説明

ストロークシミュレータ、このストロークシミュレータを有するマスタシリンダ、およびこのマスタシリンダを用いたブレーキシステム

【課題】ストロークシミュレーション機能の作動開始を一層スムーズに行うことで良好なペダルフィーリングを得るとともに、ストロークシミュレータをコンパクトに形成する。
【解決手段】ストロークシミュレータであるペダル感覚シミュレータ部3は、入力が加えられてストロークする入力軸4と、入力軸4のストロークによりストロークするシミュレータ作動ピストン14と、シミュレータ作動ピストン14のストロークにより、入力軸4のストロークに基づいた反力をシミュレータ作動ピストン14に加えるシミュレータ作動液圧が発生されるシミュレータ作動液圧室15と、シミュレータ作動液圧室15に作動液を供給、排出制御することでシミュレータ作動液圧を入力軸4のストロークに基づいて制御する液圧作動制御装置28とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキシステム等に用いられる入力軸のストロークに基づいた反力を発生させるストロークシミュレータの技術分野、このストロークシミュレータを有するマスタシリンダの技術分野、およびこのマスタシリンダを用いたブレーキシステムの技術分野に関するものである。なお、本発明の明細書の記載において、前後方向の関係は、ブレーキペダルの踏み込み時に入力軸が移動する方向を「前」、ブレーキペダルの踏み込み解除時に入力軸が戻る方向を「後」とする。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の自動車においては、ハイブリッド車や電気自動車の開発が進んでいる。これに伴い、自動車のブレーキシステムにおいては、回生ブレーキと摩擦ブレーキとを協調して用いられる回生協調ブレーキシステムが種々開発されている。この回生協調ブレーキシステムは、ブレーキペダルの踏み込みストロークを検出し、検出されたストロークに基づいて、制御部(Electric control unit: ECU)が回生ブレーキによるブレーキ力と摩擦ブレーキによるブレーキ力とを演算し、演算されたブレーキ力で自動車にブレーキがかけられる。
【0003】
このような回生協調ブレーキシステムにおいては、制御部がブレーキペダルの踏み込みストロークに基づいてブレーキ力を決定するため、ブレーキペダルの踏み込みストロークに応じた反力が運転者に伝達されない。そこで、運転者がブレーキペダルの踏み込みストロークに応じた反力を認識可能にするため、ペダル感覚シミュレータ部を有するマスタシリンダが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図5は、この特許文献1に記載されているペダル感覚シミュレータ部を有するマスタシリンダを模式的に示す図である。図中、1はマスタシリンダ、2は摩擦ブレーキのブレーキ液圧を発生するタンデムマスタシリンダ部、3はタンデムマスタシリンダ部2に一体的に設けられたペダル感覚シミュレータ部、4はブレーキペダル(図5には不図示)の踏み込みに応じてストロークする入力軸、5は入力軸4のストロークを検出するストロークセンサ、6はブレーキ液を貯留するリザーバタンクである。
【0005】
タンデムマスタシリンダ部2は、従来周知のタンデムマスタシリンダと同様に、プライマリピストン7、セカンダリピストン8、プライマリピストン7とセカンダリピストン8で区画されるプライマリ液圧室9、セカンダリピストン8で区画されるセカンダリ液圧室10、プライマリピストン7を常時非作動位置の方へ付勢するプライマリスプリング11、セカンダリピストン8を常時非作動位置の方へ付勢するセカンダリスプリング12を有する。プライマリ液圧室9は一方のブレーキ系統のブレーキシリンダ(図5には不図示)
に常時連通するとともに、図示のプライマリピストン7の非作動位置でリザーバタンク6に連通し、かつプライマリピストン7が前進するとリザーバタンク6から遮断されて、プライマリ液圧室9にブレーキ液圧が発生される。セカンダリ液圧室10は他方のブレーキ系統のブレーキシリンダ(図5には不図示)に常時連通するとともに、図示のセカンダリ
ピストン8の非作動位置でリザーバタンク6に連通し、かつセカンダリピストン8が前進するとリザーバタンク6から遮断されて、セカンダリ液圧室10にブレーキ液圧が発生される。
【0006】
更に、タンデムマスタシリンダ部2は、プライマリピストン7とシリンダ壁との間に動力室13を有する。この動力室13には、ブレーキ作動時に図示しない動力源から作動液
が供給される。その場合、作動液は、動力室13の液圧が制御部で演算された摩擦ブレーキによるブレーキ力に応じた液圧となるように供給される。
【0007】
ペダル感覚シミュレータ部3は、ペダルストロークに対する反力をシミュレートするストロークシミュレータである。このペダル感覚シミュレータ部3は、入力軸4のストロークにより作動(ストローク)するシミュレータ作動ピストン14、シミュレータ作動ピストン14の作動によってシミュレータ作動液圧が発生するシミュレータ作動液圧室15、シミュレータ作動ピストン14を常時非作動位置の方へ付勢するコイルばねからなるシミュレータ作動ピストンリターンスプリング16、およびペダル感覚シミュレータカートリッジ17を有する。また、ペダル感覚シミュレータカートリッジ17は、シミュレータ作動液圧室15のシミュレータ作動液圧が作用される第1反力シミュレータピストン18、第1反力シミュレータピストン18を常時非作動位置の方へ付勢する第1反力シミュレータスプリング19、第1反力シミュレータスプリング19を支持する第2反力シミュレータピストン20、第2反力シミュレータピストン20を常時非作動位置の方へ付勢する第2反力シミュレータスプリング21を有する。
