説明

コネクタ監視アセンブリ、及び該コネクタ監視アセンブリを含む検出器アセンブリ

【課題】X線イメージング・システムの検出器等のドッキング・コネクタが交換又はクリーニングの何れを必要としているのかを操作者が決定することを容易にする。
【解決手段】一対の電気コネクタ装置を介して伝達される電圧を監視する方法を提供する。一対の電気コネクタ装置(120)は、電源に結合される電源コネクタと、負荷に結合される負荷コネクタとを含んでおり、電源コネクタ(16)は負荷コネクタ(22)に結合されている。この方法は、負荷(74)によって用いられる電圧を決定するステップと、電源(142)によって発生される電圧を決定するステップと、負荷によって利用される決定された電圧及び電源によって発生される電圧を用いて一対の電気コネクタ(16、22又は22、32)の電気抵抗を決定するステップとを含んでいる。また、コネクタ監視回路、及び該コネクタ監視回路を含む可搬型X線検出器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題は一般的には、撮像用検出器に関し、さらに具体的には、可搬型撮像用検出器に設けられているドッキング・コネクタを監視する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医用撮像応用において、医用撮像を行なうために可搬型検出器が用いられる場合がある。稼働時には、X線が撮像対象を通過して、可搬型検出器の複数の検出器素子に入射する。検出器素子は、入射したX線ビームの強度を表わし従ってビームが対象を通過するときのビームの減弱の推定を可能にする電気信号を発生する。
【0003】
可搬型検出器は、移動型応用にも固定型応用にも用いることができる。例えば、可搬型検出器が移動型応用において稼働されるときには、可搬型検出器の内部に収容されているバッテリを用いて可搬型検出器に給電することができる。選択随意で、接続コード(tether)を介して可搬型検出器を遠隔のイメージング・システムに結合してもよく、この接続コードは、可搬型検出器の筐体に配置されしばしばドッキング・コネクタとも呼ばれるコネクタに結合される。すると、可搬型検出器はこの接続コードを介して遠隔のワークステーションから電力を受け、また該ワークステーションと連絡する。固定型応用では、可搬型検出器はドッキング・ステーションに挿入される。ドッキング・ステーションは、可搬型検出器側のコネクタと直接結合するコネクタを含んでいる。すると、可搬型検出器はこのドッキング・ステーションを介して遠隔のワークステーションから電力を受け、また該ワークステーションと連絡する。
【0004】
可搬型検出器の動作寿命の全体を通じて、可搬型検出器は多数回にわたって接続コード又はドッキング・ステーションの何れかと結合されまた結合解除され、この結合及び結合解除をしばしば挿抜サイクル(mating cycle)と呼ぶ。各回の挿抜サイクルによってドッキング・コネクタに消耗が生ずる。また、各回の挿抜サイクルによって、ドッキング・コネクタが塵埃、薬品、及び/又は患者の体液によって汚染される場合がある。結果として、ドッキング・コネクタは、クリーニング及び/又は交換を受けなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7541591号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ドッキング・コネクタが故障し従って交換されるべきなのか、或いはドッキング・コネクタが単にクリーニングを必要としているのかを操作者が決定するのは困難である。結果として、ドッキング・コネクタがクリーニング又は交換の何れを必要としているのか決定するために、修理技術者がドッキング・コネクタを多数回にわたって試験しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、一対の電気コネクタ装置を介して伝達される電圧を監視する方法を提供する。一対の電気コネクタ装置は、電源に結合される電源コネクタと、負荷に結合される負荷コネクタとを含んでおり、電源コネクタは負荷コネクタに結合されている。この方法は、負荷において検出される電圧を決定するステップと、電源によって発生される電圧を決定するステップと、負荷によって利用される決定された電圧及び電源によって発生される電圧を用いて一対の電気コネクタの電気抵抗を決定するステップとを含んでいる。
【0008】
もう一つの実施形態では、コネクタ監視アセンブリを提供する。コネクタ監視アセンブリは、アナログ−ディジタル(アナログからディジタルへの)変換器と、このアナログ−ディジタル変換器に結合されているプロセッサとを含んでいる。プロセッサは、負荷によって検出される電圧を決定し、電源によって発生される電圧を決定して、負荷によって利用される決定された電圧及び電源によって発生される電圧を用いて一対の電気コネクタの電気抵抗を決定するようにプログラムされており、一対の電気コネクタ装置は、電源に結合される電源コネクタと、負荷に結合される負荷コネクタとを含んでおり、電源コネクタは負荷コネクタに結合されている。
【0009】
さらにもう一つの実施形態では、可搬型X線検出器を提供する。可搬型X線検出器は、複数の検出器素子を含む検出器パネルと、検出器パネルに電力を供給するように構成されており、電力コネクタに結合するように構成されているドッキング・コネクタと、ドッキング・コネクタに結合されているコネクタ監視アセンブリとを含んでいる。コネクタ監視アセンブリは、検出器パネルによって検出される電圧を決定し、電源によって発生される電圧を決定して、検出器パネルによって利用される決定された電圧及び電源によって発生される電圧を用いてドッキング・コネクタの電気抵抗を決定するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による医用イメージング・システムに結合される例示的な可搬型医用撮像検出器の見取り図である。
【図2】本発明の一実施形態による図1に示す例示的な可搬型検出器の上面破断図である。
【図3】図2の線3−3に沿って見た図2に示す可搬型検出器の側面破断図である。
【図4】本発明の一実施形態による図1〜図3に示す検出器と共に用いられ得る例示的な電力制御回路の概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による電源に可搬型検出器を結合する例示的な電気回路の単純化した概略図である。
【図6】本発明の一実施形態による図1〜図3に示す検出器と共に用いられ得る例示的なコネクタ監視回路の単純化した概略図である。
【図7】本発明の一実施形態による図6に示す電力制御回路を動作させる例示的な方法の流れ図である。
【図8】本発明の一実施形態による例示的なコネクタ消耗曲線のグラフ図である。
【図9】本発明の一実施形態による図1に示す例示的な医用イメージング・システムの見取り図である。
