説明

タイヤの製造方法

【課題】耐久性の向上を図りながらタイヤの転がり抵抗を低減する。
【解決手段】金型内に装填した生タイヤのタイヤ内腔内に、高温の加熱媒体を充填して前記生タイヤをタイヤ内腔側から加熱する内側加熱と、前記金型を加熱して前記生タイヤをタイヤ外面側から加熱する外側加熱とからなる加熱工程を含む。加熱工程中において、金型の温度T1を、140〜165℃の範囲に制御する金型温度制御と、ベルトコードの表面からの距離が3mm以内であるコード近傍領域Yにおけるトッピングゴムの最高温度T2を140〜165℃の範囲に制御するコード近傍温度制御とを行う。ベルト層のトッピングゴムは、変性ブタジエンゴム及び/又は変性スチレンブタジエンゴムを10〜45質量%含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック及び/又はシリカからなる補強剤を25〜55質量部含有させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトプライにおけるトッピングゴムのゴム組成、及び加硫条件を特定することにより、耐久性の向上を図りながら転がり抵抗を低減しうるタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤでは、トレッド部をタガ効果を有して補強し、優れた操縦安定性を発揮するために、トレッド部の内部に、スチールコードの配列体をトッピングゴムで被覆したベルトプライからなるベルト層を形成している。
【0003】
そして、近年のタイヤに関する低燃費化への強い要望に鑑み、前記ベルト層のトッピングゴムについても、ゴムの正接損失(tanδ)を減じて低発熱化を図り、タイヤの転がり抵抗を下げることが要求されている。
【0004】
前記トッピングゴムの正接損失(tanδ)を減じる方法として、以下のものが知られている。
・トッピングゴムにおけるゴム成分の主要部をなす天然ゴム(NR)の一部を、変性ブタジエンゴム(変性BR)、及び/又は変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)に置き換える:
・補強剤の配合量を減じる:
・硫黄の配合量を増して架橋密度を高める:
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記変成BR及び変成SBRは、補強剤であるカーボンブラックやシリカと強固に結合を形成するとともに、カーボンブラックの分散を促進させることができるため、正接損失(tanδ)を低減させることが可能となる。しかし前記変成BR及び変成SBRは、ゴムの破断強度を減じる他、スチールコードとの接着性(コード接着性と呼ぶ場合がある。)を損ねるなど、タイヤの耐久性の低下を招く。又補強剤の配合量を減じる方法も、ゴムが補強不足となって複素弾性率E*や破断強度を低下させる。又架橋密度を高める方法は、硫黄の配合量増加によって加硫戻り(リバージョン)が起こりやすくなり、所望のゴム物性が得られ難くなるという問題がある。
【0006】
そこで本発明者は、ゴム成分の一部に前記変成BR及び/又は変成SBRを使用することを前提とし、本発明者が先に発明した下記の特許文献1に記載の加硫方法に着目して、研究を行った。その結果、前記特許文献1にて提案した金型温度よりも、さらに低い温度で金型温度制御を行うことで、前記トッピングゴムに必要な複素弾性率E*、破断強度、コード接着性を確保することが可能となり、しかも正接損失(tanδ)をさらに低下させうることを究明し得た。
【0007】
【特許文献1】特開2007−83703号公報
【0008】
そこで本発明は、トッピングゴムのゴム組成と、加硫条件とを特定することを基本として、耐久性の向上を図りながら、転がり抵抗を低減しうるタイヤの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、平行に引き揃えた複数のスチール製のベルトコードを硫黄を含有したトッピングゴムで被覆したベルトプライからなるベルト層をトレッド部の内部に配した生タイヤを、金型内で加熱加硫するタイヤの製造方法であって、
前記金型内に装填した前記生タイヤのタイヤ内腔内に、高温の加熱媒体を充填して前記生タイヤをタイヤ内腔側から加熱する内側加熱と、前記金型を加熱して前記生タイヤをタイヤ外面側から加熱する外側加熱とからなる加熱工程を含み、
該加熱工程中において、前記金型の温度を、140〜165℃の範囲に制御する金型温度制御と、前記ベルトコードの表面からの距離が3mm以内であるコード近傍領域におけるゴム部材の最高温度を140〜165℃の範囲に制御するコード近傍温度制御とを行うとともに、
前記トッピングゴムは、変性ブタジエンゴム及び/又は変性スチレンブタジエンゴムを10〜45質量%含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック及び/又はシリカからなる補強剤を25〜55質量部含有させたことを特徴としている。
【0010】
又請求項2の発明では、前記コード近傍温度制御は、前記加熱媒体の充填時間を制御することにより行うことを特徴としている。
【0011】
