説明

トランジスターとその製造方法及び発光表示装置

【課題】 トランジスターの金属層間の静電気を防止できるようにしたトランジスターとその製造方法及び発光表示装置を提供する。
【解決手段】 上記課題を解決するために,本発明に係る発光表示装置の代表的な構成は,第1幅W1で形成される半導体層150と,少なくとも一つの第1金属層156と,上記第1金属層156と交差して第2幅W2で形成される第2金属層158とを有し,少なくとも上記半導体層150と上記第2金属層158が重畳される位置において,上記半導体層150の第1幅W1が,上記第2金属層158の第2幅W2より広いことを特徴とする。これによりソース/ドレイン金属層が半導体層の内側に位置するようになり,ゲート金属層にチップが発生しても静電気を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,トランジスターとその製造方法及び発光表示装置に関し,特に,トランジスターの金属層間の静電気を防止できるようにしたトランジスターとその製造方法及び発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,陰極線管(Cathode Ray Tube)の短所である重さと体積を減らすことができる各種平板表示装置などが開発されている。平板表示装置としては,液晶表示装置(Liquid
Crystal Display),電界放出表示装置(Field Emission Display),プラズマディスプレーパネル(Plasma Display Panel)及び発光表示装置(Light Emitting Display)などがある。
【0003】
平板表示装置のうち,発光表示装置は,電子と正孔の再結合で蛍光物質を発光させる自発光素子であり,材料及び構造によって無機物の発光層を含む無機発光表示装置と,有機物の発光層を含む有機発光表示装置とに大別される。この際,有機発光表示装置は,電界発光表示装置と呼ばれたりすることもある。
【0004】
このような発光表示装置は,液晶表示装置のように別途の光源を必要とする受動型発光素子に比べて陰極線管のような速い応答速度を持つ長所を持っている。
【0005】
図1は従来の発光表示装置の画素回路を示す図である。図1を参照すれば,一般の発光表示装置の画素11は,走査線Sに走査信号が印加されるときに選択され,データ線Dに供給されるデータ信号に相応する光を発生するようになる。
【0006】
このために,各画素11は,データ線Dと走査線Sの交差領域において,第1電源VDDを供給する第1電源線VDDLと,第1電源VDDより低い電圧レベルの第2電源VSS(接地)との間に配置される有機発光素子OLEDと,データ線Dと走査線Sに接続されて有機発光素子OLEDを発光させるための画素回路40と,を備えている。
【0007】
有機発光素子OLEDのアノード電極は,画素回路40に接続され,カソード電極は,第2電源VSSに接続される。そして,有機発光素子OLEDは,アノード電極とカソード電極との間に形成された発光層(Emitting Layer:EML),電子輸送層(Electron Transport Layer:ETL)及び正孔輸送層(Hole Transport Layer:HTL)を含む。また,有機発光素子OLEDは,電子注入層(Electron Injection Layer:EIL)と正孔注入層(HoleInjection Layer:HIL)をさらに含むことができる。このような有機発光素子OLEDでアノード電極とカソード電極との間に電圧を印加すればカソード電極から発生された電子は,電子注入層及び電子輸送層を介して発光層側に移動し,アノード電極から発生された正孔は,正孔注入層及び正孔輸送層を介して発光層側に移動する。これによって発光層では電子輸送層と正孔輸送層から供給された電子と正孔が衝突して再結合することによって光が発生するようになる。
【0008】
画素回路40は,第1電源VDDと有機発光素子OLEDとの間に配置された駆動トランジスターQ5と,N番目(但し,Nは正の整数)の走査線Snとデータ線Dに接続された第1トランジスターQ1と,第1トランジスターQ1と第1電源VDD及び第N−1走査線Sn−1に接続された第2トランジスターQ2と,第N−1走査線Sn−1と駆動トランジスターQ5のゲート電極とドレイン電極との間に接続された第3トランジスターQ3と,第N−1走査線Sn−1と駆動トランジスターQ5のドレイン電極及び有機発光素子OLEDのアノード電極との間に接続された第4トランジスターQ4と,第1及び第2トランジスターQ1,Q2のそれぞれのドレイン電極に接続された第1ノードN1と第1電源VDDとの間に接続されたストレージキャパシティCstと,第1ノードN1と駆動トランジスターQ5のゲート電極との間に接続された補償用キャパシティCvthを備える。ここで,第1〜第3トランジスターQ1,Q2,Q3と駆動トランジスターQ5は,P型トランジスターであり,第4トランジスターQ4はN型トランジスターである。
