説明

キャンバ制御装置

【課題】燃費を十分に良くすることができるようにする。
【解決手段】車両のボディと、複数の車輪と、所定の車輪にキャンバを付与するためのキャンバ可変機構と、車両に振動が発生しているかどうかを判断する振動発生判断処理手段と、車両に振動が発生していると判断された場合に、所定の車輪にキャンバを付与するキャンバ付与処理手段とを有する。車両に振動が発生していると判断された場合に、所定の車輪の各タイヤに、互いに対向する方向にキャンバスラストが発生させられるので、車両を十分に安定させて走行させることができる。燃費を十分に良くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャンバ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においては、車両の総重量を小さくしたり、転がり抵抗が小さいタイヤを使用したり、路面の状況に応じて車両の制御を行ったりすることによって、燃費を良くするようにしている。
【0003】
例えば、路面の状況に応じて車両の制御を行う場合は、路面の摩擦係数及びタイヤの転がり抵抗に基づいて路面の状況を算出し、算出結果に基づいて、車両を二輪駆動方式で走行させたり、四輪駆動方式で走行させたりすることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−225282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の車両においては、路面の状況によって、タイヤを介して車両が微小量移動し、車両に振動が発生したときに、発生した振動を抑制するために運転者がステアリングホイールを微小に操作することがある。
【0006】
その結果、車両を十分に安定させて走行させることができないので、燃費を十分に良くすることができない。
【0007】
本発明は、前記従来の車両の問題点を解決して、燃費を十分に良くすることができるキャンバ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明のキャンバ制御装置においては、車両のボディと、該ボディに対して回転自在に配設された複数の車輪と、該各車輪のうちの所定の車輪に配設され、車輪にキャンバを付与するためのキャンバ可変機構と、車両に振動が発生しているかどうかを判断する振動発生判断処理手段と、前記振動発生判断処理手段によって、車両に振動が発生していると判断された場合に、前記キャンバ可変機構を作動させ、前記所定の車輪にキャンバを付与するキャンバ付与処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャンバ制御装置においては、車両のボディと、該ボディに対して回転自在に配設された複数の車輪と、該各車輪のうちの所定の車輪に配設され、車輪にキャンバを付与するためのキャンバ可変機構と、車両に振動が発生しているかどうかを判断する振動発生判断処理手段と、前記振動発生判断処理手段によって、車両に振動が発生していると判断された場合に、前記キャンバ可変機構を作動させ、前記所定の車輪にキャンバを付与するキャンバ付与処理手段とを有する。
【0010】
この場合、前記振動発生判断処理手段によって、車両に振動が発生していると判断された場合に、キャンバ可変機構が作動させられ、所定の車輪にキャンバが付与されるので、所定の車輪の各タイヤに、互いに対向する方向にキャンバスラストが発生させられる。
【0011】
したがって、車両に振動が発生するのを抑制することができ、運転者がステアリングホイールを微小に操作することがなくなる。
【0012】
その結果、車両を十分に安定させて走行させることができるので、燃費を十分に良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における車両の制御ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における車両の概念図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるキャンバシステムの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるキャンバシステムの正面図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるキャンバシステムの要部を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態における制御部の動作を示すメインフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態における高速走行判断処理のサブルーチンを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における振動発生判断処理のサブルーチンを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるロールステアによるトー角の変化を説明するための第1の図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるロールステアによるトー角の変化を説明するための第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図2は本発明の実施の形態における車両の概念図である。
