コーティング方法およびコーティング装置
本発明は、第1有機物層(2)と第1無機物層(4)によってフレキシブル基板(1)をコーティングするための装置に関するものである。本発明による装置は、第1および第2チャンバ(10,20)と、雰囲気分離スロット(30)と、を備えている。第1チャンバ(10)内には、前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークと重合開始剤とを含有した混合物でフレキシブル基板をプリントするプリント設備(40)が配置されている。第1チャンバ(10)内には、成膜された混合物を硬化させて第1有機物層(2)を形成する硬化設備(50)が配置されている。第2チャンバ(20)内には、基板(1)上に第1無機物層(4)を成膜する気相蒸着設備(60)が配置されている。装置は、基板(1)を設備(40,50,60)に沿って案内するための設備(70)を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング方法に関するものである。また、本発明は、コーティング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品や電子部品等といったような多くの製品は、湿気や酸素や水素や他の物質による影響からの保護のために、封入部材を必要とする。有機物層と無機物層との交互積層からなるバリア層は、封入部材として適切であることがわかっている。無機物層内の材料は、上記物質に対する最も高いバリア性能を提供する。しかしながら、無機物層は、通常は、それら無機物層を通して上記物質が漏洩するかもしれないという欠点を有している。有機物層は、無機物層どうしを互いに分断する。これにより、上記物質は、曲がりくねった経路を通してしか通り抜けられないこととなる。これにより、拡散が防止される。
【0003】
特許文献1(US5,725,909)には、シート状の基板を、連続プロセスにおいて、アクリレート層と酸素バリア層とによってコーティングする装置および方法が開示されている。特許文献1の図4に図示された装置においては、シートは、回転可能ドラムに沿って案内される。ドラムの周囲を案内される際に、シートには、フラッシュ蒸発器によって、アクリレート層が成膜され、アクリレート層は、UV源によって重合される。さらなる成膜ステーションにおいて、バリア材料が、例えばプラズマ成膜や真空蒸着等によって、成膜される。続いて、次なる蒸発器によって、さらなるアクリレート層が成膜されて重合される。
【0004】
公知の装置および方法においては、例えば1マイクロメートル未満といったような比較的薄い有機物層しか成膜し得ないことが、欠点である。また、アクリレート層に対してUV硬化を適用可能とするためには、このアクリレート層は、アクリレートモノマーあるいは他の前駆体に加えて、光重合開始剤を含有しているべきである。これらの構成成分は、同時に蒸発させるべきである。このために、これらの構成成分が同程度の蒸気圧を有しているという要求が課される。比較的厚い有機物層は、無機物層内の不規則性をより良好にカバーし得ることのために、要求される。さらに、例えばおよそ10μmよりも厚いものといったような比較的厚い有機物層は、例えばゲッター材料や、マイクロレンズまたは散乱粒子といったような光学活性粒子、といったような、機能粒子を埋設し得ることのために、非常に適切である。
【0005】
また、特許文献1は、例えば25μmといったようなより厚いアクリレート層を適用するための方法として、スプレー法に言及している。しかしながら、図4のフラッシュ蒸発器をスプレーノズルへと交換した際には、スプレーされた物質は、真空チャンバの雰囲気内に分散することとなる。そのため、酸素バリア材料に対する成膜条件に対して、もはや不適合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US5,725,909
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とを有したフレキシブル基板を連続プロセスにおいてコーティングするための改良された装置を提供することである。本発明の他の目的は、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とを有したフレキシブル基板を連続プロセスにおいてコーティングするための改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の見地においては、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板をコーティングするための装置であって、
−第1チャンバおよび第2チャンバと、
−第1チャンバと第2チャンバとの間に配置された雰囲気分離スロットと、
−第1チャンバ内に配置され、硬化可能な混合物を成膜するための成膜設備であるとともに、硬化可能な混合物が、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークと、重合開始剤と、を含有している、成膜設備と、
−第1チャンバ内に配置され、成膜された混合物を硬化させることにより、第1有機物層を形成するための硬化設備と、
−第2チャンバ内に配置され、第1無機物層を成膜するための気相蒸着設備と、
−フレキシブル基板を、第1チャンバおよび第2チャンバの一方から、雰囲気分離スロットを経由して、第1チャンバおよび第2チャンバの他方へと、案内するための案内設備と、
を具備している装置が提供される。
【0009】
本発明の第2見地においては、
少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板をコーティングするためのコーティング方法であって、
−フレキシブルな材料からフレキシブル基板を形成し、
−フレキシブル基板を、第1チャンバと第2チャンバとの一方を通して案内し、
−フレキシブル基板を、雰囲気分離スロットを経由させて、第1チャンバと第2チャンバとの他方を通して案内し、
−第1チャンバ内において、フレキシブル基板上に、硬化可能な混合物からなる層をプリントし、ここで、硬化可能な混合物を、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークと、重合開始剤と、を含有したものとし、
−第1チャンバ内において、プリントされた層を硬化させることによって、第1有機物層を形成し、
−第2チャンバ内において、第1有機物層を有したフレキシブル基板の表面上に、気相蒸着法によって第1無機物層を成膜する、
というコーティング方法が提供される。
【0010】
雰囲気分離スロットは、互いに異なる気圧で成膜されるような、無機物層および有機物層に関する互いに異なるコーティング技術の使用を可能とする。一実施形態においては、一方のチャンバが、第1チャンバとされ、他方のチャンバが、第2チャンバとされ、第1無機物層が、第1有機物層上に成膜される。他の実施形態においては、一方のチャンバが、第2チャンバとされ、他方のチャンバが、第1チャンバとされ、第1有機物層が、第1無機物層上に成膜される。
【0011】
チャンバは、互いに異なる複数の隔室を備えることができる。例えば、第1チャンバは、プリントのための第1隔室と、硬化のための第2隔室と、に分割することができる。隔室どうしの間には、追加的な雰囲気分離スロットを設けることができる。
【0012】
本発明の第1見地および第2見地による装置および方法においては、基板が積層体を既に有している場合にでも、適用することができる。例えば、装置は、まず最初に、基板に対して、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とを有した第1バリア構造を、成膜するために使用することができる。その後、例えば有機LEDや光電池セルや光電デバイスやバッテリーといったような電子デバイスを、第1バリア構造を有した基板に対して付与することができる。本発明の第1見地および第2見地による装置および方法においては、その後、電子デバイス上に、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とを有した第2バリア構造を付与することができる。その場合、電子デバイスは、第1および第2のバリア構造によって封止されている。
【0013】
フレキシブル基板は、PETや、PENや、あるいは、他の任意のフレキシブルな材料とすることができる。付加的には、フレキシブル基板は、まず最初に、プリントされた有機物層とによってコーティングすることができる。
【0014】
ポリマーのための前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークは、以降の硬化ステップの後にポリマーまたはオリゴマーまたはポリマーネットワークに変換され得る物質である。硬化ステップは、供給エネルギーの影響によって、混合物内に存在している開始剤により、誘起される。供給エネルギーは、開始剤を刺激して、活性種を生成する。活性種は、混合物内の重合可能な構成成分の重合を開始する。このプロセスは、多くの場合、「硬化」と称される。硬化時には、混合物中の重合可能な構成成分が架橋して、固体表面コーティングを形成する。コーティングは、例えば安定化剤や調整剤や硬化剤や消泡剤やレベリング剤や増粘剤や難燃剤や酸化防止剤や顔料や染料やフィラーやこれらの組合せといったような添加物を含有することができる。ポリマーベースのUV硬化可能なコーティング組成物は、溶媒を一切含むことなく、調製することができる。これは有利である。溶媒が使用された場合には、比較的低い蒸気圧を有する必要があり、このことは、蒸発速度が遅くなることを意味する。このことは、フレキシブル基板の移送速度を非常に遅いものとすることを必要とする、および/または、フレキシブル基板のうちの、蒸発プロセスを受ける部分を比較的長いものとすることを必要とする。
【0015】
一実施形態においては、混合物は、本発明による方法の実行時に、大きくても10mbarという蒸気圧を有している。これにより、第1チャンバを、雰囲気分離スロットを通して起こる流れが分子流となるという圧力レベルにまで、容易に真空引きすることができる。好ましくは、混合物は、室温(20℃)において蒸気圧を有している。そのため、第1チャンバの冷却は必要ではない。蒸気圧を1mbar以下へと下げるには、混合物の構成成分の選択に際し大いなる制限を必要とする、あるいは、第1チャンバの冷却を必要とし、真空引き設備の実際的な単純化とはならない。
【0016】
成膜設備は、スプレーコーティングデバイスとすることができる。しかしながら、成膜設備は、好ましくは、プリント設備とすることができる。最も好ましくは、接触型のプリントデバイスとすることができる。接触型のプリントは、例えばグラビアコーティングやスクリーンコーティングは、プリントされる混合物を、第1チャンバの雰囲気内へと分散させることを、制限する。
【0017】
一実施形態においては、混合物は、コーティング方法の実行時に、大きくても10000のmPa.sという粘度を有したものとされる。この粘度範囲は、大部分のプリント手法に関して適切な粘度範囲である。好ましくは、混合物は、室温(20℃)において、この範囲の粘度を有している。そのため、第1チャンバの温度制御が、不要である。また、
例えば回転スクリーンプリントといったようないくつかの手法が、例えば3000のmPa.sといったような最大で10,000 mPa.sという比較的高い粘度に関して、適切である点に注意されたい。
【0018】
本発明の第2見地による方法においては、エネルギーは、様々な態様で供給することができる。例えば、熱の供給や、熱の誘導、等によって、行うことができる。
【0019】
最も好ましくは、エネルギーは、放射によって、好ましくはフォトン放射やUV放射によって、供給される。放射によって開始剤の起動を行うためのエネルギーを供給することにより、プリントされた有機物層の急速な硬化を、得ることができる。特に、UV放射を使用した硬化は、高速のプロセスである。これにより、基板を第1チャンバを通して迅速に移動させることができ、第1チャンバを比較的小さい容積のものとすることができる。基板の迅速な移動は、経済的な理由から魅力的なものである。比較的小さな容積を有した第1チャンバは、容易に真空引き状態に維持することができる。プリントされる混合物内に溶媒が存在しないことは、プリントプロセスにおける小さな蒸気圧を可能とし、これにより、フレキシブル基板を、雰囲気分離スロットを通して、無機物層の真空蒸着を行う第2チャンバへと、直接的に移送することができる。雰囲気分離スロットは、本明細書においては、十分に高い横断面を有したスリットとして、なおかつ、フレキシブル基板を通過させ得るに十分にワイドなスリットとして、規定されている。しかしながら、雰囲気分離スロットは、チャンバどうしを雰囲気的に分離させ得るよう、十分に狭くかつ十分に長いものである。雰囲気の分離とは、第2チャンバ内の圧力値を、第1チャンバの圧力値と比較して、例えば100分の1以下に小さなものといったように、十分に小さなものにまで低減し得るものとして、理解されたい。
【0020】
雰囲気分離スロットは、雰囲気分離スロットと基板との間の摩擦を防止して基板の損傷および基板上にコーティングされた各層の損傷を防止し得るよう、基板の厚さよりも大きな高さを有する必要がある。好ましくは、雰囲気分離スロットは、フレキシブル基板の厚さと比較して、2〜4倍という範囲の高さ(x)を有している。例えば1.5倍未満といったような実質的に2倍未満の高さであれば、雰囲気分離スロットとフレキシブル基板および基板上にコーティングされた各層との間の摩擦を防止するために、非常に正確な位置合わせが必要とされることとなる。位置合わせを容易なものとするという目的からは、例えば5倍以上といったような、基板の厚さの4倍を実質的に超える雰囲気分離スロットの高さを選択する必要はない。さらに、雰囲気分離スロットのモルコンダクタンスが、スロットの高さの二乗とほぼ比例することから、スロットの高さを大きなものとすることは、スロットの長さを比較的大きなものとすることを必要とする。
【0021】
雰囲気分離スロットの長さ(L)を高さ(x)によって割算した値(L/x)は、好ましくは、100〜5000という範囲とされる。長さが高さの100倍未満であれば、雰囲気分離スロットを通して第1チャンバ内へと流入する汚染物質を第1チャンバから排出するに際して、強力なポンピング設備を必要とする。実際的な目的から、長さは、最大で高さの5000倍とされる。これよりも長さを増大させれば、雰囲気分離機能をさらに改良し得るけれども、製造の許容誤差を非常に厳しいものとしてしまい、さらに、雰囲気分離スロットの配置精度を非常に厳しいものとしてしまう。
【0022】
本発明の第1見地による装置の一実施形態は、プリント設備が、コンタクト型のプリント設備であることを特徴とする。コンタクト型のプリント設備の例としては、回転スクリーンプリント、および、回転グラビアプリント、がある。コンタクト型のプリントは、雰囲気に対して接触する混合物の量を最小化する。これにより、第1チャンバの真空引きを容易なものとする。
【0023】
装置の一実施形態は、雰囲気分離スロットが、真空引きデバイスに連通した1つまたは複数の真空引きチャネルを備えていることを特徴とする。雰囲気分離スロット内において追加的な真空引きを行うことにより、雰囲気分離スロットのサイズに関する要求を、少し緩和することができる。例えば、雰囲気分離スロットは、より短いもの、あるいは、より高いもの、とすることができる。これにより、雰囲気分離スロットを通してのフレキシブル基板の移動を、より容易なものとすることができる。
【0024】
本発明の第1見地による装置の一実施形態は、さらに、第1チャンバと雰囲気分離スロットとの間に配置された凝縮チャネルを具備している。気化した物質は、凝縮チャネル内で凝縮し、これにより、第2チャンバに到達することを防止することができる。
これにより、雰囲気分離スロットに関する要求を、緩和することができる。
【0025】
