説明

ナノ粒子含有複合材料およびこのクロマトグラフィーでの使用

本発明により、ナノ粒子含有新規多孔質材料、クロマトグラフィー分離への利用、この調製法、およびクロマトグラフィー材料を含む分離デバイスが記載される。詳細には、本開示は、以下の酸化物または窒化物から選択されるナノ粒子を包埋した多孔質無機/有機ハイブリッド粒子を記載する:炭化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、およびこれらの混合物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液体クロマトグラフィー(LC)の充填材料は、大きく2種類に分類される:例えばポリジビニルベンゼンなどの有機材料と、シリカを代表とする無機材料である。多くの有機材料は強塩基性および強酸性移動相に対して化学的に安定であり、移動相pHの選択に幅を持たせることができる。しかしながら、有機クロマトグラフィー材料では、一般に、効率の低いカラムとなり、特に低分子量分析物に対して不十分な分離能となってしまう。さらに、多くの有機クロマトグラフィー材料は、代表的なクロマトグラフィー用シリカのような機械強度を持たないだけでなく、移動相の組成が変化したときに収縮したり膨張したりする。
【0002】
主にこうした制約によって、シリカが高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で最も広く使用される材料となっている。最も一般的な用例では、有機官能基(オクタデシル(C18)、オクチル(C)、フェニル、アミノ、シアノなど)で表面誘導体化したシリカを用いる。HPLC用固定相として、こうした充填材料は効率が高く、しかも収縮または膨張の証拠を示さないカラムをもたらす。
【0003】
残留するシラノール基活性の問題(すなわち、分析物によっては、保持が長くなったり、ピークテーリングが過剰になったり、不可逆的に吸着されたりする。)およびシリカ系固定相の加水分解不安定性の問題を克服するため、高純度シリカの使用、炭素処理シリカ、重合体材料によるシリカ表面の被覆、短鎖試薬(トリメチルシランなど)による遊離シラノール基のエンドキャップ処理、および溶離液への抑制因子(アミンなど)の添加をはじめとする多くの方法が試されてきた。こうした試みは、実用で完全に満足がいくものであることを証明してはいない。
【0004】
米国特許番号4,017,528に開示される試みの1つは、「ハイブリッド」シリカを調製するプロセスに関するものであり、このプロセスではアルキル官能基をシリカの骨格と表面の両方にカップリングさせる。しかしながら、こうした材料で多くの問題が広く見られるままである。このような問題として、形態の不均一に伴う充填の問題、微細孔の不規則な形状および高密度による溶質物質移動の阻害、それによる不十分なピーク形状およびバンドの幅広さが挙げられる。
【0005】
こうした問題を回避するためにさらなる試みがなされているものの、依然として、こうした問題を解決しさらには利点(例えば、機械強度、カラム効率の上昇、およびクロマトグラフィー選択性)をもたらす代替材料が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,017,528号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、複合材料、クロマトグラフィー材料としてのこれらの使用(例えば、粒子およびモノリス状)、ならびにこうした材料を用いるデバイスおよびシステムを提供する。詳細には、本発明の複合材料は、重合体ネットワークの骨格マトリクス全体に分布したナノ粒子を含む。ある実施形態において、本発明の材料は、選択的クロマトグラフィー分離が可能な細孔幾何形状に加えて、向上した機械強度と改善された熱特性を有する。
【0008】
従って、本発明の1つの態様は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含む複合材料を提供する。この材料は、以下の式で表すことができる:
Np/(A)(B)(C)
式中:
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。
【0009】
本発明の別の態様は、複合材料を含むクロマトグラフィー材料を提供し、この複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含み、この複合材料はクロマトグラフィーに使用するのに適合させてある。
【0010】
本発明のさらなる態様は、本発明のクロマトグラフィー材料を含む分離デバイスまたは充填済クロマトグラフィーカラムを提供する。また、本発明は、この充填済クロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィーシステムを提供する。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、複合材料を含む多孔性ナノ複合粒子を提供し、この複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含む。この複合材料は、以下の式で表すことができる:
Np/(A)(B)(C)
式中:
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。
【0012】
本発明の別の態様は、複合材料を含む耐高圧性クロマトグラフィー粒子を提供し、この複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含む。この実施形態の粒子は、15,000psi(約103MPaを超える流体圧下で細孔構造を実質的に維持するようになっている。
【0013】
本発明のさらなる態様は、複合材料を含む熱特性向上クロマトグラフィー粒子を提供し、この複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含む。この実施形態の粒子は、複合材料の熱伝導を改善するようになっている。さらに別の態様において、本発明は、本発明による複合材料の調製法を提供し、この方法は、1種類以上のナノ粒子をポリオリゴマー型オルガノシロキサン中に分散させて分散混合物を形成することを含む。この方法はさらに、本発明による材料が調製されるように、分散混合物を加水分解的に縮合することを含む。
【0014】
本発明の別の態様は、本明細書中記載される複合材料を含むクロマトグラフィー材料を提供し、この複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含み、この複合材料はクロマトグラフィーに使用するのに適合させてある。
【0015】
別の態様において、本発明は、本明細書中記載されるいずれかの方法で調製された本明細書中記載される複合材料を提供する。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、クロマトグラフィーを用いた化合物の分離法を提供する。この方法は、化合物の混合物中の1種以上の化合物が混合物から分離されるように、適切なクロマトグラフィー条件下、化合物の混合物を本明細書中記載される複合材料にかける工程を含む。
【0017】
本発明のさらなる態様は、本明細書中記載される複合材料、およびクロマトグラフィー法で化合物の混合物を分離するための使用説明書を含むキットを提供する。
【0018】
本発明の別の態様は、分離の実行法を提供し、この方法は、化合物の混合物から少なくとも1種の化合物が分離されるように、本明細書中記載される複合材料を含む分離デバイスに混合物を通すことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】2種のTiO多形、鋭錐石型(4.8nmで77.5%)および板チタン石型(6.6nmで22.5%)の証拠となるX線回折(XRD)を示す試料6k。
【図2】試料7aのSEM画像/特性決定であり、真球度の高い粒子の形成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、重合体ネットワークの骨格マトリクス全体に分布したナノ粒子を含む独特な複合材料を提供する。こうしたナノ粒子の選択および分布は、得られる複合材料の物性(機械強度、熱特性、および細孔構造など)を制御することを可能にする。さらに、本発明は、選択した複合材料のクロマトグラフィー材料(例えば、粒子およびモノリス状)としての使用、この材料を含有する分離デバイス、ならびにこのような分離デバイスを用いるシステムを提供する。
【0021】
しかしながら、本発明をさらに記載する前に、本発明の理解をより容易にする目的で、便利なように最初にいくつかの用語について定義しまとめておく。
【0022】
1.定義
「からするのに適合させた」という言葉は、本明細書中、言及または列挙されるある性質を有することができるまたは有するように修飾される本発明の材料を記載するのに用いられる。例えば、「クロマトグラフィー材料として用いるのに適合させた」は、クロマトグラフィーに、より有利になるように修飾された本発明の材料を記載するのに用いられ、細孔の大きさ、表面修飾、組成、ナノ粒子の大きさ、および/またはナノ粒子組成などの性質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
「複合材料」という言葉および「複合体」という用語は、本明細書中記載される構成要素1種以上と分散したナノ粒子とが組み合わさって構成され、最終構造中、顕微鏡レベルにおいて、各構成要素/ナノ粒子は依然として別々に見分けられる状態にある本発明の設計材料を記載するのに、本明細書中相互交換可能に用いられる。本発明の複合材料は、形に左右されず、実際モノリス状であっても粒子状であってもよい。さらに、分散ナノ粒子を含有する複合材料を記載するのに本明細書中で使用される省略表現、Np/(A)(B)(C)は、以下のように理解され得る:斜線の左側の記号表記は分散ナノ粒子を表し、斜線の右側の記号表記はナノ粒子(斜線の左側に記されたもの)が分散した材料を構成する構成要素を表す。ある実施形態において、本発明の複合材料は、ナノ複合体であってもよく、既知ナノ複合体として少なくとも、例えば、ナノ/ナノ型、イントラ型、インター型、およびイントラ/インター型が挙げられる(Nanocomposites Science and Technology,edited by P.M.Ajayan,L.S.Schadler,P.V.Braun,Wiley−VCH(Weinheim,Germany),2003)。
【0024】
「クロマトグラフィー材料」という言葉は、当分野で認識されるとおりであり、化学混合物のクロマトグラフィー分離に用いるのに特に適したまたは適合させた材料を示す。ある実施形態において、本発明の材料はクロマトグラフィー材料として用いるのに適合させてある。
【0025】
「クロマトグラフィー分離」という言葉は、当分野で認識されるとおりであり、液体または気体で運ばれる化学混合物が、固定された液相または固相の周りを、またはそこを通って流れるうちに、溶質への分散の差の結果としてこの構成成分に分離されるプロセスを記載する。例えば本発明の材料に適したクロマトグラフィー分離として、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)を含む、順相HPLC、RP−HPLC、HILIC、および分子ふるいクロマトグラフィー(SEC)などの液体クロマトグラフィー(HPLCを含む。)法が挙げられるが、これらに限定されない。その他の適した分離法として、例えば、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)、中高圧液体クロマトグラフィー(FPLC)などをはじめとするさらなるHPLC法および関連する液体クロマトグラフィー技法が挙げられる。
【0026】
「クロマトグラフィー促進細孔幾何形状」という言葉は、例えば、当分野の他のクロマトグラフィー媒体とは区別されるとおりの、材料のクロマトグラフィー分離能を向上するとわかった、本明細書中記載されるある材料の細孔配置の幾何形状を含む。例えば、幾何形状は、形成、選択、または構築することができ、様々な性質および/または因子を用いて、例えば、当分野で既知または従来用いられている幾何形状と比較して、材料のクロマトグラフィー分離能が「向上」したかどうか求めることができる。こうした因子の例として、分離効率の高さ、カラム寿命の長さ、および物質移動性の良好さ(例えば、バンドの広がりが狭くなる、およびピークの形がよくなるなどで示されるように)が挙げられる。こうした性質は、当分野で認識される技法を用いて測定または観測することができる。例えば、本発明のある粒子のクロマトグラフィー促進細孔幾何形状は、「インクボトル型」または「シェル型」細孔幾何形状または形態が存在しないことにより、従来技術の粒子と区別することができる。「インクボトル型」および「シェル型」は、例えば、物質移動速度を減少させ効率低下を導くため、両方とも望ましくない。
【0027】
クロマトグラフィー促進細孔幾何形状は、微細孔を少ない割合でしか含有しない複合材料で見出される。微細孔の割合を減らすことは、材料の比表面積のうち、約34Å未満の直径の孔全部によるものが約110m/g未満である材料で達成される。微細孔表面積がこのように少ない材料は、分離効率の高さおよび物質移動性の良好さ(例えば、バンドの広がりが狭くなる、およびピークの形がよくなるなどで示されるように)をはじめとするクロマトグラフィーの促進をもたらす。微細孔表面積は、34Å以下の直径を持つ孔における表面積として定義され、多点窒素吸着分析により、BJH法を用い、等温線の吸着脚から求められる。
【0028】
「合体する」および「合体した」という用語は、適切な化学または物理プロセス(例えば、加熱)により複数の個別の構成要素が一体化して新たな1つの構成要素となった材料を記載するものとする。「合体した」という用語は、最終製品が個別の粒子を含む、物理的に密接した(例えば、ベッド構成で)個別の粒子の集りとは区別されるものとする。
【0029】
「分散した」および「分散」という用語は、本明細書中、ナノ粒子の本発明の複合材料中への分布を記載するのに用いられる。「分散した」という用語は、理にかなった一様または均一な分布、ならびに不均一な分布を含み、それぞれ本明細書中記載されるとおりの複合材料の調製法により生じ得るものであり得る(すなわち、ある実施形態において、統計的分布として説明することができる。)。特定の実施形態において、分散とは理にかなった均一分布である。
【0030】
「官能基化した」という用語は、本明細書中、官能化基を含有した本発明の材料を記載するのに用いられる。
【0031】
「官能化基」という用語は、クロマトグラフィー固定相に、あるクロマトグラフィー用官能性を与える有機官能基を含み、例えば、オクタデシル(C18)またはフェニルが挙げられる。このような官能化基は、例えば、表面改質剤(本明細書中開示されるものなど)に存在し、表面改質剤は、基礎材料に、例えば、誘導体化または塗布およびその後の架橋を介して結合して、表面改質剤の化学特性を基礎材料に付与する。実施形態において、そうした表面改質剤は、式Z(R’)Si−R(式中、Zは、Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ、例えば、ジメチルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホン酸塩であり;aおよびbは、それぞれ0から3の整数であるが、ただしa+b=3であり;R’は、直鎖、環状、または分岐鎖のC−Cアルキル基であり、Rは官能化基である。)を有する。R’は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、またはシクロヘキシルが可能である。特定の実施形態において、R’はメチルである。
【0032】
「ハイブリッド」という用語、すなわち、「ハイブリッド材料」で用いられるとおりのこの用語は、本明細書中、「無機/有機ハイブリッド材料」という言葉の略語として用いられ、有機官能基が内部または「骨格」無機構造ならびにハイブリッド材料表面の両方と統合されている無機系構造を有する材料を記載する。ハイブリッド材料の無機部分は、例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタンもしくは酸化ジルコニウム、またはセラミック材料が可能である。好適な実施形態において、ハイブリッド材料の無機部分は、シリカである。ハイブリッド材料の例は、米国特許番号4,017,528に示されており、この内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
「無機繰り返し単位」という言葉は、本発明の複合材料の、化学的に区別のつく無機構成成分または構成要素を記載する。特定の実施形態において、無機繰り返し単位は、記号「C」で表される。無機繰り返し単位は、1種以上の異なる形の無機繰り返し単位を含んでもよく、例えば、アルミナ、シリカ、チタン酸化物、セリウム酸化物、またはジルコニウム酸化物、およびセラミック材料からなる群より選択することができる。特定の実施形態において、無機繰り返し単位は以下のものが可能である:
【0034】
【化1】

