説明

ドライバ回路

【課題】単電源駆動で、歪が小さく、大振幅の信号出力電圧が得られるドライバ回路を提供する。
【解決手段】1は入力端子、2、3は出力端子、4は第1の反転型オペアンプ、5は第2の反転型オペアンプ、6は非反転型オペアンプ、7はトランス、8は正電源電圧VCC、9はアナロググランドAGND(VCC/2)、10はグランドGND(0V)を示す。第1の反転型のドライバ用オペアンプの出力を第2の反転型のドライバ用オペアンプと非反転型のドライバ用オペアンプで受け、それらの出力を差動構成とすることで、低電圧での単電源駆動でも大振幅で、歪の小さい出力信号電圧が得られる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送路に用いられるラインドライバに関し、低電圧の単電源で、歪の小さい大振幅の信号電圧が得られるラインドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、数百メートル以上の長距離の信号伝送路に適用可能なラインドライバは大振幅の出力信号電圧が必要であり、図3のような構成があげられる。大振幅の出力信号電圧を得るため、オペアンプは正負の2電源±VCCで駆動し、トランス回路によりインピーダンス変換を行っている。ここで、アナロググランドAGND0は、0Vである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−273806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の回路では、大振幅の出力信号電圧を得るため、オペアンプは正負の2電源で駆動しなければならないという問題があり、システムの経済化のためには単電源化が望まれていた。
また、従来回路では、ドライバ用オペアンプにRail to Rail Inputタイプ(入力電圧と出力電圧の両方、あるいはどちらか片方の範囲が電源電圧まで動作可能なタイプ)を用いても、入力に電源電圧を越える振幅の信号が入力された場合、出力信号に歪が発生する問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、単電源駆動で、歪が小さく、大振幅の信号出力電圧が得られるドライバ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、第1の反転型のドライバ用オペアンプの出力を第2の反転型のドライバ用オペアンプと非反転型のドライバ用オペアンプで受け、それらの出力を差動構成とする構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低電圧での単電源駆動でも、大振幅で、歪の小さい出力信号電圧が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるラインドライバ回路を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態2にかかるラインドライバ回路を示す図である。
【図3】従来の数百メートル以上の長距離の信号伝送路に適用可能なラインドライバの構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1にかかるラインドライバ回路を図1に示す。1は入力端子、2、3は出力端子、4は第1の反転型オペアンプ、5は第2の反転型オペアンプ、6は非反転型オペアンプ、7はトランス、8は正電源電圧VCC、9はアナロググランドAGND(VCC/2)、10はグランドGND(0V)を示す。
【0010】
次に回路動作について説明する。
第1の反転型オペアンプ4の入力抵抗Ri1、帰還抵抗Rf1を変え、アンプのゲインを調整することにより、後段の第2の反転型オペアンプ5及び非反転型のオペアンプ6の入力信号がRail to Rail Input電圧を超えることを回避でき、歪の発生を抑えた出力信号電圧が得られる。ここで、第1の反転型オペアンプ4のゲインG1は、G1=−Rf1/Ri1で与えられる。
【0011】
更に、第1の反転型オペアンプ4および第2の反転型オペアンプ5は、マイナス入力端子が仮想接地されるので、AGNDを中心に出力振幅が正負に振れ、入力電圧振幅が大きくなっても、歪の影響を小さくできる。
【0012】
第2の反転型オペアンプ5および非反転型オペアンプ6のゲインが同じになるように抵抗Ri2、Rf2、Rg3、Rf3を与えれば、それぞれの出力電圧は位相が180度異なり(正相、逆相で)、電圧値が同じ差動出力が得られる。ここで、第2の反転型オペアンプ5のゲインG2は、G2=−Rf2/Ri2で与えられ、非反転型オペアンプ6のゲインG3は、G3=1+Rf3/Rg3で与えられる。
【0013】
また、第2の反転型オペアンプ5および非反転型オペアンプ6のそれぞれの出力はトランスの1次側に入力されインピーダンス変換される。したがって、トランスの2次側の出力には、第2の反転型オペアンプ5と非反転型オペアンプ6の出力が加算されて、それぞれ単体のオペアンプ出力の2倍の振幅が得られる。
【0014】
以上述べたように、図1に示した回路構成を有する実施の形態1にかかるラインドライバ回路によれば、単電源駆動で、歪が小さく、大振幅の信号出力電圧が得られるという効果がある。
【0015】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2にかかるラインドライバ回路を図2に示す。図2のドライバンプは、図1のドライバンプの各オペアンプのエミッション特性(本回路から他機器へ放射される妨害の強度特性)を向上するため、フィルタを構成するよう容量、抵抗を付加した構成である。
【0016】
前段の第1の反転型オペアンプ4には容量Ci1、Cg1、抵抗Ri12を付加し、2次のローパスフィルタを構成している。後段の第2の反転型オペアンプ5および非反転型オペアンプ6にそれぞれ付加したCf2、Cg3は、不必要な周波数帯域をカットし、ノイズ減少を目的としたものである。
【0017】
周波数特性を除く基本的な動作およびその効果は、図1と同様である。
【0018】
図2に示した回路構成を有する実施の形態2にかかるラインドライバ回路によれば、単電源駆動で、歪が小さく、大振幅の信号出力電圧が得られるという効果がある。
【符号の説明】
【0019】
1 入力端子
2、3 出力端子
4 第1の反転型オペアンプ
5 第2の反転型オペアンプ
6 非反転型オペアンプ
7 トランス
8 正電源電圧VCC
9 アナロググランドAGND
10 グランドGND

