説明

ディスプレイ装置、これを備えるモバイル機器およびディスプレイの制御方法

【課題】別のサブディスプレイを備えるための空間が必要なくなり、製品の構造をスリム化およびコンパクト化できるディスプレイ装置に関する。
【解決手段】本発明のディスプレイ装置は、メイン情報をディスプレイするLCDパネル又は電子紙(E-Paper)の上部にサブ情報をディスプレイするTOLEDパネルを備え、TOLEDパネルの上部にタッチパネルを備える。LCDパネル又は電子紙、TOLEDパネルおよびタッチパネルに制御部が電気的に接続される。制御部は、タッチパネルの電気信号が感知されると、LCDパネル又は電子紙に駆動電圧を印加して、LCDパネル又は電子紙によりメイン情報を表示し、LCDパネル又は電子紙の動作がオフになると、TOLEDパネルに駆動電圧を印加して、TOLEDパネルによりサブ情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置に関し、特に、LCD又は電子紙およびTOLEDパネル(透明なOLEDパネル)を用いてメインおよびサブ情報を表示するディスプレイ装置、これを備えるモバイル機器およびディスプレイの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な情報を画面で実現する携帯電話などのような移動通信端末機に適用されるディスプレイ装置は、情報通信時代の核心技術として、より薄くてより軽く、且つ携帯が容易な小型化される傾向にある。
一般に、携帯電話などのような移動通信端末機に適用されるディスプレイの構造は、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diode)又は電子紙(E-Paper)等のような単一のディスプレイ装置の上部にタッチパネルを組み立て、バッテリの残余容量、現在時刻、日付、ユーザの名前などのような簡単なサブ情報を表示するために、別のサブディスプレイを備える。このような場合、サブディスプレイを備えるための別の空間が必要となるので、機構的な制約を多く受けることになる。
そのために、従来のディスプレイの構造を携帯電話などのような移動通信端末機に適用する場合、携帯電話のような移動通信端末機の全体の厚みおよびサイズなどが大きくなるので、スリム(slim)化およびコンパクト(compact)化し難いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、透明なOLEDのTOLEDを用いたサブディスプレイの構造を適用することにより、別のサブディスプレイを備えるための空間が必要なくなり、製品の構造をスリム化およびコンパクト化することができるディスプレイ装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、上述のようなディスプレイ装置を備えるモバイル機器を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、上述のようなディスプレイ装置の制御方法を提供することにある。
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されず、言及しないまた他の目的は次の記載から当業者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための本発明の一実施例に係るディスプレイ装置は、メイン情報をディスプレイするメインディスプレイ部と、上記メインディスプレイ部の上部に位置し、サブ情報をディスプレイするサブディスプレイ部と、上記サブディスプレイ部の上部に位置するタッチパネルと、上記メインディスプレイ部、上記サブディスプレイ部および上記タッチパネルに電気的に接続され、上記タッチパネルの電気信号が感知されると、上記メインディスプレイ部に駆動電圧を印加し、上記メインディスプレイ部の動作がオフになると、上記サブディスプレイ部に駆動電圧を印加する制御部とを含むことができる。
なお、上記メインディスプレイ部は、OLEDパネル、LCDパネルおよび電子紙(E-Paper)のうちいずれか1つを含むことができる。
なお、上記サブディスプレイ部はOLEDパネルを、上記OLEDパネルはTOLED(透明有機EL)パネルを含むことができる。
なお、上記TOLEDパネルは、基板と、上記基板上に形成される第1電極と、上記第1電極上に形成される有機物層と、上記有機物層上に形成される第2電極と、上記有機物層と上記第2電極との間および上記第2電極の上部のうち少なくともいずれか1つに形成され、酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含む透明透光層とを含むことができる。
ここで、上記酸化物系は、MoO、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeO、およびSrOのうちいずれか1つを含むことができる。
なお、上記窒化物系は、SiN、AINのうちいずれか1つを含むことができる。