【図10】本発明の一実施形態による図9に示す例示的な医用イメージング・システムのブロック概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以上の概要及び以下の本発明の幾つかの実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとさらに十分に理解されよう。図面が様々な実施形態の機能ブロックの線図を示す範囲までにおいて、機能ブロックは必ずしもハードウェア・サーキットリの間の区分を示す訳ではない。従って、例えば、機能ブロックの1又は複数(例えばプロセッサ又はメモリ)が、単体のハードウェア(例えば汎用信号プロセッサ若しくはランダム・アクセス・メモリのブロック、又はハードディスク等)として具現化されてもよい。同様に、プログラムは独立型プログラムであってもよいし、オペレーティング・システムのサブルーチンとして組み込まれていてもよいし、インストールされているソフトウェア・パッケージの機能等であってもよい。尚、様々な実施形態は図面に示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0012】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素またはステップとの用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、本発明の「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除しないものと解釈されたい。また、反対に明記されていない限り、特定の特性を有する一つの要素又は複数の要素を「含んでいる(comprising)」又は「有している(having)」実施形態は、この特性を有しないような追加の要素も包含し得る。
【0013】
図1は、例示的な医用イメージング・システム12に結合されるように構成されている可搬型医用撮像検出器10の見取り図である。この実施形態の例では、可搬型検出器10は、例えば医用撮像を実行するために様々な位置まで操作者によって手で運搬されるように構成されている。加えて、可搬型検出器10は、操作者が検出器10を一つの位置から他の位置へ移動させることを可能にする台車又は他の可動式装置に装着されていてもよい。一つの動作モードでは、可搬型検出器10が移動型応用において稼働されるときには、可搬型検出器10の内部に収容されているバッテリ(図示されていない)を用いて可搬型検出器10に給電することができる。選択随意で、可搬型検出器10は、接続コード14を介して遠隔の医用イメージング・システム12から電力を受け、また該イメージング・システム12と連絡することができる。接続コード14は、本書では電源コネクタ16とも呼ばれる第一のコネクタ16と、第二のコネクタ18と、第一及び第二のコネクタ16及び18の間に結合されている電気導線20とを含んでいる。稼働時には、電源コネクタ16は、本書では負荷コネクタ又はドッキング・コネクタ22と呼ばれるコネクタ22に結合され又は接合されるように構成されている。第二のコネクタ18は、医用イメージング・システム12に結合するように構成されている。電源コネクタ16と負荷コネクタ22との組み合わせを本書では接合対(mating pair)又は一対の電気コネクタと呼ぶ。電源コネクタ16が負荷コネクタ22に結合されると、遠隔の医用イメージング・システム12は、接続コード14を介して可搬型検出器10へ電力を伝達すると共に該検出器10から情報を受け取る。
【0014】
固定型応用では、可搬型検出器10はドッキング・ステーション30に挿入される。ドッキング・ステーション30は、可搬型検出器10に設けられているドッキング・コネクタ22に結合され又は直接接合されるように構成されているコネクタ32を含んでいる。稼働時には、可搬型検出器10は、ドッキング・ステーション30を介して遠隔の医用イメージング・システム12から電力を受け、また該イメージング・システム12と連絡する。ドッキング・コネクタ22とコネクタ32との組み合わせも、接合対又は一対の電気コネクタに相当する。コネクタ16及び32は、図1に示すドッキング・コネクタ22に繰り返し結合され、また結合解除されることができる。
【0015】
図2は、図1に示す可搬型検出器10の上面破断図である。稼働時には、後にあらためて詳述するコネクタ監視アセンブリが、ドッキング・コネクタ22がクリーニング又は交換を受けるべきときを操作者が決定することを可能にするように構成されている。コネクタ監視回路の動作をドッキング・コネクタ22に関して説明するが、コネクタ監視回路はまた、コネクタ16及び/又はコネクタ32の少なくとも一方がクリーニング又は交換を受けるべきときを決定するのに用いられてもよいことを認められたい。この実施形態の例では、コネクタ監視回路は様々な測定を用いて、接合対例えばドッキング・コネクタ22と接合されるコネクタ16の電気伝導度を決定する。次いで、接合対の電気伝導度を用いて、ドッキング・コネクタ22側の消耗を決定すると共に、ドッキング・コネクタ22がクリーニング又は交換の何れを受けるべきかを決定することができる。電気伝導度は、本書で用いられる場合には、接合対が電気を導通させる能力を指す。従って、ドッキング・コネクタ22の接合ピンの消耗が増すにつれて、接合ピンの表面積が減少して、ドッキング・コネクタ22がコネクタ16に堅固に又は固定的に結合されなくなる場合がある。消耗又は汚染のようなドッキング・コネクタ22と及びコネクタ16との間の電気的接続の障害も、接合対を介した電気伝導度の低下を招き得る。電気伝導度の低下は一般的には、接合対の抵抗率の増大に比例する。このようなものとして、コネクタ監視回路は、ドッキング・コネクタ22又はコネクタ16の少なくとも一方がクリーニング又は交換を受けるべきときを、接合対の測定抵抗率に基づいて決定するように構成される。
【0016】
図2に示すように、可搬型検出器10はケース50を含んでいる。ケース50は、一対の側壁52及び54、底面56、並びに反対側の上面58を含むように形成されている。ケース50はまた、図面の紙面に平行な表面として示されている表カバー60及び反対側の裏カバー62を含んでいる。ケースはまた、表カバー60から裏カバー62まで延在する把手64を含んでいる。稼働時には、把手64は、操作者が可搬型検出器10を運搬することを可能にする把手として作用する。明確に述べると、把手64を用いて可搬型検出器10の装着、運搬及び/又は保管を容易にすることができる。各側壁、上面壁及び底面壁、並びに表カバー及び裏カバーが共にケース50を形成している。ケース50は、アルミニウム材又はグラファイト材のように軽量で原子番号(N)の小さい材料で製造され得る。グラファイトはアルミニウムよりも軽量であり、しかも剛性でエネルギ吸収も小さい。前述のように、可搬型検出器10はまた、ドッキング・コネクタ22を含んでいる。
【0017】
