説明

シリルポリマー性安息香酸エステル化合物、それらの使用、及び組成物

本発明は、安息香酸エステルを粒子の形態で含んでなる有機ケイ素ポリマー、それらの調製方法、それらを含んでなる化粧品又は皮膚科用の組成物、並びにヒト又は動物の生体をUV照射から保護するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光又は他の照射に対する保護を与える局所製剤において使用するための粒子の形態の安息香酸エステルを含んでなる有機ケイ素ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
損傷を生ずる増大する太陽光に曝される人々における日焼け止め保護剤に対する必要性は絶えず高まっている。損傷は、日焼け、発疹、並びに細胞及び組織損傷から早発性しわ及び皮膚癌にわたる範囲の効果を有する即時性の及び長期のものであり得る。この意味で、過去にも、UV−A及び/又はUV−B波長及びさらに短波長の有害な作用に対して保護する多くの日焼け止めの化学物質が開発されてきた。これらの化学物質は、単独で又は互いに組合せてのいずれかで、広く知られて使用される化粧品又は医薬製剤中に通常組み込まれている。
【0003】
日焼け止め組成物中で使用される大部分のUVフィルタは、モノマー性化合物であり、そのような化合物には、非常に望ましくない作用であるが、皮膚バリアを通過し得るという本質的なリスクがある。したがって、一般的な日焼け止めの使用に由来する主要な欠点は、皮膚のアレルギー性接触反応、光接触反応、及び乾燥又は硬結などの皮膚の問題を含む有害反応である。他覚的紅斑はなく焼け又は刺痛を伴う自覚的刺激反応は、日焼け止めによる最も一般的な敏感性の愁訴である。この刺激反応は眼の領域において最も頻繁に観察される。しかしながら、持続性の他覚的な刺激性接触皮膚炎がより一般的な副作用である。既存の湿疹様状態がある個体は、それらの損傷した皮膚バリアと関連する敏感性に対する重大な素因を有する。それに加えて、ある種の抗生物質、経口避妊薬、利尿剤、抗ヒスタミン剤及び抗うつ剤は、日光に対する敏感性を増大させ得る普通に使用される薬物の範囲の中にある。さらに、これらの皮膚の問題の幾つかは太陽光に曝されると生成する日焼け止めの分解生成物により誘発される。
【0004】
日焼け止め剤形中に存在するUVフィルタの少なくとも1種をカプセル化することにより皮膚浸透のリスクを解決する試みがなされてきた。例えば、線状又は環状のいずれでもよいポリシロキサンを基にしたUVフィルタがWO93/04665、WO94/06404、EP538431、EP392883及びEP358584に記載されている。これらのポリシロキサンでは、皮膚浸透のリスクは低いが、時には不適合性の問題により、日焼け止め組成物にポリシロキサンを混入することが困難である。特許出願WO2005/053631は、UVフィルタ活性を有するマイクロカプセルに関し、該出願においてはUV−A及び/又はUV−B及び/又はUV−Cフィルタ活性を有する少なくとも1種の架橋性発色団、及び場合によりUV−A及び/又はUV−B及び/又はUV−Cフィルタ活性を有しない少なくとも1種の架橋性モノマーを、UV−A及び/又はUV−B及び/又はUV−Cフィルタ活性を有する非架橋性発色団の不在下で架橋反応させる。本発明も前記マイクロカプセルを含んでなる日焼け止め組成物に関する。
【0005】
先行技術には、粒子形態の幾つかのUV吸収剤も記載されている。この意味で、特許出願WO2005/120440は、有機化合物が粒子内部に存在し、場合により粒子表面にも存在することを特徴とする、無機網目構造及び該網目構造にスペーサ基を介して共有結合で結合した有機化合物を含んでなる粒子に関連する。本発明も前記粒子を含んでなる製剤及び組成物に関連する。
【0006】
特許出願WO2009/101016及びWalenzyk,T.et al.,International Journal of Cosmetic Science(2005),27(3),177−189は、無機ナノ粒子と官能基を含む有機分子との反応により得ることができる粒子、及び化粧品又は皮膚科の用途におけるUV吸収剤としてのそれらの使用に関する。
【0007】
幾種類かの安息香酸エステル化合物が発見されて、WO2006100225で開示され、さらに紫外線吸収剤、方法、化粧又は医薬組成物、パーソナルケア組成物、及びそれらに関係する工業用組成物の光化学的前駆体としてのそれらの使用も開示されている。幾つかのシラン官能化紫外線遮蔽剤前駆体もUS4328346で開示された。これらの化合物は太陽光の存在で光化学的変性を受けてそれらのUV遮蔽能力が増強される。しかしながら、純度が高く、副作用のリスクがより低く、光安定性が向上し、皮膚上にながく残る新しい日焼け止め化合物を開発することが未だなお望まれている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、UV照射に対する進行性光保護剤として有用なシリルポリマー性安息香酸エステル化合物を開示する。これらの化合物により与えられる、先行技術において記載されたものに対する優位性は、これらがミクロ又はナノ粒子の形態を示し、粒子は、均一で球形又は擬球形であることに加えて、本質的に密封されているという適切な物理的性質を有することである。密封性により安息香酸エステル化合物及びその光変性生成物の放出が回避される。したがって、それらは日焼け止め使用者及び環境の双方にとってより安全なプロファイルが与えられている。
【0009】
本発明のポリマーは、太陽への曝露時間及び太陽の照射の程度に応じた進行性UV保護も示す。したがって、そのような化合物を含有する組成物は、太陽への曝露時間及び照射の強度とともに保護が増大するので、従来の日焼け止め製品より安全な日光浴をする方法を構成する。
【0010】
本発明のポリマーは、それ自体、紫外線吸収特性を示し、かつ、その場で光化学的にさらに高いUV保護を有する他の遮蔽化合物に変換され易い。
【0011】
第1の側面において、本発明は、式(I)のモノマー:
【化1】

(式中、
Rは、(i)、(ii)、(iii)、及び(iv):
【化2】

からなる群から選択され;
、R、R、R及びRは、H、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、OR、NH、NHR、NR、COOH、COOR10、CONH、CONHR11、CONR1213、SONH、SONHR14、及びSONR1516からなる群から独立に選択され;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、Rは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、RとRとは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
10は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
11は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
12は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルでありかつ、R13は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R12とR13とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
14は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
15は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、R16は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R15とR16とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
Aは、H、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、OR’、NH、NHR’又はNR’R’であり;
Lは、単結合、−CH−又は−CH−CH(R)−であり;
Zは、NH又はOであり;
Raは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
Rbは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
Rcは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R’とR’とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
は、H、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
nは、0及び1から選択される整数であり;
pは、2、3及び4から選択される整数であり;
sは、0及び1から選択される整数であり;
tは、0及び1から選択される整数である);
と、式(IV)の化合物:
【化3】

(式中、
Rdは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキルであり;
Re、Rf及びRgは、独立に直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり、
及びwは、独立に0又は1である)
とのアルカノール/水混合物中における反応を含んでなる、有機ケイ素の進行性光保護ポリマーを調製する方法に関する。
【0012】
第2の側面において、本発明は、ミクロ又はナノ粒子の形態を示すことを特徴とする、上で定義された方法により得ることができる有機ケイ素の進行性光保護ポリマーに関する。
【0013】
第3の側面において、本発明は、ヒト又は動物の生体をUV照射から保護するための化粧又は皮膚科用組成物の調製における、上で定義された有機ケイ素の進行性光保護ポリマーの使用に関する。
【0014】
第4の側面において、本発明は、UV吸収剤の光化学的前駆体としての上で定義された光保護ポリマーの使用に関する。
【0015】
第5の側面において、本発明は、太陽への曝露時間及び太陽の照射の程度に応じた進行性UV保護により特徴づけられる、ヒト又は動物の生体に適用するための化粧又は皮膚科用組成物の調製における上で定義された光保護ポリマーの使用に関係する。
【0016】
第6の側面において、本発明は、ヒト又は動物の生体をUV照射から保護することに使用するための上で定義された光保護ポリマーに関する。
【0017】
第7の側面において、本発明は、上で定義された有機ケイ素の進行性光保護ポリマーを含んでなる、化粧又は皮膚科用組成物に関する。
【0018】
第8の側面において、本発明は、式(I)のモノマー:
【化4】

