説明

データ受信装置及びデータ受信方法

【課題】TSパケットのデータ伝送レートが大きく変更されても、安定してデータ受信装置からパケットデータを送出することができるデータ受信装置及び方法を提供する。
【解決手段】データ受信装置200は、記憶部10、記憶状態検出部40、比較部31、タイマ32、及び制御部33を有する。記憶部10は、時刻情報を含むパケットデータを記憶する。記憶状態検出部40は、記憶部10のデータ残量を検出し、その変化に基づいて、伝送データが急激に変化したことを検出し、タイマ32は、その更新値にオフセット値を加減算するクロック揺らぎ補正制御を中断し、通常のカウントアップを行い、その出力値を比較部31において時刻情報と比較し、時刻情報がタイマ出力値以上であれば制御信号を制御部33に出力し、制御部33が発生するデータ読み出しタイミング信号により、記憶部10からパケットデータを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、MPEG2トランスポートストリーム(TS)のようなストリームをリアルタイムで伝送するシステムにおいて用いられるデータ受信装置及びデータ受信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のデータ受信方法として、データ送信側においてTSパケットの先頭にタイムスタンプ(以下「時刻情報」と言う。)を付加し、データ受信装置においてTSパケットに付加された時刻情報を用いて、データ送信側のクロックに対するデータ受信装置のクロックの揺らぎを補正するものがある(例えば、特許文献1参照)。このデータ受信装置においては、TSパケットに含まれる時刻情報に基づいて、データ受信装置に備えられた記憶部からデータを読み出している。このデータ受信装置は、時刻情報に基づいて電圧制御発信器を制御し、クロックの揺らぎを補正しているが、回路のコスト低減及び簡素化のために、以下のような方法も用いられる。
【0003】
例えば、データ受信装置が、データ送信装置のクロックには同期していないフリーランのクロック発信器を有し、このクロックで動作するタイマの出力値と、受信したTSパケットに含まれる時刻情報とを比較し、この比較結果に基づくタイミングでデータ受信装置に備えられた記憶部からパケットデータを読み出す方法である。
【0004】
【特許文献1】特開2003−258894号公報(段落0044―0047、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した方法では、データ送信装置とデータ受信装置のクロックが同期していないため、データ受信装置の記憶部においてオーバーフロー若しくはアンダーフローが生じることがあり得る。そこで、データ受信装置の記憶部のデータ残量を一定に保つようにタイマの更新値にオフセット値を加減算し、データ受信装置の記憶部からのデータ読み出し頻度を調整する方法も考えられる。
【0006】
しかし、例えば、伝送データの内容が、デジタルビデオやDVDプレーヤの早送りなどの特殊再生に関するものである場合には、データ送信装置からデータ受信装置へのデータ伝送レートが著しく低下し、データ受信装置の記憶部のデータ残量が減少する。すると、データ受信装置は、記憶部のデータ残量を一定に保つためにタイマの更新値からオフセット値を減算し、タイマのカウントアップを遅くしようとする。この結果、データ受信装置の記憶部からデータが読み出されない時間が長くなり、データの読み出しが破綻してしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記したような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、データの伝送レートが急激に低下しても、安定してデータ受信装置からパケットデータを送出することができるデータ受信装置及びデータ受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係るデータ受信装置は、データ送信装置からネットワークを介して送られてきた、時刻情報を含むパケットデータを記憶する記憶部と、前記記憶部のデータ残量を検出する記憶状態検出部と、内部時刻を計測するタイマと、制御部とを有するデータ受信装置であって、前記タイマは、その更新値にオフセット値を加減算することによって、前記データ送信装置と前記データ受信装置の間の基準時刻の偏差を補正し、前記制御部は、前記記憶状態検出部が検出するデータ残量の変化を抽出し、前記変化が所定の閾値より大きくなり、且つ、前記変化が単調変化である場合には、前記タイマの更新値は変更することなく、前記タイマが計測する内部時刻を用いて、前記記憶部から前記データを読み出すタイミングを与えるデータ読み出しタイミング信号を生成するように構成されている。
【0009】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係るデータ受信方法は、データ送信装置からネットワークを介してデータ受信装置に送られてきた、時刻情報を含むパケットデータを記憶するステップと、前記記憶されているデータのデータ残量を検出するステップと、タイマにより内部時刻を計測するステップと、前記タイマの更新値にオフセット値を加減算することによって、データ送信装置と前記データ受信装置の間の基準時刻の偏差を補正するステップとを有し、前記データ残量の変化を抽出し、前記変化が所定の閾値より大きくなり、且つ、前記変化が単調変化である場合には、前記基準時刻の偏差を補正するステップにおける前記タイマの更新値は変更することなく、前記タイマが計測する内部時刻を用いて、前記記憶されているデータを読み出させるタイミングを与えるデータ読み出しタイミング信号を生成するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のデータ受信装置及びデータ受信方法では、記憶部内のデータ残量を監視することにより、伝送データの内容が、例えば、特殊再生画像のような低レート信号であることを検出する。