図3は、図2に示す可搬型検出器10を図2の線3−3に沿って見た側面破断図である。図3に示すように、検出器10はまた回路基板70を含んでおり、回路基板70は、原子番号の小さい材料から作製され得るパネル支持体72に固着されており、パネル支持体72はパネル74に固着されている(例えば接着剤を用いて)。パネル74はガラス製パネルであってよく、X線シンチレータ物質を含み得る。この実施形態の例では、パネル74はシンチレータを含んでいる。このようなものとして、稼働時には、パネル74は複数の検出器横列を含むように形成され、検出器横列が各々、複数の検出器素子(図示されていない)を含んでおり、複数の検出器素子が共に、患者のような対象を通過した投射X線を感知する。稼働時には、各々の検出器素子が、入射したX線ビームの強度を表わし従ってビームが被検体18を通過するときのビームの減弱の推定を可能にする電気信号を発生する。幾つかの実施形態では、パネル支持体72は用いられず、回路基板70がパネル74に直接固着される。回路基板70及びパネル74(及び存在する場合にはパネル支持体72も)が併せて「電子アセンブリ」を構成する。
【0018】
パネル74に一定程度の破壊抵抗を与えるために、間隙76がパネル74と表カバー60との間に設けられる。また、電子アセンブリはケース50の何れの壁面にも物理的に接触せずに、裏カバー62に装着される。加えて、回路基板70の発熱構成要素78が、熱伝導性複合材80を用いて裏カバー62に熱的に結合され得る。熱伝導性複合材80は、回路基板70と裏カバー62との間に機械的結合を直接的に又は間接的に提供する。この実施形態の例では、可搬型検出器14はまた、回路基板70に装着されているプロセッサ82を含んでいる。プロセッサ82は可搬型検出器14を動作させるための情報を記憶し且つ/又は前述のように無線送受信器を介して遠隔の位置に情報を伝達するように構成される。この実施形態の例では、ドッキング・コネクタ22及びプロセッサ82は、例示的なコネクタ監視回路120(図6に示す)の一部を形成しており、このことについては後にあらためて詳述する。明確に述べると、プロセッサ82は、入力を受け取り、受け取った入力に基づいて、ドッキング・コネクタ22又はコネクタ16の少なくとも一方がクリーニング又は交換を受けるべきときを決定するようにプログラムされている。
【0019】
この実施形態の例では、検出器10は可搬型であるが、典型的には、患者の胸部のように患者の重要な領域を撮像するのに十分なだけ大きい。このように、可搬型検出器10は厚みが約1センチメートル又は数センチメートルに留まり得るが、幅及び長さは数十センチメートルであってよい。一実施形態では、可搬型検出器10はまた、X線グリッド若しくは散乱防止グリッド、又は医用X線撮像に適した他の何らかのグリッドを含んでいる。再び図3を参照して述べると、可搬型検出器はまた、ドッキング・コネクタ22を含んでいる。ドッキング・コネクタ22は、医用イメージング・システム12のような遠隔のステーションが、可搬型検出器10に電力を供給し、また該検出器10と連絡することを可能にする。選択随意で、可搬型検出器10は、バッテリ(図示されていない)を用いて稼働されて、上述した無線リンクを介して遠隔のステーション12と連絡してもよい。
【0020】
図4は、本発明の一実施形態による図1〜図3に示す可搬型検出器と共に用いられ得る例示的な電力制御回路100の概略図である。電力制御回路100は、プロセッサ82のようなプロセッサに結合されている多機能スイッチ102を含んでいる。この実施形態の例では、多機能スイッチ102は、当該スイッチ102のボタン104を押したり放したりすることにより作動する押しボタン式スイッチとして具現化されている。多機能スイッチは、当該スイッチを流れる電流が停止するような「切」、「開放」又は「非作動」位置にスイッチ102を偏圧するばね機構(図示されていない)を含み得る。ボタン104が押されると、スイッチは、電流が当該スイッチを流れることを可能にする。選択随意で、多機能スイッチ102は、ばね押し式選択スイッチ、トグル・スイッチ、ジョイスティック、又はタッチスクリーン・スイッチのような他の形式のスイッチとして具現化されていてもよい。電力制御回路100はまた、聴覚型インジケータ106及び視覚型インジケータ108を含んでいる。聴覚型インジケータは、例えばスピーカとして具現化され得る。視覚型インジケータ108は、例えば発光ダイオード(LED)として具現化され得る。稼働時には、プロセッサ82は、聴覚型インジケータ106及び視覚型インジケータ108の各々に、当該各々の装置を作動させるための信号を伝達する。
【0021】
電力制御回路100はさらに、検出器制御モジュール110を含んでいる。検出器制御モジュール110は、プロセッサ82にインストールされたソフトウェア・プログラムとして実装され得る。選択随意で、検出器制御モジュール110は、特定応用向け集積回路(ASIC)、論理回路、又は本書に記載される諸作用を実行することが可能なその他任意の回路若しくはプロセッサのようなハードウェア装置として実装されてもよい。稼働時には、検出器制御モジュール110は、多機能スイッチから受け取った信号を用いて検出器10の構成を様々な動作モードに再設定し、電力消費を低減したり後にあらためて詳述するような他の諸作用を実行したりするように構成されている。稼働時には、電力制御回路100は、可搬型検出器10が複数の動作モードで動作することを可能にする。例えば、検出器スリープ・モードでは、電力の過半を消費する可搬型検出器10の内部の構成要素を非作動にし、残りの構成要素、例えば多機能スイッチ及びプロセッサ82は作動させたままにして、操作者が多機能スイッチを動作させて検出器を後述するような他のモードに構成設定することを可能にすることにより、電力を節減する。「起動」動作モードでは、可搬型検出器10は、「スリープ・モード」から「作動」モード又は「アイドル」モードへ移行するように構成されている。アイドル・モードでは、多機能スイッチ102は、電力が当該多機能スイッチ102、プロセッサ82、送受信器544、及び検出器電子回路例えばパネル74等に供給されるように稼働される。アイドル・モードでは、検出器10は、医療ステーション12のような遠隔のステーションと連絡するように構成される。幾つかの動作モードでは、パネル74の検出器素子の一部のみを作動させて撮像を実行する場合もある。
【0022】
尚、可搬型検出器10は、複数の動作モードで動作するように構成されていることを認められたい。また、可搬型検出器によって消費される電力は、各々の動作モードにおいて異なっていてよい。例えば、スリープ・モードでは、可搬型検出器は、相対的に少ない電力を消費する。一方、作動モードでは、可搬型検出器は、スリープ・モードで動作しているときよりも多い電力を消費する。加えて、可搬型検出器が作動モードで動作している場合であっても、検出器素子の一部を撮像に用いない場合もあり、従って、可搬型検出器はスリープ・モードよりも多い電力を消費するが、完全な作動モードで動作しているときよりも少ない電力を消費する場合がある。
【0023】
