説明

シール構造

【課題】ローラーハース炉等のように、炉内に設置された複数のローラで被加熱物を搬送しながら加熱する方式の加熱炉における支軸と、炉壁の貫通孔及び軸受ハウジングの貫通孔との隙間や、2つの建築物に跨り露出している配管と建築物の貫通孔との隙間を、簡易な装着作業でありながらも、支軸や配管を断熱しつつ良好にシールする。
【解決手段】無機繊維織布と金属箔とを接合してなり幅方向両端にフランジが形成された断熱材を、無機繊維織布が支軸または配管の外周面側となるように巻装し、その上に、フッ素樹脂製で幅方向両端にフランジが形成されたシート材を被せ、断熱材のフランジとシート材のフランジとを重ね合わせた部分を、構造物に設けた固定用フランジに締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物から突出している高温の支軸または配管等の管状部材と、前記管状部材を突出させるために前記構造物に開口された貫通孔との隙間をシールするためのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図10はローラーハース炉1の一例を示す断面図であるが、炉1の入口1aに至る導入部及び出口1b、炉内2には、複数のローラ3が炉1の長手方向に配列されており、金属板等の被加熱物10は、ローラ3により搬送されながら加熱される。
【0003】
加熱は目的に応じて種々のガス雰囲気下で行われており、例えば鋼板の圧延工程に使用される保熱炉では、LPGや天然ガスの燃焼排ガスを炉内2に供給して加熱している。また、セラミックコンデンサーやソフトフェライト等の電子セラミックスの焼成には、炉内2を窒素ガス等による不活性雰囲気として行われる。
【0004】
そのため、例えば、炉1の入口1aの前段に導入空間を、出口1bの後段に搬出空間をそれぞれ設けて2重扉構成にし、炉内2に外気が流入しないような対策が講じられている。しかし、ローラ3は、図11(図10のAA断面図)に示すように、ローラ3の支軸3aを炉外に突出して軸受4で回転可能に支持されているため、支軸3aと炉壁との隙間Gが存在しており、この隙間Gを通じて外気が炉内2に流入する。
【0005】
この隙間Gをシールするために、例えば特許文献1では、図12に示すように、ローラ3の支軸3aと軸受4との間にガス密封機構20を設けている。このガス密封機構20において、支軸3aはローラ支持フォルダー21を介して軸受4に支持されており、ローラ支持フォルダー21の中間にはオイルシール22を介在して密封構造になっている。また、炉1の側壁1cのケーシング1dには、支軸3aを貫通するための貫通孔を取り囲むように筒状突起23が設けられており、筒状突起23の先端部にゴムスリーブ24が被嵌されている。このゴムスリーブ24の外端内部にはオイルシール22が設けてあり、オイルシール22の中にローラ支持フォルダー21が気密状態に挿入してある。
【0006】
しかしながら、例えば圧延工程に使用される保熱炉では、炉内2の温度が300℃近くにもなるため、ローラ3も同等の高温となり、支軸3aを介してローラ支持フォルダー21に伝熱し、ローラ支持フォルダー21からの放熱によりゴムスリーブ24が加熱される。また、高温の支軸3aからの放熱により筒状突起23も加熱されるため、ゴムスリーブ24の筒状突起23との接合部も高温になる。最も耐熱性に優れるフッ素系のゴムでも200℃に至る前にゴム特性が低下するため、このようなガス密封装置20ではゴムスリーブ24によるシール性が比較的早期に低下することが考えられる。
【0007】
また、図13に示すように、工場や原子炉設備等では、2つの建物65、66に跨り配管される場合が多い。特許文献2に示すように、通常は、両建物の壁65a、66aに設けた貫通孔に配管70を挿通し、貫通孔と配管70との隙間をモルタル等の充填材80により穴埋めすることが行われている。そして、配管70に加熱した流体を流通させる場合には、配管70の建物65,66から露出している部分に断熱材90を装着する。
【0008】
そのため、隙間を埋めるための充填と断熱との2つの作業が必要であり、しかも充填材80を充填するためのポンプやホースをはじめとする大掛かりな充填装置を必要とする。また、充填材80としてモルタルを用いた場合には、モルタルが硬化するまでの時間も要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−3057号公報