(式中、
Rは、(i)、(ii)、(iii)、及び(iv):
【化5】

からなる群から選択され;
、R、R、R及びRは、H、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、OR、NH、NHR、NR、COOH、COOR10、CONH、CONHR11、CONR1213、SONH、SONHR14、及びSONR1516からなる群から独立に選択され;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、Rは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、RとRとは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
10は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
11は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
12は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、R13は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R12とR13とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
14は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
15は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、R16は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R15とR16とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
Aは、H、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、OR’、NH、NHR’又はNR’R’であり;
Lは、単結合、−CH−又は−CH−CH(R)−であり;
Zは、NH又はOであり;
Raは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
Rbは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
Rcは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R’とR’とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
は、H、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
nは、0及び1から選択される整数であり;
pは、2、3及び4から選択される整数であり;
sは、0及び1から選択される整数であり;
tは、0及び1から選択される整数であり;
ただし、Rが(i)である場合、A、L、Z、n、p、s、t、及びR〜Rは、それぞれが同時にH、単結合、O、0、3、1、1、及び全てHであることができない)
若しくはそれらの鏡像異性体型、又は化粧品的に若しくは皮膚科用として許容される塩に関する。
【0019】
第9の側面において、本発明は、Rが基(i)又は(ii)である、上で定義された式(I)のモノマーを調製する方法であって、式(II’)の化合物:
【化6】

(式中、
R’は、基(i’)又は(ii’):
【化7】

であり、
〜R、A、L及びZは、上で定義された通りである)
と、式(III’)の化合物:
【化8】

(式中、
Yは、Cl、Br、I、及びO=C=Nからなる群から選択され、
p、s、t、Ra、Rb、及びRcは、上で定義された通りである)
との反応を含んでなり、反応において、(II’)と(III’)とのモル比が1:1〜1:2の範囲内である、方法に関する。
【0020】
第10の側面において、本発明は、Rが基(iii)又は(iv)である、上で定義された式(I)のモノマーを調製する方法であって、式(II”)の化合物:
【化9】

(式中、
R”は、基(iii”)又は(iv”):
【化10】

であり、
〜R、A、及びLは、上で定義された通りである)
と式(III”)の化合物:
【化11】

(式中、
Xは、Cl、Br、及びIからなる群から選択され;
p、s、t、Ra、Rb及びRcは、上で定義された通りである)
との反応を含んでなり、(II”)と(III”)とのモル比は1:4である、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図2】図2は、3−(3−トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図3】図3は、3−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図4】図4は、3−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノフェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図5】図5は、3−(3−(3−トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図6】図6は、4−((3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)メチル)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図7】図7は、4−((3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)メチル)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図8】図8は、4−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図9】図9は、4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図10】図10は、4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図11】図11は、4−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【図12】図12は、4−(3−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。
【0022】
全ての図において、縦座標の軸は吸光度を表し、横座標の軸は波長をnmで表す。図中の小図面は、340nmにおける吸光度の動的測定を描いたものである。
【発明の詳細な説明】
【0023】
本発明の関係において、以下の用語は下で詳細に説明する意味を有する。
【0024】
「C−Cアルキル」は、1〜6個の炭素からなり、不飽和を含まず、単結合により分子の残部に結合した直鎖又は分岐炭化水素鎖基、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、t−ブチル、1−ペンチルなどを指す。アルキル基は、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、カルボニル、アシル、アミノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオなどの1つ以上の置換基により、それらが重合工程に影響しない限り、置換されていてもよい。
【0025】
「C−Cアルケニル」は、2〜6個の炭素からなり、1つ以上の不飽和結合を有する上で定義されたアルキル基を指す。
【0026】
「C−Cシクロアルキル」は、シクロヘキシル又はアダマンチルなどの、飽和した又は部分的に飽和した、炭素原子と水素原子とだけからなる安定な3から6員の単環式基を指す。シクロアルキル基は、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、カルボキシなどの1つ以上の置換基により、それらが重合工程に影響しない限り、場合により置換されていてもよい。
【0027】
用語「アルカノール」は、1〜6個の炭素原子を有し、かつ、ヒドロキシル基を含む直鎖又は分岐炭化水素鎖基を指す。
【0028】
本発明の関係における用語「化粧品的に又は皮膚科学的に許容される塩」は、特に、ヒト及び/又は哺乳動物に適用又は使用されたときに、生理学的に許容される(特に、対イオンの結果として毒性でないことを通常意味する)任意の塩と理解されなければならない。これらの塩の例としては、酸付加塩及びアルカリ付加塩が挙げられる。酸付加塩には、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの鉱酸付加塩、並びに、例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩などの有機酸付加塩が挙げられる。アルカリ付加塩の例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、マグネシウム、アルミニウム及びリチウム塩などの無機塩、並びに、例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、Ν,Ν−ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルカミン及び塩基性アミノ酸塩などの有機アルカリ塩が挙げられる。
【0029】
第1の側面において、本発明は、上で定義された式(I)のモノマーと上で定義された式(IV)の化合物とのアルカノール/水混合物中における反応を含んでなる、有機ケイ素の進行性光保護ポリマーを調製する方法(以下、方法1とする)に関する。
【0030】
好ましい実施形態において、本発明の方法1で使用される式(I)のモノマーにおいて、R、R、R、R及びRはHであり、pは3である。
【0031】
他の好ましい実施形態において、本発明の方法1で使用される式(I)のモノマーにおいて、Rは(i)又は(ii)であり;Raは直鎖(C−C)アルキルであり;Rbは直鎖(C−C)アルキルであり;かつ、Rcは直鎖(C−C)アルキルである。さらにより好ましくは、Rは(i)又は(ii)であり;R、R、R、R及びRはHであり;pは3であり;Raは直鎖(C−C)アルキルであり;Rbは直鎖(C−C)アルキルであり;かつ、Rcは直鎖(C−C)アルキルである。
【0032】
他の好ましい実施形態において、本発明の方法1で使用される式(I)のモノマーにおいて、Rは(iii)又は(iv)であり、Raは直鎖(C−C)アルキルであり、Rbは直鎖(C−C)アルキルであり、かつ、Rcは直鎖(C−C)アルキルである。さらにより好ましくは、Rは(iii)又は(iv)であり;R、R、R、R及びRはHであり;pは3であり;Raは直鎖(C−C)アルキルであり;Rbは直鎖(C−C)アルキルであり;かつ、Rcは直鎖(C−C)アルキルである。
【0033】
他の好ましい実施形態において、本発明の方法1で使用される式(I)のモノマーは、
3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエート;
3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート;
3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート;
3−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)フェニルベンゾエート;
3−(3−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート;
4−((3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)メチル)フェニルベンゾエート;
4−((3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)メチル)フェニルベンゾエート;
4−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエート;
4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート;
4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート;
4−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)フェニルベンゾエート;及び
4−(3−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート
からなる群から選択される。
【0034】
本発明の特定の実施形態において、方法1は、アンモニア、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン及びトリアルカノールアミンからなる群から選択される窒素含有塩基性化合物の存在下で実施される。アルキル及びアルカノール基は両方とも、直鎖又は分岐で1〜6個の炭素原子を有する。好ましくは、窒素含有塩基性化合物はアンモニアである。
【0035】
第2の側面において、本発明は、本発明の方法1により得ることができる有機ケイ素の進行性光保護ポリマーに関する。
【0036】
本明細書において示したようにして得ることができる本発明の光保護ポリマーは、ミクロ又はナノ粒子の形態を示す。その上、そのような粒子は、均一な及び球形又は擬球形の形態を有し、本質的に密封されている。
【0037】
本発明の関連では、用語「ミクロ又はナノ粒子の形態」により、粒子の平均サイズは100ミクロン未満であると理解される。通常、前記粒子の平均サイズは、10nm〜10ミクロンの範囲にあり、好ましくは100〜1500nmである。
【0038】
本発明の方法1による粒子の調製は、生成物を、本発明の化粧又は皮膚科用組成物に直接使用することができる密封された球形又は擬球形粒子からなる約1〜25%の固体を含有する懸濁液の形態で得ることができるという利点を有する。上記のように、密封性は、安息香酸エステルの放出又はそれらの光変性生成物が最小化されるので、本発明のポリマーに適切な物理的性質である。
【0039】
光保護活性は、例示目的でスキーム1:
【化12】

