システム操作者支援のための支援制御装置を備えたシステム、制御操作支援装置、制御操作支援方法、運転操作支援装置、及び運転操作支援方法
走行目標経路生成回路が、制御対象物の現在位置から制御対象物が将来走行することができる走行目標経路を算出し、理想制御信号算出回路が、走行目標経路Pに沿って走行するための制御プロフィールS’を算出し、差異算出回路が、理想制御の大きさS’と制御の現在の大きさS’との差異δを算出する。そして、制御システム支援制御装置は、算出された差異δの大きさに基づいて制御システムを制御することにより、操作者の制御操作を支援する。これにより、理想的な制御状態、操作者の制御操作状態、環境状態及び要求される操作精度からの差異δの大きさの関数である制御操作の支援を運転者に提供することができるので、操作者、環境及び制御対象物を特徴づける諸条件に適した制御操作支援制御を出力することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象物に対する操作者の制御操作を支援する制御操作支援装置及び制御操作支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特開平9−156528号公報に開示されているように、車両の進行方向方位角と車両が走行している道路の接線方向方位角とを検出し、検出された進行方向方位角と接線方向方位角の偏差が減少する向きに操舵トルクを発生させることにより、道路から車両が逸脱しない方向に操舵力を発生させる車両操作支援装置が知られている。
【0003】
従来の車両操作支援装置は、運転者の車両操作の状態や車両周囲の環境を考慮せず、制御点における進行方向方位角と接線方向方位角の偏差のみに基づいて操舵制御を出力する構成になっている。このため、従来の車両操作支援装置によれば、運転者の車両操作の状態(運転意図)や車両周囲の環境に適していない操舵制御が出力されることにより、運転者が操舵制御に対し違和感や煩わしさを感じることがあった。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、システムの操作者を支援する支援制御装置が設けられたシステムであって、システムの操作状態に関する情報を検出するシステム状態検出部と、少なくとも前記システム状態検出部により検出されたシステム状態に依存して、前記システムの理想状態を生成する理想状態生成部と、前記理想状態生成部により生成された理想状態に沿って動作するように、前記システムに対する理想入力を算出する理想入力算出部と、操作者の制御動作を前記システムに対する制御信号に変換するシステム入力インターフェースと、前記理想入力算出部により算出された理想入力と前記システムに対して前記システム入力インターフェースが提供する実際の制御信号との差異を算出する差異算出部と、を備え、前記システム入力インターフェースは前記支援制御装置を備え、前記支援制御装置は、前記システムの動作において操作者を支援するように、前記差異算出部により算出された差異に依存して、操作者の制御動作を前記システムに対する制御信号に変換することに関連する少なくとも一つの変換パラメータを定める。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、制御対象物の制御のための、マニピュレータに対する操作者の制御操作を支援する制御操作支援装置は、前記制御対象物の状態に関する情報を検出する制御対象物状態検出部と、前記マニピュレータの状態に関する情報を検出するマニピュレータ状態検出部と、前記制御対象物の周囲の制御操作環境の状態に関する情報を検出する環境状態検出部と、前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態と前記環境状態検出部により検出された環境状態とに関する情報から、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスを生成する理想相互作用生成部と、前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、マニピュレータに対する理想インピーダンスを生成する理想マニピュレータインピーダンス生成部と、前記理想マニピュレータインピーダンス生成部により生成された理想マニピュレータインピーダンスに基づいてマニピュレータのインピーダンスを制御することにより、制御対象物と環境との間に所望の相互作用ダイナミックスを生成するマニピュレータインピーダンス制御装置支援システムと、前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、理想マニピュレータ制御信号を生成する理想マニピュレータ制御信号生成部と、前記理想マニピュレータ制御信号生成部により生成された理想マニピュレータ制御信号と前記マニピュレータ状態検出部により検出されたマニピュレータの状態との間の差異を算出するマニピュレータ制御信号差異算出部と、前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、制御対象物の制御操作に要求される精度を推定する操作精度推定部と、前記操作精度推定部により推定された要求精度から、制御差異インピーダンスを生成する制御差異インピーダンス生成部と、前記マニピュレータ制御信号差異算出部により算出された差異の大きさと前記制御差異インピーダンス生成部により算出された差異インピーダンスとに基づいて、アクチュエータにより生成される付加トルクを制御することにより、マニピュレータに対する操作者の制御操作を支援して、要求される操作精度を達成するアクチュエータトルク制御装置支援システムと、を備える。
【0006】
本発明の第3の態様によれば、車両操作状態に関する情報と車両操作環境に関する情報とから操作対象物に対する理想制御経路が生成され、操作対象物が生成された理想制御経路に沿って動作するように、制御システムの制御履歴が理想制御信号として算出され、算出された理想制御信号と車両操作状態に関する情報との差異が算出され、算出された差異の大きさに基づいて操作システムが制御されることにより、操作システムに対する操作者の操作が支援され、車両操作状態に関する情報及び/又は車両操作環境に関する情報から、操作対象物の車両操作に要求される正確さが推定され、そして、推定された正確さが高くなることに応じて操作システムの制御レベルが上げられる。
【0007】
本発明の第1の態様のシステム状態検出部は、本発明の第2の態様の制御対象物状態検出部、マニピュレータ状態検出部及び環境状態検出部と、本発明の第3の態様の環境状態検出部とに対応する。
【0008】
本発明の第1の態様の理想状態生成部は、本発明の第2の態様の理想相互作用生成部と、本発明の第3の態様の理想制御経路生成部とに対応する。
【0009】
本発明の第1の態様の支援制御装置は、本発明の第2の態様のアクチュエータトルク制御装置支援システムと、本発明の第3の態様の操作システム支援制御装置とに対応する。
【0010】
本発明の第1の態様の理想入力算出部は、本発明の第2の態様の理想マニピュレータインピーダンス生成部と、本発明の第3の態様の理想制御信号算出部とに対応する。
【0011】
本発明の第1の態様のシステム入力インターフェース部は、本発明の第2の態様のマニピュレータインピーダンス制御装置支援システム及び理想マニピュレータ制御信号生成部と、本発明の第3の態様の理想制御信号算出部とに対応する。
【0012】
本発明の第1の態様の差異算出部は、本発明の第2の態様のマニピュレータ制御信号差異算出部と、本発明の第3の態様の差異算出部とに対応する。
【0013】
本発明の第2の態様の操作精度推定部は、本発明の第3の態様の操作システム支援制御装置に対応する。
【0014】
本発明の第2の態様の制御差異インピーダンス生成部は、本発明の第3の態様の操作精度推定部に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る制御操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明に係る車両操作支援装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4に示すステップS1における、環境内での車両の位置と向きを検出する処理の説明図である。
【図6】図6は、図4に示すステップS2における、車両が直線路を走行している場合における走行目標点の生成処理の説明図である。
【図7】図7は、図4に示すステップS2における、車両が曲線路を走行している場合における走行目標点の生成処理の説明図である。
【図8】図8は、車両が走行している道路の道幅と操舵操作に求められる正確さとの関係の一例を示すグラフである。
【図9】図9は、図4に示すステップS8の処理に用いられるトルク出力則の一例を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、図11に示すステップS15における、車両の走行目標経路の生成処理の説明図である。
【図13】図13は、運転者の運転負荷と操舵操作に求められる正確さとの関係の一例を示すグラフである。
【図14】図14は、図11に示すステップS15における、車両の走行目標経路の生成処理の変形例の説明図である。
【図15】図15は、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図16】図16は、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】図17(a)、(b)、(c)は、それぞれ、操舵操作に求められる正確さと、車両周囲の照度、天候、及び車両の走行時間帯との関係の一例を示すグラフである。
【図18】図18は、操舵操作に求められる正確さと走行目標経路を生成する際に設定する走行目標点の数との関係の一例を示すグラフである。
【図19】図19は、本発明の第4の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図20】図20は、本発明の第4の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】図21は、図20に示すステップS44における、走行目標点の生成および補正処理の説明図である。
【図22】図22は、図20に示すステップS50の処理において用いられるトルク出力則の一例を示すグラフである。
【図23】図23は、運転者の運転技量と図21に示す距離L0との関係の一例を示すグラフである。
【図24】図24は、本発明の第5の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図25】図25は、本発明の第5の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】図26は、図25に示すステップS71の処理において用いられるトルク出力則の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る制御操作支援装置システムは、制御対象物の制御のための操作者の制御操作を支援する。図1に示すように、本発明に係る制御操作支援装置は、環境状態検出部101、制御対象物状態検出部102、理想相互作用生成部103、理想マニピュレータ制御信号生成部104、操作精度推定部105、理想マニピュレータインピーダンス生成部106、マニピュレータ制御信号差分算出部107、制御差分インピーダンス生成部108、アクチュエータトルク制御装置支援システム109、マニピュレータインピーダンス制御装置支援システム110、アクチュエータ111、マニピュレータ112、及びマニピュレータ状態検出部113を備える。
【0017】
環境状態検出部101は、制御対象物114の周囲の制御操作環境の状態についての情報を検出する。制御対象物状態検出部102は、制御対象物114の状態についての情報を検出する。理想相互作用生成部103は、制御対象物状態検出部102により検出された制御対象物114の状態と、環境状態検出部101により検出された環境状態との情報から、制御対象物114と環境との間の理想相互作用ダイナミックスを生成する。
【0018】
理想マニピュレータ制御信号生成部104は、理想相互作用生成部103により生成された制御対象物114と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、理想マニピュレータ制御信号を生成する。操作精度推定部105は、理想相互作用生成部103により生成された制御対象物114と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、制御対象物114の制御操作に必要な精度を推定する。
【0019】
理想マニピュレータインピーダンス生成部106は、理想相互作用生成部103により生成された制御対象物114と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、マニピュレータ112のための理想インピーダンスを生成する。マニピュレータ制御信号差分算出部107は、理想マニピュレータ制御信号生成部により生成された理想マニピュレータ制御信号とマニピュレータ状態検出部113により検出されたマニピュレータ112の状態との間の差分を算出する。
【0020】
制御差分インピーダンス生成部108は、操作精度推定部105により推定された要求精度から、制御差分インピーダンスを生成する。アクチュエータトルク制御装置支援システム109は、マニピュレータ制御信号差分算出部107により算出された差分の大きさと制御差分インピーダンス生成部108により算出された差分インピーダンスとに基づいて、アクチュエータ111により生み出された付加トルクを制御し、これにより、マニピュレータ112に対する操作者の制御操作を支援し、要求操作精度を達成する。
【0021】
マニピュレータインピーダンス制御装置支援システム110は、理想マニピュレータインピーダンス生成部106により生成された理想マニピュレータインピーダンスに基づいてマニピュレータ112のインピーダンスを制御して、これにより、制御対象物114と環境との間に、所望の相互作用ダイナミックスを生成する。
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の第1乃至第5の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。以下に示す実施形態においては、操作者が操作する制御対象物として車両を想定している。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されることはなく、長距離無人車両制御(航空又は宇宙無人機)、(距離的又は大きさ的な)遠隔操作手術、航空飛行シュミレーション、工場労働者/ダンサー/スポーツ選手、及び(距離的又は大きさ的に)(超小型の)組立作業など、人間が制御に関与する操作制御対象物の全般に適用することができる。
【0023】
本発明が無人車両制御に適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、遠隔操作支援装置、遠隔操作者、遠隔制御車両、マニピュレータ出力信号、制御入力プロフィール、遠隔制御車両の理想三次元軌道、操縦桿アクチュエータ、道路条件(気象条件、静的及び動的対象物の場所)、及び静的又は動的対象物(制限地域、通信時間遅延)に対するTTCに対応する。
【0024】
本発明が遠隔操作手術に適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、手術支援装置、外科医、ロボット手術装置、マニピュレータ出力信号、マニピュレータ出力プロフィール、遠隔制御手術装置の理想配置及び発揮力、触感手袋アクチュエータ、損傷しやすい組織の場所(把持部が移動する流体の物性、施術が必要な組織の場所)、及び静的又は動的対象物(制限地域、通信時間遅延)に対するTTCに対応する。
【0025】
本発明が航空飛行シュミレーションに適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、航空機飛行支援装置、パイロット、航空機/ヘリコプタ、操縦桿信号、操縦桿出力プロフィール、航空機の理想三次元軌道、操縦桿アクチュエータ、地面及び飛行禁止地域までの距離(着陸地点の場所と方位、他の飛行機までの距離)、及び静的又は動的対象物(制限地域)に対するTTCに対応する。
【0026】
本発明が工場労働者/ダンサー/スポーツ選手に適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、身体運動支援装置(触感スーツ)、工場労働者/ダンサー/スポーツ選手、人体、身体運動制御信号(身体への圧力、四肢トルク、及び位置制御信号)、身体運動プロフィール、四肢による理想発揮力又は理想四肢運動経路(制限的だが別個であるおのおのの剛体)、触感スーツ又は身体運動支持スーツ(圧力とアクチュエータ)、対象物の場所(かかる対象物の物性、四肢の運動を良好に行うために必要な筋肉活動プロフィール、要操作対象物との接触力)、及び静的又は動的対象物(制限地域、通信時間遅延)に対するTTCに対応する。
【0027】
本発明が(超小型の)組立作業に適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、組立作業支援装置、組立工、遠隔制御把持部、マニピュレータ出力信号、マニピュレータ出力プロフィール、遠隔制御把持具の理想配置及び発揮力、触感手袋アクチュエータ(触感マスタ)、対象物の場所(かかる対象物の物性、要操作対象物のと接触力)、及び静的又は動的対象物(制限地域、通信時間遅延)に対するTTCに対応する。
【0028】
第1の実施形態
始めに、図2乃至図9を参照して、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0029】
車両操作支援装置の構成
本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置1は、制御対象物としての車両に搭載され、図2に示すように、車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、走行目標点生成回路4、理想操舵信号算出回路5、差異算出回路6、操作精度推定回路7、及び操舵系補助制御装置8を主な構成要素として備える。
【0030】
車両操作状態検出装置2は、図3に示す本発明に係る車両操作状態検出手段11に対応する。車両操作状態検出装置2は、GPS(Global Positioning System)、速度センサ、地磁気センサ、加速度センサ、及び操舵角センサ等の各種センサを備え、車両の位置、速度、進行方向角、加速度、及び操舵角を検出する。
【0031】
環境状態検出装置3は、図3に示す本発明に係る環境状態検出手段12に対応する。環境状態検出装置3は、車両の前部及び側部に配置された撮像装置、レーザレーダ、超音波センサ、ナビゲーション装置、粗さセンサ等を備え、車両周囲に存在する障害物、車両が走行している道路の曲率プロフィール、車線幅、及び粗さ、車両に隣接する移動体を検出する。
【0032】
走行目標点生成回路4、理想操舵信号算出回路5、差異算出回路6、及び操作精度推定回路7は、それぞれ、図3に示す本発明に係る理想制御経路生成手段13、理想制御信号算出手段14、差異算出手段15、及び操作精度推定手段16に対応する。これらの回路の機能(動作)は、車両に搭載されたマイクロコンピュータが制御プログラムを実行することにより実現される。各回路の機能については後述する。
【0033】
操舵系補助制御装置8は、図3に示す本発明に係る操作系補助制御部17に対応する。操舵系補助制御装置8は、車両のステアリングに配置された公知の電動パワーステアリング機構やパワーアシスト機構により構成され、詳しくは後述するが、運転者の操舵操作を支援する制御を実行する。
【0034】
このような構成を有する車両操作支援装置1は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図4に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置1の動作について説明する。
【0035】
車両操作支援制御処理
図4に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられると開始され、車両操作支援制御処理はステップS1の処理に進む。この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0036】
