説明

ケミカルフィルター及び収納容器

【課題】化学吸着剤41を清浄に保った状態でケミカルフィルター26を組み立てる。
【解決手段】本体部33の下側を構成する受け皿部37と、本体部33の上側を構成するキャップ38と、受け皿部37の底部に装着される下側フィルター部39と、上記キャップ38の天井部に装着される上側フィルター部40と、上記受け皿部37及びキャップ38を合わせてできる空間に充填される化学吸着剤41と、上記受け皿部37及びキャップ38の合わせ目を覆って取り付けられるリング枠42とを備え、上記下側フィルター部39と上記受け皿部37との間の全周、上記上側フィルター部40と上記キャップ38との間の全周、上記受け皿部37と上記リング枠42との間の全周及び上記キャップ38と上記リング枠42との間の全周を超音波接合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやフォトマスク等を収納する収納容器や、レチクルケース等に取り付けられるケミカルフィルター及び収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハやフォトマスク等を収納する収納容器やレチクルケース等にケミカルフィルターを用いた例としては、特許文献1に記載のものがある。
【0003】
この収納容器は、図2に示すように、マスクブランクス1を収納した中ケース2と、この中ケース2を収納する容器本体3と、この容器本体3の開口部側に被せる蓋4とから構成されている。
【0004】
この収納容器において、酸性物質を雰囲気中から除去する方法として、化学物質を吸着させるケミカルフィルターを用いることが記載されている。
【特許文献1】特開2005−62462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記収納容器では、ケミカルフィルターを設けて化学物質を吸着させることが記載されているが、具体的にどこにどのように取り付けるかは明確に記載されていない。
【0006】
一方、ケミカルフィルターは原則として1回のみ使用する使い捨ての構成となっているため、容易に着脱できる構造であることが望ましい。
【0007】
また、ケミカルフィルターの化学吸着剤は、その取り扱いが難しい。ケミカルフィルターを構成する本体部内に化学吸着剤を充填して本体部を接合する場合に、揮発性の接着剤を使えば、その揮発したガスを吸着してしまう。超音波接合の場合は、振動で発生したガスを吸着してしまう。このため、ケミカルフィルターの形成時になるべくガスを吸着しないようにする必要がある。これらの点は特許文献1では明確でなく、不要なガスの吸着を防止して化学吸着剤を封止し容易に着脱できるケミカルフィルターが望まれている。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、不要なガスの吸着を防止して容易に着脱できるケミカルフィルター及びこのケミカルフィルターを用いた収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るケミカルフィルターは、本体部の下側を構成する受け皿部と、上記本体部の上側を構成するキャップと、上記受け皿部の底部に装着される下側フィルター部と、上記キャップの天井部に装着される上側フィルター部と、上記受け皿部及びキャップを合わせたとき上記上側フィルター部と下側フィルター部との間隙にできる空間に充填される化学吸着剤と、上記受け皿部及びキャップの合わせ目を覆って取り付けられるリング枠とを備え、上記下側フィルター部と上記受け皿部との間の全周、上記上側フィルター部と上記キャップとの間の全周、上記受け皿部と上記リング枠との間の全周及び上記キャップと上記リング枠との間の全周を接合したことを特徴とする。
【0010】
上記各フィルター部は、メンブレンフィルターまたはメッシュフィルターであることが望ましい。
【0011】
また、上記受け皿部の下側に連通された基端管部と、上記キャップの上側に連通された先端管部とを備え、上記基端管部及び上記先端管部を、互いに嵌合できるように形成することが望ましい。
【0012】
また、本発明に係る収納容器は、内部に収納した収納物の少なくとも一部を清浄に保つ収納容器において、上記ケミカルフィルターを、当該ケミカルフィルターを介して内部に侵入した空気が上記収納物における清浄に保つ部分に直接に触れない位置に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記構成により、上記下側フィルター部と上記受け皿部との間の全周及び上記上側フィルター部と上記キャップとの間の全周を接合することで、塵埃等の侵入する隙間が無くなると共に、充填される化学吸着剤がこれらの隙間から漏れることがなくなる。また、上記受け皿部と上記リング枠との間の全周及び上記キャップと上記リング枠との間の全周を接合して、上記受け皿部及び上記キャップの合わせ目を直接接合しないので、接合時にガス等の異物を化学吸着剤が吸着することが少なくなり、化学吸着剤を清浄に保ちながらケミカルフィルターを組み立てることができる。
