説明

ダンプトラックの走行駆動装置

【課題】 スピンドルの開口端側とキャリアとの間に設けるスプライン結合部の直径を大きくすることなく、回転負荷に対する強度を高めるようにする。
【解決手段】 スピンドル14の開口側とキャリア38との間を、別部材からなる筒状連結部材51によりスプライン結合する。筒状連結部材51は単純な形状をなす段付筒状体として形成され、軸方向一側の第1の雄スプライン部51Aがスピンドル14の雌スプライン部14Fにスプライン結合される。軸方向他側の第2の雄スプライン部51Bはキャリア38の雌スプライン部38Fにスプライン結合される。第2の雄スプライン部51Bは、第1の雄スプライン部51Aよりも小径に形成され、第1の雄スプライン部51Aと第2の雄スプライン部51Bとの間には全周にわたって延びる環状の段差部51Cを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば露天の採掘場、石切り場、鉱山等で採掘した砕石物を運搬するのに好適に用いられるダンプトラックの走行駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ダンプトラックと呼ばれる大型の運搬車両は、車体のフレーム上に起伏可能となったベッセル(荷台)を備え、このベッセルに砕石物等の重い荷物を多量に積載した状態で運搬するものである。
【0003】
このため、ダンプトラックの駆動輪を走行駆動する走行駆動装置は、車体に非回転状態で取付けられ先端側が筒状のスピンドルとなって開口したアクスルハウジングと、該アクスルハウジングのスピンドル内を軸方向に伸長して設けられ駆動源により回転駆動されるシャフトと、前記スピンドルの外周側に車輪側軸受を介して回転可能に設けられ車輪が取付けられる車輪取付筒と、該車輪取付筒と前記スピンドルとの間に設けられ該車輪取付筒に対し前記シャフトの回転を減速して伝える減速歯車機構とを備えている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
この減速歯車機構は、太陽歯車と、該太陽歯車とリング状の内歯車とに噛合する複数の遊星歯車と、該各遊星歯車を支持ピンを介して回転可能に支持するキャリアとからなる複数段の遊星歯車減速機構により構成されている。このうち、最終段の遊星歯車減速機構の一部を構成するキャリアは、前記スピンドルの開口端側に非回転状態で取付ける構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−204016号公報
【特許文献2】特開2010−116963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来技術によるダンプトラックの走行駆動装置は、最終段の遊星歯車減速機構に用いるキャリアを、スピンドルの開口端側に非回転状態で取付けるため、両者を雄スプラインと雌スプラインとからなるスプライン結合部により連結する構成としている。しかし、このようなスプライン結合部は、ダンプトラックの積載重量を、例えば250トン以上まで増大させた場合に必ずしも十分な強度を有するものではなく、更なる改良が望まれている。
【0007】
即ち、走行駆動装置の大型化に伴ってスプライン結合部の強度を高めるためには、スプライン結合部の外径寸法である直径を大きくするか、または歯幅(スプライン歯の軸方向長さ)を大きくするという方策があり、これにより、大トルクの回転負荷をスプライン結合部で受承することは可能となる。しかし、走行駆動装置は、可能な限り小型化を図ることが要求されており、スプライン結合部の直径を大きくすることには制約がある。このため、スプライン歯の軸方向長さである歯幅を可能な限り大きくし、これによって、各スプライン歯の単位長さ当たりの負荷を軽減することが実用的である。
【0008】
然るに、スプライン結合部の軸方向寸法(歯幅)を大きくすると、外部からの回転負荷に伴う軸の傾きや捩れによって、互いに噛合するスプライン歯間で歯面の片当たりが発生し易く、各スプライン歯の損傷原因となる。そこで、このようなスプライン歯間での片当たりを防ぎ、歯当たりの均一化を図るため、スプライン歯を成形加工する場合にクラウニングまたはレリービングと呼ばれる歯面の修整加工を施すことが知られている。
【0009】
これに対し、従来技術で用いている最終段のキャリアには、外周面に雄スプラインが形成された筒状突出部を一体に設け、該筒状突出部の外周側をスピンドルの開口端内周側にスプライン結合する構成としている。しかし、重量物であるキャリアに筒状突出部を一体形成し、該筒状突出部の外周面に雄スプラインを成形加工すると共に、スプライン歯間での歯当たりを均一化するため前述の如きクラウニングまたはレリービングと呼ばれる修整加工を施すことは手間がかかって難しく、特別に大きい専用設備を用意する必要があり、実用的ではないという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、スピンドルの開口端側とキャリアとの間に設けるスプライン結合部の直径を大きくすることなく、回転負荷に対する強度を高めることができ、装置全体の耐久性や寿命を向上することができるようにしたダンプトラックの走行駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は、ダンプトラックの車体に非回転状態で取付けられ先端側が筒状のスピンドルとなって開口したアクスルハウジングと、該アクスルハウジングのスピンドル内を軸方向に伸長して設けられ駆動源により回転駆動されるシャフトと、前記スピンドルの外周側に車輪側軸受を介して回転可能に設けられ車輪が取付けられる車輪取付筒と、該車輪取付筒と前記スピンドルとの間に設けられ該車輪取付筒に対し前記シャフトの回転を減速して伝える遊星歯車減速機構とを備え、該遊星歯車減速機構の一部を構成し複数の遊星歯車を支持ピンを介して回転可能に支持するキャリアを、前記スピンドルの開口端側に非回転状態で取付ける構成としてなるダンプトラックの走行駆動装置に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記スピンドルと前記キャリアとの間には、別部材からなる筒状体として形成され内周側に前記シャフトが挿通される筒状連結部材を設け、該筒状連結部材は、軸方向の一側外周が前記スピンドルの開口端内周側にスプライン結合され、軸方向の他側外周が前記キャリアの内周側にスプライン結合される構成としたことにある。
【0013】
また、請求項2の発明によると、前記筒状連結部材の外周側には、軸方向一側に位置し前記スピンドルにスプライン結合される第1の雄スプライン部と、軸方向の他側に位置して該第1の雄スプライン部よりも小径に形成され前記キャリアにスプライン結合される第2の雄スプライン部と、前記第1,第2の雄スプライン部間に位置して周方向に延びた環状の段差部とを設け、前記スピンドルの開口側端面には、前記車輪取付筒をスピンドルの外周側で回転可能に支持する前記車輪側軸受の位置決めを行うエンドリテーナを設け、該エンドリテーナの内周側には、前記筒状連結部材の前記段差部に当接し前記スピンドルに対して前記筒状連結部材の抜止めを行う抜止め部を設ける構成としている。
