チップ搭載装置およびチップ搭載方法
【課題】チップを安定してピックアップして基板に搭載することができるチップ搭載装置およびチップ搭載方法を提供することを目的とする。
【解決手段】光の照射により気体を発生する粘着性物質によってチップを貼着保持したシートからチップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載装置において、粘着保持力を低下させるためにシートに対して下面側から光を照射する光照射手段に透光部Tと遮光部Nが設けられた板状の遮光部材9を装着する。透光部Tの形状・寸法を、遮光部材9をピックアップ対象のチップ6に位置合わせした状態において、透光部Tがチップ6の外形線6aから内側に所定幅dだけ隔てて閉形状で設定された内縁線6bの外側にはみ出さないように設定する。これにより、隣接するチップ6への光照射の影響を排除して、チップ6を安定してピックアップして基板に搭載することができる。
【解決手段】光の照射により気体を発生する粘着性物質によってチップを貼着保持したシートからチップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載装置において、粘着保持力を低下させるためにシートに対して下面側から光を照射する光照射手段に透光部Tと遮光部Nが設けられた板状の遮光部材9を装着する。透光部Tの形状・寸法を、遮光部材9をピックアップ対象のチップ6に位置合わせした状態において、透光部Tがチップ6の外形線6aから内側に所定幅dだけ隔てて閉形状で設定された内縁線6bの外側にはみ出さないように設定する。これにより、隣接するチップ6への光照射の影響を排除して、チップ6を安定してピックアップして基板に搭載することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに貼着保持されたチップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載装置およびチップ搭載方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハから切り出された個片の半導体チップをリードフレームなどの基板に実装するダイボンディング装置は、シートに貼着状態で保持された半導体チップを、個片ごとにシートから剥がして取り出すピックアップ装置を備えている。このピックアップ装置において、貼着状態の半導体チップをシートから剥離する方法として、従来用いられていたエジェクタピンによる突き上げ方式に替えて、紫外線照射による方式が実用化されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この方式は、半導体チップをシートに粘着する粘着剤として、紫外線照射によって粘着力が低減する特性を備えた粘着剤を用いるものであり、半導体チップの取り出しに際し、紫外線を照射することによってシートに半導体チップを保持する粘着力を低減させ、吸着コレットによる半導体チップのピックアップを容易にしている。
【特許文献1】特開平8−288318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の特許文献例に示す紫外線照射によるチップの剥離には、紫外線の照射範囲設定に起因して次のような不具合が生じていた。チップのピックアップにおいては、取り出し対象のチップのみ貼着保持力を低下させ、その他のチップはシートに安定して貼着された状態を保つことが望ましい。ところが、紫外線照射において照射範囲が適切に設定されていないと、取り出し対象のチップのみならず隣接するチップを貼着保持したシートにも紫外線が照射される事態が発生する場合がある。このため、取り出し対象のチップのみならず隣接するチップの貼着保持力が不必要に低減してチップの位置ずれが生じ、安定したチップのピックアップが妨げられていた。
【0005】
そこで本発明は、チップを安定してピックアップして基板に搭載することができるチップ搭載装置およびチップ搭載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のチップ搭載装置は、光の照射により気体を発生する粘着性物質によって上面にチップを貼着保持したシートから前記チップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載装置であって、前記基板を保持する基板保持部と、前記シートを保持するシート保持部と、前記チップを前記シートからピックアップするピックアップ手段と、前記ピックアップされたチップを前記基板に搭載する搭載手段と、前記シート保持部の下方に設けられ前記シートに下方から光を照射することにより前記粘着性物質によるチップの貼着保持力を低下させる光照射手段と、前記光照射手段の上面と前記シートの下面との間に設けられ前記光が透過する透光部と前記光を遮断する遮光部とを有する遮光部材とを備え、前記遮光部材を前記シート上のピックアップ対象のチップに位置合わせした状態において、前記透光部が前記チップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて閉形状で設定された内縁線の外側にはみ出さない。
【0007】
本発明のチップ搭載方法は、光の照射により気体を発生する粘着性物質によって上面にチップを貼着保持したシートから前記チップをピックアップして基板に搭載するチップ搭
載方法であって、前記シートに下方から光を照射することにより前記粘着性物質によるチップの貼着保持力を低下させる光照射工程と、前記チップを前記シートからピックアップするピックアップ工程と、ピックアップされた前記チップを基板に搭載する搭載工程とを含み、前記光照射工程において前記光が前記シートに照射される照射範囲が、前記チップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線の外側にはみ出さない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光照射工程においてチップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線の外側にはみ出さないように設定された照射範囲に光を照射することにより、隣接するチップへの光照射の影響を排除してこれらのチップの貼着保持力が不必要に低減するのを防止することができ、チップを安定してピックアップして基板に搭載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の側面図、図2は本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部の構成説明図、図3は本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の形状説明図、図4、図5、図6は本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の平面図、図7、図8、図9は本発明の実施の形態1のチップピックアップ方法の動作説明図である。
【0010】
まず図1を参照して、チップ搭載装置の構造を説明する。図1において、基台1上には部品供給ステージ2が配設されている。部品供給ステージ2は治具ホルダ3を備えており、治具ホルダ3は、シート5が装着された治具4を着脱自在に保持する。シート5には、半導体チップ6(以下、単に「チップ6」と略記。)が個片に分離された状態で保持されている。
【0011】
チップ6のキャリアとして用いられるシート5は、透明樹脂など光透過性材質をシート状に成形したものであり、シート5の上面には、以下の性質を有する粘着剤(粘着性物質)を薄膜状にした粘着層5aが形成されている。粘着剤としては、光を照射することにより気体を発生する性質を有する化合物(例えばアジド基など紫外線照射により分解して窒素ガスを発生する性質を有するもの(特開2001−200234号公報参照))を含有した組成の粘着剤が用いられる。
【0012】
すなわちシート5は、光を照射することにより気体を発生する性質を有する粘着剤によって上面に複数のチップ6を貼着保持しており、部品供給ステージ2は、治具4に装着されたシート5を治具ホルダ3によって支持する。したがって部品供給ステージ2はシート5を保持するシート保持部となっている。このようにチップ6を保持するキャリアとしてこのような粘着層5aを有するシート5を用いることにより、後述するように、チップ6をシート5からピックアップする際のチップ6の剥離を容易にすることができる。
【0013】
