説明

カップ内面のレジスト除去装置とレジスト除去用治具とレジスト除去方法

【課題】被処理物を固定する回転台を囲うカップの内面に付着するレジストの除去を行なうに当たり、作業員によるレジスト除去作業の負担が解消されると共に、レジストの除去が必要十分な溶剤によって確実に、しかも簡単な装置の付加だけて行なえるカップ内面のレジスト除去装置とレジスト除去用治具とレジスト除去方法を提供する。
【解決手段】回転台3に脱着自在にレジスト除去用治具31を固定する。上方より治具31にレジストを溶解させる溶剤をノズル12から供給する。治具31は、ノズル12からの溶剤を受ける筒状の受部31bと、回転台3に固定する固定部31cと、回転台3の回転により受部31bに溜まる溶剤を遠心力により22カップの内面に噴出させる噴出部31dを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子部品用の基板やIC用ウエハ等の板状被処理物からレジストを除去する装置やレジストを塗布する装置において、被処理物を固定する回転台を覆うカップの内面に付着するレジストを除去する装置とその治具とその除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品用基板やIC用ウエハ等の板状被処理物にレジストを塗布し、露光後に露光箇所または非露光箇所のレジストを溶剤により溶解させて除去(剥離)する場合、下記のような工程が採用される。すなわち、回転台上に被処理物を固定し、この被処理物の上方より例えばアセトン等のレジスト溶解用溶剤を供給する。そして回転台と共に被処理物を回転させて溶剤と共に前記露光箇所または非露光箇所のレジストを溶解流出させ、半径方向に飛散させる。このとき、回転台の周囲には、レジストと溶剤がレジスト除去装置の周囲に飛散することを防止するため、上部の径がテーパー状に小さくなったカップが設置される。
【0003】
前記カップは、上下伸縮式に、すなわち上端の高さが前記回転台より高い位置と低い位置が取れるように構成される(例えば特許文献1参照。)。その理由は、被処理物を前記回転台にセットするときにはカップが邪魔にならないようにするためにカップの位置を低くする一方、溶剤によりレジストを除去する際には、溶剤に溶解したレジストがレジスト除去装置の周囲に飛散を防止するために、カップの位置を高くする必要があるからである。
【0004】
このようなレジスト除去装置において、カップ内面にレジストの微粒子が粘性のある流体として残ると、伸縮式カップの縮小が円滑に行なわれなくなる事態が発生する。このようにカップの縮小が不完全になると、前記回転台に対する被処理物のセットが困難となる。このため、前記特許文献1にも記載されているように、伸縮自在に嵌合される内外のカップの接触部に上方からレジストを溶解する溶剤を流下させてレジストを溶剤と共に流下させることが行なわれる。この作業は、作業員が手作業により溶剤を入れた容器(洗瓶)を開けて溶剤を流下させることにより行なっている。
【0005】
例えば特許文献2、3に示されるようなレジスト塗布装置においても、レジストの周囲への飛散を防止するために回転台の周囲を覆うカップが設けられる。このレジスト塗布装置に用いられるカップが非伸縮式であっても、カップ内面に付着し残留するレジストを溶剤により溶解し除去する作業が作業員の手作業により行なわれる。
【0006】
【特許文献1】特開2002−110503号公報
【特許文献2】特開平6−252038号公報
