説明

コンテンツ提示装置、コンテンツ提示方法、およびプログラム

【課題】 適切なコンテンツを提示できるコンテンツ提示機能を備えたナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】
ナビゲーション装置1は、コンテンツとその属性値を記憶した地図DB20と、地図DB20に記憶されたコンテンツから、ユーザが採用したコンテンツの履歴に基づいてコンテンツを選択するユーザ適合コンテンツ選択部50と、地図DB20に記憶されたコンテンツから、ユーザ適合コンテンツ選択部50にて選択されたコンテンツと属性値の異なるコンテンツを選択する異種コンテンツ選択部52と、ユーザ適合コンテンツ選択部にて選択されたユーザ適合コンテンツと異種コンテンツ選択部にて選択された異種コンテンツとを提示するコンテンツ提示部54とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにコンテンツを提示する装置に関し、特に、コンテンツとしてレストランや観光地等の施設の情報を提示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置等においてドライブの状況やユーザの属性値に応じてコンテンツを提示する装置が、例えば特許文献1等によって知られていた。特許文献1は、本発明者らによる特許出願である。
【0003】
特許文献1に記載されたサービス候補提供システムでは、車載装置がユーザの属性値、嗜好、履歴等の情報に基づいてユーザの嗜好パターンや行動パターンを特徴付けるユーザモデルを構築する。そして、サービス候補提供サーバは、ユーザモデルを用いてユーザに提供するサービス候補一覧情報を生成し、生成したサービス候補一覧情報を車載装置に送信する。また、車載装置は、ユーザによるサービスの選択結果等を学習サンプルとしてユーザモデルの更新を行う。これにより、ユーザモデルが、ユーザの特徴をより正確に反映したモデルにカスタマイズされる。
【特許文献1】特開2005−208943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような従来のコンテンツ提示装置は、ユーザによるサービスの選択結果等を用いてユーザモデルの学習を行うので、ユーザの嗜好を反映し、ユーザにとって適切なコンテンツを提示できるというメリットがある。
【0005】
その反面で、学習が進んでユーザの嗜好に対する適合度が高まってくると、いつも似たようなコンテンツが提示されることがある。従って、提示される内容に意外性や発見がなくなり、ユーザが飽きてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記背景に鑑み、適切なコンテンツを提示できるコンテンツ提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンテンツ提示装置は、コンテンツとその属性値を記憶したコンテンツ記憶部と、前記コンテンツ記憶部に記憶されたコンテンツから、ユーザが採用したコンテンツの履歴に基づいてコンテンツを選択するユーザ適合コンテンツ選択部と、前記コンテンツ記憶部に記憶されたコンテンツから、前記ユーザ適合コンテンツ選択部にて選択されたコンテンツと属性値の異なるコンテンツを選択する異種コンテンツ選択部と、前記ユーザ適合コンテンツ選択部にて選択されたユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツ選択部にて選択された異種コンテンツとを提示するコンテンツ提示部とを備える。
【0008】
このようにユーザ適合コンテンツとは属性値の異なる異種コンテンツをユーザ適合コンテンツとともに提示する構成により、ユーザの嗜好に合わせながら多様化したコンテンツを提示できる。
【0009】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記ユーザ適合コンテンツ選択部は、ユーザがコンテンツを採用したときの状況と採用されたコンテンツの属性値との関係を表わすユーザモデルを有し、前記ユーザモデルを用いて現在の状況に対応するコンテンツの属性値を求め、前記属性値を有するコンテンツを前記ユーザ適合コンテンツとして選択してもよい。
【0010】
このようにユーザモデルを用いることにより、現在の状況に対応するコンテンツを適切に選択することができる。
【0011】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記異種コンテンツ選択部は、状況またはユーザの属性値とコンテンツの属性値との関係を表す前記ユーザモデルとは異なる別モデルを有し、前記別モデルを用いて現在の状況またはユーザの属性値に対応するコンテンツの属性値を求め、前記コンテンツの属性値を有するコンテンツを前記異種コンテンツとして選択してもよい。
【0012】
このようにユーザモデルとは異なる別モデルを用いることにより、ユーザモデルによって選択されるコンテンツとは属性値の異なるコンテンツを選択することができる。なお、別モデルは、例えば、一般的なユーザの嗜好を反映したモデルを用いることができる。別モデルは、年齢、性別、消費特性、性格等によって異なるモデルとしてもよい。例えば、ユーザが20代、男性である場合には、20代、男性の嗜好を反映したモデルを用いてもよい。
【0013】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記別モデルは、複数のユーザから得られたコンテンツの採用履歴のデータを用いて生成されたモデルでもよい。
【0014】
この構成により、別モデルを適切に生成することができる。
【0015】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記別モデルは、特定の状況におけるコンテンツの採用履歴のデータを用いて生成されたモデルでもよい。
【0016】
このように状況(シーン)を限定することにより、状況に応じて、異なる別モデルを生成することができる。状況としては、夏、卒業シーズンなどの時期的な状況、デート中、仕事中などのユーザの行動に関する状況、晴れの日、雨の日等の天候に関する状況、海岸沿い、山道等の場所に関する状況等、様々な状況が考えられる。
【0017】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記ユーザモデルは、最近の所定期間にユーザが採用したコンテンツの履歴を用いて生成されたモデルでもよく、前記別モデルは、前記所定期間より長い期間にユーザが採用したコンテンツの履歴を用いて生成されたモデルでもよい。