従って、可搬型イメージング・システム検出器10は複数の動作モードで動作するように構成され、動作モードの少なくとも幾つかは、他の動作モードで消費される電力とは異なる量の電力を消費する。また、プロセッサ82は、可搬型検出器が動作している動作モードを決定するように構成され又はプログラムされている。一旦、可搬型検出器10の動作モードが決定されたら、当該モードにおいて可搬型検出器10によって消費される電力が決定される。一実施形態では、可搬型検出器10によって消費される電力を物理的測定によって決定してもよい。選択随意で、各々の動作モードにおいて可搬型検出器10によって消費される電力は、事前の知見に基づいて決定されてもよい。例えば、初期設定時に、可搬型検出器が各々の動作モードで動作している間に可搬型検出器10に対して様々な電力測定を行なうことができる。次いで、これらの測定値を例えばプロセッサ82のルックアップ・テーブルに記憶させることができる。次いで、通常の稼働時には、プロセッサ82によってルックアップ・テーブルにアクセスして、可搬型検出器10の動作モードに基づいて可搬型検出器10によって消費される電力を決定することができる。
【0024】
可搬型検出器10の全体的な電気的動作を説明するために、ここで図5を参照する。図5は、可搬型検出器10を、医用撮像ステーション12又はドッキング・ステーション30のような例示的な電源に結合する電気回路の単純化した概略図である。この実施形態の例では、Pは、例示的な電源から可搬型検出器へ供給される電力を表わしており、医用撮像ステーション12又はドッキング・ステーション30のような電源から可搬型検出器10へ供給されるような電力を表わしている。この実施形態の例では、電源Pは電圧出力V及び内部抵抗Rを有する直流(DC)電源である。従って、通常の稼働時には、例示的な電源Pは相対的に一定の電圧を出力し、この電圧を本書では電源基準電圧と呼ぶ。尚、各々の電源が異なる基準電圧を有していてよいことを認められたい。従って、可搬型検出器10へ電力を供給するのに用いられ得る各々の例示的な電源の基準電圧を決定することができ、電源Pの基準電圧V及び内部抵抗Rを表わす値をプロセッサ82のメモリに入力してメモリの内部に記憶することができる。
【0025】
は、稼働時の負荷が遭遇する電圧を表わす。この実施形態の例では、負荷は可搬型検出器10である。通常の稼働時には、可搬型検出器10は例示的な電源Pから相対的に一定の電圧供給を受ける。また、可搬型検出器は、稼働時には相対的に一定量の電力を消費する。従って、可搬型検出器によって消費される基準電力、従って通常の動作を促すために可搬型検出器10が受け取る必要のある基準電圧を決定することができ、これらの値をプロセッサ82のメモリに入力してメモリの内部に記憶することができる。
【0026】
尚、通常の稼働時には、可搬型検出器10は、前述のように複数の動作モードで動作するように構成されていることを認められたい。また、各々の動作モードにおいて、可搬型検出器10が異なる量の電力を消費することを認められたい。例えば、スリープ・モードでは、可搬型検出器10は、作動モードで動作しているときよりも少ない電力を消費する。従って、可搬型検出器10の動作モードは電力制御回路100によって決定され、次いで、プロセッサ82のメモリに記憶され得る。このように、この実施形態の例では、可搬型検出器10に送達され且つ/又は可搬型検出器10によって消費される電力及び電圧が各々の動作モードについて決定され、次いで、プロセッサ82のメモリに記憶される。従って、各々の動作モードにおいて、Vが検出器電子回路74に供給される電圧を表わし、(I×V)が検出器電子回路74によって消費される電力を表わす。
【0027】
は、可搬型検出器10を電源に結合する接合コネクタ対の抵抗を表わす。例えば、接合対130がコネクタ22及び16を含んでいてもよいし、コネクタ22及び32を含んでいてもよい。稼働時には、コネクタ接合対の少なくとも一方、例えばコネクタ22又は16が挿抜サイクルのため消耗する。消耗によって接合対に跨がって測定される抵抗が変化する。この実施形態の例では、接合対に跨がる抵抗は、挿抜サイクルの回数が増すにつれて低下する。従って、接合対の消耗を、電源Pによって発生される電圧及び可搬型検出器10において遭遇される電圧Vに基づいて算出することができる。
【0028】
さらに明確に述べると、前述のように、例示的な可搬型検出器10では、稼働時にV及びRは近似的に一定であり、可搬型検出器10へ電力を供給するのに用いられる各々の電源毎に決定され得る。加えて、各々の動作モードについて、R及びVも決定され得る。従って、可搬型検出器10へ供給される電圧に有意の影響を及ぼす変数は、電気コネクタR例えばコネクタ22の機械的状態のみとなる。この実施形態の例では、RはRに跨がる電圧を測定することにより決定される。さらに明確に述べると、抵抗の変化に基づく電気コネクタ22の機械的状態又は消耗は、検出器電子回路74に跨がる電圧を測定することにより決定され得る。
【0029】
図6は、接合対130の電気伝導度又は抵抗を決定するように構成されている例示的なコネクタ監視回路120の単純化した概略図である。接合対130の電気伝導度に基づいて、コネクタ監視回路120は、ドッキング・コネクタ22の消耗又は消耗状態の変化を決定し、またドッキング・コネクタ22がクリーニング又は交換の何れを受けるべきかを決定するように構成されている。この実施形態の例では、コネクタ監視回路120は、可搬型検出器10の内部電圧を調節するように構成されているスイッチング・レギュレータ基板(SRB)140を含んでいる。コネクタ監視回路120はまた、プロセッサ82及びアナログ−ディジタル変換器142を含んでいる。稼働時には、アナログ−ディジタル変換器142は可搬型検出器に結合されて、検出器電子回路74に跨がる電圧Vを表わすアナログ信号を可搬型検出器から受け取る。アナログ−ディジタル変換器142は、アナログ信号をディジタル信号へ変換し、ディジタル信号をプロセッサ82へ伝達する。次いで、プロセッサ82は、電圧Vの値を測定し又は決定する。
【0030】
例えば、稼働時には、検出器Vの入力電圧は、マイクロコントローラ82を用いて下式に従って決定される。
【0031】
=[R/(R+R+R)]*V
選択随意で、入力電圧をA/D変換器142から直接測定してもよい。一般的には、電源内部抵抗Rは可搬型検出器において遭遇される抵抗Rよりも遥かに小さく、またコネクタ接合対の抵抗Rは、コネクタ接合対が相対的に新品である、又は消耗を殆ど若しくは全く有していないときには近似的に0である。従って、検出器の入力電圧Vは電源電圧Vに近似的に等しい。しかしながら、コネクタ接合対122が消耗するにつれて、又はコネクタ接合対122の内部に物理的汚染が存在するときに、コネクタ接合対の抵抗Rは増大して、可搬型検出器10への対応する入力電圧Vは低下する。可搬型検出器10への入力電圧Vが予め決められた閾値よりも低下したときに、プロセッサ82はドッキング・コネクタ22又はコネクタ16がクリーニング又は交換を受けるべきであるとの視覚型表示又は聴覚型表示を発生する。尚、電圧供給の減少もまた、接続が依然「良好」である場合であってもVの減少を招き得るため、操作者は供給電圧が低下していないことを確認すべきであることを認められたい。さらに、Vが上昇し且つ接続が劣化している場合には、Vが依然「良好」に「見え」て良好でない場合もある。
【0032】
図7は、図6に示すコネクタ監視回路120を用いてドッキング・コネクタ22の消耗を監視する例示的な方法300の流れ図である。ブロック302では、コネクタ監視回路120は、可搬型検出器10の動作モードを決定する。例えば、プロセッサ82は、可搬型検出器10がスリープ・モード又は作動モードの何れで動作しているかを検出器制御モジュール110から受け取った入力に基づいて決定する。
