説明

チオフェン−2−カルボキサミド誘導体、それらの製造、および治療適用

本発明は、式(I)
【化1】


の化合物、ならびにそれらの塩、溶媒和物および水和物に関し、ここでR1がHまたはC1−C4アルキルであり、R2がC4−C10アルキル、炭素環式基、複素環式基、ラジカルを支持するアルキレン基、NR910基であり、ここで、R1およびR2は、結合部である窒素原子と一緒になって、ピペラジン−1−イルまたは4−置換1,4−ジアゼパン−1−イルのいずれかであり、R11がH、C1−C4アルキル、またはC3−C7シクロアルキルである。本発明はさらに、それらの製造方法および治療適用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、チオフェン−2−カルボキサミド誘導体、それらの製造、およびそれらの治療適用である。
【背景技術】
【0002】
CB1カンナビノイドレセプターに対する親和性を有するジフェニルピラゾール誘導体が、特に、特許US5624941、EP0576357、EP0656354、およびEP1150961に記載されている。
【0003】
5,6−ジフェニル−2−ピラジンカルボキサミド誘導体が、CB1レセプターアンタゴニストとして国際特許出願WO03/051850に記載されている。
【0004】
1,2−ジフェニル−4−イミダゾールカルボキサミド誘導体が、CB1レセプターアゴニスト、部分アゴニスト、またはアンタゴニストとして国際特許出願WO03/027076に記載されている。
【0005】
鎮痛性を有する4,5−ジアリールチオフェン誘導体が、国際出願WO91/19708に記載されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
現在、CB1カンナビノイドレセプターに対してアンタゴニスト特性を有する新規なチオフェン−2−カルボキサミド誘導体が、見出されている。従って、本発明の主題は、以下の式(I):
【化1】

に対応する化合物、ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物、およびそれらの水和物であり、
【0007】
ここで、
1が水素または(C1−C4)アルキルを表し;
2が以下:
(C4−C10)アルキル基;
非芳香族C3−C12炭素環式基(非芳香族C3−C12炭素環式基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基、(C1−C4)アルコキシ基、またはヒドロキシル基で置換されている);
1,2,3,4−テトラヒドロナフチル−1または1,2,3,4−テトラヒドロナフチル−2;
5〜7個の原子の飽和一酸素含有複素環基または飽和一硫黄含有複素環基(飽和一酸素含有複素環基または飽和一硫黄含有複素環基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている);
5〜7個の原子の飽和一窒素含有複素環基(窒素原子は、(C1−C4)アルキル基、フェニル基、ベンジル基、(C1−C4)アルコキシカルボニル基、または(C1−C4)アルカノイル基で置換されている);
非芳香族C3−C10炭素環式基を有する(C1−C3)アルキレン基((C1−C3)アルキレン基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている);
フェニルアルキレン基(ここで、アルキレンは(C1−C3)であり、フェニルアルキレン基は非置換であるか、またはアルキレンを1つまたはそれ以上のメチル基で置換され、そして/またはフェニルアルキレン基は、フェニルを1つまたはそれ以上の同じかまたは異なる以下:ハロゲン原子、または(C1−C4)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C1−C4)アルコキシ基、もしくはトリフルオロメトキシ基から選択される置換基で置換されている;
メチレン(メチレンは、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、チエニル基、またはフリル基で置換されており、前記基は、非置換であるか、または1つまたはそれ以上の(C1−C4)アルキル基で置換されている);
NR910基;
を表すか
【0008】
またはR1およびR2は、それらが結合する窒素と一緒になって、ピペラジン−1−イル基もしくは1,4−ジアゼパン−1−イル基(ピペラジン−1−イル基もしくは1,4−ジアゼパン−1−イル基は、4位でフェニル基またはベンジル基で置換されている)、またはピペリジン−1−イル基もしくはピロリジン−1−イル基(ピペリジン−1−イル基もしくはピロリジン−1−イル基はフェニル基、ベンジル基、(C1−C4)アルキル基、ヒドロキシル基、(C1−C4)アルコキシ基、シアノ基、(C1−C3)アルカノイル基、(C1−C4)アルコキシカルボニルアミノ基、または(C1−C3)アルカノイルアミノ基で一置換、またはgem−二置換されている)のいずれかを構成し;フェニル基またはベンジル基は、非置換であるか、または、1回または数回、ハロゲン原子、および/または(C1−C4)アルキル基、および/または(C1−C4)アルコキシ基、および/またはトリフルオロメチル基で置換され;
3、R4、R5、R6、R7、R8が各々互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子、または(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、またはS(O)nAlk基を表し;
9が水素原子またはメチル基を表し;
10が(C3−C6)アルキル基、フェニル基、またはC3−C10シクロアルキル基を表し、前記フェニル基およびシクロアルキル基は、非置換であるか、または1つまたはそれ以上のハロゲン原子および/または(C1−C4)アルキル基で置換されているか;
またはR9およびR10が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、架橋されているか、または架橋されていない、スピロ炭素を含むか、または含まない、かつOまたはNから選択される第2のヘテロ原子を含むか、または含まない、5〜11個の原子の飽和または不飽和の複素環基を構成し、前記基は非置換であるか、またはヒドロキシル基またはフェニル基で、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基および/または(C1−C4)アルコキシ基で置換されており;
