説明

タイヤ摩耗検出装置

【課題】タイヤの摩耗検出についての信頼性に優れ、しかも構成が簡単で且つ低コストのタイヤ摩耗検出装置を提供すること。
【解決手段】タイヤ摩耗検出装置は、タイヤ6のトレッド部に埋設される摩耗検出器2と、ホイール5に設けられるセンサユニット3と、車体に設置される受信機ユニット4とを備える。摩耗検出器2は、圧電素子と、同圧電素子で発生した電圧信号から電波信号を生成する共振回路とを有する。センサユニット3は、タイヤ6の内部空気圧を示す圧力データ信号を無線送信するとともに、受信した電波信号に基づきタイヤ6の摩耗状態を示す摩耗データ信号を生成して同摩耗データ信号を無線送信する。受信機ユニット4は、センサユニット3から圧力データ信号及び摩耗データ信号を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの摩耗状態を検出するタイヤ摩耗検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤ(詳しくはトレッド部)の摩耗状態を検出するためのタイヤ摩耗検出装置として各種の装置が提案されている。例えば特許文献1に開示された装置では、タイヤのトレッド部の溝内に、センサ及び通信機を含む検出装置が設けられている。車両走行時において、検出装置は、トレッド部が路面に対して接地したときの同トレッド部の変形状態をセンサによって検出し、そのセンサの検出信号を車体に搭載された受信機に送信する。そして、同じく車体に搭載された電子制御装置が受信機で受信された検出信号に基づき、トレッド部の摩耗状態等を判定する。同特許文献1には、前記検出装置に電力を供給する電池をタイヤの内部に埋設したり、或いはホイールに設置したりする旨、記載されている。同特許文献1にはまた、検出装置にコイル状アンテナを設け、受信機がそのコイル状アンテナに電磁誘導作用により起電力を誘起させることによって、検出装置が自身の駆動に必要な電力を得ることも記載されている。
【0003】
特許文献2に開示された装置では、タイヤのトレッド部の溝又は同トレッド部の内部に無線機が設けられる一方、その無線機から送信されるデータ信号を読み取るデータ読取機がタイヤの近傍の車体の部位に設けられている。無線機としてはRFID(Radio Frequency Identification)が用いられる。タイヤの回転に伴い無線機がデータ読取機と対向する位置に移動したときに、データ読取機が無線給電により無線機に起電力を誘起させることによって、無線機は自身の駆動に必要な電力を得てデータ信号を送信する。そして、車両走行時において、データ読取機は、所定周期で無線機からのデータ信号を受信している場合には、トレッド部の摩耗の程度が許容限界を超えていないと判定する。一方、トレッド部の摩耗が進行して無線機が破壊されると、データ信号がデータ読取機で受信されなくなる。従って、車両走行時において、データ読取機は、所定周期で無線機からのデータ信号を受信できなくなったときに、トレッド部の摩耗の程度が許容限界を超えたと判定する。
【0004】
特許文献3に開示された装置は、タイヤ空気圧監視装置を利用したものである。この装置では、タイヤのトレッド部に線状のアンテナが埋設されるとともに、ホイールにはタイヤの内部空気圧を検出して検出信号を前記アンテナを通じて送信するセンサユニットが装着されている。車体にはセンサユニットからの検出信号を受信する受信機が設置されている。トレッド部の摩耗が進行するにつれ、前記アンテナの先端はトレッド部の表面に露出して同トレッド部とともに摩耗する。その結果、トレッド部の摩耗の進行に伴いアンテナの長さが徐々に短くなって、アンテナから送信される検出信号の電波強度が徐々に低下する。そして受信機は、受信された検出信号の電波強度が所定レベルまで低下したとき、トレッド部の摩耗の程度が許容限界を超えたと判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−170223号公報
【特許文献2】特開2007−40705号公報
【特許文献3】特開2007−8249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、タイヤのトレッド部の溝内に配置される非常に小型の検出装置が、車体に搭載された受信機に対して検出信号を送信するようにしているが、そのような非常に小型の検出装置から送信される信号の電波強度は微弱である。しかし、車両走行時において、回転しているタイヤに設けられる検出装置と車体に搭載される受信機との相対位置関係は常に激しく変化し、しかも車体は金属製であるため、通信環境は非常に悪い。そのため、小型の検出装置から送信される微弱な電波強度を有する信号を受信機にて確実に受信することは困難である。
【0007】
電波強度を大きくするためには、検出装置を大型化したり、同検出装置に供給する電力を大きくしたりする必要がある。しかし、検出装置はトレッド部の溝内に設けられるので、大型化することができない。また、検出装置への供給電力を大きくする場合、検出装置の動作寿命等をも考慮すると、電池として比較的大型のものを使用する必要があるが、そのような大型の電池をタイヤの内部に埋設することは現実的ではない。電池をホイールに設置する場合には大型の電池を使用することは可能であるが、検出装置とは別に電池のみをホイールに設置し、しかもトレッド部の溝内に配置される検出装置とホイールに設置される電池との間を配線することは非常に面倒である。
