説明

グループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法

【課題】 PCを操作するメンバーの自動認証と当該メンバーが離席した際の自動追跡及び各種マルチメディア情報の自動転送を行うことができる、グループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法を得る。
【解決手段】 メンバーである各社員に当該社員の固有ID情報及びパスワードを記憶したRFIDタグを所持させ、該RFIDタグより前記情報の読み取りができる個人認証用リーダーをPCに接続する。また、社内の各部署や通路に前記RFIDタグより当該社員の固有ID情報の読み取りができる位置検出用リーダーを適宜設置してLANに接続し、得られた現在位置情報に基づき、各種マルチメディア情報をLAN経由にて自席PCに送信又は他席PCに転送し、又は無線LAN経由にて無線LAN対応の携帯端末に転送し、又はインターネット経由にてインターネット対応の携帯端末に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループウェアを導入したパーソナルコンピュータ(以後、単にPCと言う)を操作するグループメンバーの自動認証と、該メンバーが離席した場合におけるメンバーの自動追跡及び当該メンバーが所持する携帯端末に対し各種マルチメディア情報を自動転送することができる、グループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、グループウェアを構築したLAN環境においてグループメンバーがPCを操作する場合、ID及びパスワードによる個人認証が必要であった。該ID及びパスワードは、通常はキーボードのキー入力操作により行われるが、他の方法としてUSBコネクタにトークンを接続したり、専用リーダーによるICカード情報の読み取りや指紋等のバイオメトリクス情報の読み取り等による方法によっても行われている。
【0003】
認証後においてグループ共同で行う作業を円滑に進める場合、グループメンバーに対する情報の確実な伝達が必要であるが、送信先のメンバーが必ずしも在席しているとは限らず、離席している場合には作業が滞ってしまうこともあった。このような場合の対処方法として、メンバーが離席する際に各自の行き先を行き先表示機能である電子掲示板に記述して送信元に連絡を行っていた。更に、メールの転送機能を利用するため、各自がメールの転送先設定を行っていた。
【0004】
このため、グループ共同で作業を行うグループウェアにおいて、メンバーが離席する際には上記のように各自が行き先を行き先表示機能である電子掲示板に記述したり、メールの転送先設定を行うなど煩雑な作業が伴うため面倒であった。該問題点を解決すべく、特開2003−233570号公報においては、グループで共同作業を行うメンバーの行き先区分に対応する転送先を区分別転送先情報として記憶装置に記憶させ、受信したグループウェアのメールを、送信先の利用者ID、行き先区分情報、及び区分別転送情報に基づき転送先を取得して転送するシステムが記載されている。
【特許文献1】特開2003−233570
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記PCの個人認証において、キー入力操作の他にUSBコネクタにトークンを接続する方法では、常にトークンを所持する必要があると共に紛失する恐れもあるといった問題点があった。また、専用リーダーによるICカード情報の読み取りや指紋等のバイオメトリクス情報の読み取り等による方法では、専用リーダーの設置が机上の作業性を悪くしたり、読み取り操作に手間が掛かってしまうといった問題点があった。
【0006】
また、上記特開2003−233570号公報におけるシステムにおいては、メールの転送機能を利用するための転送先設定を行う必要はないものの、各自の行き先を行き先表示機能である電子掲示板に記述する操作が必要であるため、効果的な解決方法には至っていないといった問題点があった。
【0007】
本発明は、以上述べたような問題点を解決するために成されたものであり、グループウェアを導入したPCを操作するグループメンバーの個人認証を自動的に行うと共に、該メンバーが離席した場合におけるメンバーの現在位置を自動追跡して当該メンバーが所持する携帯端末に対しメール・音声・映像等の各種マルチメディア情報を自動転送することができる、グループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法においては、グループメンバーを構成する各社員に当該社員の固有ID情報及びパスワードを記憶したRFIDタグを所持させ、グループウェアを導入したPCに前記RFIDタグと無線通信を行うことにより当該社員の固有ID情報及びパスワードの読み取りを行うことができる個人認証用リーダーを接続して自動認証を行う。
【0009】
上記RFIDタグは、社員バッジ又は社員カード等に内蔵又は貼着する。