【特許文献3】特開2009−114850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、ローラーハース炉等のように、炉内に設置された複数のローラで被加熱物を搬送しながら加熱する方式の加熱炉における支軸と、炉壁の貫通孔及び軸受ハウジングの貫通孔との隙間や、2つの建築物に跨り露出している配管と建築物の貫通孔との隙間を、簡易な装着作業でありながらも、支軸や配管を断熱しつつ良好にシールすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、下記に示すシール構造を提供する。
(1)2つの構造物に跨り露出している高温の管状部材と、両構造物の貫通孔との隙間をシールするためのシール構造であって、
帯状の本体部の幅方向両端にフランジを付設してなる断熱材の前記本体部を、支軸または配管に巻装するとともに、本体部の端部同士を連結し、
断熱材の上に、帯状の本体部の幅方向両端にフランジを付設してなるシート材を巻装するとともに、シート材の本体部の端部同士を連結し、
断熱材のフランジとシート材のフランジとの重なり部分の一方を、一方の構造物の貫通孔を包囲して設けられた固定用フランジに固定し、他方の重なり部分を他方の構造物の貫通孔を包囲して設けられた固定用フランジまたは管状部材に設けられた固定用フランジに固定することを特徴とするシール構造。
(4)断熱材の本体部の端部同士及びシート材の本体部の端部同士が、それぞれの重なり部分に設けた面ファスナーにより連結されていることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載のシール構造。
(5)シート材の面ファスナーにより連結された部分がシリコーンシーラントで封止されていることを特徴とする上記(4)記載のシール構造。
(6)断熱材のフランジとシート材のフランジとの重なり部分と、固定用フランジとの固定をネジ止めにすることにより、断熱材及びシート材を取り外し可能にしたことを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか1項に記載のシール構造。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシール構造では、最表面がシート材であるため、外気が侵入することがない。また、支軸や配管の外周面には断熱材が接するため、高温の支軸や配管からの熱が断熱材で断熱されてシート材が熱劣化することもなく、長期間にわたり良好なシール性を維持できる。
【0013】
また、ローラーハース炉に適用した場合には、断熱材及びシート材は共に柔軟性を有するため、ローラの回転に伴って支軸が揺動しても容易に変形することができ、ローラの回転に支障を来たすこともない。
【0014】
更には、現場で断熱材とシート材とを重ね合わせ、本体部の重ね合わせ部分を面ファスナーで連結し固定するとともに、フランジ部を炉壁や建物の外壁に設けた固定用フランジにボルト締めにより固定するだけでよいため、シール構造の構築が簡単であり、メンテナンス作業も極めて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のシール構造に使用される断熱材を示す斜視図である。
【図2】断熱材のフランジ取り付け方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明のシール構造に使用されるシート材を示す斜視図である。
【図4】シート材のフランジ取り付け方法を説明するための断面図である。
【図5】本発明のシール構造をローラーハース炉に適用した例を示す図であり、炉側を示す半断面図である。
【図6】本発明のシール構造をローラーハース炉に適用した例を示す図であり、軸受ハウジング側を示す半断面図である。
【図7】本発明のシール構造を建物間の配管に適用した例を示す断面図である。
【図8】本発明のシール構造を建物間の配管に適用した他の例を示す断面図である。
【図9】リーク試験に用いた試験装置の概略図である。
【図10】ローラーハース炉の一例を示す断面図である。
【図11】図9のAA断面図である。
【図12】従来のローラーハース炉のシール構造を示す断面図である。
