説明

カスパーゼ阻害剤としての複素環ジカルバミド

【課題】インビボでアポトーシスを効果的に阻止する強力で安定で良好な膜貫入性を有する小分子カスパーゼおよびTNF−α阻害剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、新規種類の式(I)の化合物に関し、これらは、カスパーゼおよびTNF−αの阻害剤である。本発明はまた、これらの化合物を含有する薬学的組成物に関する。本発明の化合物および薬学的組成物は、カスパーゼおよびTNF−αの活性を阻害するのに特に適しており、結果的に、有利なことに、カスパーゼ、インターロイキン−1(「IL−1」)、アポトーシス、インターフェロンγ誘発因子(IGIF)、インターフェロンγ(「IFN−γ」)またはTNF−αが媒介する疾患(これには、炎症疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患および変性疾患が挙げられる)に対する薬剤として、使用できる。本発明はまた、本発明の化合物を調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、医薬品化学の分野であり、新規化合物およびそれらの薬学的組成物に関し、これらは、細胞アポトーシスおよび炎症を媒介するカスパーゼおよび/またはTNF−αを阻害し、また、哺乳動物における過剰量のTNF−αの病態生理学的な効果を阻害する。本発明はまた、カスパーゼおよび/またはTNF−αの活性が関係している疾患を治療するために本発明の化合物および薬学的組成物を調製するためのプロセスおよび使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アポトーシス、すなわち、プログラム化された死は、生物が不要な細胞を排除する主な機構である。アポトーシスの調節解除(過剰なアポトーシスまたはそれを受けないことのいずれか)は、多数の疾患(例えば、癌、急性炎症疾患および自己免疫疾患、虚血疾患およびある種の神経変性疾患)に関係している(一般に、Science,1998,281,1283〜1312;およびEllisら、Ann.Rev.Cell.Biol.,1991,7,663を参照)。
【0003】
カスパーゼは、アポトーシスおよび細胞分解の情報伝達経路における重要な媒介物である一群のシステインプロテアーゼ酵素である(Thornberry,Chem.Biol.,1998,5,R97−R103)。これらの情報伝達経路は、細胞型および刺激に依存して変わるが、全てのアポトーシス経路は、重要なタンパク質のタンパク質分解を引き起こす共通エフェクター経路に集中すると思われる。カスパーゼは、この情報伝達経路のエフェクター段階およびその開始におけるさらに上流の両方に関与している。開始事象に関与している上流カスパーゼは、活性化し、順に、アポトーシスの後の段階で関与している他のカスパーゼを活性化する。
【0004】
カスパーゼ−1は、最初に同定されたカスパーゼであるが、また、インターロイキン変換酵素または「ICE」として知られている。カスパーゼ−1は、Asp−116とAla−117との間でのpIL−βの特異的開裂により、前駆体であるインターロイキン−1β(「pIL−1β」)を炎症誘発性活性形態に変換する。カスパーゼ−1以外に、また、11種の他の公知のヒトカスパーゼがあり、これらの全ては、アスパルチル残基において、特異的に開裂する。それらはまた、その開裂部位のN−末端側にある少なくとも4個のアミノ酸残基に対して、厳しい要件を有することが観察されている。
【0005】
これらのカスパーゼは、好ましいかまたは最初に認識されたアミノ酸配列に依存して、3つの群に分類されている。カスパーゼ1、4および5を含むカスパーゼの群は、その開裂部位のN−末端側にある4位置の疎水性芳香族アミノ酸を好むことが示されている。カスパーゼ2、3および7を含む別の群は、その開裂部位のN−末端側にある1位置および4位置の両方のアスパルチル残基を認識し、そして好ましくは、Asp−Glu−X−Aspの配列を認識する。カスパーゼ6、8、9および10を含む第三の群は、第一認識配列にある多くのアミノ酸に耐性であるが、分枝脂肪族側鎖を備えた残基(例えば、4位置にあるバリンおよびロイシン)を好むように見える。
【0006】
これらのカスパーゼはまた、それらの認知された機能に従って、分類されている。第一の亜群は、カスパーゼ−1(ICE)、4および5からなる。これらのカスパーゼは、炎症誘発性サイトカインプロセシングに関与していることが示されており、従って、炎症において重要な役割を果たす。カスパーゼ−1は、この種の最も研究された酵素であるが、タンパク質分解性の開裂により、IL−1β前駆体を活性化する。この酵素は、従って、炎症応答において重要な役割を果たす。カスパーゼ−1はまた、インターフェロンガンマ誘発因子(IGIFまたはIL−18)(これは、インターフェロンガンマの産生を刺激し、抗原提示、T細胞活性化および細胞接着を変調させる重要な免疫調節因子である)のプロセシングに関与している。
【0007】
残りのカスパーゼは、第二および第三の亜群を構成する。これらの酵素は、アポトーシスを引き起こす細胞内情報伝達経路において、非常に重要な酵素である。1つの亜群は、アポトーシス経路での開始事象(これは、原形質膜からの情報伝達を含む)に関与している酵素からなる。この亜群の構成要素には、カスパーゼ−2、8、9および10が挙げられる。他の亜群は、エフェクターカスパーゼ3、6および7からなるが、アポトーシスによる細胞の組織的な崩壊および死を引き起こす最終下流開裂事象に関与している。上流情報伝達に関与しているカスパーゼは、下流カスパーゼを活性化し、これは、次いで、DNA修復機構を無能にし、DNAを断片化し、細胞骨格を解体し、最後には、その細胞を崩壊する。
【0008】
カスパーゼで主に認識された4個のアミノ酸配列の知見は、カスパーゼ阻害剤を設計するのに使用されている。構造CHCO−[P4]−[P3]−[P2]−CH(R)CHCOHを有する可逆性テトラペプチド阻害物が調製され、ここで、P2〜P4は、最適なアミノ酸認識配列を表わし、そしてRは、カスパーゼシステインスルフヒドリルに結合できるアルデヒド、ニトリルまたはケトンである。Rano and Thornberry,Chem.Biol.4,149〜155(1997);Mjalliら、Bioorg.Med.Chem.Lett.3,2689〜2692(1993);およびNicholsonら、Nature 376,37〜43(1995)。Rがアシルオキシメチルケトン(−COCHOCOR’)である場合、R’は、必要に応じて置換したフェニル(例えば、2,6−ジクロロベンジルオキシ)で代表され、そしてRがCOCHXである場合、Xは、脱離基(例えば、FおよびCl)である、類似のテトラペプチド認識配列をベースにした非可逆性阻害剤が調製されている。Thornberryら、Biochemistry 33,3934(1994);およびDolleら、J.Med.Chem.37,563〜564(1994)。
【0009】
細胞性アポトーシスの増大に関連した種々の哺乳動物の疾患状態を治療するカスパーゼ阻害剤の有用性は、ペプチド性カスパーゼ阻害剤を使用して、立証されている。例えば、齧歯類モデルにおいて、カスパーゼ阻害剤は、心筋梗塞後の梗塞の大きさを小さくし心筋細胞のアポトーシスを阻止すること、脳卒中(stroke)から生じる損傷の容量および神経欠損を少なくすること、外傷性脳傷害における外傷後アポトーシスおよび神経欠損を少なくすること、劇症肝臓破壊を効果的に治療すること、および内毒素ショック後の生存率を高めることが明らかとなっている。Yaoitaら、Circulation,97,276(1998);Endresら、J Cerebral Blood Flow and Metabolism,18,238,(1998);Chengら、J.Clin.Invest.,101,1992(1998);Yakovlevら、J Neuroscience,17,7415(1997);Rodriquezら、J.Exp.Med.,184,2067(1996);and Grobmyerら、Mol.Med.,5,585(1999)。
【0010】
一般に、上記ペプチド阻害剤は、これらのカスパーゼ酵素のいくつかに対して、非常に強力である。しかしながら、この効力は、アポトーシスの細胞モデルにおいて、常に反映されている訳ではない。それに加えて、ペプチド性阻害剤は、典型的には、望ましくない薬理学的特性(例えば、乏しい経口吸収、乏しい安定性および急速な代謝)により、特徴付けられる。Plattner and Norbeck,in Drug Discovery Technologies,Clark and Moos編、(Ellis
Horwood, Chichester,England, 1990)。
【0011】
これらのペプチド性カスパーゼ阻害剤、ペプチドミメティック阻害剤および非天然アミノ酸ペプチド阻害剤の薬理学的特性を改善する必要性が認識されていると報告されている。
【0012】
WO96/40647は、次式のICE阻害剤を開示しており:
【0013】
【化2】

ここで、Bは、HまたはN−末端ブロッキング基であり;Rは、そのPアミノ酸残基のアミノ酸側鎖であり、ここで、このPアミノ酸は、Aspであり;Pは、アミノ酸残基またはアミノ酸複素環置換であり、ここで、この複素環は、本明細書中で定義されており;Rは、ヒドロキシル、アルコキシル、アシル、水素、アルキルまたはフェニルであり;mは、0または正の整数であり;そしてXは、N、S、OまたはCHである。
【0014】
WO97/22619は、次式のインターロイキン−1β変換酵素の阻害剤を開示しており:
【0015】
【化3】

ここで、Xは、−CHであり;gは、0または1であり;各Jは、独立して、−H、−OHおよび−Fからなる群から選択されるが、但し、第一および第二のJがCに結合され、そしてこの第一のJが−OHであるとき、この第二のJは、−Hであり;mは、0、1または2であり;Tは、特に、−COHであり;Rは、
【0016】
【化4】

であり、ここで、各Zは、独立して、COまたはSOであり;Rは、本明細書中で定義されるとおりであり;各Xは、独立して、=N−および=CH−からなる群から選択され;そしてR20は、以下:
【0017】
【化5】

を含む群から選択される。
【0018】
WO98/16502は、次式のインターロイキン−1β変換酵素のアスパラギン酸エステル阻害剤を開示しており;
【0019】
【化6】

ここで、Rは、特に、RN(R)CHRCOであり;Rは、特定の基であり;Rは、H、C1〜6アルキル、−(CHアリール、−(CHCO、ヒドロキシ置換C1〜6アルキルまたはイミダゾール置換C1〜6アルキルであり;各Rは、独立して、水素、C1〜6アルキルまたは(CHアリールであり;そしてRは、特に、CONRである。
【0020】
WO99/18781は、次式を有するジペプチドアポトーシス阻害剤を開示しており;
【0021】
【化7】

ここで、Rは、N−末端保護基であり;AAは、任意の天然α−アミノ酸またはβ−アミノ酸の残基であり;Rは、HまたはCHであり、ここで、Rは、電気陰性LG(例えば、F、Cl、TsO−、MeO−、ArO−、ArCOO−、ArN−およびArS−)であり;そしてRは、アルキルまたはHである。
【0022】
WO99/047154は、次式を有するジペプチドアポトーシス阻害剤を開示しており;
【0023】
【化8】

ここで、Rは、N−末端保護基であり;AAは、任意の非天然アミノ酸またはアミノ酸残基であり;そしてRは、本明細書中で定義されるように、必要に応じて置換したアルキルまたはHである。
【0024】
WO00/023421は、次式を有する(置換)アシルジペプチドアポトーシス阻害剤を開示しており;
【0025】
【化9】

