説明

データ更新システム、配信サーバ、データ更新方法及びデータ更新プログラム

【課題】必要性の高いデータを配信することができるデータ更新システム、配信サーバ、データ更新方法及びデータ更新プログラムを提供する。
【解決手段】各ジャンルに属するPOIデータが格納されたPOIデータ記憶部を備えるナビゲーション装置と、該ナビゲーション装置とネットワークNを介して接続された配信サーバ2とを備えたデータ更新システム1において、ナビゲーション装置は、ジャンル毎にPOIデータの参照比率を取得し、参照比率を配信サーバ2に送信する。配信サーバ2は、POIデータが格納された配信データ記憶部を備え、ナビゲーション装置に配信するPOI単位データの上限データ数を取得し、上限データ数及び参照比率に基づき、前記各ジャンルに対する配信数を設定し、各ジャンルに割り振られた配信数のPOI単位データ抽出し、ナビゲーション装置に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ更新システム、配信サーバ、データ更新方法及びデータ更新プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムは、目的地等を検索するためのPOI(Point Of Interest)
データを格納した内蔵ハードディスクや、光ディスク等の外部記憶媒体を備え、これらの記憶媒体には例えば数千万件といった膨大な数のPOIデータが格納されている。
【0003】
一方、各地点又は施設に関する情報は日々変化しており、ナビゲーションシステムに格納されたPOIデータとのずれが生じる。このため、管理サーバに最新版のPOIデータを格納しておき、ナビゲーションシステムのPOIデータを更新するシステムが既に構築されている。
【0004】
しかし、旧版のPOIデータと最新版のPOIデータとの差分データを全てナビゲーションシステムに配信すると、配信データ量が大きくなり、ナビゲーションシステム及びネットワークにかかる負荷が大きくなる。
【0005】
これに対し、特許文献1には、検索頻度の高いジャンルを高い順番に複数個選択してユーザ情報を作成し、配信センタのサーバに該ユーザ情報を送信する装置が記載されている。
【特許文献1】特開2004−201149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記したシステムの場合、検索頻度が高いジャンルを選択してユーザ情報を作成するため、ナビゲーションシステムに配信されるデータのジャンルが、それらのジャンルに偏り過ぎる可能性がある。また、それらのジャンルに該当する更新用のデータを全てナビゲーションシステムに配信すると、配信データ量が過大となる可能性もある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、配信データ量を軽減し、且つユーザにとって必要性の高いデータを配信することができるデータ更新システム、配信サーバ、データ更新方法及びデータ更新プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、各ジャンルに属する地点参照情報が格納された参照情報記憶手段を備えるナビゲーション装置と、該ナビゲーション装置とネットワークを介して接続された配信サーバとを備えたデータ更新システムにおいて、前記ナビゲーション装置は、前記ジャンル毎に、前記地点参照情報の参照頻度を取得する頻度取得手段と、前記参照頻度を前記配信サーバに送信する送信手段とを備え、前記配信サーバは、前記ナビゲーション装置の前記地点参照情報を更新するための更新情報が格納された更新情報記憶手段と、前記ナビゲーション装置に配信する前記更新情報の上限量を取得する上限量取得手段と、前記上限量及び前記参照頻度に基づき、前記各ジャンルに対する前記更新情報の配信量を設定する配信量設定手段と、前記各ジャンル毎に前記配信量の前記更新情報を前記更新情報記憶手段から抽出し、抽出した前記更新情報を前記ナビゲーション装置に配信する配信手段とを備えることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ更新システムにおいて、前記配信量設定手段は、前記各ジャンルの前記参照頻度に従って、前記配信量の総量が前記上限量以下となるように、前記各ジャンルに配信予定量を割り振るとともに、前記ジャンル毎に、前記更新情報に対して前記配信予定量の過不足があるか否かを判断し