説明

トナー補給容器および画像形成装置

【課題】製造コストの高騰を抑えつつ容量のアップが可能であり、さらに汎用性にも富んだものにする。
【解決手段】画像形成装置10の現像装置122に補給するべきトナーが充填されるトナーコンテナ20(実施形態においてはカラートナー用コンテナ20′)であって、下面が開口したコンテナ本体21と、コンテナ本体21の下面開口を閉止する、補給口224を備えた底板体22とを有し、底板体22は、コンテナ本体21を共用して取り換え可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に設けられた現像装置にトナーを補給するべく当該画像形成装置に着脱自在に装着されるトナー補給容器およびこのトナー補給容器を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、感光体ドラム等の像担持体に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成させる、いわゆる現像処理を行うための現像装置が設けられている。かかる現像装置は、一般的にトナー貯留容量が小さいことから、通常、画像形成装置に対し着脱自在に装着される、相当量のトナーが貯留可能なトナーコンテナ(トナー補給容器)からトナーが補給される。
【0003】
このようなトナーコンテナ(特許文献1ではトナーカートリッジ)は、特許文献1に記載されているように、カラー印刷のために並設された各色毎の現像装置の上方位置において、当該各現像装置にそれぞれ対応するように並設される上部対応方式が採用される場合と、特許文献2および3に記載のトナーコンテナのように、画像形成装置内における現像装置が並設されている位置とは離間した、空いている場所に並設される離間方式が採用される場合とがある。
【0004】
ところで、上部対応方式でトナーコンテナが並設される場合には、各色のトナーコンテナの下方位置に対応した各現像装置がそれぞれ配設されているため、トナーコンテナのトナー補給口を現像装置のトナー受入口に合わせるだけで、トナーコンテナ内のトナーを、トナー補給口およびトナー受入口を介してトナーコンテナから現像装置へ直接補給することができる。
【0005】
これに対し、トナーコンテナが画像形成装置内の現像装置から離間した位置に配設される離間方式の場合には、トナーコンテナと現像装置との間に搬送パイプを介設し、特許文献2に記載されているようにトナーコンテナ(特許文献2ではトナー収納容器)内のトナーをこの搬送パイプを介して気流により現像装置へ向けて搬送したり、特許文献3に記載のトナーコンテナ(特許文献3ではトナーボトル)のように搬送パイプ内に設けられたコイルスプリングの軸心回りの回転によって当該トナーコンテナから現像装置へ向けてトナーを搬送したりしなければならず、トナーの搬送構造が複雑化し、結果として装置コストが嵩むという不都合が存在する。
【0006】
このようなことから、画像形成装置内でのトナーコンテナの配設方式としては、現像装置列の直上位置に各トナーコンテナを各現像装置と対応させた状態で配設する上部対応方式が採用される場合が多い。
【特許文献1】特開2003−107869号公報
【特許文献2】特開2003−302823号公報
【特許文献3】特開2004−287404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上部対応方式でトナーコンテナが配設される場合、従来、現像装置の並設ピッチと、トナーコンテナの並設ピッチとが同一に設定されるのが通常であったことから、各トナーコンテナのトナー補給口は全て同一の位置に設けられていた。
【0008】
しかし、近年、トナーコンテナの並設ピッチを現像装置の並設ピッチよりも大きくすることが試みられている。こうすることによって、大きくなったピッチの分だけトナーコンテナの容量を大きくすることができる。
【0009】
しかしながら、トナーコンテナの並設ピッチを現像装置のそれより大きくすると、現像装置のトナー受入口に対応させるために各トナーコンテナのトナー補給口の設置位置を各トナーコンテナ毎にそれぞれ異ならせなければならず、結果として複数種類のトナーコンテナを製造しなければならなくなる。
【0010】
そして、複数種類のトナーコンテナを製造するとなると、それに応じて複数種類の金型が必要になるなど、その分製造コストが嵩むという不都合が生じる。
【0011】
本発明は、従来のこのような不都合を解消するべくなされたものであって、画像形成装置に上部対応方式で並設される複数のトナーコンテナを対象とし、製造コストの高騰を抑えつつ容量のアップを実現することが可能であり、さらに汎用性にも富んだトナー補給容器およびこのトナー補給容器を備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明(トナー補給容器)は、トナー像形成処理のために画像形成装置に装着された現像装置に補給するべきトナーが充填されるトナー補給容器であって、下面が開口した上部容器と、前記上部容器の下面開口を閉止する、トナー補給口を備えた下部容器とを有し、前記下部容器は、上部容器を共用して取り換え可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
かかる構成によれば、例えば、トナー補給口の位置を変えるべき複数の現像装置が備えられた画像形成装置において、上部容器を共用化しつつ、補給口の位置を異ならせた下部容器を採用するという対応が可能になる他、別の機種の画像形成装置にも適用が可能になる等、トナー補給容器が汎用性を備えたものになる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記下部容器内には、平面視で環状になるようにトナーを循環移動させる循環経路が形成され、前記トナー補給口は、前記循環経路上におけるトナーを補給可能な位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
かかる構成によれば、トナー補給容器に充填されたトナーを、平面視で環状の環状経路に沿って循環移動させることにより、トナーが循環経路のいずれかに形成されたトナー補給口に到達したとき、当該トナー補給口から排出される。従って、トナー補給口がトナー循環経路のいずれの位置に設けられても、トナーは、常に適正に当該トナー補給口を介して現像装置へ補給される。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記下部容器には、当該下部容器内および前記上部容器内を2分する仕切り部材が設けられ、この仕切部材の両端部と上部容器の内壁面との間にトナーを流通させるための隙間がそれぞれ形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
かかる構成によれば、トナー補給容器内のトナーは、仕切り部材を境にすることで往路のトナーと、復路のトナーとがぶつかり合うことなく当該仕切り部材回りに適正に循環移動する。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記上部容器には、当該上部容器内でトナーを攪拌・搬送する攪拌・搬送部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