ここで、nは、0、1または2であり;qは、1または2であり;Aは、任意の天然または非天然アミノ酸であり;Bは、水素原子、重水素原子、Cl〜10直鎖または分枝アルキル、シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、2−ベンゾキサゾリル、置換2−オキサゾリル、(CHシクロアルキル、(CHフェニル、(CH(置換フェニル)、(CH(1−または2−ナフチル)、(CHヘテロアリール、ハロメチル、CO13、CONR1415、CHZR16、CHOCOアリール、CHOCO(置換アリール)、CHOCO(ヘテロアリール)、CHOCO(置換ヘテロアリール)またはCHOPO(R17)R18であり、ここで、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびmは、本明細書中で定義されるとおりであり;Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、フェニル、置換フェニルおよび(CHNHからなる群から選択され;Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、フェニルアルキルまたは置換フェニルアルキルであり;Xは、CH、C=O、O、S、NH、C(=O)NHまたはCHOCONHであり;そしてZは、酸素原子またはイオウ原子である。
【0026】
WO00/061542は、次式を有するジペプチドアポトーシス阻害剤を開示しており;
【0027】
【化10】

ここで、Rは、必要に応じて置換されたアルキルまたは水素基であり;Rは、水素または必要に応じて置換したアルキルであり;Yは、天然または非天然アミノ酸の残基であり;Rは、アルキル基、飽和炭素環式基、部分飽和炭素環式基、アリール基、飽和複素環式基、部分飽和複素環式基またはヘテロアリール基であり、ここで、上記の基は、必要に応じて、置換されており;そしてXは、O、S、NRまたは(CRであり、ここで、RおよびRは、各出現例において、独立して、水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択され、そしてnは、0、1、2または3であり;あるいはXは、NRであり、そしてRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、飽和複素環式基、部分飽和複素環式基またはヘテロアリール基を形成し、ここで、上記の基は、必要に応じて、置換されているか;あるいはXは、CRであり、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、飽和炭素環式基、部分飽和炭素環式基、アリール基、飽和複素環式基、部分飽和複素環式基または酸素含有ヘテロアリール基を形成し、ここで、上記の基は、必要に応じて、置換されているが;但し、XがOのとき、Rは、非置換ベンジルでもt−ブチルでもなく;また、XがCHのとき、Rは、Hではない。
【0028】
一般に、腫瘍壊死因子(TNF)との用語は、腫瘍壊死因子−α(TNF、カケクチン)および腫瘍壊死因子−β(リンホトキシン、TNF−β)として知られている2種の密接に関連したサイトカイン(これらは、別々の遺伝子でコードされる)を意味する。両方のサイトカインは、同じ細胞膜レセプタと相互作用し、両方共、ヒトの疾病の病原性媒介物として、関係している。
【0029】
TNF−αは、細胞のアポトーシスおよび炎症を調節するシグナル伝達経路に関与している。TNF−αはまた、TNFSF2、TNFAおよびDIFとして、知られている。TNF−αは、それが特定の細胞レセプタと相互作用することによって、細胞効果を誘発できる炎症誘発性の哺乳動物タンパク質である。それは、主に、活性化した単球およびマクロファージにより、産生される。グラム陰性最近の細胞壁由来のリポ多糖(LPS;これはまた、エンドトキシンとも呼ばれている)は、TNF−α合成の強力な刺激因子である。
【0030】
TNF−αの過剰な産生または制御されていない産生から生じ得る悪影響が原因で、TNF−αの血清レベルを調節する相当な努力が行われている。多数の疾患の病状は、TNF−αの影響を受け、これには、再狭窄、中枢神経系の炎症疾患、神経系の脱髄疾患、多発性硬化症、敗血症性関節炎、動脈瘤性大動脈疾患、外傷性関節傷害、歯周病、黄斑変性症、糖尿病性網膜炎、眼球炎症、円錐角膜、シェーグレン症候群、角膜移植片拒絶、悪液質および拒食症が挙げられる。
【0031】
多数のカスパーゼおよびTNF−α阻害剤が報告されているものの、それらが治療上有用な適当な薬理学的特性を持っているかどうかは明らかではない。従って、引き続いて、インビボでアポトーシスを効果的に阻止する強力で安定で良好な膜貫入性を有する小分子カスパーゼおよびTNF−α阻害剤が必要とされている。このような化合物は、カスパーゼ酵素および/またはTNF−αサイトカインが一定の役割を果たしている前記疾患状態を治療するのに、非常に有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0032】
(発明の要旨)
本発明の化合物およびそれらの薬学的組成物は、カスパーゼの阻害剤として、TNF−αのレベルまたは活性の調節因子として、および細胞アポトーシスおよび炎症応答の阻害剤として、特に有効である。これらの化合物は、一般式Iを有する:
【0033】
【化11】

ここで、
は、水素、CN、CHN、Rまたは−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、−OR、−SR、−OC=O(R)または−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立して、RまたはORであり;
は、COH、CHCOH、または必要に応じて置換したエステル、アミドまたはそれらのアイソスターであり;
Aは、C=OまたはSOであり;
は、酸素、イオウ、−NHまたは−CHであり、ここで、−NHは、必要に応じて、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アミノ酸N−末端保護基またはCORで置換されており、そして−CHは、必要に応じて、フッ素、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アルキルチオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、オキソ基(すなわち、=O)またはNHCOR基で置換され;
は、酸素、イオウ、−NHまたは−CHであり、ここで、−NHは、必要に応じて、アルキル基またはアミノ酸N−末端保護基で置換されており、そして−CHは、必要に応じて、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アルキルチオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、オキソ基(すなわち、=O)またはNHCOR基で置換され;XおよびXは、必要に応じて、隣接環Qと縮合されたフェニル環の一部をなし;
は、CHであるか、またはXおよびXは、必要に応じて、隣接環Qに縮合したフェニル環の一部をなすが、但し、XがXと環を形成するとき、Xは、Xと環を形成せず;
環Qの隣接位置に結合された任意の2個の水素は、必要に応じて、二重結合で置き換えられ;そして
Zは、必要に応じて、炭素環式、アリール、飽和複素環、部分飽和複素環およびヘテロアリールからなる群から選択される置換した環であり、ここで、該環は、環炭素にあるAに結合されている。
【0034】
本発明の化合物は、カスパーゼおよびTNF活性の強力な阻害剤である。それらは、アポトーシスおよび炎症の細胞モデルにおいて、良好な効能を備えた一定範囲のカスパーゼ標的にわたる阻害活性を有する。それに加えて、これらの化合物は、細胞浸透特性および薬物動態特性が改良されると予想され、また、それらの効力の結果として、カスパーゼおよび/またはTNF−αが関係している疾患に対する効能が改良されると予想されている。
【0035】
本発明はまた、本発明の化合物および組成物を使用して、種々の細胞からのTNF−αの放出を阻害するかTNF−αのレベルまたは活性を低下させる方法に関する。本発明はまた、TNF−αのレベルまたは活性を低下させるのに有用な薬剤を同定する方法およびTNF媒介疾患を治療する方法に関する。本発明は、さらに、本発明の化合物または組成物と、TNF−αのレベルまたは活性を測定する器具とを含むキットに関する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体:
【化1】


ここで、
は、水素、CN、CHN、Rまたは−CHYである;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基である;
Yは、電気陰性脱離基、−OR、−SR、−OC=O(R)または−OPO(R)(R)である;
およびRは、独立して、RまたはORである;
は、COH、CHCOH、または必要に応じて置換したエステル、アミドまたはそれらのアイソスターである;
Aは、C=OまたはSOである;
は、酸素、イオウ、−NHまたは−CHであり、ここで、−NHは、必要に応じて、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アミノ酸N−末端保護基またはCORで置換されており、そして−CHは、必要に応じて、フッ素、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アルキルチオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、オキソ基(すなわち、=O)またはNHCOR基で置換されている;
は、酸素、イオウ、−NHまたは−CHであり、ここで、−NHは、必要に応じて、アルキル基またはアミノ酸N−末端保護基で置換されており、そして−CHは、必要に応じて、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アルキルチオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、オキソ基(すなわち、=O)またはNHCOR基で置換されている;XおよびXは、必要に応じて、隣接環Qに縮合されたフェニル環の一部を形成する;
は、CHであるか、またはXおよびXは、必要に応じて、隣接環Qに縮合したフェニル環の一部を形成し、但し、XがXと環を形成するとき、Xは、Xと環を形成しない;
環Qの隣接位置に結合された任意の2個の水素は、必要に応じて、二重結合で置き換えられる;そして
Zは、必要に応じて、炭素環、アリール、飽和複素環、部分飽和複素環およびヘテロアリールからなる群から選択される置換した環であり、ここで、該環は、環炭素にあるAに結合されている、
化合物。
(項目2)
が、CHYであり、そしてYが、F、OR、SRまたは−OC(=O)(R)である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
Yが、Fである、項目2に記載の化合物。
(項目4)
が、COH、エステル、アミドまたはカルボン酸アイソスターである、項目2に記載の化合物。
(項目5)
が、COHである、項目4に記載の化合物。
(項目6)
およびXが、それぞれ、CHであるか、またはXおよびXが結合して、環Qに縮合された必要に応じて置換したフェニル環の一部を形成する、項目4に記載の化合物。
(項目7)
およびXが、それぞれ、CHである、項目6に記載の化合物。
(項目8)
Aが、COである、項目7に記載の化合物。
(項目9)
Zが、必要に応じて置換したアリールであり、該アリールが、環炭素にあるAに結合されている、項目8に記載の化合物。
(項目10)
以下の表1:
表1:代表的な化合物
【表1】