【0008】
このペダル感覚シミュレータ部3においては、ブレーキペダルが踏み込まれない非作動時には、入力軸4に入力が加えられず、入力軸4はストロークしない。これにより、シミュレータ作動ピストン14はストロークしなく、図5に示す非作動位置にある。この状態では、シミュレータ作動液圧室15はリザーバタンク6に連通し、シミュレータ作動液圧室15内はシミュレータ作動液圧が発生しなく大気圧となっている。したがって、第1反力シミュレータピストン18および第2反力シミュレータピストン20は図5に示す非作動位置にある。
【0009】
そして、ブレーキペダルが踏み込まれると、入力が入力軸4に加えられ、入力軸4が前進ストローク(図5において左動)する。すると、シミュレータ作動ピストン14がシミュレータ作動ピストンリターンスプリング16を弾性的に撓ませながら前進ストローク(作動)する。シミュレータ作動ピストン14の作動でシミュレータ作動液圧室15がリザーバタンク6から遮断されると、シミュレータ作動液圧室15内に、シミュレータ作動液圧が発生する。このシミュレータ作動液圧は第1反力シミュレータピストン18に作用する。シミュレータ作動液圧が所定の液圧に増大すると、このシミュレータ作動液圧により第1反力シミュレータピストン18は第1反力シミュレータスプリング19を押圧して弾性的に撓ませながら図5において下方へ移動(作動)するとともに、第1反力シミュレータピストン18の押圧力で第2反力シミュレータピストン20が第2反力シミュレータスプリング21を撓ませながら図5において下方へ移動(作動)する。これにより、第1および第2反力シミュレータスプリング19,21はそれらの撓み量に応じた力を第1反力
シミュレータピストン18に反力として作用する。
【0010】
そして、シミュレータ作動液圧による第1反力シミュレータピストン18への作用力と第1反力シミュレータスプリング19による第1反力シミュレータピストン18への作用力とがバランスすると、第1および第2反力シミュレータピストン18,20の移動が停
止する。このとき、シミュレータ作動液圧室15内のシミュレータ作動液圧は、入力軸4のストローク(つまりブレーキペダルの踏み込みストローク)に応じた(基づいた)液圧となる。そして、第1反力シミュレータピストン18の反力はシミュレータ作動液圧に変換されてシミュレータ作動ピストン14に作用し、更に反力はシミュレータ作動ピストン14から入力軸4を介してブレーキペダルに伝達される。これにより、運転者はブレーキペダルからブレーキペダルの踏み込みストロークに応じた反力を認識する。
【0011】
一方、このマスタシリンダ1においては、ブレーキペダルが踏み込まれない非作動時には、タンデムマスタシリンダ部2およびペダル感覚シミュレータ部3はともに図5に示す
非作動状態にある。すなわち、動力室13に動力源から作動液が供給されなく、プライマリピストン7およびセカンダリピストン8はともに図5に示す非作動位置にある。したがってプライマリ液圧室9およびセカンダリ液圧室10はともにリザーバタンク6に連通し、プライマリ液圧室9およびセカンダリ液圧室10内にはブレーキ液圧は発生していない。また、シミュレータ作動液圧室15はリザーバタンク6に連通し、シミュレータ作動液圧室15内にはシミュレータ作動液圧は発生しない。
【0012】
また、ブレーキペダルが踏み込まれると、入力軸4が前方へストロークする。この入力軸4のストロークがストロークセンサ5により検出される。図示しない制御部は、ストロークセンサ5からの入力軸4のストローク(つまり、ブレーキペダルの踏み込みストローク)に基づいて動力源を駆動制御する。これにより、動力源から作動液が動力室13に供給され、プライマリピストン7およびセカンダリピストン8が前進する。すると、プライマリ液圧室9およびセカンダリ液圧室10がともにリザーバタンク6から遮断されて、プライマリ液圧室9およびセカンダリ液圧室10内にブレーキ液圧が発生する。これらのブレーキ液圧がそれぞれ2系統の対応するブレーキシリンダに供給され、自動車の対応する車輪にブレーキがかけられる。
【0013】
動力室13内の作動液圧がブレーキペダルの踏み込みストロークに対応した液圧となると、制御部は動力源を停止する。すると、プライマリピストン7およびセカンダリピストン8がともに停止し、プライマリ液圧室9およびセカンダリ液圧室10内のブレーキ液圧はともにブレーキペダルの踏み込みストロークに対応した液圧となる。すなわち、ブレーキペダルの踏み込みストロークに対応したブレーキ力でブレーキが車輪にかけられる。
【0014】
このとき、前述のようにペダル感覚シミュレータ部3はブレーキペダルの踏み込みストロークに対応した反力をブレーキペダルに伝達する。したがって、運転者はこの反力を認識して、ブレーキペダルの踏み込みストロークに対応したブレーキ力でブレーキが車輪にかけられることを感知する。
【0015】
