説明

クロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌

【課題】左右一対の前輪および左右一対の後輪に対するショックアブソーバが作動油給排手段を伴うクロス連結型ショックアブソーバシステムにより作動する車輌に於いて、一輪が高い凸部へ乗り上げ、作動油給排手段が作動して作動油を補給したとき、作動油補給終了後に左右輪部の間に大きな車高偏差が残ることを抑制する。
【解決手段】左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対し作動油給排手段による作動油の補給が開始されたとき、乗上げの高さの増大に応じて作動油の補給の停止をより早くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車輌の車輪懸架装置に組み込まれたショックアブソーバに係り、特に4室のフリーピストン式シリンダ−ピストン装置を備え、一対の後輪のショックアブソーバが一対の前輪のショックアブソーバに対しクロスした関係にてシリンダ−ピストン装置に連結されているクロス連結型のショックアブソーバシステムに関する改良に係わる。
【背景技術】
【0002】
左右一対の前輪および左右一対の後輪を有する4輪自動車等の車輌に於いて、各輪をそれぞれがショックアブソーバを組み込んだ車輪懸架装置により車体に懸架することは、この技術の分野に於いては周知である。また、そのような4つのショックアブソーバに段付フリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置を組み合わせ、一対の前輪に対する左右のショックアブソーバの作動油圧をフリーピストンの両側に作用させて互いに対向させ、これに重ねて同じフリーピストンの両側に一対の後輪に対する左右のショックアブソーバの作動油圧を作用させて互いに対向させるクロス連結型ショックアブソーバシステムは、下記の特許文献1に記載されている如く、この技術の分野に於いては公知である。尚、この特許文献1は、かかるクロス連結型ショックアブソーバシステムと、一対の前輪に対する左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と一対の後輪に対する左右のショックアブソーバのうちの同じ一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する同じ他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とをフリーピストンにより対向させるパラレル連結型ショックアブソーバシステムとの間を、車輌の運転状態に応じて、切換弁により切り換えるものである。
【特許文献1】特開2002-276786
【0003】
一方、4輪自動車等の車輌の各輪を車体に懸架するサスペンションに組み込まれたショックアブソーバの各々に対し作動油の補給と排出を行う作動油給排手段を用い、車高センサ等による各輪の車高の検出に基づいて作動油給排手段を作動させることにより車輌の姿勢や挙動を種々の態様に制御することが、例えば、下記の特許文献2〜4に示されている如く、種々提案されている。このうち特許文献2には、左右一対の車輪に対する一対のショックアブソーバに対する作動油を、左右一対の車輪の車高の平均値が目標値となり、また左右一対のショックアブソーバに於ける作動油圧の差が車体に作用する横加速度の値に対応した値となるように制御することが提案されている。特許文献3には、左右一対の車輪に対し1個設けられた車高センサにより車高を検出し、検出車高が目標値となるよう車高調整を行う車高自動調整装置に於いて、車輌停止後に車高センサにより検出された車高が車輌走行中に於ける平均的車高または車高調整の目標値から大きく異なるときには、車高センサが位置する近傍の車輪が凸部に乗り上げ或いは凹部に嵌入していると推定して車高調整の仕方を通常時とは異ならせることが提案されている。特許文献4には、車輌が山地、荒れ地、不整地、川原、河川等のオフロードを走行する際に車体を水平状態に維持すべく、車体の水平状態からの傾斜角の変化を検出する傾斜角度センサと各車輪の位置に於ける車高センサからの信号に基づいて平均車高演算手段により各車輪に対する流体圧アクチュエータ(ショックアブソーバ)を作動させることが提案されている。
【特許文献2】特開平1-67942
【特許文献3】特開2004-42679
【特許文献4】特開平7-276956
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の図1には、左右一対の前輪および左右一対の後輪の各々に対するショックアブソーバと、一対の前輪の左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と一対の後輪の左右のショックアブソーバのうちの前記一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する前記他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とを対向させるフリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置を有するクロス連結型ショックアブソーバシステムであって、更に一対の前輪および一対の後輪に対するショックアブソーバの各々に対し作動油の補給と排出を行う作動油給排手段を備えたものが、4輪車に組み込まれた状態で、これに関連する車輪等の車輌の一部と共に示されている。図示のハードウェア的構造自体は、この技術の分野に於いては公知のものであり、本発明はその制御頭脳部にソフトウエア的に組み込まれる制御手段にあるが、本発明が解決しようとする課題を明らかにするため、先ずかかるクロス連結型ショックアブソーバシステムが従来の制御手段により作動される場合の作動態様を説明する。