から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目11)
a)項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体;およびb)薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含有する、薬学的組成物。
(項目12)
被験体における以下からなる群から選択される疾患を処置または予防する方法であって、該被験体に、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法:IL−1媒介疾患、アポトーシス媒介疾患、TNF−α媒介疾患、炎症疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、皮膚病、細胞死に関連した疾患、過剰な食用アルコール摂取疾患、ウイルス媒介疾患、網膜障害、ブドウ膜炎、炎症性腹膜炎、骨関節炎、膵炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、瘢痕、移植片対宿主病、臓器移植拒絶、火傷後臓器アポトーシス、骨粗鬆症、白血病および関連障害、脊髄形成異常症候群、多発性骨髄腫関連骨疾患、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、出血症性ショック、敗血症、敗血症性ショック、火傷、外傷、全身性炎症応答症候群、多臓器不全症候群、志賀赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏症、ケネディ病、プリオン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心臓病、心筋梗塞、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植、脊髄筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、老化、脱毛症、脳卒中による神経障害、潰瘍性大腸炎、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、黄熱病、デング熱、日本脳炎、種々の形態の肝臓病、腎臓病、腎多嚢胞病、H.pylori菌関連胃潰瘍および十二指腸潰瘍、HIV感染、結核および髄膜炎。
(項目13)
前記疾患が、アポトーシス媒介疾患、炎症疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、細胞死に関連した疾患、過剰な食用アルコール摂取疾患、ウイルス媒介疾患、炎症性腹膜炎、糸球体腎炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、瘢痕、移植片対宿主病、臓器移植拒絶、骨粗鬆症、白血病および関連障害、脊髄形成異常症候群、転移性メラノーマ、出血症性ショック、敗血症、敗血症性ショック、火傷、外傷、全身性炎症応答症候群、多臓器不全症候群、志賀赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏症、ケネディ病、プリオン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心臓病、心筋梗塞、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植、脊髄筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、老化、脱毛症、脳卒中による神経障害、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、種々の形態の肝臓病、腎臓病、腎多嚢胞病、H.pylori菌関連胃潰瘍および十二指腸潰瘍、HIV感染、結核または髄膜炎である、項目12に記載の方法。
(項目14)
被験体におけるカスパーゼ媒介機能を阻止する方法であって、該被験体に、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目15)
被験体におけるTNF−αレベルまたは活性を低下させる方法であって、該被験体に、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目16)
被験体におけるIGIF−γまたはTNF−γの産生を減らす方法であって、該被験体に、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目17)
冠状動脈バイパス移植に付随した合併症を治療する方法であって、被験体に、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目18)
細胞を保存する方法であって、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体の溶液に、該細胞を浸す工程を包含する、方法。
(項目19)
前記化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体が、臓器移植または血液産物を保存するのに使用される、項目18に記載の方法。
(項目20)
癌を治療する方法であって、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含し、ここで、該化合物または組成物は、免疫療法の1成分として使用される、方法。
(項目21)
前記化合物、誘導体または組成物が、追加治療薬と共に投与される、項目12〜19のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
前記追加治療薬が、血小板溶解薬、抗炎症薬、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、サイトカインアンタゴニスト、免疫抑制薬、抗癌薬、抗ウイルス薬、サイトカイン、成長因子、免疫調節薬、プロスタグランジンおよび抗血管過剰増殖化合物からなる群から選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
被験体におけるTNF媒介状態を抑制する方法であって、該被験体に、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目24)
前記TNF媒介状態が、再狭窄、中枢神経系の炎症疾患、神経系の脱髄疾患、多発性硬化症、敗血症性関節炎、動脈瘤性大動脈疾患、外傷性関節傷害、歯周病、黄斑変性症、糖尿病性網膜炎、眼球炎症、円錐角膜、シェーグレン症候群、角膜移植片拒絶、悪液質および拒食症からなる群から選択される、項目23に記載の方法。
(項目25)
細胞培養物におけるTNF−αのレベルを低下させる化合物を同定する方法であって、該細胞培養物に、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程、および存在しているTNF−αの量を、該化合物で処理していない細胞培養物中に存在しているTNF−αの量と比較する工程を包含する、方法。
(項目26)
細胞培養物におけるTNF−αの活性を低下させる化合物を同定する方法であって、該細胞培養物に、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程、および存在しているTNF−αの量を、該化合物で処理していない細胞培養物中に存在しているTNF−αの量と比較する工程を包含する、方法。
(項目27)
細胞培養物におけるTNF−αのレベルまたは活性を低下させる方法であって、該細胞培養物に、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または項目11に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目28)
カスパーゼ阻害剤と、TNF−αのレベルまたは活性を測定する器具とを含む、キット。
(項目29)
被験体におけるTNF−αのレベルを低下させる化合物を同定する方法であって、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または該化合物を含有する薬学的組成物を投与する工程、および該化合物での治療前後の被験体に存在しているTNF−αのレベルを比較する工程を包含する、方法。
(項目30)
被験体におけるTNF−αの活性を低下させる化合物を同定する方法であって、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬学的に受容可能な誘導体または該化合物を含有する薬学的組成物を投与する工程、および該化合物での治療前後の被験体に存在しているTNF−αの活性を比較する工程を包含する、方法。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(発明の詳細な説明)
本発明は、カスパーゼ阻害剤および/またはTNF−αのレベルまたは活性の調節因子として特に有効な新規化合物およびそれらの薬学的に受容可能な誘導体を提供する。本発明はまた、これらの化合物を使用して哺乳動物におけるカスパーゼおよび/またはTNF−α媒介疾患を治療する方法を提供する。これらの化合物は、一般式Iを有する:
【0037】
【化12】

ここで、
は、水素、CN、CHN、Rまたは−CHYであり;
Rは、脂肪族基、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、非芳香族複素環式基または置換非芳香族複素環式基であり;
Yは、電気陰性脱離基、−OR、−SR、−OC=O(R)または−OPO(R)(R)であり;
およびRは、独立して、RまたはORであり;
は、COH、CHCOH、または必要に応じて置換したエステル、アミドまたはそれらのアイソスターであり;
Aは、C=OまたはSOであり;
は、酸素、イオウ、−NHまたは−CHであり、ここで、−NHは、必要に応じて、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アミノ酸N−末端保護基またはCORで置換されており、そして−CHは、必要に応じて、フッ素、アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アルキルチオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、オキソ基(すなわち、=O)またはNHCOR基で置換され;
は、酸素、イオウ、−NHまたは−CHであり、ここで、−NHは、必要に応じて、アルキル基またはアミノ酸N−末端保護基で置換されており、そして−CHは、必要に応じて、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アルキルチオキシ基、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、オキソ基(すなわち、=O)またはNHCOR基で置換され;XおよびXは、必要に応じて、隣接環Qと縮合されたフェニル環の一部をなし;
は、CHであるか、またはXおよびXは、必要に応じて、隣接環Qに縮合したフェニル環の一部をなすが、但し、XがXと環を形成するとき、Xは、Xと環を形成せず;
環Qの隣接位置に結合された任意の2個の水素は、必要に応じて、二重結合で置き換えられ;そして
Zは、必要に応じて、炭素環式、アリール、飽和複素環、部分飽和複素環およびヘテロアリールからなる群から選択される置換した環であり、ここで、該環は、環炭素にあるAに結合されている。
【0038】
他に指示されていなければ、本明細書中で使用する以下の定義が適用される。「状態」または「病態」との用語は、被験体において有害な生物学的結果を生じる任意の疾患、障害または効果を意味する。
【0039】
本発明によれば、「TNF」または「TNFα」とは、TNF−αを意味する。
【0040】
「被験体」との用語は、動物、または動物から誘導した1個以上の細胞を意味する。好ましくは、この動物は、哺乳動物であり、最も好ましくは、ヒトである。これらの細胞は、任意の形態であり得、これには、組織に保持された細胞、細胞クラスター、不死化細胞、トランスフェクトまたは形質転換した細胞、および身体的または表現型的に変化した動物由来の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「インターフェロンγ誘発因子」または「IGIF」との用語は、IFN−γの内生産生を刺激できる因子を意味する。
【0042】
「脂肪族」との用語は、直鎖、分枝または環状のC〜C12炭化水素を意味し、これらは、完全に飽和されているか、または1個以上の不飽和単位を含有する。例えば、適当な脂肪族基には、置換または非置換で直鎖、分枝または環状のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基およびそれらのハイブリッド(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルおよび(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられる。「アルキル」との用語は、単独で使用されるか、基またはそれより大きい部分の一部として使用されるが、1〜12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の両方を意味する。
【0043】
「ハロゲン」との用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。「ヘテロ原子」との用語は、窒素、酸素またはイオウを意味し、そして窒素およびイオウの任意の酸化形態(例えば、N(O)、S(O)およびS(O)、および窒素四級化形態)を含む。本発明の化合物は、天然に存在しているか化学的に安定なものに限られることが理解できるはずである。
【0044】
置換基または可変基(variable)の組合せは、このような組合せが安定な化合物または化学的に実現可能な化合物を生じる場合にのみ、許容できる。安定な化合物または化学的に実現可能な化合物とは、水分も他の化学的に反応性の状態もなしで、少なくとも1週間にわたって、40℃以下の温度で保ったとき、実質的に変化しないものである。
【0045】
「アリール」との用語は、単独で使用されるか、基またはそれより大きい部分の一部として使用されるが、単環式または多環式の芳香族炭素環系、および単環式または多環式のヘテロ芳香族環系(これは、1個以上のヘテロ原子を含有する)を意味し、これらは、5〜14個の原子を有する。このような基には、フェニル、ナフチル、アントリル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロフラニル、フタルイミジニル、テトラゾリルおよびクロマニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「アラルキル」との用語は、アリール基で置換されたアルキルを意味する。「ヘテロアリール」との用語は、1個以上のヘテロ原子を含有するアリール基を意味する。「ヘテロアラルキル」との用語は、1個以上のヘテロ原子を含有するアラルキル基を意味する。
【0047】
「複素環式基」または「複素環」との用語は、飽和および不飽和の単環式または多環式の環系であって、1個以上のヘテロ原子を含有し環の大きさが3員〜8員であるものを意味する。このような基には、アジラニル、オキシラニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピラニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル、キヌクリジニル、オキセパニルおよびチエパニルが挙げられるが、これらに限定されない「複素環式環」との用語は、飽和であれ不飽和であれ、また、必要に応じて置換した環を意味する。「ヘテロシクリルアルキル」との用語は、複素環で置換されたアルキル基を意味する。
【0048】
「炭素環式基」または「炭素環」との用語は、飽和または不飽和で非芳香族の単環式または多環式の炭素環系を意味し、これらは、アリール基または複素環式基に縮合できる。例には、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロプロピル、インダニル、テトラヒドロナフチルなどを挙げることができる。「カルボシクリルアルキル」との用語は、炭素環式基で置換されたアルキルを意味する。
【0049】
アリール基(ヘテロアリールを含めて)またはアラルキル基(ヘテロアラルキルを含めて)(例えば、ベンジルまたはフェネチル)は、1個以上の置換基を含有できる。アリール基またはアラルキル基の適当な置換基の例には、ハロゲン、CF、−R、−OR、−OH、−SH、−SR、保護したOH(例えば、アシルオキシ)、およびWuts
and Greene,Protective Groups in Organic
Synthesis,3版、John Wiley & Sons,1999)で記述されたもの、−NO、−CN、−NH、−NHR、−N(R、−NHCOR、−NHCONHR、−NHCON(R、−NRCOR、−NHCO、−CO、−COH、−COR、−CONHR、−CON(R、−S(O)、−SONH、−S(O)R、−SONHRまたは−NHS(O)が挙げられ、ここで、Rは、脂肪族基または置換脂肪族基(これは、好ましくは、1〜3個の炭素原子を有する)、またはアリール基または置換アリール基であるが、但し、Rが置換アリール基のとき、該アリールは、置換アリールで置換できる。
【0050】
脂肪族基または非芳香族複素環は、1個以上の置換基を含有できる。脂肪族基または非芳香族複素環の適切な置換基の例には、アリール基またはアラルキル基について上で列挙したもの、ならびに以下が挙げられる:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=N−OR、=NNHCOR、=NNHCO、=NNHSOおよび=NRであって、ここで、Rは、脂肪族基または置換脂肪族基である。
【0051】
芳香族または非芳香族の複素環上の置換可能な窒素は、必要に応じて、置換できる。この窒素上の適切な置換基には、R、COR、S(O)およびCOが挙げられる。
【0052】
「電気陰性脱離基」との用語は、当業者に公知の定義を有する(March,Advanced Organic Chemistry,4版、John Wiley & Sons,1992)。電気陰性脱離基の例には、ハロゲン(例えば、F、Cl、BrおよびI)、アリールスルホニルオキシ基およびアルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、OR、SR、−OC=O(R)、−OPO(R)(R)が挙げられ、ここで、Rは、脂肪族基、アリール基、アラルキル基、炭素環式基、カルボシクロアルキル基、複素環式基またはヘテロシクリルアルキル基であり、そしてRおよびRは、独立して、RまたはORである。
【0053】
「アミノ酸N−末端保護基」との用語は、当業者に公知の定義を有する。アミノ酸N−末端保護基の例には、Wuts and Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,3版、John Wiley &
Sons,1999で記述されてものが挙げられる。
【0054】
カルボン酸およびエステルのアイソスターまたはバイオアイソスターは、親カルボン酸またはエステルと類似の生体特性を備えた新規化合物を作製するために、原子または原子群の交換から得られる。このバイオアイソスター置換は、物理化学的または位相幾何学的に基づき得る。カルボン酸に対するアイソスター置換の一例には、CONHSOJがあり、ここで、Jは、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)である。
【0055】
本発明の化合物(ここで、Rは、COHまたはCHCOHであり、それぞれ、γ−ケト酸またはδ−ケト酸である)は、開放形態(a)または環化ヘミケタール形態(b)のいずれかとして、溶液中で存在できる(γ−ケタールについて、y=1であり、δ−ケタールについて、y=2である)。いずれかの異性体形態の本明細書中での描写は、他のものを含むことを意味する。
【0056】
【化13】