かかる構成によれば、トナー補給容器を現像装置に取り付けた状態で、攪拌・搬送部材を駆動させることにより、トナー補給容器内のトナーは、攪拌されつつトナー補給口へ向けて効率的に搬送されるため、たとえトナーが団塊化していても、その団塊が解された状態で補給される。
【0020】
さらに、共用される上部容器に攪拌・搬送部材を設けたので、下部容器の構造をシンプル化することができる。
【0021】
請求項5記載の発明(画像形成装置)は、像担持体の表面にトナー像を形成させるべくトナーを供給する第1および第2現像装置と、前記第1および第2現像装置にそれぞれトナーを補給する第1および第2トナー補給容器とが備えられ、前記各トナー補給容器は、下面が開口した上部容器と、前記上部容器の下面開口を閉止する、トナー補給口を備えた下部容器と、前記下部容器を、前記上部容器を共用して取り換え可能に装着させる装着部とを有し、前記第1および第2トナー補給容器は、共通の前記上部容器および前記装着部を有する一方で、前記下部容器は、それぞれ異なる形状とされていることを特徴とするものである。
【0022】
かかる構成によれば、第1現像装置には、第1トナー補給容器からのトナーが補給されるとともに、第2現像装置には、第2トナー補給容器からのトナーが補給される。そして、各トナー補給容器は、下面が開口した上部容器と、この上部容器の下面開口を閉止する取り換えが可能な下部容器とを備えているため、下部容器の形状を、対象となる現像装置に合わせてそれぞれ異なる形状とすることにより、上部容器を共通化した上で、異なる形状の下部容器のいずれを採用するかで対応することが可能になり、結果としてトナー補給容器の汎用性が向上する。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記第1トナー補給容器における下部容器のトナー補給口の位置と、前記第2トナー補給容器における下部容器のトナー補給口の位置とが異なることを特徴とするものである。
【0024】
かかる構成によれば、第1トナー補給容器における下部容器のトナー補給口の位置と、前記第2トナー補給容器における下部容器のトナー補給口の位置とを異ならせることにより、画像形成装置内に、例えばトナー補給容器とは異なる並設ピッチで現像装置が設けられているような場合であっても、当該現像装置のトナー受入口の位置に合わせて下部容器のトナー補給口を設ければよく、現像装置に対するトナー補給容器の対応が容易になる。
【0025】
そして、特にトナー補給容器の並設ピッチを、現像装置の並設ピッチより大きくすることで、その分トナー補給容器の容量が大きくなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るトナー補給容器によれば、下部容器のトナー補給口の設置位置を種々変えることにより、各トナー補給容器を、各現像装置のトナー受入口に対応し得るものにすることができるため、トナー補給容器製造の自由度を大幅に向上させることができる。
【0027】
従って、例えば、トナー補給口の位置を変えるべき複数の現像装置が備えられた画像形成装置において、上部容器を共用化しつつ、補給口の位置を異ならせた下部容器を採用するという対応が可能になる他、別の機種の画像形成装置にも適用が可能になる等、トナー補給容器を極めて広い汎用性を備えたものにすることができる。
【0028】
そして、上部容器の内部に攪拌・搬送部材等を設ければ、トナー補給容器内でトナーを攪拌しながらトナー補給口へ向けて搬送することができるため、トナー補給容器内のトナーを効率的に現像装置へ補給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
まず、本発明に係るトナーかーリッジが適用された画像形成装置の概要について図1および図2を基に説明する。図1は、画像形成装置の内部構造の一実施形態を説明するための正面断面視の説明図であり、図2は、その外観視の斜視図である。なお、図1および図2においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0030】
図1に示すように、画像形成装置10は、カラー印刷用の複写機として使用されるものであり、箱形を呈した装置本体11と、この装置本体11の上部に設けられた、原稿画像を読み取る画像読取部16とを備えた基本構成を有している。
【0031】
前記装置本体11には、画像読取部16によって読み取られた原稿の画像情報に基づき画像を形成する画像形成部12と、この画像形成部12によって形成され、用紙Pに転写された画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙を貯留する用紙貯留部14とが内装されている。
【0032】
前記画像読取部16は、装置本体11の上面に開閉可能に設けられた原稿押え161と、装置本体11の上部の筐体内でコンタクトガラス163を介して原稿押え161と対向配置された光学系ユニット162とを備えている。コンタクトガラス163は、載置された原稿の原稿面を読み取るために原稿押え161より若干小さい平面形状に寸法設定されている。前記原稿押え161は、画像読取部16の一構成要素である筐体の上面の一側辺に設けられた所定の軸回りに正逆回動することで開閉する。
【0033】
かかる画像読取部16の適所には、原稿読み取りや複写処理等に関する処理条件を入力操作するための操作パネル17(図2参照)が設けられている。この操作パネル17には、図2に示すように、電源スイッチ171やテンキー172、さらにはスタートボタン173、LCD(Liquid crystal display)174、図略のモード切換えキー等が設けられている。
【0034】
前記光学系ユニット162は、図略の光源や複数のミラー、レンズユニット、さらにはCCD(charge coupled device)等を有している。そして、光源からの光が原稿面で反射され、この反射光がこれらミラーおよびレンズユニットを介して原稿情報としてCCDに入力されるようになっている。CCDに入力されたアナログ量としての原稿情報は、デジタル信号に変換されて所定の記憶装置に記憶される。
【0035】
前記画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙にトナー画像を形成させるものであり、本実施形態では、上流側(図1の紙面の左側)から下流側へ向けて順次配設されたマゼンタ用ユニット12Mと、シアン用ユニット12Cと、イエロー用ユニット12Yと、ブラック用ユニット12Kとが備えられている。
【0036】
各ユニット12M,12C,12Y,12Kには、感光体ドラム121および現像装置122がそれぞれ備えられている。各感光体ドラム121は、図1において反時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置122からトナーの供給を受ける。各現像装置122には、装置本体11の前面側(図1の紙面の表側)および図1の右側面側において、当該現像装置122にそれぞれ対応するように配設されたトナーコンテナ(トナー補給容器)20からトナーがそれぞれ補給される。