11が、水素原子、または(C1−C4)アルキル基、もしくは(C3−C7)シクロアルキル基を表し;
nが0、1、または2を表し;
Alkが(C1−C4)アルキル基を表す。
【0009】
式(I)の化合物は、1つまたはそれ以上の不斉炭素原子を含んでもよい。従って、式(I)の化合物は、エナンチオマーまたはジアステレオアイソマーの形態で存在し得る。これらのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびそれらの混合物(ラセミ混合物を含む)は、本発明の一部を形成する。
【0010】
式(I)の化合物は、塩基または酸付加塩の形態で存在し得る。これらの塩は、薬学的に受容可能な塩を用いて有利に製造されるが、例えば、式(I)の化合物の精製または単離に有用な他の酸の塩もまた本発明の一部を形成する。
【0011】
語句アルキル基とは、特に以下:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルのような直鎖基または分枝鎖基を意味することが理解され、(C1−C4)アルキル基は、好ましくは、メチル基であり、(C3−C6)アルキルは、好ましくは、tert−ブチル基、2−メチルブタ−2−イル基、または3,3−ジメチルブタ−2−イル基である。
【0012】
語句アルキレン基とは、直鎖二価基または分枝鎖二価基を意味することが理解され、メチレン、1−メチルメチレン、およびエチレンが好ましい。
【0013】
語句アルコキシ基とは、直鎖基または分枝鎖基を意味することが理解され、メトキシ基が好ましい。
【0014】
語句ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味することが理解され、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子が好ましい。
【0015】
非芳香族C3−C12炭素環式基は、縮合または架橋された、単環式基または多環式基を含む。単環式基としては、シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられ;シクロヘキシルおよびシクロペンチルが好ましい。縮合された二環式基もしくは三環式基、架橋された二環式基もしくは三環式基、またはスピロ二環式基もしくはスピロ三環式基としては、例えば、ノルボルニル、ボルニル、イソボルニル、ノルアダマンチル、アダマンチル、スピロ[5.5]ウンデカニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、およびビシクロ[3.1.1]ヘプチルの基が挙げられる。
【0016】
語句、OまたはNのような第2のヘテロ原子を含むか、または含まない、5〜11個の原子の飽和または不飽和の複素環基とは、以下:モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2−イル、ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2−イル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、および8−アザ[4.5]デカニルの基のような基を意味することが理解され、ピペリジン−1−イル基およびモルホリン−4−イル基が好ましい。
【0017】
語句、5〜7個の原子の飽和一窒素含有複素環基とは、以下:ピペリジン−4−イルまたはピロリジン−3−イルのような基を意味することが理解され、ペリジン−4−イル基が好ましい。
【0018】
語句、5〜7個の原子の飽和一酸素含有複素環基とは、以下:テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−2H−ピラニル、またはオキセパニル(oxepanyl)のような基を意味することが理解され;テトラヒドロフラニルが好ましい。
【0019】
本発明に従って、式(I)の化合物、ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物、およびそれらの水和物を識別することができ、ここで:
1が水素または(C1−C4)アルキルを表し;
2が以下:
(C4−C10)アルキル基;
非芳香族C3−C12炭素環式基(非芳香族C3−C12炭素環式基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている);
1,2,3,4−テトラヒドロナフチル−1または1,2,3,4−テトラヒドロナフチル−2;
5〜7個の原子の飽和一酸素含有複素環基または飽和一硫黄含有複素環基(飽和一酸素含有複素環基または飽和一硫黄含有複素環基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている);
5〜7個の原子の飽和一窒素含有複素環基(窒素原子は、(C1−C4)アルキル基、フェニル基、ベンジル基、(C1−C4)アルコキシカルボニル基、または(C1−C4)アルカノイル基で置換されている);
非芳香族C3−C10炭素環式基を有する(C1−C3)アルキレン基((C1−C3)アルキレン基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている);
フェニルアルキレン基(ここで、アルキレンは(C1−C3)であり、フェニルアルキレン基は、非置換であるか、またはアルキレンを1つまたはそれ以上のメチル基で置換され、そして/またはフェニルアルキレン基は、フェニルを1つまたはそれ以上の同じかまたは異なる以下:ハロゲン原子、または(C1−C4)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C1−C4)アルコキシ基、またはトリフルオロメトキシ基から選択される置換基で置換されている);
メチレン(メチレンは、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、チエニル基、またはフリル基で置換されて、前記基は、非置換であるか、または1つまたはそれ以上の(C1−C4)アルキル基で置換されている);
NR910基;
を表すか、
【0020】
