説明

スキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置

【課題】 スキャナ機能とプリンタ機能とを同時に使用することができ、機能で搬送経路を共通化することにより機器の小型化を実現したシートフィーダタイプの画像処理装置を提供すること。
【解決手段】 ユーザーが使用したい機能に応じて自動的に切り替え部10でトレイを選択する。スキャナ使用時には図2に示すように、原稿が給紙トレイ1から給紙され、CCDモジュール30で読み取りを行い、排紙トレイ1に排紙される。プリンタ使用時には図3に示すように、給紙トレイ2から白紙の用紙を給紙し、プリンタヘッド40を通して、印刷を行い、排紙トレイ2から排紙されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ機能とプリンタ機能を備えたシートフィードタイプの画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シートフィードタイプの小型のスキャナやプリンタが、省スペースの利点があり、オフィス、家庭などに広く普及してきている。しかし、スキャナとプリンタをそれぞれ使用する際、同じような形状の機械が並列して配置されることとなり、省スペースの点では、まだ難点があった。
そこで、これらを1台にまとめた機器も提案されているが、スキャナとプリンタでそれぞれ別々の原稿搬送経路を持っているため、装置自体が大きくなってしまうという問題が出ていた。
そこで、これらの搬送経路を共有することにより、装置のサイズを小型化することが提案されている。
【特許文献1】特開平06−054140号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1記載の発明では、省スペースは実現されているのものの、スキャナ機能とプリンタ機能を同時に使用することができなかった。
そこで、本発明の第1の目的は、スキャナ機能とプリンタ機能とを同時に使用することができ、機能で搬送経路を共通化することにより機器の小型化を実現したシートフィーダタイプの画像処理装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、スキャン機能とプリンタ機能を併用すると複写機の機能も持つことが可能であることに鑑み、スキャナ機能とプリンタ機能を交互に使用することにより、あらかじめ複数枚の原稿と用紙をセットしておけば複数枚の原稿を連続して複写することができるシートフィーダタイプの画像処理装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、ユーザーの使用頻度等の都合に合わせて、使用頻度の高い機能の方が使い勝手の良いトレイを選択使用可能としたシートフィーダタイプの画像処理装置を提供することである。
本発明の第4の目的は、2つの給紙トレイと排紙トレイを選択により、単一の機能で占有させることを可能とすることにより、2倍の量の処理ができるシートフィーダタイプの画像処理装置を提供することである。
本発明の第5の目的は、ユーザーが不要なときには任意の給紙トレイと排紙トレイを外し、残りのトレイの組み合わせでスキャナまたはプリンタの機能を使用できるようにしたシートフィーダタイプの画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明では、スキャナ機能とプリンタ機能を有し、各々の機能に対応した1対の給紙トレイと排紙トレイを備え、前記各給紙トレイから各排紙トレイへの搬送路を共通とし、スキャナ機能を使用するかプリンタ機能を使用するかで、使用する給紙トレイを切り替えるトレイ切り替え手段を備えたことを特徴とするスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置により、前記第1の目的を達成する。
【0005】
請求項2記載の発明では、前記トレイ切り替え手段で使用する給紙トレイを連続して交互に切り替え、スキャナ機能とプリンタ機能を交互に使用することにより、複数枚原稿を連続して複写することが可能な請求項1記載のスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置により、前記第2の目的を達成する。
請求項3記載の発明では、各々の機能に対応した1対の給紙トレイ同士、または1対の排紙トレイ同士を入れ替えて使用できることを特徴とする請求項1または請求項2記載のスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置
により、前記第3の目的を達成する。
【0006】
請求項4記載の発明では、各々の機能に対応した1対の給紙トレイ、または1対の排紙トレイを一方の機能に固定せず、同時に一方の機能のみに両方のトレイを使用可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置により、前記第4の目的を達成する。
請求項5記載の発明では、前記1対の給紙トレイと1対の排紙トレイを自由に脱着可能とし、装着されているトレイのみを使用して、スキャナ機能またはプリンタの機能を使用することができる請求項1記載のスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置により、前記第5の目的を達成する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明では、スキャナ機能とプリンタ機能で同じ原稿搬送経路を持つことで、装置の小型化を図ることができ、それぞれの機能で給紙トレイと排紙トレイを持つことで、プリンタ用の給紙トレイに用紙をセットしたままでもスキャナ機能が使用できる。
【0008】
請求項2記載の発明では、スキャナとプリンタの給紙トレイと排紙トレイを交互に選択することで複数枚原稿の連続複写機能も実現できる。
請求項3記載の発明では、ユーザーが任意のトレイをスキャナ機能、プリンタ機能に割り当てることができるので、使用頻度が高い機能を使い勝手の良いトレイに割り当てることで操作性が良くなる。
【0009】
請求項4記載の発明では、スキャナ機能とプリンタ機能でそれぞれ給紙トレイと排紙トレイを持つため、それぞれのトレイには原稿のセットできる量が少なくなってしまうが、ユーザーが任意の機能で両方のトレイを使用できるようにすることによって、使用できる原稿の容量を倍にすることができる。