ステップS1の処理では、環境状態検出装置3が、車両が走行している走行車線内における車両の位置を検出する。具体的には、環境状態検出装置3は、車両側方に配置された撮像装置により撮影された車両側方方向の映像からエッジ画像を抽出することにより、車両の走行車線の左右のレーンマーカーLL、LR(図5参照)を抽出する。そして、環境状態検出装置3は、抽出された左右のレーンマーカーLL、LRから走行車線の中心線LC(図5参照)を算出し、これにより、算出された中心線LCと車両Aの走行位置P0との間の水平方向距離ln(図5参照)を算出する。これにより、ステップS1の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS2の処理に進む。
【0037】
ステップS2の処理では、走行目標点生成回路4が、車両の現在位置から、車両が将来通過すべき走行目標点を算出する。具体的には、走行目標点生成回路4は、環境状態検出装置3を介して車両前方方向の映像を取得し、取得した映像からエッジ画像を抽出することにより、走行車線の中心線LCの線形(曲率R)を検出する。そして、走行目標点生成回路4は、検出された線形についての情報に基づいて走行目標点を設定する。本実施形態では、走行目標点生成回路4は、車両が直線路を走行している時と曲線路を走行している時とで走行目標点の設定方法を変更する。
【0038】
すなわち、車両が直線路を走行している場合には、走行目標点生成回路4は、図6に示すように、車両Aの現在位置P0からH[m]前方の位置を走行目標点Pに設定する。一方、車両が曲線路を走行している場合には、走行目標点生成回路4は、図7に示すように、車両Aの現在位置P0を通る曲線路内側のレーンマーカー(図7に示す例では右のレーンマーカーLR)等の車線境界に対する接線LPを算出し、算出された接線LPが走行車線の中心線LCと交差する点を走行目標点Pに設定する。これにより、ステップS2の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS3の処理に進む。
【0039】
ステップS3の処理では、理想操舵信号算出回路5が、ステップS2の処理により算出された走行目標点Pに到達するための理想操舵角S’を算出する。具体的には、理想操舵信号算出回路5は、車両の現在位置P0と走行目標点Pとを結ぶベクトルと車両の進行方向とがなす角度をυとした時に理想操舵角S’の値を2・G・υ・(v/L)(vは車速、Gは車両の操舵ゲインを示す)とする運転者モデルに対して、車両操作状態検出装置2及び環境状態検出装置3により検出された情報を入力することにより、ステップS2の処理により算出された走行目標点Pに到達するための理想操舵角S’を算出する。これにより、ステップS3の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS4の処理に進む。
【0040】
ステップS4の処理では、車両操作状態検出装置2が、車両の現在の操舵角Sを検出する。これにより、ステップS4の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS5の処理に進む。
【0041】
ステップS5の処理では、差異算出回路6が、ステップS3の処理により算出された理想操舵角S’とステップS4の処理により検出された車両の現在の操舵角Sとの差異δ(=S’−S)を算出する。これにより、ステップS5の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS6の処理に進む。
【0042】
ステップS6の処理では、操作精度推定回路7が、環境状態検出装置3により検出された車両周囲の運転環境の状態において要求される操舵操作の正確さ「a」を推定する。一般に、走行路の道幅が狭い時、走行路が混雑している時、車両が曲線路に進入する時、走行路の表面粗さが低い時等の走行シーンでは、操舵操作に正確さが要求される。一方、車両が長い直線路や高速道路を走行している時等の走行シーンでは、操舵操作に要求される正確さは低くなる。そこで本実施形態では、操作精度推定回路7は、走行シーンと操舵の正確さとの対応関係を示すマップを予め保持し、このマップを参照し、これにより、要求される操舵操作の正確さを推定する。具体的には、操作精度推定回路7は、図8に示すような、車両が走行している道路の道幅と要求される操舵操作の正確さとの対応関係を示すマップを予め保持し、環境状態検出装置3により検出された走行路の道幅に対応する操舵操作の正確さをマップから読み出すことにより、要求される操舵操作の正確さを推定する。これにより、ステップS6の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS7の処理に進む。
【0043】
ステップS7の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS1の処理により検出された、車両の走行車線の中心線LCと車両Aの走行位置との間の水平方向距離lnと、ステップS5の処理により算出された、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δと、及びステップS6の処理により推定された操舵の正確さ「a」とに基づいて、後述のステップS8の処理に用いるトルク出力則を変更する。本実施形態では、トルク出力則は、図9に実線L1で示すように、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δの大きさに比例した大きさのトルクを生成するパワーアシスト機構における出力則であり、トルクTは、比例定数をKとすると、T=K×δと表される。
【0044】
また、比例定数Kは、横方向距離lnと操舵操作の正確さ「a」との関数であり、例えば、数式:K=F(ln,a)=|ln|×a×K0により表される。すなわち、生成されるトルクは水平方向距離lnと操舵の正確さ「a」の大きさに応じて変更される。具体的には、水平方向距離ln及び操舵の正確さ「a」が大きくなるのに従って比例定数Kが大きくなり、トルク出力則は図9に点線L2で示すように変更される。一方、水平方向距離lnと操舵操作の正確さ「a」が小さくなるのに従って比例定数Kは小さくなり、トルク出力則は図9に点線L3で示すように変更される。これにより、ステップS7の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS8の処理に進む。
【0045】
ステップS8の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。第1の実施形態では、操舵系補助制御装置8は、操舵力を発生する機構として電動モータを有し、ステップS7の処理により設定されたトルク出力則に従ってモータ制御を実施する。この結果、運転者は操舵輪に付与された操舵トルクを操舵輪を介して体感することになる。なお、本実施形態では、トルク出力則として記述された、運転者の操舵操作に対する反発力が制御される。しかし、逆に運転者の非操作に対する誘導力を制御するようにしても良い。これにより、ステップS8の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0046】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置1によれば、走行目標点生成回路4が、車両の現在位置から車両が将来通過すべき走行目標点を算出し、理想操舵信号算出回路5が、走行目標点Pに到達するための理想操舵角S’を算出し、差異算出回路6が、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δを算出する。そして、操舵系補助制御装置8は、算出された差異δの大きさに基づいて操舵系を制御することにより、運転者の車両操作を支援する。そして、このような構成によれば、理想的な運転状態からの差異δの大きさに応じた操舵操作の支援を運転者に提供することが可能であるので、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力することができる。
【0047】
また、従来の車両操作支援装置は、車両操作支援を運転者に提供してから運転者が制御行動を起こすまでの時間遅れを取り戻すために支援制御量を増幅させた結果、発散傾向のシステムが生成されることがある。しかしながら、本発明の第1の実施形態の運転支援装置1によれば、上述のように、操舵系補助制御装置8が、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δの大きさに基づいて操舵系を制御するので、従来の車両操作支援装置とは異なり、本発明は、発散傾向のシステムになることを抑制することができる。
【0048】
また、本発明の第1の実施形態の車両操作支援装置1によれば、操作精度推定回路7が、環境状態検出装置3により検出された、車両の周囲の運転環境の状態において必要とされる操舵操作の正確さ「a」を推定し、操舵系補助制御装置8が、推定された操舵操作の正確さ「a」が高いほど操舵系の制御レベルを上げる。これにより、現在の運転環境における操舵操作の要求精度に合致した車両操作支援を運転者に提供することができる。
【0049】
また、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置1によれば、理想操舵信号算出回路5は、車両の現在位置P0と走行目標点Pとを結ぶベクトルと車両の進行方向とがなす角度をυとした時に理想操舵角S’の値を2・G・υ・(v/L)(vは車速、Gは車両の操舵ゲインを示す)とする運転者モデルに対して、車両操作状態検出装置2及び環境状態検出装置3により検出された情報を入力することにより、理想操舵角S’を算出する。このため、運転者の操舵特性を考慮することにより得られた制御経路によって、運転者の操舵操作を支援することができる。
【0050】
また、本発明の第1の実施形態の車両操作支援装置1によれば、操舵系補助制御装置8は、トルク出力則として記述された、運転者の操舵操作に対する反発力のレベルを制御することにより、操舵系の制御レベルを制御する。このため、操舵系を介して運転者が認識するトルクの変化による操舵操作の支援を運転者に提供することができる。
【0051】
第2の実施形態
次に、図10乃至図14を参照して、本発明の第2の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0052】
車両操作支援装置の構成
図10に示すように、本発明の第2の実施形態に係る車両操作支援装置20は、第1の実施形態に係る車両操作支援装置10における車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、差異算出回路6、及び操舵系補助制御装置8に加えて、走行可能領域算出回路21、近似走行領域生成回路22、走行目標経路生成回路23、操作信号予測回路24、及び車両操作負荷推定装置25を備える。
【0053】
走行可能領域算出回路21、近似走行領域生成回路22、走行目標経路生成回路23、操作信号予測回路24、及び車両操作負荷推定装置25は、それぞれ、本発明に係る移動可能領域算出手段、近似制御領域算出手段、理想制御経路生成手段、操作信号予測手段、及び車両操作負荷推定手段に対応する。これらの機能は、車両に搭載されたマイクロコンピュータが制御プログラムを実行することにより実現される。各要素の機能については後述する。
【0054】
このような構成を有する車両操作支援装置20は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図11に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置20の動作について説明する。
【0055】
車両操作支援制御処理
図11に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、車両操作支援制御処理はステップS11の処理に進む。この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0056】
ステップS11の処理では、環境状態検出装置3が、走行車線の中心線LCと車両Aの現在位置P0との間の水平方向距離ln(図5参照)と走行車線の道幅wr(図11参照)を算出する。これにより、ステップS11の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS12の処理に進む。
【0057】
ステップS12の処理では、環境状態検出装置3が、車両が走行している走行車線上に障害物が存在するか否かを判別する。障害物が存在する場合、図12に示すように、環境状態検出装置3は、車両Aの現在位置P0から障害物Oまでの距離ξと障害物の幅wOを検出する。これにより、ステップS12の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS13の処理に進む。
【0058】
ステップS13の処理では、走行可能領域算出回路21が、走行車線領域内において車両が走行可能な領域を算出する。具体的には、図12に示すように、走行可能領域算出回路21は、ステップS11、S12の処理により検出された、車両Aの走行車線の幅wrと障害物Oまでの距離ξと障害物wOとから、走行可能領域R1を算出する。これにより、ステップS13の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS14の処理に進む。
【0059】
ステップS14の処理では、近似走行領域生成回路22が、ステップS13の処理により算出された走行可能領域R1内に、走行車線に相当する走行領域を近似的に生成する。具体的には、近似走行領域生成回路22は、所定の道幅を各々有する曲線路及び直線路のテンプレートを予め保持し、図12に示すように、走行可能領域R1内に曲線路及び直線路のテンプレートの組合せを当て嵌めた際に最も面積の大きくなる曲線路及び直線路のテンプレートの組合せ(図12に示す例では曲線路のテンプレートRR1、RR2、RR3、RR4と直線路のテンプレートRS1との組み合わせ)を近似走行領域として決定する。これにより、ステップS14の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS15の処理に進む。
【0060】
ステップS15の処理では、走行目標経路生成回路23が、ステップS14の処理により生成された近似走行領域を走行する車両の経路を走行目標経路として算出する。具体的には、図11に示すように、走行目標経路生成回路23は、車両Aの現在位置P0からHメートル前方の近似走行領域の中央点をTとし、車両Aの現在位置P0と中央点Tとを結ぶベクトルと自車の進行方向とがなす角度をυとした時、数式S’=G×H×υにより求められる理想操舵角S’によって走行した場合の経路を走行目標経路として算出する。第2の実施形態では、Hの値は15[m]、Gの値は0.15である。しかし、Gの値は車種、運転者、環境の状態に応じて変更することが望ましい。これにより、ステップS15の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS16の処理に進む。
【0061】
ステップS16の処理では、操作信号予測回路24が、車両操作状態検出装置2により検出された情報を利用して、経路内における車両の1秒後の左右方向位置と進行方向角を算出する。第2の実施形態では、左右方向位置には、ステップS14の処理により算出された近似走行領域における左右位置を採用する。具体的には、ステップS15の処理により算出された走行目標経路を実現する理想操舵角S’を1秒間維持した場合に車両が到達する位置を採用する。また、進行方向角は、ステップS15の処理により算出された走行目標経路上における車両の進行方向角であって、具体的には、ステップS15の処理により算出された走行目標経路を実現する理想操舵角S’を1秒間維持した場合に車両が回転する角度である。これにより、ステップS16の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS17の処理に進む。
【0062】
ステップS17の処理では、差異算出回路6が、ステップS15の処理により算出された走行目標経路に対する、ステップS16の処理により算出された左右方向位置と進行方向角との差異を算出する。具体的には、差異算出回路6は、1秒後における車両の位置と走行目標経路との相対距離を算出することにより位置の差異dを算出し、1秒後における車両の進行方向角と走行目標経路との相対角度を算出することにより進行方向角の差異φを算出する。これにより、ステップS17の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS18の処理に進む。
【0063】
ステップS18の処理では、車両操作負荷推定装置25が、運転者の車両操作負荷WLを推定する。第2の実施形態では、車両操作負荷推定装置25は、本願発明の出願時点で公知のステアリングエントロピー手法を用いて運転者の車両操作負荷WLを推定する。例えば、運転者の心拍数等の生理指標等から推定するようにしても良い。運転者の車両操作負荷WLは、図12に示すように、要求される操舵操作の正確さ「a」が大きくなるのに応じて大きくなり、操舵操作の正確さ「a」との間に相関関係を有する。これにより、ステップS18の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS19の処理に進む。
【0064】
ステップS19の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS17の処理により算出された位置の差異d及び進行方向角の差異φとステップS18の処理により推定された運転者の運転操作負荷WLとに基づいて、トルク出力則を変更する。第2の実施形態では、トルク出力則は、数式:T=K1×(K2×d+K3×φ)のように表される。この数式における比例定数K1は、例えばK1=F(WL)=b×WLのように記述される、運転者の車両操作負荷WLの関数である。すなわち、第2の実施形態では、生成されるトルクTは運転者の車両操作負荷WLの大きさに応じて変更される。具体的には、運転者の車両操作負荷WL(=要求される操舵操作の正確さ)が大きくなるのに応じて、生成されるトルクは大きくなる。一方、運転者の車両操作負荷WL(=要求される操舵操作の正確さ)が小さくなるのに応じて、生成されるトルクは小さくなる。これにより、ステップS19の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS20の処理に進む。
【0065】
ステップS20の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。これにより、ステップS20の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0066】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態の車両操作支援装置20によれば、操作信号予測回路24が、車両の1秒後の左右方向位置と進行方向角を算出し、差異算出回路6が、走行目標経路に対する左右方向位置と進行方向角との差異を算出する。このような構成によれば、障害物が存在する走行環境においても、運転者の感覚に合致した操舵操作の支援を運転者に提供することができる。
【0067】
また、本発明の第2の実施形態の車両操作支援装置20によれば、車両操作負荷推定装置25が、運転者の車両操作負荷WLを推定し、操舵系補助制御装置8が、車両操作負荷WLに比例して操舵系の制御レベルを上げる。このような構成によれば、運転者の車両操作負荷WLが高いほど運転者に伝達される操舵輪における操舵トルクが大きくなる。そのため、過度の運転負荷により生じる操舵操作の遅れや不安定な操舵操作が抑止された車両操作の支援を運転者に提供することができる。
【0068】
なお、上記ステップS15の処理では、走行目標経路生成回路23は、数式S’=G×H×υにより求められる理想操舵角S’によって走行した場合の経路を走行目標経路として算出した。しかし、例えば数式S’=G1×ξ1+G2×ξ2により求められる理想操舵角S’によって走行した場合の経路を走行目標経路として算出しても良い。この数式中のパラメータξ1は、図14に示すように、車両Aの現在の進行方向と1秒後の中心線Lc上の位置P1とがなす角度を示す。また、パラメータξ2は、車両A前方の曲線路における内側の境界LRに外接する接線LPと車両Aの進行方向とがなす角度を示す。この数式中のパラメータG1、G2は、車両や運転者、走行環境によって変更することが望ましい。
【0069】
第3の実施形態
次に、図15乃至図18を参照して、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0070】
車両操作支援装置の構成
図15に示すように、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援装置30は、第1の実施形態に係る車両操作支援装置10における車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、理想操舵信号算出回路5、差異算出回路6、操作精度推定回路7、及び操舵系補助制御装置8に加えて、天候判別装置31、時間帯判別装置32、及び走行目標点生成・補正回路33を備える。
