長尺物、更に1mを越える長尺物の高精度印刷に特に適している。
【0017】
本発明のオフコンタクト印刷方法は、ボール搭載装置用フラックス印刷以外に、液晶表示体、プラズマ表示体、有機EL表示体等及びそれら用のマスク、導電性ペースト、太陽電池の電極等の印刷、更には、有機EL剤の印刷等にも有効で、このオフコンタクト印刷方法を用いることにより、大型の精密印刷装置や、大型の微小はんだボール搭載装置の実用化を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1はボール搭載装置を説明するための平面図である。
【図2】図2は印刷装置の正面図の説明図である。
【図3】図3はスキージユニットを説明するための図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図4】図4はマスクユニットの説明図で、(a)は平面図、(b)はAA断面図、(c)は開口群42の拡大図である。
【図5】図5は基板の説明図で、平面図である。
【図6】図6は基板に配設されたチップ接続領域の拡大図である。
【図7】図7はオフコンタクト印刷を説明するための図である。
【図8】図8はフラックス印刷位置ずれの状態を説明するための図である。
【図9】図9はフラックス印刷位置ずれを算出するフローチャートである。
【図10】図10は位置ずれを補正する印刷方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は印刷位置ずれを補正するために基板を移動するステップを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、オフコンタクト印刷に固有な印刷位置ずれと、基板とマスクの製造誤差により生じるフラックの印刷位置ずれ等を、基板を移動することにより、一括して補正することを可能とした。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の印刷装置7を含むはんだボール搭載装置1の平面図である。ボール搭載装置1は、基板19の電極41にはんだボール48を搭載する装置であり、基板のローダ/アンローダ2と、ローダ/アンローダ2とプレアライナー4とステージ5との間で基板を搬送する搬送ロボット3と、基板の位置と方向を粗調節するプレアライナー4と、押圧装置6と印刷装置7とボール振込装置9との間をXレール10上で移動するステージ5と、ステージ5上の基板を押圧して平坦化する押圧装置6と、基板にフラックスを印刷する印刷装置7と、フラックスが印刷された基板にはんだボールを振込むボール振込装置9とからなる。
【0021】
基板19は、はんだボール未搭載の基板を保管しているローダ/アンローダ2から搬送ロボット3で取り出され、プレアライナー4上に載置される。基板の方向と位置を粗調整下後、ステージ5上に搭載され押圧装置6で基板載置台18に押圧され平坦化された状態でセットされる。
【0022】
印刷装置7とボール振込装置9の間に2台のカメラ34が下向きに配設されている。これらのカメラは、ステージ上の基板の基準位置マーク39を計測し、マスクとの位置合わせをするための計測器である。なお、基板を載置したステージがXレール10上を移動するとき、基板に設けられた基準位置マークがカメラ34の視野内にないと基準位置マークをカメラが検出できないので、ステージは迷走する。この迷走を防止するために、プレアライナーは、基板の基準位置マークがステージが移動中にカメラの視野内に入るように位置合せする。
【0023】
図1において、3aは基板19を搬送するロボット3のハンド、8は印刷マスク37の下面クリーニング装置、12は装置の架体、14はステージ5のYレール、37は印刷用マスクである。
【0024】
ボール搭載装置9は、2組のボール振込ヘッド49と振込用マスク50からなる。ボール振込ヘッド49は、それぞれボール供給装置を一体に配設し、ボール供給装置から振込用マスク50上に供給されたはんだボールを保持しながら振込用マスク50上を移動する。はんだボールは、振込用マスク50に設けられた開口から基板上に振込まれる。
【0025】
図2は、本発明に使用した印刷装置7を説明するための正面図である。印刷装置7は、スキージユニット11と、マスクユニット44と、架体12と、からなる。スキージユニット11は、図3で説明する。マスクユニット44は、マスク枠13と印刷用マスク37からなり、取り外し可能に取付部材25を介して架体12固定されて、図4で詳しく説明する。印刷装置7の下方にステージ5が、Xレール10とYレール14により移動可能に配設されている。図が錯綜しているので、フレーム20と基板ガイド24とマスク枠ガイドを断面で示す。
【0026】