そして、伝送データの内容が低レート信号であることを検出した場合には、タイマの更新値は変更することなく、タイマが計測する内部時刻を用いて、記憶部から所定のパケットデータを読み出させるタイミングを与えるタイミング信号を生成する。したがって、本発明のデータ受信装置及びデータ受信方法によれば、パケットデータが低レート信号であったとしても、記憶部のデータ読み出しが破綻することを防止することができ、結果的に、映像信号を途切れることなく伝送できるという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るデータ受信装置(すなわち、実施の形態1に係るデータ受信方法を実行できる装置)を含むパケットデータ送受信システムの構成を概略的に示すブロック図である。図1に示されるように、実施の形態1におけるパケットデータ送受信システムは、データ送信装置100と、データ受信装置200とから構成されている。データ送信装置100から送信されるパケットデータは、ネットワーク300を介して、データ受信装置200に伝送される。
【0012】
図1に示されるように、データ送信装置100は、入力端子1と、時刻情報付加部2と、タイマ3とを備えている。入力端子1には、例えば、188バイトのデータであるトランスポートストリーム(TS)パケットが入力される。タイマ3は、データ送信装置100内の内部時刻を計測する。時刻情報付加部2は、入力端子1から入力されたTSパケットに、タイマ3が計測した内部時刻を時刻情報として付加する。時刻情報が付加されたTSパケットは、データ送信装置100のインターフェース手段(図示せず)からネットワーク300を介して送信される。
【0013】
図2は、時刻情報が付加されたTSパケットを説明するための図である。図2に示される例においては、時刻情報が4バイトであり、TSパケット(パケットデータ本体部分)が188バイトであり、時刻情報はTSパケットの先頭に付加されている。
【0014】
また、図1に示されるように、データ受信装置200は、記憶部10と、時刻情報分離部20と、データ読み出しタイミング生成部30と、記憶状態検出部40とを備えている。
【0015】
記憶部10は、データ送信装置100からネットワーク300を介して送信され、データ受信装置200のインターフェース手段(図示せず)により受信された時刻情報が付加されたTSパケットを記憶する。時刻情報分離部20は、記憶部10から読み出されたパケットデータ(すなわち、時刻情報が付加されたTSパケット)を、時刻情報と、TSパケット(パケットデータ本体部分)とに分離する。
【0016】
図1に示されるように、データ読み出しタイミング生成部30は、比較部31と、タイマ32と、制御部33とから構成されている。データ読み出しタイミング生成部30は、記憶部10からのデータ読み出しタイミング信号を生成する。制御部30により生成されるデータ読み出しタイミング信号は、時刻情報分離部20により分離された時刻情報に基づいて、時刻情報が付加されたTSパケットを記憶部10から読み出すためのタイミングを与える信号である。タイマ32は、データ受信装置200内の内部時刻を計測する。比較部31は、時刻情報分離部20からの時刻情報とタイマ32からの内部時刻とを比較する。制御部33は、比較部31の比較結果に基づいて記憶部10からのデータ読み出しタイミング信号を生成する。記憶状態検出部40は、記憶部10内に記憶されているデータのデータ残量を計測する。
【0017】
図3(a)〜(c)は、図1のパケットデータ送受信システムにおけるTSパケットの伝送状態を説明するための図である。図3(a)〜(c)には、伝送帯域が異なる伝送路上でのTSパケットの様子が示されている。図3(a)は、データ送信装置100の入力端子1に入力されるTSパケットの様子を示している。また、図3(b)は、ネットワーク300上を伝送されるTSパケットの様子を示している。また、図3(c)は、データ受信装置200から出力されるTSパケットの様子を示している。なお、図3(a)〜(c)において、横方向(TSパケットTS1〜TS5の配列方向)は時間軸方向である。
【0018】
図3(a)に示されるように、データ送信装置100の入力端子1に入力されるTSパケットのパケット間隔は、通常、各々のパケット間で異なっており、一定ではない。
【0019】
また、データ受信装置200の後段に接続され、データ受信装置200から出力されるTSパケットを受け取るTSパケット再生装置(図示せず)において、TSパケットを正しく再生するためには、図3(a)に示されるデータ送信装置100に入力される各TSパケット間の間隔と、図3(c)に示されるデータ受信装置200から出力される、対応する各TSパケット間の間隔とが、ほぼ等しくなる(ただし、50μs程度の多少の誤差は許容される。)ことが必要である。すなわち、データ受信装置200から出力される各TSパケットは、データ送信装置100に入力される各TSパケットに対して、一定の遅延量を持つようにして出力されることが必要である。
【0020】
一般に、データ送信装置100の前段の伝送路の伝送帯域と、データ受信装置200の後段の伝送路の伝送帯域とは、ほぼ同じである。例えば、IEEE1394S400を用いてデータ伝送を行う場合には、最大400Mbpsの伝送速度でTSパケットが送受信される。
【0021】
