タッチパネル
【課題】 フィルム基材に導電性薄膜を設けたパネルを用いたタッチパネルであって、導電性薄膜の耐久性に優れるタッチパネルを提供すること。
【解決手段】 透明な第1のフィルム基材と、当該第1のフィルム基材の片面に設けられた透明な第1の導電性薄膜を有する第1のパネルと、透明な第2のフィルム基材と、当該第2のフィルム基材の片面に設けられた透明な第2の導電性薄膜を有する第2のパネルとを有し、第1のパネルと第2のパネルとは、第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜とが対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、第1の導電性薄膜の表面は、硬度が1GPa以上、弾性率が5GPa以上であり、第2の導電性薄膜の表面は、中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0nmであり、かつ、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値よりも小さい、ことを特徴とするタッチパネル。
【解決手段】 透明な第1のフィルム基材と、当該第1のフィルム基材の片面に設けられた透明な第1の導電性薄膜を有する第1のパネルと、透明な第2のフィルム基材と、当該第2のフィルム基材の片面に設けられた透明な第2の導電性薄膜を有する第2のパネルとを有し、第1のパネルと第2のパネルとは、第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜とが対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、第1の導電性薄膜の表面は、硬度が1GPa以上、弾性率が5GPa以上であり、第2の導電性薄膜の表面は、中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0nmであり、かつ、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値よりも小さい、ことを特徴とするタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基材に導電性薄膜を設けたパネル、上下基板として用いたタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルとしては、透明な導電性薄膜を設けた基材を、スペーサを介して対向配置し、前記導電性薄膜を透明電極として用いものが使用されている。従来、このような導電性薄膜としては、ガラス上に酸化インジウム薄膜を形成したいわゆる導電性ガラスがよく知られているが、基材がガラスであるために可撓性、加工性に劣り、用途によっては使用できない場合がある。
【0003】
このため、近年では、可撓性、加工性に加えて、耐衝撃性に優れ、軽量であるなどの利点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムをはじめとする各種のプラスチックフィルムを基材として用いた導電性薄膜が使用されている。
【0004】
このようなフィルム基材を用いた導電性薄膜は、タッチパネルにおいて、ペンで繰り返し入力したり、ペン先で過剰な荷重を押圧したりしたときに、導電性薄膜からなる透明電極が劣化したり、破損したりする。また劣化または破損箇所で抵抗値が大きくなり、タッチパネルの寿命が短くなるといった問題がある。すなわち、タッチパネルでは、導電性薄膜同士が、一方のパネル側からの押圧打点で強く接触するものであるため、これに抗しうる良好な耐久性、つまり打点特性、特にペン入力耐久性を有していることが望まれる。
【0005】
そこで、タッチパネルにおいて、パネルとして用いる、導電性薄膜を設けたフィルム基材に関して、上記問題を改良する試みがなされている。本件出願人も、透明なフィルム基材の一方の面に、透明な第1の誘電体薄膜、透明な第2の誘電体薄膜、および透明な導電性薄膜をこの順に積層し、上記フィルム基材の他方の面に、透明な粘着剤層を介して透明基体を貼り合わせてなる透明導電性積層体を、タッチパネルに用いることを提案している(特許文献1,2参照)。上記透明導電性積層体を用いたタッチパネルは、耐久性を向上できるものの、タッチパネル市場の拡大により、タッチパネルには、より高度な耐久性が要求されるようになっている。
【特許文献1】特開2002−316378号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】特開2002−326301号公報(第2〜5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に照らし、フィルム基材に導電性薄膜を設けたパネルを用いたタッチパネルであって、導電性薄膜の耐久性に優れるタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記タッチパネルにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、透明な第1のフィルム基材と、当該第1のフィルム基材の片面に設けられた透明な第1の導電性薄膜を有する第1のパネルと、
透明な第2のフィルム基材と、当該第2のフィルム基材の片面に設けられた透明な第2の導電性薄膜を有する第2のパネルとを有し、
第1のパネルと第2のパネルとは、第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜とが対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、
第1の導電性薄膜の表面は、硬度が1GPa以上、弾性率が5GPa以上であり、
第2の導電性薄膜の表面は、中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0nmであり、
かつ、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値よりも大きい、ことを特徴とするタッチパネル、に関する。
【0009】
上記本発明では、タッチパネルにおいて、上板(押圧側)に用いられる第1のパネルの第1の導電性薄膜と、下板に用いられる第2のパネルの第2の導電性薄膜について、これらの硬度、弾性率および中心線平均粗さ(Ra)を、所定の関係になるように制御して組み合わせることで、耐久性を向上できることを見出した。すなわち、上板については、硬度、弾性率を高くし、一方、下板については、中心線平均粗さ(Ra)を小さく制御することで、対向した配置される第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜の、劣化、損傷を抑えることができ、タッチパネルの寿命を長くすることができることを見出した。
【0010】
第1の導電性薄膜の表面は、硬度が1GPa以上、さらには1.5GPa以上、さらには2GPa以上であるのが好ましく、また弾性率が5GPa以上、さらには8GPa以上、さらには10GPa以上であるのが好ましい。このような物性を有していることにより、第1のパネルを撓ませても、第1の導電性薄膜にクラックが入ったり、電気抵抗値が劣化したりするなどの支障をきたさず、耐久性が良好であり、タッチパネルの上板として好適に適用きる。第1の導電性薄膜の表面の硬度が1GPa未満、または弾性率が5GPa未満では、タッチパネルの耐久性が不十分である。なお、前記導電性薄膜の表面の硬度の上限は、耐クラック性の点から、5GPa以下、さらには4GPa以下とするのが好ましく、前記弾性率も同様に耐クラック性の点から、20GPa以下、さらには16GPa以下とするのが好ましい。
【0011】
なお、上記第1の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率は、インデンテーション試験(圧子押し込み試験)により、例えば、走査型プローブ顕微鏡(JEOL.LTD/日本電子:JSPM−4200)などを用いて、測定できる。薄膜硬度測定では、一般に圧子の押し込み深さは膜厚深さの10分の1程度に収まるようにする必要がある。第2の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率についても同様の測定条件である。
【0012】
インデンテーション試験では、被試験体(つまり、透明導電性積層体の導電性薄膜側)に、荷重をかけて圧子を押し込み、インデンテーション曲線(荷重−押し込み深さ曲線)を得る。その際の最大荷重Pmaxと、圧子と被試験体間の接触投影面積Aの比により、被試験体の硬度Hが、下記の式(1)より、求められる。また、インデンテーション曲線の除荷曲線の初期勾配Sから、被試験体の複合弾性率Erが、下記の式(2)より、求められる。さらに、圧子のヤング率Ei、圧子のポアッソン比vi、被試験体のポアッソン比vsから、被試験体のヤング率Esが、下記の式(3)により、求められる。
【0013】
ここで、下記の式(2)中、βは定数である。また、圧子はダイヤモンドであり、そのヤング率Eiは1,140GPa、ポアッソン比は0.07である。
H=Pmax/A ・・・(1)
S=(2/√π)・Er・β・√A ・・・(2)
Er=1/{(1−vs2)/Es+(1−vi2)/Ei} ・・・(3)
ここでは、被試験体である導電性薄膜のポアッソン比vsは不明であるため、上記の複合弾性率Erを、本発明にいう弾性率とする。測定の詳細については、例えば、W.C.Oliver and G.M.Phar,J.Meter.Res.,Vol.7,No.6,June 1992や、Handbook of Micro/Nanotribologyなどに記載されているとおりであり、公知の方法により測定することができる。
【0014】
一方、第2の導電性薄膜の表面は、中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0nmであり、かつ、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値よりも小さい。このように、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)を制御した第2のパネル(下板)と、第1の導電性薄膜の表面の硬度、弾性率を制御した第1のパネル(上板)を組み合わせることで、耐久性を向上させることができる。前記中心線平均粗さ(Ra)が0.3nm未満では、第1のパネルと第2のパネルがブロッキングを起こしてします場合があり、一方、1.0nmを超えると、第1の導電性薄膜を傷つけてしまうおそれがあり、いずれも耐久性で好ましくない。第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.4〜0.9nmであるのが好まし。中心線平均粗さ(Ra)は、実施例に記載の方法により測定される。第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)についても同様の測定条件である。
【0015】
上記タッチパネルにおいて、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値より大きいものであるが、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.7〜2.0nmであることが耐久性の点から好ましい。第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.8〜1.8nmであることが好ましい。
【0016】
上記タッチパネルにおいて、第2の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の値は、いずれも、第1の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の値よりも小さいことが耐久性の点から、好ましい。第2の導電性薄膜の表面の硬度は、0.4〜2.0GPaであることが好ましく、さらには0.5〜1.8GPaであることが好ましい。弾性率は2.0〜8.0GPaであることが好ましく、さらには2.0〜6.0GPaであることが好ましい。
【0017】
上記タッチパネルにおいて、第1のフィルム基材が、2枚以上の透明なフィルム基材を透明な接着剤層を介して貼り合わせた積層体を用いることができる。
【0018】
上記タッチパネルにおいて、第1の導電性薄膜は、少なくとも1層の透明な誘電体薄膜を介して、第1のフィルム基材に設けられていることが好ましい。誘電体薄膜を設けることにより、第1の導電性薄膜の耐擦傷性や耐屈曲性が向上するとともに、タッチパネルの耐久性(打点特性)が向上する点で好ましい。
【0019】