【0071】
天候判別装置31は、本発明に係る天候判別手段に対応する。天候判別装置31は、雨滴センサや照度センサを備え、車両の運転操作時の天候を判別する。時間帯判別装置32は、本発明に係る時間帯判別手段に対応する。時間帯判別装置32は、時計等の計時装置を備え、車両の運転操作時の時間帯を判別する。走行目標点生成・補正回路33は、本発明に係る理想制御経路生成手段に対応する。走行目標点生成・補正回路33の機能は、車両に搭載されたマイクロコンピュータが制御プログラムを実行することにより実現される。走行目標点生成・補正回路33の機能については後述する。
【0072】
このような構成を有する車両操作支援装置30は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図15に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置30の動作について説明する。
【0073】
車両操作支援制御処理
図16に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、車両操作支援制御処理はステップS31の処理に進む。なお、この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。また、ステップS31の処理は、図4に示すステップS1の処理と同じであるので、以下ではその説明を省略し、ステップS32の処理から説明を始める。
【0074】
ステップS32の処理では、天候判別装置31が車両周囲の天候を判別し、時間帯判別装置32が現在の時間帯を判別する。具体的には、雨滴センサにより雨滴が検出された場合、天候判別装置31は、車両周囲の天候が雨であると判別する。また、時間帯判別装置32は、現在の時間帯を早朝、日中、夕方、夜間に区分して判別する。これにより、ステップS32の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS33の処理に進む。
【0075】
ステップS33の処理では、走行目標点生成・補正回路33が、ステップS32の処理結果に基づいて、走行目標点を生成、補正する。具体的には、走行目標点生成・補正回路33は、ステップS31の処理により検出された車両の現在位置に基づいて、車両の進行方向における車線中央位置を車両が将来通過すべき走行目標点として算出する。引き続き、ステップS32の処理により判別された天候が雨又はこのように判別された時間帯が夜間である場合、走行目標点生成・補正回路33は、算出された走行目標点をH1[m]先の車線中央位置に補正する。また、天候が晴れであり、且つ、時間帯が早朝又は夕方である場合には、算出された走行目標点をH2(>H1)[m]先の車線中央位置に補正する。天候が晴れであり、時間帯が日中である場合には、走行目標点生成・補正回路33は、算出された走行目標点をH3(>H2)[m]先の車線中央位置に補正する。これにより、ステップS33の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS34の処理に進む。
【0076】
ステップS34の処理では、理想操舵信号算出回路5が、ステップS33の処理により算出された走行目標点に到達するための理想操舵角S’を算出する。具体的には、理想操舵信号算出回路5は、車両の現在位置P0と走行目標点Pとを結ぶベクトルと車両の進行方向とがなす角度をυとした時に理想操舵角S’の値を2・G”・υ・(v/L)(vは車速、G”は車両の操舵ゲインを示す)とする運転者モデルに対して、車両操作状態検出装置2及び環境状態検出装置3により検出された情報を入力することにより、ステップS33の処理により算出された走行目標点に到達するための理想操舵角S’を算出する。なお、操舵ゲインG”は、ステップS32により判別された天候が雨又は時間帯が夜間である場合はG1、天候が晴れであり、且つ、時間帯が早朝又は夕方である場合にはG2(<G1)、天候が晴れであり、且つ、時間帯が日中である場合にはG3(<G2)とする。これにより、ステップS34の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS35の処理に進む。
【0077】
ステップS35の処理では、車両操作状態検出装置2が、車両の現在の操舵角Sを検出する。これにより、ステップS35の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS36の処理に進む。
【0078】
ステップS36の処理では、差異算出回路6が、ステップS34の処理により算出された理想操舵角S’とステップS35の処理により検出された車両の現在の操舵角Sとの差異δ(=S’−S)を算出する。これにより、ステップS36の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS37の処理に進む。
【0079】
ステップS37の処理では、操作精度推定回路7が、ステップS32の処理により判別された車両周囲の天候と現在の時間帯において必要とされる操舵の正確さ「a」とを推定する。一般に、車両周囲の天候、照度、及び車両が走行している時間帯は、図17(a)、(b)、(c)に示すように、操舵操作の正確さ「a」との間に相関関係を有する。そこで第3の実施形態では、操作精度推定回路7は、図16(a)、(b)、(c)に示すマップを予め保持し、ステップS32の処理により判別された車両周囲の天候と現在の時間帯に対応する操舵の正確さ「a」とをマップから読み出すことにより、必要とされる操舵の正確さ「a」を推定する。これにより、ステップS37の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS38の処理に進む。
【0080】
ステップS38の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS31の処理により検出された、車両の走行車線の中心線LCと車両Aの走行位置との間の水平方向距離lnと、ステップS36の処理により算出された理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sの差異δ、及びステップS37の処理により推定された操舵操作の正確さ「a」とに基づいて、トルク出力則を変更する。これにより、ステップS38の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS39の処理に進む。
【0081】
ステップS39の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。これにより、ステップS39の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0082】
以上の説明から明らかなように、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援装置30によれば、天候判別装置31が車両操作時の天候を判別し、時間帯判別装置32が車両操作時の時間帯を判別する。そして、天候判別装置31によって判別された天候が悪い場合及び/又は時間帯判別装置32によって判別された時間帯が夜間である場合、走行目標点生成・補正回路33が、判別された天候及び時間帯に応じて走行目標点の位置を補正し、操舵系補助制御装置8が操舵系の制御レベルを上げる。そのため、より安定的な車両操作の支援を運転者に提供することができる。
【0083】
なお、本実施形態では、走行目標点生成・補正回路33は、1回の処理で走行目標点を1つのみ算出する。しかしながら、1回の処理で複数の走行目標点を時系列的に算出しても良い。またこの場合、走行目標点生成・補正回路33は、図17に示すように、算出する走行目標点の数を、ステップS37の処理により算出される操舵の正確さ「a」に応じて変更しても良い。
【0084】
第4の実施形態
次に、図19乃至図23を参照して、本発明の第4の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0085】
車両操作支援装置の構成
図19に示すように、本発明の第4の実施形態に係る車両操作支援装置40は、第1の実施形態に係る車両操作支援装置10における車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、差異算出回路6、及び操舵系補助制御装置8と、第2の実施形態に係る車両操作支援装置20における操作信号予測回路24とに加えて、運転技量推定装置41、走行目標点生成・補正回路42、及び漫然運転検出装置43を備える。
【0086】
運転技量推定装置41は、本発明に係る車両操作技量推定手段に対応する。運転技量推定装置41は、本願発明の出願時点で公知の、運転者の操舵操作における修正操舵の頻度から運転者の運転技量を推定する技術を利用して、運転者の運転技量を推定する。走行目標点生成・補正回路42は、本発明に係る理想制御経路生成手段に対応する。走行目標点生成・補正回路42の機能(動作)は、車両に搭載されたマイクロコンピュータが制御プログラムを実行することにより実現される。走行目標点生成・補正回路42の機能については後述する。漫然運転検出装置43は、本発明に係る漫然操作運転検出手段に対応する。漫然運転検出装置43は、本願発明の出願時点で公知の、運転者の操舵操作において操舵を実施していない時間の長さやその発生頻度から漫然運転を検出する技術を利用して、運転者の漫然運転を推定する。
【0087】
このような構成を有する車両操作支援装置40は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図19に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置40の動作について説明する。
【0088】
車両操作支援制御処理
図20に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、車両操作支援制御処理はステップS41の処理に進む。なお、この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。また、ステップS41、42の処理は、図11に示すステップS11、S12の処理と同じであるので、以下ではその説明を省略し、ステップS43の処理から説明を始める。
【0089】
ステップS43の処理では、運転技量推定装置41が、運転者の運転技量を推定する。本実施形態では、運転技量推定装置41は、車両操作状態検出装置2に設けられた操舵角センサを介して検出される修正操舵の頻度が多いほど運転者の運転技量が低いと推定する。これにより、ステップS43の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS44の処理に進む。
【0090】
ステップS44の処理では、走行目標点生成・補正回路42が、ステップS43の処理により推定された運転者の運転技量に基づいて、走行目標点を生成、補正する。具体的には、走行目標点生成・補正回路42は、図21に示すように、車両Aが障害物Oの位置に到達する際に車両Aが走行可能な経路幅の中間位置P1を走行目標点として算出する。そして、走行目標点生成・補正回路42は、ステップS43の処理により推定された運転者の運転技量が高い場合には、走行目標点の位置を可能な限り障害物Oに接近した位置に補正する。すなわち、図21に示すように、車両Aが走行車線の中央から距離ωだけオフセットした位置P0に位置している場合には、車両Aが距離L0[m]走行する間に位置P1に到達するためには、車両は距離ζ(=ω+w0/2)だけ左右方向に移動する必要がある。そこで、ステップS43の処理により推定された運転技量が高い場合、走行目標点生成・補正回路42は、可能な限り障害物に接近した走行目標点を得るために、距離ζから距離σを減算し、位置P0から位置P1に到達するまでの中間地点として位置P0から相対的に(L0/2,ζ/2)の地点である位置P2を設定する。これにより、ステップS44の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS45の処理に進む。
【0091】
ステップS45の処理では、理想操舵信号算出回路5が、ステップS44の処理により算出された走行目標点に到達するための理想操舵角S’を算出する。具体的には、理想操舵信号算出回路5は、車両Aが位置P0から位置P2に移動する間は、理想操舵角S’の値をG×(L0/2)×(ζ/2)(Gは車両の操舵ゲインを示す)とする運転者モデルに対して、車両Aが位置P2から位置P1に移動する間は、理想操舵角S’の値を−G×(L0/2)×(ζ/2)とする運転者モデルに対して、車両操作状態検出装置2及び環境状態検出装置3により検出された情報を入力することにより、ステップS44の処理により算出された走行目標点に到達するための理想操舵角S’を算出する。これにより、ステップS44の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS45の処理に進む。
【0092】
ステップS46の処理では、操作信号予測回路24が、車両操作状態検出装置2により検出された情報を利用して、車両の1秒後の左右方向位置と進行方向角を算出する。なお、この処理は、図11に示すステップS16の処理と同じであるので、その詳細な説明は省略する。これにより、ステップS46の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS47の処理に進む。
【0093】
ステップS47の処理では、差異算出回路6が、ステップS45の処理により算出された理想操舵角S’に対する、ステップS46の処理により算出された左右方向位置と進行方向角との差異を算出する。なお、この処理は、図10に示すステップS17の処理と同じであるので、その詳細な説明は省略する。これにより、ステップS47の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS48の処理に進む。
【0094】
ステップS48の処理では、漫然運転検出装置43が、運転者が漫然運転を行っているか否かを判別する。具体的には、漫然運転検出装置43は、車両操作状態検出装置2に設けられた操舵角センサを介して検出される操舵の頻度が少ない場合、運転者が漫然運転を行っていると判定する。これにより、ステップS48の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS49の処理に進む。
【0095】
ステップS49の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS48の判別処理の結果に基づいてトルク出力則を変更する。本実施形態では、トルク出力則は、図22に実線L1で示すように、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δの大きさに比例してトルクを生成するパワーアシスト機構における出力則である。トルクTは、比例定数をKとするとT=K×δと表される。そして、運転者の漫然運転が検出された場合、トルク出力則は図22に示す比例定数が比例定数Kより大きい点線L2で示すように変更され、その結果として、通常時よりも大きいトルクが出力される。これにより、ステップS49の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS50の処理に進む。
【0096】
ステップS50の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。これにより、ステップS50の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0097】
以上の説明から明らかなように、本発明の第4の実施形態の車両操作支援装置40によれば、運転技量推定装置41が運転者の運転技量を推定する。運転者の運転技量が低い場合、走行目標点生成・補正回路42が走行目標点を補正し、操舵系補助制御装置8が操舵系の制御レベルを上げる。このため、運転者を誘導支援するために生成する走行目標点を運転者の運転技量に則したものに補正することができ、その結果として、運転者の技量に則した走行目標経路による車両操作の支援を運転者に提供することができる。
【0098】
また、本発明の第4の実施形態の車両操作支援装置40によれば、漫然運転検出装置43によって運転者の漫然運転が検出された場合、操舵系補助制御装置8が、運転者に伝達される、操舵輪における操舵トルクを大きくするので、漫然運転により生じる操舵の遅れや不安定な操舵が抑止された車両操作の支援を運転者に提供することができる。 なお、上記ステップS44の処理では、距離L0を固定値であるが、図22に示すように、運転者の運転技量の大きさに応じて距離L0を変化させても良い。
【0099】
第5の実施形態
最後に、図24乃至図26を参照して、本発明の第5の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0100】
車両操作支援装置の構成
図24に示すように、本発明の第5の実施形態に係る車両操作支援装置50は、第1の実施形態に係る車両操作支援装置10における車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、差異算出回路6、及び操舵系補助制御装置8と、第2の実施形態に係る車両操作支援装置20における走行目標経路生成回路23と操作信号予測回路24とに加えて、車線変更意図推定装置51、合流意図判定装置52、及び操舵履歴記憶回路53を備える。
【0101】
車線変更意図推定装置51は、本発明に係る車線変更意図推定手段に対応する。車線変更意図推定装置51は、本願発明の出願時点で公知のパターンマッチング手法を用いることにより、車両の前方を走行する先行車両との車間距離や相対速度を推定し、且つ、ターンシグナルのオン/オフから運転者の車線変更の意図を推定する技術を利用して、運転者の車線変更の意図を推定する。
【0102】
合流意図判定装置52は、本発明に係る合流意図推定手段に対応する。合流意図判定装置52はナビゲーション装置を備え、車両が合流車線を走行し、且つ、ターンシグナルがオンである場合、運転者に合流の意図があると判定する。操舵履歴記憶回路53は、本発明に係る操舵角履歴記憶手段に対応する。操舵履歴記憶回路53は、ROM等の不揮発性の記憶装置により構成され、過去の車線変更時や合流時の操舵角の時系列変化を記憶する。
【0103】
このような構成を有する運転操作支援装置50は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図24に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置50の動作について説明する。
【0104】
車両操作支援制御処理
図25に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、車両操作支援制御処理はステップS61の処理に進む。なお、この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。また、ステップS61の処理は、図4に示すステップS11の処理と同じであるので、以下ではその説明を省略し、ステップS62の処理から説明を始める。
【0105】
ステップS62の処理では、車線変更意図推定装置51が、運転者に車線変更の意図があるか否かを判別する。判別の結果、運転者に車線変更の意図がある場合、車線変更意図推定装置51は、車両操作支援制御処理をステップS65の処理に進める。一方、運転者に車線変更の意図がない場合には、車線変更意図推定装置51は、車両操作支援制御処理をステップS63の処理に進める。
【0106】
ステップS63の処理では、合流意図判定装置52が、運転者に被合流車線への合流意図があるか否かを判別する。判別の結果、運転者に合流意図がある場合、合流意図判定装置52は、車両操作支援制御処理をステップS65の処理に進める。一方、運転者に合流意図がない場合には、合流意図判定装置52は、車両操作支援制御処理をステップS64の処理に進める。
【0107】
ステップS64の処理では、環境状態検出装置3が、車両が走行している車線に隣接する車線の混雑度を検出する。具体的には、環境状態検出装置3は、レーザレーダや超音波センサを利用して、車両が走行している車線に隣接する車線に車両が存在するか否かを検出し、所定時間内における車両の検出台数を混雑度として検出する。これにより、ステップS64の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS67の処理に進む。
【0108】