【図13】従来の建物間の配管のシール構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のシール構造に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明のシール構成に用いる断熱材1を示す斜視図である。断熱材1は、無機繊維織布10と金属箔11とを接合したものが好ましいが、炉内温度が250℃よりも低い場合には無機繊維織布10のみでもよい。また、断熱材1には、帯状の本体部13の幅方向両端にフランジ12が設けられている。無機繊維織布10は、セラミック繊維やガラス繊維等からなる織布であるが、柔軟性やコストを考慮するとガラス繊維織布が好ましい。金属箔11としてはアルミ箔やステンレス箔が挙げられるが、市場から入手しやすく安価であることからアルミ箔が好ましい。また、無機繊維織布10と金属箔11との接合方法としては、面状に均一な接合ができ、生産性にも優れることから熱融着フィルムを用いて熱融着することが好ましい。フランジ12は、例えばゴムを含浸させたガラス織布からなり、ボルト締め用のボルト貫通孔12aが等間隔で開口されている。
【0018】
本体部13は、支軸からの熱を断熱し、その上に巻装されるシート材(図3参照)を形成するフッ素樹脂またはフッ素ゴムの耐熱温度(約260℃)以下に抑える限り、1枚の厚い無機繊維織布10を金属箔11と接合したものでもよいし、薄い無機繊維織布10と金属箔11との接合物を積層したものであってもよい。但し、無機繊維織布10が厚くなるほど高価になり、また金属箔11の数が増してシート材への伝熱が遮られることから、薄い無機繊維織布10と金属箔11との接合物を積層することが好ましい。しかし、積層数が多くなるほど支軸への巻装作業性が悪くなるため、適当な厚さの無機繊維織布10と金属箔11との接合物を、2層に積層することが特に好ましい。
【0019】
また、本体部13へのフランジ12の取り付けは、図2に示すように、無機繊維織布10と金属箔11との接合物を2層積層し、その幅方向両端を略L字状に折り曲げてフランジ12を挟持し、例えば符号15で示すように折り曲げ部分の適所、及び折り曲げ部分の根元部分で縫い付けて行う。このような本体部13とフランジ12との取り付け構造からも、無機繊維織布10と金属箔11との接合物を2層に積層することが好ましい。
【0020】
上記の断熱材1は、本体部13の無機繊維織布10が支軸の外周面側になるように、支軸に巻装される。この巻装状態を維持するには、本体部13の重なり部分をテープ止めしたり、ベルトを本体部13の全周に巻き付ける等の方法も可能であるが、図示されるように、重なり部分を上下一対の面ファスナー14a,14bで固定することにより巻装状態の保持性に加え、断熱材1の取り付け及び取り外し作業がより容易になる。即ち、本体部13の長手方向の一方の端部において金属箔11の略全幅にわたり下側の面ファスナー14aを取り付け、他方の端部において無機繊維織布10の略全幅にわたり上側の面ファスナー14bを取り付ける。そして、金属箔11の端部の上に無機繊維織布10の端部を重ね、面ファスナー14a,14b同士を固定することにより巻装状態を維持できる。また、断熱材1を取り外す際には、重なり部分の端部を掴み、上側の面ファスナー14aを下側の面ファスナー14bから引き剥がすだけでよい。
【0021】
尚、面ファスナー14a,14bは、支軸からの熱による変形や劣化を抑えるために、アミド樹脂やアラミド樹脂等の耐熱性樹脂で基材を形成し、同じく耐熱性繊維、あるいはステンレス等の金属でループ部やフック部を形成することが好ましく、縫製により本体部13に取り付けられる。また、耐熱性を向上させるために、ガラス繊維製のマットを介在させてもよい。
【0022】
図3は、本発明のシール構造に用いるシート材2を示す斜視図である。シート材2は、耐熱性に優れ、通気性も無いことから、フッ素樹脂製またはフッ素ゴム製のシートを帯状に加工し、その本体部21の幅方向両端に、同じくフッ素樹脂製またはフッ素ゴム製のフランジ22を設けたものである。フランジ22には、ボルト締め用のボルト貫通孔22aが等間隔で開口されており、図4に示すように、本体部21の端部をL字状に折り曲げ、例えば符号25で示すように折り曲げ部の適所にて縫製して取り付けられる。
【0023】
また、本体部21の長手方向の一方の端部の表面には、略全幅にわたり下側の面ファスナー23aが取り付けられており、他方の端部の裏面には、略全幅にわたり上側の面ファスナー23bが取り付けられている。面ファスナー23a,23bは、断熱材1の面ファスナー14a,14bと同様である。そして、断熱材1と同様、本体部21の端部同士を重ねて面ファスナー23a,23b同士を固定することにより、シート材2の巻装状態を維持でき、取り外しも容易になる。
【0024】