、前記配信予定量が不足している前記ジャンルと、前記配信予定量が過剰である前記ジャンルとがある場合に、前記配信予定量が不足している前記ジャンルに、前記配信予定量が過剰である前記ジャンルの前記配信予定量の余剰量を配分して、前記配信量を決定することを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデータ更新システムにおいて、前記配信量設定手段は、前記配信予定量が不足している前記ジャンルが複数あり、且つ前記配信予定量が過剰である前記ジャンルがある場合に、前記配信予定量が過剰である前記ジャンルの前記配信予定量の前記余剰量を、前記配信予定量が不足している前記各ジャンルの前記参照頻度に基づき割り振ることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ更新システムにおいて、前記配信サーバは、予め設定された配信条件を登録する登録手段をさらに備えるとともに、前記配信手段は、前記ジャンルに属する前記各更新情報のうち、前記配信条件に基づく優先度の高い順に、該ジャンルに割り振られた前記配信量の前記更新情報を抽出することを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、各ジャンルに属する地点参照情報が格納された参照情報記憶手段を備えるナビゲーション装置にネットワークを介して接続された配信サーバにおいて、前記ナビゲーション装置の前記地点参照情報を更新するための更新情報が格納された更新情報記憶手段と、前記ナビゲーション装置に配信する前記更新情報の上限量を取得する上限量取得手段と、前記ナビゲーション装置から、前記ジャンル毎の前記地点参照情報の参照頻度を取得する頻度受信手段と、前記上限量及び前記参照頻度に基づき、前記各ジャンルに対する前記更新情報の配信量を設定する配信量設定手段と、前記各ジャンル毎に前記配信量の前記更新情報を前記更新情報記憶手段から抽出し、抽出した前記更新情報を前記ナビゲーション装置に配信する配信手段とを備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、各ジャンルに属する地点参照情報が格納された参照情報記憶手段を備えるナビゲーション装置と、前記ナビゲーション装置にネットワークを介して接続され、前記地点参照情報を更新するための更新情報が格納された更新情報記憶手段を備えた配信サーバとを用いて、前記地点参照情報を更新するデータ更新方法において、前記ナビゲーション装置が、前記ジャンル毎に、前記地点参照情報の参照頻度を取得して、前記参照頻度を前記配信サーバに送信し、前記配信サーバが、前記ナビゲーション装置に配信する前記更新情報の上限量を取得するとともに、前記上限量及び前記参照頻度に基づき、前記各ジャンルに対する前記更新情報の配信量を設定し、前記各ジャンル毎に前記配信量の前記更新情報を前記更新情報記憶手段から抽出し、抽出した前記更新情報を前記ナビゲーション装置に配信することを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、各ジャンルに属する地点参照情報が格納された参照情報記憶手段を備えるナビゲーション装置にネットワークを介して接続された制御手段と、前記地点参照情報を更新するための更新情報が格納された更新情報記憶手段とを用いて、前記地点参照情報を更新するデータ更新プログラムにおいて、前記制御手段を、前記ナビゲーション装置に配信する前記更新情報の上限量を取得する上限量取得手段と、前記ナビゲーション装置から、前記ジャンル毎の前記地点参照情報の参照頻度を取得する頻度受信手段と、前記上限量及び前記参照頻度に基づき、前記各ジャンルに対する前記更新情報の配信量を設定する配信量設定手段と、前記各ジャンル毎に前記配信量の前記更新情報を前記更新