【0008】
なお特許文献1において、検出装置が電磁誘導作用を利用して電力を得る場合には電池は不要となるが、トレッド部の溝内に設けられる非常に小型の検出装置では、電磁誘導作用だけでは十分に大きな電力を得ることはできない。また、タイヤの摩耗検出のためだけに車体に受信機を設けるのは、コスト上好ましくない。
【0009】
特許文献2では、データ読取機がタイヤの近傍の車体の部位に設けられており、トレッド部に設けられた無線機は、タイヤの回転に伴いデータ読取機と対向する位置に移動したときに、無線給電により電力を得てデータ信号を送信する。そのため、無線機とデータ読取機とは比較的接近した状態で通信を行うことにはなる。しかしながら、特許文献1に関して述べたように、無線機とデータ読取機とは非常に悪い通信環境下にある。そのため、無線機とデータ読取機とが比較的接近した状態で通信を行ったとしても、トレッド部内の非常に小型の無線機において無線給電によって電力を生成するだけでは、確実な通信を行い得るのに十分な大きさの電波強度を実現することができない。また、タイヤの摩耗検出のためだけに車体にデータ読取機を設けることは、コスト上好ましくない。
【0010】
特許文献3の装置はタイヤ空気圧監視装置を利用したものであり、ホイールに装着されるセンサユニットは一般的に、比較的大型の電池を備えるとともに、十分に大きな電波強度及び通信距離を有する高周波信号(RF信号)を送信するように構成されている。しかしながら、トレッド部の摩耗の進行に伴ってアンテナの長さが短くなっても、アンテナの長さが短くなることによる電波強度の低下は僅かである。そのため、受信機で受信された検出信号の電波強度の低下に基づきタイヤの摩耗状態を正しく判断することは非常に難しい。また、タイヤのトレッド部内に線状のアンテナを設けたり、タイヤ内部のアンテナとホイールに設置されるセンサユニットとの間を配線したりすることは非常に面倒である。
【0011】
本発明の目的は、タイヤの摩耗検出についての信頼性に優れ、しかも構成が簡単で且つ低コストのタイヤ摩耗検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本願発明に従うタイヤ摩耗検出装置は、車両のホイールに装着されるタイヤのトレッド部に埋設され、同トレッド部の摩耗を検出するための摩耗検出器であって、外部から受ける衝撃に応じて電圧信号を発生する圧電素子、及び同圧電素子で発生した電圧信号から電波信号を生成する信号生成部を有する摩耗検出器と、前記ホイールに設けられるセンサユニットであって、前記タイヤの内部空気圧を検出する圧力
センサ、前記信号生成部で生成された電波信号を受信する受信部、及び前記圧力センサで検出された内部空気圧を示す圧力データ信号を無線送信するとともに前記受信部で受信された電波信号に基づきタイヤの摩耗状態を示す摩耗データ信号を生成して同摩耗データ信号を無線送信する送信部を有するセンサユニットと、車体に設置され、前記センサユニットから前記圧力データ信号及び前記摩耗データ信号を受信する受信機ユニットと、を備える。
【0013】
上記構成によれば、摩耗検出器では、トレッド部の摩耗が進行するに従い、圧電素子が路面から受ける衝撃が大きくなり、圧電素子が発生する電圧信号のレベルも大きくなる。そのため、信号生成部で生成される電波信号のレベル(強度)も大きくなる。ホイールに設けられるセンサユニットは、受信した前記電波信号に基づきタイヤの摩耗状態を示す摩耗データ信号を生成して同摩耗データ信号を、車体に設置された受信機ユニットに無線送信する。従って、受信機ユニットにおいて、受信した摩耗データ信号に基づいてタイヤの摩耗状態を判定することが可能となる。
【0014】
本発明において、圧電素子を備えた摩耗検出器は、衝撃を受けるだけで自身の駆動に必要な電力を得る構成であり、電池等の電源を必要とせず、また電磁誘導作用を利用して電力を得るための構成も必要としない。そのため、摩耗検出器を簡単且つ小型な構成とすることができ、よってトレッド部内に容易に埋設することができる。
【0015】
また本発明では、タイヤ空気圧監視装置におけるセンサユニットを、摩耗検出器で生成された信号を車体に設置された受信機ユニットに伝達する中継機として利用している。ホイールに設けられるセンサユニットとトレッド部内に設けられる摩耗検出器との相対位置関係は一定であり、しかも、センサユニットは摩耗検出器に非常に近接して配置することが可能である。そのため、摩耗検出器で生成される電波信号の強度が微弱であっても、同電波信号をセンサユニットにて確実に受信することができる。
【0016】
加えて、ホイールに設けられるセンサユニットには比較的大型の電池を搭載することが可能であり、よって、同センサユニットを、十分に大きな電波強度及び通信距離を有する信号を送信し得るように構成することができる。そのため、センサユニットから送信される摩耗データ信号を、車体に搭載された受信機ユニットで確実に受信することが可能となる。
