説明

ガラス基板梱包装置およびその梱包方法

【課題】ガラス基板とその保護シートの高速搬送を実現し、併せて、高精度で高品質の積載梱包を達成する。
【解決手段】ガラス基板梱包装置は、保護シート3上にガラス基板4が載置される載置ステーションと、保護シート3とガラス基板4とを交互に積載する積載ステーションと、保護シート3上に載置されたガラス基板4を保護シート3と共に保持し、積載ステーションに積載する積載手段としてのガラス基板積載装置とを備える。ここで、ガラス基板積載装置を構成するロボットアームは保護シート3およびガラス基板4を保持する保持部43を有し、この保持部43は、ガラス基板4を吸着する複数の吸着パッド45と、載置された状態のガラス基板4からはみ出た保護シート3の辺縁部分のうち互いに対向する2つの辺縁部3a,3bを挟持する挟持部46とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板と保護シートとを交互にパレット等の積載面上に積載して梱包する技術に関し、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、あるいは有機EL、FED、SEDなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板の積載梱包技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板の保管や輸送に際しては、パレット上に保護シートとガラス基板とを交互に密着して縦姿勢(略鉛直姿勢)又は横姿勢(略水平姿勢)で積層梱包する場合がある。従来、このような梱包作業は、作業者の手作業により行われてきたが、作業効率が悪いことや近年のガラス基板の大型化に伴い、手作業によることが困難となってきた。そこで、これらの点を改善するべく、すなわち、ガラス基板の梱包作業の自動化、生産性や品質の向上を目的として、以下に示す梱包技術が提案されている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、位置決めされたガラス板を吸着支持するガラス板吸着手段と、所定位置に載置された合紙上にガラス板を重ねた状態で上端及び下端からはみ出した一端辺部を吸着する合紙吸着手段と、前記ガラス板吸着手段と前記合紙吸着手段とを取付け固定したハンドと、該ハンドを全方位に移動且つ旋回自在な移動手段とからなり、ガラス板と、このガラス板の反吸着面側に位置する合紙と同時に持上げて、パレットに縦積させるガラス板の移載装置が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、合紙供給装置の所定位置で位置決めされた湾曲ガラス板を吸着支持するガラス吸着手段と、湾曲ガラス板の搬送経路の側方に設置した合紙供給装置の別の所定位置に載置または吊下げ状態にある合紙の上端辺部を把持または吸着により吊下げかつ張設状態で受け取り保持する一対の合紙保持手段と、一対の合紙保持手段を互いに接近させて湾曲ガラス面形状に沿うように弛ませる合紙保持部弛緩手段と、湾曲ガラス板とその外側にて吊下げ弛ませた状態の合紙の両方を同時にパレット上に縦積みする積載ロボットとを有する湾曲ガラス板の積載装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−139138号公報
【特許文献2】特開2005−60063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、液晶ディスプレイに代表されるFPD製品のより一層の普及を図るために更なる生産性の向上やコストダウンが要求されており、そのために梱包時間の短縮も要求されている。しかしながら、従来の梱包技術では、その構造上、ガラス基板等の搬送距離や搬送時間の短縮に限界があり、上記要求に応えるには難しい状況にあった。また、梱包時間の短縮を図るためには保護シートの移送速度を高める必要があるが、保護シートの保持が確実に行われない場合には移送中に当該シートが脱落するといった問題が発生していた。そのため、上記事象が、梱包システムの信頼性を低下させる一因となっていた。
【0006】
この点、例えば上記特許文献1に係る移載装置では、ガラス基板と保護シートをそれぞれ吸着して移送するようにしているが、これらワークの高速搬送時には、当該搬送により生じる風圧を受けて保護シートが変形し易くなり、また、大きく揺れる等して保護シートが吸着手段から外れる事態が生じ得る。そのため、上記移載装置を使用してワークを高速搬送することは困難と言わざるを得ない。また、上記構成では、搬送時に生じる風圧により保護シートの姿勢が安定しないため、ガラス基板と密着させて精密に傾斜パレットに積載することも難しい。
【0007】
また、上記特許文献2において、合紙をチャック等で保持し、この合紙を、先に吸着保持して直立させたガラス基板と重ね合わせるようにする場合には、上記特許文献1に開示の構成のように保護シートが保持手段から外れる可能性は低い。しかしながら、一対の保持部による合紙のチャック箇所が当該合紙の上端辺部に限られている点に鑑みると、保護シートの高速搬送により生じた風圧により保護シートの保持側と反対側の下端辺部が大きく揺れて、安定した姿勢で移送することが難しい。また、シートが大きく揺れている状態でパレット等に積載されると、しわや折れ曲がり等が大きく残った状態で保護シートとガラス基板が積載されることになり、ガラス基板の積層精度に悪影響をおよぼすおそれが生じる。
【0008】
