説明

スリミング用組成物

本発明は、スリミング用組成物に関し、より詳細には、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンよりなる群から選ばれる1種以上を含有するスリミング用組成物に関する。本発明の組成物は、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンを単独または混合物の形態で含有し、脂肪分解効果及びセルライトの除去効果に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリミング用組成物に関し、より詳細には、テアニン(theanine)、カフェイン(caffeine)、ゼニステイン(genistein)、カルニチン(L-carnitine)及びカテキン(catechin)よりなる群から選ばれる1種以上を含有するスリミング用組成物に関する。本発明の組成物は、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンを単独または混合物の形態で含有し、脂肪分解効果及びセルライトの除去効果に優れている。
【背景技術】
【0002】
人体内には、約200億個の脂肪細胞が存在し、これは、哺乳類の生体内でエネルギーを蓄積したり放出する役目を担当している。これらの細胞内では、エネルギーの蓄積と放出に対する複雑な調節原理が存在し、エネルギーの需要より供給が格別に多い場合には、前記エネルギーは、脂肪細胞内に中性脂肪として貯蔵され、エネルギーが枯渇した時、さらに遊離脂肪酸とブドウ糖とに分解されて使用される。肥満は、この過程の不均衡に起因して、過度なエネルギーの蓄積が生じた時に発生し、脂肪細胞の大きさが大きくなったり、その数が増加したりする現象に起因すると見られる。
【0003】
現代人の約30〜40%が肥満であると知られており、肥満は、高血圧、高脂血症、動脈硬化症、心臓疾患、糖尿病などの多様な成人病を伴うため、社会的に関心が高まっているのが現状である。更には、ただ健康の側面だけでなく、女性の社会的の地位向上と経済的独立などの社会的な環境変化により生活の質を高めようとする欲求が増加しているので、美的観点から、美しい体つきについて関心が急激に増加している実情である。これにより、過度な皮下脂肪の除去及び皮膚弾力の増進に効果的なスリミング(slimming)及びアンチセルライト(anti-cellulite)化粧品に対する要求も続いて高まっている。
【0004】
セルライトは、女性の皮膚及び皮下脂肪のみに発生し、過度な脂肪や老廃物の蓄積による循環障害に起因して、荒いオレンジ皮のようなデコボコな皮膚となる現象である。前記セルライトの発生原因は、単純な肥満とは差異があるが、根本的には、脂肪細胞の増加や肥大にその原因があるので、脂肪細胞内の脂肪を分解して排出させることが、究極的にはすんなりとし且つ滑らかなスタイルを作るのに大きく役立つ。
【0005】
したがって、このような健康及び美的観点から肥満を改善するための方法が、多角的な側面で試みられているが、従来知られている肥満解消の方法は、エネルギーの摂取を阻害したり、エネルギーの消費を増大させる目的で、食事療法、運動療法、手術療法、薬物療法などの多様な方法が現在肥満の治療のために使われている。しかしながら、このような方法では肥満を完全に解決できないだけでなく、深刻な副作用が報告されており、未だ安全性に対する明確な保障がないのが実情である。また、美的な観点から、肥満の解消には、脂肪分解と共に、皮膚に対する効能が付加的に要求されるので、前記療法の適用が全ての必要十分条件を充足するには、未だ足りない部分が多いと言うことができる。したがって、従来の物質と同等、又はそれ以上の効能を示しながらも、人体に対して安全な新しい物質を開発しなければならないという必要性がある。
【0006】
肥満の原因と肥満によって引き起こされる疾患を考慮すると、肥満の解消のためには、単純な体重の減量よりは、体脂肪の減少が肝要であると見られる。したがって、体内に蓄積された不必要な脂肪を分解し、燃焼を活性化させることができる方法を探索することが必須である。
【発明の開示】
【0007】
これより、本発明者らは、人体に安全で、且つ脂肪細胞内で脂肪分解を促進し、脂肪の燃焼を効率的に増加させることができる成分を開発するために、広範囲に研究及び検討を重ねた結果、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンが脂肪分解及びセルライト除去効果に優れており、脂肪細胞内の脂肪分解を促進するので、皮下脂肪の厚みとセルライトを減少させて、すんなりとし且つ弾力ある体つきを作り維持するのに役立つという事実を知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