【0037】
本実施形態においては、マゼンタ〜イエローユニット12M,12C,12Yの各現像装置122(マゼンタ用現像装置122M、シアン用現像装置122Cおよびイエロー用現像装置122Y)に各色のトナーを補給するためのトナーコンテナ20(マゼンタトナー用コンテナ20M、シアントナー用コンテナ20Cおよびイエロートナー用コンテナ20Y)は、装置本体11における前面上角部であって、光学系ユニット162の前方位置に着脱可能に設けられている。これに対し、ブラック用ユニット12Kの現像装置122(ブラック用現像装置122K)にブラックトナーを供給するためのトナーコンテナ20(ブラックトナー用コンテナ20K)は、装置本体11の上部であって、光学系ユニット162の右側に着脱可能に設けられている。
【0038】
前記各感光体ドラム121(マゼンタ用ドラム121M、シアン用ドラム121C、イエロー用ドラム121Yおよびブラック用ドラム121K)の直上位置には帯電器123がそれぞれ設けられている。また、帯電器123および現像装置122の上方位置には露光装置124が設けられている。そして、各感光体ドラム121は、前記帯電器123によって周面が一様に帯電され、画像読取部16で入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が前記各露光装置124から帯電後の感光体ドラム121の周面に照射されることにより、マゼンタ用〜ブラック用ドラム121M,121C,121Y,121Kの周面にそれぞれ静電潜像が形成される。
【0039】
かかる静電潜像に現像装置122(マゼンタ用現像装置122M、シアン用現像装置122C、イエロー用現像装置122Yおよびブラック用現像装置122K)からそれぞれの色のトナーが供給されることにより、感光体ドラム121の周面にトナー像がそれぞれ形成される。
【0040】
感光体ドラム121の下方位置には、当該各感光体ドラム121の周面に当接するように駆動ローラ125a、従動ローラ125bおよび2次転写対向ローラ125c並びにその他の必要なローラ間に張設された転写ベルト125が設けられている。この転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた1次転写ローラ126によって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を周回する。
【0041】
従って、転写ベルト125が周回することによりその表面に対しマゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタのトナー像の転写が行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にシアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアンのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にイエロー用ユニット12Yの感光体ドラム121によるイエローのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、最後のブラック用ユニット12Kの感光体ドラム121によるブラックのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、これによって転写ベルト125の表面にカラーのトナー像が形成される。この転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像が用紙貯留部14から搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0042】
そして、各感光体ドラム121の図1における左方位置には当該感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去して清浄化するクリーニング装置127がそれぞれ設けられている。クリーニング装置127によって清浄化処理された感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために帯電器123へ向かうことになる。
【0043】
クリーニング装置127で感光体ドラム121の周面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収される。
【0044】
前記用紙貯留部14の右方位置から画像形成部12の下部にかけて用紙搬送路111が形成されている。この用紙搬送路111には、適所に搬送ローラ対112が設けられ、用紙貯留部14からの用紙がこの搬送ローラ対112の駆動で転写ベルト125の下方位置へ向けて搬送されるようになっている。かかる用紙搬送路111には、前記2次転写対向ローラ125cと対向した位置に転写ベルト125の表面と当接する2次転写ローラ113が設けられている。そして、用紙搬送路111を搬送されつつある用紙Pが転写ベルト125と2次転写ローラ113とに押圧挟持されることによって転写ベルト125上のトナー像が当該用紙Pに転写される。
【0045】
前記定着部13は、画像形成部12で転写された用紙上のトナー像に対し定着処理を施すものである。かかる定着部13は、内部に加熱源であるハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた加熱ローラ131と、この加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、この定着ローラ132および前記加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、この定着ベルト133を介して前記定着ローラ132と対向配置された加圧ローラ134とを備えている。
【0046】
定着処理の完了したカラー画像付の用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路114を通って装置本体11の左側壁に設けられた排紙トレイ115へ向けて排出されることになる。
【0047】
前記用紙貯留部14は、装置本体11における露光装置124の下方位置に挿脱自在に装着された、用紙Pの束を貯留するための用紙トレイ141を有している。図1および図2に示す例では、用紙トレイ141が2段で設けられているが、3段以上であってもよいし、1段であってもよい。
【0048】
そして、用紙トレイ141に貯留された用紙束からピックアップローラ142の駆動で用紙Pが1枚ずつ繰り出される。繰り出された用紙Pは、用紙搬送路111を通って画像形成部12の2次転写ローラ113と転写ベルト125との間のニップ部へ向けて送り込まれ、転写ベルト125の表面に形成されているカラーのトナー画像が転写される。転写処理後の用紙Pの動きは、前述のとおりである。
【0049】