上記タッチパネルにおいて、第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜は、ドライプロセスにより形成されたSiO2膜であることが好ましい。第1の導電性薄膜に接する誘電体薄膜として、SiO2膜をドライプロセスによって形成することは、第1の導電性薄膜の表面の硬度、弾性率、さらには、中心線平均粗さ(Ra)を、前記範囲に制御するうえで好適である。
【0020】
上記タッチパネルにおいて、第2の導電性薄膜は、少なくとも1層の透明な誘電体薄膜を介して、第2のフィルム基材に設けられていることが好ましい。誘電体薄膜を設けることにより、第2の導電性薄膜の耐擦傷性や耐屈曲性が向上するとともに、タッチパネルの耐久性(打点特性)が向上する点で好ましい。
【0021】
上記タッチパネルにおいて、第2の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜は、ウエット塗工法により形成されたSiO2膜であることが好ましい。第2の導電性薄膜に接する誘電体薄膜として、SiO2膜をウエット塗工法によって形成することは、第2の導電性薄膜の表面の硬度、弾性率、さらには、中心線平均粗さ(Ra)を、前記範囲に制御するうえで好適である。
【0022】
上記タッチパネルにおいて、第2の導電性薄膜は、微細凹凸形状を有する樹脂層を介して、第2のフィルム基材に設けられていることが好ましい。微細凹凸形状を有する樹脂層により、タッチパネルを指押等した場合に生じる、縞状のニュートリングの発生を防止することができる。一方、前記樹脂層を設けた場合には、従来は、透明導電層薄膜の凹凸形状を制御した透明導電性フィルムでは、耐久性を満足することができなかったが、本発明では、上記のように、第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜の物性を制御し、かつ組み合わせることにより、耐久性を向上させているため、前記樹脂層を設けた場合にも、耐久性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。図1は、タッチパネルの一例を示したものであり、第1のパネルAと第2のパネルBとは、第1の導電性薄膜2と第2の導電性薄膜102とが対向するようにスペーサsを介して対向配置してなる。第1のパネルAは、透明な第1のフィルム基材1と、当該第1のフィルム基材1の片面に設けられた透明な第1の導電性薄膜2を有する。第2のパネルBは、透明な第2のフィルム基材101と、当該第2のフィルム基材101の片面に設けられた透明な第2の導電性薄膜102を有する。
【0024】
図1のタッチパネルにおいては、第1のパネルAが上板であり、第2のパネルBが下板である。図1のタッチパネルでは、第1のパネルAより、入力ペンにて押圧打点され、第1の導電性薄膜2と第2の導電性薄膜102とが接触して、電気回路のON状態となり、上記押圧を解除すると、元のOFF状態に戻る、透明スイッチ横体として機能する。
【0025】
図1のタッチパネルでは、第1のパネルAとして、第1のフィルム基材1と第1の導電性薄膜2を有するものを例示したが、第1のパネルAとしては、例えば、図2、図3(A)乃至(C)に記載ものを用いることができる。また図1のタッチパネルでは、第2のパネルBとして、第2のフィルム基材101と第2の導電性薄膜102を有するものを例示したが、第2のパネルBとしては、例えば、図4、図5(A)乃至(C)に記載ものを用いることができる。
【0026】
図2、図3(A)乃至(C)は、第1のパネルAの一例を示したものであり、第1のフィルム基材1の一方の面に第1の導電性薄膜2を有し、その反対側にはハードコート層4を有する。図3(A)乃至(C)では、第1の導電性薄膜2は、透明な誘電体薄膜3を介して設けられている。誘電体薄膜3は2層以上設けることができる。図3(C)では、第1のフィルム基材1の側から、誘電体薄膜31、誘電体薄膜32の2層の誘電体薄膜が設けられ、次いで、第1の導電性薄膜2の順で各薄膜が設けられている。
【0027】
図2、図3(A)では、第1のフィルム基材1として、フィルム基材1が1枚用いられている。図3(B)、(C)では、フィルム基材1の代わりに、透明なフィルム基材11aと透明なフィルム基材12aとを粘着剤層11bを介して貼り合わされている積層体1を用いた場合の一例を示したものである。図3(B)、(C)ではフィルム基材が2枚積層されているが、フィルム基材の積層は3枚以上であってもよい。
【0028】
なお、本願の第1のパネルAは、第1のフィルム基材1と第1の導電性薄膜2を有するものであり、図2、図3(A)乃至(C)に記載のハードコート層4、誘電体薄膜3、さらには、フィルム基材1の積層数等は任意に設計することができる。
【0029】
図4、図5(A)乃至(C)は、第2のパネルBの一例を示したものであり、第2のフィルム基材101の一方の面に第1の導電性薄膜102を有し、その反対側にはハードコート層104を有する。図5(A)乃至(C)では、第2の導電性薄膜102は、透明な誘電体薄膜103を介して設けられている。誘電体薄膜103は2層以上設けることができる。図5(C)では、第2のフィルム基材101の側から、誘電体薄膜131、誘電体薄膜132の2層の誘電体薄膜が設けられ、次いで、第1の導電性薄膜102の順で各薄膜が設けられている。
【0030】
また、図5(B)、(C)に示すように、第2の導電性薄膜102は、微細凹凸形状を有する樹脂層105を介して設けることができる。図5(C)に示すように、誘電体薄膜103と、樹脂層105を設ける場合には、第2のフィルム基材101の側から、樹脂層105、次いで、誘電体薄膜103の順に設けるのが好ましい。
【0031】
なお、本願の第2のパネルBは、第2のフィルム基材101と第2の導電性薄膜102を有するものであり、図4、図5(A)乃至(C)に記載の、ハードコート層104、誘電体薄膜103、樹脂層105は任意に設計することができる。さらには、フィルム基材101についても、2枚以上の積層体とすることができる。
【0032】
本発明における第1のフィルム基材、第2のフィルム基材は、その材質に特に限定はなく、適宜なものを使用することができる。具体的には、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、特に好ましいものは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などである。
【0033】
第1のフィルム基材の厚みは、75〜400μm程度であることが好ましい。より好ましくは100〜200μmである。第1のフィルム基材の厚みが75μmより小さい場合は、耐久性の問題や加工性にも問題がある。第1のフィルム基材の厚みが400μmより大きい場合はタッチパネル部位が大きくなるのに加えてタッチパネル入力特性として、重加重が必要となり好ましくない。
【0034】
また、第1のフィルム基材が、2枚以上の透明なフィルム基材の積層体である場合には、各フィルム基材の厚さ、材料を適宜に選択することができるが、少なくとも一方は、20〜125μmであるのが好ましい。
【0035】
第1のフィルム基材が、透明なフィルム基材の積層体とする場合に、それも用いる粘着剤層としては、透明性を有するものを特に制限なく使用できる。たとえば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが用いられる。粘着剤層は、フィルム基材を積層後そのクッション効果により、フィルム基材の一方の面に設けられた、第1の導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性を向上させる機能を有する。この機能をより良く発揮させる観点から、粘着剤層の弾性係数を1〜100N/cm2の範囲、厚さを1μm以上、通常5〜100μmの範囲に設定するのが好ましい。
【0036】
前記弾性係数が1N/cm2未満では、粘着剤層は非弾性となるため、加圧により容易に変形して第1のフィルム基材、さらには第1の導電性薄膜に凹凸を生じさせ、また加工切断面からの粘着剤のはみ出しなどが生じやすくなる、さらに第1の導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性の向上効果が低減する。一方、弾性係数が100N/cm2を超えると、粘着剤層が硬くなり、そのクッション効果を期待できなくなるため、第1の導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性を向上できない。また、粘着剤層の厚さが1μm未満となると、そのクッション効果をやはり期待できないため、蓮電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上を望めない。逆に、厚くなると、透明性を損なったり、粘着剤層の形成やフィルム基材の貼り合わせ作業性さらにコストの面で好結果を得にくい場合がある。
【0037】
第2のフィルム基材の厚さは、特に制限されないが、2〜300μmの範囲にあることが好ましい、特に好ましくは10〜130μmの範囲にあるのがよい。厚さが2μm未満では、フィルム基材としての機械的強度が不足するおそれがあり、この基材をロール状にして第2の導電性薄膜などの薄膜を連続的に形成する操作が難しくなる。また、厚さが300μmを超えると、巻き取り性に問題が生じやすく、透明導電性薄膜のロール加工が難しくなるおそれがある。
【0038】
前記第1のフィルム基材、第2のフィルム基材は、その表面にあらかじめスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や、下塗り処理を施して、この上に設けられる、導電性薄膜、ハードコート層、誘電体薄膜または、微細凹凸形状を有する樹脂層との密着性を向上させるようにしてもよい。また、必要に応じて、溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化を行うようにしてもよい。
【0039】
第1の導電性薄膜、第2の導電性薄膜の形成に用いる薄膜材料は特に制限されず、透明な導電性の膜を形成しうるものを適宜に選択して用いる。例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、錫およびこれらの合金等からなる金属、また酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化カドミウムおよびこれらの混合物等からなる金属酸化物、ヨウ化銅等からなる他の金属化合物などが用いられる。前記導電性薄膜は、結晶層、非結晶層のいずれであってもよい。前記材料としては、酸化スズを含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化スズなどが好ましく用いられる。
【0040】
前記導電性薄膜の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法またはこれらの組み合わせ法などの各種薄膜形成法を適宜に選択できる。導電性薄膜の形成速度や大面積膜の形成性、生産性などの点から、前記薄膜形成法としては真空蒸着法やスパッタリング法を採用するのが好ましい。
【0041】
前記導電性薄膜の厚さは、使用目的に応じて適宜に決定することができる。厚さは通常10〜300nm、好適には10〜200nmであるのがよい。厚さが10nmより薄いと、表面電気抵抗が1×103Ω/□以下となる良好な導電性を有する連続被膜となりにくく、厚すぎると、透明性の低下などをきたしやすい。
【0042】
第1の導電性薄膜、第2の導電性薄膜は、それらの表面の硬度、弾性率、中心線平均粗さ(Ra)の値が前記範囲に制御される。その制御方法は、特に制限されないが、例えば、前記フィルム基材に、透明な誘電体薄膜を介して、導電性薄膜を設けることにより制御することができる。誘電体薄膜は、1層または2層以上設けることができる。誘電体薄膜としては、無機物、有機物または無機物と有機物との混合物により形成することができる。
【0043】
誘電体薄膜を形成する無機材料としては、例えば、無機物として、NaF、Na3AlF6、LiF、MgF2、CaF2、BaF2、SiO2、LaF3、CeF3、Al2O3などがあげられる。
【0044】
また、誘電体薄膜としては、酸化インジウムに対して、特定量の酸化錫および酸化セリウムを含む、高屈折率の複合酸化物により形成することができる。前記複合酸化物において、酸化錫の割合は、光学特性の点から、酸化インジウム100重量部に対して、0〜20重量部である。さらには、3〜15重量部であるのが好ましい。また酸化セリウムの割合は、高抵抗値(絶縁性)および光学特性の点から、酸化インジウム100重量部に対して、10〜40重量部である。さらには、15〜30重量部であるのが好ましい。形成材料としては、各酸化物成分の混合物の焼結体を使用することが好ましい。
【0045】