したがって、本発明は、脂肪細胞内の中性脂肪を分解する過程を促進し、かつ、β3−アドレナリン受容体(adrenergic receptor)の発現を増加させて、究極的に脂肪燃焼を助けるテアニン、脂肪細胞内の脂肪分解を抑制する酵素であるホスホジエステラーゼ(phosphodiesterase)の作用を阻害することによって脂肪分解を促進するカフェイン、脂肪分解及び燃焼を促進するゼニステイン、ゼニステインの脂肪燃焼作用を促進させるカルニチン混合物、及び脂肪細胞の分化抑制効能を有するカテキンの新規な用途を提供する。
また、本発明は、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン、カテキンを単独または混合物の形態で含有することによって、皮下脂肪を減少させ、セルライト部位でデコボコさを減少させ、弾力回復に優れた効能を有するスリミング用皮膚外用剤組成物を提供する。
更に、本発明は、前記成分を皮膚に塗布することによって、細胞内の中性脂肪分解を促進する体脂肪除去方法を提供する。
【0009】
[発明の詳細な説明]
前記目的を達成するために、本発明のスリミング用組成物は、細胞において脂肪分解促進効能で脂肪組織を構成する脂肪細胞の代謝を活性化させるテアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンよりなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする。
【0010】
以下、本発明をより具体的に説明する。
本発明で使われた「スリミング」は、健康の観点から肥満抑制だけでなく、セルライトの減少により弾力あり且つなめらかな皮膚を作ることができることを意味する。
【0011】
テアニンは、緑茶のうまみを出すアミノ酸成分のうち1つであり、人が摂取した時、気楽で且つ安定した状態で現れる脳波であるα波の出現増加が観察されたという報告がある(Nippon Nogeikagaku Kaishi. 72(2), 153-157(1998))。本発明に使われたテアニンは、緑茶から抽出したL−フォーム(form)、または化学的に合成されたL−テアニン、D−テアニン、DL−テアニンのいずれも可能であり、その他の製造法によるものも可能であり、特別に限定されるものではない。
【0012】
従来、脂肪分解促進物質の陽性対照群として知られるカフェインは、メチルキサンチン系(methylxanthine)物質であって、脂肪細胞内で脂肪分解と密接な関連がある酵素であるホスホジエステラーゼを抑制して、細胞内のcAMPを増加させることにより、脂肪分解効能をあらわす(Astrup, A.et al., Am J. Clin. Nutr. 51:759, 1990)。
【0013】
ゼニステインは、大豆に含有されているイソフラボン(isoflavone)の一種であって、女性ホルモンと類似の植物性ホルモンで多様な生理活性を示すものと報告されており、最近、脂肪細胞での脂肪代謝調節(J. Steroid Biochem Mol Biol.75(4-5):265-71(2000))、血中コレステロールの減少(J. Nutr. Jan;126(1):43-50(1996))など多様な研究結果が報告されている。
【0014】
カルニチンは、正常人の肝または腎臓で合成され、食物、特に赤色の肉類などに多く含有されている必須栄養素である。カルニチンが欠乏すると、ミトコンドリア内の脂肪酸濃度が減少し、これにより、エネルギー生産も減少すると知られていて、老化遅延、血中の中性脂肪の減少、心臓機能強化などの多様な人体効能が報告されている(Robert Crayhon, M.S., Carnitine miracle)。
【0015】
カテキンは、抗酸化、抗癌、抗菌、心臓病発生抑制などの多様な薬理作用を示す緑茶の主要機能性成分である。現在まで知られている緑茶のカテキン類としては、(+)カテキン(C)、(−)エピカテキン(EC)、(−)エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、(+)エピガロカテキン(EGC)、及び(−)エピカテキンガレート(ECG)などが挙げられる。本発明におけるカテキンは、緑茶から抽出したものであって、EC、EGC、EGCG、ECGを主成分とするが、これらのカテキンに限定されるものではない。
【0016】
本発明に使われる有効成分の抽出方法は、本発明の技術分野において知られている通常の方法を適宜選定及び応用して利用することができる。
【0017】
本発明のテアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンを単独または混合物の形態で含有する組成物は、脂肪細胞内の中性脂肪を分解する効果が非常に優れている。すなわち、脂肪細胞(adipocyte)内の中性脂肪(triglyceride)を遊離脂肪酸(free fatty acid)とグリセロール(glycerol)とに分解することによって、脂肪分解を促進させる効能がある。これは、本発明の組成物が脂肪細胞に分化された3T3−L1細胞においてβ3−アドレナリン受容体の発現を増加させて、細胞内の中性脂肪を分解する過程を維持及び促進し、脂肪の燃焼に関与する酵素の活性を増加させる効果があるからである。