【0016】
図において、11は車両の本体であるボディ、12は駆動源としてのエンジン、WLF、WRF、WLB、WRBは、前記ボディ11に対して回転自在に配設された左前方、右前方、左後方及び右後方の車輪であり、車輪WLF、WRF、WLB、WRBは、アルミニウム合金等によって形成された図示されないホイール、及び該ホイールの外周に嵌(かん)合させて配設されたタイヤ36を備える。
【0017】
なお、車輪WLF、WRFによって駆動輪、かつ、前輪が、車輪WLB、WRBによって従動輪、かつ、後輪が構成される。また、車輪WLF、WRFによって左右の前輪が、車輪WLB、WRBによって左右の後輪が構成される。
【0018】
前記車両は前輪駆動方式の構造を有し、エンジン12と車輪WLF、WRFとが伝動軸としてのドライブシャフト46を介して連結される。そして、エンジン12を駆動することによって発生させられた回転は、車輪WLF、WRFに伝達され、該車輪WLF、WRFが回転させられる。
【0019】
本実施の形態において、前記車両は、前輪駆動方式の構造を有するようになっているが、車輪WLB、WRBが駆動輪として機能する後輪駆動方式、車輪WLF、WRF、WLB、WRBが駆動輪として機能する四輪駆動方式等の構造を有するようにすることもできる。また、前記車両はエンジン12を備えるようになっているが、駆動源として駆動モータを配設し、該駆動モータを駆動することによって発生させられた回転を駆動輪として機能する車輪に伝達したり、駆動源としてエンジン及び駆動モータを配設し、該エンジン及び駆動モータを駆動することによって発生させられた回転を、駆動輪として機能する車輪に伝達したりすることができる。さらに、駆動輪として機能する車輪にホイールモータを配設し、該ホイールモータを駆動することによって発生させられた回転により車輪を直接回転させることができる。
【0020】
また、13は操作者である運転者が車両の操舵を行うための操作部としての、かつ、操舵部材としてのステアリングホイール、14は運転者が車両を加速させるための操作部としての、かつ、加速操作部材としてのアクセルペダル、15は運転者が車両を制動するための操作部としての、かつ、制動操作部材としてのブレーキペダルである。
【0021】
ところで、本実施の形態においては、車輪WLF、WRF、WLB、WRBのうちの所定の車輪、本実施の形態においては、車輪WLB、WRBに所定の負のキャンバθを付与することができるようになっている。
【0022】
そのために、ボディ11と各車輪WLB、WRBとの間に、各車輪WLB、WRBにキャンバθを付与したり、車輪WLB、WRBへのキャンバθの付与を解除したりするためのキャンバ可変機構としてのアクチュエータ31、32が配設される。
【0023】
前記車輪WLB、WRBには、アクチュエータ31、32を作動させない通常の状態、すなわち、初期状態において、車両の仕様で規定された所定の角度のキャンバ、すなわち、基準キャンバαが必要に応じて付与される。したがって、本実施の形態においては、前記基準キャンバαに所定のキャンバが付加され、前記キャンバθが、
−5〔°〕≦θ<0〔°〕
にされる。なお、前記基準キャンバαが負の値を採る場合、基準キャンバαに前記所定のキャンバが付加され、キャンバθの絶対値が大きくされる。
【0024】
本実施の形態においては、ボディ11と各車輪WLB、WRBとの間に各アクチュエータ31、32が配設されるようになっているが、ボディ11と車輪WLF、WRFとの間にアクチュエータを配設したり、ボディ11と車輪WLF、WRF、WLB、WRBとの間にアクチュエータを配設したりすることができる。
【0025】
次に、前記アクチュエータ31、32を作動させるためのキャンバシステムの構造について説明する。この場合、車輪WLB、WRBの各キャンバシステムの構造は同じであるので、車輪WRB側のアクチュエータ32についてだけ説明する。
【0026】
図3は本発明の実施の形態におけるキャンバシステムの斜視図、図4は本発明の実施の形態におけるキャンバシステムの正面図、図5は本発明の実施の形態におけるキャンバシステムの要部を示す平面図である。なお、図3及び5において矢印Aは車両の前方を表す。
【0027】
図において、WRBは車輪、21はホイール、30は懸架装置、32はアクチュエータ、36はタイヤ、38は車輪WRBを保持するためのハブ、39は制動要素としてのディスクブレーキ、43は、前記ハブ38及びディスクブレーキ39を回転自在に支持し、揺動させられる可動部材としての、かつ、揺動部材としての可動プレート(ハブ支持部材)である。前記車輪WRB、懸架装置30、アクチュエータ32等によってキャンバシステムが構成される。
【0028】
前記懸架装置30は、前記ボディ11に配設された第1、第2のサスペンションメンバ101、102、該第1、第2のサスペンションメンバ101、102間に取り付けられたユニット支持部材としてのブラケット103、第1の連結部材としてのアッパアーム104、第2の連結部材としての第1のロワアーム105、第3の連結部材としての第2のロワアーム106、付勢部材としてのスプリング107、ショックアブソーバ108、トレーリングアーム109等を備える。
【0029】