以上の事情に鑑み、本明細書では、ガラス基板とその保護シートの高速搬送を実現し、併せて、高精度で高品質の積載梱包を達成することを本発明により解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題の解決は、本発明に係るガラス基板の梱包装置により達成される。すなわち、この梱包装置は、保護シート上にガラス基板が載置される載置ステーションと、保護シートとガラス基板とを交互に積載する積載ステーションと、保護シート上に載置されたガラス基板を保護シートと共に保持し、積載ステーションに積載する積載手段とを備えるガラス基板梱包装置において、積載手段は、載置状態のガラス基板からはみ出た保護シートの辺縁部分のうち互いに対向する2辺縁を挟持する挟持部を有する点をもって特徴づけられる。
【0010】
このように、ガラス基板が載置された状態の保護シートの、ガラス基板からはみ出た辺縁部分のうち互いに対向する2辺縁を挟持することで保護シートを保持するようにすれば、高速搬送時、保持シートの保持していない側の一辺縁側が大きく揺れて変形する事態を避けることができる。また、ガラス基板が載置された状態の保護シートを挟持することで、保護シートを平坦状に広げた状態で挟持することができる。さらに、保護シートを互いに対向する2辺縁で挟持することによって、例えば吸着の場合のようにその移送方向によっては脱落し易い等の問題を生じることなく、確実に保護シートを保持することができる。以上より、保護シートを離脱させることなく、かつ、風圧により積載手段(搬送用のロボットアームなど)が受ける反力を小さくして高速に移送することが可能となる。また、高速に移送して積載する場合において、保護シートを平坦状に広げた状態を維持してパレット等に積載することができる。そのため、保護シートにしわや折れ曲がり等の変形が生じるのを抑えてガラス基板を高精度で高品質に積載することができる。
【0011】
ここで、挟持部は、保護シートの辺縁部分のうち互いに対向する2辺縁以外の辺縁部分をさらに挟持するように構成されていてもよい。保護シートの辺縁部分のうちガラス基板からはみ出た部分があると、移送時、風圧を受けて大きく揺らぎ易いところ、上述のように、ガラス基板からはみ出た辺縁部分の対向2辺縁のみならず、それ以外の辺縁部分も挟持することで、揺らぎ易い箇所を固定して保護シート全体の揺らぎを一層小さくすることができる。
【0012】
また、挟持部は、各々の辺縁部分をそれぞれ複数箇所で挟持するように構成されていてもよい。通常、保護シートはガラス基板と同等あるいはそれ以上の大きさを有するため、ガラス基板からはみ出た辺縁部分の長手方向寸法も相当な大きさになる。従い、2以上の挟持部で一の辺縁部分を挟持するようにすれば、当該辺縁部分を広範囲にわたって挟持固定することができ、安定性が増す。
【0013】
また、挟持部は、さらに保護シートに張力を付与するように構成されていてもよい。この構成によれば、保護シートの広域にわたって張力を付与し、また、張力を付与した状態を維持して保護シートを移送することができる。そのため、移送時に保護シートが受ける風圧の影響を非常に小さくして、保護シートとガラス基板とを高速かつ安定した姿勢で積載することが可能となる。
【0014】
あるいは、本発明に係る梱包装置が、載置ステーションにおける保護シートに張力を付与する張力付与手段を、挟持部とは別に備えるものであってもよい。この構成によれば、張力を付与した状態の保護シートにガラス基板を載置することで両者の密着性が向上する。そのため、この密着状態を維持してシートとガラス基板をそれぞれ保持して移送することができる。この場合、移送時における保護シートの揺れもほとんど無く、しわや折れ曲がり等も発生しない。また、ガラス基板を載置する前に保護シートに張力を付与するのであれば、保護シートに張力を付与して伸長させる際にガラス基板との摩擦の影響を受けずに済むため、保護シートを保持する際の姿勢が安定する。さらには、張力付与時にガラス基板との位置ずれが生じるのを避けることもできる。
【0015】
なお、保護シートの構造、材質等は特に限定されないが、張力を付与する観点からは、樹脂製がよく、発泡構造をなすものであればさらによい。かかる材質ないし構造を有する保護シートであれば、伸縮性に優れるため比較的小さい張力でもって保護シートを伸長させることができ、ガラス基板と保護シートとの密着性も高めやすい。
【0016】
また、本発明に係る梱包装置は、積載手段によりガラス基板を保護シートと共に保持して取出す取出しステーションを、載置ステーションとは別の位置に備えたものであってもよい。通常、ガラス基板は適当な移送手段により載置ステーション上に移送されることから、ガラス基板の載置動作に要する作業スペースと、積載手段によりガラス基板と保護シートとを共に保持して取出し、積載ステーションに向けて移送するための作業スペースとが重複する可能性が少なくない。これに対して、本発明の如く、ガラス基板と保護シートを保持して取出す取出しステーションを載置ステーションとは別の位置に設けるようにすれば、各作業スペースの重複を避けて、後工程(ここでは保護シートとガラス基板の保持動作)の待ち時間を減らすことができる。従って、梱包作業に係るタクトタイムの短縮を図ることができる。また、各搬送手段の可動スペースが相互に独立して設けられるようになるため、これら一連の梱包システムの信頼性を高めることもできる。
【0017】
また、本発明に係る梱包装置は、載置ステーションに保護シートを供給するシート供給手段をさらに備えるものであってもよく、また、この場合、シート供給手段が、載置ステーションに供給されかつガラス基板が載置された保護シートを取出しステーションまで搬送するように構成されているものであってもよい。シート供給手段がガラス基板の搬送手段を兼ねるようにすることで、保護シートを一定の態様で載置ステーション、そして取出しステーションまで搬送することができる。また、このような構成を採る場合、例えば載置ステーションにおける保護シートに張力を付与する張力付与手段を、シート供給手段の搬送機構と一体化させることもでき、張力を付与した状態で保護シートを載置ステーションに向けて供給することができる。