【0018】
したがって、本発明のテアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンよりなる群から選ばれる1種以上を含有する組成物を皮膚に塗布すると、細胞内の中性脂肪分解が促進され、皮下脂肪を選択的に除去して、弾力ある体つきを作るのに役立つ。
【0019】
また、本発明における組成物は、脂肪細胞の分化を抑制し、脂肪細胞内の中性脂肪の蓄積を防止する効果が非常に優れている。すなわち、皮下脂肪を構成する脂肪細胞が肥大化したり、その数が増加することを防止する効能がある。これは、本発明の組成物は、脂肪細胞に分化された3T3−L1細胞において脂肪細胞分化の標識因子であるGPDH(glycerol-3-phosphate dehydrogenase)酵素の活性を極めて減少させる効果があるからである。したがって、本発明のテアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンよりなる群から選ばれる1種以上を含有する組成物を皮膚に塗布すると、脂肪細胞の生成及び肥大を抑制して、体脂肪が増加することを效果的に遮断することができる。
【0020】
また、本発明による組成物の用途は、前記皮下脂肪や内臓脂肪の減少効果に限定されるものではなく、女性のセルライト部位で肥大化した脂肪細胞によるデコボコさを減少させ、弾力と滑らかさの回復に優れたアンチセルライト用途の外用剤として利用することができる。特に、本発明の組成物は、緑茶及び大豆から抽出した天然抽出物であることから、皮膚と人体に対する刺激がほとんどなく、安全に使用することができる。
【0021】
一方、本発明の組成物は、既に成熟した脂肪細胞に過度に蓄積されている中性脂肪を分解及び排出させる作用があるだけでなく、脂肪細胞において脂肪分解の産物である遊離脂肪酸の燃焼を助け、肥満を解消することができると同時に、予防することができる物質である。すなわち、従来技術は、脂肪細胞の分化または脂肪分解の促進など、1つの効能だけを目的とする消極的な概念であるのに対し、本発明は、既に生じた脂肪細胞の脂肪を分解させることができ、且つその分解産物を完全に消去して、中性脂肪の再蓄積を防止する積極的な概念の肥満解消及び抑制物質である。
【0022】
本発明のテアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンを単独または混合物の形態で含有する組成物において、成分の混合方法は、この技術分野において通常使用されている混合方法を適宜選定及び応用して利用することができ、この際、混合を容易にするその他の添加剤を適宜選定して配合することができる。
【0023】
本発明のテアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンを単独または混合物の形態で含有する組成物は、前記物質を各々組成物の総重量に対して0.0001〜20重量%を含有することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明の皮膚外用剤組成物は、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン、カテキンから選択された1種以上を含有することによって、皮下脂肪を減少させ、すんなりとした体つきを作るのに有効であり、皮膚用剤型として塗布すると、皮下脂肪を分解するスリミング効果、セルライト除去効果及び弾力増進効果に優れる。
【0025】
有効成分として、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンよりなる群から選ばれる1種以上を含有する本発明の皮膚外用剤組成物は、脂肪の分解及び燃焼、そして女性皮膚の弾力、美しさ及び柔軟さを目的とするものなら、その剤型については特に限定されない。具体的に例示すれば、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、パック、ジェルまたは皮膚粘着タイプの化粧料の剤型を有する化粧料組成物が挙げられ、また、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチまたは噴霧剤のような経皮投与型剤型が挙げられる。
【0026】
また、各剤型の皮膚外用剤組成物において、前記有効成分であるテアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキン以外の他の成分を、その他の皮膚外用剤の剤型または使用目的などに応じて当業者が何らの困難性なく適宜選定して配合することができ、この場合、他の原料と同時に適用する場合、相乗効果が生ずることができる。