情報記憶手段から抽出し、抽出した前記更新情報を前記ナビゲーション装置に配信する配信手段として機能させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、データ更新システムは、ジャンル毎に参照頻度を送信するナビゲーション装置と、更新情報の上限量及びジャンル毎の参照頻度に基づき、各ジャンルに配信量を設定する配信サーバとを備える。このため、配信データ量を軽減でき、しかもユーザにとって必要度の高い更新データを配信することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、配信予定量が不足しているジャンルと、配信予定量の過剰であるジャンルとがある場合に、各ジャンルの間で配信予定量を配分するので、適切な配分量でユーザにとって必要度の高い更新データを配信することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、配信予定量が不足しているジャンルが複数ある場合に、それらのジャンルの参照頻度に基づき、余剰量を配分するので、ユーザにとって必要度の高い更新データを配信することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、ジャンルに属する更新情報を、配信条件に基づく優先度の高い順に選択するので、ユーザにとって必要度の高い更新データから配信することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、配信サーバは、ナビゲーション装置から送信された更新情報の上限量及びジャンル毎の参照頻度に基づき、各ジャンルに配信量を設定する。このため、配信データ量を軽減でき、しかもユーザにとって必要度の高い更新データを配信することができる。
【0020】
請求項6に記載の方法によれば、配信サーバは、ナビゲーション装置から送信された更新情報の上限量及びジャンル毎の参照頻度に基づき、各ジャンルに配信量を設定する。このため、配信データ量を軽減でき、しかもユーザにとって必要度の高い更新データを配信することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、データ更新プログラムに従って、ナビゲーション装置から送信された更新情報の上限量及びジャンル毎の参照頻度に基づき、各ジャンルに配信量を設定する。このため、配信データ量を軽減でき、しかもユーザにとって必要度の高い更新データを配信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。図1は、データ更新システム1の概念図である。データ更新システム1は、配信サーバ2と、車両Cに搭載されたナビゲーション装置10(図3参照)とから構成されている。ナビゲーション装置10は、基地局N1等を含むネットワークNを介して、配信サーバ2と接続されている。
【0023】
図2に示すように、配信サーバ2は、CPU3、RAM4、ROM5、通信I/F6、
更新情報記憶手段としての配信データ記憶部7、登録手段としての登録データ記憶部9を備えている。CPU3は、RAM4を作業領域として、ROM5又はその他の記憶部に格納されたデータ更新プログラムに従って各処理を司る。尚、CPU3は、上限量取得手段、配信量設定手段、配信手段、頻度受信手段、制御手段に対応する。
【0024】
配信データ記憶部7には、POIデータ8が格納されている。POIデータ8は、ユー
ザが施設や特定の地点に関する情報を参照するためのデータであって、施設又は地点毎の情報を示すPOI単位データ8A(図7参照)から構成される。データ更新されたPOIデータ8では、新設された施設に関するデータが追加されるとともに、不要となったデータが削除され、必要に応じて施設に関する情報が修正されている。
【0025】
登録データ記憶部9には、登録データ9Aと、配信履歴データ9Bとが登録ユーザ毎に対応して記憶されている。登録データ9Aは、登録ユーザのユーザIDと、該ナビゲーション装置10に優先的に配信するデータを決定するための優先度を示す配信条件とを有している。配信条件は、配信サーバ2が設定してもよいし、登録ユーザが指定するようにしてもよい。例えば、この配信条件として、自宅に近い地点であること等が格納されている。配信履歴データ9Bには、登録ユーザに既に送信したPOI単位データ8Aを示す識別データが格納されている。
【0026】
図3に示すように、ナビゲーション装置10は、頻度取得手段、送信手段としてのCPU11、RAM12、ROM13、通信ユニット14を備えている。CPU11は、配信サーバ2と通信ユニット14を介して各種データを送受信する。また、CPU11は、GPS受信部15から、緯度・経度等の座標を示す位置検出信号を入力し、電波航法により絶対位置を算出する。また、CPU11は、車速センサ16及びジャイロ17から、車輪の回転数を示す車速パルスと角速度とをそれぞれ入力して車両の相対位置を算出し、絶対位置と組み合わせて車両Cの現在位置を特定する。
【0027】