【0017】
しかも、近年車両への搭載率が上昇しているタイヤ空気圧監視装置を構成するセンサユニット及び受信機ユニットを、タイヤ摩耗検出装置の構成要素として兼用している。そのため、トレッド部の摩耗状態を検出するために必要な構成要素として、トレッド部に埋設される摩耗検出器を新たに追加するだけでよく、よってタイヤ摩耗検出装置を極力簡素な構成且つ低コストで実現することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記信号生成部は、前記圧電素子で発生した電圧信号から、第1の周波数を有する第1の信号を前記電波信号として取り出す共振回路を含み、前記送信部は、前記電波信号に基づき前記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の信号を生成して、同第2の信号を前記摩耗データ信号として送信する。
【0019】
摩耗検出器は、圧電素子及び共振回路という非常に一般的な部品によって構成されるので、構成が簡素で且つ低コストである。また、センサユニットの送信部から送信される信号は、摩耗検出器で生成される電波信号の周波数とは異なる周波数を有する信号である。よって、センサユニットの送信部から送信される信号を、摩耗検出器で生成される電波信号の周波数とは関係なく、車体に設置された受信機ユニットにて安定して受信するのに適した周波数の信号とすることができる。例えば、センサユニットの送信部から送信される
信号を、比較的長い距離を安定して通信することのできる高周波信号とすれば、センサユニットと受信機ユニットとの間の通信の信頼性が向上する。
【0020】
本発明において、好ましくは、前記摩耗検出器は前記圧電素子に機械的に結合された検出片を有し、摩耗検出器は、前記トレッド部が許容限界まで摩耗したときに前記検出片の先端がトレッド部の外周面から露出するように、トレッド部に埋設される。
【0021】
上記構成によれば、検出片の先端がトレッド部の外周面から露出すると、露出していない場合と比較して、検出片の先端が路面から受ける衝撃が大きく増大し、摩耗検出器で生成される電波信号の強度も大きく増大する。よって、この電波強度の大きな変化に基づき、トレッド部が許容限界まで摩耗したことを正確に判定することが可能となる。
【0022】
本発明において、好ましくは、前記受信機ユニットは、前記センサユニットの前記受信部に対して起動信号を送信する送信部を有し、前記センサユニットは、前記受信部で前記起動信号を受信することに応答して、前記摩耗データ信号の送信を許容する摩耗検出モードに切り替えられる。
【0023】
上記構成によれば、車体に搭載された受信機ユニットからの指令に基づき、前記センサユニットを、摩耗検出モードとそれ以外の動作モード(例えば圧力検出モード)との間で切り替えることが可能となる。
【0024】
本発明において、好ましくは、前記受信機ユニットは、車両が所定の速度域で走行している場合に前記センサユニットが前記摩耗検出モードで動作するよう、前記起動信号を前記送信部に送信させる。
【0025】
上記構成によれば、車両の走行速度がトレッド部の摩耗状態を適切に検出し得る速度域である場合に、トレッド部の摩耗状態を検出することが可能となる。
本発明において、好ましくは、前記摩耗検出器は、前記タイヤの周方向に沿って所定間隔を隔てて複数配置される。
【0026】
上記構成によれば、複数の摩耗検出器によって、トレッド部の摩耗状態を一層正確に検出することが可能となる。また、信号の受信周期(例えば、タイヤ1回転当たりの信号の受信パターン)に基づき、受信機ユニットで受信された信号が正規の摩耗データ信号であるか否かを判定することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るタイヤ摩耗検出装置が搭載された車両を示す概略構成図。
【図2】図1の摩耗検出器及びセンサユニットを備えたタイヤ及びホイールの断面図。
【図3】図2の摩耗検出器の回路構成を示すブロック図。
【図4】図2のセンサユニットの回路構成を示すブロック図。
【図5】本発明の別実施形態に係る摩耗検出器の配置を示す要部断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、タイヤ摩耗検出装置を搭載した車両1が示されている。タイヤ摩耗検出装置は、車両1の4つのタイヤ6にそれぞれ設けられる4つの摩耗検出器2と、車両1の4つのホイール5にそれぞれ取り付けられる4つのセンサユニット3と、車両1の車体に設置される受信機ユニット4とを備えている。センサユニット3及び受信機ユニット4はタイ
ヤ空気圧監視装置を構成している。
【0029】
図2に示すように、各摩耗検出器2は、タイヤ6のトレッド部7、具体的にはトレッド溝8によって区画されたブロック部9の一つに埋設されている。図3に示すように、各摩耗検出器2は、圧電素子11、信号生成部としての共振回路12、及びインピーダンス整合回路13を有している。圧電素子11は、外部から受ける衝撃に応じて電圧信号を生成する。共振回路12はコンデンサ15及びコイル16を含み、前記圧電素子11で発生した電圧信号から電波信号を生成する。なおコイル16は電波信号を発信するアンテナとして機能する。インピーダンス整合回路13は圧電素子11と共振回路12との間のインピーダンスを整合させる。