【0027】
[発明の効果]
以上説明したように、本発明のスリミング用組成物は、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンを含有し、脂肪細胞内に蓄積されている中性脂肪をグリセロールと遊離脂肪酸とに分解して排出する過程を促進する効果がある。また、体脂肪を減少させ、健康の観点から肥満を抑制し、皮下脂肪層を減少させ、すんなりとした体つきを作るのに効果があるだけでなく、デコボコな皮膚の原因になるセルライトを減少させる効果があり、弾力あり且つなめらかな皮膚を作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を試験例及び実施例により具体的に説明するが、本発明の権利範囲が下記試験例及び実施例に限定されるものではない。これらの試験例及び実施例は、本発明を説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの試験例及び実施例に限定されないということは、この技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0029】
下記試験例及び実施例に使われたテアニンは、日本国太陽化学社製、カフェイン、ゼニステイン及びカルニチンは、米国シグマ社から購入して使用した。
【0030】
<製造例1>カテキンの抽出
緑茶葉2kgに水10Lを加え、80℃で5時間放置した後、回収した濾液と、その残渣に水5Lを加え、80℃で3時間放置した濾液とを共に集めた。集めた濾液を濾過紙で濾過した後、エチルアセテート(ethylacetate)で分画した後、濃縮し、さらにクロロホルム(chloroform)で分画し、カフェインを除去した後、濃縮した。分液をさらにSepharoseコラム(column)に通過させた後、メチレンクロライド(methylenechloride)とメタノール(methanol)の1:1混合液で抽出した分液を40℃で濃縮し、緑茶カテキン粉末を得た。
【0031】
[参照例1]脂肪細胞の分離
雄性の白ねずみ(SD rat)の副睾丸脂肪組織を分離した後、はさみで細かく切り、0.1%コラゲナーゼ(in DMEM without phenol red)を加えた後、37℃で2時間培養し、濾過して、単一の脂肪細胞を得た。
次に、各物質の脂肪細胞内の中性脂肪分解促進効能を評価するために、上記の方法により分離された脂肪細胞を用いて実験を実施した。ウェル(Well)当たり1×106個の脂肪細胞に、脂肪酸無しの0.5%牛血清アルブミン(bovine serum albumin, BSA)を含む無色のDMEM(Dulbeco’s modified eagles medium)を添加した後、2時間後に取り、各々実験に使用した。
【0032】
[参照例2]脂肪細胞の分化
ねずみの繊維芽細胞株(fibroblast cell line)である3T3−L1細胞を、10%の牛胎児血清(fetal bovine serum, FBS)が含有されたDMEM(Dulbecos modified eagles medium, GIBCO BRL, Life Technologes社)培地が収容された6ウェル培養プレート(culture plate)に1×105cells/wellで付着させた。2日後、さらに新しいDMEM(10%FBS含有)培地に交換し、2日間培養した。次に、前記培養した細胞をさらに1μg/mLインシュリン(insulin)、0.5mM IBMX及び0.25μMデキサメタゾン(dexamethasone)を含有するDMEM(10%FBS含有)で分化誘導を行い、2日が経過した後、さらにインシュリンが含有されたDMEMに交換し、5日間培養した。5日後、さらに正常培地(DMEM、10%FBS含有)に交換し、前記細胞が形態的に脂肪細胞に変化するまで観察しながら培養した。
【0033】
[参照例3]脂肪分解効果の測定方法
脂肪分解程度は、脂肪細胞から培養液中に遊離したグリセロールの濃度を測定することによって判断した。グリセロールの定量は、米国シグマ社(St.Louis, MO, U.S.A.)から購入したGPO−trinder kitを用いた発色反応法で行い、ELISA readerを用いて540nmで吸光度を測定した後、その結果値は、対照群を100%にした時、その他の値を換算して表した。この際、対照群は、試験物質や比較物質を添加しない培地だけを使用したものであり、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンは、各々10μMずつ処理した。
【0034】
[試験例1]テアニンの中性脂肪分解促進効果