【特許文献3】特開平8−31722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のように、従来は、カップの内面に付着、残留するレジストを溶剤により除去する作業を作業員が人手により行なっていたため、作業員により溶剤の使用量や仕上がりにばらつきがあり、レジストが十分に除去されなかったり、溶剤を不必要に大量に使用することがあるという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、被処理物を固定する回転台を囲うカップの内面に付着するレジストの除去を行なうに当たり、作業員によるレジスト除去作業の負担が解消されると共に、レジストの除去が必要十分な溶剤によって確実に、しかも簡単な装置の付加だけて行なえるカップ内面のレジスト除去装置とレジスト除去用治具とレジスト除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1のカップ内面のレジスト除去装置は、板状被処理物を回転台に固定し、前記被処理物を上面開口のカップにより囲み、前記回転台を回転させながら、前記被処理物にレジストまたはその溶剤を導入してレジストの塗布または除去する装置に用いられ、前記カップの内面に付着するレジストを除去する装置であって、
前記回転台に脱着自在に固定される治具と、
上方より前記治具にレジストを溶解させる溶剤を供給するノズルを有する溶剤供給装置とを備え、
前記治具は、前記回転台に脱着自在に固定される固定部と、前記溶剤供給装置からの溶剤を受ける筒状の受部と、前記回転台の回転により前記受部に溜まる溶剤を遠心力により前記カップの内面に噴出させる噴出部とを有する
ことを特徴とする。
【0010】
請求項2のカップ内面のレジスト除去装置は、請求項1において、
前記治具の前記噴出部は前記筒状の受部に設けられた管からなり、この管の先端が前記回転台の下部に設けられた回転台駆動モータを覆うカバーの上面の周辺部より外側に位置する
ことを特徴とする。
【0011】
請求項3のカップ内面のレジスト除去用治具は、板状被処理物を回転台に固定し、前記被処理物を上面開口のカップにより囲み、前記回転台を回転させながら、前記被処理物にレジストまたはその溶剤を導入してレジストの塗布または除去する装置に用いられ、前記カップの内面に付着するレジストを除去する治具であって、
前記回転台に脱着自在に固定される固定部と、
上方より供給されるレジスト溶解用溶剤を受ける筒状の受部と、
前記回転台の回転により前記受部に溜まる溶剤を遠心力により前記カップの内面に噴出させる噴出部とを有する
ことを特徴とする。
【0012】
請求項4のカップ内面のレジスト除去方法は、板状被処理物を回転台に固定し、前記被処理物を上面開口のカップにより囲み、前記回転台を回転させながら、前記被処理物にレジストまたはその溶剤を導入してレジストの塗布または除去する装置に用いられ、前記カップの内面に付着するレジストを除去する方法であって、
前記回転台に溶剤の受部と噴出部とを有するレジスト除去用治具を固定し、
前記治具にレジストを溶解させる溶剤を供給しながら、前記回転台の回転により前記受部に溜まる溶剤を遠心力により前記カップの内面に前記噴出部から噴出させることにより、カップ内面のレジストを除去する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明は、回転台に固定したレジスト除去用治具に溶剤供給装置から溶剤を供給し、回転台の回転を利用してカップ内面に飛散させてカップ内面のレジスト除去を行なうものである。このため、人の手作業によりレジスト除去作業を行なう場合のような溶剤使用量のばらつきや仕上がりのばらつきが無くなり、カップ内面のレジストを過不足のない一定の溶剤量で確実に除去することができる。また、作業員は治具をセットするだけでよいので、人的作業を軽減できる。また、溶剤の量を減らせるので、作業環境にもよい。
【0014】
また、請求項1のカップ内面のレジスト除去装置に含まれるレジスト除去用治具は、装置に元々備わっている回転台を利用して取付けられるものであるから、脱着が容易で構造も簡単なものである。また、レジスト除去用治具に溶剤を供給する溶剤供給装置は、レジスト除去装置においては元々備わっているものであるから、このカップ内面のレジスト除去装置を実現するにはレジスト除去用治具を付加するだけで容易かつ安価に実現できる。また、レジスト塗布装置に適用するにしても、レジスト塗布装置に元々備わっている被処理物の裏面への溶剤供給装置に分流機構を設ける等して実現できるので、いずれの装置においても比較的容易かつ安価に実現できる。
【0015】