(式中、R〜R及びAは上で定義された通りであり、かつ、nはポリマーを構成するモノマー性ユニットの数である)
に示したように、安息香酸エステルフラグメントの2−ヒドロキシベンゾフェノンフラグメントへの光フリース転位による、日焼け止め2−ヒドロキシベンゾフェノンポリマーへのその場での変換に基づく。
【0040】
これらの光保護ポリマーは、太陽への曝露時間及びポリマーにより吸収される太陽の照射の用量に応じた進行性のUV保護を示す。この進行性のUV保護の特性は、それらのUVB及びUVA遮蔽能力で証明される。光フリース転位の程度がUVB照射受光量を示す。
【0041】
その結果として、これらの光保護ポリマーを含有する組成物は、太陽への曝露時間及び照射用量とともに保護が増大するので、従来の日焼け止め生成物よりも日光浴するために安全な方法を提供する。
【0042】
それ故、他の側面において本発明は、ヒト又は動物の生体をUV照射から保護するための化粧又は皮膚科用組成物の調製における、上で定義された光保護ポリマーの使用に関する。
【0043】
他の側面において、本発明は、UV吸収剤の光化学的前駆体としての上で定義された光保護ポリマーの使用に関する。
【0044】
他の側面において、本発明は、太陽への曝露時間及び太陽の照射の程度に応じた進行性のUV保護により特徴づけられる、ヒト又は動物の生体に適用するための化粧又は皮膚科用組成物の調製における、上で定義された光保護ポリマーの使用に関する。
【0045】
他の側面において、本発明は、ヒト又は動物の生体をUV照射から保護することに使用するための上で定義された光保護ポリマーに関する。
【0046】
本発明の他の側面は、上で定義された有機ケイ素の進行性光保護ポリマー又はそれらの混合物を含んでなる化粧又は皮膚科用組成物に関する。
【0047】
本発明は、上記のように、光化学的にその場でUV保護能力が向上した日焼け止め化合物に変換され易い、上で定義された有効量のポリマー又はそれらの混合物を含んでなる化粧又は皮膚科用組成物にも関する。
【0048】
本発明の特定の実施形態において、化粧又は皮膚科用組成物中における光保護ポリマーの含有率は、組成物の合計重量に基づいて重量で0.01%〜40%の範囲にある。好ましくは、その量は、重量で0.05〜25%の範囲内に入り、より好ましくは重量で0.1〜15%の中に入る。
【0049】
本発明の化粧又は皮膚科用組成物は、UVB又はUVA光線をフィルタするために少なくとも1種の追加の有機日焼け止め化合物を含有することもできる。好ましい実施形態において、前記追加日焼け止め化合物は、アボベンゾン、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、オキシベンゾン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸、ジオキシベンゾン、エチル−4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアン−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、グリセリルp−アミノベンゾエート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレート、メチルアントラニレート、p−ジメチルアミノ安息香酸、2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノベンゾエート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−p−ジメチルアミノフェニル−5−スルホニウムベンゾオキサゾン酸、スルイソベンゾン、ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、2−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、及び4−イソプロピルジベンゾイルメタンから選択される。
【0050】
さらに、本発明の組成物は、通常の補助剤及び添加剤、例えば、保存剤、抗酸化剤、脂肪性物質、油、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、軟化剤、乳化剤、消泡剤、加湿剤、芳香剤、界面活性剤、充填剤、金属イオン遮閉剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性若しくは両性のポリマー又はそれらの混合物、噴射剤、酸性化剤、塩基性化剤、染料、着色剤、顔料、ナノ顔料、又は化粧品中に通常製剤化される任意の他の成分、特に日焼け止め組成物を製造するための成分などを追加して含有することもできる。
【0051】
化粧及び皮膚科補助剤及び添加剤の必要量は、当業者が所望の製品に基づいて、容易に選択することができ、また、実施例で例示するが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態において、化粧又は皮膚科用組成物中における補助剤及び/又は添加剤の含有率は、組成物の合計重量に基づいて重量で0.01%〜40%の範囲にある。好ましくは、この量は、重量で0.05〜25%の範囲内に入り、より好ましくは、重量で0.1〜15%の中に入る。
【0052】
他の特定の実施形態において、本発明の化粧又は皮膚科用組成物は、ポリマー含有率が組成物の合計重量に基づいて、重量で0.01%〜40%、好ましくは0.05%〜25%、及びより好ましくは0.01%〜15%の範囲内にあることを特徴とする、本発明の第2の側面によるポリマー又はそれらの混合物と、組成物の合計重量に基づいて重量で0.01%〜40%、好ましくは0.05%〜25%、及びより好ましくは0.01%〜15%の範囲にある、アボベンゾン、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、オキシベンゾン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸、ジオキシベンゾン、エチル−4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアン−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、グリセリルp−アミノベンゾエート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレート、メチルアントラニレート、p−ジメチルアミノ安息香酸、2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノベンゾエート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−p−ジメチルアミノフェニル−5−スルホニウムベンゾオキサゾン酸、スルイソベンゾン、ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、2−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、及び4−イソプロピルジベンゾイルメタンから選択される日焼け止め化合物とを含んでなり、ヒト又は動物の生体に適用される。
【0053】
本発明の化粧又は皮膚科用組成物は、クリーム剤、軟膏、ミルク、懸濁液、散剤、油剤、ローション剤、ゲル剤、スティック剤(stick)、泡沫剤、エマルション剤、分散剤、スプレー、エアロゾル剤、口紅、ファンデーション、メイキャップ、ルースパウダー又は圧縮散剤、アイブラシ、アイシャドー、マスカラ、ネイルエナメル、ネイルラッカー、及び毛髪用の非永続性染色組成物の形態で提供することができる。
【0054】
他の側面において、本発明は、本発明の第8の側面による式(I)のモノマーに関する。
【0055】
好ましい実施形態において、本発明は、R、R、R及びRがHであり、pが3である式(I)のモノマーに関する。
【0056】
他の好ましい実施形態において、本発明は、Rが(i)又は(ii)であり;Raは直鎖(C−C)アルキルであり;Rbは直鎖(C−C)アルキルであり;かつ、Rcは直鎖(C−C)アルキルである式(I)のモノマーに関する。さらにより好ましくは、Rは(i)又は(ii)であり;R、R、R、R及びRがHであり;pは3であり;Raは直鎖(C−C)アルキルであり;Rbは直鎖(C−C)アルキルであり;かつ、Rcは直鎖(C−C)アルキルである。
【0057】
他の好ましい実施形態において、本発明は、Rが(iii)又は(iv)であり、Raは直鎖(C−C)アルキルであり、Rbは直鎖(C−C)アルキルであり、かつ、Rcは直鎖(C−C)アルキルである式(I)のモノマーに関する。さらにより好ましくは、Rは(iii)又は(iv)であり;R、R、R、R及びRはHであり;pは3であり;Raは直鎖(C−C)アルキルであり;Rbは直鎖(C−C)アルキルであり;かつ、Rcは直鎖(C−C)アルキルである。
【0058】
他の好ましい実施形態において、式(I)のモノマーは、
3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート;
3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート;
3−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)フェニルベンゾエート;
3−(3−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート;
4−((3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)メチル)フェニルベンゾエート;
4−((3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)メチル)フェニルベンゾエート;
4−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエート;
4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート;
4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート;
4−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)フェニルベンゾエート;及び
4−(3−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート
からなる群から選択される。
【0059】
他の側面において、本発明は、本発明の第9の側面により、式(II’)の化合物と式(III’)の化合物との反応を含んでなる、Rが基(i)又は(ii)である上で定義される式(I)のモノマーを調製する方法に関する。
【0060】
本発明は、本発明の第10の側面により、式(II”)の化合物と式(III”)の化合物との反応を含んでなる、Rが基(iii)又は(iv)である上で定義される式(I)のモノマーを調製する方法にも関する。
【0061】
式(ΙΙ’)、(III’)、(II”)及び(III”)の化合物は、市販の出発反応物から、本明細書において示す実施例に記載した従来既知の有機化学的方法により調製される。
【0062】
式(I)のモノマーの化粧品的に又は皮膚科学的に許容される塩は、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法により合成される。一般的に、そのような塩は、例えば、これらの化合物の遊離の酸又は塩基型と化学量論量の適当な塩基又は酸とを水中若しくは有機溶媒中又は両者の混合物中で反応させることにより調製される。一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。
【0063】
以下の実施例は、ある本発明の実施形態をさらに例示するために示すものであり、決して本発明の範囲を限定するとみなすことはできない。
【実施例】
【0064】
本明細書において使用する、用語「活性成分」及び「活性成分1」は、実施例12〜23で開示する任意のポリマー化合物を指す。
【0065】
本明細書において使用する、用語「活性成分2」及び「活性成分3」は、任意の一般に許容される日焼け止め化合物を指す。そのような化合物の非限定的な例は、アボベンゾン、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、オキシベンゾン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸、ジオキシベンゾン、エチル−4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアン−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、グリセリルp−アミノベンゾエート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレート、メチルアントラニレート、p−ジメチルアミノ安息香酸、2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノベンゾエート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−p−ジメチルアミノフェニル−5−スルホニウムベンゾオキサゾン酸、スルイソベンゾン、ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、2−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、及び4−イソプロピルジベンゾイルメタン等である。
【0066】
実施例1:3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート
【化13】

