説明

ナノ製造設備及びナノ製造方法

標本を保持する標本ホルダと、荷電粒子を標本ホルダ上に放出するように上面と下面との間に貫通開口部を有するマスクと、マスク(8)と標本ホルダ(3)との間の相対位置を検出する近接場検出装置と、ソース(1)とマスク(8)との間の相対位置とは無関係にマスク(8)と標本ホルダ(3)との間の相対移動を生じさせる変位装置と、を有し、マスクが貫通開口部(10)に少なくとも第1の電極を含んでいる、ナノ製造設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ製造設備及びナノ製造方法に関する。
【0002】
特に、本発明は主として、表面を有するサンプルを受けるサンプルホルダと、サンプルホルダの方に向けられた下面と、下面の反対側に設けられ、ソースからサンプルホルダの方向に放出された粒子ビームを受けてサンプルを形成するようにされた上面と、上面と下面との間に設けられ、粒子の一部をサンプルホルダの方向に通過させるようにされた少なくとも1つの貫通開口部と、を有するサンプルを形成するマスクと、マスクとサンプルとの所望の相対位置を検出するようにされた近接場検出装置と、マスクとサンプルホルダとの相対的な移動を生じさせ、マスクとサンプルとを、ソースとマスクとの相対位置とは無関係に、所望の相対位置に位置させるようにされた変位装置と、を有するナノ製造設備に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許第6313905号明細書は、この種の設備の一例を記載している。蒸発源は、原子間力顕微鏡(AFM)のカンチレバーに形成された開口部を通して物質のクラスタ、液状体、または粒子を放出し、原子間力顕微鏡は、サンプルがこの開口部を通って堆積する際のサンプルに対するマスクの位置を監視するのに使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような装置は完全に満足行くものではない。実際、研究によって、このような設備には、サンプル表面上に堆積物を形成する際の再現性に関する問題があることが分かっている。実際、ユーザは、蒸発した粒子が蒸発源から放出されると、蒸発した粒子を制御することができなくなる。従って、堆積後、例えば表面を撮像することによって表面が所望のように形成されたかどうかを確かめる必要がある。
【0005】
本発明の目的は、このような欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明によれば、この種類の設備は、マスクは、貫通開口部の位置に、貫通開口部を通過する荷電粒子と電気的に相互作用するようにされた少なくとも1つの電極を有することを特徴としている。
【0007】
このような構成によって、元素(イオン)の形態の荷電粒子、またはクラスタもしくは液滴状に集合化した荷電粒子が、例えば、液体金属イオン型の、例えば点源から放出されると、サンプルの非常に近くに位置する粒子との相互作用が生じる。この電気的相互作用は、粒子がサンプルの方へ向かう際の粒子の軌跡及び/またはエネルギーの制御、あるいは粒子がサンプル自体に到達したことの電気的な検出からなることができる。
【0008】
本発明の好ましい実施態様では、選択的に、以下の構成のうちの一つ及び/または他の一つをさらに有することができる。
−前記マスクは少なくとも1つの第2の電極をさらに有し、前記第1の電極は前記第2の電極と前記サンプルホルダとの間に位置し、前記第2の電極は前記貫通開口部の位置に位置し、前記電極と前記サンプルの前記表面とは、前記電極に電位が印加されたときに前記開口部を通過する前記荷電粒子の動きに電気的な影響を及ぼすようにされた静電レンズをともに形成する。
−前記第1の電極、前記第2の電極、及び前記サンプルの前記表面から選択される少なくとも1つの構造物に電位を発生させるようにされた電気発生装置を有する。
−前記第1の電極は前記マスクの前記下面に配置されている。
−前記下部電極に接続され、前記開口部を通過する前記粒子が前記表面に到達したときに、前記サンプルから分離された荷電素粒子を検出するようにされた検出器を有する。
−前記第1の電極と前記サンプルとの間に電位を発生させ、前記マスクと前記サンプルとの間の前記粒子の運動エネルギーに影響を及ぼすようにされた電気発生装置を有する。
−前記近接場検出装置は、前記サンプルの表面の近くで前記サンプルホルダに対して移動可能なヘッドを有し、前記ヘッドは、前記マスクに対して既知の相対位置に位置している。
−前記ヘッドと前記マスクは、前記サンプルの表面にほぼ平行な面内を一体的に移動可能である。