ステップS65の処理では、環境状態検出装置3が、車両がこれから進入する被進入車線における混雑度を検出する。具体的には、環境状態検出装置3は、レーザレーダや超音波センサを利用して、被進入車線に車両が存在するか否かを検出し、所定時間内における車両の検出台数を混雑度として検出する。これにより、ステップS65の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS66の処理に進む。
【0109】
ステップS66の処理では、走行目標経路生成回路23が、操舵履歴記憶回路53に記憶されている過去の車線変更時又は合流時の操舵角の時系列変化に関する情報を取得する。一般に、車線変更や合流を行う際、運転者は定型的な時系列変化で操舵操作を行う。そこで第5の実施形態では、操舵履歴記憶回路53が、過去の車線変更時又は合流時の操舵角の時系列変化を操舵履歴として内部に保持し、走行目標経路生成回路23は、適宜前記当する操舵角の時系列変化を操舵履歴として取得する。これにより、ステップS66の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS67の処理に進む。
【0110】
ステップS67の処理では、走行目標経路生成回路23が、車線変更及び合流意図が検出されなかった場合と車線変更と合流意図の少なくとも一方が検出された場合とに分けて走行目標経路を生成する。具体的には、車線変更及び合流意図が検出されなかった場合、走行目標経路生成回路23は、車両の前方H[m]の位置における走行車線の中央点をTとし、車両の現在位置と中央点Tとを結ぶベクトルと車両の進行方向とがなす角度をυとした時、理想操舵角S=G×H×υによって走行した場合の経路を、走行目標経路として生成する。一方、車線変更と合流意図の少なくとも一方が検出された場合には、走行目標経路生成回路23は、ステップS66の処理により取得した過去の操舵履歴によって走行した場合の経路を、走行目標経路として生成する。これにより、ステップS67の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS68の処理に進む。
【0111】
ステップS68の処理では、操作信号予測回路24が、車両操作状態検出装置2により検出された情報を利用して、経路内における車両の1秒後の左右方向位置と進行方向角を算出する。なお、この処理は、図11に示すステップS16の処理と同じであるので、その詳細な説明は省略する。これにより、ステップS68の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS69の処理に進む。
【0112】
ステップS69の処理では、差異算出回路6が、ステップS67の処理により生成された理想操舵角S’に対する、ステップS46の処理により算出された左右方向位置と進行方向角との差異を算出する。なお、この処理は、図11に示すステップS17の処理と同じであるので、その詳細な説明は省略する。これにより、ステップS69の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS70の処理に進む。
【0113】
ステップS70の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS64及びステップS65の処理により検出された混雑度に基づいて、トルク出力則を変更する。第5の実施形態におけるトルク出力則は、図26に実線L1で示すように、ステップS69の処理により算出された差異δの大きさに比例してトルクを生成するパワーアシスト機構における出力則である。なお、トルクTは、比例定数をKとするとT=K×δと表される。そして、混雑度が大きくなるのに応じて比例定数Kが大きくなり、トルク出力則は図25に点線L2で示すように変更される。一方、混雑度が小さくなるのに応じて比例定数Kが小さくなり、トルク出力則は図25に点線L3で示すように変更される。これにより、ステップS70の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS71の処理に進む。
【0114】
ステップS71の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。これにより、ステップS71の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0115】
以上の説明から明らかなように、本発明の第5の実施形態の車両操作支援装置50によれば、環境状態検出装置3が、車両が走行している車線に隣接する車線や車両がこれから進入する被進入車線における混雑度を検出し、操舵系補助制御装置8が、混雑度が大きくなるのに応じて、操舵系の制御レベルを上げる。そのため、運転者による不安定な操舵が発生する可能性が高い場面においても、操舵操作を安定化させる支援を運転者に提供することができる。
【0116】
また、本発明の第5の実施形態の車両操作支援装置50によれば、運転者の車線変更の意図や合流意図が推定された場合、走行目標経路生成回路23は、過去の操舵履歴に基づいて走行した場合の経路を走行目標経路として生成するので、運転者間においてばらつきが大きい操舵の場面においても、運転者の感覚に合致した車両操作の支援を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、制御対象物に対する操作者の制御操作を支援する技術に適用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象物に対する操作者の制御操作を支援する制御操作支援装置及び制御操作支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特開平9−156528号公報に開示されているように、車両の進行方向方位角と車両が走行している道路の接線方向方位角とを検出し、検出された進行方向方位角と接線方向方位角の偏差が減少する向きに操舵トルクを発生させることにより、道路から車両が逸脱しない方向に操舵力を発生させる車両操作支援装置が知られている。
【0003】
従来の車両操作支援装置は、運転者の車両操作の状態や車両周囲の環境を考慮せず、制御点における進行方向方位角と接線方向方位角の偏差のみに基づいて操舵制御を出力する構成になっている。このため、従来の車両操作支援装置によれば、運転者の車両操作の状態(運転意図)や車両周囲の環境に適していない操舵制御が出力されることにより、運転者が操舵制御に対し違和感や煩わしさを感じることがあった。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、システムの操作者を支援する支援制御装置が設けられたシステムであって、システムの操作状態に関する情報を検出するシステム状態検出部と、少なくとも前記システム状態検出部により検出されたシステム状態に依存して、前記システムの理想状態を生成する理想状態生成部と、前記理想状態生成部により生成された理想状態に沿って動作するように、前記システムに対する理想入力を算出する理想入力算出部と、操作者の制御動作を前記システムに対する制御信号に変換するシステム入力インターフェースと、前記理想入力算出部により算出された理想入力と前記システムに対して前記システム入力インターフェースが提供する実際の制御信号との差異を算出する差異算出部と、を備え、前記システム入力インターフェースは前記支援制御装置を備え、前記支援制御装置は、前記システムの動作において操作者を支援するように、前記差異算出部により算出された差異に依存して、操作者の制御動作を前記システムに対する制御信号に変換することに関連する少なくとも一つの変換パラメータを定める。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、制御対象物の制御のための、マニピュレータに対する操作者の制御操作を支援する制御操作支援装置は、前記制御対象物の状態に関する情報を検出する制御対象物状態検出部と、前記マニピュレータの状態に関する情報を検出するマニピュレータ状態検出部と、前記制御対象物の周囲の制御操作環境の状態に関する情報を検出する環境状態検出部と、前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態と前記環境状態検出部により検出された環境状態とに関する情報から、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスを生成する理想相互作用生成部と、前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、マニピュレータに対する理想インピーダンスを生成する理想マニピュレータインピーダンス生成部と、前記理想マニピュレータインピーダンス生成部により生成された理想マニピュレータインピーダンスに基づいてマニピュレータのインピーダンスを制御することにより、制御対象物と環境との間に所望の相互作用ダイナミックスを生成するマニピュレータインピーダンス制御装置支援システムと、前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、理想マニピュレータ制御信号を生成する理想マニピュレータ制御信号生成部と、前記理想マニピュレータ制御信号生成部により生成された理想マニピュレータ制御信号と前記マニピュレータ状態検出部により検出されたマニピュレータの状態との間の差異を算出するマニピュレータ制御信号差異算出部と、前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、制御対象物の制御操作に要求される精度を推定する操作精度推定部と、前記操作精度推定部により推定された要求精度から、制御差異インピーダンスを生成する制御差異インピーダンス生成部と、前記マニピュレータ制御信号差異算出部により算出された差異の大きさと前記制御差異インピーダンス生成部により算出された差異インピーダンスとに基づいて、アクチュエータにより生成される付加トルクを制御することにより、マニピュレータに対する操作者の制御操作を支援して、要求される操作精度を達成するアクチュエータトルク制御装置支援システムと、を備える。
【0006】
本発明の第3の態様によれば、車両操作状態に関する情報と車両操作環境に関する情報とから操作対象物に対する理想制御経路が生成され、操作対象物が生成された理想制御経路に沿って動作するように、制御システムの制御履歴が理想制御信号として算出され、算出された理想制御信号と車両操作状態に関する情報との差異が算出され、算出された差異の大きさに基づいて操作システムが制御されることにより、操作システムに対する操作者の操作が支援され、車両操作状態に関する情報及び/又は車両操作環境に関する情報から、操作対象物の車両操作に要求される正確さが推定され、そして、推定された正確さが高くなることに応じて操作システムの制御レベルが上げられる。
【0007】
本発明の第1の態様のシステム状態検出部は、本発明の第2の態様の制御対象物状態検出部、マニピュレータ状態検出部及び環境状態検出部と、本発明の第3の態様の環境状態検出部とに対応する。
【0008】
本発明の第1の態様の理想状態生成部は、本発明の第2の態様の理想相互作用生成部と、本発明の第3の態様の理想制御経路生成部とに対応する。
【0009】
本発明の第1の態様の支援制御装置は、本発明の第2の態様のアクチュエータトルク制御装置支援システムと、本発明の第3の態様の操作システム支援制御装置とに対応する。
【0010】
本発明の第1の態様の理想入力算出部は、本発明の第2の態様の理想マニピュレータインピーダンス生成部と、本発明の第3の態様の理想制御信号算出部とに対応する。
【0011】
本発明の第1の態様のシステム入力インターフェース部は、本発明の第2の態様のマニピュレータインピーダンス制御装置支援システム及び理想マニピュレータ制御信号生成部と、本発明の第3の態様の理想制御信号算出部とに対応する。
【0012】
本発明の第1の態様の差異算出部は、本発明の第2の態様のマニピュレータ制御信号差異算出部と、本発明の第3の態様の差異算出部とに対応する。
【0013】
本発明の第2の態様の操作精度推定部は、本発明の第3の態様の操作システム支援制御装置に対応する。
【0014】
本発明の第2の態様の制御差異インピーダンス生成部は、本発明の第3の態様の操作精度推定部に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る制御操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明に係る車両操作支援装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4に示すステップS1における、環境内での車両の位置と向きを検出する処理の説明図である。
【図6】図6は、図4に示すステップS2における、車両が直線路を走行している場合における走行目標点の生成処理の説明図である。
【図7】図7は、図4に示すステップS2における、車両が曲線路を走行している場合における走行目標点の生成処理の説明図である。
【図8】図8は、車両が走行している道路の道幅と操舵操作に求められる正確さとの関係の一例を示すグラフである。
【図9】図9は、図4に示すステップS8の処理に用いられるトルク出力則の一例を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、図11に示すステップS15における、車両の走行目標経路の生成処理の説明図である。
【図13】図13は、運転者の運転負荷と操舵操作に求められる正確さとの関係の一例を示すグラフである。
【図14】図14は、図11に示すステップS15における、車両の走行目標経路の生成処理の変形例の説明図である。
【図15】図15は、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図16】図16は、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】図17(a)、(b)、(c)は、それぞれ、操舵操作に求められる正確さと、車両周囲の照度、天候、及び車両の走行時間帯との関係の一例を示すグラフである。
【図18】図18は、操舵操作に求められる正確さと走行目標経路を生成する際に設定する走行目標点の数との関係の一例を示すグラフである。
【図19】図19は、本発明の第4の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図20】図20は、本発明の第4の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】図21は、図20に示すステップS44における、走行目標点の生成および補正処理の説明図である。
【図22】図22は、図20に示すステップS50の処理において用いられるトルク出力則の一例を示すグラフである。
【図23】図23は、運転者の運転技量と図21に示す距離L0との関係の一例を示すグラフである。
【図24】図24は、本発明の第5の実施形態に係る車両操作支援装置の構成を示すブロック図である。
【図25】図25は、本発明の第5の実施形態に係る車両操作支援制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】図26は、図25に示すステップS71の処理において用いられるトルク出力則の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る制御操作支援装置システムは、制御対象物の制御のための操作者の制御操作を支援する。図1に示すように、本発明に係る制御操作支援装置は、環境状態検出部101、制御対象物状態検出部102、理想相互作用生成部103、理想マニピュレータ制御信号生成部104、操作精度推定部105、理想マニピュレータインピーダンス生成部106、マニピュレータ制御信号差分算出部107、制御差分インピーダンス生成部108、アクチュエータトルク制御装置支援システム109、マニピュレータインピーダンス制御装置支援システム110、アクチュエータ111、マニピュレータ112、及びマニピュレータ状態検出部113を備える。
【0017】
環境状態検出部101は、制御対象物114の周囲の制御操作環境の状態についての情報を検出する。制御対象物状態検出部102は、制御対象物114の状態についての情報を検出する。理想相互作用生成部103は、制御対象物状態検出部102により検出された制御対象物114の状態と、環境状態検出部101により検出された環境状態との情報から、制御対象物114と環境との間の理想相互作用ダイナミックスを生成する。
【0018】
理想マニピュレータ制御信号生成部104は、理想相互作用生成部103により生成された制御対象物114と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、理想マニピュレータ制御信号を生成する。操作精度推定部105は、理想相互作用生成部103により生成された制御対象物114と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、制御対象物114の制御操作に必要な精度を推定する。
【0019】
理想マニピュレータインピーダンス生成部106は、理想相互作用生成部103により生成された制御対象物114と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、マニピュレータ112のための理想インピーダンスを生成する。マニピュレータ制御信号差分算出部107は、理想マニピュレータ制御信号生成部により生成された理想マニピュレータ制御信号とマニピュレータ状態検出部113により検出されたマニピュレータ112の状態との間の差分を算出する。
【0020】
制御差分インピーダンス生成部108は、操作精度推定部105により推定された要求精度から、制御差分インピーダンスを生成する。アクチュエータトルク制御装置支援システム109は、マニピュレータ制御信号差分算出部107により算出された差分の大きさと制御差分インピーダンス生成部108により算出された差分インピーダンスとに基づいて、アクチュエータ111により生み出された付加トルクを制御し、これにより、マニピュレータ112に対する操作者の制御操作を支援し、要求操作精度を達成する。
【0021】
マニピュレータインピーダンス制御装置支援システム110は、理想マニピュレータインピーダンス生成部106により生成された理想マニピュレータインピーダンスに基づいてマニピュレータ112のインピーダンスを制御して、これにより、制御対象物114と環境との間に、所望の相互作用ダイナミックスを生成する。
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の第1乃至第5の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。以下に示す実施形態においては、操作者が操作する制御対象物として車両を想定している。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されることはなく、長距離無人車両制御(航空又は宇宙無人機)、(距離的又は大きさ的な)遠隔操作手術、航空飛行シュミレーション、工場労働者/ダンサー/スポーツ選手、及び(距離的又は大きさ的に)(超小型の)組立作業など、人間が制御に関与する操作制御対象物の全般に適用することができる。
【0023】
本発明が無人車両制御に適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、遠隔操作支援装置、遠隔操作者、遠隔制御車両、マニピュレータ出力信号、制御入力プロフィール、遠隔制御車両の理想三次元軌道、操縦桿アクチュエータ、道路条件(気象条件、静的及び動的対象物の場所)、及び静的又は動的対象物(制限地域、通信時間遅延)に対するTTCに対応する。
【0024】
本発明が遠隔操作手術に適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、手術支援装置、外科医、ロボット手術装置、マニピュレータ出力信号、マニピュレータ出力プロフィール、遠隔制御手術装置の理想配置及び発揮力、触感手袋アクチュエータ、損傷しやすい組織の場所(把持部が移動する流体の物性、施術が必要な組織の場所)、及び静的又は動的対象物(制限地域、通信時間遅延)に対するTTCに対応する。
【0025】
本発明が航空飛行シュミレーションに適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、航空機飛行支援装置、パイロット、航空機/ヘリコプタ、操縦桿信号、操縦桿出力プロフィール、航空機の理想三次元軌道、操縦桿アクチュエータ、地面及び飛行禁止地域までの距離(着陸地点の場所と方位、他の飛行機までの距離)、及び静的又は動的対象物(制限地域)に対するTTCに対応する。
【0026】