本発明の第1見地による装置の一実施形態においては、雰囲気分離スロットが、フレキシブル基板を案内するための一対のまたは複数対の円筒形ローラを備えている。これにより、フレキシブル基板を、雰囲気分離スロットを通して容易に通過させることを可能としつつ、第1チャンバからのガス状物質の通過を阻止することができる。
【0026】
第2見地による方法の一実施形態においては、硬化可能な混合物は、好ましくは、光硬化性組成物とされ、光硬化性組成物は、カチオン的に硬化可能な組成物とカチオン性光重合開始剤、および/または、ジカル的に硬化可能な組成物とフリーラジカル性光重合開始剤、を有したものとされる。
【0027】
少なくとも1つのカチオン的に硬化可能な組成物は、ポリマーネットワークを形成するために開環メカニズムを介してまたは開環メカニズムの結果として反応し得る官能基を有していることを特徴とする少なくとも1つのカチオン的に硬化可能な組成物または樹脂を含有することができる。そのような官能基の例には、オキシランエポキシドや、分子内のオキセタンリングや、テトラヒドロフランリングや、ラクトンリング、がある。そのような化合物は、脂肪族や、芳香族や、脂環式や、アラリファティックや、複素環式の構造を有することができ、それらは、サイドグループとしてリンググループを有することができる、あるいは、エポキシドグループが、脂環式のまたは複素環式のシステムの一部を形成することができる。光硬化可能な組成物は、さらに、少なくとも1つのカチオン性の光重合開始剤を含有することができる。カチオン性の光重合開始剤は、カチオン性の光重合を開始するために一般的に使用されているものの中から選択することができる。この例には、弱い求核性のアニオンを有したオニウム塩があり、例えば、ハロニウム塩や、ヨードシル塩や、スルホニウム塩、スルホキソニウム塩や、ジアゾニウム塩、がある。メタロセン塩は、光重合開始剤としても適切である。オニウム塩およびメタロセン塩からなる光重合開始剤は、米国特許第3,708,296号;J. V. Crivello, "Photoinitiated Cationic Polymerization," UV Curing: Science & Technology, (S. P. Pappas, ed., Technology Marketing Corp. 1978);および、J. V. Crivello and K. Dietliker, "Photoinitiators for Cationic Polymerisation," Chemistry and Technology of UV & EV Formulation for Coatings, Inks & Paints 327478 (P. K. Oldring, ed., SITA Technology Ltd 1991);に開示されている。これら文献の記載内容は、参考のためここに組み込まれる。
【0028】
光硬化可能な組成物は、上記に代えてあるいは上記に加えて、1つまたは複数のラジカル的に重合可能なアクリレート含有型の化合物を含有することができる。本発明の第2見地による方法において使用されるアクリレート含有型の化合物は、好ましくは、エチレン的に飽和していない。より好ましくは、アクリレート含有型の化合物は、(メタ)アクリレートである。「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート、メタクリレート、および、それらの混合物、を意味している。アクリレートを含有する化合物は、少なくとも1つのポリ(メタ)アクリレートを含有することができる。例えば、ジファンクショナルなあるいはトリファンクショナルなあるいはテトラファンクショナルなあるいはペンタファンクショナルなモノマーまたはオリゴマーの脂肪族のあるいは脂環式のあるいは芳香族の(メタ)アクリレートを含有することができる。これに代えて、あるいは、これに加えて、光硬化可能な組成物は、少なくとも1つのフリーラジカル型の光重合開始剤を含有することができる。フリーラジカル型の光重合開始剤は、ラジカル型の光重合を開始するために一般的に使用されているものの中から選択することができる。フリーラジカル型の光重合開始剤の例には、例えばベンゾインといったようなベンゾイン類、例えばベンゾインメチルエーテルやベンゾインエチルエーテルやベンゾインイソプロピルエーテルやベンゾインフェニルエーテルやベンゾインアセテートといったようなベンゾインエーテルや;例えばアセトフェノン,2,2−ジメトキシアセトフェノンや1,1−ジクロロアセトフェノンといったようなアセトフェノンや;例えばベンジルジメチルケタールやベンジルジエチルケタールといったようなベンジルケタールや;例えば2−メチルアントラキノンや2−エチルアイルアントラキノンや2−ターシャリーブチルアントラキノンや1−クロロアントラキノンや2−アミルアントラキノンといったようなアントラキノンや;トリフェニルホスフィンや;例えば2,4,6−トリメチルベンゾイ−ジフェニルホスフィンオキシド(Luzirin TPO)といったようなベンゾイルホスフィンオキシドや;ビスアシルホスフィンオキシドや;例えばベンゾフェノンや4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノンといったようなベンゾフェノンや;チオキサントンおよび
キサントンや;アクリジン派生物や;フェナジン派生物や;キノキサリン派生物や;1−フェニル−1,2−プロパンジオン 2−O−ベンゾイルオキシムや;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−プロピル)ケトン(Irgacure(登録商標)2959)や;例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや2−ヒドロキシイソプロピルフェニルケトンやフェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトンや4−イソプロピルフェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトンといったような、1−アミノフェニルケトン類または1ヒドロキシフェニルケトン類;がある。
【0029】
本発明における光硬化可能な組成物は、追加的に、他の構成成分を含有することができる。例えば、安定化剤や、調整剤や、硬化剤や、消泡剤や、レベリング剤や、増粘剤や、難燃剤や、酸化防止剤や、顔料や、染料や、フィラーや、これらの組合せといったような構成成分を含有することができる。
【0030】
使用時に粘度増強を妨げるために光硬化可能な組成物に対して添加し得る安定化剤には、ブチルヒドロキシトルエン(「BHT」)や、2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシトルエンや、例えばベンジルジメチルアミン(「BDMA」)やN,N−ジメチルベンジルアミンといったようなヒンダードアミン類や、ホウ素錯体、がある。これらの前駆体は、室温において比較的低い蒸気圧を有しているという点において、有利である。加えて、混合物は、例えば無機粒子といったような粒子を含有することができる。例えば、無機粒子は、TiO2粒子や、SiO2粒子や、A12O3粒子や、これらの組合せ、とすることができる。
【0031】
コーティングされた基板によって封止が形成されているような、例えばLEDといったような発光製品においては、粒子の添加は、LEDからの光の逃避の改良に寄与することができる。
【0032】
少なくとも1つの無機物層のための適切な材料には、限定するものではないけれども、金属オキシドや、金属窒化物や、金属カーバイドや、金属酸化窒化物や、金属オキシホウ化物や、これらの組合せ、がある。金属オキシドは、好ましくは、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、および、これらの組合せ、の中から選択される。金属窒化物は、好ましくは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、および、これらの組合せ、の中から選択される。金属酸化窒化物は、好ましくは、酸化窒化アルミニウム、酸化窒化シリコン、酸化窒化ホウ素、および、これらの組合せ、の中から選択される。不透明なバリア構造は、いくつかのバリアスタック内において使用することもできる。不透明なバリア材料には、限定するものではないけれども、金属や、セラミックや、ポリマーや、サーメット、がある。不透明なサーメットの例には、窒化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ハフニウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、タングステンジシリサイド、チタンジホウ化物、ジルコニウムジホウ化物、がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による装置の第1実施形態を示す図である。
【図1A】図1において記号1Aによって示された第1製造ステージにおいて、フレキシブル基板を示す横断面図である。
【図1B】図1において記号1Bによって示された第2製造ステージにおいて、フレキシブル基板を示す横断面図である。
【図1C】図1Bにおいて記号1Cによって示された第2製造ステージにおいて、フレキシブル基板の平面図である。
【図1D】図1において記号1Dによって示された第3製造ステージにおいて、フレキシブル基板を示す横断面図である。
【図1E】図1において記号1Eによって示された第4製造ステージにおいて、フレキシブル基板を示す横断面図である。
【図2】本発明による装置の第2実施形態を示す図である。
【図3】図2の装置の実施形態における第1の細部を示す図である。
【図4】図2の装置の実施形態における第2の細部を示す図である。
【図4A】図4における細部を拡大して示す図である。
【図4B】本発明による装置の第3実施形態における細部を示す図である。
【図5】第2製造ステージにおいて得られた測定結果を示す図である。
【図6】本発明による装置の第4実施形態における細部を示す図である。
【図7】本発明による装置の第5実施形態における細部を示す図である。
【図8】本発明による装置の第6実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
上記の見地および他の見地につき、添付図面を参照して、以下において、より詳細に説明する。
【0035】
以下の詳細な説明においては、本発明の完全な理解を提供する目的で、多数の特定の詳細が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明がこれらの特定の詳細以外の手法でも実施し得ることを、理解されるであろう。言い換えれば、本発明の様々な見地の理解を妨げることがないよう、周知の方法や手順やと構成部材は、詳細には記載されていない。
【0036】
図においては、各層のサイズや相対的なサイズは、ならびに、局所的な領域は、理解の明瞭さのために、誇張されている。
【0037】
本明細書においては、第1や第2や第3等といった用語が様々な部材や構成部材や領域や層や部分を表すために使用されているけれども、それらの部材や構成部材や領域や層や部分が、それら用語によって制限されてはならないことは、理解されるであろう。これらの用語は、ある部材や構成部材や領域や層や部分を、他の部材や構成部材や領域や層や部分から区別する目的のためだけに、使用されている。このように、以下における第1部材や第1構成部材や第1領域や第1層や第1部分は、本発明の範囲を逸脱することなく、第2部材や第2構成部材や第2領域や第2層や第2部分と呼ぶこともできる。
【0038】
本明細書においては、本発明の各実施形態は、本発明の理想的な実施形態(および、中間構造)を概略的に示す横断面図を参照して、記述されている。よって、図示の形状からの変形を予想することができる。例えば、製造技術および/または許容誤差の変形を予想することができる。このように、本発明の実施形態は、図示された領域の特定の形状に限定されて構成されるものではなく、形状の変形をも包含するものである。例えば、製造に起因する形状の変形をも包含するものである。
【0039】
特に断らない限り、本明細書において使用されているすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野において当業者が通常的に理解する意味合いと同じ意味合いを有している。また、例えば辞書において通常的に規定されている用語といったような用語が、関連する技術分野における意味合いと一致した意味合いを有しているものと解釈されることは、理解されるであろう。特に断らない限り、用語は、過度に形式的に解釈されるべきものではない。本明細書において言及されたすべての出版物や特許文献や特許や他の参照文献は、参考のためここに組み込まれる。コンフリクトに関しては、定義を含めて本明細書がコントロールされる。加えて、材料や方法や例は、例示のためのものであって、本発明を制限するものではない。
【0040】
図1は、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板1をコーティングするための、本発明による装置の第1実施形態を示す図である。図示された装置は、第1チャンバ10と、第2チャンバ20と、これら第1および第2チャンバ10,20の間に配置されたで雰囲気分離スロット30と、を備えている。第1チャンバ10は、第1真空引きチューブ13を介して第1真空引きポンプ12によって真空引きされており、第1圧力レベルP1に維持されている。第2チャンバ20は、第2真空引きチューブ23を介して第2真空引きポンプ22によって真空引きされており、第2圧力レベルP2に維持されている。第1および第2圧力レベルの間の比率P1/P2は、少なくとも1000である。第1圧力は、例えば、1〜10mbarの範囲に、例えば5mbarに、維持される。第2圧力は、例えば、0.005〜0.05mbarの範囲に、例えば0.01mbarに維持される。
【0041】
およそ10−3〜10−4mbarという真空度は、ルートポンプによって実現することができる。これよりも高度な真空度に関しては、例えば10−6mbarといったような真空度に関しては、ターボ分子ポンプを使用することができる。
【0042】
第1チャンバ10内には、プリント設備40が配置されている。プリント設備40は、フレキシブル基板1上に、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体と、光重合開始剤と、必要に応じて感光剤と、からなる混合物をプリントするために設けられている。さらに、UV放射光源50a,50b,50cを有した硬化設備50が、第1チャンバ10内に配置されている。UV放射光源50a,50b,50cの各々は、Hg球によって形成されており、それぞれが300W/インチというパワーを有している。しかしながら、この目的のためには、UV LEDが、適切である。装置は、さらに、第1チャンバ10に配置されたさらなるプリント設備45とさらなる硬化設備55とを備えている。
【0043】
第2チャンバ20内には、無機物層を成膜するための気相蒸着設備60が配置されている。図示の実施形態においては、気相蒸着設備は、冷却ドラム61と、成膜のために無機材料を蒸発させるための複数の蒸発デバイス62a〜62dと、を備えている。
【0044】
装置は、さらに、連続プロセスにおいて、プリント設備40に沿って、硬化設備50に沿って、雰囲気分離スロット30を通して、さらには、気相蒸着設備60に沿って、フレキシブル基板1を案内するための設備70,72a〜72k,74を備えている。より詳細には、フレキシブル基板1を案内するための設備は、未処理のフレキシブル基板1を備えた巻き戻しローラ70と、加工済みのフレキシブル基板を巻き取るための巻き取りローラ74と、を備えている。第1案内ロール72aは、粘着材料によってカバーされたエンドレステープ80に沿って、基板を案内する。これにより、処理前に基板からダストを除去することができる。案内ロール72b,72c,72dは、プリント設備40および硬化設備50へと基板を案内する。案内ロール72e,72fを介することにより、基板は、さらなるプリント設備45と、さらなる硬化設備55と、に沿って案内される。案内ロール72g,72hにより、基板1は、雰囲気分離スロット30を通して、第2チャンバ20へと、案内される。第2チャンバ20内においては、基板1は、プラズマクリーニングユニット82に沿って案内され、その後、蒸発デバイス62a〜62dに沿って冷却ドラム61上を移送される。その後、基板1は、第2チャンバの外部に位置した第2雰囲気分離スロット32を通して案内され、ロール72kを介して巻き取りロール74へと案内される。他の実施形態においては、巻き取りロールは、第2チャンバ20内に配置することができる。
