説明

テンタークリップ用転がり軸受

【課題】軸受内部に封入した潤滑剤の漏洩を抑制して、該軸受により延伸されるフィルムの汚損を防止でき、かつ高温耐久性に優れた長寿命のテンタークリップ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】フィルム延伸装置のテンタークリップ15に使用される転がり軸受18であって、該転がり軸受18は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、内輪および外輪の軸方向両端開口部を覆うシール部材とを備え、軸受内部に、潤滑成分と、樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させてなる発泡固形潤滑剤を封入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルム延伸装置に用いられるテンタークリップ用転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂の延伸フィルム成形装置の一例を図3および図4に示す。図3は樹脂の二軸延伸フィルム製造装置の一例を示す図である。図4は図3の横延伸装置のガイドレールを示す図である。図3および図4に示すように二軸延伸フィルム製造装置は、樹脂を溶融混練する押出機9と、溶融混練した樹脂を原反シートに賦形して押し出すダイヘッド(Tダイ)10と、原反シートを縦方向に延伸する縦延伸機11と、縦方向に延伸されたシートをシート幅方向に延伸する横延伸装置13と、縦、横方向に二軸延伸されたフィルムを引き巻き取る引巻取機14とから構成される。横延伸装置13は、一対の周回するガイドレール12と、該ガイドレール12上を一定の間隔をあけて周回する複数のテンタークリップ15と、シートを加熱する手段とを有する。
図4に示すように、縦延伸されたシートは横延伸装置13において、複数のテンタークリップ15に両端を連続的に挟まれた状態で、熱処理されながら、ガイドレール12の拡幅部12a、12bに沿ってシートの幅方向に延伸され、縦、横両方向に延伸された二軸延伸フィルムとなる。図3に示すように、二軸延伸フィルムは引巻取機14にて巻き取られる。
【0003】
テンタークリップ15に用いられる転がり軸受は、加熱処理を行なう横延伸装置13内において 200〜250℃にさらされるため、テンタークリップ用転がり軸受の潤滑剤としては耐熱性を考慮してフッ素グリースを封入するのが一般的である。一方、ガイドレール12の潤滑にはエステル油がよく用いられる。このエステル油がフッ素グリース封入軸受に侵入すると、内部のフッ素グリースが軟化するおそれがある。グリースの軟化は、グリースの漏洩を引き起こし、その漏洩グリースによりテンタークリップにより延伸される樹脂フィルムが汚損されるという問題がある。
【0004】
シール形状を改良し、縦軸で使用される軸受内部へのレール潤滑油の侵入を抑制する方法として、シール部材の外径側に油溜りを付設し上方から落下したガイドレール/軸受外輪間の潤滑の油が縦姿勢の軸受の端面を封止するシールの上に滴下した場合に、そのレール潤滑油をシールの上に保持し、軸受内部への侵入を抑制する方法が知られている(特許文献1参照)。
また、このようなグリース潤滑を使用して潤滑される場合のグリース漏洩を防止するために、固体潤滑剤を軸受空間内に封入する方法が知られている(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1ではこのシール形状の改良によるレール潤滑油の軸受内部への侵入防止策は、縦軸に限定される。また、シール上に滴下されるレール潤滑油の量が多くなった場合、シールリップ部とシール溝との間隙からレール潤滑油が軸受内部に侵入するおそれがある。特に、このテンタークリップを支持する転がり軸受はガイドレールに数千個設置されているので、一つ一つの軸受の回転トルクが僅かな大きさであっても、全体の回転トルクが大きくなり、軸受の回転トルク大は機械装置全体の消費電力の増大に繋がるという問題がある。
また、シールを軸受に組付ける際に、芯金の内径寸法に制約があり、芯金のないゴムリップ部が回転により、軸方向に振れ、ビビリが生じ、グリース漏れを助長するおそれがある。特に、高速回転時にはこのシールが僅かながらではあるがバタつき、内部にガイドレール潤滑油が侵入するおそれがある。
【0006】
また、特許文献2にて開示されている潤滑剤はあくまでも含油ポリエチレン樹脂を固化させたものであり、その内部に保持できる潤滑剤であるグリースの量は少ないという問題がある。さらに、軸受への充填仕様によっては、軸受内で固化させた後冷却する過程において、固形潤滑剤が収縮するために潤滑剤自身が転動体を抱きこんでしまい、回転トルクが大きくなるおそれがある。
【特許文献1】特開2003−148495号公報
【特許文献2】特開昭56−49418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、軸受内部に封入した潤滑剤の漏洩を抑制して、該軸受により延伸されるフィルムの汚損を防止でき、かつ高温耐久性に優れた長寿命のテンタークリップ用転がり軸受の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のテンタークリップ用転がり軸受は、外径面に転走面を有する内輪と、該内輪を略中央に内包する外輪と、内外輪間に複数の転動体と、上記内輪および外輪の軸方向両端開口部を覆うシール部材とを備え、内部に発泡固形潤滑剤を封入したテンタークリップ用転がり軸受であって、上記発泡固形潤滑剤は、潤滑成分と、樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させてなる発泡固形潤滑剤であることを特徴とする。
【0009】
上記発泡固形潤滑剤の中で第1の発泡固形潤滑剤は、潤滑成分が炭化水素系潤滑油および炭化水素系グリースから選ばれた少なくとも1つの潤滑成分であり、上記樹脂成分は、高分子主鎖が炭化水素から構成され、該主鎖末端に水酸基価が 25 mg KOH/g〜110 mg KOH/g となる量の水酸基を有する液状ゴムであり、上記硬化剤は分子内にイソシアネート基を有する有機化合物であり、上記発泡剤が水であり、上記液状ゴムと上記硬化剤との割合は、上記液状ゴムに含まれる水酸基と前記硬化剤に含まれるイソシアネート基とが当量比で(OH/NCO)=1/( 1.0〜2.0 )の範囲であり、上記混合物は、混合物全体に対して、上記潤滑成分を 40 重量%〜80 重量%、上記液状ゴムを 5 重量%〜45 重量%含むことを特徴とする。
また、上記液状ゴムがブタジエンもしくはイソプレンの重合体の主鎖末端に水酸基を有する数平均分子量 1000〜3500 の水酸基末端ジエン系重合体、または該ジエン系重合体を水添処理した変性水酸基末端ジエン系重合体であることを特徴とする。
また、上記分子内にイソシアネート基を持つ有機化合物は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有し、イソシアネート基の割合が 2.5 NCO%〜5.0 NCO%からなるプレポリマーであるか、または芳香族ポリイソシアネートであることを特徴とする。
【0010】
