説明

オーディオ/ビデオ/データをシステム・バスを介して転送する方法

【課題】 圧縮形式で得られるオーディオ、ビデオおよびデータの信号を、バスにより相互接続するシステムにおいて、ジッタがない状態で信号を送信できるようにする。
【解決手段】 バス・インターフェースを各信号処理装置に配設し、このインターフェースは、チャネルの1つに送信される制御信号に応答して、各インターフェースを制御するデコーダを有する。データは、スーパーパケット構造でチャネル中を送信される。バスに供給される信号を発生する処理装置、たとえばMPEGトランスポート・パケットを供給する受信機等はこのようなスーパーパケットを形成する装置を有する。各スーパーパケットは、トランスポート・パケットと、トランスポート・パケットの生起タイミングに関連するタイムスタンプとを少なくとも含んでいる。トランスポート・パケットとタイムスタンプとは、各スーパーパケット内の予め定められた位置に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号を処理する、オーディオ、ビデオ、およびデータの処理装置を結合するためのバス・インターフェースの方法/装置に関するものである。
【0002】
なお、本明細書の記述は本件出願の優先権の基礎たる米国特許出願第08/292,908号(1994年8月19日出願)の明細書の記載に基づくものであって、当該米国特許出願の番号を参照することによって当該米国特許出願の明細書の記載内容が本明細書の一部分を構成するものとする。
【背景技術】
【0003】
オーディオ/ビデオ電子技術において、種々な消費者用の電子処理装置をバス構成上で相互接続し、ある1つの装置で得られた信号をバスに接続された他の装置で利用できるようにすることは知られている。たとえば、テレビジョン受像機から得られたオーディオ/ビデオ信号をビデオ・カセット・レコーダに供給して録画し、あるいはテレビジョン受像機からのオーディオ信号をコンポーネント・ステレオ・システムに供給して再生を行う等である。この種のオーディオ/ビデオ相互接続システムの例は、米国特許第4,575,759号、第4,581,664号、第4,647,973号および第4,581,645号に見いだせる。
【0004】
これらアナログ・バス・システムで分配される信号は、比較的自己充足的である。すなわち、これら信号は、バスに接続されているそれぞれの装置においてそれぞれの信号を解読するのに必要な、タイミング情報のすべてを含んでいる。
【0005】
現在、多数の圧縮されたオーディオおよびビデオ送信装置がある。たとえば、地上の高品位テレビ放送として提案されているグランド・アライアンスHDTVシステム(Grand Alliance HDTV system)や、衛星を介して圧縮NTSC信号を現在放送しているDirecTVシステム(DirecTV system)がある。双方のシステムは、トランスポート・パケットにプログラム材料をいれて、放送している。そして、異なるプログラムおよび/またはプログラム構成要素(コンポーネント)に対するパケットを、共通の周波数帯に時分割多重して送信している。それぞれのパケットは、送信前および受信後に、雑音検出/訂正符号化を受けており、その後に、トランスポート・パケットは受信機中で再構成される。他方、圧縮された信号に対する記録装置(たとえば、VCRやビデオ・ディスク)やオーサリング装置(authoring apparatus)(たとえば、カメラやカムコーダ(camcorder))は、同一パケット・フォーマットにおいて圧縮信号を処理することができるが、それら圧縮信号は同一雑音処理を必要としないでよい。その結果、処理コンポーネント間の信号の伝達はパケット形式で非常に好都合に行われる。
【特許文献1】米国特許第4,575,759号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
圧縮された信号を処理コンポーネント間で通信する場合に、処理コンポーネントの1つが記録装置であるときに特に問題が生じる。その問題は、圧縮されたデータのトランスポート・パケットの多くが、同期のための指標を何も含んでいないことである。それに加えて、トランスポート・パケットは一様なレートで到達したり、発生したりしないでもよい。たとえば、記録装置では、再生スピードを変化させることができるようにするために、比較的正確なタイミングが必要である。すなわち、記録装置が種々の再生機能を含んでいる場合は、圧縮データを記録媒体上に正確に位置づけすることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バスを介して相互接続されているオーディオ、ビデオおよびデータ処理コンポーネントに対してデータを圧縮された形式で供給することを指向する。ソース・データは、たとえばMPEG2ビデオ標準のシステム・レベルのトランスポート・パケットのような、トランスポート・バケットに生じる。