【0030】
図2及び図3に示すように、摩耗検出器2はまた、圧電素子11に機械的に結合された検出片14を有する。検出片14は例えば金属製材料よりなる。摩耗検出器2は、検出片14の先端がトレッド部7の外周面を向くように、且つ前記トレッド部7が許容限界(図2に2点鎖線で示す位置)まで摩耗したときに検出片14の先端がトレッド部7の外周面から露出するように、トレッド部7に埋設される。車両1の走行時において、摩耗検出器2と対応する部位においてトレッド部7が路面に対して接地したとき、圧電素子11は検出片14を介して路面から衝撃を受けて、その衝撃の大きさに応じたレベルの電圧信号を発生する。なお、この電圧信号は様々な周波数成分を含んでいる。トレッド部7の摩耗が進行するに従い、トレッド部7の外周面と検出片14の先端との間に存在するタイヤゴムの厚さが次第に薄くなり、それに伴い圧電素子11が路面から受ける衝撃が大きくなって、同圧電素子11が発生する電圧信号のレベルも大きくなる。そのため、前記共振回路12で生成される電波信号のレベル(強度)も大きくなる。
【0031】
共振回路12は、前記圧電素子11で発生した様々な周波数成分を含む電圧信号から、所定周波数(例えば125kHz)のLF信号(長波帯信号)を取り出して、それを前記電波信号として発信する。なお、共振回路12が取り出すLF信号の周波数は通信分野において一般的に用いられるLF(長波)帯域(例えば30〜300kHz)の範囲で任意に変更可能である。
【0032】
図1及び図2に示すように、前記各センサユニット3は、タイヤ6の内部空間に配置されるように、そのタイヤ6が装着されたホイール5に対して固定されている。センサユニット3はタイヤバルブ3aを一体に有している。各センサユニット3は、対応するタイヤ6の状態(内部空気圧及び内部温度等)を検出して、検出されたタイヤ状態を示すデータを含む信号、即ちタイヤ状態データ信号を無線送信する。なお前記摩耗検出器2は、タイヤ6の周方向に関して、センサユニット3とほぼ一致する位置に配置される。
【0033】
図4に示すように、前記各センサユニット3は、圧力センサ21、温度センサ22、センサユニットコントローラ23、送信部としてのRF送信回路24、受信部としてのLF受信回路25、及びアンテナ27を備えており、センサユニット3に内蔵された電池26から供給される電力によって動作する。
【0034】
前記圧力センサ21は、対応するタイヤ6の内部空気圧を計測して、その計測によって得られた空気圧データをセンサユニットコントローラ23に出力する。温度センサ22は、対応するタイヤ6の内部温度を計測して、その計測によって得られた温度データをセンサユニットコントローラ23に出力する。センサユニットコントローラ23は、CPU、RAM及びROMを含むマイクロコンピュータ等よりなり、ROMには固有の識別情報であるIDコード(識別コード)が登録されている。このIDコードは、センサユニット3を前記受信機ユニット4において識別するために使用される情報である。
【0035】
前記センサユニットコントローラ23は、空気圧データ、温度データ及びIDコードを含むタイヤ状態データ信号を生成して、同タイヤ状態データ信号を前記RF送信回路24に出力する。RF送信回路24は、センサユニットコントローラ23からのタイヤ状態データ信号を所定の搬送周波数を有するRF信号(高周波信号)に変調して、同RF信号をアンテナ27から無線送信させる。RF送信回路24はタイヤ状態データ信号を例えば、周波数偏移変調(FSK)方式により315MHzの搬送周波数を有するRF信号に変調するように構成されている。なお、この搬送周波数は通信分野において一般的に用いられるVHF,UHF帯域(例えば30M〜3GHz)の範囲で任意に変更可能である。
【0036】
前記LF受信回路25は、前記摩耗検出器2の共振回路12から発信された電波信号(LF信号)を受信して、同電波信号をセンサユニットコントローラ23に送る。送信部の一部として機能するセンサユニットコントローラ23は、電波信号を受け取ると、同電波信号に基づきタイヤ6(詳しくはトレッド部7)の摩耗状態を示す摩耗データ信号を生成して、同摩耗データ信号を前記RF送信回路24に出力する。この摩耗データ信号は、トレッド部7の摩耗状態(摩耗の程度)を示す情報として、受信した電波信号の強度に関する情報を含む。また、この摩耗データ信号には、センサユニット3のIDコードも含まれる。RF送信回路24は、センサユニットコントローラ23からの摩耗データ信号を、前記タイヤ状態データ信号と同様に、所定の搬送周波数を有するRF信号に変調して、同RF信号をアンテナ27から無線送信させる。
【0037】