上記発泡固形潤滑剤の中で第2の発泡固形潤滑剤は、上記潤滑成分が潤滑油およびグリースから選ばれた少なくとも1つの潤滑成分であり、上記樹脂成分は、イソシアネート基含有量が 2 重量%以上 6 重量%未満のウレタンプレポリマーであり、上記発泡剤が水であり、上記混合物は、混合物全体に対して、上記潤滑成分を 30 重量%〜70 重量%含み、発泡後の連続気泡率が 50%以上であることを特徴とする。また、上記ウレタンプレポリマーは、エステル系ウレタンプレポリマー、カプロラクトン系ウレタンプレポリマー、およびエーテル系ウレタンプレポリマーから選ばれた少なくとも1つのウレタンプレポリマーであることを特徴とする。
また、上記イソシアネート基と、該イソシアネート基と反応する上記硬化剤の官能基との割合が当量比で(硬化剤の官能基/NCO)=1/(1.1〜2.5)の範囲であることを特徴とする。
また、上記水の水酸基と、上記硬化剤の官能基との割合が当量比で(水の水酸基/硬化剤の官能基)=1/(0.7〜2.0)の範囲であることを特徴とする。
上記硬化剤が芳香族ポリアミノ化合物、特にアミノ基の隣接位に置換基を有する芳香族ポリアミノ化合物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のテンタークリップ用転がり軸受は、内輪および外輪の軸方向両端開口部を覆うシール部材を備えた密封型の転がり軸受であって、その軸受内部(保持器と内・外輪との空間、保持器のない転がり軸受における内・外輪間の空間など)に、レール潤滑油等と接触しても軟化することがない発泡固形潤滑剤を封入してなるので、軸受内部にレール潤滑油等が侵入した場合であっても、潤滑剤の潤滑特性の低下や軸受外部への漏洩を抑制でき、軸受内部の潤滑状態を良好に保持できる。
【0012】
この発泡固形潤滑剤は、潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、該樹脂成分を発泡・硬化させて多孔質化した固形物であり、かつ潤滑成分が発泡・硬化した固形成分内に吸蔵される。このため、本発明のテンタークリップ用転がり軸受は、発泡固形潤滑剤中の潤滑成分の保持量が単なる気孔内の含浸による保持量よりも多くなり、長寿命化に寄与することができる。また、運転時において発泡固形潤滑剤中より転動体周囲等に潤滑成分が徐放されるので、余剰な潤滑剤の漏洩を防止できる。なお、本発明において「吸蔵」とは、液体・半固体状の潤滑成分が他の配合成分と反応することなく、固体の樹脂中に化合物にならないで含まれることをいう。
【0013】
また、この発泡固形潤滑剤は、非発泡体と比較して屈曲時に必要なエネルギーが非常に小さく、潤滑成分を高密度に保持しながら柔軟な変形が可能である。よって、該発泡固形潤滑剤を固化させた後冷却する過程において、固形潤滑剤が収縮し転動体を抱き込んだとしても屈曲・変形時に必要なエネルギーが小さいために容易に変形することができ、回転トルクが大きくなるという問題を防ぐことができる。
【0014】
以上のことから、多量のレール潤滑油等と接触する環境で使用されるフィルム延伸装置のテンタークリップ用転がり軸受の寿命を従来よりも大幅に延長することができる。また、軸受外部への潤滑剤の漏洩を抑制でき、該軸受により延伸されるフィルムの汚損を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のテンタークリップ用転がり軸受が使用されているテンタークリップの一例の断面図を図1に示す。また、上述した図4も参照して説明する。
図1に示すようにテンタークリップ15には、シートの片端16を把持する把持部17と、テンタークリップ本体15aがガイドレール12にガイドされつつ走行可能とするための複数のテンタークリップ用転がり軸受18とが設けられている。
図4および図1に示すように、テンタークリップ15はガイドレール12に沿って横延伸装置13内を周回する。縦延伸されたシートはガイドレール入口12cでシートの片端16を把持部17で把持され、加熱処理されながらテンタークリップ15の走行によってガイドレール拡幅部12a、12bで横延伸される。この縦延伸かつ横延伸されたシートが二軸延伸フィルムとなる。ガイドレール出口12dにおいて、把持部17は把持状態を解除し、テンタークリップ15はガイドレール12に沿って横延伸装置13に入口に戻る。
【0016】
テンタークリップ用転がり軸受18は、横延伸装置13内の加熱処理やテンタークリップ15の走行補助のエステル油の噴霧にさらされる。延伸装置内での高温条件下等においてエステル油の酸化劣化を防止するため、エステル油にはアミン系添加剤が添加されており、軸受18の外輪とガイドレール12とは、このエステル油によって潤滑される。
【0017】
本発明のテンタークリップ用転がり軸受18の一例を図2に示す。図2は深溝玉軸受の断面図である。
図1に示すようにテンタークリップ用転がり軸受として利用される深溝玉軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。転動体4は保持器5により保持され、少なくとも転動体4の周囲に発泡固形潤滑剤7が封入される。ここで、発泡固形潤滑剤7は潤滑成分および樹脂成分を必須成分とし、該樹脂成分を発泡して多孔質化した固形物である。発泡固形潤滑剤7を構成する樹脂成分、潤滑成分および充填方法等は後述する。
【0018】
シール部材6は、内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ外輪3等に固定されて設けられる。シール部材6は、発泡固形潤滑剤7から徐放される潤滑成分の漏洩を防止するとともに、走行補助として噴霧されるエステル油の侵入や異物の混入を防止する。シール部材6は、例えば、上記アミン系添加剤が添加されたエステル油に対して耐性のあるフッ素ゴム組成物の成形体が用いられている。
【0019】
この発明は、実施形態で説明した上記軸受に限らず、種々の形式のテンタークリップ用転がり軸受に広く適用可能である。例として、アンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト針状ころ軸受、円すいころ軸受、スラスト円すいころ軸受、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受、すべり軸受などが挙げられる。
【0020】
本発明のテンタークリップ用転がり軸受は、封入した発泡固形潤滑剤の樹脂内に潤滑成分を吸蔵させるので、樹脂の柔軟性により、例えば軸受の回転や延伸装置からの受熱による熱膨張、または毛細管現象により潤滑剤を滲み出させて樹脂の分子間から外部に徐放できる。この際、滲み出す潤滑油等の量は、外力等の大きさに応じて弾性変形する程度を樹脂の選択などによって変えることにより、必要最小限にすることができる。また、上記混合物の配合成分の配合量をコントロールすることにより発泡固形潤滑剤の密度を変化させることができる。
また、本発明に用いる発泡固形潤滑剤において樹脂成分は、発泡により表面積が大きくなっており、滲み出した余剰の潤滑油等を再び発泡体の気泡内に一時的に保持することもできて滲み出す潤滑油等の量は安定している。また樹脂内に潤滑剤を吸蔵させるとともに気泡内に含浸させることによって非発泡の状態より潤滑油等の保持量も多くなる。
【0021】
本発明に用いる発泡固形潤滑剤を構成する樹脂成分としては、発泡・硬化後にゴム状弾性を有し、変形により潤滑成分の滲出性を有するものが好ましい。
発泡・硬化は、樹脂生成時に発泡・硬化させる形式であっても、樹脂成分に発泡剤を配合して成形時に発泡・硬化させる形式であってもよい。ここで硬化は架橋反応および/または液状物が固体化する現象を意味する。また、ゴム状弾性とは、ゴム弾性を意味するとともに、外力により加えられた変形がその外力を無くすことにより元の形状に復帰することを意味する。