−前記ヘッドは、先端部と可とう性のカンチレバーとを有し、前記マスクは前記カンチレバーの薄肉の部分に形成されている。
−前記貫通開口部は、前記サンプルホルダへの前記粒子の経路に対して横方向に延びる狭いスリットを有する。
−荷電粒子の前記ビームを前記サンプルホルダの方向に放出して前記サンプルを形成するようにされた少なくとも1つのソースを有する。
−前記ソースと前記サンプルホルダとの間に配置され、以下の処理、すなわち、
−前記ソースから放出された前記粒子をクラスタとして集めること、
−電荷と、質量と、電荷と質量の比と、から選択される少なくとも1つの所望の特性を有するクラスタのフィルタリング、
−前記マスクの方向への前記クラスタの偏向
のうちの少なくとも1つを行うようにされたビーム整形装置を有する。
−各ソースが互いに異なる材料の粒子を前記サンプルホルダの方向に放出するようにされた複数のソースを有する。
−前記マスクは、複数の貫通開口部と、それぞれの貫通開口部の位置に位置する第1の電極と、を有し、それぞれの第1の電極が、対応する前記開口部を通過する前記荷電粒子と電気的に相互作用するようにされている。
−各ソースが対応する開口部を通って前記サンプルホルダの方向に粒子を放出するようにされた複数のソースを有する。
−前記ソースと前記マスクとの前記相対位置を検出するようにされたソース位置決めシステムをさらに有する。
−前記位置決めシステムは、近接場顕微鏡用の先端部の形態に構成されたソースそのものであって、前記粒子を形成する材料を外面に有し、前記先端部は、第1の動作モードでは前記先端部と前記マスクとの前記相対位置を検出し、第2の動作モードでは前記粒子を放出するようにされたソースそのものを有する。
−前記ソースは、前記材料の槽と、前記槽に入っている前記材料を液化し、前記材料を前記ソースの前記先端部に沿って流させる加熱装置と、を有する。
−前記ソースは前記開口部を形成するようにされている。
【0009】
a)近接場検出装置が、形成マスクと、サンプルホルダ上に配置されたサンプルの表面と、の所望の相対位置を検出し、
b)変位装置が、前記マスクと前記サンプルホルダとの相対的な移動を生じさせて、前記マスク及び前記サンプルを、ソースと前記マスクとの相対位置とは無関係に前記所望の相対位置に位置させ、
前記サンプル形成マスクは、前記サンプルホルダの方に向けられた下面と、前記下面の反対側に設けられた上面と、前記上面と前記下面との間に設けられた少なくとも1つの貫通開口部と、を有し、
c)粒子ビームを前記ソースから前記サンプルホルダの方向に放出させ、前記粒子の一部が前記サンプルホルダの方向に前記貫通開口部を通過することによって前記サンプルが形成される、ナノ製造方法において、
ステップc)において、前記ソースは荷電粒子を放出し、
d)前記貫通開口部の位置に配置された前記マスクの少なくとも1つの第1の電極によって、前記貫通開口部を通過する前記粒子との電気的な相互作用が生じることを特徴とするナノ製造方法に関する。
【0010】
本発明の好ましい実施態様では、以下の構成のうちの一つ及び/または他の一つを採用することができる。
−ステップc)において、粒子が、前記サンプルの前記表面に到達して該表面を形成し、荷電した素粒子を該表面から分離し、ステップd)において、前記荷電した素粒子を前記第1の電極によって検出することで、前記開口部を通過する粒子との相互作用が生じる。
−ステップd)において、前記第1の電極と前記表面との間に電位差を生じさせ、前記開口部を通過する前記粒子が前記表面に到達したときに前記電位差が前記粒子の運動エネルギーに影響を及ぼすことによって、前記粒子との相互作用が生じる。
−前記マスクは少なくとも1つの第2の電極をさらに有し、前記第1の電極は前記第2の電極と前記サンプルホルダとの間に位置し、前記第2の電極は前記貫通開口部の位置に位置し、ステップd)において、前記電極と前記表面とが前記粒子の軌跡に電気的な影響を及ぼす静電レンズをともに形成することによって、前記開口部を通過する前記粒子との電気的な相互作用が生じる。
−e)前記ソースと前記開口部との前記相対位置が検出され前記ソースと前記開口部の相対移動が生じて、前記ソースと前記開口部とが、前記ビームの一部が前記開口部を通過するようにそれぞれの適切な位置に位置させられる。
−少なくともステップa)〜d)が引き続き所望の相対位置で繰り返される。
−前記ソースから放出された前記粒子をクラスタとして集めるステップと、電荷と、質量と、電荷と質量の比と、から選択される少なくとも1つの所望の特性を有するクラスタをフィルタリングするステップと、クラスタをマスクの方向へ偏向させるステップのうちの少なくとも1つが行われる。