【0018】
このように長期間にわたるコンテンツの採用履歴を用いて別モデルを生成することにより、別モデルを用いて、ユーザがベースとして有している嗜好に応じたコンテンツを選択できる。一方、最近の所定期間のコンテンツの採用履歴を用いてユーザモデルを生成することにより、ユーザモデルを用いて、最近の嗜好に応じたコンテンツを選択できる。従って、ベースの嗜好と最近の嗜好に応じて多様なコンテンツを提示することができる。
【0019】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記コンテンツ提示部は、前記異種コンテンツを提示する際に、その異種コンテンツを選択した別モデルに関する情報を提示してもよい。
【0020】
このように異種コンテンツを選択した別モデルに関する情報を提示することにより、ユーザは、自分の嗜好と異なる異種コンテンツが提示された理由を理解することができる。
【0021】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記異種コンテンツ選択部は、あらかじめ定められたコンテンツを選択してもよい。
【0022】
このようにあらかじめ定められたコンテンツを選択し、ユーザ適合コンテンツと共に提示することにより、流行りのコンテンツやお勧めのコンテンツ等を提示することができる。なお、あらかじめ定められたコンテンツのデータは、サーバ等から配信する構成としてもよい。これにより、最新のコンテンツを提示することができる。
【0023】
本発明のコンテンツ提示装置は、前記コンテンツ提示部にて同じ属性値を有するコンテンツを提示する個数が設定されていてもよい。
【0024】
この構成により、属性値が等しいコンテンツばかりが多数提示されるという事態を防止し、多様なコンテンツを提示することができる。
【0025】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記コンテンツ提示部は、前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツとを識別可能な態様で提示してもよい。
【0026】
この構成により、提示されたコンテンツがユーザの嗜好に応じて選ばれたコンテンツか否かを識別でき、提示されたコンテンツから所望のコンテンツを選ぶ際のヒントを得られる。なお、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツとを識別可能な態様で提示する方法としては、様々な方法が考えられる。例えば、ユーザ適合コンテンツを推薦するキャラクターと異種コンテンツを推薦するキャラクターをコンテンツの近傍に表示してもよい。また、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツとを異なる色やフォントで表示してもよい。音声によってコンテンツを提示する場合には、ユーザ適合コンテンツを音声出力する場合と、異種コンテンツを音声出力する場合とで音声を変えてもよい。
【0027】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記コンテンツ提示部は、前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツとを順不同に表示してもよい。
【0028】
例えば、上から順番にユーザ適合コンテンツが並び、異種コンテンツが続くような提示順序は、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツとを識別しやすいというメリットがある反面、ユーザは上位からコンテンツを選びがちになる可能性がある。本発明の構成により、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツの提示順序のコンテンツ選択への影響を低減できる。
【0029】
本発明のコンテンツ提示装置は、前記コンテンツ提示部で提示する前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツの提示割合を決定する提示割合決定部を備えてもよい。
【0030】
この構成により、提示割合を変えることができるので、状況等に応じて適切な割合でユーザ適合コンテンツと異種コンテンツを提示できる。
【0031】
本発明のコンテンツ提示装置は、前記ユーザ適合コンテンツの採用回数と前記異種コンテンツの採用回数とに基づいて前記提示割合を変更してもよい。
【0032】
この構成により、ユーザに合った割合でユーザ適合コンテンツと異種コンテンツを提示できる。従って、コンテンツの提示に必要なリソース(画面あるいは音声出力の時間)を効率的に活用し、ユーザのニーズに合ったコンテンツを提示できる。
【0033】
本発明のコンテンツ提示装置は、ユーザが採用したコンテンツの時系列の履歴に基づいて、前記提示割合を変更してもよい。
【0034】
この構成により、時系列におけるコンテンツの採用パターン等を用いて、適切な提示割合を設定できる。
【0035】
本発明のコンテンツ提示装置において、前記コンテンツは施設であり、前記コンテンツ記憶部には、前記属性として施設の位置を示すデータが記憶されており、検索条件の入力を受け付ける検索条件入力部と、前記検索条件入力部にて入力された検索条件に適合する複数のコンテンツを前記コンテンツ記憶部から検索する条件検索部と、前記条件検索部にて検索されたコンテンツの分布を求めるコンテンツ分布算出部とを備え、前記ユーザ適合コンテンツ選択部および前記異種コンテンツ選択部は、前記条件検索部にて検索されたコンテンツを選択の対象とし、前記提示割合決定部は、前記コンテンツ分布算出部にて算出されたコンテンツの分布に基づいて、前記提示割合を決定してもよい。
【0036】
このように検索条件に適合するコンテンツの中から選んだコンテンツを提示する場合には、ユーザが入力した検索条件に対応するコンテンツの分布のデータを利用して、提示割合を適切に設定できる。例えば、コンテンツが分散している場合には、検索条件は珍しいコンテンツを検索対象としている可能性があるので、ユーザの嗜好に合ったユーザ適合コンテンツより、異種コンテンツの割合を大きく設定する。なお、ここで示した例は一例であり、分布のデータと提示割合との関係は、システム等の要件に応じて適宜設定することができる。
【0037】