以下、図3〜図5を基に、必要に応じて図1および図2を参照しながらトナーコンテナ20の配置構造について説明する。図3は、トナーコンテナ20の配置構造を説明するために画像形成部12の構成要素であるトナーコンテナ20、中間ホッパ30等を抽出して示した斜視図である。また、図4は、トナーコンテナ20および中間ホッパ30の配置構造を示す正面図であり、図5は、その平面図である。図3〜図5におけるXおよびYによる方向表示は、図2の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0050】
まず、図1および図2に示すように、トナーコンテナ20の内のマゼンタトナー用〜イエロートナー用コンテナ20M,20C,20Y(以下、これらをカラートナー用コンテナ20′という)は、装置本体11の前面側の上部に着脱自在に装着されている。これに対し、ブラックトナー用コンテナ20Kは、装置本体11の右側上部に装着されている。
【0051】
カラートナー用コンテナ(トナー補給容器)20′は、装置本体11内における左右方向の有効幅寸法を有効に使った状態で設けられている。具体的には、画像形成部12の左端から右端に亘る距離に、等ピッチで3つのカラートナー用コンテナ20′が装着されている。従って、カラートナー用コンテナ20′の並設ピッチは、画像形成部12の各ユニット12M,12C,12Y,12Kの並設ピッチ(すなわち、感光体ドラム121の並設ピッチ)の略4/3倍に設定されていることになる。
【0052】
これによって、従来のように、カラートナー用コンテナ20′が感光体ドラム121と同一ピッチで並設されている場合に比較し、各カラートナー用コンテナ20′の容量は、略33%増加している。
【0053】
そして、装置本体11の前板116(図2)の上部には、上縁部から下方に向かって切り欠かれることによって形成された横長の前面開口116a(図2)が設けられ、マゼンタトナー用〜イエロートナー用コンテナ20M,20C,20Yは、それぞれこの前面開口116aを介して装着空間116bに対し挿脱される。
【0054】
前面開口116aには、基端側が左右方向に延びる図略の支持軸回りに回動可能な前面ドアー116cが設けられ、この前面ドアー116cを支持軸回りに正逆回動操作することで、当該前面ドアー116cは、装着空間116bを閉止した閉止姿勢と、装着空間116bを開放した開放姿勢との間で姿勢変更する。
【0055】
装着空間116bの下部には、底板116dが設けられているとともに、この底板116d上には、装着空間116bを3等分するように2枚の仕切り板116eが立設されている。そして、マゼンタトナー用コンテナ20Mは、装着空間116bの左壁面11aと左側の仕切り板116eとの間の空間に装着され、シアントナー用コンテナ20Cは、一対の仕切り板116e間に装着され、イエロートナー用コンテナ20Yは、右側の仕切り板116eと装着空間116bの右壁面11bとの間に装着される。
【0056】
カラートナー用コンテナ20′は、図2、図3および図5に示すように、本実施形態では平面視で略正方形状を呈している。かかるカラートナー用コンテナ20′は、若干扁平な角筒状のコンテナ本体(上部容器)21と、このコンテナ本体21の下面開口を閉止する底板体(下部容器)22と、コンテナ本体21の上面開口を閉止する蓋体23とを備えている。コンテナ本体21と底板体22とで容器本体が形成されている。
【0057】
コンテナ本体21上縁部には、全周に亘って外方に向かって突設された環状の本体側フランジ(後述の本体側上部フランジ212)が設けられているとともに、蓋体23の下縁部には、全周に亘って外方に向かって突設された環状の蓋体側フランジ232が設けられている。そして、コンテナ本体21および蓋体23のフランジ212,232同士が接着剤を介して接着され、これによりコンテナ本体21の上面開口が蓋体23によって閉止されるとともに、カラートナー用コンテナ20′には、環状の上部フランジ201が形成された状態になる。
【0058】
同様にコンテナ本体21の下縁部には、本体側のフランジが設けられている一方、底板体22の上縁部には底板体22側のフランジが設けられ、これら各フランジ同士が互いに接着されることにより下部フランジ202が形成された状態でコンテナ本体21と底板体22とが一体化されている。前記下部フランジ202によって本発明に係る装着部が形成されている。
【0059】
このようなカラートナー用コンテナ20′は、コンテナ本体21に底板体22が固定され、かつ、蓋体23がコンテナ本体21の上面開口を閉止した状態で、図略のトナー充填口からトナーが充填されるようになっている。その後、トナー充填口は、所定の栓で閉止される。
【0060】
一方、左壁面11aおよび左側の仕切り板116eの対向面と、一対の仕切り板116eの対向面と、右側の仕切り板116eおよび右壁面11bの対向面とには、カラートナー用コンテナ20′の上部フランジ201に対応した位置に前後方向に延びたガイドレール対11cがそれぞれ設けられている。これらガイドレール対11cにおける各ガイドレール間の隙間寸法は、上部フランジ201の厚み寸法より僅かに広めに設定されている。従って、上部フランジ201の左右の部分を装着空間116bにおける互いに対向したガイドレール対11cに嵌入していくことにより、カラートナー用コンテナ20′は、位置決め状態で装着空間116bに装着される。
【0061】
前記装置本体11の右側板117の上部には、上縁部から下方に向かって切り欠かれることによって形成された前後方向に長尺の側面開口117a(図2)が設けられている。ブラックトナー用コンテナ20Kは、この側面開口117aを介して装着空間117bに対し着脱自在に装着される。
【0062】
側面開口117aには、基端側が前後方向に延びる図略の支持軸回りに回動可能な側面ドアー117cが設けられ、この側面ドアー117cを支持軸回りに正逆回動操作することで、当該側面ドアー117cは、装着空間117bを閉止した閉止姿勢と、装着空間117bを開放した開放姿勢との間で姿勢変更することができる。装着空間117bの下部には、底板117dが設けられている。
【0063】
ブラックトナー用コンテナ20Kは、図2、図3および図5に示すように、平面視で前後方向に長尺の矩形状を呈している。かかるブラックトナー用コンテナ20Kは、前後方向に長尺の直方体状を呈した長尺コンテナ本体24と、この長尺コンテナ本体24の上面開口を閉止する蓋体25とを備えている。
【0064】
長尺コンテナ本体24の上縁部には、全周に亘って外方に向かって突設された環状の本体側フランジが設けられているとともに、蓋体25の下縁部にも全周に亘って外方に向かって突設された環状の蓋体側フランジが設けられている。そして、長尺コンテナ本体24および蓋体25のフランジ同士が接着剤あるいは粘着剤を介して固定され、これにより長尺コンテナ本体24の上面開口が蓋体25によって閉止されるとともに、ブラックトナー用コンテナ20Kには、環状のフランジ部203(図4)が形成された状態になる。
【0065】
そして、長尺コンテナ本体24の上面開口が蓋体25によって閉止され後に、図略のトナー充填口からトナーが充填され、その後トナー充填口は、所定の栓で閉止される。
【0066】