又請求項3の発明では、前記補強剤は、シリカを5〜55質量部含むことを特徴としている。
【0012】
又請求項4の発明では、前記トッピングゴムは、ゴム成分100質量部に対して、レゾルシン、レゾルシン縮合物、変性レゾルシン縮合物、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂から選ばれる少なくとも1種の化合物を0.5〜3.0質量部含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は叙上の如く、ベルトプライのトッピングゴムとして、変性ブタジエンゴム(変性BR)及び/又は変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)を10〜45質量%含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック及び/又はシリカからなる補強剤を25〜55質量部含有させている。
【0014】
前記変成BR及び変成SBRは、補強剤であるカーボンブラックやシリカと強固に結合するとともに、カーボンブラックの分散を促進させることができるため、ゴムの正接損失(tanδ)を低減させるという利点を有する。又前記補強剤の配合量を55質量部以下に規制するなど、従来のベルト層のトッピングゴムに比して補強剤の配合量を低く抑えているため、正接損失(tanδ)をさらに低減させるという利点を奏しうる。
【0015】
しかしその反面、変成BR及び変成SBRの採用は、ゴムの破断強度、及びコード接着性を低下させるという不利を招く。又前記補強剤の含有率低下によって、複素弾性率E*や破断強度をさらに低下させるという不利も招く。
【0016】
そこで本発明では、前記不利を、タイヤの加熱工程における温度制御の効果によって克服し、前記破断強度、コード接着性、及び複素弾性率E*を高めて、タイヤの耐久性の向上を図りながら、前記利点である正接損失(tanδ)の低減をさらに促進せしめ、タイヤの低燃費化をいっそう達成させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
本発明のタイヤの製造方法は、図3に示すように、生タイヤ1を金型10内で加硫成形して既加硫のタイヤを製造する方法であって、前記金型10内に装填した生タイヤ1のタイヤ内腔内に、高温の加熱媒体を充填して生タイヤ1をタイヤ内腔側から加熱する内側加熱と、前記金型10を加熱して生タイヤ1をタイヤ外面側から加熱する外側加熱とからなる加熱工程を具える。
【0018】
なお前記生タイヤ1は、図1に示すように、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるベルト層7とを少なくとも具える。
【0019】
前記ベルト層7は、図2に示すように、平行に引き揃えられた複数本のスチール製のベルトコード(スチールコード)20を、トッピングゴム21にて被覆した1枚以上のベルトプライ7Aから構成される。本例のベルト層7は、ベルトコードが周方向に対して例えば10〜45°の角度で配列する2枚のベルトプライ7A、7Aからなり、かつ各ベルトコードがプライ間相互で互いに交差することによりベルト剛性を高め、トレッド部2を強固に補強する。
【0020】
そして本発明では、前記トッピングゴム21は、ゴム成分中に、変性ブタジエンゴム(変性BR)及び/又は変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)を10〜45質量%含むとともに、このゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック及び/又はシリカからなる補強剤を25〜55質量部配合している、
【0021】
ここで、前記変性BR及び/又は変性SBRは、その末端の変性剤が前記補強剤であるカーボンブラックやシリカと強固に結合するとともに、カーボンブラックの分散を促進させることができるため、ゴムの正接損失(tanδ)を低減しうる。又前記補強剤の配合量を、55質量部以下と、従来のベルト層のトッピングゴムに比して低く抑えているため、正接損失(tanδ)をさらに低減させうる。しかしその反面、変成BR及び変成SBRは、ゴム破断強度、及びコード接着性を低下させるという不利を招く。又前記補強剤の含有率低下によって、複素弾性率E*や破断強度をさらに低下させるという不利も招く。
【0022】
そこで本発明では、前記不利を、前記タイヤの加熱工程における温度制御によって克服し、前記破断強度、コード接着性、及び複素弾性率E*をより高めて、タイヤの耐久性の向上を図りながら、前記利点である正接損失(tanδ)の低減をさらに改善せしめ、転がり抵抗を減じてタイヤの低燃費化をいっそう達成させるのである。
【0023】
具体的に説明すると、前記ゴム成分は、正接損失(tanδ)を低下させるという理由から、変性BR及び/又は変性SBRを10〜45質量%含み、又残部のゴムには、それ以外のジエン系ゴムが採用される。
【0024】
前記変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3−ブタジエンの重合をおこなったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ−炭素結合で結合されているものが好ましい。
