説明

ガラス板の角部加工装置及び角部加工方法

【課題】個々のガラス板に寸法や形状等のばらつきがあっても、各ガラス板の四隅の角部を精度良く、かつ、効率的に研削加工することができるガラス板の角部加工装置と角部加工方法を提供する。
【解決手段】基準位置に合わせて固定した矩形のガラス板Gの四隅の角部を、各角部ごとに設けられた回転工具4を加工プログラムにより互いに直交するX軸方向及びY軸方向へ移動させて研削加工するガラス板Gの角部加工装置10において、ガラス板Gの四隅の各角部を成す二つの辺を検知手段7で検知し、その検知データに基いてガラス板Gの各角部の角度及び基準位置に対するガラス板Gの位置ずれ量を演算し、演算したガラス板Gの各角部の角度及びガラス板Gの位置ずれ量に基いて加工プログラムを補正するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の角部加工装置と角部加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、矩形のガラス板の四隅の角部を研削加工し得る装置として、下記の特許文献1に記載のものが提案されている。この装置は、テーブル上にセットしたガラス板の二つのアライメントマークをCCDカメラで撮像し、この撮像データに基いて基準位置に対するガラス板の位置ずれ量(X方向、X方向、θ方向)を演算し、演算した位置ズレ量に応じてテーブルをX方向、Y方向、θ方向にそれぞれ移動させることによりガラス板を正確な加工位置に再セットし、そして、再セットしたガラス板に対して四隅の角部を研削加工するというものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、加工すべきガラス板の寸法、形状等が全てのガラス板において一定であることが前提となっており、個々のガラス板において、寸法、形状(特に角部の直角度)等にばらつきがある場合、各ガラス板の角部を精度良く加工することができない難点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−197402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のガラス板の角部加工装置に上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、個々のガラス板に寸法や形状等のばらつきがあっても、各ガラス板の角部を精度良く、かつ、効率的に研削加工することができる、ガラス板の角部加工装置と角部加工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基準位置に合わせて固定した矩形のガラス板の四隅の角部を、各角部ごとに設けられた回転工具を加工プログラムにより互いに直交するX軸方向及びY軸方向へ移動させて研削加工するガラス板の角部加工装置であって、
前記ガラス板の各角部ごとに設けられ、該ガラス板の各角部を成す二つの辺を検知する検知手段と、前記検知手段により得た検知データに基いて、該ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する演算手段と、前記演算手段により得た前記ガラス板の角部の角度及び該ガラス板の位置ずれ量に基いて前記加工プログラムを補正する補正手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、前記検知手段が、前記Y軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、該撮像視野が前記ガラス板の角部を成す二つの辺のうちの一の辺と交差するように設けられ、該一の辺の複数の位置をそれぞれ撮像する複数のX軸側ラインイメージセンサと、前記X軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、該撮像視野が前記ガラス板の角部を成す二つの辺のうちの他の辺と交差するように設けられ、該他の辺の複数の位置をそれぞれ撮像する複数のY軸側ラインイメージセンサと、を備え、
前記演算手段が、前記複数のX軸側ラインイメージセンサの検知データから求めた前記一の辺上の二点を通るX軸側延長線と、前記複数のY軸側ラインイメージセンサの検知データから求めた前記他の辺上の二点を通るY軸側延長線との交点を求め、該交点に基いて前記ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する、ことを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、前記検知手段が、前記ラインイメージセンサの代わりに、二次元レーザ測位センサを備え、