【0018】
また、本発明に係る梱包装置は、ガラス基板を、ガラス基板が供給される供給ステーションから載置ステーションに移載する移載手段をさらに備えるものであってもよく、また、この場合、移載手段は、ガラス基板の進行方向先端側が下方となるようにガラス基板を傾けた状態で載置ステーションに接近させ、かつ、載置ステーションに接近するにつれて、ガラス基板の姿勢を載置姿勢に近づける移動経路を構成するものであってもよい。タクトタイムの短縮のためには、ガラス基板の保護シート上への移送速度を高めることも重要となるが、単にガラス基板を高速で移送したのでは、移送時にガラス基板から生じる空気の流れで載置ステーション上に配置された保護シートが吹き上げられ、あるいは大きく揺らいだりするおそれがある。これに対して、上記移送経路を構成する移載手段を備えた梱包装置であれば、上記姿勢で接近させることによりガラス基板が受ける空気抵抗を減らして、当該ガラス基板を高速で移送することが可能となる。また、上記の如く姿勢を変えることで、ガラス基板の姿勢変更に起因して生じる空気の流れが主として載置ステーションから遠ざかる向きに発生する。以上より、ガラス基板を高速で移送させつつも、ガラス基板から載置ステーションに向けて生じる空気の流れを弱めることができ、載置ステーション上の保護シートが吹き上げられたり、大きく揺らいだりしてしわや折れ曲がりが生じるのを可及的に防ぐことができる。また、上記移送経路を採る場合、さらに、ガラス基板の下降量に対する水平移動量の割合を高めていきながら載置ステーションに接近させる移送経路を構成することも可能である。この場合、ガラス基板の下降量や水平移動量は、例えばガラス基板の重心位置を基準に評価することができる。上記構成によれば、ガラス基板全体の接近方向に直交するよりもむしろ当該接近方向に沿った向きにガラス基板の姿勢をとって移送することになるので、ガラス基板全体の移送に伴って生じる空気の流れのうち、載置ステーションに向けて生じる空気の流れをさらに弱めることができる。
【0019】
一方、前記課題の解決は、載置ステーションで保護シート上にガラス基板を載置し、載置したガラス基板を保護シートと共に積載ステーションに向けて移送し、積載ステーションにガラス基板と保護シートとを交互に積載する方法であって、保護シート上に載置されたガラス基板を保護シートと共に保持し、積載ステーションに積載する積載手段が設けられ、積載手段は、載置状態のガラス基板からはみ出た保護シートの辺縁部分のうち互いに対向する2辺縁を挟持する挟持部を有するガラス基板の梱包方法によっても達成することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係るガラス基板梱包装置とその梱包方法によれば、ガラス基板とその保護シートの高速搬送を実現し、併せて、高精度で高品質の積載梱包を達成し、もって梱包システムの信頼性向上に寄与することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係るガラス基板梱包装置1の平面図を示す。この梱包装置1は、載置ステーション2において保護シート3上にガラス基板4を載置し、載置したガラス基板4を保護シート3と共に積載ステーション5に向けて移送し、積載ステーション5においてガラス基板4と保護シート3とを交互に積載するための装置である。具体的には、ガラス基板供給装置10と、ガラス基板供給装置10に隣接して配設されたガラス基板4の供給ステーション6においてガラス基板4の供給を受け、載置ステーション2へとガラス基板4を移載するガラス基板移載装置20と、載置ステーション2に隣接して配設され、載置ステーション2に保護シート3を供給する保護シート供給装置30と、保護シート3上に載置されたガラス基板4を保護シート3と共に保持し、かつ、積載ステーション5に積載する積載装置40と、積載ステーション5を有する梱包パレット装置50とを備える。以下、図2に示す梱包装置1の斜視図を主に参照して、各構成要素を詳細に説明する。
【0023】
ガラス基板供給装置10は、ガラス基板4を水平姿勢で搬送するための搬送路11を有するもので、この搬送路11は例えば複数のローラコンベヤ12などで構成される。この図示例では、搬送路11の終端位置に、ガラス基板移載装置20によるガラス基板4の取得を行うための供給ステーション6が配設されている。供給ステーション6においては、後述するロボットアーム22のワーク保持部28を鉛直上下方向に通過させることのできる形状の凹部13が、ガラス基板供給装置10の供給方向の側方に向けて開放した状態で形成されている。そして、供給ステーション6において停止した状態のガラス基板4を凹部13の下方からワーク保持部28によって保持してそのまま上方に取出せるようになっている。なお、図示は省略するが、搬送路11上に適当な位置調整手段を配設して、供給ステーション6上で停止させたガラス基板4の搬送方向位置あるいは搬送直交方向位置を調整するようにしても構わない。
【0024】
ガラス基板移載装置20は、基台21と、基台21上に配設されるロボットアーム22と、ロボットアーム22の動作を制御する制御装置23とを備える。ここで、ロボットアーム22は多関節構造を有し、各関節軸が何れも互いに平行でかつ供給ステーション6上に配置されるガラス基板4の両側端面に沿った向きに配置されている。言い換えると、ワーク保持部28に保持されたガラス基板4の法線が何れの関節軸に対しても常に直交する姿勢を保つように、ロボットアーム22の構造や、供給ステーション6や載置ステーション2に対するロボットアーム22の設置姿勢が設定されている。この図示例では、ガラス基板移載装置20は、図1に示すように供給ステーション6と載置ステーション2との間に形成されるガラス基板4の移送経路の側方に配置されている。