【0005】
図1に於いて、10fl,10fr,10rl,10rrはそれぞれ左前輪、右前輪、左後輪、右後輪であり、各車輪はそれぞれサスペンションアーム12fl,12fr,12rl,12rrにより車体14に対し上下に変位可能に懸架されており、それぞれショックアブソーバ16fl,16fr,16rl,16rrによりその車体に対する上下の変位が緩衝されるようになっている。尚、図には示されていないが、この技術の分野に於いては周知の通り、サスペンションアーム12fl,12fr,12rl,12rrには、ショックアブソーバ16fl,16fr,16rl,16rrに並列に配置されたサスペンションスプリングも作用しており、各車輪はサスペンションスプリングとショックアブソーバの並列組合せを介して車体を該当箇所にて支持している。
【0006】
ショックアブソーバ16fl,16fr,16rl,16rrにはそれぞれ油路18fl,18fr,18rl,18rrが接続されており、これらの油路にはそれぞれ蓄圧室20fl,20fr,20rl,20rrが接続されている。図より明らかな通り、図示のサスペンション構造では、車体に対し車輪が上下すると、それに伴ってショックアブソーバのシリンダ部が車体に対し上下に変位するようになっており、車高センサ22fl,22fr,22rl,22rrが、車体に対するショックアブソーバのシリンダ部の変位より各車輪に対する該車輪部の車高の変化を検出するようになっている。
【0007】
24はマイクロコンピュータを備えた車輌の電子制御装置(ECU)であり、本発明に係る制御だけでなく、車輌の自動制御に関する種々の演算を行う電子頭脳である。電子制御装置24には、車高センサ22fl,22fr,22rl,22rrより各輪の位置に於ける車高を示す信号、操舵角センサ26により検出された操舵角を示す信号、図には示されていない車速センサ、前後加速度センサ、横加速度センサ、ヨーレートセンサより車速、前後加速度、横加速度、ヨーレートを示す信号が供給される他、電子制御装置24による車輌の自動制御のために必要なその他の種々の信号がそれらの信号発生装置より送られるようになっている。
【0008】
ショックアブソーバ16flの作動油圧は油路18flを経てシリンダ28とフリーピストン30を備えたシリンダ−ピストン装置32の油圧室34flに導入され、ショックアブソーバ16frの作動油圧は油路18frを経てシリンダ−ピストン装置32の油圧室34frに導入され、ショックアブソーバ16rlの作動油圧は油路18rlを経てシリンダ−ピストン装置32の油圧室34rlに導入され、ショックアブソーバ16rrの作動油圧は油路18rrを経てシリンダ−ピストン装置32の油圧室34rrに導入されている。尚、図には示されていないが、油路18fl,18fr,18rl,18rrの途中には絞り弁が設けられ、それぞれの絞り度が電子制御装置24により制御されるようになっていてよい。
【0009】
シリンダ−ピストン装置32のフリーピストン30は、中央の大径ピストン部とその両側にある一対の同径の小径ピストン部とが互いにシャフトにて連結された段付きピストンであり、シリンダ28は、大径ピストン部が係合する中央の大径シリンダ部とその両側にあって前記一対の小径ピストン部が係合する一対の同径の小径シリンダ部とを有する段付きシリンダである。
【0010】
図1より明らかな通り、左右の前輪に作用するショックアブソーバの作動油圧はフリーピストンに対し左右の対応する端面に付与されており、左右の後輪に作用するショックアブソーバの作動油圧はフリーピストンに対し段付きピストンの大径ピストン部と小径ピストン部の面積差にて左右逆に付与されており、従って、例えば、車輌が左旋回することにより車体が遠心力により右方へ傾動し、右前輪のショックアブソーバの作動油圧が左前輪のショックアブソーバの作動油圧より上昇してフリーピストンを図にて左方へ付勢するときには、右後輪のショックアブソーバの作動油圧が左後輪のショックアブソーバの作動油圧より上昇してフリーピストンを図にて右方へ付勢し、こうして左右一対の車輪に対するショックアブソーバの作動油圧がフリーピストンによって対向され、ショックアブソーバは車体のローリングを抑えるよう作動することができる。
【0011】
更に、ショックアブソーバ16fl,16fr,16rl,16rrより油路18fl,18fr,18rl,18rrを経てシリンダ−ピストン装置32の油圧室34fl,34fr,34rl,34rrに至る作動油系の各々には、油溜36より油圧ポンプ38により汲み上げられ加圧された作動油が、電子制御装置24によりその開閉を制御される電磁開閉弁40fl,40fr,40rl,40rrを経て選択的に補給され、また逆に油圧ポンプ38が停止され、排油弁42が開かれた状態で電磁開閉弁40fl,40fr,40rl,40rrが選択的に開かれることにより、各作動油系のから油溜36へ向けて作動油が排出されるようになっている。