【0010】
また、社内の各部署や通路に上記RFIDタグと無線通信を行うことにより当該社員の固有ID情報の読み取りを行うことができる位置検出用リーダーを適宜設置してLANに接続し、位置管理サーバーにて各社員の現在位置の自動追跡検出及び管理を行う。
【0011】
また、社員の現在位置情報に基づき、情報配信サーバーにてメール・音声・映像等の各種マルチメディア情報をLAN経由にて自席PCに送信又は他席PCに転送し、又は無線LAN経由にて各社員が所持する無線LAN対応の携帯電話又はPDA等の携帯端末に転送し、又はインターネット経由にて各社員が所持するインターネット対応の携帯電話又はPDA等の携帯端末に転送する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法によれば、グループウェアを導入したPCの前にグループメンバーである社員が着座するだけで個人認証が自動的に行えるため、ID及びパスワードの入力操作を行う手間を省くことができるという効果を奏する。また、各社員の固有ID情報及びパスワードを記憶したRFIDタグは社員が常に所持する社員バッジ又は社員カード等に配設されるため紛失する恐れもない。また、社員が離席した際にも現在位置を自動的に追跡して検出できるため、位置の特定による最適な送信手段によりメール・音声・映像等の各種マルチメディア情報を自動転送して情報伝達を確実に行うことができるという絶大なる効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法を説明するための一実施例におけるシステム構成図である。該図に示すように、社内に構築したLAN1に、グループウェアを導入した複数のPC9と、当該グループウェアシステムの統括制御を行うためのグループウェアサーバー2と、メール・音声・映像等の各種マルチメディア情報をグループメンバーである社員7が操作可能なPC9、又は無線LAN対応の携帯電話12又はPDA13等の携帯端末、又はインターネット対応の携帯電話16又はPDA17等の携帯端末を選択して配信を行うための情報配信サーバー3と、社員7の現在位置の自動追跡検出及び管理を行うための位置管理サーバー4と、各社員7の固有ID情報やパスワード等を蓄積したデータベースサーバー5と、社内においてPC9の操作ができない環境にいる社員7に情報伝達を行うための複数の無線LAN基地局11と、社外にいる社員に情報伝達を行うためのインターネット14等を接続して構成する。
【0015】
また、グループメンバーを構成する各社員7に当該社員7の固有ID情報及びパスワードを記憶したRFIDタグ8を所持させ、グループウェアを導入したPC9に前記RFIDタグ8と無線通信を行うことにより当該社員7の固有ID情報及びパスワードの読み取りを行うことができる個人認証用リーダー10を接続して自動認証を行う。
【0016】
また、社内の各部署や通路に上記RFIDタグ8と無線通信を行うことにより当該社員7の固有ID情報の読み取りを行うことができる位置検出用リーダー6を適宜設置してLAN1に接続し、位置管理サーバー4にて各社員7の現在位置の自動追跡検出及び管理を行う。
【0017】
社内においてPCの操作ができない環境にいる社員7に情報伝達を行うための手段として、社員7が所持する携帯電話12又はPDA13等の携帯端末を無線LAN対応型とし、上記無線LAN基地局11と通信を行う。また、社外にいる社員に情報伝達を行うための手段として、社員7が所持する携帯電話16又はPDA17等の携帯端末をインターネット対応型とし、上記インターネット14を中継して通信を行う。
【0018】
図2は本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法における個人認証用リーダーの概略ブロック図である。該個人認証用リーダー10は、PC9のUSBコネクタと接続可能な回路構成にするのが好適であり、該PC9のUSBコネクタと接続して信号伝送を行うためのUSBインターフェース部18と、当該個人認証用リーダー10を構成する回路ブロックの制御を行うためのCPU19と、社員7が所持するRFIDタグ8と無線通信を行うためのRFID通信部20及びアンテナ22と、プログラムメモリ及び取得した固有ID情報及びパスワード等を蓄積するためのメモリ21にて構成される本体に、USBコネクタ23を接続して構成する。該個人認証用リーダー10は、PC9の前に着座した社員7が所持するRFIDタグ8と無線通信を行うものであり、PC9やディスプレイ(図示せず)の上部に配置することができるため机上の作業性に影響を与えることがない。
【0019】
また、上記個人認証用リーダー10を構成する回路ブロックを、マウス又はキーボード又はディスプレイ又はPC本体の何れか一つに内蔵させれば、個人認証用リーダー10用としてのUSBコネクタを占用することなく机上の作業性にも全く影響を与えることがない。
【0020】