また、前記アクチュエータ32は、前記ブラケット103に固定されたキャンバ制御用のモータ41、前記ブラケット103に対して揺動自在に配設された前記可動プレート43、前記モータ41の回転を減速させるための減速機44、該減速機44と連結され、減速機44によって減速された回転を受けて回転させられるクランク機構45、該クランク機構45と可動プレート43とを連結し、クランク機構45の回転運動を可動プレート43の揺動運動に変換する運動方向変換部としての前記アッパアーム104、前記クランク機構45を構成するクランクシャフト45a(図5において二つに分割して示される。)の回転角度、すなわち、クランク角を検出する角度センサ77等を備える。なお、前記アッパアーム104は懸架装置30及びアクチュエータ32を形成する共通の部材である。
【0030】
前記減速機44はプラネタリギヤ機構によって形成され、前記ブラケット103に取り付けられたケース44a、該ケース44aの内周面に取り付けられたリングギヤ44R、前記モータ41の出力軸41aに取り付けられた第1のサンギヤ44Sa、前記リングギヤ44R及び第1のサンギヤ44Saと噛(し)合させられ、第1のサンギヤ44Saの周囲を移動して回転させられる第1のピニオン44Pa、該第1のピニオン44Paを回転自在に支持する第1のピニオンシャフト44b、該第1のピニオンシャフト44bを支持し、前記第1のピニオン44Paが前記第1のサンギヤ44Saの周囲を移動するのに伴って回転させられるキャリヤ44CR、該キャリヤ44CRの回転中心に取り付けられた第2のサンギヤ44Sb、前記リングギヤ44R及び第2のサンギヤ44Sbと噛合させられ、第2のサンギヤ44Sbの周囲を移動して回転させられる第2のピニオン44Pb、該第2のピニオン44Pbを回転自在に支持する第2のピニオンシャフト44c、並びに該第2のピニオンシャフト44cを支持し、前記第2のピニオン44Pbが第2のサンギヤ44Sbの周囲を移動するのに伴って回転させられる出力部材44dを備える。
【0031】
したがって、前記モータ41を駆動すると、出力軸41aに出力された回転は減速させられてキャリヤ44CRに伝達され、キャリヤ44CRの回転が更に減速させられて出力部材44dに伝達される。
【0032】
また、前記クランク機構45は、モータ41の出力軸41aと同一軸上において前記出力部材44dに取り付けられ、前記ブラケット103によって回転自在に支持された前記クランクシャフト45a、及び該クランクシャフト45aに対して偏心させられ、クランクシャフト45aを中心に回転させられるクランクピン45bを備え、該クランクピン45bと前記アッパアーム104とが回転自在に連結される。
【0033】
したがって、モータ41を駆動すると、出力軸41aに出力された回転が減速機44において減速させられ、出力部材44dが回転させられるのに伴ってクランクシャフト45aが回転させられ、前記クランクピン45bと連結されたアッパアーム104が進退させられ、可動プレート43が揺動させられる。その結果、可動プレート43が傾けられた角度と等しい角度のキャンバが車輪WRBに付与される。なお、前記クランク機構45及びアッパアーム104によって、てこクランク機構が構成される。
【0034】
また、前記第1のロワアーム105は、水平方向における一方側、本実施の形態においては、ボディ11の中心側の端部の所定の部分に配設された図示されない連結軸によって、第1のサスペンションメンバ101に対して回転自在に連結され、水平方向における他方側、本実施の形態においては、ボディ11の車輪WRB側の端部の所定の部分に配設されたキャンバ軸sh1(連結軸)によって、可動プレート43に対して回転自在に連結される。
【0035】
そして、前記可動プレート43は、鉛直方向における一方側、本実施の形態においては、下端の所定の部分において、前記キャンバ軸sh1によって第1のロワアーム105に対して回転自在に連結され、鉛直方向における他方側、本実施の形態においては、上端の所定の部分に配設された連結軸sh2によって、アッパアーム104に対して回転自在に連結される。したがって、可動プレート43は、ボディ11及びブラケット103に対して揺動自在に支持される。
【0036】
また、スプリング107は、上端において第1のスプリング受け107aを介してボディ11に連結され、下端において図示されない第2のスプリング受けを介して第1のロワアーム105に連結される。
【0037】
そして、ショックアブソーバ108は、上端においてボディ11に、下端において第1のロワアーム105に連結される。
【0038】
さらに、第2のロワアーム106は、水平方向における一方側、本実施の形態においては、ボディ11の中心側の端部の所定の部分に配設された連結軸sh3によって、第1のサスペンションメンバ101に対して回転自在に連結され、水平方向における他方側、本実施の形態においては、ボディ11の車輪WRB側の端部の所定の部分に配設された連結軸sh4によって、可動プレート43に対して回転自在に連結される。なお、第2のロワアーム106は、アライメント時のトー角を調整するトウコントロールリンクとして機能する。
【0039】
次に、前記構成の車両の制御装置について説明する。
【0040】
図1は本発明の実施の形態における車両の制御ブロック図である。
【0041】
図において、16はキャンバの付与及び付与の解除の制御を行う第1の制御装置としての制御部、19は車両の全体の制御を行う第2の制御装置としての車両制御部、20はナビゲーション装置、61は第1の記憶部としてのROM、62は第2の記憶部としてのRAMである。前記制御部16及び車両制御部19は、コンピュータを構成し、各種のデータに基づいて各種の演算及び処理を行う。