【0035】
さらに、無機繰り返し単位は、本明細書中、複合材料のマトリクスに組込まれたこの形に基づいて記載されており、従って、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、およびテトラブトキシシラン、例えば、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシラン(これらはシリカの既知代理品である。)を含むことが理解されるはずである。例えば、一実施形態において、無機前駆体は、ケイ素、チタン、ジルコニウム、セリウム、またはアルミニウムの、オキシド、ヒドロキシド、エトキシド、メトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、sec−ブトキシド、tert−ブトキシド、iso−ブトキシド、フェノキシド、エチルヘキシルオキシド、2−メチル−2−ブトキシド、ノニルオキシド(nonyloxide)、イソオクチルオキシド、グリコール酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩(oxylate)、硝酸塩、クロリド、アミン、およびこれらの混合物からなる群より選択される。特定の実施形態において、無機前駆体は、メチルチタントリイソプロポキシド、メチルチタントリフェノキシド、チタンアリルアセトアセタートトリイソプロポキシド、チタンメタクリラートトリイソプロポキシド、チタンメタクリルオキシエチルアセトアセタートトリイソプロポキシド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリメトキシド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロリド、ジルコニウムメタクリルオキシエチルアセトアセタートトリ−n−プロポキシド、塩化セリウム、酢酸セリウム、およびシュウ酸セリウムの1つ以上からなる群より選択することができる。
【0036】
「モノリス」という用語は、当分野で認識されるとおりであり、一かたまり中に連続して相互接続した細孔構造を有する多孔質の三次元材料を記載する。「モノリス」という用語は、最終製品が個別の粒子を含む、ベッド構成で充填された個別の粒子の集りとは区別されるものとする。一実施形態において、本発明のモノリスは、前駆体を所望の形の型で成型することにより調製される。別の実施形態において、モノリスは合体粒子を含む。さらに別の実施形態において、モノリス材料は、クロマトグラフィーに用いることができる。すなわち、モノリスは、クロマトグラフィーに有用な材料、例えば、クロマトグラフィーカラムである。
【0037】
「ナノ粒子」という用語は、顕微鏡レベルの粒子/顆粒、または少なくとも一方向の寸法が約100nm未満(例えば、直径または粒子厚さが約100nm(0.1μm)未満)の顕微鏡レベルの粉末体/ナノ粉末体であり、結晶であっても非結晶であってもよい。ナノ粒子は、従来のバルク材料の性質とは異なる性質を有し、この性質はさらに優れていることが多い。このような性質として、例えば、さらに優れた強度、硬度、延性、焼結性、およびとりわけさらに優れた反応性が挙げられる。ナノ材料の性質を確定するために相当数の科学研究が注がれ続けているが、ナノ材料はコロイド沈殿、機械研削、および気相核生成および成長をはじめとする多数のプロセスにより少量で合成されてきた(主にナノサイズ粉末として)。幅広い総説が、ナノ相材料における最近の発展を報告しており、これらは参照により本明細書に組み込まれる:Gleiter,H.(1989)「Nano−crystalline materials,」Prog.Mater.Sci.33:223−315 and Siegel,R.W.(1993)「Synthesis and properties of nano−phase materials,」Mater.Sci.Eng.A 168:189−197。ある実施形態において、ナノ粒子は、以下の酸化物または窒化物を含む:炭化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、およびこれらの混合物。ある実施形態において、本発明のナノ粒子は、ダイヤモンド、酸化ジルコニウム(非晶質、単斜晶、正方晶、および立方晶形)、酸化チタン(非晶質、鋭錐石、板チタン石、およびルチル形)、アルミニウム(非晶質、α、およびγ形)、ならびに窒化ホウ素(立方晶形)から選択される。特定の実施形態において、本発明のナノ粒子は、ナノダイヤモンド、炭化ケイ素、二酸化チタン(鋭錐石形)、立方晶窒化ホウ素、およびこれらの任意の組合せから選択される。さらに、特定の実施形態において、ナノ粒子は、結晶性であっても非晶質であってもよい。特定の実施形態において、ナノ粒子は直径が100μm以下、例えば、直径が50μm以下、例えば、直径が20μm以下である。
【0038】
さらに、本発明の複合体に分散していることを特徴とするナノ粒子は外から加えられたナノ粒子を記載するものとして理解されるはずである。このナノ粒子は、in situで形成され得、この中で例えば巨大分子構造(粒子など)が、内部で形成された粒子の凝集体を含むことがあるナノ粒子、または推定ナノ粒子と明らかな類似性を含有する層と対照的である。
【0039】
ナノ粒子は、バルク材料と原子もしくは分子構造との間の有効な架け橋となるので、多いに科学的興味が持たれている。バルク材料は、この大きさに関係なく一定した物性を有するはずであるが、ナノスケールではこのことが当てはまらなくなることが多い。半導体粒子への量子閉じ込め、ある種の金属粒子の表面プラズモン共鳴、および磁性材料での超常磁性などの大きさに依存した性質が観測される。
【0040】
材料の性質は、この大きさがナノスケールに近づくと、また材料表面での原子の割合が大きくなると、変化する。1μmより大きいバルク材料については、表面での原子の割合は材料原子の総数に対して非常に少ない。ナノ粒子の興味深く時に予想外である性質は、一部には、バルク性質に代わってこの性質を支配する材料表面の態様によるものである。ある実施形態において、ナノ粒子の選択は、クロマトグラフィー材料の選択性に影響を及ぼす。例えば、TiOまたは酸化ジルコニウムの分散は、表面電荷、表面酸性度、従ってクロマトグラフィー選択性を修飾することができる。
【0041】
材料、構成要素、または物質を得るというような「得る」という用語は、購入すること、合成すること、またはその他の材料を取得することを含むものとする。本発明のある実施形態において、本発明の方法は、本発明の方法で用いる試料または試薬を得るさらなる工程を含む。
【0042】
「有機繰り返し単位」という言葉は、本発明の複合材料の、化学的に区別のつく炭化水素系構成成分または構成要素を記載する。有機繰り返し単位は、重合性または非重合性部分を含有することができ、多様な官能基(例えば、極性または非極性基)で官能基化することができる。ある実施形態において、有機繰り返し単位は記号「A」で表される。有機繰り返し単位は、1種以上の異なる形の有機繰り返し単位を含んでもよく、例えば、置換エチレン基が可能である。特定の実施形態において、「A」は、以下からなる群より選択され得る:
【0043】
【化2】

式中
kは3から6の整数であり;
mは1から20の整数であり;
nおよびpは、それぞれ独立して、0から10の整数であり;
Yは、O、S(O)0−2、NH、NR、NR(pが0の場合)、NR(pが0ではない場合)、またはNR(pが0の場合)であり、Xは任意のアニオン(例えば、Cl、OH、カーボネート)であり;
Qは、ハロゲン、N(C1−6アルキル)、N(C1−6アルキル)(C1−6アルキル−SO)、またはC(C1−6ヒドロキシアルキル)、−CH(OH)CH(OH)、OCHCH(OH)CH(OH)、
【0044】
【化3】

、または
【0045】
【化4】

であり;および
R、R、およびRはそれぞれ、独立して、HまたはC−C10アルキル基である。特定の実施形態において、各Rは、独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルが可能である。
【0046】
さらに、ある実施形態において、繰り返し単位Aは、重合(例えば、フリーラジカル重合)を起こすことができる1つ以上の重合性部分を有する多様な有機繰り返し単位試薬由来であることができる。具体的には、繰り返し単位Aは、多数のプロセスおよび機構によりオリゴマー化または重合することができる。このようなプロセスおよび機構として、連鎖付加プロセスおよび段階的縮合プロセス、ラジカル機構、アニオン機構、カチオン機構、開環機構、基移動機構、メタセシス機構、および光化学機構が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「有機シリル繰り返し単位」という言葉は、少なくとも1つの有機部分が直接ケイ素原子に結合して官能基化された、本発明の複合材料の化学的に区別のつくシラン系構成成分または構成要素を記載する(例えば、オルガノシロキサン(例えば、R’−Si(OR’’)4−q、式中、R’およびR’’は低級アルキル部分であり、qは、0から4の範囲の正の数である。))。有機部分は、重合性または非重合性官能基を含有することができる。ある実施形態において、この有機繰り返し単位は記号「B」で表され、1種以上の異なる形の有機シリル繰り返し単位を含んでもよく、例えば、オキシシリル置換アルキル基が可能である。
【0048】
一実施形態において、有機シリル繰り返し単位は、以下の式Iを有する:
((R(RSiO(I)
式中、
およびRは、それぞれ独立してC−C18アルコキシ、C−C18アルキル、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシ、またはC−C18ヘテロアリールであり;
は、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18へテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18ヘテロアリールであるか;存在せず;各Rは2個以上のケイ素原子に結合しており;
pおよびqは、それぞれ独立して0.0から3.0であり、
tは0.5、1.0、または1.5であり;
mは、1から20の整数であり;
、R、およびRは場合により置換されるが、ただし:
(1)Rが存在しない場合、m=1、およびp+q≦3ならばt=(4−(p+q))/2;および
(2)Rが存在する場合、m=2から20、およびp+q≦2ならばt=(3−(p+q))/2である。
【0049】
ある実施形態において、Rは存在せず、p+q=1ならばt=1.5であるか;p+q=2ならばt=1である。他の実施形態において、Rは存在し、p=0、qは0または1であり、q=0ならばt=1.5;またはq=1ならばt=1である。
【0050】
ある実施形態において、Rは存在しない。他の実施形態において、Rは存在する。Rが存在する式Iの一実施形態において、本発明は、式Iの有機シリル繰り返し単位を提供し、式中、pは0であり、qは0であり、tは1.5であり、mは2であり、Rは、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18へテロシクロアルキル、C−C18アリール、またはC−C18ヘテロアリールであり;各Rは2個以上のケイ素原子に結合している。
【0051】
が存在する式Iの他の実施形態において、本発明は、式Iの有機シリル繰り返し単位を提供し、式中、qは0であり、RはC−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18へテロシクロアルキル、C−C18アリール、またはC−C18ヘテロアリールであり;各Rは2個以上のケイ素原子に結合している。さらなる実施形態において、pは0、1、または2である。別のさらなる実施形態において、tは1.0または1.5である。別の実施形態において、mは1または2である。
【0052】
別の実施形態において、本発明の有機シリル繰り返し単位は以下の式IIを有する:
(R(RSiO(II)
式中、
およびRは、それぞれ独立して、C−C18アルコキシ、C−C18アルキル、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18へテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシ、またはC−C18ヘテロアリールであり;
pおよびqは、それぞれ独立して、0.0から3.0であるが、ただしp+q=1ならばt=1.5であり;p+q=2ならばt=1であり;p+q=3ならばt=0.5である。
【0053】
さらに別の実施形態において、本発明の有機シリル繰り返し単位は以下の式IIIを有する:
((RSiO(III)
式中、
は、C−C18アルコキシ、C−C18アルキル、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18へテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18アリールオキシ、またはC−C18ヘテロアリールであり;
は、C−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18へテロシクロアルキル、C−C18アリール、C−C18ヘテロアリールであるか、または存在せず;各Rは2個以上のケイ素原子に結合しており;
rは0、1、または2であるが、ただしr=0ならばt=1.5であり;r=1ならばt=1であり;r=2ならばt=0.5であり;および
mは、1から20の整数である。
【0054】
様々な実施形態において、本発明は、式IおよびIIの有機シリル繰り返し単位を提供し、式中、RはC−C18アルコキシ、C−C18アルキル、またはC−C18アルキルである。様々な実施形態において、本発明は、式I、II、およびIIIの有機シリル繰り返し単位を提供し、式中RはC−C18アルコキシ、C−C18アルキル、またはC−C18アルキルである。様々な実施形態において、本発明は式IおよびIIIの有機シリル繰り返し単位を提供し、式中、RはC−C18アルキル、C−C18アルケニル、C−C18アルキニル、C−C18シクロアルキル、C−C18へテロシクロアルキル、C−C18アリール、またはC−C18ヘテロアリールである。
【0055】
特定の実施形態において、有機シリル繰り返し単位は、以下からなる群より選択され得る:
【0056】
【化5】

【0057】
特定の実施形態において、有機シリル繰り返し単位は、以下からなる群より選択され得る:
【0058】
【化6】

【0059】
例えば、1つの特定の実施形態において、有機シリル繰り返し単位は、以下からなる群より選択され得る:
【0060】
【化7】

【0061】
例えば、1つの特定の実施形態において、有機シリル繰り返し単位は、以下からなる群より選択され得る:
【0062】
【化8】

式中、R、R、およびRは先に定義したとおりであり;XはC−C18アルコキシまたはC−C18アルキルであり;およびnは1から8である。
【0063】
ある実施形態において、単量体は1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタンである:
【0064】
【化9】

他の実施形態において、単量体は1,2−ビス(メチルジエトキシシリル)エタン:
【0065】
【化10】

または1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタンである:
【0066】
【化11】

【0067】
「繰り返し単位」という言葉は、本明細書中使用される場合、本発明の複合体の調製に用いられる反応体と対比して、および区別して、本明細書中記載される複合体の構成基を形成する単量体単位を記載する。例えば、本明細書中分類される繰り返し単位に到達することができ最終的に複合体の構成マトリクスの一部を形成する任意の反応体を用いることができる。さらに、本明細書中記載される繰り返し単位(有機(A)、オルガノシリル(B)、および無機(C))は、ランダム、ブロック、またはランダムとブロックの組合せとして並べられてもよい。Aは、1つ以上の繰り返し単位AまたはBに有機結合を介して共有結合した有機繰り返し単位である。Bは、1つ以上の繰り返し単位BまたはCに無機シロキサン結合を介して結合した有機シリル繰り返し単位であり、1つ以上の繰り返し単位AまたはBに有機結合を介してさらに結合していてもよい。Cは、1つ以上の繰り返し単位BまたはCに無機結合を介して結合した無機繰り返し単位である。
【0068】
「表面修飾した」という言葉は、本明細書中、表面改質剤でさらに置換または誘導化できる、有機基およびシラノール基両方を有する本発明の複合材料を記載するのに用いる。「表面改質剤」として、(代表的に)あるクロマトグラフィー用官能性をクロマトグラフィー固定相に付与する有機官能基を挙げられる。本明細書中に開示されるような表面改質剤は、例えば、誘導体化、または塗布とその後の架橋を介して基礎材料に結合させられ、表面改質剤の化学的特徴を基礎材料に付与する。一実施形態において、ハイブリッド材料(例えば、粒子)の有機基は、反応して、表面改質剤と有機共有結合を形成する。改質剤は、有機化学および重合体化学で周知の多数の機構を介して、材料の有機基と有機共有結合を形成することができる。このような機構として、求核反応、求電子反応、環化付加、フリーラジカル反応、カルベン反応、ナイトレン反応、およびカルボカチオン反応が挙げられるが、これらに限定されない。有機共有結合は、有機化学の一般的な元素間の共有結合の形成を含むと定義される。一般的な元素として、水素、ホウ素、炭素、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、およびハロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。また、炭素ケイ素および炭素酸素ケイ素結合は、有機共有結合として定義されるが、ケイ素酸素ケイ素結合は有機共有結合として定義されない。多様な合成変換が文献で周知である。例えば、March,J.Advanced Organic Chemistry,3rd Edition,Wiley,New York,1985を参照。
【0069】
「カラム効率を実質的に維持する」という言葉は、本明細書中、カラムのクロマトグラフィー材料が、指定条件組下におかれる前の自身の効率と比較して、この条件組下この90%超を維持する能力を記載するのに用いられる。
【0070】
「細孔構造を実質的に維持する」という言葉は、本明細書中、材料がクロマトグラフィーに有用であり続けるように、指定条件組下細孔構造が、この完全性を維持する能力を記載するのに用いられる。
【0071】
II.本発明の材料
A.複合体
従って、本発明の一実施形態は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位から選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含む複合材料を提供する。ある実施形態において、この材料は、以下の式で表される:
Np/(A)(B)(C)
式中:
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。1つの特定の実施形態において、例えば、xが1であるか、またはxが0.20でありyが0.8である場合、wは0である。別の特定の実施形態において、xは、0.04から1の範囲、例えば、0.04から0.50の範囲にある。
【0072】
このとおりであるので、本発明のある実施形態において、材料は以下の式で表すことができる:
Np/(B)(C)
式中:
xおよびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。1つの特定の実施形態において、xは1であるか、またはxは0.20でありyは0.8である。別の特定の実施形態において、xは、0から1の範囲、例えば、0.04から1、例えば、0.04から0.50の範囲にある。従って、さらに具体的な実施形態において、材料は、Np/B(例えば、式I、II、またはIIIの1つ以上で表され、式中、Rはエチレンである。)またはNp/C(例えば、式中、Cはシリカである。)のいずれかで表すことができる。
【0073】
複合材料の実施形態の例として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
(B)y(C)z 式中、B=O1.5SiCHCHSiO1.5およびC=SiO、およびy=0.2、z=0.8、またはyが0.2から1.0の場合zは0.8から0である;
(B)y(C)z 式中、B=O1.5SiCHCHSiO1.5およびC=SiO、およびy=0.2、z=0.8、またはyが0.2の場合zは0.8である;
(B)y(C)z 式中、B=O1.5SiCHCHSiO1.5およびy=1およびz=0;および
(B)y(C)z 式中、C=SiOおよびz=1およびy=0。
【0074】
例えば、本発明は、複合材料(例えば、本明細書中記載される複合材料)を含むクロマトグラフィー材料を提供し、この複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含み、この複合材料はクロマトグラフィーに使用するのに適合させてある。しかしながら、ある実施形態において、このクロマトグラフィー材料は以下の式で表される:
Np/(A)(B)(C)
式中:
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。
【0075】
本発明のナノ粒子は、例えば、以下のものの酸化物または窒化物を含むことができる:炭化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、およびこれらの混合物。さらに、特定の実施形態において、ナノ粒子は、結晶性であっても非晶質であってもよい。特定の実施形態において、ナノ粒子は直径が200μm以下、例えば、直径が100μm以下、例えば、直径が50μm以下、例えば、直径が20μm以下である。
【0076】
ナノ粒子が有する通常とは異なる性質のため、この粒子への関心が、この20年の間に高まっている。こうした性質は、概して粒子の表面積対体積比が大きいことに起因するが、粒子の大きさにも起因する。ナノ粒子は、いったん形成されると、本発明の複合体中に分散して新規複合材料(例えば、上記の式のもの)となる。特定の実施形態において、ナノ粒子はナノ複合体の<20重量%で存在し、例えば、ナノ複合体の<5重量%で存在する。
【0077】
ナノ粒子を含む本明細書中作り出される複合体の応用可能性として、耐摩耗性被膜、遮熱被膜、延性セラミックス、新規の電子および光学デバイス、ならびに触媒が挙げられるが、これらに限定されない。従って、周知のナノ粒子、ならびに特定の性質を、得られる複合体で達成するまたは複合体に与えるように選択および/または調製されたナノ粒子を含む複合体は、本発明の範囲内にあるものとする。例えば、本明細書中用いることができるナノ粒子として、金属(例えば、Pd、Cu、Fe、Ag、Ni)、金属間化合物(例えば、Al52Ti48)、および金属酸化物(例えば、TiO、Y、ZnO、MgO、Al)から作られた周知のナノ粒子が挙げられる。ある実施形態において、ナノ粒子は結晶性または非晶質である。
【0078】
ナノ粒子が分散した無機またはハイブリッド材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来するものが可能であり、qは0から4の範囲の正の数である。ある実施形態において、繰り返し単位A、B、またはCの少なくとも1種は、2種以上の繰り返し単位を含む混合物である。例えば、有機繰り返し単位Aは、2種以上の個別の繰り返し単位A’およびA’’からなるものが可能であり、A’およびA’’は、まとめて、繰り返し単位Aと称することができる。さらに、繰り返し単位およびナノ粒子の順序は、ランダム、ブロック、またはこれらの組合せが可能である。
【0079】
得られる材料は、粒子であってもモノリスであってもよい。このとおりであるので、特定の実施形態において、材料は粒子であり、この粒子は実質的に球状であっても非球状(例えば、不明瞭な粒子、顆粒状粒子、または凝集粒子)であってもよく、平均直径が約0.1から300μm、例えば、約0.1から30μm例えば、約0.1から20μmの、結晶性または非晶質のものが可能である。材料の細孔構造は、秩序(例えば、周期性がある。)があっても、無秩序(例えば、非結晶または非晶質)であってもよく、平均細孔直径が約20から5000Å、例えば、約20から2000Å、例えば、約30から1000Å、例えば、約60から400Å、例えば、約80から200Å、例えば、約90から15Åである。材料の比表面積は、約20から1100m/g、例えば、約80から500m/g、または約800から1100m/gであり、比細孔容積が約0.2から1.7cm/g、例えば、約0.6から1.3cm/gである。ある実施形態において、材料は、クロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有する。
【0080】
さらに、一実施形態において、本発明は、分子の順序に秩序があるか無秩序(例えば、非結晶または非晶質)かのいずれかであり、細孔構造に周期性がある細孔構造を有する多孔質球状粒子を提供する。本発明の粒子の平均細孔直径を制御した範囲にすることで、粒子内にクロマトグラフィーに有用な細孔構造分布を提供し、材料を幅広いクロマトグラフィー用途に用いることを可能にする。クロマトグラフィー用途として、小分子、ペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、高分子、およびその他巨大分子の分離が挙げられる。
【0081】
本発明はさらに、材料(例えば、粒子)を、有機基型表面改質剤、シラノール基型表面改質剤、重合体被膜型表面改質剤、およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される表面改質剤で表面修飾できるようにする。例えば、本発明は、材料(粒子など)を提供し、この粒子は有機基修飾およびシラノール基修飾の組合せで表面修飾されているか、シラノール基修飾で表面修飾されているか、重合体(例えば、Sylgard(登録商標))で表面修飾されている。ある実施形態において、表面改質剤は、式Z(RSi−R(式中、Zは、Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホナートであり;aおよびbは、それぞれ、0から3の整数であるが、ただしa+b=3であり;Rは、直鎖、環状、または分岐鎖のC−Cアルキル基であり;およびRは官能化基である。)を有する。特定の実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびシクロヘキシルからなる群より選択され、例えば、メチルである。
【0082】
官能化基Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、カチオンもしくはアニオン交換基、または包埋した極性官能基を含むことができる。適したR官能化基の例として、C−C20を含むC−C30アルキル(オクチル(C)、オクタデシル(C18)、およびトリアコンチル(C30)など);アルカリール(例えば、C−C−フェニル);シアノアルキル基(例えば、シアノプロピル);ジオール基(例えば、プロピルジオール);アミノ基(例えば、アミノプロピル);および極性官能基を包埋したアルキルまたはアリール基(例えば、米国特許番号5,374,755に開示されるものなどのカルバメート官能基)が挙げられる(この内容は、参照により本明細書に組み込まれる。)。このような基として、以下の一般式のものが挙げられる:
【0083】
【化12】