【0009】
第1トランジスターQ1のゲート電極は第N走査線Snに接続され,ソース電極はデータ線Dに接続され,ドレイン電極は第1ノードN1に接続される。このような第1トランジスターQ1は,第N走査線Snに供給される走査信号に応答してデータ線Dからのデータ信号を第1ノードN1に供給する。
【0010】
第2トランジスターQ2のゲート電極は第N−1走査線Sn−1に接続され,ソース電極は第1電源VDDに接続され,ドレイン電極は第2ノードN2に接続される。このような第2トランジスターQ2は,第N−1走査線Sn−1に供給される走査信号に応答して第1電源VDDからの電圧を第1ノードN1に供給する。
【0011】
第3トランジスターQ3のゲート電極は第N−1走査線Sn−1に接続され,ソース電極は駆動トランジスターQ5のゲート電極に接続され,駆動トランジスターQ5の出力端であるドレイン電極は第2ノードN2に接続される。このような第3トランジスターQ3は,第N−1走査線Sn−1に供給される走査信号に応答して駆動トランジスターQ5のゲート電極を第2ノードN2に接続させて駆動トランジスターQ5をダイオード接続で連結させる。
【0012】
ストレージキャパシティCstは,第N走査線Snに走査信号が供給されている間に,第1トランジスターQ1を経由して,第1ノードN1上に供給されるデータ信号に対応される電圧を保存する。その後に第1トランジスターQ1がオフされれば,駆動トランジスターQ5のオン状態を一フレーム期間の間に維持させることになる。
【0013】
補償用キャパシティCvthは,第N−1走査線Sn−1に走査信号が供給されている間に,第1電源VDDを用いて駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthに相応する電圧を保存する。すなわち,補償用キャパシティCvthは,第2及び第3トランジスターQ2,Q3がターンオンされている間に駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthを補償するための補償電圧を保存するようになる。
【0014】
駆動トランジスターQ5のゲート電極は第3トランジスターQ3のソース電極と補償用キャパシティCvthに接続され,ソース電極は第1電源VDDに接続され,ドレイン電極は第4トランジスターQ4に接続される。このような駆動トランジスターQ5は,自分のゲート電極に供給される電圧によって第1電源VDDから供給される自分のソース電極とドレイン電極間の電流を調節して第4トランジスターQ4に供給する。
【0015】
第4トランジスターQ4のゲート電極は第N−1走査線Sn−1に接続され,ソース電極は第2ノードN2に接続され,ドレイン電極は有機発光素子OLEDのアノード電極に接続される。このような第4トランジスターQ4は,第N−1走査線Sn−1に供給されるハイレベルの走査信号によって駆動トランジスターQ5から供給される電流を有機発光素子OLEDに供給することによって有機発光素子OLEDを発光させるようになる。一方,第4トランジスターQ4は,第N−1走査線Sn−1にローレベルの走査信号が供給されている間では,駆動トランジスターQ5と有機発光素子OLED間の電流パスを遮断する。
【0016】
このような画素11の駆動を,図2を参照して説明すれば,次の通りである。図2は発光素子を発光させるための波形を示す波形図である。
【0017】
図2において期間T1では,第N−1走査線Sn−1にロー状態の走査信号SSが供給されると同時に,第N走査線Snにハイ状態の走査信号SSが供給されている。このとき第2及び第3トランジスターQ2,Q3がターンオンされ,第1トランジスターQ1はオフ状態となる。第4トランジスターQ4は,第N−1走査線Sn−1に供給されるロー状態の走査信号によりターンオフされる。従って駆動トランジスターQ5は,第3トランジスターQ3のターンオンによりダイオード機能を行うようになって,駆動トランジスターQ5のゲート−ソース間電圧は,自分の閾値電圧Vthとなるときまで変化するようになる。これによって補償用キャパシティCvthは,駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthに相応する補償電圧を保存するようになる。
【0018】
