説明

シフト装置

【課題】平面上の任意の位置にスライド操作可能な操作部に対しフォースフィードバック制御を行うことで、汎用性の高い二次元スライド操作タイプのシフト装置を提供する。
【解決手段】シフト装置1は、XY平面上の任意の位置へスライド操作可能なスライド操作部20と、スライド操作部の操作状態を検出するX軸及びY軸リニアエンコーダ161,162と、スライド操作部に力を付与するX軸及びY軸ボイスコイルモータ14,15とを備える。力覚制御部は、予め定められたシフトチェンジ操作の軌道である操作許容エリアの外縁部に「反力の壁」を生じさせるフォースフィードバック制御を行うことにより、軌道を逸脱するような異常なスライド操作を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者が操作する操作部に対しフォースフィードバックによる力覚付与制御が施されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔操作が求められる多くの分野で、操作感覚を疑似的に再現して操作性能を向上させる力覚付与デバイスが注目されている。力覚付与技術を応用した入力装置は、機械的な入力機構に換えて操作部の操作状態を電気信号に変換して出力する、いわゆるバイワイヤ方式の入力装置において、操作状態の検出信号に基づく反力を操作部にフォースフィードバック制御することにより、所与の条件に応じた力覚を操作者に与えるものである。
【0003】
一方で自動車の分野においては、走行性能に加え、安全性、快適性及び環境等の観点から車両内の電子化が進み、エアコン、カーナビ、オーディオ等の様々な操作対象機器類が搭載されるのが一般的となっている。このような多種に渡る機器類を操作する操作者の負担を軽減するため、操作入力を運転席内の1つの入力装置で一元化できるジョイスティックタイプの力覚付与型入力装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような力覚付与型入力装置によれば、ジョイスティックに例えば疑似的な節度感(クリックフィーリング)を生じさせ、または次にすべき操作を反力で促すような操作の支援制御といった多様な操作感を力覚として付与することが可能となる。また、操作対象機器の動作や操作の目的に応じて力覚パターンを適宜変更することで、多用途、多目的の入力装置として共有することができる。
【0005】
また、車両の自動変速機のシフトレンジを切り換えるバイワイヤ方式のシフト装置(SBW:Shift By Wire)において、一方向のみ往復傾倒操作可能なシフト装置に上述の力覚付与技術を応用したものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−258782号公報
【特許文献2】特開2003−176870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、バイワイヤ方式のシフト装置において、上述したジョイスティックタイプの入力装置のように二次元平面上の任意の位置へのシフト操作を許容することにより、多用途、多目的の操作入力に対応させた構成は見当たらない。車両のシフト装置は、シフトレバーの軌道に沿ってR(リバース)、N(ニュートラル)またはD(ドライブ)等のシフトポジションが予め設定されており、例えばDポジションからRポジションへシフトレンジが直接切り換わるような想定外の危険なシフト操作を禁止する必要がある。つまり、従来のシフト装置では、シフトレバーの操作を一定の軌道上に機械的に規制するためのゲート等の強度部材が必要となり、汎用性を確保することができなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、平面上の任意の位置にスライド操作可能な操作部に対しフォースフィードバック制御を行うことにより、汎用性の高い二次元スライド操作タイプのシフト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]上記目的を達成するため本発明に係るシフト装置は、互いに直交する方向にそれぞれ移動可能に設けられる2つの搬送手段と、前記各搬送手段に連結して平面上の任意の位置にスライド操作し得る操作部と、前記操作部の操作状態を検出する操作検出手段と、前記各搬送手段を駆動して前記操作部に力を付与する駆動手段と、前記操作検出手段が検出する前記操作部の操作状態に基づいて前記駆動手段を制御して前記操作部に力をフィードバックする制御手段と、を備える。
【0010】
[2]また、前記制御手段は、前記平面上の予め定められた操作領域を逸脱しないように前記駆動手段を制御して前記操作部に反力を付与する。
【0011】