前記演算手段が、前記複数のX軸側二次元レーザ測位センサの検知データから求めた前記一の辺上の二点を通るX軸側延長線と、前記複数のY軸側二次元レーザ測位センサの検知データから求めた前記他の辺上の二点を通るY軸側延長線との交点を求め、該交点に基いて前記ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する、ことを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、基準位置に合わせて固定した矩形のガラス板の四隅の角部を、各角部ごとに設けられた回転工具を加工プログラムにより互いに直交するX軸方向及びY軸方向に移動させて研削加工するガラス板の角部加工方法であって、
前記ガラス板の各角部ごとに設けられた検知手段により該ガラス板の各角部を成す二つの辺を検知する検知ステップと、前記検知ステップにより得た検知データに基いて、該ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する演算ステップと、前記演算ステップにより得た前記ガラス板の角部の角度及び該ガラス板の位置ずれ量に基いて前記加工プログラムを補正する補正ステップと、を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、前記検知ステップにおいて、前記Y軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、該撮像視野が前記ガラス板の角部を成す二つの辺のうちの一の辺と交差するように設けられ、該一の辺の複数の位置をそれぞれ撮像する複数のX軸側ラインイメージセンサと、前記X軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、該撮像視野が前記ガラス板の角部を成す二つの辺のうちの他の辺と交差するように設けられ、該他の辺の複数の位置をそれぞれ撮像する複数のY軸側ラインイメージセンサと、を備えた検知手段を用い、
前記演算ステップにおいて、前記複数のX軸側ラインイメージセンサの検知データから求めた前記一の辺上の二点を通るX軸側延長線と、前記複数のY軸側ラインイメージセンサの検知データから求めた前記他の辺上の二点を通るY軸側延長線との交点を求め、該交点に基いて前記ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する、ことを特徴としている
【0011】
また、本発明は、前記検知ステップにおいて、前記ラインイメージセンサの代わりに、二次元レーザ測位センサを用い、
前記演算ステップにおいて、前記複数のX軸側二次元レーザ測位センサの検知データから求めた前記一の辺上の二点を通るX軸側延長線と、前記複数のY軸側二次元レーザ測位センサの検知データから求めた前記他の辺上の二点を通るY軸側延長線との交点を求め、該交点に基いて前記ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るガラス板の角部加工装置及び加工方法によれば、矩形のガラス板の四隅の各角部を成す二つの辺を検知手段で検知し、その検知データに基いてガラス板の各角部の角度及び基準位置に対するガラス板の位置ずれ量を演算し、演算したガラス板の各角部の角度及びガラス板の位置ずれ量に基いて、加工プログラムを補正するので、たとえ個々のガラス板に寸法や形状等のばらつきがあっても、各ガラス板の角部を精度良く研削加工することができる。
【0013】
しかも、ガラス板の四隅の角部ごとに、回転工具のみならず、検知手段も備えているので、ガラス板の形状等にばらつきがあっても、ガラス板の四隅の角部を同時に研削加工することができ、ガラス板の角部加工を効率的に行うことができる。
【0014】
また、検知手段として、基準位置に対し所定の位置に配設されたラインイメージセンサまたは二次元レーザ測位センサを用いれば、ガラス板の各辺上の複数の位置の座標値を迅速に得ることができ、加工能率を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のガラス板の角部加工装置の概略全体平面図である。
【図2】本実施形態のガラス板の角部加工装置の概略全体側面図である。
【図3】本実施形態のガラス板の角部加工装置の要部ブロック図である。
【図4】本実施形態のガラス板の角部加工装置の検知手段を説明する要部拡大平面図である。
【図5】本実施形態のガラス板の角部加工装置の演算手段及び補正手段を説明する要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本実施形態のガラス板の角部加工装置について説明する。