緑茶の主要効能成分であるテアニンの脂肪細胞内の中性脂肪分解促進効能を評価するために、前記参照例2の方法により分化が完了した3T3−L1脂肪細胞を用いて実験を実施した。
3T3−L1脂肪細胞をPBS(phosphate buffered saline)で2回洗浄し、脂肪酸無しの0.5%牛血清アルブミン(bovine serum albumin, BSA)を含む無色のDMEMを添加した後、取り、各々実験に使用した。テアニンは、日本国栗田工業株式会社から購入して使用し(97%以上)、グリセロールの定量は、米国シグマ社(St.Louis, MO, U.S.A.)から購入したGPO−trinder kitを用いた発色反応法で行い、ELISA readerを用いて540nmで吸光度を測定した。この時、対照群は、試験物質や比較物質を添加しない培地だけを使用したもので、その結果値を100%にした時、その他の値を換算して表した。また、陽性対照群として、カフェインを同一の濃度で処理したものを使用し、脂肪分解程度は、脂肪細胞から培養液中に遊離したグリセロールの濃度を測定することによって判断した。その結果を下記図1に示した。
【0035】
下記図1から分かるように、緑茶から抽出したテアニンを処理した群は、対照群と比較した時、脂肪細胞から培養液中に遊離するグリセロールの濃度が顕著に増加することが分かった。特に、テアニンは、高濃度において細胞毒性が全く現れないながらも、既存に脂肪分解効能が知られている陽性対照群のカフェインよりも、同一濃度で一層優れた脂肪分解効果があることが分かった。
【0036】
[試験例2]テアニンのβ3−アドレナリン受容体発現調節効果
緑茶の主要効能成分であるテアニンの脂肪細胞内の中性脂肪分解促進効果のメカニズムを調べるために、前記参照例2の方法により分化が完了した3T3−L1脂肪細胞を利用した。次に、日本国栗田工業株式会社から購入して使用した(97%以上)テアニン及びその他の比較物質(カフェイン、対照群)を0.005%の濃度で処理し、24時間が経過した細胞からRNAを抽出してRT−PCRを実施した。その結果を下記図2に示した。前記RT−PCR kitは、TaKaRa社から購入して使用し、β3−アドレナリン受容体のプライマー(primer)は、bioneer社から購入して使用した。
下記図2から分かるように、テアニンの処理により脂肪細胞において脂肪分解の信号となるβ3−アドレナリン受容体の発現が格別に増加することが分かり、したがって、テアニンの脂肪分解効果が前記受容体の発現増加に起因したものであることを確認した。
【0037】
[試験例3]緑茶カテキンの脂肪細胞分化抑制効果
緑茶カテキンの脂肪細胞内の中性脂肪生成促進効果を評価するために、繊維芽細胞株を用いた培養及び吸光度測定実験を実施した。
前記参照例2と同様に、脂肪細胞に分化させたねずみの繊維芽細胞3T3−L1をPBSで3回洗浄した後、抽出緩衝液(extraction buffer)(20mM Tris、1mM EDTA及び1mM 2−メルカプトエタノール)で収穫した。集めた細胞を氷上でG26 needleで6回通過した後、15000Xg、4℃で3分間遠心分離し、上澄み液だけを取り、実験に使用した。
GPDH(glycerol-3-phosphate dehydrogenase)の活性を測定するために、前記で製造された細胞抽出物に、0.1Mトリエタノールアミン、2.5mM EDTA、0.1mM 2−メルカプトエタノール、125uM NADH(nicotin amide adenine dinucleotide, reducd form)、100uM DHAP(dehydroxyacetonephosphate)を含むGPDHアッセイバッファ(assay buffer)を添加し、340nmに2分間吸光度の減少程度を測定した。変化量は、蛋白質1mg当たりdA/min値で表示し、対照群は、試験物質や比較物質を添加しない培地だけを使用したものであり、その結果値を100%にした時、その他の値を換算して表した。その結果を下記図3に示した。
下記図3から分かるように、緑茶から抽出したカテキンを3T3−L1細胞の分化時処理した時、対照群と比較して分化が顕著に抑制される現象を観察することができた。
【0038】
[試験例4]テアニン及びカテキンの中性脂肪抑制効果
緑茶テアニン及びカテキンによる脂肪細胞内の中性脂肪生成促進効果を評価するために、繊維芽細胞株を用いた培養及び吸光度測定実験を実施した。
前記試験例3と同様に製造された細胞抽出物を米国シグマ社(St.Louis, MO, U.S.A.)から購入したGPO−trinder kitを使用して中性脂肪を発色反応させた後、540nmでELISA readerで吸光度を測定した。その結果を下記図4に示した。
下記図4から分かるように、緑茶の代表的活性物質であるテアニン及びカテキンを各々3T3−L1細胞の分化時に処理した時、対照群と比較して中性脂肪量が減少する現象を観察することができ、2つの成分を併用処理した時、中性脂肪の蓄積程度が顕著に減少することを確認した。