【0042】
また、63は車速vを検出する車速検出部としての車速センサ、64は運転者による前記ステアリングホイール13(図2)の操作量としての、かつ、操舵量としてのステアリング角度γを検出するステアリング操作量検出部としての、かつ、操舵量検出部としてのステアリングセンサ、66は車両の横方向の加速度である横加速度gxを検出する第1の加速度検出部としての横加速度センサ、67は車両の前後方向の加速度である前後加速度gyを検出する第2の加速度検出部としての前後加速度センサ、68は車両の上下方向の加速度である上下加速度gzを検出する第3の加速度検出部としての上下加速度センサ、71は、運転者による前記アクセルペダル14の操作量としての、かつ、加速操作量としてのアクセルペダル踏込量(アクセル開度)acを検出するアクセルペダル操作量検出部としての、かつ、加速操作量検出部としてのアクセルセンサ、72は、運転者による前記ブレーキペダル15の操作量としての、かつ、制動操作量としてのブレーキペダル踏込量(ブレーキストローク)brを検出するブレーキ操作量検出部としての、かつ、制動操作量検出部としてのブレーキセンサ、73は、車輪WLB、WRBの前記各懸架装置30のストローク、すなわち、サスストロークssを検出する懸架検出部としてのサスストロークセンサ、75は車輪WLB、WRBに加わる接地荷重frを検出する荷重検出部としての荷重センサ、76はタイヤ36の変形量である潰れ代、すなわち、タイヤ潰れ代εを検出するタイヤ変形量検出部としてのタイヤ潰れ代センサ、81は車両のヨーレートηを検出するヨーレート検出部としてのヨーレートセンサ、82は車両のロールレートρを検出するロールレート検出部としてのロールレートセンサ、83は車両のピッチレートprを検出するピッチレート検出部としてのピッチレートセンサ、84は前記車輪WLB、WRBに付与されたキャンバθを検出するキャンバ検出部としてのキャンバセンサである。なお、前記ステアリングセンサ64に代えて、車両の縦方向(前後方向)に延びる軸に対する車輪WLF、WRFの傾きを表す舵角を検出する舵角センサを配設することができる。その場合、前記舵角が操舵量とされ、舵角センサによって操舵量検出部が構成される。
【0043】
そして、前記サスストロークセンサ73は、ハイトセンサ、磁気センサ等によって構成され、前記荷重センサ75は、懸架装置30に配設されたロードセル(歪みセンサ)によって構成され、前記タイヤ潰れ代センサ76は、タイヤ36に配設されたロードセル(歪みセンサ)によって構成される。
【0044】
前記車速センサ63、ステアリングセンサ64、横加速度センサ66、前後加速度センサ67、上下加速度センサ68、アクセルセンサ71、ブレーキセンサ72、サスストロークセンサ73、荷重センサ75、タイヤ潰れ代センサ76、ヨーレートセンサ81、ロールレートセンサ82、ピッチレートセンサ83、キャンバセンサ84等の各センサ、前記ボディ11、アクチュエータ31、32、制御部16、車両制御部19、及び車輪WLB、WRBによってキャンバ制御装置が構成される。
【0045】
なお、前記横加速度センサ66、前後加速度センサ67、上下加速度センサ68、ヨーレートセンサ81、ロールレートセンサ82及びピッチレートセンサ83は、車両の重心位置に配設される。
【0046】
ところで、車両が走行している道路の路面に、段差、突部、窪(くぼ)み、うねり、轍等の凹凸があり、凹凸によって、タイヤ36を介して車両が微小量移動し、車両に振動が発生すると、発生した振動に対応して運転者がステアリングホイール13を微小に操作することがある。その場合、車両を十分に安定させて走行させることができず、燃費を十分に良くすることができない。
【0047】
そこで、車両を十分に安定させて走行させ、燃費を十分に良くするために、車両に振動が発生したときに、車輪WLB、WRBにキャンバを付与することが考えられる。車輪WLB、WRBにキャンバを付与すると、車輪WLB、WRBのタイヤ36に、互いに対向する方向にキャンバスラストを発生させることができるので、車両を安定させて走行させることができ、燃費を十分に良くすることができる。また、懸架装置30の構造によっては、車輪WLB、WRBにキャンバを付与すると、ロールステアによって車輪WLB、WRBのトー角を変化させることができるので、車両を一層安定させて走行させることができ、燃費を一層良くすることができる。
【0048】
なお、中低速走行時のように、車両が振動の影響を受けにくい状況より、高速走行時のように、車両が振動の影響を受けやすい状況のほうが、車輪WLB、WRBにキャンバを付与することによる効果は高い。
【0049】
また、一方で、タイヤ36にキャンバスラストが発生させられると、タイヤ36の転がり抵抗がその分大きくなるので、転がり抵抗が大きくならないように走行抵抗を小さくし、燃費を良くする必要がある。
【0050】
このようなことから、本実施の形態においては、高速走行時で、かつ、路面に凹凸がある場合に、車輪WLB、WRBにキャンバを付与するようにしている。
【0051】
次に、車輪WLB、WRBにキャンバθを付与したり、車輪WLB、WRBへのキャンバθの付与を解除したりするための制御部16の動作について説明する。
【0052】
図6は本発明の実施の形態における制御部の動作を示すメインフローチャート、図7は本発明の実施の形態における高速走行判断処理のサブルーチンを示す図、図8は本発明の実施の形態における振動発生判断処理のサブルーチンを示す図、図9は本発明の実施の形態におけるロールステアによるトー角の変化を説明するための第1の図、図10は本発明の実施の形態におけるロールステアによるトー角の変化を説明するための第2の図である。