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を第1の反転型オペアンプの入力端子に接続し、
前記第1の反転型オペアンプの出力端子を第2の反転型オペアンプの入力端子及び非反転型オペアンプの入力端子に接続し、
前記第2の反転型オペアンプの出力端子をトランスの1次側の一端に接続し、前記非反転型オペアンプの出力端子を前記トランスの1次側の他端に接続し、
前記第1及び第2の反転型オペアンプと前記非反転型オペアンプは単一の電源で駆動し、
前記トランスの2次側の一端と他端から出力を得る、
ことを特徴としたドライバ回路。
【請求項2】
前記第1の反転型オペアンプは、
オペアンプと、
該オペアンプの逆相入力端子と出力端子間に接続された第1の容量と、
前記オペアンプの逆相入力端子と第1のノード間に接続された第1の抵抗と、
前記第1のノードと前記オペアンプの出力端子間に接続された第2の抵抗と、
前記第1のノードと前記第1の反転型オペアンプの入力端子間に接続された第3の抵抗と、
前記第1のノードと第1の電位間に接続された第2の容量と、
前記オペアンプの正相入力端子と前記第1の電位間に接続された第4の抵抗とからなり、
前記第2の反転型オペアンプは、
オペアンプと、
該オペアンプの逆相入力端子と出力端子間に接続された第5の抵抗および第3の容量と、
前記オペアンプの逆相入力端子と前記第2の反転型オペアンプの入力端子間に接続された第6の抵抗と、
前記オペアンプの正相入力端子と前記第1の電位間に接続された第7の抵抗とからなり、
前記非反転型オペアンプは、
オペアンプと、
該オペアンプの逆相入力端子と出力端子間に接続された第8の抵抗と、
前記オペアンプの逆相入力端子と前記第1の電位間に接続された第9の抵抗と、
前記オペアンプの正相入力端子と前記第1の電位間に接続された第4の容量と、
前記オペアンプの正相入力端子と前記非反転型オペアンプの入力端子間に接続された第10の抵抗とからなる、
ことを特徴とした請求項1に記載のドライバ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−151680(P2012−151680A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9108(P2011−9108)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【Fターム(参考)】