【0014】
また、請求項3の発明によると、前記エンドリテーナには、前記スピンドルの開口側端面との間に位置して径方向外側から内側へと延び前記遊星歯車減速機構に供給された潤滑油の一部を前記雄スプライン部に導く油路を形成する構成としている。
【0015】
また、請求項4の発明によると、前記筒状連結部材には、前記油路を通じて導かれる前記潤滑油を前記第1,第2の雄スプライン部のうち前記第1の雄スプライン部に向けて案内する潤滑油ガイドを設ける構成としている。
【0016】
また、請求項5の発明によると、前記スピンドルの内周側には、前記シャフトの軸方向中間部を内輪側で回転可能に支持するシャフトベアリングと、該シャフトベアリングの外輪側を前記スピンドルの内周側に固定状態で支持するベアリングリテーナとを設け、該ベアリングリテーナには、前記筒状連結部材の軸方向一側の端面に向けて突出し、この端面に当接することにより前記筒状連結部材を前記スピンドル内で軸方向に位置決めする位置決め突起を設ける構成としている。
【0017】
さらに、請求項6の発明によると、前記筒状連結部材は、スプラインの直径を300mm以上とし、スプラインの歯幅と直径との比率を、(直径)/(歯幅)<2.5に設定し、前記筒状連結部材とスピンドルとのスプライン結合部および前記筒状連結部材とキャリアとのスプライン結合部は、それぞれの歯面にクラウニングまたはレリービング加工を施し各歯面の歯当たりを歯幅全体で均一化する構成としている。
【発明の効果】
【0018】
上述の如く、請求項1の発明によれば、スピンドルとキャリアとの間には別体の筒状連結部材を設け、この筒状連結部材を用いてスピンドルとキャリアとの間をスプライン結合する構成としたので、従来技術で用いているキャリアの如く、外周側に雄スプラインを有した筒状突出部を一体に設ける必要がなくなり、キャリアの形状を簡素化することができる。また、別部材からなる筒状連結部材についても単純な形状に形成することができ、その外周側に雄スプラインを成形加工するときに、例えばクラウニングまたはレリービングと呼ばれる歯面の修整加工を容易に施すことができる。
【0019】
これにより、スプライン結合部の直径を大きくすることなく、回転負荷に対する強度を高めることができ、スプライン歯の軸方向長さである歯幅を可能な限り大きくし、各スプライン歯の単位長さ当たりの負荷を軽減することができる。しかも、外部からの回転負荷によって筒状連結部材に軸の傾きや捩れが発生するような場合でも、前述の如き歯面の修整加工を施すことにより、互いに噛合するスプライン歯間で歯面の片当たりを防ぐことができ、歯当たりの均一化を図ることができる。
【0020】
また、請求項2の発明は、筒状連結部材の軸方向中間部に第1,第2の雄スプライン部間に位置して環状の段差部を設け、スピンドルの開口側端面で車輪側軸受の位置決めを行うエンドリテーナの抜止め部を前記段差部に当接させることができ、これにより、前記筒状連結部材をスピンドルの開口端側に抜止め状態で取付けることができる。
【0021】
また、請求項3の発明は、エンドリテーナに形成した油路により、遊星歯車減速機構に供給された潤滑油の一部を筒状連結部材の外周側に導きつつ、雄スプライン部を潤滑することができ、スプライン結合部での潤滑油不足を防ぐことができる。
【0022】
また、請求項4の発明は、例えば筒状連結部材の段差部に潤滑油ガイドを設けることにより、筒状連結部材の外周側に形成した第1,第2の雄スプライン部のうち外径寸法が大きい第1の雄スプライン部に向けて、前記油路側から導かれる潤滑油を案内することができ、この潤滑油により第1の雄スプライン部側を潤滑することができる。
【0023】
また、請求項5の発明によると、スピンドルの内周側には、シャフトベアリングの外輪側を支持するベアリングリテーナを設け、該ベアリングリテーナには、筒状連結部材の軸方向一側の端面に向けて突出する位置決め突起を設けている。この位置決め突起を筒状連結部材の端面に当接させることにより、前記筒状連結部材を前記スピンドル内で軸方向に位置決めすることができる。
【0024】
さらに、請求項6の発明によると、筒状連結部材の外径寸法であるスプラインの直径が300mm以上となる大型の走行駆動装置であっても、スプラインの歯幅と直径との比率を、(直径)/(歯幅)<2.5に設定することにより、スプラインの軸方向長さである歯幅を可能な限り大きくし、各スプライン歯の単位長さ当たりの負荷を軽減することができる。しかも、筒状連結部材とスピンドルとのスプライン結合部および前記筒状連結部材とキャリアとのスプライン結合部には、それぞれの歯面にクラウニングまたはレリービング加工を施すことにより、外部からの回転負荷によって筒状連結部材に軸の傾きや捩れが発生するような場合でも、互いに噛合するスプライン歯間で歯面の片当たりを防ぐことができ、各歯面の歯当たりを歯幅全体で均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態による走行駆動装置が適用されたダンプトラックを示す正面図である。
【図2】図1のダンプトラックを後方からみた右側面図である。
【図3】後輪側の走行駆動装置を図1中の矢示 III−III 方向から拡大してみた断面図である。
【図4】図3中の遊星歯車減速機構、車輪取付筒およびスピンドルの開口側等を拡大して示す断面図である。
【図5】図4中のスピンドルと最終段のキャリアとの間に設ける筒状連結部材等をさらに拡大して示す断面図である。
【図6】図5中の筒状連結部材をスピンドルに対して抜止めするエンドリテーナをさらに拡大して示す要部断面図である。
【図7】図5中のスピンドル、最終段のキャリアおよび筒状連結部材等を分解した状態で示す断面図である。
【図8】図7中のベアリングリテーナを拡大して示す斜視図である。
【図9】図7中のエンドリテーナを拡大して斜視図である。
【図10】図7中の筒状連結部材を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態によるダンプトラックの走行駆動装置を、後輪駆動式のダンプトラックを例に挙げ、添付図面の図1ないし図10に従って詳細に説明する。
【0027】
図において、1は本実施の形態で採用した大型の運搬車両としてのダンプトラックである。このダンプトラック1は、図1に示すように頑丈なフレーム構造をなす車体2と、該車体2上に起伏可能に搭載された荷台としてのベッセル3とにより大略構成されている。
【0028】
ベッセル3は、例えば砕石物等の重い荷物を多量に積載するため全長が9〜13m(メートル)にも及ぶ大型の容器として形成されている。ベッセル3の後側底部は、車体2の後端側に連結ピン4等を介して起伏(傾転)可能に連結されている。ベッセル3の前側上部には、後述のキャブ5を上側から覆う庇部3Aが一体に設けられている。
【0029】
5は庇部3Aの下側に位置して車体2の前部に設けられたキャブで、該キャブ5は、ダンプトラック1の運転者が乗降する運転室を形成し、その内部には運転席、起動スイッチ、アクセルペダル、ブレーキペダル、操舵用のハンドルおよび複数の操作レバー(いずれも図示せず)等が設けられている。ベッセル3の庇部3Aは、キャブ5を上側からほぼ完全に覆うことにより、例えば岩石等の飛び石からキャブ5を保護すると共に、車両(ダンプトラック1)の転倒時等にもキャブ5内の運転者を保護する機能を有している。