ステージ5は、ベース板15の上に組み立てられていて、Xレール10とYレール14上(水平面内)を自由に移動できるようになっている。ベース板15上には、θ軸モータ16とZ軸駆動装置17が独立して配置される。フレーム20は、基板載置台18の外縁で且つZ軸駆動装置17の上端に上下移動可能に配設されている。θ軸モータ16は、基板載置台18を水平面内で回転し、基板載置台に載置された基板19とマスクとの水平面内の角度ずれを補正する。そして、θ軸モータの上部に配設した取付部材23を介して4個のZ軸駆動装置21と4本のリフト棒22が配設される。
【0027】
基板載置台18には、リフト棒22の上下移動を可能とするガイド孔22aが明けられている。リフト棒は、取付部材23に固定されていが、Z軸移動装置21により基板載置台18が上下移動することにより基板載置台18に対して相対的に上下できる構造となっている。この相対的上下動きにより、基板を基板載置台18に脱着するとき、基板19と基板載置台18との間に搬送ロボット3のハンド(アーム3aの先端部)が入ることができる。具体的にいえば、ローダから搬送ロボット3のハンドに載置された基板19は、リフト棒22が基板載置台18より上に突出している状態で、リフト棒上に載置される。その後、搬送ロボットのハンドは、退避位置へ戻り、Z軸駆動装置21により基板載置台18が上昇し、即ち相対的にリフト棒22が基板載置台18より下へ移動して、基板は基板載置台上に載置される。引続き、基板載置台に配設されている減圧孔(図示略)からの吸引により、基板は基板載置台に固定される。基板を基板載置台から取外す工程は、上記工程の逆を実施する。このようにして基板を基板載置台に減圧固定したステージが印刷装置7の下方へ移動した状態が図2である。基板19の反りが大きい場合、押圧装置6で基板19を押圧しながら、基板を減圧吸引する。
【0028】
フレーム20は、Z軸駆動装置17の上部に配設されて、ステージ5の上面の外周部を構成する。基板ガイド24は、基板載置台18の外周に配設され、基板18の厚さに対応して上下に移動可能に固定されている。基板19は、Z軸駆動装置21により、フレーム20は、Z軸駆動装置17によりそれぞれ独立して上下に移動できる。基板19を基板載置台18から取り外すために、Z軸駆動装置21で基板載置台を降下させると、リフト棒22は、取付部材23に固定されていて上下に移動しないため、基板載置台との間に間隙(図示略)ができる。この間隙に搬送ロボット3のハンド(図示略)を入れて、基板をハンド上に載せて移動する。
【0029】
図3は、スキージユニット11の説明図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。スキージユニット11は、2組のスキージから構成され、それらの間隔を調整することができる。そしてスキージユニットは、装置の枠体12に固定されているYレール32上を移動する。Yレール32は、サーボモータ33とボールネジ(図示略)で構成し、移動速度を高精度に制御できるようなっている。
【0030】
スキージ31を上下に移動させるエアシリンダ26は、取付板29に固定され、シリンダーロッドの下端には、スキージ取付部材30を介してスキージ31が取り付けられている。スキージ31の平行度を高めるために、エアシリンダ26の両側にガイド棒28が配設されている。ガイド棒28は、取付板45と取付板29の軸受(図示略)を介して移動可能にスキージ取付部材30に取付けられている。スキージ31は、2個あり、往復の印刷を可能としている。そして、図3(c)に示すように、2つのスキージ31は、独立して上下動ができる。スキージ31は、フラックス36を左右方向へ移動させ、フラックス36を印刷する。フラックスを印刷していない右側のスキージは、上方の待機位置へ避難している。スキージ31の材質は、硬質ゴムや金属である。マスク37は、マスク開口を省略してその一部を記載している。
【0031】
図4は、フラックス印刷用のマスクユニット44である。(a)はマスクユニット44の平面図、(b)は(a)のAA断面図、(c)はチップ接続領域に対応する開口群42の拡大図の一例である。マスク37は、フラックス36を印刷するための開口43がアディティブ(電鋳法)、化学エッティング、またはレーザ孔明け方法等で形成された金属薄膜で、メタルマスクとも呼ばれる。マスクの厚さは、開口直径の1/3〜1/2前後で極めて薄いので湾曲し易い。湾曲を防止し且つフラックス印刷の精度を高めるために、マスクは、接着シート37a等を介し張力を掛けられた状態でマスク枠13に固定される。マスック枠にマスクを張られたマスクユニット44は、マスク枠ガイド25に挿入された後、移動しないようにクランプされる。
【0032】