またはR1およびR2が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピペラジン−1−イル基もしくは1,4−ジアゼパン−1−イル基(ピペラジン−1−イル基もしくは1,4−ジアゼパン−1−イル基は、4位でフェニル基またはベンジル基で置換されている)、またはピペリジン−1−イル基もしくはピロリジン−1−イル基(ピペリジン−1−イル基もしくはピロリジン−1−イル基は、フェニル基、ベンジル基、(C1−C4)アルキル基、ヒドロキシル基、(C1−C3)アルカノイル基、または(C1−C4)アルコキシカルボニルアミノ基で一置換またはgem−二置換されている)のいずれかを構成し;フェニル基またはベンジル基は、非置換であるか、または1回または数回、ハロゲン原子および/またはメチル基で置換され;
3、R4、R5、R6、R7、R8が各々互いに独立して、水素原子もしくはハロゲン原子、または(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、もしくはS(O)nAlk基を表し;
9が水素原子またはメチル基を表し;
10が(C3−C6)アルキル基、フェニル基、またはC3−C10シクロアルキル基を表し、フェニル基およびシクロアルキル基は、非置換であるか、または1つまたはそれ以上のハロゲン原子および/もしくは(C1−C4)アルキル基で、またはハロゲン原子で置換されているか;
またはR9およびR10がそれらが結合する窒素原子と一緒になって、架橋されるか、または架橋されていない、スピロ炭素を含むか、または含まない、かつOまたはNから選択される第2のヘテロ原子を含むか、または含まない、5〜11個の原子の飽和または不飽和の複素環基を構成し、前記基は、非置換であるか、またはヒドロキシル基またはフェニル基で、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されており;
11が水素原子を表し;
nが0、1、または2を表し;
Alkが(C1−C4)アルキル基を表す。
【0021】
本発明に従って、式(I)の化合物、ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物、およびそれらの水和物を識別することができ、ここで:
1が水素または(C1−C4)アルキルを表し;
2が(C7−C10)アルキル基を表し;
他の置換基は(I)に定義される通りである。
【0022】
本発明に従って、式(I)の化合物、ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物、およびそれらの水和物もまた識別することができ、ここで:
11が(C1−C4)アルキル基または(C3−C7)シクロアルキル基を表し;
他の置換基は(I)について上に定義される通りである。
【0023】
本発明に従って、式(I)の化合物、ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物、およびそれらの水和物が好ましく、ここで:
1およびR2がそれらが結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル基(ピペリジン−1−イル基は、ベンジル基またはフェニル基でgem−二置換され、ベンジル基またはフェニル基は非置換であるか、またはハロゲン原子で、および(C1−C3)アルカノイル基またはシアノ基で置換されている)を構成するか;
またはR1が水素を表し;
そして/またはR2が基NR910を表し、ここでR9およびR10はそれらが結合する窒素原子と一緒になって、5〜11個の炭素原子の飽和複素環基を構成し、飽和複素環基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキルで置換されており;
そして/またはR2が非芳香族C3−C10炭素環式基を表し、非芳香族C3−C10炭素環式基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されており;
そして/またはR2がベンジル基を表し、ベンジル基は、フェニルを1つまたはそれ以上の同じかまたは異なる以下:ハロゲン原子、または(C1−C4)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C1−C4)アルコキシ基、もしくはトリフルオロメトキシ基から選択される置換基で置換されており;
そして/またはR3、R4、R5、R6、R7、R8が各々互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し、好ましくは、R3が4−クロロまたは4−ブロモであり、そしてR6およびR7が2,4−ジクロロを表し、R4、R5、およびR8が水素原子を表す。
【0024】
本発明は、特に以下の化合物に関する:
4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−N−ピペリジン−1−イルチオフェン−2−カルボキサミド;
2−{[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−2−チエニル]カルボニル}オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;
1−(1−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−チエニル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン;
1−(1−{[4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−チエニル]カルボニル}−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン。
【0025】
本発明の主題はまた、本発明に従う化合物を製造する方法である。
【0026】
本方法は、以下の式(II):
【化2】

(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR11は(I)について定義される通りである)の酸または式のこの酸の機能的誘導体が、式HNR12(III)(ここで、R1およびR2は(I)について定義される通りである)のアミンで処理されることを特徴とする。場合により、このように得られた化合物は、その塩または溶媒和物の1つに変換される。