一方、装着空間117bの前壁面11dおよび後壁面11eとには、ブラックトナー用コンテナ20Kのフランジ部203に対応した位置に左右方向に延びた各一対のガイドレールからなるガイドレール対11fがそれぞれ設けられている。これらガイドレール対11fにおける各ガイドレール間の隙間寸法は、フランジ部203の厚み寸法より僅かに広めに設定されている。従って、フランジ部203の左右の部分を装着空間117bにおける互いに対向したガイドレール対11fに嵌入していくことにより、ブラックトナー用コンテナ20Kは、位置決め状態で装着空間117bに装着される。
【0067】
そして、マゼンタ用〜ブラック用コンテナ20M,20C,20Y,20Kは、それぞれが予め設定された所定の装着空間116b,117bに装着されることにより、後述の攪拌用モータ274(図7)の駆動力が内部の攪拌搬送部材としての後述のスパイラルフィーダ26(図6、図7)に伝達可能とされている。スパイラルフィーダ26は、必要に応じて攪拌用モータ274により駆動され、内部のトナーが開放された図略のシャッタ部材に向けて循環搬送される。これによってトナーコンテナ20に貯留されていたトナーは、開放状態のシャッタ部材および対応した中間ホッパ30を介して対応した現像装置122に補給される。
【0068】
前記中間ホッパ30は、前記底板116dの直下においてトナーコンテナ20と現像装置122との間に介設され、トナーコンテナ20からのトナーを現像装置122へ中継するためのものである。かかる中間ホッパ30は、図4に示すように、マゼンタ用現像装置122Mに対応したマゼンタトナー用中間ホッパ30M、シアン用現像装置122Cに対応したシアントナー用中間ホッパ30C、イエロー用現像装置122Yに対応したイエロートナー用中間ホッパ30Yおよびブラック用現像装置122Kに対応したブラック用中間ホッパ30Kの4つが設けられている。
【0069】
かかる各中間ホッパ30M、30C,30Y,30Kは、図4に示すように、補給口基準での並設ピッチが各現像装置122M,122C,122Y,122Kの並設ピッチと同一に設定されている。そして、マゼンタトナー用〜イエロートナー用中間ホッパ30M,30C,30Yについては、同一に寸法設定されている。
【0070】
これに対し、ブラック用中間ホッパ30Kについては、装置本体11内の右端上部に装着されたブラックトナー用コンテナ20Kに対応させるべく、左右方向に長尺に設定されている。
【0071】
そして、かかる中間ホッパ30には、その天板31の右側位置にトナー受入口32が設けられている。一方、カラートナー用コンテナ20′を装着する前記装着空間116bの底板116dには、各トナー受入口32に対応した位置にそれぞれ連絡開口118が穿設されている。この連絡開口118は、マゼンタトナー用中間ホッパ30Mのトナー受入口32に対応したマゼンタトナー用開口118Mと、シアントナー用中間ホッパ30Cのトナー受入口32に対応したシアントナー用開口118Cと、イエロートナー用中間ホッパ30Yのトナー受入口32に対応したイエロートナー用開口118Yとからなっている。
【0072】
従って、図4に示すように、マゼンタトナー用開口118Mは、左壁面11aと左側の仕切り板116eとの間における底板116dの右寄りの位置に設けられ、シアントナー用開口118Cは、一対の仕切り板116e間における底板116dの略中央部に設けられ、イエロートナー用開口118Yは、右側に仕切り板116eと右壁面11bとの間における底板116dの左寄りの位置に設けられている。
【0073】
これらに対し、前後方向に長尺に設定されたブラックトナー用コンテナ20Kを対象としたブラックトナー用連絡開口118Kは、ブラックトナー用コンテナ20Kの装着空間117bの底板117dにおける前端左方に設けられている。
【0074】
前記マゼンタ用〜ブラック用コンテナ20M,20C,20Y,20Kの底部には、マゼンタトナー用〜ブラックトナー用連絡開口118M、118C,118Y,118Kに対応する部分にシャッタ部材210がそれぞれ設けられている。このシャッタ部材210は、マゼンタトナー用〜イエロートナー用コンテナ20M,20C,20Yあるいはブラックトナー用コンテナ20Kが装置本体11の専用の装着空間116b,117b(図2)に装着される前は閉止状態とされ、トナーコンテナ20を対応した装着空間116b,117bに装着することにより、この装着動作と連動してシャッタ部材210のシャッタが開放され、これによってトナーコンテナ20内と中間ホッパ30内とが連通される。
【0075】
また、図3および図5に示すように、各中間ホッパ30の左端部とそれぞれ対応した各現像装置122の左端部との間には、現像装置122の一部分である筒体33がそれぞれ筒状を呈して延ばされたものが介設されている。かかる筒体33には、前後方向に延びた図略のスクリューフィーダがそれぞれ内装されている。各スクリューフィーダが軸心回りに駆動回転されることにより、マゼンタ用〜ブラック用中間ホッパ30M内の各トナーが対応した各現像装置122M,122C,122Y,122Kへ向けてそれぞれ補給される。
【0076】
以下、図6〜図8を基に、カラートナー用コンテナ20′についてさらに詳細に説明する。図6は、カラートナー用コンテナ20′の一実施形態を示す分解斜視図であり、図7は、その組み立て斜視図である。また、図8は、底板体22の一実施形態を示す斜視図であり、図8(A)は、マゼンタトナー用底板体22M、図8(B)は、シアントナー用底板体22C、図8(C)は、イエロートナー用底板体22Yをそれぞれ示している。なお、図6〜図8におけるXおよびYによる方向表示は、図2の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0077】
まず、図6に示すように、カラートナー用コンテナ20′は、上面および底面が開口した角筒状のコンテナ本体21と、底面開口を閉止するべくこのコンテナ本体21の下部に固定される底板体22と、上面開口を閉止するべくコンテナ本体21の上部に固定される蓋体23と、コンテナ本体21内に装着される一対のスパイラルフィーダ(攪拌・搬送部材)26と、これらのスパイラルフィーダ26に駆動力を伝達する駆動力伝達機構27とを備えている。
【0078】
前記コンテナ本体21は、平面視で略正方形状を呈する上下に開口を備えた扁平な角筒体211と、この角筒体211の上縁部に形成された本体側上部フランジ212と、角筒体211の下縁部に形成された本体側下部フランジ213とを備えている。コンテナ本体21の左右の壁部には、それぞれ前後方向一対の貫通孔214が穿設されている。これらの貫通孔214は、後述するフィーダ軸261を差し通すためのものである。
【0079】
前記底板体22は、平面視の形状がコンテナ本体21のそれと同一に設定されている。かかる底板体22は、左右方向からの側面視で下に向かって円弧状になるように膨出した状態の底板本体221と、前記本体側下部フランジ213と対向し得るようにこの底板本体221の上縁部に形成された底板側フランジ222と、底板本体221の前後方向の中央部から上方に向かって突設された左右方向に延びる仕切り板(仕切り部材)223とを備えている。
【0080】
そして、底板側フランジ222を前記本体側下部フランジ213に接着することにより、これらからなる下部フランジ202が形成された状態で底板体22がコンテナ本体21と一体化されている。