−少なくともステップc)及びd)が、前記マスクのただ一つの開口部を通して粒子を放出する複数のソースに対して連続的に行われる。
−少なくともステップc)及びd)が、各ソースがそれぞれの開口部を通して粒子を放出する複数のソースに対して並行して行われる。
−前記ソースは前記マスクの前記貫通開口部を形成する。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して非制限的な例として与えられる本発明のいくつかの実施形態についての以下の説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
様々な図において、同じ参照符号は同一または同様の部材を示す。
【0013】
図1は、形成すべきサンプル4の方向へ物質の荷電粒子のビーム2を放出するソース1を備えたナノ製造設備を非常に概略的に示している。サンプル4は、本設備のサンプルホルダ3によって保持されている。ソース1は、元素(イオン)のビーム2及び/またはクラスタもしくは液滴状のビーム2を放出する。各クラスタは、全体として電荷を有している。一例として、ソース1は、例えば約40μAの電流によって適切に電力が供給されたときに、イオンクラスタ、例えばナノメートル程度のサイズの金(Au)+イオンのクラスタを放出する液体金属イオンソース(LMIS、例えば、国際公開第96/02065号パンフレットに記載されている。)である。このビームは、直接またはビーム整形装置5を介して、サンプル4の方向へ放出される。ビーム整形装置5については、図3に関連して後ほど詳しく述べる。
【0014】
図1の設備はまた、原子間力顕微鏡(AFM)型、走査型トンネル顕微鏡(STM)型、もしくは他の適切な検出装置である従来の近接場検出装置6を有している。従来、原子間力顕微鏡は、表面の凹凸及び/または化学的組成を検出する先端部7を備えたヘッド37を有している。先端部7は、可とう性のビームまたはカンチレバー36(図1の紙面に垂直)によって保持され、形成すべきサンプルの表面4aの近くを位置決め装置9によって動かされる。「表面の近くに」とは、先端部7が、表面を検出するために、表面に接触した状態で維持されるか、または表面からわずかな距離の位置に維持され得ることを意味する。位置決め装置9は例えば、サンプルの表面4aの面にほぼ一致する方向x及びyに、サンプルを保持するサンプルホルダ3を動かし、かつこの面に垂直な軸zに沿ってヘッド37を動かすことができ、または任意の他の適切な方法でこれらの移動を行うことができる。位置決め装置は、例えばナノメートルスケールの移動精度を実現するために、例えば、位置決め装置を通過する電気量に伸び量が比例する圧電装置の形態で構成することができる。
【0015】
図1を見ると分かるように、ヘッド37は、一例によれば、クラスタの経路上のソース1とサンプル4との間に配置されたマスク8と一体的に、少なくともx軸及びy軸に沿って移動する。クラスタは場合によっては、ビーム整形装置5からサンプル4の方向に放出される。変形実施形態では、マスク8は、検出装置の分解能の範囲内で、本設備内の、ヘッド37に対して既知の位置に維持される。マスクは例えば、ブロックによって基板から持ち上げられた状態で、基板の上方に位置している。従って、マスク8とヘッド37のそれぞれの初期位置と、この初期位置に対する一方及び/または他方の移動と、から算出して、マスク8とヘッド37の位置が任意の時点で既知であれば、マスク8はヘッド37と無関係に動かすことができる。
【0016】
図2により詳しく示すように、マスク8は、サンプルの表面4aの面と平行に、ほぼ平面状に延びており、厚さは数百ナノメートル程度である。マスク8は、マスク8の上面8aから下面8bまで延びる貫通開口部10を有している。貫通開口部10は例えば、マスク8の上面及び下面に対して垂直に形成され、直径は例えば10nm程度である。
【0017】
図示の適用例では、形成すべきサンプル4の表面4aの近くに静電レンズが作られている。図2に示す純粋に例示を目的とした適用例では、第1の電極11が、マスクの下面8bの、開口部10の位置に設けられている。第2の電極12が、ソース・表面間のクラスタの経路上の、第1の電極より上流側、例えば、マスクの上面8aの、貫通開口部10の位置に設けられている。図示の例では、第2の電極12と、第1の電極11と、サンプルの表面4aと、で形成された集合体が静電レンズを形成している。第1の電気発生装置13は、第1の調整可能な電位を第1の電極11に印加し、第2の電気発生装置14は、第2の調整可能な電位を第2の電極12に印加する。
【0018】