ブレーキペダルが解放されると、入力軸4が後方(非作動位置の方)へストロークし、この入力軸4のストロークがストロークセンサ5により検出される。制御部は、ストロークセンサ5で検出されたストロークに基づいて図示しない制御弁を制御し、動力室13内の作動液をリザーバタンク6に排出する。これにより、動力室13内の液圧が低下し、プライマリピストン7およびセカンダリピストン8がそれぞれプライマリスプリング11およびセカンダリスプリング12の付勢力で後退する。動力室13内の液圧が大気圧となると、プライマリピストン7およびセカンダリピストン8がともに図5に示す非作動位置となり、車輪のブレーキが解除する。
【0016】
一方、入力軸4が後方へストロークすることで、シミュレータ作動ピストンリターンスプリング16の付勢力でシミュレータ作動ピストン14が後退する。そして、シミュレータ作動ピストン14が非作動位置近傍になると、シミュレータ作動液圧室15がリザーバタンク6に連通し、シミュレータ作動液圧室15内のシミュレータ作動液圧が低下する。シミュレータ作動ピストン14が図5に示す非作動位置になった状態では、シミュレータ作動液圧室15の液圧は大気圧となる。これにより、第1反力シミュレータピストン18および第2反力シミュレータピストン20もともに図5に示す非作動位置となる。なお、各構成要素に用られている用語および符号は、いずれも特許文献1に記載された用語および符号と同じ用語および符号ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第4510388号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、特許文献1に記載のペダル感覚シミュレータ部3は、シミュレータ作動ピストンリターンスプリング16、第1反力シミュレータスプリング19、および第2反力シミュレータスプリング21の複数のスプリングを有している。一方、ペダル感覚シミュレータ部3が立ち上がる(作動開始する)ためには、ブレーキペダルの踏み込みストロークによりこれらの複数のスプリングが撓んでシミュレータ作動ピストン14が作動しなければならない。
【0019】
このため、シミュレータ作動ピストン14が作動開始する力が大きくなる。つまり、ペダル感覚シミュレータ部3の立ち上がり荷重が大きくなる。したがって、ストロークシミュレーション機能の作動開始をスムーズに行うことは難しい。また、ブレーキペダルの踏み込み荷重が重くなるとともに複数のスプリングのばね力による抵抗感が生じ、従来のようなブレーキ力の反力がブレーキペダルに伝達される一般的なブレーキシステムに比べて良好なペダルフィーリングを得ることは難しい。
また、ペダル感覚シミュレータ部3のペダル感覚シミュレータカートリッジ17が設けられるため、マスタシリンダが大型になるばかりでなく、ペダル感覚シミュレータ部3のペダル感覚シミュレータカートリッジ17を搭載するスペースが必要となるという問題もある。
【0020】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ストロークシミュレーション機能の作動開始をより一層スムーズに行うことで良好なペダルフィーリングを得ることができるとともにコンパクトに形成することができるストロークシミュレータ、このストロークシミュレータを有するマスタシリンダ、およびこのマスタシリンダを用いたブレーキシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述の課題を解決するために、本発明に係るストロークシミュレータは、入力が加えられてストロークする入力軸と、前記入力軸のストロークによりストロークするシミュレータ作動ピストンと、前記シミュレータ作動ピストンのストロークにより、前記入力軸のストロークに基づいた反力を前記シミュレータ作動ピストンに加えるシミュレータ作動液圧が発生されるシミュレータ作動液圧室と、前記シミュレータ作動液圧室に作動液を供給、排出制御することで前記シミュレータ作動液圧を前記入力軸のストロークに基づいて制御する液圧作動制御装置とを有することを特徴としている。
【0022】
また、本発明に係るストロークシミュレータは、前記液圧作動制御装置が、前記シミュレータ作動液圧室に作動液を供給する第1の流量制御弁と、前記シミュレータ作動液圧室の作動液を排出する第2の流量制御弁とを有することを特徴としている。
更に、本発明に係るストロークシミュレータは、前記第1の流量制御弁の開弁量が前記入力軸のストロークに基づいて制御されるとともに、前記第2の流量制御弁の開弁量が前記入力軸のストロークに基づいて制御されることを特徴としている。
更に、本発明に係るストロークシミュレータは、前記入力軸が前記入力を加えられてストロークしたとき、前記第1の流量制御弁が閉じられるとともに前記第2の流量制御弁が開かれることを特徴としている。
【0023】
更に、本発明に係るストロークシミュレータは、前記第2の流量制御弁の開弁量が、前記入力軸のストロークが第1のストロークになったとききわめて小さい第1の開弁量に設定され、前記シミュレータ作動液圧室内の液圧が予め定められた所定の液圧になったとき前記第1の開弁量より大きい第2の開弁量に設定され、更に前記入力軸のストロークが前
記第1のストロークより大きい第2のストロークになったときから前記入力軸の更なるストロークの増大とともに第2の開弁量から小さくなるように設定されることを特徴としている。