本発明のコンテンツ提示装置は、ユーザの現在位置を検出する現在位置検出部を備え、前記コンテンツは施設であり、前記コンテンツ記憶部には、前記属性として施設の位置を示すデータが記憶されており、前記ユーザ適合コンテンツ選択部および前記異種コンテンツ選択部は、ユーザの現在位置からコンテンツの位置までの距離のデータを用いて施設を選択してもよい。
【0038】
この構成により、地理的に遠くてもユーザの過去の採用履歴に近いコンテンツや、コンテンツの採用履歴にはそれほど近くないが地理的に近くにあるコンテンツ等のように、距離と嗜好のバランスにより、適切なコンテンツを選択できる。
【0039】
本発明のコンテンツ提示方法は、コンテンツとその属性値を記憶したコンテンツ記憶部から、ユーザが採用したコンテンツの履歴に基づいて、ユーザに適合するコンテンツをユーザ適合コンテンツとして選択するステップと、前記コンテンツ記憶部から、前記ユーザ適合コンテンツと属性値の異なるコンテンツを異種コンテンツとして選択するステップと、前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツとを提示するステップとを備える。
【0040】
このようにユーザ適合コンテンツとは属性値の異なる異種コンテンツを、ユーザ適合コンテンツとともに提示することにより、上記したコンテンツ提示装置と同様に、ユーザの嗜好に合わせながら多様化したコンテンツを提示できる。また、本発明のコンテンツ提示装置の各種の構成を本発明のコンテンツ提示方法に適用することが可能である。
【0041】
本発明のプログラムは、コンテンツを提示するためのプログラムであって、コンピュータに、コンテンツとその属性値を記憶したコンテンツ記憶部から、ユーザが採用したコンテンツの履歴に基づいて、ユーザに適合するコンテンツをユーザ適合コンテンツとして選択するステップと、前記コンテンツ記憶部から、前記ユーザ適合コンテンツと属性値の異なるコンテンツを異種コンテンツとして選択するステップと、前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツとを提示するステップとを実行させる。
【0042】
このようにユーザ適合コンテンツとは属性値の異なる異種コンテンツを、ユーザ適合コンテンツとともに提示することにより、上記したコンテンツ提示装置と同様に、ユーザの嗜好に合わせながら多様化したコンテンツを提示できる。また、本発明のコンテンツ提示装置の各種の構成を本発明のプログラムに適用することが可能である。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、ユーザ適合コンテンツとは属性値の異なる異種コンテンツをユーザ適合コンテンツとともに提示する構成により、ユーザの嗜好に合わせながら多様化したコンテンツを提示できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態のコンテンツ提示装置について図面を参照して説明する。以下では、コンテンツ提示装置をナビゲーション装置に適用した例について説明する。すなわち、以下で説明するナビゲーション装置は、レストランや観光地等の施設の情報(コンテンツ)を提示する機能を備えている。ただし、本発明のコンテンツ提示装置は、ナビゲーション装置のみならず、他の装置に適用することも可能である。例えば、コンテンツとして音楽を提示する場合には、音楽再生機能を有するオーディオ機器等に適用することもできる。
【0045】
図1は、本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置1の構成を示す図である。ナビゲーション装置1は、位置検出器10と、地図データベース(以下、「地図DB」という)20と、操作スイッチ群22と、通信部26と、メモリ28と、表示装置30と、音声コントローラ32と、スピーカ34と、音声認識装置36と、マイク38と、リモコンセンサ40と、リモートコントロール端末(以下、「リモコン」という)42と、これらの各装置が接続された制御装置24を備えている。
【0046】
制御装置24は、通常のコンピュータであり、内部にはCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するためのバスラインを備えている。ROMには、制御装置24が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPUが演算処理を実行する。下記に説明する制御装置24の処理を実行するためのプログラムも本発明の範囲に含まれる。
【0047】
位置検出器10は、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ12、車両の相対方位を検出するためのジャイロスコープ14、車両の走行距離を検出する距離センサ16、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機18を有している。これらのセンサ12、14、16、18は各々が性質の異なる誤差を持っている。複数のセンサ12、14、16、18は、互いに補完しながら使用される。なお、精度によっては、上述したうちの一部で位置検出器10を構成してもよい。また、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。
【0048】
地図DB20は、例えば、DVD−ROM、CD−ROMなどの記憶媒体によって構成される。地図DB20には、道路地図データ、背景データ、文字データ、施設データが格納されている。
【0049】
図3は、施設データの例を示す図である。施設データは、施設を識別するIDと、施設名と、施設の属性(ジャンル、予算)と、施設の位置の各データが関連付けられている。ここでは、「ジャンル」としてレストランのジャンルを示しているが、実際には、大きな分類として「観光地」「ホテル」「レストラン」等の属性値や、細かい分類として「寿司」「とんかつ」「天ぷら」「懐石」等の属性値が記憶されている。なお、図3は一例であり、施設データは、図3に示す以外のデータを含んでもよい。本実施の形態のナビゲーション装置1では、コンテンツとして施設を提示するので、以下の説明では、施設を「コンテンツ」と呼ぶ。
【0050】
操作スイッチ群22は、たとえば表示装置30と一体になったタッチスイッチもしくは表示装置30の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなる。操作スイッチ群22は、表示装置30に表示された地図の縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更、音量調整等の各種入力に使用される。また、リモコン42には、図示しない複数の操作スイッチが設けられ、その操作スイッチの操作により操作スイッチ群22と同様の入力操作が行える。リモコン42に入力された入力操作を表す信号は、リモコンセンサ40を介して制御装置24へ供給される。