【0025】
ここで、ロボットアーム22について詳述すると、図2に示すように、このロボットアーム22は3軸関節構造をなし、最も基台21側に位置する第1リンク24が基台21に対して立設されると共に、第1ジョイント24aを介して第2リンク25の一端が第1リンク24の他端に連結されている。第2リンク25の他端には第2ジョイント25aを介して第3リンク26の一端が連結されると共に、第3リンク26の他端には、第3ジョイント26aを介してワーク保持部28の手首27が連結されている。各ジョイント24a,25a,26aの近傍にはそれぞれ対応する駆動モータ(第1ジョイント24a用の駆動モータのみ図6において示している)が一体的に配設されており、これら駆動モータも各リンク24,25,26と共にロボットアーム22を構成する。なお、各ジョイント24a,25a,26aに減速機を組み込んでもよく、あるいは減速機付きのモータを上記駆動モータとして使用してもよい。また、この際使用される減速機としてはアーム剛性の一層の向上を図るためバックラッシュの発生を抑えた減速機(例えば、株式会社三共製作所製の零バックラッシュ精密減速機であるローラドライブ(登録商標)など)が好ましい。また、各リンク24,25,26は何れも各ジョイント24a,25a,26aまわりにそれぞれ独立して正逆回転でき、回転角度によりリンク同士あるいは周辺の物体との干渉が生じることがないように構成されている。
【0026】
ワーク保持部28は、搬送路11の供給ステーション6に対応する位置に設けられた凹部13を鉛直上下方向に通過し得る形状を有しており、この図示例では、複数の突起部を並列に配置した、いわゆる櫛歯形状を有する。ワーク保持部28の一面側には複数の吸着パッド29が配設されており、図示は省略するが、ロボットアーム22に接続された真空ポンプなどの減圧手段により、吸着パッド29を押し当てた物体(ガラス基板4)を吸着保持できるようになっている。
【0027】
保護シート供給装置30は、保護シート3の帯状体を巻き取った形態をなすロール状シート31と、引き伸ばしたロール状シート31の張力を一定に保ち、ロール状シート31の引き出し長さを一定に保つための張力調整機構32と、引き出したロール状シート31を所定長さかつ枚葉状(矩形状)に切断するロータリーカッター33と、枚葉状に切断した保護シート3を1枚ずつ載置ステーション2に向けて搬送するための搬送手段とを主に備える。
【0028】
ロール状シート31および保護シート3には、例えば発泡ポリエチレンなど伸縮性を有する材質ないし構造を有するものが使用されるが、特にこれに限定されることはない。保護シート3として公知の材質、構造を有するものである限りにおいて任意のものが使用できる。また、図示は省略するが、予備のロール状シート31を、使用中のロール状シート31と交換できる機構を設けるようにしても構わない。
【0029】
また、搬送手段について詳細に述べると、搬送手段は、ロータリーカッター33の配設位置から載置ステーション2およびガラス基板4の取出しステーション7にまで延在する搬送路34と、搬送路34上に供給された保護シート3を挟持し、該挟持した保護シート3を載置ステーション2ないし取出しステーション7まで搬送する左右一対のチャック部35,35、および、左右一対のチャック部35,35を同期して保護シート3の搬送方向に沿って移動させる第1スライド機構36とで構成される。この図示例では、2組の左右一対のチャック部35,35が搬送方向に沿って配設されており、搬送路34上に載置された保護シート3の左右両側の辺縁部3a、3b(後述する図4を参照)をそれぞれ2個のチャック部35(すなわち計4個のチャック部35)で挟持する。そして、上記2組の左右一対のチャック部35,35が同期して第1スライド機構36により搬送方向に沿って移動することで、上記一対のチャック部35,35により挟持された保護シート3を搬送路34に沿って搬送できるようになっている。なお、第1スライド機構36は、例えばレール構造をなし、チャック部35の側に設けた凹部と、この凹部と嵌合摺動する凸条部とで構成される。後述する第2スライド機構37に関しても同様の構成を有する。
【0030】
また、この実施形態では、個々のチャック部35と第1スライド機構36との間に、チャック部35を第1スライド機構36とは独立してその搬送直交方向にスライドさせることのできる第2スライド機構37が設けられている。この場合、左右一対のチャック部35,35は第1スライド機構36により保護シート3の搬送方向に沿って移動すると共に、この移動とは独立して、保護シート3の搬送方向に直交する向きに相互に接近もしくは離隔できるように構成されている。さらに、この実施形態では、図2もしくは後述する図6に示すように、上記構成の第1および第2スライド機構36,37を有する左右一対のチャック部35’,35’が、既述のチャック部35,35のそれぞれ内側に配設されている。加えて、上記チャック部35’,35’の第1スライド機構36と第2スライド機構37との間には、各スライド機構36,37とは独立してチャック部35’を鉛直上下方向に移動させることのできる第3スライド機構38が設けられている。以上の構成により、外側のチャック部35,35で保護シート3を挟持し載置ステーション2に搬送する際には、内側のチャック部35’,35’を外側のチャック部35,35よりも下方に移動させた状態で搬送方向下流側(載置ステーション2側)から上流側(保護シート3挟持位置側)まで移動させ、内側のチャック部35’,35’で保護シート3を挟持し載置ステーション2に搬送する際には、外側のチャック部35,35を内側のチャック部35’,35’よりも搬送方向側方側に移動させた状態で搬送方向上流側に移動させ、これにより、双方のチャック部35,35’により交互に保護シート3を挟持、搬送できるようになっている。