【0027】
酸(II)の機能的誘導体について、酸塩化物、無水物、混合無水物、C1−C4アルキルエステル(ここで、アルキルは直鎖または分枝鎖の活性化エステル、例えばp−ニトロフェニルエステルである)、または必要に応じて、例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、またはベンゾトリアゾール−1−イルオキソトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、もしくはベンゾトリアゾール−1−イルオキソトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)を用いて活性化された遊離酸を使用することが可能である。
【0028】
従って、本発明に従う方法において、塩素系溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン)、またはアミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)のような不活性溶媒中、不活性雰囲気下、0℃〜室温にて、第3級アミン(例えば、トリエチルアミン、N−メチル−モルホリン、またはピリジン)の存在下、塩化チオニルと式(II)の酸との反応によって得られたピラゾール−3−カルボン酸の塩化物と、アミンHNR12とを反応させることが可能である。
【0029】
改良法は、トリエチルアミンのような塩基の存在下、エチルクロロホルメートと、式(II)の酸とを反応させることによって式(II)の酸の混合無水物を製造する工程、およびジクロロメタンのような溶媒中、不活性雰囲気下、室温にて、トリエチルアミンのような塩基の存在下、その酸の混合無水物とアミンHNR12を反応させる工程にある。
【0030】
11が水素原子を表す場合、式(II)の化合物は、F.Vogtle et al.,Chem.,Ber.,1983,116,3112−3124に従って製造され、そして以下のスキームにおいて報告され得る:
【化3】

【0031】
式(IV)の化合物の製造を、国際特許出願WO03/007887に記載される方法に従って行う。
【0032】
工程b1)において、トリエチルアミンの存在下、メルカプト酢酸との環化を行う。
【0033】
11が水素以外である場合、式(V)の化合物を上記のスキーム1に従って製造し、次いで、以下に記載される通りの手順を行う:
【化4】

【0034】
工程a2)において、式(V)の化合物を式R11MgX(ここで、R11は(I)について定義される通りであり、そしてXはハロゲン原子(臭素が好ましい)を表す)の有機マグネシウムを用いて処理する。
【0035】
このように得られた式(VI)の化合物を、工程b2)において、酸化剤(例えば、MnO2、重クロム酸ピリジニウム(PDC)、クロロクロム酸ピリジニウム、またはDess D.B.,Martin J.C.,J.Am.Chem.Soc.,1991,113,7277−7287に記載されるDess−Martin試薬)を用いて処理する。工程c2)において、DBUの存在下、メルカプト酢酸エステルとの環化を行い、次いで、得られたエステルを水酸化ナトリウムを用いて加水分解し、式(II)の酸を形成する。
【0036】
以下の実施例は、本発明に従ういくつかの化合物の製造を記載する。これらの実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するためだけのものである。例示された化合物番号は、以下の表において与えられた番号を表し、これは、本発明に従ういくつかの化合物の化学構造および物理学的特性を説明する。
【0037】
実施例において、以下の略語が使用される:
m.p.:融点
AcOEt:酢酸エチル
BOP:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
RT:室温
TBTU:O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
DCM:ジクロロメタン
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン。
【0038】
核磁気共鳴スペクトルは、DMSO−d6中、200MHzで記録される。スペクトルを説明するために、以下の略語が使用される:s:一重項、d:二重項、t:三重項、m:未解析複合体、mt:多重項、bs:幅広い一重項。
【0039】
本発明に従う化合物を、LC/UV/MS(液体クロマトグラフィー/UV測定/質量分析)カップリングによって分析する。分子ピーク(MH+)および保持時間(t)(分)を測定する。
【0040】
Watersにより販売されているXterra Waters(登録商標)MS C18カラム(2.1×30mm、3.5μm)を、室温にて、流速1ml/分で使用する。
【0041】
溶出液を以下のように作製する:
−溶媒A:水中、0.025%のトリフルオロ酢酸(TFA)、
−溶媒B:アセトニトリル中、0.025%のTFA。
勾配:溶媒Bのパーセンテージは、2分間にわたって0〜100%に変化させ、1分間100%のBで一定に保つ。
【0042】
UV測定を210nmと400nmとの間で行い、そして質量測定を大気圧下にて化学イオン化モードで行う。
【0043】
〔実施例〕
実施例1:化合物27
4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−N−ピペリジン−1−イルチオフェン−2−カルボキサミド
A)3−クロロ−2−(4−クロロフェニル)−3−(2,4−ジクロロフェニル)−アクリルアルデヒド
POCl3(7ml)を、窒素下、−5℃に冷却したDMF(6.6ml)のジクロロエタン溶液(4ml)に滴下し、次いで、温度を上げ、そして2−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)エタノン(7g)を添加する。反応媒体を16時間、50℃にて加熱し、次いでこの混合物を氷水(100ml)に注ぐ。媒体をDCMで抽出し、次いで有機相を飽和NaHCO3溶液、水、次いでNaCl溶液を用いて洗浄する。予想した化合物(1.45g)を得、この化合物をイソプロピルエーテルから結晶化させる、m.p.=128℃