しかし、ネットワーク300上の伝送帯域は、データ送信装置100の前段の伝送路の伝送帯域及びデータ受信装置200の後段の伝送路の伝送帯域とは異なる。例えば、ネットワーク300として無線LANを使用した場合の実行スループットは25Mbps程度であり、上述したIEEE1394S400の実行スループット(400Mbps程度)と比較して狭い。なお、ネットワーク300としてEthernet(登録商標)等を使用した場合であっても、実行スループットは80Mbps程度であり、IEEE1394S400の実行スループットと比較した場合、伝送帯域が非常に狭い。
【0022】
したがって、TSパケットが伝送帯域の異なる伝送路を経由する場合には、データ送信装置100の前段とデータ受信装置200の後段とにおいてTSジッタが発生し、各TSパケット間の間隔が、補償されなくなる。一般に、TSを伝送する場合、データ受信装置200から出力されるTSの上記TSジッタは所定値(例えば、50μs)以下に抑える必要がある。これは、以下の理由による。データ受信装置200の後段に配置されたMPEGデコーダ装置(図示せず)は、入力されるTSパケットからPCR(プログラムクロック基準)の付加されたTSパケットを分離し、その入力タイミング、及び時刻情報に基づき内部の基準クロックにPLL(Phase Locked Loop)をかけている。したがって、TSパケットに大きなジッタが発生すると、上記基準クロックのPLLが働かず、復号画像が止まったり、ブロックノイズなどが発生したりする。
【0023】
例えば、ネットワーク300に無線LAN(実行スループット25Mbps程度)を使用し、20Mbps程度のHD(High Definition)ストリームを伝送した場合は、無線部分の伝送帯域が、データ送信装置100の前段のデータ伝送帯域(例えば、IEEE1394S400を使用した場合は、400Mbps程度)と比較して、非常に狭い。このため、TSパケットの平均的な無線区間におけるビットレートは、入力TSパケットがVBR(Variable bite rate)である場合であっても、無線区間では伝送帯域が非常に狭いのでほぼ一定の間隔で送信される(図3(b)参照)。すなわち、TSパケットを伝送する際には、各ネットワーク伝送帯域の差により、1つのTSパケットを伝送するのに費やされる時間が変化する。
【0024】
したがって、TSパケットが伝送されるのに費やされる時間が変化した分、TSパケット間の間隔が変化することになる。そして、当該TSパケット間の間隔が変化した状態で、何の調整も行わなければ、TSパケット間の間隔は、その後においても変化したままとなり、TSジッタが補償されないことになる。
【0025】
そこで、データ受信装置200の後段において、データ送信装置100の前段におけるTSパケット間の間隔を復元するために、以下の処理を行う。
【0026】
まず、データ送信装置100の入力端子1よりTSパケットが入力されると、時刻情報付加部2は、タイマ3より出力されるデータ送信装置100内の基準時刻をTSパケットに付加しネットワーク300にパケットデータ(時刻情報の付加されたTSパケット)を出力する(図2参照)。データ送信装置100から出力され、ネットワーク300を介して伝送されたTSパケットは、データ受信装置200によって受信される。なお、上述したように、ネットワーク300上の伝送帯域とデータ送信装置100の前段の伝送帯域とは異なる。よって、図3(a)及び(b)に示したように、TSパケット間の間隔が変化する。実施の形態1では、データ送信装置100の前段の伝送帯域が広く、ネットワーク300上の伝送帯域が狭いので、ネットワーク300上の対応する各TSパケット間の間隔の方が小さくなる。
【0027】
データ受信装置200が、時刻情報が付加されたTSパケットを受信すると、当該TSパケットは、記憶部10に記憶される。実施の形態1では、記憶部10は、256バイト×1024ラインで構成されており、データ受信装置200が受信したTSパケットは1ライン単位で記憶部10に記憶される。なお、TSパケットは、図2に示されるように、時刻情報を含めて192バイトで構成されているが、実施の形態1では、受信した次のTSパケットを記憶する場合、記憶部10内の次のラインの先頭より記憶するものとする。これにより、記憶部10内の各ラインの先頭には上記時刻情報が記憶されることになる。したがって、先頭のTSパケットの書き込みが終了すると、制御部33は次のラインの先頭の書き込みアドレスより2番目に入力されたTSパケットのための書き込みアドレスを記憶部10に出力する。
【0028】
したがって、時刻情報が付加されたTSパケットが、順次データ受信装置200に受信される度に、記憶部10からデータを読み出さない限り、書き込み状態にあるTSパケット数は増加する。
【0029】
一方、データ受信装置200では、予め設定されているデータ読み出し開始条件が満たされると、記憶部10に記憶されているデータの読み出し処理が開始される。データ読み出し開始条件としては、例えば、記憶部10に記憶されているTSパケット数(「データ残量」と言う。)が所定数以上になった場合に、記憶部10に記憶されているTSパケットの読み出しを開始する。実施の形態1では、記憶部10の記憶容量の半分(512ライン分のTSパケットが記憶された場合)を越えた場合に、TSパケットの読み出しを開始するものとする。
【0030】
データ読み出し開始条件が満たされたときの、記憶部10からのデータの読み出し処理は、以下のようにして行われる。
【0031】
まず、データ読み出し開始条件が満たされると、データ読み出しタイミング生成部30が、記憶部10に対して、データ読み出しタイミング信号を出力する。
【0032】