【0031】
また、例えば図2に示すように、搬送路34上にエアフロート用の多数の噴出孔を設けたエアフロートパネル38を配設するようにしてもよい。このように構成することで、搬送路34上に載置された保護シート3に対してエアを噴射して、搬送時における保護シート3の摩擦抵抗を軽減することができる。また、さらに、上記エアフロートパネル38の間に搬送方向に沿った向きの溝部を形成し、この溝部からガラス基板4を水平方向に押圧するためのバー(図示は省略)を上方に突出させ、上記4個のチャック部35と同期して溝部内を移動させるようにしてもよい。このように構成することで、保護シート3上に載置されたガラス基板4を当該保護シート3と共に取出しステーション7まで搬送することができる。
【0032】
ガラス基板積載装置40は、基台41と、基台41上に配置されるロボットアーム42とを主として備えるもので、ロボットアーム42の可動範囲内に取出しステーション7と積載ステーション5とが含まれる位置に配設される。ロボットアーム42の先端には、ガラス基板4および保護シート3を共に保持するための保持部43が設けられている。ここで、保持部43は、図3に示すように、略格子状のフレーム体44と、フレーム体44の各フレーム辺の一面側に配設され、ガラス基板4を吸着保持するための複数の吸着パッド45と、ガラス基板4が載置された保護シート3の互いに対向する左右の辺縁部3a,3b(図4を参照)をそれぞれ挟持する複数の挟持部46とを有する。挟持部46は一対の爪部からなり、当該一対の爪部のうち例えばシリンダ47等の駆動手段により駆動される可動爪部の開閉動作に伴い、固定側爪部との間で保護シート3を挟持しあるいは開放するようになっている。この図示例では、フレーム体44の両側のフレーム辺にそれぞれ3個の挟持部46が配設されており、取出しステーション7上の保護シート3の左右両側の辺縁部3a,3bをそれぞれ3ヶ所ずつで挟持できるようになっている。
【0033】
また、この実施形態では、複数の挟持部46が配設される両側フレーム辺の間をつなぐ上端フレーム辺に一本のフレーム辺が平行に連結されており、当該連結フレーム辺には、後述する保護シート3の上側辺縁部3c(図4を参照)を吸着保持するための複数の吸着パッド48が配設されている。
【0034】
梱包パレット装置50は、この実施形態では、2台の梱包用パレット51,51と、これら梱包用パレット51,51を載置し、鉛直軸まわりに回転可能なターンテーブル53とを備える。ここで、各梱包用パレット51は何れも所定角傾斜した積載面52を有し、この積載面52上に複数のガラス基板4および保護シート3を交互に積載できるようになっている。この場合、積載ステーション5は、既述のガラス基板積載装置40のロボットアーム42の可動範囲に含まれる側の(あるいはロボットアーム42により近い側の)積載面52と同一の位置に配設される。
【0035】
以下、上記構成に係るガラス基板梱包装置1を用いたガラス基板4の積載梱包作業の一例を説明する。
【0036】
まず、ガラス基板供給装置10により搬送路11上を搬送されるガラス基板4が、搬送路11の末端に位置する供給ステーション6に到達したことを適当なセンサ(図示は省略)により検知し、ローラコンベヤ12を停止する。これにより、ガラス基板4が減速停止し供給ステーション6上にセットされる。そして、上記供給ステーション6上に配置されたガラス基板4の搬送路11側の面(裏面)を、ガラス基板移載装置20に設けたワーク保持部28の吸着パッド29で吸着保持し、当該保持したガラス基板4を表裏反転動作を伴って載置ステーション2に向けて移送する。
【0037】
一方、保護シート供給装置30においては、張力調整機構32およびロータリーカッター33によりロール状シート31から枚葉状の保護シートが定寸に切り出される。切り出された保護シート3は、搬送路34上に供給されると共に、搬送路34の両側に配設された2組の左右一対のチャック部35,35により挟持され、かつ、当該全てのチャック部35が同期して第1スライド機構36により搬送路34に沿って移動することでこれらチャック部35に挟持された保護シート3が載置ステーション2まで搬送される。然る後、ガラス基板移載装置20によりガラス基板4が載置ステーション2に移送され、先に載置ステーション2に搬送され待機していた保護シート3上にガラス基板4が載置される。この実施形態では、保護シート3の切り出し寸法は対応するガラス基板4の縦方向寸法よりも大きく、かつ、保護シート3の左右幅寸法も対応するガラス基板4のそれより大きい。かかる場合、例えば図4に示すように、ガラス基板4の三辺(左右二辺およびこれら二辺とその上端で連続する上辺)から保護シート3が所定寸法(例えば数十mm程度)はみ出す位置にガラス基板4が載置される。さらに、この実施形態では、ガラス基板4の下側辺縁部4aが保護シート3から若干(例えば数mm程度)はみ出す位置にガラス基板4が載置される。これは、仮に保護シート3がその下端辺縁部もはみ出ていた場合には、後述する梱包用パレット51(積載ステーション5)へ積載した際、当該辺縁部が折れ曲がり、この折れ曲がった部分の上にガラス基板4が載置されることになり、ガラス基板4の積載位置にずれ等を生じるのを回避するために成されたものである。
【0038】