【0045】
少なくとも1つの有機物層と少なくとも1つの無機物層を成膜するプロセスが繰り返し可能である点に注意されたい。最初に有機物層を成膜しその後に無機物層を成膜することに代えて、無機物層を最初に成膜することもできる。
【0046】
以下においては、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板をコーティングするための、本発明による方法の一例について、説明する。第1ステップにおいては、フレキシブルな材料からなる基板が準備される。基板1のための適切な材料は、例えば、ポリカーボネート(PC)や、ポリエチレンや、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)や、例えばKAPTON(登録商標)といったようなポリイミド、である。他の例は、高温ポリマーであり、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)や、ポリイミドや、Transphan(登録商標)(ドイツ国 Weil am Rhein所在の Lofo High Tech Firm, GMBHから入手可能な高Tgの環式オレフィンポリマー)、である。基板は、好ましくは、25〜500μmという範囲の厚さを有している。25μmよりも薄い基板は、実用的には脆すぎるものであり、500μmよりも厚い基板は、実用的には硬すぎるものである。好ましくは、基板の厚さは、50〜200μmという範囲とされ、例えば100μmとされる。基板の幅は、数十cm〜数mとすることができ、例えば、30cm〜3mという範囲とすることができる。基板は、好ましくはロール状で供給されるものであって、基板の長さは、数百m〜数kmとすることができる。図示の実施形態においては、基板は、巻き戻しローラ70によって供給される。図1Aは、基板が巻き戻しローラ70から巻き戻された際の、基板1の横断面図(図1の中の記号1A)を示している。巻き戻しローラ70からの巻き戻しの後に、そして、テープ80によるクリーニングの後に、基板1は、第1チャンバ10内において、プリント設備40に沿って案内される。なお、巻き戻しローラ70と、テープ80によるクリーニング設備とは、第1チャンバ内に配置することもできる点に注意されたい。
【0047】
プリント設備40は、その構成成分として少なくとも1つの光重合可能前駆体と光重合開始剤とを含有した混合物でもって、層2をプリントする。複数の構成成分からなる混合物は、方法の実行時には、大きくても10mbarという蒸気圧を有している。
【0048】
次のステップにおいては、プリント設備40によってプリントされた層2が、硬化設備50の放射光源50a〜50cからの光放射によって、硬化される。図1Bは、硬化済みの有機物層2を有した基板を示す図である。有機物層は、図1Cに図示されているようにして、パターン化することができる。図1Cは、記号1Cに示す方向から、図1Bの表面の一部を示す図である。有機物層2は、好ましくは、10〜30μmという範囲の厚さを有しており、例えば20μmという厚さを有している。図示の実施形態においては、基板1は、さらなるプリント設備45と、さらなる硬化設備55と、に沿って案内される。これにより、図1Dに示されているように、第1有機物層2上に、第2有機物層3を成膜することができる。
【0049】
表面上に第1有機物層および第2有機物層がコーティングされた基板は、その後、案内ロール72f,72g,72hに沿って、雰囲気分離スロット30を通して、第2チャンバ20へと、案内される。ここで、コーティング基板1の自由表面は、プラズマガン82によって調整される。その後、基板は、冷却されたドラム61上を案内される。そして、少なくとも1つの無機物層4(図1E)が、気相蒸着法によって、コーティング基板の自由表面上に、成膜される。図示の実施形態においては、無機物層4は、プラズマによって増強された化学気相蒸着(PECVD)によって、成膜される。これにより、図1Eに示すような製品が得られる。あるいはこれに代えて、他の蒸着方法を使用することができる。例えば、物理蒸着法(PVD)や、ハイブリッド型物理的化学的蒸着法(HPCVD)や、気相エピタキシー法(VPE)、を使用することができる。
【0050】
この実施形態においては、a−SiNx:H層が、1015mー3の程度の電子密度でもってPECVDプロセスを使用して成膜される。蒸発デバイス62a,...,62dは、シャワーヘッドトップ電極(直径542mm)を備えている。シャワーヘッドトップ電極を通して、反応ガスが第2チャンバへと導入される。第2チャンバは、Pfeiffer ADS 602H ルートポンプを使用して、真空引きされる。ベース圧力は、10−3mbar未満とされる。蒸発デバイスのシャワーヘッドトップ電極と、下部電極として機能する回転ドラム61と、の間の距離は、20mmである。シャワーヘッド電極は、600W、13.56MHzのRF電源を使用して駆動される。これに加えて、500ワット、50kHz〜460kHzのLF電力を、Advanced Energy LF-5電源を使用して、下部電極61に対して印加することができる。成膜時に、パルス的に駆動することができる。バイアス電圧を印加しない場合には、下部電極は、接地される。このことは、基板に向けてのイオン加速のために重要なものとすることができる(プラズマ電位は、常に、ポジティブである)。下部電極は、400℃にまで加熱することができる。
【0051】
例示するならば、a−SiNx:Hは、前駆体体ガスとして、安全性の理由からN2で希釈されたNH3とSiH4(4.75%)との混合ガスを使用して、成膜された。N2は、さらに、プロセスガス混合物を希釈するためにも、また、第2チャンバ20をベントするためにも、使用される。各ガスは、シャワーヘッド電極を通してチャンバ内に導入される前に、予め混合される。典型的なガス流速は、数百sccmの程度である。スロットルバルブを使用することにより、プロセス圧力は、0.1〜1.0mbarの範囲に維持される。標準的な成膜設定の例は、表1に表されている。60Wの場合には、プラズマ領域は、10mW/cm2 であり、パワー密度は、10mW/cm3 である。
【0052】
【表1】
【0053】
一実施形態においては、装置は、2mという幅Wと、2mという高さH1+H2+H3と、を有している。第1チャンバ10は、第1隔室10Aを備えている。第1隔室10Aの中には、プリント設備40,45と、硬化設備50,55と、が配置されている。第1チャンバは、第2隔室10Bを備えており、第2隔室10B内には、巻き戻しローラ70と、巻き取りローラ74と、が配置されている。第1チャンバの第2隔室10Bは、第1チャンバ10の第1隔室10Aと、第2チャンバと、の間に配置されている。コンパクトな構成は、雰囲気分離スロット30が、第2チャンバ20から、第1チャンバ10の第1隔室10Aへと、延在するという点において、得られている。第2雰囲気分離スロット32は、第1雰囲気分離スロット30よりも短いものとすることができる。これは、第2隔室10Bが、第1隔室10Aから部分的に隔離されているためである。第1隔室10Aと第2隔室10Bとは、壁10Cによって分離されている。これにより、巻き戻しローラ70からのフォイル(foil)を脱ガスすることによって、第1隔室10Aの汚染を低減することができる。両隔室がわずかな圧力差しか有していないことのために、両隔室10A,10B間にわたって基板1を通過させるに際して雰囲気分離スロットを設けることは、不要である。基板1を通過させるに際しては、両隔室間に十分な幅のスリットが存在するだけで十分である。さらなるポンプを付設することによって、第2隔室10Bを真空引きすることができる。図示の実施形態においては、冷却ドラム61は、50cmという直径を有しており、第2チャンバ20は、1mという幅と、1mという高さと、を有している。装置の奥行(図面がなす平面に対して直交する向き)は、フレキシブル基板の全幅を受領し得る程度に十分に大きなものであるべきである。第1チャンバ10の第1隔室10Aおよび第2隔室10Bは、50cmという高さH2,H3を有している。第1および第2の真空引きポンプ12,22は、ターボ分子ポンプとされている。基板1は、10cmという距離にわたって硬化され、そのため、1m/minという速度で基板を輸送する場合には、硬化時間は、6sである。より高速で輸送する場合には、硬化距離を、輸送速度に応じて増大させることが望ましい。
【0054】
図2は、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板1をコーティングするための、本発明による装置の第2実施形態を示す図である。図2に図示された装置においては、プリント設備40(図3においても概略的に図示されている)は、輪転グラビアプリントシステムとされていて、駆動ロールをなすグルーブ付きのアプリケータロール41を備えている。アプリケータローラ41は、基板1に対してプリントされるべき有機物層2のための前駆体を含有した混合物を備えたバス43を通って回転駆動される。図示の実施形態においては、アプリケーターロール41は、時計回りに回転し、基板は、図面がなす平面内において左向きに輸送される。これにより、アプリケーターロール41の表面は、基板1の移動方向に対向して、移動する。ロール76は、基板1をアプリケーターロール41に対して押圧するプレスロールとして機能する。アプリケーターロール41が、一方向に回転するかあるいは両方向に回転するかに応じて、1つまたは複数のドクターブレード42a,42bを設けることができる。これにより、過剰量の混合物を、アプリケーターロール41から、こすり落とすことができる。この実施形態において使用されている雰囲気分離スロット30は、図4において、より詳細に図示されている。また、雰囲気分離スロット30の一部が、図4Aにおいて拡大して図示されている。雰囲気分離スロット30は、基板の移動方向において長さLを有しており、基板の移動方向に対して直交してなおかつ基板がなす平面内において幅を有しており、基板に対して直交する方向において高さxを有している。
【0055】
関連する圧力範囲においては、単位をl/sとしたときの雰囲気分離スロットのモルコンダクタンス(CMol )は、分子流によって決定される。これは、Wutz Handbuch Vakuumtechnik, 9th edition page 119 に記載されている以下の式に基づき、パラメータa,x,L(それぞれの単位はcm)に依存する。
【0056】
【数1】
【0057】
L/xの値が比較的大きい場合には、以下の近似を行うことができる。
【0058】
【数2】
【0059】
典型的な実施形態においては、プラズマ源は、10−2mbarという動作圧力で動作し、許容される相互汚染レベルは、1%未満である。したがって、湿ったコーティングチャンバ10からのリークは、10−4mbar以下にとどめるべきである。湿ったコーティングチャンバ10内の動作圧力がおよそ10−5mbar程度であると予想されることのために、雰囲気分離スロット30は、104 という桁数の圧力低減をもたらすべきである。
【0060】
実際的な実施形態においては、雰囲気分離スロットは、幅が20cmであり、高さが0.03cmであり、長さが27.7cmである。よって、長さLと高さhとの比率は、923であり、100〜5000という範囲内にある。第2チャンバ20内の圧力(Pout)が、上記の関係式[1]に基づいて計算され(calc)、また、第1チャンバ10内のN2ガスの一連の圧力(Pin)に関して測定された(meas)。測定前に、チャンバ20は、まず最初に、第1ポンプ22aによって5×10−6mbarの圧力Poutにまで真空引きされ、そして、実験時には、第2チャンバ20は、2106l/sという一定のポンピング速度を有した第2ポンプ22bによって、真空引きされた。入力圧力Pinは、ペニングセンサによって測定され、出力圧力Poutは、ピラニーセンサによって測定された。
【0061】
【表2】
【0062】
表2に示すように、雰囲気分離スロットを使用することにより、第1チャンバ10からガスに基づく第2チャンバ20内の圧力Poutを、104 以上の桁数で、低減させることができる。また、測定によって、チャンネルを通しての分子流が、上記の関係式[1]によって十分に正確に予測できることが、示された。
【0063】
上記の例においては、第1コーティングを有した基板を無視することが仮定されている。実際には、基板は、有限の厚さを有しており、雰囲気分離スロットの高さxは、使用される基板の厚さに応じて増大させることができる。例えば、フレキシブル基板が0.125mmという厚さを有している場合には、雰囲気分離スロットの高さは、0.425mmとすることができる。したがって、雰囲気分離スロットの高さ(x)は、フレキシブル基板の厚さの3.4倍であり、比率は、1.5〜5という範囲内にある。
【0064】
図2に示す装置の実施形態においては、雰囲気分離スロット30は、真空引きデバイス34に連通する1つまたは複数の真空引きチャネル37を備えている(図4,図4Aを参照されたい)。
【0065】
図2に示す装置の他の実施形態においては、雰囲気分離スロット30は、一対のまたは複数対の円筒形のローラ38A,38B;38C,38Dを備えており(図4Bを参照されたい)、ローラ対の間を、フレキシブル基板1が案内される。
【0066】
図2に示す実施形態においては、装置は、さらに、第1チャンバ10と雰囲気分離スロット30との間に、凝縮チャネル(あるいは、凝集チャネル)36を備えている。凝縮チャネル36は、凝縮チャネル36の内表面36aを冷却するための冷却デバイス36bを有している。第1チャンバからの蒸気を、雰囲気分離スロット30内へと導入される前に、それら内表面36a上で凝縮させることができる。
【0067】
次なる実験においては、以下においてF1およびF2と表記されるような2つの前駆体混合物(組成物)が、1m/minという速度で移動する基板に対して、輪転グラビアによって、プリントされた。この場合、基板は、125μmという厚さを有したPENフォイルとされた。しかしながら、また、例えばPETまたはPCといったような他のポリマーフォイルも適切である。前駆体混合物F1,F2,F3の組成は、重量%を単位として、以下の表に示されている。
【0068】
【表3】
【0069】
前駆体混合物は、成膜前に脱ガスされた。これにより、リザーバへの移送時における、および、プリント時における、はね返りを防止することができる。使用された材料の特性は、以下の表に示されている。すべての混合物は、5mbar未満という蒸気圧を有していた。
【0070】
【表4】
【0071】
得られる乾燥状態でのコーティングの重量が、基板1(あるいは、ウェブ)に対してのアプリケーターロール41の速度比率の関数として、調査された。アプリケーターロールは、基板の輸送方向に対して、対抗する向きで回転駆動された。速度比率は、0〜2.5の間にわたって変化させた。混合物に関して測定された結果が、図5に示されている。混合物F2に関しては、コーティングの重量は、速度比率を0.5からおよそ1.2にまで増大させた際に、およそ15からおよそ18g/m2 へと増加する。速度比率が1.2を超えたところにおいては、乾燥したコーティングの重量は、18g/m2 くらいで実質的に一定となる。混合物F1に関しては、コーティングの重量は、速度比率の関数として、16.5〜18.5g/m2 の間を変化する。
【0072】