【0022】
本発明に用いる発泡固形潤滑剤の樹脂成分には耐熱性および柔軟性に優れ、低コスト化が可能となるウレタン樹脂を用いるのが好ましい。樹脂成分として、以下に説明する分子内に水酸基を有する液状ゴムを用いる第1の発泡固形潤滑剤、所定のNCOを含有するウレタンプレポリマーを用いる第2の発泡固形潤滑剤が好ましい。
また、ポリオールとしてのポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる樹脂成分を用いることができる。
【0023】
本発明に用いることができる第1の発泡固形潤滑剤に用いられる樹脂成分には耐熱性および柔軟性に優れ、低コスト化が可能となるウレタン樹脂を用いるのが好ましい。ウレタン樹脂を形成する水酸基含有成分としては、分子内に水酸基を有する液状ゴムが好ましく、この液状ゴムは高分子主鎖が炭化水素から構成され、該主鎖末端に水酸基価が 25〜110 mg KOH/g となる量の水酸基を有する液状ゴムであることが好ましい。水酸基価が 25 mg KOH/g 未満では、発泡・硬化が十分でなく、水酸基価が 110 mg KOH/g をこえると、発泡固形潤滑剤の弾力性が失われる場合がある。
この液状ゴムは、ブタジエンもしくはイソプレンの重合体の主鎖末端に水酸基を有する数平均分子量 1000〜3500 の水酸基末端ジエン系重合体、または該ジエン系重合体を水添処理した変性水酸基末端ジエン系重合体を用いることができる。
水酸基末端液状ポリブタジエンとしては、poly-bd R45HT(出光興産社製)、poly-bd R15HT(出光興産社製)、NISSO-PB G-1000、G-2000、G-3000(日本曹達社製)が挙げられ、水酸基末端液状ポリイソプレンとしては、poly-ip(出光興産社製)が挙げられ、水添処理した水酸基末端ポリジエン化合物としては、エポール(出光興産社製)、NISSO-PB GI-1000、GI-2000、GI-3000(日本曹達社製)等が挙げられる。
【0024】
また、これら水酸基末端ポリジエン化合物または水添処理した水酸基末端ポリジエン化合物の末端水酸基をイソシアネート基やエポキシ基などで一部変性した水酸基末端ポリジエン化合物または水添処理した水酸基末端ポリジエン化合物も水酸基が末端に含まれれば使用することができる。製造された発泡体の物性を制御するなどの目的でこれら化合物を2種類以上混合して用いてもよい。
【0025】
上記水酸基末端ポリジエン系重合体または水添処理した水酸基末端ポリジエン系重合体は、後述する炭化水素から構成されるパラフィン系やナフテン系の鉱物油からなる潤滑成分と分子構造が類似するので、潤滑成分を構成する分子との化学的親和性に優れ、水酸基末端ポリジエン系重合体または水添処理した水酸基末端ポリジエン系重合体と潤滑成分分子とが比較的弱い相互作用によって絡み合っていると考えられる。そのため多くの潤滑成分をその水酸基末端ポリジエン系重合体または水添処理した水酸基末端ポリジエン系重合体の分子内に含浸させることが可能であり、高い潤滑成分保持性を発揮することができる。これに熱や遠心力などの強い力を加えることで、水酸基末端ポリジエン系重合体または水添処理した水酸基末端ポリジエン系重合体と潤滑成分の相互作用が壊され、潤滑成分を徐放させることができる。
【0026】
液状ゴムを硬化させる硬化剤としての分子内にイソシアネート基を有する有機化合物は、液状ゴム内の水酸基と反応し、分子鎖を延長させ、または架橋させるイソシアネート化合物であれば、特に制限なく使用できる。好ましいイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート類を挙げることができる。ポリイソシアネート類は後述する発泡剤となる水と反応して気体を発生させることができるので特に好ましい。
ポリイソシアネート類としては、ポリイソシアネートおよび/または分子内に2個以上のイソシアネート基を有するプレポリマーが挙げられる。
【0027】
ポリイソシアネート類は芳香族、脂肪族、または脂環族ポリイソシアネート類を挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネート類としては、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと記す)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと記す)、TDIの多量体、MDIの多量体、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、フェニレンジイソシアネート、ジフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート類としては、オクタデカメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、へキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネート類としては、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどのポリオールとの付加物も使用できる。
液状ゴムの末端官能基である水酸基との反応を高温度で行なう場合は、フェノール類、ラクタム類、アルコール類、オキシム類などのブロック剤でイソシアネート基をブロックしたブロックイソシアネート等を使用することができる。
【0028】
水酸基末端ポリジエン系重合体と反応させる場合、ポリイソシアネート類の中で芳香族ポリイソシアネート類が好ましく、更には水酸基末端ポリジエン系重合体等との発泡性および反応性に優れるTDIが好ましい。
【0029】
分子内に2個以上のイソシアネート基を有するプレポリマーとしては、イソシアネート基の割合が 2.5〜5.0 NCO%からなるプレポリマーであれば使用できる。なお、NCO%はプレポリマー中におけるNCO基としての重量%である。2.5〜5.0 NCO%のプレポリマーは水酸基末端ポリジエン系重合体等と反応して弾力性に富んだウレタンを得ることができる。
プレポリマー類には重合させるモノマーの種類によりPPG系、PTMG系、エステル系、カプロラクトン系などに分類される。PPG系にはタケネートL-1170(三井化学ポリウレタン社製)、L-1158(三井化学ポリウレタン社製)があり、PTMG系にはコロネート4090(日本ポリウレタン社製)がある。また、エステル系としてはコロネート4047(日本ポリウレタン社製)などがあり、カプロラクトン系にはタケネートL-1350(三井化学ポリウレタン社製)、タケネートL-1680(三井化学ポリウレタン社製)、サイアナプレン7-QM(三井化学ポリウレタン社製)、プラクセルEP1130(ダイセル化学工業社製)などを挙げることができる。
上記プレポリマーは、目的に応じて2種類以上を混合して用いることもできる。
【0030】
末端水酸基を有する水酸基末端ポリジエン系重合体または水添処理した水酸基末端ポリジエン系重合体とイソシアネート基を有するイソシアネート化合物との配合割合は、水酸基(−OH)とイソシアネート基(−NCO)との当量比で(OH/NCO)=1/( 1.0〜2.0 )の範囲が好ましく、特に優れた発泡性および弾力性を考慮すると、(OH/NCO)=1/( 1.1〜1.9 )の範囲が好ましい。(OH/NCO)が1/2.0 より小さいときはイソシアネート基が過剰となり、架橋密度が大きく弾性に劣る場合がある。また、(OH/NCO)が1/1.0 より大きいときには架橋するイソシアネート基が不足するため硬化が十分でなくなる。