B)4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)チオフェン−2−カルボン酸
前記工程における化合物(1.40g)を、氷浴で冷却したピリジン(1ml)に入れ、次いで、メルカプト酢酸(0.28ml)およびトリエチルアミン(1.24ml)を滴下する。媒体を室温まで戻し、30分間撹拌し続け、次いで、70℃にて3時間加熱する。媒体を室温まで冷却し、次いで、EtOH(2ml)で希釈し、KOH(0.57g)のEtOH溶液(4ml)を添加し、そしてこの媒体を還流下3時間加熱する。反応媒体を氷冷10%HCl溶液(100ml)に注ぐ。形成された沈殿物を濾過し、次いで水で洗浄し、そして乾燥させる。予想した化合物(1.20g)を得る。
C)4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−N−ピペリジン−1−イルチオフェン−2−カルボキサミド
上記の工程で得られた化合物(0.60g)を、DCM(15ml)に入れ、そしてトリエチルアミン(0.54ml)、次いで1−アミノ−ピペリジン(0.18ml)を添加し、0℃にて、BOP(0.80g)を添加する。この媒体を室温にて3時間撹拌し続け、次いでこの反応媒体を氷水に注ぐ。この媒体をDCMで抽出し、水、次いで飽和NaCl溶液で洗浄する。この媒体を、AcOEt/トルエン(10/90;v/v)混合物で溶出するシリカのクロマトグラフィーに供し、次いで予想した生成物をDCM/イソプロピルエーテル混合物から結晶化させる。90mgを得る、m.p.=232℃。
【0044】
実施例2:化合物33
4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−N−ピペリジン−1−イルチオフェン−2−カルボキサミド
A)4−クロロ−3−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−ブタ−3−エン−2−オール
実施例1の工程Aで得られた化合物(4g)を、無水THF(40ml)に入れ、次いで−20℃にて、メチル臭化マグネシウム(12.72ml)のTHF標準溶液を添加し、そして温度を室温まで上げる。NH4Clを添加し、そして媒体を酢酸エチルで抽出する。有機相をMgSO4上で乾燥させ、そしてエバポレートで除去する。得られた生成物を、ヘプタン/AcOEt混合物で溶出するシリカのクロマトグラフィーに供する。予想した化合物(1.3g)得る。
B)4−クロロ−3−(4−クロロフェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−ブタ−3−エン−2−オン
上記の工程で得られた化合物(1g)を、DCM(30ml)に入れ、そして4Åモレキュラーシーブ(2.6g)を添加し、次いで重クロム酸ピリジニウム(2.5g)を添加する。室温にて24時間後、この媒体をCelite(登録商標)で濾過し、そしてこの溶媒を乾燥状態までエバポレートする。この生成物をヘプタン/AcOEt混合物で溶出するシリカのクロマトグラフィーに供する。予想した生成物(1g)を得る。
MH+=359、t=11.81分。
C)メチル4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチルチオフェン−2−カルボキシレート
上記の工程で得られた化合物(1g)をアセトニトリル(25ml)に入れ、そしてメチルチオグリコレート(0.37ml)、次いでDBU(0.34ml)を添加し、そしてこの媒体を24時間室温にて撹拌し続ける。この溶媒を乾燥状態までエバポレートし、そしてこの媒体を酢酸エチルで抽出し、NH4Cl、次いで0.5N HCl溶液で洗浄する。有機相をMgSO4上で乾燥させ、エバポレートして除去する。この生成物を、ヘプタン/AcOEt混合物で溶出するシリカのクロマトグラフィーに供する。予想した生成物(0.5g)を得る。
【0045】
D)4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチルチオフェン−2−カルボン酸
上記の工程で得られた化合物(0.5g)を、MeOH(20ml)に入れ、そしてNaOH(0.0486g)を添加する。この媒体を室温にて24時間撹拌し続け、次いでこの反応媒体をエバポレートして除去する。有機不純物をエーテルで抽出し、そしてこの水相をpH=1に酸性化する。この酸を酢酸エチルで抽出し、そしてこの有機相を乾燥させ、次いでエバポレートして除去する。予想した生成物(260mg)を得る。
E)4−(4−クロロフェニル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−3−メチル−N−ピペリジン−1−イルチオフェン−2−カルボキサミド
上記の工程で化合物(0.25g)をDCM(15ml)に入れ、そしてトリエチルアミン(0.22ml)、次いでN−アミノピペリジン(0.063g)、およびTBTU(0.222g)を添加し、そしてこの媒体を24時間室温にて撹拌し続ける。この反応媒体を乾燥状態までエバポレートし、水を添加し、そしてこの媒体をAcOEtで抽出し、そして0.5N水酸化ナトリウム溶液で洗浄する。この有機相を乾燥させ、乾燥状態までエバポレートする。生成物をエーテルから結晶化させる。予想した生成物(0.2g)得る。
MH+=481、t=12.10。
【0046】
以下の表は、本発明に従ういくつかの化合物の化学構造および物理学的特性を示す。この表において、Me、Et、tBuは、それぞれメチル基、エチル基、およびtert−ブチル基を表す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
【表7】

【0054】
【表8】

【0055】
M.Rinaldi−Carmona et al.(FEBS Letters,1994,350,240−244)によって記載される実験条件下、式(I)の化合物は、インビトロでCB1カンナビノイドレセプターに対して、良好な親和性を有する(IC50≦5×10-7M)。
【0056】
式(I)の化合物のアンタゴニスト性は、M.Rinaldi−Carmona et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,278,871−878およびM.Bouaboula etal.,J.Biol.Chem.,1997,272,22330−22339に記載されるようなアデニル酸シクラーゼ阻害モデルにおいて得られる結果によって実証されている。