また、ナビゲーション装置10は、内蔵ハードディスク又は外部記憶媒体からなる地理データ記憶部20及び参照情報記憶手段としてのPOIデータ記憶部23を備えている。
地理データ記憶部20は、経路データ21及び地図描画データ22を格納している。経路データ21は、目的地までの経路探索を行うためのデータである。地図描画データ22は、地図画面を表示するためのデータを有している。ナビゲーション装置10の画像プロセッサ24は、この地図描画データ22を用いて地図画面30aをタッチパネルディスプレイ(以下、単にディスプレイ30という)に表示する。
【0028】
POIデータ記憶部23には、地点参照情報としてのPOIデータ25が格納されている。図4は、各地点毎のPOIデータ25のデータ構成を示す模式図である。POIデータ25は、エリアコード25A、ジャンル25B、名称25C、座標25D、リンクID25E、住所25F、電話番号25G等を有している。エリアコード25Aは、その地点が属する区域の識別子である。ジャンル25Bは、その地点にある施設が属するジャンル、又はその地点が属するジャンルを示す。POIデータ25を分類するジャンルは、「遊ぶ」等といった大分類から、「スポーツ施設」等といった中分類に分類され、ジャンルによっては「ゴルフ場」等といった分類まで階層化されており、ジャンル25Bには、大分類のジャンルのデータからその下位のジャンルを示すデータが格納されている。
【0029】
名称25Cは、地点又は施設の名称である。座標25Dは、その地点の緯度及び経度といった位置データであって、リンクID25Eは、その地点が接するリンク或いは最も近いリンクの番号である。住所25F及び電話番号25Gは、その地点の住所及び施設の電話番号である。尚、ナビゲーション装置10に格納されたPOIデータ25と、配信サーバ2に格納されたPOIデータ8のデータ構成は必ずしも同じ構成とは限らず、それらのデータ形式は同じ形式とは限らない。即ち、配信サーバ2から受信したPOIデータ8を、ナビゲーション装置10が変換処理を行い、POIデータ25として格納してもよい。
【0030】
このPOIデータ25を参照して目的地を設定する場合、ユーザは、ディスプレイ30に表示された検索メニュー画面(図示略)でジャンルを選択したり、電話番号、住所等の条件により所望の施設を検索する。タッチパネル操作が行われると、タッチパネルコント
ローラ31が、ユーザの指の接触位置を検出して、ナビゲーション装置10の入出力I/F27に出力する。CPU11は、接触位置に基づき、ユーザが指定した条件を判断し、該条件に基づいて、該当するPOIデータ25を抽出し、一覧にしてディスプレイ30に表示する。そして、ユーザの操作等により、目的地が決定されると、CPU11は、その目的地の座標25DをPOIデータ25から取得してRAM12に一時記憶し、経路データ21を用いて目的地までの経路を探索する。また、ナビゲーション装置10は、ユーザにより予め設定された登録地点に関するデータを格納しており、その登録地点を目的地として設定することもできる。
【0031】
また、ナビゲーション装置10は、履歴データ記憶部28を備えている。履歴データ記憶部28には、ユーザID26及び履歴データ29が格納されている。ユーザID26は、そのナビゲーション装置10を用いる登録ユーザのIDである。履歴データ29には、所定期間内に、目的地として設定された回数がジャンル毎に格納されている。例えば、「飲食施設」のジャンルに該当する施設が目的地として10回設定された場合、「飲食施設」に「10」というカウンタ値が関連付けられて記憶される。また、目的地が新たに設定される度に、CPU11は、その目的地が該当するジャンルのカウンタ値に「1」を加算する。
【0032】
また、CPU11は、配信サーバ2から配信要求を受信すると、履歴データ29に基づいて、参照頻度としての参照比率を算出する。この参照比率は、ユーザにとって必要性が高いと推定されるジャンルを重み付けした比率である。重み付けを行うジャンルは、大分類でもよく、中分類又は小分類でもよい。CPU11は、配信要求に対して、この参照比率及びユーザID26を配信サーバ2に送信する。
【0033】