【0014】
上記各フィルター部を、メンブレンフィルターまたはメッシュフィルターにすることで、このメンブレンフィルターまたはメッシュフィルターによって塵埃等を除去し、化学吸着剤で化学物質を吸着することができる。また、化学吸着剤から発生する塵埃等をフィルター外部に排出しないため、塵埃発生の少ないフィルターとすることができる。
【0015】
上記基端管部及び上記先端管部を、互いに嵌合できるように形成することで、複数のケミカルフィルターを連続的に接続することができる。これにより、要求される性能に合わせた個数のケミカルフィルターを取り付けることができる。
【0016】
また、上記ケミカルフィルターを介して収納容器の内部に侵入した空気が上記収納物における清浄に保つ部分に直接に触れない位置に上記ケミカルフィルターを配設したので、仮に化学物質等が内部に侵入した場合も、上記収納物の汚染を可能な限り防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るケミカルフィルターを添付図面を参照しながら説明する。ここでは、ケミカルフィルターをレチクルケースに装着した例を基に説明する。図1は本発明の実施形態に係るケミカルフィルターを示す断面図、図3はフィルター取り付け部を側壁面に設けたレチクルケースのポッドを示す斜視図、図4はフィルター取り付け部を上側面及び側壁面に設けたレチクルケースのポッドを示す斜視図、図5はレチクルケースのフィルター取り付け部を示す部分断面斜視図、図6はレチクルケースのフィルター取り付け部を示す要部拡大断面斜視図、図7は本発明の実施形態に係るケミカルフィルターを示す断面図である。
【0018】
レチクルケース11は図3〜5に示すように主に、レチクル(図示せず)を収納するポッド12と、このポッド12を塞ぐ扉13とから構成されている。
【0019】
ポッド12は、レチクルを内部に収納する本体部15と、当該本体部15の外周に一体的に形成されて扉に嵌合する周縁嵌合部16とから構成されている。
【0020】
本体部15は、皿状に形成され、レチクルを内部に完全に収納できる深さに設定されている。本体部15の中央部には、搬送用センターハンドリングフランジが設けられる場合がある。
【0021】
本体部15の周縁部には、水平に延びた板状のサイドハンドリングフランジ19が設けられている。センターハンドリングフランジが形成されている場合はそのセンターハンドリングフランジが、そうでないときはサイドハンドリングフランジが、搬送装置の腕部(図示せず)と結合して、レチクルケース11やポッド12が持ち上げられる。また、サイドハンドリングフランジ19は、露光機内で扉13をポッド12から機械的に分離するときに補助支持手段として用いられる。さらに、本体部15の外側表面の周縁部には、キネマティックピングルーブ(図示せず)の受け部20が1辺に3カ所ずつ、対向する2辺に合計6カ所に設けられている。この6カ所の受け部20は、キネマティックピングルーブに対応した位置であって、二組のキネマティックピングルーブをいずれの方向からでも嵌合できるように配設されている。
【0022】
ポッド12の周縁嵌合部16は、本体部15の周縁から周囲に張り出すように皿状に形成されている。この皿状の周縁嵌合部16は、扉13の周囲を完全に収納できる深さに設定されている。周縁嵌合部16の対向する辺には、扉13を固定するための留め具21が設けられている。
【0023】
扉13は、図5に示すように、ポッド12の周縁嵌合部16に嵌合することで、ポッド12を塞いで、シール材22を介して内部を気密にシールするための部材である。この扉13は、ほぼ平坦状に形成され、その周縁にシール溝23が設けられている。シール材22は、このシール溝23に装着されて、ポッド12と扉13との間を気密にシールする。
【0024】
ポッド12には、フィルター取り付け部25が形成されている。このフィルター取り付け部25は、ケミカルフィルター26を確実に取り付けると共に、容易に着脱できるようにするための部分である。このフィルター取り付け部25は、図3のようにポッド12の側壁面に取り付けられたり、図4に示すようにポッド12の上側面及び側壁面に取り付けられたりする。これらの位置は、ケミカルフィルター26を介してレクチルの加工面側(レジストが塗布されている側、またはレジストを塗布すべき側)の表面(清浄に保つ部分)に直接に触れない位置である。これは、仮に化学物質等が内部に侵入した場合でも、レチクルの汚染を可能な限り防止するためである。収納物の種類によっては、内部に侵入する空気が表面に直接に触れても問題ないものもあるため、そのときは適宜位置を選択する。上側面及び側壁面にフィルター取り付け部25を取り付ける場合は、その両方にケミカルフィルター26を取り付ける態様と、片方に取り付ける態様があるが、片方に取り付ける場合は、他方の取り付け部と容器内部とを気密に隔離するために他方にキャップを取り付ける。このキャップは、紫外線遮蔽特性を有する材料で構成する。