なお、上記塩類は、CsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsF、およびZnSeのうちいずれか1つを含むことができる。
なお、上記透光層の厚みは0.1nm以上100nm未満に形成されることが望ましい。
なお、上記有機物層は、上記第2電極からの電子注入を円滑にするために、仕事関数が低い金属類およびこれらの複合物のうちいずれか1つをドープして形成した電子輸送層を含むことができる。
ここで、上記仕事関数が低い金属類は、Cs、Li、Na、K、およびCaのうちいずれか1つを含むことができる。
なお、上記これらの複合物は、Li-Al、LiF、CsF、およびCsCOのうちいずれか1つを含むことができる。
なお、本発明に係るTOLEDパネルは、波長(nm)により70〜99%の透過率を示すことができる。
上記の目的を達成するための本発明の一実施例に係るモバイル機器、例えば、携帯電話などのような移動通信端末機、PMPなどは上記ディスプレイ装置を備えることができる。
上記の目的を達成するための本発明の一実施例に係るディスプレイの制御方法は、制御部がタッチパネルの電気信号を感知するステップと、上記タッチパネルの電気信号が感知されると、メインディスプレイ部に駆動電圧を印加して、上記メインディスプレイ部によりメイン情報をディスプレイするステップと、上記制御部が、上記メインディスプレイ部が動作したか否かを感知するステップと、上記メインディスプレイ部の動作がオフになると、サブディスプレイ部に駆動電圧を印加して、上記サブディスプレイ部によりサブ情報をディスプレイするステップとを含むことができる。
その他、実施例の具体的な事項は詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0005】
上述したような本発明のディスプレイ装置、これを備えるモバイル機器およびディスプレイの制御方法によれば、メイン情報を表示するLCDパネル又は電子紙(E-Paper)の上部にサブ情報を表示するTOLEDパネルを適用することにより、別のサブディスプレイのための空間が必要なくなり、製品の構造をスリム化およびコンパクト化することができる。
また、酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含む透光層を有機物層と第2電極(カソード電極)との間および第2電極の上部のうち少なくともいずれか1つに形成してTOLEDパネルを構成することにより、両面発光のTOLEDを実現すると共に透過率を向上させることができる。
また、透光層を酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含む物質から構成することにより、第2電極の内部抵抗の増加を防ぐことができ、製品の電気的性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施例に係るディスプレイ装置の要部を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係るディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】ディスプレイ装置のLCDパネルによりメイン情報を表示する一例を示す例示図である。
【図4】ディスプレイ装置のTOLEDパネルによりサブ情報を表示する一例を示す例示図である。
【図5】本発明のディスプレイ装置のメイン情報およびサブ情報を表示する制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明に係るディスプレイ装置のTOLEDパネルの構成を示す断面図である。
【図7】TOLEDパネルの透光層による透過率を示すグラフである。
【図8】TOLEDパネルの透光層による輝度を示すグラフである。
【図9】TOLEDパネルに酸化物系と、塩類およびこれらの複合物により各々透光層を形成する際の透過率を示すグラフである。
【図10】本発明に係るディスプレイ装置のTOLEDの製造方法についての手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。そして明細書全体に亘って同一な構成要素に対しては同一な符号を付す。
以下、添付の図面を参照して本発明の望ましい実施例に係るディスプレイ装置、これを備えるモバイル機器およびディスプレイの制御方法を詳しく説明する。参考までに、本発明の説明において、関連の公知の機能或いは構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
図1は、本発明の一実施例に係るディスプレイ装置の要部を示す分解斜視図であり、図2は、本発明の一実施例に係るディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
図1および図2に示すように、本発明の一実施例に係るディスプレイ装置は、LCDパネル10、OLEDパネル20、タッチパネル30および制御部40などを備える。