【0067】
レゾルシノールモノベンゾエート(866mg、4.043mmol)、トリエチルアミン(0.56mL、4.043mmol)及びトリエトキシ(3−イソシアナトプロピル)シラン(1mL、4.043mmol)を25mLのクロロホルム中に溶解した。溶液を12時間還流し、冷却して、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗生成物をペンタンで洗浄し、その結果、表題の化合物に対応する1.864g(4.041mmol、収率=99%)の黄色を帯びた油状物を得た(HPLC純度=99%)。
【0068】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.19ppm(dd、2HAr)、7.63ppm(td、1HAr)、7.50ppm(t、2HAr)、7.25ppm(t、1HAr)、6.75ppm(m、3HAr)、5.81ppm(s、1H、NH)、3.84ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、3.29ppm(t、2H、HN−CH−CH)、1.73ppm(q、2H、CH)、1.22ppm(t、3×3H、O−CHCH)、0.67ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.32、156.82、151.76、133.66、130.18、130.09、129.40、128.57、113.66、113.21、109.35、70.08、58.50、45.36、25.07、18.24、7.53
IR(溶融フィルム):3454.20、2974.41、2270.78、1712.94、1507.50、1081.26
【0069】
実施例2:3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート及び
実施例3:3−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)フェニルベンゾエート
【化14】

【0070】
a)3−ニトロフェニルベンゾエートの調製
3−ニトロフェノール(1.716g、12.346mmol)及びトリエチルアミン(1.6mL、12.346mmol)を50mLのジクロロメタン中に溶解した。溶液を30分室温で振盪した。塩化ベンゾイル(1.43mL、12.346mmol)を滴下して、生じた溶液を、薄層クロマトグラフィーにより定量して完全に変換されるまで室温で振盪した。炭酸水(20mL)を3回加えた。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、溶媒を減圧下で除去し、その結果、2.7080gの3−ニトロフェニルベンゾエートに対応する白色固体(11.144mmol、収率=90%)を得た。
【0071】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.21ppm(dd、2HAr)、8.16ppm(m、2HAr)、7.68ppm(tt、1HAr)、7.61ppm(m、2HAr)、7.53ppm(t、2HAr
【0072】
b)3−アミノフェニルベンゾエートの調製
3−ニトロフェニルベンゾエート(2.7080g、11.144mmol)及び塩化スズ(II)二水和物(12.564g、55.720mmol)を60mLのエタノール中に溶解して100℃で1時間加熱した。反応粗生成物を室温に放冷し、炭酸ナトリウム水溶液を、pH8になるまで添加した。粗材料をジクロロメタン(3×50mL)で抽出し、硫酸マグネシウムを有機相に加え、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、その結果、2.374g(11.143mmol、収率=100%)の3−アミノフェニルベンゾエートを得た。
【0073】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.19ppm(dd、2HAr)、7.63ppm(td、1HAr)、7.50ppm(t、2HAr)、7.18ppm(t、1HAr)、6.59ppm(m、3HAr)、3.45ppm(sa、2H、NH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.15、151.95、147.56、133.47、130.12、139.69、128.51、112.75、111.59、108.48
【0074】
c)3−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート及び3−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)フェニルベンゾエートの調製
3−アミノフェニルベンゾエート(504mg、2.334mmol)、炭酸カリウム(645mg(4.668mmol)、ヨウ化カリウム(1.550g、9.336mmol)、及び(3−クロロプロピル)トリエトキシシラン(2mL、9.334mmol)を25mLのアセトニトリル中に溶解した。生じた溶液を36時間還流し、放冷し、濾過して、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル8:2)により精製して、456mg(1.093mmol、収率=47%)のモノシリル化合物(HPLC純度=90%)及び235mg(0.378mmol、収率=16%)のジシリル化合物(HPLC純度=97%)を得た。
【0075】
モノシリル化合物H−NMR(CDCl、400MHz):8.19ppm(dd、2HAr)、7.63ppm(td、1HAr)、7.50ppm(t、2HAr)、7.18ppm(t、1HAr)、6.50ppm(tt、2HAr)、6.43ppm(t、1HAr)、3.83ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、3.13ppm(t、2H、HN−CH−CH)、1.74ppm(q、2H、CH)、1.23ppm(t、3×3H、O−CHCH)、0.70ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.19、152.29、149.32、133.27、130.09、129.98、129.73、128.41、109.08、108.00、104.55、60.36、58.40、31.57、20.28、14.09、7.48
IR(フィルムCHCl):3402.20、2974.08、1736.64、1615.95、1265.96、1152.48、1081.02
ジシリル化合物H−NMR(CDCl、400MHz):8.19ppm(dd、2HAr)、7.63ppm(td、1HAr)、7.50ppm(t、2HAr)、7.18ppm(t、1HAr)、6.50ppm(tt、2HAr)、6.43ppm(t、1HAr)、3.83ppm(q、6×2H、O−CH−CH)、3.13ppm(t、2×2H、N−CH−CH)、1.74ppm(q、2×2H、CH)、1.23ppm(t、6×3H、O−CHCH)、0.70ppm(q、2×2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.19、152.16、149.70、133.34、130.10、129.87、129.84、128.46、110.41、109.79、105.52、60.36、58.43、31.57,21.01、14.09、7.79
IR(フィルムCHCl):2974.11、1737.22、1514.41、1003.23、1081.16
【0076】
実施例4:3−(3−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート
【化15】