図4(a)のAは、印刷が開始される最初の開口43で、Eは、印刷が終了する最後の開口43で、Cは、AとEの中間にある開口43である。基板電極の設計によっては、このCに対応する開口がない場合もあるが、存在するものとして説明をする。印刷ずれは、AA断面に垂直方向(印刷方向と直角方向)のマスク面にも生じるが、本方法では印刷方向に直角方向の補正はできないので、位置ずれが大きくなる基板又はマスクの方向を印刷方向とすることが好ましい。
【0033】
マスクの裏面には、2個以上のマスクの位置基準マーク38が形成されている。これらの基準位置マーク38は、図4(a)のように対角線上に配設される場合と、Xレール10に平行に配設される場合と、Yレール10に平行に配設される場合とがある。基準位置マーク38の位置(座標)は、マスクユニット44を印刷装置7に固定した時、ステージ5に搭載されているカメラ35で計測し、メモリに記憶される。
【0034】
図4(b)に示す如く、接着シート37aは、マスク37の外周部をマスク枠13の下面に張力を掛けながら固定する。それらの境界を図4(a)に破線で図示してある。
【0035】
マスク37に形成されている開口43の直径は、60μmと微細なのでそれぞれを図示することができないので、1個の半導体チップの電極に対応して開口が形成されている領域(開口群42)を矩形で表示し、その拡大図を図4(c)に示す。この図に示す開口43は、実際の大きさより大きく作図して見やすくしてある。従って、開口43の個数は大幅に少なくなっている。マスク37には、開口群42が、5×7のマトリックス状に配列されている。
【0036】
フラックスの印刷の方向を矢印で示す。しかし、スキージ31の移動方向は、矢印の反対方向にも移動できるようになっており、フラックスの印刷の方向は、矢印の逆方向でも良い。従って本発明において、印刷方向とはこの矢印の方向と180度異なる逆方向を含むものである。
【0037】
図5は、複数個のチップ接続領域42を有する基板19を説明するための平面図である。なお、図5の縮尺は、図4と異なる。チップ接続領域42は、5×7配列で形成されており、振込用マスク37の開口群42に対応する。基板の基準位置マーク39は、対角線上に2個形成されている。これら基準位置マークは、基板19の辺に平行に設けられても、4個設けても良い。チップ接続領域42は、電極を省略し矩形で表示してある。
【0038】
基板19上のBは、図4のマスク37上のAの開口がフラックスを印刷する位置で、最初にフラックスを印刷する電極である。しかし、印刷位置ずれによりフラックスがB上に印刷されるとは限らない。Dは、7個一列に並んだチップ接続領域40の中央で、図4のマスクのCに対応する位置の電極である。Fは、最後に印刷する電極で、図4のマスクのEに対応する位置の電極である。
【0039】
図6は、チップ接続領域1個所を拡大した平面図である。40は、1個のチップの平面図で、電極41は、図4(c)に図示した開口43と1対1の対応をしているが、実際の大きさより大きく作図して見やすくしてある。チップを示している周囲の矩形枠は無い場合もある。
【0040】
図7は、図4(a)のAA断面に対応しており、オフコンタクト印刷時の印刷位置のずれを説明するための図で、基板19を追記してある。換言すると、図7は印刷中のマスクユニットの中央部をスキージの移動方向に垂直に切断した断面図である。縦横比等の寸法比は、実際と異なる。更に、マスク37にはフラックスを印刷するための開口を図示せず、基板19には、電極41と電極上に印刷されたフラックスを図示していない。又、スキージをマスクが基板に当接するまで降下させた時、スキージの先端は、マスクにより前後方向に異なる力を受けるが、曲がることなく、垂直に降下するものとして図示する。しかし、本発明は、フラックスの印刷位置を計測するので、再現性のあるスキージの変形は印刷ずれ防止に対して問題を生じさせない。
【0041】
マスク37は、張力を付勢されてマスク枠13に貼り付けられている。そしてマスク枠13は、マスク枠ガイド25を介して架台12にクランパー(図示略)で固定されている(図2参照)。基板19は、ステージ5の基板載置台18に減圧吸着されている。ステージ5は、Yレール上も移動可能に配設されているので、基板19は、矢印の方向と逆方向へ自由に移動できる。又、ステージ5の移動方向は、Xレールを用いてX軸方向でも良く、任意の水平方向を含む。更に、基板19は、Z軸駆動装置21により上下に移動できるので、フラックスの印刷中に上下に移動することもできる。このように、本発明において、フラックスの印刷中に基板19が移動する方向は、水平方向と垂直方向の組合せででも良い。
【0042】
マスク19の変形は、ヤング率、ポアソン比を含む多項式で表示できる。又、有限要素方を用いて変形を定量的に計算することもできる。これらの計算結果からも容易にわかることであるが、印刷されたフラックスの位置ずれを計測しても、スキージ31は、巾があるので、スキージ31の巾で中央部と端部では、マスク19の変形が同一とならないで、フラックスの印刷位置はずれる。しかし、実施例1では、印刷ずれをスキージの中央部で説明する。