式中、l、m、o、r、およびsは、0または1であり、nは0、1、2、または3であり、pは0、1、2、3、または4であり、qは0から19の整数であり;Rは、水素、アルキル、シアノ、およびフェニルからなる群より選択され;およびZ、R’、a、およびbは、上記で定義されるとおりである。特定の実施形態において、カルバメート官能基は、以下に示す一般構造を有する:
【0084】
【化13】

式中Rは、例えば、シアノアルキル、t−ブチル、ブチル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、オクタデシル、またはベンジルが可能である。特定の実施形態において、Rは、オクチル、ドデシル、またはオクタデシルである。特定の実施形態において、表面改質剤は、オルガノトリハロシラン(オクチルトリクロロシランまたはオクタデシルトリクロロシランなど)、またはハロポリオルガノシラン(オクチルジメチルクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランなど)が可能である。
【0085】
別の実施形態において、材料の有機基およびシラノール基はどちらも表面修飾または誘導体化されている。別の実施形態において、粒子は重合体で被覆されて表面修飾されている。ある実施形態において、重合体で被覆することによる表面修飾は、シラノール基修飾、有機基修飾、またはシラノール基および有機基両方の修飾と組み合わせて用いられている。
【0086】
重合体被覆は、文献でも既知であり、一般に、本発明の材料表面に物理吸着した繰り返し単位の重合または重縮合による、重合体相と支持体との化学結合なしのもの(I型)、表面に物理吸着した繰り返し単位の重合または重縮合による、重合体相と支持体との化学結合ありのもの(II型)、物理吸着したプレポリマーの支持体への固定によるもの(III型)、および前合成された重合体の支持体表面への化学吸着によるもの(IV型)により、提供することができる。例えば、Hanson et al.,J.Chromat.A656(1993)369−380を参照のこと(この内容は、参照により本明細書に組み込まれる。)。上記のとおり、本発明の材料を重合体で被覆することは、本発明に記載される様々な表面修飾と組み合わせて用いることができる。
【0087】
「脂肪族基」という用語は、直鎖または分岐鎖の、代表的には炭素原子を1から22個有することを特徴とする有機化合物を含む。脂肪族基として、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基が挙げられる。複雑な構造では、鎖は分岐または架橋することができる。アルキル基として、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素が挙げられ、直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基が含まれる。このような炭化水素部分は、1個以上の炭素が、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アミノ、アルコキシ、アルキルカルボキシ、アルキルチオ、またはニトロ基で置換されてもよい。炭素数について特に記載がないかぎり、「低級脂肪族」は、本明細書中使用される場合、上記で定義されるとおりの脂肪族基を意味する(例えば、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル)が、ただし炭素原子を1から6個有するものとする。そうした低級脂肪族基(例えば、低級アルキル基)の代表は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−クロロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−アミノブチル、イソブチル、tert−ブチル、3−チオペンチルなどである。本明細書中使用される場合、「ニトロ」という用語は、−NOを意味する。「ハロゲン」という用語は、−F、−Cl、−Br、または−Iを示す。「チオール」という用語は、SHを意味する。「ヒドロキシル」という用語は−OHを意味する。従って、「アルキルアミノ」という用語は、本明細書中使用される場合、上記で定義されるとおりのアルキル基にアミノ基が結合したものを意味する。適したアルキルアミノ基として、1個から約12個の炭素原子、好ましくは1個から約6個の炭素原子を有する基が挙げられる。「アルキルチオ」という用語は、上記で定義されるとおりのアルキル基にスルフヒドリル基が結合したものを示す。適したアルキルチオ基として、1個から約12個の炭素原子、好ましくは1個から約6個の炭素原子を有する基が挙げられる。「アルキルカルボキシル」という用語は、本明細書中使用される場合、上記で定義されるとおりのアルキル基にカルボキシル基が結合したものを意味する。「アルコキシ」という用語は、本明細書中使用される場合、上記で定義されるとおりのアルキル基に酸素原子が結合したものを意味する。代表的なアルコキシ基として、1個から約12個の炭素原子、好ましくは1個から約6個の炭素原子を有する基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、アルキルと類似した不飽和脂肪族基を示すが、ただしこれらはそれぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含有する。適したアルケニル基およびアルキニル基として、2個から約12個の炭素原子、好ましくは1個から約6個の炭素原子を有する基が挙げられる。
【0088】
「脂環式基」という用語は、3個以上の炭素原子の閉環構造を含む。脂環式基として、飽和環状炭化水素であるシクロパラフィンまたはナフテン、2つ以上の二重結合を持つ不飽和のシクロオレフィン、および三重結合を有するシクロアセチレンが挙げられる。これらは芳香族基を含まない。シクロパラフィンの例として、シクロプロパン、シクロヘキサン、およびシクロペンタンが挙げられる。シクロオレフィンの例として、シクロペンタジエンおよびシクロオクタテトラエンが挙げられる。脂環式基は、縮合環構造および置換脂環式基(アルキル置換脂環式基など)も含む。脂環式基の例において、このような置換基としてさらに、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどを挙げることができる。
【0089】
「複素環基」という用語は、閉環構造で環の原子の1個以上が炭素以外の元素(例えば、窒素、硫黄、または酸素)であるものを含む。複素環基は、飽和または不飽和が可能であり、ピロールおよびフランなどの複素環基は、芳香族特性を有することができる。複素環基は、縮合環構造(キノリンおよびイソキノリンなど)を含む。複素環基の他の例として、ピリジンおよびプリンが挙げられる。複素環基は、構成原子1個以上を、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどで置換することができる。適したへテロ芳香族およびへテロ脂環式基は、一般に、1から3個の別個のまたは縮合した環を有し、環はそれぞれ三員から約八員であって1個以上のN、O、またはS原子を含む。例えば、クマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ、およびピロリジニルである。
【0090】
「芳香族基」という用語は、1個以上の環を含有する不飽和環式炭化水素を含む。芳香族基として、五員および六員の単環基が挙げられ、この基は0から4個のヘテロ原子を含んでもよい。例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどである。芳香族環は、環の一カ所以上で例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどで置換されてもよい。
【0091】
「アルキル」という用語は、飽和脂肪族基を含み、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基が挙げられる。ある実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、この中心骨格に30個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖ならC−C30、または分岐鎖ならC−C30)。ある実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、この中心骨格に20個以下(例えば、直鎖ならC−C20、または分岐鎖ならC−C20)、より好ましくは18個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、この環構造中に4から10個の炭素原子を有し、より好ましくはこの環構造中に4から7個の炭素原子を有する。「低級アルキル」という用語は、鎖中に1から6個の炭素を有するアルキル基、および環構造中に3から6個の炭素を有するシクロアルキルを示す。
【0092】
さらに、「アルキル」という用語(「低級アルキル」を含む。)は、本明細書および特許請求の範囲を通じて使用されるとおり、「無置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素で水素が置換基に置き換わっているアルキル部分を示す。このような置換基として、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシラート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスファート、ホスホナート、ホスフィナート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシラート、スルファート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、へテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはへテロ芳香族部分が挙げられる。炭化水素鎖に置換された部分は、適切ならばこれ自身が置換され得ることが、当業者に理解される。シクロアルキルは、例えば、上記の置換基でさらに置換することができる。「アラルキル」部分とは、例えば、1から3個の別個のまたは縮合した環と6から約18個の環炭素原子を有するアリールで置換したアルキルである(例えば、フェニルメチル(ベンジル))。
【0093】
「アリール」という用語は、五員および六員の単環芳香族基を含み、この基は0から4個のヘテロ原子を含んでもよい。例えば、置換または無置換の、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどである。アリール基は、多環式縮合芳香族基(ナフチル、キノリル、インドリルなど)も含む。芳香族環は、環の一カ所以上で、例えば、アルキル基について上記で記載したような置換基で置換することができる。適したアリール基として、無置換および置換フェニル基が挙げられる。「アリールオキシ」という用語は、本明細書中使用される場合、上記で定義されるとおりのアリール基に酸素原子が結合したものを意味する。「アラルコキシ」という用語は、本明細書中使用される場合、上記で定義されるとおりのアラルキル基に酸素原子が結合したものを意味する。適したアラルコキシ基は、1から3個の別個のまたは縮合した環と6から約18個の環炭素原子を有する(例えば、O−ベンジル)。
【0094】
「アミノ」という用語は、本明細書中使用される場合、式−NR(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、またはへテロシクリルであるか、またはRとRは、これらが結合した窒素原子と一緒になって、環に3から8個の原子を有する環式部分を形成する。)を有する無置換または置換部分を示す。従って、「アミノ」という用語は、他に記載がない限り、環式アミノ部分(ピペリジニルまたはピロリジニル基)を含む。「アミノ置換したアミノ基」は、アミノ基中のRおよびRの少なくとも1つがさらにアミノ基で置換されたものを示す。
【0095】
理論に縛られることは望まないが、本発明の材料は、実質的に空隙がない重合体マトリクスを有し、形成されたまたは形成される重合体のすき間にナノ粒子を埋め込むことにより形成されると思われる。ナノ粒子の組込みの際、個々の重合体を包埋するマトリクスとなり、このマトリクスは実質的に空隙および欠陥がないものとなる。このとおりであるので、本発明の有利な特徴は、個々の重合体間のすき間にナノ粒子を含浸する能力に関係する。
【0096】
本発明の材料および粒子は、ミクロサイズの粒子を用いた混合床充填剤(packings)で達成されるものと同様な熱特性の改善をもたらすが、ローディング容量は未修飾の多孔質充填床材料と同様である。本発明の材料および粒子は、材料が、移動相組成またはクロマトグラフィー実行条件に大きな変化を必要とせずに、シリカまたはハイブリッド粒子と同様なクロマトグラフィー実行パラメーター(すなわち、選択性、保持力、移動相組成)を有することで、表面金属化粒子と区別される。さらに、本発明の材料および粒子は、個々のナノ粒子が重合体ネットワーク内に均一または不均一にあるように骨格壁マトリクス全体に分散されていることで、部分縮合反応内で可溶性金属前駆体を有機官能性シランまたはテトラアルコキシシランと共縮合したハイブリッド粒子と区別される。さらに、ナノ粒子を含有する本明細書中記載される複合体は、ナノ複合体の結晶構造を変化させるのに通常用いられる高温を必要としないで調製される。例えば、金属アルコキシドから形成したTiOは、室温で通常非晶質である。300から500℃という温度を、この材料をアニーリングし鋭錐石構造の形成を開始させるのに用いることができる。>600℃の温度で、ルチル結晶形が成長し始める。しかしながら、非晶質TiOを用いた代表的なBCC’ハイブリッドにおいて、加熱して鋭錐石またはルチルを形成する場合、ハイブリッド基の熱分解が観測される。同じことがダイヤモンド(超高温高圧および時間をかけて、または爆発により形成される。)および立方晶窒化ホウ素にも言える。本明細書中記載される、ナノ粒子を加える新規アプローチは、ハイブリッド材料を分解することなくこの種の材料を添加する唯一の方法である。
【0097】
熱特性の改善は、本発明の複合体のある実施形態(例えば、ナノ粒子ダイヤモンド)の優れた熱伝導につながる。理論に縛られることは望まないが、例えば、ダイヤモンドはカラムから壁面への熱移動を助け、カラムの熱勾配を小さくすると思われる。カラムの熱勾配は粒子が小さくなるかカラム直径が大きいほどカラムの性能を下げる可能性がある。
【0098】
一実施形態において、材料の無機またはハイブリッド構成要素含量およびナノ粒子含量を制御することにより、材料(例えば、多孔質材料)が提供される。特定の多孔質材料に最適な配合は、乳濁液の大きさ、粘度、温度および/または他の添加物(界面活性剤または安定剤など)の存在に依存し得る。安定剤を乳濁液に添加して、安定期間を延ばすことができ、安定剤は通常乳濁液に溶解し乳濁液を粘性にする重合体である。ある実施形態において、本発明の多孔質材料の無機またはハイブリッド構成要素含量は、添加物の存在に依存して、約25%から約99.999%の範囲である。他の実施形態において、無機またはハイブリッド構成要素含量は、約25%から約50%、または約25%から約35%の範囲が可能である。他の実施形態において、無機またはハイブリッド構成要素含量は、約40%から約85%の範囲である。ある実施形態において、無機またはハイブリッド構成要素含量は、約50%から約75%の範囲である。他の実施形態において、無機またはハイブリッド構成要素含量は、約90%から約99.9%の範囲である。ある実施形態において、無機またはハイブリッド構成要素含量は、約95%から約99%の範囲である。ナノ粒子の合計量は、多孔質材料の重量に基づいて、約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約1.0重量%から約10重量%の範囲が可能である。
【0099】
ある実施形態において、例えば、本発明の方法で調製したクロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有する本発明の材料は、一般に、N吸着分析で測定して、約50から800m/g、詳細には約75から600m/g、より詳細には約100から200m/gの比表面積を有する。粒子の比細孔容積は、一般に約0.25から1.5cm/g、詳細には約0.4から1.2cm/g、より詳細には約0.5から1.0cm/gである。クロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有する本発明の材料は、一般に約50から500Å、詳細には約60から500Å、より詳細には約100から300Åの平均細孔直径を有する。微小孔表面積は、約110m/g未満、詳細には約105m/g未満、より詳細には約80m/g未満、さらにより詳細には約50m/g未満である。
【0100】
III.本発明の材料の応用
本発明の材料は、その他に記載される応用の中でも、少なくとも以下のような商業利用で有用となり得る:クロマトグラフィー(UPLC、HPLC)カラム用充填剤、クロマトグラフィーカートリッジ、プレートまたは特殊化生体分子分離キット、封鎖試薬、コンビナトリアルケミストリー用固体支持体、オリゴ糖合成、ポリペプチド合成、および/またはオリゴヌクレオチド合成用固体支持体、固体支持した生体アッセイ、質量分析用キャピラリー生体アッセイデバイス、制御された巨大孔重合体フィルム用テンプレート、キャピラリークロマトグラフィー、電気運動ポンプ充填材料、重合体添加物、触媒支持体、およびマイクロチップ分離デバイス用充填材料。
【0101】
詳細には、多孔質材料(例えば、粒子)は、分離科学で多様な最終用途を有する。このような用途は、クロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有する多孔質無機/有機ハイブリッド粒子を含む固定相を有する、例えば、クロマトグラフィーカラム用充填材料(このようなカラムはアルカリ性移動相に対して安定性を改善し塩基性分析物のピークテーリングを減少させ得る。)、薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート、固相抽出デバイス、ろ過膜、マイクロタイタープレート、スカベンジャー樹脂、固相有機合成支持体などである。固定相は、特定のデバイスの必要条件に依存して、充填、被覆、含浸などにより導入することができる。特定の実施形態において、クロマトグラフィーデバイスは、HPLCおよびUPLCに通常用いられるものなどの充填済みクロマトグラフィーカラムである。
【0102】
そうであるので、本発明の一実施形態は、複合材料を含む本発明で提供されるクロマトグラフィー材料を提供し、この複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含み、式中qは0から4の範囲の正の数である。ある実施形態において、クロマトグラフィー材料は、以下の式で表すことができる:
Np/(A)(B)(C)
式中
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。特定の実施形態において、材料は特定の分離デバイスで用いるのに適合させる。例えば、材料は、液体クロマトグラフィー固定相;封鎖試薬;コンビナトリアルケミストリー用固体支持体;オリゴ糖合成、ポリペプチド合成、またはオリゴヌクレオチド合成用固体支持体;生体アッセイ用固体支持;質量分析用キャピラリー生体アッセイデバイス;制御された巨大孔重合体フィルム用テンプレート;キャピラリークロマトグラフィー固定相;電気運動ポンプ充填材料;重合体添加物;触媒;またはマイクロチップ分離デバイス用充填材料として用いるのに適合させることができる。1つの特定の実施形態において、材料はHPLCまたはUPLC固定相として用いるのに適合させてある。
【0103】
そうであるので、本発明の一実施形態は、本発明の材料(例えば、本発明のクロマトグラフィー材料)を含む分離デバイスを提供する。例えば、このデバイスは、クロマトグラフィーカラム、薄層プレート、固相抽出デバイス、ろ過膜、試料クリーンアップデバイス、およびマイクロタイタープレートから選択することができる。
【0104】
本発明の別の実施形態は、本発明の材料(例えば、本発明のクロマトグラフィー材料)を含有する充填済みクロマトグラフィーカラム、ならびにこの充填済みクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィーシステムを提供する。
【0105】
別の実施形態において、本発明は、多孔質ナノ複合粒子(例えば、ほぼ球状の粒子)を提供し、この複合粒子は有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に含み、この材料は以下の式で表される:
Np/(A)(B)(C)
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
qは0から4の範囲の正の数であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。上記で記載されるとおり、粒子は特に有利な性質を有することができ、このような性質として、圧力耐性の向上(すなわち、機械強度が高まっている。)および/または熱特性向上が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、調製した粒子は、機械強度が高まっており、有機溶媒で膨潤しない。
【0106】
この様式において、本発明の別の実施形態は、複合材料を含む耐高圧性クロマトグラフィー粒子を提供し、この複合材料は有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内にナノ粒子を含み、この粒子は、15,000psi(約103MPa)を超える流体圧、例えば、約20,000psi(約137MPa)から約100,000psi(約689MPa)の範囲の流体圧で細孔構造を実質的に維持することができる。そうであるので、ある実施形態において、粒子はUPLCに使用できる。さらに、さらなる実施形態において、本発明は、例えば、内径2ミクロン未満を有しこれらの粒子を充填した高性能UPLCカラムを提供する。「高性能」という言葉は、UPLCに有用な既知の混合床充填済みカラムと同等なローディング容量で熱特性が改善されているUPLCカラムの特性を記載する。
【0107】
さらなる実施形態において、本発明は、複合材料を含む熱特性の向上したクロマトグラフィー粒子を提供し、この複合材料は有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内にナノ粒子を含み、この粒子は複合材料の熱電動を改善するように適合している。ある実施形態において、複合材料は200℃を超える温度でカラム効率を実質的に維持するように適合させてある。
【0108】
熱特性の向上した粒子または耐高圧性粒子は、ある実施形態において、直径が2μm未満の粒子を含むことができる。さらに、ナノ粒子は、炭化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、これらの酸化物、およびこれらの窒化物からなる群より選択される部分を1つ以上含む物質が可能である。特定の実施形態において、複合材料は以下の式で表される:
Np/(A)(B)(C)
式中
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。さらなる特定の実施形態において、粒子の空隙率は、0.3cc/gより大きく、例えば、1.0cc/gより大きく、例えば、約1.0cc/gから2.0cc/gの範囲である。特定の実施形態において、粒子の空隙率は0.3から0.8cc/gの範囲である。
【0109】
さらに別の態様において、本発明は複合材料を含む多孔質ナノ複合モノリスを提供し、この複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含む。この材料は以下の式で表すことができる:
Np/(A)(B)(C)
式中
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。
【0110】
さらなる実施形態において、本発明は、クロマトグラフィーを用いて化合物を分離する方法を提供する。この方法は、適切なクロマトグラフィー条件下、化合物の混合物中の1種以上の化合物が混合物から分離されるように、化合物の混合物を本明細書中記載される複合材料に添加する工程を含む。化合物の混合物の添加は、任意の当分野で認識される技法により達成することができる。特定の実施形態において、化合物の混合物は、クロマトグラフィーに用いられる複合材料の特定の分離性質(例えば、極性、疎水性、親水性、または特定の誘導体化)に基づいて選択される。ある実施形態において、この方法はさらに、複合材料を得ることを含む。ある実施形態において、この方法はさらに、複合材料を含む分離デバイスを調製する工程を含む。特定の実施形態において、化合物の混合物は複合材料を含有する分離デバイスに添加され、このような分離デバイスとして、クロマトグラフィーカラム、薄層プレート、固相抽出デバイス、ろ過膜、試料クリーンアップデバイス、およびマイクロタイタープレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本発明の別の実施形態は、分離の実行法を提供し、この方法は、少なくとも1種の化合物が化合物の混合物から分離されるように、本明細書中記載される複合材料を含む分離デバイスに化合物の混合物を通すことを含む。化合物の混合物は、例えば、生物によりまたは合成で生成した任意の源に由来するものが可能である。ある実施形態において、分離した化合物は、この化合物が顕著に濃縮されているか完全に分離されたものである。さらに、「通す(running)」という用語は、当分野で認識される用語であり、移動相を用いて化合物混合物をクロマトグラフィー媒体固定相を通過させるプロセスを示す。
【0112】
本発明のさらなる実施形態は、本明細書中記載される複合材料、およびクロマトグラフィー法で化合物の混合物を分離するための使用説明書を含むキットを提供する。ある実施形態において、説明書は、クロマトグラフィー(例えば、本明細書中記載されるようなもの)を用いて化合物を分離する方法で複合材料を用いる指示を提供する。特定の実施形態において、キットはさらに分離デバイスを含む。
【0113】
VI.調製法
さらなる実施形態において、本発明は、本発明の複合材料の調製法を提供する。この方法は、本発明の材料が調製されるように、1種類以上のナノ粒子をポリオリゴマー型オルガノシロキサン中に分散させて分散混合物を形成すること、および分散混合物を加水分解して縮合することを含む。ある実施形態において、ポリオリゴマー型オルガノシロキサンは、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;無機繰り返し単位;およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される一種以上の構成要素の部分縮合から形成される。特定の実施形態において、本発明は、ポリオリゴマー型オルガノシロキサン中に分散した一種以上のナノ粒子(<20重量%)の加水分解縮合により合成された多孔質材料(例えば、粒子)を提供し、ポリオリゴマー型オルガノシロキサンは、部分縮合有機官能性シラン、テトラアルコキシシラン、2種以上の有機官能性シランの混合物、または1種以上の有機官能性シランとテトラアルコキシシラン、例えば、テトラエトキシシランまたはテトラメトキシシランとの混合物からなる。ある実施形態において、調製した材料はクロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有する。
【0114】
ある実施形態において、ポリオリゴマー型オルガノシロキサン(POS)は、あらかじめ作られており、分散混合物は、ナノ粒子をポリオリゴマー型オルガノシロキサンに加え、得られる混合物を振盪して分散混合物を形成することで、調製される。例えば、実施例3を参照。振盪は、磁気混合、機械混合、回転子/固定子混合、または超音波処理で行なうことができる。遠心分離またはろ過を用いて、大きいナノ粒子または凝集した材料を除去することができる。
【0115】
ある代替実施形態において、ポリオリゴマー型オルガノシロキサンは、あらかじめ作られており、分散混合物は、ナノ粒子のスラリー(例えば、ナノ粒子のスラリーが、水性スラリー、アルコールスラリー、エーテルスラリー、またはこれらの組合せからなる群より選択される場合)をポリオリゴマー型オルガノシロキサンに加え、得られる混合物を振盪して分散混合物を形成することで、調製される。例えば、実施例4を参照。特定の実施形態において、スラリーの共溶媒(例えば、水、アルコール、またはエーテル溶液)は、大気圧蒸留または減圧蒸留により除去されNp/POSを生成する。他の特定の実施形態において、共溶媒は除去されず、ナノ粒子のPOS/共溶媒(例えば、水、アルコール、またはエーテル)分散体を形成する。振盪は、磁気混合、機械混合、回転子/固定子混合、または超音波処理で行なうことができる。遠心分離またはろ過を用いて、大きいナノ粒子または凝集した材料を除去することができる。
【0116】
あるさらなる代替実施形態において、分散混合物は、ポリオリゴマー型オルガノシロキサンを形成する縮合反応物にナノ粒子を加え、得られる混合物を振盪して分散混合物を形成することで、調製される。例えば、実施例2を参照。振盪は、磁気混合、機械混合、回転子/固定子混合、または超音波処理で行なうことができる。遠心分離またはろ過を用いて、大きいナノ粒子または凝集した材料を除去することができる。
【0117】
例えば、有機繰り返し単位は、以下からなる群より選択される有機オレフィン繰り返し単位の反応により、材料に組込まれる:ジビニルベンゼン、スチレン、ビニルベンジルクロリド、エチレングリコールジメタクリラート、1−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニルカプロラクタム、tert−ブチルメタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ブチルアクリラート、エチルアクリラート、メチルアクリラート、2−(アクリルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリラート、3−(アクリルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパンエトキシラートトリアクリラート、トリス[(2−アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌラート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イタコン酸、メタクリル酸、トリメチルシリルメタクリラート、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、
【0118】
【化14】

【0119】
このアプローチで用いることができる有機シリル繰り返し単位の例として、以下が挙げられる(が、これらに限定されない。):ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(メチルジエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エテン、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、および3−シアノブチルトリエトキシシラン。プロトン化脱シリル反応(protodesilylation)、脱保護、または分解により反応することがわかっている反応性オルガノアルコキシシランを用いることも、ハイブリッド粒子に多孔性を導入するのに有用であり得る。プロトン化脱シリル反応、脱保護、または分解によりハイブリッド粒子に多孔性を導入することができるオルガノアルコキシシランを挙げると、以下のとおりである(が、これらに限定されない。):フェニルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アセチルオキシエチルトリメトキシシラン、クロロエチルトリエトキシシラン、およびフルオロトリエトキシシラン。このアプローチで用いて粒子枠組み内に有機結合(例えば、フリーラジカル重合)および無機シロキサン結合の両方を形成することができるアルケン置換したオルガノアルコキシシランの使用として、以下が挙げられる(がこれらに限定されない。);メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、O−(メタクリルオキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、N−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピル(propy)メチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、
【0120】
【化15】