【0017】
本実施形態のガラス板の角部加工装置10は主として、図1〜図3に示すように、加工すべき矩形のガラス板Gを載置して機長方向のX軸方向へ間欠搬送可能な搬送手段1と、搬送手段1上に載置されたガラス板Gを、予め設定された基準位置に合わせてX軸方向、及び機幅方向のY軸方向に位置決めする位置決め手段2と、位置決めされたガラス板GをX軸方向及びY軸方向に固定する固定手段3と、固定されたガラス板Gの四隅の角部をそれぞれ研削加工する回転工具4と、回転工具4をX軸方向及びY軸方向へそれぞれ移動させる移動手段5と、移動手段5を予め設定された加工プログラムに応じて制御する制御手段6と、ガラス板Gの各角部を成す二つの辺を検知する検知手段7と、検知手段7の検知データに基いてガラス板Gの各角部の角度及びガラス板Gの基準位置に対する位置ずれ量を演算する演算手段8と、演算手段8により演算したガラス板Gの角部の角度及び位置ずれ量に基いて加工プログラムを補正する補正手段9と、から構成されている。
【0018】
搬送手段1は、図1に示すように、互いに平行な一対のベルトコンベヤ11から成り、その搬送上流側には搬入コンベヤ12が設けられ、搬送下流側には搬出コンベヤ13が設けられている。搬送手段1は間欠的に搬送動作を行い、搬入コンベヤ12からガラス板Gを受け取り、研削加工後、ガラス板Gを搬出コンベヤ13へ受け渡す。
【0019】
位置決め手段2は、図1及び図2に示すように、矩形のガラス板Gの四辺にそれぞれ当接する複数の当接部材(2A、2B、2C)を備え、これら当接部材(2A、2B、2C)を相対接近移動させることによって、ガラス板Gをおおよそ基準位置に位置決めする。
【0020】
これら当接部材(2A、2B、2C)のうち、搬送手段1の搬送下流側に位置する当接部材2Aは、搬送手段1の搬送面に対し出没自在に上下方向(Z軸方向)に移動可能に設けられており、その上昇位置にてガラス板Gの搬送下流側の縁部(前縁部)と当接する。また、搬送手段1の搬送上流側に位置する当接部材2Bは、搬送手段1の搬送面に対し出没自在に上下方向(Z軸方向)に移動可能であるとともに、X軸方向に移動可能に設けられており、その上昇位置にてガラス板Gの搬送上流側の縁部(後縁部)を搬送下流側へ押圧する。そして、搬送手段1の搬送方向において当接部材2Aと当接部材2Bとの間に位置する一対の当接部材2Cは、Y軸方向にのみ移動可能に設けられており、ガラス板Gの側縁部をそれぞれ押圧する。こうして、位置決め手段2によって、搬送手段1上のガラス板Gを基準位置に合わせてX軸方向及びY軸方向に位置決めする。
【0021】
固定手段3は、図2に示すように、ガラス板Gの下面をその四隅近傍でそれぞれ吸着する吸盤31と、各吸盤31を支持する支持部材32と、支持部材32を上下方向(Z軸方向)に移動させる送りねじ機構33と、送りねじ機構33を駆動するモータ34と、から構成されている。固定手段3は、上記位置決め手段2により位置決めされたガラス板Gを各吸盤31で吸着固定した後、図2に示すように、送りねじ機構33を作動させて支持部材32を上昇させ、ガラス板Gを、X軸方向及びY軸方向の位置関係を保ったまま、搬送手段1の搬送面から上昇させる。
【0022】
回転工具4は、図1及び図2に示すように、矩形のガラス板Gの四隅の角部ごとに設けられている。各回転工具4は、周知の回転砥石41から成り、モータ42により駆動されて高速回転し、ガラス板Gの四隅の角部を研削加工する。
【0023】
移動手段5は、図1及び図2に示すように、各回転工具4ごとに設けられており、各回転工具4をX軸方向及びY軸方向へ移動させる。各移動手段5は、基体フレーム51に固定され、搬送手段1の上方に架け渡された梁部材52と、梁部材52に沿って設けられ、モータ53により駆動される送りねじ機構54と、送りねじ機構54によりY軸方向に移動する移動部材55と、移動部材55に設けられ、モータ56により駆動される送りねじ機構57と、送りねじ機構57によりX軸方向に移動する移動部材58と、から構成されている。そして、移動部材58の先端に上記回転工具4が配設されている。各移動手段5は、モータ56を作動させることで回転工具4をX軸方向に移動させ、モータ53を作動させることで回転工具4をY軸方向に移動させる。
【0024】
制御手段6は、図3に示すように、プログラム設定手段61にて予め設定された加工プログラムに応じて上記移動手段5を数値制御するものであり、各移動手段5のモータ56及びモータ53を制御することで、各回転工具4のX軸方向及びY軸方向への移動を制御し、ガラス板Gの四隅の角部をそれぞれ所定の形状に研削加工する。