LCD(Liquid Crystal Display)パネル10は、外部から印加される電圧により液晶の配列方向が変化する誘電異方性を利用して、下部に備えられたバックライトユニット(BLU)11から照射された光を選択的に透過させ、文字や数字或いはその他の任意のアイコンなどを表示する。バックライトユニット11の種類としては、CCFL(冷陰極蛍光ランブ)、EEFL(外部電極蛍光ランプ)、LED(発光ダイオード)、FFL(平板型蛍光ランプ)等がある。LCDパネル10は、公知の技術により理解することが可能なので、詳しい構成などについての説明は省略する。
LCDパネル10には後述するタッチパネル30および制御部40と連結される駆動IC10aが実装される。
LCDパネル10は、メイン情報をディスプレイするメインディスプレイ部(以下、参照符号‘20’と表記する。)である。例えば、携帯電話などのような移動通信端末機、PMPなどのようなモバイル機器に適用する場合、LCDパネル10は、後述するTOLEDパネル20より解像度が高い文字や数字或いはその他の任意のアイコン又は動画などをディスプレイする。
本実施例では、メインディスプレイ部の一例としてLCDパネル10を例示しているが、これに限定されず、メインディスプレイ部は、LCDパネル以外にもOLEDパネル又は電子紙を含むことができる。
OLED(Organic Light Emitting Diode)パネル20は、陰極と陽極から注入された電子と正孔(電子に対応する電荷を帯びた粒子)が有機物内で結合して光を発する自発光現象或いはその現象を利用する有機発光ダイオードである。OLEDパネル20は、公知の技術により理解することが可能なので、詳しい構成などについての説明は省略する。
OLEDパネル20はLCDパネル10の上部に位置する。
本実施例においてOLEDパネル20は、TOLED(Transparent Organic Light Emitting Diode)(透明有機EL)パネルを含み、以下、TOLEDパネル(以下、参照符号‘20’と表記する。)として説明する。
TOLEDパネル20は、ITO透明陽電極上に正孔輸送層、発光および電子輸送層をコーティングした後、透明陰電極を形成させるためにMg:Ag(組成比5:95)を100Å以内に薄くコーティングし、その後、陰電極上に伝導度を補償し、保護層の役割および透明度の維持のためのITO膜をコーティングして製造する透明なOLEDパネルである。上記のようなTOLEDパネル20は、図6〜図10を参照してより詳しく説明する。
TOLEDパネル20には後述する制御部40と連結される駆動IC20aが実装される。
TOLEDパネル20は、サブ情報をディスプレイするサブディスプレイ部(以下、参照符号‘20’と表記する。)である。例えば、携帯電話のような移動通信端末機に適用する場合、TOLEDパネル20は、LCDパネル10より解像度が低いバッテリの残余容量、現在時刻、日付、ユーザの名前などをディスプレイする。
タッチパネル(Touch Panel)30は、ペンや手によって検光子が押圧され、その力で導電フィルムが押されてX-Y電極パターンと接触することにより、X-Y電極パターンの電圧差を検出する静電容量方式によりシグナル電気信号を発生させる入力装置である。
タッチパネル30は、公知の技術により理解することが可能なので詳しい構成などについての説明は省略する。
タッチパネル30は、TOLEDパネル20の上部に位置し、LCDパネル10の駆動IC10aおよび後述する制御部40と電気的に接続される。
このようにタッチパネル30で発生した電気信号は、プログラムを遂行する制御部40を経てLCDパネル10の電極を駆動させる。
制御部40は、LCDパネル10、TOLEDパネル20およびタッチパネル30に電気的に接続され、タッチパネル30の電気信号を感知してLCDパネル10と、TOLEDパネル20の駆動とを選択的に制御する。より詳しくは、制御部40は、タッチパネル30の電気信号が感知されるとLCDパネル10によりメイン情報が表示されるように、LCDパネル10の駆動IC10aに電圧を印加し、LCDパネル10の動作時間が終了するとTOLEDパネル20によりサブ情報が表示されるように、TOLEDパネル20の駆動IC20aに電圧を印加する。
本実施例では、LCDパネル10の上にTOLEDパネル20を備える構成を例示したが、これに限定されず、LCDパネル10の代わりに公知の技術の電子紙(図示せず)等を適用することもできる。
図面には示されていないが、本発明の携帯電話などのような移動通信端末機、PMPなどのようなモバイル機器は、上記のように、LCDパネル10又は電子紙の上にTOLEDパネル20を適用して、LCDパネル10又は電子紙により解像度が高い文字や数字或いはその他の任意のアイコン又は動画などのようなメイン情報を表示し、TOLEDパネルにより解像度が低いバッテリの残余容量、現在時刻、日付、ユーザの名前などのようなサブ情報を表示するディスプレイ装置を含むことができる。これにより、別のサブディスプレイを備えるための空間が必要なくなり、携帯電話端末機の構造をスリム化およびコンパクト化することができる。
図3は、ディスプレイ装置のLCDパネルによりメイン情報を表示する一例を示す例示図であり、図4は、ディスプレイ装置のTOLEDパネルによりサブ情報を表示する一例を示す例示図であり、図5は、本発明におけるディスプレイ装置のメイン情報およびサブ情報を表示する制御方法を説明するためのフローチャートである。