【0033】
ブロック304では、コネクタ監視回路120は、ブロック302において決定された動作モードに基づいて、例えばA/D変換器142によって可搬型検出器10によって検出されるべき最小基準電圧Vを決定する。例えば、スリープ・モードでは、可搬型検出器10によって検出される基準電圧は、作動モードにおいて可搬型検出器によって検出される基準電圧よりも大きい。典型的には、スリープ・モードにおいて検出器によって引き出される電流は、作動モードにおいて検出器によって引き出される電流よりも小さい。従って、R及びRに跨がる低下は典型的には、作動モードよりもスリープ・モードでの方が小さい。結果的に、Vの過半がRに跨がって現われる。次いで、決定された動作モードについての基準電圧Vを表わす値がプロセッサ82のメモリに記憶される。
【0034】
ブロック306では、コネクタ監視回路120は、電源によって発生されている基準電圧Vを決定する。前述のように、電源は、例えば医療ステーション12又はドッキング・ステーション30であってよい。この実施形態の例では、電源によって供給されている基準電圧Vは、事前測定に基づいて決定される。次いで、基準電圧Vを表わす値がプロセッサ82のメモリに記憶される。
【0035】
ブロック308では、コネクタ監視回路120は、可搬型検出器10に送達されている実際の電圧を測定する。前述のように、ドッキング・コネクタ22とコネクタ16との間の電気的接続の消耗又は汚染のような障害が、接合対の電気伝導度の低下を招き得る。電気伝導度の低下は一般的には、接合対の抵抗率の増大に比例する。従って、接合対の抵抗が増すにつれて、可搬型検出器に供給される電圧は比例して低下する。従って、ブロック308では、可搬型検出器10に送達されている実際の電圧が測定される。
【0036】
ブロック310では、ブロック308において測定された実際の電圧を用いて、ドッキング・コネクタ22又はコネクタ16の少なくとも一方の電気抵抗を下式に従って決定する。
【0037】
=[R/(R+R+R)]*V (式1)
式中、
は可搬型検出器での測定電圧であり、
は電源の電圧であり、
は動作モードに基づく可搬型検出器の抵抗であり、
は電源の内部抵抗であり、
はコネクタ接合対の抵抗である。
【0038】
前述のように、値V、Rは、プロセッサ82に記憶されている以前に決定された値にアクセスすることにより取得され得る。また、コネクタ接合対の抵抗Rは、可搬型検出器10に跨がる電圧Vを測定し、式1を用いてRを算出することにより算出され得る。
【0039】
もう一つの実施形態では、電流(I)、コネクタにおけるV、及びコネクタの他方の側におけるVを全て測定すれば、各構成要素は全て直列であるので全ての抵抗が同じ電流に遭遇するためRを(V−V)/Iとして直接算出することができる。この実施形態では、電流を直接測定するので、動作モード及び挿抜サイクルの知見は用いない。電流の直接測定は、全3回の測定が行なわれている間に、任意であるが「一定の」動作モードを保つことにより稼働する。この実施形態は、開発時又は検出器寿命サイクルの任意の部分において、動作モードが本質的に変化すると、電流を直接測定しない限り動作モードの特性決定のやり直しが必要とされる点で有利である。実効的には、動作モードによる検出器電力消費を特性決定するということは、検出器によって引き出される電流を動作モードの関数として特性決定することである。次いで、コネクタにクリーニング又は交換を施す必要性を決定するのに用いるために、この情報をシステムによって「記憶」しておかなければならない。電流を直接測定すると、特性決定も記憶も不要になる。
【0040】
ブロック312では、コネクタ監視回路120は、ドッキング・コネクタ22又はコネクタ16がクリーニング又は交換を受けるべきときを接合対の測定抵抗率Rに基づいて決定する。このことについて以下に詳述する。
【0041】
図8は、ドッキング・コネクタ22又はコネクタ16の少なくとも一方がクリーニング又は交換を受けるべきときを電気抵抗率Rに基づいて決定するのに用いられ得る例示的な消耗曲線400のグラフ図である。実施形態の一例では、消耗曲線400は、複数の挿抜サイクルにわたって共に接続されるドッキング・コネクタ22と同じ形式である複数の従来のコネクタの抵抗を測定することにより導かれる。X軸は時間、又はドッキング・コネクタ22及びコネクタ16の挿抜サイクルを表わす。Y軸は、接合対の抵抗率Rを表わす。図7に示すように、挿抜サイクル又は利用時間が相対的に小さいときには、接合対の電気抵抗率Rは相対的に低い。従って、可搬型検出器10において測定される電圧Vは電源によって供給されている電圧Vに近似的に等しくなる。V=V*R/(R+R+R)であるので、電圧は常に比例する。R≫R及びRであるときには、電圧は近似的に等しい。従って、Rが消耗によって増大するにつれて、VはVに対して縮小する。しかしながら、挿抜サイクルが経時的に増大するにつれて、接合対の電気抵抗率Rも増大するため、可搬型検出器10において測定される電圧Vの低下が生ずる。この実施形態の例では、消耗曲線400に対応する各値は、プロセッサ82にルックアップ・テーブルとして記憶される。
【0042】
動作について述べると、一旦、接合対の電気抵抗率Rが上述のようにして決定されたら、電気抵抗率Rの値を消耗曲線400を用いて生成されたルックアップ・テーブルに記憶されている値と比較する。例えば、点402は、上述のようにして算出した電気抵抗率Rの第一の値を表わす。また、点404は、上述のようにして算出した電気抵抗率Rの第二の値を表わす。一実施形態では、接合対の電気抵抗率Rが予め決められた閾値406よりも小さいときに、コネクタ監視回路120は、利用者にドッキング・コネクタ22又はコネクタ16をクリーニングすることを促すように構成される。このことについては後にあらためて詳述する。この実施形態の例では、コネクタ監視回路120は視覚型又は聴覚型警報を作動させることができる。例えば、視覚型警報は、利用者にドッキング・コネクタ22をクリーニングすることを促す色光又はメッセージとして具現化され得る。選択随意で、聴覚型インジケータが、利用者にドッキング・コネクタ22をクリーニングすることを促す聴覚型表示又はメッセージを発してもよい。
【0043】
しかしながら、電気抵抗率Rが閾値406よりも大きく例えば点404であり、且つ/又は閾値408未満であるときには、コネクタ監視回路120は、利用者にドッキング・コネクタ22又はコネクタ16の少なくとも一方を交換することを促すように構成される。この実施形態の例では、コネクタ監視回路120は、視覚型又は聴覚型警報を作動させることができる。例えば、視覚型警報は、利用者にドッキング・コネクタ22を交換することを促す色光又はメッセージとして具現化され得る。選択随意で、聴覚型インジケータが、利用者にドッキング・コネクタ22を交換することを促す聴覚型表示又はメッセージを発してもよい。尚、この実施形態の例では、ドッキング・コネクタ22がクリーニング又は交換の何れを受けるべきかの決定は、ドッキング・コネクタの電気抵抗率Rに基づいていることを認められたい。さらに明確に述べると、電源によって発生される電圧と負荷によって利用される電圧との間の差が予め決められた閾値を上回っているときには、ドッキング・コネクタ22はクリーニング又は交換の何れかを受ける。この実施形態の例では、ドッキング・コネクタ22がクリーニングを必要とするときに発生される表示は、ドッキング・コネクタが交換を必要とするときに発生される表示とは異なる。これらの閾値は、所望に応じて又は必要に応じて変化させてよい。