プリントして硬化させた後に得られた有機物層2は、上述の各ケースにおいて、18〜20μmという範囲であった。コーティングの品質は、テープ接着テスト、および、クロスカット接着テストによって、検証された。テストの結果は、以下の表に示されている。
【0073】
【表5】
【0074】
すべてのコーティングは、テープ接着テストに合格した。しかしながら、「PEN上にOCP」という第1コーティングだけが、クロスカット接着テストに合格した。アプリケーターロール41がリザーバ43から基板1の表面へと、プリントされるべき混合物を直接的に移送することは、必須ではない。図6に示す代替可能な実施形態においては、プリント混合物は、リザーバ43から、移送ロール44を介して、アプリケーターロール41へと、移送されている。
【0075】
また、他のプリント方法を使用して、有機物層を成膜することができる。例えば、回転スクリーンプリントを使用することができる。回転スクリーンプリントにおいては、図7に示すように、円筒スクリーン45が、定位置で回転駆動され、スキージー46が、スクリーン45の内部に適用される。基板1は、スクリーン45の直下において、スクリーン45と、スチール製のまたはゴム製の押圧ローラ76と、の間において一定速度で搬送される。基板1が回転ユニット45,76を通過する際に、スクリーン45は、基板の移動速度と同じ速度で回転する。
【0076】
スキージー46は、定位置にあり、スキージー46のエッジが、スクリーン45と基板1と押圧ローラ76と集中する正にそのポイントのところで、スクリーン45の内表面に対して接触する。プリントされる混合物47は、スクリーン45の中心内へと自動的に供給され、スキージー46の先端とスクリーン45の内表面とによって形成されたくさび形状の「井戸」の中に収集される。スクリーン45が移動することにより、混合物47のこのビーズが転がるように駆動され、これにより、混合物は、ステンシル開口内へと押し出される。これにより、混合物は、湿しバー(floodbar)を必要とすることなく、スクリーン45を実質的に湿らすことができる。スキージー46は、ステンシルと基板1とが接触した時点で、混合物をこすり取り、これにより、混合物をきれいに基板上へと移送することができる。
【0077】
例えばスロットダイプリントやインクジェットプリントといったような他の様々なプリント手法が適切である。また、例えばスプレーコーティングといったような他の成膜手法が、可能である。しかしながら、スプレーコーティングは、スプレーされる物質を第1隔室10Aの雰囲気内に分散させる傾向があり、このため、蒸気圧を十分に低く維持するためにはポンピング速度を十分に大きなものとする必要があることのために、好ましくない。
【0078】
図8は、本発明による装置の第3実施形態を示している。この実施形態は、基板上に複数対をなす有機物層および無機物層を成膜するのに好適である。
【0079】
図8に示す実施形態は、第1チャンバ10Aと、第2チャンバ20Aと、第3チャンバ10Bと、第4チャンバ20Bと、を備えている。コーティングされるべきフレキシブル基板は、案内設備(図示せず)により、第1チャンバ10Aから、第1雰囲気分離スロット30Aを介して、第2チャンバ20Aへと、案内され、さらに、第2チャンバ20Aから、第2雰囲気分離スロット32Aを介して、第3チャンバ10Bへと、案内され、さらに、第3チャンバ10Bから、第3雰囲気分離スロット30Bを介して、第4チャンバ20Bへと、案内される。第1チャンバ10Aは、フレキシブル基板を供給するための巻き戻しローラ(図示せず)と、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体と光重合開始剤と必要に応じて感光剤とを含有した混合物によってフレキシブル基板をプリントするためのプリント設備(図示せず)と、硬化設備と、を収容している。
【0080】
第2チャンバ20Aは、有機物層を有した基板上に無機物層を成膜するための気相蒸着設備(図示せず)を収容している。第3チャンバ10Bは、有機物層と無機物層を有したフレキシブル基板を、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体と光重合開始剤と必要に応じて感光剤とを含有した混合物によって、プリントするためのプリント設備(図示せず)と、成膜された混合物を硬化させて第2の有機物層を形成するための硬化設備と、を収容している。第4チャンバ20Bは、第2の無機物層を成膜し得るよう、気相蒸着設備(図示せず)を収容している。
【0081】
第1および第3チャンバ10A,10B内のプリント設備および硬化設備は、装置の第1実施形態および第2実施形態に関して上述されたプリント設備および硬化設備と同じものとすることができる。あるいは、異なるものとすることもできる。第2および第4チャンバ20A,20B内の気相蒸着設備は、第1実施形態および第2実施形態に関して上述された気相蒸着設備と同じものとすることができる。あるいはこれに代えて、他の気相蒸着設備を使用することもできる。
【0082】
このようにして、基板上に、第1有機物層と、第1無機物層と、第2有機物層と、第2無機物層と、を形成することができる。
【0083】
上述の説明においては、様々な実施形態において、ある1つのチャンバが第1チャンバとされ、なおかつ、他の1つのチャンバが第2チャンバとされ、そして、少なくとも1つの第1無機物層が、少なくとも1つの第1有機物層上に成膜される。言い換えれば、フレキシブル基板は、第1チャンバ内において成膜設備と硬化設備とに沿って案内され、そして、雰囲気分離スロットを通して案内され、さらに、第2チャンバ内の気相蒸着設備に沿って案内される。しかしながら、これに代えて、ある1つのチャンバを第2チャンバとし、他の1つのチャンバを第1チャンバとすることが、可能である。この場合、フレキシブル基板は、第2チャンバ内の気相蒸着設備に沿って案内され、そして、雰囲気分離スロットを通して案内され、さらに、第1チャンバ内の成膜設備および硬化設備に沿って案内される。この場合には、少なくとも1つの第1有機物層が、少なくとも1つの第1無機物層上に成膜される。
【0084】
図8を参照して上述したように、本発明による様々な装置は、互いに接続することができ、必要であれば、雰囲気分離スロットを介して隔離することができる。機能を有した層を成膜するための追加的な成膜装置を設けることができる。例えば、図8に示される一連の構成において、基板上に第1バリア構造を成膜することができる。このようにして得られたバリア構造付きの基板は、その後、必要であれば雰囲気分離スロットを通して、1つまたは複数の機能的な層を成膜するためのさらなる装置へと、案内される。そして、第1バリア構造と機能的な層とを有した基板は、必要であれば雰囲気分離スロットを通して、第2バリア構造を成膜するためのさらなる装置へと、案内される。ここで、第1バリア構造および第2バリア構造は、互いに協働することにより、機能的な層を封止するように作用する。成膜されたデバイスは、例えば、有機LEDや、(有機的な)光電池や、光電デバイスや、バッテリー、である。
【0085】
本発明に関して、様々な図面を参照して詳細に上述したけれども、そのような例示や説明は、例示のためのものに過ぎず、本発明を制限するものではない。本発明は、例示された実施形態に限定されるものではない。
【0086】
当業者であれば、添付図面や上記の説明や特許請求の範囲の記載に基づき、本発明の実施に際して、上記実施形態に対して様々な変形が可能であることを、理解されるであろう。特許請求の範囲においては、「備える」という用語は、他の構成部材または他のステップを除外するものではない。そして、不定冠詞「a」または「an」は、複数の構成部材を除外するものではない。単一のプロセッサまたは他のユニットは、特許請求の範囲に記載された複数の構成部材の機能を実施することができる。各手段が互いに異なる請求項に記載されているからといって、これら手段どうしの組合せが有効でないことを意味するわけではない。特許請求の範囲における参照符号は、発明の範囲を制限するものではない。
【符号の説明】
【0087】
1 フレキシブル基板
2 第1有機物層
4 第1無機物層
10 第1チャンバ
20 第2チャンバ
30 雰囲気分離スロット
36 凝縮チャネル
37 真空引きチャネル
40 成膜設備
50 硬化設備
60 気相蒸着設備
70 案内設備
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング方法に関するものである。また、本発明は、コーティング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品や電子部品等といったような多くの製品は、湿気や酸素や水素や他の物質による影響からの保護のために、封入部材を必要とする。有機物層と無機物層との交互積層からなるバリア層は、封入部材として適切であることがわかっている。無機物層内の材料は、上記物質に対する最も高いバリア性能を提供する。しかしながら、無機物層は、通常は、それら無機物層を通して上記物質が漏洩するかもしれないという欠点を有している。有機物層は、無機物層どうしを互いに分断する。これにより、上記物質は、曲がりくねった経路を通してしか通り抜けられないこととなる。これにより、拡散が防止される。
【0003】
特許文献1(US5,725,909)には、シート状の基板を、連続プロセスにおいて、アクリレート層と酸素バリア層とによってコーティングする装置および方法が開示されている。特許文献1の図4に図示された装置においては、シートは、回転可能ドラムに沿って案内される。ドラムの周囲を案内される際に、シートには、フラッシュ蒸発器によって、アクリレート層が成膜され、アクリレート層は、UV源によって重合される。さらなる成膜ステーションにおいて、バリア材料が、例えばプラズマ成膜や真空蒸着等によって、成膜される。続いて、次なる蒸発器によって、さらなるアクリレート層が成膜されて重合される。
【0004】
公知の装置および方法においては、例えば1マイクロメートル未満といったような比較的薄い有機物層しか成膜し得ないことが、欠点である。また、アクリレート層に対してUV硬化を適用可能とするためには、このアクリレート層は、アクリレートモノマーあるいは他の前駆体に加えて、光重合開始剤を含有しているべきである。これらの構成成分は、同時に蒸発させるべきである。このために、これらの構成成分が同程度の蒸気圧を有しているという要求が課される。比較的厚い有機物層は、無機物層内の不規則性をより良好にカバーし得ることのために、要求される。さらに、例えばおよそ10μmよりも厚いものといったような比較的厚い有機物層は、例えばゲッター材料や、マイクロレンズまたは散乱粒子といったような光学活性粒子、といったような、機能粒子を埋設し得ることのために、非常に適切である。
【0005】
また、特許文献1は、例えば25μmといったようなより厚いアクリレート層を適用するための方法として、スプレー法に言及している。しかしながら、図4のフラッシュ蒸発器をスプレーノズルへと交換した際には、スプレーされた物質は、真空チャンバの雰囲気内に分散することとなる。そのため、酸素バリア材料に対する成膜条件に対して、もはや不適合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US5,725,909
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とを有したフレキシブル基板を連続プロセスにおいてコーティングするための改良された装置を提供することである。本発明の他の目的は、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とを有したフレキシブル基板を連続プロセスにおいてコーティングするための改良された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の見地においては、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板をコーティングするための装置であって、
−第1チャンバおよび第2チャンバと、
−第1チャンバと第2チャンバとの間に配置された雰囲気分離スロットと、
−第1チャンバ内に配置され、硬化可能な混合物を成膜するための成膜設備であるとともに、硬化可能な混合物が、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークと、重合開始剤と、を含有している、成膜設備と、
−第1チャンバ内に配置され、成膜された混合物を硬化させることにより、第1有機物層を形成するための硬化設備と、
−第2チャンバ内に配置され、第1無機物層を成膜するための気相蒸着設備と、
−フレキシブル基板を、第1チャンバおよび第2チャンバの一方から、雰囲気分離スロットを経由して、第1チャンバおよび第2チャンバの他方へと、案内するための案内設備と、
を具備している装置が提供される。
【0009】
本発明の第2見地においては、
少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板をコーティングするためのコーティング方法であって、
−フレキシブルな材料からフレキシブル基板を形成し、
−フレキシブル基板を、第1チャンバと第2チャンバとの一方を通して案内し、
−フレキシブル基板を、雰囲気分離スロットを経由させて、第1チャンバと第2チャンバとの他方を通して案内し、
−第1チャンバ内において、フレキシブル基板上に、硬化可能な混合物からなる層をプリントし、ここで、硬化可能な混合物を、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークと、重合開始剤と、を含有したものとし、
−第1チャンバ内において、プリントされた層を硬化させることによって、第1有機物層を形成し、
−第2チャンバ内において、第1有機物層を有したフレキシブル基板の表面上に、気相蒸着法によって第1無機物層を成膜する、
というコーティング方法が提供される。
【0010】
雰囲気分離スロットは、互いに異なる気圧で成膜されるような、無機物層および有機物層に関する互いに異なるコーティング技術の使用を可能とする。一実施形態においては、一方のチャンバが、第1チャンバとされ、他方のチャンバが、第2チャンバとされ、第1無機物層が、第1有機物層上に成膜される。他の実施形態においては、一方のチャンバが、第2チャンバとされ、他方のチャンバが、第1チャンバとされ、第1有機物層が、第1無機物層上に成膜される。
【0011】
チャンバは、互いに異なる複数の隔室を備えることができる。例えば、第1チャンバは、プリントのための第1隔室と、硬化のための第2隔室と、に分割することができる。隔室どうしの間には、追加的な雰囲気分離スロットを設けることができる。
【0012】
本発明の第1見地および第2見地による装置および方法においては、基板が積層体を既に有している場合にでも、適用することができる。例えば、装置は、まず最初に、基板に対して、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とを有した第1バリア構造を、成膜するために使用することができる。その後、例えば有機LEDや光電池セルや光電デバイスやバッテリーといったような電子デバイスを、第1バリア構造を有した基板に対して付与することができる。本発明の第1見地および第2見地による装置および方法においては、その後、電子デバイス上に、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とを有した第2バリア構造を付与することができる。その場合、電子デバイスは、第1および第2のバリア構造によって封止されている。
【0013】
フレキシブル基板は、PETや、PENや、あるいは、他の任意のフレキシブルな材料とすることができる。付加的には、フレキシブル基板は、まず最初に、プリントされた有機物層とによってコーティングすることができる。
【0014】