【0051】
記憶装置であるメモリ28は、例えば、メモリカードやハードディスク等であり、書き込み可能な記憶媒体を備えている。このメモリ28には、ユーザモデル60、一般モデル62、コンテンツの採用履歴データ64が記憶されている。また、メモリ28には、ユーザによって設定された自宅位置や、テキストデータ、画像データ、音声データ等の各種データを記憶してもよい。
【0052】
ユーザモデル60は、ユーザがコンテンツを採用したときの状況と採用されたコンテンツの属性値との関係を表わすモデルである。一般モデル62は、状況またはユーザの属性値とコンテンツの属性値との関係を表すモデルであって、ユーザモデル60とは異なるモデルである。ここで、一般モデル62は、請求項の「別モデル」に相当する。コンテンツの採用履歴データ64は、ユーザが過去に採用したコンテンツを示すデータである。この採用履歴データ64には、コンテンツを採用したときの状況等のデータが関連付けられている。
【0053】
表示装置30は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイによって構成される。表示装置30の所定の地図表示領域には、車両の現在位置に対応する自車位置マークが地図データによって生成された車両周辺の道路地図上に重畳表示される。また、表示装置30は、ナビゲーション装置1によって選択されたコンテンツが表示される。
【0054】
通信部26は、外部との通信接続をする機能を有し、コンテンツ情報センタ44との通信を行う。コンテンツ情報センタ44は、コンテンツの最新データやプロモーションデータ等を提供する機能を有する。
【0055】
スピーカ34は、音声コントローラ32から入力された音声出力信号に基づき所定の音声(案内のための音声や画面操作の説明、音声認識結果等)を外部に出力する。
【0056】
マイク38は、操作者が発声した音声を電気信号として音声認識装置36に入力する。音声認識装置36は、マイク38から入力された操作者の入力音声と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データ(比較対照パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ32に入力する。
【0057】
音声コントローラ32は、音声認識装置36を制御するとともに、音声入力に対し、スピーカ34を通じてトークバック出力制御(音声出力)する。また、音声認識装置36の認識結果を制御装置24に入力する処理も行う。
【0058】
制御装置24は、音声認識装置36からの情報に基づき、操作者の発声に対する所定の処理および操作スイッチ群22あるいはリモコン42の入力操作に対する所定の処理(例えば、メモリ28への地図データの記憶処理、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)を実行する。また、本実施の形態の制御装置24は、以下に詳しく説明するように、状況等に応じてコンテンツを選択し、選択したコンテンツを提示する機能を有する。
【0059】
図2は、制御装置24の機能を示すブロック図である。制御装置24は、ユーザ適合コンテンツ選択部50と、異種コンテンツ選択部52と、コンテンツ提示部54と、提示割合決定部56と、モデル学習部58とを有している。
【0060】
ユーザ適合コンテンツ選択部50は、地図DB20に記憶されたコンテンツの中から、ユーザの嗜好に適合したコンテンツを選択する機能を有する。ユーザ適合コンテンツ選択部50は、まず、メモリ28に記憶されたユーザモデル60を用いて、現在の状況に適合するコンテンツの属性値を求める。ここで、ユーザ適合コンテンツ選択部50は、現在の状況に適合するコンテンツの属性値として、複数の属性値を求めてもよい。次に、ユーザ適合コンテンツ選択部50は、位置検出器10にて検出した現在位置から所定の範囲内にあるコンテンツのうち、求めた属性値に対応するコンテンツを選択する。
【0061】
異種コンテンツ選択部52は、地図DB20に記憶されたコンテンツの中から、ユーザ適合コンテンツとは属性値の異なるコンテンツを選択する機能を有する。異種コンテンツ選択部52は、まず、メモリ28に記憶された一般モデル62を用いて、現在の状況に適合するコンテンツの属性値を求める。ここで、異種コンテンツ選択部52は、現在の状況に適合するコンテンツの属性値として複数の属性値を求めてもよい。次に、異種コンテンツ選択部52は、位置検出器10にて検出した現在位置から所定の範囲内にあるコンテンツのうち、求めた属性値に対応するコンテンツを選択する。
【0062】
ここで、ユーザモデル60および一般モデル62について説明する。本実施の形態では、ユーザモデル60および一般モデル62として、ベイジアンネットのモデルを用いる。ベイジアンネットのモデルは、観測された事象(例えば、状況やユーザ属性値)からコンテンツの属性値の尤度を求めるモデルである。なお、本実施の形態では、ベイジアンネットのモデルを用いているが、過去のコンテンツの採用履歴に基づいてコンテンツの属性値を求めることができるモデルであれば、他のモデルを用いてもよい。例えば、ニューラルネットワークのモデルを用いることも可能である。
【0063】
図4(a)〜図4(c)は、ベイジアンネットのモデルについて説明する図である。図4(a)に示すように、ベイジアンネットのモデルは、事象を示すノードを有向リンクで接続することにより、ある事象が生起したときに別の事象が起こる確率を表現している。各リンクの条件付き確率は、条件付き確率表(Conditional Probability Table)によって表現される。ベイジアンネットのモデルでは、観測ノード(この例では、平日/休日のノードN1、同乗者の有無のノードN2)に値を設定することにより、未観測ノード(この例では、コンテンツの属性のノードN3)の確率を求める。
【0064】
図4(b)は、条件付き確率表の例を示す図である。この表から、例えば、休日かつ同乗者ありの場合には、和食の3000円のコンテンツが採用される確率が高い(50%)ことが分かる。なお、図4(b)は説明の便宜のため、条件が少ない例を挙げているが、実際のモデルは、例えば、時間帯、天候、交通状況、季節等の様々な条件が含まれる。条件付き確率表は、ユーザによるコンテンツ採用履歴に基づいて生成される。図4(c)は、ユーザがコンテンツを採用した履歴を示す表である。この表において、各コンテンツの採用回数をコンテンツ採用回数の合計で割った値を、条件付き確率としている。