同様に、本発明の特定の化合物は、互変異性形態または水和形態で存在でき、このような形態の全てが本発明の範囲内であることは、当業者に明らかである。他に述べられていなければ、本明細書中で描写した構造はまた、これらの構造の全ての立体化学形態(すなわち、各不斉中心に対するR形態およびS形態)を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一立体化学異性体、ならびに鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物は、本発明の範囲内である。他に述べない限り、本明細書中に記載される構造はまた、1つ以上の同位体的に濃縮された原子の存在のみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素または三重水素で置換したこと以外または炭素を13Cまたは14Cに富んだ炭素で置換したこと以外は本発明の構造を有する化合物は、本願の範囲内である。
【0057】
好ましいR基は、CHYであり、ここで、Yは、電気陰性脱離基、OR、SRまたは−OC(=O)(R)であり、最も好ましくは、Yは、Fである。
【0058】
好ましくは、Rは、COH、エステル、アミドまたはそれらのアイソスターである。
【0059】
は、好ましくは、CHである;Xは、好ましくは、CHである;またはXおよびXは、結合して、環Qに縮合された必要に応じて置換されたフェニル環の一部をなす。より好ましくは、XおよびXは、ともにCHである。
【0060】
Aは、好ましくは、COである。
【0061】
Zは、好ましくは、必要に応じて置換したアリールであり、該アリールは、環炭素にあるAに結合されている。
【0062】
本発明の化合物の代表的な例は、以下の表1で示す。
【0063】
(表1.代表的な化合物)
【0064】
【表2】





本発明の化合物は、一般に、以下の一般スキームIおよびIIで図示しているように、類似の化合物について当業者に公知の方法により、また、それに続く調製実施例により、調製できる。
【0065】
(スキームI)
【0066】
【化14】

試薬:(a)CbzOSuc/THF/TEA;(b)LiOH/THF/HO;(c)EDC/DMAP/HOBt;(d)H/C担持10%Pd/EtOAc;(e)TBTU/DIPEA/DMF;(f)Dess−Martinペルヨージナン;(g)TiCl/DCM;および(k)TFA/DCM。
【0067】
スキームIは、本発明の化合物を製造する一般的な方法を示す。出発物質であるエステル塩酸塩1は、まず、塩基(例えば、TFA(トリエチルアミン、工程a))の存在下にて、THF(テトラヒドロフラン)中で、公知のアミノ酸N−保護プロトコル(例えば、Cbz−OSuc(ベンジルオキシカルボニル−O−スクシンイミジル))を使用して、保護される。エステル2は、次いで、塩基を使用して、またはそのエステルがt−ブチル基であるとき、トリフルオロ酢酸(TFA)を使用して、加水分解される。酸3は、次いで、例えば、EDC(1−(3−ジメチル−アミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)およびHOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)を使用して、アミノアルコール4とカップリングされて、5が得られる。RおよびRの性質に依存して、4の代わりにアミノケトンが使用できるが、これにより、次の酸化工程が回避される。RがCHFであるフルオロメチルケトンの場合、アミノアルコール4は、Reveszら、Tetrahedron Lett.,1994,35,9693の方法に従って、得ることができる。カーバメート5は、次いで、触媒水素化(例えば、EtOAc(酢酸エチル)中にて、C担持Pdと共にH)または酸分解を使用して、脱保護される。アミン6は、次いで、DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)の存在下にて、DMF(ジメチルホルムアミド)中で、例えば、工程eで図示した標準方法を使用して、所望のアシル化剤またはスルホン化剤、TBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)でN−置換される。化合物7の水酸基は、次いで、例えば、工程fで図示した標準方法により、酸化される。最後に、化合物8は、DCM(ジクロロメタン)中のTiClまたはDCM中のTFAを使用して、Rの性質に従って、適切に処理されて、Iを発生させる。例えば、もし、Iには、Rがカルボン酸である必要があるなら、4中のRは、好ましくは、エステルであり、このスキームの最終工程は、加水分解である。
【0068】
(スキームII)
【0069】
【化15】