誘電体薄膜を形成する有機物としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物が挙げられる。特に、有機物としては、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用するのが望ましい。
【0046】
前記誘電体薄膜は、上記の材料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテフィング法等のドライプロセスなどにより形成できる。また塗工液を、ファンテン、ダイコーター、キャスティング、スピンコート、ファンテンメタリング、グラビア等の適宜な方式で塗工するウエット塗工法により形成できる。
【0047】
前記誘電体薄膜の厚さは、用いる材料により適宜決定されるが、通常、10〜300nm、さらには10〜200nmの範囲であるのが好ましい。誘電体薄膜を2層以上設ける場合にも、その合計厚みが前記範囲になるように制御するのが好ましい。
【0048】
第1のパネルにおいて、第1の導電性薄膜の表面物性を前記範囲に制御するには、第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜としてSiO2膜をドライプロセスにより形成することにより制御するのが好適である。ドライプロセスとしては、真空蒸着法が、表面粗さと強度の制御が容易なことから好適である。
【0049】
前記ドライプロセスにより形成された、SiO2膜(第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜)の厚さは、特に制限されないが、連続被膜とし、透明性や耐殺傷性を向上させるためには10nm以上とするのが好ましく、より好ましくは10〜120nmである。さらには15〜60nmであることが好ましい。
【0050】
第1のパネルにおいて、誘電体薄膜を2層以上設ける場合には、当該誘電体薄膜の材料、形成法、厚さは、上記の範囲から適宜に選択することができる。
【0051】
第2のパネルにおいて、第2の導電性薄膜の表面物性を前記範囲に制御するには、第2の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜としてSiO2膜をウエット塗工法により形成することにより制御するのが好適である。ウエット塗工法には、シリカゾル等が好適に用いられ、グラビアコートが生産性の点から好適である。
【0052】
前記ウエット塗工法により形成された、SiO2膜(第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜)の厚さは、特に制限されないが、連続被膜とし、透明性や耐殺傷性を向上させるためには10nm以上とするのが好ましく、より好ましくは10〜120nmである。さらには15〜60nmであることが好ましい。
【0053】
第2のパネルにおいて、誘電体薄膜を2層以上設ける場合には、当該誘電体薄膜の材料、形成法、厚さは、上記の範囲から適宜に選択することができる。これらのなかでも、酸化インジウムに対して、特定量の酸化錫および酸化セリウムを含む、高屈折率の複合酸化物により形成するのが、透明性等の光学特性に優れた誘電体薄膜を高い生産性で作成できる点から好ましい。複合酸化物により形成された、誘電体薄膜の厚さは、特に制限されないが、10〜200nmであるのが好ましい。さらには15〜60nmであることが好ましい。
【0054】
また、第2のパネルにおいて、第2の導電性薄膜は、第2のフィルム基材に微細凹凸形状を有する樹脂層を介して、設けることができる。
【0055】
微細凹凸形状を有する樹脂層の形成方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。たとえば、前記樹脂層の形成に用いたフィルムの表面を、予め、サンドブラストやエンボスロール、化学エッチング等の適宜な方式で粗面化処理してフィルム表面に微細凹凸形状を付与する方法等により、樹脂層を形成する材料そのものの表面を微細凹凸系形状に形成する方法があげられる。また、樹脂層上に別途樹脂層を塗工付加し、当該樹脂層表面に、金型による転写方式等により微細凹凸形状を付与する方法があげられる。また、樹脂層に微粒子を分散含有させて微細凹凸形状を付与する方法などがあげられる。これら微細凹凸形状の形成方法は、二種以上の方法を組み合わせ、異なる状態の微細凹凸形状表面を複合させた層として形成してもよい。前記樹脂層の形成方法のなかでも、微細凹凸形状表面の形成性等の観点より、微粒子を分散含有する樹脂層を設ける方法が好ましい。
【0056】
以下、微粒子を分散含有させて樹脂層を設ける方法について説明する。当該樹脂層を形成する樹脂としては微粒子の分散が可能で、樹脂層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、透明性のあるものを特に制限なく使用できる。前記樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく光拡散層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。
【0057】
紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマー成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
【0058】
樹脂層の形成材料には、前記材料に加えて、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を用いることができる。チクソトロピー剤を用いると、微細凹凸形状表面における突出粒子の形成に有利である。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ等があげられる。これら添加剤の含有量は、通常、紫外線硬化型樹脂100重量部に対して、15重量部以下程度、好ましくは0.1〜15重量部、とするのが好適である。
【0059】
微粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系微粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子やシリコーン系微粒子などがあげられる。前記微粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができるが、有機系微粒子が好ましい。有機系微粒子としては、屈折率の観点から、アクリル系樹脂が好ましい。
【0060】
微粒子の平均粒子径は、通常、1〜10μm程度、好ましくは1〜4μm程度の範囲を有するものを用いることができる。また、微粒子は、異なる粒子径のものを組み合わせて用いることができる。
【0061】
微粒子を含有する樹脂層の形成方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。たとえば、前記透明なフィルム基材上に、微粒子を含有する樹脂(たとえば、紫外線硬化型樹脂:塗工液)を塗工し、乾燥後、硬化処理して表面に凹凸形状を呈するような樹脂層により形成することにより行う。なお、塗工液は、ファンテン、ダイコーター、キャスティング、スピンコート、ファンテンメタリング、グラビア等の適宜な方式で塗工される。
【0062】
前記塗工液に含まれる微粒子の割合は特に制限されないが、樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、さらには0.1〜10重量部とするのが微細凹凸形状の表面を形成するうえで好ましい。
【0063】
樹脂層の厚さは特に制限されないが、0.5〜7μm程度、特に0.5〜2μmとするのが、クラック、カール特性の点から好ましい。樹脂層の厚さは、樹脂層の形成に用いた材料と塗工面積から算出した値である。なお、樹脂層の形成に塗工液を用いる場合には、塗工液を塗工する前後の重量差から樹脂層の膜厚が求められる。
【0064】
第1のフィルム基材において第1の導電性薄膜を設けない側の面、第2のフィルム基材において第2の導電性薄膜を設けない側の面には、ハードコート層を設けることができる。ハードコート層は、フィルム機材の前記面をハードコート処理して形成することができる。ハードコート処理は、例えばアクリルウレタン系樹脂やシロキサン系樹脂などの硬質樹脂を塗布して硬化処理する方法などにより行うことができる。
【0065】
ハードコート層を形成する際、厚さが薄いと硬度不足となり、一方厚すぎるとクラックが発生する場合がある。また、カールの防止特性等も考慮に入れると、好ましいハードコート層の厚さは0.1〜30μm程度であるのが好ましい。
【0066】
また第1のフィルム基材においては、ハードコート処理に際しては、前記アクリルウレタン系樹脂やシロキサン系樹脂などの硬質樹脂にシリコーン樹脂等を配合して表面を粗面化して、タッチパネル等として実用した際に鏡作用による写り込みを防止しうるノングレア面を同時に形成することもできる。さらには、ハードコート層とともに、またはハードコート層とは別に、反射防止層や、防汚層を形成することもできる。
【実施例】
【0067】
以下に、本発明の実施例を、比較例と対比して記載し、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0068】
製造例1
(第1のパネルA1の作製)
厚さが23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)からなる透明な第1のフィルム基材の一方の面に、メラミン樹脂:アルキド樹脂:有機シラン縮合物=2:2:1(重量比)の熱硬化型樹脂からなる厚さ150nmの硬化被膜をグラビアコートにより形成した(表1中では、Siコートと示す)。これを、透明な第1の誘電体薄膜とした。
【0069】
次いで、前記第1の誘電体薄膜上に、真空蒸着法を用いて、厚さ30nmのSiO2膜を形成した。これを、透明な第2の誘電体薄膜とした。
【0070】
上記第2の誘電体薄膜上に、さらにアルゴンガス80%と酸素ガス20%とからなる4×10-3Paの雰囲気中で、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム97重量%,酸化スズ3重量%)を用いたスパッタリング法により、厚さが23nmの酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物からなる透明な導電性薄膜(ITO薄膜)を形成した。
【0071】
次いで、上記PETフィルムの他方の面に、弾性係数が10N/cm2に調整された透明なアクリル系粘着剤層(アクリル酸ブチル:アクリル酸:酢酸ビニルの重量比100:2:5の単量体混合物の共重合体100部に、イソシアネート系架橋剤を1部配合してなるアクリル系粘着剤)を、約20μmの厚さに形成し、さらにこの上に、厚さが125μmのPETフィルムからなる透明基体を貼り合わせた。
【0072】
次いで、上記の透明基体上に、アクリル・ウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業社製の商品名「ユニディック17−806」)100部に、光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名「イルガキュア184」)5部を加えて、50重量%の濃度に希釈したトルエン溶液を塗布し、100℃で3分乾燥後、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(80W/cm,15cm集光型)2灯で紫外線照射を行い、厚さが5μmのハードコート層を形成することにより、図3(C)に示す構造の第1のパネルA1を作製した。
【0073】
製造例2
(第1のパネルA2の作製)
製造例1において、第2の誘電体薄膜であるSiO2膜の厚さを、70nmに変えたこと以外は、製造例1と同様にして第1のパネルA2を作製した。
【0074】
製造例3
(第1のパネルA3の作製)
製造例1において、第1の誘電体薄膜として、熱硬化型樹脂からなる厚さ150nmの硬化被膜を形成する代わりに、真空蒸着法を用いて、厚さ15nmのSiOx膜(x:1.8)を形成したこと以外は、製造例1と同様にして第1のパネルA3を作製した。
【0075】
製造例4
(第1のパネルA4の作製)
製造例1において、第2の誘電体薄膜として、真空蒸着法を用いて、厚さ30nmのSiO2膜を形成する代わりに、シリカコート法により、厚さ30nmのSiO2薄膜からなる第2の誘電体薄膜を形成したこと、また、導電性薄膜(ITO薄膜)の厚さを、21nmに変えたこと以外は、製造例1と同様にして第1のパネルA4を作製した。なお、シリカコート法は、上記第1の誘電体薄膜上に、シリカゾル(コルコート社製の「コルコートP」)を固形分濃度が2%となるようにエタノールで希釈したものを、グラビアコートにより塗布し、150℃で2分乾燥後、硬化させて、薄膜を形成した。
【0076】