前記LF受信回路25はまた、前記受信機ユニット4からLF信号(例えば、後述する指令信号)を受信して、同指令信号をセンサユニットコントローラ23に送る。センサユニットコントローラ23は、受信機ユニット4からの指令信号を受信することに応答して、同指令信号中の指令内容に応じた動作をセンサユニット3に行わせる。具体的には、受信機ユニット4から送信される指令信号は、起動信号及び停止信号を含む。センサユニットコントローラ23は、受信機ユニット4からの起動信号の受信に応答して、センサユニット3の動作モードを、前記タイヤ状態データ信号の送信を許容する圧力検出モードから、前記摩耗データ信号の送信を許容する摩耗検出モードに切り替える。一方、センサユニットコントローラ23は、受信機ユニット4からの停止信号の受信に応答して、センサユニット3の動作モードを、前記摩耗検出モードから前記圧力検出モードに切り替える。このように、センサユニットコントローラ23は、受信機ユニット4からの指令信号を受信することに応答して、センサユニット3の動作モードを切り替える。
【0038】
前記圧力検出モードに切り替えられたとき、各センサユニット3は、タイヤ状態データ信号の送信動作を所定時間間隔(例えば、1分間隔)で定期的に行う。但し、計測されたタイヤ状態が異常を示す場合(例えば、タイヤ6の内部圧力の異常低下、タイヤ6の内部圧力の急変等)、センサユニット3は定期的な送信動作とは関係無く、直ちに送信動作を行う。一方、前記摩耗検出モードに切り替えられたとき、各センサユニット3は、前記摩耗検出器2から電波信号を受け取る度に、摩耗データ信号を無線送信する。
【0039】
図1に示すように、前記受信機ユニット4は、車体の所定箇所に設置され、例えば車両1のバッテリ(図示せず)からの電力によって動作する。受信機ユニット4は、前記ホイール5の近傍にそれぞれ位置するように車体に配置された送信部としての4つのLF送信回路31と、少なくとも1つのアンテナ32とを有する。受信機ユニット4はまた、受信機ユニットコントローラ33、RF受信回路35、警報器37、及び表示器38を備えている。受信機ユニットコントローラ33はCPU、ROM及びRAMを含むマイクロコンピュータ等よりなり、前記指令信号(起動信号及び停止信号)を生成して各LF送信回路31に出力する。各LF送信回路31は対応するセンサユニット3に指令信号を送信する。
【0040】
前記RF受信回路35は、各センサユニット3からアンテナ32を通じて受信されたRF信号(タイヤ状態データ信号及び摩耗データ信号)を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からのタイヤ状態データ信号に基づき、発信元のセンサユニット3に対応するタイヤ6の内部空気圧及び内部温度を把握する。受信機ユニットコントローラ33はまた、RF受信回路35からの摩耗データ信号に基づき電波信号の強度を判定するとともに、同判定に基づき発信元のセンサユニット3に対応するタイヤ6の摩耗状態を把握する。
【0041】
受信機ユニットコントローラ33はまた、前記内部空気圧及び内部温度に関する情報並びに前記摩耗状態に関する情報等を前記表示器38に表示させる。表示器38は、車室内等、車両1の搭乗者の視認範囲に配置される。受信機ユニットコントローラ33はさらに、内部空気圧及び内部温度の異常を前記警報器(報知器)37にて報知させるとともに、トレッド部7が許容限界まで摩耗したことを同警報器37にて報知させる。警報器37としては、例えば、異常を音によって報知する装置や、異常を光によって報知する装置が適用される。なお、内部空気圧及び内部温度の異常やトレッド部7が許容限界まで摩耗したことを、報知器としての表示器38に表示させてもよい。
【0042】
前記受信機ユニットコントローラ33には、車両1の走行速度を検出する車速センサ39が接続されている。受信機ユニットコントローラ33は、車速センサ39からの検出信号に基づき車両1の走行速度を把握し、車両1が所定の速度域(具体的には低速度域)で走行している場合に前記センサユニット3が前記摩耗検出モードで動作するよう、前記指令信号(起動信号及び停止信号)を各LF送信回路31に送信させる。例えば、車両1の加速時においては、走行速度が下限値(例えば10km/h)に達したときに起動信号を各LF送信回路31から送信し、走行速度が上限値(例えば30km/h)を超えたときに停止信号を各LF送信回路31から送信する。また、車両1の減速時においては、走行速度が前記上限値を下回ったときに起動信号を各LF送信回路31から送信し、走行速度が前記下限値を下回ったときに停止信号を各LF送信回路31から送信する。
【0043】
或いは、車両1の加速時において、走行速度が前記下限値に達したときに起動信号を各LF送信回路31から送信し、同送信から所定時間(例えば10秒程度)経過した後に停止信号を各LF送信回路31から送信してもよい。また、車両1の減速時においては、走行速度が前記上限値を下回ったときに起動信号を各LF送信回路31から送信し、同送信から前記所定時間経過した後に停止信号を各LF送信回路31から送信してもよい。なお、停止信号を送信することに代えて、各センサユニット3が起動信号の受信から所定時間経過後に自動的に圧力検出モードに復帰するようにしてもよい。
【0044】
以下に、上記のように構成されたタイヤ摩耗検出装置の作用及び利点について記載する。