試薬:(h)
【0070】
【化16】

;(l)
【0071】
【化17】

;(i)LiOH/THF/HO;(m)KOH/MeOH/HO;(j)EDC/DMAP/HOBt;(f)Dess−Martinペリヨージナン;(g)TiCl/DCM;および(k)TFA/DCM。
【0072】
スキームIIは、本発明の化合物を製造する代替方法を表わす。出発物質であるエステル塩酸塩1は、まず、公知のアミド結合形成反応を使用して、カルボン酸または酸塩化物のいずれかと反応される。アミド9は、次いで、塩基を使用して加水分解される。酸10は、次いで、アミノアルコール4とカップリングされて、11が得られる。RおよびRの性質に依存して、4の代わりにアミノケトンが使用できるが、これにより、次の酸化工程が回避される。RがCHFであるフルオロメチルケトンの場合、アミノアルコール4は、Reveszら、Tetrahedron Lett.,1994,35,9693の方法に従って、得ることができる。化合物11の水酸基は、次いで、例えば、工程fで図示した標準方法により、酸化される。最後に、化合物12は、Rの性質に従って、適切に処理されて、Iを発生させる。例えば、もし、Iには、Rがカルボン酸である必要があるなら、4中のRは、好ましくは、エステルであり、このスキームの最終工程は、加水分解である。
【0073】
本発明のある種の化合物は、以下のようにして得ることができる。スキームIで使用される親化合物である複素環エステル1またはそれらの酸または誘導体は、市販されているか、または標準方法を使用して調製できるか、いずれかである。例えば、親化合物である複素環エステル1(ここで、X1〜2は、それぞれ、CHである)は、市販されている(H−ホモプロリン−OMe)。親化合物である複素環エステル1(ここで、Xは、CHである;そしてXは、酸素である)は、標準方法(Wolfeら、Tetrahedron Lett.,1979,3913)により、調製できる。親化合物である複素環エステル1(ここで、Xは、CHであり、そしてXは、イオウである)は、標準方法(Miyazakiら、Bull.Chem.Soc.Jpn.,1993,66,536)により、調製できる。親化合物である複素環エステル1(ここで、Xは、CHである;そしてXは、酸素である)は、標準方法(Kogamiら、Bull.Chem.Soc.Jpn.,1987,60,2963;Asherら、Tetrahedron Lett.,1981,141;およびBrownら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,1985,2577)により、調製できる。このFmoc N−保護アミノ酸はまた、市販されている。親化合物である複素環エステル1(ここで、Xは、CHである;そしてXは、イオウである)は、標準方法(Kogamiら、Bull.Chem.Soc.Jpn.,1987,60,2963;およびSakaiら、Chem.Pharm.Bull.,1981,29,1554)により、調製できる。対応している遊離アミノ酸もまた、市販されている。親化合物である複素環エステル1(ここで、X1〜2は、CHであり、そして種々の置換基を有する)は、標準方法(Shumanら、J.Org.Chem.,1990,55,738;Agamiら、Synlett,1997,799;およびNazihら、Synlett,1998,1337)により、調製できる。
【0074】
本発明の化合物は、特に、カスパーゼ活性を阻害するように、および/またはTNF−αのレベルまたは活性を低下させるように、設計されている。これらの化合物は、例えば、アポトーシスを阻止し、IL−1βの放出を阻止し、カスパーゼ活性を阻害し、および/またはTNF−αのレベルまたは活性を低下させるために、アッセイできる。これらの活性の各々のアッセイは、当該技術分野で公知であり、実施例において、以下で詳細に記述する。従って、これらの化合物は、カスパーゼ(例えば、IL−1)、アポトーシス、IGIF、IFN−γおよびTNF−αが媒介する疾患における事象、および炎症疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患および変性疾患における関連タンパク質の最終活性を標的にして阻害できる。
【0075】
本発明の化合物はまた、ICEを阻害することにより、プロ−IGIFが活性で成熟したIGIFに変換するのを阻止する。「インターフェロンガンマ誘発因子」または「IGIF」との用語は、IFN−γの内生を刺激できる因子を意味する。
【0076】
ICEは、成熟IGIF(IL−18)の産生に必須であるので、ICEを阻害すると、成熟IGIFの産生を阻害することにより、IGIFが媒介する生理学的効果および症状の開始が効果的に阻止される。IGIFは、次には、IFN−γの産生に必須である。ICEは、従って、成熟IGIFの産生を阻害してIFN−γの産生を阻害することにより、IFN−γが媒介する生理学的な効果および症状の開始を効果的に阻止する。
【0077】
本発明の化合物はまた、活性化細胞からのTNF−αの放出を阻止する。
【0078】
本発明の薬学的組成物および方法は、従って、インビボでのカスパーゼおよびTNF−αの活性を制御するのに有用である。本発明の組成物および方法は、それゆえ、インビボでのカスパーゼ、IL−1、IGIF、IFN−γまたはTNF−αのレベルを制御するのに有用であり、また、カスパーゼ、IL−1、アポトーシス、IGIF、IFN−γ、またはTNF−αが媒介する疾患(疾患、障害または影響を含めて)の進行、重症度または影響を治療または軽減するのに有用である。
【0079】
他の実施形態によれば、本発明は、上記のような本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する組成物を提供する。
【0080】
他の実施形態によれば、本発明の組成物は、さらに、他の治療剤を含有できる。このような治療剤には、血栓溶解薬(例えば、組織プラスミノーゲン活性化剤およびストレプトキナーゼ)、抗炎症剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、サイトカインアンタゴニスト、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、サイトカイン、成長因子、免疫調整剤(例えば、ブロピリミン、抗ヒトアルファインターフェロン抗体、IL−2、GM−CSF、メチオニンエンケファリン、インターフェロンアルファ、ジエチルジチオカーバメート、腫瘍壊死因子、ナルトレキソンおよびrEPO)、プロスタグランジンまたは抗血管過剰増殖化合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0081】
「薬学的に受容可能なキャリア」との用語は、本発明の化合物と共に患者に投与できる非毒性のキャリアであって、その薬理学的な活性を損なわないものを意味する。
【0082】
これらの組成物で使用できる薬学的に受容可能なキャリアには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
「薬学的に受容可能な誘導体」とは、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体であって、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性代謝物もしくは残留物を、直接的または間接的のいずれかで提供できるものを意味する。本発明の化合物の塩またはエステルを調製する方法は、当業者に公知である。
【0084】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な誘導体には、エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩およびスルホン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
活性成分として式Iの化合物だけを含有する薬学的組成物では、これらの組成物を投与する方法はさらに、被験体にさらなる治療剤を投与する工程を包含し得る。このような治療剤には、血栓溶解薬(例えば、組織プラスミノーゲン活性化剤およびストレプトキナーゼ)、抗炎症剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、サイトカインアンタゴニスト、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、サイトカイン、成長因子、免疫調整剤(例えば、ブロピリミン、抗ヒトアルファインターフェロン抗体、IL−2、GM−CSF、メチオニンエンケファリン、インターフェロンアルファ、ジエチルジチオカーバメート、腫瘍壊死因子、ナルトレキソンおよびrEPO)、プロスタグランジン、または抗血管過剰増殖化合物が挙げられるが、それらに限定されない。第二の治療剤が使用される場合、第二の治療剤は、別の投薬形態としてか、または本発明の化合物もしくは組成物との単一の投薬形態の一部としてのいずれかで、投与され得る。
【0086】
上記組成物中に存在する化合物の量は、実施例で記述したアッセイのいずれかにより測定される場合、疾患の重症度、カスパーゼ活性および/または細胞アポトーシス、あるいはTNF−α活性および/または細胞アポトーシスにおいて、検出可能な減少を引き起こすのに十分であるべきである。
【0087】
本発明の化合物は、インビボでのIGIFレベルおよびINF−γレベルを制御するため、およびカスパーゼ、IL−1、アポトーシス、IGIF、IFN−γ、およびTNF−αにより媒介される疾患を治療するかまたはその影響の進行および重症度を軽減するための従来の様式で使用され得る。このような治療方法、それらの投薬レベルおよび必要条件は、利用可能な方法および技術から、当業者により選択され得る。
【0088】
これらの組成物において、本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩が使用される場合、それらの塩は、好ましくは、無機または有機の酸または塩基からから誘導される。このような酸塩には、以下が含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、亜硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラート、およびウンデカン酸塩。塩基塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基との塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン)、およびアミノ酸との塩(例えば、アルギニン、リシンなど)が挙げられる。
【0089】
また、塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチル);硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)などのような試薬で四級化され得る。それにより、水溶性または油溶性または水分散性または油分散性の生成物が得られる。
【0090】
本発明の組成物および方法で使用される化合物はまた、選択的な生物学的特性を高めるために、適切な官能基を付加することにより改変され得る。このような改変は、当該技術分野で公知であり、これには、所定の生体系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透性を高める改変、経口適用性を高める改変、注射による投与を可能にするために溶解性を高める改変、代謝を変える改変、および排出速度を変える改変が挙げられる。
【0091】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)への薬学的投与のために処方される。
【0092】
本発明のこのような薬学的組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸内に、鼻内に、頬内に、膣内に、または移植したレザバを介して、投与され得る。本明細書中で使用する「非経口的」との用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内および頭蓋内の注射および注入方法を含む。好ましくは、これらの組成物は、経口的または静脈内で投与される。
【0093】
本発明の組成物の無菌注射可能形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の方法に従って処方され得る。この無菌注射可能調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射可能溶液または懸濁液であり得る。使用され得る受容可能な賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の非揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として、従来から使用されている。この目的のために、任意の穏やかな非揮発性油が使用でき、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチレン化した形態)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)または類似の分散剤(これらは、一般的に、乳濁液または懸濁液を含む薬学的に受容可能な投薬形態を処方する際に、使用される)を含有し得る。他の一般的に使用される界面活性剤(例えば、Tweens、Spansおよび他の乳化剤)または生体利用能向上剤(これらは、薬学的に受容可能な固体、液体または他の投薬形態を製造する際に、一般的に使用される)もまた、処方の目的のために、使用され得る。
【0094】
固形キャリアが使用される場合、調製物は、錠剤化され得、粉末形態もしくはペレット形態で硬質ゼラチンカプセル中に加えられるか、またはトローチまたは薬用ドロップの形状であり得る。固体キャリアの量は、例えば、約25mgから400mgまでで、変化する。液体キャリアが使用される場合、調製物は、例えば、シロップ、乳濁液、軟質ゼラチンカプセル、無菌注射可能液(例えば、アンプルまたは非水性液状懸濁液)の形態であり得る。この組成物がカプセルの形態である場合、例えば、硬質ゼラチンカプセル殻にて上記キャリアを使用する任意の慣用的なカプセル化が適当である。
【0095】
シロップ処方は、香料または着色剤を含む、この化合物の液体キャリア(例えば、エタノール、グリセリン、または水)懸濁液または溶液からなり得る。エアロゾル調製物は、この化合物の液体キャリア(例えば、水、エタノール、またはグリセリン)溶液または懸濁液からなるのに対して、粉末乾燥エアロゾルでは、調製物は、例えば、湿潤剤を含有し得る。
【0096】
本発明の処方は、その1種以上の受容可能なキャリアおよび必要に応じて、任意の他の治療成分と共に、活性成分を含有する。このキャリアは、その処方の他の成分と相溶性でありレシピエントに有害ではないという意味で、「受容可能」であるべきである。
【0097】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投薬形態(これには、カプセル、錠剤、および水性懸濁液または水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、経口投与され得る。経口用途のための錠剤の場合には、一般的に使用されるキャリアには、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。代表的に、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、添加される。カプセル形態での経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口用途のために水性懸濁液が必要な場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望の場合、特定の甘味料、香料または着色剤がまた添加され得る。
【0098】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための座剤の形態で投与され得る。これらは、この試薬と、適当な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸で融解し活性成分を放出する)と混合することにより、調製され得る。このような物質には、ココアバター、密ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0099】
本発明の薬学的組成物はまた、特に、治療の標的が局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官(目、皮膚または下部腸管の疾患を含む)を含む場合、局所的に投与され得る。これらの領域または器官のそれぞれに適切な局所処方物は、容易に調製される。
【0100】
下部腸管に対する局所適用は、直腸座剤処方(上記)により、または適当な浣腸処方にて、行なわれ得る。局所的な経皮パッチもまた、使用され得る。
【0101】
局所的な適用のために、この薬学的組成物は、1種以上のキャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適当な軟膏で処方され得る。本発明の化合物の局所投与用のキャリアには、鉱油、液状石油、ホワイト石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的組成物は、1種以上の薬学的に受容可能キャリアに懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適切なローションまたはクリームで処方され得る。適当なキャリアには、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
眼科用途には、この薬学的組成物は、防腐剤(例えば、ベンジルアルコニウムクロライド)と共にまたはそれなしで、pHを調整した等張性無菌生理食塩水の微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整した等張性無菌生理食塩水の溶液として、処方され得る。あるいは、眼科用途のために、この薬学的組成物は、軟膏(例えば、ペトロラタム)で処方され得る。