【0025】
このフィルター取り付け部25は、図6に示すように、管ガイド28と、フィルター嵌合筒部29と、ストッパ30とから構成されている。
【0026】
管ガイド28は、ケミカルフィルター26を内部に収納して固定するための筒部である。この管ガイド28は、ポッド12の本体部15に一体的に設けられている。管ガイド28の外側は開口しており、ケミカルフィルター26が着脱できるようになっている。管ガイド28の内側は、塞がれてフィルター嵌合筒部29が設けられている。このフィルター嵌合筒部29は、ケミカルフィルター26の基端管部34が嵌合するための筒部である。フィルター嵌合筒部29は、管ガイド28内において、その内側底部から外側へ向けて延びた小径の筒部として構成されている。フィルター嵌合筒部29は、その外形が円錐状に形成され、基端管部34に容易に嵌合して確実に固定するようになっている。管ガイド28の内側面の中間位置には、ストッパ30が設けられている。このストッパ30は、管ガイド28内に装着されたケミカルフィルター26を抜け落ちないように固定するための部材である。ストッパ30は、管ガイド28の内側面の6箇所に設けられている。
【0027】
ケミカルフィルター26は、レチクルケース11の内外で気体の出入りを許容するためのフィルターである。このケミカルフィルター26は、化学物質や塵埃等の通過を防止することにより、レチクルケース11の内外側間での清浄な空気のみの出入りを許容している。なお、化学物質には、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、硫化水素、酢酸、有機酸、亜硫酸ガス、アルカリ性ガス、有機溶剤、オゾン、二酸化窒素、ホルムアルデヒド、アンモニア等のガスも含む。
【0028】
ケミカルフィルター26は、図1及び図7に示すように、本体部33と、基端管部34と、先端管部35とから構成されている。
【0029】
本体部33は、直接に管ガイド28に装着される部分である。本体部33の外径は、各ストッパ30を多少押しつぶす程度の寸法に設定されている。これにより、本体部33は、各ストッパ30に支持されて抜け落ちないように固定される。
【0030】
本体部33は、その下側を構成する受け皿部37と、上側を構成するキャップ38と、下側フィルター部39と、上側フィルター部40と、化学吸着剤41と、リング枠42とから構成されている。
【0031】
受け皿部37は、浅い皿状に形成され、その内部に下側フィルター部39が装着されて化学吸着剤41が充填される。キャップ38は、受け皿部37を塞ぐための部材である。キャップ38は、受け皿部37と同じ浅い皿状に形成され、その内部に上側フィルター部40が装着されて化学吸着剤41が充填される。
【0032】
下側フィルター部39は、受け皿部37の底部に装着されるメンブレンフィルターである。下側フィルター部39は、多孔質フッ素樹脂で構成され、気体中のダストを吸着濾過する。
【0033】
上側フィルター部40は、キャップ38の天井部に装着されるメンブレンフィルターである。上側フィルター部40は、下側フィルター部39と同様に多孔質フッ素樹脂で構成され、気体中のダストを吸着濾過する。
【0034】
化学吸着剤41は、上記化学物質を吸着するための部材であり、受け皿部37及びキャップ38を合わせたとき上側フィルター部40と下側フィルター部39との間隙にできる空間に充填される。この化学吸着剤41には、活性炭、多孔質セラミックス、多孔質焼結金属、顆粒状物、不織布等がある。活性炭、多孔質セラミックス、多孔質焼結金属等は、微細な孔の部分で上記化学物質を吸着する。顆粒状物は、酸化還元反応、中和反応、触媒作用、物理吸着等の機能を発揮するように加工されたものである。これにより、物理吸着と共にガスを化学反応により変化させたり分解したりする。不織布は、繊維をケミカルフィルターとしての機能を持つように加工して形成したものである。繊維としては、化学繊維等の他にステンレス細線等の金属細線も用いることができる。
【0035】
リング枠42は、受け皿部37及びキャップ38の合わせ目を覆って取り付けられる部材である。リング枠42は、肉厚のリングまたは浅い筒状に形成され、その上下両端部に接合用凸条43,44が設けられている。この接合用凸条43,44は、受け皿部37の底板部分と、キャップ38の天井板部分に当接して接合されるようになっている。各接合用凸条43,44は、受け皿部37及びキャップ38の合わせ目から離れた位置に設けられている。これにより、各接合用凸条43,44と受け皿部37及びキャップ38とが超音波接合されるときに発生する微量のガスやダストが合わせ目から内部に侵入しないようになっている。この接合用凸条43,44は、受け皿部37及びキャップ38の合わせ目から離れた位置に設けることが望ましいため、さらに離してもよい。具体的には、リング枠42を、受け皿部37の底面と、キャップ38の天井面に回り込むように形成して、これら受け皿部37の底面及びキャップ38の天井面にそれぞれ当接して接合するようにしてもよい。