【0057】
本発明に従う化合物は、Rinaldi−Carmona et al.(J.Pharmacol.Exp.,1998,284,644−650)によって記載された実験条件に従って、静脈内投与および/または経口投与後のマウスにおいて、インビボで試験された(エキソビボでの結合)。
【0058】
式(I)の化合物の毒性は、医薬としてのそれらの用途と適合する。
【0059】
本発明の別の局面に従って、本発明は、CB1カンナビノイドレセプターに関連する障害を処置または予防することを意図する医薬を製造するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物の1つの使用に関する。
【0060】
限定されないが、例えば、式(I)の化合物は、特に、以下:不安、うつ病、気分障害、不眠症、精神錯乱、強迫障害、一般的な精神病、統合失調症が挙げられる精神障害の処置、ならびに特に、薬物乱用および/または薬物依存(アルコール依存およびニコチン依存が挙げられる)の場合における向精神剤の使用に関連する障害の処置のための向精神薬として有用である。
【0061】
本発明に従う式(I)の化合物は、片頭痛、ストレス、心身性の疾患、パニック発作、てんかん発作、動作障害(特に運動障害またはパーキンソン病)、身震い、および失調を処置するための医薬として使用され得る。
【0062】
本発明に従う式(I)の化合物はまた、記憶障害、認識力障害の処置、特に、老人性痴呆症、アルツハイマー病の処置、および注意障害または不眠症の処置における医薬として使用され得る。さらに、式(I)の化合物は、虚血、頭蓋外傷の処置、および神経変性疾患(舞踏病、ハンチントン舞踏病、トゥレット症候群が挙げられる)の処置における神経保護剤として有用であり得る。
【0063】
本発明に従う式(I)の化合物は、疼痛:神経因性疼痛、急性末梢性疼痛、炎症性の慢性疼痛の処置における医薬として、使用され得る。
【0064】
本発明に従う式(I)の化合物は、食欲障害、渇望障害(craving disorder)(糖、炭水化物、薬物、アルコール、または任意の食欲をそそる物質(appetizing substance)に対する)、および/または摂食障害の処置における医薬(特に、食欲抑制物)として、または肥満症もしくは過食症の処置のため、および2型糖尿病もしくは非インシュリン依存糖尿病の処置のため、および代謝症候群の異常脂質血症の処置のための医薬として使用され得る。さらに、本発明に従う式(I)の化合物は、以下:胃腸障害、下痢性障害、潰瘍、嘔吐、膀胱障害もしくは泌尿器障害、内分泌腺性の障害、心臓血管疾患、低血圧症、出血性ショック、敗血症性ショック、肝臓の慢性肝硬変、非アルコール性肝臓脂肪症、喘息、レイノー症候群、緑内障、不妊症、炎症性現象(inflammatory phenomena)、免疫系疾患、特に、自己免疫疾患および神経炎症性疾患(neuroinflammatory diseases)(例えば、関節リウマチ、反応性関節炎)、脱髄を引き起こす疾患、多発性硬化症、感染症およびウイルス性疾患(例えば、脳炎)、脳卒中の処置における医薬として、ならびに抗癌化学療法のため、ギランバレー症候群の処置のため、および骨粗鬆症の処置のための医薬として使用され得る。
【0065】
本発明に従って、式(I)の化合物は、精神異常、特に、統合失調症;多動児(MBD)の注意欠陥多動性障害(ADHD)の処置に;食欲障害および肥満症の処置に;記憶障害および認識障害の処置に;アルコール依存症、ニコチン依存症(すなわち、禁酒および禁煙)の処置に;および異常脂質血症および代謝症候群の処置に特に有用である。
【0066】
本発明の1つの局面に従って、本発明は、上記の意図される障害および疾患を処置するための、式(I)の化合物、その薬学的に受容可能な塩、およびそれらの溶媒和物もしくは水和物の使用に関する。
【0067】
本発明に従う化合物は、一般に投薬単位形態で投与される。
【0068】
前記投薬単位は、好ましくは、活性成分が薬学的賦形剤と混合されている薬学的組成物に処方される。
【0069】
本発明の別の局面に従って、本発明は、活性成分として式(I)の化合物、その薬学的に受容可能な塩の1つ、またはそれらの溶媒和物の1つを含有する薬学的組成物に関する。
【0070】
上記の式(I)の化合物、およびその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物が、処置される動物の体重1kgあたり0.01〜100mgの日用量、好ましくは0.02〜50mg/kgの日用量で使用され得る。ヒトにおいて、処置される被験体の年齢または処置の種類(すなわち、予防法または治療法)に従って、用量は、好ましくは、1日あたり0.05〜4000mg、より詳細に、1日あたり0.1〜1000mgで変更し得る。これらの投薬量は平均的な状況の例であるが、高投薬量または低投薬量が適切である具体的事例があり得、このような投薬量もまた本発明に包含される。慣行に従って、各患者に適切な投薬量は、投薬の様式、前記患者の年齢、体重、および反応に従って、医者によって決定される。
【0071】
経口投与、舌下投与、吸入投与、皮下投与、筋内投与、静脈内投与、経皮投与、局所投与、または直腸投与のための本発明の薬学的組成物において、活性成分は、従来の薬学的キャリアと混合された投薬単位形態で、動物およびヒトに投与され得る。投薬に適切な単位形態としては、錠剤、ゼラチンカプセル、粉末、顆粒、および経口溶液もしくは経口懸濁液のような経口経路による形態、舌下投与もしくは口腔投与、エアロゾルのための形態、局所投与、移植片のための形態、皮下投与、筋内投与、静脈内投与、鼻腔内投与、または眼内投与のための形態、および直腸投与のための形態が挙げられる。
【0072】
本発明の薬学的組成物において、活性成分は、一般に、1日の投薬のための、投薬単位あたり0.05〜1000mg、好都合に0.1〜500mg、好ましくは1〜200mgの前記活性成分を含有する投薬単位に処方される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基または酸付加塩の形態、および水和物または溶媒和物の形態における、式(I):