【0025】
検知手段7は、図1に示すように、ガラス板Gの四隅の角部ごとに、不図示の装置フレームに設けられている。本実施形態の各検知手段7は、図4に示すように、ガラス板Gの角部Aを構成する二つの辺(E1、E2)のうち、一の辺E1の二か所をそれぞれ撮像する二つのX軸側ラインイメージセンサ(71、72)と、他の辺E2の二か所をそれぞれ撮像する二つのY軸側ラインイメージセンサ(73、74)とを備えている。
【0026】
X軸側ラインイメージセンサ(71、72)は、Y軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、各撮像視野が、基準位置Sの原点OからX軸方向に所定距離(X1、X2)だけ離れた位置にて基準位置Sの基準線L1と直交するように設けられている。これらX軸側ラインイメージセンサ(71、72)によって、ガラス板Gの一の辺E1において二か所の位置でガラス板Gの縁部を検知し、検知データとして一の辺E1上の二点(P1、P2)のそれぞれの座標値(X1、y1)、(X2、y2)を得る。
【0027】
同様に、Y軸側ラインイメージセンサ(73、74)は、X軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、各撮像視野が、基準位置Sの原点OからY軸方向に所定距離(Y1、Y2)だけ離れた位置にて基準位置Sの基準線L2と直交するように設けられている。これらY軸側ラインイメージセンサ(73、74)によって、ガラス板Gの他の辺E2において二か所の位置でガラス板Gの縁部を検知し、検知データとして他の辺E2上の二点(P3、P4)のそれぞれの座標値(x1、Y1)、(x2、Y2)を得る。
【0028】
こうして本実施形態の検知手段7は、X軸側ラインイメージセンサ(71、72)によってガラス板Gの一の辺E1の二か所を撮像して一の辺E1を検知するとともに、Y軸側ラインイメージセンサ(73、74)によってガラス板Gの他の辺E2の二か所を撮像して他の辺E2を検知する。
【0029】
演算手段8は、上記検知手段7により得たガラス板Gの計四点(P1〜P4)の座標値に基いて、ガラス板Gの角部Aの角度及びガラス板Gの基準位置Sに対する位置ずれ量を演算する。即ち、図5に示すように、演算手段8は、まず、点P1と点P2とを通るX軸側延長線D1を求めるとともに、点P3と点P4とを通るY軸側延長線D2を求め、次いで、X軸側延長線D1とY軸側延長線D2との交点CPを求める。そして、交点CPにおいてX軸側延長線D1とY軸側延長線D2とが成す角度αを、ガラス板Gの角部Aの角度として演算し、また、基準位置Sの原点Oに対する交点CPのX軸方向及びY軸方向の位置ずれ量(ΔX、ΔY)を、基準位置Sに対するガラス板GのX軸方向及びY軸方向の位置ずれ量として演算する。そしてまた、X軸側延長線D1と基準線L1とが成す角度θ1、及びY軸側延長線D2と基準線L2とが成す角度θ2を求め、これらの平均角度(θ1+θ2)/2を、基準位置Sに対するガラス板Gのθ方向の位置ずれ量として演算する。
【0030】
補正手段9は、図3に示すように、上記演算手段8により演算したガラス板Gの角部の角度及びガラス板Gの位置ずれ量に基いて、予めプログラム設定手段61に設定されている加工プログラムを補正する。即ち、図5に示すように、補正手段9は、基準位置Sに合わせて設定された加工プログラムによる回転工具4の加工軌跡TSを、実際のガラス板Gの角部の角度及びガラス板Gの位置ずれ量に応じて修正する。図5中、符号T1で指示するものは、補正手段9による修正後の回転工具4の加工軌跡である。
【0031】
次に、本実施形態のガラス板の角部加工装置10によるガラス板の角部加工方法について説明する。
【0032】
まず、搬入ステップとして、加工すべきガラス板Gを搬入コンベヤ12から搬送手段1のベルトコンベヤ11上に移戴する。
【0033】
次に、位置決めステップとして、ベルトコンベヤ11上に移戴されたガラス板Gを予め設定された基準位置Sに位置決め手段2により位置決めする。
【0034】
次に、固定ステップとして、位置決めされたガラス板Gを固定手段3の吸盤31により吸着固定する。そして、位置決め手段2の各当接部材(2A、2B、2C)による位置決めを解除した後、固定したガラス板Gを、X軸方向及びY軸方向の位置関係を保ったまま、回転工具4の高さ位置にまでZ軸方向に上昇させる。
【0035】
次に、検知ステップとして、吸着固定されたガラス板Gの四隅の角部をそれぞれ構成する二つの辺(E1、E2)を検知し、検知データとして各辺(E1、E2)上の二点の座標値を角部ごとに得る。
【0036】