本発明が工場労働者/ダンサー/スポーツ選手に適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、身体運動支援装置(触感スーツ)、工場労働者/ダンサー/スポーツ選手、人体、身体運動制御信号(身体への圧力、四肢トルク、及び位置制御信号)、身体運動プロフィール、四肢による理想発揮力又は理想四肢運動経路(制限的だが別個であるおのおのの剛体)、触感スーツ又は身体運動支持スーツ(圧力とアクチュエータ)、対象物の場所(かかる対象物の物性、四肢の運動を良好に行うために必要な筋肉活動プロフィール、要操作対象物との接触力)、及び静的又は動的対象物(制限地域、通信時間遅延)に対するTTCに対応する。
【0027】
本発明が(超小型の)組立作業に適用される場合には、本発明の操作者支援装置、操作者、制御対象物、制御入力信号、制御入力プロフィール、制御対象物と環境との間の理想相互作用、マニピュレータアクチュエータ、環境、及び制御対象物と環境との間の相互作用の制限は、それぞれ、組立作業支援装置、組立工、遠隔制御把持部、マニピュレータ出力信号、マニピュレータ出力プロフィール、遠隔制御把持具の理想配置及び発揮力、触感手袋アクチュエータ(触感マスタ)、対象物の場所(かかる対象物の物性、要操作対象物のと接触力)、及び静的又は動的対象物(制限地域、通信時間遅延)に対するTTCに対応する。
【0028】
第1の実施形態
始めに、図2乃至図9を参照して、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0029】
車両操作支援装置の構成
本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置1は、制御対象物としての車両に搭載され、図2に示すように、車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、走行目標点生成回路4、理想操舵信号算出回路5、差異算出回路6、操作精度推定回路7、及び操舵系補助制御装置8を主な構成要素として備える。
【0030】
車両操作状態検出装置2は、図3に示す本発明に係る車両操作状態検出手段11に対応する。車両操作状態検出装置2は、GPS(Global Positioning System)、速度センサ、地磁気センサ、加速度センサ、及び操舵角センサ等の各種センサを備え、車両の位置、速度、進行方向角、加速度、及び操舵角を検出する。
【0031】
環境状態検出装置3は、図3に示す本発明に係る環境状態検出手段12に対応する。環境状態検出装置3は、車両の前部及び側部に配置された撮像装置、レーザレーダ、超音波センサ、ナビゲーション装置、粗さセンサ等を備え、車両周囲に存在する障害物、車両が走行している道路の曲率プロフィール、車線幅、及び粗さ、車両に隣接する移動体を検出する。
【0032】
走行目標点生成回路4、理想操舵信号算出回路5、差異算出回路6、及び操作精度推定回路7は、それぞれ、図3に示す本発明に係る理想制御経路生成手段13、理想制御信号算出手段14、差異算出手段15、及び操作精度推定手段16に対応する。これらの回路の機能(動作)は、車両に搭載されたマイクロコンピュータが制御プログラムを実行することにより実現される。各回路の機能については後述する。
【0033】
操舵系補助制御装置8は、図3に示す本発明に係る操作系補助制御部17に対応する。操舵系補助制御装置8は、車両のステアリングに配置された公知の電動パワーステアリング機構やパワーアシスト機構により構成され、詳しくは後述するが、運転者の操舵操作を支援する制御を実行する。
【0034】
このような構成を有する車両操作支援装置1は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図4に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置1の動作について説明する。
【0035】
車両操作支援制御処理
図4に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられると開始され、車両操作支援制御処理はステップS1の処理に進む。この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0036】
ステップS1の処理では、環境状態検出装置3が、車両が走行している走行車線内における車両の位置を検出する。具体的には、環境状態検出装置3は、車両側方に配置された撮像装置により撮影された車両側方方向の映像からエッジ画像を抽出することにより、車両の走行車線の左右のレーンマーカーLL、LR(図5参照)を抽出する。そして、環境状態検出装置3は、抽出された左右のレーンマーカーLL、LRから走行車線の中心線LC(図5参照)を算出し、これにより、算出された中心線LCと車両Aの走行位置P0との間の水平方向距離ln(図5参照)を算出する。これにより、ステップS1の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS2の処理に進む。
【0037】
ステップS2の処理では、走行目標点生成回路4が、車両の現在位置から、車両が将来通過すべき走行目標点を算出する。具体的には、走行目標点生成回路4は、環境状態検出装置3を介して車両前方方向の映像を取得し、取得した映像からエッジ画像を抽出することにより、走行車線の中心線LCの線形(曲率R)を検出する。そして、走行目標点生成回路4は、検出された線形についての情報に基づいて走行目標点を設定する。本実施形態では、走行目標点生成回路4は、車両が直線路を走行している時と曲線路を走行している時とで走行目標点の設定方法を変更する。
【0038】
すなわち、車両が直線路を走行している場合には、走行目標点生成回路4は、図6に示すように、車両Aの現在位置P0からH[m]前方の位置を走行目標点Pに設定する。一方、車両が曲線路を走行している場合には、走行目標点生成回路4は、図7に示すように、車両Aの現在位置P0を通る曲線路内側のレーンマーカー(図7に示す例では右のレーンマーカーLR)等の車線境界に対する接線LPを算出し、算出された接線LPが走行車線の中心線LCと交差する点を走行目標点Pに設定する。これにより、ステップS2の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS3の処理に進む。
【0039】
ステップS3の処理では、理想操舵信号算出回路5が、ステップS2の処理により算出された走行目標点Pに到達するための理想操舵角S’を算出する。具体的には、理想操舵信号算出回路5は、車両の現在位置P0と走行目標点Pとを結ぶベクトルと車両の進行方向とがなす角度をυとした時に理想操舵角S’の値を2・G・υ・(v/L)(vは車速、Gは車両の操舵ゲインを示す)とする運転者モデルに対して、車両操作状態検出装置2及び環境状態検出装置3により検出された情報を入力することにより、ステップS2の処理により算出された走行目標点Pに到達するための理想操舵角S’を算出する。これにより、ステップS3の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS4の処理に進む。
【0040】
ステップS4の処理では、車両操作状態検出装置2が、車両の現在の操舵角Sを検出する。これにより、ステップS4の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS5の処理に進む。
【0041】
ステップS5の処理では、差異算出回路6が、ステップS3の処理により算出された理想操舵角S’とステップS4の処理により検出された車両の現在の操舵角Sとの差異δ(=S’−S)を算出する。これにより、ステップS5の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS6の処理に進む。
【0042】
ステップS6の処理では、操作精度推定回路7が、環境状態検出装置3により検出された車両周囲の運転環境の状態において要求される操舵操作の正確さ「a」を推定する。一般に、走行路の道幅が狭い時、走行路が混雑している時、車両が曲線路に進入する時、走行路の表面粗さが低い時等の走行シーンでは、操舵操作に正確さが要求される。一方、車両が長い直線路や高速道路を走行している時等の走行シーンでは、操舵操作に要求される正確さは低くなる。そこで本実施形態では、操作精度推定回路7は、走行シーンと操舵の正確さとの対応関係を示すマップを予め保持し、このマップを参照し、これにより、要求される操舵操作の正確さを推定する。具体的には、操作精度推定回路7は、図8に示すような、車両が走行している道路の道幅と要求される操舵操作の正確さとの対応関係を示すマップを予め保持し、環境状態検出装置3により検出された走行路の道幅に対応する操舵操作の正確さをマップから読み出すことにより、要求される操舵操作の正確さを推定する。これにより、ステップS6の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS7の処理に進む。
【0043】
ステップS7の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS1の処理により検出された、車両の走行車線の中心線LCと車両Aの走行位置との間の水平方向距離lnと、ステップS5の処理により算出された、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δと、及びステップS6の処理により推定された操舵の正確さ「a」とに基づいて、後述のステップS8の処理に用いるトルク出力則を変更する。本実施形態では、トルク出力則は、図9に実線L1で示すように、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δの大きさに比例した大きさのトルクを生成するパワーアシスト機構における出力則であり、トルクTは、比例定数をKとすると、T=K×δと表される。
【0044】
また、比例定数Kは、横方向距離lnと操舵操作の正確さ「a」との関数であり、例えば、数式:K=F(ln,a)=|ln|×a×K0により表される。すなわち、生成されるトルクは水平方向距離lnと操舵の正確さ「a」の大きさに応じて変更される。具体的には、水平方向距離ln及び操舵の正確さ「a」が大きくなるのに従って比例定数Kが大きくなり、トルク出力則は図9に点線L2で示すように変更される。一方、水平方向距離lnと操舵操作の正確さ「a」が小さくなるのに従って比例定数Kは小さくなり、トルク出力則は図9に点線L3で示すように変更される。これにより、ステップS7の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS8の処理に進む。
【0045】
ステップS8の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。第1の実施形態では、操舵系補助制御装置8は、操舵力を発生する機構として電動モータを有し、ステップS7の処理により設定されたトルク出力則に従ってモータ制御を実施する。この結果、運転者は操舵輪に付与された操舵トルクを操舵輪を介して体感することになる。なお、本実施形態では、トルク出力則として記述された、運転者の操舵操作に対する反発力が制御される。しかし、逆に運転者の非操作に対する誘導力を制御するようにしても良い。これにより、ステップS8の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0046】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置1によれば、走行目標点生成回路4が、車両の現在位置から車両が将来通過すべき走行目標点を算出し、理想操舵信号算出回路5が、走行目標点Pに到達するための理想操舵角S’を算出し、差異算出回路6が、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δを算出する。そして、操舵系補助制御装置8は、算出された差異δの大きさに基づいて操舵系を制御することにより、運転者の車両操作を支援する。そして、このような構成によれば、理想的な運転状態からの差異δの大きさに応じた操舵操作の支援を運転者に提供することが可能であるので、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力することができる。
【0047】
また、従来の車両操作支援装置は、車両操作支援を運転者に提供してから運転者が制御行動を起こすまでの時間遅れを取り戻すために支援制御量を増幅させた結果、発散傾向のシステムが生成されることがある。しかしながら、本発明の第1の実施形態の運転支援装置1によれば、上述のように、操舵系補助制御装置8が、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δの大きさに基づいて操舵系を制御するので、従来の車両操作支援装置とは異なり、本発明は、発散傾向のシステムになることを抑制することができる。
【0048】
また、本発明の第1の実施形態の車両操作支援装置1によれば、操作精度推定回路7が、環境状態検出装置3により検出された、車両の周囲の運転環境の状態において必要とされる操舵操作の正確さ「a」を推定し、操舵系補助制御装置8が、推定された操舵操作の正確さ「a」が高いほど操舵系の制御レベルを上げる。これにより、現在の運転環境における操舵操作の要求精度に合致した車両操作支援を運転者に提供することができる。
【0049】
また、本発明の第1の実施形態に係る車両操作支援装置1によれば、理想操舵信号算出回路5は、車両の現在位置P0と走行目標点Pとを結ぶベクトルと車両の進行方向とがなす角度をυとした時に理想操舵角S’の値を2・G・υ・(v/L)(vは車速、Gは車両の操舵ゲインを示す)とする運転者モデルに対して、車両操作状態検出装置2及び環境状態検出装置3により検出された情報を入力することにより、理想操舵角S’を算出する。このため、運転者の操舵特性を考慮することにより得られた制御経路によって、運転者の操舵操作を支援することができる。
【0050】
また、本発明の第1の実施形態の車両操作支援装置1によれば、操舵系補助制御装置8は、トルク出力則として記述された、運転者の操舵操作に対する反発力のレベルを制御することにより、操舵系の制御レベルを制御する。このため、操舵系を介して運転者が認識するトルクの変化による操舵操作の支援を運転者に提供することができる。
【0051】
第2の実施形態
次に、図10乃至図14を参照して、本発明の第2の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0052】
車両操作支援装置の構成
図10に示すように、本発明の第2の実施形態に係る車両操作支援装置20は、第1の実施形態に係る車両操作支援装置10における車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、差異算出回路6、及び操舵系補助制御装置8に加えて、走行可能領域算出回路21、近似走行領域生成回路22、走行目標経路生成回路23、操作信号予測回路24、及び車両操作負荷推定装置25を備える。
【0053】
走行可能領域算出回路21、近似走行領域生成回路22、走行目標経路生成回路23、操作信号予測回路24、及び車両操作負荷推定装置25は、それぞれ、本発明に係る移動可能領域算出手段、近似制御領域算出手段、理想制御経路生成手段、操作信号予測手段、及び車両操作負荷推定手段に対応する。これらの機能は、車両に搭載されたマイクロコンピュータが制御プログラムを実行することにより実現される。各要素の機能については後述する。
【0054】
このような構成を有する車両操作支援装置20は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図11に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置20の動作について説明する。
【0055】
車両操作支援制御処理
図11に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、車両操作支援制御処理はステップS11の処理に進む。この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0056】
ステップS11の処理では、環境状態検出装置3が、走行車線の中心線LCと車両Aの現在位置P0との間の水平方向距離ln(図5参照)と走行車線の道幅wr(図11参照)を算出する。これにより、ステップS11の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS12の処理に進む。
【0057】
ステップS12の処理では、環境状態検出装置3が、車両が走行している走行車線上に障害物が存在するか否かを判別する。障害物が存在する場合、図12に示すように、環境状態検出装置3は、車両Aの現在位置P0から障害物Oまでの距離ξと障害物の幅wOを検出する。これにより、ステップS12の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS13の処理に進む。
【0058】
ステップS13の処理では、走行可能領域算出回路21が、走行車線領域内において車両が走行可能な領域を算出する。具体的には、図12に示すように、走行可能領域算出回路21は、ステップS11、S12の処理により検出された、車両Aの走行車線の幅wrと障害物Oまでの距離ξと障害物wOとから、走行可能領域R1を算出する。これにより、ステップS13の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS14の処理に進む。
【0059】
ステップS14の処理では、近似走行領域生成回路22が、ステップS13の処理により算出された走行可能領域R1内に、走行車線に相当する走行領域を近似的に生成する。具体的には、近似走行領域生成回路22は、所定の道幅を各々有する曲線路及び直線路のテンプレートを予め保持し、図12に示すように、走行可能領域R1内に曲線路及び直線路のテンプレートの組合せを当て嵌めた際に最も面積の大きくなる曲線路及び直線路のテンプレートの組合せ(図12に示す例では曲線路のテンプレートRR1、RR2、RR3、RR4と直線路のテンプレートRS1との組み合わせ)を近似走行領域として決定する。これにより、ステップS14の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS15の処理に進む。
【0060】
ステップS15の処理では、走行目標経路生成回路23が、ステップS14の処理により生成された近似走行領域を走行する車両の経路を走行目標経路として算出する。具体的には、図11に示すように、走行目標経路生成回路23は、車両Aの現在位置P0からHメートル前方の近似走行領域の中央点をTとし、車両Aの現在位置P0と中央点Tとを結ぶベクトルと自車の進行方向とがなす角度をυとした時、数式S’=G×H×υにより求められる理想操舵角S’によって走行した場合の経路を走行目標経路として算出する。第2の実施形態では、Hの値は15[m]、Gの値は0.15である。しかし、Gの値は車種、運転者、環境の状態に応じて変更することが望ましい。これにより、ステップS15の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS16の処理に進む。
【0061】
ステップS16の処理では、操作信号予測回路24が、車両操作状態検出装置2により検出された情報を利用して、経路内における車両の1秒後の左右方向位置と進行方向角を算出する。第2の実施形態では、左右方向位置には、ステップS14の処理により算出された近似走行領域における左右位置を採用する。具体的には、ステップS15の処理により算出された走行目標経路を実現する理想操舵角S’を1秒間維持した場合に車両が到達する位置を採用する。また、進行方向角は、ステップS15の処理により算出された走行目標経路上における車両の進行方向角であって、具体的には、ステップS15の処理により算出された走行目標経路を実現する理想操舵角S’を1秒間維持した場合に車両が回転する角度である。これにより、ステップS16の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS17の処理に進む。
【0062】
ステップS17の処理では、差異算出回路6が、ステップS15の処理により算出された走行目標経路に対する、ステップS16の処理により算出された左右方向位置と進行方向角との差異を算出する。具体的には、差異算出回路6は、1秒後における車両の位置と走行目標経路との相対距離を算出することにより位置の差異dを算出し、1秒後における車両の進行方向角と走行目標経路との相対角度を算出することにより進行方向角の差異φを算出する。これにより、ステップS17の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS18の処理に進む。
【0063】