記憶部10が、当該データ読み出しタイミング信号を受信すると、記憶部10は、先頭ラインのTSパケットが記憶されている上記時刻情報を出力する。実施の形態1では、4バイトで構成されている。記憶部10から読み出されたデータ(時刻情報)は、時刻情報分離部20に入力される。時刻情報分離部20では、入力されたデータが時刻情報かTSパケットかを判別し、時刻情報であった場合、比較部31に入力する。比較部31は、入力された時刻情報をレジスタ(図示せず)に記憶するとともに、先頭のTSパケットの時刻情報の場合は、その時刻情報をタイマ30へ出力する。タイマ30は、先頭のTSパケットの付加されている時刻情報を受け取ると、それを初期値としてその時刻情報を内部時刻計測用のカウンタに設定するとともに、データ受信装置200の内部時刻のカウントを開始する。
【0033】
上記タイマ30への初期値の設定が完了し、データ受信装置200内の内部時刻のカウントが開始されると比較部31ではタイマ30より出力されるデータ受信装置200の内部時刻と時刻情報分離部20より入力されたTSパケットの先頭に付加されている時刻情報が示す時刻を比較し、データ受信装置200の内部時刻が、時刻情報が示す時刻に等しい、或いは、時刻情報が示す時刻より大きかった場合、制御部33に対して、先頭のTSパケットデータを読み出すよう制御信号を出力する。先頭のTSパケットの場合は、内部時刻が最初の時刻情報が示す時刻に初期設定されていることから、内部時刻は、時刻情報と等しくなっている。したがって、比較部31は、制御部33に対して制御信号を出力する。この制御信号が入力されると、制御部33は、記憶部10に先頭のTSパケットデータを読み出すための読み出しタイミング信号を出力する。具体的には、TSパケットは、図2に示すように、188バイトで構成されている。制御部33は、記憶部10に188バイトのTSパケットを読み出すための制御信号(読み出しアドレス信号など)を出力する。
【0034】
先頭のTSパケットのデータの読み出しが終了すると、制御部33は、次のTSパケットの先頭に付加されている時刻情報の読み出し制御信号(読み出しアドレス信号など)を記憶部10に出力する。記憶部10は、先頭のTSパケットの読み出しに続き、制御部33より出力される読み出し制御信号に基づき次のライン(2ライン目)に記憶されているTSパケットの先頭に付加されている時刻情報を読み出す。
【0035】
時刻情報分離部20は、記憶部10より出力されるTSパケットと時刻情報とを分離し、TSパケットを出力端子から出力する。一方、時刻情報は、比較部31に出力する。比較部31は、時刻情報分離部20より時刻情報が入力されると、時刻情報をレジスタに記憶する。時刻情報をレジスタに記憶すると、比較部31は、自身のレジスタ(図示せず)に記憶された時刻情報とタイマ32より出力されるデータ受信装置200の基準時刻を比較する。なお、通常は、時刻情報が入力してきた時点では、当該時刻情報が示す時刻に対して、内部時刻の方が小さい。
【0036】
そして、比較部31は、タイマ32の基準時刻が、比較部31に入力されてきた時刻情報が示す時刻と等しくなる(時刻情報が示す時刻=基準時刻)まで、又は、タイマ32の基準時刻が、比較部31に入力されてきた時刻情報が示す時刻より大きくなる(時刻情報が示す時刻<基準時刻)まで、制御部33に制御信号を出力しない。よって、タイマ32の基準時刻が、比較部31に入力されてきた時刻情報が示す時刻に達していない状態においては、記憶部10から新たに時刻情報とTSパケットが読み出されることはない。また、タイマ32より出力される基準時刻が、比較器31のレジスタ(図示せず)に記憶された時刻情報と等しくなる(時刻情報が示す時刻=基準時刻)、又は、タイマ32より出力される基準時刻が、比較器31のレジスタ(図示せず)に記憶された時刻情報より大きくなる(時刻情報が示す時刻<基準時刻)と、比較部31は制御部33に対して、先頭のTSパケットデータを読み出すよう制御信号を出力する。この制御信号が入力されると、制御部33は、記憶部10に2ライン目に記憶されているTSパケットデータを読み出すための読み出しタイミング信号を出力する。そして、時刻情報分離部20は、記憶部10よりTSパケットの有効データが読み出されると、出力端子を介して後段のTSパケット再生装置(図示せず)にTSパケットを出力する。
【0037】
2ライン目のTSパケットのデータの読み出しが終了すると、制御部33は、3ライン目のTSパケットの先頭に付加されている時刻情報の読み出し制御信号(読み出しアドレス信号など)を記憶部10に出力する。記憶部10は、2ライン目のTSパケットの読み出しに続き、制御部33より出力される読み出し制御信号に基づき、次のライン(3ライン目)に記憶されているTSパケットの先頭に付加されている時刻情報を読み出す。以下、上記動作を繰り返すことによって、記憶部10に記憶されたTSパケットを、記憶部10から順次読み出す。
【0038】
ここで、TSパケットに付加された時刻情報は、TSパケットがデータ送信装置100に入力された際のタイマ3の出力値である。よって、制御部33から出力される読み出しタイミング信号は、時刻情報付加部2により付加されたタイマ3の出力値(データ送信装置の基準時刻情報)を元に出力される。
【0039】
したがって、データ受信装置200における読み出しタイミング信号の出力間隔は、データ送信装置100に入力されたTSパケットの入力間隔と同じである。つまり、時刻情報分離部20において分離された各TSパケットの本体部分を、前記読み出しタイミング信号の出力間隔で取り出したとする。すると、データ送信装置100に入力された各TSパケットのパケット間隔(図3(a))と、データ受信装置200から出力される、対応する各TSパケットのパケット間隔(図3(c))が等しくなる。
【0040】
以上までの説明は、ネットワーク300上において、伝送信号が通常の再生画像であった場合(伝送レートが一定)で、当該TSパケットがデータ受信装置200に入力された場合である。
【0041】