また、この実施形態では、載置ステーション2において保護シート3が複数のチャック部35により挟持された状態において、各チャック部35と第1スライド機構37との間に設けた第2スライド機構36により左右一対のチャック部35,35を相互に離隔する向きに移動させることで、保護シート3に所定の張力が付与される。ここでは図2に示すように、保護シート3の四隅をそれぞれチャック部35で引張ることにより、保護シート3全体に張力を付与して保護シート3全面を平坦状に張らせるようにしている。このようにして張力が付与された状態の保護シート3上にガラス基板4を載置することで両者3,4が広範囲にわたって相互に密着した状態で載置される。以上のようにしてガラス基板4が載置された保護シート3は、引き続き左右一対のチャック部35,35によりガラス基板4と共にガラス基板4の取出しステーション7に向けて搬送路34上を搬送される。加えて、この実施形態では、左右一対のチャック部35,35の搬送方向内側に上記構成のチャック部35’,35’を設けるようにしたので、外側のチャック部35,35により保護シート3を挟持し載置ステーション2に搬送するのと同時に、内側のチャック部35’,35’が、外側のチャック部35,35と干渉することなく搬送路34の下流側から上流側へと移動して、ロール状シート31から新たに切り出されて搬送路34上に供給された後続の保護シート3を挟持し載置ステーション2に向けて搬送する。また、内側のチャック部35’,35’により保護シート3を挟持し載置ステーション2に搬送するのと同時に、外側のチャック部35,35が、内側のチャック部35’,35’と干渉することなく搬送路34の下流側から上流側へと移動して搬送路34上に新たに供給された後続の保護シート3を挟持し載置ステーション2に向けて搬送する。よって、保護シート3を挟持して載置ステーション2に搬送し、ガラス基板4を載置した後、さらに取出しステーション7に向けて搬送する上記一連の作業が、外側のチャック部35,35と内側のチャック部35’,35’とにより交互にかつ繰り返し行われる。
【0039】
ガラス基板4の取出しステーション7に到達した保護シート3とガラス基板4は、ガラス基板積載装置40によって保持された後、一方の梱包用パレット51の積載面52となる積載ステーション5に向けて移送されると共に、保護シート3を下にして積載ステーション5上に積載される。詳細には、ロボットアーム42の先端に設けた保持部43の吸着パッド45によりガラス基板4が吸着保持されると共に、保護シート3の辺縁部分のうち載置したガラス基板4からはみ出た両側の辺縁部3a,3b(図4を参照)が保持部43の両側フレーム辺に設けた挟持部46により挟持される。さらに、この実施形態では、保護シート3の辺縁部分のうち、複数の挟持部46で挟持される左右の辺縁部3a,3bをつなぐ上側辺縁部(図4中上側の辺縁部)3cが一列に配設された吸着パッド48により吸着保持される。そして、このようにして保持された保護シート3とガラス基板4とをロボットアーム42により移送することで、保護シート3が移送時に大きく揺動、ばたつき等するのを抑えて、安定した姿勢で保護シート3が積載ステーション5に積載される。
【0040】
また、この実施形態では、張力を付与した状態の保護シート3をガラス基板4と共に保持し積載するようにしたので、保護シート3とガラス基板4との密着性が高まり上記移送時の姿勢も一層安定したものとなる。特に、上述の如くガラス基板4を載置する前に保護シート3に張力を付与することで、保護シート3に張力を付与して伸長させる際にガラス基板4との摩擦の影響を受けずに済む。また、図2や図4の位置関係から分かるように、挟持部46による挟持部位とチャック部35によるチャック部位とをそれぞれ重複しない位置に設定することで、チャック部35により保護シート3をチャックして張力を付与した状態を維持したままで保持部43の挟持部46で保護シート3を挟持することが可能となる。
【0041】
以上の作業を繰り返すことにより、積載ステーション5となる一方の梱包用パレット51の積載面52に保護シート3およびガラス基板4が交互に積載されていく。そして、積載(積層)枚数が所定の数に達すると、これら交互に積層されたガラス基板4と保護シート3とが所定の梱包手段により梱包されると共に、即座にターンテーブル53を回転させて積載ステーション5を他方の梱包用パレット51の積載面52へと切り替える。以上の作業を繰り返すことによって、ガラス基板4の積載梱包作業が自動的に継続実施される。
【0042】
ここで、ガラス基板移載装置20によるガラス基板4の移載動作に関し述べる。例えば図2に示す状態から、第2リンク25を第1ジョイント24aを中心として時計回りに旋回(ガラス基板4を持上げる向きに旋回)させることで、ガラス基板4を表裏反転させて載置ステーション2に移載することも可能であるが、移載作業の高速化およびその際の保護シート3の形態安定性を考慮した場合、より好適なガラス基板4の移送経路を設定することも可能である。以下、ガラス基板移載装置20を用いた移載動作の一例を説明する。
【0043】
まず、図6に示すように、ワーク保持部28を、供給ステーション6上にセットしたガラス基板4の直下に配置する。この際、第2ジョイント25aは第1ジョイント24aおよび第3ジョイント26aよりも上方に位置している。そして、この位置においてワーク保持部28に設けた複数の吸着パッド29をガラス基板4の下面に押し当て、ガラス基板4を吸着保持する。然る後、ガラス基板4を少し上方に持上げた状態から、実質的な移送動作を開始する。すなわち、図7に示すように、第1ジョイント24aまわりに第2リンク25を反時計方向に旋回させると共に、第2リンク25の旋回動作に合わせて第3リンク26も反時計方向に旋回させ、併せて、手首27を第3ジョイント26aまわりに時計方向に回転させる。かかる動作により、ガラス基板4をその移送方向前方側(載置ステーション2に近い側)を上位にして徐々に傾けていきながら持上げていき、載置ステーション2に向けて移動させる。
【0044】
上述のようにしてガラス基板4を載置ステーション2に向けて移動していき、図8に示すように、第2リンク25と第3リンク26とが一直線上に並んでロボットアーム22が鉛直上方に伸びきる位置までガラス基板4を移動させる。同時に、ガラス基板4を立てていき、ロボットアーム22が鉛直上方に伸びきった状態では、ガラス基板4がその先端側の端面を下方に向けて直立した状態にあるように手首27を回転させる。