【0039】
[試験例5]テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチンによる脂肪分解相乗效果
脂肪細胞の脂肪分解過程で作用メカニズムが異なるテアニン、カフェイン、ゼニステイン及びカルニチンが脂肪細胞において脂肪分解過程の誘導時に相乗的に作用するかを調べるために、前記参照例1の方法により分離された白ねずみの脂肪細胞にそれぞれの物質を単独または同時に処理した。この時、テアニン、カフェイン、ゼニステイン及びカルニチンを各々40μMの濃度で単独処理し、同時処理時には、1つの物質を類似の濃度で処理した時との効能を比較するために、各々10μMで処理した。その結果を下記図5に示した。
下記図5から分かるように、それぞれの物質を単独で処理する場合より、4つの物質を同時に処理した時、グリセロールの遊離量が格別に増加することが分かった。すなわち、下記図5のような脂肪分解促進効能は、前記試験例1〜4の結果から判断した結果、物質の添加による単純な効能の増加でなく、メカニズムの差異と相互作用による相乗効果であることが分かった。
【0040】
[試験例6]テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンの皮膚刺激程度評価
ニュージランド産の白うさぎの皮膚に浮腫及び紅斑の結果からテアニン、カフェイン、ゼニステイン及びカルニチンの刺激程度を次のように観察した。
賦形剤(vehicle)または10%のテアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンを単独または併用して1日2回間隔で4日間総8回ニュージランド産白うさぎの皮膚に塗布した。塗布後、紅斑及び痂皮形成の評点と浮腫の評点値を累積させて、皮膚累積刺激指数を求めた。皮膚累積刺激指数は、下記表1に示した判定基準に基づいて評価し、その結果を下記表2に示した。結果に示された刺激指数は、一般的に多く利用されるDraizeの皮膚一次刺激指数(Primary Irritation Index, P.I.I.)の算出方法による(Draize, J. H., Appraisal of the safety of chemical in foods, drugs and cosmetics)。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
表2から分かるように、前記テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキン成分が、対照群と比較した時、皮膚刺激がほとんど無いことがわかった。
【0044】
[実施例1〜8及び比較例1〜2]
下記表3及び表4の組成に基づいてスリミング/アンチセルライトローションの形態で実施例1〜8及び比較例1〜2を製造した。
【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
[試験例7]皮膚外用剤のスリミング効果
前記実施例1〜8及び比較例1〜2のスリミング効果を調べるために、BMI〔Body Mass Index、体重(kg)/身長(m)2〕が23〜25である20〜30代の成人女性のうち他の代謝性異常が発見されない女性90名(各群当たり10名)を対象にして8週間朝夕毎に1日2回腿に家でユーザのマッサージと一緒に前記実施例1〜8及び比較例1〜2のローションを使用するようにした。次に、8週間、使用前及び使用後の皮下脂肪の厚さを測定し比較することによって、効果の有無を判断した。
【0048】
超音波を用いた皮下脂肪層の厚み(単位:mm)測定は、Ultrasound-EuB 415 US scannerを利用し、得られた数値は、両側検定でStudent t-testを用いて使用前及び使用後を比較し、統計的な有意性を分析した(有意性p<0.05)。その結果を下記図6に示した。
下記図6から分かるように、前記有効成分のうち一部を含有する実施例1〜8の場合、有効成分を含有しない比較例1及びテアニンを単独で含有する比較例2に比べて、皮下脂肪層の厚みの減少が有意的に大きいことが分かった。特に、本発明の5つの有効成分を全て含有する皮膚外用剤である実施例1を塗布した場合、全ての試験群のうち皮下脂肪層の減少効果が最も大きいことが明らかになった。
【0049】
[試験例8]スリミング用外用剤の皮膚弾力評価
本発明の実施例1〜8及び比較例1〜2の組成物が皮膚弾力に及ぼす影響を調べるために、研究者による目視評価を実施した。研究者による目視評価の指標は、弾力(skin firmness)程度により最下1点から最高9点まで付与し、得られた数値は、両側検定でウィルコクソンテスト(Wilcoxon test)を用いて使用前及び使用後を比較し、統計的な有意性を分析した(有意水準α=0.05)。その結果を下記図7に示した。