【0053】
まず、制御部16の図示されない判断情報取得処理手段は、判断情報取得処理を行い、前記車輪WLB、WRBにキャンバθを付与したり、車輪WLB、WRBへのキャンバθの付与を解除したりするために必要な判断情報、本実施の形態においては、走行中の車両の状態を表す車両状態、及び運転者による各操作部の操作の状態を表す操作状態を取得する(ステップS1、S2)。
【0054】
そのために、前記判断情報取得処理手段は、前記車速センサ63、横加速度センサ66、前後加速度センサ67、上下加速度センサ68、サスストロークセンサ73、荷重センサ75、ヨーレートセンサ81、ロールレートセンサ82、ピッチレートセンサ83、キャンバセンサ84等の各センサのセンサ出力を受け、車両状態として、前記車速v、横加速度gx、前後加速度gy、上下加速度gz、サスストロークss、接地荷重fr、タイヤ潰れ代ε、ヨーレートη、ロールレートρ、ピッチレートpr、キャンバθ等を取得する。また、前記判断情報取得処理手段は、ナビゲーション装置20からの信号を車両状態として取得する。
【0055】
なお、前記判断情報取得処理手段は、車両状態として、前記車速vの変化率(微分)を表す加速度又は減速度、前記横加速度gxの変化率を表す横加速度変化速度δgx、前記前後加速度gyの変化率を表す前後加速度変化速度δgy、前記上下加速度gzの変化率を表す上下加速度変化速度δgz、前記ロールレートρの変化率を表すロールレート変化速度δρ、ピッチレートprの変化率を表すピッチレート変化速度δpr等を算出することによって取得したり、前記サスストロークssに基づいてロール角を算出することによって取得したりすることもできる。
【0056】
次に、前記判断情報取得処理手段は、前記ステアリングセンサ64、アクセルセンサ71、ブレーキセンサ72等の各センサのセンサ出力を受け、操作状態として、前記ステアリング角度γ、アクセルペダル踏込量ac、ブレーキペダル踏込量br等を取得する。
【0057】
なお、前記判断情報取得処理手段は、操作状態として、前記ステアリング角度γの変化率を表すステアリング角速度δγ、及び該ステアリング角速度δγの変化率を表すステアリング角加速度、アクセルペダル踏込量acの変化率を表すアクセルペダル踏込速度δac、及び該アクセルペダル踏込速度δacの変化率を表すアクセルペダル踏込加速度δac’、ブレーキペダル踏込量brの変化率を表すブレーキペダル踏込速度δbr、及び該ブレーキペダル踏込速度δbrの変化率を表すブレーキペダル踏込加速度δbr’等を算出することによって取得したりすることもできる。
【0058】
また、前記判断情報取得処理手段は、前記ステアリング角度γに代えて、操作状態として、車輪WLF、WRFの舵角を取得したり、舵角の変化率を表す舵角速度、及び該舵角速度の変化率を表す舵角加速度を取得したりすることもできる。
【0059】
続いて、前記制御部16は車両の走行状態を判断する。すなわち、前記制御部16の図示されない高速走行判断処理手段は、高速走行判断処理を行い、高速走行判断指標に基づいて車両が高速で走行しているかどうかを判断する(ステップS3、S4)。
【0060】
そのために、前記高速走行判断処理手段は、高速走行判断指標として車速vを読み込み(ステップS3−1)、車速vが閾値vth以上、本実施の形態においては、60〔km/h〕以上、好ましくは、80〔km/h〕以上であるかどうかによって、車両が高速で走行しているかどうかを判断する(ステップS3−2、S3−3)。
【0061】
なお、本実施の形態においては、車速vが閾値vth以上であるかどうかによって車両が高速で走行しているかどうかを判断するようになっているが、過去X〔秒〕間の平均車速avが閾値avth以上であるかどうかによって車両が高速で走行しているかどうかを判断することができる。
【0062】
また、高速走行判断指標として、ナビゲーション装置20から、高速道路、有料道路等のような、車両を高速で走行させることができる道路、すなわち、高速走行路を走行していることを表す信号、すなわち、高速走行信号を読み込み、該高速走行信号に基づいて車両が高速で走行しているかどうかを判断することができる。その場合、ナビゲーション装置20は、現在地検出部としての図示されないGPSセンサによって車両の自車位置を検出し、自車位置が高速走行路上にある場合に、高速走行信号を制御部16に送る。そして、前記高速走行判断処理手段は、高速走行信号を受けると、車両が高速で走行していると判断したり、高速走行信号を受け、かつ、車速vが閾値vth以上である場合に、車両が高速で走行していると判断したり、高速走行信号を受け、かつ、過去X〔秒〕間の平均車速avが閾値avth以上である場合に、車両が高速で走行していると判断したりすることができる。
【0063】
そして、車両が高速で走行していると判断されると、前記制御部16は、車両に振動が発生しているかどうかを判断するための振動発生判断指標に基づいて、路面の状況、すなわち、路面に凹凸があるかどうかを判断する。
【0064】
ところで、路面に凹凸があると、タイヤ36を介して車両が、微小時間、横方向、前後方向及び上下方向に微小量移動し、その結果、車両に振動が発生する。そこで、本実施の形態においては、路面に凹凸があるかどうかを、車両に振動が発生しているかどうかによって判断するようにしている。
