説明

シャッター付きリセプタクルコネクタ

【課題】操作者がリセプタクルコネクタ(3)内部と接触することを回避するため、および塵埃、異物等の進入防止のために、リセプタクルコネクタの開口部(35)にシャッター(20)を設け、通常は安易に開かないがプラグコネクタとの嵌合時にはシャッターが開く構造を提供する。
【解決手段】コンタクト部の露出するリセプタクルコネクタにおいて、コネクタ開口部(35)に2枚の観音開きのシャッターを設け、コネクタハウジング(10)にシャッターの回転用突起軸(11)を設け、シャッターの両側面に成形された長穴形状の軸受け部(21)に回転用突起軸(11)が係合される。シャッター開口側の両サイドには回転軌跡を制御する突起(22)が成形され、コネクタ内側両サイドにはシャッター軌跡カム(31)が形成され、シャッターの突起部が係合されてシャッターはカム内を制御されながら回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の電気配線を用いて互いに接続される電子機器間の相互の電気配線の結合に使用される多芯コネクタに関する。詳しくはこの多芯コネクタはプラグコネクタ部分とプラグコネクタ部分を受け入れるリセプタクルコネクタ部分とを有し、リセプタクルコネクタ部分はプラグコネクタ部分が挿入されていないときはその開口部を遮蔽可能なシャッターを具備する多芯コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置のような医療機器をはじめ、半導体製造装置や半導体検査装置、コンピュータ、通信機器など、高機能電子機器においては送受信すべき信号が多様化複雑化している。このため、互いに接続された複数の電子機器の入出力間、送受信ケーブル間、および送受信ケーブルと電子機器間の接続は多芯化の傾向にある。これに伴い、多芯コネクタについても、より一層の多芯化、小型化、高密度器化、高信頼性化そして操作の容易化が要求されるようになってきている。
【0003】
多芯ZIF(Zero Insertion Force)コネクタにおいてはプラグコネクタ部分およびリセプタクルコネクタ部分に形成された多数のコンタクト部分間の相互の接続を必要とする。しかもプラグコネクタ部分およびリセプタクルコネクタ部分間の相互接続時およびプラグコネクタ部分の引抜き時における挿抜力が極めて小さく、コンタクト部分の摩耗の少ない長寿命のコネクタの供給が望まれている。
【0004】
従来のZIF多芯コネクタの一例を図17に示す。この多芯コネクタ80は接続すべき2つの電子機器の一方の電子機器(図示せず)に接続されるプラグ(plug)コネクタ81と、他方の電子機器(図示せず)に接続されるリセプタクル(receptacle)コネクタ82により構成されている。両者を接続する場合は、プラグコネクタ81をリセプタクルコネクタ82の開口部91からリセプタクルコネクタ82内にゼロインサーションフォース(Zero Insertion Force)で挿入して両者を結合した後、シャフト83を回転させてプラグコネクタ81の中央部に設けられているカムシャフト84を回転させる。
【0005】
この処理により、カムシャフト84の側部の位置に設けられたカム85の作用で、プラグコネクタ81内のアクチェータ86を横方向にスライド移動させる。そしてアクチェータ86により、プラグコネクタ81の複数のコンタクトピン87の先端部に形成された各コンタクト88を、リセプタクルコネクタ82の対応する複数のコンタクト89の方に接触するように横方向に弾性的に変位させる。このようにしてプラグコネクタ81のコンタクト88を対応するリセプタクルコネクタ82のコンタクト89にそれぞれ圧接することにより両者を電気的に接続する。また、カムシャフト84の回転により、プラグコネクタ81とリセプタクルコネクタ82の間に両者を固定するロックが生じるようにし、プラグコネクタ81とリセプタクルコネクタ82を確実に固定するものである。
【0006】
例えば、超音波装置において装置本体と超音波センサーの信号ケーブルとの接続にこのコネクタを使用する場合は、超音波装置の回路基板(図示せず)にリセプタクルコネクタ82を固定し下部コンタクト端子90を回路基板に半田実装する。そのリセプタクルコネクタ82へプラグコネクタ81を嵌合させて電気的接続を得る形式が採用されている。
【0007】