[3]また、前記操作部のスライド量と前記駆動手段が前記操作部に付与する力との連続的な関係を対応付けた力覚パターンデータを記憶する記憶手段が備えられ、前記制御手段は、前記力覚パターンデータを参照して前記フィードバックの制御を行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、平面上の任意の位置に操作可能なスライドタイプの操作部に対しフォースフィードバック制御を行うことができる。これにより、二次元スライド操作タイプのシフト装置における汎用性を大きく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の形態によるシフト装置の機械的内部構成を示す斜視図である。図1(b)は、シフト装置の駆動手段の1つである、X軸ボイスコイルモータの部分の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態によるシフト装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、回転モータを使用したシフト装置の別構成例で、機械的内部構成を示す図1相当の斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態によるシフトポジションの配列とスライド操作部の軌道との位置関係(シフトパターン)を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態によるシフト装置において、ホームポジションを操作の原点としてスライド操作部に適用される力覚パターンを例示する図である。
【図6】図6は、スライド操作部の種々の操作経路を示す操作パターン図(a)〜(f)である。
【図7】図7は、力覚付与型のシフト装置において、スライド操作部20に作用する力覚パターンを例示するものであって、スライド操作部20のステーショナリ動作を制御するための力覚パターンの例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(シフト装置の構成)
図1(a)は、本発明の実施の形態によるシフト装置1の機械的内部構成を示す斜視図である。同図に示されるように、シフト装置1は、本体部10と、本体部10を覆うカバー11と、XY平面上の任意の方向へスライド操作可能なスライド操作部20とを備えている。
【0015】
図1(a)に示されるようにスライド操作部20は、シャフト21の先端部に取り付けられ、操作者が操作できるようにカバー11の中央に設けられた開口部11aから外部に突出して設けられている。シャフト21は、互いに直交するように設けられたXキャリッジ121及びYキャリッジ122の各長孔121a,122aを貫通し、支持部材172によりYキャリッジ122に支持されている。支持部材172は、当該長孔121a,122aの幅よりも大きい直径のフランジ部を有し、ノブシャフト21をその軸方向において摺動可能に支持している。
【0016】
スライド操作部20の1つの搬送手段であるXキャリッジ121は、その両端部がX軸スライドガイド131,131にスライド可能に支持される。同様に、Yキャリッジ122も、その両端部がY軸スライドガイド132,132にスライド可能に支持されている。これにより、シフト装置1は、スライド操作部20のXY方向へのスライド移動に連動して、Xキャリッジ121がそのX座標成分だけ移動し、Yキャリッジ122がそのY座標成分だけ移動するように構成されている。
【0017】
また、シフト装置1は、操作検出手段としてX軸リニアエンコーダ161及びY軸リニアエンコーダ162を備えている。X軸リニアエンコーダ161は、Xキャリッジ121の一端部に連結され、Y軸リニアエンコーダ162は、Yキャリッジ122の一端部に連結されている。X軸リニアエンコーダ161及びY軸リニアエンコーダ162は、Xキャリッジ121及びYキャリッジ122のそれぞれの移動に応じてパルス信号を出力する。このパルス信号は、エンコーダの回転方向によって位相が異なるA相とB相の2つの信号からなり、後述する力覚制御部50がこれらのパルス信号をカウントすることにより、スライド操作部20のXY方向におけるスライド量及びスライド方向が検出される。
【0018】
また、シフト装置1は、フォースフィードバックによる力覚制御をするために、スライド操作部20に対し外力を付与する駆動手段としてのX軸ボイスコイルモータ14及びY軸ボイスコイルモータ15を備えている。図1(b)は、X軸ボイスコイルモータ14の部分の構成を示す分解斜視図である。なお、Y軸ボイスコイルモータ15もX軸ボイスコイルモータ14と同様の構成である。
【0019】
X軸ボイスコイルモータ14は、第1アーム141a及び第2アーム141bを有する磁性材料からなるU字状のヨーク141と、第1アーム141aの第2アーム141bとの対向面に配置されたマグネット142と、第2アーム141bに進退自在に嵌合されるボイスコイル143とを備え、ボイスコイル143に電流を供給することにより、ボイスコイル143に対しX軸方向にローレンツ力を発生させるように構成されている。また、ヨーク141は本体部10に固定され、ボイスコイル143はXキャリッジ121に連結されている。
【0020】