配信サーバ2のCPU3は、ナビゲーション装置10から参照比率及びユーザID26を受信すると、上記配信履歴データ9Bに基づき、POIデータ8のうち、その登録ユーザのナビゲーション装置10に配信していないPOI単位データ8Aを差分データとして抽出する。抽出されたデータは、ナビゲーション装置10のPOIデータ25を更新するための更新情報である。また、上限量としてのデータ上限数と参照比率とに基づき、ナビゲーション装置10に配信する配信量としての配信数を決定し、配信数のPOI単位データ8Aをナビゲーション装置10に配信する。データ上限数は、ナビゲーション装置10に配信する上記POI単位データ8Aの数の上限値であり、ナビゲーション装置10にかかる負荷が、経路探索機能等の他の処理に悪影響を及ぼさない程度に設定されている。また、データ上限数は、各ユーザ毎に一律に決められていてもよいし、ユーザ毎に異なる数であってもよい。
(処理手順)
次に、本実施形態の処理手順について、図5〜図8に従って説明する。図5はナビゲーション装置10が行う履歴取得処理の手順を示すフローチャートであって、図6は配信サーバ2の配信処理の手順を示すフローチャートである。
【0034】
図5に示すように、ナビゲーション装置10は、該システムが起動されると、ユーザのタッチパネル操作等により、目的地の設定を待機する(ステップS1−1)。目的地が設定された場合には(ステップS1−1においてYES)、設定された目的地のジャンルを取得する(ステップS1−2)。また、履歴データ記憶部28に格納された履歴データ29に格納された該当ジャンルのカウンタ値に「1」を加算してインクリメントする(ステップS1−3)。そして、システムが起動している間は上記した処理を繰り返し、履歴データ29の更新を行う。
【0035】
図6に示すように、配信サーバ2は、配信を開始するか否かを判断する(ステップS2−1)。配信開始のタイミングは、特に限定されないが、例えば、ナビゲーション装置1
0の前回の更新時から所定期間経過した際に配信を行うと判断しても良いし、新しいバージョンのPOIデータ8が配信データ記憶部7に追加された際に配信を行うと判断しても良い。配信開始のタイミングでない場合には(ステップS2−1)、ステップS2−1を繰り返す。
【0036】
配信を開始すると判断すると(ステップS2−1においてYES)、配信サーバ2のCPU3は、参照比率を配信対象のナビゲーション装置10から取得する(ステップS2−2)。このとき、配信サーバ2は、配信要求をナビゲーション装置10に送信し、ナビゲーション装置10は、配信要求に対し、履歴データ29に基づき参照比率及びユーザID26を送信する。
【0037】
配信サーバ2は、参照比率及びユーザID26を取得すると、参照比率及びユーザID26と、そのユーザID26に関連付けられた配信履歴データ9Bに基づき、上記したように、登録ユーザのナビゲーション装置10に配信していない差分データを抽出する(ステップS2−3)。このとき、差分データとして、新設された施設の他、施設に関する情報に変更が生じた施設や、無くなった施設に関するPOI単位データ8Aが抽出される。
【0038】
さらに、配信サーバ2のCPU3は、登録データ記憶部9から登録データ9Aを読み出して、上記配信条件を取得する(ステップS2−4)。また、CPU3は、配信条件に基づいて、差分データの並び替えを行う(ステップS2−5)。即ち、差分データとして、「飲食施設」のジャンルに含まれる「飲食施設A〜飲食施設K」の11の施設分のPOI単位データ8Aが抽出された場合、図7に模式的に示すように、配信条件に基づいてそれらのPOI単位データ8Aを並び替える。例えば、配信条件が「ユーザの自宅に近い地点」である場合、「飲食施設A〜飲食施設K」の座標に基づいて、自宅に近い順に並び替える。
【0039】
並び替えを行うと、CPU3は、図示しない記憶部から、上記データ上限数を取得する(ステップS2−6)。また、配信サーバ2は、データ上限数及び参照比率に基づき、各ジャンルに配信予定量としての配信枠を配分する(ステップS2−7)。例えば、データ上限数が「20」であって、「飲食施設:宿泊施設:医療施設:デパート/スーパー:公園」の参照比率が、それぞれ「40%:20%:10%:20%:10%」である場合、その参照比率に基づきデータ上限数を配分する。得られたデータ数が整数でない場合には、各ジャンルのデータ数が整数となるように微調整を行う。
【0040】
その結果、図8に示すように、「飲食施設」、「宿泊施設」、「医療施設」、「デパート/スーパー」、「公園」に、配信枠Fがそれぞれ「8」、「4」、「2」、「4」、「2」のように配分される。このときCPU3は、登録データ9Aに基づき、配信枠Fを優先度の高い順番に従ってPOI単位データ8Aに付与する。
【0041】