タイムスタンプは、それぞれのソース・トランスポート・パケットが生じたときに発生する。スーパーパケットは、タイムスタンプおよび関連するトランスポート・パケットとから構成されており、および処理コンポーネント間に分配するためにバスに供給される。処理コンポーネントの各々で、受信したスーパーパケットにおけるタイムスタンプは取り出され、スーパーパケットにおいて運ばれるトランスポート・パケットの処理のための同期クロックの発生に用いられる。トランスポート・パケットおよびタイムスタンプは各スーパーパケットの予め定められた位置に配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0009】
図1を参照するに、図1には、ANDバスにより相互接続されたAVDバス・インターフェース1000,1001,1002,…の縦続接続を示している。各インターフェース1000,1001,1002,…は双方向で、信号を装置コンポーネントに供給したり、装置コンポーネントから信号を受信したりすることができるように条件づけされ得る。インターフェース1000,1001,1002,…は、これら双方を同時に行うことはできない。1つのセッションに対して、一方を行うかまたは他のことを行うように条件付けられている。各インターフェース1000,1001,1002,…は、バスにより供給される信号でコンポーネント装置を駆動する出力バッファOBを有する。各インターフェース1000,1001,1002,…は、コンポーネント装置により供給される信号でバスを駆動する入力バッファIBを有する。入力バッファおよび出力バッファの双方を、主制御装置(マスタ・コントローラ)で制御されるスイッチを介してバスに選択的に結合する。このように、信号をバスに供給し、信号をバスから受信する方向を、高度の柔軟性をもって決定することができる。
【0010】
各インターフェース1000,1001,1002,…は、AVDバスへの双方の接続点において、信号をAVDバスからインターフェース1000,1001,1002,…に結合する半二重送受信器DTを設けてもよい。AVDバスは一対の制御線を有しており、この制御線上で主制御装置からのシリアル制御信号を通信している。この制御信号は、アドレスを含んで、インターフェース1000,1001,1002,…の各々を選択的に制御できるようにしてもよい。
【0011】
インターフェース1000,1001,1002,…のスイッチ装置の例を、図2に示す。図2において、AVDバスは3対の信号線、すなわち6本の導線で構成されているものとする。すべての信号線対は、ビット・シリアルに信号を運んでいる。2本の導線(制御線対)には、制御信号を送ることが任されている。各デコーダ100は、一意的なアドレスを付与されており、異なった制御信号を各インターフェースに供給することができる。特定のインターフェースに向けられた制御信号に応答して、デコーダ100は各デマルチプレクサ01,02,03および04にステアリング信号を出力する。制御信号は、次のことを決定する。すなわち、出力バッファOBに導線されている出力ポートOUTに各バス導線のうちのいずれを結合するか;入力バッファIBに結合されている入力ポートINに各バス導線のうちのいずれを結合するか;および、いずれの導線が右と左の入力/出力ポート間で、インターフェースを乗り継ぐのかである。デージィ・チェーン接続を選択的に切断するデマルチプレクサ01,02,03および04を含めることにより、切断点の片側の装置が、同じ導線の切断点の他の側の装置コンポーネント間の通信とは独立に通信することができる。この結果、非常に多数の独自の通信が、バス構成中の比較的少数の導線を用いて、実施することができる。
【0012】
(制御線対を除いて)バス導線は、各デマルチプレクサ01および02により、インターフェース・ノードOUTに選択的に結合される。(制御線対を除いて)バス導線は、各デマルチプレクサ03および04により、インターフェース・ノードINに選択的に結合される。インターフェースの右からまたは左からのすべての導線は、ノードOUTまたはノードINに結合するはできるが、同時にノードOUTとINの両方には結合できない。あるいはまた、導線のうち選択された各々のみを実際にOUTまたはINのノードに結合し、残余の導線は適切に終端するようにしてもよい。デジタル設計分野の当業者には、3つのデマルチプレクサにより、多数の相互接続の組合せが可能であることは理解できるであろう。しかしながら、制御線対は、ビット・シリアルにデータを通信しているので、制御ワード長は、デコーダの設計によってのみ制限される。従って、制御ワード長が8ビットに制限されている場合、選択され得る可能な相互接続の組合せの数は、256である。256の組合せは、図示した4つよりもっと本数の多い導線のスイッチングをできるようにする。デコーダ100は、メモリ・アドレス・ポートに供給される異なる制御信号に対して、複数の制御機能をプログラムした読み出し専用メモリで構成することができる。