【0044】
選択随意で、所与の閾値を通過したときに、システムは利用者にコネクタをクリーニングすることを促して、利用者がシステム・ユーザ・インタフェイスを介してクリーニングを完了したことを指示するまで利用を阻止することができる。この点において、接続を再び試験することができる。抵抗が予め決められた閾値を上回っていたら、システムは、操作者にコネクタを交換するように指示するメッセージを発生することができる。
【0045】
図9は、上述の可搬型検出器10の動作を制御するのに用いられ得る例示的な医用イメージング・システム12の見取り図である。図10は、本発明の一実施形態による図9に示す例示的な医用イメージング・システム12のブロック概略図である。この実施形態の例での医用イメージング・システム12は、X線源512及び可搬型検出器10を含むディジタル・ラジオグラフィ・イメージング・システムである。図9に示すように、X線源512はガントリ516に装着されている。ガントリ516は可動式であって、X線源512を撮像されている被検体518に関して適正に位置決めすることを可能にし、又はX線源512を撮像室から撮像室へと移動させることを可能にしている。選択随意で、ガントリ516は、ガントリを例えば床に結合させることにより固定的に装着される。図9を参照すると、イメージング・システム12はまた、X線源512と被検体518との間に配設されているコリメータ520を含み得る。イメージング・システム12はまた、ポジショナ(位置決め装置)522を含み得る。ポジショナ522は、X線源512及びコリメータ520に結合されてX線源512及びコリメータ520の位置決めを制御する機械的な制御器である。
【0046】
稼働時には、イメージング・システム12は、X線源512によって放出されてコリメータ520を通過したX線ビーム524によって被検体518の画像を形成する。コリメータ520は、患者、動物又は物体のような被検体518が配置されている所望の領域に合わせてX線ビーム524を形成して限定する。X線ビーム524の一部が被検体518を透過し又は被検体518の周囲を通過し、被検体518の内部の組織による減弱及び/又は吸収によって変化して、さらに可搬型検出器10に向かって進み、可搬型検出器10に衝突し又は入射する。一実施形態では、可搬型検出器10は、固定された位置にある固定式検出器であるかのようにシステムの内部に装着され得る。この実施形態の例では、検出器10は可搬型ディジタル式フラット・パネルX線検出器である。稼働時には、検出器10はX線フォトンを低エネルギの光フォトンへ変換し、続いて電気信号へ変換して、これらの電気信号が取得され処理されて、被検体518の体内の解剖学的構造の画像を再構成する。
【0047】
再び図10を参照して述べると、イメージング・システム12はさらに、X線源512、検出器10及びポジショナ522に結合されておりこれらX線源512、検出器10及びポジショナ522の動作を制御するシステム制御器526を含んでいる。システム制御器526は、電力、及び撮像検査系列のための制御信号の両方を供給することができる。一般的には、システム制御器526は、検査プロトコルを実行して取得画像データを処理するようにイメージング・システムの動作を制御する。システム制御器526はまた、汎用コンピュータ又は特定応用向けコンピュータを基本構成とする信号処理サーキットリと、コンピュータによって実行されるプログラム及びルーチン、並びに構成パラメータ及び画像データを記憶する付設のメモリ・サーキットリと、インタフェイス回路等とを含んでいる。
【0048】
システム制御器526はさらに、X線源512、検出器10及びポジショナ522の動作を協調させて検出器10から取得された画像データを処理するように構成されている少なくとも一つのコンピュータ又はプロセッサ528を含み得る。本書で用いられる「コンピュータ」との用語は、コントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定応用向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び本書に記載された作用を実行することが可能な他の任意の回路又はプロセッサを用いたシステムを含む任意のプロセッサ又はプロセッサ方式システムを含み得る。上の例は例示のみのためのものであり、従って「コンピュータ」との語の定義及び/又は意味を限定するものではない。稼働時には、プロセッサ528は付設されているメモリ・サーキットリ530に記憶されているルーチンに従って様々なタスクを遂行する。付設されているメモリ・サーキットリ530はまた、構成パラメータ、撮像用プロトコル、動作記録、未処理画像データ及び/又は処理済み画像データ等を記憶することができる。
【0049】
システム制御器526はさらに、操作者又は利用者が撮像プロトコル、撮像系列を画定し、またシステム構成要素の動作状態及び健全性を決定する等を行なうことを可能にするインタフェイス・サーキットリ532を含み得る。インタフェイス・サーキットリ532は、外部装置が、画像及び画像データを受け取ること、ラジオグラフィ・システムの動作を指令すること、並びにシステムのパラメータを設定すること等を可能にすることができる。
【0050】
システム制御器526は、通信インタフェイスを介して広範な外部装置に結合され得る。かかる装置として例えば操作者ワークステーション534等があり、操作者ワークステーション534はシステム制御器526と相互作用し又はイメージング・システムに対して直接相互作用して、画像を処理し又は再処理し、また画像を表示する等を行なう。操作者ワークステーション534は、イメージング・システム12に近接して配置されており通信リンク536を介してシステム制御器526に結線結合されているパーソナル・コンピュータ(PC)として具現化され得る。ワークステーション534はまた、システム制御器526へ情報を伝達するラップトップ型コンピュータ又はハンド・ヘルド型コンピュータのような可搬型コンピュータとして具現化されてもよい。一実施形態では、通信リンク536は、システム制御器526とワークステーション534との間に結線結合され得る。選択随意で、通信リンク536は、情報がワークステーションへ又はワークステーションからシステム制御器526へ無線で伝達されることを可能にする無線通信リンクであってよい。この実施形態の例では、ワークステーション534はイメージング・システム12の実時間動作を制御する。ワークステーション534はまた、本書に記載する医用画像の診断取得工程及び再構成工程を実行するようにプログラムされている。
【0051】