【0012】
上記の如きハード構成を有するクロス連結型ショックアブソーバシステムと作動油給排手段とを備えた車輌がオフロードを走行しているとき、今、例えば、右前輪が凸部に乗り上げたとする。そうすると、右前輪は図1に示す如くバウンドするので、右前輪に対するショックアブソーバ16frは収縮し、その作動油系の作動油圧を上昇させつつ作動油がショックアブソーバ16frより押し出される。このショックアブソーバ16frより押し出された作動油の一部は蓄圧室20fr内のガス体積の縮小により吸収されるが、残りはシリンダ−ピストン装置32の油圧室34fr内へ流入し、フリーピストン30を図にて左方へ変位させる。これによって左前輪に対するショックアブソーバ16flの作動油圧は上昇し、ショックアブソーバ16flは伸張するので、左前輪はリバウンドする。尚、フリーピストン30の左方への変位は、シリンダ−ピストン装置32の油圧室34rrより作動油を押し出すので、右後輪に対するショックアブソーバ16rrは伸長し、右後輪はリバウンドする。また右前輪が凸部に乗り上げることによりバウンドした状態では、車体は右前輪部に於いて持ち上げられた状態になるので、車体は左前輪と右後輪とを結ぶ対角線の周りに後方へ傾き、車体の左後輪部が下がるので、左後輪はバウンド状態になる。
【0013】
図1に示す如くクロス連結型ショックアブソーバシステムに対し作動油給排手段が設けられているとき、従来、作動油給排手段の作動に対しては、図2に左右一対の車輪のバウンド/リバウンドによる車高変化の経過図として示す如く、目標車高に対しバウンド側に車高上げ制御開始車高と車高上げ制御終了車高とが設定され、左右の車輪部の車高がいずれも目標車高にあるときの左右前輪部の車高「左a」、「右a」から出発し、右前輪が凸部に乗り上げてバウンドすることにより右前輪部車高が車高上げ制御開始車高を横切って「右b」まで低下したときには、その車輪に対するショックアブソーバへの作動油給排手段による作動油の補給が開始され、それによって右前輪部車高が車高上げ制御終了車高以内に復する車高「右c」となったとき、作動油給排手段による作動油の補給が停止されるようになっていた。
【0014】
この場合、右前輪が凸部への乗り上げから解放され、或いは車輌がオンロード走行に戻っても、右前輪のショックアブソーバ作動油系に補給された作動油はそのまま保持されるので、左右の前輪部の車高は目標車高よりリバウンド側に偏倚し、しかもフリーピストン30の両側には互いに平衡した状態の左右の後輪のショックアブソーバの作動油圧も作用しているので、右前輪への作動油補給により生じた左右の前輪間に於ける作動油系内の作動油量の不平衡にそのまま対応してフリーピストン30が左方への偏倚することは許されず、右前輪部の車高「右d」が左前輪分の車高「左d」より高くなる偏差が生ずる。
【0015】
ただ、図2に例示する如く、右前輪のバウンドにより右前輪部車高が車高上げ制御開始車高を越えて低下する程度が比較的小さいときには、右前輪の凸部乗上げが解放され或いは車輌がオンロード走行に戻ったときの左右前輪部車高「左d」と「右d」の目標車高からの偏差および左右間の偏差は僅かである。
【0016】
しかし、右前輪が高い凸部に乗り上げて大きくバウンドし、図3に例示する如く右前輪部の車高が車高上げ制御開始車高を大きく越えて「右b」まで低下すると、作動油給排手段による作動油の補給により右前輪部の車高が回復し、車高上げ制御終了車高を横切ったところ(「右c」)で作動油給排手段による作動油の補給が停止されても、電磁開閉弁40frを含むショックアブソーバ作動油系の作動慣性によるオーバーシュートによって、右前輪のショックアブソーバ作動油系への作動油量の補給量が増大し、右前輪が凸部への乗上げから解放され或いは車輌がオンロード走行に戻っても、右前輪部の車高「右d」は目標車高を越えてリバウンド側に大きく偏倚した状態となり、左前輪部の車高「左d」に対しても大きな偏差が生ずる。また、このような状態ではフリーピストン30も中立位置より左方へずれるので、左右の後輪部間にもそれに対応した車高偏差が生ずる。
【0017】
本発明は、上記の如き作動油給排手段を伴うクロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌に於いて、図3に例示したように一輪が高い凸部へ乗り上げたとき、左右輪部の間に大きな車高偏差が残ることを抑制するよう、この種の車輌を改良することを課題としている。
【0018】