【0036】
以上の本体部33を構成する受け皿部37と、キャップ38と、下側フィルター部39と、上側フィルター部40と、化学吸着剤41と、リング枠42とは、図1に示すように接合される。なお、図1において接合部を黒点で示している。具体的には、下側フィルター部39と受け皿部37との間の全周、上側フィルター部40とキャップ38との間の全周、受け皿部37とリング枠42との間の全周及びキャップ38とリング枠42との間の全周を超音波接合されている。
【0037】
基端管部34は、受け皿部37の下側に連通された管部である。この基端管部34は、本体部33内とレチクルケース11内とを連通する。基端管部34は、ケミカルフィルター26が管ガイド28内に装着された状態で、フィルター嵌合筒部29に嵌合して本体部33内とレチクルケース11内とを連通する。基端管部34は、その直径が上下端まで同じ円筒状に形成したが、フィルター嵌合筒部29に合わせて円錐状にしてもよい。この基端管部34は、先端管部35にも嵌合できる寸法になっている。
【0038】
先端管部35は、キャップ38の上側に連通された管部である。先端管部35は、外気に開放されており、レチクルケース11内と外気とを連通する。
【0039】
[動作]
以上のように構成されたレチクルケース11のケミカルフィルター26は、次のようにして使用される。
【0040】
ケミカルフィルター26は次のようにして組み立てられる。まず、下側フィルター部39と受け皿部37との間の全周及び上側フィルター部40とキャップ38との間の全周を超音波接合して、洗浄する。次いで、受け皿部37とキャップ38との間に化学吸着剤41を充填して受け皿部37とキャップ38を合わせる。次いで、受け皿部37とリング枠42の接合用凸条43との間の全周及びキャップ38とリング枠42と接合用凸条44との間の全周を超音波接合する。
【0041】
必要に応じて基端管部34及び先端管部35に、フィルター内部を環境から遮断するためのキャップを取り付ける。
【0042】
このケミカルフィルター26を、フィルター取り付け部25の管ガイド28に挿入し、基端管部34をフィルター嵌合筒部29に嵌合して、本体部33を各ストッパ30の部分に押し込む。これで、ケミカルフィルター26の取り付けは終わる。
【0043】
この状態で、レチクルケース11にレチクルが挿入されて搬送される際に、外気にさらされる。特に、飛行機で搬送されるときに、上空で低気圧になってレチクルケース11内の気体が外部に流出した状態で、飛行機が着陸して周囲の気圧が高くなると、周囲の気体をレチクルケース11内に吸い込む。このとき、ケミカルフィルター26の上側フィルター部40でまずダストを吸着濾過する。次いで、化学吸着剤41で化学物質を吸着して、さらに下側フィルター部39でダストを吸着濾過する。
【0044】
レチクルケース11が工場内へ搬送されてレチクルが取り出された後は、ケミカルフィルター26をフィルター取り付け部25から抜き取って廃棄し、レチクルケース11の洗浄後、新しいケミカルフィルター26を取り付けて使用する。
【0045】
これにより、ケミカルフィルター26を容易に着脱して化学物質やダストを確実に除去することができる。
【0046】
このとき、下側フィルター部39と受け皿部37との間の全周及び上側フィルター部40とキャップ38との間の全周を接合したので、ダストの侵入する隙間が無くなると共に、充填される化学吸着剤41が顆粒状のときこれらの隙間から漏れることがなくなる。
【0047】
また、受け皿部37とリング枠42との間の全周及びキャップ38とリング枠42との間の全周を接合して、受け皿部37及びキャップ38の合わせ目を直接接合しないので、接合時にガス等の異物を化学吸着剤41が吸着することが少なくなり、化学吸着剤を清浄に保ちながらケミカルフィルター26を組み立てることができる。
【0048】
下側フィルター部39と上側フィルター部40をメンブレンフィルターで構成したので、ダストを確実に除去し、さらに化学吸着剤41で化学物質を確実に吸着することができる。
【0049】
[変形例]
上記実施形態では、下側フィルター部39と上側フィルター部40をメンブレンフィルターで構成したが、図8に示すように、メッシュフィルター51で構成してもよい。この場合、吸着したいダストの大きさに応じてメッシュフィルター51の目の大きさを設定することができる。これにより、用途に応じた性能のフィルターを使用することで、必要以上の性能のフィルターを使用する必要がなくなる。