【0081】
前記仕切り板223は、上縁部が角筒体211の上縁部と略同一の上下寸法となるとともに、左右方向の長さ寸法が角筒体211の左右の側壁間の内寸法より短めになるように寸法設定されている。これにより、底板体22がコンテナ本体21に固定された状態で、図7に示すように、角筒体211の左右の側壁と仕切り板223の左右の縁部との間にそれぞれトナーを循環させるためのトナー流通隙間204が形成される。
【0082】
そして、仕切り板223を境にして底板本体221上における角筒体211の前方と角筒体211の後方と、左右のトナー流通隙間204とによって本発明に係る循環経路205(図6)が形成されている。
【0083】
このような循環経路205の構成要素である底板体22には、後方の底板本体221である後方円弧底板221aに、カラートナー用コンテナ20′内のトナーを導出して現像装置122へ補給するための補給口224が設けられている。
【0084】
前記補給口224は、カラートナー用コンテナ20′がいずれの色のトナーを貯留するものであるかによって設置位置が異なっている。具体的には、カラートナー用コンテナ20′がシアントナー用コンテナ20Cの場合、当該シアントナー用底板体22Cの補給口224は、後方円弧底板221aの最下位置における右端に設けられている。これによってシアントナー用コンテナ20Cを装着空間116bの左端に挿入した状態で、図4に示すように、当該シアントナー用コンテナ20Cの補給口224がシアントナー用中間ホッパ30Cのトナー受入口32に対向する。
【0085】
また、カラートナー用コンテナ20′がマゼンタトナー用コンテナ20Mの場合、当該マゼンタトナー用底板体22Mの補給口224は、後方円弧底板221aの最下位面における左右方向の中央部に設けられている。これによってマゼンタトナー用コンテナ20Mを装着空間116bの中央部に挿入した状態で、図4に示すように、当該マゼンタトナー用コンテナ20Mの補給口224がマゼンタトナー用中間ホッパ30Mのトナー受入口32に対向する。
【0086】
さらに、カラートナー用コンテナ20′がイエロートナー用コンテナ20Yの場合、当該イエロートナー用底板体22Yの補給口224は、後方円弧底板221aの最下位面における左端に設けられている。これによってイエロートナー用コンテナ20Yを装着空間116bの中央部に挿入した状態で、図4に示すように、当該イエロートナー用コンテナ20Yの補給口224がイエロートナー用中間ホッパ30Yのトナー受入口32に対向する。
【0087】
前記蓋体23は、扁平な直方体状を呈する下面が開口した蓋体本体231と、この蓋体本体231の下縁部に全周に亘り外方に向かって突設された蓋体側フランジ232とを備えている。そして、かかる蓋体23は、スパイラルフィーダ26がコンテナ本体21内に装着され、かつ、コンテナ本体21の底部開口が底板体22によって閉止された状態で各フランジ212,232が接着剤を介して接着されることにより、コンテナ本体21に固定され、これによりカラートナー用コンテナ20′の上部に上部フランジ201が形成される。その後、図略のトナー充填口からコンテナ本体21内にトナーが充填される。引き続きトナー充填口が所定の栓で閉止される。
【0088】
前記スパイラルフィーダ26は、左右方向に延びた状態でコンテナ本体21に装着されるフィーダ軸261と、このフィーダ軸261に同心で付設されるスパイラルフィン262とを備えている。
【0089】
前記スパイラルフィーダ26は、本実施形態においては、後方のものが右ネジ状態(端面視で上部を起点とし、時計方向に向かうに従い前方へ向かうように螺旋が形成される状態)で螺旋が形成されているのに対し、前方のものが左ネジ状態(端面視で上部を起点とし、反時計方向に向かうに従い前方へ向かうように螺旋が形成される状態)で螺旋が形成されている。
【0090】
従って、前後のスパイラルフィーダ26がそれぞれ各フィーダ軸261回りに同一方向に向けて回転することにより、前方のスパイラルフィーダ26により移送されるトナーと、後方のスパイラルフィーダ26により移送されるトナーとの移送方向が逆になる。そして、一対のスパイラルフィーダ26間にはコンテナ本体21内を前後に仕切る仕切り板223が設けられているとともに、この仕切り板223の左右の端部とコンテナ本体21の左右の壁面との間には、それぞれトナー流通隙間204が設けられているため、前後のスパイラルフィーダ26がそれぞれフィーダ軸261回りに同一方向に回転すると、カラートナー用コンテナ20′内のトナーは、仕切り板223を境として互いに逆方向に向けて移送され、トナー流通隙間204を通ってコンテナ本体21内を循環移動する。
【0091】
そして、循環移動しているトナーは、補給口224に到達した時点でその一部が当該補給口224を介して中間ホッパ30へ向けて排出されるため、補給口224の設置位置に拘わらず同一の条件で排出されることになる。
【0092】
前記駆動力伝達機構27は、コンテナ本体21の右側の壁部から貫通孔214を介して外部に突出された前後のフィーダ軸261に一体回転可能に外嵌される前後一対のプーリ271と、これら一対のプーリ271間に掛け回される無端ベルト272と、後方のフィーダ軸261に同心で一体回転可能に外嵌されるプーリ271よりも小径の小径ギヤ273とを備えている。
【0093】
一方、画像形成装置10の装置本体11の奥部であって、カラートナー用コンテナ20′が装着空間116bに装着された状態で、小径ギヤ273と対向する後方位置に攪拌用モータ274が横置きで据え付けられている。この攪拌用モータ274は、駆動軸274aを前後方向に延ばした状態で設けられている。そして、駆動軸274aには、前記小径ギヤ273と噛合するウォーム275が同心で一体回転可能に外嵌されている。
【0094】
従って、攪拌用モータ274の駆動によりウォーム275が軸心回りに一体回転すると、このウォーム275の回転は、小径ギヤ273を介して後方のプーリ271へ伝達される。この後方のプーリ271の回転は、後方のスパイラルフィーダ26に伝達されるとともに、無端ベルト272および前方のプーリ271を介して前方のスパイラルフィーダ26へも伝達され、これによって前後一対のスパイラルフィーダ26がそれぞれフィーダ軸261回りに同一方向に向けて回転する。この回転によってカラートナー用コンテナ20′内のトナーは、コンテナ本体21内を循環移動することになる。
【0095】
以上詳述したように、本発明に係るトナーコンテナ20(本実施形態においてはカラートナー用コンテナ20′)は、画像形成装置10の現像装置122に補給するべきトナーが充填されるものであり、下面が開口したコンテナ本体21と、コンテナ本体21の下面開口を閉止する、補給口224を備えた底板体22とを有し、特にこの底板体22は、コンテナ本体21を共用して取り換え可能に構成されている。
【0096】
トナーコンテナ20をこのように構成することにより、下部の現像装置122のトナー受入口(本実施形態においては中間ホッパ30のトナー受入口32)に対向し得るように補給口224を設けた底板体22を、いずれにも共用可能なコンテナ本体21に取り付けることにより、得られたトナー補給容器を、その現像装置122に対応し得るものにすることができ、これによってトナー補給容器製造の自由度を大幅に向上させることができるとともに、当該トナー補給容器を汎用性に富んだものにすることができる。