以上説明したように、シフト装置1は、駆動手段としてのX軸ボイスコイルモータ14及びY軸ボイスコイルモータ15が、Xキャリッジ121及びYキャリッジ122にそれぞれ連結することで、これらモータを作動させてスライド操作部20に対しXY方向に力を伝達するように構成されている。そして、次に説明する力覚制御部50は、X軸リニアエンコーダ161及びY軸リニアエンコーダ162が検出するスライド操作部20の操作状態に基づいて、X軸ボイスコイルモータ14及びY軸ボイスコイルモータ15を介してスライド操作部20に対しフォースフィードバック制御を行う。これにより、スライド操作部20に対するホームポジションへの自動復帰制御、及び、スライド操作部20の操作範囲を所定の軌道のみに規制する軌道制御等の様々な目的の力覚制御を行うことが可能になる。
【0021】
図2は、本実施の形態によるシフト装置1のシステム構成を示すブロック図である。力覚制御部50は、CPU、ROMやRAMからなるメモリ、各種センサやスイッチが接続される入出力ポート、車載LANコントローラ等をハードウエア回路として備え、CPUが予めROMに記憶されたプログラムに従って演算処理を実行するマイコンユニットとして構成される。また力覚制御部50には、X軸ボイスコイルモータ14、X軸リニアエンコーダ161、Y軸ボイスコイルモータ15、Y軸リニアエンコーダ162が接続されている。力覚制御部50は、X軸リニアエンコーダ161及びY軸リニアエンコーダ162の出力に基づいて、スライド操作部20の操作状態(XY平面におけるスライド方向とスライド量)を演算して求め車両の自動変速機に出力する。また、力覚制御部50は、スライド操作部20が所定の軌道を逸脱するような想定外の異常操作がされたときに、車両の安全管理装置(ブザーやランプ等の警報手段を含む)70やエンジンECU(図示せず)等にエラー信号を出力するようにも構成されている。
【0022】
また、力覚制御部50には、不揮発性のメモリ51が接続されている。このメモリ51には、スライド操作部20の操作状態に応じてホームポジションへの自動復帰制御及びスライド操作部20の操作を所定の軌道のみに規制する軌道制御をするための力覚パターンが電子データ化された力覚パターンデータ52が予め記憶されている。力覚制御部50は、次に具体的に説明する力覚パターンデータ52を参照し、X軸リニアエンコーダ161及びY軸リニアエンコーダ162の出力から演算されるスライド操作部20の操作状態に基づいて、X軸ボイスコイルモータ14及びY軸ボイスコイルモータ15への電流を制御する。これにより、力覚パターンデータ52に応じた反力がスライド操作部20に付与されることとなる。
【0023】
なお、スライド操作部20の搬送手段としては、上述のXキャリッジ121及びYキャリッジ122に限定されず、例えば送りネジによりXY方向にそれぞれ搬送されるXステージ及びYステージであってもよい。この場合、スライド操作部20に対し外力を付与する駆動手段としては、ボイスコイルモータでなく送りネジを回転させる例えば電動回転モータが用いられる。
【0024】
また、図3に、回転モータを使用したシフト装置の例を示す。図3は、回転モータを使用したシフト装置の別構成例で、機械的内部構成を示す図1相当の斜視図である。駆動手段として、ボイスコイルモータでなく回転モータを使用し、その他の構成は、図1、図2に示す構成と同様であるので異なる構成の部分について以下に説明する。
【0025】
Xキャリッジ121、Yキャリッジ122は、それぞれの両端がX軸スライドガイド131とY軸スライドガイド132にそれぞれ支持されている。それぞれの一端側にはX軸ラックギア230、Y軸ラックギア235が取付けられており、このラックギアは本体部10側に装着されたX軸モータ250のX軸モータギア260、および、Y軸モータ255のY軸モータギア265とそれぞれ歯合して、各モータから力覚パターンに基づいた反力を受ける。上記の反力は、2次元スライド機構およびシャフト21を介してX軸モータ250、Y軸モータ255からの力をスライド操作部20に作用させて反力を呈示する。すなわち、スライド操作部20の力覚制御を行い、操作者がシフト装置1を操作する際に適度な操作感覚を付与する。
【0026】
図4は、本実施の形態によるシフト装置1において設定されるシフトポジションの配列とスライド操作部20の軌道との位置関係(シフトパターン)を示す図である。本実施の形態では、スライド操作部20の操作許容エリア67(第1〜第3の操作許容エリア67a,67b,67c)と、それ以外の操作規制エリア68とが、互いに排他的に区分けされて設定されている。操作許容エリア67は、スライド操作部20のシフトチェンジ操作がされる軌道に沿って設定されている。
【0027】
図4に示されるように、右側の縦の第1の操作許容エリア67aには、車両の自動変速機のリバース(「R」と略して表記する。)、ニュートラル(「N」と略して表記する。)及びドライブ(「D」と略して表記する。)に対応するシフトポジションであるRポジション61、Nポジション62及びDポジション63が順に配列して設定されている。また、左側の縦の第2の操作許容エリア67bには、シフトアップポジション(「+」と表記する。)64と、ホームポジション65(「H」と略して表記する。)と、シフトダウンポジション(「−」と表記する。)66が順に配列して設定されている。更に、Hポジション65と、Nポジション62とを横方向に連結する第3の操作許容エリア67cが設定されている。