次の期間T2では,第N−1走査線Sn−1にハイ状態の走査信号SSが供給されると同時に,第N走査線Snにロー状態の走査信号SSが供給される。このとき第2及び第3トランジスターQ2,Q3がターンオフされ,第1トランジスターQ1がターンオンされる。これによって,データ線Dに供給されるデータ信号は,第1トランジスターQ1を経由して第1ノードN1に供給される。これによって駆動トランジスターQ5のゲート電極には,第1ノードN1の電圧の変動値(Vdata−VDD)と補償用キャパシティCvthに保存された補償電圧が加えた電圧が供給される。この際,ストレージキャパシティCstは第1ノードN1の電圧変動値を保存するようになる。このような期間T2で駆動トランジスターQ5のゲート−ソース電圧Vgsは,次の式1の通りである。
[式1] Vgs=Vth+Vdata−VDD
ここで,VDDは供給電圧,Vdataはデータ信号,Vthは駆動TFT(DT)の閾値電圧である。
【0019】
また期間T2で,第4トランジスターQ4は,第N−1走査線Sn−1に供給されるハイ状態の走査信号SSによりターンオンされる。この際,駆動トランジスターQ5は,第1ノードN1の電圧変動値と補償用キャパシティCvthに保存された補償電圧が加えた電圧によりターンオンされて,補償されたデータ信号に相応する電流を第4トランジスターQ4に供給する。したがって,有機発光素子OLEDは,第4トランジスターQ4を経由して駆動トランジスターQ5から供給される電流により発光して画像を表示するようになる。
【0020】
次に,第N走査線Snにハイ状態の走査信号SSが供給される期間T2以後では,ストレージキャパシティCstに保存されたデータ信号に対応される電圧により,駆動トランジスターQ5のオン(ON)状態が維持される。これにより,有機発光素子OLEDは,1フレーム期間の間に発光して画像を表示するようになる。
【0021】
このような従来の発光表示装置は,補償用キャパシティCvthと第2及び第3トランジスターQ2,Q3を用いて各画素11に形成される駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthが互いに異なっても,駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthを補償する。従って有機発光素子OLEDに供給される電流は一定となり,画素11の輝度を均一にすることができる。
【0022】
一方,一般の発光表示装置は,製造工程のばらつきにより生じるトランジスターの閾値電圧Vthの偏差,特に,駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthの偏差による各画素11間の輝度ばらつき現象が発生するようになる。このため,従来の発光表示装置の各画素11は,上述のように補償用キャパシティCvth及び第2〜第4トランジスターQ2,Q3,Q4を用いて,駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthを補償するようになる。すると,従来の発光表示装置は,各画素11ごとに5つのトランジスターQ1,Q2,Q3,Q4,Q5と2つのキャパシティCvth,Cstを含むようになるので,開口率が減少するという問題がある。
【0023】
さらに,図3は画素回路を説明する平面図,図4は図3に示すA部分の拡大図,図5は図4に示すV−V′線の切断面をSEM(Scanning Electron Microscopy)で撮影した写真,図6は半導体層とゲート金属層間の静電気によるゲート絶縁膜の破壊をSEMで撮影した写真である。
【0024】
図3に示すように,従来の発光表示装置は,各画素11に形成される走査線Sn,データ線D,第1電源線VDDL及びトランジスターQ1,Q2,Q3,Q4,Q5のソース/ドレイン電極の一部を重畳させて形成することによって,各画素11の開口率を広げている。このような従来の発光表示装置は,信号線等を重畳させて形成して開口率を増加させることができる反面,信号線等が重畳される部分で静電気が発生するという問題点がある。
【0025】
具体的に説明すれば,図4及び図5に示すように,トランジスターの半導体層50をポリシリコンで形成する場合に,ポリシリコンはグレーン境界(grain boundary)の構造が不均一であるため,その表面にチップ52(Tip)が形成される。このため,エッチングの際に,エッジテーパが不均一に形成される。これによって,半導体層50上に形成されるゲート絶縁膜54及びゲート金属層56も,やはり不均一に形成される。特に,半導体層50のグレーン境界によってエッジ部分に形成されたチップ52によって,ゲート金属層56にもチップ(Tip)が形成されるようになる。
【0026】