しかしながら、データ送信装置100のクロックと、データ受信装置200のクロックは同期していない。通常、データ送信装置100及びデータ受信装置200の基本クロック発生素子として水晶発振子などを使用した場合でも、100ppmのクロック周波数偏差を有する。したがって、データ送信装置100内の基準時刻とデータ受信装置200内の基準時刻は、上記クロック周波数偏差分、徐々にずれてくる。よって、記憶部10において記憶されているTSパケットのデータ残量が次第に増加若しくは減少し、最終的にオーバーフロー若しくはアンダーフローを生じる。これを防ぐために、記憶状態検出部40において記憶部10のデータ残量を監視し、データ残量が減少方向にある(単調減少)ときは、タイマ32の更新値を減少させ、タイマのカウントアップを遅らせることにより、記憶部10からのデータ読み出し頻度を減少させて、データ残量を一定に保つ。
【0042】
逆に、データ残量が増加方向(単調増加)にあるときは、タイマ32の更新値を増加させ、タイマのカウントアップを早めることにより、記憶部10からのデータ読み出し頻度を増加させて、データ残量を一定に保つ。以下、上記記憶部10のデータ残量を元にデータ送信装置100内の基準時刻を推定し、データ受信装置200内の基準時刻を制御する方式を「クロック同期制御」と記す。
【0043】
しかし、例えば、TSパケットの伝送データ量が急に変化した場合、上記制御では、伝送データレートが変化した時点のTSパケットを読み出すまでに遅延時間が発生する。具体的には、約512TSパケット分の遅延時間が発生する。以下、デジタルVTRを再生中に高速再生を実施した場合について説明する。例えば、20Mbpsのコンテンツを再生中に高速再生を実施した場合、入力されるTSパケットのレートは2Mbps程度になる場合がある。また、通常再生から高速再生、或いは高速再生から通常再生に移行する場合、デジタルVTRのテープ走行系のサーボ、トラッキング系のサーボがロック(安定)するまで、TSパケットは出力されない。図4に、デジタルVTRが通常再生から高速再生(特殊再生)へ移行する際(時刻t1)、高速再生(特殊再生)から通常再生へと移行する際(時刻t3)のTSパケットの伝送データレートの変化を示す。また、図5に、その際の記憶部10内の記憶TSパケット数の変化を示す。図5に示されるように、デジタルVTRの再生モードが移行する場合(TSパケットのデータ量が大きく変化する場合)記憶部10のデータ残量も著しく減少(或いは増加)する。
【0044】
すると、記憶状態検出部40では、上述したように記憶部10に記憶されているTSパケットのデータ残量を一定(例えば、記憶部10の記憶容量の半分)に保とうとして、タイマ32の更新値を減少させ、タイマのカウントアップを遅らせて、記憶部10からのデータ読み出し頻度が減少するよう制御する。しかし、記憶部10内に記憶されているデータ残量の変化は、データ送信装置100とデータ受信装置200との間の基準クロック周波数の差に起因するものではない。したがって、このデータ残量の変化に応答してデータ受信装置200内の基準時刻を遅らせると、記憶部10からのTSパケットの読み出し制御が破綻する。具体的には、ネットワーク300上で発生するTSパケットのジッタを吸収することができず、後段のTSパケット再生装置での再生画像が乱れるといった現象が発生する。
【0045】
したがって、ネットワーク300を介して入力されるTSパケットの伝送レートの変化を検出し、伝送レートが大きく変化した場合、記憶状態検出部40での制御をマスクするなどして、記憶部10におけるデータ読み出しの破綻を回避することが重要となる。本発明の実施の形態に係る装置及び方法は、記憶部10からのデータ読み出し制御の破綻(以下「データ読み出し破綻現象」と記す。)を防止するために構成されたものである。
【0046】
そこで、実施の形態1に係るデータ受信装置200では、データ読み出し破綻現象を回避するために、以下のようにして、ネットワーク300を介して入力されるTSパケットの伝送レートを検出している。以下、実施の形態1に係るTSパケットの伝送レートの検出方法について説明する。
【0047】
図4は、デジタルVTRが通常再生から特殊再生である高速再生(時刻t1)に、高速再生から通常再生(時刻t3)に切り換った際の、TSパケットの伝送レートの変化を示している。図4において、縦軸が伝送レート、横軸が時間である。高速再生時は、図4の時間t1〜t3に示すように、TSパケットの伝送レートが低くなる。その際の、記憶部10のデータ残量を表したものが、図5である。高速再生になった時点(時刻t1)で、TSパケットの伝送レートが低下するため、記憶部10からのデータ読み出しの頻度の方が、データ書き込みの頻度よりも高くなるので、データ残量が急激に少なくなる(時刻t1〜t2)。高速再生中は、従来の記憶状態検出部40の制御ではデータ残量が低下するため、タイマ32の基準時刻のカウント速度が遅くなっているため、データ残量が増加している(時刻t2〜t3)。そして、再度、通常再生になると(時刻t4)、TSパケットの伝送レートが上がるため、データ残量も上昇する。しかし、データ受信装置200内の基準時刻が上述したように遅れているため、記憶部10の記憶容量が一時的に目標値に向けて増加する。その際データ受信装置200より出力されるTSパケットは、ネットワーク300上で発生するジッタを十分吸収できないため、後段のTSパケット再生装置(図示せず)での再生画像が乱れるといった現象が発生する。
【0048】