【0077】
3−アミノフェニルベンゾエート(862mg、4.043mmol)(実施例2a)b)にしたがって調製した)、トリエチルアミン(0.56mL、4.043mmol)、及びトリエトキシ(3−イソシアナトプロピル)シラン(1mL、4.043mmol)を25mLのクロロホルム中に溶解した。生じた溶液を12時間還流し、放冷し、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗生成物をペンタンで洗浄し、濾過して、10mLのペンタンで再び洗浄し、その結果、1.334g(2.899mmol、収率=72%)の表題の化合物に対応する黄色を帯びた固体を得た(HPLC純度>99.7%)。
【0078】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.19ppm(dd、2HAr)、7.64ppm(td、1HAr)、7.52ppm(t、2HAr)、7.38ppm(t、1H、NH)、7.23ppm(t、1HAr)、7.09ppm(dd、2HAr)、6.82ppm(dd、1HAr)、5.27ppm(t、1H、NH)、3.80ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、3.17ppm(t、2H、HN−CH−CH)、1.58ppm(q、2H、CH)、1.19ppm(t、3×3H、O−CHCH)、0.61ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.49、155.47、151.33、140.52、140.42、133.64、130.16、129.37、128.53、117.12、115.81、113.24、58.44、46.02、42.64、23.48、18.27、8.54、7.61
IR(KBr):3322.14、2974.93、1733.06、1646.51、1259.31、1081.35
【0079】
実施例5:4−((3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)メチル)フェニルベンゾエート
【化16】

【0080】
a)4−ホルミルフェニルベンゾエートの調製
4−ヒドロキシベンズアルデヒド(1.080g、8.85mmol)、及びトリエチルアミン(1.5mL、10.78mmol)を25mLのジクロロメタン中に溶解した。溶液を30分室温で振盪した。塩化ベンゾイル(1mL、8.85mmol)を滴下して、生じた溶液を室温で1時間振盪した。飽和炭酸ナトリウム水溶液(20mL)を3回加えた。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、その結果、1.8821g(8.324mmol、収率=94%)の4−ホルミルフェニルベンゾエートを得た。
【0081】
H−NMR(CDCl、400MHz):10.06ppm(s、1H、CHO)、8.20ppm(dd、2HAr)、7.99ppm(td、2HAr)、7.67ppm(tt、1HAr)、7.55ppm(tt、2HAr)、7.42ppm(td、2HAr
13C−NMR(CDCl、400MHz):190.90、164.47、155.67、134.06、134.00、131.25、130.26、128.90、128.70、122.52、109.99
【0082】
b)4−(ヒドロキシメチル)フェニルベンゾエートの調製
b.1)4−(ヒドロキシメチル)フェノール(1.087g、8.77mmol)及びトリエチルアミン(1.3mL、8.77mmol)を25mLのジクロロメタン中に溶解した。溶液を0℃で30分間振盪した。塩化ベンゾイル(1mL、8.77mmol)を滴下して、生じた溶液を0℃で5時間振盪した。飽和炭酸ナトリウム水溶液(20mL)を3回加えた。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去すると、その結果、黄色を帯びた固体が生じ、それをシクロヘキサンから再結晶して1.600g(70.16mmol、収率=80%)の4−(ヒドロキシメチル)フェニルベンゾエートを得た。
【0083】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.21ppm(dd、2HAr)、7.65ppm(tt、1HAr)、7.52ppm(t、2HAr)、7.42ppm(d、2HAr)、7.19ppm(d、2HAr)、4.69ppm(s、2H、CHOH)
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.24、150.33、138.55、133.61、133.09、130.18、130.16、129.69、129.50、129.45、128.56、128.39、128.12、121.90、64.77
【0084】
b.2)4−ホルミルフェニルベンゾエート(1.8821g、8.234mmol)を50mLのエタノール中に溶解して、生じた溶液を氷浴中で振盪した。水素化ホウ素ナトリウム(1g、26.55mmol)を10分間かけて分割して添加した。反応は薄層クロマトグラフィーにより制御した。反応が完結したとき、20mLの水を加えて、混合物を0℃で10分間振盪した。生成物をクロロホルム(3×50mL)で抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、その結果、1.890g(8.289mmol、収率=100%)の4−ホルミルフェニルベンゾエートを得た。
【0085】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.21ppm(dd、2HAr)、7.65ppm(tt、1HAr)、7.52ppm(t、2HAr)、7.42ppm(d、2HAr)、7.19ppm(d、2HAr)、4.69ppm(s、2H、CHOH)
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.24、150.33、138.55、133.61、133.09、130.18、130.16、129.69、129.50、129.45、128.56、128.39、128.12、121.90、64.77
【0086】
c)(3−ヨードプロピル)トリエトキシシランの調製
ヨウ化ナトリウム(15g、93.325mmol)をアセトン中に溶解して、(3−クロロプロピル)トリエトキシシラン(22mL、45.63mmol)を滴下した。生じた混合物を80℃で48時間アルゴン中で振盪した。反応粗生成物を室温に冷却し、濾過して、溶媒を減圧下で除去した。90%のヨウ素化された化合物及び10%の塩素化された反応物を含有する黄色を帯びた液体(28.476g)が得られた。前記液体は精製せずに、さらなる使用のために保管した。
【0087】
H−NMR(CDCl、400MHz):3.80ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、3.20ppm(t、2H、I−CH−CH)、1.87ppm(q、2H、CH)、1.20ppm(t、3×3H、O−CHCH)、0.71ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):58.42、27.53、18.25、12.22、10.65
【0088】
d)4−((3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)メチル)フェニルベンゾエートの調製
4−(ヒドロキシメチル)フェニルベンゾエート(1g、4.39mmol)を20mLの無水テトラヒドロフラン中に溶解して氷浴中で冷却した。5mLの無水テトラヒドロフラン中の水素化ナトリウムの懸濁液(60%懸濁液、175mg、4.39mmol)を攪拌下に滴下した。生じた混合物を0℃で1時間攪拌した。(3−ヨードプロピル)トリエトキシシラン(1.46g、4.39mmol)を加えて混合物を36時間還流した。反応粗生成物を濾過し、溶媒を減圧下で除去して、生じた油をクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル8:2)にかけ、その結果、570mg(1.32mmol、収率=30%)の表題化合物(HPLC純度=99.2%)を得た。
【0089】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.21ppm(dd、2HAr)、7.66ppm(tt、1HAr)、7.50ppm(tt、2HAr)、7.45ppm(d、2HAr)、7.20ppm(d、2HAr)、4.73ppm(s、2H、−CH−O)、3.80ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、3.19ppm(t、2H、O−CH−CH)、1.90ppm(q、2H、CH)、1.20ppm(t、3H、O−CHCH)、0.70ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.24、150.36、138.51、133.60、130.18、130.16、129.50、129.45、128.56、128.12、121.82、64.83、58.42、27.53、26.87、18.25、12.22、10.65
【0090】
実施例6:4−((3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)メチル)フェニルベンゾエート
【化17】