請求項2の発明においては、レジスト除去用治具の溶剤の噴出口が回転台駆動モータのカバーの外側に位置するので、モータに溶剤が浸入してモータに悪影響を与えることが防止できる。
【0016】
請求項3の発明においては、レジスト除去用治具が回転台に取付け可能であって、溶剤供給装置からの溶剤の受部と、回転台の回転に伴う遠心力による溶剤の噴出が可能であるから、これを溶剤供給装置のあるレジスト塗布装置またはレジスト除去装置に適用することにより、カップ内面のレジストの除去が可能となる。従って、人の手作業によりレジスト除去作業を行なう場合のような溶剤使用量のばらつきや仕上がりのばらつきが無くなり、カップ内面のレジストを過不足のない一定の溶剤量で確実に除去することができる。また、作業員は治具をセットするだけでよいので、人的作業を軽減できる。また、溶剤の量を減らせるので、作業環境にもよい。
【0017】
また、回転台を利用して溶剤の飛散を行なわせるものであるため、レジスト除去用治具は簡単な構造であり、安価に提供できる。
【0018】
請求項4のカップ内面のレジスト除去方法は、回転台に取付けるレジスト除去用治具を用い、この回転台に溶剤を供給しながら、回転台の回転を利用してカップ内面への溶剤の飛散を行なわせるものであり、溶剤の供給は、既存の装置あるいは新たに設けた装置により行なうことができる。従って、人の手作業によりレジスト除去作業を行なう場合のような溶剤使用量のばらつきや仕上がりのばらつきが無くなり、カップ内面のレジストを過不足のない一定の溶剤量で確実に除去することができる。また、作業員は治具をセットするだけでよいので、人的作業を軽減できる。また、溶剤の量を減らせるので、作業環境にもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明のカップ内面のレジスト除去方法を適用するレジスト除去装置の一例を示す側面断面図である。1は溶剤の受板であり、この受板1は、図2に示すように、レジスト除去装置のフレーム2の上部に固定されたものである。この受板1は中央部に開口部1aを有し、この開口部1aに回転台3の駆動モータ4が、下記の構造で取付けられる。
【0020】
すなわち、開口部1aには、回転台駆動モータ4の取付けフレーム5が固定され、その上部に、モータ4のハウジング4aの上端が固定され、回転軸4bの下部は、前記フレーム2に取付けられた軸受6により回転自在に支持される。
【0021】
前記取付けフレーム5の上部には、モータ4のカバー7が設けられる。このカバー7には被処理物11の裏面のレジストを含む溶剤を除去するための溶剤供給用ノズル(図示せず)が取付けられる。モータ4の回転軸4bは、前記カバー7の中心穴7aに挿通し、上端に円盤状の回転台3の中心部が取付けられる。
【0022】
前記回転台3および回転軸4bの中心には吸気孔9が設けられ、前記軸受6の下部には、不図示の真空吸引装置の吸引用配管に接続される接続具10が設けられている。従って、回転台3に板状の基板やウエハ等の被処理物11を、不図示の装置によりセットし、モータ4を駆動して回転軸4bを回転駆動すると同時に、真空吸引装置を作動させて吸気孔9の気圧を低下させることにより、被処理物11を回転台3に固定した状態で回転駆動することができる。
【0023】
12は前記被処理物11の中心部に溶剤を供給する溶剤供給装置のノズルである。このノズル12には、不図示の溶剤タンクから不図示のポンプにより溶剤配管13を介して溶剤が供給され、被処理物11に流下させる。
【0024】
図3は前記ノズル12の位置を水平方向、上下方向に変更する装置を説明する側面図である。14は前記フレーム2に取付けられた昇降シリンダであり、前記ノズル12を支持したノズル取付けアーム15を昇降させるものである。この昇降シリンダ14には空気圧シリンダまた液圧シリンダが用いられる。この昇降シリンダ14のピストンロッドには、フレーム2に固定されたガイド16に沿って昇降自在な昇降フレーム17が結合される。
【0025】