そして、プラグコネクタ81にケーブルを配線する場合は、ケーブル(図示せず)の複数の芯線をコンタクトの対応する複数の上部端子92へ圧着させるか、もしくはコンタクト上部端子92を特定の回路基板(図示せず)へ実装し、この回路基板の配線からケーブルを引き出す。
【0008】
かかる多芯コネクタ80においてはリセプタクルコネクタ82側に植設された複数のコンタクト89は開口部91において露出しており、操作者がリセプタクルコネクタ82のコンタクト89に接触する危険があった。例えば、超音波診断装置のような医療器等の機器ではリセプタクルコネクタ82側のコンタクト部に電流が流れている場合があり、容易に人間の手や指が触れる構造を規制する規定等も存在する。又、塵埃や異物等がコンタクト面へ付着して接触する可能性も有している。図16に示す従来のコネクタにおいては、コンタクト89の露出対策としてはコネクタが接続されていないときはダストカバーやプロテクトカバー等をリセプタクルコネクタ82の上面に装着しておき、嵌合時に取り外す等の作業が必要であった。
【特許文献1】特開2004−71400
【特許文献2】実開平6−54260
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
多芯コネクタ等のリセプタクルコネクタの開口部において、操作者がリセプタクルコネクタ内部と電気的に接触することを回避するために、リセプタクルコネクタのコンタクト部を遮蔽する目的、及び塵埃、異物等の進入対策の目的でリセプタクルコネクタ開放部にシャッターを設ける場合において、人間の指等では安易に開かないが、プラグコネクタの嵌合時のみシャッターが開く構造を有するシャッターつきコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
多芯コネクタ1において、複数のコンタクト部が配置されたリセプタクルコネクタ3の開口部に少なくとも2枚の観音開き形式で開閉するシャッター20を設ける。このため、リセプタクルコネクタ3のハウジング10の開口部側壁にシャッター20の回転用突起軸11を配置し、シャッター20の両側面に成形された長穴形状の軸受け部21に前記回転用突起軸11が係合される。シャッター20の開口側両サイドには回転軌跡を制御する突起22が成形されており、リセプタクルコネクタの内側両サイドには、シャッター軌跡カム31が形成されており、前記シャッター20の突起部22が係合されて、シャッター22はカム31内を制御されながら回転する。
【0011】
カム31の形状はシャッター20を単に上方向より押すことによっては、シャッター20が開かないような軌跡が形成されている。又このカム31と前記のシャッター20両側面に成形された長穴形状の軸受け部21により、シャッター20の回転軌跡は固定軸を中心に一定回転する機構、即ちシャッター開閉時の固定軸を中心に回転する単純回転軌跡と比べてコネクタ高さを低くさせることが可能である。
【0012】
相手コネクタであるプラグコネクタ2にはシャッター20のキー窓24位置に合致した位置にキー突起52が形成されており、前記プラグコネクタ2のキー突起52が嵌合されると、まずキー突起52の傾斜形状、及び前記リセプタクルコネクタの内側両サイドに形成されたカム31により引っ張りスプリング40の力に抗して一定量シャッター20を横方向に移動させる。この状態でシャッター20は回転可能状態になりプラグコネクタ2が嵌合可能となりシャッター20を開きながらプラグコネクタ2がリセプタクルコネクタ3のハウジング10内に挿入され嵌合される。
【0013】
尚、前記シャッター20のキー窓24、及びプラグコネクタ2のキー突起52は中心に対して非対称な位置に形成することにより、プラグコネクタ2を逆方向で挿入した場合には係合出来ないため誤嵌合防止の構造とすることができる。
【0014】
プラグコネクタ2をリセプタクルハウジング10から離脱させる時は、シャッター20の両サイドに取り付けられた引っ張りスプリング40の付勢により、少なくとも2枚のシャッター20は自動的に閉方向に回転し、さらにこの2枚のシャッター20を横方向に引っ張って所定の位置にもどる構造を有する。
【0015】
即ち、実施の形態に記載の発明は、プラグコネクタと共にコネクタを形成するリセプタクルコネクタであって、
開口部を有するハウジングと、
前記開口部に設けられた少なくとも2つのシャッターと、