【0031】
第1の発泡固形潤滑剤に使用できる潤滑成分は、発泡体を形成する固形成分を溶解しないものであれば使用することができる。潤滑成分としては、炭化水素系潤滑油、炭化水素系グリース、または炭化水素系潤滑油と炭化水素系グリースとの混合物が挙げられる。
炭化水素系潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、炭化水素系合成油、GTL基油等が挙げられる。これらは単独でも混合油としても使用できる。
炭化水素系グリースは炭化水素油を基油とするグリースであり、基油としては上述の炭化水素系潤滑油を挙げることができる。増ちょう剤としては、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、カルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。ジウレア化合物はジイソシアネートとモノアミンの反応で、ポリウレア化合物はジイソシアネートとポリアミンの反応で、それぞれ得られる。
【0032】
上記潤滑成分には、炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸エステル系ワックス、高級脂肪酸アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素硬化油などを混合して使用することができる。
【0033】
第1の発泡固形潤滑剤を発泡させる手段は、原料にイソシアネート化合物を用いることから、イソシアネート化合物と反応して二酸化炭素ガスを発生させる水を用いることが好ましい。
【0034】
第1の発泡固形潤滑剤は、上記潤滑成分と、液状ゴムと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させて得られる。
上記潤滑成分の配合割合は、混合物全体に対して、40〜80 重量%である。潤滑成分が 40 重量%未満であると、潤滑油などの供給量が少なく発泡固形潤滑剤としての機能を発揮できず、80 重量%より多いときには固化しなくなる。
上記液状ゴムの配合割合は、混合物全体に対して、5〜45 重量%、好ましくは 9〜42 重量%である。5 重量%より少ないときは固化しないため発泡固形潤滑剤としての機能を持たず、45 重量%より多いときには潤滑剤の供給が少なく、発泡固形潤滑剤としての機能を持たない。
【0035】
第1の発泡固形潤滑剤において発泡倍率は 1.1〜50 倍であることが好ましく、より好ましくは 1.1〜10 倍である。発泡倍率 1.1 倍未満の場合は気泡体積が小さく、外部応力が加わったときに変形を許容できない。また、50 倍をこえる場合は外部応力に耐える強度を得ることが困難となる。
【0036】
また、第1の発泡固形潤滑剤の硬化速度を促進させるために、3級アミン系触媒や有機金属触媒などを用いることができる。使用する3級アミン系触媒としてはモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類などが挙げられる。また、有機金属触媒としてはスタナオクタエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマレエート、ジオクチルチンジメルカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレートなどが挙げられる。また、反応のバランスを整えるなどの目的でこれら複数種類を混合して用いてもよい。
【0037】
本発明において第2の発泡固形潤滑剤の樹脂成分として使用できるウレタンプレポリマーは、活性水素基を有する化合物とポリイソシアネートとの反応によって得られ、イソシアネート基は、分子鎖末端であっても、あるいは分子鎖内から分岐した側鎖末端に含まれていてもよい。また、ウレタンプレポリマーは分子鎖内にウレタン結合を有していてもよい。
反応するモノマー(=活性水素基を有する化合物)の種類によって、カプロラクトン系、エステル系、エーテル系などに分類される。エーテル系にはタケネートL-1170(三井化学ポリウレタン社製)、L-1158(三井化学ポリウレタン社製)、コロネート4090(日本ポリウレタン社製)がある。また、エステル系としてはコロネート4047(日本ポリウレタン社製)などがあり、カプロラクトン系にはタケネートL-1350(三井化学ポリウレタン社製)、タケネートL-1680(三井化学ポリウレタン社製)、サイアナプレン7-QM(三井化学ポリウレタン社製)、プラクセルEP1130(ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。
また、末端基をイソシアネート基に変性したオリゴマーやプレポリマー化合物も使用することができる。このような化合物としては末端イソシアネート変性ポリエーテルポリオールや水酸基末端ポリブタジエンのイソシアネート変性体が挙げられる。末端イソシアネート変性ポリエーテルポリオールにはコロネート1050(日本ポリウレタン社製)などが挙げられる。また、水酸基末端ポリブタジエンのイソシアネート変性体には poly−bd MC50(出光興産社製)や poly−bd HTP9(出光興産社製)が挙げられる。
これらのウレタンプレポリマーは目的とする機械的性質などに応じて2種類以上を混合して使用することもできる。
【0038】
第2の発泡固形潤滑剤は、イソシアネート基含有量が 2 重量%以上 6 重量%未満のウレタンプレポリマーを使用できる。イソシアネート基(NCO)の含有量が 2 重量%未満であると発泡性と弾力性の両立が難しくなるし、6 重量%以上であると硬度が大きくなりすぎて反発弾性が大きくなり外力による変形を受けるときに発熱等を起こしやすくなる。
また、イソシアネート基は、フェノール類、ラクタム類、アルコール類、オキシム類などのブロック剤でイソシアネート基をブロックしたブロックイソシアネート等を使用することができる。
【0039】
上記ウレタンプレポリマーを硬化させる硬化剤としては、活性水素を有する化合物が好ましく、官能基がアミノ基であるポリアミノ化合物、官能基が水酸基であるポリオール化合物が挙げられる。
ポリアミノ化合物としては、3,3′-ジクロロ-4,4′-ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと記す)、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、3,3′-ジメトキシ-4,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノ-3,3′-ジエチル-5,5′-ジメチルジフェニルメタン、トリメチレン-ビス-(4-アミノベンゾアート)、ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミン、ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミン、メチルチオトルエンジアミン、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンに代表される芳香族ポリアミノ化合物が挙げられる。