治具ホルダ3に保持されたシート5の下方には、光照射部8がX軸テーブル7X、Y軸テーブル7Yよりなる光照射部移動機構7によって水平移動自在に配設されている。図2に示すように、光照射部8は筒状の導光部8aおよび導光部8aの下方に内蔵されたUV光源部8bを備えており、導光部8aの上面には板部材である遮光部材9が着脱自在に装着されている。
【0014】
遮光部材9は、透明なガラス板9aの表面の特定範囲に遮光膜9bを蒸着して構成されており、UV光源部8bを点灯して紫外線を上方に投射すると、遮光膜9bが形成された範囲では紫外線は遮断され、遮光膜9bが形成されていない範囲では紫外線はガラス板9
aを透過して上方に照射される。したがって、遮光部材9において、遮光膜9bが形成されていない範囲は紫外線が透過する透光部T(ハッチングを施した部分)となっており、遮光膜9bが形成された範囲は、紫外線を遮断する遮光部Nとなっている。
【0015】
なお遮光部材9の構成として、遮光膜9bが形成されたガラス板9aを用いる替わりに、開口部が形成された金属などの板を遮光部材として用いてもよい。この場合には、紫外線は開口部を介して上方に透過し、開口部以外の範囲では紫外線は遮光される。すなわち、この場合には板に設けられた開口部が透光部Tを形成し、開口部以外の部分が遮光部Nとなる。
【0016】
チップ6を部品供給ステージ2から取り出すピックアップ動作においては、光照射部移動機構7によって光照射部8を水平移動させて透光部Tがピックアップ対象となるチップ6の直下に位置するようにアライメント動作を行い、この状態でUV光源部8bを点灯して、ピックアップ対象のチップ6の直下に位置するシート5の下面に対して紫外線を照射する(図7参照)。これにより、紫外線はシート5を透過して粘着層5aに照射され、粘着層5aから窒素ガスが発生する。そして発生した窒素ガスがチップ6と粘着層5aとの界面に滞留してガス層を形成することにより、粘着層5aがチップ6を粘着保持する保持力が大幅に低下し、チップ6のシート5からの剥離が容易となる。
【0017】
すなわち上記構成において、光照射部8に設けられたUV光源部8bは、シート保持部である部品供給ステージ2の下方に設けられシート5に下方から光を照射することにより、粘着層5aによるチップ6の貼着保持力を低下させる光照射手段となっている。そして遮光部材9は、この光照射手段の上面とシート5の下面との間に設けられ、光が透過する透光部Tと光を遮断する遮光部Nとを有する構成となっている。透光部Tは、上述の光照射において紫外線がシート5に照射される照射範囲に対応しており、遮光部Nは、紫外線がシート5に照射されない非照射範囲に対応している。
【0018】
次に、図3を参照して、遮光部材9における透光部Tの形状について説明する。図3(a)は、遮光部材9をシート5上のピックアップ対象のチップ6に位置合わせした状態を示している。ここで2点鎖線で示す6aはチップ6の外形線を示しており、外形線6aと相似形状に設定された透光部T(ハッチングを施した部分)の外形線Ta(透光部Tと遮光部Nの境界線)は、チップ6の外形線6aの内側にある。すなわちここに示す例では、透光部Tは対象となるチップ6と相似形状で、チップ6よりも小さいサイズに設定されている。
【0019】
図3(b)は、透光部Tのサイズとチップ6のサイズとの相対関係の詳細を示している。図3(b)において、一点鎖線で示す6bはチップ6の内縁線であり、チップ6の外形線6aの内側に外形線6aに沿って所定のマージン幅dだけ隔てて設定されている。ここでマージン幅dは、チップ6の形状誤差、遮光部材9における透過部Tの形状誤差、さらに光照射部8を水平移動させてピックアップ対象のチップ6に位置合わせする際の位置決め誤差などを勘案して設定されるものである。
【0020】
透光部Tの形状・寸法の決定に際しては、粘着層5aが紫外線照射により発生する単位面積当たりの窒素ガスの量などの要素が勘案されるが、ここでは透光部Tの上限サイズとして、外形線Taが内縁線6bから外側にはみ出さないような形状・寸法が上限として設定される。これにより、光照射部8を移動させてピックアップ対象のチップ6に位置合わせした状態において、チップ6,遮光部材9の形状誤差や、前述の位置決め誤差が存在する場合にあっても、透光部Tがチップ6の外形線6aから外側にはみ出す事態が発生せず、後述するように、紫外線照射による保持力低減効果が隣接するチップ6に不必要に及ぶことを防止して、チップのピックアップを安定させる効果を有している。
【0021】
すなわち、本実施の形態では、遮光部材9をシート5上のピックアップ対象のチップ6に位置合わせした状態において、透光部Tがチップ6の外形線6aから内側に所定幅dだけ隔てて閉形状で設定された内縁線6bの外側にはみ出さないようになっている。
【0022】
図2,図3においては、遮光部材9として、略正方形状のチップ6を対象として、チップ6と相似形状の透光部Tが設けられた例を示したが、前述のように遮光部材9は光照射部8に着脱自在に装着可能となっており、対象となるシート5,チップ6の特性に応じて各種のタイプが選択可能である。以下、図4,図5、図6を参照して、遮光部材9のバリエーションを示す。ここで、図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)、図6(a)、図6(b)は、図3に示す例と同様に正方形状のチップ6を対象とした遮光部材の例を示しており、図4(c)、図5(c)、図6(c)は、長方形状のチップ6を対象とした例を示している。
【0023】
図4(a)は、内縁線6bの内側に収まる径寸法Dの円形状の透光部T1を中心位置に設けた遮光部材9を示している。このパターンは、対象とするチップ6の中央部を集中的に剥離させたい場合に有効である。また図4(b)は、幅b1の帯状部を中央部から外縁側へ向かって巴形状に配列した透光部T2を設けた例を示している。このパターンは、透光部Tの全体面積を抑制して正方形のチップ6の内部に発生する窒素ガスの量を適正量に制御し、且つガス発生分布を極力均一にしたいような場合に有効である。そして図4(c)は、長方形状の内縁線6bの内側に、長方形状の透光部T3を設けた例を示している。
【0024】
図5(a)は、内縁線6bによって形成される正方形において、対向するコーナ部を連結した2つの対角線aより成るX字状の透光部T4を設けた例を示している。このパターンは、透光部Tの全体面積を抑制しつつ、チップ6のコーナ部に相当する範囲に透光部を配置することにより、コーナ部近傍にて窒素ガスを発生させてピックアップ時のコーナ部の剥離を容易にすることを意図したものである。
【0025】
また図5(b)は、図5(a)に示すX字に十字線bを重ね合わせた形状の透光部T5を設けた例を示している。このパターンは、上述の効果を確保しつつ中央部近傍の透光部面積を増やしたい場合に有効である。そして図5(c)は、図4(c)に示す長方形状の内縁線6bにおいて、中央部に長手方向に設定された直線部cの両端から、内縁線6bのコーナ部に向かって斜線部dを延出させた構成の透光部T6を設けた例を示しており、図5(a)に示すパターンと同様の効果を有する。
【0026】
図6(a)は、図4(a)に示すように内縁線6bの内側に収まる円形状の透光部を設ける場合において、径寸法D1の円形状の透光部の中心に径寸法D2の遮光部N(閉遮光領域)を設けた構成の透光部T7を設けた例を示している。このパターンは、対象とするチップ6の中央部に、周囲を透光部によって閉囲された閉形状の遮光部を配置することにより、光照射時において紫外線が照射されず窒素ガスが発生しない部分を意図的に残すことようにしたものである。これにより、チップ6を適正な保持力でシート5に保持させた状態を保つことができる。
【0027】
また図4(b)は、正方形状の透光部T8を設ける場合において、透光部の中央に周囲を透光部によって閉囲された閉形状の2つの遮光部N(閉遮光領域)を設定した例を示している。このパターンによれば、上述のようにチップ6を適正な保持力でシート5に保持させる効果に加えて、チップ6をこれらの遮光部Nによってシート5に2点保持することによる廻り止め効果が得られ、チップ6のΘ方向の位置ずれを防止することができる。そして図4(c)は、長方形状の内縁線6bの内側に長方形状の透光部を設ける際に、内部に長方形状の遮光部N(閉遮光領域)を設けた構成の透光部T9を示しており、図6(a
)の例と同様にチップ6を適正な保持力でシート5に保持させることができる。
【0028】
上述のパターンにおいて、図3,図4(a)、(c)、図5(a)、(b)、(c)に示す各例においては、透光部T、T1,T3,T4,T5,T6はチップ6の中央部を含んで設定された中央透光部を含む形態となっている。そして図5(a)、(b)、(c)に示す各例では、透光部T4,T5,T6はチップ6の中央部から内縁線6bに向かって延出する延出透光部を含む形態となっている。さらに図6(a)、(b)、(c)に示す各例においては、遮光部Nは透光部T7、T8、T9によって閉囲された閉遮光領域を含む形態となっている。