式中、各Rは、独立して、HまたはC−C10アルキル基であり、R’は、独立して、HまたはC−C10アルキル基である。特定の実施形態において、各Rは、独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルである。別の特定の実施形態において、R基は全て同一であり、水素、メチル、エチル、またはプロピルからなる群より選択される。
【0121】
本発明のナノ粒子は、市販のものでもよいし、周知の技術を用いて調製したものでもよい。ナノ粒子形成技術として、化学および物理蒸着;機械摩擦;気相熱分解および凝結;電着;低温化学合成;レーザー熱分解;ゲル合成;および、例えば、水熱処理または熱処理の使用を通じた材料の分子配列/結晶性の変更が挙げられる。例えば、摩擦では、マクロまたはミクロ規模の粒子を、ボールミル、遊星ボールミル、またはその他の大きさ縮小機構で粉砕する。得られる粒子を空気分級してナノ粒子を回収する。熱分解では、有機前駆体(液体または気体)を開口部から高圧で噴き出して燃焼させる。得られる灰を空気分級してオキシドナノ粒子を回収する。
【0122】
熱プラズマも、数マイクロメートル規模の粒子の蒸発を引き起こすのに必要なエネルギーを送達することができる。熱プラズマ温度は、10000Kのオーダーにあるので、固体粉末は容易に蒸発する。プラズマ領域から出て冷えるとナノ粒子が形成される。ナノ粒子を製造するのに用いられる熱プラズマトーチの主な種類は、dcプラズマジェット、dcアークプラズマ、および高周波(RF)誘導プラズマである。アークプラズマ反応器では、蒸発および反応に必要なエネルギーは、アノードとカソードの間に形成される電気アークで提供される。例えば、シリカ砂は、大気圧でアークプラズマにより蒸発させることができる。得られるプラズマガスとシリカ蒸気の混合物は、酸素でクエンチすることにより急冷することができ、生成したフュームドシリカの品質をこうして確保する。RF誘導プラズマトーチでは、プラズマとのエネルギー結合は、誘導コイルにより生じる電磁場を通じて達成される。プラズマガスは電極と接触することはなく、こうして混入の原因となる可能性を排除し、そうしたプラズマトーチを幅広い気体(不活性雰囲気、還元雰囲気、酸化雰囲気、およびその他腐食性雰囲気など)で操作できるようにする。作業周波数は、代表的には200kHzから40MHzの間である。実験室規模の設備は、30から50kWのオーダーの出力レベルで稼働するが、大規模な産業規模の設備は、上限1MWになる出力レベルで試験されてきている。注入した供給液滴のプラズマ滞留時間は非常に短いため、蒸発を完全にする目的で、液滴の大きさを十分に小さくすることが重要である。RFプラズマ法は、異なるナノ粒子材料を合成するのに、例えば、様々なセラミックナノ粒子(TiおよびSiの、酸化物、カーボール(carbours)/炭化物、および窒化物など)の合成に、用いられてきた。
【0123】
さらに、材料による分類の他に、各材料内で、ナノ粒子には同定可能な/他と区別される特性が様々に存在し得る。例えば、ダイヤモンドナノ粒子、すなわちナノダイヤモンド(NDと示す。)には、合成単結晶性ダイヤモンド(SMD)、合成多結晶性ダイヤモンド(SPD)、超分散ダイヤモンド(UDD)、超ナノ微結晶ダイヤモンド(UNCD)、超微細ダイヤモンド(UFD)、ならびに天然ダイヤモンドとも呼ばれるものがある。ナノダイヤモンドは、結晶性および非晶質ダイヤモンド様材料を含むことができる。一方SMDは超高温高圧下で金属触媒を用いて調製される。その他の種類のダイヤモンド(SPD、UDD、UFD)は、高エネルギー爆発物(トリニトロトルエンなど)を用いて調製される。Xiangyang Xu,Zhiming Yu,Yongwei Zhu,Baichun Wang,Diamond & Related materials,14(2005)206−212。Nicholas Tumavitch,R&D Magazine,11(2005)35。合成条件に依存して、ナノダイヤモンドの大きさ、集団化、および不純物レベルが変化し得る。結果として、様々な商業等級のナノダイヤモンド純度が存在し、様々な精製(硝酸を用いた酸化、または強酸(塩酸など)処理の利用を含む。)を行なうことができる。「Ultra Nanocrystalline Diamond:Synthesis,Properties,and Applications」,as part of Material Science and Process Technology Series,Edited by Olga A.Shenderova,Dieter M.Gruen,William Andrew Publishing(Norwich,NY),2006。
【0124】
ナノダイヤモンドは、湿式製粉、超音波処理、破砕機、および回転子固定子ミキサーをはじめとする多数の方法により、溶媒に分散させることができる。ナノダイヤモンド分散体の品質および安定性は、一次または二次溶媒の性質、酸または塩基の濃度、塩濃度、表面電荷(またはゼータ電位)および界面活性安定剤の使用に大きく依存する。Xiangyang Xu,Zhiming Yu,Yongwei Zhu,Baichun Wang,Diamond & Related Materials,14(2005)206−212。Masaki Ozawa,Masayasu Inaguma,Makoto Takahashi,Fumiaki Kataoka,Anke Kruger,Eiji Osawa,Advanced Materials,19(2007),1201−1206。
【0125】
ナノダイヤモンドの表面は、多数の異なる様式で修飾することができる。酸化、電気化学的方法、金属(例えば、パラジウム)の表面沈着、およびアンモニアの表面処理を用いて、ナノ粒子表面を修飾することができる。疎水性ナノダイヤモンド材料を作るために、重合体添加物(例えば、ポリジメチルシロキサンおよびポリイソプレン)またはトリメチルシリル基と表面活性基(アルコール、アミン、またはカルボン酸を含む。)とのシリル化反応を用いることができる。「Ultra Nanocrystalline Diamond:Synthesis,Properties,and Applications」,as part of Material Science and Process Technology Series,Edited by Olga A.Shenderova,Dieter M.Gruen,William Andrew Publishing(Norwich,NY),2006,pages 371−374。
【0126】
加水分解縮合は、酸または塩基により触媒されてもよい。特定の実施形態において、この縮合は、酸に触媒され、例えば、酸は、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、およびリン酸からなる群より選択される。他の特定の実施形態において、縮合工程は塩基に触媒され、例えば、塩基は、水酸化アンモニウム、I族およびII族金属の水酸化物塩、I族金属の炭酸塩および炭酸水素塩、ならびにI族およびII族金属のアルコキシド塩からなる群より選択される。
【0127】
縮合反応に関して、縮合は、本発明に従って縮合を起こすのに適した任意の溶媒中で行なうことができる。溶媒の例として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、シクロヘキサン、石油エーテル、ジエチルエーテル、ジアルキルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン、塩化メチレン、クロロホルム、およびこれらの組合せ。さらに、縮合の工程は全て、同一反応容器中で行なうことができる。
【0128】
材料の細孔構造は、界面活性剤または異なる界面活性剤の組合せをさらに含むことにより、および前記材料に水熱処理を施すことにより、修飾することができる。界面活性剤または界面活性剤の組合せの例として、Triton X−45、Triton X−100、Triton X−165、Triton X−305、TLS、Pluronic F−87、Pluronic P−105、Pluronic P−123、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、Triton X−405、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンラウリルスルファート、およびこれらの組合せからなる群より選択することができる。さらに、細孔構造は、ポロゲン(porogen)を添加するさらなる工程を用いることにより修飾することができる。ポロゲンとして、シクロヘキサノール、トルエン、メシチレン、2−エチルヘキサン酸、フタル酸ジブチル、1−メチル−2−ピロリジノン、1−ドデカノール、およびTriton X−100が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
ある実施形態において、前重合工程は、酸触媒の存在下、1種以上の構成要素を加水分解することを含み、オルガノアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、またはナノ粒子(例えば、前重合工程中に存在する場合)の含量は、様々であり得る。加水分解するのに用いる水の量は、様々であり得る(例えば、シラン1モルあたり1.1から1.4モル)。得られる混合物は、均一溶液を形成し、この溶液をアルゴンまたは窒素流下、撹拌しながら加熱還流させる。前重合してポリオルガノアルコキシシロキサン(POS)(例えば、ポリアルキルアルコキシシロキサン)を形成するのに十分な時間の間、溶液を還流させた後、溶媒および副生成物(例えば、エタノール)を、反応液から留去する。その後、残渣を不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)の雰囲気中、一定時間(例えば、0.5から48時間)の間、高温(例えば、45から85℃の範囲で)で加熱する。残渣を、95℃から120℃で、例えば、1から3時間、大気圧下または減圧下(例えば、10−2から10−3torr)で、さらに加熱して任意の揮発性種を除去する。または、POS形成後に追加溶媒有りまたは無しでナノ粒子を添加することができ、そうした追加溶媒は(存在するならば)除去してもしなくてもよい。
【0130】
特定の実施形態において、次の工程は、POSを、水およびアルコール(エタノールまたはブタノールなど)を含有する微小ビーズ溶液に、45から65℃で、振盪により懸濁させることを含むことができる。溶液中のアルコールの体積割合は、10から20%で様々である。界面活性剤(Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−165、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル(docecyl)硫酸アンモニア、またはドデシル(docecyl)硫酸TRISなど)を、懸濁剤として懸濁液に加える。理論に縛られることは望まないが、界面活性剤は、POSビーズと水相の疎水性/親水性界面で配向してPOSビーズを安定させることができると思われる。界面活性剤は、ゲル化工程の間この親水性基を通じて、POSビーズの表面の水および塩基触媒の濃縮を促進することもでき、これによりPOSビーズの表面から中心へのゲル化を誘導する。POSビーズの表面構造を修飾するために界面活性剤を使用することで、ゲル化プロセス全体を通じてPOSビーズの形状を安定させることができ、不規則な形状(例えば、「シェル型」)および不均一な形態を有する粒子の形成を最小限にまたは抑制する。
【0131】
POS単独のかわりに、POSおよびポロゲンを含有する溶液を水相に懸濁させることも可能である。ポロゲンは、水相に溶解せず、ゲル化工程の間POSビーズに残留して細孔構造を修飾するように機能する。ポロゲンの例として、トルエンおよびメシチレンが挙げられるが、これらに限定されない。POS/トルエン溶液のトルエンの相対量を制御することにより、最終ハイブリッド粒子の細孔容積を正確に制御することができる。これにより、大きい細孔容積(例えば、0.25から1.5cm/g)を有するハイブリッド粒子の調製が可能になる。
【0132】
ゲル化工程は、塩基性触媒(例えば、水酸化アンモニウム)をPOS懸濁液に加えることにより開始することができる。その後、反応液を撹拌して反応を完了させる。ある実施形態において、塩基性触媒は水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムである。粒子を単離して水で洗う。縮合反応は、形成したハイブリッド粒子を、1から4日間還流下で、水性酸懸濁液(例えば、塩酸)に再分散させることによりさらに進めることができる。このようにして調製した新鮮なハイブリッド粒子をろ過し、アンモニウムイオンを含まない水およびメタノールで洗い、次いで乾燥させる。
【0133】
本発明の材料の調製法は、フリーラジカル重合開示剤を加える工程をさらに含むことができる。フリーラジカル重合開示剤の例として、以下からなる群より選択することができる:2,2’−アゾビス−[2−(イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−プロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、過酸化ベンゾイル、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−ヘキシン、ビス(1−(tert−ブチルペルオキシ)−1−メチル(methy)エチル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルアセタート、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾアート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボナート、クメンペルオキシド、シクロヘキサノンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,4−ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、および過硫酸カリウム。さらに、特定の実施形態において、調製法は、フリーラジカル重合開始剤の添加に続いて加熱の工程をさらに含むことができる。
【0134】
一実施形態において、このように調製した複合材料の細孔構造は、窒素(N)吸着分析により確認できるとおり、細孔の開口ならびに細孔直径を拡張する水熱処理により修飾される。水熱処理は、このように調製した材料および有機塩基の水溶液を含有するスラリーを調製し、このスラリーをオートクレーブ中高温(例えば、123から300℃)で6から48時間加熱することにより行なうことができる。スラリーのpHは、濃酢酸を用いて8.0から12.5の範囲に調整することができる。スラリー濃度は、塩基溶液5から10mlあたり複合材料1gの範囲である。このように処理した複合材料をろ過し、ろ液のpHが7になるまで水およびアセトンで洗い、次いで減圧下100℃で16時間乾燥させる。得られる材料は、30から1,000Åの範囲の平均細孔直径を示すことができる。水熱処理された材料の表面は、本発明に記載されるとおり、水熱処理で修飾されていない材料と同様な様式で修飾することができる。
【0135】
縮合で得られる材料は、さらに修飾することができる。例えば、本発明の材料の調製法は、材料の表面修飾工程をさらに含むことができる。このような表面修飾は、有機基型表面改質剤、シラノール基型表面改質剤、重合体被覆型表面改質剤(例えば、Sylgard(登録商標))、およびこれらの組合せからなる群より選択される表面改質剤を用いて達成することができる。ある実施形態において、表面改質剤は、式Z(R’)Si−Rを有することができ、式中、Zは、Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホナートであり;aおよびbは、それぞれ0から3の整数であるが、ただしa+b=3であり;R’はC−C直鎖、環状、または分岐鎖のアルキル基であり;およびRは官能化基である。特定の実施形態において、R’は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびシクロヘキシルからなる群より選択される。他の特定の実施形態において、官能化基Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンもしくはアニオン交換基、および包埋した極性官能基を含有するアルキルもしくはアリール基からなる群より選択される。1つの特定の実施形態において、官能化基Rは、C−C20アルキル基である。表面改質剤の例として、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、およびオクタデシルジメチルクロロシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