また,従来の発光表示装置の各画素11でゲート金属層56(第1金属層)は,半導体層50と重畳される部分でベンディング部59が形成される。すなわち,半導体層50とゲート金属層56の重畳部分でゲート金属層56の線幅が異なることになる。これによって半導体層50のエッジ部がソース/ドレイン金属層58に重畳されるように形成される場合,半導体層50のチップ52によってゲート金属層56にチップが発生し,ゲート金属層56のエッジ部に電流が集中して,ソース/ドレイン金属層58の間で静電気が発生するようになる。したがって,従来の発光表示装置ではゲート金属層56とソース/ドレイン金属層58の間の静電気によって,図6に示すように,ソース/ドレイン金属層58とゲート金属層56間の絶縁膜57が破壊される現象が発生する場合がある。
【0027】
従来公知な技術の例としては,下記特許文献1には,活動的マトリックスパネル機器が開示されている。特許文献2には,横電界方式液晶表示装置用アレイ基板とその製造方法が開示されている。特許文献3には,“Method of manufacturing a semiconductor device(半導体素子の製造方法)”が開示されている。
【特許文献1】特開平07−181518号公報
【特許文献2】大韓民国特許公開第2002−0054433号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0211719号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は,トランジスターの金属層間の静電気を防止できるようにしたトランジスターとその製造方法及び発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題を解決するために,本発明に係る発光表示装置の代表的な構成は,第1幅で形成される半導体層と,少なくとも一つの第1金属層と,上記第1金属層と交差して第2幅で形成される第2金属層とを有し,発光素子を発光させるための少なくとも一つのトランジスターと;上記第1金属層と上記第2金属層の交差領域に隣接するように形成される発光素子と;を有する画素回路を備えた発光表示装置において:少なくとも上記半導体層と上記第2金属層が重畳される位置において,上記半導体層の第1幅が,上記第2金属層の第2幅より広いことを特徴とする。
【0030】
上記半導体層と上記第1金属層の重畳部分において,上記第1金属層の線幅が一定に維持されていてもよい。
【0031】
上記トランジスターは:上記半導体層と上記第1金属層の間に形成される第1絶縁層と;上記第1金属層と上記第2金属層の間に形成される第2絶縁層と;をさらに含むことでよい。
【0032】
上記第1金属層は,上記ゲート金属層であってもよい。また,上記第2金属層は,上記ソース/ドレイン金属層であってもよい。
【0033】
上記画素回路は:上記第1金属層で形成された電源線と上記発光素子との間に接続される駆動トランジスターと;第1端子が第1ノードに接続され,第2端子が上記駆動トランジスターのゲート端子に接続された第1キャパシティと;上記第1金属層で形成された第1走査線に供給される第1走査信号により制御され,上記第2金属層で形成されたデータ線と上記第1ノードに接続された第1トランジスターと;上記第1金属層で形成された第2走査線に供給される第2走査信号により制御され,上記第1ノードと上記電源線との間に接続された第2トランジスターと;上記第2走査信号により制御され,上記駆動トランジスターのゲートと上記駆動トランジスターの出力端である第2ノードに接続された第3トランジスターと;上記第2走査信号により制御され,上記第2ノードと上記発光素子のアノード電極に接続された第4トランジスターと;上記第1ノードと上記電源線との間に接続された第2キャパシティと;を含むことができる。
【0034】
上記第4トランジスターは,上記第3トランジスターとP型もしくはN型のタイプが異なることでもよい。
【0035】
本発明に係るトランジスターの代表的な構成は,基板上に第1幅で形成される半導体層と;上記半導体層を覆うように形成される第1絶縁層と;上記第1絶縁層上に上記半導体層と重畳されるように形成されるゲート金属層と;上記ゲート金属層を覆うように形成される第2絶縁層と;上記第2絶縁層上に上記第1幅より狭い第2幅で形成され,上記第1幅内で重畳されるソース/ドレイン金属層と;を備えることを特徴とする。
【0036】
上記半導体層と上記ゲート金属層の重畳部分において,上記ゲート金属層の線幅が一定に維持されていてもよい。
【0037】