尚、車高が車高上げ制御開始車高を越えて低減する度合の大小に拘わらず、作動油給排手段により何れかのショックアブソーバの作動油系へ補給された作動油はその系内に蓄積されるので、作動油給排手段の作動が繰り返されると、車高は次第に増大し、車高はやがて図2或いは3に示されている車高下げ制御開始車高を越える。車高が車高下げ制御開始車高を越えると、ここで排油弁42が開かれ、車高が車高下げ制御終了車高を横切って低下するまで作動油系より作動油の排出が行われる。ただ、図2に例示する如き1輪の小さな凸部乗上げによる偏バウンドの積み重ねにより車高が増大するときは、通常左右の車高間に大きな差は生じないので、左右両輪部の車高はほぼ同様に車高下げ制御開始車高まで増大し、乗員に異和感を与えることはない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するものとして、本発明は、左右一対の前輪および左右一対の後輪の各々に対するショックアブソーバと、前記一対の前輪の左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と前記一対の後輪の左右のショックアブソーバのうちの前記一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する前記他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とを対向させるフリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置と、前記一対の前輪および前記一対の後輪の少なくとも一方の車輪対に対するショックアブソーバの各々に対し作動油の補給と排出を行う作動油給排手段とを有し、前記車輪の一つのバウンドにより該車輪部の車高が車高上げ制御開始車高を越えて低減したときには該車輪に対するショックアブソーバに対し前記作動油給排手段により作動油の補給を開始し、該車輪部の車高が車高上げ制御終了車高以内に復したときには該ショックアブソーバに対する前記作動油給排手段による作動油の補給を停止するようになっているクロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌にして、左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くするようになっていることを特徴とする車輌を提案するものである。
【0020】
前記の左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くすることは、前記一輪部の車高とそれと左右反対側の車輪部の車高との間の車高差を所定の分割比にて分割する中間車高が該乗上げの高さが小さいときのために設定された所定の車高上げ制御終了車高を横切ることにより前記作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより行なわれるようになっていてよい。この場合、前記分割比は前記乗上げの高さの増大に応じてその分割点が前記一輪部の車高より前記左右反対側の車輪部の車高へ向かうように定められていてよく、また更に、前記分割点は前記乗上げの高さが所定の車高上げ制御開始車高であるとき前記一輪部の車高に一致するよう定められていてよい。
【0021】
或いはまた、前記の左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くすることは、該乗上げの高さの増大に応じて前記一輪部の車高に所定の低減比を掛けた修正車高が該乗上げの高さが小さいときのために設定された所定の車高上げ制御終了車高を横切ることにより前記作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより行なわれるようになっていてよい。この場合、前記低減比は前記乗上げの高さの増大に応じて小さくなるように定められていてよく、また更に、前記低減比は前記乗上げの高さが所定の車高上げ制御開始車高であるとき1となるよう定められていてよい。
【0022】
或いはまた、前記の左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くすることは、該乗上げの高さの増大に応じて増大する増大比を該乗上げの高さが小さいときのために設定された所定の車高上げ制御終了車高に掛けた修正車高上げ制御終了車高を前記一輪部の車高が横切ることにより前記作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより行なわれるようになっていてもよい。この場合、前記増大比は前記乗上げの高さの増大に応じて大きくなるように定められていてよく、また更に、前記増大は前記乗上げの高さが所定の車高上げ制御開始車高であるとき1となるよう定められていてよい。
【発明の効果】
【0023】
上記の如く、左右一対の前輪および左右一対の後輪の各々に対するショックアブソーバと、前記一対の前輪の左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と前記一対の後輪の左右のショックアブソーバのうちの前記一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する前記他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とを対向させるフリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置と、前記一対の前輪および前記一対の後輪の少なくとも一方の車輪対に対するショックアブソーバの各々に対し作動油の補給と排出を行う作動油給排手段とを有し、前記車輪の一つのバウンドにより該車輪部の車高が車高上げ制御開始車高を越えて低減したときには該車輪に対するショックアブソーバに対し前記作動油給排手段により作動油の補給を開始し、該車輪部の車高が車高上げ制御終了車高以内に復したときには該ショックアブソーバに対する前記作動油給排手段による作動油の補給を停止するようになっているクロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌に於いて、左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くするようになっていれば、該乗上げの高さの大小に合わせて前記作動油給排手段による作動油の補給の停止時期を適切に制御し、上記のオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0024】
この場合に、前記の左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くすることが、前記一輪部の車高とそれと左右反対側の車輪部の車高との間の車高差を所定の分割比にて分割する中間車高が該乗上げの高さが小さいときのために設定された所定の車高上げ制御終了車高を横切ることにより前記作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより行なわれるようになっていれば、車高上げ制御終了車高を乗上げ高さが或る小さい値のときに対し所定の一定値に設定しておいたままで、乗上げ高さの増大に応じて前記分割比を調節することにより、乗上げの高さの大小に合わせて前記作動油給排手段による作動油の補給の停止時期を適切に制御し、上記のオーバーシュートの発生を抑制することができる。特に、乗上げの高さの増大に応じてその分割点が前記一輪部の車高より左右反対側の車輪部の車高へ向かうように前記分割比が定められれば、乗上げの高さに対応する前記分割比を一つのマップにしておくことにより、乗上げの高さに応じて分割比を該マップから読み取り、直ちに前記中間車高を算出することができる。また乗上げの高さが所定の車高上げ制御開始車高であるとき前記分割点が前記一輪部の車高に一致するよう定められれば、乗上げの高さが丁度所定の車高上げ制御開始車高であるとき、乗上げの高さが丁度所定の車高上げ制御終了車高まで復した時点で作動油給排手段による作動油の補給が停止される。
【0025】
また、前記の左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くすることが、該乗上げの高さの増大に応じて前記一輪部の車高に所定の低減比を掛けた修正車高が該乗上げの高さが小さいときのために設定された所定の車高上げ制御終了車高を横切ることにより前記作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより行なわれるようになっていれば、車高上げ制御終了車高を乗上げ高さが或る小さい値のときに対し一定に設定しておいたままで、乗上げ高さの増大に応じて上記の低減比を小さくすることにより、乗上げの高さの大小に合わせて前記作動油給排手段による作動油の補給の停止時期を適切に制御し、上記のオーバーシュートの発生を抑制することができる。特に、前記低減比が乗上げの高さの増大に応じて小さくなるように定められれば、乗上げの高さに対応する前記低減比を一つのマップにしておくことにより、乗上げの高さに応じて低減比を該マップから読み取り、直ちに前記修正車高を算出することができる。また前記低減比が乗上げの高さの増大に応じて小さくなるように定められれば、乗上げの高さが丁度所定の車高上げ制御開始車高であるとき、乗上げの高さが丁度所定の車高上げ制御終了車高まで復した時点で作動油給排手段による作動油の補給が停止される。
【0026】
また、前記の左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くすることが、該乗上げの高さの増大に応じて増大する増大比を該乗上げの高さが小さいときのために設定された所定の車高上げ制御終了車高に掛けた修正車高上げ制御終了車高を前記一輪部の車高が横切ることにより前記作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより行なわれるようになっていれば、車高上げ制御終了車高の基本値を乗上げ高さが或る小さい値のときに対し一定に設定しておいたままで、乗上げ高さの増大に応じて上記の増大比を大きくすることにより、乗上げの高さの大小に合わせて前記作動油給排手段による作動油の補給の停止時期を適切に制御し、上記のオーバーシュートの発生を抑制することができる。特に、前記増大比が乗上げの高さの増大に応じて大きくなるように定められれば、乗上げの高さに対応する前記増大比を一つのマップにしておくことにより、乗上げの高さに応じて増大比を該マップから読み取り、直ちに前記修正車高上げ制御終了車高を算出することができる。また前記増大比が乗上げの高さが所定の車高上げ制御開始車高であるとき1となるよう定められれば、乗上げの高さが丁度所定の車高上げ制御開始車高であるとき、乗上げの高さが丁度所定の車高上げ制御終了車高まで復した時点で作動油給排手段による作動油の補給が停止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