上述のマスク8は例えば、合焦イオンビームによるナノ製造(ナノFIB)方式の適切な製造工具によって作ることができる。例えば、2枚のシリコン膜の各一方の面を金属化し、開口部10となるべき穴を設ける。次に、この2枚の膜を、金属化されていない面で、例えば分子結合によって組み立てる。レンズに望まれる特性に応じて、2枚または3枚以上の膜の積層体の様々な例を構成することができる。
【0019】
次に、図1のビーム整形装置5を使用する例におけるビームの整形について、図3を参照して説明する。ソース1から放出されたビーム2はまず、静電レンズ15によって集光され合焦される。次に、ウィーンフィルタと呼ばれるExB速度フィルタをこのビームに適用することで、イオンと、全体として中性のクラスタと、所望の質量、電荷、または質量/電荷比をもった荷電クラスタと、を分離することができる。次に、例えばダブル四重極偏向装置の形態で作製された偏向装置17を使用して、クラスタ2のビームをサンプルの表面4aの、面積が数平方ミクロン(μm2)程度のスポットへ正確に案内する。
【0020】
以上の説明では、開口部10はほぼ点状の穴である。しかし、堆積すべきパターンに対応して、ほぼ一方向に延びるスリット、直線、曲線その他の線分などの、任意の種類の開口部に対して本発明を適用することも考えられる。
【0021】
変形実施形態では、図3を参照して説明したようなビーム装置は必ずしも使用されない。この場合、ソース1はマスク8の近くに配置され、マスク8の上部電極は、開口部10が円形の穴の場合には抽出分離に必要な静電界の対称性を確保するように、ソース1の抽出分離装置として働くことができる。
【0022】
設備の使用時には、開口部10は、サンプルの表面4aの形成位置と向かい合うように配置される。この位置決めは、例えば位置決め装置9を用いて、所望の位置が識別されるまで、サンプルの表面4aの幾何学的及び/または化学的特性あるいは他の特性を先端部7で検出することによって行われる。次に、貫通開口部10が所望の位置の上方に来るように、マスク8またはサンプルホルダを動かす。
【0023】
第1の実施形態では、図4に示すように、第1の電極11が、マスク8の下面8bの開口部10の位置に配置され、荷電クラスタ18がサンプル表面4aに到達したときに、第1の電極11によって相互作用を生じさせることができる。例えばAu+イオンのクラスタのように、クラスタが正に荷電されている場合、電子e-が第1の電極の方向に放出され、これらの電子を適切な検出器19によって検出することができる。この適用例では、「開口部10の位置に」とは、検出対象の表面4aにクラスタ18が到達したことによって放出される十分な数の電子が検出され、堆積された物質の量に関する有用な情報を得られる程度に、電極が開口部に近接していることを意味する。この検出によって、検討している例では、サンプルの表面4a上の所望の位置に堆積された金の量の監視が可能となり、この位置でこの方法を実施しなければならない時間の長さを確認する手段が実現される。堆積物が形成されると、マスクをサンプルに対して新しい所望の位置に動かすことができ、そこでこれらのステップが繰り返される。この新しい所望の位置は、検出装置6によって事前に検出しておくことができる。
【0024】
第2の適用例によれば、図5に示すように、クラスタ18は、ソース1から表面4aまでの行程でサンプルを形成する間に、直接電気的な作用を受ける。例えば、第1の電気発生装置13によって第1の電極11に逆電圧が印加される。入力電極12は、接地電位または何らかの他の電位に維持される。従って、静電レンズによって電界が発生し、この電界は、サンプルの表面4aの所望の位置2の方向にクラスタ18を合焦させる効果を有する。こうして、10nm/分程度の堆積速度を得ることができる。さらに、各クラスタ18の質量及び/または電荷は、実質的に、マスク8の位置に到達するクラスタについて事前に定められるため、ビーム整形装置5を使用する際、第1の電気発生装置13によって第1の電極11に印加される電位を調整することによって、クラスタ18がサンプル4の表面4aの位置に到達したときのクラスタ18の運動エネルギーに影響を及ぼすことが可能になる。これによって、堆積条件、サンプル4へのクラスタ18の注入条件、または表面4aの形成条件に対する制御が向上する。実際、クラスタによる表面被覆は、クラスタが表面に到達したときの運動エネルギーに直接関係している。運動エネルギーは、例えば数百ボルトから5kVの間で制御することができる。
【0025】
「の位置に」とは、本出願では、電極に印加された電位が開口部を通過する荷電クラスタに電気的な影響を及ぼすのに十分な程度に電極が開口部に近いことを意味する。
【0026】