図5、6は、本発明のシール構造をローラーハース炉に適用した例を示しており、図5は炉側を、図6は軸受ハウジング側をそれぞれ示している。シール構造を構築するには、先ず、断熱材1の本体部13を、無機繊維織布10が支軸3aの外周面側となるように支軸3aに巻き付け、長手方向両端の重なり部分を面ファスナー14a,14bで固定する。次いで、断熱材1の上にシート材2を重ねて巻き付け、長手方向両端の重なり部分を面ファスナー23a,23bで固定する。その際、断熱材1のフランジ12とシート材2のフランジ22とを、それぞれのボルト貫通孔12a,22aが重なるように、シート材2を周方向に移動させて位置合わせを行う。また、シール部材2の面ファスナー23a,23bによる固定部分をより気密にするために、重なり部分の端縁にシリコーンシーラントを塗工してもよい。
【0025】
断熱材1とシート材2とを上記のように重ね合わせた後、シート材2のフランジ22に沿って押さえ部材30を添える。押さえ部材30は、鋼板製で半円状の2部材を組み合わせて円環状になるように構成されでおり、断面L字状で、その垂直部30aには、断熱材1のフランジ12a及びシート材2のフランジ22aと同様のボルト貫通孔が開口されている。
【0026】
そして、断熱材1及びシート材2のボルト貫通孔と、押さえ部材30のボルト貫通孔とが一致するように押さえ部材30を周方向に移動させて位置合わせを行い、図5に示すように、炉の側壁1cのハウジング1dに形成された支軸3aを貫通させるための貫通孔を取り囲むように設けられた固定用フランジ40に、ボルト締めにて固定する。
【0027】
このようなシール構造によれば、支軸3aと炉壁との隙間Gが、断熱材1の本体部13の厚み分により塞がれ、更には最表層のシート材2の本体部21を通じて外気が侵入することもない。また、断熱材1のフランジ12及びシート材2のフランジ22との接合部分も、押さえ部材30の垂直部30aと固定用フランジ40とにより気密性が確保されている。しかも、支軸3aからの放熱は断熱材1により断熱され、シート材2を形成するフッ素樹脂の耐熱温度以下に抑えられているため、シート材2の熱による劣化も殆ど無い。
【0028】
一方、他方のフランジ側は、図6に示すように、同様の押さえ部材30を添えて、軸受(図示せず)を気密に収容している軸受ハウジング50に設けた固定用フランジ60にボルト締めにて固定する。従って、軸受側も同様のシール性及び断熱性が得られる。
【0029】
また、建物間に露出している配管をシールするには、図7に示すように、断熱材1とシート材2とを重ね合わせ、それぞれのフランジ部分に押さえ部材30を添えて、建物65、66の外壁65a,66aに設けた固定用フランジ65b、66bにボルト締めにて固定する。これにより、配管70を断熱しながら隙間Gをシールすることができる。
【0030】
尚、配管70が長い場合には、図8に示すような構成にすることができる。配管70に固定用フランジ70bを設けておき、断熱材1とシート材2とを重ね合わせて押さえ部分30を添え、その一方を建物66の外壁66aに設けた固定用フランジ66bにボルト締めにて固定するとともに、他方を配管70の固定用フランジ70bにボルト締めにて固定する。これにより、隙間Gを断熱しつつシールできる。そして、配管70の他の露出部分は、他の断熱材75を巻装して断熱する。また、図示は省略するが、他方の建物側においても同様のシール構造とする。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0032】
(試験1)
図1、2に示すように、直径0.38mmのガラス糸からなる厚さ0.7mmのガラス繊維織布の一方の面にアルミ箔を熱融着したものを、2層積層して断熱材1の本体部13を作製し、その両端にフランジ12として厚さ2mmのセラミックス織布製でゴムを含浸させたガスケットを縫製により取り付けた。また、本体部13の一方の端部においてアルミ箔の表面に、厚さ4mmのガラス繊維製マットを介在させて、アラミド樹脂製の基材にアラミド繊維製のループ部を形成した面ファスナー14aを縫製により取り付け、他方の端部においてガラス繊維織布の表面に、厚さ4mmのガラス繊維製マットを介在させて、アラミド樹脂製の基材にステンレス製のフック部を形成した面ファスナー14bを縫製により取り付けた。
【0033】
また、図3、4に示すように、厚さ0.5mmのポリテトラフルオロエチレン製シートからなるシート材2の本体部21の両端に、同じく厚さ0.5mmのポリテトラフルオロエチレン製のフランジ22を縫製により取り付けた。また、本体部21の一方の端部において表面に、厚さ4mmのガラス繊維製マットを介在させて、アラミド樹脂製の基材にアラミド繊維製のループ部を形成した面ファスナー23aを縫製により取り付け、他方の端部において裏面に、厚さ4mmのガラス繊維製マットを介在させて、アラミド樹脂製の基材にステンレス製のフック部を形成した面ファスナー23bを縫製により取り付けた。