【0045】
そして、この状態から、引き続き手首27を時計方向に回転させると共に、第2リンク25は時計方向に、第3リンク26は反時計方向にそれぞれ旋回させる(何れも図8を参照)。このようにロボットアーム22を動かすことにより、ガラス基板4全体の位置に直結する第3ジョイント26aを下方に移動させてガラス基板4を下降させると共に、ガラス基板4の進行方向先端側が下方となるようにガラス基板4を傾けた状態で載置ステーション2に向けて接近させていく。また、ガラス基板4の進行方向先端側(載置ステーション2に近い側の端部)を相対的に上昇させ、後端側を相対的に下降させることでガラス基板4の姿勢を水平(載置姿勢)に近づけていく。
【0046】
そして、上記ガラス基板4の移送動作中、図9に示すように、時計方向に旋回していた第2リンク25を逆転させて反時計方向に旋回させることで、ガラス基板4全体としての下降量に対する水平移動量の割合を高めて、ガラス基板4を載置姿勢に近づけながら載置ステーション2に向けて水平方向に移送していく。これにより、図10に示すように、ガラス基板4が表裏反転した状態で載置ステーション2上の保護シート3と正対する位置まで移送される。当該移送動作によれば、ガラス基板4が移送時に受ける空気抵抗を極力小さくして載置ステーション2に向けて高速に搬送される。
【0047】
そして、図10に示す位置、すなわち、ガラス基板4が略水平な姿勢をとり保護シート3と正対する位置から、当該正対姿勢を維持しつつ、ガラス基板4を保護シート3に向けて直線的に移動させる。これにより、ガラス基板4が正確に位置決めされた状態で保護シート3上に載置される。
【0048】
このようにしてガラス基板4の移載動作が完了すると、再びガラス基板4の移送・載置動作を行うべく、ワーク保持部28を供給ステーション6の下方に移動させる。このようにして図6〜図10に係る一連の動作を繰り返すことで、供給ステーション6から載置ステーション2へのガラス基板4の移載動作が繰り返し行われる。
【0049】
以上、本発明に係るガラス基板梱包装置1を用いたガラス基板4の積載梱包作業の一例を説明したが、本発明は上記動作例に限定されないことはもちろんである。積載手段となるガラス基板積載装置40あるいはこの装置を構成するロボットアーム42の保持部43が、載置された状態のガラス基板4からはみ出た保護シート3の辺縁部分のうち互いに対向する2辺縁を挟持する挟持部46を有する限りにおいて、上記以外の積載梱包態様を採ることも可能である。
【0050】
例えばガラス基板積載装置40に関し、上記実施形態では、保護シート3の辺縁部分のうち載置したガラス基板4からはみ出た両側の辺縁部3a,3b(図4を参照)が保持部43の両側フレーム辺に設けた挟持部46により挟持されるように構成した場合を説明したが、ガラス基板4からはみ出た他の辺縁部分を挟持するよう構成することも可能である。図5はその一例を示すもので、同図に係る保持部43は、フレーム体44の両側フレーム辺に配設され、保護シート3の互いに対向する左右の辺縁部3a,3bをそれぞれ挟持する2個の挟持部46を有すると共に、これら複数の挟持部46で挟持される左右の辺縁部3a,3bをつなぐ上側辺縁部3cを挟持する2個の挟持部46をさらに有する構造をなす。他の構成、例えば吸着パッド45,48に関する構成は図4に示す既述の保持部43と同様のため、その説明を省略する。
【0051】
上記構成に係るガラス基板積載装置40(保持部43)であれば、ガラス基板4からはみ出た保護シート3の辺縁部分の互いに対向する2つの辺縁部3a,3bのみならず、これら辺縁部3a,3bをつなぐ他の辺縁部3cも挟持されるので、移送時、風圧を受けて大きく揺らぎ易い箇所を固定して、保護シート全体の揺らぎあるいはこの揺らぎに起因する折れ曲がり等の変形を小さく抑えることができ、高速で高精度かつ高品質の搬送を行うことが可能となる。
【0052】
また、上記実施形態では、保護シート供給装置30に設けられた左右一対のチャック部35,35により搬送路34上の保護シート3に張力を付与する場合を説明したが、特にこの形態に限る必要はない。例えば、ガラス基板積載装置40の保持部43に設けた対応する左右一対の挟持部46,46を相互に接近もしくは離隔可能に構成し、取出しステーション7において保護シート3の両側2辺縁部3a,3bを挟持した状態の一対の挟持部46,46を相互に離隔する向きに移動させることで、当該保護シート3に張力を付与することも可能である。
【0053】
なお、以上の説明では、ガラス基板移載装置20を構成するロボットアーム22として、いわゆる3軸関節型のロボットアームを例示したが、もちろん、この構造に限る必要はない。供給ステーション6から載置ステーション2へガラス基板4を移載する動作を行い得るものである限り、任意の多関節ロボットアーム(例えば6自由度などの汎用ロボットアームなど)を使用することができる。また、ガラス基板積載装置40を構成するロボットアーム42についても、特に具体的構造は限定されず、取出しステーション7から積載ステーション5へガラス基板4と保護シート3を一体的に移送する動作を行い得るものである限りにおいて、任意の多関節ロボットアームを使用することができる。
【0054】