【0013】
AVDバス・システムの重要な特徴は、データすなわち信号のフォーマットである。この例では、通信されるべき信号は、MPEG2ビデオ標準のシステム・レイヤまたはグランド・アライアンス信号フォーマットのトランスポート・レイヤで定義されている、トランスポート・パケットの形式で供給されることを前提としている。ADVバス上での送信において、トランスポート・パケットは、本発明においてスーパーパケットと名付けられているもう一つのパケット内にパッケージされる。スーパーパケットの内容には、タイムスタンプ、トランスポート・パケットおよび再生速度コード(playback rate code)が含まれている。タイムスタンプはタイミング・コードで、トランスポート・パケットの受信の瞬間に取られたクロック・カウンタのサンプルである。再生速度コードは、記録装置で使用されるコードで、特定の記録された信号が再生されるべき速度を定めている。再生速度は、記録速度に対して相対的にコード化されている。再生速度コードは、AVDバスに接続されている装置のうちで記録装置以外の装置では読みとられない。
【0014】
再生速度コードの目的は、比較的速いビット速度で記録を行い、かつ通常のビット速度で再生を行うことができるようにすることである。この特徴は、高速の複写、およびたとえばあるビデオ・ダイヤル・トーン・システム(Video Dial Tone System)で考えられているような高速バースト中のビデオ信号の受信をできるようにすることである。後者の応用においては、映画全体を超高速のビット速度で数分内に送信し、および記録し、その後通常の速度で再生することが期待されている。
【0015】
図3は、AVDバス上で転送される信号を図示したものである。フレーム・クロックは導線の1つに供給されて、AVDバスの他の導線上にスーパーパケットが生じたことを示す。フレーム・クロックが高い状態のとき、スーパーパケットは高い状態内においてフレームされており、かつ高い状態と一致している。フレーム・クロックの高い状態、すなわちアクティブ間隔はすべてのパケットに対して一定であり、この例では、191バイト(1バイトは8ビット)の持続期間と等しい。これら191バイトは、20ビットのタイムスタンプ、4ビットの再生速度コード、188バイトのトランスポート・バケットに分けられる。トランスポート・パケットが188バイトより少ない場合は、スーパーパケットのトランスポート・パケット部分の先頭部分にロードされる。好ましいデータの順序は、タイムスタンプ、再生速度コード、そしてそれからトランスポート・パケットであるが、他の構成も可能である。フレーム・クロックのアクティブ部分は一定期間であるが、アクティブでない部分は可変であることに注意されたい。このことは、スーパーパケットの形成に大きな柔軟性を与えている。
【0016】
再生速度コードは、好都合であるが、必須のものではない。他方、タイムスタンプは、スイッチド・バス構造(switched bus structure)において、各装置コンポーネントにおけるトランスポート・パケットの受信時に、ジッタ(ゆらぎ)が導入される可能性があるために含められている。ジッタは、システムの性能、特に記録装置の性能に影響を及ぼす。タイムスタンプは記録装置により使用されて、ソースとなったトランスポート・パケットの発生タイミングに記録装置を同期させ、これによりタイミング・ジッタを除去する。
【0017】
図4を参照して、スーパーパケットを生成するひとつの方法を説明する。この例では、ビデオ信号はカメラ40から供給されている。この信号はMPEGエンコーダ41により圧縮され、トランスポート・プロセッサ42によりトランスポート・パケットにパッケージされる。MPEGエンコーダ41は、システム・クロック45およびモジュロMカウンタ43と協働して、圧縮されたビデオ信号中にタイムスタンプの表示を設ける。および、トランスポート・プロセッサ42もまた、モジュロMカウンタ43と協働して、トランスポート・パケットの各々にプログラム・クロック・レファレンスを設ける。トランスポート・プロセッサ42はビデオ信号のビット直列のトランスポート・バケットを1個の出力ポートに供給しており、そして、それと並列に、順次の出力トランスポート・パケットの開始を示すタイミング信号を供給している。
【0018】
順次のトランスポート・パケットは、補償用の遅延要素50で遅延され、それからフォーマット化装置47に供給される。各新しいトランスポート・パケットの開始時に、モジュロMカウンタのカウントは、ラッチ44に取り込まれ、ラッチ44の出力はフォーマット化装置47に結合される。その上、再生速度制御コードPBは、システム・コントローラ46からフォーマット化装置47に供給される。この例では、カメラは、リアルタイムで、かつ通常の速度で動作するものとし、従って再生速度コードは、記録速度と同じ再生速度を反映している。カメラ動作の速度はユーザ入力48により制御される。このユーザ入力は、多数の可変コーディングおよび圧縮パラメータを定義している。