(1)車両1が所定の低速度域で走行している場合には、各センサユニット3は摩耗検出モードで動作する。このとき、摩耗検出器2では、トレッド部7の摩耗が進行するに従い、圧電素子11が路面から受ける衝撃が大きくなり、圧電素子11が発生する電圧信号のレベルも大きくなる。そのため、共振回路12で生成される電波信号の強度も大きくなる。各センサユニット3は、受信した前記電波信号に基づき、同電波信号の強度(言い換えれば、トレッド部7の摩耗状態)を示す摩耗データ信号を生成して、同摩耗データ信号を受信機ユニット4に無線送信する。従って、受信機ユニット4において、受信した摩耗データ信号に基づいてトレッド部7の摩耗状態を判定することができる。そして、車両1の搭乗者は、表示器38に表示される摩耗状態情報や警報器37による報知を通じて、トレッド部7の摩耗状態、例えばトレッド部7の摩耗の程度が許容限界に近づいたか否か、許容限界に達したか否か等を把握することができる。
【0045】
(2)圧電素子11を備えた摩耗検出器2は、衝撃を受けるだけで自身の駆動に必要な電力を得る構成であり、電池等の電源を必要とせず、また電磁誘導作用を利用して電力を得るための構成も必要としない。そのため、摩耗検出器2を簡単且つ小型な構成とすることができ、よってトレッド部7内に容易に埋設することができる。
【0046】
(3)タイヤ空気圧監視装置におけるセンサユニット3を、摩耗検出器2で生成された信号を車体に設置された受信機ユニット4に伝達する中継機として利用している。ホイール5に設けられるセンサユニット3とトレッド部7内に設けられる摩耗検出器2との相対位置関係は一定であり、しかも、センサユニット3は摩耗検出器2に非常に近接して配置することが可能である。特に本実施形態では、摩耗検出器2は、タイヤ6の周方向に関して、センサユニット3とほぼ一致する位置に配置されている。そのため、摩耗検出器2で生成される電波信号の強度が微弱であっても、同電波信号をセンサユニット3にて確実に受信することができる。
【0047】
また、ホイール5に取り付けられるセンサユニット3には比較的大型の電池26を搭載することが可能であり、よって、同センサユニット3を、十分に大きな電波強度及び通信距離を有する信号を送信し得るように構成することができる。そのため、センサユニット3から送信される摩耗データ信号を、車体に搭載された受信機ユニット4で確実に受信することができる。
【0048】
(4)近年車両への搭載率が上昇しているタイヤ空気圧監視装置を構成するセンサユニット3及び受信機ユニット4を、タイヤ摩耗検出装置の構成要素として兼用している。そのため、トレッド部7の摩耗状態を検出するために必要な構成要素として、トレッド部7に埋設される摩耗検出器2を新たに追加するだけでよく、よってタイヤ摩耗検出装置を極力簡素な構成且つ低コストで実現することができる。
【0049】
(5)摩耗検出器2は、圧電素子11及び共振回路12という非常に一般的な部品によって構成されるので、構成が簡素で且つ低コストである。また、センサユニット3のRF送信回路24から送信される信号は、摩耗検出器2で生成される電波信号(第1の信号)の周波数とは異なる周波数を有する信号(第2の信号)、具体的には、比較的長い距離を安定して通信することのできるRF信号であるので、センサユニット3と受信機ユニット4との間の通信の信頼性が向上する。
【0050】
(6)摩耗検出器2は、トレッド部7が許容限界(図2に2点鎖線で示す位置)まで摩耗したときに検出片14の先端がトレッド部7の外周面から露出するように、トレッド部7に埋設される。摩耗検出器2の検出片14の先端がトレッド部7の外周面から露出すると、露出していない場合と比較して、検出片14の先端が路面から受ける衝撃が大きく増大し、摩耗検出器2で生成される電波信号の強度も大きく増大する。よって、この電波強度の大きな変化に基づき、トレッド部7が許容限界まで摩耗したことを受信機ユニット4において正確に判定することができる。
【0051】
(7)受信機ユニット4は、車両1が所定の低速度域で走行している場合にセンサユニット3が摩耗検出モードで動作するよう、指令信号を各LF送信回路31から対応するセンサユニット3に送信する。そのため、車両1の走行速度がトレッド部7の摩耗状態を適切に検出し得る速度域である場合に、トレッド部7の摩耗状態を検出することができる。
【0052】
なお、上記実施形態は以下のように変更することも可能である。
・複数(例えば2個や3個等)の摩耗検出器2を、タイヤ6の周方向に沿って所定間隔を隔てて配置してもよい。このようにすれば、複数の摩耗検出器2によって、トレッド部7の摩耗状態を一層正確に検出することが可能となる。また、受信機ユニット4は、RF
信号の受信周期(例えば、タイヤ1回転当たりのRF信号の受信パターン)に基づき、受信されたRF信号が正規の摩耗データ信号であるか否かを判定することも可能となる。なおこの判定に際しては、車速センサ39からの車速信号を用いて求められるタイヤ6の回転速度が用いられる。またこのような判定は、タイヤ6に一つの摩耗検出器2が設けられている上記実施形態においても、RF信号がタイヤ1回転毎に1回受信されたか否かを受信機ユニット4で確認することにより可能である。