次に、演算ステップとして、上記検知ステップにより得た検知データに基いて、ガラス板Gの角部の角度、及び基準位置Sに対するガラス板Gの位置ずれ量を、角部ごとに演算する。
【0037】
次に、補正ステップとして、上記演算ステップにより演算したガラス板Gの角部の角度及びガラス板Gの位置ずれ量に基いて、予め設定されている加工プログラムを角部ごとに補正する。
【0038】
そして、加工ステップとして、上記補正ステップにより補正した加工プログラムによって、回転工具4のX軸方向及びY軸方向の移動を制御しながらガラス板Gの四隅の角部を同時に研削加工する。
【0039】
その後、搬出ステップとして、上記加工ステップにより研削加工を施したガラス板Gを搬送手段1の搬送面まで下降させ、固定手段3による吸着固定を解除し、ガラス板Gを搬出コンベヤ13へ移戴する。
【0040】
このように本実施形態のガラス板の角部加工装置10は、矩形のガラス板Gの四隅の各角部を成す二つの辺を検知手段7で検知し、その検知データに基いてガラス板Gの各角部の角度及び基準位置Sに対するガラス板Gの位置ずれ量を演算し、演算したガラス板Gの各角部の角度及びガラス板Gの位置ずれ量に基いて、加工プログラムを補正するので、たとえ個々のガラス板Gに寸法や形状等のばらつきがあっても、各ガラス板Gの角部を精度良く研削加工することができる。
【0041】
しかも、ガラス板Gの四隅の角部ごとに、回転工具4のみならず、検知手段7も備えているので、ガラス板Gの形状等にばらつきがあっても、ガラス板Gの四隅の角部を同時に研削加工することができ、ガラス板Gの角部加工を効率的に行うことができる。
【0042】
また、本実施形態のガラス板の角部加工装置10は、検知手段7として、基準位置Sに対し所定の位置に配設されたラインイメージセンサ(71〜74)を用いているので、ガラス板Gの各辺上の二点の座標値を迅速に得ることができ、加工能率を更に向上させることができる。
【0043】
以上、本実施形態のガラス板の角部加工装置10及び同装置によるガラス板の角部加工方法について説明したが、本発明は他の実施形態でも実施することができる。
【0044】
例えば、上記実施形態では、検知手段7として、ラインイメージセンサを採用しているが、ラインイメージセンサの代わりに、対象部に対する距離を計測する二次元レーザ測位センサを用いてもよい。即ち、ガラス板Gの角部を構成する二つの辺(E1、E2)のうち、一の辺E1の二か所をそれぞれ測位する二つのX軸側二次元レーザ測位センサと、他の辺E2の二か所をそれぞれ測位する二つのY軸側二次元レーザ測位センサを設けてもよい。このことで、より正確な検知データを得ることが可能となる。
【0045】
また、上記実施形態では、各角部を成す二つの辺の各辺において計二か所で縁部を検知しているが、これに限定されるものではなく、三以上の位置で縁部を検知するようにしてもよい。
【0046】
本発明は、その他、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良く、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0047】
10 ガラス板の角部加工装置
1 搬送手段
2 位置決め手段
3 固定手段
4 回転工具
5 移動手段
6 制御手段
7 検知手段
71、72 X軸側ラインイメージセンサ
73、74 Y軸側ラインイメージセンサ
8 演算手段
9 補正手段
S 基準位置
G ガラス板
A ガラス板の角部
E1 角部を成す一の辺
E2 角部を成す他の辺
P1、P2 一の辺上の点
P3、P4 他の辺上の点
D1 X軸側延長線
D2 Y軸側延長線
CP 交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準位置に合わせて固定した矩形のガラス板の四隅の角部を、各角部ごとに設けられた回転工具を加工プログラムにより互いに直交するX軸方向及びY軸方向へ移動させて研削加工するガラス板の角部加工装置であって、
前記ガラス板の各角部ごとに設けられ、該ガラス板の各角部を成す二つの辺を検知する検知手段と、
前記検知手段により得た検知データに基いて、該ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する演算手段と、
前記演算手段により得た前記ガラス板の角部の角度及び該ガラス板の位置ずれ量に基いて前記加工プログラムを補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とするガラス板の角部加工装置。
【請求項2】
前記検知手段が、