下記図7から分かるように、本発明の有効成分を含有する皮膚外用剤である実施例1を塗布する場合、皮膚弾力が増加することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明のスリミング用組成物は、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンを含有し、脂肪細胞内に蓄積されている中性脂肪をグリセロールと遊離脂肪酸とに分解して排出する過程を促進する効果がある。また、体脂肪を減少させ、健康の観点から肥満を抑制し、皮下脂肪層を減少させ、すんなりとした体つきを作るのに効果があるだけでなく、デコボコな皮膚の原因になるセルライトを減少させる効果があり、弾力あり且つなめらかな皮膚を作ることができる。したがって、本発明の組成物は、スリミング及びアンチセルライト化粧品に適用でき、副作用が少なく且つ効果的なスリミング用組成物として使用することができるので、化粧品の産業上、非常に有用な発明である。
以上において説明した本発明は、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、上述した実施例及び添付された図面に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、緑茶成分のうちテアニンの中性脂肪分解効果を示すグラフである。
【図2】図2は、緑茶成分のうちテアニンのβ3-アドレナリン受容体発現調節効果を示すグラフである。 A:対照群 B:カフェイン0.005%処理群 C:テアニン0.005%処理群
【図3】図3は、緑茶成分のうちカテキンの脂肪細胞分化抑制効果を示すグラフである。
【図4】図4は、緑茶成分のうちテアニン及びカテキンの脂肪細胞内の中性脂肪の蓄積抑制相乗効果を調べるための細胞実験結果を示すグラフである。
【図5】図5は、テアニン、カフェイン、ゼニステイン及びカルニチンの脂肪分解相乗効果を調べるための細胞実験結果を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明のスリミング用組成物による皮下脂肪減少率を示すグラフである。
【図7】図7は、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンを含有する本発明のスリミング用組成物を使用した後の皮膚弾力増進効果に対する目視評価結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、テアニン、カフェイン、ゼニステイン、カルニチン及びカテキンよりなる群から選ばれる1種以上を含有し、細胞内の中性脂肪分解を促進することを特徴とするスリミング用組成物。
【請求項2】
前記テアニンは、L−テアニン、D−テアニン、及びDL−テアニンの中から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のスリミング用組成物。
【請求項3】
前記カテキンは、(+)カテキン(C)、(−)エピカテキン(EC)、(−)エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、(+)エピガロカテキン(EGC)、及び(−)エピカテキンガレート(ECG)の中から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のスリミング用組成物。
【請求項4】
前記テアニンは、脂肪細胞のβ3−アドレナリン受容体の発現を増加させ、脂肪分解を促進することを特徴とする請求項1に記載のスリミング用組成物
【請求項5】
前記有効成分は、組成物の総重量に対して0.0001〜20重量%の量で含有することを特徴とする請求項1に記載のスリミング用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−524236(P2006−524236A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507818(P2006−507818)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000947
【国際公開番号】WO2004/093865
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(503327691)アモレパシフィック コーポレーション (73)
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】181, Hankang−ro 2−ka, Yongsan−ku, Seoul 140−777 Republic of Korea
【Fターム(参考)】