更に、本発明に係るストロークシミュレータは、前記入力軸が戻りストロークしたとき、前記第1の流量制御弁が開かれるとともに前記第2の流量制御弁が閉じられることを特徴としている。
【0024】
更に、本発明に係るマスタシリンダは、入力軸の入力に基づいた反力を出力するストロークシミュレータと、液圧作動制御装置からの作動液で作動して前記入力軸の入力に基づいた液圧を発生するマスタシリンダピストンとを有するマスタシリンダにおいて、前記ストロークシミュレータが、前述の本発明のストロークシミュレータのいずれか1つであることを特徴としている。
【0025】
更に、本発明に係るブレーキシステムは、ブレーキペダルと、入力軸が前記ブレーキペダルの踏み込みに基づいてストロークすることで前記ブレーキペダルの踏み込みに基づいたブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダで発生された前記ブレーキ液圧でブレーキ力を発生するブレーキシリンダとを備えるブレーキシステムにおいて、前記マスタシリンダが、前述の本発明のマスタシリンダであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
このように構成された本発明に係るストロークシミュレータ、これを有するマスタシリンダ、およびブレーキシステムによれば、液圧作動制御装置がストロークシミュレーション機能を有する。これにより、ストロークシミュレーション機能を行うための特許文献1に記載されたペダル感覚シミュレータカートリッジが不要となる。そして、特許文献1に記載のペダル感覚シミュレータカートリッジに設けられる複数のスプリングが設けられないので、ストロークシミュレータの立ち上がり荷重を小さくすることができる。したがって、本発明のストロークシミュレータは、ストロークシミュレーション機能の作動をスムーズに開始することができる。
【0027】
また、シミュレータ作動ピストンを作動開始させるための入力軸の入力を軽くすることができるとともに、複数のスプリングのばね力による抵抗感を低減できる。その結果、従来のようなブレーキ力の反力がブレーキペダルに伝達される一般的なブレーキシステムと同様の良好なペダルフィーリングを得ることができる。特に、入力軸のストロークに基づいた反力を入力軸のストロークでストロークするシミュレータ作動ピストンに加えるシミュレータ作動液圧がシミュレータ作動液圧室に発生される。その場合、シミュレータ作動液圧室に供給される作動液が第1および第2流量制御弁により流量制御されて移動するため、作動液の体積移動による応答遅れが生じる。しかし、この作動液の応答遅れは従来の一般的な負圧式ブレーキシステムの応答遅れに代わりとなるので、従来の負圧式ブレーキシステムのようなペダルフィーリングを実現することが可能となる。
【0028】
しかも、特許文献1に記載のペダル感覚シミュレータカートリッジが設けられないことで、ストロークシミュレータおよびマスタシリンダを小型コンパクトに形成でき、これらの搭載スペースを低減することができる。
【0029】
更に、第1および第2の流量制御弁の開弁量が入力軸のストロークに基づいて制御されることにより、シミュレータ作動液圧室の容積変化量および容積変化速度を制御することができる。したがって、シミュレータ作動液圧室の作動液の液圧つまり反力を入力軸のストロークに基づいて容易に制御することができる。しかも、第1および第2の流量制御弁の開弁量の大きさを所望の大きさに設定することで、入力軸のストロークに対する反力特性を所望の特性に容易に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るストロークシミュレータの実施の形態の一例を有するマスタシリンダ、およびこのマスタシリンダを用いたブレーキシステムを模式的に示す図である。
【図2】図1に示す例のブレーキシステムにおけるブレーキ作動を制御するためのブロック図である。
【図3】ブレーキペダルのストロークに対する反力の特性線図である。
【図4】ストロークシミュレータによる反力制御を行うためのフローを示す図である。
【図5】特許文献1に記載されている従来のペダル感覚シミュレータ部を有するマスタシリンダを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明に係るストロークシミュレータの実施の形態の一例を有するマスタシリンダ、およびこのマスタシリンダを用いたブレーキシステムを模式的に示す図である。なお、前述の図5に示すストロークシミュレータを有するマスタシリンダの構成要素と同じ本発明の構成要素には、同じ符号を付すことでそれらの詳細な説明は省略する。
【0032】
図1に示すように、この例のブレーキシステム22にはマスタシリンダ1が用いられる。このマスタシリンダ1のタンデムマスタシリンダ部2では、プライマリ液圧室9が一方の系統のブレーキシリンダ23,24に連通しているとともに、セカンダリ液圧室10が
他方の系統のブレーキシリンダ25,26に連通している。
【0033】
また、入力軸4にはブレーキペダル27が連結されている。運転者がブレーキペダル27を踏み込むことで、入力軸4に入力が加えられて入力軸4が前進ストロークするようになっている。そして、入力軸4の前進ストロークにより、シミュレータ作動ピストン14が前進ストロークする。この例のマスタシリンダ1では、ストロークセンサ5がシミュレータ作動ピストン14に設けられている。したがって、シミュレータ作動ピストン14のストロークをストロークセンサ5で検出することにより、入力軸4のストローク(つまり、ブレーキペダル27の踏み込みストローク)が検出される。