別の実施形態において、材料の有機基およびシラノール基は、両方とも表面修飾または誘導体化される。別の実施形態において、粒子は、重合体で被覆されて表面修飾される。ある実施形態において、重合体での被覆による表面修飾は、シラノール基修飾、有機基修飾、またはシラノール基と有機基両方での修飾と組み合わせて用いられる。
【0137】
本発明の2工程重合体表面修飾の1つの特定の方法は、表面に、末端アルケン、エポキシドまたはある他の重合性基を有するシラン(例えば、メタクリルオキシプロピルシラン)を結合させる第一の工程を提供する。第二の工程は、この表面修飾した材料の重合である。例えば、表面と、末端エポキシドを有するシランとを結合させるのに、多価求核剤(ポリアミンなど)を用いて重合を完了させることができる。メタクリルオキシプロピルシランに対しては、有機単量体のフリーラジカル重合を用いることができる、例えば、アクリルアミド、アリルアミン、またはアリルアルコール(それぞれ単体で、または混合物で)。
【0138】
ある実施形態において、水熱処理したシリカの表面は、有機基を有し、粒子の有機基に対して反応する試薬と反応させることにより誘導体化することができる。例えば、粒子のビニル基を、様々なオレフィン反応性試薬(臭素(Br)、水素(H)、フリーラジカル、増殖性(propagating)重合体ラジカル中心、ジエンなど)と反応させることができる。別の実施例では、粒子のヒドロキシル基を様々なアルコール反応性試薬(イソシアナート、カルボン酸、カルボン酸クロリドなど)および以下に記載されるとおりの反応性オルガノシランと反応させることができる。この種の反応は文献で周知である。例えば、March,J.「Advanced Organic Chemistry,」3rd Edition,Wiley,New York,1985;Odian,G.「The Principles of Polymerization,」2nd Edition,Wiley,New York,1981を参照(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。)。
【0139】
さらに、水熱処理したシリカの表面はシラノール基も含有し、反応性オルガノシランで反応させることにより誘導体化することができる。ハイブリッドシリカの表面誘導体化は、標準的な方法に従って、例えば、有機溶媒中、還流条件下、オクタデシルトリクロロシランまたはオクタデシルジメチルクロロシランとの反応により行なわれる。代表的には有機溶媒(トルエンなど)がこの反応に用いられる。有機塩基(ピリジンまたはイミダゾールなど)を反応液に加えて反応を触媒させる。次いで、この反応の生成物を、水、トルエン、およびアセトンで洗い、減圧下80℃から100℃で16時間乾燥させる。得られるハイブリッドシリカを、上記に記載される同様な手順により、短鎖シラン(トリメチルクロロシランなど)とさらに反応させて、残存するシラノール基にエンドキャップをつけることができる。
【0140】
別の実施形態において、クロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有するハイブリッドシリカの多孔質粒子が開示され、これは、多孔質ハイブリッドシリカ粒子を成形し、多孔質粒子の細孔構造を修飾することで、クロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有するハイブリッドシリカ粒子を形成するものである。特定の実施形態において、粒子は楕円体(例えば、卵形)または球状、より詳細には球状である。ある実施形態において、ナノ粒子である、オルガノトリアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランは、前重合によりポリアルキルオキシシロキサンを生成する。ポリアルキルオキシシロキサンの界面活性剤含有水性懸濁液を調製し、多孔質粒子を生成するように塩基触媒の存在下でゲル化を行ない、続いて多孔質粒子の細孔構造を水熱処理により修飾して、有利なことに他にも応用できる中間生成物を生成し、多孔質粒子の表面を修飾する。有利な実施形態において、前重合工程は、オルガノトリアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランの混合物を、酸触媒の存在下、加水分解および縮合させてポリアルキルオキシシロキサンを生成することを含む。
【0141】
特定の実施形態において、ハイブリッドシリカの多孔質球状粒子を、特定の実施形態において、多工程プロセスで調製することができる。第一の工程では、酸触媒の存在下、2種以上の構成要素の混合物を共加水分解することにより、ナノ粒子である、1種以上のオルガノアルコキシシラン(ビス(トリエトキシシリル)エタンなど)およびテトラアルコキシシラン(テトラエトキシシラン(TEOS)など)を前重合させて、ポリオルガノアルコキシシロキサン(POS)(例えば、ポリアルキルアルコキシシロキサン)を形成する(本明細書中記載されるとおり、ある実施形態において、ナノ粒子は追加の溶媒有りまたは無しであらかじめ形成したPOSに加えることができ、追加の溶媒の除去を続けて行なっても行なわなくてもよい。)。第二の工程では、POS/ナノ粒子を、界面活性剤または界面活性剤の組合せの存在下、水性媒体に懸濁させ、塩基触媒を用いてゲル化させてハイブリッドシリカの多孔質球状粒子にする。第三の工程では、ハイブリッドシリカ粒子の細孔構造を水熱処理で修飾し、ハイブリッドシリカ中間生成物を生成する。この中間生成物は、これ自身の特定の目的に用いることもできるし、望ましくはさらに以下のとおり処理することもできる。このプロセスの上記の3工程は、粒子の真球度、形態、細孔容積、および細孔の大きさを、先行技術に記載されるものよりも非常に良好に制御できるようにし、従ってクロマトグラフィー促進細孔幾何形状を提供する。
【0142】
上記のとおり、本発明のある実施形態において、ハイブリッドシリカの表面有機基は、続く工程で、粒子の有機基と修飾試薬との有機共有結合の形成を介して、誘導体化または修飾される。または、ハイブリッドシリカの表面シラノール基が、例えば、オルガノトリハロシラン(例えば、オクタデシルトリクロロシラン)、またはハロポリオルガノシラン(例えば、オクタデシルジメチルクロロシラン)、またはアルキルアミノシラン(例えば、オクタデシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン)と反応させることにより、シロキサン官能基に誘導体化または修飾される。または、ハイブリッドシリカの表面有機基およびシラノール基が両方とも誘導体化または修飾される。次いで、このように調製した材料の表面を、ゲル化の間に包埋された有機基(例えば、アルキル)および誘導体化プロセスの間に加えられた有機基により被覆する。有機基全体による表面被覆率は、従来のシリカ系充填材料よりも高く、従ってハイブリッドシリカにおける残存シラノール基の表面濃度は従来よりも低い。得られる材料は、LC用固定相として用いると、塩基性分析物について優れたピーク形状を示し、アルカリ性移動相に対してシリカ系充填材料よりも優れた安定性を示す。
【0143】
前重合工程が、酸触媒の存在下、2種以上の構成要素および20重量%未満の量のナノ粒子の混合物を共加水分解することを含む場合、オルガノアルコキシシラン(例えば、オルガノトリアルコキシシランまたはビス(トリアルコキシシリル)オルガノシラン)の含量は、テトラアルコキシシラン1モルあたり、例えば、約0.03から約1.0モル、より好ましくは、約0.2から約0.5モルと変えることができる。加水分解に用いられる水の量は、シラン1モルあたり、例えば、1.40から2.20モルと変えることができる。シラン、ナノ粒子、水、およびエタノール混合物を、均一溶液の形で、アルゴン流下、撹拌しながら加熱還流させる。前重合してポリオルガノアルコキシシロキサン(POS)/ナノ粒子(例えば、ポリアルキルアルコキシシロキサン)を形成するのに十分な時間、混合物を還流させた後、溶媒および副生成物(主にエタノール)を反応液から留去する。その後、残渣を、アルゴンまたは窒素雰囲気下、一定時間(例えば、1.5から16時間)、高温(例えば、110から140℃の範囲)で加熱する。残渣は、減圧下(例えば、10−2から10−3torr)、この温度でさらに(例えば、1から3時間)加熱し、任意の揮発性種を除去することができる。
【0144】
第二の工程では、55℃での振盪によりPOS/ナノ粒子を水およびエタノールを含有する溶液に懸濁させて微細な滴とする。溶液中のエタノールの体積割合は、10から20%で様々である。非イオン性界面活性剤(Triton X−100、Triton X−165、またはTriton X−45など)を、懸濁剤として懸濁液に加える。または、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンラウリルスルファート(TDS)を、さらなる懸濁剤として懸濁液に加える。界面活性剤(例えば、アルキルフェノキシポリエトキシエタノール)は、POS滴と水相の疎水性/親水性界面で配向してPOS/ナノ粒子滴を安定化させると思われる。界面活性剤は、ゲル化工程の間、この親水性基を通じてPOS/ナノ粒子滴の表面で水および塩基触媒の濃縮を促進し、これによりPOS/ナノ粒子滴の表面から中心に向かってのゲル化を誘導するとも思われる。POS/ナノ粒子滴の表面構造を修飾する界面活性剤の使用により、POS/ナノ粒子滴の形状がゲル化プロセス全体を通じて安定し、不規則な形状(例えば、「シェル型」)および不均一な形態を有する粒子の形成が最小化または抑制される。
【0145】
POS/ナノ粒子単独の代わりに、POS/ナノ粒子およびポロゲン(例えば、トルエンまたはメシチレン)を含有する溶液を、水相に懸濁させることも可能である。水相に不溶性のトルエンは、ゲル化工程の間、POS/ナノ粒子滴に残留し、ポロゲンとして機能する。POS/ナノ粒子/ポロゲン溶液中のポロゲンの相対量を制御することにより、最終的なハイブリッドシリカの細孔容積を、より正確に制御することができる。これにより大きい細孔容積(例えば、0.3から1.6cm/g)を有するハイブリッドシリカ粒子の調製が可能になる。
【0146】
ゲル化工程は、55℃で撹拌しながら塩基性触媒(例えば、水酸化アンモニウム)をPOS/ナノ粒子懸濁液に加えることにより開始される。その後、反応液を、同じ温度で撹拌し、反応を完了させる。塩基(水酸化ナトリウムなど)は望ましくないカチオン源であり、水酸化アンモニウムの方が洗浄工程で容易に除去できることから、特定の実施形態において、水酸化アンモニウムを用いることができる。こうして調製したハイブリッドシリカは、ろ過して、アンモニウムを含まない水およびメタノールで洗い、次いで乾燥させる。
【0147】
本発明は、例えば、特定の目的のため、粒子の「サイジング」または粒子の大きさの範囲を選択するさらなる工程も含むことができる。周知のサイジング技法を任意の回数で用いることができる。このようなサイジング技法は、例えば、W.Gerhartz,et al.(editors)Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th edition,Volume B2:Unit Operations I,VCH Verlagsgesellschaft mbH,(Weinheim,Fed.Rep.Germ.1988)などに記載されている。例えば、ある実施形態において、粒子は、約0.5μmから約300μm、例えば、約1μmから約20μmの範囲の直径にサイジングすることができる。
【0148】
特定の実施形態において、本発明は、調製法に以下の追加工程を提供する(またはこのような工程は、得られる生成物を調製するのに利用される。):水熱処理、サイジング、結合または表面修飾を伴う酸処理、またはこれらの任意の組合せ。
【0149】
本明細書中記載される方法は、以下の工程を1つ以上さらに含むことができる:ナノ粒子を得ること、ポリオリゴマー型オルガノシロキサンを得ること、および/または調製された複合材料クロマトグラフィー用に適合させること。
【0150】
実施例
本発明は、本発明の複合材料の調製およびこの使用を記載する以下の非制限的実施例によりさらに説明することができる。
【0151】
材料
試薬は全て、他に記載がないかぎり、入手したままの状態で用いた。当業者は、以下の供給品および供給者の等価物が存在し、そうであるので以下に列挙される供給者は制限するものと受け取られないことを理解する。
【0152】
特性決定
当業者は、以下の装置および供給者の等価物が存在し、そうであるので以下に列挙される装置は制限するものと受け取られないことを理解する。
【0153】
%Cの値は、燃焼分析(CE−440元素分析機;Exeter Analytical Inc.,North Chelmsford,MA)により、または電量炭素分析器(モジュールCM5300、CM5014、UICInc.,Joliet,IL)により、測定した。実施例の材料の比表面積(SSA)、比細孔容積(SPV)、および平均細孔直径(APD)は多点N吸着法(Micromeritics ASAP2400;Micromeritics Instruments Inc.,Norcross,GA)を用いて測定した。SSAは、BET法を用いて計算し、SPVはP/P>0.98で求めた単独点の値であり、APDは等温線の脱着脚からBJH法を用いて計算した。微小孔表面積(MSA)は、積算吸着細孔直径データとして求め、34Å未満の細孔については比表面積(SSA)から差し引いた。粒子の大きさは、Beckman Coulter Multisizer3分析機(開口30μm、計数70,000回)を用いて測定した。粒子直径(dp)は体積基準粒子径分布の50%積算直径として計算した。分布の幅は、90%積算体積直径を10%積算体積直径で割って計算した(90/10比と示す。)。実施例の材料について、粘度は、Brookfieldデジタル粘度計DV−II型(Middleboro,MA)を用いて測定した。pHの測定はOakton pH100シリーズ測定器(Cole−Palmer,Vernon Hills,Illinois)で行ない、使用直前に周辺温度でOrion(Thermo Electron,Beverly,MA)基準pH緩衝液を用いて較正した。多核種(13C、29Si)CP−MAS NMRスペクトルは、Bruker Instruments Avance−300分光計(7mm二重広帯域プローブ)で測定した。回転速度は、代表的には5.0から6.5kHz、待ち時間(recycle delay)は5秒、交差分極接触時間(cross−polarization contact time)は6msecであった。得られる13Cおよび29Si CP−MAS NMRスペクトルシフトを、外部基準のアダマンタン(13C CP−MAS NMR、δ38.55)およびヘキサメチルシクロトリシロキサン(29Si CP−MAS NMR、δ9.62)を用いて、テトラメチルシランに相対させて記録した。異なるケイ素環境の集団を、DMFitソフトウェアを用いてスペクトル解析することにより評価した。Massiot,D.;Fayon,F.;Capron,M.;King,I.;Le Calve,S.;Alonso,B.;Durand,J.−O.;Bujoli,B.;Gan,Z.;Hoatson,G.Magn.Reson.Chem.2002,40,70−76。
【実施例1】
【0154】
ポリオルガノシロキサンの合成
Jiang et al(米国特許第6,686,035B2号)に記載されるプロセスに従って、丸底フラスコ中、1種以上のオルガノアルコキシシランまたはテトラアルコキシシラン(全てGelest Inc.,Morrisville,PAまたはUnited Chemical Technologies,INC.,Bristol,PAより入手)をエタノール(EtOH、無水、J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)と混合した。0.1N塩酸水溶液(Aldrich,Milwaukee,WI)をフラスコに滴加した。得られる溶液を、アルゴンまたは窒素雰囲気下、16時間撹拌還流した。アルコールを、大気圧で蒸留してフラスコから除去した。残留アルコールおよび揮発性種は、95から120℃で1から2時間加熱してアルゴンまたは窒素流で掃き出しながら除去した。得られるポリオルガノアルコキシシロキサンは透明な粘性の液体であった。ポリエトキシ化シロキサン重合体(POS)を作るのに用いたオルガノアルコキシシランまたはテトラアルコキシシランについて化学式を表1にまとめる。これらの生成物を調製するのに用いた出発物質の具体的な量を表2にまとめる。
【0155】
【表1】