【0050】
また、図9に示すように、ケミカルフィルター26を2段に接続して使用してもよい。この場合、ケミカルフィルター26の基端管部52と先端管部53とを互いに嵌合できる構造にしている。さらに、2段にしやすいように、基端管部52と先端管部53との寸法も短くしている。この場合、2段のケミカルフィルター26のうち、1段目をメンブレンフィルター、2段目を上記実施形態と同じ、化学吸着剤41の両側をメンブレンフィルターで挟む構造にしてもよい。下側フィルター部39のみを取り付ける構造でもよい。他の組み合わせでもよい。さらに、3段以上接続してもよい。これら、フィルターの種類及び段数を要求される性能に応じて適宜設定する。
【0051】
上記実施形態では、レチクルケース11にケミカルフィルター26を組み込んだ例を元に説明したが、レチクルケース11に限らず、半導体ウエハやフォトマスク等を収納する収納容器でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係るケミカルフィルターを示す断面図である。
【図2】従来の収納容器を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るフィルター取り付け部を側壁面に設けたレチクルケースのポッドを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るフィルター取り付け部を上側面及び側壁面に設けたレチクルケースのポッドを示す斜視図である。
【図5】レチクルケースのフィルター取り付け部を示す部分断面斜視図である。
【図6】レチクルケースのフィルター取り付け部を示す要部拡大断面斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係るケミカルフィルターを示す断面図である。
【図8】本発明の第1変形例を示す断面図である。
【図9】本発明の第2変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
11:レチクルケース、12:ポッド、13:扉、15:本体部、16:周縁嵌合部、18:センターハンドリングフランジ、19:サイドハンドリングフランジ、20:受け部、21:留め具、22:シール材、23:シール溝、25:フィルター取り付け部、26:ケミカルフィルター、28:管ガイド、29:フィルター嵌合筒部、30:ストッパ、33:本体部、34:基端管部、35:先端管部、37:受け皿部、38:キャップ、39:下側フィルター部、40:上側フィルター部、41:化学吸着剤、42:リング枠、43,44:接合用凸条。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の下側を構成する受け皿部と、上記本体部の上側を構成するキャップと、上記受け皿部の底部に装着される下側フィルター部と、上記キャップの天井部に装着される上側フィルター部と、上記受け皿部及びキャップを合わせたとき上記上側フィルター部と下側フィルター部との間隙にできる空間に充填される化学吸着剤と、上記受け皿部及びキャップの合わせ目を覆って取り付けられるリング枠とを備え、
上記下側フィルター部と上記受け皿部との間の全周、上記上側フィルター部と上記キャップとの間の全周、上記受け皿部と上記リング枠との間の全周及び上記キャップと上記リング枠との間の全周を接合したことを特徴とするケミカルフィルター。
【請求項2】
請求項1に記載のケミカルフィルターにおいて、
上記各フィルター部が、メンブレンフィルターまたはメッシュフィルターであることを特徴とするケミカルフィルター。
【請求項3】
請求項1に記載のケミカルフィルターにおいて、
上記受け皿部の下側に連通された基端管部と、上記キャップの上側に連通された先端管部とを備え、
上記基端管部及び上記先端管部を、互いに嵌合できるように形成したことを特徴とするケミカルフィルター。
【請求項4】
内部に収納した収納物の少なくとも一部を清浄に保つ収納容器において、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のケミカルフィルターを、当該ケミカルフィルターを介して内部に侵入した空気が上記収納物における清浄に保つ部分に直接に触れない位置に配設したことを特徴とする収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−54763(P2007−54763A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244871(P2005−244871)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】