【0034】
更に、マスタシリンダ1のストロークシミュレータであるペダル感覚シミュレータ部3は、液圧作動制御装置28を有する。この液圧作動制御装置28は、ブレーキペダル27のペダルストロークに基づいてタンデムマスタシリンダ部2の動力室13に対する作動液の供給、排出を制御することによりこの動力室13の液圧を制御する液圧作動制御装置である。すなわち、液圧作動制御装置28は、ブレーキペダル27のペダルストロークに基づいてブレーキシステム22のブレーキ力を制御する。
【0035】
そして、この例のマスタシリンダ1では、この液圧作動制御装置28がストロークシミュレーション機能を行うようになっている。したがって、この例のマスタシリンダ1では、ストロークシミュレーション機能を行うための特許文献1に記載のペダル感覚シミュレータカートリッジ17は設けられない。
【0036】
液圧作動制御装置28は、所定数(図示例では3個)の液圧ポンプ29,30,31と、これらの液圧ポンプ29,30,31を駆動するポンプ駆動モータ(M)32と、液圧ポンプ29,30,31の吐出側に設けられたアキュムレータ33と、液圧ポンプ29,30,31の吐出側とタンデムマスタシリンダ部2の動力室13とを連通する通路34に配設された常閉の第1の電磁開閉弁35と、液圧ポンプ29,30,31の吸込み側とペダル感覚シミュレータ部3の動力室13とを連通する通路36に配設された常開の第2の電磁開閉弁
37と、液圧ポンプ29,30,31の吐出側とペダル感覚シミュレータ部3のシミュレータ作動液圧室15とを連通する通路38に配設された常閉の第1の電磁流量制御弁39と、液圧ポンプ29,30,31の吸込み側とペダル感覚シミュレータ部3のシミュレータ作動液圧室15とを連通する通路40に配設された常開の第2の電磁流量制御弁41と、アキュムレータ33の液圧を検出する第1の圧力センサ42と、動力室13の液圧を検出する第2の圧力センサ43と、シミュレータ作動液圧室15の液圧を検出する第3の圧力センサ44とを有している。
【0037】
第1の電磁流量制御弁39は、その開弁量が制御されることで作動液の流量が制御可能であるとともに、液圧ポンプ29,30,31の吐出側からペダル感覚シミュレータ部3のシミュレータ作動液圧室15へ向かう作動液の流れのみを許容する一方向弁である。また、第2の電磁流量制御弁41も、その開弁量が制御されることで作動液の流量が制御可能であるとともに、ペダル感覚シミュレータ部3のシミュレータ作動液圧室15から液圧ポンプ29,30,31の吸込み側へ向かう作動液の流れのみを許容する一方向弁である。なお、液圧ポンプ29,30,31の吸込み側はリザーバタンク6に連通している。
【0038】
図2は、ブレーキ作動を制御するためのブロック図である。
図2に示すように、この例のブレーキシステム22は、そのブレーキ作動を制御するために電子制御装置(ECU)45を備えている。このECU45には、ストロークセンサ5、第1ないし第3の圧力センサ42,43,44がそれぞれ接続されるとともに、第1および第2の電磁開閉弁35,37、第1および第2の電磁流量制御弁39,40、およびポンプ駆動モータ32が接続される。したがって、ECU45には、ストロークセンサ5で検出されたシミュレータ作動ピストン14のストローク信号(つまり、入力軸4のストローク信号、ブレーキペダル27のストローク信号)、第1の圧力センサ42で検出されたアキュムレータ33の液圧信号、第2の圧力センサ43で検出された動力室13の液圧信号、および第3の圧力センサ44で検出されたシミュレータ作動液圧室15の液圧信号がそれぞれ入力される。
【0039】
そして、ECU45は、第1の圧力センサ42からのアキュムレータ33の液圧信号に基づいてポンプ駆動モータ32を駆動制御して、アキュムレータ33に予め設定された設定液圧が常時蓄圧されるようになっている。また、ECU45はストロークセンサ5からのストローク信号に基づいて第1および第2の電磁開閉弁35,37を作動制御すること
で、動力室13に対してアキュムレータ33から液圧の供給、排出を行う。そして、動力室13に供給された液圧によりタンデムマスタシリンダ部2のプライマリピストン7が作動されてプライマリ液圧室9にブレーキ液圧が発生するとともに、セカンダリピストン8が作動されてセカンダリ液圧室10にブレーキ液圧が発生する。これらのブレーキ液圧がそれぞれブレーキシリンダ23,24,25,26に供給されることで、各ブレーキシリン
ダ23,24,25,26がブレーキ力を発生し、これらのブレーキ力で各車輪にブレーキ
がかけられる。その場合、ECU45はストロークセンサ5からのストローク信号および第2の圧力センサ43からの動力室13の液圧信号に基づいてブレーキ力がブレーキペダル27のペダルストロークに対応したブレーキ力となるように第1および第2の電磁開閉弁35,37を作動制御する。
【0040】
更に、ECU45はストロークセンサ5からのストローク信号に基づいて第1および第2の電磁流量制御弁39,41を作動制御することで、シミュレータ作動液圧室15に対