【0156】
【表2】

【実施例2】
【0157】
ダイヤモンドナノ粒子含有ポリオルガノシロキサンの合成
丸底フラスコ中、テトラエトキシシラン(TEOS,Gelest Inc.,Morrisville,PA)および1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(BTEE,Gelest Inc.,Morrisville,PA)を4:1のモル比で855gと、エタノール415g(EtOH、無水、J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)とを混合する。これとは別に、2重量%ダイヤモンドナノ粒子(Warren Superabrasives,Saint−Gobain Ceramic Materials,Olyphant,PA、5から50nm)を0.1N塩酸(Aldrich,Milwaukee,WI)に加えた水溶液98gを調製し、丸底フラスコに滴加した。得られる溶液を、窒素雰囲気中16時間、撹拌還流した。アルコールを大気圧で蒸留してフラスコから除去した。残留アルコールおよび揮発種は、110℃で1時間加熱して窒素流で掃き出しながら除去した。得られるポリオルガノアルコキシシロキサン(生成物2a)は、不透明混合物であった(粘度=54cP)。
【実施例3】
【0158】
ナノ粒子のポリオルガノシロキサンへの添加
ダイヤモンドナノ粒子(Nanostructured & Amorphous Materials,Inc,Houston,TX、4から25nm)、炭化ケイ素ナノ粒子(Sigma−Aldrich,Saint Louis,MO、<100nm)、または立方晶窒化ホウ素(BN2600、LANDS Superabrasives,New York,NY、125nm)を、実施例1で調製したPOS(0から15重量%エタノール(EtOH、無水、J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)または0から61重量%メシチレン(Mes;Aldrich,Milwaukee,WI)を含有)に加え、0.08から1.00重量%分散体とする。生成物3aから3eについては、回転子/固定子ミキサー(Mega Sheer,Charles Ross & Son Co.,Hauppauge,NY)で混合物を分散させた。生成物3fについては、超音波プローブ(Sonics & Materials,Inc.,Newtown,CT)を用いた。生成物は全て、遠心(Thermo EXD、4×1Lボトル遠心、Milford,MA)して、凝集体を減らした。0.08から0.62重量%ナノ粒子を組込んだ得られる生成物は、不透明混合物であった。これらの生成物を調製するのに用いた出発物質について、具体的な量を表3にまとめる。
【0159】
【表3】

【実施例4】
【0160】
ナノ粒子のポリオルガノシロキサンへの添加
ジエチレングリコールブチルエーテルに分散させたダイヤモンドナノ粒子(UDD−K/DIOE、Warren Superabrasives,Saint−Gobain Ceramic Materials,Olyphant,PA、5から50nm)、エタノールに分散させたダイヤモンドナノ粒子(等級 G01、凝集体含まず、PlasmaChem GMBH,Berlin,Germany、4nm)、またはエタノールに分散させた二酸化チタンナノ粒子(PlasmaChem GmbH,Berlin,Germany、15から20nm)を、実施例1aで調製したPOSに加えた。生成物4aから4dについては、その後フラスコを加熱してエタノールまたはDIOEを留去した。生成物4aは溶媒を除去するのに、20時間にわたって真空(0.5mmHg)および高温(110から150℃)にする必要があった。生成物4bから4dは、大気圧条件下(80℃)数時間で得られた。生成物4eから4gについては、エタノールを除去しなかった。0.5から5重量%ナノ粒子を組込んだ得られる生成物は、不透明混合物であった。これらの生成物を調製するのに用いた出発物質について、具体的な量を表4にまとめる。
【0161】
【表4】

【実施例5】
【0162】
新鮮な多孔質ハイブリッド粒子の合成
a.Triton(登録商標)X−100(Dow Chemical,Midland,MI)、脱イオン水、およびエタノール(EtOH;無水、J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)の水性混合物を、丸底フラスコに入れた。水溶液を55℃で0.5時間加熱した。これとは別のフラスコで、実施例2、3、または4の混合物を0.5時間トルエン(Tol;Fisher Scientific,Suwanee,GA)と混合することにより油相溶液を調製した。速く振盪しながら、油相混合物をEtOH/水/X100混合物に加え、回転子/固定子ミキサー(100L型、Charles Ross & Son Co.,Hauppauge,NY)で、水相と乳化した。その後、30%水酸化アンモニウム(NHOH;J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)を乳濁液に加えた。20分後、生成物をフラスコに移して55℃で17時間加熱した。得られる懸濁液中に形成した粒子を遠心(Thermo EXD、4×1Lボトル遠心、Milford,MA)またはろ過(0.5μm濾紙)して単離し、大量の水およびアセトンで連続して洗った。粒子を、真空下80℃で16時間乾燥させた。これらの生成物を調製するのに用いた出発物質の具体的な量を表5にまとめる。これらの材料の比表面積(SSA)、比細孔容積(SPV)、および平均細孔直径(APD)を、多点N吸着法で測定した。結果を表5にまとめる。
【0163】
b.Triton(登録商標)X−100(X100、Dow Chemical,Midland,MI)、脱イオン水、エタノール(EtOH;無水、J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS、Sigma−Aldrich,Saint Louis,MO)の水性混合物を、丸底フラスコに入れた。グリコール酸エトキシラート4−tert−ブチルフェニルエーテル(GAS、Sigma−Aldrich,Saint Louis,MO)を加えて、pHを5.05±0.10に調整した。次いで、水溶液を65℃で0.5時間加熱した。これとは別のフラスコで、実施例2または3の混合物を0.5時間トルエン(Tol、Fisher Scientific,Suwanee,GA)またはメシチレン(Mes、Aldrich,Milwaukee,WI)と混合することにより油相溶液を調製した。生成物5gについては、あらかじめメシチレンが前駆混合物3fに加えられていたため、さらなるポロゲンは加えなかった。速く振盪しながら、油相溶液をEtOH/水/X100/SDS混合物に加え、回転子/固定子ミキサー(100L型、Charles Ross & Son Co.,Hauppauge,NY)で、水相と乳化した。その後、30%水酸化アンモニウム溶液(NHOH;J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)の半分を乳濁液に加えた。20分後、生成物をフラスコに移して65℃で16時間加熱した。16時間後、水酸化アンモニウム溶液の残り半分を加え、反応物をさらに24時間65℃で混合した。得られる懸濁液中に形成した粒子を遠心(Thermo EXD、4×1Lボトル遠心、Milford,MA)またはろ過(0.5μm濾紙)して単離し、2回、粒子を水に再懸濁させて洗った。次いで、粒子を1.0M HCl溶液に分散させ(粒子1グラム(乾燥重量)あたり8.56mL)、2日間加熱還流させた。得られる粒子を0.5μm濾紙で単離し、大量の水およびアセトン(HPLC品質、J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)で連続して洗った。粒子を、真空下80℃で16時間乾燥させた。これらの生成物を調製するのに用いた出発物質の具体的な量を表5にまとめる。これらの材料の%C値、比表面積(SSA)、比細孔容積(SPV)および平均細孔直径(APD)を、表5にまとめる。
【0164】
【表5】