ポリマーのための前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークは、以降の硬化ステップの後にポリマーまたはオリゴマーまたはポリマーネットワークに変換され得る物質である。硬化ステップは、供給エネルギーの影響によって、混合物内に存在している開始剤により、誘起される。供給エネルギーは、開始剤を刺激して、活性種を生成する。活性種は、混合物内の重合可能な構成成分の重合を開始する。このプロセスは、多くの場合、「硬化」と称される。硬化時には、混合物中の重合可能な構成成分が架橋して、固体表面コーティングを形成する。コーティングは、例えば安定化剤や調整剤や硬化剤や消泡剤やレベリング剤や増粘剤や難燃剤や酸化防止剤や顔料や染料やフィラーやこれらの組合せといったような添加物を含有することができる。ポリマーベースのUV硬化可能なコーティング組成物は、溶媒を一切含むことなく、調製することができる。これは有利である。溶媒が使用された場合には、比較的低い蒸気圧を有する必要があり、このことは、蒸発速度が遅くなることを意味する。このことは、フレキシブル基板の移送速度を非常に遅いものとすることを必要とする、および/または、フレキシブル基板のうちの、蒸発プロセスを受ける部分を比較的長いものとすることを必要とする。
【0015】
一実施形態においては、混合物は、本発明による方法の実行時に、大きくても10mbarという蒸気圧を有している。これにより、第1チャンバを、雰囲気分離スロットを通して起こる流れが分子流となるという圧力レベルにまで、容易に真空引きすることができる。好ましくは、混合物は、室温(20℃)において蒸気圧を有している。そのため、第1チャンバの冷却は必要ではない。蒸気圧を1mbar以下へと下げるには、混合物の構成成分の選択に際し大いなる制限を必要とする、あるいは、第1チャンバの冷却を必要とし、真空引き設備の実際的な単純化とはならない。
【0016】
成膜設備は、スプレーコーティングデバイスとすることができる。しかしながら、成膜設備は、好ましくは、プリント設備とすることができる。最も好ましくは、接触型のプリントデバイスとすることができる。接触型のプリントは、例えばグラビアコーティングやスクリーンコーティングは、プリントされる混合物を、第1チャンバの雰囲気内へと分散させることを、制限する。
【0017】
一実施形態においては、混合物は、コーティング方法の実行時に、大きくても10000のmPa.sという粘度を有したものとされる。この粘度範囲は、大部分のプリント手法に関して適切な粘度範囲である。好ましくは、混合物は、室温(20℃)において、この範囲の粘度を有している。そのため、第1チャンバの温度制御が、不要である。また、
例えば回転スクリーンプリントといったようないくつかの手法が、例えば3000のmPa.sといったような最大で10,000 mPa.sという比較的高い粘度に関して、適切である点に注意されたい。
【0018】
本発明の第2見地による方法においては、エネルギーは、様々な態様で供給することができる。例えば、熱の供給や、熱の誘導、等によって、行うことができる。
【0019】
最も好ましくは、エネルギーは、放射によって、好ましくはフォトン放射やUV放射によって、供給される。放射によって開始剤の起動を行うためのエネルギーを供給することにより、プリントされた有機物層の急速な硬化を、得ることができる。特に、UV放射を使用した硬化は、高速のプロセスである。これにより、基板を第1チャンバを通して迅速に移動させることができ、第1チャンバを比較的小さい容積のものとすることができる。基板の迅速な移動は、経済的な理由から魅力的なものである。比較的小さな容積を有した第1チャンバは、容易に真空引き状態に維持することができる。プリントされる混合物内に溶媒が存在しないことは、プリントプロセスにおける小さな蒸気圧を可能とし、これにより、フレキシブル基板を、雰囲気分離スロットを通して、無機物層の真空蒸着を行う第2チャンバへと、直接的に移送することができる。雰囲気分離スロットは、本明細書においては、十分に高い横断面を有したスリットとして、なおかつ、フレキシブル基板を通過させ得るに十分にワイドなスリットとして、規定されている。しかしながら、雰囲気分離スロットは、チャンバどうしを雰囲気的に分離させ得るよう、十分に狭くかつ十分に長いものである。雰囲気の分離とは、第2チャンバ内の圧力値を、第1チャンバの圧力値と比較して、例えば100分の1以下に小さなものといったように、十分に小さなものにまで低減し得るものとして、理解されたい。
【0020】
雰囲気分離スロットは、雰囲気分離スロットと基板との間の摩擦を防止して基板の損傷および基板上にコーティングされた各層の損傷を防止し得るよう、基板の厚さよりも大きな高さを有する必要がある。好ましくは、雰囲気分離スロットは、フレキシブル基板の厚さと比較して、2〜4倍という範囲の高さ(x)を有している。例えば1.5倍未満といったような実質的に2倍未満の高さであれば、雰囲気分離スロットとフレキシブル基板および基板上にコーティングされた各層との間の摩擦を防止するために、非常に正確な位置合わせが必要とされることとなる。位置合わせを容易なものとするという目的からは、例えば5倍以上といったような、基板の厚さの4倍を実質的に超える雰囲気分離スロットの高さを選択する必要はない。さらに、雰囲気分離スロットのモルコンダクタンスが、スロットの高さの二乗とほぼ比例することから、スロットの高さを大きなものとすることは、スロットの長さを比較的大きなものとすることを必要とする。
【0021】
雰囲気分離スロットの長さ(L)を高さ(x)によって割算した値(L/x)は、好ましくは、100〜5000という範囲とされる。長さが高さの100倍未満であれば、雰囲気分離スロットを通して第1チャンバ内へと流入する汚染物質を第1チャンバから排出するに際して、強力なポンピング設備を必要とする。実際的な目的から、長さは、最大で高さの5000倍とされる。これよりも長さを増大させれば、雰囲気分離機能をさらに改良し得るけれども、製造の許容誤差を非常に厳しいものとしてしまい、さらに、雰囲気分離スロットの配置精度を非常に厳しいものとしてしまう。
【0022】
本発明の第1見地による装置の一実施形態は、プリント設備が、コンタクト型のプリント設備であることを特徴とする。コンタクト型のプリント設備の例としては、回転スクリーンプリント、および、回転グラビアプリント、がある。コンタクト型のプリントは、雰囲気に対して接触する混合物の量を最小化する。これにより、第1チャンバの真空引きを容易なものとする。
【0023】
装置の一実施形態は、雰囲気分離スロットが、真空引きデバイスに連通した1つまたは複数の真空引きチャネルを備えていることを特徴とする。雰囲気分離スロット内において追加的な真空引きを行うことにより、雰囲気分離スロットのサイズに関する要求を、少し緩和することができる。例えば、雰囲気分離スロットは、より短いもの、あるいは、より高いもの、とすることができる。これにより、雰囲気分離スロットを通してのフレキシブル基板の移動を、より容易なものとすることができる。
【0024】
本発明の第1見地による装置の一実施形態は、さらに、第1チャンバと雰囲気分離スロットとの間に配置された凝縮チャネルを具備している。気化した物質は、凝縮チャネル内で凝縮し、これにより、第2チャンバに到達することを防止することができる。
これにより、雰囲気分離スロットに関する要求を、緩和することができる。
【0025】
本発明の第1見地による装置の一実施形態においては、雰囲気分離スロットが、フレキシブル基板を案内するための一対のまたは複数対の円筒形ローラを備えている。これにより、フレキシブル基板を、雰囲気分離スロットを通して容易に通過させることを可能としつつ、第1チャンバからのガス状物質の通過を阻止することができる。
【0026】
第2見地による方法の一実施形態においては、硬化可能な混合物は、好ましくは、光硬化性組成物とされ、光硬化性組成物は、カチオン的に硬化可能な組成物とカチオン性光重合開始剤、および/または、ジカル的に硬化可能な組成物とフリーラジカル性光重合開始剤、を有したものとされる。
【0027】
少なくとも1つのカチオン的に硬化可能な組成物は、ポリマーネットワークを形成するために開環メカニズムを介してまたは開環メカニズムの結果として反応し得る官能基を有していることを特徴とする少なくとも1つのカチオン的に硬化可能な組成物または樹脂を含有することができる。そのような官能基の例には、オキシランエポキシドや、分子内のオキセタンリングや、テトラヒドロフランリングや、ラクトンリング、がある。そのような化合物は、脂肪族や、芳香族や、脂環式や、アラリファティックや、複素環式の構造を有することができ、それらは、サイドグループとしてリンググループを有することができる、あるいは、エポキシドグループが、脂環式のまたは複素環式のシステムの一部を形成することができる。光硬化可能な組成物は、さらに、少なくとも1つのカチオン性の光重合開始剤を含有することができる。カチオン性の光重合開始剤は、カチオン性の光重合を開始するために一般的に使用されているものの中から選択することができる。この例には、弱い求核性のアニオンを有したオニウム塩があり、例えば、ハロニウム塩や、ヨードシル塩や、スルホニウム塩、スルホキソニウム塩や、ジアゾニウム塩、がある。メタロセン塩は、光重合開始剤としても適切である。オニウム塩およびメタロセン塩からなる光重合開始剤は、米国特許第3,708,296号;J. V. Crivello, "Photoinitiated Cationic Polymerization," UV Curing: Science & Technology, (S. P. Pappas, ed., Technology Marketing Corp. 1978);および、J. V. Crivello and K. Dietliker, "Photoinitiators for Cationic Polymerisation," Chemistry and Technology of UV & EV Formulation for Coatings, Inks & Paints 327478 (P. K. Oldring, ed., SITA Technology Ltd 1991);に開示されている。これら文献の記載内容は、参考のためここに組み込まれる。
【0028】
光硬化可能な組成物は、上記に代えてあるいは上記に加えて、1つまたは複数のラジカル的に重合可能なアクリレート含有型の化合物を含有することができる。本発明の第2見地による方法において使用されるアクリレート含有型の化合物は、好ましくは、エチレン的に飽和していない。より好ましくは、アクリレート含有型の化合物は、(メタ)アクリレートである。「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート、メタクリレート、および、それらの混合物、を意味している。アクリレートを含有する化合物は、少なくとも1つのポリ(メタ)アクリレートを含有することができる。例えば、ジファンクショナルなあるいはトリファンクショナルなあるいはテトラファンクショナルなあるいはペンタファンクショナルなモノマーまたはオリゴマーの脂肪族のあるいは脂環式のあるいは芳香族の(メタ)アクリレートを含有することができる。これに代えて、あるいは、これに加えて、光硬化可能な組成物は、少なくとも1つのフリーラジカル型の光重合開始剤を含有することができる。フリーラジカル型の光重合開始剤は、ラジカル型の光重合を開始するために一般的に使用されているものの中から選択することができる。フリーラジカル型の光重合開始剤の例には、例えばベンゾインといったようなベンゾイン類、例えばベンゾインメチルエーテルやベンゾインエチルエーテルやベンゾインイソプロピルエーテルやベンゾインフェニルエーテルやベンゾインアセテートといったようなベンゾインエーテルや;例えばアセトフェノン,2,2−ジメトキシアセトフェノンや1,1−ジクロロアセトフェノンといったようなアセトフェノンや;例えばベンジルジメチルケタールやベンジルジエチルケタールといったようなベンジルケタールや;例えば2−メチルアントラキノンや2−エチルアイルアントラキノンや2−ターシャリーブチルアントラキノンや1−クロロアントラキノンや2−アミルアントラキノンといったようなアントラキノンや;トリフェニルホスフィンや;例えば2,4,6−トリメチルベンゾイ−ジフェニルホスフィンオキシド(Luzirin TPO)といったようなベンゾイルホスフィンオキシドや;ビスアシルホスフィンオキシドや;例えばベンゾフェノンや4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノンといったようなベンゾフェノンや;チオキサントンおよび
キサントンや;アクリジン派生物や;フェナジン派生物や;キノキサリン派生物や;1−フェニル−1,2−プロパンジオン 2−O−ベンゾイルオキシムや;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−プロピル)ケトン(Irgacure(登録商標)2959)や;例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや2−ヒドロキシイソプロピルフェニルケトンやフェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトンや4−イソプロピルフェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトンといったような、1−アミノフェニルケトン類または1ヒドロキシフェニルケトン類;がある。
【0029】
本発明における光硬化可能な組成物は、追加的に、他の構成成分を含有することができる。例えば、安定化剤や、調整剤や、硬化剤や、消泡剤や、レベリング剤や、増粘剤や、難燃剤や、酸化防止剤や、顔料や、染料や、フィラーや、これらの組合せといったような構成成分を含有することができる。
【0030】
使用時に粘度増強を妨げるために光硬化可能な組成物に対して添加し得る安定化剤には、ブチルヒドロキシトルエン(「BHT」)や、2,6−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシトルエンや、例えばベンジルジメチルアミン(「BDMA」)やN,N−ジメチルベンジルアミンといったようなヒンダードアミン類や、ホウ素錯体、がある。これらの前駆体は、室温において比較的低い蒸気圧を有しているという点において、有利である。加えて、混合物は、例えば無機粒子といったような粒子を含有することができる。例えば、無機粒子は、TiO2粒子や、SiO2粒子や、A12O3粒子や、これらの組合せ、とすることができる。
【0031】
コーティングされた基板によって封止が形成されているような、例えばLEDといったような発光製品においては、粒子の添加は、LEDからの光の逃避の改良に寄与することができる。
【0032】
少なくとも1つの無機物層のための適切な材料には、限定するものではないけれども、金属オキシドや、金属窒化物や、金属カーバイドや、金属酸化窒化物や、金属オキシホウ化物や、これらの組合せ、がある。金属オキシドは、好ましくは、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、および、これらの組合せ、の中から選択される。金属窒化物は、好ましくは、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、および、これらの組合せ、の中から選択される。金属酸化窒化物は、好ましくは、酸化窒化アルミニウム、酸化窒化シリコン、酸化窒化ホウ素、および、これらの組合せ、の中から選択される。不透明なバリア構造は、いくつかのバリアスタック内において使用することもできる。不透明なバリア材料には、限定するものではないけれども、金属や、セラミックや、ポリマーや、サーメット、がある。不透明なサーメットの例には、窒化ジルコニウム、窒化チタン、窒化ハフニウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、タングステンジシリサイド、チタンジホウ化物、ジルコニウムジホウ化物、がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による装置の第1実施形態を示す図である。