【0040】
上記ポリアミノ化合物の中でも芳香族アミノ化合物が低コストであり、物性が優れているため、好ましく、特にアミノ基の隣接位に置換基を有する芳香族ジアミノ化合物が好ましい。第2の発泡固形潤滑剤においては、発泡と共に硬化させる工程を経るため、隣接位の置換基によりアミノ基の反応性が抑制されるためと考えられる。
【0041】
ウレタンプレポリマーをポリアミノ化合物で硬化させるとウレタンおよびウレア結合を分子内に有する発泡固形潤滑剤となる。ウレア結合を生成させることによって分子中のウレタン結合密度を下げることになり、伸びや反発弾性が向上する。また、ウレア結合を生成させることによって剛性を与えることができる。
【0042】
ポリオール化合物としては、1,4-ブタングリコールやトリメチロールプロパンに代表される低分子ポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油系ポリオール、ポリエステル系ポリオールが挙げられる。ポリオール化合物の中では、ポリエーテルポリオール、トリメチロールプロパンが好ましい。
【0043】
ウレタンプレポリマーに含まれるイソシアネート基(−NCO)と、該イソシアネート基と反応する硬化剤の官能基との割合は、官能基がアミノ基または水酸基である場合、当量比で(硬化剤の官能基/NCO)=1/(1.1〜2.5)の範囲である。
ウレタンプレポリマーに含まれるイソシアネート基と硬化剤のアミノ基(−NH2)または水酸基(−OH)、そして発泡剤である水の水酸基(−OH)との割合で発泡固形潤滑剤の発泡倍率や柔軟性、弾力性等が定まる。硬化剤のアミノ基(−NH2)または水酸基(−OH)とウレタンプレポリマーのイソシアネート基(−NCO)とを当量で反応させると、発泡剤である水と反応するイソシアネート基(−NCO)が消失してしまうため、(硬化剤の官能基/NCO)=1/(1.1〜2.5)の範囲が好ましい。また、発泡剤である水の水酸基と、硬化剤の官能基との割合が当量比で(水の水酸基/硬化剤の官能基)=1/(0.7〜2.0)の範囲である。
上記範囲よりも硬化剤の量が少なくなると発泡固形潤滑剤の強度等の物性が著しく低下するばかりでなく、ウレタンエラストマーとして硬化しない場合もある。
【0044】
第2の発泡固形潤滑剤に使用できる潤滑成分は、第1の発泡固形潤滑剤と同様に、発泡体を形成する固形成分を溶解しないものであれば使用することができる。潤滑成分としては、例えば潤滑油、グリース、ワックスなどを単独でもしくは混合して使用できる。特に好ましいものとして炭化水素系潤滑油、炭化水素系グリース、または炭化水素系潤滑油と炭化水素系グリースとの混合物が挙げられる。
炭化水素系潤滑油としては、第1の発泡固形潤滑剤と同様のものを使用できる。また、エステル系合成油、エーテル系合成油、フッ素油、シリコーン油等も使用することができる。これらは単独でも混合油としても使用できる。
グリースとしては第1の発泡固形潤滑剤と同様のグリースの他に、エステル系合成油、エーテル系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等を基油としたグリースも使用できる。
また、第1の発泡固形潤滑剤と同様の炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸エステル系ワックス、高級脂肪酸アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素硬化油などを混合して使用することができる。
【0045】
第2の発泡固形潤滑剤を発泡させる発泡剤としては、原料にイソシアネート化合物を用いることから、イソシアネート化合物と反応して二酸化炭素ガスを発生させる水を用いることが好ましい。
また、第2の発泡固形潤滑剤の硬化速度を促進させるために、上述した3級アミン系触媒や有機金属触媒などを用いることができる。
【0046】
第2の発泡固形潤滑剤は、上記潤滑成分と、樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させて得られる。
上記潤滑成分の配合割合は、混合物全体に対して、30〜70 重量%、好ましくは 40〜60 重量%である。潤滑成分が 30 重量%未満であると、潤滑油などの供給量が少なく発泡固形潤滑剤としての機能を発揮できず、70 重量%より多いときには固化しない場合がある。
【0047】
第2の発泡固形潤滑剤の発泡後の連続気泡率は 50%以上であり、好ましくは 50 %以上 90 %以下である。連続気泡率が 50%未満の場合は、樹脂成分(固形成分)の潤滑油が一時的に独立気泡中に取り込まれている割合が多くなり、必要な時に外部へ供給されない場合がある。なお、90%をこえると、潤滑剤の保油性の低下および潤滑剤の放出量が多くなることで長期使用に不利となったり、発泡固形潤滑剤自体の強度(耐久性)が低下したりするおそれがある。
【0048】
第2の発泡固形潤滑剤の連続気泡率は以下の手順で算出できる。
(1)発泡硬化した発泡固形潤滑剤を適当な大きさにカットし、試料Aを得る。試料Aの重量を測定する。
(2)Aを 3 時間ソックスレー洗浄(溶剤:石油ベンジン)する。その後 80℃で 2 時間恒温槽に放置し、有機溶剤を完全に乾燥させ、試料Bを得る。試料Bの重量を測定する。
(3)連続気泡率を以下の手順で算出する。
連続気泡率=(1−(試料Bの樹脂成分重量−試料Aの樹脂成分重量)/試料Aの潤滑成分重量)×100
なお、試料A、Bの樹脂成分重量、潤滑成分重量は、試料A、Bの重量に組成の仕込み割合を乗じて算出する。
連続していない独立気泡中に取り込まれた潤滑成分は 3 時間ソックスレー洗浄では外部へ放出されないため試料Bの重量を減少させることがないので、上記の操作で試料Bの重量減少分は連続気泡からの潤滑成分の放出によるものとして連続気泡率が算出できる。
【0049】
なお、第1および第2の発泡固形潤滑剤には必要に応じて顔料や帯電防止剤、難燃剤、防黴剤、補強剤、無機充填剤、老化防止剤、フィラーなどの各種添加剤等を添加することができる。補強剤としてはカーボンブラック、ホワイトカーボン、コロイダルシリカなどが挙げられ、無機充填剤としては炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレイ、硅石粉などが挙げられる。
さらに二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整剤、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、アミン系、フェノール系などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、イオウ系、イオウ−リン系などの極圧剤、有機亜鉛、リン系などの摩耗防止剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
【0050】
第1および第2の発泡固形潤滑剤は、潤滑油などの潤滑成分存在下で発泡反応と硬化反応とを同時に行なう反応型含浸法を用いることが、潤滑成分の高充填化と材料物性の高伸化を同時に両立させるためには望ましい。これは発泡体形成段階において発泡体に形成された気泡に潤滑剤が均一に含浸されるとともに、潤滑成分が発泡・硬化した固形成分内に吸蔵されることにより潤滑剤の高充填化と材料物性の高伸化が両立するものと考えられる。