【0025】
リチウム開始剤としては、アルキルリチウム、アリールリチウム、ビニルリチウム、有機スズリチウムおよび有機窒素リチウム化合物などのリチウム系化合物や、リチウム金属などがあげられる。前記リチウム開始剤を変性BRの開始剤とすることで、高ビニル、低シス含有量の変性BRを作製できる。
【0026】
スズ化合物としては、四塩化スズ、ブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジオクチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、トリフェニルスズクロライド、ジフェニルジブチルスズ、トリフェニルスズエトキシド、ジフェニルジメチルスズ、ジトリルスズクロライド、ジフェニルスズジオクタノエート、ジビニルジエチルスズ、テトラベンジルスズ、ジブチルスズジステアレート、テトラアリルスズ、p−トリブチルスズスチレンなどがあげられ、これらのスズ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
変性BR中のスズ原子の含有率は、50ppm以上が好ましく、60ppm以上がより好ましい。スズ原子の含有率が50ppm未満では、カーボンブラックの分散を促進する効果が小さく、正接損失(tanδ)が充分に低減されない傾向となる。また、スズ原子の含有率は3000ppm以下が好ましく、2500ppm以下がより好ましく、250ppm以下がさらに好ましい。スズ原子の含有率が3000ppmをこえると、混練り物のまとまりが悪く、エッジが整わないため、混練り物の押出し加工性が悪化する傾向がある。
【0028】
変性BRの分子量分布(Mw/Mn)は、2以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。前記変性BRのMw/Mnが2をこえると、カーボンブラックの分散性が悪化し、正接損失(tanδ)の増大傾向を招く。
【0029】
変性BRのビニル結合量は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。変性BRのビニル結合量が5質量%未満では、変性BRを重合(製造)することが難しくなる。また、変性BRのビニル結合量は、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。変性BRのビニル結合量が50質量%をこえると、カーボンブラックの分散性が悪化する。
【0030】
以上の条件を満たす変性BRとして、例えば日本ゼオン社製のBR1250Hなどがあげられる。
【0031】
前記変性BRの場合の含有率は、低発熱化の観点から10質量%以上であり、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。又破断強度等の確保の観点から、45質量%以下であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
【0032】
次に、前記変性SBRとしては、JSR社製のHPR340などのように、結合スチレン量の小さいものが好ましい。具体的には、変性SBRの結合スチレン量は、ゴムのリバージョン(加硫戻り)を抑制する観点から、5質量%以上、さらには7質量%以上が好ましく、又低発熱化の観点から、30質量%以下、さらには20質量%以下が好ましい。
【0033】
変性SBRとして、乳化重合変性SBR(変性E−SBR)と、溶液重合変性SBR(変性S−SBR)とがあげられるが、シリカとポリマー鎖との結合を強めて正接損失(tanδ)を低減させることができることから、特に変性S−SBRが好ましい。
【0034】
又変性SBRとしては、スズやケイ素などでカップリングされたものが好ましく用いられる。変性SBRのカップリング方法としては、常法に従って、たとえば、変性SBRの分子鎖末端のアルカリ金属(Liなど)やアルカリ土類金属(Mgなど)を、ハロゲン化スズやハロゲン化ケイ素などと反応させる方法などがあげられる。
【0035】
又変性SBRは、共役ジオレフィン単独、または共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを(共)重合して得られた(共)重合体であり、第1級アミノ基やアルコキシシリル基を有することが好ましい。第1級アミノ基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良し得る点から、重合開始末端または重合終了末端に導入されていることが好ましい。
【0036】
変性SBRの重量平均分子量(Mw)は、破断強度の観点から、100万以上さらには120万以上が好ましく、ゴムの粘度を調節して混練り加工を容易にする観点から、200万以下さらには180万以下が好ましい。
【0037】