【0065】
ユーザモデル60はナビゲーション装置1のユーザによるコンテンツの採用履歴が反映されたモデルであるのに対し、一般モデル62は多数のユーザによるコンテンツの採用履歴が反映されたモデルである。一般モデル62は、例えば、以下のようにして取得することができる。まず、コンテンツ情報センタ44が複数のユーザのコンテンツの採用履歴を収集し、収集した履歴データから一般モデル62を生成する。そして、コンテンツ情報センタ44は、生成した一般モデル62をナビゲーション装置1に配信する。
【0066】
モデル学習部58は、ユーザによるコンテンツの採用履歴を用いて、ユーザモデル60を更新する。すなわち、コンテンツが採用されたときに、コンテンツが採用された状況等の条件を求め、その条件に対応するコンテンツの属性値の採用回数をカウントアップすることにより、条件付き確率表を更新する。なお、ユーザモデル60を生成するに際し、初期モデルとして一般モデル62を用いてもよい。
【0067】
図5は、一般モデル62とユーザモデル60を特徴空間上に配置した例を示す図である。図5は、特定の条件(例えば、平日、同乗者あり等)において選択されるコンテンツの属性値を示している。一般モデル62では、やや洋風嗜好で4000円程度のコンテンツが採用されることを示している。この一般モデル62を初期値とし、ユーザのコンテンツ採用回数をカウントアップしていくことにより、ユーザの採用の傾向が強く反映されるようになる。ユーザが、和風、2000円を中心としたコンテンツを採用することにより、図5に示すようなユーザモデル60にカスタマイズされる。
【0068】
なお、コンテンツの採用履歴だけでなく、コンテンツの不採用の履歴を用いてユーザモデル60を学習してもよい。例えば、提示されたコンテンツが採用されなかった場合には、そのコンテンツの属性値は条件に合致していなかったとして、コンテンツ採用回数をカウントダウンしてもよい。ただし、この場合には、採用回数の最小値を0とし、それ以上はカウントダウンしない。
【0069】
コンテンツ提示部54は、ユーザ適合コンテンツ選択部50にて選択されたユーザ適合コンテンツと、異種コンテンツ選択部52にて選択された異種コンテンツを表示装置30に表示し、ユーザにコンテンツを提示する機能を有する。コンテンツ提示部54は、提示割合決定部56にて決定された割合に応じて、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツを表示する。
【0070】
提示割合決定部56は、表示するユーザ適合コンテンツの数と異種コンテンツの数の割合を決定し、決定した提示割合をコンテンツ提示部54に通知する機能を有する。提示割合決定部56は、例えば、「8:2」といったようなあらかじめ決まった提示割合を用いてもよいし、ユーザによるコンテンツの採用履歴に応じて提示割合を更新することとしてもよい。例えば、コンテンツの採用履歴から、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツの採用割合を求め、その採用割合を提示割合として決定することができる。この場合、コンテンツを採用したときの状況ごとに採用割合を求めておき、現在の状況に合わせて提示割合を変えてもよい。
【0071】
図6は、コンテンツ提示部54にて提示された画面の例を示す図である。図6に示すように、コンテンツ提示部54は、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツとを順不同に表示する。これにより、異種コンテンツが適度に散らばって配置されるので、異種コンテンツもユーザの目に留まりやすくなる。また、ユーザ適合コンテンツに対しては一人の顔を示す絵が付与され、異種コンテンツに対しては複数人の顔を示す絵が付与される。これにより、ユーザはコンテンツがユーザ適合コンテンツか異種コンテンツかを容易に判断できる。
【0072】
図7は、本実施の形態のナビゲーション装置1によるコンテンツ提示動作を示すフローチャートである。ナビゲーション装置1は、まず、状況データを取得する(S10)。状況データとしては、図示しないカレンダー機能を利用して平日/休日のデータを取得したり、時計機能を利用して時間帯を検出したりする。また、図示しない助手席の重量センサを用いて同乗者の有無を検出してもよい。
【0073】
次に、ナビゲーション装置1のユーザ適合コンテンツ選択部50は、ユーザモデル60を用いて、取得した状況データに対応するユーザ適合コンテンツを地図DB20から選択する(S12)。続いて、ナビゲーション装置1の異種コンテンツ選択部52は、一般モデル62を用いて、取得した状況データに対応する異種コンテンツを地図DB20から選択する(S14)。
【0074】
次に、ナビゲーション装置1の提示割合決定部56は、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツの提示割合を決定する(S16)。例えば、提示割合決定部56は、同じ状況における過去のコンテンツの採用履歴に基づいて、提示割合を決定する。続いて、ナビゲーション装置1は、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツを順不同に提示する(S18)。以上が、コンテンツ提示の動作である。
【0075】
ナビゲーション装置1は、ユーザによる操作を受け付け(S20)、提示したコンテンツの中でユーザが採用したコンテンツを検出する。ナビゲーション装置1は、採用したコンテンツのデータをコンテンツ採用履歴データ64としてメモリに記憶する(S22)。続いて、ナビゲーション装置1は、コンテンツ採用履歴データ64を用いて、ユーザモデル60の学習を行う(S24)。これにより、ユーザモデル60は、ユーザの嗜好に適合したモデルにカスタマイズされる。なお、図7では、コンテンツの提示(S18)に続いてユーザモデルの学習(S20〜S24)を行う例を記載しているが、必ずしもユーザモデルの学習をコンテンツの提示に続いて行わなくてもよい。ユーザモデルの学習は、一定量のコンテンツの採用履歴データが蓄積されたタイミングで行ってもよい。以上、本実施の形態のナビゲーション装置1の構成および動作について説明した。
【0076】