これに対してあらかじめ発泡体を製造しておき、これに潤滑剤を含浸させる後含浸法では潤滑剤保持力が十分でなく、短時間で潤滑剤が放出され長期的に使用すると潤滑剤が供給不足となる。
【0051】
潤滑成分と、樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を混合する方法は、特に限定されることなく、例えばヘンシェルミキサー、リボンミキサー、ジューサーミキサー、ミキシングヘッド等、一般に用いられる撹拌機を使用して混合することができる。
混合物は硬化剤および発泡剤により速やかに発泡・硬化するため、硬化剤および発泡剤を除く他の成分を撹拌機へ投入し、最後に硬化剤および発泡剤を投入することが望ましい。
上記混合物は、市販のシリコーン系整泡剤などの界面活性剤を使用し、各原料分子を均一に分散させておくことが望ましい。また、この整泡剤の種類によって表面張力を制御し、生じる気泡の種類を連続気泡または独立気泡に制御することが可能となる。このような界面活性剤としては陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0052】
本発明のテンタークリップ用転がり軸受において発泡固形潤滑剤は、軸受内に潤滑成分および樹脂成分を含む混合物を流し込んだ後、発泡・硬化させてもよく、また常圧で発泡・硬化した後に裁断や研削等で目的の形状に後加工し、軸受内に組み込むこともできる。
形状が複雑な軸受内の任意の部位にも容易に充填することが可能であり、発泡成形体を得るための成形金型や研削工程等も不要であることから、本発明では、混合物を発泡・硬化前に軸受内に流し込み、軸受内において発泡・硬化させる方法を採用することが好ましい。該方法を採用することで、製造工程が簡易となり低コスト化が図れる。
【0053】
発泡・硬化時において発泡により多孔質化される際に生成させる気泡は気泡が連通している連続気泡であることが好ましく、外部応力によって潤滑成分を樹脂の表面から連続気泡を介して外部に直接供給するためである。気泡間が連通していない独立気泡の場合は固形成分中の潤滑油の全量が一時的に独立気泡中に隔離され気泡間での移動が困難となり、必要なときに転動体周囲等に十分供給されない場合がある。
【実施例】
【0054】
実施例1〜実施例15および比較例1〜比較例4
実施例1〜実施例15および比較例1〜比較例4に用いた潤滑成分、液状ゴム、硬化剤、発泡剤、触媒を以下に示す。なお、( )内は表中での略号を表す。
潤滑成分
潤滑油(潤滑油):タービン100(新日本石油社製)
潤滑グリース(グリース1):NTG2218M(協同油脂社製)
液状ゴム
水酸基末端ポリブタジエン(PBOH1):Poly-bd R45HT(水酸基価:46.6 mg KOH/g、数平均分子量:2,800、出光興産社製)
水酸基末端ポリブタジエン(PBOH2):Poly-bd R15HT(水酸基価:102.7 mg KOH/g 、数平均分子量:1,200、出光興産社製)
水酸基末端ポリイソプレン(PipOH):Poly-ip(水酸基価:46.6 mg KOH/g 、数平均分子量:2,500、出光興産社製)
水添水酸基末端ポリイソプレン(HPipOH):エポール(水酸基価:50.5 mg KOH/g 、数平均分子量:2,500、出光興産社製)
硬化剤
イソシアネート化合物(TDI):コロネートT-80(日本ポリウレタン社製)
エラストマ1(UE1):コロネート4090(4.4 NCO% 日本ポリウレタン社製)
エラストマ2(UE2):プラクセルEP1130(3.3 NCO% ダイセル化学工業社製)
発泡剤(発泡剤) イオン交換水
整泡剤(整泡剤) SRX298(東レダウ社製)
触媒(触媒1) DM70(東ソー社製)
【0055】
硬化剤(イソシアネート)を除く配合材料を表1〜表3に示す配合割合でよく混合し、最後に硬化剤を加えて素早く混合した混合物 40 g を、ポリテトラフルオロエチレン樹脂製容器(直径 70 mm×高さ 150 mm )に充填した。数秒後に発泡反応が始まり、常温で数時間放置し硬化させて円柱試験片を得た。この試験片を目視および光学顕微鏡を用いて観察した。試験片に 30 N の力を試験片の円柱軸方向に印加したときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発泡体であるものを優れた発泡固形潤滑剤であると評価して「○」印を、また、発泡体として硬化しない場合、潤滑油が分離したり放出したりしない場合を「×」印を付して表1〜表3に併記した。
また、「○」印と評価された試験片は試験片の円柱軸方向に 20%伸張させても油が滲み出すことはなかった。
【0056】
【表1】

【表2】

【表3】

【0057】
表1〜表3に示すように、実施例1〜実施例15の発泡固形潤滑剤では指で押したとき相当する力を加えたときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発泡体であり、優れた発泡固形潤滑剤であると認められたが、比較例1〜比較例4では発泡はしたものの一部固化せず、発泡固形潤滑剤としては機能しないことがわかった。
次に、実施例1〜実施例15の発泡固形潤滑剤成分を図2に示すテンタークリップ用転がり軸受の少なくとも転動体4の周囲に注入して常温で数時間放置し硬化させ、発泡固形潤滑剤を封入してなるテンタークリップ用転がり軸受を得た。
このテンタークリップ用転がり軸受は、軸受内部が発泡固形潤滑剤で封入されているので、エステル油などのレール潤滑油の浸入を抑えることができた。また、加熱処理を行なう横延伸装置通過後であっても潤滑剤の潤滑特性の低下や軸受外部への漏洩を抑制できた。
【0058】
実施例16〜実施例35および比較例5〜比較例7に用いた潤滑成分、ウレタンプレポリマー、硬化剤、発泡剤、触媒を以下に示す。なお、( )内は表中での略号を表す。
潤滑成分
潤滑油(潤滑油1):タービン100(パラフィン系鉱油、新日本石油社製)
潤滑油(潤滑油2):クリセフ150(ナフテン系鉱油、新日本石油社製)
潤滑油(潤滑油3):シンフルード801(ポリ-α-オレフィン、新日鐵化学社製) 潤滑グリース(グリース2):パイロニックユニバーサルN6C(新日本石油社製)
ウレタンプレポリマー
カプロラクタン系ウレタンプレポリマー1(プレポリマー1):プラクセルEP1130(NCO 3.3%、ダイセル化学工業社製)
エーテル系ウレタンプレポリマー(プレポリマー2):コロネート4090(NCO 4.3%、日本ポリウレタン社製)
エステル系ウレタンプレポリマー(プレポリマー3):コロネート4047(NCO 4.3%、日本ポリウレタン社製)
カプロラクタン系ウレタンプレポリマー(プレポリマー4):タケネートL-1350(NCO 2.3%、三井化学ポリウレタン社製)
エーテル系ウレタンプレポリマー(プレポリマー5):タケネートL-1170(NCO 2.4%、三井化学ポリウレタン社製)
カプロラクタン系ウレタンプレポリマー(プレポリマー6):タケネートL-1680(NCO 3.2%、三井化学ポリウレタン社製)
カプロラクタン系ウレタンプレポリマー(プレポリマー7):サイアナプレン7-QM(NCO 2.3%、三井化学ポリウレタン社製)
エーテル系ウレタンプレポリマー(プレポリマー8):タケネートL-1158(NCO 4.4%、三井化学ポリウレタン社製)
硬化剤
MOCA(MOCA):イハラキュアミンMT(イハラケミカル社製)
トリメチレン-ビス-(4-アミノベンゾアート)(CUA-4):CUA-4(イハラケミカル社製)
ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミン、ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミンおよびメチルチオトルエンジアミンの混合物(エタキュア300):エタキュア300(アルベマール社製)
トリメチロールプロパン:試薬
発泡剤(発泡剤) イオン交換水
整泡剤(整泡剤) SRX298(東レダウ社製)
触媒(触媒1) DM70(東ソー社製)
【0059】
実施例16〜18、21、22、24、25、27〜32、34〜35、比較例5〜7
80℃のポリテトラフルオロエチレン製ビーカ(直径 70 mm×高さ 150 mm )内で、硬化剤、アミン触媒および発泡剤を除く原料を表4〜表6に示す配合割合でよく混合した。次に、120℃で溶解したMOCAをビーカ内に投入してよく撹拌した。続いてアミン触媒および発泡剤(比較例6のみ発泡剤なし)を投入し撹拌した。数秒後に発泡反応が始まり、100℃で 30分間放置し硬化させて円柱試験片を得た。この試験片を目視および光学顕微鏡を用いて観察した。試験片に 30 N の力を試験片の円柱軸方向に印加したときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発泡体であるものを優れた発泡固形潤滑剤であると評価して「○」印を、それ以外のものは「△」印またはコメントを表4〜表6に併記した。
また、連続気泡率を上述の方法で、遠心力油分離評価を以下の方法で測定した。結果を表4〜表6に併記した。
遠心力油分離評価試験
潤滑剤の徐放性を調べるために、遠心力油分離を測定した。遠心力油分離はロータ半径 75 mm、回転速度 1500 rpm の条件で 1 時間回転させた時の油充填量に対する油減少率を示した。
【0060】
実施例19
100℃のポリテトラフルオロエチレン製ビーカ(直径 70 mm×高さ 150 mm )内で、硬化剤、アミン触媒および発泡剤を除く原料を表4に示す配合割合でよく混合した。次に、140℃で溶解したトリメチレン-ビス(4-アミノベンゾアート)をビーカ内に投入し、よく撹拌した。続いてアミン触媒および発泡剤を投入し撹拌した。数秒後に発泡反応が始まり、100℃で 30分間放置し硬化させて円柱試験片を得た。この試験片を目視および光学顕微鏡を用いて観察した。試験片に 30 N の力を試験片の円柱軸方向に印加したときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発泡体であるものを優れた発泡固形潤滑剤であると評価して「○」印を表4に併記した。
【0061】
実施例20、26、33
80℃のポリテトラフルオロエチレン製ビーカ(直径 70 mm×高さ 150 mm )内で、硬化剤、アミン触媒および発泡剤を除く原料を表4〜表6に示す配合割合でよく混合した。次に、エタキュア300をビーカ内に投入し、よく撹拌した。続いてアミン触媒および発泡剤を投入し撹拌した。数秒後に発泡反応が始まり、100℃で 30分間放置し硬化させて円柱試験片を得た。この試験片を目視および光学顕微鏡を用いて観察した。試験片に 30 N の力を試験片の円柱軸方向に印加したときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発泡体であるものを優れた発泡固形潤滑剤であると評価して「○」印を表4〜表6に併記した。
【0062】
実施例23
100℃のポリテトラフルオロエチレン製ビーカ(直径 70 mm×高さ 150 mm )内で、硬化剤、アミン触媒および発泡剤を除く原料を表5に示す配合割合でよく混合した。次に、トリメチロールプロパンをビーカ内に投入し、よく撹拌した。続いてアミン触媒および発泡剤を投入し撹拌した。数秒後に発泡反応が始まり、100℃で 30分間放置し硬化させて円柱試験片を得た。この試験片を目視および光学顕微鏡を用いて観察した。試験片に 30 N の力を試験片の円柱軸方向に印加したときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発泡体であるものを優れた発泡固形潤滑剤であると評価して「○」印を表5に併記した。
【0063】
【表4】

【表5】

【表6】

【0064】
表4〜表6に示すように、実施例16〜実施例35では指で押したとき相当する力を加えたときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発泡体であり、優れた発泡固形潤滑剤であると認められたが、比較例5では発泡はしたものの一部固化せず、また比較例6では樹脂分と潤滑剤が分離してしまい発泡固形潤滑剤としては機能しないことがわかった。比較例7は、弾性に欠けた。また、実施例16〜実施例35は、遠心力下において潤滑剤成分が(即時に発泡体より抜け出てしまわず)徐放されることがわかった。
次に、実施例16〜実施例35の発泡固形潤滑剤成分を図2に示すテンタークリップ用転がり軸受の少なくとも転動体4の周囲に注入して、100℃で 30分間放置し硬化させ、発泡固形潤滑剤を封入してなるテンタークリップ用転がり軸受を得た。
このテンタークリップ用転がり軸受は、軸受内部が発泡固形潤滑剤で封入されているので、エステル油などのレール潤滑油の浸入を抑えることができた。また、加熱処理を行なう横延伸装置通過後であっても潤滑剤の潤滑特性の低下や軸受外部への漏洩を抑制できた。
【0065】
実施例36〜実施例39および比較例8〜比較例10に用いた潤滑成分、ウレタンプレポリマー、硬化剤、発泡剤、触媒を以下に示す。なお、( )内は表中での略号を表す。
潤滑成分
潤滑油(潤滑油1):タービン100(パラフィン系鉱油、新日本石油社製)
潤滑グリース(グリース2):パイロノックユニバーサルN6C(新日本石油社製)
ウレタンプレポリマー
カプロラクタン系ウレタンプレポリマー1(プレポリマー1):プラクセルEP1130(NCO 3.3%、ダイセル化学工業社製)
ポリエーテルポリオール
プレミノールSX4004(旭硝子社製)
硬化剤
MOCA(MOCA):イハラキュアミンMT(イハラケミカル社製)
イソシアネート化合物(TDI):コロネートT-80(日本ポリウレタン社製)
発泡剤(発泡剤) イオン交換水
整泡剤(整泡剤) SRX298(東レダウ社製)
触媒(触媒2) TOYOCAT DB2(東ソー社製)
実施例36〜実施例37
表7に示す配合割合で、樹脂成分としてウレタンプレポリマーにシリコーン系整泡剤とウレアグリースを加え、120℃でよく撹拌した。これにアミン系硬化剤を加え、撹拌した後、発泡剤としての水を加え、ポリテトラフルオロエチレン製ビーカ(直径 70 mm×高さ 150 mm )に充填した後、120℃に設定した恒温槽に 1 時間放置して硬化させ、円柱試験片を得た。この試験片を目視および光学顕微鏡を用いて観察した。試験片に 30 N の力を試験片の円柱軸方向に印加したときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発泡体であるものを優れた発泡固形潤滑剤であると評価して「○」印を、それ以外のものは「△」印を表7に併記する。また、発泡倍率測定を実施した。結果を表7に併記する。
【0066】
実施例38〜実施例39
表7に示す配合割合で、樹脂成分としてポリエーテルポリオールにシリコーン系整泡剤、潤滑油、アミン系触媒、発泡剤としての水を加え、90℃で加熱しよく撹拌した。これにイソシアネートを加えてよく撹拌し、ポリテトラフルオロエチレン製ビーカ(直径 70 mm×高さ 150 mm )に充填した後、90℃に設定した恒温槽に 15分間放置して硬化させ、円柱試験片を得た。得られた試験片について実施例36と同様の項目を測定した。結果を表7に併記する。