前記変性SBRの場合の含有率も、低発熱化の観点から10質量%以上であり、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。又破断強度等の確保の観点から、45質量%以下であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。なお変性SBRは、変性BRほどに正接損失(tanδ)を低下させる効果は少ないが、変性BRよりも複素弾性率E*が高いため、耐久性には有利となる。
【0038】
又前記ゴム成分中の残部のゴムには、前記変性BR、変性SBR以外の、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などのジエン系ゴムが採用される。特に、コード接着性、破断強度の観点から、前記残部のゴムに、天然ゴム(NR)及び/又はイソプレンゴム(IR)を少なくとも55質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上含ませるのが良い。なお残部のゴムを、天然ゴム(NR)及び/又はイソプレンゴム(IR)のみで構成することもできる。
【0039】
次に、前記ゴム成分には、硫黄である加硫剤と、カーボンブラック及び/又はシリカからなる補強剤とを少なくとも含有する。
【0040】
前記硫黄としては、ブルーミングを防止するという観点から不溶性硫黄が好適である。硫黄の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、5.5〜8.5質量部と隣接するゴムにおける配合量よりも相対的に大である。これによって架橋密度を高め、複素弾性率E*を例えば5〜7MPaに高めることにより、ベルト端における歪を減じて、ベルト端剥離を抑制する。
【0041】
又前記補強剤としては、ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラック及び/又はシリカの配合量を、55質量部以下と、従来的なベルト層7のトッピングゴムに比して小に設定している。これにより、トッピングゴム21の低発熱化をさらに促進している。なお補強剤の配合量が小であることによる複素弾性率E*や破断強度の低下、及び前記変性BRや変性SBRの採用による破断強度やコード接着性の低下は、前記硫黄の配合量を上げて架橋密度を高めること、さらには後述するタイヤの加熱工程によって架橋密度が高まることなどによって克服される。又硫黄の配合量増加に伴うリバージョンの発生、及び該リバージョンに起因する架橋密度のバラツキや架橋密度の低下も、タイヤの加熱工程によって克服される。
【0042】
ここで、前記補強剤の配合量の上限値が、55質量部を超えると、正接損失(tanδ)が高まって、低発熱性を充分に向上させることができなくなる。逆に、前記補強剤の配合量が少なすぎると、硫黄さらにはタイヤの加熱工程によって架橋密度を高めるとはいえ、必要な複素弾性率E*や破断強度が確保されずに、タイヤの耐久性の向上を図ることができなくなる。このような観点から補強剤の配合量の下限値は、少なくとも25質量部以上であり、好ましくは30質量部以上、さらには35質量部以上である。
【0043】
なお前記補強剤として、カーボンブラックのみを使用することも、シリカのみを使用することも、又カーボンブラックとシリカとを混用することもできる。しかし、補強剤において、シリカが5質量部以上、さらには8質量部以上含んでいるのが好ましい。これはシリカは、分散性に優れるため、低発熱性の観点からカーボンブラックよりも好ましいからである。又シリカは含水しているため、含まれる水分がゴム中に放出されてスチールコードのメッキ表面を活性化し、コード接着性を向上させるというメリットも奏することができる。しかし、シリカは破断強度の向上効果が相対的に優れ、又カーボンブラックは複素弾性率E*の向上効果が相対的に優れるという特性を有するため、バランスの良いゴム物性をうるために、両者を混用するのが望ましい。
【0044】
前記カーボンブラック及びシリカとしては、とくに制限はなく、タイヤ工業で従来から使用されるSAF、ISAF、HAF、FEFなどのグレードのものを使用することができる。
【0045】
又シリカを用いる場合には、シランカップリング剤を併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、とくに制限はなく、タイヤ工業で従来からゴム組成物中にシリカとともに配合されているものであれば使用することができる。なおシランカップリング剤を配合する場合、その配合量は、加工性および発熱性の観点から、シリカ100質量部に対して5〜12質量部が好適である。
【0046】
又本例では、前記トッピングゴム21には、正接損失(tanδ)を低く維持しながら、複素弾性率E*を高めるために、ゴム成分に、レゾルシン、レゾルシン縮合物、変性レゾルシン縮合物、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂から選ばれる少なくとも1種の化合物を、そのメチレンドナーとともに配合している。これらレゾルシン等の化合物は、前記メチレンドナーと反応してトッピングゴム21の複素弾性率E*を高めうる。
【0047】
前記レゾルシン縮合物とは、下記化学式1で表される化合物をいう。
【0048】
【化1】

【0049】