上記の通り、本発明は、図1に示す如く左右一対の前輪および左右一対の後輪の各々に対するショックアブソーバと、一対の前輪の左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と一対の後輪の左右のショックアブソーバのうちの前記一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する前記他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とを対向させるフリーピストンを備え、更に一対の前輪および一対の後輪に対するショックアブソーバの各々に対し作動油の補給と排出を行う作動油給排手段を備えたクロス連結型ショックアブソーバシステムであって、ハードウェア的構造自体はこの技術の分野に於いては公知のクロス連結型ショックアブソーバシステムを、その制御頭脳部にソフトウエア的に組み込まれる制御手段に関して改良するものであり、本発明のハードウェア的実施の形態は、図1に示され、上の「発明が解決しようとする課題」の項にて既に説明された通りのものであるので、本発明のハードウェア的実施の形態として同じ説明を繰り返すことは、明細書の冗長化を避けるため省略する。
【0028】
図4は、図1に示したハードウェア的構造のクロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌に於いて本発明が実施される場合の、第一の実施の形態を、図2および図3に示した従来技術に対比させて示す、図2および図3と同様の左右一対の車輪のバウンド/リバウンドによる車高変化の経過図である。
【0029】
この場合にも、図2および図3の場合と同様に、今、左右の前輪部の車高がいずれも目標車高にあるときの左右前輪部の車高「左a」、「右a」から出発し、右前輪が凸部へ乗り上げてバウンドすることにより右前輪部車高が車高上げ制御開始車高を横切って「右b」まで低下すると、ここで作動油給排手段による右前輪ショックアブソーバへの作動油の補給が開始されるが、このとき、この実施の形態では、右前輪部の車高低減の最大値に基づいて図4の一部に例示した如きαマップを参照して、車高最大低減値に対応する係数αの値αxが求められる。αマップは、最大低減車高が大きい(但し絶対値で)ときの0に近い値から最大低減車高が丁度車高上げ制御開始車高であるときの1の値まで、最大低減車高の大きさに応じてここに例示する如く変化するαの値を指定するマップである。
【0030】
そして、作動油給排手段による作動油の補給により右前輪部の車高が回復してくると、右前輪部の車高Hdc(負の値)とこれと左右反対側の左前輪部の車高Huc(正の値)との間の車高差Huc−Hdcを上記の分割比αxにて分割する中間車高Hdc−Xdが、乗上げの高さが小さいときのために設定された車高上げ制御終了車高を横切ることにより、作動油給排手段による作動油の補給が停止されるようになっている。ここで、Xdは(1−αx)(Huc−Hdc)である。左右前輪部の車高差Huc−Hdcは、分割比αxにより、Xu=αx
(Huc−Hdc)とXd=(1−αx)(Huc−Hdc)とに分割され、右前輪のバウンドによる右前輪部の最大低減車高「右b」の低限度が大きくなる程、αxは小さくなり、それによってXdは大きくなり、分割比αxによる分割点の車高Hdc−Xdは車高Hdcに比してより高くなる(|Hdc−Xd|<|Hdc|)。そして、図示のαマップの例では、車高「右b」が丁度車高上げ制御開始車高のとき、αxの値が1となるので、最大低減車高「右b」が丁度車高上げ制御開始車高のとき、Xd=0となって、分割比αxによる分割点の車高Hdc−XdはHdcに等しくなる。
【0031】
このように作動油が補給される側の車高とそれと左右反対の側の車高との間の車高差を、バウンドが大きいとき0に近く、バウンドが丁度車高上げ制御開始車高に対応するとき1の値となるαマップに示す如き分割比αにて左右の車高差をαと(1−α)の比に分割する中間車高が、バウンドが小さいときのために設定された車高上げ制御終了車高を横切ることにより作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより、車高上げ制御終了車高としてバウンドが或る小さい値のときに対し設定した一定の車高上げ制御終了車高を用いても、バウンドが大きいときには、作動油の補給の停止時期をより早めにし、バウンドの大小に作動油給排手段による作動油の補給の停止時期を適合させて上記のオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0032】
図5は、同じく図1に示したハードウェア的構造のクロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌に於いて本発明が実施される場合の、第二の実施の形態を、図2および図3に示した従来技術および図4に示した本発明の第一の実施の形態に対比させて示す、同様の左右一対の車輪のバウンド/リバウンドによる車高変化の経過図である。
【0033】