従って、操作者ワークステーション534は、中央処理ユニット(CPU)又はコンピュータ538、表示器540及び入力装置542を含んでいる。この実施形態の例では、コンピュータ538は、入力データを処理するために1又は複数の記憶要素又はメモリに記憶されている一組の命令を実行する。記憶要素はまた、所望に応じて又は必要に応じてデータ又は他の情報を記憶し得る。記憶要素は、情報ソースの形態にあってもよいしコンピュータ538の内部の物理的メモリ素子の形態にあってもよい。一組の命令は、本書に記載される様々な実施形態の方法及び工程のような特定の動作を実行するように処理機械としてのコンピュータ又はプロセッサ538に指令する様々な命令を含み得る。一組の命令はソフトウェア・プログラムに形態にあってもよい。本書で用いられる「ソフトウェア」及び「ファームウェア」との用語は互換的であり、コンピュータによる実行のために、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めたメモリに記憶された任意のコンピュータ・プログラムを含む。以上のメモリ形式は例示のためのみのものであるため、コンピュータ・プログラムの記憶に利用可能なメモリの形式を限定するものではない。
【0052】
ソフトウェアは、システム・ソフトウェア又はアプリケーション・ソフトウェアのような様々な形態にあってよい。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラムの集合、大きなプログラムの内部のプログラム・モジュール又はプログラム・モジュールの一部の形態にあってよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール型プログラミングを含み得る。処理機械による入力データの処理は、利用者の命令に応答して行なわれてもよいし、以前の処理の結果に応答して行なわれてもよいし、他の処理機械によって発行された要求に応答して行なわれてもよい。
【0053】
CPU538は通信リンク536に接続し、また入力、例えば利用者命令を入力装置542から受け取る。入力装置542は、例えばキーボード、マウス、タッチ・スクリーン・パネル及び/又は音声認識システム等であってよい。入力装置542及び付設される制御盤スイッチを介して、操作者は走査のためのイメージング・システム10の動作及びX線源512の位置決めを制御することができる。同様に、操作者は、得られる画像の表示器540での表示を制御し、またワークステーションCPU538によって実行されるプログラムを用いて画像強調作用を実行することができる。ワークステーション534はまた、任意の1又は複数の網リンクによってシステム制御器526に結合されていてもよい。
【0054】
この実施形態の例では、検出器10からシステム制御器526又はワークステーション534へ電気信号を伝達するために、検出器10は送受信器544を含んでおり、送受信器544は、検出器10によって発生される電気信号及び他の情報を無線形式で、システム制御器526に装着されている対応する送受信器546へ伝達するように構成されている。選択随意で、送受信器544は、検出器10によって発生される電気信号及び他の情報を無線形式で、ワークステーション534に装着されている対応する送受信器548へ伝達するように構成される。
【0055】
本書では、接合対の電気伝導度又は電気抵抗を決定するように構成されているコネクタ監視回路を含む可搬型検出器10について記載している。接合対の電気伝導度に基づいて、コネクタ監視回路は、ドッキング・コネクタの消耗を決定し、またドッキング・コネクタ22がクリーニング又は交換の何れを受けるべきかを決定するように構成される。選択随意で、コネクタ監視回路はまた、挿抜サイクルを計数することによりコネクタ消耗を決定してもよい。さらに明確に述べると、検出器は、可搬型であるので様々な異なるイメージング・システムと共に用いられ得る。従って、挿抜サイクルの量を、検出器自体によって、又は可搬型検出器が接続されるシステムによって計数することができる。
【0056】
以上の様々な実施形態の技術的効果は、可搬型検出器に設けられている電気コネクタがクリーニング又は交換を必要としていることを操作者に知らせることにある。操作者が電気コネクタをクリーニングし又は交換することを可能にする視覚型表示又は聴覚型表示が設けられる。
【0057】
様々な実施形態、並びに/又は様々な構成要素、例えばモニタ、表示器、若しくは内部の構成要素及び制御器はまた、1又は複数のコンピュータ又はプロセッサの一部として具現化され得る。コンピュータ又はプロセッサは、計算装置、入力装置、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェイスを含み得る。コンピュータ又はプロセッサはマイクロプロセッサを含み得る。マイクロプロセッサは通信バスに接続され得る。コンピュータ又はプロセッサはまた、メモリを含み得る。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含み得る。コンピュータ又はプロセッサはさらに、記憶装置を含んでいてよく、記憶装置はハード・ディスク・ドライブ、又はフレキシブル・ディスク・ドライブ及び光ディスク・ドライブ等のような着脱式記憶ドライブであってよい。記憶装置はまた、コンピュータ又はプロセッサにコンピュータ・プログラム又は他の命令を読み込む他の類似の手段であってよい。
【0058】
以上の記載は例示説明のためのものであって制限するものではないことを理解されたい。例えば、上述の各実施形態(及び/又は各実施形態の諸観点)を互いに組み合わせて用いてよい。加えて、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。例えば、方法に記載されている各ステップの順序は、明示されていたり暗黙裡に要求されていたり(例えば一つのステップが、前段のステップの結果又は成果が利用可能であることを要求する等)しない限り、特定の順序で実行される必要はない。本書に記載されている材料の寸法及び形式は、本発明の各パラメータを定義するためのものであるが、限定するものではなく例示する実施形態である。以上の記載を吟味して理解すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲に関連して、かかる特許請求の範囲が網羅する等価物の全範囲と共に決定されるものとする。特許請求の範囲では、「including包含する」との用語は「comprising含む」等の標準英語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」等の標準英語の同義語として用いられている。また、特許請求の範囲では、「第一」、「第二」及び「第三」等の用語は単にラベルとして用いられており、これらの用語の目的語に対して数値的要件を課すものではない。さらに、特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能(means-plus-function)」式で記載されている訳ではなく、かかる特許請求の範囲の制限が、「〜のための手段」に対して他の構造を含まない機能の言明を従えた文言を明示的に用いていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6パラグラフに基づいて解釈されるべきではない。