【0043】
マスク37が基板19に当接するまでスキージ31を押し下げた時、マスク37と基板19のなす角度を、左方α、右方βとする。スキージ31がマスク37の中央部Cより左側にある場合、α 〉βである。この角度差により印刷位置がずれる。
【0044】
図7は、マスクと基板が同一寸法に製造され且つ基板がマスクに正確に位置合わせされた場合を例示している。図7において、スキージ31がマスクを押圧していない状態のマスク37を点線で表示してある。又、基板19とスキージ31とフラックス47は、明示するために斜線が付されている。点線で示したマスク上の開口Aから印刷されたフラックスは、基板の位置Gに印刷される。Gは、開口Aの直下にある電極Bより左方向にずれている。マスク37の中央部である開口Cにスキージ31が移動してきたとき、α=βとなり、Hは、Cの直下となる。即ち開口Cから印刷されるフラックスは、電極D上に位置ずれすることなく印刷される。次に開口Eから印刷されるフラックスは、遅れて印刷され、結果として、電極F(開口Eの直下)より右側へずれてIに印刷される。
マスク37がスキージ31により押し下げられると、マスクは、マスク枠13に固定されているので、伸びる。マスクは、スキージの押圧点の左右で伸び率が同じ(理想的な場合で実際は摩擦があるので少々異なる)になるように、スキージとの相対位置関係をずらしながら伸びる。具体的には、αがβより大きい場合、β側のマスクは、スキージの下を通り、α側へ移動する。
【0045】
図8は、更に詳しくフラックスの印刷位置ずれを説明するための図である。図7と同様に、マスクと基板が同一寸法に製造され且つ基板がマスクに正確に位置合わせされた場合で、且つマスクの開口が印刷方向(矢印)に一列で5個のみ場合を例として説明する。従って、それに対応する基板の電極も一列で5個である。図面の煩雑さを避けるために、マスクの開口、基板の電極、と印刷されたフラックスの直径を同じ大きさとして記載し、それぞれに斜線を付して区別してある。開口は、斜線の無い空白、電極は、45度斜線、印刷されたフラックスは、135度斜線である。
A,C及びEはマスクの開口43である。B,D及びFは電極41である。G,H及びIは印刷されたフラックスである。更に、Ac,Cc及びEcは開口の中心で、Bc,Dc及びFcは電極の中心で、Gc,Hc及びIcは印刷されたフラックスの中心である。
なお、位置ずれは、図8の左下端に図示した座標で、電極の中心からフラックスの中心へのベクトルとして表示し、印刷方向の垂直方向に印刷の位置ずれがないものとして作図してある。
【0046】
図8(a)は、マスクの開口を示す。図7と同様に、スキージの移動方向は、図4を90度回転させた方向(y方向)で図示してある。図8(b)は、基板の電極を示す。マスクと基板が完全に位置合わせされているので、電極の中心Bc,DcとFcは、開口の中心Ac,CcとEcの真下である。図8(C)は、基板上にフラックスを印刷した状態を示す。基板上にフラックスが印刷された領域は、交差斜線で表示されている。図8(d)は、印刷されたフラックスのみを記載した図である。左右対称で中央部では、位置ずれが無い。
【0047】
次に、フラックスの印刷位置ずれ量の計測について説明する。印刷されたフラックスの平面は、ほぼ円形であるので、印刷されたフラックスを画像認識し、その形状を円形として画像処理して印刷されたフラックスの中心(座標)を算出する。基板の基準位置マークを計測するカメラ34で、フラックスを印刷後、計測する。同様にして電極の中心座標を計測する。又、目視で中心座標を計測する場合は、基板をステージから外して工具顕微鏡を用い、工具顕微鏡の視界中心に設けられている円形マークと、フラックスの外形を合せその中心座標を読む。一方、電極の中心座標は、同様にして、電極の外形を定めてその中心座標を読む。
【0048】
図8(a)は、マスクの開口を示し、左端(印刷の開始端)の開口がA、中央がC,右端(印刷の終止端)がEである。これに対応する電極が図8(b)で、左端がB,中央がD,右端がFである。図8(c)は、フラックスが印刷された状態を示している。開口Cで印刷したフラックスは、電極D上に印刷されている。しかし、開口Aで印刷されたフラックスの中心Gcは、電極の中心Bcより左へ距離aずれている。そして、開口Eで印刷されたフラックスの中心Icは、電極の中心Fcより右へ距離bずれている。
【0049】
「a」と「b」は、電極の中心からの長さと方向を備えたベクトルで、ベクトルとして扱う場合a(ベクトル)、b(ベクトル)と表示する。単にa、bと表示した場合は、長さだけを表す。長さの加減算を行う場合、フラックスの中心が電極の中心より左へずれる場合は負の符号を付け、逆に右へずれる場合は正の符号をつける。