【実施例6】
【0165】
ナノ粒子を含有する新鮮な多孔質ハイブリッド粒子の水熱処理
実施例5のナノ粒子含有球状多孔質ハイブリッド粒子を、スラリー濃度5mL/gで、0.3Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン水溶液(TRIS、Aldrich Chemical,Milwaukee,WI)と混合した。得られるスラリーのpHを酢酸(J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)で9.8に調整した。次いで、スラリーをステンレス鋼オートクレーブに入れて閉じ、155℃で20時間加熱した。オートクレーブを室温まで冷却した後、生成物をろ過し、水で3回、メタノール(Fisher Scientific,Suwanee,GA)で2回洗った。次いで、粒子を真空下80℃で16時間乾燥させた。これらの材料について具体的な特性データを表6にまとめる。
【0166】
選択した試料を、Philips PW1800型回折計(40KV/30mAでのCu放射線)を用い、広角X線粉末回折(XRPD)分析(H&M Analytical Services,Inc.Allentown,NJ)により分析した。1試料あたり、ステップ幅0.05°で10°から60°の角度範囲および計測時間32時間で、走査を行なった。これらの実験条件下、最小検出レベルは約0.1%と推定される。試料6aは、0.1%濃度で立方晶SiC相の証拠を示し、試料6fは1.65%濃度で立方晶SiC相の証拠を示す。これらの値は、6aについて0.2%および6fについて2.0%と見積もられたSiC組込みの推定値に近い。試料6jは、立方晶窒化ホウ素相(19nm)の証拠を示す。試料6k(図1)は、TiOの2種の形態、鋭錐石(4.8nmで77.5%)および板チタン石(6.6nmで22.5%)の証拠を示す。
【0167】
これらの条件下、選択した、ナノダイヤモンド(≦50nm)0.4から3.9%を含有する試料はXRPDによる識別できるピークを示さなかった。ダイヤモンドの散乱強度が低いこと(参照強度比の比較により評価)および粒子の大きさが小さくなるにつれて回折ピークが幅広くなっていくのが予想されること(シェラーの式から求められる、R.Jenkins,R.L.Snyder,Introduction to X−ray Powder Diffractometry;John Wiley & Sons,Inc:New York,NY,1996)を考慮すると、このような結果は想像に難くない。大きさ20nm未満のナノダイヤモンドを2%未満の濃度で含有するハイブリッド粒子のXRPDシミュレーションは、これらの条件下でどのような識別できるピークも示さなかった。
【0168】
【表6】

【実施例7】
【0169】
ナノ粒子含有多孔質ハイブリッド粒子の酸処理
実施例6cに従って調製した多孔質粒子を1.8μmの大きさにし、次いで98℃で20時間、1M塩酸溶液(Aldrich,Milwaukee,WI)に分散させた。次いで、粒子を中性pHになるまで水で洗い、続いてアセトン(HPLC品質、J.T.Baker,Phillipsburgh,N.J.)で洗った。次いで、粒子を、真空下80℃で16時間乾燥させた。これらの材料の具体的な特性データを表7にまとめる。7aのSEM特性決定(図2)は、真球度の高い粒子の形成を示す。
【0170】
【表7】

【実施例8】
【0171】
多孔質ハイブリッド粒子のクロロシランによる一次表面修飾
実施例7からの試料を、イミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)を用い、トルエン(HPLC品質、J.T.Baker,Phillipsburgh,NJ)還流下で4時間、オクタデシルトリクロロシラン(OTCS、Aldrich,Milwaukee,WI)で修飾した。次いで、反応物を冷却し、生成物をろ過して、トルエン、1:1v/vのアセトン/水、およびアセトン(溶媒は全て、J.T.Bakerより)で連続して洗った。次いで、材料をアセトン/0.12M酢酸アンモニウム水溶液(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)中で2時間還流させた。次いで、反応物を冷却し、生成物をろ過して、トルエン、1:1v/vのアセトン/水、およびアセトン(溶媒は全て、J.T.Bakerより)で連続して洗った。次いで、生成物を減圧下80℃で16時間乾燥させた。反応データを表8にまとめる。元素分析で測定した結果、表面修飾の前後の粒子の%Cの差からC18基の表面濃度は、3.18μmol/mであるとわかった。
【0172】
【表8】

【実施例9】
【0173】
多孔質ハイブリッド粒子のクロロシランによる二次表面修飾
実施例8のC18結合ハイブリッド材料の表面を、イミダゾール(Aldrich,Milwaukee,WI)を用い、トルエン還流下で4時間、トリエチルクロロシラン(TECS、Gelest Inc.,Morrisville,PA)でさらに修飾した。次いで、反応物を冷却し、生成物をろ過して、水、トルエン、1:1v/vのアセトン/水、およびアセトン(溶媒は全て、J.T.Bakerより)で連続して洗い、次いで、減圧下80℃で16時間乾燥させた。次いで、材料をヘキサメチルジシラザン(HMDS、Gelest Inc.,Morrisville,PA)と混合して、スラリー(粒子1.0gあたりHMDS1.1g濃度)とした。次いで、得られるスラリーをステンレス鋼オートクレーブに入れて閉じ、200℃で18時間加熱した。オートクレーブを室温に冷却した後、生成物を濾紙に単離し、水、トルエン、1:1v/vのアセトン/水、およびアセトン(溶媒は全て、J.T.Bakerより)で連続して洗い、次いで、減圧下80℃で16時間乾燥させた。反応データを表9にまとめる。
【0174】
【表9】

【実施例10】
【0175】
表面修飾した多孔質ハイブリッド粒子のクロマトグラフィー評価
表10に記載の中性化合物、極性化合物、および塩基性化合物の混合物の分離に、実施例9の表面誘導体化多孔質粒子の試料を用いた。スラリー充填技法を用いて、2.1×100mmクロマトグラフィーカラムを充填した。クロマトグラフィーシステムは、ACQUITY UPLC(登録商標)システムおよびACQUITY UPLC(登録商標)波長可変UV検出器からなるものであった。データ収集および分析には、Empower 2 Chromatography Dataソフトウェア(Build 2154)を用いた。移動相条件は以下のとおりであった:20mMのKHPO/KHPO、pH7.00±0.02/メタノール(36/65v/v);流速:0.25mL/分;温度:23.4℃;検出:254nm。
【0176】
ナノ粒子含有ハイブリッド多孔質粒子を基礎とする充填材料は、中性化合物、極性化合物、および塩基性化合物の分離に十分な保持と分解能を提供することがわかる。相対保持とは、分析物の保持時間をアセナフテンの保持時間で割ったものである。従って、1未満の値は、アセナフテンよりも保持が短いことを示し、1より大きい値は、アセナフテンよりも保持が長いことを示す。(相対保持は、HPLCの分野で周知のパラメーターである。)
市販のカラムに匹敵する本発明の表面誘導体化多孔質粒子の保持係数および相対保持は、材料の実用性の標準的測定は比較的変わらないままだが、効率および熱効果などの因子は改善されることを示す。
【0177】
【表10】

【実施例11】
【0178】
表面修飾した多孔質ハイブリッド粒子のピーク形状評価
実施例10の移動相および試験条件を用いて、USPピークテーリング係数について実施例9の表面誘導体化多孔質粒子の試料を評価した。結果を表11に示す。
【0179】
ピークテーリング係数は、HPLCの分野で周知のパラメーターである(値が低いほどテーリングが少ない。)。生成物9aのピークテーリング係数は市販されているハイブリッドC18カラムの塩基性化合物テーリング係数に匹敵するものであったことが明白である。
【0180】
市販のカラムに匹敵する本発明の表面誘導体化多孔質粒子のテーリング係数は、材料の実用性の標準的測定は比較的変わらないままだが、効率および熱効果などの因子は改善されることを示す。
【0181】
【表11】

【0182】
参照による組み込み
本明細書中記載される全ての特許、公開特許出願、およびその他の参照の内容は全て、参照によりこの全体が本明細書により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0183】
等価物
当業者は、日常の実験にすぎないものを用いて、本明細書中記載される特定の手順の多数の等価物を認識するか、または確認できる。このような等価物は、本発明の範囲内にあると認められ、以下の特許請求の範囲に含められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される1種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含む複合材料であって、
材料は以下の式:
Np/(A)(B)(C)
(式中:
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。)
で表される、複合材料。
【請求項2】
ナノ粒子は1種より多いナノ粒子の混合物である、請求項1の複合材料。
【請求項3】
ナノ粒子はナノ複合材料の<20重量%で存在する、請求項1の複合材料。
【請求項4】
ナノ粒子はナノ複合材料の<5重量%で存在する、請求項1の複合材料。
【請求項5】
ナノ粒子は結晶性または非晶質である、請求項1の複合材料。
【請求項6】
繰り返し単位A、B、またはCの少なくとも1種は、2種以上の繰り返し単位繰り返し単位を含む混合物である、請求項1の複合材料。
【請求項7】
材料は粒子またはモノリスである、請求項1の複合材料。
【請求項8】
繰り返し単位およびナノ粒子の順序は、ランダム、ブロック、またはこれらの組合せが可能である、請求項1の複合材料。
【請求項9】
ナノ粒子は、炭化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、これらの酸化物、およびこれらの窒化物からなる群より選択される部分を1つ以上含む物質である、請求項1または2の複合材料。
【請求項10】
ナノ粒子は、ナノダイヤモンド、炭化ケイ素、二酸化チタン、立方晶窒化ホウ素からなる群より選択される部分を1つ以上含む物質である、請求項9の複合材料。
【請求項11】
ナノ粒子は直径が200μm以下である、請求項1または2の複合材料。
【請求項12】
ナノ粒子は直径が100μm以下である、請求項1または2の複合材料。
【請求項13】
ナノ粒子は直径が50μm以下である、請求項1または2の複合材料。
【請求項14】
ナノ粒子は直径が20μm以下である、請求項1または2の複合材料。
【請求項15】
Aは、置換エチレン基である、請求項1または6の複合材料。
【請求項16】
Aは、
【化1】

(ここで
kは3から6の整数であり;
mは1から20の整数であり;
nおよびpは、0から10の整数であり;
Yは、O、S(O)0−2、NH、NR、NR(pが0の場合)、NR(pが0ではない場合)、またはNR(pが0の場合)であり、ならびにXは任意のアニオン(例えば、Cl、OH、カーボネート)であり、
Qは、水素、N(C1−6アルキル)、N(C1−6アルキル)(C1−6アルキレン−SO)、またはC(C1−6ヒドロキシアルキル)、−CH(OH)CH(OH)、OCHCH(OH)CH(OH)、
【化2】

、または
【化3】

であり;および
R、R、およびRはそれぞれ、独立して、HまたはC−C10アルキル基である。)
からなる群より選択される、請求項15の複合材料。
【請求項17】
各Rは、独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルである、請求項16の材料。
【請求項18】
Bは、オキシシリル置換アルキル基である、請求項1または6の複合材料。
【請求項19】
Bは、
【化4】

からなる群より選択される、請求項18の複合材料。
【請求項20】
Bは、
【化5】


(ここで
R、R、およびRは、すでに定義したとおりであり;
Xは、C−C18アルコキシまたはC−C18アルキルであり;および
nは1から8である。)
からなる群より選択される、請求項18の複合材料。
【請求項21】
Bは、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(メチルジエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−シアノブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、アセチルオキシエチルトリメトキシシラン、クロロエチルトリエトキシシラン、およびフルオロトリエトキシシランからなる群より選択される、請求項18の複合材料。
【請求項22】
Bは、ビス(トリエトキシシリル)エタン;
【化6】

である、請求項18の複合材料。
【請求項23】
Cは、
【化7】

である、請求項1または6の複合材料。
【請求項24】
Cは、アルミナ、シリカ、チタン、セリウムまたは酸化ジルコニウム、およびセラミック材料からなる群より選択される、請求項1または6の複合材料。
【請求項25】
粒子である、請求項1または6の複合材料。
【請求項26】
粒子はほぼ球状である、請求項25の複合材料。
【請求項27】
粒子の細孔構造は秩序がある、または無秩序である、請求項26の複合材料。
【請求項28】
粒子の無秩序な細孔構造は非結晶性または非晶質である、請求項27の複合材料。
【請求項29】
粒子の細孔構造の分子配列は周期的である、請求項26の複合材料。
【請求項30】
粒子は、結晶性または非晶質である、請求項26の複合材料。
【請求項31】
粒子は主に非晶質であるが、結晶性ナノ粒子が含まれる、請求項26の複合材料。
【請求項32】
粒子は主に結晶性であるが、非晶質ナノ粒子が含まれる、請求項26の複合材料。
【請求項33】
粒子は、約0.1から300μmの平均直径を有する、請求項25の複合材料。
【請求項34】
粒子は、約0.1から30μmの平均直径を有する、請求項25の複合材料。
【請求項35】
粒子は、約0.1から20μmの平均直径を有する、請求項25の複合材料。
【請求項36】
約20から1100m/gの比表面積を有する、請求項1の複合材料。
【請求項37】
約80から500m/gの比表面積を有する、請求項1の複合材料。
【請求項38】
約800から1100m/gの比表面積を有する、請求項1の複合材料。
【請求項39】
約0.2から1.7cm/gの比細孔容積を有する、請求項1または11の複合材料。
【請求項40】
約0.6から1.3cm/gの比細孔容積を有する、請求項1または11の複合材料。
【請求項41】
約20から5000Åの平均細孔直径を有する、請求項26の複合材料。
【請求項42】
約20から2000Åの平均細孔直径を有する、請求項26の複合材料。
【請求項43】
約30から1000Åの平均細孔直径を有する、請求項26の複合材料。
【請求項44】
約60から400Åの平均細孔直径を有する、請求項26の複合材料。
【請求項45】
約80から200Åの平均細孔直径を有する、請求項26の複合材料。
【請求項46】
約90から150Åの平均細孔直径を有する、請求項26の複合材料。
【請求項47】
wは0である、請求項1または6の複合材料。
【請求項48】
xは0.0から1の範囲である、請求項1または6の複合材料。
【請求項49】
xは0.04から0.50の範囲である、請求項1または6の複合材料。
【請求項50】
xは1である、請求項47の複合材料。
【請求項51】
yは1である、請求項48の複合材料。
【請求項52】
xは0.20でありならびにyは0.8である、請求項47の複合材料。
【請求項53】
複合材料を含むクロマトグラフィー材料であって、複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される一種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含み、複合材料はクロマトグラフィーで用いるのに適合させてあるクロマトグラフィー材料。
【請求項54】
以下の式:
Np/(A)(B)(C)
(式中:
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。)
で表される、請求項53のクロマトグラフィー材料。
【請求項55】
分離デバイスで用いるのに適合させてある、請求項53のクロマトグラフィー材料。
【請求項56】
液体クロマトグラフィー固定相;封鎖試薬;コンビナトリアルケミストリー用固体支持体;オリゴ糖合成、ポリペプチド合成、またはオリゴヌクレオチド合成用固体支持体;生体アッセイ用固体支持体;質量分析用キャピラリー生体アッセイデバイス;制御された巨大孔重合体フィルム用テンプレート;キャピラリークロマトグラフィー固定相;電気運動ポンプ充填材料;重合体添加物;触媒;またはマイクロチップ分離デバイス用充填材料として用いるのに適合させてある、請求項53のクロマトグラフィー材料。
【請求項57】
HPLC固定相として用いるのに適合させてある、請求項53のクロマトグラフィー材料。
【請求項58】
UPLC固定相として用いるのに適合させてある、請求項53のクロマトグラフィー材料。
【請求項59】
前記粒子は、有機基型表面改質剤、シラノール基型表面改質剤、重合体被覆型表面改質剤、およびこれらの組合せからなる群より選択される表面改質剤で表面修飾されている、請求項55の材料。
【請求項60】
前記粒子は、式Z(RSi−R(式中、Zは、Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホナートであり;aおよびbは、それぞれ0から3の整数であるが、ただしa+b=3であり;Rは、直鎖、環状、または分岐鎖のC−Cアルキル基であり、ならびにRは官能化基である。)を有する表面改質剤で表面修飾されている、請求項59の材料。
【請求項61】
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項59の材料。
【請求項62】
官能化基Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンもしくはアニオン交換基、または極性官能性を組み込ませたアルキルもしくはアリール基からなる群より選択される、請求項60の材料。
【請求項63】
前記官能化基RはC−C20アルキル基である、請求項62のハイブリッド材料。
【請求項64】
前記表面改質剤は、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、およびオクタデシルジメチルクロロシランからなる群より選択される、請求項60の材料。
【請求項65】
前記粒子は、重合体で被覆されることにより表面修飾されている、請求項59の材料。
【請求項66】
前記重合体は、Sylgard(登録商標)である、請求項65の材料。
【請求項67】
前記粒子は、有機基修飾とシラノール基修飾の組合せで表面修飾されている、請求項59の材料。
【請求項68】
前記粒子は、有機基修飾と重合体被覆の組合せで表面修飾されている、請求項59の材料。
【請求項69】
前記粒子は、シラノール基修飾と重合体被覆の組合せで表面修飾されている、請求項59の材料。
【請求項70】
シラノール基は置換エチレン基を含有するシランで修飾される、請求項69の材料。
【請求項71】
修飾シラノール基は次いで有機繰り返し単位の重合性部分により重合され、請求項70の材料。
【請求項72】
重合性部分は置換エチレン部分である、請求項71の材料。
【請求項73】
粒子の有機基と修飾試薬との有機共有結合形成を介して表面修飾されている、請求項59の材料。
【請求項74】
前記粒子は、有機基修飾、シラノール基修飾、および重合体被覆の組合せで表面修飾されている、請求項59の材料。
【請求項75】
前記粒子はシラノール基修飾で表面修飾されている、請求項59の材料。
【請求項76】
請求項53に記載の材料を含む分離デバイス。
【請求項77】
クロマトグラフィーカラム、薄層プレート、固相抽出デバイス、ろ過膜、試料クリーンアップデバイス、およびマイクロタイタープレートから選択される、請求項76の分離デバイス。
【請求項78】
請求項53に記載の材料を含有する充填済クロマトグラフィーカラム。
【請求項79】
請求項78の充填済クロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィーシステム。
【請求項80】
複合材料を含む多孔質ナノ複合粒子であって、複合材料は有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される1種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含み、ならびに材料は
以下の式:
Np/(A)(B)(C)
(式中:
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
qは0から4の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。)
で表される、多孔質ナノ複合粒子。
【請求項81】
粒子はほぼ球状である、請求項80の材料。
【請求項82】
複合材料を含む耐高圧クロマトグラフィー粒子であって、複合材料は有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される1種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内にナノ粒子を含み、ならびに粒子は15,000psiを超える流体圧下で細孔構造を実質的に維持するように適合させてある、耐高圧性クロマトグラフィー粒子。
【請求項83】
複合材料を含む熱特性向上クロマトグラフィー粒子であって、複合材料は有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される1種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内にナノ粒子を含み、ならびに粒子は複合材料の熱伝導を改善するように適合させてある、熱特性向上クロマトグラフィー粒子。
【請求項84】
直径が2μm未満である、請求項83の粒子。
【請求項85】
ナノ粒子は、炭化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンド、セリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、ジルコニウム、バリウム、セリウム、コバルト、銅、ユーロピウム、ガドリニウム、鉄、ニッケル、サマリウム、ケイ素、銀、チタン、亜鉛、ホウ素、これらの酸化物、およびこれらの窒化物からなる群より選択される部分を1つ以上含む物質である、請求項82または83の粒子。
【請求項86】
複合材料は、以下の式:
Np/(A)(B)(C)
(式中:
w、x、およびyは、それぞれ独立して、w+x+y=1となるような0から1の範囲の正の数字であり;
Npはナノ粒子を表し;
Aは有機繰り返し単位を表し;
Bは有機シリル繰り返し単位を表し;
Cは無機繰り返し単位を表し;および
各繰り返し単位は、1つ以上のそれぞれ別の繰り返し単位A、B、またはCと共有結合している。)
で表される、請求項82または83の粒子。
【請求項87】
約20,000psiから約100,000psiの範囲の流体圧下で細孔構造を実質的に維持することができる、請求項82の粒子。
【請求項88】
UPLCに用いることができる、請求項82の粒子。
【請求項89】
粒子の空隙率は0.3cc/gより大きい、請求項82または87の粒子。
【請求項90】
粒子の空隙率は1.0cc/gより大きい、請求項82または87の粒子。
【請求項91】
粒子の空隙率は約1.0cc/gから2.0cc/gの範囲である、請求項82または87の粒子。
【請求項92】
請求項82の粒子を充填した高性能UPLCカラム。
【請求項93】
2ミクロン未満の内径を有する、請求項92のUPLCカラム。
【請求項94】
請求項1から27に記載の複合材料の調製方法であって、1種以上のナノ粒子をポリオリゴマー型オルガノシロキサン内に分散させて分散混合物を形成すること、および請求項1から27に記載の材料が調製されるように分散混合物を加水分解的に縮合することを含む、方法。
【請求項95】
ポリオリゴマー型オルガノシロキサンは、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;無機繰り返し単位;およびこれらの任意の組合せからなる群より選択される1種以上の構成要素の部分縮合から形成される、請求項94の方法。
【請求項96】
構成要素は、有機官能性シラン、テトラアルコキシシラン、2種以上の有機官能性シランの混合物、および1種以上の有機官能性シランとテトラアルコキシシランの混合物からなる群より選択される、請求項94または95の方法。
【請求項97】
テトラアルコキシシランはテトラエトキシシランまたはテトラメトキシシランである、請求項96の方法。
【請求項98】
有機繰り返し単位は、ジビニルベンゼン、スチレン、ビニルベンジルクロリド、エチレングリコールジメタクリラート、1−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニルカプロラクタム、tert−ブチルメタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ブチルアクリラート、エチルアクリラート、メチルアクリラート、2−(アクリルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリラート、3−(アクリルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパンエトキシラートトリアクリラート、トリス[(2−アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌラート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イタコン酸、メタクリル酸、トリメチルシリルメタクリラート、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、
【化8】