【0097】
また、底板体22内には、側面視で円弧状を呈する前後一対の底板本体221と、これら一対の底板本体221間に介設された仕切り板223とにより平面視で環状になるように形成されたトナーを循環移動させる循環経路205が設けられているとともに、補給口224は、循環経路205に沿って設けられているため、トナーコンテナ20に充填されたトナーを、平面視で環状の環状経路に沿って循環移動させることにより、トナーが循環経路205のいずれかの位置に形成された補給口224に到達したとき、当該補給口224から排出される。従って、補給口224がトナー循環経路205のいずれの位置に設けられても、トナーを常に適正に当該補給口224を介して現像装置122へ補給することができる。
【0098】
また、底板体22には、当該底板体22内およびコンテナ本体21内を2分する仕切り板223が設けられ、この仕切り板223の両端部と上部容器の内壁面との間にトナーを流通させるためのトナー流通隙間203がそれぞれ形成されているため、トナーコンテナ20内のトナーは、仕切り板223を境にすることで往路のトナーと、復路のトナーとがぶつかり合うことなく当該仕切り板223回りに適正に循環移動することができる。
【0099】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0100】
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置10として複写機を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置10が複写機であることに限定されるものではなく、コンピュータ等の外部機器から入力される画像情報に基づき印刷処理を施すプリンタであってもよいし、通信回線を介して伝送された画像情報に基づき画像を出力するファクシミリ装置であってもよい。
【0101】
(2)上記の実施形態においては、マゼンタ用〜ブラック用コンテナ20M,20C,20Y,20Kからなるカラートナー用コンテナ20′が装置本体11の前面上縁部に装着される一方、ブラックトナー用コンテナ20Kが装置本体11内の右上隅部に装着されているが、ブラックトナー用コンテナ20Kもカラートナー用コンテナ20′と同様に装置本体11の前面側に並設してもよい。
【0102】
また、上記の実施形態においては、ブラックトナー用コンテナ20Kの装置本体11に対する着脱操作は、装置本体11の横から(図2に示す例では右横から)行うようにしているが、こうする代わりにカラートナー用コンテナ20′の場合と同様に装置本体11の前面側から着脱操作を行うようにしてもよい。
【0103】
(3)上記の実施形態においては、ブラックトナー用コンテナ20Kが装置本体11の右上の隅部に配設されているが、本発明は、ブラックトナー用コンテナ20Kが装置本体11の右上の隅部に配設されることに限定されるものではなく、状況に応じて左上の隅部に配設してもよい。
【0104】
(4)上記の実施形態においては、トナーコンテナ20と現像装置122との間に中間ホッパ30が介設されているが、本発明は、中間ホッパ30を採用することを必須の要件とするものではなく、特に中間ホッパ30を設けることなく、トナーコンテナ20から現像装置122へ向けてトナーを直接補給するようにしてもよい。
【0105】
(5)上記の実施形態においては、転写ベルト125が感光体ドラム121の下方位置に設けられている一方、露光装置124が感光体ドラム121の上方位置に設けられているが、これを逆転させて転写ベルト125を感光体ドラム121の上方に設ける一方、露光装置124を感光体ドラム121の下方位置に配設してもよい。
【0106】
(6)上記の実施形態においては、トナーとしてマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの4色が採用されているが、本発明は、トナーがかかる4種類であることに限定されるものではなく、3種類以下であってもよいし、5種類以上であってもよい。このような場合、本発明に係る画像形成装置10は、水平方向に向けて並設されたn個の感光体ドラム121と、n個の感光体ドラム121のそれぞれと対応して配設され、かつ、対応した感光体ドラム121にトナーをそれぞれ供給するn個の現像装置122と、n個の現像装置122のそれぞれと対応して配設されたn個のトナーコンテナ20とを所定の装置本体内に備え、トナーコンテナ20の(n−1)個を感光体ドラム121の並設方向に向けて並設するとともに、トナーコンテナ20の残りの1個(通常、ブラックトナー用コンテナ20K)を端の感光体ドラム121の延びる方向に沿うように設け、全体的に平面視でL字状に配列することが好ましい。
【0107】
(7)上記の実施形態においては、駆動力伝達機構27を一対のプーリ271と、これらプーリ271に掛け回された無端ベルト272とで構成しているが、こうする代わりに後部のフィーダ軸261と同心で一体回転する小径ギヤ273の回転を所定のギヤ機構を介して前部のフィーダ軸261に伝達するようにしてもよい。
【0108】
(8)上記の実施形態おいては、まず、コンテナ本体21と蓋体23とをそれぞれ別体として製造し、その後、コンテナ本体21に蓋体23を装着するようにしているが、こうする代わりに当初からコンテナ本体21と蓋体23とを一体的に製造するようにしてもよい。こうすることで、トナーコンテナ20の組み付け作業の作業性を向上せることができる。
【0109】
(9)図9は、トナーコンテナ20の他の配置構造を説明するための当該トナーコンテナ20および現像装置122の底面図である。因みに、図9におけるXおよびYによる方向表示は、図5の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0110】
この実施形態においては、カラートナー用コンテナ20′およびブラックトナー用コンテナ20Kは、いずれも補給口224の設置位置を除き全て同一仕様のものが採用されている。
【0111】
そして、マゼンタトナー用コンテナ20Mおよびブラックトナー用コンテナ20Kは、いずれも現像装置122の前方位置であって、スパイラルフィーダ26(図6)が前後方向に延びた状態でマゼンタ用現像装置122Mおよびブラック用現像装置122Kに対応した位置に配設されている。
【0112】
これに対し、シアントナー用コンテナ20Cおよびイエロートナー用コンテナ20Yは、いずれも現像装置122の前方位置であって、スパイラルフィーダ26が左右方向に延びるようにシアン用現像装置122Cおよびイエロー用現像装置122Yに対応した位置に設けられている。
【0113】
そして、各トナーコンテナ20の底板体22に設けられた補給口224は、いずれも中間ホッパ30を介しトナーを各現像装置122内に導くための筒体33に対向する位置に設けられている。
【0114】