【0030】
6は車体2の前部側に回転可能に設けられた左,右の前輪で、該各前輪6は、ダンプトラック1の運転者によって操舵(ステアリング操作)される操舵輪を構成するものである。前輪6は後述の後輪7と同様に、例えば3〜4mに及ぶタイヤ径(外径寸法)をもって形成されている。車体2の前部と前輪6との間には、油圧緩衝器等からなる前輪側サスペンション6SPが設けられている。
【0031】
7は車体2の後部側に回転可能に設けられた左,右の後輪で、該各後輪7は、ダンプトラック1の駆動輪を構成し、図3に示す後述の走行駆動装置11により車輪取付筒18と一体に回転駆動される。後輪7は、複輪式タイヤからなる軸方向内側と外側のタイヤ7Aと、該各タイヤ7Aの径方向内側に配設されるリム7Bとを含んで構成されている。車体2の後部と後輪7との間には、油圧緩衝器等からなる後輪側サスペンション7SPが設けられている。
【0032】
8はキャブ5の下側に位置して車体2内に設けられる原動機としてのエンジンで、該エンジン8は、例えば大型のディーゼルエンジン等により構成され、車載の発電機、油圧源となる油圧ポンプ(いずれも図示せず)等を回転駆動する。油圧ポンプから吐出される圧油は、後述のホイストシリンダ9、パワーステアリング用の操舵シリンダ(図示せず)等に供給される。
【0033】
9はベッセル3を起伏させるためのホイストシリンダで、該ホイストシリンダ9は、図1に示す如く、前輪6と後輪7との間に位置して車体2の左,右両側に配設され、車体2とベッセル3との間に上,下方向で伸縮可能に取付けられている。ホイストシリンダ9は、前記油圧ポンプからの圧油が給排されることにより上,下方向に伸縮し、後部側の連結ピン4を中心にしてベッセル3を起伏(傾転)させるものである。
【0034】
10は作動油タンクで、該作動油タンク10は、図1に示すようにベッセル3の下方に位置して車体2の側面等に取付けられている。作動油タンク10内に収容した作動油は、前記油圧ポンプにより吸込まれつつ吐出され、圧油となってホイストシリンダ9および前記パワーステアリング用の操舵シリンダ等に給排されるものである。
【0035】
11はダンプトラック1の後輪7側に設けられた走行駆動装置で、該走行駆動装置11は、後述のアクスルハウジング12、走行用モータ16、車輪取付筒18および減速歯車機構24等により構成されている。走行駆動装置11は、走行用モータ16の回転を減速歯車機構24により減速し、車両の駆動輪となる後輪7を車輪取付筒18と一緒に大なる回転トルクで駆動するものである。
【0036】
12は車体2の後部側に設けられた後輪7用のアクスルハウジングで、該アクスルハウジング12は、図2に示すように左,右の後輪7,7間を軸方向に延びる筒体として形成されている。アクスルハウジング12は、前記後輪側サスペンション7SPを介して車体2の後部側に取付けられる中間の筒状体13と、該筒状体13の左,右両側にそれぞれ設けられた後述のスピンドル14とにより構成されている。
【0037】
14はアクスルハウジング12の軸方向両端側にそれぞれ設けられた筒状のスピンドルで、該スピンドル14は、図3に示す如く軸方向一側に位置してテーパ形状をなし筒状体13にボルト15等を介して着脱可能に固着された大径筒部14Aと、該大径筒部14Aの軸方向他側に一体形成され先端側が開口した円形筒部14Bとを含んで構成されている。この円形筒部14Bは、後述の車輪取付筒18内を軸方向に延びるように配置され、円形筒部14Bの外周側は、後述の車輪側軸受20,21を介して後輪7側の車輪取付筒18を回転可能に支持するものである。
【0038】
ここで、スピンドル14の外周側には、大径筒部14Aの長さ方向(軸方向)中間部から径方向外向きに突出し後述の湿式ブレーキ45が取付けられる環状フランジ部14Cと、後述の一側リテーナ48を軸方向に位置決めするため円形筒部14Bの軸方向一側に設けられた環状段部14Dとが一体に形成されている。また、大径筒部14Aの軸方向一側には、径方向内向きに突出する複数のモータ取付座14Eが一体に形成され、このモータ取付座14Eには後述の走行用モータ16が取付けられている。
【0039】
一方、円形筒部14Bの軸方向他側(先端側)は開口端となり、その内周側には雌スプライン部14F(図7参照)が形成されている。この雌スプライン部14Fは、後述する筒状連結部材51の第1の雄スプライン部51Aにスプライン結合されるものである。また、雄スプライン部51Aには、それぞれの歯面に修整加工(例えば、クラウニング加工)が施されている。これにより、雌スプライン部14Fは、第1の雄スプライン部51Aに対する各歯面の歯当たりを歯幅全体で均一化することができる。
【0040】
また、円形筒部14Bの軸方向の中間部には、その内周側に環状の内側鍔部14Gが一体に形成され、該内側鍔部14Gには、後述のベアリングリテーナ43がボルト等を介して取付けられている。円形筒部14Bの下部側には、上,下方向(円形筒部14Bの径方向)に貫通して延びる径方向孔14Hが穿設され、この径方向孔14H内には、後述の吸込管40が挿通されている。
【0041】
16はアクスルハウジング12内に着脱可能に設けられた駆動源としての走行用モータである。この走行用モータ16は、車体2に搭載された発電機(図示せず)からの電力供給によって回転駆動される大型の電動モータにより構成されている。走行用モータ16は、図2に示す如く左,右の後輪7,7を互いに独立して回転駆動するため、筒状体13の左,右両側に位置してスピンドル14内にそれぞれ取付けられている。走行用モータ16は、その外周側に複数の取付フランジ16Aを有し、これらの取付フランジ16Aがスピンドル14のモータ取付座14Eにボルト等を用いて着脱可能に取付けられている。走行用モータ16は、前記発電機から電力が供給されることにより、後述のシャフト17を回転駆動するものである。
【0042】
17は走行用モータ16の出力軸を構成するシャフトで、該シャフト17は、走行用モータ16によって正方向または逆方向に回転駆動されるものである。シャフト17は、スピンドル14の内周側を軸方向(左,右方向)に延びる1本の長尺な棒状体により構成され、シャフト17の一端側は走行用モータ16の出力側に連結されている。一方、シャフト17の他端側は、スピンドル14を構成する円形筒部14Bの開口端側から突出し、その突出端側には後述の太陽歯車26が取付けられている。また、シャフト17は、後述の車輪側軸受20,21の間に位置する軸方向の中間部が後述のシャフトベアリング44等を用いてスピンドル14内に回転可能に支持されている。
【0043】
18は車輪としての後輪7と一体に回転する車輪取付筒で、該車輪取付筒18は、所謂ホイールハブを構成し、その外周側には、後輪7の各リム7Bが圧入等の手段を用いて着脱可能に取付けられている。車輪取付筒18は、後述の車輪側軸受20,21間にわたって軸方向に延び中空構造をなした中空筒部18Aと、該中空筒部18Aの外周側端部から後述の内歯車35に向けて軸方向に延びた延設筒部18Bとにより段付筒状体として一体に形成されている。
【0044】