本発明に係るトランジスターの製造方法の代表的な構成は,基板上に第1幅を持つ半導体層を形成するステップと;上記半導体層を覆うように第1絶縁層を形成するステップと;上記第1絶縁層上に上記半導体層と重畳されるようにゲート金属層を形成するステップと;上記ゲート金属層を覆うように第2絶縁層を形成するステップと;上記第1幅内で重畳されるように上記第2絶縁層上に上記第1幅より狭い第2幅を持つソース/ドレイン金属層を形成するステップと;を含むことを特徴とする。
【0038】
上記半導体層と上記ゲート金属層の重畳部分において,上記ゲート金属層の線幅が一定に維持されることでよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明の実施形態による発光表示装置は,ソース/ドレイン金属層とゲート金属層の交差領域に形成されるトランジスターの半導体層の幅をソース/ドレイン金属層の幅より広く形成することによって,ソース/ドレイン金属層が半導体層の内側に位置するようになる。これにより,半導体層のグレーンとパターンエッジでのチップによってゲート金属層にチップが発生しても,ソース/ドレイン金属層と重畳する部分が生じないため,ゲート金属層とソース/ドレイン金属層間での静電気を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0041】
図7は本実施形態に係る発光表示装置を示す平面図,図8は図7のB部分の拡大図である。
【0042】
図7及び図8を参照すれば,本実施形態による発光表示装置は,有機発光素子OLEDと,第1金属層で形成された第N走査線Snと第2金属層で形成されたデータ線Dに接続された第1トランジスターQ1と,第2金属層で形成され電源線VDDLと有機発光素子OLEDとの間に接続された駆動トランジスターQ5と,第1トランジスターQ1と第2金属層で形成された第1電源線VDDL及び第N−1走査線Sn−1に接続された第2トランジスターQ2と,第N−1走査線Sn−1と駆動トランジスターQ5のゲート電極とドレイン電極との間に接続された第3トランジスターQ3と,第N−1走査線Sn−1と駆動トランジスターQ5のドレイン電極及び有機発光素子OLEDのアノード電極との間に接続された第4トランジスターQ4と,第1及び第2トランジスターQ1,Q2それぞれのドレイン電極に接続された第1ノードN1と第1電源線VDDLとの間に接続されたストレージキャパシティCst(第2キャパシティ)と,第1ノードN1と駆動トランジスターQ5のゲート電極との間に接続された補償用キャパシティCvth(第1キャパシティ)と,を備える。ここで,第1〜第3トランジスターQ1,Q2,Q3と駆動トランジスターQ5は,P型トランジスターであり,第4トランジスターQ4は,N型トランジスターである。
【0043】
このような本実施形態による発光表示装置において各トランジスターQ1,Q2,Q3,Q4,Q5は,第2金属層の幅より広い幅で形成された半導体層150を含む。ここで,第1金属層は,トランジスターのゲート電極と同じ材質であり,第2金属層は,トランジスターのソース/ドレイン電極と同じ材質である。
【0044】
第1トランジスターQ1のゲート電極は,第N走査線Snに接続され,ソース電極は,コンタクトホールを介してデータ線Dに接続されるとともに,ドレイン電極は,コンタクトホールを介して第1ノードN1に接続される。このような第1トランジスターQ1は,第N走査線Snに供給される走査信号に応答してデータ線Dからのデータ信号を第1ノードN1に供給する。
【0045】
第2トランジスターQ2のゲート電極は,第N−1走査線Sn−1に接続され,ソース電極は,コンタクトホールを介して第1電源線VDDLに接続されるとともにドレイン電極は,コンタクトホールを介して第2ノードN2に接続される。このような第2トランジスターQ2は,第N−1走査線Sn−1に供給される走査信号に応答して第1電源線VDDLからの電圧を第1ノードN1に供給する。
【0046】
第3トランジスターQ3のゲート電極は,第N−1走査線Sn−1に接続され,ソース電極は,駆動トランジスターQ5のゲート電極に接続されるとともにドレイン電極,すなわち駆動トランジスターQ5の出力端は第2ノードN2に接続される。このような第3トランジスターQ3は,第N−1走査線Sn−1に供給される走査信号に応答して駆動トランジスターQ5のゲート電極を第2ノードN2に接続させて駆動トランジスターQ5をダイオード接続で連結させる。
【0047】
ストレージキャパシティCstは,第N走査線Snに走査信号が供給されている間に第1トランジスターQ1を経由して第1ノードN1に供給されるデータ信号に対応される電圧を保存した後に,第1トランジスターQ1がオフされれば駆動トランジスターQ5のオン状態を一フレーム期間の間に維持させるようになる。
【0048】