製造例5
(塗工液の調製)
微粒子として、平均粒子径2.2μmの単分散のフィラー(材料:架橋アクリル系樹脂,標準偏差0.22μm,綜研化学(株)製の商品グレード:MX‐タイプ)0.5部および平均粒子径3μmの単分散のフィラー(材料:架橋アクリル系樹脂,標準偏差0.3μm,綜研化学(株)製の商品グレード:MX‐タイプ)0.1部の混合物を用いた。当該微粒子の混合物、紫外線硬化型樹脂(アクリル・ウレタン系樹脂,大日本インキ化学工業(株)製の商品名ユニディック17‐806)100重量部、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名イルガキュア184)5重量部及びその固形分が50重量%となるように計量された溶剤(トルエン)とを混合した溶液を調製した。
【0077】
(第2のパネルB1の作製)
厚さが100μmのPETフィルムからなる透明なフィルム基材の一方の面に、上記塗工液を、ワイヤーバーにより、乾燥後の塗工厚さが1.1μmになるように塗布した後、100℃で3分間乾燥した後、紫外線照射により硬化処理して、微細凹凸形状の表面の樹脂層を形成した。
【0078】
次いで、上記樹脂層上に、アルゴンガス95%と酸素ガス5%の混合ガスの雰囲気下、酸化インジウム100部、酸化錫10部および酸化セリウム25部の混合物の焼結体から、下記条件の反応スパッタリング法により、酸化インジウム100部に対して、酸化錫10部および酸化セリウム25部を有する複合酸化物により、厚さ23nmの透明な第1の誘電体薄膜を形成した。
【0079】
<スパッタリング条件>
ターゲットサイズ:200mm×500mm
出力:3.0kw
電圧値450V
放電時間:1min
真空度:0.5Pa。
【0080】
次いで、上記第1の誘電体薄膜上に、シリカコート法により、SiO2薄膜からなる第2の誘電体薄膜を形成した。なお、シリカコート法は、上記第1の誘電体薄膜上に、シリカゾル(コルコート社製の「コルコートP」)を固形分濃度が2%となるようにエタノールで希釈したものを、グラビアコートにより塗布し、150℃で2分乾燥後、硬化させて、厚さが55nmのSiO2薄膜を形成した。これを、透明な第2の誘電体薄膜とした。
【0081】
上記第2の誘電体薄膜上に、さらにアルゴンガス80%と酸素ガス20%とからなる4×10-3Paの雰囲気中で、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム97重量%,酸化スズ3重量%)を用いたスパッタリング法により、厚さが23nmの酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物からなる透明な導電性薄膜(ITO薄膜)を形成した。
【0082】
次いで、上記PETフィルムの反対側(導電性薄膜を設けていない側)に、アクリル・ウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業社製の商品名「ユニディック17−806」)100部に、光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名「イルガキュア184」)5部を加えて、50重量%の濃度に希釈したトルエン溶液を塗布し、100℃で3分乾燥後、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(80W/cm,15cm集光型)2灯で紫外線照射を行い、厚さが5μmのハードコート層を形成することにより、図5(C)に示す構造の第2のパネルB1を作製した。
【0083】
製造例6
(第2のパネルB2の作製)
製造例5において、第2の誘電体薄膜の厚さを15nmに変えたこと以外は、製造例5と同様にして第2のパネルB2を作製した。
【0084】
製造例7
(第2のパネルB3の作製)
製造例5において、第2の誘電体薄膜の厚さを50nmに変えたこと以外は、製造例5と同様にして第2のパネルB3を作製した。
【0085】
製造例8
(第1のパネルB4の作製)
製造例1において、第2の誘電体薄膜として、シリカコート法により、厚さ55nmのSiO2膜を形成する代わりに、真空蒸着法を用いて、厚さ55nmのSiO2薄膜からなる第2の誘電体薄膜を形成したこと以外は、製造例1と同様にして第2のパネルB4を作製した。
【0086】
製造例1〜4で得られた第1のパネルA1乃至A4、製造例5〜8で得られた第2のパネルB1乃至B4について、導電性薄膜側の物性(硬度、弾性率および中心線平均粗さ(Ra))を、下記の方法により、測定した。これらの結果は、表1に示す。
【0087】
なお、上記の硬度および弾性率の測定に際し、フィルム基材(PETフィルム)の裏面に粘着剤層および透明基体を設けていない積層体、つまり、図6に示すようなフィルム基材1(101)の一方の面に誘電体薄膜3(103)を介して導電性薄膜(ITO薄膜)2(102)を形成した積層体を、被試験体として使用した。
【0088】
<導電性薄膜側の硬度および弾性率>
インデンテーション試験により、本文詳記の方法で、導電性薄膜側の硬度および弾性率を測定した。すなわち、図6に示したように、被試験体をその導電性薄膜(ITO薄膜)2(102)を上にして試料台20に固定した。このように固定した状態で、導電性薄膜2(102)側に圧子21を垂直方向に荷重をかけて押し込み、インデンテーション曲線(荷重−押し込み深さ曲線)を得た。これより、前記式(1)、(2)に基づいて、導電性薄膜側の硬度および弾性率を算出した。
【0089】
測定は、走査型プローブ顕微鏡(JEOL.LTD/日本電子:JSPM−4200)を用いた。また、圧子21には、ダイヤモンド圧子(三角錐)(TI−037 90°)を用いた。この圧子を用い、垂直方向に荷重20μNで、一回のインデント(圧子押し込み)を3秒間で行い、1サンプルにつき、5回測定し、平均値を求めた。各回の測定は、圧痕の影響が生じないように、測定箇所の距離を十分にとった。
【0090】
<中心線平均粗さ(Ra)>
AFM観察により、中心線平均粗さ(Ra)を求めた。測定は、セイコーインスツルメンツ(株)製のSPI3800により、コンタクトモードにて深針(Si3N4製)で1μm□のスキャンを行った。
【0091】
実施例1
上記製造例1で得られた第1のパネルA1を上板として用い、一方、製造例5で得られた第2のパネルB1を下板として用い、この両パネル板を、ITO薄膜同士が対向するように、厚さが20μmのスペーサを介して両パネル板のギャップが150μmとなるように対向配置させ、スイッチ構体としてのタッチパネルを作製した。なお、両パネル板の各ITO薄膜は、上記の対向配置に先立って、あらかじめ互いに直交するように形成した。
【0092】
実施例2〜5および比較例1〜5
実施例1において、タッチパネルに用いる、上板および下板を、表1に示すように、変えたこと以外は、実施例1と同様にして、タッチパネルを作製した。
【0093】
上記の実施例および比較例で得られた各タッチパネルについて、下記の方法により、ペン入力耐久性を測定した。これらの結果は、表1に示す。
【0094】
<高荷重ペン入力耐久性>
透明導電性積層体で構成したパネル板側から、ポリアセタールからなるペン(ペン先R0.8mm)を用いて、荷重1.5kgで10万回の摺動を行った。摺動後、以下のようにリニアリティーを測定し、高荷重ペン入力耐久性を評価した。
【0095】
[リニアリティーの測定方法]
透明導電積層体に5Vの電圧を印加し、透明導電積層体における、電圧を印加する端子A(測定開始位置)および端子B(測定終了位置)の間の出力電圧を測定した。
リニアリティーは、測定開始位置Aでの出力電圧をEA、測定終了位置Bでの出力電圧をEB、各測定点Xでの出力電圧をEX、理論値をEXXとすると、以下の計算から、求めることができる。
EXX(理論値)={X・(EB−EA)/(B−A)}+EA
リニアリティー(%)=〔(EXX−EX)/(EB−EA)〕×100
【0096】
なお、リニアリティー測定の概略は、図7に示すとおりである。タッチパネルを用いる画像表示装置では、ペンで押さえられることにより上部パネルと下部パネルの接触部分の抵抗値から画面上に表示されるペンの位置が決定されている。上部および下部パネル表面の出力電圧分布が理論線(理想線)のようになっているものとして抵抗値は決められる。すると、電圧値が、図7の実測値のように理論線からずれると、実際のペン位置と抵抗値によって決まる画面上のペン位置がうまく同調しなくなる。理論線からのずれがリニアリティーであり、その値が大きいほど、実際のペン位置と画面上のペンの位置のずれが大きくなる。
【0097】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明のタッチパネルの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の第1のパネルの一例を示す断面図である。
【図3(A)】本発明の第1のパネルの一例を示す断面図である。
【図3(B)】本発明の第1のパネルの一例を示す断面図である。
【図3(C)】本発明の第1のパネルの一例を示す断面図である。
【図4】本発明の第2のパネルの一例を示す断面図である。
【図5(A)】本発明の第2のパネルの一例を示す断面図である。
【図5(B)】本発明の第2のパネルの一例を示す断面図である。
【図5(C)】本発明の第2のパネルの一例を示す断面図である。
【図6】第1の導電性薄膜、第2の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の測定の概略を示す説明図である。
【図7】リニアリティー測定の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
A 第1のパネル
B 第2のパネル
s スペーサ
1 第1のフィルム基材
2 第1の導電性薄膜
3 誘電体薄膜
4 ハードコート層
101 第2のフィルム基材
102 第2の導電性薄膜
103 誘電体薄膜
104 ハードコート層
20 試料台
21 圧子
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基材に導電性薄膜を設けたパネル、上下基板として用いたタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルとしては、透明な導電性薄膜を設けた基材を、スペーサを介して対向配置し、前記導電性薄膜を透明電極として用いものが使用されている。従来、このような導電性薄膜としては、ガラス上に酸化インジウム薄膜を形成したいわゆる導電性ガラスがよく知られているが、基材がガラスであるために可撓性、加工性に劣り、用途によっては使用できない場合がある。
【0003】
このため、近年では、可撓性、加工性に加えて、耐衝撃性に優れ、軽量であるなどの利点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムをはじめとする各種のプラスチックフィルムを基材として用いた導電性薄膜が使用されている。
【0004】
このようなフィルム基材を用いた導電性薄膜は、タッチパネルにおいて、ペンで繰り返し入力したり、ペン先で過剰な荷重を押圧したりしたときに、導電性薄膜からなる透明電極が劣化したり、破損したりする。また劣化または破損箇所で抵抗値が大きくなり、タッチパネルの寿命が短くなるといった問題がある。すなわち、タッチパネルでは、導電性薄膜同士が、一方のパネル側からの押圧打点で強く接触するものであるため、これに抗しうる良好な耐久性、つまり打点特性、特にペン入力耐久性を有していることが望まれる。
【0005】
そこで、タッチパネルにおいて、パネルとして用いる、導電性薄膜を設けたフィルム基材に関して、上記問題を改良する試みがなされている。本件出願人も、透明なフィルム基材の一方の面に、透明な第1の誘電体薄膜、透明な第2の誘電体薄膜、および透明な導電性薄膜をこの順に積層し、上記フィルム基材の他方の面に、透明な粘着剤層を介して透明基体を貼り合わせてなる透明導電性積層体を、タッチパネルに用いることを提案している(特許文献1,2参照)。上記透明導電性積層体を用いたタッチパネルは、耐久性を向上できるものの、タッチパネル市場の拡大により、タッチパネルには、より高度な耐久性が要求されるようになっている。
【特許文献1】特開2002−316378号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】特開2002−326301号公報(第2〜5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に照らし、フィルム基材に導電性薄膜を設けたパネルを用いたタッチパネルであって、導電性薄膜の耐久性に優れるタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記タッチパネルにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、透明な第1のフィルム基材と、当該第1のフィルム基材の片面に設けられた透明な第1の導電性薄膜を有する第1のパネルと、