【0067】
比較例8
表7に示す配合割合で、樹脂成分を発泡させなかったこと以外は実施例36と同様の処理を行ない得られた試験片について、実施例36と同様の項目を測定した。結果を表7に併記する。
【0068】
比較例9
表7に示す配合割合のうち、潤滑油を除く配合で実施例38と同様の処理を行ない得られた試験片について、実施例36と同様の項目を測定した。結果を表7に併記する。
【0069】
比較例10
表7に示す配合割合のうち、シリコーン系整泡剤を除く組成で実施例38と同様の処理を行ない得られた試験片について実施例36と同様の項目を測定した。結果を表7に併記する。
【0070】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のテンタークリップ用転がり軸受は、潤滑油を保持する固形潤滑剤の潤滑性能に優れ、軸受内部に封入した潤滑剤の漏洩を抑制でき、長期間安定して使用できるので、プラスチックの延伸工程でフィルム延伸装置などに用いられるテンタークリップ用転がり軸受として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】テンタークリップの一例を示す図である。
【図2】テンタークリップ用転がり軸受の断面図である。
【図3】樹脂の二軸延伸フィルム製造装置の一例を示す図である。
【図4】図3の横延伸装置のガイドレールを示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 深溝玉軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8a 開口部
8b 開口部
9 押出機
10 Tダイ
11 縦延伸機
12 ガイドレール
13 横延伸装置
14 引巻取機
15 テンタークリップ
15a テンタークリップ本体
16 シートの片端
17 把持部
18 テンタークリップ用転がり軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径面に転走面を有する内輪と、該内輪を略中央に内包する外輪と、内外輪間に複数の転動体と、前記内輪および外輪の軸方向両端開口部を覆うシール部材とを備え、内部に発泡固形潤滑剤を封入してなるテンタークリップ用転がり軸受であって、
前記発泡固形潤滑剤は、潤滑成分と、樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させてなる発泡固形潤滑剤であることを特徴とするテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項2】
前記潤滑成分は炭化水素系潤滑油および炭化水素系グリースから選ばれた少なくとも1つの潤滑成分であり、
前記樹脂成分は、高分子主鎖が炭化水素から構成され、該主鎖末端に水酸基価が 25〜110 mg KOH/g となる量の水酸基を有する液状ゴムであり、
前記硬化剤は分子内にイソシアネート基を有する有機化合物であり、
前記発泡剤が水であり、
前記液状ゴムと前記硬化剤との割合は、前記液状ゴムに含まれる水酸基と前記硬化剤に含まれるイソシアネート基とが当量比で(OH/NCO)=1/( 1.0〜2.0 )の範囲であり、
前記混合物は、混合物全体に対して、前記潤滑成分を 40〜80 重量%、前記液状ゴムを 5〜45 重量%含むことを特徴とする請求項1記載のテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項3】
前記液状ゴムがブタジエンもしくはイソプレンの重合体の主鎖末端に水酸基を有する数平均分子量 1000〜3500 の水酸基末端ジエン系重合体、または該ジエン系重合体を水添処理した変性水酸基末端ジエン系重合体であることを特徴とする請求項2記載のテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項4】
前記分子内にイソシアネート基を持つ有機化合物は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有し、イソシアネート基の割合が 2.5〜5.0 NCO%からなるプレポリマーであることを特徴とする請求項2または請求項3記載のテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項5】
前記分子内にイソシアネート基を持つ有機化合物は、芳香族ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項2または請求項3記載のテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項6】
前記潤滑成分は潤滑油およびグリースから選ばれた少なくとも1つの潤滑成分であり、
前記樹脂成分は、イソシアネート基含有量が 2 重量%以上 6 重量%未満のウレタンプレポリマーであり、
前記発泡剤が水であり、
前記混合物は、混合物全体に対して、前記潤滑成分を 30〜70 重量%含み、発泡後の連続気泡率が 50%以上であることを特徴とする請求項1記載のテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項7】
前記ウレタンプレポリマーは、エステル系ウレタンプレポリマー、カプロラクトン系ウレタンプレポリマー、およびエーテル系ウレタンプレポリマーから選ばれた少なくとも1つのウレタンプレポリマーであることを特徴とする請求項6記載のテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項8】
前記イソシアネート基と、該イソシアネート基と反応する前記硬化剤の官能基との割合が当量比で(硬化剤の官能基/NCO)=1/(1.1〜2.5)の範囲であることを特徴とする請求項6または請求項7記載のテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項9】
前記水の水酸基と、前記硬化剤の官能基との割合が当量比で(水の水酸基/硬化剤の官能基)=1/(0.7〜2.0)の範囲であることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか一項記載のテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項10】
前記硬化剤が芳香族ポリアミノ化合物であることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか一項記載のテンタークリップ用転がり軸受。
【請求項11】
前記芳香族ポリアミノ化合物がアミノ基の隣接位に置換基を有する芳香族ポリアミノ化合物であることを特徴とする請求項10記載のテンタークリップ用転がり軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−298116(P2008−298116A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142685(P2007−142685)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】