してアキュムレータ33から液圧の供給、排出を行う。そして、シミュレータ作動液圧室15に供給された液圧により、反力がシミュレータ作動ピストン14および入力軸4を介してブレーキペダル27に伝達され、運転者はこの反力を認識する。その場合、ECU45はストロークセンサ5からのストローク信号および第3の圧力センサ44からのシミュレータ作動液圧室15の液圧信号に基づいて反力がブレーキペダル27のペダルストロー
クに対応した反力となるように第1および第2の電磁流量制御弁39,41の開弁量を制
御する。
【0041】
この例のマスタシリンダ1では、入力軸4のストロークSとシミュレータ作動液圧室15の液圧による反力Fとの関係は、図3に示す入力軸4のストロークSに対する反力Fの特性線図となるように設定されている。すなわち、ブレーキペダル27の踏み込みつまり入力軸4のストローク時には、第1の電磁流量制御弁39が常時閉じるとともに、入力軸4のストロークSが第1のストロークa(本発明の入力軸4の第1のストロークに対応)となるまで第2の電磁流量制御弁41が閉じる。したがって、入力軸4のストローク開始時(つまり、ブレーキペダル27の踏み込み開始時)には、反力Fは実質的に生じない。
【0042】
ストロークSが第1のストロークaになると、第2の電磁流量制御弁41が開く。このとき、ECU45は第2の電磁流量制御弁41の開弁量をきわめて小さい第1の開弁量(本発明の入力軸4の第1のストロークにおける第1の開弁量に対応)に設定し、第2の電磁流量制御弁41を流れる作動液の流量をきわめて制限する。このため、ブレーキペダル27のストロークによりシミュレータ作動ピストン14が前進しようとしても、シミュレータ作動液圧室15内の作動液がシミュレータ作動液圧室15から実質的に流出しなく、ストロークSが第1のストロークaの位置で、シミュレータ作動液圧室15の液圧が上昇する。すると、反力Fが発生して増大する。反力Fが予め定められた所定の反力b(本発明のシミュレータ作動液圧室15内の予め定められた所定の液圧に対応)になると、ECU45は第2の電磁流量制御弁41の開弁量を第1の開弁量より大きい第2の開弁量(本発明の入力軸4の第1のストロークにおける第2の開弁量に対応)に設定する。これにより、シミュレータ作動ピストン14の前進に伴いシミュレータ作動液圧室15の容積が減少し、ブレーキペダル27のストロークによりシミュレータ作動液圧室15内の作動液がシミュレータ作動液圧室15から流出する。したがって、ストロークSの増大とともにシミュレータ作動液圧室15の液圧がほぼ直線的に微増するので、反力Fもほぼ直線的に微増する。
【0043】
入力軸4のストロークSが第1のストロークaより大きい第2のストロークc(本発明の入力軸4の第2のストロークに対応)になると、ECU45は第2の電磁流量制御弁41の開弁量を第2の開弁量からストロークSの増大とともに開弁量大から開弁量小に向かって徐々に小さくする。すると、第2の電磁流量制御弁41を流れる作動液が徐々に絞られていく。これにより、ブレーキペダル27のストロークSに対するシミュレータ作動液圧室15内の液圧の上昇率が次第に大きくなる。したがって、ストロークSの増大とともにシミュレータ作動液圧室15の液圧がほぼ二次直線的に増大するので、反力Fも二次直線的に増大する。そして、この第2の電磁流量制御弁41の開弁量の絞りは、反力Fが予め設定された反力dになるまで行われる。
【0044】
一方、ブレーキペダル27の戻し(戻りストローク)時には、第2の電磁流量制御弁41が常時閉じるとともに、第1の電磁流量制御弁39が開く。シミュレータ作動ピストン14の後退に伴いシミュレータ作動液圧室15の容積が増大し、シミュレータ作動液圧室15内の液圧が低下する。同時に、アキュムレータ33から作動液が第1の電磁流量制御弁39を通してシミュレータ作動液圧室15に供給される。このとき、ECU45はブレーキ力が適切に漸減するように第1の電磁流量制御弁39の開弁量を制御してシミュレータ作動液圧室15内の液圧を制御することで、ストロークSと反力Fとの関係が入力軸4の前進ストローク時(つまり、ブレーキペダル27の踏み込み時)に対して適切なヒステリシスを有する特性にする。
【0045】
ブレーキペダル27が非作動位置に戻り、ブレーキシステム22が図1に示す非作動状態になると、第1の電磁開閉弁35が閉じるとともに第2の電磁開閉弁37が開く。これ
により、マスタシリンダ1のタンデムマスタシリンダ部2のブレーキ液圧は消滅し、ブレーキが解除する。また、第1および第2の電磁流量制御弁39,41が閉じる。このとき
、シミュレータ作動液圧室15内には所定の液圧が保持される。
【0046】
次に、この例のストロークシミュレータによる反力制御について説明する。図4は、ストロークシミュレータによる反力制御を行うためのフローを示す図である。
図4に示すように、ステップS1においてブレーキペダル2が踏み込まれたか否かが判断される。ブレーキペダル2が踏み込まれていないと判断されると、反力制御は終了する。ステップS1でブレーキペダル2が踏み込まれたと判断されると、ステップS2において第1の電磁開閉弁35が開くとともに第2の電磁開閉弁37が閉じる。また、ステップS3において第2の電磁流量制御弁41がその開弁量を制御されつつ開く(このとき、第1の電磁流量制御弁39は初期状態にあり閉じている。)。
【0047】