からなる群より選択される有機オレフィン繰り返し単位の反応で材料に組込まれる、請求項94または95の方法。
【請求項99】
有機シリル繰り返し単位は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、O−(メタクリルオキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、N−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピ(propy)メチルジエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、
【化9】

(ここで、各Rは、独立して、HまたはC−C10アルキル基であり、ならびにR’は、独立して、HまたはC−C10アルキル基である。)
からなる群より選択される官能基化したシランの反応により材料に組込まれる、請求項94または95の方法。
【請求項100】
各Rは、独立して、水素、メチル、エチル、またはプロピルである、請求項99の方法。
【請求項101】
R基は全て同一であって、ならびに水素、メチル、エチル、またはプロピルからなる群より選択される、請求項100の方法。
【請求項102】
有機シリル繰り返し単位は、
【化10】


(ここで、R、R、およびRは、すでに定義したとおりであり;XはC−C18アルコキシまたはC−C18アルキルであり;およびnは1から8である。)
からなる群より選択した官能基化したシランの反応により材料に組込まれる、請求項94または95の方法。
【請求項103】
有機シリル繰り返し単位は、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(メチルジエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エテン、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−シアノブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、アセチルオキシエチルトリメトキシシラン、クロロエチルトリエトキシシラン、およびフルオロトリエトキシシランからなる群より選択される官能基化したシランの反応により材料に組込まれる、請求項94または95の方法。
【請求項104】
有機シリル繰り返し単位は、官能基化したシラン:(ビス(トリエトキシシリル)エタン)
【化11】

の反応により材料に組込まれる、請求項94または95の方法。
【請求項105】
無機繰り返し単位は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、およびテトラブトキシシランからなる群より選択されるアルコキシシランの反応により材料に組込まれる、請求項94または95の方法。
【請求項106】
テトラアルコキシシランは、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランである、請求項105の方法。
【請求項107】
加水分解縮合は、酸または塩基で触媒される、請求項94または95の方法。
【請求項108】
縮合は酸で触媒される、請求項107の方法。
【請求項109】
酸は、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、およびリン酸からなる群より選択される、請求項108の方法。
【請求項110】
縮合工程は、塩基で触媒される、請求項107の方法。
【請求項111】
塩基は、水酸化アンモニウム、I族およびII族金属の水酸化物塩、I族金属の炭酸塩および炭酸水素塩、ならびにI族およびII族金属のアルコキシド塩からなる群より選択される、請求項110の方法。
【請求項112】
全ての工程が同一反応容器で行なわれる、請求項94または95の方法。
【請求項113】
縮合は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、シクロヘキサン、石油エーテル、ジエチルエーテル、ジアルキルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン、塩化メチレン、クロロホルム、およびこれらの組合せからなる群より選択される溶媒中で行なわれる、請求項94または95の方法。
【請求項114】
材料は粒子を含む、請求項94または95の方法。
【請求項115】
材料の前記細孔構造は、界面活性剤または異なる界面活性剤の組合せをさらに含むことにより、および前記材料を水熱処理にかけることにより、修飾される、請求項94または95の方法。
【請求項116】
前記界面活性剤または界面活性剤の組合せは、Triton X−45、Triton X−100、Triton X−165、Triton X305、Pluoronic P−105、Pluoronic P−123、ドデシル硫酸ナトリウム、アンモニウムラウリルスルファート、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンラウリルスルファート、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項115の方法。
【請求項117】
前記界面活性剤は、Triton X−100またはドデシル硫酸ナトリウムである、請求項115の方法。
【請求項118】
材料を表面修飾する工程をさらに含む、請求項94または95の方法。
【請求項119】
材料は、有機基型表面改質剤、シラノール基型表面改質剤、重合体被覆型表面改質剤、およびこれらの組合せからなる群より選択される表面改質剤で表面修飾されている、請求項118の方法。
【請求項120】
材料は、式Z(R’)Si−R(式中、ZはCl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノ、またはトリフルオロメタンスルホナートであり;aおよびbはそれぞれ、0から3の整数であるが、ただしa+b=3であり;R’は直鎖、環状、または分岐鎖のC−Cアルキル基であり;およびRは官能化基である。)を有する表面改質剤で表面修飾されている、請求項118の方法。
【請求項121】
R’は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項120の方法。
【請求項122】
官能化基Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、アミノ、ジオール、ニトロ、エステル、カチオンもしくはアニオン交換基、または極性官能基を包埋したアルキルもしくはアリール基からなる群より選択される、請求項120の方法。
【請求項123】
前記官能化基RはC−C20アルキル基である、請求項122の方法。
【請求項124】
前記表面改質剤は、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、およびオクタデシルジメチルクロロシランからなる群より選択される、請求項120の方法。
【請求項125】
材料は、重合体被覆により表面修飾されている、請求項119の方法。
【請求項126】
前記重合体はSylgard(登録商標)である、請求項125の方法。
【請求項127】
材料は、有機基修飾とシラノール基修飾の組合せで表面修飾されている、請求項119の方法。
【請求項128】
材料は、有機基修飾と重合体被覆の組合せで表面修飾されている、請求項119の方法。
【請求項129】
材料は、シラノール基修飾と重合体被覆の組合せで表面修飾されている、請求項119の方法。
【請求項130】
材料は、有機基修飾、シラノール基修飾、および重合体被覆の組合せで表面修飾されている、請求項119の方法。
【請求項131】
材料は、シラノール基修飾で表面修飾されている、請求項119の方法。
【請求項132】
ポロゲンを添加する工程をさらに含む、請求項121または122の方法。
【請求項133】
ポロゲンは、シクロヘキサノール、トルエン、メシチレン、2−エチルヘキサン酸、フタル酸ジブチル、1−メチル−2−ピロリジノン、1−ドデカノール、およびTriton X−100からなる群より選択される、請求項132の方法。
【請求項134】
フリーラジカル重合開始剤を添加する工程をさらに含む、請求項121または122の方法。
【請求項135】
前記フリーラジカル重合開始剤は、2,2’−アゾビス−[2−(イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−プロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、過酸化ベンゾイル、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン、ビス(1−(tert−ブチルペルオキシ)−1−メチ(methy)エチル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルアセタート、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾアート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボナート、クメンペルオキシド、シクロヘキサノンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,4−ペンタンジオンペルオキシド、過酢酸、および過硫酸カリウムからなる群より選択される、請求項134の方法。
【請求項136】
フリーラジカル重合開始剤の添加に続いて加熱する工程をさらに含む、請求項134の方法。
【請求項137】
遊離シラノール基にエンドキャップをつける工程をさらに含む、請求項121または122の方法。
【請求項138】
界面活性剤または安定剤を加える工程をさらに含む、請求項121または122の方法。
【請求項139】
前記界面活性剤は、Triton X−45、Triton X−100、Triton X−165、Triton X−305、TLS、Pluronic F−87、Pluronic P−105、Pluronic P−123、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、またはTriton X−405である、請求項138の方法。
【請求項140】
ポリオリゴマー型オルガノシロキサンはあらかじめ調製し、および分散混合物はナノ粒子をポリオリゴマー型オルガノシロキサンに加えて得られる混合物を振盪して分散混合物を形成することにより調製される、請求項121の方法。
【請求項141】
振盪は、磁気混合、機械混合、回転子/固定子混合、または超音波処理により行なわれる、請求項140の方法。
【請求項142】
ポリオリゴマー型オルガノシロキサンはあらかじめ調製し、および分散混合物はナノ粒子のスラリーをポリオリゴマー型オルガノシロキサンに加えて得られる混合物を振盪して分散混合物を形成することにより調製される、請求項121の方法。
【請求項143】
ナノ粒子のスラリーは、水性スラリー、アルコールスラリー、エーテルスラリー、またはこれらの組合せからなる群より選択される、請求項142の方法。
【請求項144】
振盪は、磁気混合、機械混合、回転子/固定子混合、または超音波処理により行なわれる、請求項142の方法。
【請求項145】
スラリーの共溶媒を大気圧または真空蒸留で除去してNp/POSを生成する、請求項142の方法。ある実施形態において、共溶媒は除去せず、ナノ粒子のPOS/共溶媒(水、アルコール、またはエーテル)分散物を形成する。
【請求項146】
分散混合物は、ナノ粒子を、ポリオリゴマー型オルガノシロキサンを形成する縮合反応物に加え、得られる混合物を振盪して分散混合物を形成することにより調製される、請求項121の方法。
【請求項147】
振盪は、磁気混合、機械混合、回転子/固定子混合、または超音波処理により行なわれる、請求項146の方法。
【請求項148】
遠心分離またはろ過を用いて巨大ナノ粒子または凝集した材料を除去する、請求項140、142、または146の方法。
【請求項149】
請求項1から52のいずれか一項の複合材料を含むクロマトグラフィー材料であって、複合材料は、有機繰り返し単位;有機シリル繰り返し単位;および無機繰り返し単位からなる群より選択される1種以上の構成要素に由来する無機またはハイブリッド材料内に分散したナノ粒子を含み、複合材料はクロマトグラフィーで用いるのに適合させてある、クロマトグラフィー材料。
【請求項150】
請求項94から148のいずれか一項の方法により調製される請求項1から52に記載の複合材料。
【請求項151】
クロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有する、請求項1から52のいずれか一項の複合材料。
【請求項152】
クロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有する、請求項53から75のいずれか一項のクロマトグラフィー材料。
【請求項153】
クロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有する、請求項80から91のいずれか一項の粒子。
【請求項154】
調製した材料は、クロマトグラフィー促進細孔幾何形状を有する、請求項94から148のいずれか一項の方法。
【請求項155】
ナノ粒子を得るさらなる工程を含む、請求項94から148の方法。
【請求項156】
ポリオリゴマー型オルガノシロキサンを得るさらなる工程を含む、請求項94から148の方法。
【請求項157】
調製される複合材料をクロマトグラフィーで用いるのに適合させるさらなる工程を含む、請求項94から148の方法。
【請求項158】
クロマトグラフィーで化合物を分離する方法であって、化合物の混合物中の1種以上の化合物が混合物から分離されるように、適切なクロマトグラフィー条件下において、化合物の混合物を請求項1から75のいずれか一項の複合材料にかける工程を含む、方法。
【請求項159】
複合材料を得ることをさらに含む、請求項158の方法。
【請求項160】
複合材料を含有する分離デバイスを調製する工程をさらに含む、請求項158の方法。
【請求項161】
化合物の混合物を、複合材料を含む分離デバイスにかける、請求項158の方法。
【請求項162】
分離デバイスは、クロマトグラフィーカラム、薄層プレート、固相抽出デバイス、ろ過膜、試料クリーンアップデバイス、およびマイクロタイタープレートからなる群より選択される、請求項160または161の方法。
【請求項163】
請求項1から52のいずれか一項の複合材料、および化合物の混合物をクロマトグラフィー法で分離するための使用説明書を含むキット。
【請求項164】
使用説明書は、請求項158または160に記載の方法で複合材料を用いるための説明書である、請求項163のキット。
【請求項165】
分離デバイスをさらに含む、請求項163または164のキット。
【請求項166】
少なくとも1種の化合物が混合物から分離されるように、化合物の混合物を、請求項1から52のいずれか一項の複合材料を含む分離デバイスに通すことを含む、分離の実行方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−523424(P2011−523424A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503966(P2011−503966)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/001893
【国際公開番号】WO2009/126207
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(509131764)ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (46)
【Fターム(参考)】