【0028】
(シフト装置によるシフトチェンジ動作)
力覚制御部50は、X軸リニアエンコーダ161及びY軸リニアエンコーダ162の出力から、Rポジション61、Nポジション62、Dポジション63、Hポジション65、+ポジション64または−ポジション66の何れかの位置にスライド操作部20がシフト操作されたのを検出すると、当該ポジションへのシフトチェンジ操作を示す信号を車両の自動変速機に出力する。
【0029】
(スライド操作部の自動復帰制御動作)
図5は、Hポジション65を操作の原点としてスライド操作部20に適用される力覚パターンを例示する図である。これらの力覚パターンは、力覚パターンデータ52として電子化されてメモリ51に記憶されている。ここでは一例として、図5(a)に示されるHポジション65を中心とし第2の操作許容エリア67bに沿うY方向へのスライド操作(Y〜Y)と、第3の操作許容エリア67cに沿うX方向へのスライド操作(X〜X)を考える。
【0030】
図5(b)は、スライド操作部20のY方向へのスライド量(Y〜Y)を縦軸として、これに対するY軸ボイスコイルモータ15に生じさせる出力との関係(Y軸における力覚パターン)を示すグラフである。
【0031】
図5(b)の力覚パターンによると、スライド操作部20のY方向へのスライド位置がY側にあるとき、これとは逆向き(下方向)の反力がスライド操作部20に作用するようにY軸ボイスコイルモータ15の出力が制御される。また、スライド操作部20のスライド位置がY側にあるとき、これとは逆向き(上方向)の反力がスライド操作部20に作用するようにY軸ボイスコイルモータ15の出力が制御される。したがって、第2の操作許容エリア67bにあるスライド操作部20には、Hポジション65を中心に自動復帰(モーメンタリ動作)する方向に力が作用する。
【0032】
図5(c)は、スライド操作部20のX方向へのスライド量(X〜X)を横軸として、これに対するX軸ボイスコイルモータ14に生じさせる出力との関係(X軸における力覚パターン)を示すグラフである。図5(c)によれば、スライド操作部20のスライド位置がX側にあるとき、これとは逆向き(左方向)の反力がスライド操作部20に作用するようにX軸ボイスコイルモータ14の出力が制御される。したがって、第3の操作許容エリア67cにあるスライド操作部20には、Hポジション65に自動復帰(モーメンタリ動作)する方向に反力が作用する。
【0033】
(スライド操作部の軌道制御動作)
また、図5(b)によれば、スライド操作部20が+ポジション64よりもY側、または−ポジション66よりもY側へのスライド操作に対しては、Y軸ボイスコイルモータ15の出力が最大(YnmaxまたはYpmax)まで急激に立ち上がるように力覚パターンが設定されている。これにより、操作者が+ポジション64から更に上へ、または−ポジション66から更に下へスライド操作部20をスライドさせようとしても、スライド操作部20を介して知覚される「反力の壁」により、第2の操作許容エリア67bを逸脱するようなスライド操作が防止される。
【0034】
また、図5(c)によれば、スライド操作部20がNポジション62よりもX側、またはHポジション65よりもX側へのスライド操作に対しては、X軸ボイスコイルモータ14の出力が最大(XpmaxまたはXnmax)まで急激に立ち上がるように力覚パターンが設定されている。これにより、操作者がスライド操作部20をNポジション62から更に右へ、またはHポジション65から更に左へスライドさせようとしても、スライド操作部20を介して知覚される「反力の壁」により、第3の操作許容エリア67cから逸脱するようなスライド操作が防止される。
【0035】
(実施の形態による効果)
本発明の実施の形態によれば、以下の技術的な効果が奏される。
[1]スライド操作部20の操作可能範囲内において、各シフトポジションが配列されるシフトチェンジ操作の軌道に沿ってスライド操作部20の操作許容エリア67を設定した。この操作許容エリア67の外縁部に、X軸ボイスコイルモータ14及びY軸ボイスコイルモータ15の出力が最大となる「反力の壁」をフォースフィードバック制御により生じさせたことにより、シフトチェンジの軌道を逸脱するようなスライド操作部20への異常な操作を防止することができる。
[2]また、上述の「反力の壁」を無理やり超えて軌道を飛び越えるような想定外の危険なスライド操作に対しては、当該操作を無効とし及び警告等の異常処理で対処することができる。これにより、異常なスライド操作に対する安全性を確保することができる。
[3]また、スライド操作部20の操作許容範囲(軌道)を電子的なフォースフィードバック制御により任意に定めることができ、本発明の技術的思想を車両のシフト装置以外にも様々な用途及び目的の操作入力装置に応用することができる。したがって、二次元スライド操作タイプの操作入力装置の汎用性を大きく高めることができる。
【0036】