【0053】
・車速センサ39に代えて、タイヤ6の回転速度を検出する回転センサを用いて、タイヤ6の回転速度や車速を把握するようにしてもよい。
・図5に示すように、摩耗検出器2を、タイヤ6のトレッド溝8内に設けられるスリップサイン10の箇所に埋設してもよい。この場合、摩耗検出器2は、検出片14の先端がスリップサイン10の表面と面一になるか、又は同表面よりも僅かに埋没した位置に配置されるように、トレッド部7に埋設される。
【0054】
・センサユニット3から送信される摩耗データ信号は、トレッド部7の摩耗状態(摩耗の程度)を示す情報であれば、受信した電波信号の強度に関する情報に限らず、どの様な情報を含んでも良い。
【0055】
・センサユニット3における摩耗データ信号の生成/送信態様は任意に変更できる。例えば、センサユニット3は、所定レベル以上の強度を有する電波信号を受信した場合にのみ、摩耗データ信号を生成して送信してもよい。なお、電波信号の強度が所定レベル以上であるか否かをセンサユニットコントローラ23が判断してもよいし、所定レベル以上の強度を有する電波信号にしか反応しないようにLF受信回路25を構成してもよい。また、所定レベルは、トレッド部7の摩耗によって検出片14の先端がトレッド部7の外周面から露出したときに生成される電波信号の強度に相当する。この場合、受信機ユニット4は、摩耗データ信号を受信したときに、トレッド部7の摩耗の程度が許容限界を超えたと判定する。このようにすれば、受信機ユニット4において電波信号の強度を判断する必要がないので、制御に係る負荷を軽減することができる。
【0056】
・図1に2点鎖線で示すように、車両1の搭乗者によって操作可能な操作部としての操作スイッチ40を設け、同操作スイッチ40の操作に応じて受信機ユニット4の動作モードを前記指令信号(起動信号及び停止信号)の送信を許容する送信許容モードと同送信を禁止する送信禁止モードとの間で切り替えるようにしてもよい。このようにすれば、車両1が所定の低速度域で走行している場合に各センサユニット3が摩耗検出モードに切り替えられることを阻止することが可能となる。つまり、トレッド部7の摩耗状態は短期間では大きく変化せず、よって摩耗状態をそれほど頻繁に確認する必要はない。そのため、摩耗状態を確認したい場合にのみ、各センサユニット3が摩耗検出モードに切り替わることを許容すべく受信機ユニット4を送信許容モードに切り替えれば十分である。
【0057】
・上記操作スイッチ40を、同操作スイッチ40の操作に応じて受信機ユニット4に前記指令信号(起動信号及び停止信号)を送信させるスイッチとしてもよい。なお停止信号の送信に関しては、受信機ユニット4は、操作スイッチ40の操作に応じて起動信号を送信してから所定時間経過後に自動的に停止信号を送信するようにしてもよい。このようにすれば、トレッド部7の摩耗状態を随時確認することが可能となる。
【0058】
・上記の図示された実施形態では、受信機ユニット4は4つのホイール5にそれぞれ対応する4つのLF送信回路31を有しているが、少なくとも1つ(或いは2つ)のLF送信回路31を有していればよい。LF送信回路31が1つの場合、受信機ユニット4はその1つのLF送信回路31から、各センサユニット3に付与されたIDコードを含む指令信号を送信する。各センサユニット3は、自身に付与されたIDコードを含む指令信号を
受信した場合に、同指令信号に応じた動作を行う。
【0059】
・摩耗検出器2で生成される電波信号はLF信号でなくともよく、センサユニット3にて安定して受信し得るのであれば、LF帯域以外の周波数帯域の信号、例えばVHF,UHF帯域の信号であってもよい。また、センサユニット3から送信される摩耗データ信号はRF信号でなくともよく、受信機ユニット4にて安定して受信し得るのであれば、VHF,UHF帯域以外の周波数帯域の信号、例えばLF帯域の信号であってもよい。要は、タイヤ空気圧監視装置におけるセンサユニット3を、摩耗検出器2で生成された信号を車体に設置された受信機ユニット4に伝達する中継機として利用する限り、摩耗検出器2とセンサユニット3との間の通信及びセンサユニット3と受信機ユニット4との間の通信にはどの様な周波数帯域の信号を用いてもよい。
【0060】
・前記表示器38は、タイヤ6の状態(内部空気圧、内部温度、摩耗状態)に関する情報を表示する専用の表示器に限らない。例えば、カーナビゲーションシステムにおける表示器や車速表示器等、タイヤ6の状態に関する情報以外の情報を表示するために設けられた表示器を、前記表示器38として利用してもよい。この場合、図1に2点鎖線で示すように、車両1の搭乗者によって操作可能な切替部としての切替スイッチ41を設け、切替スイッチ41の操作に応じてタイヤ6の状態を表示器の一部に表示するようにしてもよい。なお、内部空気圧又は内部温度の異常が検出されたとき、或いはトレッド部7が許容限界まで摩耗したときには、切替スイッチ41の操作無しで、その旨を直ちに表示器に表示するようにしてもよい。
【0061】