【0029】
図1において、基台1上には、部品供給ステージ2に隣接して第2のカメラ13および基板保持ステージ10が配設されている。基板保持ステージ10はベース部10aに基板保持テーブル11を載置した構成となっており、基板保持テーブル11はチップ6が搭載される基板12を保持する基板保持部となっている。基台1上面の両端部に立設された支持ポスト1aには、水平な上部フレーム15が架設されており、上部フレーム15には第1のカメラ17が第1のカメラ移動機構16によって水平移動自在に配設されている。第1のカメラ移動機構16によって第1のカメラ17を移動させることにより、第1のカメラ17はシート5に保持された任意のチップ6の上方に位置し、このチップ6を撮像する。そしてこの撮像結果を認識手段(図示省略)によって認識処理することにより、任意のチップ6の位置が認識される。
【0030】
上部フレーム15には部品保持ヘッド19が部品保持ヘッド移動機構18によって水平移動自在に配設されている。部品保持ヘッド19の下部には保持ツール20が装着されており、部品保持ヘッド19を部品供給ステージ2上に移動させて保持ツール20をピックアップ対象のチップ6に位置合わせして昇降させることにより、保持ツール20はチップ6の上面に接触してこのチップ6を真空吸着によりピックアップする。
【0031】
このピックアップ動作によりチップ6を保持した部品保持ヘッド19を基板保持ステージ10の上方に移動させ、基板保持テーブル11に保持された基板12に対して保持ツール20を昇降させることにより、保持ツール20に保持されたチップ6は基板12に搭載される。部品保持ヘッド移動機構18および部品保持ヘッド19は、シート5上のチップ6をピックアップして保持する保持ツール20を備え、部品供給ステージ2と基板保持ステージ10との間を往復移動してチップ6を基板12に搭載する部品搭載機構となっている。すなわちこの部品搭載機構は、チップ6をシート5からピックアップするピックアップ手段と、ピックアップされたチップ6を基板12に搭載する搭載手段とを兼ねたものとなっている。もちろん、ピックアップ手段と搭載手段とを個別の機構で構成するようにしてもよい。
【0032】
部品保持ヘッド19が部品供給ステージ2から基板保持ステージ10へ移動する移動経路の下方には第2のカメラ13が配設されており、第2のカメラ13は保持ツール20に保持されたチップ6を下方から撮像する。そしてこの撮像結果を認識手段(図示省略)によって認識処理することにより、保持ツール20に保持された状態におけるチップ6の位置が認識される。部品保持ヘッド19によってチップ6を基板12に搭載する際には、この位置認識結果を反映して、チップ6の基板12に対する位置合わせが行われる。
【0033】
このチップ搭載装置は上記のように構成されており、次にチップ搭載動作について、図7,図8,図9を参照しながら説明する。このチップ搭載動作は、光の照射により気体を発生する粘着剤によって上面にチップ6を貼着保持したシート5から、チップ6をピックアップして基板に搭載するものである。
【0034】
図7は、チップ6と光照射部8および保持ツール20とのアライメントが完了した状態、すなわち第1のカメラ17によってチップ6を撮像した撮像結果を認識処理することによりチップ6の位置を認識し、この認識結果に基づいて光照射部8をピックアップすべきチップ6の下方に正しく位置合わせするとともに、保持ツール20をチップ6の直上に位置させた状態を示している。この状態では、遮光部材9の透光部Tがピックアップ対象のチップ6の下面に位置合わせされており、この状態で光照射工程が実行される。すなわち、UV光源部8bを点灯して、シート5に下方から光を照射することにより、粘着層5aから窒素ガスを発生させて粘着層5aによるチップ6の貼着保持力を低下させる(光照射工程)。
【0035】
この光照射工程においては、前述の遮光部材9を用いることにより、紫外線ががシート5に照射される照射範囲が、チップ6の外形線6aから内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線6bの外側にはみ出さないように設定されていることから、ピックアップ対象のチップ6に隣接する周囲のチップ6に対して、貼着保持力の低減効果が不必要に及ぶことがない。
【0036】
そして粘着層5aから発生した窒素ガスがチップ6と粘着層5aとの粘着界面に十分な量で溜まり、図7に示すようにガス層Gが形成されたならば、図8に示すように保持ツール20を下降させてチップ6の上面に接触させ、真空吸着によりチップ6を保持する。次いで図9に示すように、保持ツール20をチップ6とともに上昇させて、チップ6をシート5からピックアップする(ピックアップ工程)。このピックアップ工程においては、前述のように隣接するチップの保持力が不必要に低減することによるチップの位置ずれが生じることがなく、安定してチップ6をピックアップすることができる。
【0037】
チップ6をピックアップしたならば、部品保持ヘッド19を第2のカメラ13の上方に移動させ、保持ツール20によって保持されたチップ6を第2のカメラ13によって撮像し、撮像結果を認識処理することにより、部品保持ヘッド19に保持された状態のチップ6の位置を認識する。この後、部品保持ヘッド19は基板保持ステージ10へ移動し、認識結果を反映させて部品保持ヘッド移動機構18を制御し、保持ツール20に保持されたチップ6と基板12との位置合わせ行って、位置合わせされたチップ6を基板12に搭載する(搭載工程)。
【0038】
なお上述のチップ搭載動作において、光照射部8に装着する遮光部材9としては、前述のように、図3に示すもの以外に図4,図5,図6に示す各種のパターンの透光部が設けられたものを、シート5,チップ6の特性に応じて用いることができる。
【0039】
ここで図3,図4(a)、(c)、図5(a)、(b)、(c)に示す透光部T、T1,T3,T4,T5,T6が設けられたものを用いる場合には、シート5に紫外線が照射される照射範囲は、チップ6の中央部を含んで設定された中央照射範囲を含む形態となる。そして図5(a)、(b)、(c)に示す透光部T4,T5,T6が設けられた遮光部材9を用いる場合には、照射範囲はチップ6の中央部から内縁線に向かって延出する延出照射範囲を含む形態となる。さらに図6(a)、(b)、(c)に示す透光部T7、T8、T9が設けられた遮光部材9を用いる場合には、紫外線がシート5に照射されない非照射範囲は、照射範囲によって閉囲された閉形状の非照射領域を含む形態となる。
【0040】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2のチップ搭載装置の側面図、図11、図12,図13、図14は本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図である。
【0041】
まず図10を参照して、チップ搭載装置の構造を説明する。図10において、基台10
1上には実施の形態1における部品供給ステージ2と同様構成の部品供給ステージ102が、X軸テーブル107X、Y軸テーブル107Yよりなる部品供給ステージ移動機構107によって水平移動可能に配設されている。部品供給ステージ102は治具ホルダ103を備えており、治具ホルダ103は、実施の形態1に示すものと同様のシート5が装着された治具4を着脱自在に保持する。シート5には、チップ6が個片に分離された状態で保持されている。
【0042】
治具ホルダ3に保持されたシート5の下方には、実施の形態1と同様の光照射部8が逆L字形状の保持ブラケット101bを介して基台101に固定保持されている。光照射部8には、実施の形態1に示す各種の遮光部材9が着脱自在に装着される。光照射部8は後述する部品観察カメラ117と同一水平位置に配置されており、この位置は後述する保持ツール120によってシート5からチップ6を取り出すピックアップ位置Pとなっている。
【0043】
基台101上には、部品供給ステージ102に隣接して基板保持ステージ110が配設されている。基板保持ステージ110は基台101に立設された支持ポスト101cの上部に基板保持テーブル111を固定した構成となっており、基板保持テーブル111はチップ6が搭載される基板12を保持する基板保持部となっている。
【0044】
基台101上面の両端部に立設された支持ポスト101aには、部品保持ヘッド移動機構116が架設されており、部品保持ヘッド移動機構116には部品保持ヘッド119が水平移動自在に配設されている。部品保持ヘッド119の下部には保持ツール120が装着されており、部品保持ヘッド119を部品供給ステージ102に設定されたピックアップ位置Pに移動させて保持ツール120を昇降させることにより、保持ツール120はピックアップ位置Pに位置合わせされたチップ6を真空吸着によりピックアップする。