昇降フレーム17にはノズル12を支持するアーム15の向きを変更するためのモータ19が取付けられ、その回転軸19aは前記アーム15を上端に連結したロッド20が結合される。このロッド20は、前記受板1に固定した筒状の軸受21に回転自在にかつ昇降自在に支持される。従って、前記昇降シリンダ14の伸縮によりノズル12の高さが変更可能であり、また、モータ19の作動によりノズル12の位置を被処理物11の上と、カップ22の外に位置させることができる。また、このモータ19による回動を規制してノズル12の位置を被処理物11の真上と、カップ22の外側の退避位置に正確に位置決めするための位置検出機構が設けられるが、詳細を省略する。
【0026】
本実施の形態のカップ22は、前記受板1に下端が固定された外カップ22aと、その内側に昇降自在に嵌合された中カップ22bと、その内側に昇降自在に
嵌合された内カップ22cとからなる。図4に示すように、中カップ22bの上端と、内カップ22cの下端には、それぞれ内向き、外向きの係止部22d、22eが形成され、カップ22を引き上げるときに、内カップ22cの係止部22eが中カップ22bの係止部22dに当接すると、中カップ22cの引き上げに伴い、中カップ22bも引き上げられる。
【0027】
次に図2と、図5の平面図とにより、カップ22を伸縮させる装置について説明する。前記フレーム2の下部にはカップ22を伸縮させるための伸縮シリンダ23が取付けられる。24は伸縮シリンダ23の伸縮により昇降する昇降フレーム、であり、伸縮シリンダ23は昇降フレーム24の中心に結合される。25は昇降フレーム24を傾きなく昇降自在にガイドするガイド装置である。26は昇降フレーム24に90度ずつ隔てて設けた支柱である。各支柱26には、前記受板1に設けた筒状軸受27に昇降自在に嵌合したロット29が取付けられている。各ロッド29は、前記内カップ22cに結合される。従って、伸縮シリンダ23伸長させると、図1、図2に実線で示すようにカップ22の頂部が回転台3より高くなり、伸縮シリンダ23を縮小すると、カップ22は縮小され、カップ22の頂部は回転台3より低い位置になる。
【0028】
30はカップ22の内面に衝突して流下するレジストを溶解させた溶剤を排出させる排出口である。
【0029】
このレジスト除去装置は、通常のレジスト除去作業では、まず、図2に二点鎖線で示すように、カップ22を縮小しておく。そして、回転台3に板状の基板やウエハ等の被処理物11をセットする。次に伸縮シリンダ23の伸長により、図1に示すようにカップ22を持ち上げる。そしてモータ4により回転軸4bを回転駆動すると同時に、真空吸引装置を作動させて吸気孔9の気圧を低下させることにより、被処理物11を回転台3に固定した状態で例えば2000〜3000rpmで回転駆動する。そして、被処理物11の真上に位置設定したノズル12から溶剤33を被処理物11の中心部に供給する。すると、溶剤は被処理物11上を遠心力により被処理物11の外周側へと流れながら可溶解状態になっている部分のレジストを溶解させ、溶解させたレジストと共にさらに被処理物11の外周からカップ22の内面へと飛散させる。そしてレジストを含む溶剤はカップ22の内面を経て受板1に至り、排出口30から排出される。また同時に、被処理物11の裏面に周り込むレジストを含む溶剤を除去するため、カバー7に取付けられたノズルより被処理物11の裏面に溶剤を噴射して供給する。
【0030】
図6の平面図および図7は本発明によるカップ内面のレジスト除去用治具31の一実施の形態を示す。この治具31は、例えばポリプロピレン樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の樹脂、あるいはステンレス鋼などにより作製される。この治具31は、底部31aを有する筒状をなす溶剤の受部31bと、その下部に設けられ、回転台3に嵌合される構造の回転台3への固定部31cと、受部31bに放射状に設けられる管により構成される溶剤の噴出部31dとを有する。筒状をなす受部31bの上部は、受部31bに供給される溶剤の漏れを防止するため、上部ほど小径となるようなテーパー部31eとして形成している。前記底部31aの下面は、真空吸引において強固に治具31が固定されるように、平滑面に形成する。