【0103】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻エアロゾルまたは鼻吸入により投与され得る。このような組成物は、製薬処方の当該技術分野で周知の技術に従って調製され、生理食塩水中の溶液として、当該分野で公知のベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して調製され得る。
【0104】
この薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤の形態および特性は、それと混ぜ合わせる活性成分の量、投与経路および他の周知の可変基により支配されることが当業者に認識されている。
【0105】
上記化合物および組成物は特に、以下の疾患に関連した治療用途に有用である:IL−1媒介疾患、アポトーシス媒介疾患、炎症疾患、自己免疫性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、皮膚疾患、細胞死関連疾患、過剰食用アルコール摂取疾患、ウイルス媒介疾患、網膜障害、ブドウ膜炎、炎症性腹膜炎、骨関節炎、膵炎、喘息、成人呼吸窮迫症候群、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、硬皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、瘢痕、移植片対宿主病、臓器移植拒絶、火傷後臓器アポトーシス、骨粗鬆症、白血病および関連障害、脊髄形成異常症候群、多発性骨髄腫関連骨疾患、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性骨髄腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、出血症性ショック、敗血症、敗血症性ショック、火傷、外傷、全身性炎症応答症候群、多臓器不全症候群、志賀赤痢、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏症、ケネディ病、プリオン病、脳虚血、癲癇、心筋虚血、急性および慢性心臓病、心筋梗塞、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植、脊髄筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、老化、脱毛症、脳卒中による神経障害、潰瘍性大腸炎、外傷性脳傷害、脊髄傷害、B型肝炎、C型肝炎、G型肝炎、黄熱病、デング熱、日本脳炎、種々の形態の肝臓病、腎臓病、腎多嚢胞病、H.pylori菌関連胃潰瘍および十二指腸潰瘍、HIV感染、結核および髄膜炎。
【0106】
上記化合物および組成物はまた、TNF媒介疾患に関連した治療用途において、有用である。用語「TNF−α媒介疾患」とは、TNF−αそれ自体の過剰産生または放出により、またはTNF−αがその疾患を誘発または増悪する事象(例えば、他の病態生理学的な生化学剤またはサイトカインの産生または放出)を引き起こすことにより、いずれかにより、TNF−αが一定の役割を果たす全ての疾患状態を意味する。好ましい1実施形態では、TNF−αは、直接的な役割を果たす。
【0107】
このようなTNF−α媒介疾患には、例えば、再狭窄、炎症疾患(例えば、中枢神経系の炎症疾患)、神経系の脱髄疾患、多発性硬化症、敗血症性関節炎、動脈瘤性大動脈疾患、外傷性関節傷害、歯周病、黄斑変性症、糖尿病性網膜炎、眼球炎症、円錐角膜、シェーグレン症候群、角膜移植片拒絶、悪液質および拒食症を挙げることができる。
【0108】
過剰なTNF−α組織レベルは、以下を含めた多数の疾患を媒介または悪化させることに関係している:関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、痛風性関節炎および他の関節病;また、一般敗血症、グラム陰性敗血症、敗血症性ショック、内毒素ショック、毒素ショック症候群、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳性マラリア、慢性肺炎症疾患、ケイ肺症、アスベスト肺、肺サルコイドーシス、骨再吸収疾患、対宿主性移植片反応、異系移植片拒絶;また、細菌またはウイルス感染(例えば、インフルエンザ)が原因の発熱および筋肉痛;後天性免疫不全症候群(AIDS)の次の悪液質、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎またはピレシス(pyresis);多数の「自己免疫疾患」(例えば、多発性硬化症、自己免疫糖尿病および全身性エリテマトーデス)。
【0109】
TNF−α阻害剤は、以下を含めた種々のアレルギー性、外傷性および他の傷害性疾患を治療する際に有用である:喘息、慢性気管支炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、好酸球性肉芽腫、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋および脳の再灌流傷害、慢性糸球体腎炎および成人呼吸窮迫症候群(ARDS)。
【0110】
本発明の化合物は、TNF−αの放出を阻止でき、それゆえ、傷害部位または手術部位でのTNF−αのいくつかの病態生理学的な効果を抑制または阻止するのに有用であり得、従って、また、細胞からの他の病態生理学的な生化学産物(例えば、ヒスタミン、プロスタグランジン、ブラジキニンおよびペルオキシダーゼ)の放出を阻止できる。
【0111】
上述のように、TNF−α阻害剤は、細胞、組織または臓器の傷害または手術に続く障害を治療する際に、非常に有効であり得、また、これらの薬剤に共通した副作用なしに、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬と同程度に有効であり得るか、それらよりも強力であり得る。
【0112】
本発明はまた、ヒトを含めた哺乳動物において、(1)細胞からのTNF−αの放出を阻止し、そして(2)過剰な組織レベルのTNF−αの有害、毒性または致死的な影響を妨げる治療方法に関する。この方法は、哺乳動物に、効果的なTNF−α阻害有効量の1種以上の上記化合物を投与する工程を包含する。この方法はまた、TNF−α媒介疾患またはそれに従って悪化する、特定の疾患の予防的治療または予防に使用できる。本発明は、治療が必要なヒトを含めた哺乳動物に有効量のこのような化合物を投与することにより、アレルギー性、外傷性、放射性、化学的、微生物的および他の傷害性の障害を治療する方法を提供する。
【0113】
これらの化合物は、TNF−αの放出を阻害または阻止するか、TNF−αのレベルおよび活性だけでなくこれらの各状況における過剰なレベルのTNF−αの病態生理学的な作用を低下させることにより、直接的に、組織または臓器の損傷の阻止または回復を促進し、また、正常な機能の修復を促進する。それと共に、これらの作用は、組織の外傷、または感染、アレルギー、免疫現象、火傷、放射線暴露、新生物病、毒性化学物質により引き起こされる他の傷害性の障害であって、心血管障害、神経傷害、腎障害、肝障害、膵臓障害だけでなく、腹水症、局所浮腫、皮膚障害および皮膚疱疹として顕れる障害を治療する際に、それらの新規な用途を関連づける。
【0114】
用語「TNF−αの放出を阻止する」とは、以下を意味する:a)哺乳動物(例えば、ヒト)におけるインビボTNF−αレベルの低下;またはb)インビトロまたはインビボでのTNF−αレベルの下方制御;またはc)TNF−αの直接合成または移植後事象の阻止による、TNF−αの活性の下方制御。
【0115】
これらの化合物は、単球、マクロファージ、神経細胞、内皮細胞、上皮細胞、間葉細胞(例えば、線維芽細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞)および多くの他の種類の細胞によるTNF−αの放出を阻止する際に、有用であり得る。
【0116】
用語「状態」または「病態」とは、被験体において有害な生物学的結果を生じる任意の疾患、障害または効果を意味する。
【0117】
患者または細胞培養物(すなわち、細胞および/または細胞培地中)の血液または細胞中でのTNF−αタンパク質のレベルは、TNF−αへの、または活性TNF−αの存在の結果として産生することが知られているタンパク質への免疫特異的な結合をアッセイすることにより、決定できる。このようなアッセイは、当該技術分野で公知である。例えば、使用できるイムノアッセイには、以下のような技術を使用する競合および非競合アッセイシステムが挙げられるが、これらに限定されない:ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、FACS分析およびプロテインAイムノアッセイ。このようなアッセイは、当該技術分野で周知である(例えば、Ausubelら著、1994,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.,NewYorkを参照;その内容は、本明細書中で参考として援用されている)。
【0118】
競合結合アッセイはまた、TNF−αのレベルを決定するのに使用できる。競合結合アッセイの一例には、未標識TNF−αの量を増加させつつ、TNF−αを発現する細胞由来の標識タンパク質(例えば、Hまたは125I)をTNF−α抗体と共にインキュベートする工程および標識TNF−αに結合したTNF−α抗体を検出する工程を包含するラジオイムノアッセイがある。
【0119】
TNF−αのレベルはまた、当該技術分野で公知の活性アッセイにより、アッセイできる。例えば、処理した細胞培養物のサンプルまたは患者の血液由来のサンプルは、当該技術分野で公知のTNF−α活性アッセイで使用できる(例えば、J.Immunol.Methods,1995,178,71〜76;Burns,1994,20(1),40〜44)。
【0120】
単独療法では、1日あたり約0.01mg/体重1kgと約100mg/体重1kgの間、好ましくは、1日あたり約0.5mg/体重1kgと約75mg/体重1kgの間、最も好ましくは、1日あたり約1mg/体重1kgと約50mg/体重1kgの間の投薬レベルの活性成分化合物が有用である。
【0121】
典型的には、本発明の薬学的組成物は、1日あたり、約1〜5回、あるいは、連続注入として、投与される。このような投与は、長期療法または短期療法として、使用できる。単一投薬形態を生じるためにキャリア物質と混ぜ合わされ得る活性成分の量は、治療するホストおよび特定の投与様式に依存して、変わる。典型的な調製物は、約5重量%〜約95重量%の活性化合物を含有する。好ましくは、このような調製物は、約20重量%〜約80重量%の活性化合物を含有する。
【0122】
本発明の組成物が式Iの化合物および1種以上の追加治療剤の組合せを含有するとき、この化合物および追加治療剤の両方は、単独療法レジメン(rejime)で通常投与される投薬量の約10%〜80%の間の投薬量レベルで、存在するべきである。
【0123】
患者の状態の改善の際に、必要であれば、本発明の化合物、組成物、またはその組合せの維持用量が投与され得る。続いて、投与の投薬量もしくは頻度、またはその両方は、症候が所望のレベルに軽減され、処置を止めるべき場合に、改善された状態が保持されるレベルまで、症候の関数として低減され得る。しかし、患者は、いずれの再発または疾患症候の長期基礎に対する断続的処置を必要とし得る。
【0124】
あらゆる特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメンは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事制限、投与時間、排泄率、薬物の組合せ、および処置する医師の判断、ならびに処置されるべき特定の疾患の重篤度を含む)に依存することもまた理解されるべきである。活性成分の量もまた、その組成物中の特定の化合物および他の治療剤(もし存在するなら)に依存する。
【0125】
本発明の1つの実施形態は、被験体におけるIL−1媒介疾患またはアポトーシス媒介疾患を治療または予防する方法を提供し、該方法は、該被験体に、本明細書中で記載された任意の化合物、薬学的組成物または組合せを投与する工程を包含する。
【0126】
本発明の別の実施形態は、被験体におけるカスパーゼ媒介機能を阻止する方法を提供し、該方法は、該被験体に、記載された任意の化合物、薬学的組成物または組合せを投与する工程を包含する。
【0127】
本発明の別の実施形態は、被験体におけるIGIFまたはTNF−γの産生を減らす方法を提供し、該方法は、該被験体に、記載された任意の化合物、薬学的組成物または組合せを投与する工程を包含する。
【0128】
本発明の別の実施形態は、被験体における冠状動脈バイパス移植に付随した合併症を治療する方法を提供し、該方法は、該被験体に、本明細書中で記載された任意の化合物、薬学的組成物または組合せを投与する工程を包含する。
【0129】
本発明の別の実施形態は、細胞を保存する方法を提供し、該方法は、本明細書中で記載された任意の化合物の溶液に、該細胞を浸す工程を包含する。カスパーゼ阻害剤を使用するこのような方法は、報告されている[Schierleら、Nature Medicine,5,p.97(1999);およびNatoriら、Transplantation,68,pp.89〜96(1999)]。必要なカスパーゼ阻害剤の量は、所定細胞型に対するその阻害剤の有効性およびアポトーシス細胞死から細胞を保護するのに必要な時間に依存している。
【0130】
本発明の別の実施形態は、本明細書中で記載された任意の化合物、薬学的組成物または組合せを使用して、臓器移植または血液産物保存に必要な細胞を保存する方法を提供する。Liら、Transfusion,40,pp.1320〜1329(2000)。
【0131】
本発明の別の実施形態は、被験体における種々の形態の癌を治療する方法を提供し、該方法は、該被験体に、免疫療法の1要素として、本明細書中で記載された任意の化合物、薬学的組成物または組合せを投与する工程を包含する。Droinら、Oncogene,16,pp.2885〜2894(1998);Boudardら、Leukemia,14,pp.2045〜2051(2000);Faderlら、Clinical Cancer Research,5,pp.4041〜4047(1999);Ozorenら、Cancer Research,60,pp.6259〜6265(2000);Sasakiら、British Journal of Urology,81,pp.852〜855(1998);およびHedlundら、Prostate,36,pp.92〜101(1998)。
【0132】
好ましい実施形態では、本発明は、前記疾患の1つに罹った哺乳動物を治療する方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に、上記薬学的に受容可能な組成物を投与する工程を包含する。この実施形態では、もし、患者がまた、別の治療剤またはカスパーゼ阻害剤を投与される場合、それは、単一投薬形態でまたは別々の投薬形態として、本発明の化合物と共に送達され得る。別々の投薬形態として投与するとき、他のカスパーゼ阻害剤または薬剤は、本発明の化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物を投与する前、投与と同時、または投与に続いて、投与され得る。
【0133】
本発明に従うキットは、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体または薬学的組成物と、インビトロまたはインビボでTNF−αのレベルおよび/または活性を測定する器具とを含む。このキットは、さらに、その内容物の使用説明書を含む。本発明のTNF−αのレベルを測定する器具は、TNF遺伝子産物(すなわち、RNAまたはタンパク質)または活性を測定するために使用され得る物質を意味する。このような方法は、例えば、上記されている。従って、本発明に従う器具は、例えば、抗−TNF抗体、TNF−αDNAプローブまたは遺伝子工学によって合成した細胞系(これは、上記TNF−αレベルに応答性である)を含み得る。
【0134】
本発明に従うTNF−αの活性および/またはレベルを低下させる化合物または組成物を同定する方法には、複数の化合物または組成物がTNF−αの活性および/またはレベルを低下させる性能について、これらの化合物または組成物をスクリーニングする方法が挙げられる。例えば、高い処理能力のスクリーニングは、本発明の望ましい実施形態である。本発明の1実施形態によれば、高い処理能力のスクリーニングは、培養物中の細胞をマイクロタイタープレート中の複数のウェルに入れることにより、各ウェルに異なる化合物または組成物を加えることにより、そして各細胞培養物中のTNF−αのレベルおよび/または活性を、コントロールウェルの細胞培養物中に存在しているTNF−αのレベルまたは活性と比較することにより、達成できる。本発明による比較工程に有用なコントロールとしては、化合物または組成物で処理していない細胞または被験体、およびTNF−αのレベルまたは活性に効果がないことが知られている化合物または組成物で処理した細胞または被験体が挙げられる。本発明の1実施形態によれば、この高い処理能力のスクリーニングは、その化合物または組成物の添加後、データ収集および分析まで、そのプレートに細胞を加えることを含む工程が機械で行われるように、自動化される。本発明の比較工程で有用な用具(例えば、標識した対象(例えば、放射標識した対象、蛍光対象または着色した対象)またはそれ自体検出可能な対象を検出できる用具)は、市販されているか、および/または当該技術分野で公知である。従って、TNF−αのレベルおよび/または活性を低下させるのに有用な本発明の化合物および組成物は、迅速かつ効率的にスクリーニングできる。
【0135】
本発明をさらに充分に理解するために、以下の調製実施例および試験実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的だけのものであり、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【実施例】
【0136】
(実施例1:[3S/R(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(2−フェニル−トリアゾール−4−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸(化合物1))
【0137】
【化18】