ステップS18の処理では、車両操作負荷推定装置25が、運転者の車両操作負荷WLを推定する。第2の実施形態では、車両操作負荷推定装置25は、本願発明の出願時点で公知のステアリングエントロピー手法を用いて運転者の車両操作負荷WLを推定する。例えば、運転者の心拍数等の生理指標等から推定するようにしても良い。運転者の車両操作負荷WLは、図12に示すように、要求される操舵操作の正確さ「a」が大きくなるのに応じて大きくなり、操舵操作の正確さ「a」との間に相関関係を有する。これにより、ステップS18の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS19の処理に進む。
【0064】
ステップS19の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS17の処理により算出された位置の差異d及び進行方向角の差異φとステップS18の処理により推定された運転者の運転操作負荷WLとに基づいて、トルク出力則を変更する。第2の実施形態では、トルク出力則は、数式:T=K1×(K2×d+K3×φ)のように表される。この数式における比例定数K1は、例えばK1=F(WL)=b×WLのように記述される、運転者の車両操作負荷WLの関数である。すなわち、第2の実施形態では、生成されるトルクTは運転者の車両操作負荷WLの大きさに応じて変更される。具体的には、運転者の車両操作負荷WL(=要求される操舵操作の正確さ)が大きくなるのに応じて、生成されるトルクは大きくなる。一方、運転者の車両操作負荷WL(=要求される操舵操作の正確さ)が小さくなるのに応じて、生成されるトルクは小さくなる。これにより、ステップS19の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS20の処理に進む。
【0065】
ステップS20の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。これにより、ステップS20の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0066】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態の車両操作支援装置20によれば、操作信号予測回路24が、車両の1秒後の左右方向位置と進行方向角を算出し、差異算出回路6が、走行目標経路に対する左右方向位置と進行方向角との差異を算出する。このような構成によれば、障害物が存在する走行環境においても、運転者の感覚に合致した操舵操作の支援を運転者に提供することができる。
【0067】
また、本発明の第2の実施形態の車両操作支援装置20によれば、車両操作負荷推定装置25が、運転者の車両操作負荷WLを推定し、操舵系補助制御装置8が、車両操作負荷WLに比例して操舵系の制御レベルを上げる。このような構成によれば、運転者の車両操作負荷WLが高いほど運転者に伝達される操舵輪における操舵トルクが大きくなる。そのため、過度の運転負荷により生じる操舵操作の遅れや不安定な操舵操作が抑止された車両操作の支援を運転者に提供することができる。
【0068】
なお、上記ステップS15の処理では、走行目標経路生成回路23は、数式S’=G×H×υにより求められる理想操舵角S’によって走行した場合の経路を走行目標経路として算出した。しかし、例えば数式S’=G1×ξ1+G2×ξ2により求められる理想操舵角S’によって走行した場合の経路を走行目標経路として算出しても良い。この数式中のパラメータξ1は、図14に示すように、車両Aの現在の進行方向と1秒後の中心線Lc上の位置P1とがなす角度を示す。また、パラメータξ2は、車両A前方の曲線路における内側の境界LRに外接する接線LPと車両Aの進行方向とがなす角度を示す。この数式中のパラメータG1、G2は、車両や運転者、走行環境によって変更することが望ましい。
【0069】
第3の実施形態
次に、図15乃至図18を参照して、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0070】
車両操作支援装置の構成
図15に示すように、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援装置30は、第1の実施形態に係る車両操作支援装置10における車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、理想操舵信号算出回路5、差異算出回路6、操作精度推定回路7、及び操舵系補助制御装置8に加えて、天候判別装置31、時間帯判別装置32、及び走行目標点生成・補正回路33を備える。
【0071】
天候判別装置31は、本発明に係る天候判別手段に対応する。天候判別装置31は、雨滴センサや照度センサを備え、車両の運転操作時の天候を判別する。時間帯判別装置32は、本発明に係る時間帯判別手段に対応する。時間帯判別装置32は、時計等の計時装置を備え、車両の運転操作時の時間帯を判別する。走行目標点生成・補正回路33は、本発明に係る理想制御経路生成手段に対応する。走行目標点生成・補正回路33の機能は、車両に搭載されたマイクロコンピュータが制御プログラムを実行することにより実現される。走行目標点生成・補正回路33の機能については後述する。
【0072】
このような構成を有する車両操作支援装置30は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図15に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置30の動作について説明する。
【0073】
車両操作支援制御処理
図16に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、車両操作支援制御処理はステップS31の処理に進む。なお、この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。また、ステップS31の処理は、図4に示すステップS1の処理と同じであるので、以下ではその説明を省略し、ステップS32の処理から説明を始める。
【0074】
ステップS32の処理では、天候判別装置31が車両周囲の天候を判別し、時間帯判別装置32が現在の時間帯を判別する。具体的には、雨滴センサにより雨滴が検出された場合、天候判別装置31は、車両周囲の天候が雨であると判別する。また、時間帯判別装置32は、現在の時間帯を早朝、日中、夕方、夜間に区分して判別する。これにより、ステップS32の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS33の処理に進む。
【0075】
ステップS33の処理では、走行目標点生成・補正回路33が、ステップS32の処理結果に基づいて、走行目標点を生成、補正する。具体的には、走行目標点生成・補正回路33は、ステップS31の処理により検出された車両の現在位置に基づいて、車両の進行方向における車線中央位置を車両が将来通過すべき走行目標点として算出する。引き続き、ステップS32の処理により判別された天候が雨又はこのように判別された時間帯が夜間である場合、走行目標点生成・補正回路33は、算出された走行目標点をH1[m]先の車線中央位置に補正する。また、天候が晴れであり、且つ、時間帯が早朝又は夕方である場合には、算出された走行目標点をH2(>H1)[m]先の車線中央位置に補正する。天候が晴れであり、時間帯が日中である場合には、走行目標点生成・補正回路33は、算出された走行目標点をH3(>H2)[m]先の車線中央位置に補正する。これにより、ステップS33の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS34の処理に進む。
【0076】
ステップS34の処理では、理想操舵信号算出回路5が、ステップS33の処理により算出された走行目標点に到達するための理想操舵角S’を算出する。具体的には、理想操舵信号算出回路5は、車両の現在位置P0と走行目標点Pとを結ぶベクトルと車両の進行方向とがなす角度をυとした時に理想操舵角S’の値を2・G”・υ・(v/L)(vは車速、G”は車両の操舵ゲインを示す)とする運転者モデルに対して、車両操作状態検出装置2及び環境状態検出装置3により検出された情報を入力することにより、ステップS33の処理により算出された走行目標点に到達するための理想操舵角S’を算出する。なお、操舵ゲインG”は、ステップS32により判別された天候が雨又は時間帯が夜間である場合はG1、天候が晴れであり、且つ、時間帯が早朝又は夕方である場合にはG2(<G1)、天候が晴れであり、且つ、時間帯が日中である場合にはG3(<G2)とする。これにより、ステップS34の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS35の処理に進む。
【0077】
ステップS35の処理では、車両操作状態検出装置2が、車両の現在の操舵角Sを検出する。これにより、ステップS35の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS36の処理に進む。
【0078】
ステップS36の処理では、差異算出回路6が、ステップS34の処理により算出された理想操舵角S’とステップS35の処理により検出された車両の現在の操舵角Sとの差異δ(=S’−S)を算出する。これにより、ステップS36の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS37の処理に進む。
【0079】
ステップS37の処理では、操作精度推定回路7が、ステップS32の処理により判別された車両周囲の天候と現在の時間帯において必要とされる操舵の正確さ「a」とを推定する。一般に、車両周囲の天候、照度、及び車両が走行している時間帯は、図17(a)、(b)、(c)に示すように、操舵操作の正確さ「a」との間に相関関係を有する。そこで第3の実施形態では、操作精度推定回路7は、図16(a)、(b)、(c)に示すマップを予め保持し、ステップS32の処理により判別された車両周囲の天候と現在の時間帯に対応する操舵の正確さ「a」とをマップから読み出すことにより、必要とされる操舵の正確さ「a」を推定する。これにより、ステップS37の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS38の処理に進む。
【0080】
ステップS38の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS31の処理により検出された、車両の走行車線の中心線LCと車両Aの走行位置との間の水平方向距離lnと、ステップS36の処理により算出された理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sの差異δ、及びステップS37の処理により推定された操舵操作の正確さ「a」とに基づいて、トルク出力則を変更する。これにより、ステップS38の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS39の処理に進む。
【0081】
ステップS39の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。これにより、ステップS39の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0082】
以上の説明から明らかなように、本発明の第3の実施形態に係る車両操作支援装置30によれば、天候判別装置31が車両操作時の天候を判別し、時間帯判別装置32が車両操作時の時間帯を判別する。そして、天候判別装置31によって判別された天候が悪い場合及び/又は時間帯判別装置32によって判別された時間帯が夜間である場合、走行目標点生成・補正回路33が、判別された天候及び時間帯に応じて走行目標点の位置を補正し、操舵系補助制御装置8が操舵系の制御レベルを上げる。そのため、より安定的な車両操作の支援を運転者に提供することができる。
【0083】
なお、本実施形態では、走行目標点生成・補正回路33は、1回の処理で走行目標点を1つのみ算出する。しかしながら、1回の処理で複数の走行目標点を時系列的に算出しても良い。またこの場合、走行目標点生成・補正回路33は、図17に示すように、算出する走行目標点の数を、ステップS37の処理により算出される操舵の正確さ「a」に応じて変更しても良い。
【0084】
第4の実施形態
次に、図19乃至図23を参照して、本発明の第4の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0085】
車両操作支援装置の構成
図19に示すように、本発明の第4の実施形態に係る車両操作支援装置40は、第1の実施形態に係る車両操作支援装置10における車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、差異算出回路6、及び操舵系補助制御装置8と、第2の実施形態に係る車両操作支援装置20における操作信号予測回路24とに加えて、運転技量推定装置41、走行目標点生成・補正回路42、及び漫然運転検出装置43を備える。
【0086】
運転技量推定装置41は、本発明に係る車両操作技量推定手段に対応する。運転技量推定装置41は、本願発明の出願時点で公知の、運転者の操舵操作における修正操舵の頻度から運転者の運転技量を推定する技術を利用して、運転者の運転技量を推定する。走行目標点生成・補正回路42は、本発明に係る理想制御経路生成手段に対応する。走行目標点生成・補正回路42の機能(動作)は、車両に搭載されたマイクロコンピュータが制御プログラムを実行することにより実現される。走行目標点生成・補正回路42の機能については後述する。漫然運転検出装置43は、本発明に係る漫然操作運転検出手段に対応する。漫然運転検出装置43は、本願発明の出願時点で公知の、運転者の操舵操作において操舵を実施していない時間の長さやその発生頻度から漫然運転を検出する技術を利用して、運転者の漫然運転を推定する。
【0087】
このような構成を有する車両操作支援装置40は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図19に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置40の動作について説明する。
【0088】
車両操作支援制御処理
図20に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、車両操作支援制御処理はステップS41の処理に進む。なお、この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。また、ステップS41、42の処理は、図11に示すステップS11、S12の処理と同じであるので、以下ではその説明を省略し、ステップS43の処理から説明を始める。
【0089】
ステップS43の処理では、運転技量推定装置41が、運転者の運転技量を推定する。本実施形態では、運転技量推定装置41は、車両操作状態検出装置2に設けられた操舵角センサを介して検出される修正操舵の頻度が多いほど運転者の運転技量が低いと推定する。これにより、ステップS43の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS44の処理に進む。
【0090】
ステップS44の処理では、走行目標点生成・補正回路42が、ステップS43の処理により推定された運転者の運転技量に基づいて、走行目標点を生成、補正する。具体的には、走行目標点生成・補正回路42は、図21に示すように、車両Aが障害物Oの位置に到達する際に車両Aが走行可能な経路幅の中間位置P1を走行目標点として算出する。そして、走行目標点生成・補正回路42は、ステップS43の処理により推定された運転者の運転技量が高い場合には、走行目標点の位置を可能な限り障害物Oに接近した位置に補正する。すなわち、図21に示すように、車両Aが走行車線の中央から距離ωだけオフセットした位置P0に位置している場合には、車両Aが距離L0[m]走行する間に位置P1に到達するためには、車両は距離ζ(=ω+w0/2)だけ左右方向に移動する必要がある。そこで、ステップS43の処理により推定された運転技量が高い場合、走行目標点生成・補正回路42は、可能な限り障害物に接近した走行目標点を得るために、距離ζから距離σを減算し、位置P0から位置P1に到達するまでの中間地点として位置P0から相対的に(L0/2,ζ/2)の地点である位置P2を設定する。これにより、ステップS44の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS45の処理に進む。
【0091】
ステップS45の処理では、理想操舵信号算出回路5が、ステップS44の処理により算出された走行目標点に到達するための理想操舵角S’を算出する。具体的には、理想操舵信号算出回路5は、車両Aが位置P0から位置P2に移動する間は、理想操舵角S’の値をG×(L0/2)×(ζ/2)(Gは車両の操舵ゲインを示す)とする運転者モデルに対して、車両Aが位置P2から位置P1に移動する間は、理想操舵角S’の値を−G×(L0/2)×(ζ/2)とする運転者モデルに対して、車両操作状態検出装置2及び環境状態検出装置3により検出された情報を入力することにより、ステップS44の処理により算出された走行目標点に到達するための理想操舵角S’を算出する。これにより、ステップS44の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS45の処理に進む。
【0092】
ステップS46の処理では、操作信号予測回路24が、車両操作状態検出装置2により検出された情報を利用して、車両の1秒後の左右方向位置と進行方向角を算出する。なお、この処理は、図11に示すステップS16の処理と同じであるので、その詳細な説明は省略する。これにより、ステップS46の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS47の処理に進む。
【0093】
ステップS47の処理では、差異算出回路6が、ステップS45の処理により算出された理想操舵角S’に対する、ステップS46の処理により算出された左右方向位置と進行方向角との差異を算出する。なお、この処理は、図10に示すステップS17の処理と同じであるので、その詳細な説明は省略する。これにより、ステップS47の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS48の処理に進む。
【0094】
ステップS48の処理では、漫然運転検出装置43が、運転者が漫然運転を行っているか否かを判別する。具体的には、漫然運転検出装置43は、車両操作状態検出装置2に設けられた操舵角センサを介して検出される操舵の頻度が少ない場合、運転者が漫然運転を行っていると判定する。これにより、ステップS48の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS49の処理に進む。
【0095】
ステップS49の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS48の判別処理の結果に基づいてトルク出力則を変更する。本実施形態では、トルク出力則は、図22に実線L1で示すように、理想操舵角S’と車両の現在の操舵角Sとの差異δの大きさに比例してトルクを生成するパワーアシスト機構における出力則である。トルクTは、比例定数をKとするとT=K×δと表される。そして、運転者の漫然運転が検出された場合、トルク出力則は図22に示す比例定数が比例定数Kより大きい点線L2で示すように変更され、その結果として、通常時よりも大きいトルクが出力される。これにより、ステップS49の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS50の処理に進む。
【0096】
ステップS50の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。これにより、ステップS50の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0097】
以上の説明から明らかなように、本発明の第4の実施形態の車両操作支援装置40によれば、運転技量推定装置41が運転者の運転技量を推定する。運転者の運転技量が低い場合、走行目標点生成・補正回路42が走行目標点を補正し、操舵系補助制御装置8が操舵系の制御レベルを上げる。このため、運転者を誘導支援するために生成する走行目標点を運転者の運転技量に則したものに補正することができ、その結果として、運転者の技量に則した走行目標経路による車両操作の支援を運転者に提供することができる。
【0098】