電極Bと電極Fの中心間距離をLeとし、印刷されたフラックスGとフラックスIの中心距離をLfとすると、Lf―Le=b(ベクトル)−a(ベクトル)=b+aとなる。この式は、上記条件に限定されないで、一般化することができる。
【0050】
他方、印刷中に基板を移動する考え方を簡潔に表現すると、距離Lfが距離Leより大きい場合、基板を印刷方向へ移動させ、見掛け上のLeを大きくする。一方、LeがLfより大きい場合、基板を印刷方向と反対方向へ移動させて、見掛け上のLeを小さくする。又、印刷開始の印刷ずれを防止する方法は、最初に印刷されたフラックスの位置ずれ量だけ移動した後、印刷を開始する。
【0051】
次に、印刷位置ずれの補正値(フラックス印刷を最初にする前に基板を移動する移動量と印刷中に基板を移動する移動速度)を算出する方法について、図8を参照しながら図9を用いて説明する。図9は、フラックス印刷の位置ずれを算出するフローチャートである。
ステップ1(S1)は、基板をステージに載置して、減圧吸着して固定する。基板が大きく反っている場合、基板を押圧し平坦して減圧吸引する。
ステップ2(S2)は、マスクの基準位置マークの座標と、基板の基準位置マークの座標の計測データを用いて、マスクと基板を位置合わせする。
ステップ3(S3)は、基板とマスクのギャップを2mmに設定する。
ステップ4(S4)は、フラックスを基板に印刷する。
ステップ5は、最初に印刷する基板の電極の中心Bcと、その電極に対応して印刷されたフラックスの中心Gcの座標を計測する。次に、最後に印刷する基板の電極の中心Fcと、その電極に対応して印刷されたフラックスの中心Icの座標を計測する。
【0052】
ステップ6(S6)は、それらの計測データから、
(1)
最初の電極の中心Bcから、最初に印刷されたフラックスの中心Gcへのずれa(ベクトル)を算出する。
(2)
最初の電極の中心Bcと最後に印刷される電極の中心Fcの距離Leを算出する。
(3)
最後の電極の中心Fcから、最後に印刷されたフラックスの中心Icへのすれb(ベクトル)を算出する。
【0053】
次に、上記計算データを用いて、基板の移動開始の座標を計算する。最初に印刷されるフラックスGが最初に印刷されるべき電極B上にずれることなく印刷されるためには、基板をa(ベクトル)だけ移動した座標をフラックスの印刷開始座標とする。但し、本発明において、位置ずれのベクトルの方向は、電極の中心から印刷されたフラックスの中心の方向である。図8の左下隅に記載した座標に対応させると、aはマイナスの値であり、bはプラスの値である。以下、電極と印刷されたフラックスの距離は、電極からのフラックスまでの距離で、方向によりプラスとマイナスの符号を付けて計算する。
【0054】
次に、基板の移動を終了させる座標を計算する。最初に印刷するフラックスを電極に合せるために基板を移動しない場合、基板をb(ベクトル)だけ移動することにより最後に印刷されるべき電極F上に最後に印刷されるフラックスIを重ねて印刷できる。
【0055】
ステップ7は、基板の移動方向と移動速度を計算する。最初に印刷されたフラックスの中心Gcと最後に印刷されたフラックスの中心Icの距離Lfと、フラックスが最初に印刷される電極の中心Bcと最後に印刷される電極の中心Fcの距離Leとの差c(ベクトル)は、b(ベクトル)−a(ベクトル)である。従って、基板をa(ベクトル)だけ移動してフラックスの印刷を開始した後、基板をc(ベクトル)だけ移動することにより、最後に印刷されるフラックスの中心Icは、最後に印刷される電極の中心Fcと一致する。
【0056】
ここでスキージ31の移動速度をuとすると、スキージがBcからFcへ移動する時間tは、t=Lf/uとなる。従って、上記時間t内に基板をc(ベクトル)だけ移動することにより、電極の中心Fcとフラックスの中心Icが一致する。 このようなことから、電極FとフラックスIを一致させるには、基板の移動速度vは、v=c*u/Lfで移動させれば良い。電極Fの印刷が終了時に基板の移動を停止して良いが、余裕をもって数秒後に停止すると良い。
【0057】
次に、位置ずれ補正値を用いたフラックス印刷方法について図11を参照しながら説明する。図10は、上記の位置ずれ補正値を用いた印刷のフローチャートである。使用する基板は、位置ずれの補正値を算出するために使用した基板と同一条件で製造された他の基板である。なお。位置ずれの補正値を算出するために使用した基板を洗浄して使用しても良い。
ステップ1(S1)は、基板をステージに載置する。
ステップ2(S2)は、マスクに基板を位置合わせする。図11(a)に相当する。この状態では、最初に印刷されるフラックスは、a(ベクトル)だけずれている。
ステップ3(S3)は、基板とマスクのギャップを2mm(位置ずれ補正値を算出した条件と同じ)とする。
ステップ4(S4)は、フラックスをマスク上に供給する。