【0065】
すなわち、前記制御部16の図示されない振動発生判断処理手段は、振動発生判断処理を行い、車両の高速走行時に、車両に振動が発生しているかどうかを判断する(ステップS5、S6)。
【0066】
そのために、前記振動発生判断処理手段は、振動発生判断指標として横加速度gxを読み込むことによって取得し(ステップS5−1)、横加速度gxが閾値gxth以上、本実施の形態においては、0.05〔G〕以上、好ましくは、0.1〔G〕以上であるかどうかによって、車両に振動が発生しているかどうかを判断する(ステップS5−2、S5−3)。
【0067】
本実施の形態においては、振動発生判断指標として横加速度gxが取得され、前記振動発生判断処理手段は、横加速度gxが閾値gxth以上であるかどうかによって車両に振動が発生しているかどうかを判断するようになっているが、振動発生判断指標として、前後加速度gy、上下加速度gz、ヨーレートη、ロールレートρ、ピッチレートpr等を取得することができる。
【0068】
振動発生判断指標として、前記前後加速度gyを取得した場合は、前後加速度gyが閾値gyth以上、例えば、0.02〔G〕以上、好ましくは、0.05〔G〕以上であるかどうかによって、車両に振動が発生しているかどうかが判断され、上下加速度gzを取得した場合は、上下加速度gzが閾値gzth以上、例えば、0.02〔G〕以上、好ましくは、0.05〔G〕以上であるかどうかによって、車両に振動が発生しているかどうかが判断され、ヨーレートηを取得した場合は、ヨーレートηが閾値ηth以上、例えば、±0.4〔°/s〕以上であるかどうかによって、車両に振動が発生しているかどうかが判断され、ロールレートρを取得した場合は、ロールレートρが閾値ρth以上、例えば、±0.3〔°/s〕以上であるかどうかによって、車両に振動が発生しているかどうかが判断され、ピッチレートprを取得した場合は、ピッチレートprが閾値prth以上、例えば、±0.2〔°/s〕以上であるかどうかによって、車両に振動が発生しているかどうかが判断される。なお、振動発生判断指標として、横加速度gx、前後加速度gy、上下加速度gz、ヨーレートη、ロールレートρ、ピッチレートpr等のうちの二つ以上の指標を取得し、各指標に基づいて、例えば、各指標が閾値以上であるかどうかによって、車両に振動が発生しているかどうかを判断することができる。
【0069】
また、路面に凹凸があり、前述されたように、車両に振動が発生させられると、タイヤ36を介して車輪WLF、WRFに加わる力によって舵角が正方向及び逆方向に微小量変化させられる。この場合、舵角の変化が、図示されないステアリングシャフトを介してステアリングホイール13に伝達され、ステアリングホイール13が正方向及び逆方向に微小量回動させられるので、運転者は、ステアリングホイール13が微少量回動するのを抑制するために、ステアリングホイール13のステアリング角度γを修正する。
【0070】
そこで、前記振動発生判断処理手段は、振動発生判断指標として、ステアリングホイール13のステアリング角度γを修正する周波数、すなわち、修正周波数fγを取得することができる。そのために、前記振動発生判断処理手段は、ステアリングホイール13のステアリング角度γを取得し、該ステアリング角度γに基づいて修正周波数fγを算出し、修正周波数fγが閾値fγth以上、例えば、1〔Hz〕以上、好ましくは、2〔Hz〕以上であるかどうかによって、車両に振動が発生しているかどうかを判断する。
【0071】
また、振動発生判断指標として、ステアリングホイール13のステアリング角度γを修正する際のステアリングホイール13の回動量、すなわち、修正量εγを取得することができる。そのために、前記振動発生判断処理手段は、ステアリング角度γを取得し、ステアリング角度γの修正量εγを算出し、該修正量εγが閾値εγth以上、例えば、ステアリング角度γが1〔°〕以上、かつ、2〔°〕以下修正させられる時間当たりの回数nが1〔回/秒〕以上であるかどうかによって、車両に振動が発生しているかどうかを判断する。
【0072】
そして、前記振動発生判断処理において、車両に振動が発生していると判断されると、前記制御部16の図示されないキャンバ付与状態判断処理手段は、キャンバ付与状態判断処理を行い、前記キャンバセンサ84によって検出されたキャンバθである検出キャンバθpを読み込み、該検出キャンバθpが、
−5〔°〕≦θp<0〔°〕
であるかどうかによって、車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されているかどうかを判断する(ステップS7)。
【0073】
車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されている場合、制御部16の図示されないキャンバ状態保持処理手段は、キャンバ状態保持処理を行い、車輪WLB、WRBをキャンバθが付与されている状態に保持し(ステップS8)、車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されていない場合、制御部16の図示されない第1のキャンバ制御処理手段としてのキャンバ付与処理手段は、第1のキャンバ制御処理としてのキャンバ付与処理を行い、アクチュエータ31、32を作動させ、車輪WLB、WRBにキャンバθを付与する(ステップS9)。
【0074】