【0019】
トランスポート・プロセッサ42から供給されるタイミング信号が、新しいトランスポート・パケットの発生を示している時、コントローラ46はフォーマット化装置47に条件づけを行って、まず、直列形式でタイムスタンプ(すなわち、ラッチ44にラッチされているカウント)を出力し、次に直列形式で再生速度コードを出力し、および最後に直列形式で遅延されたトランスポート・パケットを出力して、スーパーパケットを形成する。遅延要素50においてトランスポート・パケットが受けた遅延は、タイムスタンプと再生速度コードを読み出すのに必要な時間に等しい。
【0020】
スーパーパケットは、インターフェースの制御線対の導線上に存在する制御信号の制御の下で、インターフェース49の導線の所望の1つに供給される。それに加えて、コントローラは、フレーム・クロック信号を発生する。このフレーム・クロック信号はスーパーフレームと一致しており、インターフェース49内のAVDバスの第2の導線に供給される。
【0021】
このコントローラ46が全システムのコントローラである場合は、制御線対に供給される制御信号を発生し、信号がどこに送られるかの選択は、ユーザ入力48の制御の下で行われる。そうではない場合は、コントローラ46とインターフェースとのやりとりは、この例ではフレーム・クロックの発生のみである。
【0022】
図5は、第2のスーパーパケット発生器の第2実施例を示す。図5において、図4と同じ符号を付与している要素は、同様のものであり、同じような機能を実行する。送信されたトランスポート・パケットは、モデムで受信され、パケット・ソース51のリード・ソロモン・デコーダで誤り訂正される。パケット・ソースは、各トランスポート・パケットの生起と同時にパルスPを出力してそれら存在を示す。パルスPおよびトランスポート・パケットを逆トランスポート・プロセッサ53に供給する。この実施例では、パケット・ソースに供給される信号は、異なるプログラムおよび異なるプログラム・コンポーネントに適した時分割多重のパケットを含んでいることを前提としている。各パケットは、プログラム識別子PIDを含んでおり、これにより、各パケットを各プログラムやプログラム・コンポーネントに関連づける。トランスポート・プロセッサは所望のプログラムと関連するパケットのみを選択するように条件づけられている。これらパケットのペイロードを、ダイレクト・メモリ・アクセスDMAを介して、バッファ・メモリ54に供給する。各プログラム・コンポーネントのペイロードをバッファ・メモリ54の特定のエリアに供給する。各プログラム・コンポーネントのプロセッサ、すなわちオーディオ・プロセッサ55,ビデオ・プロセッサ56,補助プロセッサ57およびスマート・カード58がコンポーネント信号データを要求するときに、それらプロセッサはプロセッサ53からも同じコンポーネント信号データを要求する。プロセッサ53は、DMA構成を介して適切なペイロードを読みとる。
【0023】
トランスポート・パケットの各々は、プログラム・クロック・レファレンスPCRを含んでおり、それによりトランスポート・パケットの生成をエンコーダのシステム・クロックに正確に関連づける。逆トランスポート・プロセッサ53は、これらのPCRを抽出し、そしてそれらPCRをシステム・クロック発生器52に供給する。PCRを使用して、クロック発生器52はシステム・クロックを発生する。そのシステム・クロックの周波数は、エンコーダのシステム・クロックにロックしている。システム・クロックは逆トランスポート・プロセッサ53およびパケット・ソース51で用いられ、これにより、トランスポート・パケットは最初の生成と相対的に同期している。システム・クロックの発生は、図6に関連して、下記に記載されるクロックの同期化と同様である。
【0024】
システム・クロックはモジュロMカウンタ43でカウントされ、そして、パルスPが生起したときに、すなわち新規のトランスポート・パケットの開始がパケット・ソースにより出力されたときにカウンタにより提示されたカウント値が、パルスPに応答してラッチ50中に取り込まれる。さらに加えて、関連するトランスポート・パケットは補償用遅延要素50に供給される。要素50からの遅延されたトランスポート・パケット、ラッチ44からのタイムスタンプ(カウント値)およびコントローラ460からの再生速度コードは、スーパーパケット・フォーマット化装置47の各入力ポートに供給される。
【0025】