(方法A:(S)−1−(ベンジルオキシカルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸メチルエステル)
【0138】
【化19】

(S)−ピペリジンカルボン酸メチルエステル塩酸塩(2.00g、11.13mmol)の無水THF(40ml)攪拌懸濁液を、室温で、トリエチルアミン(3.41ml、24.50mmol)で処理した。その反応混合物を、室温で、30分間攪拌した後、N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(3.05g、12.23mmol)を加えた。得られた混合物を2時間攪拌した後、酢酸エチル(20ml)で希釈し、2N HCl、飽和NaHCO水溶液、飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の20%酢酸エチル)で精製すると、無色オイル(2.0085g、65%)として、副題化合物が得られた:
【0139】
【化20】


(方法B:(S)−1−(ベンジルオキシカルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸)
【0140】
【化21】

(S)−1−(ベンジルオキシカルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸メチルエステル(2.00g、7.21mmol)のTHF(20ml)攪拌溶液を、室温で、水(10ml)で処理した。水酸化リチウム(190mg、7.93mmol)を加え、得られた混合物を、室温で、3時間攪拌した。追加量の水酸化リチウム(40mg、1.67mmol)を加え、得られた混合物を2時間攪拌した後、その有機溶媒を除去した。得られた溶液をジエチルエーテルで洗浄し、残留している水層を2N HClで酸性にした後、酢酸エチルによる第二抽出工程を行った。次いで、その有機層を回収し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮すると、無色オイル(1.9927g、105%)が現れ、これを放置すると、結晶化した:
【0141】
【化22】


(方法C:[3S/R,4S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[1−(ベンジルオキシカルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル)
【0142】
【化23】

(S)−1−(ベンジルオキシカルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸(4.82g、18.31mmol)、3−アミノ−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−ペンタン酸tert−ブチルエステル(3.99g、19.25mmol)、HOBt(2.72g、20.13mmol)、DMAP(2.57g、21.04mmol)および無水THF(60ml)の攪拌混合物を、0℃まで冷却した後、EDC(3.86g、20.13mmol)を加えた。その混合物を、16時間にわたって、室温まで暖めた後、減圧下にて、濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の60%酢酸エチル)で精製すると、白色発泡体(7.3754g、72%)として、副題化合物が得られた:
【0143】
【化24】


(方法D:[3S/R,4S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル)
【0144】
【化25】

[3S/R,4S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[1−(ベンジルオキシカルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル(7.37g、16.29mmol)の酢酸エチル(150ml)攪拌溶液を、10%Pd/C(830mg)で処理した。次いで、その反応混合物を完全に脱気し、そして水素バルーン下に置いた。得られた混合物を、室温で、3時間攪拌し、その後、セライトで濾過し、そして濃縮して、無色ゴム状物(5.17g、100%)として、副題化合物を得た:
【0145】
【化26】


(方法E:[3S/R,4S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[1−(2−フェニル−チアゾール−4−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル)
【0146】
【化27】

[3S/R,4S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル(520mg、1.63mmol)のDMF(9.7ml)攪拌溶液を、室温で、DIPEA(311μl、1.80mmol)で処理した。得られた混合物を30分間攪拌させた後、2−フェニル−チアゾール−4−カルボン酸(335mg、1.63mmol)およびTBTU(524mg、1.63mmol)で処理した。この混合物を、室温で、16時間攪拌し、次いで、酢酸エチルで希釈した。得られた溶液を2N HCl、飽和NaHCO水溶液、飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮すると、オイルが現れた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の60%酢酸エチル)で精製すると、無色オイル(463mg、56%)として、副題化合物が得られた:
【0147】
【化28】


(方法F:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(2−フェニル−チアゾール−4−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル)
【0148】
【化29】

[3S/R,4S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[1−(2−フェニル−チアゾール−4−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル(462mg、0.91mmol)の無水DCM(25ml)攪拌溶液を、0℃で、1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(426mg、1.00mmol)で処理した。得られた混合物を、0℃で、2時間保ち、DCMで希釈し、そして飽和Na・5HO水溶液、飽和NaHCO水溶液、飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の33%酢酸エチル)で精製すると、白色固体(376mg、82%)として、副題化合物が得られた:
【0149】
【化30】



(方法G:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(2−フェニル−チアゾール−4−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸)
【0150】
【化31】

[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(2−フェニル−チアゾール−4−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル(370mg、0.73mmol)の無水DCM(20ml)攪拌溶液を、−10℃で、1Mの四塩化チタンDCM溶液(3.67ml、3.67mmol)で処理した。得られた混合物を0℃まで暖め、この温度で、1時間保った。次いで、得られた混合物をDCMで希釈し、そして2N HCl、飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。その残留物を逆相HPLC(アセトニトリル/水)で精製すると、白色発泡体(102mg、31%)として、表題化合物が得られた:
【0151】
【化32】


【0152】
(実施例2:[3S/R(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(イソキノリン−1−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸、トリフルオロ酢酸塩(化合物2))
【0153】
【化33】

(方法H:(S)−1−(イソキノリン−1−カルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸メチルエステル)
【0154】
【化34】

(S)−1−ピペリジン−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(1.00g、5.57mmol)のDMF(20ml)攪拌溶液を、室温で、DIPEA(2.12ml、12.25mmol)で処理した。得られた混合物を30分間攪拌させた後、1−イソキノリンカルボン酸(964mg、5.57mmol)およびTBTU(1.79g、5.57mmol)で処理した。その混合物を、室温で、4時間攪拌し、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO水溶液、飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の67%酢酸エチル)で精製すると、無色ゴム状物(1.05g、63%)として、副題化合物が得られた:
【0155】
【化35】


(方法I:(S)−1−(イソキノリン−1−カルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸)
【0156】
【化36】

(S)−1−(イソキノリン−1−カルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸メチルエステル(1.05g、3.52mmol)のTHF(20ml)攪拌溶液を、室温で、水(10ml)で処理した。次いで、水酸化リチウム(84mg、3.51mmol)を加え、得られた混合物を、室温で、16時間攪拌した。得られた混合物を濃縮して、有機溶媒を除去した。次いで、得られた溶液をジエチルエーテルで洗浄し、残留している水層を、2N HClで酸性にした。得られた溶液を酢酸エチルで抽出し、その有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮すると、白色固体(902mg、90%)が現れた:
【0157】
【化37】


(方法J:[3S/R,4S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[1−(イソキノリン−1−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル)
【0158】
【化37A】

(S)−1−(イソキノリン−1−カルボニル)−2−ピペリジンカルボン酸(278mg、0.98mmol)、3−アミノ−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−ペンタン酸tert−ブチルエステル(213mg、1.03mmol)、HOBt(145mg、1.07mmol)、DMAP(137mg、1.12mmol)および無水THF(25ml)の攪拌混合物を、0℃まで冷却した後、EDC(206mg、1.07mmol)を加えた。その混合物、16時間にわたって、室温まで暖め、次いで、減圧下にて、濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM中の5%メタノール)で精製すると、白色発泡体(425mg、92%)として、表題化合物が得られた:
【0159】
【化38】


([3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(イソキノリン−1−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル)
【0160】
【化38A】

この副題化合物を、方法Fで記述した手順と類似の手順を使用して調製し、白色発泡体(268mg、63%)を得た:
【0161】
【化39】


(方法K:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−[1−(イソキノリン−1−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸トリフルオロ酢酸塩)
【0162】
【化40】

トリフルオロ酢酸(5ml)の無水DCM(5ml)氷冷溶液を、[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(イソキノリン−1−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸tert−ブチルエステル(240mg、0.51mmol)の無水DCM(15ml)攪拌氷冷溶液に加えた。その混合物を、0℃で、2時間、そして4℃で、40時間攪拌した。この混合物を減圧下にて濃縮し、その残留物を無水DCMに溶解した。過剰のトリフルオロ酢酸を除去するために、この工程を4回繰り返した。そのゴム状物をジエチルエーテルで粉砕すると、灰白色固体(126mg、53%)として、表題化合物が得られた。
【0163】
【化41】


【0164】
(実施例3:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−ベンジル−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸(化合物3))
【0165】
【化42】

(方法L:(S)−1−ベンゾイル−2−ピペリジンカルボン酸メチルエステル)
【0166】
【化43】

(S)−ピペリジンカルボン酸メチルエステル塩酸塩(1.009g、5.65mmol)の無水DCM(7ml)攪拌懸濁液を、0℃で、ジイソプロピルアミン(3ml、17.34mmol)で処理し、次いで、塩化ベンゾイル(0.72ml、6.21mmol)で処理した。次いで、得られた混合物を、0℃で、4時間攪拌した後、DCMで希釈した。得られた溶液を、1N HCl、飽和NaHCO水溶液、飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして濃縮すると、オイルが現れた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の20%酢酸エチル)で精製すると、無色オイル(1.221g、87%)として、表題化合物が得られた:
【0167】
【化44】


(方法M:(S)−1−ベンゾイル−2−ピペリジンカルボン酸)
【0168】
【化45】

水(5ml)中のメタノール(5ml)の溶液中の(S)−1−ベンゾイル−2−ピペリジンカルボン酸メチルエステル(1.221g、4.94mmol)の攪拌溶液を、0℃で、水酸化カリウム(305mg、5.43mmol)で処理した。得られた混合物を、0℃で、2時間攪拌した。次いで、追加量の水酸化カリウム(111mg、1.97mmol)を加え、得られた混合物を1.5時間攪拌し、次いで、濃縮した。次いで、得られた水溶液をDCMで洗浄し、残留している水層を1N HClで酸性にした。得られた溶液を酢酸エチルで抽出し、その有機物を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして濃縮すると、結晶性固形物(870mg、76%)が現れた:
【0169】
【化46】

次いで、(S)−1−ベンゾイル−2−ピペリジンカルボン酸を、方法J、FおよびKで記述した手順と類似の手順にかけることにより、この表題化合物を調製した。その生成物を、RP−HPLC(MeCN/HO)後、白色発泡体(25mg、最終工程で10%)として、単離した。
【0170】
【化47】