また、前記高速走行判断処理において、車両が高速で走行していないと判断されるか、又は前記振動発生判断処理において、車両に振動が発生していないと判断されると、前記キャンバ付与状態判断処理手段は、前記検出キャンバθpを読み込み、該検出キャンバθpが、
−5〔°〕≦θp<0〔°〕
であるかどうかによって、車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されているかどうかを判断する(ステップS10)。
【0075】
そして、車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されている場合、前記制御部16の図示されない第2のキャンバ制御処理手段としてのキャンバ解除処理手段は、第2のキャンバ制御処理としてのキャンバ解除処理を行い、アクチュエータ31、32を作動させ、車輪WLB、WRBへのキャンバθの付与を解除する(ステップS11)。
【0076】
また、車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されていない場合、前記キャンバ状態保持処理手段は、車輪WLB、WRBをキャンバθが付与されていない状態に保持する(ステップS12)。
【0077】
このように、本実施の形態においては、車両に振動が発生している場合に車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されると、車輪WLB、WRBの各タイヤ36に、互いに対向する方向にキャンバスラストが発生する。
【0078】
したがって、車両に振動が発生するのを抑制することができるので、運転者がステアリングホイール13を微小に操作することがなくなる。
【0079】
その結果、車両を十分に安定させて走行させることができるので、燃費を十分に良くすることができる。
【0080】
そして、車両の高速走行時に車輪WLB、WRBにキャンバθが付与され、中低速走行時には車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されないので、キャンバスラストを発生させることがなく、タイヤ36の転がり抵抗が大きくなるのを抑制することができる。したがって、燃費を一層良くすることができる。
【0081】
また、車輪WLB、WRBの各タイヤ36に、互いに対向する方向にキャンバスラストが発生するので、路面の凹凸によって車両に外力が加わっても、外力が加わった側とは反対側の車輪のタイヤ36に大きなキャンバスラストが発生し、該キャンバスラストが復元力として車両に加わる。したがって、車両の高速走行時における安定性、すなわち、走行安定性を高くすることができる。
【0082】
なお、前述されたように、車両の中低速走行時には、振動の影響を受けにくく、車輪WLB、WRBにキャンバを付与する必要性が低いので、車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されることはない。
【0083】
したがって、車両の中低速走行時には、タイヤ36にキャンバスラストが発生させられないので、タイヤ36の転がり抵抗が大きくならない。その結果、燃費を十分に良くすることができる。
【0084】
ところで、車両に振動が発生している場合に、車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されると、懸架装置30の構造によっては、ロールステアによって車輪WLB、WRBのトー角が変化させられる。
【0085】
すなわち、本実施の形態のように、車輪WLB、WRBを支持する可動プレート43がトレーリングアーム109に取り付けられていると、車両に振動が発生するのに伴ってローリングが発生し、トレーリングアーム109が回動させられ、車輪WLB、WRBが上下方向に移動させられるが、このとき、車輪WLB、WRBにキャンバθが付与されると、トー角が変化する。
【0086】
例えば、図9及び10に示されるように、車両が矢印A方向に移動しているときに、車両に振動が発生して、トレーリングアーム109が仮想のストローク中心sh5(本実施の形態においては、揺動軸)を揺動中心にして基準の位置からサスストロークssが小さくなる方向に角度θs〔°〕回動させられると、車輪WRBが矢印B方向(上方に)移動させられる。このとき、車輪WRBにキャンバθが付与されていると、車輪WRBのトー角が、角度θt〔°〕の分だけトーイン側に変化させられる。
【0087】
したがって、トー角の変化するのに伴って車両に振動が発生するのを抑制することができるので、運転者がステアリングホイール13を微小に操作することがなくなる。
【0088】
このように、懸架装置30の構造によっては、車両を一層安定させて走行させることができ、燃費を一層良くすることができるようになる。
【0089】
ところで、車両を旋回させて走行させるとき、すなわち、車両の旋回時に、車輪WLB、WRBにキャンバθを付与すると、遠心力によって旋回中心に対して外周側の車輪(車両を左方に旋回させる場合は車輪WRBであり、車両を右方に旋回させる場合は車輪WLBである。)に加わる接地荷重を内周側の車輪(車両を左方に旋回させる場合は車輪WLBであり、車両を右方に旋回させる場合は車輪WRBである。)に加わる接地荷重より大きくすることができるので、外周側の車輪のタイヤ36に発生するキャンバスラストを、内周側の車輪のタイヤ36に発生するキャンバスラストより大きくすることができ、車両に十分な求心力を発生させることができる。したがって、車両の旋回時の安定性、すなわち、旋回安定性を高くすることができる。