このようなトナーコンテナ20の配置構造を採用すれば、特に当該トナーコンテナ20の平面視の寸法を長方形状とすることにより、各トナーコンテナ20の容量を増加させた上で、補給口224から送り込まれたトナーを、中間ホッパ30および現像装置122の一部分である筒体33を介して現像装置122内へ補給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に係る画像形成装置の内部構造の一実施形態を説明するための正面断面視の説明図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の外観視の斜視図である。
【図3】トナーコンテナの配置構造を説明するために画像形成部の構成要素であるトナーコンテナ、中間ホッパ等を抽出して示した斜視図である。
【図4】トナーコンテナおよび中間ホッパの配置構造を示す正面図である。
【図5】図4に示す配置構造の平面図である。
【図6】カラートナー用コンテナの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図7】底板体の一実施形態を示す斜視図であり、図7(A)は、マゼンタトナー用底板体、図7(B)は、シアントナー用底板体、図7(C)は、イエロートナー用底板体をそれぞれ示している。
【図8】底板体の一実施形態を示す斜視図であり、(A)は、マゼンタトナー用底板体、(B)は、シアントナー用底板体、(C)は、イエロートナー用底板体をそれぞれ示している。
【図9】トナーコンテナの他の配置構造を説明するための当該トナーコンテナおよび現像装置の底面図である。
【符号の説明】
【0116】
10 画像形成装置 11 装置本体
11a 左壁面 11b 右壁面
11c,11f ガイドレール対
11d 前壁面 11e 後壁面
111 用紙搬送路 112 搬送ローラ対
113 次転写ローラ 114 排紙搬送路
115 排紙トレイ 116 前板
116a 前面開口 116b 装着空間
116c 前面ドアー 116d 底板
116e 仕切り板 117 右側板
117a 側面開口 117b 装着空間
117c 側面ドアー 117d 底板
118 連絡開口 118M マゼンタトナー用開口
118C シアントナー用開口
118Y イエロートナー用開口
118K ブラックトナー用連絡開口
12 画像形成部 12M マゼンタ用ユニット
12C シアン用ユニット 12Y イエロー用ユニット
12K ブラック用ユニット 121 感光体ドラム
121M マゼンタ用ドラム 121C シアン用ドラム
121Y イエロー用ドラム 121K ブラック用ドラム
122 現像装置 122M マゼンタ用現像装置
122C シアン用現像装置 122Y イエロー用現像装置
122K ブラック用現像装置
123 帯電器 124 露光装置
125 転写ベルト 125a 駆動ローラ
125b 従動ローラ 125c 次転写対向ローラ
126 次転写ローラ 127 クリーニング装置
13 定着部 131 加熱ローラ
132 定着ローラ 133 定着ベルト
134 加圧ローラ 14 用紙貯留部
141 用紙トレイ 142 ピックアップローラ
16 画像読取部 161 原稿押え
162 光学系ユニット 163 コンタクトガラス
17 操作パネル 171 電源スイッチ
172 テンキー 173 スタートボタン
20 トナーコンテナ(トナー補給容器)
20′ カラートナー用コンテナ(トナー補給容器)
20M マゼンタトナー用コンテナ
20C シアントナー用コンテナ
20Y イエロートナー用コンテナ
20K ブラックトナー用コンテナ
201 上部フランジ 202 下部フランジ(装着部)
203 フランジ部 204 トナー流通隙間
205 循環経路 21 コンテナ本体(上部容器)
210 シャッタ部材 211 角筒体
212 本体側上部フランジ 213 本体側下部フランジ
214 貫通孔 22 底板体(下部容器)
221 底板本体 221a 後方円弧底板
222 底板側フランジ 223 仕切り板(仕切り部材)
224 補給口 22M マゼンタトナー用底板体
22C シアントナー用底板体
22Y イエロートナー用底板体
23,25 蓋体 231 蓋体本体
232 蓋体側フランジ 24 長尺コンテナ本体
26 スパイラルフィーダ(攪拌・搬送部材)
261 フィーダ軸 262 スパイラルフィン
27 駆動力伝達機構 271 プーリ
272 無端ベルト 273 小径ギヤ
274 攪拌用モータ 274a 駆動軸
275 ウォーム 30 中間ホッパ
30M マゼンタトナー用中間ホッパ
30C シアントナー用中間ホッパ
30Y イエロートナー用中間ホッパ
30K ブラック用中間ホッパ
31 天板 32 トナー受入口
33 筒体 P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーが充填されるトナー補給容器であって、
下面が開口した上部容器と、
前記上部容器の下面開口を閉止する、トナー補給口を備えた下部容器と、
前記下部容器を、前記上部容器を共用して取り換え可能に装着させる装着部とを有することを特徴とするトナー補給容器。
【請求項2】
前記下部容器内には、平面視で環状になるようにトナーを循環移動させる循環経路が形成され、前記トナー補給口は、前記循環経路上におけるトナーを補給可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のトナー補給容器。
【請求項3】
前記下部容器には、当該下部容器内および前記上部容器内を2分する仕切り部材が設けられ、この仕切部材の両端部と上部容器の内壁面との間にトナーを流通させるための隙間がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のトナー補給容器。
【請求項4】
前記上部容器には、当該上部容器内でトナーを攪拌・搬送する攪拌・搬送部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー補給容器。
【請求項5】
像担持体の表面にトナー像を形成させるべくトナーを供給する第1および第2現像装置と、
前記第1および第2現像装置にそれぞれトナーを補給する第1および第2トナー補給容器とが備えられ、
前記各トナー補給容器は、下面が開口した上部容器と、
前記上部容器の下面開口を閉止する、トナー補給口を備えた下部容器と、
前記下部容器を、前記上部容器を共用して取り換え可能に装着させる装着部とを有し、
前記第1および第2トナー補給容器は、共通の前記上部容器および前記装着部を有する一方で、前記下部容器は、それぞれ異なる形状とされていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記第1トナー補給容器における下部容器のトナー補給口の位置と、前記第2トナー補給容器における下部容器のトナー補給口の位置とが異なることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−244309(P2009−244309A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87385(P2008−87385)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】