そこで、実施の形態1では、上述したようにデジタルVTRの再生出力が通常再生から高速再生になるなど、データ伝送装置100に入力されるTSパケットのデータ伝送レートが大きく変化したことに起因して、データ受信装置200内の記憶部10のデータ残量が大きく変化する。実施の形態1では、上記記憶部10のデータ残量の変化より、データ送信装置100に入力されるTSパケットのデータ伝送レートが著しく変化したことを検出し、記憶状態検出部40でのデータ受信装置200内の基準時刻補正制御を切り換えるように構成することにより、ネットワーク300にて発生するTSジッタを補償できるように構成する。以下、記憶部10に記憶されているデータのデータ残量から、伝送データが特殊再生画像になったことを検出する方法について説明する。
【0049】
まず、図1で示される記憶状態検出部40が、記憶部10のデータ残量を計算する。具体的に、記憶状態検出部40は、記憶部10おいて、最後に書き込み処理が行われたアドレスと、最後に読み出し処理が行われたアドレスから、記憶部10のデータ残量を計算することができる。
【0050】
例えば、記憶部10のメモリは、図6に示されるように、8ラインで構成されていたとする(実際には、実施の形態1では1096ラインで構成されているが、説明の簡略化のため8ラインとする)。なお、最下段のラインのアドレス「1」とし、上段に行くに連れてラインのアドレスは「1」ずつ増加する。よって、図6において、最上段のラインのアドレスは「8」である。
【0051】
上記のようにアドレスが付されたラインを有するメモリにおいて、図6に示されるように、最後に書き込み処理が行われたラインのアドレスが「7」であり、最後に読み出し処理が行われたラインのアドレスが「3」である場合を考察する。
【0052】
この場合には、データ残量は以下のようになる。
(データ残量)
=(最後に書き込み処理が行われたラインのアドレス)
−(最後に読み出し処理が行われたラインのアドレス)
=7−3
=4
【0053】
また、メモリの最上段まで書き込みが終了し、再びメモリの最下段から書き込み処理が行われたとする。この場合において、図7に示されるように、最後に書き込み処理が行われたラインのアドレスが「3」であり、また、最後に読み出し処理が行われたラインのアドレスが「6」である場合を考察する。
【0054】
この場合には、データ残量は以下のようになる。
(データ残量)
=(メモリアドレスの最大値)
+{(最後に書き込み処理が行われたラインのアドレス)
−(最後に読み出し処理が行われたラインのアドレス)}
=8+(3−6)
=5
【0055】
上記の考察から分かるように、
(最後に書き込み処理が行われたラインのアドレス)
>(最後に読み出し処理が行われたラインのアドレス)
の場合には、データ残量は以下のようになる。
(データ残量)
=(最後に書き込み処理が行われたラインのアドレス)
−(最後に読み出し処理が行われたラインのアドレス)
【0056】
また、
(最後に書き込み処理が行われたラインのアドレス)
<(最後に読み出し処理が行われたラインのアドレス)
の場合には、データ残量は以下のようになる。
(データ残量)
=(メモリアドレスの最大値)
+{(最後に書き込み処理が行われたラインのアドレス)
−(最後に読み出し処理が行われたラインのアドレス)}
【0057】
上記計算式を用いることにより、有限の要領であるメモリに対しても、ラインのアドレスを用いて、データの残量を求めることができる。
【0058】
次に、記憶状態検出部40でのクロック同期制御について説明する。実施の形態1では記憶状態検出部40は、記憶部10のデータ残量の変化を所定の期間計測する。具体的には、データ残量の変化を予め定められた期間積分する。そして、前回計測した積分結果と今回計測した積分結果の差分値を計測し、差分値の大きさにより上記クロック同期制御アルゴリズムを変えるよう構成する。ここで、差分値の大きさによりクロック同期制御アルゴリズムを切り換える理由について説明する。記憶部10内のデータ残量の積分値の変化は、例えば、VBRのTSパケットが入力された場合は、瞬時で入力されるTSパケットのデータ量が変化する。したがって、記憶部10のデータ残量の変化は、データ送信装置100とデータ受信装置200内の基準クロックの偏差に基づくもの以外に、入力されるTSパケットのデータ伝送レートの変化に起因し値は振れる。したがって、上記積分結果の差分値の値が大きく振れた場合でも、それは入力TSパケットがVBRであるため発生したものである場合がある。したがって、実施の形態1では、上記積分結果の差分値の変化に注目する。もし、入力されるTSパケットがVBRであったため上記差分値が大きく増加した場合(例えば、大きくデータ残量が多くなった場合)は、VBRは巨視的に見た平均データ伝送レートはほぼ等しいので、単調にデータ残量が増加するのではなく、次の測定の際、或いはその次の測定の際、反対にデータ残量の積分値は負の値(データ残量が小さくなる方向)となる。
【0059】
一方、例えば、上述したデジタルVTRの場合(通常再生から高速再生に変化した場合)は、上記積分結果が大きく、且つ、単調に変化する。実施の形態1では、その差分値の変化を元に、データ送信装置100に入力されるTSパケットのデータ伝送レートの変化を検出するよう構成する。
【0060】
次に、TSパケットのデータ伝送レートが変化したと判定した場合の処理について説明する。まず、記憶状態検出部40が、データ伝送レートが変化したと判定すると、制御部33及びタイマ32にその旨を通知する。
【0061】
タイマ32は、更新値にオフセット値を加減算するのをやめる。すなわち、制御部33は、記憶状態検出部40が検出するデータ残量の変化を抽出し、前記変化が所定の閾値より大きくなり、且つ、前記変化が単調変化である場合には、タイマ32の更新値は変更することなく、タイマ32が計測する内部時刻を用いて、記憶部10からデータを読み出すタイミングを与えるデータ読み出しタイミング信号を生成する。なお、記憶状態検出部40は、データ残量の変化から定まる平均値に対する、データ残量の変化の大きさに応じて、前記所定の閾値を設定してもよい。このとき、タイマ32は通常のカウントアップを行う。したがって、記憶部10のデータ残量に関係なくタイマ32が動作する。制御部33が記憶部10に対してデータ読み出しタイミング信号を出力し、記憶部10から、まず、時刻情報が読み出される。