【化1】

に相当する化合物。
式中、
1が水素または(C1−C4)アルキルを表し;
2が以下:
(C4−C10)アルキル基;
非芳香族C3−C12炭素環式基[該非芳香族C3−C12炭素環式基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基、(C1−C4)アルコキシ基、またはヒドロキシル基で置換されている];
1,2,3,4−テトラヒドロナフチル−1または1,2,3,4−テトラヒドロナフチル−2;
5〜7個の原子の飽和一酸素含有複素環基または飽和一硫黄含有複素環基[該飽和一酸素含有複素環基または飽和一硫黄含有複素環基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている];
5〜7個の原子の飽和一窒素含有複素環基[該窒素原子は、(C1−C4)アルキル基、フェニル基、ベンジル基、(C1−C4)アルコキシカルボニル基、または(C1−C4)アルカノイル基で置換されている];
非芳香族C3−C10炭素環式基を有する(C1−C3)アルキレン基[該(C1−C3)アルキレン基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている];
フェニルアルキレン基[ここで、該アルキレンは(C1−C3)であり、該フェニルアルキレン基は非置換であるか、またはアルキレンを1つまたはそれ以上のメチル基で置換され、そして/または該フェニルアルキレン基は、フェニルを1つまたはそれ以上の同じかまたは異なる以下:ハロゲン原子、または(C1−C4)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C1−C4)アルコキシ基、もしくはトリフルオロメトキシ基から選択される置換基で置換されている];
メチレン[該メチレンは、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、チエニル基、またはフリル基で置換されており、該基は、非置換であるか、または1つまたはそれ以上の(C1−C4)アルキル基で置換されている];
NR910基;
を表すか、
またはR1およびR2は、それらが結合する窒素と一緒になって、ピペラジン−1−イル基もしくは1,4−ジアゼパン−1−イル基(該ピペラジン−1−イル基もしくは1,4−ジアゼパン−1−イル基は、4位でフェニル基またはベンジル基で置換されている)、またはピペリジン−1−イル基もしくはピロリジン−1−イル基[該ピペリジン−1−イル基もしくはピロリジン−1−イル基は、フェニル基、ベンジル基、(C1−C4)アルキル基、ヒドロキシル基、(C1−C4)アルコキシ基、シアノ基、(C1−C3)アルカノイル基、(C1−C4)アルコキシカルボニルアミノ基、または(C1−C3)アルカノイルアミノ基で一置換、またはgem−二置換されている]のいずれかを構成し;該フェニル基またはベンジル基は、非置換であるか、または1回または数回、ハロゲン原子、および/または(C1−C4)アルキル基、および/または(C1−C4)アルコキシ基、および/またはトリフルオロメチル基で置換され;
3、R4、R5、R6、R7、R8が各々互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子、または(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、またはS(O)nAlk基を表し;
9が水素原子またはメチル基を表し;
10が(C3−C6)アルキル基、フェニル基、またはC3−C10シクロアルキル基を表
し、該フェニル基およびシクロアルキル基は、非置換であるか、または1つまたはそれ以上のハロゲン原子および/または(C1−C4)アルキル基で置換されているか;
またはR9およびR10が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、架橋されているか、または架橋されていない、スピロ炭素を含むか、または含まない、かつOまたはNから選択される第2のヘテロ原子を含むか、または含まない、5〜11個の原子の飽和または不飽和の複素環基を構成し、該基は非置換であるか、またはヒドロキシル基またはフェニル基で、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基および/または(C1−C4)アルコキシ基で置換されており;
11が、水素原子、または(C1−C4)アルキル基、もしくは(C3−C7)シクロアルキル基を表し;
nが0、1、または2を表し;
Alkが(C1−C4)アルキル基を表す。
【請求項2】
1が水素または(C1−C4)アルキルを表し;
2が以下:
(C4−C10)アルキル基;
非芳香族C3−C12炭素環式基[該非芳香族C3−C12炭素環式基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている];
1,2,3,4−テトラヒドロナフチル−1または1,2,3,4−テトラヒドロナフチル−2;
5〜7個の原子の飽和一酸素含有複素環基または飽和一硫黄含有複素環基[飽和一酸素含有複素環基または飽和一硫黄含有複素環基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている];
5〜7個の原子の飽和一窒素含有複素環基[該窒素原子は、(C1−C4)アルキル基、フェニル基、ベンジル基、(C1−C4)アルコキシカルボニル基、または(C1−C4)アルカノイル基で置換されている];
非芳香族C3−C10炭素環式基を有する(C1−C3)アルキレン基[該(C1−C3)アルキレン基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されている];
フェニルアルキレン基[ここで、該アルキレンは(C1−C3)であり、該フェニルアルキレン基は、非置換であるか、またはアルキレンを1つまたはそれ以上のメチル基で置換され、そして/または該フェニルアルキレン基は、フェニルを1つまたはそれ以上の同じかまたは異なる以下:ハロゲン原子、または(C1−C4)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C1−C4)アルコキシ基、またはトリフルオロメトキシ基から選択される置換基で置換されている];