【0031】
図8は前記治具を回転台3に固定してカップ22の内面に付着するレジストを除去している状況を示す図である。治具31は、筒状の固定部31cを回転台3に嵌合し、真空吸引装置により吸気孔9の空気を吸気することにより、被処理物11の代わりにこの治具31を固定することができる。この治具31を回転台3に固定し、前記昇降シリンダ14やモータ19の作動により、ノズル12の位置を、治具31の中心に溶剤が供給できる位置にセットし、前記伸縮シリンダ23を伸長させてカップ22を持ち上げた状態にする。そして、モータ4を駆動して治具31を回転させる。そしてノズル12よりアセトン等の溶剤33を供給して受部31bに供給する。受部31bに入った溶剤33は、遠心力により噴出部31dより出て飛散し、カップ22の内面に至る。カップ22の内面に至った溶剤は、カップ内面に付着した粘性の高いレジストを溶かしながら流下する。従って、カップ22の内面の溶剤を除去することができる。
【0032】
このように、本発明は、回転台3にレジスト除去用治具31を固定し、この治具31に溶剤供給装置のノズル12から溶剤を供給し、回転台3の回転を利用してカップ22の内面に飛散させてカップ22の内面のレジスト除去を行なうものである。このため、回転台3にレジスト除去用治具31をセットした後は、作業員は装置から離れた位置でカップ22の内面のレジスト除去作業を行なうことができる。従って、人の手作業によりレジスト除去作業を行なう場合のような溶剤使用量のばらつきや仕上がりのばらつきが無くなり、カップ内面のレジストを過不足のない一定の溶剤量で確実に除去することができる。また、作業員は治具31をセットするだけでよいので、人的作業を軽減できる。また、溶剤の量を減らせるので、作業環境にもよい。
【0033】
また、レジスト除去用治具31は、レジスト除去装置に元々備わっている回転台3を利用して取付けられるものであるから、脱着が容易で構造も簡単なものである。また、レジスト除去用治具31に溶剤を供給するノズル12等の溶剤供給装置は、レジスト除去装置においては元々備わっているものであるから、このカップ内面のレジスト除去装置を実現するにはレジスト除去用治具31を付加するだけで容易かつ安価に実現できる。
【0034】
また、本発明をレジスト塗布装置に適用するにしても、レジスト塗布装置に元々備わっている被処理物の裏面への溶剤供給装置に分流機構を設ける等して実現できるので、いずれの装置においても比較的容易かつ安価に実現できる。
【0035】
この実施の形態において、噴出部31dによる溶剤33の飛散先は、中カップ22bの係止部22dと内カップ22cの係止部22eとが重なった部分32とすることが、この部分にレジストの残留しやすい意味において好ましい。このカップ内面のレジスト除去を行なう場合の回転台3の回転数は、図7に示す噴出角θが40度で、噴出部の先端からカップ22までの距離が約30cmの場合、300rpmとした。この回転数は前記噴出角θや、噴出部の先端からカップ22までの距離により変更される。また、噴出部31dの数は、ノズル12からの溶剤の供給量や回転台3の回転数に応じて増減すべきであり、一概には決められないが、一般的には1本ないし4本程度することが好ましい。
【0036】
また、噴出部31dは筒状の受部31bの側面に設けた孔により構成してもよいが、この実施の形態で示したように、噴出部31dを管により構成することが、溶剤を目標とする高さに飛散させやすい上、治具31の小型化の面で好ましい。
【0037】
またこの実施の形態のように噴出部31dの先端を、回転台駆動モータ4のカバー7の外側に位置させることにより、モータ4に溶剤が浸入してモータに悪影響を与えることを防止できる。
【0038】
本発明は、カップ22が非伸縮式である場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を適用するレジスト除去装置の一例を示す側面断面図である。
【図2】図1のレジスト除去装置のカップの伸縮装置を示す側面図である。
【図3】図1の装置の溶剤供給装置の構成を示す側面図である。