また、車輪取付筒18の延設筒部18Bには、後述の内歯車35と外側ドラム22とが長尺ボルト23等を用いて一体的に固着され、これにより車輪取付筒18は、内歯車35と一体に回転される。即ち、車輪取付筒18には、走行用モータ16の回転を減速歯車機構24で減速することにより大トルクとなった回転が内歯車35を介して伝えられる。これにより、車輪取付筒18は、車両の駆動輪となる後輪7を大なる回転トルクで回転させるものである。
【0045】
19は筒状のリングからなるリムスペーサで、該リムスペーサ19は、後輪7の軸方向内側のタイヤ7Aと外側のタイヤ7Aとの間に予め決められた軸方向隙間を確保するため、車輪取付筒18の外周側に配置されている。即ち、図3に示す如くリムスペーサ19は、軸方向内側のリム7Bと外側のリム7Bとの間に挟持され、両者の間を軸方向で一定の間隔に保持するものである。
【0046】
20,21はスピンドル14の外周側で車輪取付筒18を回転可能に支持する車輪側軸受で、該車輪側軸受20,21は、例えば同一の円錐ころ軸受等を用いて構成されている。車輪側軸受20,21は、スピンドル14の円形筒部14Bと車輪取付筒18の中空筒部18Aとの間に軸方向に離間して配設されている。即ち、一方の車輪側軸受20は、スピンドル14の環状段部14Dに後述の一側リテーナ48を介して位置決めされ、他方の車輪側軸受21は、円形筒部14Bの開口端側外周に後述のエンドリテーナ49を介して位置決めされている。
【0047】
車輪側軸受20,21は、その内輪側がスピンドル14の円形筒部14Bに対しリテーナ48,49間で軸方向に位置決めされ、外輪側が車輪取付筒18の中空筒部18Aに対して軸方向に位置決めされている。これにより、車輪取付筒18は、車輪側軸受20,21とリテーナ48,49とを用いて、スピンドル14に対し軸方向に位置決めされると共に、周方向に回転可能に支持されるものである。
【0048】
22は車輪取付筒18の一部を内歯車35と共に構成する外側ドラムで、該外側ドラム22は、図3に示すように車輪取付筒18の軸方向外側となる位置に後述の内歯車35を挟んで取付けられ、複数の長尺ボルト23を用いて車輪取付筒18に着脱可能に固着されている。
【0049】
24はスピンドル14と車輪取付筒18との間に設けられた減速歯車機構で、該減速歯車機構24は、後述する1段目の遊星歯車減速機構25と2段目である最終段の遊星歯車減速機構33とにより構成され、後輪7側の車輪取付筒18に対し走行用モータ16(即ち、シャフト17)の回転を減速して伝える。これにより、後輪7側の車輪取付筒18は、減速して得られた大きな回転力(トルク)をもって後輪7と一緒に回転駆動される。
【0050】
25は減速歯車機構24を構成する1段目の遊星歯車減速機構で、該遊星歯車減速機構25は、シャフト17の自由端となる先端側にスプライン結合された太陽歯車26と、該太陽歯車26とリング状の内歯車27とに噛合する複数(例えば、3〜4個)の遊星歯車28と、該各遊星歯車28を支持ピン29を介して回転可能に支持するキャリア30とにより構成されている。
【0051】
ここで、キャリア30の外周側は、車輪取付筒18に一体化された外側ドラム22の開口端(軸方向外側の端面)にボルト等を介して着脱可能に固定され、車輪取付筒18、外側ドラム22と一体に回転する。また、キャリア30の内周側には、例えば円板状の蓋板31が着脱可能に取付けられ、該蓋板31は、例えば太陽歯車26と遊星歯車28の噛合部を保守、点検する場合にキャリア30から取外されるものである。
【0052】
リング状の内歯車27は、太陽歯車26、各遊星歯車28を径方向外側から取囲むリングギヤを用いて形成されている。内歯車27は、外側ドラム22の内周面との間に小さな径方向隙間を介して相対回転可能に配置されている。内歯車27の回転(公転)は、後述のカップリング32を介して2段目の遊星歯車減速機構33に伝えられる。
【0053】
1段目の遊星歯車減速機構25は、走行用モータ16によってシャフト17と一体に太陽歯車26が回転すると、この太陽歯車26の回転を各遊星歯車28の自転運動と公転運動とに変換する。そして、各遊星歯車28の自転(回転)は、リング状の内歯車27に減速した回転として伝えられ、この内歯車27の回転が後述のカップリング32を介して2段目の遊星歯車減速機構33に伝達される。一方、各遊星歯車28の公転は、キャリア30の回転となって車輪取付筒18側の外側ドラム22に伝達される。しかし、車輪取付筒18は、後述する2段目の内歯車35と一体に回転するため、各遊星歯車28の公転は、内歯車35(車輪取付筒18)に同期した回転に抑えられる。
【0054】
32は1段目の内歯車27と一体に回転するカップリングで、該カップリング32は、1段目の遊星歯車減速機構25と2段目の遊星歯車減速機構33との間に位置する環状の回転伝達部材として形成されている。即ち、カップリング32の外周側は1段目の内歯車27にスプライン結合され、カップリング32の内周側は、後述する2段目の太陽歯車34にスプライン結合されている。これにより、カップリング32は、1段目の内歯車27の回転を2段目の太陽歯車34に伝達し、この太陽歯車34を1段目の内歯車27と一体に回転させる。なお、カップリング32には、後述の潤滑油100を前,後方向(軸方向)に流通させる複数の油流通穴等を形成してもよい。
【0055】
33は最終段となる2段目の遊星歯車減速機構で、この遊星歯車減速機構33は、シャフト17と車輪取付筒18との間に1段目の遊星歯車減速機構25を介して配設され、1段目の遊星歯車減速機構25と共にシャフト17の回転を減速するものである。2段目の遊星歯車減速機構33は、シャフト17と同軸に配置されカップリング32と一体に回転する円筒状の太陽歯車34と、該太陽歯車34とリング状の内歯車35とに噛合する複数の遊星歯車36(1個のみ図示)と、該各遊星歯車36をそれぞれ支持ピン37を介して回転可能に支持するキャリア38とにより構成されている。
【0056】
ここで、2段目の内歯車35は、太陽歯車34、各遊星歯車36等を径方向外側から取囲むリングギヤを用いて形成され、車輪取付筒18の一部を構成する延設筒部18Bと外側ドラム22との間に長尺ボルト23を用いて一体的に固着されている。内歯車35の内周側に全周に亘って形成された内歯は、各遊星歯車36に対して噛合状態に保持されるものである。
【0057】
また、最終段となる2段目のキャリア38は、図5、図7に示す如く、互いに板厚が異なる2枚の板状体からなり軸方向に対向して配置された環状の支持板38A,38Bと、これらの支持板38A,38B間に各遊星歯車36(図4参照)を配置するため周方向に一定の間隔をもって配置され各支持ピン37の両端側が嵌合して取付けられる複数のピン取付穴部38C,38D(それぞれ1個のみ図示)と、該各ピン取付穴部38C,38Dから周方向に離間した位置に配置され環状の支持板38A,38B間を一体的に連結する複数(例えば、3または4個)の連結部38Eとを含んで構成されている。
【0058】
キャリア38の支持板38Aには、その内周側に雌スプライン部38Fが形成され、該雌スプライン部38Fは、後述する筒状連結部材51の第2の雄スプライン部51Bにスプライン結合されるものである。第2の雄スプライン部51Bには、それぞれの歯面に修整加工(例えば、クラウニング加工)が施され、第2の雄スプライン部51Bの雌スプライン部38Fに対する各歯面の歯当たりを歯幅全体で均一化する対策がとられている。