請求項5記載の発明では、給紙トレイも排紙トレイも2つずつあると1つの機能しか使用しなときには逆に邪魔になるが、ユーザーが使用したいトレイを自由に選択できるようにすることにより、操作がしやすく邪魔にならないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態を図1ないし図6を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る装置の概要図である。
第1の実施例では、図1に示すように、給紙トレイ(給紙トレイ1、給紙トレイ2)と排紙トレイ(排紙トレイ1、排紙トレイ2)をそれぞれ2つずつ備え、それぞれスキャナとプリンタで使用し、切り替え部10、12で自動的に使用する機能の搬送経路を選択できるようになっている。
例えば、給紙トレイ1、排紙トレイ1をスキャナ用とし、給紙トレイ2、排紙トレイ2をプリンタ用とすると、給紙トレイ2にはプリンタ用の白い用紙をセットし、給紙トレイ1にはユーザーがスキャナを使用したいときに原稿をセットする。
【0011】
ユーザーが使用したい機能に応じて自動的に切り替え部10でトレイを選択する。スキャナ使用時には図2に示すように、原稿が給紙トレイ1から給紙され、スキャナCCDモジュール30で読み取りを行い、排紙トレイ1に排紙される。プリンタ使用時には図3に示すように、給紙トレイ2から白紙の用紙を給紙し、プリンタヘッド40を通して印刷を行い、排紙トレイ2から排紙されるようにする。
【0012】
第2の実施例(請求項2に相当)では、通常の原稿搬送経路がスキャナ用とプリンタ用で分かれているような場合には、スキャナで原稿をスキャンしてプリンタで印刷することにより複写機能を実現できる。しかし、原稿の搬送経路が1つしかないため、連続して原稿をスキャンした後に連続して印刷するには、スキャンデータを保存しておくバッファーが必要になる。
この第2の実施例では、スキャナとプリンタの原稿搬送路を1枚ごとに交互に、切り替え部10で切り替えることで、1ページ分のバッファーで連続複写機能を実現することができる。
【0013】
第3の実施例(請求項3に相当)では、給紙トレイと排紙トレイがスキャナ用とプリンタ用にそれぞれ2つずつあるが、スキャナを多く使用するユーザーやプリンタを多く使用するユーザー、給紙(排紙)トレイ1が使用しやすいユーザーや、給紙(排紙)トレイ2が使用しやすいユーザなどさまざまであるため、ユーザーが自由にトレイの割り当てをすることを可能としている。例えば、図4の表に示すような組み合わせで設定することができる。
【0014】
第4の実施例(請求項4に相当)では、通常は第1の実施例のような使い方をしているが、給紙トレイ1または2に載りきらない量の原稿をスキャンしたい場合や印刷をしたいときには、第3の実施例に加えて図5の表に示すように、両方のトレイ1、2をスキャナで使用したり、プリンタで使用したりできるようにする。
これにより通常の倍の容量の原稿をスキャンしたり印刷したりできる。その際両方のトレイ1とトレイ2の使用する順番もユーザーが任意に決めることができるようにする。
【0015】
第5の実施例(請求項5に相当)では、使用するユーザーによっては使用する機能にかかわらず、給紙トレイと排紙トレイを自由に選択することも可能とする。図6のように、使用しないトレイをはずし使用したいトレイだけをつけて使用することができる。これら4通りのトレイの選択パターンは機能によらずスキャナでもプリンタでもユーザーが任意に決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る装置の概要を示した図である。
【図2】第1の実施例の処理を説明する図である。
【図3】第1の実施例の処理を説明する図である。
【図4】第3の実施例の処理の組み合わせを説明する表である。
【図5】第4の実施例の処理の組み合わせを説明する表である。
【図6】第5の実施例の処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0017】
10 切り替え部
12 切り替え部
30 スキャナCCDモジュール
40 プリンタヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナ機能とプリンタ機能を有し、各々の機能に対応した1対の給紙トレイと排紙トレイを備え、
前記各給紙トレイから各排紙トレイへの搬送路を共通とし、スキャナ機能を使用するかプリンタ機能を使用するかで、使用する給紙トレイを切り替えるトレイ切り替え手段を備えたことを特徴とするスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置。
【請求項2】
前記トレイ切り替え手段で使用する給紙トレイを連続して交互に切り替え、スキャナ機能とプリンタ機能を交互に使用することにより、複数枚原稿を連続して複写することが可能な請求項1記載のスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置。
【請求項3】
各々の機能に対応した1対の給紙トレイ同士、または1対の排紙トレイ同士を入れ替えて使用できることを特徴とする請求項1または請求項2記載のスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置。
【請求項4】
各々の機能に対応した1対の給紙トレイ、または1対の排紙トレイを一方の機能に固定せず、同時に一方の機能のみに両方のトレイを使用可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置。
【請求項5】
前記1対の給紙トレイと1対の排紙トレイを自由に脱着可能とし、装着されているトレイのみを使用して、スキャナ機能またはプリンタの機能を使用することができる請求項1記載のスキャナ機能およびプリンタ機能を備えたシートフィーダタイプの画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−16201(P2006−16201A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198578(P2004−198578)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】