【0045】
チップ6を保持した部品保持ヘッド119を基板保持テーブル110の上方に移動させて、基板保持テーブル111に保持された基板12に対して保持ツール120を昇降させることにより、保持ツール120に保持されたチップ6は基板12に搭載される。部品保持ヘッド移動機構116および部品保持ヘッド119は、シート5上のチップ6をピックアップして保持する保持ツール120を備え、部品供給ステージ102と基板保持ステージ110との間を往復移動してチップ6を基板に搭載する部品搭載機構となっている。すなわちこの部品搭載機構は、チップ6をシート5からピックアップするピックアップ手段と、ピックアップされたチップ6を基板12に搭載する搭載手段とを兼ねたものとなっている。もちろん、ピックアップ手段と搭載手段とを個別の機構で構成してもよい。
【0046】
左側の支持ポスト101aの上部には逆L型の支持ブラケット115が固定されており、支持ブラケット115には部品観察カメラ117が保持ツール120によるピックアップ位置P、すなわち光照射部8の直上に位置して保持されている。部品供給ステージ移動機構107によって部品供給ステージ102を水平移動させることにより、シート5上のチップ6は部品観察カメラ117に対して相対移動し、これにより、部品観察カメラ117によってシート5に保持された任意のチップ6を撮像することができる。この撮像結果を認識手段(図示省略)によって認識処理することによりチップ6の位置が認識される。
【0047】
次にチップ搭載動作について、図11〜図14を参照しながら説明する。このチップ搭載動作は、光の照射により気体を発生する粘着剤によって上面にチップ6を貼着保持したシート5から、チップ6をピックアップして基板に搭載するものである。
【0048】
図11は、チップ6と光照射部8および保持ツール120とのアライメントが完了した状態、すなわち第1のカメラ17によってチップ6を撮像した撮像結果を認識処理するこ
とによりチップ6の位置を認識し、この認識結果に基づいて部品供給ステージ102を水平移動させてピックアップすべきチップ6をピックアップ位置Pに位置決めした状態を示している。この状態では、遮光部材9の透光部Tがピックアップ対象のチップ6の下面に位置合わせされている。
【0049】
次いで図12に示すように、保持ツール120を下降させてチップ6の上面に接触させ、この状態で光照射工程を実行する。すなわち図13に示すように、UV光源部8bを点灯して、ピックアップすべきチップ6の裏面に位置する粘着層5aに対してシート5の下面側から紫外線を照射することにより、粘着層5aから窒素ガスを発生させて、粘着層5aによるチップ6の貼着保持力を低下させる(光照射工程)。
【0050】
そして発生した窒素ガスがチップ6と粘着層5aとの界面に十分な量で溜まりガス層Gが形成されたならば、図14に示すように、保持ツール120を上昇させて保持したチップ6をシート5からピックアップする(ピックアップ工程)。そして保持ツール120によってチップ6をピックアップしたならば、部品保持ヘッド119は基板保持テーブル110へ移動して、保持したチップ6を基板12に搭載する(搭載工程)。本実施の形態2においても、実施の形態1に示す遮光部材9を用いることにより、前述と同様の効果を得る。
【0051】
上記説明したように、本実施の形態1,2に示すチップのピックアップにおいては、粘着層5aによるチップ6の貼着保持力を低下させるために行われる光照射において、チップ6の外形線6aから内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線6bの外側にはみ出さないように設定された照射範囲に光を照射するようにしている。これにより、隣接するチップ6への光照射の影響が排除され、これらのチップ6の貼着保持力が不必要に低減される事態が生じることがない。したがって、粘着層5aからのチップ6の剥離を容易にする効果を確保するとともに、チップ6を安定してピックアップして基板に搭載することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のチップ搭載装置およびチップ搭載方法は、チップを安定してピックアップして基板に搭載することができるという効果を有し、ダイボンディング装置においてシートに保持されたチップをピックアップして基板に搭載する用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の側面図
【図2】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部の構成説明図
【図3】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の形状説明図
【図4】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の平面図
【図5】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の平面図
【図6】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の平面図
【図7】本発明の実施の形態1のチップピックアップ方法の動作説明図
【図8】本発明の実施の形態1のチップピックアップ方法の動作説明図
【図9】本発明の実施の形態1のチップピックアップ方法の動作説明図
【図10】本発明の実施の形態2のチップ搭載装置の側面図
【図11】本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図
【図12】本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図
【図13】本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図
【図14】本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図
【符号の説明】
【0054】
2、102 部品供給ステージ
5 シート
5a 粘着層
6 チップ
8 光照射部
9 遮光部材
10、110 基板保持ステージ
12 基板
T 透光部
N 遮光部
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに貼着保持されたチップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載装置およびチップ搭載方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハから切り出された個片の半導体チップをリードフレームなどの基板に実装するダイボンディング装置は、シートに貼着状態で保持された半導体チップを、個片ごとにシートから剥がして取り出すピックアップ装置を備えている。このピックアップ装置において、貼着状態の半導体チップをシートから剥離する方法として、従来用いられていたエジェクタピンによる突き上げ方式に替えて、紫外線照射による方式が実用化されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この方式は、半導体チップをシートに粘着する粘着剤として、紫外線照射によって粘着力が低減する特性を備えた粘着剤を用いるものであり、半導体チップの取り出しに際し、紫外線を照射することによってシートに半導体チップを保持する粘着力を低減させ、吸着コレットによる半導体チップのピックアップを容易にしている。
【特許文献1】特開平8−288318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の特許文献例に示す紫外線照射によるチップの剥離には、紫外線の照射範囲設定に起因して次のような不具合が生じていた。チップのピックアップにおいては、取り出し対象のチップのみ貼着保持力を低下させ、その他のチップはシートに安定して貼着された状態を保つことが望ましい。ところが、紫外線照射において照射範囲が適切に設定されていないと、取り出し対象のチップのみならず隣接するチップを貼着保持したシートにも紫外線が照射される事態が発生する場合がある。このため、取り出し対象のチップのみならず隣接するチップの貼着保持力が不必要に低減してチップの位置ずれが生じ、安定したチップのピックアップが妨げられていた。
【0005】