【0034】
そして、上記の断熱材1及びシート材2を用いて、図9に示すリーク試験装置にてシール性を評価した。先ず、断熱材1の両端を面ファスナー14a,14bで固定し、その上に、シート材2を被せてその両端を面ファスナー23a,23bで固定し、更にシート材2の重なり部分の端縁にシリコーンシーラントを塗工して円筒体を作製した。円筒体は、断熱材1の内径が260mmで、本体部の幅が190mmである。次いで、円筒体を、直管100に、直管100の外径と一致する中心孔が開けられた円板状でのフランジ101を溶接してなる左右一対の気体導入用部材110にボルト締めして固定した。尚、ボルト締めは等間隔で8箇所とした。また、直管100はキャップ111a,111bで封止されており、一方のキャップ111aのノズル112から空気が供給される。
【0035】
シール性の評価は、内圧が30Paの空気を10分間供給し続け、その間の空気の漏洩量を流量計で計測した。結果は約8000SCCM(1分間で約8リットル)の漏れ量となったが、約10000SCCM(1分間に約10リットル)以下の漏洩量であれば実用上問題無いことが確認されており、十分なシール性を有するといえる。
【0036】
また、シート材2の表面に熱電対を設置して断熱材1の内面温度が300℃になるようにしてシート材2の表面温度を測定したところ、116〜213℃であり、ポリテトラフルオロロエチレンの耐熱温度以下に抑えられていた。
【0037】
(試験2)
シート材2の重なり部分の端部にシリコーンシーラントを塗工しないこと以外は、試験1と同様にして漏洩量を測定した。その結果、漏洩量は約10000SCCM(1分間に約10リットル)であり、実用上問題の無いことが確認された。
【符号の説明】
【0038】
1 断熱材
2 シート材
10 無機繊維織布
11 金属箔
12 フランジ
13 本体部
14a、14b 面ファスナー
21 本体部
22 フランジ
23a、23b 面ファスナー
40 固定用フランジ
60 固定用フランジ
65、66 建物
65b、66b 固定用フランジ
70 配管
70b 固定用フランジ
75 断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの構造物に跨り露出している高温の管状部材と、両構造物の貫通孔との隙間をシールするためのシール構造であって、
帯状の本体部の幅方向両端にフランジを付設してなる断熱材の前記本体部を、支軸または配管に巻装するとともに、本体部の端部同士を連結し、
断熱材の上に、帯状の本体部の幅方向両端にフランジを付設してなるシート材を巻装するとともに、シート材の本体部の端部同士を連結し、
断熱材のフランジとシート材のフランジとの重なり部分の一方を、一方の構造物の貫通孔を包囲して設けられた固定用フランジに固定し、他方の重なり部分を他方の構造物の貫通孔を包囲して設けられた固定用フランジまたは管状部材に設けられた固定用フランジに固定することを特徴とするシール構造。
【請求項2】
断熱材が、無機繊維織布と金属箔とを接合したものであり、かつ、無機繊維織布が支軸または配管と接するように巻装されることを特徴とする請求項1記載のシール構造。
【請求項3】
シート材がフッ素樹脂またはフッ素ゴムであることを特徴とする請求項1または2記載のシール構造。
【請求項4】
断熱材の本体部の端部同士及びシート材の本体部の端部同士が、それぞれの重なり部分に設けた面ファスナーにより連結されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のシール構造。
【請求項5】
シート材の面ファスナーにより連結された部分がシリコーンシーラントで封止されていることを特徴とする請求項4記載のシール構造。
【請求項6】
断熱材のフランジとシート材のフランジとの重なり部分と、固定用フランジとの固定をネジ止めにすることにより、断熱材及びシール材を取り外し可能にしたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−58531(P2011−58531A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207093(P2009−207093)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】