前記シャッターは、相手方である前記プラグコネクタとの嵌合時には前記開口部に対して開状態となり、前記ハウジング内にプラグコネクタが挿入されていない場合には閉状態となり、前記シャッターが回転及び直線移動を可能にするために前記ハウジングの側面に設けられた突起軸と係合する長穴形状の軸受け部を備え、そして前記プラグコネクタに形成されたキー突起を受入れるキー窓を有し、
前記シャッターの開閉軌跡を制御するカム形状を有するカムプレートと、
前記シャッターを常時閉成側に向けて付勢する弾性部材とを具備し、
コネクタの嵌合時において前記キー窓に前記キー突起部が挿入されると前記2枚のシャッターは前記カム形状により前記弾性部材の力に抗して離れる方向に一定量横移動し、続いて回転可能な位置で前記シャッターは回転することにより開状態となるシャッター付きリセプタクルコネクタを含む。
【0016】
さらに、前記カム形状は、前記閉状態においては前記シャッターを回転方向に押しても前記シャッターが開かないような軌跡が形成されているリセプタクルコネクタである。
【0017】
さらに、前記シャッターの前記キー窓は、前記プラグコネクタが逆向きで挿入された場合には前記プラグコネクタと係合出来ない構造を有するリセプタクルコネクタである。
【0018】
さらに、前記シャッターには少なくとも2つのキー窓が形成されており、前記少なくとも2つのキー窓は前記リセプタクルコネクタ中心に対して非対称な位置に配置されているリセプタクルコネクタである。
【0019】
さらに、前記弾性部材は対向する前記シャッター側面にそれぞれ形成された軸にその両端が係止された引っ張りスプリングから成り、対向するそれぞれの前記シャッターが常にリセプタクルコネクタの中心方向に引っ張られているリセプタクルコネクタである。
【0020】
さらSに、前記弾性部材は、対向する前記シャッターの前記軸に係止されると共に、前記リセプタクルコネクタ側面において前記シャッターの水平位置よりも高い位置に設けたられ凸部によって支持されており、このため前記シャッターの閉成時には上方向への付勢力を有しており、このため前記シャッターを所定の位置にもどすことを可能とするリセプタクルコネクタである。
【0021】
さらに、前記シャッター両側面に成形された前記長穴形状の軸受け部と、前記リセプタクルコネクタのハウジング内側に設けた前記カム形状は、シャッター開閉時の固定軸を中心に回転する単純回転軌跡と比較し、前記リセプタクルコネクタ高さを低くさせるリセプタクルコネクタである。
【0022】
さらに、前記シャッターに弾性部材で成形したロックスプリングを設け、
前記ロックスプリングは、シャッター閉成時はブッシングに設けた溝にロックスプリング先端が係合されてシャッターの左右へのスライドはロックされており、
前記プラグコネクタが挿入された場合はプラグコネクタのシャフト先端がリセプタクルコネクタのブッシングに設けられたスライダーを左右に移動させてシャッターに設けた前記ロックスプリングのロックを解除して前記2枚のシャッターが開くことを可能にするロック機構を設けたリセプタクルコネクタである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、リセプタクルコネクタ側の開口部において、操作者がリセプタクルコネクタ内部の電気的に活性なコンタクト等と接触することが回避される。さらに、コネクタ内に塵埃や異物等が入り込むことが防止される。また、操作者等が指等でシャッターを上部からは押しただけではでシャッターは容易に開くことはないが、リセプタクルコネクタに対応するプラグコネクタが挿入された場合のみシャッターが開くようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。以下の説明は本発明に関する一実施例であり、本発明の一般的原理を図解することを目的とするものである。従って本発明をこの実施の形態に具体的に記載された構成のみに限定するものではない。以下の詳細な説明および図面の記載において、同様の要素は同様の参照番号により表される。
【0025】
図1に本発明の一実施の形態に係るシャッター付き多芯コネクタ1を構成するリセプタクルコネクタ3と、このリセプタクルコネクタ3に挿入されるプラグコネクタ2を示す。多芯コネクタ1は、例えば2つの電子機の複数の接続回線を相互接続するためのコネクタである。一方の電子機器の接続回線(図示せず)にはプラグコネクタ2が、他方の電子機器の接続回線(図示せず)にはリセプタクルコネクタ3が接続される。図1のプラグコネクタ2の下部には接続回線と結合される複数のコンタクトが示されている。