【0059】
ここで、2段目の遊星歯車減速機構33は、キャリア38が後述の筒状連結部材51を介してスピンドル14の円形筒部14Bにスプライン結合されることにより、各遊星歯車36の公転(キャリア38の回転)が拘束される。従って、2段目の遊星歯車減速機構33は、太陽歯車34がカップリング32と一体に回転すると、この太陽歯車34の回転を各遊星歯車36の自転に変換しつつ、該各遊星歯車36の自転を2段目の内歯車35に伝達し、この内歯車35を減速して回転させる。これにより、内歯車35が固定された車輪取付筒18に対しては、1段目の遊星歯車減速機構25と2段目の遊星歯車減速機構33との2段階で減速された大出力の回転トルクが伝達されるものである。
【0060】
また、車輪取付筒18の内部には潤滑油100が貯留され、各遊星歯車減速機構25,33は、常に潤滑油100が供給された状態で作動する。この場合、潤滑油100の液面は、例えばスピンドル14を構成する円形筒部14Bの最下部よりも低い位置にあり、かつ車輪側軸受20,21の下側部位が浸漬されるような位置に設定されている。これにより、走行駆動装置11の作動時には、潤滑油100が車輪取付筒18と遊星歯車減速機構25,33とにより攪拌されて温度上昇するのを抑えることができ、かつ潤滑油100の攪拌による抵抗を小さく抑えることができる。
【0061】
39はスピンドル14内に設けられた隔壁を示し、該隔壁39は、環状の板体により形成され、その外周側がスピンドル14の大径筒部14Aの内周側にボルト等を用いて着脱可能に取付けられている。隔壁39は、スピンドル14内を、軸方向一側に位置し走行用モータ16が収容されるモータ収容空間部39Aと、軸方向他側に位置し車輪取付筒18の内部と常時連通する筒状空間部39Bとに画成している。
【0062】
40は車輪取付筒18内に貯溜された潤滑油100を回収する回収手段としての吸込管で、該吸込管40は、長さ方向の一側がアクスルハウジング12の筒状体13内を軸方向に延び、潤滑ポンプ(図示せず)の吸込側に接続されている。吸込管40の長さ方向中間部は、車輪取付筒18側に向けてスピンドル14内を軸方向に延びている。吸込管40の先端側(長さ方向他側)は、シャフト17の下側から下向きにL字状に屈曲し、スピンドル14の径方向孔14H内に挿通されている。これにより、吸込管40は、その先端側が車輪取付筒18内の潤滑油100中に浸漬され、この潤滑油100を前記潤滑ポンプ側に回収させるものである。
【0063】
41は潤滑油100の供給手段を構成する供給管で、該供給管41は、図3に示すように、スピンドル14内で吸込管40、シャフト17よりも上方となる位置に配置され、その先端側が後述の筒状連結部材51内に挿入されている。供給管41の長さ方向一側(基端側)は、前記潤滑ポンプの吐出側に接続され、この潤滑ポンプから吐出される潤滑油100は、供給管41の先端側(長さ方向他側)から後述の筒状連結部材51内に向けて、即ち遊星歯車減速機構25,33に向けて供給される。
【0064】
車輪取付筒18の下部側に貯留された潤滑油100は、前記潤滑ポンプの駆動により吸込管40の先端側から吸込まれる。前記潤滑ポンプにより吸込まれた潤滑油100は、オイルクーラ(図示せず)によって冷却された後、供給管41を通じて遊星歯車減速機構25,33に供給され、これらの遊星歯車減速機構25,33を潤滑するものである。
【0065】
42はシャフト17の軸方向中間部に嵌合して設けられた内側リテーナ、43は該内側リテーナ42の外周側にシャフトベアリング44を介して配設された外側のベアリングリテーナを示している。ここで、内側リテーナ42は、その内周側がシャフト17の中間部に圧入されることにより、シャフト17と一体に回転する。外側のベアリングリテーナ43は、スピンドル14の内側鍔部14Gに複数のボルト(図示せず)を用いて固定されている。
【0066】
図7、図8に示すように、ベアリングリテーナ43は環状のリング体として形成され、その内周側には、シャフトベアリング44の外輪側が抜止め状態で取付けられる外輪取付部43Aが設けられている。ベアリングリテーナ43の外周側には、後述する筒状連結部材51の軸方向一側の端面に向けて突出する筒状突出部43Bが設けられ、該筒状突出部43Bは、スピンドル14の円形筒部14B内で筒状連結部材51を軸方向に位置決めする位置決め突起を構成している。
【0067】
また、ベアリングリテーナ43には、径方向(図5、図7中の上,下)で対向する位置に挿嵌穴43C,43Dが設けられ、挿嵌穴43C内には供給管41が貫通し、挿嵌穴43D内には吸込管40が貫通して取付けられる。ベアリングリテーナ43には、挿嵌穴43Dの下側となる位置に径方向の切欠部43Eが設けられ、この切欠部43Eを通じて吸込管40は、スピンドル14の径方向孔14H内に挿通される。
【0068】
即ち、図3、図4に示すように、吸込管40、供給管41の途中部位は、ベアリングリテーナ43を軸方向に貫通して延び、これにより、スピンドル14内にベアリングリテーナ43を介して位置決めされている。なお、ベアリングリテーナ43には、図8に示すように複数のボルト挿通穴43F,43F,…が穿設され、これらのボルト挿通穴43Fに挿通される複数のボルト(図示せず)により、ベアリングリテーナ43はスピンドル14の内側鍔部14Gに固定される。
【0069】
シャフトベアリング44は、シャフト17側の内側リテーナ42とスピンドル14側のベアリングリテーナ43との間に配設され、シャフト17の軸方向中間部をスピンドル14の円形筒部14B内で内側リテーナ42と外側のベアリングリテーナ43とを介して回転可能に支持している。これにより、長尺なシャフト17は、軸方向中間部での芯振れが抑制され、1段目の太陽歯車26に対してシャフト17の安定した回転を伝えることができる。
【0070】
45は車輪取付筒18の回転に制動力を与える湿式ブレーキで、該湿式ブレーキ45は、湿式多板型の油圧ブレーキにより構成されている。湿式ブレーキ45は、アクスルハウジング12のスピンドル14と車輪取付筒18との間に後述のブレーキハブ46を介して設けられ、車輪取付筒18と一体に回転するブレーキハブ46に対して制動力を付与するものである。
【0071】
46は湿式ブレーキ45の一部を構成し、車輪取付筒18と一体に回転するブレーキハブで、該ブレーキハブ46は、スピンドル14と湿式ブレーキ45との間を軸方向に延びる筒状体として形成されている。ブレーキハブ46の軸方向他側は、車輪取付筒18の中空筒部18Aに複数のボルト47を介して着脱可能に固定されている。
【0072】
48はスピンドル14の円形筒部14Bに車輪側軸受20の内輪側を位置決めする一側リテーナで、該一側リテーナ48は、図3に示すように、円形筒部14Bの外周面に嵌合して設けられ、その軸方向一側は環状段部14Dに当接している。また、一側リテーナ48の軸方向他側は、車輪側軸受20の内輪側に軸方向で当接している。これにより、車輪側軸受20は、その外輪側が車輪取付筒18の中空筒部18Aにより軸方向に位置決めされ、内輪側が一側リテーナ48により軸方向に位置決めされている。