ここで、配信枠Fは、データの更新がある施設の数に関わらず配分されるので、ジャンルによっては、配信枠Fの過不足が生じる。例えば、「飲食施設」のジャンルの差分データは、11のPOI単位データ8Aを有するにも関わらず、配信枠Fが「8」であるため、3つのPOI単位データ8Aに配信枠Fが与えられない状態になる。また、「デパート/スーパー」のジャンルに付与された配信枠Fも、2つ不足した状態になる。逆に、「宿泊施設」では、2つのPOI単位データ8Aを有するにも関わらず、配信枠Fは「4」であるため、2つの配信枠Fが余る状態になる。また、「公園」のジャンルの配信枠Fも「1」余る。
【0042】
次に、配信サーバ2は、配信枠Fが不足するジャンルがあるか否かを判断する(ステップS2−8)。上記した「飲食施設」及び「デパート/スーパー」のジャンルのように、
配信枠Fが、POI単位データ8Aの数に対して少ない場合(ステップS2−8においてYES)、他のジャンルが有する余剰量としての余りの配信枠Fの総数を取得し(ステップS2−9)、配信枠Fが不足しているジャンルに対し、その配信枠Fを配分する(ステップS2−10)。このとき、配信枠Fが差分データのデータ数よりも少ないジャンルが一つである場合には、そのジャンルに属し、配信枠Fが付与されていないPOI単位データ8Aの全てに、余りの配信枠Fを付与する。そのようなジャンルが複数ある場合には、参照比率に基づき配信枠Fを分配する。例えば、図8に示すように、「宿泊施設」に付与された配信枠Fが2つ余り、「公園」に付与された配信枠Fが1つ余った場合、余りの配信枠数は3つになる。一方、配信枠Fが不足している「飲食施設」及び「デパート/スーパー」の参照比率は、「40%:20%」であるため、「飲食施設」に付与する配信枠数を「2」とし、「デパート/スーパー」に付与する配信枠数を「1」とする。これにより、配信枠Fが付与されていない3つの「飲食施設G」、「飲食施設H」、「飲食施設F」のうち、優先度の高い「飲食施設G」及び「飲食施設H」に対し配信枠Fが付与される。また、配信枠Fが付与されていない「スーパーA」、「デパートA」のうち、優先度の高い「スーパーA」に対し配信枠Fが付与される。このとき例えば、余りの配信枠数が「5」であって、配信枠Fが不足している2つのジャンルの参照比率が「10%:20%」であるという場合のように、余りの配信枠数が参照比率と合致しない場合には、各ジャンルの参照比率に近い比率で分配する。例えば、一方のジャンルに付与する配信枠Fを「2」とし、他方のジャンルに付与する配信枠Fを「3」とする。
【0043】
このように配信枠Fを分配すると、配信サーバ2のCPU3は、配信枠数を、各ジャンルの配信数として決定する。さらに、各ジャンルに割り振られた配信数に基づきPOI単位データ8Aを抽出し、抽出したデータ群を配信データとしてナビゲーション装置10に配信する(ステップS2−11)。そして、ステップS2−1に戻り、次の配信開始のタイミングを待機する。
【0044】
一方、ステップS2−8で、配信枠Fが差分データのデータ数未満となるジャンルが無い場合には(ステップS2−8においてNO)、各ジャンルから配信枠Fと同数の差分データを抽出する。即ち、全てのジャンルにおいて配信枠Fは足りているため、全ての差分データを抽出する。そして、抽出したデータを配信データとしてナビゲーション装置10に配信する(ステップS2−11)。
【0045】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ナビゲーション装置10は、ジャンル毎に目的地の設定回数を取得し、その設定回数に基づき参照比率を決定し、参照比率を配信サーバ2に送信する。配信サーバ2は、ナビゲーション装置10に配信するPOIデータ8のデータ上限数を取得し、ナビゲーション装置10から取得した参照比率と、データ上限数とに基づき、各ジャンルに対する配信数を設定する。また、各ジャンルに割り振られた配信数のPOI単位データ8Aを配信データ記憶部7から抽出してナビゲーション装置10に配信する。このため、配信するPOI単位データの数をデータ上限数以下とすることで、配信データ量を軽減し、しかもユーザにとって必要度の高いPOIデータ8を配信することができる。
【0046】