【0026】
両者を結合させる場合は、プラグコネクタ2の下部をリセプタクルコネクタ3に押し付けてリセプタクルコネクタ3のハウジング10の開口部を覆うシャッター20を開き、プラグコネクタ2をリセプタクルコネクタ3のハウジング10内に挿入して両コネクタを結合する。結合後シャフト4を所定の角度回転させてプラグコネクタ2の中央部に設けられているカムシャフト(図示せず。)を回転させる。かかる方法により図17に示す従来技術と同様に、プラグコネクタ2に配置された複数のコンタクト(図示せず)とリセプタクルコネクタ3に配置された複数のコンタクト(図示せず)とを接触させ電気的に接続する。
【0027】
図2に本発明の実施の形態に係るリセプタクルコネクタ3の分解図を示す。リセプタクルコネクタ3はハウジング10を有する。ハウジング10は側壁41、42と底部43を有し、ハウジング上部には側壁41、42により囲まれた開口部35が形成されている。底部43には複数のコンタクトを有するコンタクトモジュール(図示せず)を受け入れて固定する複数のコンタクトモジュール支持部44が形成されている。
【0028】
開口部35を形成する一対の側壁には、ハウジング10の縦方向センター45(図4参照)を中心にして、プラグコネクタ2が接続されていない場合にはリセプタクルコネクタの開口部35を閉じる左右2つのシャッター20が設けられている。またハウジング10内の長手方向において対向する一対の側面36の内側にはシャッター20の移動においてその回転軌跡を定めるカムプレート30が挿入され、配置されている。なお、カムプレート30にはシャッター20の移動を規制するシャッター軌跡カム31が形成されている。またカムプレート30には2枚のシャッター20をそれぞれ閉じる方向に付勢する引っ張りスプリング40が配置されている。このため、カムプレート30には引っ張りスプリング40を支持する鞍状部分を形成する凸部34が形成されている。
【0029】
シャッター20の側面45にはシャッター20を左右に(図2においては開口部35に対して水平方向に)移動させる長穴形状の軸受け部21が形成されている。軸受け部の形状はシャッター20を開口部35に対して水平方向に移動可能にする形状であれば良く図2の形状に限定されるものではない。またこの側面45の端部にはカムプレート30に形成されたカム31に係合する突起部である軸22が設けられている。また側面45の略略中央部には、シャッター20を閉じる方向に付勢する引っ張りスプリング40を係止する軸23が設けられている。
【0030】
図3に示すようにシャッター20が閉じた状態において、2つのシャッター20の接触部にはプラグコネクタ2のハウジング53に形成されたキー突起52(図9参照)に対応する位置にキー窓24が設けてある。図3に示す実施の形態のように、左右のキー窓24の位置を対称ではない位置に設けることもできる。左側のキー窓24はカムプレート30に隣接しており、右側のキー窓24はカムプレート30とは間隔を置いて配置されている。対称な位置に配置することも可能である。
【0031】
コネクタハウジング10の縦方向側壁42の両端部には穴12が形成されている。この穴にはシャッター20の軸受け部21と係合する軸11が挿入される。
【0032】
2枚のシャッター20の側面45の軸23には引っ張りスプリング40が係止される。この引っ張りスプリング40によりシャッター20は常時互いに閉じる方向に付勢される。尚、引っ張りスプリング40は前記のカムプレート30の裏面に配置されており、常にカムプレート30の中心部上部に形成された凸部34によって支持されており、常にシャッター20を水平以上に引き上げる付勢を持たせている。
【0033】
また図10〜図14に示すように、挿入されたシャフト4の先端部を支持するブッシング56にシャッター20の閉止状態を維持するロック機能を持たせることが可能である。図10において、左右2枚のシャッター20の中心部にはプラグコネクタ2のシャフト4がリセプタクルコネクタハウジング10内に挿入された時にのみロック状態が解除されるように構成される概略U字形状をした弾性部材で成形された一対のロックスプリング55が組み込まれている。各ロックスプリング55は一対の腕部59を有し、この湾部の先端にロック部64を有する。シャッター20が閉止状態の場合はロック部64がロックスプリングの付勢によりブッシング56の溝62内に入り込みシャッター20が開くのを阻止する。この状態でシャッター20に設けたロックスプリング55はブッシング穴61にロックしてシャッターは左右スライド不可能状態となる。