また、以上の説明では、移送対象となるワークとして液晶ディスプレイ用のガラス基板4を例示したが、本発明は、液晶ディスプレイ用に限らず、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、FED、SED等の各種フラットパネルディスプレイ用のガラス板(例えば0.4mm〜3.0mm程度の板厚を有するもの)や、各種電子表示機能素子や薄膜を形成するための基材として用いられるガラス板など、保護シートを介して積層梱包される可能性のあるガラス基板全般を移送対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係るガラス基板梱包装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】ガラス基板梱包装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】ガラス基板梱包装置を構成するガラス基板積載装置の保持部の斜視図である。
【図4】保持部によるガラス基板および保護シートの保持態様の一例を概念的に示す平面図である。
【図5】保持部によるガラス基板および保護シートの保持態様の他の例を概念的に示す平面図である。
【図6】ガラス基板移載装置によるガラス基板の移送動作の一例を説明するための図であって、移送開始直前のガラス基板梱包装置の一部側面図である。
【図7】ガラス基板移載装置によるガラス基板の移送動作の一例を説明するための図であって、移送開始直後のガラス基板梱包装置の一部側面図である。
【図8】ガラス基板移載装置によるガラス基板の移送動作の一例を説明するための図であって、移送動作中のガラス基板梱包装置の一部側面図である。
【図9】ガラス基板移載装置によるガラス基板の移送動作の一例を説明するための図であって、移送動作中のガラス基板梱包装置の一部側面図である。
【図10】ガラス基板移載装置によるガラス基板の移載動作の一例を説明するための図であって、移送完了直前のガラス基板梱包装置の一部側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ガラス基板梱包装置
2 載置ステーション
3 保護シート
3a,3b,3c 辺縁部
4 ガラス基板
5 積載ステーション
6 供給ステーション
7 取出しステーション
10 ガラス基板供給装置
11 搬送路
13 凹部
20 ガラス基板移載装置
22 ロボットアーム
24,25,26 リンク
24a,25a,26a ジョイント
28 ワーク保持部
29 吸着パッド
30 保護シート供給装置
31 ロール状シート
34 搬送路
35 チャック部
36 第1スライド機構
37 第2スライド機構
40 ガラス基板積載装置
42 ロボットアーム
43 保持部
44 フレーム体
45 吸着パッド(ガラス基板用)
46 挟持部
48 吸着パッド(保護シート用)
50 梱包パレット装置
51 梱包用パレット
52 積載面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護シート上にガラス基板が載置される載置ステーションと、前記保護シートと前記ガラス基板とを交互に積載する積載ステーションと、前記保護シート上に載置された前記ガラス基板を前記保護シートと共に保持し、前記積載ステーションに積載する積載手段とを備えたガラス基板梱包装置において、
前記積載手段は、前記載置状態のガラス基板からはみ出た前記保護シートの辺縁部分のうち互いに対向する2辺縁を挟持する挟持部を有することを特徴とするガラス基板梱包装置。
【請求項2】
前記挟持部は、前記互いに対向する2辺縁以外の辺縁部分をさらに挟持するように構成されている請求項1に記載のガラス基板梱包装置。
【請求項3】
前記挟持部は、前記各々の辺縁部分をそれぞれ複数箇所で挟持するように構成されている請求項1又は2に記載のガラス基板梱包装置。
【請求項4】
前記挟持部は、さらに前記保護シートに張力を付与するように構成されている請求項1〜3の何れかに記載のガラス基板梱包装置。
【請求項5】
前記載置ステーションにおける前記保護シートに張力を付与する張力付与手段を、前記挟持部とは別に備えた請求項1〜4の何れかに記載のガラス基板梱包装置。
【請求項6】
前記積載手段により前記ガラス基板を前記保護シートと共に保持して取出す取出しステーションを、前記載置ステーションとは別の位置に備えた請求項1〜5の何れかに記載のガラス基板梱包装置。
【請求項7】
前記載置ステーションに前記保護シートを供給するシート供給手段をさらに備え、
前記シート供給手段は、前記載置ステーションに供給されかつ前記ガラス基板が載置された前記保護シートを前記取出しステーションまで搬送するように構成されている請求項6に記載のガラス基板梱包装置。
【請求項8】
前記ガラス基板を、前記ガラス基板が供給される供給ステーションから前記載置ステーションに移載する移載手段をさらに備え、
該移載手段は、前記ガラス基板の進行方向先端側が下方となるように前記ガラス基板を傾けた状態で前記載置ステーションに接近させ、かつ、前記載置ステーションに接近するにつれて、前記ガラス基板の姿勢を載置姿勢に近づける移動経路を構成する請求項1〜7の何れかに記載のガラス基板梱包装置。
【請求項9】
載置ステーションで保護シート上にガラス基板を載置し、該載置したガラス基板を前記保護シートと共に積載ステーションに向けて移送し、該積載ステーションに前記ガラス基板と前記保護シートとを交互に積載する方法であって、
前記保護シート上に載置された前記ガラス基板を前記保護シートと共に保持し、前記積載ステーションに積載する積載手段が設けられ、
前記積載手段は、前記載置状態のガラス基板からはみ出た前記保護シートの辺縁部分のうち互いに対向する2辺縁を挟持する挟持部を有するガラス基板の梱包方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−93022(P2010−93022A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260622(P2008−260622)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】