【0073】
49はスピンドル14の先端開口側に複数のボルト50を介して取付けられた他側リテーナとしてのエンドリテーナである。このエンドリテーナ49は、図3〜図5に示すようにスピンドル14の円形筒部14Bに固定され、車輪側軸受21の内輪側を円形筒部14Bの外周側で軸方向に位置決めしている。即ち、車輪側軸受21は、その外輪側が車輪取付筒18の中空筒部18Aにより軸方向に位置決めされ、内輪側がエンドリテーナ49により軸方向に位置決めされている。
【0074】
図7、図9に示すように、エンドリテーナ49は環状のリング体として形成され、その内周側には、後述する筒状連結部材51の段差部51Cに当接するように径方向内向きに突出した抜止め部49Aが設けられている。この抜止め部49Aは、スピンドル14の開口側で筒状連結部材51の抜止めを行うため環状の段差部51Cに対し全周にわたって面接触するものである。
【0075】
また、エンドリテーナ49には、図9に示すように複数のボルト挿通穴49B,49B,…が穿設され、これらのボルト挿通穴49Bに挿通される複数のボルト50により、エンドリテーナ49はスピンドル14の円形筒部14Bに固定される。また、エンドリテーナ49には、スピンドル14の円形筒部14Bに当接される端面側に複数の凹溝からなる油路49C(図9参照)が形成されている。これらの油路49Cは、円形筒部14Bの開口側端面との間に位置して径方向外側から内側へと延び、遊星歯車減速機構33に供給された潤滑油100の一部を筒状連結部材51の雄スプライン部51A,51B側に導くものである。
【0076】
さらに、エンドリテーナ49の外周面には、斜めに傾斜したテーパ面部49Dが形成されている。このテーパ面部49Dは、遊星歯車減速機構33に供給された潤滑油100の一部(オイルミストを含む)を油路49Cに向けて捕集しながらガイドする役割を果たすものである。
【0077】
51はスピンドル14の開口側とキャリア38との間に着脱可能に設けられた筒状連結部材で、該筒状連結部材51は、スピンドル14、キャリア38とは別部材からなる段付筒状体として形成され、その内周側にはシャフト17が隙間をもって挿通される。筒状連結部材51は、軸方向の一側外周がスピンドル14の開口端内周側にスプライン結合され、軸方向の他側外周がキャリア38の内周側にスプライン結合されるものである。
【0078】
筒状連結部材51の外周側には、軸方向一側に位置しスピンドル14の雌スプライン部14Fにスプライン結合される第1の雄スプライン部51Aと、軸方向の他側に位置して第1の雄スプライン部51Aよりも小径に形成されキャリア38の雌スプライン部38Fにスプライン結合される第2の雄スプライン部51Bと、前記第1,第2の雄スプライン部51A,51B間に位置して周方向に延びた環状の段差部51Cとが設けられている。
【0079】
第1の雄スプライン部51Aは、図10に示すように直径D1で、軸方向長さである歯幅L1に形成されている。歯幅L1と直径D1との比率(D1/L1)は、下記の数1式に示す如く1よりも大きく、2.5よりも小さい値に設定されている。第1の雄スプライン部51Aに噛合するスピンドル14の雌スプライン部14Fについても、その歯幅と直径との比率が第1の雄スプライン部51Aと同様に設定されている。
【0080】
【数1】

【0081】
第2の雄スプライン部51Bは、図10に示すように直径D2で、軸方向長さである歯幅L2に形成されている。歯幅L2と直径D2との比率(D2/L2)は、下記の数2式に示す如く1よりも大きく、2.5よりも小さい値に設定されている。第2の雄スプライン部51Bに噛合するキャリア38の雌スプライン部38Fについても、その歯幅と直径との比率が第2の雄スプライン部51Bと同様に設定されている。
【0082】
【数2】

【0083】
また、筒状連結部材51の内周側には、軸方向一側が大径となり他側が小径となった段付穴51Dが設けられ、この段付穴51D内には、図3、図4に示すようにシャフト17が挿通されると共に、供給管41の先端側が挿入される。さらに、筒状連結部材51には、図6、図7に示すように、段差部51Cの外周側から径方向外向きに突出する環状のガイド突起51Eが設けられている。該ガイド突起51Eは、エンドリテーナ49の油路49Cを通じて外部から導かれる潤滑油100を、第1の雄スプライン部51A側に向けて案内する潤滑油ガイドを構成している。
【0084】
本実施の形態によるダンプトラック1の走行駆動装置11は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0085】
まず、ダンプトラック1のキャブ5に乗り込んだ運転者が、エンジン8を起動すると、油圧源となる油圧ポンプが回転駆動されると共に、発電機(いずれも図示せず)により発電が行われる。ダンプトラック1の走行駆動時には、前記発電機から走行用モータ16に電力が供給されることにより、走行用モータ16が作動してシャフト17が回転する。
【0086】
このシャフト17の回転は、1段目の遊星歯車減速機構25の太陽歯車26から各遊星歯車28に減速されて伝達され、各遊星歯車28の回転は、内歯車27およびカップリング32を介して2段目の遊星歯車減速機構33の太陽歯車34に減速されて伝達される。2段目の遊星歯車減速機構33では、太陽歯車34の回転が各遊星歯車36に減速されて伝達される。このとき、各遊星歯車36を支持するキャリア38は、別体の筒状連結部材51を用いてスピンドル14の円形筒部14Bにスプライン結合されているため、各遊星歯車36の公転(キャリア38の回転)は拘束される。
【0087】
これにより、各遊星歯車36は、太陽歯車34の周囲で自転のみを行い、車輪取付筒18に固定された内歯車35には、遊星歯車36の自転により減速された回転が伝達され、車輪取付筒18は、1段目の遊星歯車減速機構25と2段目の遊星歯車減速機構33とで2段階に減速された大出力の回転トルクをもって回転する。この結果、駆動輪となる左,右の後輪7は、車輪取付筒18と一体に回転し、ダンプトラック1を走行駆動することができる。
【0088】
スピンドル14から車輪取付筒18内に向けて軸方向に延びるシャフト17は、軸方向の中間部が内側リテーナ42と外側のベアリングリテーナ43とによりシャフトベアリング44を介して回転可能に支持されている。これにより、シャフト17が高速回転したときに、シャフト17の偏心によって軸方向中間部が径方向に撓んだり、芯振れしたりするのをシャフトベアリング44の位置で抑えることができ、シャフト17の耐久性を高めることができる。
【0089】
また、走行駆動装置11の作動時においては、車輪取付筒18内に貯溜された潤滑油100が、車輪取付筒18の回転と第1,第2の遊星歯車減速機構25,33の各遊星歯車28,36等によって順次上方へと掻き上げられ、各歯車の噛合部位、スピンドル14の円形筒部14Bと車輪取付筒18との間の車輪側軸受20,21等に供給される。そして、潤滑油100は順次下方へと滴下し、車輪取付筒18の下部側へと溜められる。
【0090】