前記Y軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、該撮像視野が前記ガラス板の角部を成す二つの辺のうちの一の辺と交差するように設けられ、該一の辺の複数の位置をそれぞれ撮像する複数のX軸側ラインイメージセンサと、
前記X軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、該撮像視野が前記ガラス板の角部を成す二つの辺のうちの他の辺と交差するように設けられ、該他の辺の複数の位置をそれぞれ撮像する複数のY軸側ラインイメージセンサと、
を備え、
前記演算手段が、前記複数のX軸側ラインイメージセンサの検知データから求めた前記一の辺上の二点を通るX軸側延長線と、前記複数のY軸側ラインイメージセンサの検知データから求めた前記他の辺上の二点を通るY軸側延長線との交点を求め、該交点に基いて前記ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する、ことを特徴とした請求項1に記載のガラス板の角部加工装置。
【請求項3】
前記検知手段が、前記ラインイメージセンサの代わりに、二次元レーザ測位センサを備え、
前記演算手段が、前記複数のX軸側二次元レーザ測位センサの検知データから求めた前記一の辺上の二点を通るX軸側延長線と、前記複数のY軸側二次元レーザ測位センサの検知データから求めた前記他の辺上の二点を通るY軸側延長線との交点を求め、該交点に基いて前記ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する、ことを特徴とした請求項2に記載のガラス板の角部加工装置。
【請求項4】
基準位置に合わせて固定した矩形のガラス板の四隅の角部を、各角部ごとに設けられた回転工具を加工プログラムにより互いに直交するX軸方向及びY軸方向に移動させて研削加工するガラス板の角部加工方法であって、
前記ガラス板の各角部ごとに設けられた検知手段により該ガラス板の各角部を成す二つの辺を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにより得た検知データに基いて、該ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する演算ステップと、
前記演算ステップにより得た前記ガラス板の角部の角度及び該ガラス板の位置ずれ量に基いて前記加工プログラムを補正する補正ステップと、
を備えたことを特徴とするガラス板の角部加工方法。
【請求項5】
前記検知ステップにおいて、
前記Y軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、該撮像視野が前記ガラス板の角部を成す二つの辺のうちの一の辺と交差するように設けられ、該一の辺の複数の位置をそれぞれ撮像する複数のX軸側ラインイメージセンサと、
前記X軸方向に平行な線状の撮像視野を有し、該撮像視野が前記ガラス板の角部を成す二つの辺のうちの他の辺と交差するように設けられ、該他の辺の複数の位置をそれぞれ撮像する複数のY軸側ラインイメージセンサと、
を備えた検知手段を用い、
前記演算ステップにおいて、
前記複数のX軸側ラインイメージセンサの検知データから求めた前記一の辺上の二点を通るX軸側延長線と、前記複数のY軸側ラインイメージセンサの検知データから求めた前記他の辺上の二点を通るY軸側延長線との交点を求め、該交点に基いて前記ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する、ことを特徴とした請求項4に記載のガラス板の角部加工方法。
【請求項6】
前記検知ステップにおいて、
前記ラインイメージセンサの代わりに、二次元レーザ測位センサを用い、
前記演算ステップにおいて、
前記複数のX軸側二次元レーザ測位センサの検知データから求めた前記一の辺上の二点を通るX軸側延長線と、前記複数のY軸側二次元レーザ測位センサの検知データから求めた前記他の辺上の二点を通るY軸側延長線との交点を求め、該交点に基いて前記ガラス板の角部の角度及び前記基準位置に対する該ガラス板の位置ずれ量を演算する、ことを特徴とした請求項5に記載のガラス板の角部加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−101967(P2012−101967A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250842(P2010−250842)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【出願人】(593046429)日電硝子加工株式会社 (13)
【Fターム(参考)】