【0034】
図12にリセプタクルコネクタハウジング10の中心部に設けられているブッシング56と、シャッター20に配置されるロックスプリング55との位置関係を示す。
【0035】
断面図である図13および図14において、図14において左右に即ち水平に移動可能な一対のスライダー57が、左右の溝62内に組み込まれている。プラグコネクタ3のシャフト4の先端部63がブッシング56に挿入されるとスライダー57の傾斜部65を押し広げる。このため溝部62に組み込まれた一対のスライダー57は左右に離隔するように移動する。このため腕部59を閉じる向きに圧押するロックスプリング55によってブッシング56の内部に位置していたロック部64をブッシング56から開放し、ロックを解除状態にさせる。ロックが解除状態されるとシャッター20は回転可能になりプラグコネクタ2がリセプタクルコネクタ3に嵌合可能となる。
【0036】
上記実施の形態においてはシャッター20は2枚構成で示したが、図15および図16に示すように左右のシャッターをそれぞれ二分割して片方に収納される4枚構成構造にする事も可能である。4枚構成シャッターの機構としては、内側のシャッターが外側のシャッターに収納される構造になっており、内側、外側のシャッターは弾性体(図示せず)により互いに離れる方向に付勢されている。開閉時は内側のシャッターに設けた突起軸がハウジング側面に設けたシャッター開閉軌跡を制御するカム形状部によって案内され、外側シャッターは回転し、さらに内側シャッターは外側シャッター内に収納されることが可能となる。本構造では相手方のプラグコネクタの収納時にシャッターの飛び出しを最小限にすることが可能である。図15はシャッターが閉じた状態を示し、図16は開いた状態を示す。
【0037】
次に動作概要を説明する。図3〜図5にシャッター20が閉じた状態を示す。図3および図4は斜視図であり、図5は断面図である。リセプタクルコネクタ3のハウジング10に設けた2枚のシャッター20は、シャッター20の側面45の軸23に係止された引っ張りスプリング40により互いに中心方向に引っ張り合っておりシャッター20は閉まった状態にある。この状態においては操作者の手やそのほかの物がシャッター20を上部方向より押してもカムプレート30のカム形状31によって規制されシャッター20は開かない。
【0038】
図9に示すように、リセプタクルコネクタ3にプラグコネクタ2を挿入する場合には、プラグコネクタ2の左右に設けたキー突起52がシャッター20のキー窓24に挿入される。プラグコネクタ3のキー突起52は傾斜形状になっている為、引っ張りスプリング40の引っ張り力に抗して双方のシャッター20は水平方向に移動する。さらに相手方のプラグコネクタ2が挿入されると、相手方のプラグコネクタ2のハウジング53によって双方のシャッター20はカムプレート30のカム形状31に沿って回転する。
【0039】
なお、図3に示す実施例においてはシャッター20のキー窓24とプラグコネクタ2のキー突起52はコネクタ1の中心に対して左右の位置が相違している。このため、逆方向の挿入ではシャッター2は水平方向に開かないため、シャッター20は開かず相手方のプラグコネクタ2は挿入はされない。
【0040】
図6〜図8にシャッター20が完全に開いた状態を示す。相手方のプラグコネクタ2がリセプタクルコネクタ3内に完全に挿入された状態では、双方のシャッター20も完全に開き、プラグコネクタ2とリセプタクルコネクタ3とは嵌合状態となる。そしてシャッター20はプラグコネクタ2のハウジング53によって開いた状態で保持されている。尚、シャッター20の長穴軸受け部21とカムプレート30のカム形状31によって、シャッター20の軸方向は上方に上がった状態で開く。
【0041】
プラグコネクタ2の離脱時には双方のシャッター20はプラグコネクタ2の引き抜きにより閉じる方向に回転し最終的には水平状態になる。プラグコネクタ2のキー突起52が離脱すると、引っ張りスプリング40によりそれぞれのシャッター20は中心方向に水平移動して閉まりきる。
【0042】