図3は本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法におけるRFIDタグの概略構成図である。該RFIDタグ8は、平板状ケース内に、上記個人認証用リーダー10と無線通信を行うためのアンテナ25及びRFIDチップ24を配線収納して構成する。該RFIDタグ8の駆動電源は、個人認証用リーダー10と電磁界又は電磁波により通信を行う際にアンテナ25及び同調キャパシタ(図示せず)から成る共振回路に発生した誘導起電力を整流して得るため不要となる。
【0021】
また、上記RFIDタグ8は、社員7が常に携行する社員バッジ又は社員カード等に内蔵又は貼着しておくことにより、紛失を防止したり読み取り操作もスムーズに行えるため好適である。
【0022】
上記RFIDタグ8と個人認証用リーダー10間における無線通信のキャリア周波数は13.56MHzが好適であり、RFIDタグ8と位置検出用リーダー6間における無線通信のキャリア周波数は通信距離が長い2.45GHzや915〜954MHz等のUHF帯が好適である。
【実施例】
【0023】
本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0024】
まず、図1に示すように、社内に構築したLAN1に、グループウェアを導入した複数のPC9と、当該グループウェアシステムの統括制御を行うためのグループウェアサーバー2と、メール・音声・映像等の各種マルチメディア情報をグループメンバーである社員7が操作可能なPC9、又は無線LAN対応の携帯電話12又はPDA13等の携帯端末、又はインターネット対応の携帯電話16又はPDA17等の携帯端末を選択して配信を行うための情報配信サーバー3と、社員7の現在位置の自動追跡検出及び管理を行うための位置管理サーバー4と、各社員7の固有ID情報やパスワード等を蓄積したデータベースサーバー5と、社内においてPC9の操作ができない環境にいる社員7に情報伝達を行うための複数の無線LAN基地局11と、社外にいる社員に情報伝達を行うためのインターネット14等を接続する。
【0025】
上記LAN環境においてグループウェアにより共同作業を行う場合、グループメンバーである各社員7に対し、社内メールや電子メール,音声情報であるボイスメール,映像情報であるムービーメール等の各種マルチメディア情報の伝達及び電子掲示板によるディスカッションが必要となり、常に社員7の位置情報の自動追跡検出及び管理と、該位置情報に基づいた前記各種マルチメディア情報の自動転送が必要となる。
【0026】
このため、グループメンバーを構成する各社員7に当該社員7の固有ID情報及びパスワードを記憶したRFIDタグ8を所持させ、グループウェアを導入したPC9に前記RFIDタグ8と無線通信を行うことにより当該社員7の固有ID情報及びパスワードの読み取りを行うことができる個人認証用リーダー10を接続することにより、個人認証が自動的に行えると共に社員7が自席又は他席の何れにいるかの検出が行われることになる。
【0027】
また、社内の各部署や通路に上記RFIDタグ8と無線通信を行うことにより当該社員7の固有ID情報の読み取りを行うことができる位置検出用リーダー6を適宜設置してLAN1に接続し、位置管理サーバー4にて各社員7の現在位置の自動追跡検出を行なうことにより、社員7が社内又は社外の何れにいるかの検出が行なわれ、社内にいる場合にはどの場所にいるかの検出も行われることになる。
【0028】
図4は本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法における情報転送先変更のフローチャートである。ここで、各種マルチメディア情報の自動転送を行うためのステップS1として、上記方法にて社員7の位置情報の取得を行う。
【0029】
次にステップS2として、情報伝達先の社員7が自席にいるかどうかの判断を行う。自席にいると判断された場合には各種マルチメディア情報の転送先設定は行わずそのまま自席宛に情報伝達を行い、自席にいないと判断された場合はステップS3に進む。
【0030】
次にステップS3として、情報伝達先の社員7が他席にいるかどうかの判断を行う。他席にいると判断された場合にはステップS4として各種マルチメディア情報の転送先を情報配信サーバー3にて他席宛に変更して情報伝達を行い、他席にいないと判断された場合はステップS5に進む。
【0031】
次にステップS5として、情報伝達先の社員7が社内にいるかどうかの判断を行う。社内にいると判断された場合にはステップS6として各種マルチメディア情報の転送先を情報配信サーバー3にて無線LAN宛に変更して情報伝達を行い、社内にもいないと判断された場合は社外にいると判断され、ステップS7として各種マルチメディア情報の転送先を情報配信サーバー3にてインターネット宛に変更して情報伝達を行う。
【0032】