前記変性レゾルシン縮合物とは、下記化学式2のように末端がレゾルシンであり、繰り返し単位がレゾルシンまたはアルキルフェノールを有する縮合物である。
【0050】
【化2】

【0051】
化学式1および化学式2中のnは整数である。nは、ゴム中への分散性が良好であるという点から2〜5が好ましい。化学式2におけるRは、アルキル基であり、炭素数は、9以下が好ましく、8以下がより好ましい。化学式3におけるRのアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、オクチル基などがあげられる。また、前記変性レゾルシン縮合物は、繰り返し単位としてレゾルシンとアルキルフェノールの混合であってよい。変性レゾルシン縮合物としては、たとえば、レゾルシン・アルキルフェノール・ホルマリン共重合体(田岡化学工業社製のスミカノール620など)、レゾルシン・ホルマリン反応物ペナコライト樹脂(インドスペック社製の1319Sなど)などがあげられる。
【0052】
前記クレゾール樹脂としては、薬品軟化点が100℃付近(92〜107℃)であるため、常温では固体であるが、ゴム混練り時に液体であるため分散しやすく、さらにメチレンドナーとの反応開始温度が130℃付近とタイヤ加硫温度以下であることから、下記化学式3で表されるメタクレゾール樹脂を用いることが最も好ましい。式中のnは、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。また、式中のnは、5以下が好ましい。このようなクレゾール樹脂としては、例えば田岡化学社製のスミカノール610などが挙げられる。
【0053】
【化3】

【0054】
前記変性クレゾール樹脂 とは、クレゾール樹脂の末端のメチル基を水酸基に変性したもの、クレゾール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化したものがあげられる。変性クレゾール樹脂においてクレゾール樹脂の繰り返し単位の一部をアルキル化した場合、得られる変性クレゾール樹脂 のアルキル基の炭素数は、2〜5が好ましい。また、アルキル基の具体例としては、メチル基、オクチル基などがあげられる。
【0055】
前記レゾルシン、レゾルシン縮合物、変性レゾルシン縮合物、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂から選ばれる少なくとも1種の化合物の、ゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5〜3.0質量部が好ましく、0.5質量部未満では、少なすぎて複素弾性率E*の向上効果が得られない。逆に前記化合物の含有量が5質量部を超えると、硫黄の架橋密度と比較して、樹脂の架橋密度が大きくなりすぎるため、低発熱性が低下する。
【0056】
又前記メチレンドナーとしては、例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミン及びそれらの誘導体、アザーディオキサービシクロオクタン、パラホルムアルデヒド等があり、市販品としては、例えばバイエル社製Cohedur(商標)A、アメリカンサイアナミッド社製サイレッツ(商標)966、964、田岡化学工業社製スミカノール(商標)507、ユニロイヤル社製M−3等があげられる。これらメチレンドナーの含有量は、前記レゾルシンなどの化合物の含有量の0.5〜1.5倍とするのが好ましい。
【0057】
又前記トッピングゴム21には、それ以外にも、通常ゴム工業で使用される添加剤、例えば、アロマオイル、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫促進剤、加硫戻り防止剤などを適宜配合することができる。
【0058】
特に、本発明では、タイヤの加熱工程において加硫温度を低く設定することに起因して、加硫時間が長くなる傾向があるため、加硫促進剤を配合するのが好ましく、又硫黄を高配合することに起因して、リバージョンが発生しやすい傾向があるため、リバージョン防止剤として、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンを配合するのが好ましい。
【0059】
なお加硫促進剤としては、とくに制限はなく、タイヤ工業で従来から使用される例えば、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド(DCBS)等が採用しうる。しかし、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BEHZ)は、破断強度及びコード接着性を向上しうるという点で、より好ましく採用しうる。加硫促進剤DCBSとしては、例えば川口化学工業社製のアクセル(商標)DZ−Gがあり、加硫促進剤TBSIとしては、例えばフレキシス社製のサントキュア(商標)TBSIがあり、加硫促進剤BEHZとしては、例えば川口化学工業社製のBEHZがある。加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜2.0質量部が好適である。なお本実施形態において、補強剤を55質量部以下に抑えるに際して、カーボンブラックとシリカとを混用することが好ましく、特にシリカが5質量部以上さらには8質量部以上含んでいるのが好ましいことは前述した通りである。しかし、シリカ入りのゴム組成物は、酸性のため初期加硫速度が遅い傾向がある。これを補完するためには、加硫促進剤として前記DCBSよりDCBSが適している。