補償用キャパシティCvthは,第N−1走査線Sn−1に走査信号が供給されている間に第1電源線VDDLから電圧を用いて駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthに相応する電圧を保存する。すなわち,補償用キャパシティCvthは,第2及び第3トランジスターQ2,Q3がターンオンされている間に駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthを補償するための補償電圧を保存するようになる。
【0049】
駆動トランジスターQ5のゲート電極は,第3トランジスターQ3のソース電極と補償用キャパシティCvthに接続され,ソース電極は,第1電源線VDDLに接続されるとともに,ドレイン電極は,第4トランジスターQ4に接続される。このような駆動トランジスターQ5は,自分のゲート電極に供給される電圧によって第1電源線VDDLから供給される自分のソース電極とドレイン電極間の電流を調節して第4トランジスターQ4に供給する。
【0050】
第4トランジスターQ4のゲート電極は,第N−1走査線Sn−1に接続され,ソース電極は,第2ノードN2に接続されるとともに,ドレイン電極は,有機発光素子OLEDのアノード電極に接続される。このような第4トランジスターQ4は,第N−1走査線Sn−1に供給されるハイレバルの走査信号によって駆動トランジスターQ5から供給される電流を有機発光素子OLEDに供給することによって有機発光素子OLEDを発光させるようになる。また,第4トランジスターQ4は,第N−1走査線Sn−1にローレベルの走査信号が供給されている間では駆動トランジスターQ5と有機発光素子OLED間の電流パスを遮断する。
【0051】
有機発光素子OLEDのアノード電極は,第4トランジスターQ4のドレイン電極に接続され,カソード電極は,不図示の第2電源線に接続される。そして有機発光素子OLEDは,アノード電極とカソード電極との間に形成された発光層(Emitting Layer:EML),電子輸送層(Electron Transport Layer:ETL)及び正孔輸送層(Hole Transport Layer:HTL)を含む。また,有機発光素子OLEDは,電子注入層(Electron Injection Layer:EIL)と正孔注入層(Hole Injection Layer:HIL)をさらに含むことができる。このような有機発光素子OLEDでアノード電極とカソード電極間に電圧を印加すればカソード電極から発生された電子は,電子注入層及び電子輸送層を介して発光層側に移動し,アノード電極から発生された正孔は正孔注入層及び正孔輸送層を介して発光層側に移動する。これによって発光層では電子輸送層と正孔輸送層から供給された電子と正孔が衝突して再結合することにより光が発生するようになる。
【0052】
このような本実施形態による発光表示装置は,補償用キャパシティCvthと第2及び第3トランジスターQ2,Q3と,を用いて各画素に形成される駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthが互いに異なっても駆動トランジスターQ5の閾値電圧Vthを補償することによって有機発光素子OLEDに供給される電流を一定にして画素の位置による輝度を均一にすることができる。
【0053】
図9は,図8に示すIX−IX′線の切断面をSEMで撮影した写真である。図8及び図9を参照すれば,本実施形態による発光表示装置の各画素で第1金属層156と第2金属層158の交差領域に形成される第1トランジスターQ1の半導体層150は,第2金属層158の線幅より広い幅で形成される。また,本実施形態による発光表示装置の各画素で第1金属層156は,半導体層150と重畳される部分でバンディングされないように形成される。すなわち,半導体層150と第1金属層156の重畳部分で第1金属層156の線幅は,変化せず一定に維持される。
【0054】
図10a〜図10cを参照してこれを詳細に説明すれば,次の通りである。ここで,図10a〜図10cは,図8に示すX−X′線に沿って切断した断面図であって,トランジスターの製造方法を段階的に示す断面図である。
【0055】
まず,図10aに示すように,基板100上にバッファー層102のような第1絶縁層を形成する。この際,バッファー層102は,酸化シリコン(SiO)または窒化シリコン(SiNx)などが単層で形成されることができ,酸化シリコン(SiO)/窒化シリコン(SiNx)が二重層で形成されうる。
【0056】
次に,図10bに示すように,バッファー層10上に非晶質シリコンを蒸着して結晶化過程を経て半導体層150を形成した後に,ゲート絶縁膜154のような第2絶縁層を形成する。この際,第2絶縁層は,シリコン窒化物またはシリコン酸化物などが単層で形成されることができ,酸化シリコン(SiO)/窒化シリコン(SiNx)などが二重層で形成されうる。