図3〜図5に示すように、先ず、ユーザによりタッチパネル30が押されると、タッチパネル30でシグナル電気信号が発生し、制御部40は、タッチパネル30が電気信号を発生したか否かを感知する(S101)。より詳しくは、タッチパネル30は、ペンや手によって検光子が押圧され、その力で導電フィルムが押されてX-Y電極パターンと接触することにより、X-Y電極パターンの電圧差を検出する静電容量方式によりシグナル電気信号を発生させることになる。このように発生した電気信号は、プログラムを遂行する制御部40で感知することになる。
次に、制御部40がタッチパネル30の電気信号を感知すると、LCDパネル10およびBLU11に駆動電圧を印加し(S102)、LCDパネル10により解像度が高い文字や数字或いはその他の任意のアイコン又は動画などのようなメイン情報をディスプレイする(S103)。
次に、制御部40はLCDパネル10が動作したか否かを感知する(S104)。すなわち、LCDパネル10およびBLU11の動作時間が終了したかどうかを感知する。
次に、LCDパネル10およびBLU11の動作時間が終了し、LCDパネル10およびBLU11の動作がオフになると、制御部40は、TOLEDパネル20に駆動電圧を印加し(S105)、TOLEDパネル20により解像度が低いバッテリの残余容量、現在時刻、日付、ユーザの名前などのようなサブ情報をディスプレイする(S106)。
図6は、本発明に係るディスプレイ装置のTOLEDパネルの構成を示す断面図である。
図6に示すように、本発明に係るディスプレイ装置のTOLEDパネル20は、基板100、第1電極110、第2電極120、有機物層130および透光層140等を含むことができる。
基板100は、第1電極110、第2電極120、有機物層130および透光層140を支持する。基板100は、発光する光が透過できるように透過性を有しているガラス材質又はプラスチック材質を用いる。
第1電極120は、通常、下部電極とも呼ばれ、基板100上に形成される。第1電極110は、陽極(+)のアノード(anode)であり、スパッタリング(sputtering)法、イオンプレーティング(ion plating)法および電子銃(e-gun)等を用いた熱蒸着法により基板100上に形成される。ここで、本発明の実施例に係る第1電極110は、透過性を有したリン-錫酸化物(indium tin-oxide)電極を用いるが、透過性を有したリン-亜鉛酸化物(indium zin-oxide)電極を用いることもできる。
第2電極120は、通常、第1電極110と対向する上部電極とも呼ばれ、有機物層130上に形成される。第2電極120は、陽極(+)の1電極110と相反する陰極(−)のカソード(cathode)である。第2電極120は、透過性を有する金属の銀(Ag)、アルミニウム(Al)およびマグネシウム-銀(Mg:Ag)合金のうちいずれか1つを選んで用いる。
有機物層130は、第1電極110と第2電極120との間に介して、第1電極110と第2電極120との間の通電によって発光する。有機物層130は、第1電極110と第2電極120との間の通電によって発光するように、正孔注入層(holeinjection layer:HIL)131、正孔輸送層(hole transporting layer:HTL)133、発光層(emissive layer:EML)135、電子輸送層(electron transporting layer:ETL)137および電子注入層(electron injection layer:EIL)139から形成される。
ここで、有機物層130は、スピンコーティング(spin coating)法、熱蒸着(thermal evaporation)法、スピンキャスティング(spin casting)法、スパッタリング(sputtering)法、電子ビーム蒸着(e-beam evaporation)法および化学気相蒸着(chemical vapor deposition:CVD)法などにより第1電極110と第2電極120との間に介する。
正孔注入層131は、第1電極110からの正孔が注入され、正孔輸送層133は、正孔注入層131から注入された正孔が第2電極120の電子と出会うように正孔の移動路の役割をする。
電子注入層139は、第2電極120からの電子を注入され、電子輸送層137は、電子注入層139から注入された電子が、正孔輸送層133から移動する正孔と発光層135で出会うように電子の移動路の役割をする。
電子輸送層137には、第2電極120からの電子注入を円滑にするために、仕事関数が低い金属類およびこれらの複合物のうちいずれか1つをドープして形成でき、これは電子注入層139の有無に関係なく全て適用することができる。
ここで、上記仕事関数が低い金属類は、Cs、Li、Na、K、およびCaなどを、上記これらの複合物は、Li-Al、LiF、CsF、およびCsCO等を含むことができる。