車輪取付筒18の下部側に収容された潤滑油100は、前記潤滑ポンプにより吸込管40の下端側から吸い上げられ、オイルクーラ等で冷却された後に供給管41側に吐出される。そして、供給管41の先端側から車輪取付筒18内の減速歯車機構24(即ち、第1,第2の遊星歯車減速機構25,33)に向けて潤滑油100を連続的に供給することができる。
【0091】
また、ダンプトラック1の走行途中で走行速度を減速する場合には、走行用モータ16の回転を減速するだけでは十分な減速効果を発揮できないことがある。このような場合に、ダンプトラック1の運転者はブレーキペダルを踏込んで湿式多板型の油圧ブレーキからなる湿式ブレーキ45にブレーキ圧(圧油)を供給する。これにより、湿式ブレーキ45は、車輪取付筒18と一体に回転するブレーキハブ46に対して制動力を付与することができる。この結果、ダンプトラック1は、車輪取付筒18と一緒に後輪7の回転が減速され、所望の減速効果を得ることができる。
【0092】
ところで、ダンプトラック1の走行駆動装置11は、最終段の遊星歯車減速機構33に用いるキャリア38を、スピンドル14の開口端側に非回転状態で取付けるため、両者の間をスプライン結合部により連結する構成としている。しかし、従来技術で用いているスプライン結合部は、ダンプトラック1の積載重量を、例えば250トン以上まで増大させた場合に必ずしも十分な強度を有するものではなく、更なる改良が望まれている。
【0093】
そこで、本実施の形態によれば、スピンドル14の開口側とキャリア38との間に、別部材からなる筒状連結部材51を設け、該筒状連結部材51よりスピンドル14とキャリア38との間をスプライン結合する構成としている。筒状連結部材51は、図10に示すように単純な形状をなす段付筒状体として形成され、軸方向一側の第1の雄スプライン部51Aがスピンドル14の雌スプライン部14Fにスプライン結合され、軸方向他側の第2の雄スプライン部51Bは、キャリア38の雌スプライン部38Fにスプライン結合される。
【0094】
第2の雄スプライン部51Bは、第1の雄スプライン部51Aよりも小径に形成され、第1の雄スプライン部51Aと第2の雄スプライン部51Bとの間には全周にわたって延びる環状の段差部51Cが形成されている。また、第1の雄スプライン部51Aは、直径D1と歯幅L1との関係が前記数1式を満たすように、比率(D1/L1)が1よりも大きく、2.5よりも小さい値に設定されている。第2の雄スプライン部51Bは、直径D2と歯幅L2との関係が数2式を満たすように、比率(D2/L2)が1よりも大きく、2.5よりも小さい値に設定されている。
【0095】
本実施の形態は、このような構成を採用することにより、従来技術で用いているキャリアの如く、外周側に雄スプラインを有した筒状突出部を一体に設ける必要がなくなり、キャリア38の形状を簡素化することができる。また、別部材からなる筒状連結部材51についても単純な形状に形成することができ、その外周側に雄スプライン部51A,51Bを成形加工するときにホブカッター加工を採用することができる。また、片当たりを防ぐためにクラウニングまたはレリービングと呼ばれる歯面の修整加工を容易に施すことができる。
【0096】
即ち、走行駆動装置11の大型化に伴ってスプライン結合部の強度を高めるためには、例えば雄スプライン部51A,51Bの外径寸法である直径D1,D2を大きくするか、または歯幅L1,L2(スプライン歯の軸方向長さ)を大きくするという方策がある。しかし、走行駆動装置11は、可能な限り小型化を図ることが要求されており、雄スプライン部51A,51Bの直径D1,D2を大きくすることには制約がある。このため、本発明者等は、雄スプライン部51A,51Bの歯幅L1,L2を可能な限り大きくし、これによって、雄スプライン部51Aと雌スプライン部14F(雄スプライン部51Bと雌スプライン部38F)との間における各スプライン歯の単位長さ当たりの負荷を軽減することを検討した。
【0097】
しかし、雄スプライン部51A,51Bの歯幅L1,L2を大きくすると、筒状連結部材51には外部からの回転負荷に伴って軸の傾きや捩れが発生し易くなり、互いに噛合するスプライン歯間で歯面の片当たりが発生する可能性が高くなる。そこで、このようなスプライン歯間での片当たりを防ぎ、歯当たりの均一化を図るため、スプライン歯を成形加工する場合にクラウニングまたはレリービングと呼ばれる歯面の修整加工を施すようにしている。
【0098】
この結果、第1の雄スプライン部51Aと雌スプライン部14Fとのスプライン結合部は、その直径D1を大きくすることなく、回転負荷に対する強度を高めることができ、歯幅L1を可能な限り大きくし、各スプライン歯の単位長さ当たりの負荷を軽減することができる。第2の雄スプライン部51Bと雌スプライン部38Fとのスプライン結合部についても、その直径D2を大きくすることなく、回転負荷に対する強度を高めることができ、歯幅L2を可能な限り大きくし、各スプライン歯の単位長さ当たりの負荷を軽減することができる。
【0099】
しかも、外部からの回転負荷によって筒状連結部材51に軸の傾きや捩れが発生するような場合でも、前述の如き歯面の修整加工(クラウニングまたはレリービング加工)を施すことにより、互いに噛合するスプライン歯間で歯面の片当たりを防ぐことができ、歯幅全体で歯当たりの均一化を図ることができる。
【0100】
また、筒状連結部材51の軸方向中間部には、第1,第2の雄スプライン部51A,51B間に位置して環状の段差部51Cを設け、スピンドル14の開口側端面で車輪側軸受21の位置決めを行うエンドリテーナ49の内周側には、段差部51Cに広い接触面積をもって当接する抜止め部49Aを設ける構成としている。これにより、筒状連結部材51をスピンドル14の開口端側に抜止め状態で取付けることができる。
【0101】
一方、スピンドル14の内周側でシャフトベアリング44の外輪側を支持するベアリングリテーナ43には、筒状連結部材51の軸方向一側の端面に向けて突出する筒状突出部43Bを設けている。この筒状突出部43Bを筒状連結部材51の端面に当接させることにより、筒状連結部材51をスピンドル14内で軸方向に位置決めすることができる。
【0102】
この結果、筒状連結部材51は、その軸方向一側(第1の雄スプライン部51A側)の端面がベアリングリテーナ43の筒状突出部43Bに当接され、軸方向中間の環状の段差部51Cは、エンドリテーナ49の抜止め部49Aに当接される。これにより、筒状連結部材51を筒状突出部43Bと抜止め部49Aとの間で軸方向両側から挟むことができ、筒状連結部材51をスピンドル14に対して安定した状態で、軸方向に抜止めできると共に、周方向での廻止めを行い、正確な位置決めを行うことができる。
【0103】
また、エンドリテーナ49に形成した複数の油路49Cにより、遊星歯車減速機構33に供給された潤滑油100の一部を筒状連結部材51の外周側に導きつつ、第1の雄スプライン部51A側を潤滑することができ、第1の雄スプライン部51Aと雌スプライン部14Fとのスプライン結合部における潤滑油不足を防ぐことができる。エンドリテーナ49の外周面に形成したテーパ面部49Dは、遊星歯車減速機構33に供給された潤滑油100の一部(オイルミストを含む)を油路49Cに向けて捕集しながら流下させることができる。
【0104】