【0171】
(実施例4:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(2−メチル−4−トリフルオロ−チアゾール−5−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸(化合物4))
【0172】
【化48】

方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、表題化合物を調製した。その生成物を、白色発泡体(27.1mg、最後の工程で8%)として、単離した:
【0173】
【化49】


【0174】
(実施例5:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(7−メトキシベンゾフラン−2−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸(化合物5))
【0175】
【化50】

方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、表題化合物を調製した。その生成物を、白色発泡体(24.0mg、最後の工程で12%)として、単離した:
【0176】
【化51】


【0177】
(実施例6:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(3−クロロ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸(化合物6))
【0178】
【化52】

方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、表題化合物を調製した。その生成物を、白色発泡体(163mg、最後の工程で38%)として、単離した:
【0179】
【化53】


【0180】
(実施例7:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(3−クロロチオフェン−2−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸(化合物7))
【0181】
【化54】

方法H〜J、FおよびKで記述した手順と類似の手順を使用して、表題化合物を調製した。その生成物を、白色発泡体として、単離した:
【0182】
【化55】


【0183】
(実施例8:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−(ベンゾフラン−2−カルボニル)−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸(化合物8))
【0184】
【化56】

方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、表題化合物を調製した。その生成物を、白色発泡体(3.7mg、最後の工程で6%)として、単離した:
【0185】
【化57】


【0186】
(実施例9:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−[2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−チアゾール−4−カルボニル]−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸(化合物9))
【0187】
【化58】

方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、表題化合物を調製した。その生成物を、白色発泡体(31mg、最後の工程で11%)として、単離した:
【0188】
【化59】


【0189】
(実施例10:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−[1−[2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−4−カルボニル]−2−ピペリジンカルボキサミド]−ペンタン酸(化合物10))
【0190】
【化60】

方法A〜Gで記述した手順と類似の手順を使用して、表題化合物を調製した。その生成物を、白色発泡体(82mg、最後の工程で18%)として、単離した:
【0191】
【化61】


【0192】
(実施例11:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−3−{[1−(3−メチル−5−フェニル−チオフェン−2−カルボニル)ピペリジン−2−カルボニル]−アミノ}−4−オキソ−ペンタン酸(化合物11))
【0193】
【化62】

方法N:5−ブロモ−3−メチル−チオフェン−2−カルボアルデヒド
3−メチルチオフェン−2−カルボアルデヒド(10g、0.079mol)のジクロロメタン(10ml)溶液を、室温で、臭素(4.08ml、0.079mol)のジクロロメタン(15ml)攪拌溶液に滴下した。得られた混合物を、3時間にわたって、還流温度まで加熱した後、室温まで冷却し、水(3×50ml)、飽和NaHCO溶液(2×25ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を除去して、褐色固形物(14.7g、収率66%)として、副題化合物を得た:
【0194】
【化63】


方法O:3−メチル−5−フェニル−チオフェン−2−カルボアルデヒド
5−ブロモ−3−メチル−チオフェン−2−カルボアルデヒド(1.00g、4.88mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(9ml)溶液に、フェニルボロン酸(0.773g、6.34mmol)、2M NaCO溶液(6.3ml)およびPd(PPh(0.282g、0.24mmol)を加えた。その混合物を18時間加熱し、冷却し、減圧下で溶媒を除去すると、褐色残留物が残り、これを、水(15ml)とジクロロメタン(20ml)との間で分割した。その有機物を分離し、水(2×5ml)、ブライン(10ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして減圧下で溶媒を除去して、褐色オイルを得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(6:1のペトロール40〜60℃/酢酸エチル)で精製すると、黄色オイル(0.90g、収率91%)として、副題が得られた:
【0195】
【化64】


方法P:3−メチル−5−フェニル−チオフェン−2−カルボン酸
3−メチル−5−フェニルチオフェン−2−カルボアルデヒド(0.200g、0.99mmol)および2−メチル−2−ブテン(2.77g、0.040mol)のジメチルホルムアミド(4ml)攪拌溶液に、0℃で、水(5ml)中のNaClO(0.894g、9.89mmol)およびNaHPO(1.09g、7.91mmol)を加えた。その溶液を室温まで暖め、そして18時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、その残留物を、ジクロロメタン(10ml)と1N HCl溶液(10ml)との間で分割した。その有機物を分離し、その水層をジクロロメタン(2×5ml)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、減圧下にて溶媒を除去して、黄色オイルを得た。フラッシュクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ペトロール40〜60℃)で精製すると、白色固形物(0.14g、収率69%)として、副題化合物が得られた:
【0196】
【化65】


方法Q:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−3−{[1−(3−メチル−5−フェニル−チオフェン−2−カルボニル)−2−ピペリジン−2−カルボニル]−アミノ}−4−オキソ−ペンタン酸
方法F、H〜Kで記述した手順と類似の手順を使用して、3−メチル−5−フェニル−チオフェン−2−カルボン酸から、表題化合物を調製した。その生成物を、白色発泡体(0.066g、収率81%)として、単離した:
【0197】
【化66】


【0198】
(実施例12:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−3−({1−[3−メチル−5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボニル]−ピペリジン−2−カルボニル}−アミノ)−4−オキソ−ペンタン酸(化合物12))
【0199】
【化67】

方法F、H〜K、N〜Pで記述した手順と類似の手順を使用して、3−メチルチオフェン−2−カルボアルデヒドから、表題化合物を調製した。その生成物を、淡桃色固形物(0.16g、94%)として、単離した:
【0200】
【化68】


【0201】
(実施例13:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−({1−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−チオフェン−2−カルボニル]−ピペリジン−2S−カルボニル}−アミノ)−ペンタン酸(化合物13))
【0202】
【化69】

方法F、H〜K、N〜Pで記述した手順と類似の手順を使用して、チオフェン−2−カルボアルデヒドから、表題化合物を調製した。その生成物を、淡黄色固形物(0.23g、93%)として、単離した:
【0203】
【化70】


【0204】
(実施例14:[3S/R,(2S)]−5−フルオロ−4−オキソ−3−{[1−(ピリジン−2−カルボニル)−ピペリジン−2−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸(化合物14))
【0205】
【化71】

方法F、H〜Kで記述した手順と類似の手順を使用して、ピリジン−2−カルボン酸から、表題化合物を調製した。その生成物を、白色固形物(0.10g、93%)として、単離した:
【0206】
【化72】


【0207】
(実施例15:[3S/R,(2S)]−3−{[1−(ビフェニル−3−カルボニル)ピペリジン−2−カルボニル]−アミノ}−5−フルオロ−4−オキソ−ペンタン酸(化合物15))
【0208】
【化73】

方法F、H〜Kで記述した手順と類似の手順を使用して、3−ビフェニルカルボン酸から、表題化合物を調製した。その生成物を、白色固形物(0.13g、97%)として、単離した:
【0209】
【化74】


【0210】
(生物学的方法)
(実施例16:酵素アッセイ)
カスパーゼ阻害についてのアッセイは、精製した組換え型ヒトカスパーゼ−1、−3、−7または−8による蛍光原性基質に基づいている。これらのアッセイは、WO01/42216で報告された様式と実質的に同じ様式で、実行する。
【0211】
実施例1〜15の化合物は、カスパーゼ−1、−3および−8に対して、5,000M−1−1より大きいのKinact値を有する。
【0212】
(実施例17:末梢血単核細胞(PBMC)の混合集団からのIL−1β分泌の阻害)
カスパーゼ−1のプレIL−1βのプロセシングは、種々の細胞源を使用して、細胞培養物で測定できる。健康なドナーから得たヒトPBMCは、リンパ球細胞および単核細胞の混合集団を提供し、これらは、多くの種類の生理学的刺激装置に応答して、一連のインターロイキンおよびサイトカインを産生する。末梢血単核細胞の混合集団からのIL−1β分泌の阻害に使用されるアッセイ条件は、WO01/42216で見出だされる。
【0213】
上記化合物の阻害効力は、IC50値で表わすことができ、これは、正対照と比較して、その上澄み液中で成熟IL−1βの50%が検出される阻害剤濃度である。本発明の化合物10は、上記方法で決定したように、末梢血単核細胞からのIL−1β分泌の阻害について、0.5μM未満のIC50を示した。
【0214】
(実施例18:抗−Fas誘発アポトーシスアッセイ)
細胞アポトーシスは、Fas配位子(FasL)をそのレセプタであるCD95(Fas)に結合することにより、誘発できる。カスパーゼ−8−媒介アポトーシス経路の阻害に対する化合物の効果を測定するためのアッセイ条件は、WO01/42216に見出だされる。
【0215】
本発明の化合物3は、このFAS誘発アポトーシスアッセイにおいて、0.05μM未満のIC50を示した。
【0216】
(実施例19:全血からのTNF放出の阻害)
ヒト血液を健康なドナーから新たに引き出し、そして真空容器で収集した。血液を、無菌容器にて、PBS(組織培養物、発熱物質なし)中で、1:2で希釈し、そして反転してよく混合した。血液混合物の0.5mlアリコートを、96ウェルフォーマットで、クラスターチューブに分配した。
【0217】
これらの化合物の100mM DMSOストックを取り出し、エッペンドルフにて、RPMI媒体中で、1:10に希釈して、10mMストックを得ることにより、これらの試験化合物の希釈物を調製した。これらのストック溶液から、1:5の連続希釈物を調製した。
【0218】
LPSを、PBS中にて、凍結ストック(−20℃)で保ち、次いで、RPMI媒体で、1:10まで希釈し、最終的に、この媒体中にて、再度、1:350に希釈した。これらの血液試料に、各試験化合物(第一濃度は、100μMであった)50μlを加え、次いで、10μl LPS(そのウェル中の最終濃度は、5ng/mlであった)で刺激した。それらの内容物を、8ウェルマルチチャンネルピペットを使用して穏やかに混合し、そして37℃で、一晩インキュベートした。このインキュベーション時間の終わりに、内容物を穏やかに混合し、次いで、1000×gで、5分間にわたって、20℃で、遠心沈殿した。その血清上澄み液を、そのRBCsを乱すことなく、新しいプレートに移し、そして希釈剤RD6Cで1:2に希釈した。
【0219】
R+DシステムELISAキットを使用し、R+Dシステムプロトコルを使用して、上澄み液のTNF−αレベルをアッセイした。試料を、450nmで読み取った。本発明の最も好ましい化合物は、全血中にて、LPS−誘発TNF−αアッセイで、6μM未満のIC50を示した。
【0220】
本発明の化合物10は、全血中にて、LPS−誘発TNF−αアッセイで、6μM(5044nM)未満のIC50を示した。
【0221】
本発明者は、本発明の多数の実施形態を記述しているものの、本発明者の基本的な例は、他の実施形態(これらは、本発明の化合物および方法を利用する)を提供するように変更できることが明らかである。従って、本発明の範囲は、特定の実施形態(これらは、一例として、表わされている)よりもむしろ、添付の請求の範囲で規定され得ることが理解できるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2010−202652(P2010−202652A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65250(P2010−65250)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【分割の表示】特願2002−583426(P2002−583426)の分割
【原出願日】平成14年4月19日(2002.4.19)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】