透明な第2のフィルム基材と、当該第2のフィルム基材の片面に設けられた透明な第2の導電性薄膜を有する第2のパネルとを有し、
第1のパネルと第2のパネルとは、第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜とが対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、
第1の導電性薄膜の表面は、硬度が1GPa以上、弾性率が5GPa以上であり、
第2の導電性薄膜の表面は、中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0nmであり、
かつ、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値よりも大きい、ことを特徴とするタッチパネル、に関する。
【0009】
上記本発明では、タッチパネルにおいて、上板(押圧側)に用いられる第1のパネルの第1の導電性薄膜と、下板に用いられる第2のパネルの第2の導電性薄膜について、これらの硬度、弾性率および中心線平均粗さ(Ra)を、所定の関係になるように制御して組み合わせることで、耐久性を向上できることを見出した。すなわち、上板については、硬度、弾性率を高くし、一方、下板については、中心線平均粗さ(Ra)を小さく制御することで、対向した配置される第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜の、劣化、損傷を抑えることができ、タッチパネルの寿命を長くすることができることを見出した。
【0010】
第1の導電性薄膜の表面は、硬度が1GPa以上、さらには1.5GPa以上、さらには2GPa以上であるのが好ましく、また弾性率が5GPa以上、さらには8GPa以上、さらには10GPa以上であるのが好ましい。このような物性を有していることにより、第1のパネルを撓ませても、第1の導電性薄膜にクラックが入ったり、電気抵抗値が劣化したりするなどの支障をきたさず、耐久性が良好であり、タッチパネルの上板として好適に適用きる。第1の導電性薄膜の表面の硬度が1GPa未満、または弾性率が5GPa未満では、タッチパネルの耐久性が不十分である。なお、前記導電性薄膜の表面の硬度の上限は、耐クラック性の点から、5GPa以下、さらには4GPa以下とするのが好ましく、前記弾性率も同様に耐クラック性の点から、20GPa以下、さらには16GPa以下とするのが好ましい。
【0011】
なお、上記第1の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率は、インデンテーション試験(圧子押し込み試験)により、例えば、走査型プローブ顕微鏡(JEOL.LTD/日本電子:JSPM−4200)などを用いて、測定できる。薄膜硬度測定では、一般に圧子の押し込み深さは膜厚深さの10分の1程度に収まるようにする必要がある。第2の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率についても同様の測定条件である。
【0012】
インデンテーション試験では、被試験体(つまり、透明導電性積層体の導電性薄膜側)に、荷重をかけて圧子を押し込み、インデンテーション曲線(荷重−押し込み深さ曲線)を得る。その際の最大荷重Pmaxと、圧子と被試験体間の接触投影面積Aの比により、被試験体の硬度Hが、下記の式(1)より、求められる。また、インデンテーション曲線の除荷曲線の初期勾配Sから、被試験体の複合弾性率Erが、下記の式(2)より、求められる。さらに、圧子のヤング率Ei、圧子のポアッソン比vi、被試験体のポアッソン比vsから、被試験体のヤング率Esが、下記の式(3)により、求められる。
【0013】
ここで、下記の式(2)中、βは定数である。また、圧子はダイヤモンドであり、そのヤング率Eiは1,140GPa、ポアッソン比は0.07である。
H=Pmax/A ・・・(1)
S=(2/√π)・Er・β・√A ・・・(2)
Er=1/{(1−vs2)/Es+(1−vi2)/Ei} ・・・(3)
ここでは、被試験体である導電性薄膜のポアッソン比vsは不明であるため、上記の複合弾性率Erを、本発明にいう弾性率とする。測定の詳細については、例えば、W.C.Oliver and G.M.Phar,J.Meter.Res.,Vol.7,No.6,June 1992や、Handbook of Micro/Nanotribologyなどに記載されているとおりであり、公知の方法により測定することができる。
【0014】
一方、第2の導電性薄膜の表面は、中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0nmであり、かつ、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値よりも小さい。このように、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)を制御した第2のパネル(下板)と、第1の導電性薄膜の表面の硬度、弾性率を制御した第1のパネル(上板)を組み合わせることで、耐久性を向上させることができる。前記中心線平均粗さ(Ra)が0.3nm未満では、第1のパネルと第2のパネルがブロッキングを起こしてします場合があり、一方、1.0nmを超えると、第1の導電性薄膜を傷つけてしまうおそれがあり、いずれも耐久性で好ましくない。第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.4〜0.9nmであるのが好まし。中心線平均粗さ(Ra)は、実施例に記載の方法により測定される。第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)についても同様の測定条件である。
【0015】
上記タッチパネルにおいて、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値より大きいものであるが、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.7〜2.0nmであることが耐久性の点から好ましい。第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)は、0.8〜1.8nmであることが好ましい。
【0016】
上記タッチパネルにおいて、第2の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の値は、いずれも、第1の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の値よりも小さいことが耐久性の点から、好ましい。第2の導電性薄膜の表面の硬度は、0.4〜2.0GPaであることが好ましく、さらには0.5〜1.8GPaであることが好ましい。弾性率は2.0〜8.0GPaであることが好ましく、さらには2.0〜6.0GPaであることが好ましい。
【0017】
上記タッチパネルにおいて、第1のフィルム基材が、2枚以上の透明なフィルム基材を透明な接着剤層を介して貼り合わせた積層体を用いることができる。
【0018】
上記タッチパネルにおいて、第1の導電性薄膜は、少なくとも1層の透明な誘電体薄膜を介して、第1のフィルム基材に設けられていることが好ましい。誘電体薄膜を設けることにより、第1の導電性薄膜の耐擦傷性や耐屈曲性が向上するとともに、タッチパネルの耐久性(打点特性)が向上する点で好ましい。
【0019】
上記タッチパネルにおいて、第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜は、ドライプロセスにより形成されたSiO2膜であることが好ましい。第1の導電性薄膜に接する誘電体薄膜として、SiO2膜をドライプロセスによって形成することは、第1の導電性薄膜の表面の硬度、弾性率、さらには、中心線平均粗さ(Ra)を、前記範囲に制御するうえで好適である。
【0020】
上記タッチパネルにおいて、第2の導電性薄膜は、少なくとも1層の透明な誘電体薄膜を介して、第2のフィルム基材に設けられていることが好ましい。誘電体薄膜を設けることにより、第2の導電性薄膜の耐擦傷性や耐屈曲性が向上するとともに、タッチパネルの耐久性(打点特性)が向上する点で好ましい。
【0021】
上記タッチパネルにおいて、第2の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜は、ウエット塗工法により形成されたSiO2膜であることが好ましい。第2の導電性薄膜に接する誘電体薄膜として、SiO2膜をウエット塗工法によって形成することは、第2の導電性薄膜の表面の硬度、弾性率、さらには、中心線平均粗さ(Ra)を、前記範囲に制御するうえで好適である。
【0022】
上記タッチパネルにおいて、第2の導電性薄膜は、微細凹凸形状を有する樹脂層を介して、第2のフィルム基材に設けられていることが好ましい。微細凹凸形状を有する樹脂層により、タッチパネルを指押等した場合に生じる、縞状のニュートリングの発生を防止することができる。一方、前記樹脂層を設けた場合には、従来は、透明導電層薄膜の凹凸形状を制御した透明導電性フィルムでは、耐久性を満足することができなかったが、本発明では、上記のように、第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜の物性を制御し、かつ組み合わせることにより、耐久性を向上させているため、前記樹脂層を設けた場合にも、耐久性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。図1は、タッチパネルの一例を示したものであり、第1のパネルAと第2のパネルBとは、第1の導電性薄膜2と第2の導電性薄膜102とが対向するようにスペーサsを介して対向配置してなる。第1のパネルAは、透明な第1のフィルム基材1と、当該第1のフィルム基材1の片面に設けられた透明な第1の導電性薄膜2を有する。第2のパネルBは、透明な第2のフィルム基材101と、当該第2のフィルム基材101の片面に設けられた透明な第2の導電性薄膜102を有する。
【0024】
図1のタッチパネルにおいては、第1のパネルAが上板であり、第2のパネルBが下板である。図1のタッチパネルでは、第1のパネルAより、入力ペンにて押圧打点され、第1の導電性薄膜2と第2の導電性薄膜102とが接触して、電気回路のON状態となり、上記押圧を解除すると、元のOFF状態に戻る、透明スイッチ横体として機能する。
【0025】
図1のタッチパネルでは、第1のパネルAとして、第1のフィルム基材1と第1の導電性薄膜2を有するものを例示したが、第1のパネルAとしては、例えば、図2、図3(A)乃至(C)に記載ものを用いることができる。また図1のタッチパネルでは、第2のパネルBとして、第2のフィルム基材101と第2の導電性薄膜102を有するものを例示したが、第2のパネルBとしては、例えば、図4、図5(A)乃至(C)に記載ものを用いることができる。
【0026】
図2、図3(A)乃至(C)は、第1のパネルAの一例を示したものであり、第1のフィルム基材1の一方の面に第1の導電性薄膜2を有し、その反対側にはハードコート層4を有する。図3(A)乃至(C)では、第1の導電性薄膜2は、透明な誘電体薄膜3を介して設けられている。誘電体薄膜3は2層以上設けることができる。図3(C)では、第1のフィルム基材1の側から、誘電体薄膜31、誘電体薄膜32の2層の誘電体薄膜が設けられ、次いで、第1の導電性薄膜2の順で各薄膜が設けられている。
【0027】
図2、図3(A)では、第1のフィルム基材1として、フィルム基材1が1枚用いられている。図3(B)、(C)では、フィルム基材1の代わりに、透明なフィルム基材11aと透明なフィルム基材12aとを粘着剤層11bを介して貼り合わされている積層体1を用いた場合の一例を示したものである。図3(B)、(C)ではフィルム基材が2枚積層されているが、フィルム基材の積層は3枚以上であってもよい。
【0028】
なお、本願の第1のパネルAは、第1のフィルム基材1と第1の導電性薄膜2を有するものであり、図2、図3(A)乃至(C)に記載のハードコート層4、誘電体薄膜3、さらには、フィルム基材1の積層数等は任意に設計することができる。
【0029】
図4、図5(A)乃至(C)は、第2のパネルBの一例を示したものであり、第2のフィルム基材101の一方の面に第1の導電性薄膜102を有し、その反対側にはハードコート層104を有する。図5(A)乃至(C)では、第2の導電性薄膜102は、透明な誘電体薄膜103を介して設けられている。誘電体薄膜103は2層以上設けることができる。図5(C)では、第2のフィルム基材101の側から、誘電体薄膜131、誘電体薄膜132の2層の誘電体薄膜が設けられ、次いで、第1の導電性薄膜102の順で各薄膜が設けられている。