【0091】
4−(ヒドロキシメチル)フェニルベンゾエート(実施例5a)b.1))、(0.25mL、1.785mmol)、トリエチルアミン(407mg、1.785mmol)、及びトリエトキシ(3−イソシアナトプロピル)シラン(0.44mL、1.785mmol)を25mLのクロロホルム中に溶解した。生じた溶液を還流し、反応は薄層クロマトグラフィーにより制御した。溶媒を減圧下で除去して、30mLのヘキサン/酢酸エチル2:1を加えて、生成した固体を濾過し、溶媒を減圧下で除去して、その結果、表題化合物に対応する油状物(726mg、1.528mmol、収率=86%)(HPLC純度=97%)を得た。
【0092】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.20ppm(dd、2HAr)、7.66ppm(tt、1HAr)、7.51ppm(tt、2HAr)、7.43ppm(d、2HAr)、7.20ppm(d、2HAr)、5.11ppm(s、2H、−CH−O)、3.83ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、3.23ppm(t、2H、NH−CH−CH)、1.66ppm(q、2H、CH)、1.22ppm(t、3H、O−CHCH)、0.66ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.07、156.27、150.65、134.43、133.60、129.45、128.55、121.73、65.84、58.44、43.45、25.10、23.25、18.26、7.62、7.54
IR(フィルム):3343.96、2974.20、2271.66、1729.38、1510.85、1264.81、1079.31
【0093】
実施例7:4−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエート
【化18】

【0094】
4−ヒドロキシフェニルベンゾエート(0.5g、2.334mmol)、炭酸カリウム(0.323g、2.334mmol)、及びヨウ化カリウム(0.775g、4.667mmol)をアセトニトリル中に溶解した。生じた溶液を36時間還流し、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、得られた粗生成物を、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチル8:2を使用してフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、その結果、488mg(1.167mmol、収率=50%)の表題化合物(HPLC純度=99%)を得た。
【0095】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.22ppm(dd、2HAr)、7.70ppm(t、1HAr)、7.60ppm(t、2HAr)7.20ppm(dd、2HAr)、7.05ppm(dd、2HAr)、4.06ppm(t、2H、O−CH)、3.84ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、1.70ppm(q、2H、CH)、1.20ppm(t、3×3H、O−CHCH)、0.70ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.2、156.2、151.76、133.60、130.28、130.19、129.44、128.59、113.64、113.17、109.30、70.00、58.56、45.34、25.05、18.23、7.50
IR(KBr):2974.5、1739.6、1610.8、1591.8、1489.5、1472.2、1452.0、1081.5、777.5
【0096】
実施例8:4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート
【化19】

【0097】
4−ヒドロキシフェニルベンゾエート(433mg、2.022mmol)、トリエチルアミン(0.28mL、2.022mmol)、及びトリエトキシ(3−イソシアナトプロピル)シラン(0.5mL、2.022mmol)を25mLのクロロホルム中に溶解した。生じた溶液を12時間還流し、室温で冷却し、溶媒を減圧で除去した。冷ペンタンを加えて、生じた沈殿を濾過し、10mLの追加のペンタンで洗浄し、その結果、930mg(1.961mmol、収率=97%)の表題化合物(HPLC純度=99%)を得た。
【0098】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.20ppm(dd、2HAr)、7.63ppm(t、1HAr)、7.51ppm(t、2HAr)7.07ppm(dd、2HAr)、6.85ppm(dd、2HAr)、5.28ppm(sa、1H、NH)、3.82ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、3.21ppm(t、2H、NH−CH)、1.73ppm(q、2H、CH)、1.22ppm(t、3×3H、O−CHCH)、0.68ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.32、153.30、133.53、128.53、122.57、116.04、58.48、45.37、25.09、18.26、7.54
IR(KBr):3452.59、3348.26、2974.41、2271.41、1712.67、1508.18、1079.92
【0099】
実施例9:4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート及び
実施例10:4−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)フェニルベンゾエート
【化20】

【0100】
3−アミノフェニルベンゾエート(504mg、2.334mmol)(実施例2a)b)にしたがって調製した)、炭酸カリウム(645mg、4.668mmol)、ヨウ化カリウム(1.550g、9.336mmol)、及び3−クロロプロピル)トリエトキシシラン(2mL、9.334mmol)を25mLのアセトニトリル中に溶解した。生じた溶液を36時間還流し、放冷し、濾過して、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル8:2)により精製して438mg(1.050mmol、収率=45%)のモノシリル化合物(HPLC純度=83%)及び218mg(0.350mmol、収率=15%)のジシリル化合物(HPLC純度=88%)を得た。
【0101】
モノシリル化合物H−NMR(CDCl、400MHz):8.20ppm(dd、2HAr)、7.60ppm(td、1HAr)、7.49ppm(t、2HAr)7.02ppm(dd、2HAr)、6.67ppm(dd、2HAr)、3.80ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、3.25ppm(t、2H、HN−CH−CH)、1.71ppm(q、2H、CH)、1.22ppm(t、3×3H、O−CHCH)、0.62ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.77、146.37、141.92、133.26、128.44、122.11、112.99、58.44、46.74、30.90、22.74、18.30、7.82、7.53
IR(フィルム CHCl):3399.65、2973.99、1733.37、1610.76、1515.34、1268.00、1198.14、1082.04
ジシリル化合物H−NMR(CDCl、400MHz):8.20ppm(dd、2HAr)、7.60ppm(td、1HAr)、7.49ppm(t、2HAr)7.02ppm(dd、2HAr)、6.67ppm(dd、2HAr)、3.80ppm(q、6×2H、O−CH−CH)、3.25ppm(t、2×2H、N−CH−CH)、1.71ppm(q、2×2H、CH)、1.22ppm(t、6×3H、O−CHCH)、0.62ppm(q、2×2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.85、146.10、140.56、133.19、130.05、128.41、121.93、111.89、58.40、53.84、47.47、30.89、26.48、20.33、18.41、18.30、8.04、7.53、7.05
IR(フィルム CHCl):2974.02、1738.21、1612.95、1500.92、1264.55、1081.06
【0102】
実施例11:4−(3−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート
【化21】