【図1A】図1において記号1Aによって示された第1製造ステージにおいて、フレキシブル基板を示す横断面図である。
【図1B】図1において記号1Bによって示された第2製造ステージにおいて、フレキシブル基板を示す横断面図である。
【図1C】図1Bにおいて記号1Cによって示された第2製造ステージにおいて、フレキシブル基板の平面図である。
【図1D】図1において記号1Dによって示された第3製造ステージにおいて、フレキシブル基板を示す横断面図である。
【図1E】図1において記号1Eによって示された第4製造ステージにおいて、フレキシブル基板を示す横断面図である。
【図2】本発明による装置の第2実施形態を示す図である。
【図3】図2の装置の実施形態における第1の細部を示す図である。
【図4】図2の装置の実施形態における第2の細部を示す図である。
【図4A】図4における細部を拡大して示す図である。
【図4B】本発明による装置の第3実施形態における細部を示す図である。
【図5】第2製造ステージにおいて得られた測定結果を示す図である。
【図6】本発明による装置の第4実施形態における細部を示す図である。
【図7】本発明による装置の第5実施形態における細部を示す図である。
【図8】本発明による装置の第6実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
上記の見地および他の見地につき、添付図面を参照して、以下において、より詳細に説明する。
【0035】
以下の詳細な説明においては、本発明の完全な理解を提供する目的で、多数の特定の詳細が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明がこれらの特定の詳細以外の手法でも実施し得ることを、理解されるであろう。言い換えれば、本発明の様々な見地の理解を妨げることがないよう、周知の方法や手順やと構成部材は、詳細には記載されていない。
【0036】
図においては、各層のサイズや相対的なサイズは、ならびに、局所的な領域は、理解の明瞭さのために、誇張されている。
【0037】
本明細書においては、第1や第2や第3等といった用語が様々な部材や構成部材や領域や層や部分を表すために使用されているけれども、それらの部材や構成部材や領域や層や部分が、それら用語によって制限されてはならないことは、理解されるであろう。これらの用語は、ある部材や構成部材や領域や層や部分を、他の部材や構成部材や領域や層や部分から区別する目的のためだけに、使用されている。このように、以下における第1部材や第1構成部材や第1領域や第1層や第1部分は、本発明の範囲を逸脱することなく、第2部材や第2構成部材や第2領域や第2層や第2部分と呼ぶこともできる。
【0038】
本明細書においては、本発明の各実施形態は、本発明の理想的な実施形態(および、中間構造)を概略的に示す横断面図を参照して、記述されている。よって、図示の形状からの変形を予想することができる。例えば、製造技術および/または許容誤差の変形を予想することができる。このように、本発明の実施形態は、図示された領域の特定の形状に限定されて構成されるものではなく、形状の変形をも包含するものである。例えば、製造に起因する形状の変形をも包含するものである。
【0039】
特に断らない限り、本明細書において使用されているすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野において当業者が通常的に理解する意味合いと同じ意味合いを有している。また、例えば辞書において通常的に規定されている用語といったような用語が、関連する技術分野における意味合いと一致した意味合いを有しているものと解釈されることは、理解されるであろう。特に断らない限り、用語は、過度に形式的に解釈されるべきものではない。本明細書において言及されたすべての出版物や特許文献や特許や他の参照文献は、参考のためここに組み込まれる。コンフリクトに関しては、定義を含めて本明細書がコントロールされる。加えて、材料や方法や例は、例示のためのものであって、本発明を制限するものではない。
【0040】
図1は、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板1をコーティングするための、本発明による装置の第1実施形態を示す図である。図示された装置は、第1チャンバ10と、第2チャンバ20と、これら第1および第2チャンバ10,20の間に配置されたで雰囲気分離スロット30と、を備えている。第1チャンバ10は、第1真空引きチューブ13を介して第1真空引きポンプ12によって真空引きされており、第1圧力レベルP1に維持されている。第2チャンバ20は、第2真空引きチューブ23を介して第2真空引きポンプ22によって真空引きされており、第2圧力レベルP2に維持されている。第1および第2圧力レベルの間の比率P1/P2は、少なくとも1000である。第1圧力は、例えば、1〜10mbarの範囲に、例えば5mbarに、維持される。第2圧力は、例えば、0.005〜0.05mbarの範囲に、例えば0.01mbarに維持される。
【0041】
およそ10−3〜10−4mbarという真空度は、ルートポンプによって実現することができる。これよりも高度な真空度に関しては、例えば10−6mbarといったような真空度に関しては、ターボ分子ポンプを使用することができる。
【0042】
第1チャンバ10内には、プリント設備40が配置されている。プリント設備40は、フレキシブル基板1上に、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体と、光重合開始剤と、必要に応じて感光剤と、からなる混合物をプリントするために設けられている。さらに、UV放射光源50a,50b,50cを有した硬化設備50が、第1チャンバ10内に配置されている。UV放射光源50a,50b,50cの各々は、Hg球によって形成されており、それぞれが300W/インチというパワーを有している。しかしながら、この目的のためには、UV LEDが、適切である。装置は、さらに、第1チャンバ10に配置されたさらなるプリント設備45とさらなる硬化設備55とを備えている。
【0043】
第2チャンバ20内には、無機物層を成膜するための気相蒸着設備60が配置されている。図示の実施形態においては、気相蒸着設備は、冷却ドラム61と、成膜のために無機材料を蒸発させるための複数の蒸発デバイス62a〜62dと、を備えている。
【0044】
装置は、さらに、連続プロセスにおいて、プリント設備40に沿って、硬化設備50に沿って、雰囲気分離スロット30を通して、さらには、気相蒸着設備60に沿って、フレキシブル基板1を案内するための設備70,72a〜72k,74を備えている。より詳細には、フレキシブル基板1を案内するための設備は、未処理のフレキシブル基板1を備えた巻き戻しローラ70と、加工済みのフレキシブル基板を巻き取るための巻き取りローラ74と、を備えている。第1案内ロール72aは、粘着材料によってカバーされたエンドレステープ80に沿って、基板を案内する。これにより、処理前に基板からダストを除去することができる。案内ロール72b,72c,72dは、プリント設備40および硬化設備50へと基板を案内する。案内ロール72e,72fを介することにより、基板は、さらなるプリント設備45と、さらなる硬化設備55と、に沿って案内される。案内ロール72g,72hにより、基板1は、雰囲気分離スロット30を通して、第2チャンバ20へと、案内される。第2チャンバ20内においては、基板1は、プラズマクリーニングユニット82に沿って案内され、その後、蒸発デバイス62a〜62dに沿って冷却ドラム61上を移送される。その後、基板1は、第2チャンバの外部に位置した第2雰囲気分離スロット32を通して案内され、ロール72kを介して巻き取りロール74へと案内される。他の実施形態においては、巻き取りロールは、第2チャンバ20内に配置することができる。
【0045】
少なくとも1つの有機物層と少なくとも1つの無機物層を成膜するプロセスが繰り返し可能である点に注意されたい。最初に有機物層を成膜しその後に無機物層を成膜することに代えて、無機物層を最初に成膜することもできる。
【0046】
以下においては、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板をコーティングするための、本発明による方法の一例について、説明する。第1ステップにおいては、フレキシブルな材料からなる基板が準備される。基板1のための適切な材料は、例えば、ポリカーボネート(PC)や、ポリエチレンや、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)や、例えばKAPTON(登録商標)といったようなポリイミド、である。他の例は、高温ポリマーであり、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)や、ポリイミドや、Transphan(登録商標)(ドイツ国 Weil am Rhein所在の Lofo High Tech Firm, GMBHから入手可能な高Tgの環式オレフィンポリマー)、である。基板は、好ましくは、25〜500μmという範囲の厚さを有している。25μmよりも薄い基板は、実用的には脆すぎるものであり、500μmよりも厚い基板は、実用的には硬すぎるものである。好ましくは、基板の厚さは、50〜200μmという範囲とされ、例えば100μmとされる。基板の幅は、数十cm〜数mとすることができ、例えば、30cm〜3mという範囲とすることができる。基板は、好ましくはロール状で供給されるものであって、基板の長さは、数百m〜数kmとすることができる。図示の実施形態においては、基板は、巻き戻しローラ70によって供給される。図1Aは、基板が巻き戻しローラ70から巻き戻された際の、基板1の横断面図(図1の中の記号1A)を示している。巻き戻しローラ70からの巻き戻しの後に、そして、テープ80によるクリーニングの後に、基板1は、第1チャンバ10内において、プリント設備40に沿って案内される。なお、巻き戻しローラ70と、テープ80によるクリーニング設備とは、第1チャンバ内に配置することもできる点に注意されたい。
【0047】
プリント設備40は、その構成成分として少なくとも1つの光重合可能前駆体と光重合開始剤とを含有した混合物でもって、層2をプリントする。複数の構成成分からなる混合物は、方法の実行時には、大きくても10mbarという蒸気圧を有している。
【0048】
次のステップにおいては、プリント設備40によってプリントされた層2が、硬化設備50の放射光源50a〜50cからの光放射によって、硬化される。図1Bは、硬化済みの有機物層2を有した基板を示す図である。有機物層は、図1Cに図示されているようにして、パターン化することができる。図1Cは、記号1Cに示す方向から、図1Bの表面の一部を示す図である。有機物層2は、好ましくは、10〜30μmという範囲の厚さを有しており、例えば20μmという厚さを有している。図示の実施形態においては、基板1は、さらなるプリント設備45と、さらなる硬化設備55と、に沿って案内される。これにより、図1Dに示されているように、第1有機物層2上に、第2有機物層3を成膜することができる。
【0049】
表面上に第1有機物層および第2有機物層がコーティングされた基板は、その後、案内ロール72f,72g,72hに沿って、雰囲気分離スロット30を通して、第2チャンバ20へと、案内される。ここで、コーティング基板1の自由表面は、プラズマガン82によって調整される。その後、基板は、冷却されたドラム61上を案内される。そして、少なくとも1つの無機物層4(図1E)が、気相蒸着法によって、コーティング基板の自由表面上に、成膜される。図示の実施形態においては、無機物層4は、プラズマによって増強された化学気相蒸着(PECVD)によって、成膜される。これにより、図1Eに示すような製品が得られる。あるいはこれに代えて、他の蒸着方法を使用することができる。例えば、物理蒸着法(PVD)や、ハイブリッド型物理的化学的蒸着法(HPCVD)や、気相エピタキシー法(VPE)、を使用することができる。
【0050】
この実施形態においては、a−SiNx:H層が、1015mー3の程度の電子密度でもってPECVDプロセスを使用して成膜される。蒸発デバイス62a,...,62dは、シャワーヘッドトップ電極(直径542mm)を備えている。シャワーヘッドトップ電極を通して、反応ガスが第2チャンバへと導入される。第2チャンバは、Pfeiffer ADS 602H ルートポンプを使用して、真空引きされる。ベース圧力は、10−3mbar未満とされる。蒸発デバイスのシャワーヘッドトップ電極と、下部電極として機能する回転ドラム61と、の間の距離は、20mmである。シャワーヘッド電極は、600W、13.56MHzのRF電源を使用して駆動される。これに加えて、500ワット、50kHz〜460kHzのLF電力を、Advanced Energy LF-5電源を使用して、下部電極61に対して印加することができる。成膜時に、パルス的に駆動することができる。バイアス電圧を印加しない場合には、下部電極は、接地される。このことは、基板に向けてのイオン加速のために重要なものとすることができる(プラズマ電位は、常に、ポジティブである)。下部電極は、400℃にまで加熱することができる。
【0051】
例示するならば、a−SiNx:Hは、前駆体体ガスとして、安全性の理由からN2で希釈されたNH3とSiH4(4.75%)との混合ガスを使用して、成膜された。N2は、さらに、プロセスガス混合物を希釈するためにも、また、第2チャンバ20をベントするためにも、使用される。各ガスは、シャワーヘッド電極を通してチャンバ内に導入される前に、予め混合される。典型的なガス流速は、数百sccmの程度である。スロットルバルブを使用することにより、プロセス圧力は、0.1〜1.0mbarの範囲に維持される。標準的な成膜設定の例は、表1に表されている。60Wの場合には、プラズマ領域は、10mW/cm2 であり、パワー密度は、10mW/cm3 である。
【0052】
【表1】
【0053】
一実施形態においては、装置は、2mという幅Wと、2mという高さH1+H2+H3と、を有している。第1チャンバ10は、第1隔室10Aを備えている。第1隔室10Aの中には、プリント設備40,45と、硬化設備50,55と、が配置されている。第1チャンバは、第2隔室10Bを備えており、第2隔室10B内には、巻き戻しローラ70と、巻き取りローラ74と、が配置されている。第1チャンバの第2隔室10Bは、第1チャンバ10の第1隔室10Aと、第2チャンバと、の間に配置されている。コンパクトな構成は、雰囲気分離スロット30が、第2チャンバ20から、第1チャンバ10の第1隔室10Aへと、延在するという点において、得られている。第2雰囲気分離スロット32は、第1雰囲気分離スロット30よりも短いものとすることができる。これは、第2隔室10Bが、第1隔室10Aから部分的に隔離されているためである。第1隔室10Aと第2隔室10Bとは、壁10Cによって分離されている。これにより、巻き戻しローラ70からのフォイル(foil)を脱ガスすることによって、第1隔室10Aの汚染を低減することができる。両隔室がわずかな圧力差しか有していないことのために、両隔室10A,10B間にわたって基板1を通過させるに際して雰囲気分離スロットを設けることは、不要である。基板1を通過させるに際しては、両隔室間に十分な幅のスリットが存在するだけで十分である。さらなるポンプを付設することによって、第2隔室10Bを真空引きすることができる。図示の実施形態においては、冷却ドラム61は、50cmという直径を有しており、第2チャンバ20は、1mという幅と、1mという高さと、を有している。装置の奥行(図面がなす平面に対して直交する向き)は、フレキシブル基板の全幅を受領し得る程度に十分に大きなものであるべきである。第1チャンバ10の第1隔室10Aおよび第2隔室10Bは、50cmという高さH2,H3を有している。第1および第2の真空引きポンプ12,22は、ターボ分子ポンプとされている。基板1は、10cmという距離にわたって硬化され、そのため、1m/minという速度で基板を輸送する場合には、硬化時間は、6sである。より高速で輸送する場合には、硬化距離を、輸送速度に応じて増大させることが望ましい。