【0030】
また、図5(B)、(C)に示すように、第2の導電性薄膜102は、微細凹凸形状を有する樹脂層105を介して設けることができる。図5(C)に示すように、誘電体薄膜103と、樹脂層105を設ける場合には、第2のフィルム基材101の側から、樹脂層105、次いで、誘電体薄膜103の順に設けるのが好ましい。
【0031】
なお、本願の第2のパネルBは、第2のフィルム基材101と第2の導電性薄膜102を有するものであり、図4、図5(A)乃至(C)に記載の、ハードコート層104、誘電体薄膜103、樹脂層105は任意に設計することができる。さらには、フィルム基材101についても、2枚以上の積層体とすることができる。
【0032】
本発明における第1のフィルム基材、第2のフィルム基材は、その材質に特に限定はなく、適宜なものを使用することができる。具体的には、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、特に好ましいものは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などである。
【0033】
第1のフィルム基材の厚みは、75〜400μm程度であることが好ましい。より好ましくは100〜200μmである。第1のフィルム基材の厚みが75μmより小さい場合は、耐久性の問題や加工性にも問題がある。第1のフィルム基材の厚みが400μmより大きい場合はタッチパネル部位が大きくなるのに加えてタッチパネル入力特性として、重加重が必要となり好ましくない。
【0034】
また、第1のフィルム基材が、2枚以上の透明なフィルム基材の積層体である場合には、各フィルム基材の厚さ、材料を適宜に選択することができるが、少なくとも一方は、20〜125μmであるのが好ましい。
【0035】
第1のフィルム基材が、透明なフィルム基材の積層体とする場合に、それも用いる粘着剤層としては、透明性を有するものを特に制限なく使用できる。たとえば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが用いられる。粘着剤層は、フィルム基材を積層後そのクッション効果により、フィルム基材の一方の面に設けられた、第1の導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性を向上させる機能を有する。この機能をより良く発揮させる観点から、粘着剤層の弾性係数を1〜100N/cm2の範囲、厚さを1μm以上、通常5〜100μmの範囲に設定するのが好ましい。
【0036】
前記弾性係数が1N/cm2未満では、粘着剤層は非弾性となるため、加圧により容易に変形して第1のフィルム基材、さらには第1の導電性薄膜に凹凸を生じさせ、また加工切断面からの粘着剤のはみ出しなどが生じやすくなる、さらに第1の導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性の向上効果が低減する。一方、弾性係数が100N/cm2を超えると、粘着剤層が硬くなり、そのクッション効果を期待できなくなるため、第1の導電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネルとしての打点特性を向上できない。また、粘着剤層の厚さが1μm未満となると、そのクッション効果をやはり期待できないため、蓮電性薄膜の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上を望めない。逆に、厚くなると、透明性を損なったり、粘着剤層の形成やフィルム基材の貼り合わせ作業性さらにコストの面で好結果を得にくい場合がある。
【0037】
第2のフィルム基材の厚さは、特に制限されないが、2〜300μmの範囲にあることが好ましい、特に好ましくは10〜130μmの範囲にあるのがよい。厚さが2μm未満では、フィルム基材としての機械的強度が不足するおそれがあり、この基材をロール状にして第2の導電性薄膜などの薄膜を連続的に形成する操作が難しくなる。また、厚さが300μmを超えると、巻き取り性に問題が生じやすく、透明導電性薄膜のロール加工が難しくなるおそれがある。
【0038】
前記第1のフィルム基材、第2のフィルム基材は、その表面にあらかじめスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や、下塗り処理を施して、この上に設けられる、導電性薄膜、ハードコート層、誘電体薄膜または、微細凹凸形状を有する樹脂層との密着性を向上させるようにしてもよい。また、必要に応じて、溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化を行うようにしてもよい。
【0039】
第1の導電性薄膜、第2の導電性薄膜の形成に用いる薄膜材料は特に制限されず、透明な導電性の膜を形成しうるものを適宜に選択して用いる。例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、錫およびこれらの合金等からなる金属、また酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化カドミウムおよびこれらの混合物等からなる金属酸化物、ヨウ化銅等からなる他の金属化合物などが用いられる。前記導電性薄膜は、結晶層、非結晶層のいずれであってもよい。前記材料としては、酸化スズを含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化スズなどが好ましく用いられる。
【0040】
前記導電性薄膜の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法またはこれらの組み合わせ法などの各種薄膜形成法を適宜に選択できる。導電性薄膜の形成速度や大面積膜の形成性、生産性などの点から、前記薄膜形成法としては真空蒸着法やスパッタリング法を採用するのが好ましい。
【0041】
前記導電性薄膜の厚さは、使用目的に応じて適宜に決定することができる。厚さは通常10〜300nm、好適には10〜200nmであるのがよい。厚さが10nmより薄いと、表面電気抵抗が1×103Ω/□以下となる良好な導電性を有する連続被膜となりにくく、厚すぎると、透明性の低下などをきたしやすい。
【0042】
第1の導電性薄膜、第2の導電性薄膜は、それらの表面の硬度、弾性率、中心線平均粗さ(Ra)の値が前記範囲に制御される。その制御方法は、特に制限されないが、例えば、前記フィルム基材に、透明な誘電体薄膜を介して、導電性薄膜を設けることにより制御することができる。誘電体薄膜は、1層または2層以上設けることができる。誘電体薄膜としては、無機物、有機物または無機物と有機物との混合物により形成することができる。
【0043】
誘電体薄膜を形成する無機材料としては、例えば、無機物として、NaF、Na3AlF6、LiF、MgF2、CaF2、BaF2、SiO2、LaF3、CeF3、Al2O3などがあげられる。
【0044】
また、誘電体薄膜としては、酸化インジウムに対して、特定量の酸化錫および酸化セリウムを含む、高屈折率の複合酸化物により形成することができる。前記複合酸化物において、酸化錫の割合は、光学特性の点から、酸化インジウム100重量部に対して、0〜20重量部である。さらには、3〜15重量部であるのが好ましい。また酸化セリウムの割合は、高抵抗値(絶縁性)および光学特性の点から、酸化インジウム100重量部に対して、10〜40重量部である。さらには、15〜30重量部であるのが好ましい。形成材料としては、各酸化物成分の混合物の焼結体を使用することが好ましい。
【0045】
誘電体薄膜を形成する有機物としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物が挙げられる。特に、有機物としては、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用するのが望ましい。
【0046】
前記誘電体薄膜は、上記の材料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテフィング法等のドライプロセスなどにより形成できる。また塗工液を、ファンテン、ダイコーター、キャスティング、スピンコート、ファンテンメタリング、グラビア等の適宜な方式で塗工するウエット塗工法により形成できる。
【0047】
前記誘電体薄膜の厚さは、用いる材料により適宜決定されるが、通常、10〜300nm、さらには10〜200nmの範囲であるのが好ましい。誘電体薄膜を2層以上設ける場合にも、その合計厚みが前記範囲になるように制御するのが好ましい。
【0048】
第1のパネルにおいて、第1の導電性薄膜の表面物性を前記範囲に制御するには、第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜としてSiO2膜をドライプロセスにより形成することにより制御するのが好適である。ドライプロセスとしては、真空蒸着法が、表面粗さと強度の制御が容易なことから好適である。
【0049】
前記ドライプロセスにより形成された、SiO2膜(第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜)の厚さは、特に制限されないが、連続被膜とし、透明性や耐殺傷性を向上させるためには10nm以上とするのが好ましく、より好ましくは10〜120nmである。さらには15〜60nmであることが好ましい。
【0050】
第1のパネルにおいて、誘電体薄膜を2層以上設ける場合には、当該誘電体薄膜の材料、形成法、厚さは、上記の範囲から適宜に選択することができる。
【0051】
第2のパネルにおいて、第2の導電性薄膜の表面物性を前記範囲に制御するには、第2の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜としてSiO2膜をウエット塗工法により形成することにより制御するのが好適である。ウエット塗工法には、シリカゾル等が好適に用いられ、グラビアコートが生産性の点から好適である。
【0052】
前記ウエット塗工法により形成された、SiO2膜(第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜)の厚さは、特に制限されないが、連続被膜とし、透明性や耐殺傷性を向上させるためには10nm以上とするのが好ましく、より好ましくは10〜120nmである。さらには15〜60nmであることが好ましい。
【0053】
第2のパネルにおいて、誘電体薄膜を2層以上設ける場合には、当該誘電体薄膜の材料、形成法、厚さは、上記の範囲から適宜に選択することができる。これらのなかでも、酸化インジウムに対して、特定量の酸化錫および酸化セリウムを含む、高屈折率の複合酸化物により形成するのが、透明性等の光学特性に優れた誘電体薄膜を高い生産性で作成できる点から好ましい。複合酸化物により形成された、誘電体薄膜の厚さは、特に制限されないが、10〜200nmであるのが好ましい。さらには15〜60nmであることが好ましい。
【0054】
また、第2のパネルにおいて、第2の導電性薄膜は、第2のフィルム基材に微細凹凸形状を有する樹脂層を介して、設けることができる。
【0055】
微細凹凸形状を有する樹脂層の形成方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。たとえば、前記樹脂層の形成に用いたフィルムの表面を、予め、サンドブラストやエンボスロール、化学エッチング等の適宜な方式で粗面化処理してフィルム表面に微細凹凸形状を付与する方法等により、樹脂層を形成する材料そのものの表面を微細凹凸系形状に形成する方法があげられる。また、樹脂層上に別途樹脂層を塗工付加し、当該樹脂層表面に、金型による転写方式等により微細凹凸形状を付与する方法があげられる。また、樹脂層に微粒子を分散含有させて微細凹凸形状を付与する方法などがあげられる。これら微細凹凸形状の形成方法は、二種以上の方法を組み合わせ、異なる状態の微細凹凸形状表面を複合させた層として形成してもよい。前記樹脂層の形成方法のなかでも、微細凹凸形状表面の形成性等の観点より、微粒子を分散含有する樹脂層を設ける方法が好ましい。
【0056】
以下、微粒子を分散含有させて樹脂層を設ける方法について説明する。当該樹脂層を形成する樹脂としては微粒子の分散が可能で、樹脂層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、透明性のあるものを特に制限なく使用できる。前記樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく光拡散層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。