以上、本発明に好適な実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変形、応用が可能である。例えば、車両においてエアコンやカーナビ等を一元的に操作するための、ジョイスティックタイプの汎用入力装置に応用され得る。
【0037】
また、例えば、本実施の形態に示したH形状のパターンだけでなく、種々の操作パターンに対応できる。図6は、スライド操作部の種々の操作経路を示す操作パターン図(a)〜(f)である。これによれば、車種等に応じて、H形状のパターン、I形状のパターンや、これらの組合せとして種々の操作経路を有する操作パターンに対応できる。さらに、図示は省略するが、任意の角度で交差する操作パターンを含む操作経路を有する操作パターン等にも対応可能である。
【0038】
また、これらの操作形状パターンを力覚制御する力覚パターンは、本実施の形態に示した力覚パターンに限られず種々の制御パターンに変更可能である。本実施の形態に示した図5に示す力覚パターンは、Y側においてRポジション61の位置でもYモータトルクが常に下方向側に作用する。また、Dポジション63の位置でもYモータトルクが常に上方向側に作用する。従って、スライド操作部20は、Rポジション61、Dポジション63にシフト操作された後、それらの位置に留まらずに、Hポジション65に戻ってくる。すなわち、スライド操作部20への操作力を解除した後にHポジション65に自動復帰するモーメンタリ動作を制御するための力覚パターンである。
【0039】
これに対して、本実施の形態において、スライド操作部20をステーショナリ動作で制御することも可能である。図7は、シフト装置1において、スライド操作部20に作用する力覚パターンを例示するものであって、スライド操作部20のステーショナリ動作を制御するための力覚パターンの例示図である。図7(b)のY側においてYモータトルクはRポジション61の付近で上下反転する。また、Dポジション63の付近でも上下反転する。従って、スライド操作部20は、Rポジション61にシフト操作された後、Yモータトルクが上方向から下方向に反転するゼロクロス点ZC1に留まる。同様に、スライド操作部20は、Dポジション63にシフト操作された後、Yモータトルクが下方向から上方向に反転するゼロクロス点ZC2に留まる。よって、図5で示す力覚パターンを図7に示すような力覚パターンに変更することにより、スライド操作部20のステーショナリ動作での制御も対応可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…シフト装置、10…本体部、11…カバー、11a…開口部、14…X軸ボイスコイルモータ、15…Y軸ボイスコイルモータ、20…スライド操作部、21…シャフト、50…力覚制御部、51…メモリ、52…力覚パターンデータ、
61…リバース(R)ポジション、62…ニュートラル(N)ポジション、63…ドライブ(D)ポジション、64…シフトアップ(+)ポジション、65…ホーム(H)ポジション、66…シフトダウン(−)ポジション、67,67a,67b,67c…操作許容エリア、68…操作規制エリア、70…安全管理装置、
121…Xキャリッジ、121a…長孔、122…Yキャリッジ、122a…長孔、131…X軸スライドガイド、132…Y軸スライドガイド、141…ヨーク、141a…第1アーム、141b…第2アーム、142…マグネット、143…ボイスコイル、161…X軸リニアエンコーダ、162…Y軸リニアエンコーダ、172…支持部材
230…X軸ラックギア、235…Y軸ラックギア、250…X軸モータ、255…Y軸モータ、260…X軸モータギア、265…Y軸モータギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する方向にそれぞれ移動可能に設けられる2つの搬送手段と、
前記各搬送手段に連結して平面上の任意の位置にスライド操作し得る操作部と、
前記操作部の操作状態を検出する操作検出手段と、
前記各搬送手段を駆動して前記操作部に力を付与する駆動手段と、
前記操作検出手段が検出する前記操作部の操作状態に基づいて前記駆動手段を制御して前記操作部に力をフィードバックする制御手段と、を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記平面上の予め定められた操作許容領域を逸脱しないように前記駆動手段を制御して前記操作部に反力を付与する、請求項1に記載のシフト装置。
【請求項3】
前記操作部のスライド量と前記駆動手段が前記操作部に付与する力との連続的な関係を対応付けた力覚パターンデータを記憶する記憶手段が備えられ、前記制御手段は、前記力覚パターンデータを参照して前記フィードバックの制御を行う、請求項1又は2に記載のシフト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−66666(P2012−66666A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212215(P2010−212215)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】