コントローラ460は、ユーザ入力48の制御の下で、逆トランスポート・プロセッサと交信して、どのプログラム・トランスポート・パケットをスーパーパケットにパッケージするかを指定する。各トランスポート・パケットの生起時に、受信したトランスポート・パケットが所望のものであるときにはいつでも、逆トランスポート・プロセッサよりパルスをコントローラ460にパルスを供給する。このパルスに応答して、コントローラ460は、フォーマット化装置を条件づけして、現在のタイムスタンプ、PBおよびトランスポート・パケットで、スーパーパケットを形成するようにする。この例では、遅延要素50は、最初の2つのスーパーパケットのデータ要素の形成時間だけではなく、逆プロセッサが、パケットが所望のパケットのうちのひとつであることを確認するのに必要な時間をも含むものとする。
【0026】
前述の例において、タイムスタンプは、トランスポート・パケットの生起時に発生する。あるいはまた、タイムスタンプは、スーパーパケットの発生のタイミングに関連して発生してもよい。すなわち、タイムスタンプが、スーパーパケットが出力される瞬時を定義してもよいし、あるいはスーパーパケットの合成が開始される瞬間を定義してもよい。これらの瞬間において、タイムスタンプは、一般にフレーム・クロックの立ち上がり端縁に関連しているが、この遷移のタイミングを定義はしていない。タイムスタンプは特定のトランスポート・パケットに依然として関連している。それは、スーパーパケットは各トランスポート・パケットを運ぶために発生されているからである。
【0027】
フレーム・クロックは固定された周波数の信号ではない。すなわち、フレーム・クロックの非アクティブ部分は可変である。タイム・クロックを固定された周波数のクロックとしないことによって、スーパーパケットは、トランスポート・パケットが利用可能であるときは何時でも形成されるようにすることが特に望ましい。固定された周波数のフレーム・クロックは望ましくない。その理由は、フレーム・クロックのアクティブ部分の開始後に生起したトランスポート・パケットに対するスーパーパケットの形成が、フレーム・クロックの次のサイクルまで強制的に遅延させられるからである。タイムスタンプがスーパーパケットまたはフレーム・クロックの形成に関連しているものとすると、図4および図5のラッチ44は、フォーマット化装置47、あるいはコントローラ46または460のいずれかによりカウント値を取り込むように条件づけることができる。
【0028】
図6は、記録装置中において用いられて、タイムスタンプを同期に用いる装置の例を示している。AVDバス・インターフェースの1本の導線からのスーパーパケットを信号ソータ202の入力ポートの1つに結合し、AVDバス・インターフェースの他方の導線上のフレーム・クロックを信号ソータ202の第2の入力ポートに結合する。エッジ検出器31は、フレーム・クロックのアクティブな期間の開始を規定するフレーム・クロック信号の遷移を検出し、およびこの検出に応答して、システム・クロック発生器208中のカウンタ36に表示されているカウントを、ラッチ35中に取り込む。カウンタ36は、電圧制御発振器37からのパルスをカウントする。この電圧制御発振器37は、スーパーパケットのタイムスタンプを発生するのに用いられる周波数に近い自走周波数を有する。
【0029】
ラッチ35にカウント値を取り込むのと同時に、エッジ検出器31はデマルチプレクサ・コントローラ33に警告を与えて、デマルチプレクサ32を制御する一連の制御信号を供給してスーパーパケットのコンポーネントを分離する。スーパーパケット中に含まれるタイムスタンプは、クロック・コントローラ39によってアクセスされるメモリ34中に格納される。記録装置が取り扱うように配置されている形式の信号に依存して、デマルチプレクサ32は種々のフォーマットで信号を供給するように設計することができる。すなわち、デマルチプレクサ32はスーパーパケットをそっくり供給することができる。あるいはまた、デマルチプレクサを適切に構成して、再生速度コードPBを記録装置コントローラ回路29によりアクセスされる1つのポートに供給し、およびトランスポート・パケットを記録回路28によりアクセスされる他のポートに供給するようにしてもよい。
【0030】
クロック・コントローラ39は、ラッチ35にラッチされた順次の値およびメモリ34に格納された順次のタイムスタンプの値を格納する装置を有する。順次のタイムスタンプの値をTSnおよびTSn-1とする。ラッチ35に格納されている対応する順次のカウント値をLCRnおよびLCRn-1とする。クロック・コントローラ39はTSおよびLCRの順次の値を読みとり、かつ差に比例する誤差信号Eを形成する。
【0031】
【数1】

【0032】
誤差信号Eは電圧制御発振器37に制御信号として供給され、この発振器37がタイムスタンプを発生したシステム・クロックと等しい周波数を発生するようにする。このようにして、システム・クロック発生器208の電圧制御発振器37からスーパーパケット中のタイムスタンプと同期のとれたシステム・クロックが取り出される。クロック・コントローラ39により発生した誤差信号はパルス幅変調信号の形式とすることができ、ローパス・フィルタ38をアナログ部品で実施することにより、この誤差信号をアナログの誤差信号とすることができる。