(2)上記実施形態では、配信サーバ2は、ジャンルの参照比率に従って、各ジャンルの配信数の総数がデータ上限数以下となるように、各ジャンルに配信枠Fを割り振る。また、POI単位データ8Aのデータ数に対する配信枠Fの過不足があるか否かをジャンル毎に判断し、配信枠Fが不足しているジャンルと、配信枠Fの過剰であるジャンルとがある場合に、配信枠Fが不足しているジャンルに、余った配信枠Fを配分する。このため、ユーザにとって必要度の高い更新データを広いジャンルに亘って配信することができる。
【0047】
(3)上記実施形態では、配信枠Fが不足しているジャンルが複数ある場合に、ジャン
ルの余りの配信枠Fを、配信枠Fが不足しているジャンルの参照比率に基づき、該ジャンルに割り振る。従って、ユーザにとって必要度の高いジャンルに優先的に配信枠Fが付与されるので、必要度の高いPOIデータ8を配信することができる。
【0048】
(4)上記実施形態では、配信サーバ2は、予め設定された配信条件を登録する登録データ記憶部9を備え、ジャンルに属する各POI単位データ8Aを配信条件に従って並び替え、配信条件に基づく優先度の高い順から該ジャンルに割り振られた配信枠Fを付与する。このため、ユーザにとって必要度の高い更新データから配信することができる。
【0049】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ナビゲーション装置10に配信するデータの上限量を、データ上限数としたが、データ量で制限してもよい。この場合、例えば、「飲食施設」に「10MB」といったように、ジャンル毎にデータ量を配分し、配分されたデータ量以下になるように、POI単位データ8Aをジャンル毎に選択する。
【0050】
・上記実施形態では、ジャンル毎に目的地として設定された回数に基づき参照比率を参照頻度として算出するようにしたが、検索された回数に基づき参照頻度を設定するようにしてもよい。例えば、ジャンル別の検索で、「飲食施設」のジャンルが検索され、目的地として設定されない場合でも、「飲食施設」のジャンルのカウンタ値をインクリメントしてもよいし、検索の結果、ある地点が参照された場合にその地点が属するジャンルのカウンタ値をインクリメントしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】データ更新システムの模式図。
【図2】配信サーバのブロック図。
【図3】ナビゲーション装置のブロック図。
【図4】POIデータの概念図。
【図5】ナビゲーション装置の処理手順を示すフローチャート。
【図6】配信サーバの処理手順を示すフローチャート。
【図7】POI単位データの並び替えを説明する概念図。
【図8】POI単位データに対する配信枠の付与を説明する概念図。
【符号の説明】
【0052】
1…データ更新システム、2…配信サーバ、3…上限量取得手段、配信量設定手段、配信手段、頻度受信手段、制御手段としてのCPU、7…更新情報記憶手段としての配信データ記憶部、8…更新情報としてのPOIデータ、9…登録手段としての登録データ記憶部、10…ナビゲーション装置、11…頻度取得手段、送信手段としてのCPU、25…地点参照情報としてのPOIデータ、25B…ジャンル、23…参照情報記憶手段としてのPOIデータ記憶部、N…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ジャンルに属する地点参照情報が格納された参照情報記憶手段を備えるナビゲーション装置と、該ナビゲーション装置とネットワークを介して接続された配信サーバとを備えたデータ更新システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
前記ジャンル毎に、前記地点参照情報の参照頻度を取得する頻度取得手段と、
前記参照頻度を前記配信サーバに送信する送信手段とを備え、
前記配信サーバは、
前記ナビゲーション装置の前記地点参照情報を更新するための更新情報が格納された更新情報記憶手段と、
前記ナビゲーション装置に配信する前記更新情報の上限量を取得する上限量取得手段と、
前記上限量及び前記参照頻度に基づき、前記各ジャンルに対する前記更新情報の配信量を設定する配信量設定手段と、
前記各ジャンル毎に前記配信量の前記更新情報を前記更新情報記憶手段から抽出し、抽出した前記更新情報を前記ナビゲーション装置に配信する配信手段と
を備えることを特徴とするデータ更新システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ更新システムにおいて、
前記配信量設定手段は、
前記各ジャンルの前記参照頻度に従って、前記配信量の総量が前記上限量以下となるように、前記各ジャンルに配信予定量を割り振るとともに、