また、本発明の第4の実施形態の車両操作支援装置40によれば、漫然運転検出装置43によって運転者の漫然運転が検出された場合、操舵系補助制御装置8が、運転者に伝達される、操舵輪における操舵トルクを大きくするので、漫然運転により生じる操舵の遅れや不安定な操舵が抑止された車両操作の支援を運転者に提供することができる。 なお、上記ステップS44の処理では、距離L0を固定値であるが、図22に示すように、運転者の運転技量の大きさに応じて距離L0を変化させても良い。
【0099】
第5の実施形態
最後に、図24乃至図26を参照して、本発明の第5の実施形態に係る車両操作支援装置の構成について説明する。
【0100】
車両操作支援装置の構成
図24に示すように、本発明の第5の実施形態に係る車両操作支援装置50は、第1の実施形態に係る車両操作支援装置10における車両操作状態検出装置2、環境状態検出装置3、差異算出回路6、及び操舵系補助制御装置8と、第2の実施形態に係る車両操作支援装置20における走行目標経路生成回路23と操作信号予測回路24とに加えて、車線変更意図推定装置51、合流意図判定装置52、及び操舵履歴記憶回路53を備える。
【0101】
車線変更意図推定装置51は、本発明に係る車線変更意図推定手段に対応する。車線変更意図推定装置51は、本願発明の出願時点で公知のパターンマッチング手法を用いることにより、車両の前方を走行する先行車両との車間距離や相対速度を推定し、且つ、ターンシグナルのオン/オフから運転者の車線変更の意図を推定する技術を利用して、運転者の車線変更の意図を推定する。
【0102】
合流意図判定装置52は、本発明に係る合流意図推定手段に対応する。合流意図判定装置52はナビゲーション装置を備え、車両が合流車線を走行し、且つ、ターンシグナルがオンである場合、運転者に合流の意図があると判定する。操舵履歴記憶回路53は、本発明に係る操舵角履歴記憶手段に対応する。操舵履歴記憶回路53は、ROM等の不揮発性の記憶装置により構成され、過去の車線変更時や合流時の操舵角の時系列変化を記憶する。
【0103】
このような構成を有する運転操作支援装置50は、以下に示す車両操作支援制御処理を実行することにより、運転者による車両に対する車両操作の状態や車両周囲の環境に適した車両操作支援制御を出力する。以下、図24に示すフローチャートを参照して、この車両操作支援制御処理を実行する際の車両操作支援装置50の動作について説明する。
【0104】
車両操作支援制御処理
図25に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、車両操作支援制御処理はステップS61の処理に進む。なお、この車両操作支援制御処理は、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。また、ステップS61の処理は、図4に示すステップS11の処理と同じであるので、以下ではその説明を省略し、ステップS62の処理から説明を始める。
【0105】
ステップS62の処理では、車線変更意図推定装置51が、運転者に車線変更の意図があるか否かを判別する。判別の結果、運転者に車線変更の意図がある場合、車線変更意図推定装置51は、車両操作支援制御処理をステップS65の処理に進める。一方、運転者に車線変更の意図がない場合には、車線変更意図推定装置51は、車両操作支援制御処理をステップS63の処理に進める。
【0106】
ステップS63の処理では、合流意図判定装置52が、運転者に被合流車線への合流意図があるか否かを判別する。判別の結果、運転者に合流意図がある場合、合流意図判定装置52は、車両操作支援制御処理をステップS65の処理に進める。一方、運転者に合流意図がない場合には、合流意図判定装置52は、車両操作支援制御処理をステップS64の処理に進める。
【0107】
ステップS64の処理では、環境状態検出装置3が、車両が走行している車線に隣接する車線の混雑度を検出する。具体的には、環境状態検出装置3は、レーザレーダや超音波センサを利用して、車両が走行している車線に隣接する車線に車両が存在するか否かを検出し、所定時間内における車両の検出台数を混雑度として検出する。これにより、ステップS64の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS67の処理に進む。
【0108】
ステップS65の処理では、環境状態検出装置3が、車両がこれから進入する被進入車線における混雑度を検出する。具体的には、環境状態検出装置3は、レーザレーダや超音波センサを利用して、被進入車線に車両が存在するか否かを検出し、所定時間内における車両の検出台数を混雑度として検出する。これにより、ステップS65の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS66の処理に進む。
【0109】
ステップS66の処理では、走行目標経路生成回路23が、操舵履歴記憶回路53に記憶されている過去の車線変更時又は合流時の操舵角の時系列変化に関する情報を取得する。一般に、車線変更や合流を行う際、運転者は定型的な時系列変化で操舵操作を行う。そこで第5の実施形態では、操舵履歴記憶回路53が、過去の車線変更時又は合流時の操舵角の時系列変化を操舵履歴として内部に保持し、走行目標経路生成回路23は、適宜前記当する操舵角の時系列変化を操舵履歴として取得する。これにより、ステップS66の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS67の処理に進む。
【0110】
ステップS67の処理では、走行目標経路生成回路23が、車線変更及び合流意図が検出されなかった場合と車線変更と合流意図の少なくとも一方が検出された場合とに分けて走行目標経路を生成する。具体的には、車線変更及び合流意図が検出されなかった場合、走行目標経路生成回路23は、車両の前方H[m]の位置における走行車線の中央点をTとし、車両の現在位置と中央点Tとを結ぶベクトルと車両の進行方向とがなす角度をυとした時、理想操舵角S=G×H×υによって走行した場合の経路を、走行目標経路として生成する。一方、車線変更と合流意図の少なくとも一方が検出された場合には、走行目標経路生成回路23は、ステップS66の処理により取得した過去の操舵履歴によって走行した場合の経路を、走行目標経路として生成する。これにより、ステップS67の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS68の処理に進む。
【0111】
ステップS68の処理では、操作信号予測回路24が、車両操作状態検出装置2により検出された情報を利用して、経路内における車両の1秒後の左右方向位置と進行方向角を算出する。なお、この処理は、図11に示すステップS16の処理と同じであるので、その詳細な説明は省略する。これにより、ステップS68の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS69の処理に進む。
【0112】
ステップS69の処理では、差異算出回路6が、ステップS67の処理により生成された理想操舵角S’に対する、ステップS46の処理により算出された左右方向位置と進行方向角との差異を算出する。なお、この処理は、図11に示すステップS17の処理と同じであるので、その詳細な説明は省略する。これにより、ステップS69の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS70の処理に進む。
【0113】
ステップS70の処理では、操舵系補助制御装置8が、ステップS64及びステップS65の処理により検出された混雑度に基づいて、トルク出力則を変更する。第5の実施形態におけるトルク出力則は、図26に実線L1で示すように、ステップS69の処理により算出された差異δの大きさに比例してトルクを生成するパワーアシスト機構における出力則である。なお、トルクTは、比例定数をKとするとT=K×δと表される。そして、混雑度が大きくなるのに応じて比例定数Kが大きくなり、トルク出力則は図25に点線L2で示すように変更される。一方、混雑度が小さくなるのに応じて比例定数Kが小さくなり、トルク出力則は図25に点線L3で示すように変更される。これにより、ステップS70の処理は完了し、車両操作支援制御処理はステップS71の処理に進む。
【0114】
ステップS71の処理では、操舵系補助制御装置8が、操舵輪に対し操舵トルクを発生する制御を実施する。これにより、ステップS71の処理は完了し、一連の車両操作支援制御処理は終了する。
【0115】
以上の説明から明らかなように、本発明の第5の実施形態の車両操作支援装置50によれば、環境状態検出装置3が、車両が走行している車線に隣接する車線や車両がこれから進入する被進入車線における混雑度を検出し、操舵系補助制御装置8が、混雑度が大きくなるのに応じて、操舵系の制御レベルを上げる。そのため、運転者による不安定な操舵が発生する可能性が高い場面においても、操舵操作を安定化させる支援を運転者に提供することができる。
【0116】
また、本発明の第5の実施形態の車両操作支援装置50によれば、運転者の車線変更の意図や合流意図が推定された場合、走行目標経路生成回路23は、過去の操舵履歴に基づいて走行した場合の経路を走行目標経路として生成するので、運転者間においてばらつきが大きい操舵の場面においても、運転者の感覚に合致した車両操作の支援を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、制御対象物に対する操作者の制御操作を支援する技術に適用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの操作者を支援する支援制御装置が設けられたシステムであって、
システムの操作状態に関する情報を検出するシステム状態検出部と、
少なくとも前記システム状態検出部により検出されたシステム状態に依存して、前記システムの理想状態を生成する理想状態生成部と、
前記理想状態生成部により生成された理想状態に沿って動作するように、前記システムに対する理想入力を算出する理想入力算出部と、
操作者の制御動作を前記システムに対する制御信号に変換するシステム入力インターフェースと、
前記理想入力算出部により算出された理想入力と前記システムに対して前記システム入力インターフェースが提供する実際の制御信号との差異を算出する差異算出部と、
を備え、
前記システム入力インターフェースは前記支援制御装置を備え、前記支援制御装置は、前記システムの動作において操作者を支援するように、前記差異算出部により算出された差異に依存して、操作者の制御動作を前記システムに対する制御信号に変換することに関連する少なくとも一つの変換パラメータを定めることを特徴とするシステム。
【請求項2】
制御対象物の制御のための、マニピュレータに対する操作者の制御操作を支援する制御操作支援装置であって、
前記制御対象物の状態に関する情報を検出する制御対象物状態検出部と、
前記マニピュレータの状態に関する情報を検出するマニピュレータ状態検出部と、
前記制御対象物の周囲の制御操作環境の状態に関する情報を検出する環境状態検出部と、
前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態と前記環境状態検出部により検出された環境状態とに関する情報から、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスを生成する理想相互作用生成部と、
前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、マニピュレータに対する理想インピーダンスを生成する理想マニピュレータインピーダンス生成部と、
前記理想マニピュレータインピーダンス生成部により生成された理想マニピュレータインピーダンスに基づいてマニピュレータのインピーダンスを制御することにより、制御対象物と環境との間に所望の相互作用ダイナミックスを生成するマニピュレータインピーダンス制御装置支援システムと、
前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、理想マニピュレータ制御信号を生成する理想マニピュレータ制御信号生成部と、
前記理想マニピュレータ制御信号生成部により生成された理想マニピュレータ制御信号と前記マニピュレータ状態検出部により検出されたマニピュレータの状態との間の差異を算出するマニピュレータ制御信号差異算出部と、
前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、制御対象物の制御操作に要求される精度を推定する操作精度推定部と、
前記操作精度推定部により推定された要求精度から、制御差異インピーダンスを生成する制御差異インピーダンス生成部と、
前記マニピュレータ制御信号差異算出部により算出された差異の大きさと前記制御差異インピーダンス生成部により算出された差異インピーダンスとに基づいて、アクチュエータにより生成される付加トルクを制御することにより、マニピュレータに対する操作者の制御操作を支援して、要求される操作精度を達成するアクチュエータトルク制御装置支援システムと、
を備えることを特徴とする制御操作支援装置。
【請求項3】
前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態と前記環境状態検出部により検出された環境状態とに関する情報から、制御対象物に対する理想制御経路を生成する理想制御経路生成部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の制御操作支援装置。
【請求項4】
前記理想マニピュレータ制御信号として、前記理想制御経路生成部により生成された理想制御経路に沿って走行するように制御対象物を制御する制御信号プロフィールを生成する理想マニピュレータ制御信号生成部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の制御操作支援装置。
【請求項5】
前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態に関する情報に基づいて、所定の将来の時点に至ったときの制御操作状態に関する情報を予測する制御信号予測部を更に備え、
前記マニピュレータ制御信号差異算出部は、前記理想マニピュレータ制御信号生成部により生成された、所定の将来の時点に至ったときの理想マニピュレータ制御信号と、前記制御信号予測部により予測された、所定の将来の時点に至ったときの制御操作状態に関する情報との差異を算出することを特徴とする請求項4に記載の制御操作支援装置。
【請求項6】
前記理想マニピュレータ制御信号算出部は、前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態に関する情報と、前記環境状態検出部により検出された制御操作環境の状態に関する情報とから、操作者モデルを用いて理想マニピュレータ制御信号を算出することを特徴とする請求項4又は5に記載の制御操作支援装置。
【請求項7】
前記制御対象物状態検出部は、制御対象物の状態に関する情報として、制御対象物の方位、速度、進行方向角、加速度、及びマニピュレータの値のうちの少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項8】
前記環境状態検出部は、前記制御操作環境の状態に関する情報として、制御対象物の周囲に存在する障害物と、前記制御対象物が走行する経路に沿った、直線・曲線障壁、幅、及び粗さと、制御対象物に隣接する移動体とのうちの少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項9】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記制御対象物の力出力則を適正にして制御対象物を制御し、力出力則として記述された、操作者のマニピュレータに対する制御操作に付加される力のレベルを制御することにより、制御操作の支援レベルを制御することを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項10】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、力出力則として記述された、制御対象物の力出力則を参照して制御対象物を制御することにより、制御操作の支援レベルを制御することを特徴とする請求項9に記載の制御操作支援装置。
【請求項11】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、操作者のマニピュレータに対する制御操作に付加される力のレベルを制御することにより、制御操作の支援レベルを制御することを特徴とする請求項9に記載の制御操作支援装置。
【請求項12】
操作者の制御操作負荷を推定する制御操作負荷推定部を更に備え、
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記制御操作負荷推定部により推定された制御操作負荷が大きくなるのに応じて、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項2乃至11のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項13】
前記力出力則は、前記アクチュエータのトルク出力則であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項14】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記制御差異インピーダンス生成部により生成された制御差異インピーダンスに応じてトルク出力則を変更することを特徴とする請求項13に記載の制御操作支援装置。
【請求項15】
前記環境状態検出部により検出された制御操作環境の状態に関する情報から、制御対象物が移動可能な領域の幅を算出する移動可能領域算出部と、
前記移動可能領域算出部により算出された移動可能領域を複数の曲線領域及び直線領域により近似する近似制御領域算出部とを備え、
前記環境状態検出部が、操作対象物の周囲に障害物を検出した場合、前記理想相互作用生成部は、前記近似制御領域算出部により近似された領域内に理想相互作用経路を生成することを特徴とする請求項2乃至14のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項16】
操作者の制御操作技量を推定する制御操作技量推定部を更に備え、
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記制御操作技量推定部により推定された操作者の制御操作技量が小さくなるのに応じて、制御操作の制御レベルを上げることを特徴とする請求項2乃至15のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項17】
制御操作時の制御条件を判別する制御条件判別部及び/又は制御操作時の時間帯を判別する時間帯判別部を更に備え、
前記制御条件判別部により判別された制御条件が悪い場合及び/又は前記時間帯判別部により判別された時間帯が夜間である場合、前記理想相互作用生成部は、生成した理想制御経路を適正にし、前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項15又は16に記載の制御操作支援装置。
【請求項18】
操作者の操作が低下したことを検出する操作低下検出部を更に備え、
前記操作低下検出部により操作者の操作が低下したことが検出された場合、前記理想相互作用生成部は、生成した理想制御経路を補正し、前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項19】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記環境状態検出部により検出されて制御対象物に隣接する移動体の数が多くなるのに応じて、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項2乃至18のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項20】
前記制御対象物は車両であり、
前記装置は、操作者の車線変更の意図を推定する車線変更意図推定部と、過去の車線変更時に前記制御対象物状態検出部により検出された、車両の操舵角の時系列変化に関する情報を記憶する第1の操舵角プロフィール記憶部と、を更に備え、
前記車線変更意図推定部により操作者の車線変更の意図が推定された場合、前記理想マニピュレータ制御信号生成部は、前記第1の操舵角プロフィール記憶部が記憶している車両の操舵角の時系列変化に関する情報を参照することにより、過去の車線変更時における車両の操舵プロフィールを理想マニピュレータ制御信号として生成することを特徴とする請求項2乃至19のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項21】
操作者の合流意図を推定する合流意図推定部と、