【0062】
時刻情報は時刻情報分離部20に入力され、続いて比較部31に入力される。比較部31において、時刻情報が示す時刻と、通常のカウントアップを始めたタイマ32の出力値が比較され、時刻情報が示す時刻が、タイマ32に出力値である内部時刻に等しい(時刻情報が示す時刻=内部時刻)、若しくは、時刻情報が示す時刻が、タイマ32に出力値である内部時刻より小さく(時刻情報が示す時刻<内部時刻)なれば、比較部31は制御信号を制御部33に対して出力する。
【0063】
制御部33は、記憶部10に対して、データ読み出しタイミング信号を出力し、同時にTSパケット再生装置(図示せず)に対して、有効信号を出力する。
【0064】
記憶部10は、このデータ読み出しタイミング信号を受信し、TSパケットを188バイト出力し、この後に、データ読み出しアドレスを、次の時刻情報のアドレスに更新する。有効信号を受信したTSパケット再生装置(図示せず)は、このTSパケットを取り込む。
【0065】
また、次のTSパケットの時刻情報が時刻情報分離部20に対して出力され、さらに比較部31に出力され、タイマ32の出力値と比較される。
【0066】
以上までの動作を繰り返し行う。そして、上記データ伝送レートの変化が所定の範囲に入ったと判断すると、記憶状態検出部40は、入力TSパケットのデータ伝送レートがほぼ一定に収束したと判断し、上記クロック同期制御を開始するよう制御信号をタイマ32に出力する。これを受けて、タイマ32は、記憶部10のデータ残量が記憶容量の半分付近を保つように、更新値にオフセット値を加減算するクロック同期制御モードに戻る。
【0067】
以上のように、実施の形態1に係るデータ受信装置200は、記憶部10に記憶されているデータのデータ残量から、データ伝送レートの変化を検出するよう構成するので、記憶状態検出部40にて実施するクロック同期制御を破綻させることなく制御でき、ネットワーク300にて発生するTSジッタを補償することができる。したがって、TSパケットのデータ伝送レートが著しく変化するような場合でも、後段のTSパケット再生装置での再生画像が乱れるといった現象が発生することなくTSパケットを伝送することができる効果がある。
【0068】
実施の形態2.
実施の形態1に係るデータ受信装置においては、記憶状態検出部40は、記憶部10において、最後に書き込み処理が行われたラインのアドレスと、最後に読み出し処理が行われたラインのアドレスから、記憶部10のデータ残量を計算していた。しかし、実施の形態2に係るデータ受信装置においては、記憶状態検出部40は、記憶部10において、書き込み処理が行われた回数と、読み出し処理が行われた回数とから、記憶部10のデータ残量を計算する。具体的に、実施の形態2における記憶状態検出部40は、記憶部10に1つのTSパケット分のデータの書き込みが完了した場合は、「1」を加算する。また、記憶部10に1つのTSパケット分のデータの読み出しが完了した場合は、「1」を減算する。
【0069】
例えば、記憶部10への1つのTSパケット分のデータの書き込み回数と読み出し回数とが、同じであるとする。この場合、前記両回数の差は「0」となる。このことは、記憶部10におけるデータ残量が「0」であること意味する。また、1度もTSパケットの読み出しが行われないなら、1つのTSパケット分のデータを書き込んだ回数が、記憶部10におけるデータ残量となる。
【0070】
以上のように、実施の形態2に係る記憶状態検出部40は、記憶部10へのTSパケットの書き込み処理が行われた回数と、読み出し処理が行われた回数とに基づいて、記憶部10のデータ残量を計算している。したがって、実施の形態2に係る記憶状態検出部40は、加算器等で簡単に構成できるので、実施の形態1に係る記憶状態検出部40よりも、回路構成の複雑化を防止することができる。
【0071】
なお、実施の形態1及び2においては、TSパケットの入力ネットワークとしてIEEE1394、ネットワーク300として無線LANを用いる場合について説明した。しかし、通信方式は、上記のものに限るものでなく、例えば、Ethernet(登録商標)、高速PLC(電力線通信)、UWB(超広帯域無線)等の有線ネットワークに本発明を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1及び2に係るデータ受信装置を含む、パケットデータ送受信システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】時刻情報が付随しているTSパケットを説明するための図である。
【図3】(a)〜(c)は、TSパケットの伝送状態を説明するための図である。
【図4】データレートの時間的変化を概略的に示す図である。
【図5】記憶部におけるデータ残量の時間的変化を概略的に示す図である。
【図6】実施の形態1におけるデータ残量の検出処理を説明するための図(その1)である。
【図7】実施の形態1におけるデータ残量の検出処理を説明するための図(その2)である。
【符号の説明】
【0073】
1 データ送信装置の入力端子、 2 データ送信装置の時刻情報付加部、 3 データ送信装置のタイマ、 10 記憶部、 20 時刻情報分離部、 30 データ読み出しタイミング生成部、 31 比較部、 32 タイマ、 33 制御部、 40 記憶状態検出部、 100 データ送信装置、 200 データ受信装置、 300 ネットワーク。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信装置からネットワークを介して送られてきた、時刻情報を含むパケットデータを記憶する記憶部と、