前記ジャンル毎に、前記更新情報に対して前記配信予定量の過不足があるか否かを判断し、前記配信予定量が不足している前記ジャンルと、前記配信予定量が過剰である前記ジャンルとがある場合に、前記配信予定量が不足している前記ジャンルに、前記配信予定量が過剰である前記ジャンルの前記配信予定量の余剰量を配分して、前記配信量を決定することを特徴とするデータ更新システム。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ更新システムにおいて、
前記配信量設定手段は、
前記配信予定量が不足している前記ジャンルが複数あり、且つ前記配信予定量が過剰である前記ジャンルがある場合に、前記配信予定量が過剰である前記ジャンルの前記配信予定量の前記余剰量を、前記配信予定量が不足している前記各ジャンルの前記参照頻度に基づき割り振ることを特徴とするデータ更新システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ更新システムにおいて、
前記配信サーバは、
予め設定された配信条件を登録する登録手段をさらに備えるとともに、
前記配信手段は、
前記ジャンルに属する前記各更新情報のうち、前記配信条件に基づく優先度の高い順に、該ジャンルに割り振られた前記配信量の前記更新情報を抽出することを特徴とするデータ更新システム。
【請求項5】
各ジャンルに属する地点参照情報が格納された参照情報記憶手段を備えるナビゲーション装置にネットワークを介して接続された配信サーバにおいて、
前記ナビゲーション装置の前記地点参照情報を更新するための更新情報が格納された更新情報記憶手段と、
前記ナビゲーション装置に配信する前記更新情報の上限量を取得する上限量取得手段と、
前記ナビゲーション装置から、前記ジャンル毎の前記地点参照情報の参照頻度を取得する頻度受信手段と、
前記上限量及び前記参照頻度に基づき、前記各ジャンルに対する前記更新情報の配信量を設定する配信量設定手段と、
前記各ジャンル毎に前記配信量の前記更新情報を前記更新情報記憶手段から抽出し、抽出した前記更新情報を前記ナビゲーション装置に配信する配信手段と
を備えたことを特徴とする配信サーバ。
【請求項6】
各ジャンルに属する地点参照情報が格納された参照情報記憶手段を備えるナビゲーション装置と、前記ナビゲーション装置にネットワークを介して接続され、前記地点参照情報を更新するための更新情報が格納された更新情報記憶手段を備えた配信サーバとを用いて、前記地点参照情報を更新するデータ更新方法において、
前記ナビゲーション装置が、
前記ジャンル毎に、前記地点参照情報の参照頻度を取得して、前記参照頻度を前記配信サーバに送信し、
前記配信サーバが、
前記ナビゲーション装置に配信する前記更新情報の上限量を取得するとともに、前記上限量及び前記参照頻度に基づき、前記各ジャンルに対する前記更新情報の配信量を設定し、前記各ジャンル毎に前記配信量の前記更新情報を前記更新情報記憶手段から抽出し、抽出した前記更新情報を前記ナビゲーション装置に配信することを特徴とするデータ更新方法。
【請求項7】
各ジャンルに属する地点参照情報が格納された参照情報記憶手段を備えるナビゲーション装置にネットワークを介して接続された制御手段と、前記地点参照情報を更新するための更新情報が格納された更新情報記憶手段とを用いて、前記地点参照情報を更新するデータ更新プログラムにおいて、
前記制御手段を、
前記ナビゲーション装置に配信する前記更新情報の上限量を取得する上限量取得手段と、
前記ナビゲーション装置から、前記ジャンル毎の前記地点参照情報の参照頻度を取得する頻度受信手段と、
前記上限量及び前記参照頻度に基づき、前記各ジャンルに対する前記更新情報の配信量を設定する配信量設定手段と、
前記各ジャンル毎に前記配信量の前記更新情報を前記更新情報記憶手段から抽出し、抽出した前記更新情報を前記ナビゲーション装置に配信する配信手段として機能させることを特徴とするデータ更新プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−151552(P2009−151552A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328990(P2007−328990)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】