過去の合流時に前記制御対象物状態検出部により検出された、操舵角の時系列変化に関する情報を記憶する第2の操舵角プロフィール記憶部と、
を更に備え、
前記合流意図推定部により操作者の合流意図が推定された場合、前記理想マニピュレータ制御信号生成部は、前記第2の操舵角プロフィール記憶部が記憶している、車両の操舵角の時系列変化に関する情報を参照することにより、過去の合流時における車両の操舵プロフィールを理想マニピュレータ制御信号として算出し、さらに、前記環境状態検出部が被合流車線を走行する車両を所定数以上検出した場合、前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項20に記載の制御操作支援装置。
【請求項22】
制御対象物の制御に対する操作者の制御操作を支援する制御操作支援方法であって、
操作者の制御操作状態に関する情報と制御対象物の周囲の制御操作環境に関する情報とから制御対象物の理想制御経路を生成する工程と、
生成された理想制御経路に沿って制御対象物が動作するように、操作システムの制御プロフィールを理想制御信号として算出する工程と、
算出された理想制御信号と制御操作状態に関する情報との差異を算出する工程と、
算出された差異の大きさに基づいて操作システムを制御することにより、操作システムに対する操作者の操作を支援する工程と、
制御操作状態に関する情報及び/又は制御操作環境に関する情報から、制御対象物の制御操作に要求される正確さを推定する工程と、
を有し、
操作者の操作を支援する前記工程において、推定された正確さが高くなるのに応じて操作システムの支援レベルを上げることを特徴とする制御操作支援方法。
【請求項23】
操作対象物に対する操作者の車両操作を支援する運転操作支援装置であって、
操作者の車両操作状態に関する情報を検出する車両操作状態検出部と、
前記操作対象物の周囲の車両操作環境に関する情報を検出する環境状態検出部と、
前記車両操作状態検出部により検出された車両操作状態に関する情報と前記環境状態検出部により検出された車両操作環境に関する情報とから、前記操作対象物の理想制御経路を生成する理想制御経路生成部と、
前記操作対象物が前記理想制御経路生成部により生成された理想制御経路に沿って動作するように、操作システムの制御履歴を理想制御信号として算出する理想制御信号算出部と、
前記理想制御信号算出部により算出された理想制御信号と前記車両操作状態検出部により検出された車両操作状態に関する情報との間の差異を算出する差異算出部と、
前記差異検出部により算出された差異の大きさに基づいて前記操作システムを制御して、前記操作システムに対する操作者の操作を支援する制御を実行する操作システム支援制御装置と、
前記車両操作状態検出部により検出された車両操作状態に関する情報及び/又は前記環境状態検出部により検出された車両操作環境に関する情報から、前記操作対象物の車両操作に要求される正確さを推定する操作精度推定部と、
を備え、
前記操作システム支援制御装置は、前記操作精度推定部により推定された正確さが高くなるのに応じて、操作システムの制御レベルを上げることを特徴とする運転操作支援装置。
【請求項24】
操作対象物に対する操作者の車両操作を支援する運転操作支援方法であって、
前記操作者の車両操作状態に関する情報と前記操作対象物の周囲の車両操作環境に関する情報とから、前記操作対象物の理想制御経路を生成する工程と、
生成された理想制御経路に沿って前記操作対象物が動作するように、操作システムの制御履歴を理想制御信号として算出する工程と、
算出された理想制御信号と車両操作状態に関する情報との間の差異を算出する工程と、
算出された差異の大きさに基づいて前記操作システムを制御して、前記操作システムに対する操作者の操作を支援する工程と、
前記車両操作状態に関する情報及び/又は車両操作環境に関する情報から、前記操作対象物の車両操作に要求される正確さを推定する工程と、
を有し、
前記操作者の操作を支援する工程では、推定された正確さが高くなるのに応じて、前記操作システムの制御レベルを上げることを特徴とする運転操作支援方法。
【請求項1】
システムの操作者を支援する支援制御装置が設けられたシステムであって、
システムの操作状態に関する情報を検出するシステム状態検出部と、
少なくとも前記システム状態検出部により検出されたシステム状態に依存して、前記システムの理想状態を生成する理想状態生成部と、
前記理想状態生成部により生成された理想状態に沿って動作するように、前記システムに対する理想入力を算出する理想入力算出部と、
操作者の制御動作を前記システムに対する制御信号に変換するシステム入力インターフェースと、
前記理想入力算出部により算出された理想入力と前記システムに対して前記システム入力インターフェースが提供する実際の制御信号との差異を算出する差異算出部と、
を備え、
前記システム入力インターフェースは前記支援制御装置を備え、前記支援制御装置は、前記システムの動作において操作者を支援するように、前記差異算出部により算出された差異に依存して、操作者の制御動作を前記システムに対する制御信号に変換することに関連する少なくとも一つの変換パラメータを定めることを特徴とするシステム。
【請求項2】
制御対象物の制御のための、マニピュレータに対する操作者の制御操作を支援する制御操作支援装置であって、
前記制御対象物の状態に関する情報を検出する制御対象物状態検出部と、
前記マニピュレータの状態に関する情報を検出するマニピュレータ状態検出部と、
前記制御対象物の周囲の制御操作環境の状態に関する情報を検出する環境状態検出部と、
前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態と前記環境状態検出部により検出された環境状態とに関する情報から、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスを生成する理想相互作用生成部と、
前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、マニピュレータに対する理想インピーダンスを生成する理想マニピュレータインピーダンス生成部と、
前記理想マニピュレータインピーダンス生成部により生成された理想マニピュレータインピーダンスに基づいてマニピュレータのインピーダンスを制御することにより、制御対象物と環境との間に所望の相互作用ダイナミックスを生成するマニピュレータインピーダンス制御装置支援システムと、
前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、理想マニピュレータ制御信号を生成する理想マニピュレータ制御信号生成部と、
前記理想マニピュレータ制御信号生成部により生成された理想マニピュレータ制御信号と前記マニピュレータ状態検出部により検出されたマニピュレータの状態との間の差異を算出するマニピュレータ制御信号差異算出部と、
前記理想相互作用生成部により生成された、制御対象物と環境との間の理想相互作用ダイナミックスから、制御対象物の制御操作に要求される精度を推定する操作精度推定部と、
前記操作精度推定部により推定された要求精度から、制御差異インピーダンスを生成する制御差異インピーダンス生成部と、
前記マニピュレータ制御信号差異算出部により算出された差異の大きさと前記制御差異インピーダンス生成部により算出された差異インピーダンスとに基づいて、アクチュエータにより生成される付加トルクを制御することにより、マニピュレータに対する操作者の制御操作を支援して、要求される操作精度を達成するアクチュエータトルク制御装置支援システムと、
を備えることを特徴とする制御操作支援装置。
【請求項3】
前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態と前記環境状態検出部により検出された環境状態とに関する情報から、制御対象物に対する理想制御経路を生成する理想制御経路生成部を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の制御操作支援装置。
【請求項4】
前記理想マニピュレータ制御信号として、前記理想制御経路生成部により生成された理想制御経路に沿って走行するように制御対象物を制御する制御信号プロフィールを生成する理想マニピュレータ制御信号生成部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の制御操作支援装置。
【請求項5】
前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態に関する情報に基づいて、所定の将来の時点に至ったときの制御操作状態に関する情報を予測する制御信号予測部を更に備え、
前記マニピュレータ制御信号差異算出部は、前記理想マニピュレータ制御信号生成部により生成された、所定の将来の時点に至ったときの理想マニピュレータ制御信号と、前記制御信号予測部により予測された、所定の将来の時点に至ったときの制御操作状態に関する情報との差異を算出することを特徴とする請求項4に記載の制御操作支援装置。
【請求項6】
前記理想マニピュレータ制御信号算出部は、前記制御対象物状態検出部により検出された制御対象物の状態に関する情報と、前記環境状態検出部により検出された制御操作環境の状態に関する情報とから、操作者モデルを用いて理想マニピュレータ制御信号を算出することを特徴とする請求項4又は5に記載の制御操作支援装置。
【請求項7】
前記制御対象物状態検出部は、制御対象物の状態に関する情報として、制御対象物の方位、速度、進行方向角、加速度、及びマニピュレータの値のうちの少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項8】
前記環境状態検出部は、前記制御操作環境の状態に関する情報として、制御対象物の周囲に存在する障害物と、前記制御対象物が走行する経路に沿った、直線・曲線障壁、幅、及び粗さと、制御対象物に隣接する移動体とのうちの少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項9】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記制御対象物の力出力則を適正にして制御対象物を制御し、力出力則として記述された、操作者のマニピュレータに対する制御操作に付加される力のレベルを制御することにより、制御操作の支援レベルを制御することを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項10】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、力出力則として記述された、制御対象物の力出力則を参照して制御対象物を制御することにより、制御操作の支援レベルを制御することを特徴とする請求項9に記載の制御操作支援装置。
【請求項11】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、操作者のマニピュレータに対する制御操作に付加される力のレベルを制御することにより、制御操作の支援レベルを制御することを特徴とする請求項9に記載の制御操作支援装置。
【請求項12】
操作者の制御操作負荷を推定する制御操作負荷推定部を更に備え、
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記制御操作負荷推定部により推定された制御操作負荷が大きくなるのに応じて、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項2乃至11のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項13】
前記力出力則は、前記アクチュエータのトルク出力則であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項14】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記制御差異インピーダンス生成部により生成された制御差異インピーダンスに応じてトルク出力則を変更することを特徴とする請求項13に記載の制御操作支援装置。
【請求項15】
前記環境状態検出部により検出された制御操作環境の状態に関する情報から、制御対象物が移動可能な領域の幅を算出する移動可能領域算出部と、
前記移動可能領域算出部により算出された移動可能領域を複数の曲線領域及び直線領域により近似する近似制御領域算出部とを備え、
前記環境状態検出部が、操作対象物の周囲に障害物を検出した場合、前記理想相互作用生成部は、前記近似制御領域算出部により近似された領域内に理想相互作用経路を生成することを特徴とする請求項2乃至14のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項16】
操作者の制御操作技量を推定する制御操作技量推定部を更に備え、
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記制御操作技量推定部により推定された操作者の制御操作技量が小さくなるのに応じて、制御操作の制御レベルを上げることを特徴とする請求項2乃至15のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項17】
制御操作時の制御条件を判別する制御条件判別部及び/又は制御操作時の時間帯を判別する時間帯判別部を更に備え、
前記制御条件判別部により判別された制御条件が悪い場合及び/又は前記時間帯判別部により判別された時間帯が夜間である場合、前記理想相互作用生成部は、生成した理想制御経路を適正にし、前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項15又は16に記載の制御操作支援装置。
【請求項18】
操作者の操作が低下したことを検出する操作低下検出部を更に備え、
前記操作低下検出部により操作者の操作が低下したことが検出された場合、前記理想相互作用生成部は、生成した理想制御経路を補正し、前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項19】
前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、前記環境状態検出部により検出されて制御対象物に隣接する移動体の数が多くなるのに応じて、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項2乃至18のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項20】
前記制御対象物は車両であり、
前記装置は、操作者の車線変更の意図を推定する車線変更意図推定部と、過去の車線変更時に前記制御対象物状態検出部により検出された、車両の操舵角の時系列変化に関する情報を記憶する第1の操舵角プロフィール記憶部と、を更に備え、
前記車線変更意図推定部により操作者の車線変更の意図が推定された場合、前記理想マニピュレータ制御信号生成部は、前記第1の操舵角プロフィール記憶部が記憶している車両の操舵角の時系列変化に関する情報を参照することにより、過去の車線変更時における車両の操舵プロフィールを理想マニピュレータ制御信号として生成することを特徴とする請求項2乃至19のいずれか一項に記載の制御操作支援装置。
【請求項21】
操作者の合流意図を推定する合流意図推定部と、
過去の合流時に前記制御対象物状態検出部により検出された、操舵角の時系列変化に関する情報を記憶する第2の操舵角プロフィール記憶部と、
を更に備え、
前記合流意図推定部により操作者の合流意図が推定された場合、前記理想マニピュレータ制御信号生成部は、前記第2の操舵角プロフィール記憶部が記憶している、車両の操舵角の時系列変化に関する情報を参照することにより、過去の合流時における車両の操舵プロフィールを理想マニピュレータ制御信号として算出し、さらに、前記環境状態検出部が被合流車線を走行する車両を所定数以上検出した場合、前記アクチュエータトルク制御装置支援システムは、制御操作の支援レベルを上げることを特徴とする請求項20に記載の制御操作支援装置。
【請求項22】
制御対象物の制御に対する操作者の制御操作を支援する制御操作支援方法であって、
操作者の制御操作状態に関する情報と制御対象物の周囲の制御操作環境に関する情報とから制御対象物の理想制御経路を生成する工程と、
生成された理想制御経路に沿って制御対象物が動作するように、操作システムの制御プロフィールを理想制御信号として算出する工程と、
算出された理想制御信号と制御操作状態に関する情報との差異を算出する工程と、
算出された差異の大きさに基づいて操作システムを制御することにより、操作システムに対する操作者の操作を支援する工程と、
制御操作状態に関する情報及び/又は制御操作環境に関する情報から、制御対象物の制御操作に要求される正確さを推定する工程と、
を有し、
操作者の操作を支援する前記工程において、推定された正確さが高くなるのに応じて操作システムの支援レベルを上げることを特徴とする制御操作支援方法。
【請求項23】
操作対象物に対する操作者の車両操作を支援する運転操作支援装置であって、
操作者の車両操作状態に関する情報を検出する車両操作状態検出部と、
前記操作対象物の周囲の車両操作環境に関する情報を検出する環境状態検出部と、
前記車両操作状態検出部により検出された車両操作状態に関する情報と前記環境状態検出部により検出された車両操作環境に関する情報とから、前記操作対象物の理想制御経路を生成する理想制御経路生成部と、
前記操作対象物が前記理想制御経路生成部により生成された理想制御経路に沿って動作するように、操作システムの制御履歴を理想制御信号として算出する理想制御信号算出部と、
前記理想制御信号算出部により算出された理想制御信号と前記車両操作状態検出部により検出された車両操作状態に関する情報との間の差異を算出する差異算出部と、
前記差異検出部により算出された差異の大きさに基づいて前記操作システムを制御して、前記操作システムに対する操作者の操作を支援する制御を実行する操作システム支援制御装置と、
前記車両操作状態検出部により検出された車両操作状態に関する情報及び/又は前記環境状態検出部により検出された車両操作環境に関する情報から、前記操作対象物の車両操作に要求される正確さを推定する操作精度推定部と、
を備え、
前記操作システム支援制御装置は、前記操作精度推定部により推定された正確さが高くなるのに応じて、操作システムの制御レベルを上げることを特徴とする運転操作支援装置。
【請求項24】
操作対象物に対する操作者の車両操作を支援する運転操作支援方法であって、
前記操作者の車両操作状態に関する情報と前記操作対象物の周囲の車両操作環境に関する情報とから、前記操作対象物の理想制御経路を生成する工程と、
生成された理想制御経路に沿って前記操作対象物が動作するように、操作システムの制御履歴を理想制御信号として算出する工程と、
算出された理想制御信号と車両操作状態に関する情報との間の差異を算出する工程と、
算出された差異の大きさに基づいて前記操作システムを制御して、前記操作システムに対する操作者の操作を支援する工程と、
前記車両操作状態に関する情報及び/又は車両操作環境に関する情報から、前記操作対象物の車両操作に要求される正確さを推定する工程と、
を有し、
前記操作者の操作を支援する工程では、推定された正確さが高くなるのに応じて、前記操作システムの制御レベルを上げることを特徴とする運転操作支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2012−504269(P2012−504269A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528501(P2011−528501)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【国際出願番号】PCT/JP2008/068135
【国際公開番号】WO2010/038317
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(511080281)デルフト ユニバーシティー オブ テクノロジー (1)
【出願人】(511080292)エントロピー コントロール インク (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【国際出願番号】PCT/JP2008/068135
【国際公開番号】WO2010/038317
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(511080281)デルフト ユニバーシティー オブ テクノロジー (1)
【出願人】(511080292)エントロピー コントロール インク (1)
【Fターム(参考)】
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