そこで本発明は、チップを安定してピックアップして基板に搭載することができるチップ搭載装置およびチップ搭載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のチップ搭載装置は、光の照射により気体を発生する粘着性物質によって上面にチップを貼着保持したシートから前記チップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載装置であって、前記基板を保持する基板保持部と、前記シートを保持するシート保持部と、前記チップを前記シートからピックアップするピックアップ手段と、前記ピックアップされたチップを前記基板に搭載する搭載手段と、前記シート保持部の下方に設けられ前記シートに下方から光を照射することにより前記粘着性物質によるチップの貼着保持力を低下させる光照射手段と、前記光照射手段の上面と前記シートの下面との間に設けられ前記光が透過する透光部と前記光を遮断する遮光部とを有する遮光部材とを備え、前記遮光部材を前記シート上のピックアップ対象のチップに位置合わせした状態において、前記透光部が前記チップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて閉形状で設定された内縁線の外側にはみ出さない。
【0007】
本発明のチップ搭載方法は、光の照射により気体を発生する粘着性物質によって上面にチップを貼着保持したシートから前記チップをピックアップして基板に搭載するチップ搭
載方法であって、前記シートに下方から光を照射することにより前記粘着性物質によるチップの貼着保持力を低下させる光照射工程と、前記チップを前記シートからピックアップするピックアップ工程と、ピックアップされた前記チップを基板に搭載する搭載工程とを含み、前記光照射工程において前記光が前記シートに照射される照射範囲が、前記チップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線の外側にはみ出さない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光照射工程においてチップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線の外側にはみ出さないように設定された照射範囲に光を照射することにより、隣接するチップへの光照射の影響を排除してこれらのチップの貼着保持力が不必要に低減するのを防止することができ、チップを安定してピックアップして基板に搭載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の側面図、図2は本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部の構成説明図、図3は本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の形状説明図、図4、図5、図6は本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の平面図、図7、図8、図9は本発明の実施の形態1のチップピックアップ方法の動作説明図である。
【0010】
まず図1を参照して、チップ搭載装置の構造を説明する。図1において、基台1上には部品供給ステージ2が配設されている。部品供給ステージ2は治具ホルダ3を備えており、治具ホルダ3は、シート5が装着された治具4を着脱自在に保持する。シート5には、半導体チップ6(以下、単に「チップ6」と略記。)が個片に分離された状態で保持されている。
【0011】
チップ6のキャリアとして用いられるシート5は、透明樹脂など光透過性材質をシート状に成形したものであり、シート5の上面には、以下の性質を有する粘着剤(粘着性物質)を薄膜状にした粘着層5aが形成されている。粘着剤としては、光を照射することにより気体を発生する性質を有する化合物(例えばアジド基など紫外線照射により分解して窒素ガスを発生する性質を有するもの(特開2001−200234号公報参照))を含有した組成の粘着剤が用いられる。
【0012】
すなわちシート5は、光を照射することにより気体を発生する性質を有する粘着剤によって上面に複数のチップ6を貼着保持しており、部品供給ステージ2は、治具4に装着されたシート5を治具ホルダ3によって支持する。したがって部品供給ステージ2はシート5を保持するシート保持部となっている。このようにチップ6を保持するキャリアとしてこのような粘着層5aを有するシート5を用いることにより、後述するように、チップ6をシート5からピックアップする際のチップ6の剥離を容易にすることができる。
【0013】
治具ホルダ3に保持されたシート5の下方には、光照射部8がX軸テーブル7X、Y軸テーブル7Yよりなる光照射部移動機構7によって水平移動自在に配設されている。図2に示すように、光照射部8は筒状の導光部8aおよび導光部8aの下方に内蔵されたUV光源部8bを備えており、導光部8aの上面には板部材である遮光部材9が着脱自在に装着されている。
【0014】
遮光部材9は、透明なガラス板9aの表面の特定範囲に遮光膜9bを蒸着して構成されており、UV光源部8bを点灯して紫外線を上方に投射すると、遮光膜9bが形成された範囲では紫外線は遮断され、遮光膜9bが形成されていない範囲では紫外線はガラス板9
aを透過して上方に照射される。したがって、遮光部材9において、遮光膜9bが形成されていない範囲は紫外線が透過する透光部T(ハッチングを施した部分)となっており、遮光膜9bが形成された範囲は、紫外線を遮断する遮光部Nとなっている。
【0015】
なお遮光部材9の構成として、遮光膜9bが形成されたガラス板9aを用いる替わりに、開口部が形成された金属などの板を遮光部材として用いてもよい。この場合には、紫外線は開口部を介して上方に透過し、開口部以外の範囲では紫外線は遮光される。すなわち、この場合には板に設けられた開口部が透光部Tを形成し、開口部以外の部分が遮光部Nとなる。
【0016】
チップ6を部品供給ステージ2から取り出すピックアップ動作においては、光照射部移動機構7によって光照射部8を水平移動させて透光部Tがピックアップ対象となるチップ6の直下に位置するようにアライメント動作を行い、この状態でUV光源部8bを点灯して、ピックアップ対象のチップ6の直下に位置するシート5の下面に対して紫外線を照射する(図7参照)。これにより、紫外線はシート5を透過して粘着層5aに照射され、粘着層5aから窒素ガスが発生する。そして発生した窒素ガスがチップ6と粘着層5aとの界面に滞留してガス層を形成することにより、粘着層5aがチップ6を粘着保持する保持力が大幅に低下し、チップ6のシート5からの剥離が容易となる。
【0017】
すなわち上記構成において、光照射部8に設けられたUV光源部8bは、シート保持部である部品供給ステージ2の下方に設けられシート5に下方から光を照射することにより、粘着層5aによるチップ6の貼着保持力を低下させる光照射手段となっている。そして遮光部材9は、この光照射手段の上面とシート5の下面との間に設けられ、光が透過する透光部Tと光を遮断する遮光部Nとを有する構成となっている。透光部Tは、上述の光照射において紫外線がシート5に照射される照射範囲に対応しており、遮光部Nは、紫外線がシート5に照射されない非照射範囲に対応している。
【0018】
次に、図3を参照して、遮光部材9における透光部Tの形状について説明する。図3(a)は、遮光部材9をシート5上のピックアップ対象のチップ6に位置合わせした状態を示している。ここで2点鎖線で示す6aはチップ6の外形線を示しており、外形線6aと相似形状に設定された透光部T(ハッチングを施した部分)の外形線Ta(透光部Tと遮光部Nの境界線)は、チップ6の外形線6aの内側にある。すなわちここに示す例では、透光部Tは対象となるチップ6と相似形状で、チップ6よりも小さいサイズに設定されている。
【0019】
図3(b)は、透光部Tのサイズとチップ6のサイズとの相対関係の詳細を示している。図3(b)において、一点鎖線で示す6bはチップ6の内縁線であり、チップ6の外形線6aの内側に外形線6aに沿って所定のマージン幅dだけ隔てて設定されている。ここでマージン幅dは、チップ6の形状誤差、遮光部材9における透過部Tの形状誤差、さらに光照射部8を水平移動させてピックアップ対象のチップ6に位置合わせする際の位置決め誤差などを勘案して設定されるものである。
【0020】
透光部Tの形状・寸法の決定に際しては、粘着層5aが紫外線照射により発生する単位面積当たりの窒素ガスの量などの要素が勘案されるが、ここでは透光部Tの上限サイズとして、外形線Taが内縁線6bから外側にはみ出さないような形状・寸法が上限として設定される。これにより、光照射部8を移動させてピックアップ対象のチップ6に位置合わせした状態において、チップ6,遮光部材9の形状誤差や、前述の位置決め誤差が存在する場合にあっても、透光部Tがチップ6の外形線6aから外側にはみ出す事態が発生せず、後述するように、紫外線照射による保持力低減効果が隣接するチップ6に不必要に及ぶことを防止して、チップのピックアップを安定させる効果を有している。