次に、ステップS4においてブレーキペダル2の踏み込みが途中で停止されたか否かが判断される。ブレーキペダル2の踏み込みが途中で停止されないと判断されると、そのままステップS4の処理が継続される。ステップS4でブレーキペダル2の踏み込みが停止されたと判断されると、ステップS5において第1の電磁開閉弁35が閉じるとともに第2の電磁流量制御弁41が閉じる。これにより、ブレーキ液圧がそのときのブレーキペダル2のストロークに対応した液圧に保持されるとともに、シミュレータ作動液圧室15内液圧がそのときの液圧に保持される。
【0048】
次に、ステップS6においてブレーキペダル2の踏み込みの途中停止後、ブレーキペダル2が更に踏み込まれたか否かが判断される。ブレーキペダル2が更に踏み込まれたと判断されると、ステップS7において第1の電磁開閉弁35が開くとともに第2の電磁流量制御弁41がその開弁量を制御されつつ開く。その後、ステップS4に移行し、ステップS4以降の各処理が繰り返される。ステップS6でブレーキペダル2が更に踏み込まれないと判断されると、ステップS8においてブレーキペダル2が戻されたか否かが判断される。ブレーキペダル戻しが行われないと判断されると、そのままステップS8の処理が継続される。ステップS8でブレーキペダル戻しが行われたと判断されると、ステップS9において第1の電磁開閉弁35が閉じるとともに第2の電磁開閉弁37が開く。また、ステップS10において第1の電磁流量制御弁39がその開弁量を制御されつつ開く。これにより、ブレーキ液圧が低減されるとともに、アキュムレータ33から作動液がシミュレータ作動液圧室15にその流量を制御されて供給される。
【0049】
次に、ステップS11においてブレーキペダル2が非作動位置に戻ったか否かが判断される。ブレーキペダル2が非作動位置に戻っていないと判断されると、そのままステップS11の処理が継続される。ステップS11でブレーキペダル2が非作動位置に戻ったと判断されると、ステップS12において第1の流量制御弁39が閉じる。こうして、液圧作動制御装置28は、図1に示す非作動状態に戻り、反力制御が終了する。
【0050】
ところで、液圧作動制御装置28が失陥すると、液圧作動制御装置28から作動液が動力室13に供給されなくなる。そこで、この例のマスタシリンダ1では、シミュレータ作動ピストン14とプライマリピストン7との間にペダル踏力伝達ロッド46が配設されている。液圧作動制御装置28が正常で動力室13およびシミュレータ作動液圧室15に作動液が供給可能であるときは、シミュレータ作動ピストン14は最大に前進ストロークしてもペダル踏力伝達ロッド46には当接しないようになっている。また、液圧作動制御装置28の失陥時には、ブレーキペダル27が踏み込まれるとシミュレータ作動ピストン14がペダル踏力伝達ロッド46に当接するようになっている。したがって、液圧作動制御装置28の失陥時には、ブレーキペダル27のペダル踏力が、入力軸4、シミュレータ作動ピストン14、およびペダル踏力伝達ロッド46を介してプライマリピストン7に伝達
される。これにより、液圧作動制御装置28の失陥時にも、ブレーキペダル27の踏み込みにより、タンデムマスタシリンダ部2にブレーキ液圧が発生してブレーキが確実に作動する。
【0051】
この例のストロークシミュレータを有するマスタシリンダ1によれば、液圧作動制御装置28がストロークシミュレーション機能を有する。これにより、この例のマスタシリンダ1では、ストロークシミュレーション機能を行うための特許文献1に記載された図5に示すペダル感覚シミュレータカートリッジ17が不要となる。そして、特許文献1に記載のペダル感覚シミュレータカートリッジ17に設けられる複数のスプリングが設けられないので、ペダル感覚シミュレータ部3の立ち上がり荷重を小さくすることができる。したがって、ストロークシミュレーション機能の作動をスムーズに開始することができる。
【0052】
また、ブレーキペダル27の踏み込み荷重を軽くすることができるとともに、複数のスプリングのばね力による抵抗感を低減できる。その結果、従来のようなブレーキ力の反力がブレーキペダルに伝達される一般的なブレーキシステムと同様の良好なペダルフィーリングを得ることができる。特に、作動液が第1および第2電磁流量制御弁39,41によ
り流量制御されて移動するため、作動液の体積移動による応答遅れが生じるが、この応答遅れは従来の負圧式ブレーキシステムの応答遅れに代わりとなるので、従来の負圧式ブレーキシステムのようなペダルフィーリングを実現することが可能となる。
【0053】
しかも、ペダル感覚シミュレータカートリッジ17が設けられないことで、ストロークシミュレータおよびマスタシリンダ1を小型コンパクトに形成でき、これらの搭載スペースを低減することができる。
【0054】
更に、第1および第2電磁流量制御弁39,41の開弁量がブレーキペダル27のペダ
ルストロークに応じて制御されることにより、シミュレータ作動液圧室15の容積変化量および容積変化速度を制御することができる。したがって、シミュレータ作動液圧室15の作動液の液圧つまり反力をペダルストロークに応じて容易に制御することができる。しかも、第1および第2電磁流量制御弁39,41の開弁量の大きさを所望の大きさに設定
することで、ブレーキペダル27のストロークに対する反力特性を所望の特性に容易に調整することが可能となる。
【0055】