転送先を無線LAN宛に変更する場合、社員7の現在位置に最も近い無線LAN基地局11の選択を行い、該無線LAN基地局11を経由して無線LAN対応の携帯電話12又はPDA13等の携帯端末に転送することにより、社内メールや電子メール,音声情報であるボイスメール,映像情報であるムービーメール等の各種マルチメディア情報の伝達及び電子掲示板によるディスカッションが行えることになる。該無線LANを経由して転送する場合には、キャリアに対するパケット料金の発生がなく安価なシステムになるという利点がある。
【0033】
また、転送先をインターネット宛に変更する場合、インターネット対応の携帯電話16又はPDA17等の携帯端末に転送することにより、社内メールや電子メール,音声情報であるボイスメール,映像情報であるムービーメール等の各種マルチメディア情報の伝達及び電子掲示板によるディスカッションが行えることになる。なお、社外として支店等の他所であることが予め連絡されている場合には、当該他所のPC15宛にWEBメールとして転送することにより情報伝達が行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法を説明するための一実施例におけるシステム構成図である。
【図2】本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法における個人認証用リーダーの概略ブロック図である。
【図3】本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法におけるRFIDタグの概略構成図である。
【図4】本発明のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法における情報転送先変更のフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 LAN
2 グループウェアサーバー
3 情報配信サーバー
4 位置管理サーバー
5 データベースサーバー
6 位置検出用リーダー
7 社員
8 RFIDタグ
9 PC
10 個人認証用リーダー
11 無線LAN基地局
12 携帯電話
13 PDA
14 インターネット
15 PC
16 携帯電話
17 PDA
18 USBインターフェース部
19 CPU
20 RFID通信部
21 メモリ
22 アンテナ
23 USBコネクタ
24 RFIDチップ
25 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループメンバーを構成する各社員に当該社員の固有ID情報及びパスワードを記憶したRFIDタグを所持させ、グループウェアを導入したPCに前記RFIDタグと無線通信を行うことにより当該社員の固有ID情報及びパスワードの読み取りを行うことができる個人認証用リーダーを接続して自動認証を行うことを特徴とした、グループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法。
【請求項2】
RFIDタグを、社員バッジ又は社員カード等に内蔵又は貼着したことを特徴とした、請求項1に記載のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法。
【請求項3】
社内の各部署や通路に上記RFIDタグと無線通信を行うことにより当該社員の固有ID情報の読み取りを行うことができる位置検出用リーダーを適宜設置してLANに接続し、位置管理サーバーにて各社員の現在位置の自動追跡検出及び管理を行うことを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法。
【請求項4】
社員の現在位置情報に基づき、情報配信サーバーにてメール・音声・映像等の各種マルチメディア情報をLAN経由にて自席PCに送信又は他席PCに転送し、又は無線LAN経由にて各社員が所持する無線LAN対応の携帯電話又はPDA等の携帯端末に転送し、又はインターネット経由にて各社員が所持するインターネット対応の携帯電話又はPDA等の携帯端末に転送することを特徴とした、請求項1から請求項3の何れかに記載のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法。
【請求項5】
個人認証用リーダーを構成する回路ブロックを、マウス又はキーボード又はディスプレイ又はPC本体の何れか一つに内蔵したことを特徴とする、請求項1から請求項4の何れかに記載のグループウェアにおける個人認証及びマルチメディア情報転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−309609(P2006−309609A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133367(P2005−133367)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(394007610)株式会社テルヤ (30)
【出願人】(301046617)ペガサスネット株式会社 (34)
【出願人】(501360979)
【Fターム(参考)】