【0057】
次に,図10cに示すように,半導体層150上に第1金属層156,すなわちゲート金属層を蒸着して形成するようになる。この際,ゲート金属層(第1金属層156)は,半導体層150に所定領域に重畳されるように形成され,ゲート金属層(第1金属層156)は,TFT のオン/オフ信号を印加する走査線Sと連結する。この際,ゲート金属層(第1金属層156)と半導体層150の重畳部分でゲート金属層(第1金属層156)の線幅は,変化せず一定に維持になるように形成される。
【0058】
次に,基板100上にイオンをドーピングして半導体層150のソース領域とドレイン領域にイオンをドーピングするようになる。これによって半導体層150には,ソース領域とドレイン領域との間にチャンネルが形成される。
【0059】
次に,基板100上にゲート金属層(第1金属層156)を覆うように層間絶縁膜157(inter-insulator)のような第3絶縁層を形成する。そして,第3絶縁層上に半導体層150の第1幅W1より狭い第2幅W2を持つように第2金属層158,すなわちソース/ドレイン金属層(第2金属層158)を形成する。この際,ソース/ドレイン金属層(第2金属層158)は,第1幅W1の内で重畳されるように形成される。
【0060】
そして,基板100上にソース/ドレイン金属層(第2金属層158)を覆うように第4絶縁層160を形成するようになる。
【0061】
これによって本実施形態による発光表示装置は,ゲート金属層(第1金属層156)とソース/ドレイン金属層(第2金属層158)の交差領域で半導体層150の第1幅W1をソース/ドレイン金属層(第2金属層158)の第2幅W2より広く形成することによって,ソース/ドレイン金属層(第2金属層158)が半導体層150の内側に位置するようになる。これによって本実施形態においては,半導体層150のグレーンとパターンエッジでのチップ(Tip)により発生されるゲート金属層(第1金属層156)のチップがソース/ドレイン金属層(第2金属層158)との重畳部分にないので,ゲート金属層(第1金属層156)とソース/ドレイン金属層(第2金属層158)間での静電気を防止できる。
【0062】
一方,本実施形態による発光表示装置で各画素の有機発光素子OLEDを発光させるための画素回路は,少なくとも二つのトランジスターと少なくとも一つのキャパシティを含むようになる。この際,各トランジスターの半導体層の幅は,ソース/ドレイン金属層の幅より広く形成され,ゲート金属層と半導体層の重畳部分でゲート金属層の線幅は,変化せず一定に維持されるように形成される。
【0063】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は,トランジスターとその製造方法及び発光表示装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】従来の発光表示装置の画素回路を示す図である。
【図2】発光素子を発光させるための波形を示す波形図である。
【図3】画素回路を説明する平面図である。
【図4】図3に示すA部分の拡大図である。
【図5】図4に示すV−V′線の切断面をSEMで撮影した写真である。
【図6】半導体層とゲート金属層間の静電気によるゲート絶縁膜の破壊をSEMで撮影した写真である。
【図7】本実施形態に係る発光表示装置を示す平面図である。
【図8】図7のB部分の拡大図である。
【図9】図8に示すIX−IX′線の切断面をSEMで撮影した写真である。
【図10a】図8に示すX−X′線に沿って切断したトランジスターの製造方法を段階的に示す断面図である。
【図10b】図8に示すX−X′線に沿って切断したトランジスターの製造方法を段階的に示す断面図である。
【図10c】図8に示すX−X′線に沿って切断したトランジスターの製造方法を段階的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
Cst …ストレージキャパシティ
Cvth …補償用キャパシティ
D …データ線
N1,N2 …第1,第2ノード
OLED …有機発光素子
Q1〜Q4 …第1〜第4トランジスター
Q5 …駆動トランジスター
S …走査線
SS …走査信号
Sn …第N走査線
VDD …第1電源
VDDL …電源線
VSS …第2電源
Vth …閾値電圧
W1,W2 …第1,第2幅
10 …バッファー層
11 …画素
40 …画素回路
50 …半導体層
52 …チップ
54 …ゲート絶縁膜
56 …ゲート金属層
57 …絶縁膜
58 …ソース/ドレイン金属層
59 …ベンディング部
100 …基板
102 …バッファー層
150 …半導体層