【図4】図1の装置のカップの係止部を示す側面断面図である。
【図5】図2に示した昇降フレームに対するカップ伸縮装置を示す平面図である。
【図6】本発明によるカップ内面のジスト除去用治具の一実施の形態を示す平面図である。
【図7】図6のレジスト除去用治具の部分断面側面図である。
【図8】本発明のカップ内面のレジスト除去方法を実施する装置の一実施の形態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1:受板、2:フレーム、3:回転台、4:回転台駆動モータ、4a:ハウジング、4b:回転軸、5:取付けフレーム、6:軸受、7:カバー、9:吸気孔、10:接続具、11:被処理物、12:溶剤供給用ノズル、13:溶剤配管、14:昇降シリンダ、15:アーム、16:ガイド、17:昇降フレーム、19:モータ、20:ロッド、21:軸受、22:カップ、23:昇降シリンダ、24:昇降フレーム、25:ガイド装置、26:支柱、27:軸受、29:ロッド、30:溶剤排出管、31:レジスト除去用治具、31a:底部、31b:受部、31c:固定部、31d:噴出部、31eテーパー部、32:係止部の重なり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状被処理物を回転台に固定し、前記被処理物を上面開口のカップにより囲み、前記回転台を回転させながら、前記被処理物にレジストまたはその溶剤を導入してレジストの塗布または除去する装置に用いられ、前記カップの内面に付着するレジストを除去する装置であって、
前記回転台に脱着自在に固定される治具と、
上方より前記治具にレジストを溶解させる溶剤を供給するノズルを有する溶剤供給装置とを備え、
前記治具は、前記回転台に脱着自在に固定される固定部と、前記溶剤供給装置からの溶剤を受ける筒状の受部と、前記回転台の回転により前記受部に溜まる溶剤を遠心力により前記カップの内面に噴出させる噴出部とを有する
ことを特徴とするカップ内面のレジスト除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカップ内面のレジスト除去装置において、
前記治具の前記噴出部は前記筒状の受部に設けられた管からなり、この管の先端が前記回転台の下部に設けられた回転台駆動モータを覆うカバーの上面の周辺部より外側に位置する
ことを特徴とするカップ内面のレジスト除去装置。
【請求項3】
板状被処理物を回転台に固定し、前記被処理物を上面開口のカップにより囲み、前記回転台を回転させながら、前記被処理物にレジストまたはその溶剤を導入してレジストの塗布または除去する装置に用いられ、前記カップの内面に付着するレジストを除去する治具であって、
前記回転台に脱着自在に固定される固定部と、
上方より供給されるレジスト溶解用溶剤を受ける筒状の受部と、
前記回転台の回転により前記受部に溜まる溶剤を遠心力により前記カップの内面に噴出させる噴出部とを有する
ことを特徴とするカップ内面のレジスト除去用治具。
【請求項4】
板状被処理物を回転台に固定し、前記被処理物を上面開口のカップにより囲み、前記回転台を回転させながら、前記被処理物にレジストまたはその溶剤を導入してレジストの塗布または除去する装置に用いられ、前記カップの内面に付着するレジストを除去する方法であって、
前記回転台に溶剤の受部と噴出部とを有するレジスト除去用治具を固定し、
前記治具にレジストを溶解させる溶剤を供給しながら、前記回転台の回転により前記受部に溜まる溶剤を遠心力により前記カップの内面に前記噴出部から噴出させることにより、カップ内面のレジストを除去する
ことを特徴とするカップ内面のレジスト除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−237468(P2006−237468A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52953(P2005−52953)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】