本実施の形態のナビゲーション装置1は、異種コンテンツ選択部52にて選択したユーザ適合コンテンツとは異なるコンテンツをユーザ適合コンテンツと共に提示するので、ユーザモデル60の学習によってユーザの嗜好に適合したコンテンツを提示できるようになった場合にも、コンテンツの提示内容の偏りを防止することができる。これにより、嗜好に合ったコンテンツとともに、嗜好と異なるコンテンツが提示され、提示されるコンテンツにユーザが飽きてしまわないようにできる効果がある。
【0077】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態のナビゲーション装置について説明する。第2の実施の形態のナビゲーション装置の基本的な構成は、第1の実施の形態のナビゲーション装置1と同じであるが、第2の実施の形態のナビゲーション装置は、異種コンテンツを求めるためのモデルとして、一般モデル62のほかにエキスパートモデル66を有している点が異なる。
【0078】
図8は、第2の実施の形態における制御装置24およびメモリ28の構成を示す図である。第2の実施の形態では、メモリ28は、一般モデル62のほかにエキスパートモデル66を記憶している。エキスパートモデル66は、一般と異なる嗜好を有するエキスパートによるコンテンツの採用履歴を反映したモデルである。本実施の形態では、南米料理好きのユーザ(エキスパート)がどのような属性値のコンテンツを採用するかを示している。なお、ここでは、一のエキスパートモデル66を用いる例を挙げているが、複数のエキスパートモデル66を用いてもよい。
【0079】
異種コンテンツ選択部52は、一般モデル62またはエキスパートモデル66のいずれかを用いて、異種コンテンツを選択する。異種コンテンツ選択部52は、一般モデル62およびエキスパートモデル66のうち、ユーザモデル60との違いが大きい方のモデルを用いて、異種コンテンツを選択する。
【0080】
図9(a)及び図9(b)は、ユーザモデル60、一般モデル62、エキスパートモデル66を特徴空間に配置して示す図である。図9(a)は、条件が平日、同乗者なしの場合、図9(b)は条件が休日、同乗者ありの場合の配置を示している。異種コンテンツ選択部52は、特徴空間においてユーザモデル60からの距離が大きいモデルを用いて異種コンテンツの選択を行う。例えば、条件が平日、同乗者なしの場合には(図9(a)参照)、エキスパートモデル66を用い、条件が休日、同乗者ありの場合には(図9(b)参照)、一般モデル62を用いる。これにより、ユーザモデル60を用いて選択されるユーザ適合コンテンツと属性値が大きく異なる異種コンテンツを選択することができる。コンテンツ提示部54は、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツとを順不同に表示する。
【0081】
図10は、コンテンツ提示部54によって表示された画面の例を示す図である。コンテンツ提示部54が表示する画面の基本的な構成は、第1の実施の形態のナビゲーション装置1が表示する画面と同じであるが、ユーザモデル60以外のモデルによって選択されたコンテンツに対しては、そのモデルに関する情報を表示する。図10に示す例では、エキスパートモデル66によって選択されたレストランDおよびレストランKには、「※南米系」の情報を付加し、レストランDおよびレストランKが推薦された理由を通知する。
【0082】
第2の実施の形態のナビゲーション装置は、第1の実施の形態のナビゲーション装置1と同様に、ユーザモデル60の学習が進んだ場合にも、コンテンツの提示内容の偏りを防止することができるという効果を有する。また、第2の実施の形態のナビゲーション装置は、異種コンテンツ選択部52が、特徴空間におけるユーザモデル60からの距離が大きいモデルを用いて異種コンテンツを選択するので、ユーザ適合コンテンツと属性値の大きく異なる異種コンテンツを提示することができる。これにより、ユーザに新たな視点を提供することが可能である。
【0083】
以上、本発明のコンテンツ提示装置について、ナビゲーション装置を例とする実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0084】
上記した実施の形態では、一般モデル62、エキスパートモデル66として、状況を条件として異種コンテンツの属性値を求めるモデルを例としたが、一般モデル62、エキスパートモデル66は条件として状況を含まなくてもよい。例えば、状況に関わらず同じ属性値のコンテンツを算出するモデル、すなわち、状況のノードを含まないモデルを用いてもよい。これにより、異種コンテンツを選択する処理を軽減できる。また、一般モデル62は、状況を限定したモデルであってもよい。例えば、海岸沿いを走行中に得られたコンテンツ採用履歴データに基づいて作成したモデル、卒業シーズンに得られたコンテンツ採用履歴データに基づいて作成したモデル等のように、状況別のモデルを用いてもよい。これにより、適切な異種コンテンツを求めることができる。
【0085】
上記した実施の形態では、異種コンテンツを求めるためのモデルとして、一般モデル62またはエキスパートモデル66を用いる例について説明したが、この他のモデルを用いることも可能である。例えば、ユーザが過去の所定期間にコンテンツを採用した履歴を用いて、過去のユーザモデルを生成し、この過去モデルを異種コンテンツを求めるためのモデルとして利用してもよい。ユーザの嗜好は時と共に変化すると考えられるので、過去モデルを用いることにより、現在のユーザモデル60で用いて求めたコンテンツとは属性値の異なるコンテンツを求めることができる。このようにして求めた異種コンテンツを提示することにより、ユーザは、昔の嗜好を思い出して楽しむことができる。
【0086】
上記した実施の形態では、一般モデル62あるいはエキスパートモデル66によって選択した異種コンテンツをユーザ適合コンテンツと共に表示する例について説明したが、これらのモデル62,66によって選択したコンテンツに代えて、あらかじめ定められたコンテンツを表示してもよい。例えば、キャンペーン中のコンテンツや新装開店のコンテンツ等を、ユーザ適合コンテンツと共に提示してもよい。これにより、提示されるコンテンツの偏りを防止すると共に、所定のコンテンツを広告することができる。
【0087】
上記した実施の形態では、ユーザモデル60、一般モデル62等のモデルを用いてコンテンツを選択する例について説明したが、必ずしもモデルを用いなくてもよい。例えば、ユーザ適合コンテンツについては、同じ状況において採用実績のある属性値を有するコンテンツを選択してもよいし、異種コンテンツについは、ユーザ適合コンテンツと属性値の異なるコンテンツをランダムに選択してもよい。
【0088】