【0054】
図2は、少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板1をコーティングするための、本発明による装置の第2実施形態を示す図である。図2に図示された装置においては、プリント設備40(図3においても概略的に図示されている)は、輪転グラビアプリントシステムとされていて、駆動ロールをなすグルーブ付きのアプリケータロール41を備えている。アプリケータローラ41は、基板1に対してプリントされるべき有機物層2のための前駆体を含有した混合物を備えたバス43を通って回転駆動される。図示の実施形態においては、アプリケーターロール41は、時計回りに回転し、基板は、図面がなす平面内において左向きに輸送される。これにより、アプリケーターロール41の表面は、基板1の移動方向に対向して、移動する。ロール76は、基板1をアプリケーターロール41に対して押圧するプレスロールとして機能する。アプリケーターロール41が、一方向に回転するかあるいは両方向に回転するかに応じて、1つまたは複数のドクターブレード42a,42bを設けることができる。これにより、過剰量の混合物を、アプリケーターロール41から、こすり落とすことができる。この実施形態において使用されている雰囲気分離スロット30は、図4において、より詳細に図示されている。また、雰囲気分離スロット30の一部が、図4Aにおいて拡大して図示されている。雰囲気分離スロット30は、基板の移動方向において長さLを有しており、基板の移動方向に対して直交してなおかつ基板がなす平面内において幅を有しており、基板に対して直交する方向において高さxを有している。
【0055】
関連する圧力範囲においては、単位をl/sとしたときの雰囲気分離スロットのモルコンダクタンス(CMol )は、分子流によって決定される。これは、Wutz Handbuch Vakuumtechnik, 9th edition page 119 に記載されている以下の式に基づき、パラメータa,x,L(それぞれの単位はcm)に依存する。
【0056】
【数1】
【0057】
L/xの値が比較的大きい場合には、以下の近似を行うことができる。
【0058】
【数2】
【0059】
典型的な実施形態においては、プラズマ源は、10−2mbarという動作圧力で動作し、許容される相互汚染レベルは、1%未満である。したがって、湿ったコーティングチャンバ10からのリークは、10−4mbar以下にとどめるべきである。湿ったコーティングチャンバ10内の動作圧力がおよそ10−5mbar程度であると予想されることのために、雰囲気分離スロット30は、104 という桁数の圧力低減をもたらすべきである。
【0060】
実際的な実施形態においては、雰囲気分離スロットは、幅が20cmであり、高さが0.03cmであり、長さが27.7cmである。よって、長さLと高さhとの比率は、923であり、100〜5000という範囲内にある。第2チャンバ20内の圧力(Pout)が、上記の関係式[1]に基づいて計算され(calc)、また、第1チャンバ10内のN2ガスの一連の圧力(Pin)に関して測定された(meas)。測定前に、チャンバ20は、まず最初に、第1ポンプ22aによって5×10−6mbarの圧力Poutにまで真空引きされ、そして、実験時には、第2チャンバ20は、2106l/sという一定のポンピング速度を有した第2ポンプ22bによって、真空引きされた。入力圧力Pinは、ペニングセンサによって測定され、出力圧力Poutは、ピラニーセンサによって測定された。
【0061】
【表2】
【0062】
表2に示すように、雰囲気分離スロットを使用することにより、第1チャンバ10からガスに基づく第2チャンバ20内の圧力Poutを、104 以上の桁数で、低減させることができる。また、測定によって、チャンネルを通しての分子流が、上記の関係式[1]によって十分に正確に予測できることが、示された。
【0063】
上記の例においては、第1コーティングを有した基板を無視することが仮定されている。実際には、基板は、有限の厚さを有しており、雰囲気分離スロットの高さxは、使用される基板の厚さに応じて増大させることができる。例えば、フレキシブル基板が0.125mmという厚さを有している場合には、雰囲気分離スロットの高さは、0.425mmとすることができる。したがって、雰囲気分離スロットの高さ(x)は、フレキシブル基板の厚さの3.4倍であり、比率は、1.5〜5という範囲内にある。
【0064】
図2に示す装置の実施形態においては、雰囲気分離スロット30は、真空引きデバイス34に連通する1つまたは複数の真空引きチャネル37を備えている(図4,図4Aを参照されたい)。
【0065】
図2に示す装置の他の実施形態においては、雰囲気分離スロット30は、一対のまたは複数対の円筒形のローラ38A,38B;38C,38Dを備えており(図4Bを参照されたい)、ローラ対の間を、フレキシブル基板1が案内される。
【0066】
図2に示す実施形態においては、装置は、さらに、第1チャンバ10と雰囲気分離スロット30との間に、凝縮チャネル(あるいは、凝集チャネル)36を備えている。凝縮チャネル36は、凝縮チャネル36の内表面36aを冷却するための冷却デバイス36bを有している。第1チャンバからの蒸気を、雰囲気分離スロット30内へと導入される前に、それら内表面36a上で凝縮させることができる。
【0067】
次なる実験においては、以下においてF1およびF2と表記されるような2つの前駆体混合物(組成物)が、1m/minという速度で移動する基板に対して、輪転グラビアによって、プリントされた。この場合、基板は、125μmという厚さを有したPENフォイルとされた。しかしながら、また、例えばPETまたはPCといったような他のポリマーフォイルも適切である。前駆体混合物F1,F2,F3の組成は、重量%を単位として、以下の表に示されている。
【0068】
【表3】
【0069】
前駆体混合物は、成膜前に脱ガスされた。これにより、リザーバへの移送時における、および、プリント時における、はね返りを防止することができる。使用された材料の特性は、以下の表に示されている。すべての混合物は、5mbar未満という蒸気圧を有していた。
【0070】
【表4】
【0071】
得られる乾燥状態でのコーティングの重量が、基板1(あるいは、ウェブ)に対してのアプリケーターロール41の速度比率の関数として、調査された。アプリケーターロールは、基板の輸送方向に対して、対抗する向きで回転駆動された。速度比率は、0〜2.5の間にわたって変化させた。混合物に関して測定された結果が、図5に示されている。混合物F2に関しては、コーティングの重量は、速度比率を0.5からおよそ1.2にまで増大させた際に、およそ15からおよそ18g/m2 へと増加する。速度比率が1.2を超えたところにおいては、乾燥したコーティングの重量は、18g/m2 くらいで実質的に一定となる。混合物F1に関しては、コーティングの重量は、速度比率の関数として、16.5〜18.5g/m2 の間を変化する。
【0072】
プリントして硬化させた後に得られた有機物層2は、上述の各ケースにおいて、18〜20μmという範囲であった。コーティングの品質は、テープ接着テスト、および、クロスカット接着テストによって、検証された。テストの結果は、以下の表に示されている。
【0073】
【表5】
【0074】
すべてのコーティングは、テープ接着テストに合格した。しかしながら、「PEN上にOCP」という第1コーティングだけが、クロスカット接着テストに合格した。アプリケーターロール41がリザーバ43から基板1の表面へと、プリントされるべき混合物を直接的に移送することは、必須ではない。図6に示す代替可能な実施形態においては、プリント混合物は、リザーバ43から、移送ロール44を介して、アプリケーターロール41へと、移送されている。
【0075】
また、他のプリント方法を使用して、有機物層を成膜することができる。例えば、回転スクリーンプリントを使用することができる。回転スクリーンプリントにおいては、図7に示すように、円筒スクリーン45が、定位置で回転駆動され、スキージー46が、スクリーン45の内部に適用される。基板1は、スクリーン45の直下において、スクリーン45と、スチール製のまたはゴム製の押圧ローラ76と、の間において一定速度で搬送される。基板1が回転ユニット45,76を通過する際に、スクリーン45は、基板の移動速度と同じ速度で回転する。
【0076】
スキージー46は、定位置にあり、スキージー46のエッジが、スクリーン45と基板1と押圧ローラ76と集中する正にそのポイントのところで、スクリーン45の内表面に対して接触する。プリントされる混合物47は、スクリーン45の中心内へと自動的に供給され、スキージー46の先端とスクリーン45の内表面とによって形成されたくさび形状の「井戸」の中に収集される。スクリーン45が移動することにより、混合物47のこのビーズが転がるように駆動され、これにより、混合物は、ステンシル開口内へと押し出される。これにより、混合物は、湿しバー(floodbar)を必要とすることなく、スクリーン45を実質的に湿らすことができる。スキージー46は、ステンシルと基板1とが接触した時点で、混合物をこすり取り、これにより、混合物をきれいに基板上へと移送することができる。
【0077】
例えばスロットダイプリントやインクジェットプリントといったような他の様々なプリント手法が適切である。また、例えばスプレーコーティングといったような他の成膜手法が、可能である。しかしながら、スプレーコーティングは、スプレーされる物質を第1隔室10Aの雰囲気内に分散させる傾向があり、このため、蒸気圧を十分に低く維持するためにはポンピング速度を十分に大きなものとする必要があることのために、好ましくない。
【0078】
図8は、本発明による装置の第3実施形態を示している。この実施形態は、基板上に複数対をなす有機物層および無機物層を成膜するのに好適である。
【0079】
図8に示す実施形態は、第1チャンバ10Aと、第2チャンバ20Aと、第3チャンバ10Bと、第4チャンバ20Bと、を備えている。コーティングされるべきフレキシブル基板は、案内設備(図示せず)により、第1チャンバ10Aから、第1雰囲気分離スロット30Aを介して、第2チャンバ20Aへと、案内され、さらに、第2チャンバ20Aから、第2雰囲気分離スロット32Aを介して、第3チャンバ10Bへと、案内され、さらに、第3チャンバ10Bから、第3雰囲気分離スロット30Bを介して、第4チャンバ20Bへと、案内される。第1チャンバ10Aは、フレキシブル基板を供給するための巻き戻しローラ(図示せず)と、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体と光重合開始剤と必要に応じて感光剤とを含有した混合物によってフレキシブル基板をプリントするためのプリント設備(図示せず)と、硬化設備と、を収容している。
【0080】
第2チャンバ20Aは、有機物層を有した基板上に無機物層を成膜するための気相蒸着設備(図示せず)を収容している。第3チャンバ10Bは、有機物層と無機物層を有したフレキシブル基板を、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体と光重合開始剤と必要に応じて感光剤とを含有した混合物によって、プリントするためのプリント設備(図示せず)と、成膜された混合物を硬化させて第2の有機物層を形成するための硬化設備と、を収容している。第4チャンバ20Bは、第2の無機物層を成膜し得るよう、気相蒸着設備(図示せず)を収容している。
【0081】
第1および第3チャンバ10A,10B内のプリント設備および硬化設備は、装置の第1実施形態および第2実施形態に関して上述されたプリント設備および硬化設備と同じものとすることができる。あるいは、異なるものとすることもできる。第2および第4チャンバ20A,20B内の気相蒸着設備は、第1実施形態および第2実施形態に関して上述された気相蒸着設備と同じものとすることができる。あるいはこれに代えて、他の気相蒸着設備を使用することもできる。
【0082】
このようにして、基板上に、第1有機物層と、第1無機物層と、第2有機物層と、第2無機物層と、を形成することができる。
【0083】
上述の説明においては、様々な実施形態において、ある1つのチャンバが第1チャンバとされ、なおかつ、他の1つのチャンバが第2チャンバとされ、そして、少なくとも1つの第1無機物層が、少なくとも1つの第1有機物層上に成膜される。言い換えれば、フレキシブル基板は、第1チャンバ内において成膜設備と硬化設備とに沿って案内され、そして、雰囲気分離スロットを通して案内され、さらに、第2チャンバ内の気相蒸着設備に沿って案内される。しかしながら、これに代えて、ある1つのチャンバを第2チャンバとし、他の1つのチャンバを第1チャンバとすることが、可能である。この場合、フレキシブル基板は、第2チャンバ内の気相蒸着設備に沿って案内され、そして、雰囲気分離スロットを通して案内され、さらに、第1チャンバ内の成膜設備および硬化設備に沿って案内される。この場合には、少なくとも1つの第1有機物層が、少なくとも1つの第1無機物層上に成膜される。
【0084】
図8を参照して上述したように、本発明による様々な装置は、互いに接続することができ、必要であれば、雰囲気分離スロットを介して隔離することができる。機能を有した層を成膜するための追加的な成膜装置を設けることができる。例えば、図8に示される一連の構成において、基板上に第1バリア構造を成膜することができる。このようにして得られたバリア構造付きの基板は、その後、必要であれば雰囲気分離スロットを通して、1つまたは複数の機能的な層を成膜するためのさらなる装置へと、案内される。そして、第1バリア構造と機能的な層とを有した基板は、必要であれば雰囲気分離スロットを通して、第2バリア構造を成膜するためのさらなる装置へと、案内される。ここで、第1バリア構造および第2バリア構造は、互いに協働することにより、機能的な層を封止するように作用する。成膜されたデバイスは、例えば、有機LEDや、(有機的な)光電池や、光電デバイスや、バッテリー、である。
【0085】
本発明に関して、様々な図面を参照して詳細に上述したけれども、そのような例示や説明は、例示のためのものに過ぎず、本発明を制限するものではない。本発明は、例示された実施形態に限定されるものではない。
【0086】
当業者であれば、添付図面や上記の説明や特許請求の範囲の記載に基づき、本発明の実施に際して、上記実施形態に対して様々な変形が可能であることを、理解されるであろう。特許請求の範囲においては、「備える」という用語は、他の構成部材または他のステップを除外するものではない。そして、不定冠詞「a」または「an」は、複数の構成部材を除外するものではない。単一のプロセッサまたは他のユニットは、特許請求の範囲に記載された複数の構成部材の機能を実施することができる。各手段が互いに異なる請求項に記載されているからといって、これら手段どうしの組合せが有効でないことを意味するわけではない。特許請求の範囲における参照符号は、発明の範囲を制限するものではない。
【符号の説明】
【0087】
1 フレキシブル基板
2 第1有機物層
4 第1無機物層
10 第1チャンバ
20 第2チャンバ
30 雰囲気分離スロット
36 凝縮チャネル
37 真空引きチャネル
40 成膜設備
50 硬化設備
60 気相蒸着設備
70 案内設備
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1有機物層(2)と第1無機物層(4)とによってフレキシブル基板(1)をコーティングするための装置であって、
−第1チャンバ(10)および第2チャンバ(20)と、
−前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間に配置された雰囲気分離スロット(30)と、