【0058】
ステップ5(S5)は、基板をa(ベクトル)だけ印刷方向に移動して最初に印刷されるフラックスの位置ずれを補正する。図11(b)に相当する。なお、基板の移動は、ステージを移動させて行う。
ステップ6(S6)は、最初に印刷される開口に達しない位置からスキージの移動を開始する。
ステップ7(S7)は、スキージが最初に印刷する開口の中心に達したとき、基板を所定の速度v(c*u/Lf)で移動を開始する。図11(c)に相当する。
ステップ8(S8)は、スキージが最後に印刷する開口の中心に達した時(図11(d)に相当する)、基板の移動を中止する。スキージが最後に印刷する開口の中心に達した時は、移動開始後の時間tとする。なお、基板の移動の中止は、必ずしも絶対的に必要ではなく、フラックス印刷終了まで、移動を続けても良い。
ステップ9(S9)は、フラックス印刷終了後、スキージを上昇させる。
ステップ10(S10)は、印刷された基板を基板載置台から外して、ボール搭載工程等の次工程へおくる。
【0059】
図11は、基板を移動して印刷位置ずれを補正する方法において、マスク37と基板19の位置関係を示す。マスク37は固定で、基板19がステージで移動する。マスク37には、基板の位置との位置関係を説明するために、最初に印刷する開口Aと最後に印刷する開口Eを表示してある。フラックスの印刷方向(スキージの移動方向)は、左から右である。基板19には、最初に印刷される電極Bと最後に印刷される電極Fを表示し、更に、最初に印刷されるフラックスGと最後に印刷されるフラックスIを表示してある。
(a)は、マスクと基板を基準位置マークで合せたときの位置である。なお、基板には、印刷位置ずれの計測時の符号は付されていないが、位置関係を分かりやすくするために付してある。フラックスGは、電極Bより左へ(マイナス)aずれている。又、フラックスIは、電極Fより右へ(プラス)bずれている。基板19とマスク37とのキャップは、2mmで拡大して図示されている。
【0060】
(b)は、最初に印刷される電極Bが開口Aで印刷されるフラックスGに重なり合うように移動した状態を示す。最初に印刷される電極Bは、Gより右側にあるので、最初に印刷される電極B上に最初に印刷されるフラックスを印刷するためには、基板19を左方(印刷方向と逆方向)へaだけ移動する。このため、すべての電極はaだけ左方へ移動する。尚、この状態でフラックスの印刷が開始される。
(c)は、フラックスを印刷しながら基板を右方(印刷方向)へ移動速度vで移動している状態を示す。
(d)は、基板19を距離(a+b)だけ右側へ移動させて、最後に印刷する電極Fを最後に印刷する開口Eが印刷したフラックスIに重なり合わせた状態である。以後、基板19は、移動しても又は停止しても良い。
【実施例2】
【0061】
基板とマスクのギャップに起因する印刷位置ずれは、基板の位置に対して線形でなく、補正する間隔を小さくしないと直線補間の誤差が大きくなる。フラックス印刷の位置ずれは、一般的に印刷開始点と印刷終了点で大きく、それらの中間部では小さい。一方、マスクと基板の製造誤差は、直線補間できる場合が多い。
実施例1は、最初と最後に印刷されるフラックスが所定の電極上にずれ無く印刷されるが、中間の電極に印刷されるフラックスは、直線補間のため、少量ではあるが、ずれる場合がある。
【0062】
実施例2は、印刷位置ずれを補間する間隔を短くして、中間の電極での補間精度を高める方法である。フラックスを印刷したときの基板との印刷位置ずれを印刷方向で測定する測定個所をn(3以上の整数)とし、隣りあう測定個所の間隔は、簡単に補正できるように等間隔とする。実施例1と同様なことは、記載を省略する。n=2の場合が実施例1である。
先ず、位置ずれをなくすための計測と演算を実行する。フラックスの印刷ずれを実測するために、基板とマスクとを位置合わせした後、基板上にフラックスを印刷する。k番目の電極の中心座標をe(k)、k番目に印刷されたフラックスの中心座標をf(k)とする。k番目の印刷位置ずれ量をa(k)(ベクトル)、そして(k+1)番目の印刷位置ずれ量をa(k+1)(ベクトル)とする。f(k+1)とf(k)の間隔をL(k)とする。次に、スキージの移動速度uを設定して、位置ずれ量を補正するための基板の移動速度であるv(k)(ベクトル)と移動時間t(k)を、実施例1と同様に算出する。但し、kは、1〜(n―1)の整数である。更に、座標は一次元で印刷方向である。
【0063】
(数1)
a(k)=e(k)−f(k)
【0064】
(数2)
L(k)=f(k+1)−f(k)
【0065】
(数3)
t(k)=L(k)/u
【0066】
(数4)
v(k)=a(k)/t(k)(=a(k)*u/L(k))
【0067】
次に、位置ずれを補正した印刷方法を説明する。