一方、発光層135は、正孔輸送層133と電子輸送層137との間に介して正孔輸送層133からの正孔と電子輸送層137からの電子により発光する。すなわち、発光層135は、各々正孔輸送層133および電子輸送層137との界面で出会う正孔と電子によって発光するのである。
透光層140は、有機物層130と第2電極120との間および第2電極120の上部のうち少なくともいずれか1つに形成することができる。例えば、透光層140は、第2電極120の上面および下面の両方ともに形成されても、第2電極120の下面および上面のいずれか片面にだけ形成されてもよい。
以下、本実施例では、透光層140が第2電極120を挟んで上面および下面に形成される構成を例示したが、これに限定されず、第2電極120の下面および上面のいずれか片面にだけ形成される構成も同様に適用できることは勿論である。
透光層140は、有機物層130と第2電極120との間に形成される第1透光層141と、第2電極120の上部に形成される第2透光層142とを含むことができる。
望ましくは、第1透光層141は、有機物層130中の電子注入層139と第2電極120との間に形成されても、電子注入層139自体に形成されてもよい。また、第2透光層142は第1透光層141に対向する第2電極120の上面に積層されてもよい。
ここで、透光層140は、第2電極120が透過性を有すると共に、高い透過率を有するように機能をする。そして、透光層140は、薄膜から形成され、第2電極120の面抵抗を減少させることにより、TOLEDパネル20の性能低下を防ぐ。このような透光層140の特性については、後述する酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物を説明した後に、図6〜図10を参照して詳しく説明する。
本発明の透光層140は、酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含むことができる。
ここで、上記酸化物系は、MoO、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeO、およびSrO等を含むことができる。また、上記窒化物系はSiN、AIN などを含むことができる。また、上記塩類は、CsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsF、およびZnSeなどを含むことができる。
上記のように、透光層140を構成する酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物を用いると、図7〜図9に示すように、優れた透過率と輝度効果を有するので、望ましいが、上記のような物質以外にも第2電極120が透過性を有すると共に、高い透過率を有するようにする物質であればよい。
透光層140は、第1透光層141と第2透光層142とが同一の物質で構成されるが、互いに異なる物質で構成されてもよい。例えば、第1透光層141は酸化物系を含み、第2透光層142は窒化物系、塩類およびこれらの複合物を含んでもよい。又は、第1透光層141は窒化物系を含み、第2透過層142は酸化物系、塩類およびこれらの複合物を含んでもよい。または、第1透光層141は塩類を含み、第2透光層142は酸化物系、窒化物系およびこれらの複合物を含んでもよい。
透光層140の厚みは0.1nm以上100nm未満に形成されることが望ましい。これは、透光層140の厚みが0.1nm未満に小さくなると、透過率は増加するが、これに比例して抵抗も増加するので、TOLEDパネル20の性能が低下するためである。
その反面、透光層140の厚みが100nm以上に大きくなると、抵抗が減少して性能の低下は発生しないが、透光層140の厚みの増加により透過率が減少するためである。本発明の実施例に係る透光層140は、熱蒸着法により形成されることが望ましい。
次に図7〜図9に示すように、このような構成について本発明に係るTOLEDパネル20の特性を以下で説明する。
図7は、本発明のTOLEDパネル20に形成された透光層140の有無による透過率を示すグラフである。ここで、図7の‘a’は透光層140がある本発明に係るTOLEDパネル20の線図であり、‘b’は本発明とは異なり透光層140がないTOLEDパネル20の線図である。
本発明に係るTOLEDパネル20は波長(nm)により70〜99%の透過率を示すことができる。例えば、図7に示すように、波長(nm)による透過率をみると、550nmで本発明に係るTOLEDパネル20の透過率は約80%を示し、透光層140がないTOLEDパネル20は約47%を示している。
このような結果から、透光層140があるTOLEDパネル20の透過率は、透光層140がないTOLEDパネル20に比べて1.7倍がより高いことが分かる。
図8は、透光層140の有無によるTOLEDパネル20の輝度を示すグラフである。図8に示す‘c’は、本発明に係るTOLEDパネル20の線図であり、‘d’は、透光層140がないTOLEDパネル20の線図である。
電圧(V)10Vによる輝度をみると、透光層140があるTOLEDパネル20は約25000を示し、透光層140がないTOLEDパネル20は約20000を示している。透光層140の有無により輝度は1.25倍の差があることが分かる。