【0103】
3−アミノフェニルベンゾエート(461mg、2.162mmol)(実施例2a)b)にしたがって調製した)、トリエチルアミン(0.30mL、2.162mmol)、及びトリエトキシ(3−イソシアナトプロピル)シラン(0.54mL、2.162mmol)を25mLのクロロホルム中に溶解した。生じた溶液を12時間還流し、室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。冷ペンタンを加えて生じた沈殿を濾過し、10mLの追加のペンタンで洗浄し、その結果、945mg(2.954mmol、収率=95%)の表題化合物(HPLC純度=98%)を得た。
【0104】
H−NMR(CDCl、400MHz):8.20ppm(dd、2HAr)、7.64ppm(t、1HAr)、7.53ppm(t、2HAr)7.35ppm(dd、2HAr)、7.14ppm(dd、2HAr)、6.64ppm(sa、1H、NH)、5.10ppm(t、1H、NH)、3.81ppm(q、3×2H、O−CH−CH)、3.25ppm(t、2H、NH−CH)、1.73ppm(q、2H、CH)、1.20ppm(t、3×3H、O−CHCH)、0.66ppm(q、2H、Si−CH
13C−NMR(CDCl、400MHz):165.54、155.67、146.58、136.59、133.64、128.57、122.20、121.83、58.47、42.71、23.51、18.28、7.62
IR(KBr):3353.45、3267.08、2973.52、1732.54、1646.99、1565.24、1506.69、1196.01、1080.61
【0105】
実施例12:3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエート粒子(P1)
1)調製
エタノール(3.8mL、0.082mmol)と脱イオン水(1.4mL、0.078mmol)との混合物を水浴中で攪拌しながら60℃に加熱した。テトラエトキシシラン、(TEOS、396mg、1.903mmol)、及び3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエート(US4328346、1.328g、3.172mmol)の混合物を、同じ浴中で攪拌せずに加熱した。エタノール/水混合物の温度が60℃に達したとき、1.7mLの30%アンモニア(0.011mmol)を加え、攪拌を強化して確実に均一な混合物にした。温度が再び60℃に達したとき、TEOS及び3−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエートの溶液を加えて15秒間攪拌した。生じた懸濁液を2時間60℃のままにした。生じた沈殿を濾過し、エタノールで洗浄し(3×20mL)、真空下で乾燥した。
【0106】
溶媒を減圧下で除去して、残留物を1H−RMN分光法により分析して重合が定量的であることを確認した。生じた粒子は3−メトキシフェニルベンゾエートとして表した前駆体を重量で68%を含む。
【0107】
2)粒子のキャラクタリゼーション
得られた粒子の特性を、走査電子顕微鏡(SEM)、サイズ分布、UV−Vis分光法、IR分光法及びHPLCクロマトグラフィーにより明らかにした。
【0108】
2.1)粒子形態
SEM像は、500nmの直径及び均一な外観を有する球形粒子を示す。
【0109】
サイズ分布は、粒子が単分散でサイズは570±170nmであることを示す。
【0110】
2.2)UV−Vis分光法
粘度20cStのポリジメチルシロキサン(PDMS)中3%(30mg/mL)の粒子懸濁液を、接着性ベルト(Transpore(商標))で被覆された水晶表面に2mg/cmで加えた。粒子は、UV−Visスペクトルを、積分球を用いて拡散透過率モードで記録したとき、UVB領域に強い吸収を示し、それはUVAに尾を引く。
【0111】
2.3)IR分光法
KBrペレットでのIR粒子スペクトルは、前駆体からの芳香族エステルのC=O伸張及びマトリックスからのO−Si−Oにそれぞれ対応する1735cm−1及び1100cm−1のバンドを示す。
【0112】
2.4)HPLCクロマトグラフィー
粒子密封性は、高温で溶媒により抽出し、抽出物をHPLCにより分析することにより測定した。粒子(200mg)及び100mLのメタノールと水との混合物((80:20)をソックスレーで5時間還流した。溶媒試料をHPLCにより以下の条件で分析した:
・装置:HP1090液体クロマトグラフ
・カラム:逆相Kromasil C18 5μm 15×0.46
・移動相:アセトニトリル/水80:20
・流量:1.0mL/分
・検出:吸収254nm
粒子のクロマトグラムは溶媒の死点時間のみを示し、したがって粒子は本質的に密封されていることを示した。
【0113】
3)粒子の光変性
単独の又はPDMS中に懸濁した粒子を、16UVBランプを備えたLuzchem ICH−2光反応装置中35℃で照射した(照度70W/m)。
【0114】
3.1)UV−Vis分光法
PDMS中の3%粒子懸濁液を、接着性ベルト(Transpore(商標))で被覆された水晶表面に2mg/cmで加えた。光変換の進度は試料の280と400nmの間の拡散透過率を測定することにより制御した。
【0115】
粒子スペクトルは、照射された粒子がUVB及びUVA両方の領域で吸収することを示す。
【0116】
3.2)IR分光法
IRスペクトルはKBrペレットを使用して記録した。非照射粒子との比較で最も重要な変化は、1735cm−1のバンドが消失し、かつ、1630cm−1に他のバンドが出現したことであり、それは芳香族β−ヒドロキシケトンのC=O強度の特性である。
【0117】
3.3)HPLCクロマトグラフィー
照射されたマイクロカプセルのHPLCクロマトグラフィーは、非照射マイクロカプセル(2.4)についてと同じ方法で実施した。
【0118】
粒子クロマトグラムは溶媒の死点時間のみを示し、したがって粒子は本質的に密封されていることを示した。
【0119】
実施例13:3−(3−トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート粒子(P2)
実施例14:3−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート粒子(P3)
実施例15:3−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノフェニルベンゾエート粒子(P4)
実施例16:3−(3−(3−トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート粒子(P5)
実施例17:4−((3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)メチル)フェニルベンゾエート粒子(P6)
実施例18:4−((3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)メチル)フェニルベンゾエート(P7)
実施例19:4−(3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)フェニルベンゾエート粒子(P8)
実施例20:4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルカルバモイルオキシ)フェニルベンゾエート粒子(P9)
実施例21:4−(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート粒子(P10)
実施例22:4−(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピルアミノ)フェニルベンゾエート粒子(P11)
実施例23:4−(3−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ウレイド)フェニルベンゾエート粒子(P12)
【0120】
実施例13〜23の化合物は、実施例12に記載した合成にしたがって適当な試薬から調製した。HPLC密封性は全ての化合物について評価した。調製及び分析の詳細を表1にまとめて示す。
【0121】
【表1】

【0122】
本発明において、化粧又は皮膚科用組成物は、クリーム剤、軟膏、ミルク、懸濁液、散剤、油剤、ローション剤、ゲル剤、スティック剤、泡沫剤、エマルション、分散剤、スプレー剤、エアロゾル剤、口紅、ファンデーション、メイキャップ、ルースパウダー又は圧縮散剤、アイブラシ、アイシャドー、マスカラ、ネイルエナメル、ネイルラッカー、及び毛髪用の非永続性染色組成物から選択される。
【0123】
【表2】

【0124】
手順
相Bの成分を合わせた。混合物を攪拌して70〜75℃に加熱した。相Aの成分を合わせた。混合物を攪拌しながら70〜75℃に加熱した。攪拌しながら相Bを相Aに加えた。防腐剤を添加した。混合物を攪拌し、室温まで放冷した。
【0125】
【表3】

【0126】
手順
A−1の成分を合わせ、混合物を攪拌し、全ての固体が溶解するまで60℃に加熱した。A−2をA−1中に攪拌して分散させた。B−1成分を合わせ、混合物を攪拌し60℃に加熱した。B−2をB−1中に攪拌して分散させた。AをBに激しく攪拌しながら加えた。混合物を穏やかにホモジナイズして40℃まで放冷させた。CをA/Bに加え、混合物を均一になるまで穏やかにホモジナイズした。混合物をもう一つのミキサで攪拌し、混合物を25℃にしてからパッケージする。分配は、高剪断ポンプ噴霧デバイスにより行うのが便利である。
【0127】
【表4】

【0128】
手順
相Aの成分を、主容器に回転翼で攪拌しながら加えた。混合物を75〜80℃に加熱した。相Bの成分を合わせ、懸濁液を85℃に加熱して混合した。相Bをバッチにゆっくり加えて85℃で15分間混合した。混合物を熱源から外した後、攪拌棒による混合に切り換えて室温に冷却した。
【0129】
【表5】

【0130】
【表6】

【0131】
手順
相A−1の成分を合わせて、混合物を攪拌しながらメチルパラベンが溶解するまで50℃に加熱した。A−2をA−1中に篩いを用いて分配した。生じた混合物Aを65℃に加熱した。相B成分を合わせて、混合物を攪拌しながら固体が溶解するまで65〜70℃に加熱した。BをAに加えた。混合物をホモジナイズしてCを55〜60℃で加えた。ホモジナイズを継続して混合物を40〜45℃まで放冷させた。相Dを加えて、混合物をプロペラミキサで均一になるまで攪拌した。pHをトリエタノールアミンで6.5〜7.0に調節した。
【0132】
【表7】