また、筒状連結部材51には、段差部51Cの外周側に潤滑油ガイドとなるガイド突起51Eを設けることにより、筒状連結部材51の外周側に形成した第1,第2の雄スプライン部51A,51Bのうち外径寸法が大きい第1の雄スプライン部51Aに向けて、油路49Cから導かれる潤滑油を案内することができ、この潤滑油により第1の雄スプライン部51Aと雌スプライン部14Fとの間を潤滑状態に保つことができる。
【0105】
第2の雄スプライン部51Bとキャリア38の雌スプライン部38Fとのスプライン結合部については、車輪取付筒18の回転、各遊星歯車36の自転運動に伴って車輪取付筒18内に発生する潤滑油100のオイルミスト等により両者の歯面間を潤滑状態に保つことができる。
【0106】
さらに、筒状連結部材51の外径寸法(例えば、直径D1)が300mm以上となる大型の走行駆動装置11であっても、雄スプライン部51A,51Bの歯幅と直径との比率を、前記数1,2式を満たすように設定することにより、雄スプライン部51A,51Bの歯幅D1,D2を可能な限り大きくし、各スプライン歯の単位長さ当たりの負荷を軽減することができる。
【0107】
しかも、筒状連結部材51とスピンドル14とのスプライン結合部および筒状連結部材51とキャリア38とのスプライン結合部には、それぞれの歯面にクラウニングまたはレリービング加工を施すことにより、外部からの回転負荷によって筒状連結部材51に軸の傾きや捩れが発生するような場合でも、互いに噛合するスプライン歯間で歯面の片当たりを防ぐことができ、各歯面の歯当たりを歯幅全体で均一化することができる。
【0108】
なお、前記実施の形態では、減速歯車機構24を1段目,2段目の遊星歯車減速機構25,33により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば減速歯車機構を1段または3段以上の遊星歯車減速機構により構成してもよいものである。
【0109】
また、前記実施の形態では、後輪駆動式のダンプトラック1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば前輪駆動式または前,後輪を共に駆動する4輪駆動式のダンプトラックに適用してもよいものである。
【符号の説明】
【0110】
1 ダンプトラック
2 車体
3 ベッセル
5 キャブ
6 前輪
7 後輪(車輪)
8 エンジン
9 ホイストシリンダ
10 作動油タンク
11 走行駆動装置
12 アクスルハウジング
13 筒状体
14 スピンドル
14F 雌スプライン部(スプライン結合部)
16 走行用モータ(駆動源)
17 シャフト
18 車輪取付筒
20,21 車輪側軸受
22 外側ドラム
23 長尺ボルト
24 減速歯車機構
25,33 遊星歯車減速機構
38 キャリア
38F 雌スプライン部(スプライン結合部)
40 吸込管
41 供給管
43 ベアリングリテーナ
43B 筒状突出部(位置決め突起)
44 シャフトベアリング
45 湿式ブレーキ
49 エンドリテーナ
49A 抜止め部
49C 油路
51 筒状連結部材
51A 第1の雄スプライン部(スプライン結合部)
51B 第2の雄スプライン部(スプライン結合部)
51C 環状の段差部
51E ガイド突起(潤滑油ガイド)
100 潤滑油
D1,D2 直径
L1,L2 歯幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンプトラックの車体に非回転状態で取付けられ先端側が筒状のスピンドルとなって開口したアクスルハウジングと、該アクスルハウジングのスピンドル内を軸方向に伸長して設けられ駆動源により回転駆動されるシャフトと、前記スピンドルの外周側に車輪側軸受を介して回転可能に設けられ車輪が取付けられる車輪取付筒と、該車輪取付筒と前記スピンドルとの間に設けられ該車輪取付筒に対し前記シャフトの回転を減速して伝える遊星歯車減速機構とを備え、
該遊星歯車減速機構の一部を構成し複数の遊星歯車を支持ピンを介して回転可能に支持するキャリアを、前記スピンドルの開口端側に非回転状態で取付ける構成としてなるダンプトラックの走行駆動装置において、
前記スピンドルと前記キャリアとの間には、別部材からなる筒状体として形成され内周側に前記シャフトが挿通される筒状連結部材を設け、
該筒状連結部材は、軸方向の一側外周が前記スピンドルの開口端内周側にスプライン結合され、軸方向の他側外周が前記キャリアの内周側にスプライン結合される構成としたことを特徴とするダンプトラックの走行駆動装置。
【請求項2】
前記筒状連結部材の外周側には、軸方向一側に位置し前記スピンドルにスプライン結合される第1の雄スプライン部と、軸方向の他側に位置して該第1の雄スプライン部よりも小径に形成され前記キャリアにスプライン結合される第2の雄スプライン部と、前記第1,第2の雄スプライン部間に位置して周方向に延びた環状の段差部とを設け、
前記スピンドルの開口側端面には、前記車輪取付筒をスピンドルの外周側で回転可能に支持する前記車輪側軸受の位置決めを行うエンドリテーナを設け、
該エンドリテーナの内周側には、前記筒状連結部材の前記段差部に当接し前記スピンドルに対して前記筒状連結部材の抜止めを行う抜止め部を設ける構成としてなる請求項1に記載のダンプトラックの走行駆動装置。
【請求項3】
前記エンドリテーナには、前記スピンドルの開口側端面との間に位置して径方向外側から内側へと延び前記遊星歯車減速機構に供給された潤滑油の一部を前記雄スプライン部に導く油路を形成してなる請求項2に記載のダンプトラックの走行駆動装置。
【請求項4】
前記筒状連結部材には、前記油路を通じて導かれる前記潤滑油を前記第1,第2の雄スプライン部のうち前記第1の雄スプライン部に向けて案内する潤滑油ガイドを設けてなる請求項2または3に記載のダンプトラックの走行駆動装置。
【請求項5】
前記スピンドルの内周側には、前記シャフトの軸方向中間部を内輪側で回転可能に支持するシャフトベアリングと、該シャフトベアリングの外輪側を前記スピンドルの内周側に固定状態で支持するベアリングリテーナとを設け、
該ベアリングリテーナには、前記筒状連結部材の軸方向一側の端面に向けて突出し、この端面に当接することにより前記筒状連結部材を前記スピンドル内で軸方向に位置決めする位置決め突起を設けてなる請求項1,2,3または4に記載のダンプトラックの走行駆動装置。
【請求項6】
前記筒状連結部材は、スプラインの直径を300mm以上とし、スプラインの歯幅と直径との比率を、(直径)/(歯幅)<2.5に設定し、
前記筒状連結部材とスピンドルとのスプライン結合部および前記筒状連結部材とキャリアとのスプライン結合部は、それぞれの歯面にクラウニングまたはレリービング加工を施し各歯面の歯当たりを歯幅全体で均一化する構成としてなる請求項1,2,3,4または5に記載のダンプトラックの走行駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−60049(P2013−60049A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198480(P2011−198480)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】