【0033】
このシステムの制約は、システムの両側にあるカウンタが同じ周波数かその偶数倍数をカウントしていることである。これには、電圧制御発振器37の定格周波数がエンコーダにおけるシステム・クロックの周波数にかなり近いことが必要である。
【0034】
図5に示した回路により発生したトランスポート・パケットの生起は、たとえば、エンコーダのクロックとPCRを介して同期している、システム・クロックと同期していることに留意されたい。これらトランスポート・パケットの生起は、受信機の同期クロックと協働しててタイムスタンプされ、そして、各トランスポート・パケットはタイムスタンプを付された後にAVDバスに供給される。AVDバスの記録装置インターフェースにおいて、トランスポート・パケットを用いた記録装置は、タイムスタンプを用いて、トランスポート・パケットおよび受信機のシステムクロックと同期している記録装置のシステム・クロックを発生させる。従って、記録装置で用いられる信号パケットは、実質的にジッタ無しとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】多数のバス/装置間インターフェースを含む、本発明を実施するデージーチェーン接続のバス・ハードウェアのブロック図である。
【図2】バス・インターフェースの1つの一部分のブロック図である。
【図3】バス・スーパー・パケット波形的および絵画的表示図である。
【図4】スーパーパケットを形成するための装置のブロック図である。
【図5】スーパーパケットを形成するための装置のブロック図である。
【図6】各スーパーパケットに含まれているタイムスタンプを用いて、インターフェースに結合されている装置を同期させるクロック発生装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
OB 出力バッファ
IB 入力バッファ
DT 半二重送受信器
01,02,03,04 デマルチプレクサ
IN 入力ポート(インターフェース・ノード)
OUT 出力ポート(インターフェース・ノード)
28 記録回路
29 記録装置コントローラ
31 フレーム・クロック・エッジ検出器
32 デマルチプレクサ
33 デマルチプレクサ・コントローラ
34 メモリ
35 ラッチ
36 カウンタ
37 電圧制御発振器
38 ローパス・フィルタ
39 クロック・コントローラ
40 カメラ
41 MPEGエンコーダ
42 トランスポート・プロセッサ
43 モジュロMカウンタ
44 ラッチ
45 システム・クロック発生器
46 システム・コントローラ
47 フォーマット化装置
48 ユーザ入力
49 インターフェース
50 遅延要素
51 パケット・ソース
52 クロック発生器
53 逆トランスポート・プロセッサ
54 バッファ・メモリ
55 オーディオ・プロセッサ
56 ビデオ・プロセッサ
57 補助プロセッサ
58 スマート・カード
100 デコーダ
202 信号ソータ
208 システム・クロック発生器
460 コントローラ
1000,1001,1002 インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重化トランスポート・パケットのストリーム中で生起する圧縮データを複数のコンポーネント装置間で通信する方法であって、
前記トランスポート・パケットを処理するステップと、
前記トランスポート・パケットそれぞれと関連付けられたタイムスタンプを生成するステップと、
スーパーパケットの相互排他フィールドに前記タイムスタンプと、関連するトランスポート・パケットとを含む前記スーパーパケットを形成するステップと、
前記スーパーパケットを、前記複数のコンポーネント装置を相互接続するバスに供給するステップと、
を含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−318763(P2007−318763A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146655(P2007−146655)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【分割の表示】特願平7−212245の分割
【原出願日】平成7年8月21日(1995.8.21)
【出願人】(391000818)トムソン コンシユーマ エレクトロニクス インコーポレイテツド (166)
【氏名又は名称原語表記】THOMSON CONSUMER ELECTRONICS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】