【0057】
紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、なかでも当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマー成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
【0058】
樹脂層の形成材料には、前記材料に加えて、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を用いることができる。チクソトロピー剤を用いると、微細凹凸形状表面における突出粒子の形成に有利である。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ等があげられる。これら添加剤の含有量は、通常、紫外線硬化型樹脂100重量部に対して、15重量部以下程度、好ましくは0.1〜15重量部、とするのが好適である。
【0059】
微粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系微粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子やシリコーン系微粒子などがあげられる。前記微粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができるが、有機系微粒子が好ましい。有機系微粒子としては、屈折率の観点から、アクリル系樹脂が好ましい。
【0060】
微粒子の平均粒子径は、通常、1〜10μm程度、好ましくは1〜4μm程度の範囲を有するものを用いることができる。また、微粒子は、異なる粒子径のものを組み合わせて用いることができる。
【0061】
微粒子を含有する樹脂層の形成方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。たとえば、前記透明なフィルム基材上に、微粒子を含有する樹脂(たとえば、紫外線硬化型樹脂:塗工液)を塗工し、乾燥後、硬化処理して表面に凹凸形状を呈するような樹脂層により形成することにより行う。なお、塗工液は、ファンテン、ダイコーター、キャスティング、スピンコート、ファンテンメタリング、グラビア等の適宜な方式で塗工される。
【0062】
前記塗工液に含まれる微粒子の割合は特に制限されないが、樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、さらには0.1〜10重量部とするのが微細凹凸形状の表面を形成するうえで好ましい。
【0063】
樹脂層の厚さは特に制限されないが、0.5〜7μm程度、特に0.5〜2μmとするのが、クラック、カール特性の点から好ましい。樹脂層の厚さは、樹脂層の形成に用いた材料と塗工面積から算出した値である。なお、樹脂層の形成に塗工液を用いる場合には、塗工液を塗工する前後の重量差から樹脂層の膜厚が求められる。
【0064】
第1のフィルム基材において第1の導電性薄膜を設けない側の面、第2のフィルム基材において第2の導電性薄膜を設けない側の面には、ハードコート層を設けることができる。ハードコート層は、フィルム機材の前記面をハードコート処理して形成することができる。ハードコート処理は、例えばアクリルウレタン系樹脂やシロキサン系樹脂などの硬質樹脂を塗布して硬化処理する方法などにより行うことができる。
【0065】
ハードコート層を形成する際、厚さが薄いと硬度不足となり、一方厚すぎるとクラックが発生する場合がある。また、カールの防止特性等も考慮に入れると、好ましいハードコート層の厚さは0.1〜30μm程度であるのが好ましい。
【0066】
また第1のフィルム基材においては、ハードコート処理に際しては、前記アクリルウレタン系樹脂やシロキサン系樹脂などの硬質樹脂にシリコーン樹脂等を配合して表面を粗面化して、タッチパネル等として実用した際に鏡作用による写り込みを防止しうるノングレア面を同時に形成することもできる。さらには、ハードコート層とともに、またはハードコート層とは別に、反射防止層や、防汚層を形成することもできる。
【実施例】
【0067】
以下に、本発明の実施例を、比較例と対比して記載し、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0068】
製造例1
(第1のパネルA1の作製)
厚さが23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)からなる透明な第1のフィルム基材の一方の面に、メラミン樹脂:アルキド樹脂:有機シラン縮合物=2:2:1(重量比)の熱硬化型樹脂からなる厚さ150nmの硬化被膜をグラビアコートにより形成した(表1中では、Siコートと示す)。これを、透明な第1の誘電体薄膜とした。
【0069】
次いで、前記第1の誘電体薄膜上に、真空蒸着法を用いて、厚さ30nmのSiO2膜を形成した。これを、透明な第2の誘電体薄膜とした。
【0070】
上記第2の誘電体薄膜上に、さらにアルゴンガス80%と酸素ガス20%とからなる4×10-3Paの雰囲気中で、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム97重量%,酸化スズ3重量%)を用いたスパッタリング法により、厚さが23nmの酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物からなる透明な導電性薄膜(ITO薄膜)を形成した。
【0071】
次いで、上記PETフィルムの他方の面に、弾性係数が10N/cm2に調整された透明なアクリル系粘着剤層(アクリル酸ブチル:アクリル酸:酢酸ビニルの重量比100:2:5の単量体混合物の共重合体100部に、イソシアネート系架橋剤を1部配合してなるアクリル系粘着剤)を、約20μmの厚さに形成し、さらにこの上に、厚さが125μmのPETフィルムからなる透明基体を貼り合わせた。
【0072】
次いで、上記の透明基体上に、アクリル・ウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業社製の商品名「ユニディック17−806」)100部に、光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名「イルガキュア184」)5部を加えて、50重量%の濃度に希釈したトルエン溶液を塗布し、100℃で3分乾燥後、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(80W/cm,15cm集光型)2灯で紫外線照射を行い、厚さが5μmのハードコート層を形成することにより、図3(C)に示す構造の第1のパネルA1を作製した。
【0073】
製造例2
(第1のパネルA2の作製)
製造例1において、第2の誘電体薄膜であるSiO2膜の厚さを、70nmに変えたこと以外は、製造例1と同様にして第1のパネルA2を作製した。
【0074】
製造例3
(第1のパネルA3の作製)
製造例1において、第1の誘電体薄膜として、熱硬化型樹脂からなる厚さ150nmの硬化被膜を形成する代わりに、真空蒸着法を用いて、厚さ15nmのSiOx膜(x:1.8)を形成したこと以外は、製造例1と同様にして第1のパネルA3を作製した。
【0075】
製造例4
(第1のパネルA4の作製)
製造例1において、第2の誘電体薄膜として、真空蒸着法を用いて、厚さ30nmのSiO2膜を形成する代わりに、シリカコート法により、厚さ30nmのSiO2薄膜からなる第2の誘電体薄膜を形成したこと、また、導電性薄膜(ITO薄膜)の厚さを、21nmに変えたこと以外は、製造例1と同様にして第1のパネルA4を作製した。なお、シリカコート法は、上記第1の誘電体薄膜上に、シリカゾル(コルコート社製の「コルコートP」)を固形分濃度が2%となるようにエタノールで希釈したものを、グラビアコートにより塗布し、150℃で2分乾燥後、硬化させて、薄膜を形成した。
【0076】
製造例5
(塗工液の調製)
微粒子として、平均粒子径2.2μmの単分散のフィラー(材料:架橋アクリル系樹脂,標準偏差0.22μm,綜研化学(株)製の商品グレード:MX‐タイプ)0.5部および平均粒子径3μmの単分散のフィラー(材料:架橋アクリル系樹脂,標準偏差0.3μm,綜研化学(株)製の商品グレード:MX‐タイプ)0.1部の混合物を用いた。当該微粒子の混合物、紫外線硬化型樹脂(アクリル・ウレタン系樹脂,大日本インキ化学工業(株)製の商品名ユニディック17‐806)100重量部、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名イルガキュア184)5重量部及びその固形分が50重量%となるように計量された溶剤(トルエン)とを混合した溶液を調製した。
【0077】
(第2のパネルB1の作製)
厚さが100μmのPETフィルムからなる透明なフィルム基材の一方の面に、上記塗工液を、ワイヤーバーにより、乾燥後の塗工厚さが1.1μmになるように塗布した後、100℃で3分間乾燥した後、紫外線照射により硬化処理して、微細凹凸形状の表面の樹脂層を形成した。
【0078】
次いで、上記樹脂層上に、アルゴンガス95%と酸素ガス5%の混合ガスの雰囲気下、酸化インジウム100部、酸化錫10部および酸化セリウム25部の混合物の焼結体から、下記条件の反応スパッタリング法により、酸化インジウム100部に対して、酸化錫10部および酸化セリウム25部を有する複合酸化物により、厚さ23nmの透明な第1の誘電体薄膜を形成した。
【0079】
<スパッタリング条件>
ターゲットサイズ:200mm×500mm
出力:3.0kw
電圧値450V
放電時間:1min
真空度:0.5Pa。
【0080】
次いで、上記第1の誘電体薄膜上に、シリカコート法により、SiO2薄膜からなる第2の誘電体薄膜を形成した。なお、シリカコート法は、上記第1の誘電体薄膜上に、シリカゾル(コルコート社製の「コルコートP」)を固形分濃度が2%となるようにエタノールで希釈したものを、グラビアコートにより塗布し、150℃で2分乾燥後、硬化させて、厚さが55nmのSiO2薄膜を形成した。これを、透明な第2の誘電体薄膜とした。
【0081】
上記第2の誘電体薄膜上に、さらにアルゴンガス80%と酸素ガス20%とからなる4×10-3Paの雰囲気中で、酸化インジウムおよび酸化スズの混合物の焼結体(酸化インジウム97重量%,酸化スズ3重量%)を用いたスパッタリング法により、厚さが23nmの酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物からなる透明な導電性薄膜(ITO薄膜)を形成した。
【0082】
次いで、上記PETフィルムの反対側(導電性薄膜を設けていない側)に、アクリル・ウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業社製の商品名「ユニディック17−806」)100部に、光重合開始剤としてヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名「イルガキュア184」)5部を加えて、50重量%の濃度に希釈したトルエン溶液を塗布し、100℃で3分乾燥後、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(80W/cm,15cm集光型)2灯で紫外線照射を行い、厚さが5μmのハードコート層を形成することにより、図5(C)に示す構造の第2のパネルB1を作製した。
【0083】
製造例6
(第2のパネルB2の作製)
製造例5において、第2の誘電体薄膜の厚さを15nmに変えたこと以外は、製造例5と同様にして第2のパネルB2を作製した。
【0084】
製造例7
(第2のパネルB3の作製)
製造例5において、第2の誘電体薄膜の厚さを50nmに変えたこと以外は、製造例5と同様にして第2のパネルB3を作製した。
【0085】
製造例8
(第1のパネルB4の作製)
製造例1において、第2の誘電体薄膜として、シリカコート法により、厚さ55nmのSiO2膜を形成する代わりに、真空蒸着法を用いて、厚さ55nmのSiO2薄膜からなる第2の誘電体薄膜を形成したこと以外は、製造例1と同様にして第2のパネルB4を作製した。
【0086】
製造例1〜4で得られた第1のパネルA1乃至A4、製造例5〜8で得られた第2のパネルB1乃至B4について、導電性薄膜側の物性(硬度、弾性率および中心線平均粗さ(Ra))を、下記の方法により、測定した。これらの結果は、表1に示す。
【0087】
なお、上記の硬度および弾性率の測定に際し、フィルム基材(PETフィルム)の裏面に粘着剤層および透明基体を設けていない積層体、つまり、図6に示すようなフィルム基材1(101)の一方の面に誘電体薄膜3(103)を介して導電性薄膜(ITO薄膜)2(102)を形成した積層体を、被試験体として使用した。