【0060】
又前記リバージョン防止剤としての1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンは、加硫時のみならず、走行中のリバージョンも抑制することができる。一般に、ゴムは、熱的な履歴を受けると、硫黄鎖が切断され、再結合・再架橋が進み、弾性が低下する。しかしながら、前記1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンは、硫黄結合が切断されたのちに、硫黄結合よりも耐熱性が高くかつ硫黄結合と同様の柔軟性のある結合を可能にし、正接損失(tanδ)や破断強度を犠牲にすることなく高い複素弾性率を確保することができるという観点から特に好ましく採用しうる。この1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼンとして、フレキシス社製のパーカリンク(商標)900がある。このリバージョン防止剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、1.0〜3.0質量部が好適である。
【0061】
そして本発明では、前記変成BR及び/又は変成SBRをゴム成分の一部に使用したことによる破断強度およびコード接着性の低下、並びに補強剤の配合量を減じたことによる複素弾性率E*および破断強度の低下を、下記する金型内での加熱加硫における温度制御によって克服し、トッピングゴム21の破断強度、コード接着性、複素弾性率E*をより高めて、タイヤの耐久性の向上を図るとともに、前記ゴム配合の利点である低発熱化をさらに促進せしめ、転がり抵抗をいっそう低減させるのである。
【0062】
具体的には、前記金型10は、周知構造をなし、図3に概念的に示すように、タイヤ軸と同芯な中心機構11の周囲に、例えば上下に分離可能な上型12Uと下型12Lとを具える。そして、この上型12U、下型12Lの割り面が当接することによって、製品タイヤの輪郭形状をなすタイヤ装填用の加硫室13を形成する。前記上型12U、下型12Lには、例えば電気ヒータ、蒸気ジャケット等の熱源を有するプラテン板(図示しない)が設けられ、前記金型10を加熱し、生タイヤ1の前記外側加熱を行う。
【0063】
前記中心機構11には、前記加硫室13への加熱媒体の供給、排出を行なう供給口14a、排出口14bが配されるとともに、本例では、加熱媒体とタイヤとの直接接触を防ぐゴム製袋状のブラダー15が装着される。又前記供給口14aには、加熱媒体供給源16からのび加熱媒体を加硫室13に供給することにより生タイヤ1の前記内側加熱を行う加熱配管17A、及び内側加熱後に、加圧媒体供給源18からの加圧媒体を引き続いて加硫室13に供給することにより生タイヤ1を高圧で加圧する加圧配管17Bとが接続される。なお図3中の、符号30A、30Bは前記排出口14bに接続される排気管であり、一方の排気管30Aには、加硫後のタイヤを金型10から取出す際に負圧して前記ブラダー15を折畳むバキューム31が接続されている。また符号32は、開閉弁である。
【0064】
そして、前記外側加熱、及び内側加熱により生タイヤ1を加硫する際、加熱工程中において、前記金型10の温度T1を140〜165℃の範囲に制御する金型温度制御と、ベルトコード20のコード近傍領域Y(図2に示す)におけるゴム部材の最高温度T2を140〜165℃の範囲に制御するコード近傍温度制御とを行う。
【0065】
前記「コード近傍領域Y」とは、図2に示すように、前記ベルトコード20の表面からの距離Lが3mm以内の範囲の領域を意味し、加硫初期において、このコード近傍領域Y内にて硫黄が流動して、硫黄の濃度分布に影響を与える。
【0066】
ここで、加硫初期においては、ゴム成分中の硫黄がベルトコード表面側に移行し、ベルトコード表面のメッキ成分と反応して硫化物の層からなる接着層を形成する。このとき、硫黄の移行速度が、ベルトコードの表面からの距離が近いほど早くなるため、ベルトコード近傍に、硫黄濃度が著減する硫黄濃度減少部分が形成される。この硫黄濃度減少部分は、その外側からの硫黄の流入量よりも、ベルトコード側への硫黄の流出量が大となるために生じるものであり、硫黄濃度の減少によりゴムの架橋密度が不均一に低下し、強度の弱所となってコード接着性を充分に発揮することができなかった。
【0067】
そのため、まず金型温度制御によって金型10の温度T1を、前述の特許文献1よりもさらに低温の165℃以下、好ましくは165℃未満、さらに好ましくは160℃以下の制御する。図4に、加熱工程中のコード近傍領域Yにおける「温度−時間曲線J」の一例を示すように、前記低温での金型温度制御により、加硫初期における温度上昇を緩やかなものとすることができる。これにより、硫黄の流動性が高まり、前記コード近傍領域Yへの硫黄の流入量が増すなど、流入量と流出量の差を著減しうる。即ち、硫黄濃度減少部分での硫黄濃度が高まり、強度の弱所を排除することができ、コード接着性を向上させることができる。