上記した第1の実施の形態では、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツの提示割合を変更する例として、過去のそれぞれの採用回数の割合に合わせる例について説明したが、別の手法で提示割合を変更することもできる。例えば、最近における採用実績を時系列に分析し、ユーザ適合コンテンツからの採用が連続している場合には、異種コンテンツの提示割合を増やす等の処理を行ってもよい。
【0089】
上記した実施の形態において、コンテンツ提示部54にてコンテンツを提示する際に、同じ属性値を有するコンテンツを所定の個数以上表示しない構成としてもよい。このように、同じ属性値を有するコンテンツを所定の個数以上表示しないようにするためには、ユーザ適合コンテンツ選択部50にてコンテンツを選択する際に、同じ属性値を有するコンテンツを選択する個数を制限してもよいし、コンテンツ提示部54にてコンテンツを提示する際に、同じ属性値を有するコンテンツを提示する個数を制限してもよい。ここでは、一例として、前者の例について説明する。
【0090】
ユーザ適合コンテンツ選択部50は、まず、状況等に対応するコンテンツの属性値を求める。例えば、図11に示すように、現在の状況に対応する4種類のコンテンツ属性値の組合せが求められたとする。そして、4種類のコンテンツ属性値の組合せに対応する多数のコンテンツの中から8個のコンテンツを選択する場合に、ユーザ適合コンテンツ選択部50は、尤度の最も高い「和風」「2000円」の属性値に対応するコンテンツを8個選択するのではなく、4種類のそれぞれの組合せに対応するコンテンツを2つずつ選択する。これにより、ユーザの嗜好に適合したコンテンツにも多様性を持たせることができる。
【0091】
また、上記した実施の形態においては、表示装置30に表示することによりコンテンツを提示する例について説明したが、スピーカ34からコンテンツの内容を音声出力してもよい。この場合、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツとを識別できるように、異なる音声(例えば、男女の音声)で出力してもよい。
【0092】
また、上記した実施の例では、コンテンツを提示した後、提示したコンテンツが採用されたか否かに基づいてユーザモデル60を学習する例について説明したが、他の情報に基づいてユーザモデル60の学習を行ってもよい。例えば、ナビゲーション装置1にて目的地が設定されたときに、その目的地が採用されたと判断し、その目的地の属性値と設定時の状況を求め、ユーザモデル60に反映してもよい。また、目的地を設定していない場合でも、走行中の車両が施設に立寄った場合には、その施設が採用されたと判断し、その施設の属性値と立寄り時の状況を求め、ユーザモデル60に反映してもよい。
【0093】
また、上記した実施の形態においては、状況等に合わせてコンテンツを提示する例について説明したが、本発明のコンテンツ提示装置は、ユーザが検索を行ったときに、検索条件に対応するコンテンツを提示する際にも適用することが可能である。例えば、「和風レストラン」を検索条件として検索を行った場合に、和風レストランのカテゴリに含まれるレストランの中で、ユーザの嗜好に適合するレストランを提示する際にも適用できる。この場合、コンテンツの属性値としては、「寿司」「とんかつ」「天ぷら」「懐石」等のように、「和風」より細分類されたジャンルを用いる。
【0094】
さらに検索条件の入力に応じて、コンテンツを提示する際には、検索条件のデータを用いて、ユーザ適合コンテンツと異種コンテンツの提示割合を変更する制御も可能である。例えば、検索条件に対応するコンテンツが多数存在する場合には、異種コンテンツの提示割合を小さくし、検索条件に対応するコンテンツが少ない場合には、異種コンテンツの提示割合を大きくする等の制御をしてもよい。この例では、対応するコンテンツが少ない場合には、珍しいコンテンツに対するニーズがあると見て、異種コンテンツの提示割合を多くしている。なお、検索条件に対応するコンテンツが多数存在するか否かは、例えば、所定個数のコンテンツを見つけるために探索すべき領域の大きさを用いることで定量化できる。例えば、検索条件に対応するコンテンツが100個存在する領域の半径により、コンテンツの分布を定量化できる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したように、本発明は、ユーザ適合コンテンツとは属性値の異なる異種コンテンツを、ユーザ適合コンテンツとともに提示する構成により、ユーザの嗜好に合わせながら多様化したコンテンツを提示できるという効果を有し、例えば、コンテンツとしてレストランや観光地等を提示するナビゲーション装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1の実施の形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における制御装置の構成を示す図である。
【図3】地図DBに記憶された施設データの例を示す図である。
【図4】(a)ベイジアンネットのモデルの例を示す図である。(b)ベイジアンネットにおける条件付き確率表の例を示す図である。(c)条件付き確率表を求めるための頻度表を示す図である。
【図5】一般モデルとユーザモデルを特徴空間上に配置した例を示す図である。
【図6】コンテンツ提示部にて提示された画面の例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。
【図8】第2の実施の形態における制御装置の構成を示す図である。
【図9】(a)ユーザモデル、一般モデル、エキスパートモデルを特徴空間に配置して示す図である。(b)ユーザモデル、一般モデル、エキスパートモデルを特徴空間に配置して示す図である。
【図10】コンテンツ提示部にて提示された画面の例を示す図である。
【図11】コンテンツ属性の値に対応するコンテンツを選択する例を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1 ナビゲーション装置
10 位置検出器
12 地磁気センサ
14 ジャイロスコープ
16 距離センサ
18 GPS受信機
20 地図DB
22 操作スイッチ群
24 制御装置
26 通信部
28 メモリ
30 表示装置
32 音声コントローラ
34 スピーカ
36 音声認識装置
38 マイク
40 リモコンセンサ
42 リモコン
44 コンテンツ情報センタ
50 ユーザ適合コンテンツ選択部
52 異種コンテンツ選択部
54 コンテンツ提示部
56 提示割合決定部
58 モデル学習部