【0021】
すなわち、本実施の形態では、遮光部材9をシート5上のピックアップ対象のチップ6に位置合わせした状態において、透光部Tがチップ6の外形線6aから内側に所定幅dだけ隔てて閉形状で設定された内縁線6bの外側にはみ出さないようになっている。
【0022】
図2,図3においては、遮光部材9として、略正方形状のチップ6を対象として、チップ6と相似形状の透光部Tが設けられた例を示したが、前述のように遮光部材9は光照射部8に着脱自在に装着可能となっており、対象となるシート5,チップ6の特性に応じて各種のタイプが選択可能である。以下、図4,図5、図6を参照して、遮光部材9のバリエーションを示す。ここで、図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)、図6(a)、図6(b)は、図3に示す例と同様に正方形状のチップ6を対象とした遮光部材の例を示しており、図4(c)、図5(c)、図6(c)は、長方形状のチップ6を対象とした例を示している。
【0023】
図4(a)は、内縁線6bの内側に収まる径寸法Dの円形状の透光部T1を中心位置に設けた遮光部材9を示している。このパターンは、対象とするチップ6の中央部を集中的に剥離させたい場合に有効である。また図4(b)は、幅b1の帯状部を中央部から外縁側へ向かって巴形状に配列した透光部T2を設けた例を示している。このパターンは、透光部Tの全体面積を抑制して正方形のチップ6の内部に発生する窒素ガスの量を適正量に制御し、且つガス発生分布を極力均一にしたいような場合に有効である。そして図4(c)は、長方形状の内縁線6bの内側に、長方形状の透光部T3を設けた例を示している。
【0024】
図5(a)は、内縁線6bによって形成される正方形において、対向するコーナ部を連結した2つの対角線aより成るX字状の透光部T4を設けた例を示している。このパターンは、透光部Tの全体面積を抑制しつつ、チップ6のコーナ部に相当する範囲に透光部を配置することにより、コーナ部近傍にて窒素ガスを発生させてピックアップ時のコーナ部の剥離を容易にすることを意図したものである。
【0025】
また図5(b)は、図5(a)に示すX字に十字線bを重ね合わせた形状の透光部T5を設けた例を示している。このパターンは、上述の効果を確保しつつ中央部近傍の透光部面積を増やしたい場合に有効である。そして図5(c)は、図4(c)に示す長方形状の内縁線6bにおいて、中央部に長手方向に設定された直線部cの両端から、内縁線6bのコーナ部に向かって斜線部dを延出させた構成の透光部T6を設けた例を示しており、図5(a)に示すパターンと同様の効果を有する。
【0026】
図6(a)は、図4(a)に示すように内縁線6bの内側に収まる円形状の透光部を設ける場合において、径寸法D1の円形状の透光部の中心に径寸法D2の遮光部N(閉遮光領域)を設けた構成の透光部T7を設けた例を示している。このパターンは、対象とするチップ6の中央部に、周囲を透光部によって閉囲された閉形状の遮光部を配置することにより、光照射時において紫外線が照射されず窒素ガスが発生しない部分を意図的に残すことようにしたものである。これにより、チップ6を適正な保持力でシート5に保持させた状態を保つことができる。
【0027】
また図4(b)は、正方形状の透光部T8を設ける場合において、透光部の中央に周囲を透光部によって閉囲された閉形状の2つの遮光部N(閉遮光領域)を設定した例を示している。このパターンによれば、上述のようにチップ6を適正な保持力でシート5に保持させる効果に加えて、チップ6をこれらの遮光部Nによってシート5に2点保持することによる廻り止め効果が得られ、チップ6のΘ方向の位置ずれを防止することができる。そして図4(c)は、長方形状の内縁線6bの内側に長方形状の透光部を設ける際に、内部に長方形状の遮光部N(閉遮光領域)を設けた構成の透光部T9を示しており、図6(a
)の例と同様にチップ6を適正な保持力でシート5に保持させることができる。
【0028】
上述のパターンにおいて、図3,図4(a)、(c)、図5(a)、(b)、(c)に示す各例においては、透光部T、T1,T3,T4,T5,T6はチップ6の中央部を含んで設定された中央透光部を含む形態となっている。そして図5(a)、(b)、(c)に示す各例では、透光部T4,T5,T6はチップ6の中央部から内縁線6bに向かって延出する延出透光部を含む形態となっている。さらに図6(a)、(b)、(c)に示す各例においては、遮光部Nは透光部T7、T8、T9によって閉囲された閉遮光領域を含む形態となっている。
【0029】
図1において、基台1上には、部品供給ステージ2に隣接して第2のカメラ13および基板保持ステージ10が配設されている。基板保持ステージ10はベース部10aに基板保持テーブル11を載置した構成となっており、基板保持テーブル11はチップ6が搭載される基板12を保持する基板保持部となっている。基台1上面の両端部に立設された支持ポスト1aには、水平な上部フレーム15が架設されており、上部フレーム15には第1のカメラ17が第1のカメラ移動機構16によって水平移動自在に配設されている。第1のカメラ移動機構16によって第1のカメラ17を移動させることにより、第1のカメラ17はシート5に保持された任意のチップ6の上方に位置し、このチップ6を撮像する。そしてこの撮像結果を認識手段(図示省略)によって認識処理することにより、任意のチップ6の位置が認識される。
【0030】
上部フレーム15には部品保持ヘッド19が部品保持ヘッド移動機構18によって水平移動自在に配設されている。部品保持ヘッド19の下部には保持ツール20が装着されており、部品保持ヘッド19を部品供給ステージ2上に移動させて保持ツール20をピックアップ対象のチップ6に位置合わせして昇降させることにより、保持ツール20はチップ6の上面に接触してこのチップ6を真空吸着によりピックアップする。
【0031】
このピックアップ動作によりチップ6を保持した部品保持ヘッド19を基板保持ステージ10の上方に移動させ、基板保持テーブル11に保持された基板12に対して保持ツール20を昇降させることにより、保持ツール20に保持されたチップ6は基板12に搭載される。部品保持ヘッド移動機構18および部品保持ヘッド19は、シート5上のチップ6をピックアップして保持する保持ツール20を備え、部品供給ステージ2と基板保持ステージ10との間を往復移動してチップ6を基板12に搭載する部品搭載機構となっている。すなわちこの部品搭載機構は、チップ6をシート5からピックアップするピックアップ手段と、ピックアップされたチップ6を基板12に搭載する搭載手段とを兼ねたものとなっている。もちろん、ピックアップ手段と搭載手段とを個別の機構で構成するようにしてもよい。
【0032】
部品保持ヘッド19が部品供給ステージ2から基板保持ステージ10へ移動する移動経路の下方には第2のカメラ13が配設されており、第2のカメラ13は保持ツール20に保持されたチップ6を下方から撮像する。そしてこの撮像結果を認識手段(図示省略)によって認識処理することにより、保持ツール20に保持された状態におけるチップ6の位置が認識される。部品保持ヘッド19によってチップ6を基板12に搭載する際には、この位置認識結果を反映して、チップ6の基板12に対する位置合わせが行われる。
【0033】
このチップ搭載装置は上記のように構成されており、次にチップ搭載動作について、図7,図8,図9を参照しながら説明する。このチップ搭載動作は、光の照射により気体を発生する粘着剤によって上面にチップ6を貼着保持したシート5から、チップ6をピックアップして基板に搭載するものである。
【0034】
図7は、チップ6と光照射部8および保持ツール20とのアライメントが完了した状態、すなわち第1のカメラ17によってチップ6を撮像した撮像結果を認識処理することによりチップ6の位置を認識し、この認識結果に基づいて光照射部8をピックアップすべきチップ6の下方に正しく位置合わせするとともに、保持ツール20をチップ6の直上に位置させた状態を示している。この状態では、遮光部材9の透光部Tがピックアップ対象のチップ6の下面に位置合わせされており、この状態で光照射工程が実行される。すなわち、UV光源部8bを点灯して、シート5に下方から光を照射することにより、粘着層5aから窒素ガスを発生させて粘着層5aによるチップ6の貼着保持力を低下させる(光照射工程)。
【0035】