プラグコネクタ2の嵌合時には、図9に示すように2枚のシャッター20が組み合わされたリセプタクルコネクタのハウジング10の中心部の位置に設けた穴58を通ってプッシング部56にプラグコネクタ2のシャフト4が最初に挿入される。シャフト4の先端が図10に示すブッシング56に設けた前記ロックスプリング解除用の左右のスライダー57を移動させる。この状態でシャッター20は左右にスライド可能状態となる。
【0043】
次に相手方のプラグコネクタ2の左右に設けたキー突起52がシャッター20のキー窓24に挿入される。プラグコネクタ3のキー突起52は傾斜形状になっているため、引っ張りスプリング40の引っ張り力に抗してシャッター20を左右に押し広げる。双方のシャッター20は軸受け部21と軌跡カム31の上部水平部分46に規制されて先ず水平方向に移動する。さらにプラグコネクタ2が下方に挿入されると、プラグコネクタ2のハウジング53によって押し下げられ、双方のシャッター20は突起22がカムプレート30のカム形状31に沿って回転する。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について図示しまた説明したが、ここに記載された本発明の実施の形態は単なる一例であり、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るリセプタクルコネクタを含む多芯コネクタの斜視図である。
【図2】本発明に係るシャッター付きリセプタクルコネクタの分解図である。
【図3】本発明に係るシャッター付きリセプタクルコネクタコネクタのシャッター閉状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るシャッター付きリセプタクルコネクタコネクタのシャッター閉状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るシャッター付きリセプタクルコネクタコネクタのシャッター閉状態の断面図である。
【図6】本発明に係るシャッター付きリセプタクルコネクタコネクタのシャッター開状態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るシャッター付きリセプタクルコネクタコネクタのシャッター開状態の断面を示す図である。
【図8】本発明に係るシャッター付きリセプタクルコネクタコネクタのシャッター開状態を示す斜視図である。
【図9】本発明に係るシャッター付きリセプタクルコネクタと相手方のプラグコネクタとの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【図10】ロック機構を有するシャッター付きリセプタクルコネクタのシャッター開状態を示す斜視図である。
【図11】ロック機構を有するシャッター付きリセプタクルコネクタのシャッター開状態を示す斜視図である。
【図12】ロック機構におけるブッシングとロックスプリングの構成について示す斜視図である。
【図13】ロック機構のブッシング、スライダーとロックスプリングの断面図(上方より)である。
【図14】ロック機構のブッシング、スライダーとロックスプリングの断面図(側面より)である。
【図15】シャッター付きリセプタクルコネクタコネクタの4枚シャッター構成のシャッター閉状態を示す斜視図である。
【図16】シャッター付きリセプタクルコネクタコネクタの4枚シャッター構成のシャッター開状態を示す斜視図である。
【図17】従来のZIFコネクタを示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1…多芯コネクタ、 2…プラグコネクタ、 3…リセプタクルコネクタ、 4…シャフト、 5…孔、 6…コンタクト、 7…コンタクト、 10…リセプタクルコネクタのハウジング、 11…回転用突起軸、 12…穴、 20…シャッター、 21…軸受け部、 22…突起、23…軸、24…キー窓、 30…カムプレート、 31…シャッター軌跡カム、 34…凸部、 35…開口部、 36…側面、40…引っ張りスプリング、 41…側壁、 42…側壁、 底部43、 44… コンタクトモジュール支持部、 45…側面、50…プラグコネクタ、 52…キー突起、 53…ハウジング、 55…ロックスプリング、 56…ブッシング、 57…スライダー、 58…穴、 59…腕部 61…穴、 62…溝、 63…先端部、 64…ロック部、 65…傾斜部、 80…多芯コネクタ、 81…プラグコネクタ、 82…リセプタクルコネクタ、 83…シャフト、84…カムシャフト、 85…カム、 86…アクチェータ、 87…コンタクトピン、88…コンタクト、 89…コンタクト、 90…下部コンタクト端子…、 91…開口部、 92…上部端子、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコネクタと共にコネクタを形成するリセプタクルコネクタであって、