60 ユーザモデル
62 一般モデル
64 コンテンツ採用履歴データ
66 エキスパートモデル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツとその属性値を記憶したコンテンツ記憶部と、
前記コンテンツ記憶部に記憶されたコンテンツから、ユーザが採用したコンテンツの履歴に基づいてコンテンツを選択するユーザ適合コンテンツ選択部と、
前記コンテンツ記憶部に記憶されたコンテンツから、前記ユーザ適合コンテンツ選択部にて選択されたコンテンツと属性値の異なるコンテンツを選択する異種コンテンツ選択部と、
前記ユーザ適合コンテンツ選択部にて選択されたユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツ選択部にて選択された異種コンテンツとを提示するコンテンツ提示部と、
を備えるコンテンツ提示装置。
【請求項2】
前記ユーザ適合コンテンツ選択部は、ユーザがコンテンツを採用したときの状況と採用されたコンテンツの属性値との関係を表わすユーザモデルを有し、
前記ユーザモデルを用いて現在の状況に対応するコンテンツの属性値を求め、前記属性値を有するコンテンツを前記ユーザ適合コンテンツとして選択する請求項1に記載のコンテンツ提示装置。
【請求項3】
前記異種コンテンツ選択部は、状況またはユーザの属性値とコンテンツの属性値との関係を表す前記ユーザモデルとは異なる別モデルを有し、
前記別モデルを用いて現在の状況またはユーザの属性値に対応するコンテンツの属性値を求め、前記コンテンツの属性値を有するコンテンツを前記異種コンテンツとして選択する請求項2に記載のコンテンツ提示装置。
【請求項4】
前記別モデルは、複数のユーザから得られたコンテンツの採用履歴のデータを用いて生成されたモデルである請求項3に記載のコンテンツ提示装置。
【請求項5】
前記別モデルは、特定の状況におけるコンテンツの採用履歴のデータを用いて生成されたモデルである請求項4に記載のコンテンツ提示装置。
【請求項6】
前記ユーザモデルは、最近の所定期間にユーザが採用したコンテンツの履歴を用いて生成されたモデルであり、
前記別モデルは、前記所定期間より長い期間にユーザが採用したコンテンツの履歴を用いて生成されたモデルである請求項3に記載のコンテンツ提示装置。
【請求項7】
前記コンテンツ提示部は、前記異種コンテンツを提示する際に、その異種コンテンツを選択した別モデルに関する情報を提示する請求項3〜6のいずれかに記載のコンテンツ提示装置。
【請求項8】
前記異種コンテンツ選択部は、あらかじめ定められたコンテンツを選択する請求項1又は2に記載のコンテンツ提示装置。
【請求項9】
前記コンテンツ提示部にて同じ属性値を有するコンテンツを提示する個数が設定されている請求項1〜8のいずれかに記載のコンテンツ提示装置。
【請求項10】
前記コンテンツ提示部は、前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツとを識別可能な態様で提示する請求項1〜9のいずれかに記載のコンテンツ提示装置。
【請求項11】
前記コンテンツ提示部は、前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツとを順不同に表示する請求項1〜10のいずれかに記載のコンテンツ提示装置。
【請求項12】
前記コンテンツ提示部で提示する前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツの提示割合を決定する提示割合決定部を備える請求項1〜11のいずれかに記載のコンテンツ提示装置。
【請求項13】
前記ユーザ適合コンテンツの採用回数と前記異種コンテンツの採用回数に基づいて前記提示割合を変更する請求項12に記載のコンテンツ提示装置。
【請求項14】
ユーザが採用したコンテンツの時系列の履歴に基づいて、前記提示割合を変更する請求項12に記載のコンテンツ提示装置。
【請求項15】
前記コンテンツは施設であり、前記コンテンツ記憶部には、前記属性として施設の位置を示すデータが記憶されており、
検索条件の入力を受け付ける検索条件入力部と、
前記検索条件入力部にて入力された検索条件に適合する複数のコンテンツを前記コンテンツ記憶部から検索する条件検索部と、
前記条件検索部にて検索されたコンテンツの分布を求めるコンテンツ分布算出部と、
を備え、
前記ユーザ適合コンテンツ選択部および前記異種コンテンツ選択部は、前記条件検索部にて検索されたコンテンツを選択の対象とし、
前記提示割合決定部は、前記コンテンツ分布算出部にて算出されたコンテンツの分布に基づいて、前記提示割合を決定する請求項12に記載のコンテンツ提示装置。
【請求項16】
ユーザの現在位置を検出する現在位置検出部を備え、
前記コンテンツは施設であり、前記コンテンツ記憶部には、前記属性として施設の位置を示すデータが記憶されており、
前記ユーザ適合コンテンツ選択部および前記異種コンテンツ選択部は、ユーザの現在位置からコンテンツの位置までの距離のデータを用いて施設を選択する請求項1〜15のいずれかに記載のコンテンツ提示装置。
【請求項17】
コンテンツとその属性値を記憶したコンテンツ記憶部から、ユーザが採用したコンテンツの履歴に基づいて、ユーザに適合するコンテンツをユーザ適合コンテンツとして選択するステップと、
前記コンテンツ記憶部から、前記ユーザ適合コンテンツと属性値の異なるコンテンツを異種コンテンツとして選択するステップと、
前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツとを提示するステップと、
を備えるコンテンツ提示方法。
【請求項18】
コンテンツを提示するためのプログラムであって、コンピュータに、
コンテンツとその属性値を記憶したコンテンツ記憶部から、ユーザが採用したコンテンツの履歴に基づいて、ユーザに適合するコンテンツをユーザ適合コンテンツとして選択するステップと、
前記コンテンツ記憶部から、前記ユーザ適合コンテンツと属性値の異なるコンテンツを異種コンテンツとして選択するステップと、
前記ユーザ適合コンテンツと前記異種コンテンツとを提示するステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−230334(P2009−230334A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73368(P2008−73368)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】