【0090】
そこで、本実施の形態においては、車両の旋回時に、旋回用のキャンバ付与条件が成立したかどうかを判断し、旋回用のキャンバ付与条件が成立した場合、キャンバ付与処理手段は、車輪WLB、WRBにキャンバθを付与し、旋回用のキャンバ付与条件が成立しない場合、前記高速走行判断処理手段は、高速走行判断処理を行い、前記振動発生判断処理手段は、振動発生判断処理を行い、車両の高速走行時に、車両に振動が発生している場合に、キャンバ付与処理手段は車輪WLB、WRBにキャンバθを付与する。
【0091】
なお、本実施の形態においては、車輪WLB、WRBにキャンバθを付与することによって、走行安定性及び旋回安定性が高くされるので、前記タイヤ36として、後述される損失正接を小さくすることにより、タイヤ36のトレッドの変形によって発生する転がり抵抗が小さくされた低転がり抵抗タイヤを使用することができ、燃費を十分に良くすることができる。
【0092】
低転がり抵抗タイヤを使用したタイヤ36においては、タイヤ36の幅が通常(標準)のタイヤより小さくされ、トレッドの溝のパターンであるトレッドパターンが、転がり抵抗が小さくなるような形状にされたり、少なくともトレッドの部分の材料が、転がり抵抗が小さいものにされたりする。
【0093】
なお、前記損失正接は、トレッドが変形する際のエネルギーの吸収の度合いを表し、貯蔵剪(せん)断弾性率に対する損失剪断弾性率の比で表すことができる。損失正接が小さいほどトレッドが変形することによるエネルギーの吸収が少なくなるので、タイヤ36に発生する転がり抵抗は小さくなり、タイヤ36に発生する摩耗が少なくなる。これに対して、損失正接が大きいほどトレッドによるエネルギーの吸収が多くなるので、タイヤ36に発生する転がり抵抗は大きくなり、タイヤ36に発生する摩耗が多くなる。
【0094】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0095】
11 ボディ
16 制御部
19 車両制御部
31、32 アクチュエータ
63 車速センサ
64 ステアリングセンサ
66 横加速度センサ
67 前後加速度センサ
68 上下加速度センサ
71 アクセルセンサ
72 ブレーキセンサ
73 サスストロークセンサ
75 荷重センサ
76 タイヤ潰れ代センサ
81 ヨーレートセンサ
82 ロールレートセンサ
83 ピッチレートセンサ
84 キャンバセンサ
WLF、WRF、WBL、WRB 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボディと、
該ボディに対して回転自在に配設された複数の車輪と、
該各車輪のうちの所定の車輪に配設され、車輪にキャンバを付与するためのキャンバ可変機構と、
車両に振動が発生しているかどうかを判断する振動発生判断処理手段と、
前記振動発生判断処理手段によって、車両に振動が発生していると判断された場合に、前記キャンバ可変機構を作動させ、前記所定の車輪にキャンバを付与するキャンバ付与処理手段とを有することを特徴とするキャンバ制御装置。
【請求項2】
前記振動発生判断処理手段は、操作者による操作部の操作に伴って車両に振動が発生しているかどうかを判断する請求項1に記載のキャンバ制御装置。
【請求項3】
走行中の車両の状態を表す車両状態を取得する判断情報取得処理手段を有するとともに、
前記振動発生判断処理手段は、前記判断情報取得処理手段によって取得された車両状態を振動発生判断指標として取得し、該振動発生判断指標が閾値以上である場合に、車両に振動が発生していると判断する請求項1又は2に記載のキャンバ制御装置。
【請求項4】
操作者による操作部の操作の状態を表す操作状態を取得する判断情報取得処理手段を有するとともに、
前記振動発生判断処理手段は、前記判断情報取得処理手段によって取得された操作状態に基づいて振動発生判断指標を算出し、振動発生判断指標が閾値以上である場合に、車両に振動が発生していると判断する請求項1又は2に記載のキャンバ制御装置。
【請求項5】
車両が高速で走行しているかどうかを判断する高速走行判断処理手段を有するとともに、
前記キャンバ付与処理手段は、前記高速走行判断処理手段によって、車両が高速で走行していると判断され、かつ、前記振動発生判断処理手段によって、車両に振動が発生していると判断された場合に、前記キャンバ可変機構を作動させ、前記所定の車輪にキャンバを付与する請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャンバ制御装置。
【請求項6】
走行中の車両の状態を表す車両状態を取得する判断情報取得処理手段を有するとともに、
前記高速走行判断処理手段は、前記判断情報取得処理手段によって取得された車両状態を高速走行判断指標として取得し、該高速走行判断指標に基づいて車両が高速で走行しているかどうかを判断する請求項5に記載のキャンバ制御装置。
【請求項7】
前記所定の車輪は後輪である請求項1〜6のいずれか1項に記載のキャンバ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−6577(P2013−6577A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213189(P2011−213189)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】