先ず、印刷を開始する位置の位置ずれをなくすために、基板をa(1)(ベクトル)だけ移動して印刷を開始する。
次に、印刷中に基板を移動させ方法について説明する。
先ず、k=1として、速度v(1)(ベクトル)で、時間t(1)だけ基板を移動する。その後、kを1ずつ増加させて、速度v(k)(ベクトル)で、時間t(k)だけ基板を移動して、k=n−1になったとき基板の移動を中止し、暫時、スキージを移動させた後、印刷を中止する。なお、実施例1と同様に印刷終了後も、基板を移動させても良い。この方法により、位置ずれの補間精度を高くすることができる。
【実施例3】
【0068】
実施例1と実施例2では、基本的な印刷ずれの補正方法を説明した。実施例3は、それらの変形例である。
図5においては、最初に印刷される電極をBの1点で示したが、計測し難いことや、印刷が不安定になること等の条件がある場合、基板の中央方向に配設された電極B1の印刷ずれを計測して、印刷位置ずれの補正を行っても良い。最後に印刷される電極も同様で、基板の中央方向に配設された電極F1の印刷ずれを計測しても良い。印刷方向で任意の電極を計測し、それに対応して印刷されたフラックスの中心座標を演算して、印刷ずれを補正することが、実施例3の一例である。この実施例は、印刷ずれの補正精度を高めることができる。
【実施例4】
【0069】
更に図5において、最初に印刷される電極Bが、印刷方向に直角方向に対して1点であるが、複数点を計測すると良い。最初に印刷される電極として、Bの他に、B2とB3とを追加し、それらに対応して印刷されたフラックスの中心座標を計測する。最後に印刷される電極として、Fの他に、F2とF3とを追加し、それらの平均値を用いて、印刷ずれを補正する。基板の移動速度や移動時間等の計算は、実施例1及び2と同様である。この実施例は、印刷ずれの補正精度を高めることができる。
【0070】
本発明において、フラックスは、ロジン、ロジン誘導体、活性剤、チキソ剤、溶剤等からなり、活性剤は、カルボン酸にアミンのハロゲン化水素塩を添加したものからなる。更に、本発明において、発明の説明にフラックスを用いたが、クリームはんだ、導電性ペースト、非導電性ペースト等の他、更に、他の有機液体や無機物を含む有機液体等ら含めたものを印刷剤と定義する。
【0071】
上記に記載した通り、印刷位置ずれ量の実測方法、位置ずれ計算方法等は、多種多様で、印刷剤も多種多様である。本発明は、印刷位置ずれ量の実測方法や位置ずれ計算方法、さらに印刷剤を特定の物質に限定されるものでないことは自明である。本発明は、実測した印刷位置ずれ量に基づいて基板を移動させて印刷位置ずれを補正することを特徴するものである。又、印刷位置ずれ量の測定回数を1回で説明したが、印刷位置ずれ量の測定を複数回行い測定誤差の低減を図ることも本発明に含まれる。更に、本発明で印刷ずれの補正値は、最初に印刷する位置を補正する基板の移動量と、印刷しながら基板を所定速度で移動する移動速度からなる。
【0072】
本発明において、基板とマスクのギャップは、2mmに限定されるものではなく、0.5〜3mmでも良い。マスク37に形成されている開口43の直径を60μmで実施例に記載したが、開口の直径は、20〜300μmでも良い。又。基板19の種類は、ウエハとプリント配線板である。又、リフト棒22は、リフト棒が基板を相対的に押上げる時に、基板の変形や損傷を防止するために、本数増やすことと、リフト棒の断面積を大きくすると良い。更に。ボール振込ヘッド49は、ボール振込み時間を短縮するために、2個以上でも、例えば、横に4個、縦(振込み方向)に2個のマトリックス状に配設しても良い。加えて、ステージ5は、印刷装置7用とはんだボール振込装置9用の2台でも良い。
【0073】
本発明において、印刷装置とは、基板を載置する基板載置台と、基板をXYZθ方向へ移動する駆動装置と、マスクを保持する枠体と、マスクを介して印刷剤を基板へ印刷するスキージと、スキージを印刷方向と上下方向に移動させる駆動機構とを有する装置をいう。
【0074】
本発明において、ボール搭載装置とは、基板のローダ/アンローダと、マスク上に供給されたフラックスを基板に印刷する装置と、マスク上に供給されたはんだボールを基板に振込むボール振込装置とを有する装置をいう。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のオフコンタクト印刷方法は、ボール搭載用のフラックス印刷以外に、クリーム半田印刷、カラーフィルター印刷、有機ELの印刷、無機ELの印刷、導電性ペーストの印刷、非導電性ペーストの印刷等に有効である。本発明は、長尺で、寸法の製造誤差の大きなマスクと基板に対して特段の効果がある。更に、このオフコンタクト印刷方法は、直径が30〜80μmの微小なはんだボールを搭載するボール搭載に不可欠で、このオフコンタクト印刷方法を用いることにより、微小ボールのボール搭載の実用化を可能にする。