この光照射工程においては、前述の遮光部材9を用いることにより、紫外線ががシート5に照射される照射範囲が、チップ6の外形線6aから内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線6bの外側にはみ出さないように設定されていることから、ピックアップ対象のチップ6に隣接する周囲のチップ6に対して、貼着保持力の低減効果が不必要に及ぶことがない。
【0036】
そして粘着層5aから発生した窒素ガスがチップ6と粘着層5aとの粘着界面に十分な量で溜まり、図7に示すようにガス層Gが形成されたならば、図8に示すように保持ツール20を下降させてチップ6の上面に接触させ、真空吸着によりチップ6を保持する。次いで図9に示すように、保持ツール20をチップ6とともに上昇させて、チップ6をシート5からピックアップする(ピックアップ工程)。このピックアップ工程においては、前述のように隣接するチップの保持力が不必要に低減することによるチップの位置ずれが生じることがなく、安定してチップ6をピックアップすることができる。
【0037】
チップ6をピックアップしたならば、部品保持ヘッド19を第2のカメラ13の上方に移動させ、保持ツール20によって保持されたチップ6を第2のカメラ13によって撮像し、撮像結果を認識処理することにより、部品保持ヘッド19に保持された状態のチップ6の位置を認識する。この後、部品保持ヘッド19は基板保持ステージ10へ移動し、認識結果を反映させて部品保持ヘッド移動機構18を制御し、保持ツール20に保持されたチップ6と基板12との位置合わせ行って、位置合わせされたチップ6を基板12に搭載する(搭載工程)。
【0038】
なお上述のチップ搭載動作において、光照射部8に装着する遮光部材9としては、前述のように、図3に示すもの以外に図4,図5,図6に示す各種のパターンの透光部が設けられたものを、シート5,チップ6の特性に応じて用いることができる。
【0039】
ここで図3,図4(a)、(c)、図5(a)、(b)、(c)に示す透光部T、T1,T3,T4,T5,T6が設けられたものを用いる場合には、シート5に紫外線が照射される照射範囲は、チップ6の中央部を含んで設定された中央照射範囲を含む形態となる。そして図5(a)、(b)、(c)に示す透光部T4,T5,T6が設けられた遮光部材9を用いる場合には、照射範囲はチップ6の中央部から内縁線に向かって延出する延出照射範囲を含む形態となる。さらに図6(a)、(b)、(c)に示す透光部T7、T8、T9が設けられた遮光部材9を用いる場合には、紫外線がシート5に照射されない非照射範囲は、照射範囲によって閉囲された閉形状の非照射領域を含む形態となる。
【0040】
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2のチップ搭載装置の側面図、図11、図12,図13、図14は本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図である。
【0041】
まず図10を参照して、チップ搭載装置の構造を説明する。図10において、基台10
1上には実施の形態1における部品供給ステージ2と同様構成の部品供給ステージ102が、X軸テーブル107X、Y軸テーブル107Yよりなる部品供給ステージ移動機構107によって水平移動可能に配設されている。部品供給ステージ102は治具ホルダ103を備えており、治具ホルダ103は、実施の形態1に示すものと同様のシート5が装着された治具4を着脱自在に保持する。シート5には、チップ6が個片に分離された状態で保持されている。
【0042】
治具ホルダ3に保持されたシート5の下方には、実施の形態1と同様の光照射部8が逆L字形状の保持ブラケット101bを介して基台101に固定保持されている。光照射部8には、実施の形態1に示す各種の遮光部材9が着脱自在に装着される。光照射部8は後述する部品観察カメラ117と同一水平位置に配置されており、この位置は後述する保持ツール120によってシート5からチップ6を取り出すピックアップ位置Pとなっている。
【0043】
基台101上には、部品供給ステージ102に隣接して基板保持ステージ110が配設されている。基板保持ステージ110は基台101に立設された支持ポスト101cの上部に基板保持テーブル111を固定した構成となっており、基板保持テーブル111はチップ6が搭載される基板12を保持する基板保持部となっている。
【0044】
基台101上面の両端部に立設された支持ポスト101aには、部品保持ヘッド移動機構116が架設されており、部品保持ヘッド移動機構116には部品保持ヘッド119が水平移動自在に配設されている。部品保持ヘッド119の下部には保持ツール120が装着されており、部品保持ヘッド119を部品供給ステージ102に設定されたピックアップ位置Pに移動させて保持ツール120を昇降させることにより、保持ツール120はピックアップ位置Pに位置合わせされたチップ6を真空吸着によりピックアップする。
【0045】
チップ6を保持した部品保持ヘッド119を基板保持テーブル110の上方に移動させて、基板保持テーブル111に保持された基板12に対して保持ツール120を昇降させることにより、保持ツール120に保持されたチップ6は基板12に搭載される。部品保持ヘッド移動機構116および部品保持ヘッド119は、シート5上のチップ6をピックアップして保持する保持ツール120を備え、部品供給ステージ102と基板保持ステージ110との間を往復移動してチップ6を基板に搭載する部品搭載機構となっている。すなわちこの部品搭載機構は、チップ6をシート5からピックアップするピックアップ手段と、ピックアップされたチップ6を基板12に搭載する搭載手段とを兼ねたものとなっている。もちろん、ピックアップ手段と搭載手段とを個別の機構で構成してもよい。
【0046】
左側の支持ポスト101aの上部には逆L型の支持ブラケット115が固定されており、支持ブラケット115には部品観察カメラ117が保持ツール120によるピックアップ位置P、すなわち光照射部8の直上に位置して保持されている。部品供給ステージ移動機構107によって部品供給ステージ102を水平移動させることにより、シート5上のチップ6は部品観察カメラ117に対して相対移動し、これにより、部品観察カメラ117によってシート5に保持された任意のチップ6を撮像することができる。この撮像結果を認識手段(図示省略)によって認識処理することによりチップ6の位置が認識される。
【0047】
次にチップ搭載動作について、図11〜図14を参照しながら説明する。このチップ搭載動作は、光の照射により気体を発生する粘着剤によって上面にチップ6を貼着保持したシート5から、チップ6をピックアップして基板に搭載するものである。
【0048】
図11は、チップ6と光照射部8および保持ツール120とのアライメントが完了した状態、すなわち第1のカメラ17によってチップ6を撮像した撮像結果を認識処理するこ
とによりチップ6の位置を認識し、この認識結果に基づいて部品供給ステージ102を水平移動させてピックアップすべきチップ6をピックアップ位置Pに位置決めした状態を示している。この状態では、遮光部材9の透光部Tがピックアップ対象のチップ6の下面に位置合わせされている。
【0049】
次いで図12に示すように、保持ツール120を下降させてチップ6の上面に接触させ、この状態で光照射工程を実行する。すなわち図13に示すように、UV光源部8bを点灯して、ピックアップすべきチップ6の裏面に位置する粘着層5aに対してシート5の下面側から紫外線を照射することにより、粘着層5aから窒素ガスを発生させて、粘着層5aによるチップ6の貼着保持力を低下させる(光照射工程)。
【0050】
そして発生した窒素ガスがチップ6と粘着層5aとの界面に十分な量で溜まりガス層Gが形成されたならば、図14に示すように、保持ツール120を上昇させて保持したチップ6をシート5からピックアップする(ピックアップ工程)。そして保持ツール120によってチップ6をピックアップしたならば、部品保持ヘッド119は基板保持テーブル110へ移動して、保持したチップ6を基板12に搭載する(搭載工程)。本実施の形態2においても、実施の形態1に示す遮光部材9を用いることにより、前述と同様の効果を得る。
【0051】