【0059】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明の様々な実施形態を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者がこれらの様々な実施形態を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0060】
10 可搬型検出器
12 医用イメージング・システム
14 接続コード
16 コネクタ
18 第二のコネクタ
20 電気導線
22 ドッキング・コネクタ
30 ドッキング・ステーション
32 コネクタ
50 ケース
52、54 側壁
56 底面
58 反対側の上面
60 表カバー
62 裏カバー
64 把手
70 回路基板
72 パネル支持体
74 検出器電子回路
76 間隙
78 発熱構成要素
80 熱伝導性複合材
82 プロセッサ
100 電力制御回路
102 多機能スイッチ
104 ボタン
106 聴覚型インジケータ
108 視覚型インジケータ
110 検出器制御モジュール
120 コネクタ監視回路
122 コネクタ接合対
130 接合対
140 SRB
142 アナログ−ディジタル変換器
300 方法
400 線
402、404 点
406 予め決められた閾値
408 閾値
512 X線源
516 ガントリ
518 被検体
520 コリメータ
522 ポジショナ
524 X線ビーム
526 システム制御器
528 プロセッサ
530 付設のメモリ・サーキットリ
532 インタフェイス・サーキットリ
534 操作者ワークステーション
536 通信リンク
538 CPU
540 表示器
542 入力装置
544、546、548 送受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ−ディジタル変換器(142)と、
該アナログ−ディジタル変換器に結合されたプロセッサ(82)と
を備えたコネクタ監視アセンブリ(120)であって、前記プロセッサは、
負荷(74)において検出される電圧を決定し、
電源(142)により発生される電圧を決定して、
前記負荷において検出される前記決定された電圧及び前記電源により発生される前記電圧を用いて一対の電気コネクタ(16、22又は22、32)の電気抵抗を決定する
ようにプログラムされており、前記一対の電気コネクタ装置は、前記電源に結合される電源コネクタ(16)と、前記負荷に結合される負荷コネクタ(22)とを含んでおり、前記電源コネクタは前記負荷コネクタに結合されている、コネクタ監視アセンブリ(120)。
【請求項2】
前記プロセッサ(82)は、
前記決定された電気抵抗を予め決められた閾値と比較して、
該比較に基づいて、前記負荷コネクタ(22)又は前記電源コネクタ(16)の少なくとも一方の消耗を決定する
ようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコネクタ監視アセンブリ(120)。
【請求項3】
前記負荷(74)において検出される前記電圧を決定するために、前記プロセッサ(82)は、可搬型イメージング・システム検出器(10)において検出される名目電圧を決定するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコネクタ監視アセンブリ(120)。
【請求項4】
前記可搬型イメージング・システム検出器は、複数の動作モードで動作するように構成されており、前記プロセッサ(82)は、前記可搬型イメージング・システム検出器の前記動作モードに基づいて前記一対の電気コネクタ(16、22又は22、32)の電気抵抗を決定するようにさらにプログラムされている、請求項3に記載のコネクタ監視アセンブリ(120)。
【請求項5】
前記プロセッサ(82)は、前記決定された電気抵抗に基づいて利用者に前記電源コネクタ(16)又は前記負荷コネクタ(22)の少なくとも一方をクリーニングする又は交換することを促すようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコネクタ監視アセンブリ(120)。
【請求項6】
前記プロセッサ(82)は、前記電気抵抗が第一の予め決められた閾値よりも大きく且つ第二の予め決められた閾値よりも小さいときに利用者に前記電源コネクタ(16)又は前記負荷コネクタ(22)の少なくとも一方をクリーニングすることを促すようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコネクタ監視アセンブリ(120)。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記電源コネクタ(16)又は前記負荷コネクタ(22)の少なくとも一方がクリーニングを必要とするときに第一の表示を発生し、
前記電源コネクタ(16)又は前記負荷コネクタ(22)の少なくとも一方が交換を必要とするときに異なる第二の表示を発生する
ようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のコネクタ監視アセンブリ(120)。
【請求項8】
複数の検出器素子を含む検出器パネル(74)と、
該検出器パネルに電力を供給するように構成され、電力コネクタ(16)と結合するように構成されているドッキング・コネクタ(22)と、
該ドッキング・コネクタ(22)に結合されているコネクタ監視アセンブリ(120)と
を備えた可搬型X線検出器(10)であって、前記コネクタ監視アセンブリは、
検出器パネル(74)において検出される電圧を決定し、
電源(142)により発生される電圧を決定して、
前記検出器パネルにおいて検出される前記決定された電圧及び前記電源により発生される前記電圧を用いて前記ドッキング・コネクタの電気抵抗を決定する
ように構成されている、可搬型X線検出器(10)。
【請求項9】
前記コネクタ監視回路(120)は、
前記決定された電気抵抗を予め決められた閾値と比較して、
該比較に基づいて前記ドッキング・コネクタの消耗を決定する
ようにさらに構成されている、請求項8に記載の可搬型X線検出器(10)。
【請求項10】
当該可搬型イメージング・システム検出器は複数の動作モードで動作するように構成されており、前記コネクタ監視回路(120)は、当該可搬型イメージング・システム検出器の前記動作モードに基づいて前記ドッキング・コネクタ(22)の前記電気抵抗を決定するようにさらに構成されている、請求項8に記載の可搬型X線検出器(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−229899(P2011−229899A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−282500(P2010−282500)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】