以下に、上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記摩耗検出器は、前記タイヤの周方向に関して、前記センサユニットと一致する位置に配置される、請求項1〜6の何れか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【0062】
(2)車両走行時において、前記受信機ユニットは信号の受信周期に基づき、受信した信号が正規の摩耗データ信号であるか否かを判定する、請求項1〜6の何れか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【0063】
(3)前記送信部は、前記受信部で受信された電波信号の強度を示す信号として前記摩耗データ信号を送信し、前記受信機ユニットは、受信した前記摩耗データ信号に基づき前記電波信号の強度を判定して、同判定に基づき前記タイヤの摩耗状態を判定する、請求項1〜6の何れか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【0064】
(4)前記送信部は、前記受信部で受信された電波信号の強度が所定レベル以上の場合にのみ前記摩耗データ信号を送信し、前記受信機ユニットは、前記摩耗データ信号を受信した場合に、前記タイヤの摩耗の程度が許容限界を超えたと判定する、請求項1〜6の何れか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【0065】
(5)前記電波信号は長波帯信号であり、前記摩耗データ信号は高周波信号である、請求項1〜6の何れか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【符号の説明】
【0066】
1…車両、2…摩耗検出器、3…センサユニット、4…受信機ユニット、5…ホイール、6…タイヤ、7…トレッド部、11…圧電素子、12…信号生成部としての共振回路、14…検出片、21…圧力センサ、24…送信部としてのRF送信回路、25…受信部としてのLF受信回路、31…送信部としてのLF送信回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のホイールに装着されるタイヤのトレッド部に埋設され、同トレッド部の摩耗を検出するための摩耗検出器であって、外部から受ける衝撃に応じて電圧信号を発生する圧電素子、及び同圧電素子で発生した電圧信号から電波信号を生成する信号生成部を有する摩耗検出器と、
前記ホイールに設けられるセンサユニットであって、前記タイヤの内部空気圧を検出する圧力センサ、前記信号生成部で生成された電波信号を受信する受信部、及び前記圧力センサで検出された内部空気圧を示す圧力データ信号を無線送信するとともに前記受信部で受信された電波信号に基づきタイヤの摩耗状態を示す摩耗データ信号を生成して同摩耗データ信号を無線送信する送信部を有するセンサユニットと、
車体に設置され、前記センサユニットから前記圧力データ信号及び前記摩耗データ信号を受信する受信機ユニットと、
を備えるタイヤ摩耗検出装置。
【請求項2】
前記信号生成部は、前記圧電素子で発生した電圧信号から、第1の周波数を有する第1の信号を前記電波信号として取り出す共振回路を含み、前記送信部は、前記電波信号に基づき前記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の信号を生成して、同第2の信号を前記摩耗データ信号として送信する、請求項1に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項3】
前記摩耗検出器は前記圧電素子に機械的に結合された検出片を有し、摩耗検出器は、前記トレッド部が許容限界まで摩耗したときに前記検出片の先端がトレッド部の外周面から露出するように、トレッド部に埋設される、請求項1又は2に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項4】
前記受信機ユニットは、前記センサユニットの前記受信部に対して起動信号を送信する送信部を有し、前記センサユニットは、前記受信部で前記起動信号を受信することに応答して、前記摩耗データ信号の送信を許容する摩耗検出モードに切り替えられる、請求項1〜3の何れか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項5】
前記受信機ユニットは、車両が所定の速度域で走行している場合に前記センサユニットが前記摩耗検出モードで動作するよう、前記起動信号を前記送信部に送信させる、請求項4に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項6】
前記摩耗検出器は、前記タイヤの周方向に沿って所定間隔を隔てて複数配置される、請求項1〜5の何れか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−189795(P2011−189795A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56172(P2010−56172)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】