この場合にも、図2〜図4の場合と同様に、今、左右の前輪部の車高がいずれも目標車高にあるときの左右前輪部の車高「左a」、「右a」から出発し、右前輪が凸部へ乗り上げてバウンドすることにより右前輪部車高が車高上げ制御開始車高を横切って「右b」まで低下すると、ここで作動油給排手段による右前輪ショックアブソーバへの作動油の補給が開始されるが、このとき、この実施の形態では、右前輪部の車高低減の最大値(但し絶対値で)に基づいて図5の一部に例示した如きβマップを参照して車高最大低減値に対応する係数βの値βxが求められる。βマップは、一例として、最大低減車高が大きい(但し絶対値で)ときの0.5程度の値から最大低減車高が丁度車高上げ制御開始車高であるときの1の値まで、最大低減車高の大きさに応じてここに例示する如く変化するβの値を指定するマップである。
【0034】
この場合、作動油給排手段による作動油の補給により右前輪部の車高が回復してくると、右前輪部の車高Hdcに上記のβxを掛けた車高βxHdcが、乗上げの高さが小さいときのために設定された車高上げ制御終了車高を横切ることにより作動油給排手段による作動油の補給が停止されるようになっている。βは右前輪のバウンドによる右前輪部の車高低減度が車高上げ制御開始車高を越えて大きくなる(但し絶対値にて)につれて1より次第に小さくなるので、かかる係数βを用いることによっても、βマップを適当に定めておくことにより、車高上げ制御終了車高としてバウンドが或る小さい値のときに対し設定した一定の車高上げ制御終了車高を用いても、バウンドが大きいときには、作動油の補給の停止時期をより早めにし、バウンドの大小に作動油給排手段による作動油の補給の停止時期を適合させて上記のオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0035】
図6は、同じく図1に示したハードウェア的構造のクロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌に於いて本発明が実施される場合の、第三の実施の形態を、図2および図3に示した従来技術および図4および図5に示した本発明の第一および第二の実施の形態に対比させて示す、同様の左右一対の車輪のバウンド/リバウンドによる車高変化の経過図である。
【0036】
この場合にも、図2〜図5の場合と同様に、今、左右の前輪部の車高がいずれも目標車高にあるときの左右前輪部の車高「左a」、「右a」から出発し、右前輪が凸部へ乗り上げてバウンドすることにより右前輪部車高が車高上げ制御開始車高を横切って「右b」まで低下すると、ここで作動油給排手段による右前輪ショックアブソーバへの作動油の補給が開始されるが、このとき、この実施の形態では、右前輪部の車高低減の最大値(但し絶対値で)に基づいて図6の一部に例示した如きγマップを参照して車高最大低減値に対応する係数γの値γxが求められる。γマップは、一例として、最大低減車高が丁度車高上げ制御開始車高であるとき1であり、最大低減車高がこれより大きくなる(但し絶対値で)とき、最大低減車高の大きさに応じてここに例示する如く変化するγの値を指定するマップである。
【0037】
この場合、作動油給排手段による作動油の補給により右前輪部の車高が回復してくると、最大低減車高が丁度車高上げ制御開始車高であるような、乗上げの高さが小さいときのために設定された車高上げ制御終了車高の基本値Hcoに、上記のγxを掛けた修正車高上げ制御終了車高γxHcoを横切って車高が回復することにより、作動油給排手段による作動油の補給が停止されるようになっている。γは右前輪のバウンドによる右前輪部の車高低減度が車高上げ制御開始車高を越えて大きくなる(但し絶対値にて)につれて1より次第に大きくなるので、かかる係数γを用いることによっても、γマップを適当に定めておくことにより、車高上げ制御終了車高の基本値としてバウンドが或る小さい値のときに対し設定した一定値を用いても、バウンドが大きいときには、作動油の補給の停止時期をより早めにし、バウンドの大小に作動油給排手段による作動油の補給の停止時期を適合させて上記のオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0038】
以上に於いては本発明をいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらの実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】クロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌の本発明に関与する要部のハードウェア的構造を示す概略図。
【図2】図1に示すクロス連結型ショックアブソーバシステムに於ける左右一対の車輪のバウンド/リバウンドによる車高変化の経過をバウンドが小さい場合に従来技術について示す図。
【図3】従来技術に於いてバウンドが大きい場合を示す図2と同様の図。
【図4】本発明の第一の実施の形態による左右一対の車輪のバウンド/リバウンドによる車高変化の経過を示す図。
【図5】本発明の第二の実施の形態による左右一対の車輪のバウンド/リバウンドによる車高変化の経過を示す図。
【図6】本発明の第三の実施の形態による左右一対の車輪のバウンド/リバウンドによる車高変化の経過を示す図。
【符号の説明】
【0040】