開口部を有するハウジングと、
前記開口部に設けられた少なくとも2つのシャッターと、
前記シャッターは、相手方である前記プラグコネクタとの嵌合時には前記開口部に対して開状態となり、前記ハウジング内にプラグコネクタが挿入されていない場合には閉状態となり、前記シャッターが回転及び直線移動を可能にするために前記ハウジングの側面に設けられた突起軸と係合する長穴形状の軸受け部を備え、そして前記プラグコネクタに形成されたキー突起を受入れるキー窓を有し、
前記シャッターの開閉軌跡を制御するカム形状を有するカムプレートと、
前記シャッターを常時閉成側に向けて付勢する弾性部材とを具備し、
コネクタの嵌合時において前記キー窓に前記キー突起部が挿入されると前記2枚のシャッターは前記カム形状により前記弾性部材の力に抗して離れる方向に一定量横移動し、続いて回転可能な位置で前記シャッターは回転することにより開状態となることを特徴とするシャッター付きリセプタクルコネクタ。
【請求項2】
前記カム形状は、前記閉状態においては前記シャッターを回転方向に押しても前記シャッターが開かないような軌跡が形成されていることを特徴とする請求項1記載のリセプタクルコネクタ。
【請求項3】
前記シャッターの前記キー窓は、前記プラグコネクタが逆向きで挿入された場合には前記プラグコネクタと係合出来ない構造を有することを特徴とする請求項1または2記載のリセプタクルコネクタ。
【請求項4】
前記シャッターには少なくとも2つのキー窓が形成されており、前記少なくとも2つのキー窓は前記リセプタクルコネクタ中心に対して非対称な位置に配置されている請求項1から3のいずれか1項記載のリセプタクルコネクタ。
【請求項5】
前記弾性部材は対向する前記シャッター側面にそれぞれ形成された軸にその両端が係止された引っ張りスプリングから成り、対向するそれぞれの前記シャッターが常にリセプタクルコネクタの中心方向に引っ張られていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のリセプタクルコネクタ。
【請求項6】
前記弾性部材は、対向する前記シャッターの前記軸に係止されると共に、前記リセプタクルコネクタ側面において前記シャッターの水平位置よりも高い位置に設けたられ凸部によって支持されており、このため前記シャッターの閉成時には上方向への付勢力を有しており、このため前記シャッターを所定の位置にもどすことを可能とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のリセプタクルコネクタ。
【請求項7】
前記シャッター両側面に成形された前記長穴形状の軸受け部と、前記リセプタクルコネクタのハウジング内側に設けた前記カム形状は、シャッター開閉時の固定軸を中心に回転する単純回転軌跡と比較し、前記リセプタクルコネクタ高さを低くさせることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項8】
前記シャッターに弾性部材で成形したロックスプリングを設け、
前記ロックスプリングは、シャッター閉成時はブッシングに設けた溝にロックスプリング先端が係合されてシャッターの左右へのスライドはロックされており、
前記プラグコネクタが挿入された場合はプラグコネクタのシャフト先端がリセプタクルコネクタのブッシングに設けられたスライダーを左右に移動させてシャッターに設けた前記ロックスプリングのロックを解除して前記2枚のシャッターが開くことを可能にするロック機構を設けたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−134227(P2007−134227A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327637(P2005−327637)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(596029797)アイティーティー・マニュファクチャリング・エンタープライジズ・インコーポレーテッド (34)
【Fターム(参考)】