【0068】
又本発明者の研究の結果、前記金型10の温度T1が165℃以下と低いこと、及びコード近傍領域Yにおける加硫温度(最高温度T2)が165℃以下と低いことにより、トッピングゴム21の破断強度、複素弾性率E*が高まるとともに、正接損失(tanδ)をさらに低下しうることを究明し得た。その理由として、以下の如く推測される。即ち、前記温度T1、T2が低いことにより、硫黄配合量が高いことに起因するリバージョンの発生、すなわちポリマー切断、硫黄がポリマー鎖にペンダント状に結合すること、及びポリマーが異体化(シス体からトランス体化)することが抑制されるため、高配合の硫黄を有効に機能させることができる。従って、ゴムの架橋密度の増加と均一化とを達成することが可能となり、ゴムの破断強度、及び複素弾性率が向上すると推測される。
【0069】
前記金型10の温度T1が165℃を超える場合、及びコード近傍領域Yの最高温度T2が165℃を超える場合には、前述の破断強度および複素弾性率の向上効果、並びに正接損失(tanδ)の低減効果をうることができなくなる。逆に温度T1が140℃を下回る場合、及び最高温度T2が140℃を下回る場合には、破断強度および複素弾性率の向上効果、並びに正接損失(tanδ)の低減効果が頭打ちとなる他、加硫時間が大幅に増加するなど生産性の著しい低下を招く。このような観点から、前記温度T1の上限は、165℃未満、さらには160℃以下が好ましく、又下限は150℃以上が好ましい。又前記最高温度T2の上限は、前記温度T1以下、かつ160℃以下が好ましい。
【0070】
なお前記温度T1は、トレッド部2が接する金型10の接触部分の温度を意味し、本例では例えば生タイヤ1のトレッド表面に温度センサーを貼り付けて検出している。又、その金型温度制御は、金型10に配する電気ヒータ、蒸気ジャケット等の熱源の温度を制御することにより行いうる。
【0071】
又前記コード近傍温度制御は、前記加熱媒体の充填時間を制御することにより行うことができる。これは、ベルト層7のタイヤ内腔面からの距離が、タイヤ外面からの距離に比して遙かに短く、前記加熱媒体からの熱量による影響が非常に大きいことによる。従って、最高温度T2への影響が大である加熱媒体のタイヤ内腔内への充填時間を制御することにより、前記最高温度T2を140〜165℃の範囲に規制しうる。前記図4に示すように、「温度−時間曲線J」は、金型10の温度T1に収束するようにその上昇勾配は、時間経過とともに緩やかとなり、かつ前記充填時間を短くすることにより低温側にシフトする。従って、充填時間を制御し、加熱媒体から供給される熱量を低く調整することにより、前記最高温度T2を前記温度範囲内に制御することができる。なお前記「温度−時間曲線J」では、加硫が終了して金型10を開く金型開放時が、最高温度T2となる。又加熱工程では、前記加熱媒体の充填後に、窒素ガスなどの不活性ガス、或いは低温水などの高圧の加圧媒体が充填される。
【0072】
なお加熱媒体としては、熱容量が大な高温気体である飽和蒸気状のスチームが好適であり、従来と同様、温度180〜210℃のスチームが使用できる。又加熱媒体の充填時間は、前記最高温度T2の設定値、及び金型10の温度T1の設定値に応じて制御されるが、通常20秒〜2分30秒以下の範囲である。なお加熱媒体として高温水も使用しうる。
【0073】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0074】
表1、2の仕様に基づき、乗用車用タイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を、本発明に係わる加硫方法を用いて作成し、各試供タイヤのベルト耐久性、及び転がり抵抗をテストした。又、試供タイヤから、ベルトプライのトッピングゴムのサンプルを切り出し、その複素弾性率E*、損失正接(tanδ)、破断時の伸びを測定し、互いに比較した。
【0075】
加熱工程において、加熱媒体として、温度200℃のスチーム(飽和水蒸気)を使用した。又、ベルト層のトッピングゴムにおける表1、2のゴム、補強剤、添加剤として、下記のものを使用した。
・天然ゴムNR −−−TSR20
・変性BR(1) −−−日本ゼオン社製のBR1250H:
・変性BR(2) −−−住友化学工業社製のポリブタジエンゴム:
・変性SBR −−−JSR社製のHPR340:
・カーボンブラック −−−昭和キャボット社製のカーボンブラックN326:
・シリカ −−−ローディア社製のZ115Gr:
・加硫促進剤DCBS −−−川口化学工業社製のアクセルDZ−G:
・加硫促進剤TBSI −−−フレキシス社製のサントキュア(商標)TBSI:
・変性レゾルシン縮合物−−−田岡化学工業社製のスミカノール620:
・メチレンドナー −−−田岡化学工業社製のスミカノール507A:
又共通の添加剤として、下記のものを使用した。配合量は表3に示す。
・亜鉛華 −−−東亜亜鉛社製の銀嶺R:
・ステアリン酸コバルト−−−大日本インキ化学工業社製のcost-F:
・アロマオイル −−−ジャパンエナジー社製のプロセスX−140:
・不溶性硫黄 −−−フレキシス社製のクリステックスHSOT20(純硫黄分80質量%、オイル分20質量%含有の不溶性硫黄)
・老化防止剤 −−−大内新興化学工業社製のノラック6C:
・リバージョン防止剤−−−フレキシス社製のパーカリンク900:
【0076】
(1)複素弾性率E*、損失正接(tanδ):
粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、動歪2%および周波数10Hzの条件下で、30℃におけるゴムサンプルの複素弾性率E*および損失正接(tanδ)を測定した。複素弾性率E*は、ベルト端での歪みを小さく保つために5〜7MPaの範囲であるのが好ましい。又損失正接(tanδ)は低いほど、転がり抵抗を減じるために好ましい。
【0077】
(2)破断時の伸び:
JIS K 6251の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方」に準拠して引張試験を実施し、ゴムサンプルの破断時の伸び(%)を測定した。破断時の伸び(%)は大きいほど耐久性のために好ましい。
【0078】
(3)ベルト耐久性:
試供タイヤを、リム(6×15JJ)、内圧(200kPa)、荷重(6.96kN)の条件下で、ドラム試験機上を速度80km/Hで走行させ、ベルト層に故障が発生するまでの走行距離を調べた。評価は、比較例1の走行距離を100とする指数で表示しており、数値が大きいほど良好である。
【0079】
(4)転がり抵抗:
転がり抵抗試験機を用い、試供タイヤの転がり抵抗を、リム(6×15JJ)、内圧(200kPa)、荷重(6.96kN)、速度(80km/H)の条件にて測定した。評価は、比較例1の転がり抵抗を100とする指数で表示しており、数値が大きいほど転がり抵抗が小さく良好である。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【0083】
表1、2から、実施例のタイヤは、耐久性を向上しながら、転がり抵抗を大幅に低減しうるのが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明のタイヤの製造方法に用いる生タイヤを例示する断面図である。
【図2】そのベルトプライを示す断面図である。
【図3】本発明のタイヤの製造方法に用いる金型を概念的に示す断面図である。
【図4】加熱工程中のコード近傍領域における温度−時間曲線を例示するグラフである。
【符号の説明】
【0085】
1 生タイヤ
7 ベルト層
7A ベルトプライ
10 金型
20 ベルトコード
21 トッピングゴム
Y コード近傍領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に引き揃えた複数のスチール製のベルトコードを硫黄を含有したトッピングゴムで被覆したベルトプライからなるベルト層をトレッド部の内部に配した生タイヤを、金型内で加熱加硫するタイヤの製造方法であって、
前記金型内に装填した前記生タイヤのタイヤ内腔内に、高温の加熱媒体を充填して前記生タイヤをタイヤ内腔側から加熱する内側加熱と、前記金型を加熱して前記生タイヤをタイヤ外面側から加熱する外側加熱とからなる加熱工程を含み、
該加熱工程中において、前記金型の温度を、140〜165℃の範囲に制御する金型温度制御と、前記ベルトコードの表面からの距離が3mm以内であるコード近傍領域におけるゴム部材の最高温度を140〜165℃の範囲に制御するコード近傍温度制御とを行うとともに、
前記トッピングゴムは、変性ブタジエンゴム及び/又は変性スチレンブタジエンゴムを10〜45質量%含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック及び/又はシリカからなる補強剤を25〜55質量部含有させたことを特徴とするタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記コード近傍温度制御は、前記加熱媒体の充填時間を制御することにより行うことを特徴とする請求項1記載のタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記補強剤は、シリカを5〜55質量部含むことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記トッピングゴムは、ゴム成分100質量部に対して、レゾルシン、レゾルシン縮合物、変性レゾルシン縮合物、クレゾール樹脂、変性クレゾール樹脂から選ばれる少なくとも1種の化合物を0.5〜3.0質量部含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のタイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−42561(P2010−42561A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207222(P2008−207222)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】