【符号の説明】
【0076】
1 ボール搭載装置
2 ローダ/アンローダ装置
3 搬送ロボット
3a ハンド
4 プレアライナー
5 ステージ
6 押圧装置
7 印刷装置
8 マスク洗浄装置
9 ボール振込装置
10 Xレール
11 スキージユニット
12 架体
13 マスク枠
14 Yレール
15 ベース板
16 θ軸モータ
17 Z軸駆動装置
18 基板載置台
19 基板
20 フレーム
21 Z軸駆動装置
22 リフト棒
22a ガイド孔
23 取付部材
24 基板ガイド
25 マスク枠ガイド
26 エアシリンダ
27 シリンダロッド
28 ガイド棒
29 取付板
30 スキージ取付部材
31 スキージ
32 Yレール
33 サーボモータ
34 カメラ(下向き)
35 カメラ(上向き)
36 フラックス
37 印刷用マスク
38 マスクの基準位置マーク
39 基板の基準位置マーク
40 チップ接続領域
41 電極
42 マスクの開口群
43 開口
44 マスクユニット
45 取付板
46 支柱
47 フラックス
48 はんだボール
49 ボール振込みヘッド
50 振込用マスク



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をステージに搭載する工程と、基板をマスクに位置合わせする工程と、基板とマスクの間隔を所定距離に設定する工程と、印刷剤をマスク上に供給する工程と、スキージを降下させてマスクの一部を基板に当接させる工程と、スキージを基板に沿って移動させ、印刷剤をマスクに配設された開口から基板上に印刷する印刷工程と、印刷工程の後、スキージを上昇させてマスクを基板から離間する工程と、基板を次の工程へ送る工程とからなるオフコンタクト印刷方法において、
第1の基板を用いて、印刷された印刷剤と電極とのずれ量を計測するずれ量計測工程と、
ずれ量に基づいて、最初に印刷される印刷剤と第2の基板で最初に印刷される電極とのずれを減少させるように、第2の基板を移動する工程と、
ずれ量に基づいて、第2の基板をスキージの移動方向に移動しながら、印刷剤を第2の基板に印刷する工程を含むことを特徴とするオフコンタクト印刷方法。
【請求項2】
ずれ量計測工程において、ずれ量の計測位置は、第1計測位置から第n(nは、2以上の整数)計測位置かなり、所定の2ヶ所の計測位置の間でのずれ量に基づいて基板の移動速度を演算して、所定の2ヶ所の計測位置の間において基板を移動速度で移動させながら印刷剤を印刷することを特徴とする請求項1記載のオフコンタクト印刷方法。
【請求項3】
第1計測位置は、最初に印刷された印刷剤の位置であり、且つ第n計測位置は、最後に印刷された印刷剤の位置であることを特徴とする請求項2記載のオフコンタクト印刷方法。
【請求項4】
基板に形成された複数の電極の上に印刷剤を印刷するための開口を有するマスクと、基板を載置してマスクの下方で移動可能に配設されたステージと、マスク上に供給された印刷剤を上記開口から上記電極に印刷するスキージとを有する印刷装置を用いて、基板をステージに載置する工程と、マスクの下方へ基板を移動し且つマスクと基板とのギャップを所定間隔に設定する工程と、スキージを移動してマスク上に供給された印刷剤を開口から電極上に印刷する印刷工程と、そして基板をステージから取り外す工程を有するオフコンタクト印刷方法において、
印刷工程は、印刷される印刷剤の位置と電極の位置とのずれを減少させるために、印刷剤印刷中に基板を水平方向へ移動させる操作を含むことを特徴とするオフコンタクト印刷方法。
【請求項5】
上記請求項4記載の印刷方法において、マスクの開口から印刷された印刷剤の座標と基板の電極の座標を計測する工程と、電極の座標と印刷剤の座標とのずれ量に基づいて基板を水平方向に移動させる移動量と移動速度を計算する工程と、移動速度に基づいて印刷剤印刷中に基板を水平方向に移動させる工程とを有することを特徴とするオフコンタクト印刷方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項4記載のオフコンタクト印刷方法を用いたことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項4記載のオフコンタクト印刷方法を用いたことを特徴とするボール搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−45758(P2012−45758A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188191(P2010−188191)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(592141488)アスリートFA株式会社 (96)
【Fターム(参考)】