次に図9の‘e’の線図は、MoO、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeO、およびSrO等の酸化物系から形成された透光層140に対する透過率であり、‘f’の線図は、CsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsF、およびZnSeなどの塩類から形成された透光層90に対する透過率である。
図9に示すように、酸化物系から透光層140を形成する場合は、約80%の透過率を有し、塩類から透光層140を形成する場合は約75%の透過率を有する。酸化物系を含む透光層140が、塩類を含む透光層140よりも約5%程度高い透過率を有するが、その差は僅かであるから、本発明の実施例のように、酸化物系と塩類およびこれらの複合物を選択的に用いることが望ましい。
以下、このような本発明によるTOLEDパネル20の製造方法を図10を参考して説明する。
先ず、基板100上に陽極(+)の第1電極110を形成する(S201)。
基板100上に第1電極110を形成した後、第1電極110上に有機物層130を形成する(S202)。ここで、第1電極110上に形成する有機物層130は、正孔注入層131、正孔輸送層133、発光層135、電子輸送層137および電子注入層139の順に形成する。
有機物層130上に第1透光層141を形成する(S203)。本発明の一実施例として、第1透光層141は、酸化物系のMoO、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeO、およびSrO等を含むことができる。第1透光層141は、抵抗および透過率を考慮して0.1nm以上100nm未満の厚みに形成する。
そして、第1透光層141上に第2電極120を形成する(S204)。第2電極120は陰極(−)であって金属薄膜を用いる。第2電極120として用いられる金属薄膜は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)およびマグネシウム-銀(Mg:Ag)合金のうちいずれか1つである。
第2電極120上に第2透光層142を再度形成する(S205)。第2透光層142は、‘S203’のステップのように酸化物系を含むことができる。しかしながら、第2電極120上は形成される第2透光層142は、SiN、AINなどの窒化物系、CsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsF、およびZnSeなどの塩類、およびこれらの複合物を含むことができる。
これに、第2電極120を挟んで透光層140を形成することにより、両面発光を実現し、透過率を向上させることができる。
また、透光層140を形成することにより、第2電極120の厚みを調整でき、これにより透過率および電気的性能を向上させることができる。
以上、添付図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想または必須的な特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解することができるであろう。したがって、上述した実施例は全ての面で例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと理解すべきである。本発明の範囲は前述した詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲によって定められ、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更または変形形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明は、LCD又は電子紙、およびTOLEDパネル(透明なOLEDパネル)を利用してメインおよびサブ情報を表示するディスプレイ構造を適用した携帯電話などのようなモバイル機器に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン情報をディスプレイするメインディスプレイ部と、
上記メインディスプレイ部の上部に位置し、サブ情報をディスプレイするサブディスプレイ部と、
上記サブディスプレイ部の上部に位置するタッチパネルと、
上記メインディスプレイ部、上記サブディスプレイ部および上記タッチパネルに電気的に接続され、上記タッチパネルの電気信号が感知されると、上記メインディスプレイ部に駆動電圧を印加し、上記メインディスプレイ部の動作がオフになると、上記サブディスプレイ部に駆動電圧を印加する制御部とを含むことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
上記メインディスプレイ部は、LCDパネル又は電子紙(E-Paper)を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