メチレン[メチレンは、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、チエニル基、またはフリル基で置換され、該基は、非置換であるか、または1つまたはそれ以上の(C1−C4)アルキル基で置換されている];
NR910基;
を表すか、
またはR1およびR2が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピペラジン−1−イル基もしくは1,4−ジアゼパン−1−イル基(該ピペラジン−1−イル基もしくは1,4−ジアゼパン−1−イル基は、4位でフェニル基またはベンジル基で置換されている)、またはピペリジン−1−イル基もしくはピロリジン−1−イル基[該ピペリジン−1−イル基もしくはピロリジン−1−イル基は、フェニル基、ベンジル基、(C1−C4)アルキル基、ヒドロキシル基、(C1−C3)アルカノイル基、または(C1−C4)アルコキシカルボニルアミノ基で一置換またはgem−二置換されている]のいずれかを構成し;該フェニル基またはベンジル基は、非置換であるか、または1回または数回、ハロゲン原子および/またはメチル基で置換され;
3、R4、R5、R6、R7、R8が各々互いに独立して、水素原子もしくはハロゲン原子、または(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルコキシ基、トリフルオロメチル基、もしくはS(O)nAlk基を表し;
9が水素原子またはメチル基を表し;
10が(C3−C6)アルキル基、フェニル基、またはC3−C10シクロアルキル基を表し、該フェニル基およびシクロアルキル基は、非置換であるか、または1つまたはそれ以上のハロゲン原子および/もしくは(C1−C4)アルキル基で置換されているか;
またはR9およびR10がそれらが結合する窒素原子と一緒になって、架橋されるか、または架橋されていない、スピロ炭素を含むか、または含まない、かつOまたはNから選択される第2のヘテロ原子を含むか、または含まない、5〜11個の原子の飽和または不飽和の複素環基を構成し、該基は、非置換であるか、またはヒドロキシル基またはフェニル基で、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されており;
11が水素原子を表し;
nが0、1、または2を表し;
Alkが(C1−C4)アルキル基を表す;
請求項1に記載の塩基または酸付加塩の形態、および水和物または溶媒和物の形態における、式(I)の化合物。
【請求項3】
11が、(C1−C4)アルキル基または(C3−C7)シクロアルキル基を表し、かつ他の置換基が式(I)に定義された通りである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
1およびR2がそれらが結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル基[該ピペリジン−1−イル基は、ベンジル基またはフェニル基でgem−二置換され、該ベンジル基またはフェニル基は非置換であるか、またはハロゲン原子、および(C1−C3)アルカノイル基またはシアノ基で置換されている]を構成するか;
またはR1が水素を表し;
そして/またはR2が基NR910を表し、ここでR9およびR10はそれらが結合する窒素原子と一緒になって、5〜11個の炭素原子の飽和複素環基を構成し、該飽和複素環基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキルで置換されており;
そして/またはR2が非芳香族C3−C10炭素環式基を表し、該非芳香族C3−C10炭素環式基は、非置換であるか、または1回または数回、(C1−C4)アルキル基で置換されており;
そして/またはR2がベンジル基を表し、該ベンジル基は、フェニルを1つまたはそれ以上の同じかまたは異なる以下:ハロゲン原子、または(C1−C4)アルキル基、トリフルオロメチル基、(C1−C4)アルコキシ基、もしくはトリフルオロメトキシ基から選択される置換基で置換されており;
そして/またはR3、R4、R5、R6、R7、R8が各々互いに独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し、好ましくは、R3が4−クロロまたは4−ブロモであり、そしてR6およびR7が2,4−ジクロロを表し、R4、R5、およびR8が水素原子を表す;
請求項1に記載の塩基または酸付加塩の形態、および水和物または溶媒和物の形態における、式(I)の化合物。
【請求項5】
式(II):
【化2】

(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR11は請求項1の式(I)に定義される通りである)
の酸または該式の酸の機能的誘導体が、式HNR12(III)(ここで、R1およびR2は請求項1の式(I)に定義される通りである)のアミンで処理されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を製造する方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、または薬学的に受容可能な酸と該化合物との付加塩、または式(I)の化合物の水和物または溶媒和物を含有することを特徴とする、医薬。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物、および少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項8】
食欲障害、胃腸障害、炎症性現象、免疫系疾患、精神異常、アルコール依存、およびニコチン依存を処置および予防するために意図される医薬を製造するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−508279(P2007−508279A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530423(P2006−530423)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002546
【国際公開番号】WO2005/035488
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】