10fl,10fr,10rl,10rr…左前輪、右前輪、左後輪、右後輪、12fl,12fr,12rl,12rr…サスペンションアーム、14…車体、16fl,16fr,16rl,16rr…ショックアブソーバ、18fl,18fr,18rl,18rr…油路、20fl,20fr,20rl,20rr…蓄圧室、22fl,22fr,22rl,22rr…車高センサ、24…電子制御装置、26…操舵角センサ、28…シリンダ、30…フリーピストン、32…シリンダ−ピストン装置、34fl,34fr,34rl,34rr…油圧室、36…油溜、38…油圧ポンプ、40fl,40fr,40rl,40rr…電磁開閉弁、42…排油弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の前輪および左右一対の後輪の各々に対するショックアブソーバと、前記一対の前輪の左右のショックアブソーバのうちの一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差と前記一対の後輪の左右のショックアブソーバのうちの前記一方の側のショックアブソーバの作動油圧に対する前記他方の側のショックアブソーバの作動油圧の差とを対向させるフリーピストンを備えたシリンダ−ピストン装置と、前記一対の前輪および前記一対の後輪の少なくとも一方の車輪対に対するショックアブソーバの各々に対し作動油の補給と排出を行う作動油給排手段とを有し、前記車輪の一つのバウンドにより該車輪部の車高が車高上げ制御開始車高を越えて低減したときには該車輪に対するショックアブソーバに対し前記作動油給排手段により作動油の補給を開始し、該車輪部の車高が車高上げ制御終了車高以内に復したときには該ショックアブソーバに対する前記作動油給排手段による作動油の補給を停止するようになっているクロス連結型ショックアブソーバシステムを備えた車輌にして、左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くするようになっていることを特徴とする車輌。
【請求項2】
前記の左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くすることは、前記一輪部の車高とそれと左右反対側の車輪部の車高との間の車高差を所定の分割比にて分割する中間車高が該乗上げの高さが小さいときのために設定された所定の車高上げ制御終了車高を横切ることにより前記作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより行なわれるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車輌。
【請求項3】
前記分割比は前記乗上げの高さの増大に応じてその分割点が前記一輪部の車高より前記左右反対側の車輪部の車高へ向かうように定められていることを特徴とする請求項2に記載の車輌。
【請求項4】
前記分割点は前記乗上げの高さが所定の車高上げ制御開始車高であるとき前記一輪部の車高に一致するよう定められていることを特徴とする請求項3に記載の車輌。
【請求項5】
前記の左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くすることは、該乗上げの高さの増大に応じて前記一輪部の車高に所定の低減比を掛けた修正車高が該乗上げの高さが小さいときのために設定された所定の車高上げ制御終了車高を横切ることにより前記作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより行なわれるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車輌。
【請求項6】
前記低減比は前記乗上げの高さの増大に応じて小さくなるように定められていることを特徴とする請求項5に記載の車輌。
【請求項7】
前記低減比は前記乗上げの高さが所定の車高上げ制御開始車高であるとき1となるよう定められていることを特徴とする請求項6に記載の車輌。
【請求項8】
前記の左右いずれか一輪の凸部への乗上げに対する前記作動油給排手段による作動油の補給の停止を該乗上げの高さの増大に応じてより早くすることは、該乗上げの高さの増大に応じて増大する増大比を該乗上げの高さが小さいときのために設定された所定の車高上げ制御終了車高に掛けた修正車高上げ制御終了車高を前記一輪部の車高が横切ることにより前記作動油給排手段による作動油の補給を停止することにより行なわれるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車輌。
【請求項9】
前記増大比は前記乗上げの高さの増大に応じて大きくなるように定められていることを特徴とする請求項8に記載の車輌。
【請求項10】
前記増大比は前記乗上げの高さが所定の車高上げ制御開始車高であるとき1となるよう定められていることを特徴とする請求項9に記載の車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−44488(P2008−44488A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220854(P2006−220854)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】