154 …ゲート絶縁膜
156 …第1金属層
157 …層間絶縁膜
158 …第2金属層
160 …第4絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1幅で形成される半導体層と,少なくとも一つの第1金属層と,前記第1金属層と交差して第2幅で形成される第2金属層とを有し,発光素子を発光させるための少なくとも一つのトランジスターと;
前記第1金属層と前記第2金属層の交差領域に隣接するように形成される発光素子と;
を有する画素回路を備えた発光表示装置において:
少なくとも前記半導体層と前記第2金属層が重畳される位置において,前記半導体層の第1幅が,前記第2金属層の第2幅より広いことを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
前記半導体層と前記第1金属層の重畳部分において,前記第1金属層の線幅が一定に維持されることを特徴とする請求項1記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記トランジスターは:
前記半導体層と前記第1金属層の間に形成される第1絶縁層と;
前記第1金属層と前記第2金属層の間に形成される第2絶縁層と;
をさらに含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記第1金属層は,前記ゲート金属層であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記第2金属層は,前記ソース/ドレイン金属層であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記画素回路は:
前記第1金属層で形成された電源線と前記発光素子との間に接続される駆動トランジスターと;
第1端子が第1ノードに接続され,第2端子が前記駆動トランジスターのゲート端子に接続された第1キャパシティと;
前記第1金属層で形成された第1走査線に供給される第1走査信号により制御され,前記第2金属層で形成されたデータ線と前記第1ノードに接続された第1トランジスターと;
前記第1金属層で形成された第2走査線に供給される第2走査信号により制御され,前記第1ノードと前記電源線との間に接続された第2トランジスターと;
前記第2走査信号により制御され,前記駆動トランジスターのゲートと前記駆動トランジスターの出力端である第2ノードに接続された第3トランジスターと;
前記第2走査信号により制御され,前記第2ノードと前記発光素子のアノード電極に接続された第4トランジスターと;
前記第1ノードと前記電源線との間に接続された第2キャパシティと;を含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の発光表示装置。
【請求項7】
前記第4トランジスターは,前記第3トランジスターとP型もしくはN型のタイプが異なることを特徴とする請求項6記載の発光表示装置。
【請求項8】
基板上に第1幅で形成される半導体層と;
前記半導体層を覆うように形成される第1絶縁層と;
前記第1絶縁層上に前記半導体層と重畳されるように形成されるゲート金属層と;
前記ゲート金属層を覆うように形成される第2絶縁層と;
前記第2絶縁層上に前記第1幅より狭い第2幅で形成され,前記第1幅内で重畳されるソース/ドレイン金属層と;を備えることを特徴とするトランジスター。
【請求項9】
前記半導体層と前記ゲート金属層の重畳部分において,前記ゲート金属層の線幅が一定に維持されることを特徴とする請求項8記載のトランジスター。
【請求項10】
基板上に第1幅を持つ半導体層を形成するステップと;
前記半導体層を覆うように第1絶縁層を形成するステップと;
前記第1絶縁層上に前記半導体層と重畳されるようにゲート金属層を形成するステップと;
前記ゲート金属層を覆うように第2絶縁層を形成するステップと;
前記第1幅内で重畳されるように前記第2絶縁層上に前記第1幅より狭い第2幅を持つソース/ドレイン金属層を形成するステップと;を含むことを特徴とするトランジスターの製造方法。
【請求項11】
前記半導体層と前記ゲート金属層の重畳部分において,前記ゲー ト金属層の線幅が一定に維持されることを特徴とする請求項10記載のトランジスターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−11376(P2006−11376A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130261(P2005−130261)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】