−前記第1チャンバ(10)内に配置され、硬化可能な混合物を成膜するための成膜設備(40)であるとともに、前記硬化可能な混合物が、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークと、重合開始剤と、を含有している、成膜設備(40)と、
−前記第1チャンバ(10)内に配置され、成膜された前記混合物を硬化させることにより、前記第1有機物層(2)を形成するための硬化設備(50)と、
−前記第2チャンバ(20)内に配置され、前記第1無機物層(4)を成膜するための気相蒸着設備(60)と、
−前記フレキシブル基板(1)を、前記第1チャンバ(10)および前記第2チャンバ(20)の一方から、前記雰囲気分離スロット(30)を経由して、前記第1チャンバ(10)および前記第2チャンバ(20)の他方へと、案内するための案内設備(70)と、
を具備し、
前記雰囲気分離スロットの長さ(L)を前記雰囲気分離スロットの高さ(x)で割算した値(L/x)が、100〜5000という範囲内にあることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記一方のチャンバが、前記第1チャンバとされ、
前記他方のチャンバが、前記第2チャンバとされ、
前記第1無機物層が、前記第1有機物層上に成膜されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記一方のチャンバが、前記第2チャンバとされ、
前記他方のチャンバが、前記第1チャンバとされ、
前記第1有機物層が、前記第1無機物層上に成膜されることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記成膜設備(40)が、プリント設備とされていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
前記プリント設備(40)が、コンタクト型のプリント設備であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記雰囲気分離スロット(30)が、真空引きデバイスに連通した1つまたは複数の真空引きチャネル(37)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1記載の装置において、
さらに、前記第1チャンバ(10)と前記雰囲気分離スロット(30)との間に配置された凝縮チャネル(36)を具備していることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、
前記雰囲気分離スロット(30)が、前記フレキシブル基板(1)を案内するための一対のまたは複数対の円筒形ローラ(38A,38B;38C,38D)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1記載の装置において、
前記雰囲気分離スロットの前記高さ(x)が、前記フレキシブル基板の厚さの1.5〜5倍という範囲であることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、
前記雰囲気分離スロットの前記長さ(L)を前記雰囲気分離スロットの前記高さ(x)で割算した前記値(L/x)が、100〜5000という範囲内にあることを特徴とする装置。
【請求項11】
少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板をコーティングするためのコーティング方法であって、
−フレキシブルな材料から前記フレキシブル基板を形成し、
−前記フレキシブル基板を、第1チャンバと第2チャンバとの一方を通して案内し、
−前記フレキシブル基板を、雰囲気分離スロットを経由させて、前記第1チャンバと前記第2チャンバとの他方を通して案内し、ここで、前記雰囲気分離スロットの長さ(L)を前記雰囲気分離スロットの高さ(x)で割算した値(L/x)を、100〜5000という範囲内とし、
−前記第1チャンバ内において、前記フレキシブル基板上に、硬化可能な混合物からなる層をプリントし、ここで、前記硬化可能な混合物を、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークと、重合開始剤と、を含有したものとし、
−前記第1チャンバ内において、前記プリントされた層を硬化させることによって、前記第1有機物層を形成し、
−前記第2チャンバ内において、前記第1有機物層を有した前記フレキシブル基板の表面上に、気相蒸着法によって前記第1無機物層を成膜する、
ことを特徴とするコーティング方法。
【請求項12】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記一方のチャンバを、前記第1チャンバとし、
前記他方のチャンバを、前記第2チャンバとし、
前記第1無機物層が、前記第1有機物層上に成膜することを特徴とするコーティング方法。
【請求項13】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記一方のチャンバを、前記第2チャンバとし、
前記他方のチャンバを、前記第1チャンバとし、
前記第1有機物層を、前記第1無機物層上に成膜することを特徴とするコーティング方法。
【請求項14】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記混合物を、前記コーティング方法の実行時に、大きくても10mbarという蒸気圧を有したものとすることを特徴とするコーティング方法。
【請求項15】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記混合物を、前記コーティング方法の実行時に、大きくても10000のmPa.sという粘度を有したものとすることを特徴とするコーティング方法。
【請求項16】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記硬化可能な混合物を、光硬化性組成物を含有したものとし、
前記光硬化性組成物を、限定しないものの、
(a)カチオン的に硬化可能な組成物と、カチオン性光重合開始剤、および/または、
(b)ラジカル的に硬化可能な組成物と、フリーラジカル性光重合開始剤、
を有したものとし、
前記硬化可能な混合物の硬化ステップを、光硬化によって、または、電子ビーム硬化によって、行うことを特徴とするコーティング方法。
【請求項17】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記混合物を、粒子を含有したものとすることを特徴とするコーティング方法。
【請求項18】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記第1チャンバの圧力を、1〜10mbarという範囲とすることを特徴とするコーティング方法。
【請求項1】
少なくとも第1有機物層(2)と第1無機物層(4)とによってフレキシブル基板(1)をコーティングするための装置であって、
−第1チャンバ(10)および第2チャンバ(20)と、
−前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間に配置された雰囲気分離スロット(30)と、
−前記第1チャンバ(10)内に配置され、硬化可能な混合物を成膜するための成膜設備(40)であるとともに、前記硬化可能な混合物が、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークと、重合開始剤と、を含有している、成膜設備(40)と、
−前記第1チャンバ(10)内に配置され、成膜された前記混合物を硬化させることにより、前記第1有機物層(2)を形成するための硬化設備(50)と、
−前記第2チャンバ(20)内に配置され、前記第1無機物層(4)を成膜するための気相蒸着設備(60)と、
−前記フレキシブル基板(1)を、前記第1チャンバ(10)および前記第2チャンバ(20)の一方から、前記雰囲気分離スロット(30)を経由して、前記第1チャンバ(10)および前記第2チャンバ(20)の他方へと、案内するための案内設備(70)と、
を具備し、
前記雰囲気分離スロットの長さ(L)を前記雰囲気分離スロットの高さ(x)で割算した値(L/x)が、100〜5000という範囲内にあることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記一方のチャンバが、前記第1チャンバとされ、
前記他方のチャンバが、前記第2チャンバとされ、
前記第1無機物層が、前記第1有機物層上に成膜されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記一方のチャンバが、前記第2チャンバとされ、
前記他方のチャンバが、前記第1チャンバとされ、
前記第1有機物層が、前記第1無機物層上に成膜されることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記成膜設備(40)が、プリント設備とされていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
前記プリント設備(40)が、コンタクト型のプリント設備であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記雰囲気分離スロット(30)が、真空引きデバイスに連通した1つまたは複数の真空引きチャネル(37)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1記載の装置において、
さらに、前記第1チャンバ(10)と前記雰囲気分離スロット(30)との間に配置された凝縮チャネル(36)を具備していることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、
前記雰囲気分離スロット(30)が、前記フレキシブル基板(1)を案内するための一対のまたは複数対の円筒形ローラ(38A,38B;38C,38D)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1記載の装置において、
前記雰囲気分離スロットの前記高さ(x)が、前記フレキシブル基板の厚さの1.5〜5倍という範囲であることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、
前記雰囲気分離スロットの前記長さ(L)を前記雰囲気分離スロットの前記高さ(x)で割算した前記値(L/x)が、100〜5000という範囲内にあることを特徴とする装置。
【請求項11】
少なくとも第1有機物層と第1無機物層とによってフレキシブル基板をコーティングするためのコーティング方法であって、
−フレキシブルな材料から前記フレキシブル基板を形成し、
−前記フレキシブル基板を、第1チャンバと第2チャンバとの一方を通して案内し、
−前記フレキシブル基板を、雰囲気分離スロットを経由させて、前記第1チャンバと前記第2チャンバとの他方を通して案内し、ここで、前記雰囲気分離スロットの長さ(L)を前記雰囲気分離スロットの高さ(x)で割算した値(L/x)を、100〜5000という範囲内とし、
−前記第1チャンバ内において、前記フレキシブル基板上に、硬化可能な混合物からなる層をプリントし、ここで、前記硬化可能な混合物を、ポリマーのための少なくとも1つの前駆体またはオリゴマーまたはポリマーネットワークと、重合開始剤と、を含有したものとし、
−前記第1チャンバ内において、前記プリントされた層を硬化させることによって、前記第1有機物層を形成し、
−前記第2チャンバ内において、前記第1有機物層を有した前記フレキシブル基板の表面上に、気相蒸着法によって前記第1無機物層を成膜する、
ことを特徴とするコーティング方法。
【請求項12】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記一方のチャンバを、前記第1チャンバとし、
前記他方のチャンバを、前記第2チャンバとし、
前記第1無機物層が、前記第1有機物層上に成膜することを特徴とするコーティング方法。
【請求項13】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記一方のチャンバを、前記第2チャンバとし、
前記他方のチャンバを、前記第1チャンバとし、
前記第1有機物層を、前記第1無機物層上に成膜することを特徴とするコーティング方法。
【請求項14】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記混合物を、前記コーティング方法の実行時に、大きくても10mbarという蒸気圧を有したものとすることを特徴とするコーティング方法。
【請求項15】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記混合物を、前記コーティング方法の実行時に、大きくても10000のmPa.sという粘度を有したものとすることを特徴とするコーティング方法。
【請求項16】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記硬化可能な混合物を、光硬化性組成物を含有したものとし、
前記光硬化性組成物を、限定しないものの、
(a)カチオン的に硬化可能な組成物と、カチオン性光重合開始剤、および/または、
(b)ラジカル的に硬化可能な組成物と、フリーラジカル性光重合開始剤、
を有したものとし、
前記硬化可能な混合物の硬化ステップを、光硬化によって、または、電子ビーム硬化によって、行うことを特徴とするコーティング方法。
【請求項17】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記混合物を、粒子を含有したものとすることを特徴とするコーティング方法。
【請求項18】
請求項11記載のコーティング方法において、
前記第1チャンバの圧力を、1〜10mbarという範囲とすることを特徴とするコーティング方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1】
【図2】
【図5】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1】
【図2】
【図5】
【公表番号】特表2013−503972(P2013−503972A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527840(P2012−527840)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050560
【国際公開番号】WO2011/028119
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(511095850)ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト−ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオー (16)
【出願人】(512057220)ハンツマン・アドヴァンスト・マテリアルズ・(スウィツァーランド)・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050560
【国際公開番号】WO2011/028119
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(511095850)ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト−ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオー (16)
【出願人】(512057220)ハンツマン・アドヴァンスト・マテリアルズ・(スウィツァーランド)・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】
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