液圧作動制御装置28が失陥した場合には、ブレーキペダル27のペダル踏力が、入力軸4、シミュレータ作動ピストン14、およびペダル踏力伝達ロッド46を介してプライマリピストン7に伝達されるようにしている。したがって、液圧作動制御装置28の失陥時にも、タンデムマスタシリンダ部2にブレーキ液圧を発生させてブレーキを確実に作動させることが可能となる。
なお、本発明は前述の例に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で種々設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るストロークシミュレータ、マスタシリンダ、およびブレーキシステムは、それぞれ、入力軸のストロークに基づいてシミュレートした反力を発生させるストロークシミュレータ、このストロークシミュレータを有するマスタシリンダ、およびこのマスタシリンダを用いたブレーキシステムに好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…マスタシリンダ、2…タンデムマスタシリンダ部、3…ペダル感覚シミュレータ部(ストロークシミュレータ)、4…入力軸、5…ストロークセンサ、6…リザーバタンク、7…プライマリピストン、8…セカンダリピストン、13…動力室、14…シミュレータ
作動ピストン、15…シミュレータ作動液圧室、22…ブレーキシステム、23,24,25,26…ブレーキシリンダ、27…ブレーキペダル、28…液圧作動制御装置、29,30,31…液圧ポンプ、33…アキュムレータ、35…第1の電磁開閉弁、37…第2の
電磁開閉弁、39…第1の電磁流量制御弁、41…第2の電磁流量制御弁、42…第1の圧力センサ、43…第2の圧力センサ、44…第3の圧力センサ、45…電子制御装置(ECU)、46…ペダル踏力伝達ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力が加えられてストロークする入力軸と、
前記入力軸のストロークによりストロークするシミュレータ作動ピストンと、
前記シミュレータ作動ピストンのストロークにより、前記入力軸のストロークに基づいた反力を前記シミュレータ作動ピストンに加えるシミュレータ作動液圧が発生されるシミュレータ作動液圧室と、
前記シミュレータ作動液圧室に作動液を供給、排出制御することで前記シミュレータ作動液圧を前記入力軸のストロークに基づいて制御する液圧作動制御装置と
を有することを特徴とするストロークシミュレータ。
【請求項2】
前記液圧作動制御装置は、前記シミュレータ作動液圧室に作動液を供給する第1の流量制御弁と、前記シミュレータ作動液圧室の作動液を排出する第2の流量制御弁とを有することを特徴とする請求項1に記載のストロークシミュレータ。
【請求項3】
前記第1の流量制御弁の開弁量は前記入力軸のストロークに基づいて制御されるとともに、前記第2の流量制御弁の開弁量は前記入力軸のストロークに基づいて制御されることを特徴とする請求項2に記載のストロークシミュレータ。
【請求項4】
前記入力軸が前記入力を加えられてストロークしたとき、前記第1の流量制御弁が閉じられるとともに前記第2の流量制御弁が開かれることを特徴とする請求項3に記載のストロークシミュレータ。
【請求項5】
前記第2の流量制御弁の開弁量は、前記入力軸のストロークが第1のストロークになったとききわめて小さい第1の開弁量に設定され、前記シミュレータ作動液圧室内の液圧が予め定められた所定の液圧になったとき前記第1の開弁量より大きい第2の開弁量に設定され、更に前記入力軸のストロークが前記第1のストロークより大きい第2のストロークになったときから前記入力軸の更なるストロークの増大とともに第2の開弁量から小さくなるように設定されることを特徴とする請求項4に記載のストロークシミュレータ。
【請求項6】
前記入力軸が戻りストロークしたとき、前記第1の流量制御弁が開かれるとともに前記第2の流量制御弁が閉じられることを特徴とする請求項4または5に記載のストロークシミュレータ。
【請求項7】
入力軸の入力に基づいた反力を出力するストロークシミュレータと、液圧作動制御装置からの作動液で作動して前記入力軸の入力に基づいた液圧を発生するマスタシリンダピストンとを有するマスタシリンダにおいて、
前記ストロークシミュレータは、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のストロークシミュレータであることを特徴とするマスタシリンダ。
【請求項8】
ブレーキペダルと、入力軸が前記ブレーキペダルの踏み込みに基づいてストロークすることで前記ブレーキペダルの踏み込みに基づいたブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダで発生された前記ブレーキ液圧でブレーキ力を発生するブレーキシリンダとを備えるブレーキシステムにおいて、
前記マスタシリンダは、請求項7に記載のマスタシリンダであることを特徴とするブレーキシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−240601(P2012−240601A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114594(P2011−114594)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】