前記記憶部のデータ残量を検出する記憶状態検出部と、
内部時刻を計測するタイマと、
制御部と
を有するデータ受信装置において、
前記タイマは、その更新値にオフセット値を加減算することによって、前記データ送信装置と前記データ受信装置の間の基準時刻の偏差を補正し、
前記制御部は、前記記憶状態検出部が検出するデータ残量の変化を抽出し、前記変化が所定の閾値より大きくなり、且つ、前記変化が単調変化である場合には、前記タイマの更新値は変更することなく、前記タイマが計測する内部時刻を用いて、前記記憶部から前記データを読み出すタイミングを与えるデータ読み出しタイミング信号を生成する
ことを特徴とするデータ受信装置。
【請求項2】
前記記憶部から読み出された前記データを、前記時刻情報と、前記時刻情報以外の前記パケットデータ本体部分とに分離する時刻情報分離部と、
前記タイマが計測する内部時刻と、前記時刻情報分離部によって分離された前記時刻情報が示す時刻とを比較する比較部と
をさらに有し、
前記制御部は、前記比較部における比較の結果が、前記タイマが計測する内部時刻が前記時刻情報の示す時刻以上である場合に、前記データ読み出しタイミング生成部は、前記データ読み出しタイミング信号を生成して、前記記憶部から前記データを読み出させる
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ受信装置。
【請求項3】
前記記憶部は、複数のラインで区画されているメモリであり、
前記記憶状態検出部は、データの書き込み処理が行われた前記メモリのラインに対応するアドレスと、データの読み出し処理が行われた前記メモリのラインに対応するアドレスとに基づいて、前記データ残量を検出する
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のデータ受信装置。
【請求項4】
前記記憶状態検出部は、前記記憶部に対する、1つのパケットデータ分のデータの書き込み処理が行われた回数と、前記記憶部に対する、1つのパケットデータ分のデータの読み出し処理が行われた回数とに基づいて、前記データ残量を検出する
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のデータ受信装置。
【請求項5】
前記記憶状態検出部は、前記データ残量の変化から定まる平均値に対する、前記データ残量の変化の大きさに応じて、前記所定の閾値を設定する
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載のデータ受信装置。
【請求項6】
データ送信装置からネットワークを介してデータ受信装置に送られてきた、時刻情報を含むパケットデータを記憶するステップと、
前記記憶されているデータのデータ残量を検出するステップと、
タイマにより内部時刻を計測するステップと、
前記タイマの更新値にオフセット値を加減算することによって、データ送信装置と前記データ受信装置の間の基準時刻の偏差を補正するステップと
を有し、
前記データ残量の変化を抽出し、前記変化が所定の閾値より大きくなり、且つ、前記変化が単調変化である場合には、前記基準時刻の偏差を補正するステップにおける前記タイマの更新値は変更することなく、前記タイマが計測する内部時刻を用いて、前記記憶されているデータを読み出させるタイミングを与えるデータ読み出しタイミング信号を生成する
ことを特徴とするデータ受信方法。
【請求項7】
前記記憶されているデータを読み出し、前記時刻情報と、前記時刻情報以外の前記パケットデータ本体部分とに分離するステップと、
前記内部時刻と、前記分離された時刻情報が示す時刻とを比較するステップと、
前記比較の結果が、前記内部時刻が前記時刻情報の示す時刻以上である場合に、前記データ読み出しタイミング信号を生成して、前記記憶されている前記データを読み出させるステップと
をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のデータ受信方法。
【請求項8】
前記データ残量の検出は、データの書き込み処理が行われたメモリのラインに対応するアドレスと、データの読み出し処理が行われた前記メモリのラインに対応するアドレスとに基づいて、実行される
ことを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載のデータ受信方法。
【請求項9】
前記データ残量の検出は、1つのパケットデータ分のデータの書き込み処理が行われた回数と、1つのパケットデータ分のデータの読み出し処理が行われた回数とに基づいて、実行される
ことを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載のデータ受信方法。
【請求項10】
前記データ残量の変化から定まる平均値に対する、前記データ残量の変化の大きさに応じて、前記所定の閾値を設定する
ことを特徴とする請求項6から9までのいずれかに記載のデータ受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−203765(P2006−203765A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15494(P2005−15494)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構、「デジタル情報機器相互運用基盤「AV系情報家電ホームネットワークの研究開発」」助成事業、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】