上記説明したように、本実施の形態1,2に示すチップのピックアップにおいては、粘着層5aによるチップ6の貼着保持力を低下させるために行われる光照射において、チップ6の外形線6aから内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線6bの外側にはみ出さないように設定された照射範囲に光を照射するようにしている。これにより、隣接するチップ6への光照射の影響が排除され、これらのチップ6の貼着保持力が不必要に低減される事態が生じることがない。したがって、粘着層5aからのチップ6の剥離を容易にする効果を確保するとともに、チップ6を安定してピックアップして基板に搭載することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のチップ搭載装置およびチップ搭載方法は、チップを安定してピックアップして基板に搭載することができるという効果を有し、ダイボンディング装置においてシートに保持されたチップをピックアップして基板に搭載する用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の側面図
【図2】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部の構成説明図
【図3】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の形状説明図
【図4】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の平面図
【図5】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の平面図
【図6】本発明の実施の形態1のチップ搭載装置の光照射部に装着される遮光部材の平面図
【図7】本発明の実施の形態1のチップピックアップ方法の動作説明図
【図8】本発明の実施の形態1のチップピックアップ方法の動作説明図
【図9】本発明の実施の形態1のチップピックアップ方法の動作説明図
【図10】本発明の実施の形態2のチップ搭載装置の側面図
【図11】本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図
【図12】本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図
【図13】本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図
【図14】本発明の実施の形態2のチップピックアップ方法の動作説明図
【符号の説明】
【0054】
2、102 部品供給ステージ
5 シート
5a 粘着層
6 チップ
8 光照射部
9 遮光部材
10、110 基板保持ステージ
12 基板
T 透光部
N 遮光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の照射により気体を発生する粘着性物質によって上面にチップを貼着保持したシートから前記チップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載装置であって、
前記基板を保持する基板保持部と、前記シートを保持するシート保持部と、前記チップを前記シートからピックアップするピックアップ手段と、前記ピックアップされたチップを前記基板に搭載する搭載手段と、前記シート保持部の下方に設けられ前記シートに下方から光を照射することにより前記粘着性物質によるチップの貼着保持力を低下させる光照射手段と、前記光照射手段の上面と前記シートの下面との間に設けられ前記光が透過する透光部と前記光を遮断する遮光部とを有する遮光部材とを備え、
前記遮光部材を前記シート上のピックアップ対象のチップに位置合わせした状態において、前記透光部が前記チップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて閉形状で設定された内縁線の外側にはみ出さないことを特徴とするチップ搭載装置。
【請求項2】
前記透光部は、前記チップの中央部を含んで設定された中央透光部を含むことを特徴とする請求項1記載のチップ搭載装置。
【請求項3】
前記透光部は、前記チップの中央部から前記内縁線に向かって延出する延出透光部を含むことを特徴とする請求項1記載のチップ搭載装置。
【請求項4】
前記遮光部は、前記透光部によって閉囲された閉遮光領域を含むことを特徴とする請求項1記載のチップ搭載装置。
【請求項5】
前記遮光部材は、前記光照射手段に対して着脱可能な板部材であることを特徴とする請求項1記載のチップ搭載装置。
【請求項6】
光の照射により気体を発生する粘着性物質によって上面にチップを貼着保持したシートから前記チップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載方法であって、
前記シートに下方から光を照射することにより前記粘着性物質によるチップの貼着保持力を低下させる光照射工程と、前記チップを前記シートからピックアップするピックアップ工程と、ピックアップされた前記チップを基板に搭載する搭載工程とを含み、
前記光照射工程において前記光が前記シートに照射される照射範囲が、前記チップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線の外側にはみ出さないことを特徴とするチップ搭載方法。
【請求項7】
前記照射範囲は、前記チップの中央部を含んで設定された中央照射範囲を含むことを特徴とする請求項6記載のチップ搭載方法。
【請求項8】
前記照射範囲は、前記チップの中央部から前記内縁線に向かって延出する延出照射範囲を含むことを特徴とする請求項6記載のチップ搭載方法。
【請求項9】
前記光が照射されない非照射範囲は、前記照射範囲によって閉囲された閉形状の非照射領域を含むことを特徴とする請求項6記載のチップ搭載方法。
【請求項1】
光の照射により気体を発生する粘着性物質によって上面にチップを貼着保持したシートから前記チップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載装置であって、
前記基板を保持する基板保持部と、前記シートを保持するシート保持部と、前記チップを前記シートからピックアップするピックアップ手段と、前記ピックアップされたチップを前記基板に搭載する搭載手段と、前記シート保持部の下方に設けられ前記シートに下方から光を照射することにより前記粘着性物質によるチップの貼着保持力を低下させる光照射手段と、前記光照射手段の上面と前記シートの下面との間に設けられ前記光が透過する透光部と前記光を遮断する遮光部とを有する遮光部材とを備え、
前記遮光部材を前記シート上のピックアップ対象のチップに位置合わせした状態において、前記透光部が前記チップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて閉形状で設定された内縁線の外側にはみ出さないことを特徴とするチップ搭載装置。
【請求項2】
前記透光部は、前記チップの中央部を含んで設定された中央透光部を含むことを特徴とする請求項1記載のチップ搭載装置。
【請求項3】
前記透光部は、前記チップの中央部から前記内縁線に向かって延出する延出透光部を含むことを特徴とする請求項1記載のチップ搭載装置。
【請求項4】
前記遮光部は、前記透光部によって閉囲された閉遮光領域を含むことを特徴とする請求項1記載のチップ搭載装置。
【請求項5】
前記遮光部材は、前記光照射手段に対して着脱可能な板部材であることを特徴とする請求項1記載のチップ搭載装置。
【請求項6】
光の照射により気体を発生する粘着性物質によって上面にチップを貼着保持したシートから前記チップをピックアップして基板に搭載するチップ搭載方法であって、
前記シートに下方から光を照射することにより前記粘着性物質によるチップの貼着保持力を低下させる光照射工程と、前記チップを前記シートからピックアップするピックアップ工程と、ピックアップされた前記チップを基板に搭載する搭載工程とを含み、
前記光照射工程において前記光が前記シートに照射される照射範囲が、前記チップの外形線から内側に所定幅だけ隔てて設定された内縁線の外側にはみ出さないことを特徴とするチップ搭載方法。
【請求項7】
前記照射範囲は、前記チップの中央部を含んで設定された中央照射範囲を含むことを特徴とする請求項6記載のチップ搭載方法。
【請求項8】
前記照射範囲は、前記チップの中央部から前記内縁線に向かって延出する延出照射範囲を含むことを特徴とする請求項6記載のチップ搭載方法。
【請求項9】
前記光が照射されない非照射範囲は、前記照射範囲によって閉囲された閉形状の非照射領域を含むことを特徴とする請求項6記載のチップ搭載方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−222178(P2006−222178A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32556(P2005−32556)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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