上記メインディスプレイ部は、OLEDパネルを含むことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
上記サブディスプレイ部は、OLEDパネルを含むことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
上記OLEDパネルは、TOLED(透明有機EL)パネルを含むことを特徴とする請求項4に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
上記TOLEDパネルは、
基板と、
上記基板上に形成される第1電極と、
上記第1電極上に形成される有機物層と、
上記有機物層上に形成される第2電極と、
上記有機物層と上記第2電極との間および上記第2電極の上部のうち少なくともいずれか1つに形成され、酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含む透光層とを含むことを特徴とする請求項5に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
上記酸化物系は、MoO、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeO、およびSrOのうちいずれか1つを含むことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
上記窒化物系は、SiN、AINのうちいずれか1つを含むことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
上記塩類は、CsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsF、およびZnSeのうちいずれか1つを含むことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
上記透光層の厚みは、0.1nm以上100nm未満に形成されることを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
上記有機物層は、上記第2電極からの電子注入を円滑にするために、仕事関数が低い金属類およびこれらの複合物のうちいずれか1つをドープして形成した電子輸送層を含むことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
上記仕事関数が低い金属類は、Cs、Li、Na、K、およびCaのうちいずれか1つを含むことを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
上記これらの複合物は、Li-Al、LiF、CsF、およびCsCOのうちいずれか1つを含むことを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
上記TOLEDパネルは、波長(nm)により70〜99%の透過率を示すことを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
請求項1〜請求項14に記載のいずれか1つのディスプレイ装置を備えるモバイル機器。
【請求項16】
制御部がタッチパネルの電気信号を感知するステップと、
上記タッチパネルの電気信号が感知されると、メインディスプレイ部に駆動電圧を印加して、上記メインディスプレイ部によりメイン情報をディスプレイするステップと、
上記制御部が、上記メインディスプレイ部が動作したか否かを感知するステップと、
上記メインディスプレイ部の動作がオフになると、サブディスプレイ部に駆動電圧を印加して、上記サブディスプレイ部によりサブ情報をディスプレイするステップとを含むディスプレイの制御方法。
【請求項17】
上記メインディスプレイ部は、LCDパネル又は電子紙(E-Paper)を含むことを特徴とする請求項16に記載のディスプレイの制御方法。
【請求項18】
上記メインディスプレイ部はOLEDパネルを含むことを特徴とする請求項16に記載のディスプレイの制御方法。
【請求項19】
上記サブディスプレイ部はOLEDパネルを含むことを特徴とする請求項16に記載のディスプレイの制御方法。
【請求項20】
上記OLEDパネルはTOLED(透明有機EL)パネルを含むことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載のディスプレイの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−502324(P2012−502324A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526800(P2011−526800)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003822
【国際公開番号】WO2010/030075
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511062243)ネオビューコロン カンパニー,リミテッド (8)
【Fターム(参考)】