【0088】
<導電性薄膜側の硬度および弾性率>
インデンテーション試験により、本文詳記の方法で、導電性薄膜側の硬度および弾性率を測定した。すなわち、図6に示したように、被試験体をその導電性薄膜(ITO薄膜)2(102)を上にして試料台20に固定した。このように固定した状態で、導電性薄膜2(102)側に圧子21を垂直方向に荷重をかけて押し込み、インデンテーション曲線(荷重−押し込み深さ曲線)を得た。これより、前記式(1)、(2)に基づいて、導電性薄膜側の硬度および弾性率を算出した。
【0089】
測定は、走査型プローブ顕微鏡(JEOL.LTD/日本電子:JSPM−4200)を用いた。また、圧子21には、ダイヤモンド圧子(三角錐)(TI−037 90°)を用いた。この圧子を用い、垂直方向に荷重20μNで、一回のインデント(圧子押し込み)を3秒間で行い、1サンプルにつき、5回測定し、平均値を求めた。各回の測定は、圧痕の影響が生じないように、測定箇所の距離を十分にとった。
【0090】
<中心線平均粗さ(Ra)>
AFM観察により、中心線平均粗さ(Ra)を求めた。測定は、セイコーインスツルメンツ(株)製のSPI3800により、コンタクトモードにて深針(Si3N4製)で1μm□のスキャンを行った。
【0091】
実施例1
上記製造例1で得られた第1のパネルA1を上板として用い、一方、製造例5で得られた第2のパネルB1を下板として用い、この両パネル板を、ITO薄膜同士が対向するように、厚さが20μmのスペーサを介して両パネル板のギャップが150μmとなるように対向配置させ、スイッチ構体としてのタッチパネルを作製した。なお、両パネル板の各ITO薄膜は、上記の対向配置に先立って、あらかじめ互いに直交するように形成した。
【0092】
実施例2〜5および比較例1〜5
実施例1において、タッチパネルに用いる、上板および下板を、表1に示すように、変えたこと以外は、実施例1と同様にして、タッチパネルを作製した。
【0093】
上記の実施例および比較例で得られた各タッチパネルについて、下記の方法により、ペン入力耐久性を測定した。これらの結果は、表1に示す。
【0094】
<高荷重ペン入力耐久性>
透明導電性積層体で構成したパネル板側から、ポリアセタールからなるペン(ペン先R0.8mm)を用いて、荷重1.5kgで10万回の摺動を行った。摺動後、以下のようにリニアリティーを測定し、高荷重ペン入力耐久性を評価した。
【0095】
[リニアリティーの測定方法]
透明導電積層体に5Vの電圧を印加し、透明導電積層体における、電圧を印加する端子A(測定開始位置)および端子B(測定終了位置)の間の出力電圧を測定した。
リニアリティーは、測定開始位置Aでの出力電圧をEA、測定終了位置Bでの出力電圧をEB、各測定点Xでの出力電圧をEX、理論値をEXXとすると、以下の計算から、求めることができる。
EXX(理論値)={X・(EB−EA)/(B−A)}+EA
リニアリティー(%)=〔(EXX−EX)/(EB−EA)〕×100
【0096】
なお、リニアリティー測定の概略は、図7に示すとおりである。タッチパネルを用いる画像表示装置では、ペンで押さえられることにより上部パネルと下部パネルの接触部分の抵抗値から画面上に表示されるペンの位置が決定されている。上部および下部パネル表面の出力電圧分布が理論線(理想線)のようになっているものとして抵抗値は決められる。すると、電圧値が、図7の実測値のように理論線からずれると、実際のペン位置と抵抗値によって決まる画面上のペン位置がうまく同調しなくなる。理論線からのずれがリニアリティーであり、その値が大きいほど、実際のペン位置と画面上のペンの位置のずれが大きくなる。
【0097】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明のタッチパネルの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の第1のパネルの一例を示す断面図である。
【図3(A)】本発明の第1のパネルの一例を示す断面図である。
【図3(B)】本発明の第1のパネルの一例を示す断面図である。
【図3(C)】本発明の第1のパネルの一例を示す断面図である。
【図4】本発明の第2のパネルの一例を示す断面図である。
【図5(A)】本発明の第2のパネルの一例を示す断面図である。
【図5(B)】本発明の第2のパネルの一例を示す断面図である。
【図5(C)】本発明の第2のパネルの一例を示す断面図である。
【図6】第1の導電性薄膜、第2の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の測定の概略を示す説明図である。
【図7】リニアリティー測定の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
A 第1のパネル
B 第2のパネル
s スペーサ
1 第1のフィルム基材
2 第1の導電性薄膜
3 誘電体薄膜
4 ハードコート層
101 第2のフィルム基材
102 第2の導電性薄膜
103 誘電体薄膜
104 ハードコート層
20 試料台
21 圧子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な第1のフィルム基材と、当該第1のフィルム基材の片面に設けられた透明な第1の導電性薄膜を有する第1のパネルと、
透明な第2のフィルム基材と、当該第2のフィルム基材の片面に設けられた透明な第2の導電性薄膜を有する第2のパネルとを有し、
第1のパネルと第2のパネルとは、第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜とが対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、
第1の導電性薄膜の表面は、硬度が1GPa以上、弾性率が5GPa以上であり、
第2の導電性薄膜の表面は、中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0nmであり、
かつ、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値よりも小さい、ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)が、0.7〜2.0nmであることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
第2の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の値は、いずれも、第1の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の値よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2記載のタッチパネル。
【請求項4】
第2の導電性薄膜の表面の硬度が0.4〜2.0GPa、弾性率が2.0〜8.0GPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項5】
第1のフィルム基材が、2枚以上の透明なフィルム基材を透明な接着剤層を介して貼り合わせた積層体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項6】
第1の導電性薄膜は、少なくとも1層の透明な誘電体薄膜を介して、第1のフィルム基材に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項7】
第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜は、ドライプロセスにより形成されたSiO2膜であることを特徴とする請求項6記載のタッチパネル。
【請求項8】
第2の導電性薄膜は、少なくとも1層の透明な誘電体薄膜を介して、第2のフィルム基材に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項9】
第2の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜は、ウエット塗工法により形成されたSiO2膜であることを特徴とする請求項8記載のタッチパネル。
【請求項10】
第2の導電性薄膜は、微細凹凸形状を有する樹脂層を介して、第2のフィルム基材に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項1】
透明な第1のフィルム基材と、当該第1のフィルム基材の片面に設けられた透明な第1の導電性薄膜を有する第1のパネルと、
透明な第2のフィルム基材と、当該第2のフィルム基材の片面に設けられた透明な第2の導電性薄膜を有する第2のパネルとを有し、
第1のパネルと第2のパネルとは、第1の導電性薄膜と第2の導電性薄膜とが対向するようにスペーサを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、
第1の導電性薄膜の表面は、硬度が1GPa以上、弾性率が5GPa以上であり、
第2の導電性薄膜の表面は、中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜1.0nmであり、
かつ、第2の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値は、第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)の値よりも小さい、ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
第1の導電性薄膜の表面の中心線平均粗さ(Ra)が、0.7〜2.0nmであることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
第2の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の値は、いずれも、第1の導電性薄膜の表面の硬度および弾性率の値よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2記載のタッチパネル。
【請求項4】
第2の導電性薄膜の表面の硬度が0.4〜2.0GPa、弾性率が2.0〜8.0GPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項5】
第1のフィルム基材が、2枚以上の透明なフィルム基材を透明な接着剤層を介して貼り合わせた積層体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項6】
第1の導電性薄膜は、少なくとも1層の透明な誘電体薄膜を介して、第1のフィルム基材に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項7】
第1の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜は、ドライプロセスにより形成されたSiO2膜であることを特徴とする請求項6記載のタッチパネル。
【請求項8】
第2の導電性薄膜は、少なくとも1層の透明な誘電体薄膜を介して、第2のフィルム基材に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項9】
第2の導電性薄膜に最も近い、誘電体薄膜は、ウエット塗工法により形成されたSiO2膜であることを特徴とする請求項8記載のタッチパネル。
【請求項10】
第2の導電性薄膜は、微細凹凸形状を有する樹脂層を介して、第2のフィルム基材に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のタッチパネル。
【図1】
【図2】
【図3(A)】
【図3(B)】
【図3(C)】
【図4】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図5(C)】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3(A)】
【図3(B)】
【図3(C)】
【図4】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図5(C)】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−293777(P2007−293777A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123689(P2006−123689)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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