【0133】
手順
相Bは、カルボポールを水中に分散することにより調製した。分散液を70〜75℃に加熱した。相Aの成分を合わせた。混合物を攪拌して70〜75℃に加熱した。相Bを相Aに攪拌しながら加えた。相Cを加えた。混合物を45〜40℃に冷えるまでホモジナイズした。相Dを加えた。混合物を攪拌しながら室温まで放冷させた。
【0134】
【表8】

【0135】
手順
相Bは、カルボポールを水中に分散することにより調製した。分散液を70〜75℃に加熱した。相Aの成分を合わせた。混合物を攪拌して70〜75℃に加熱した。相Bを相Aに攪拌しながら加えた。相Cを加えた。混合物を45〜40℃に冷えるまでホモジナイズした。相Dを加えた。混合物を攪拌し、室温まで放冷させた。
【0136】
【表9】

【0137】
【表10】

【0138】
【表11】

【0139】
【表12】

【0140】
【表13】

【0141】
【表14】

【0142】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ケイ素の進行性光保護ポリマーを調製する方法であって、式(I)のモノマー:
【化1】

(式中、
Rは、(i)、(ii)、(iii)、及び(iv):
【化2】

からなる群から選択され;
、R、R、R及びRは、H、直鎖又は分岐(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、OR、NH、NHR、NR、COOH、COOR10、CONH、CONHR11、CONR1213、SONH、SONHR14、及びSONR1516からなる群から独立に選択され;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、Rは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、RとRとは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
10は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
11は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
12は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、R13は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R12とR13とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
14は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
15は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、R16は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R15とR16とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
Aは、H、直鎖又は分岐(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、OR’、NH、NHR’又はNR’R’であり;
Lは、単結合、−CH−又は−CH−CH(R)−であり;
Zは、NH又はOであり;
Raは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
Rbは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
Rcは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり、かつ、R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R’とR’とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
は、H、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
nは、0及び1から選択される整数であり;
pは、2、3及び4から選択される整数であり;
sは、0及び1から選択される整数であり;
tは、0及び1から選択される整数である)
と式(IV)の化合物:
【化3】

(式中、
Rdは、直鎖又は分岐(C−C)アルキルであり;
Re、Rf及びRgは、独立に、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり、
及びwは、独立に0又は1である)
とのアルカノール/水混合物(アルカノールは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐アルカノールである)中の反応を含んでなる、方法。
【請求項2】
アンモニア、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、及びトリアルカノールアミンからなる群から選択される窒素含有塩基性化合物の存在によりさらに特徴づけられ、ここで、アルキル基及びアルカノール基は両方とも1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルカノール/水混合物が、エタノール/水混合物である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において定義された方法により得ることができる、ミクロ又はナノ粒子の形態を示す、有機ケイ素の進行性光保護ポリマー。
【請求項5】
ヒト又は動物の生体をUV照射から保護するための化粧又は皮膚科用組成物の調製における、請求項4において定義された有機ケイ素の進行性光保護ポリマーの使用。
【請求項6】
UV吸収剤の光化学的前駆体としての、請求項4において定義された光保護ポリマーの使用。
【請求項7】
太陽への曝露時間及び太陽の照射の程度に応じた進行性のUV保護により特徴づけられる、ヒト又は動物の生体に適用するための化粧又は皮膚科用組成物の調製における請求項4において定義された光保護ポリマーの使用。
【請求項8】
ヒト又は動物の生体をUV照射から保護することに使用するための、請求項4において定義された光保護ポリマー。
【請求項9】
請求項4において定義された有機ケイ素の進行性光保護ポリマー又はそれらの混合物を含んでなる、化粧又は皮膚科用組成物。
【請求項10】
保護能力の増強された日焼け止め化合物にその場で光化学的に変換され易い有効量の有機ケイ素ポリマー又はそれらの混合物を含んでなる、請求項9に記載の化粧又は皮膚科用組成物。
【請求項11】
ポリマー含有率の範囲が、組成物の合計重量に基づいて重量で0.01%〜40%である、請求項9又は10に記載の化粧又は皮膚科用組成物。
【請求項12】
アボベンゾン、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、オキシベンゾン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸、ジオキシベンゾン、エチル−4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアン−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、グリセリルp−アミノベンゾエート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレート、メチルアントラニレート、p−ジメチルアミノ安息香酸、2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノベンゾエート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−p−ジメチルアミノフェニル−5−スルホニウムベンゾオキサゾン酸、スルイソベンゾン、ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、2−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、及び4−イソプロピルジベンゾイルメタンから選択される日焼け止め化合物をさらに含んでなる、請求項9〜11のいずれか一項に記載の化粧又は皮膚科用組成物。
【請求項13】
式(I)のモノマー:
【化4】

(式中:
Rは、(i)、(ii)、(iii)、及び(iv):
【化5】

からなる群から選択され;
、R、R、R及びRは、H、直鎖又は分岐(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、OR、NH、NHR、NR、COOH、COOR10、CONH、CONHR11、CONR1213、SONH、SONHR14、及びSONR1516からなる群から独立に選択され;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルで、かつ、Rは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、RとRとは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
10は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
11は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
12は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルで、かつ、R13は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R12とR13とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
14は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
15は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルで、かつ、R16は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R15とR16とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
Aは、H、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、OR’、NH、NHR’又はNR’R’であり;
Lは、単結合、−CH−又は−CH−CH(R)−であり;
Zは、NH又はOであり;
Raは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
Rbは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
Rcは、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル、直鎖若しくは分岐(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル又はフェニルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルで、かつ、R’は、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであるか;あるいは、R’とR’とは、それらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン又はモルホリン環を形成し;
は、H、直鎖若しくは分岐(C−C)アルキル又は(C−C)シクロアルキルであり;
nは、0及び1から選択される整数であり;
pは、2、3及び4から選択される整数であり;
sは、0及び1から選択される整数であり;
tは、0及び1から選択される整数であり;
ただし、Rが(i)である場合は、A、L、Z、n、p、s、t、及びR〜Rが同時にそれぞれH、単結合、O、0、3、1、1、及び全てHであることができない)
若しくはそれらの鏡像異性体型、又は化粧品的に若しくは皮膚科学的に許容される塩。
【請求項14】
Rが基(i)又は(ii)である、請求項13において定義されるモノマーを調製する方法であって、式(II’)の化合物:
【化6】

(式中、
R’は、(i’)又は(ii’):
【化7】

であり、
〜R、A、L及びZは、請求項13において定義された通りである)
と式(III’)の化合物:
【化8】

(式中、
Yは、Cl、Br、I、及びO=C=Nからなる群から選択され、
p、s、t、Ra、Rb、及びRcは、請求項13において定義された通りである)
との反応を含んでなり、(II’)と(III’)とのモル比は1:1〜1:2の範囲内である、方法。
【請求項15】
Rが基(iii)又は(iv)である、請求項13において定義されるモノマーを調製する方法であって、式(II”)の化合物:
【化9】

(式中、
R”は、基(iii”)又は(iv”):
【化10】

であり、
〜R、A、及びLは、請求項13において定義された通りである)
と式(III”)の化合物:
【化11】

(式中、
Xは、Cl、Br、及びIからなる群から選択され;
p、s、t、Ra、Rb及びRcは、請求項13において定義された通りである)
との反応を含んでなり、(II”)と(III”)とのモル比は1:4である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−507509(P2013−507509A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533636(P2012−533636)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065454
【国際公開番号】WO2011/045389
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(508036488)インテルキム、ソシエダッド アノニマ (6)
【Fターム(参考)】