もちろん、検出装置6のヘッド37をこの位置まで動かすことによって、検討中の位置に表面4aが形成されたことを後で検出することもできる。
【0027】
次に、サンプルの表面4aを形成すべき他の位置までマスク8を動かすことができる。この例は、2電極マスクを有する簡単なレンズを示している。より正確にクラスタに影響を及ぼすため、開口部で重ね合わされる電極の数を増やすことができる。開口部10がサンプルの表面4aの新しい形成位置の上方に位置するまで、検出装置6をソース1とは無関係に動かすことができる。その際に、ソース1は、ビーム2の幾何学的範囲に応じて動かすか動かさないかだけで十分である。ビーム2を新しい位置まで案内するために、ソース1を動かさずにビーム整形装置5の偏向装置17の特性を修正することができる。
【0028】
ソース1に対する開口部10の位置を検出するために、LMISソースは「撮像」モードで、低電流で使用される。次に、位置決め装置20によってソースとマスクとの相対位置を調整することができ、あるいは偏向装置17の特性を変更することができる。
【0029】
ソース及びビーム整形装置にマスクを揃えることは不要である。というのは、撮像モードでは、ビームが、絶えずマスクの位置を検出し、開口部と整列するからである。
【0030】
または、設備は、ソース1と開口部10との相対位置を検出する検出装置を備えていてもよい。
【0031】
金イオンが開口部10の近くのマスク8上に堆積する間に開口部10が再び閉塞したことが検出された場合、ソース1から基板の表面4aを形成せず開口部10自体を形成することも可能である。これは、開口部10を適切な方法で再エッチングし、表面上に形成された金の堆積物をエッチングすることにより開口部10が所望の形状を有するようにおこなう。
【0032】
さらに、ナノホール型の開口部を有するこのレンズ形状の収差は非常にわずかである。作動距離がほぼ零になった場合、倍率は最小になる。大形で高エネルギーの荷電粒子を使用する場合、オングストロームスケールの回折現象によって理論的な限界が定まる。
【0033】
図6に示すように、一変形実施形態では、マスク8は必ずしも検出装置のヘッド37とは独立に製作されるわけではなく、マスク8とヘッド37との相対位置が密接に相関付けられる。この変形実施形態では、マスク8をヘッド37のカンチレバー36の一部として形成することができる。マスク8の厚さは、必要に応じて、10分の1マイクロメートルから10分の数マイクロメートルの間で調整することができる。マスク8は例えば、カンチレバー36の本体上に設けられた薄肉部分として示されているように作製される。これによって、非常に正確な検出装置を実現しかつマスクのための有用な拡張面が得られるように慎重に設置されたカンチレバーの剛性及び曲げ特性に影響を与えないことができる。
【0034】
この構成では、以下のことが可能である。
−クラスタのビームによって個々に(堆積点、堆積パターン)またはまとめて(パターンのネットワーク)対処可能な、可変な形状、サイズ、位置、及び/または構成を有する複数の開口部を作製し、使用すること。後者の場合、マスクによって形成されるパターンの並行/同時転写が可能になる。
−マスクが、カンチレバー自体より広い表面積を有するため、マスクに作られた開口部に近接したサンプル4の表面4aの領域を、スクリーニング効果によって非常に効果的に保護すること。
【0035】
図6は、正確な尺度で描かれているわけではなく、ビーム整形装置5は省略されているが、従来のLMISソースの代わりに使用できるソースも示している。このソースは、全体として針22の形状の先端部21を有している。針22は、先端部の近位部24と中央部25とを延びるほぼ円筒形の本体23と、本体23の延長部として先端部の遠位部27を延びる尖った端部26と、を有している。尖った端部26の外形は10分の数ミリメートルにわたって延びており、トンネル効果顕微鏡の先端部の外形である。先端部の末端曲率半径は、走査型顕微鏡による測定では、約0.1マイクロメートルから2マイクロメートルの間、好ましくは0.3マイクロメートルから1マイクロメートルの間である。この目的のために、尖った先端26の外面26aには、トンネル効果顕微鏡の針として読み取り/書き込みヘッドを使用するのに適した任意の形状が与えられる。
【0036】
針22は、金などの導電材料からなる薄膜29で覆われた、タングステンなどの耐熱材料からなる長い先細り状のコア28を有している。一例として、図示の実施形態では、コア28は直径が0.25mmのタングステンワイヤで形成されており、タングステンワイヤは、少なくとも一部が、かつ少なくとも遠位部27が、厚さが数ミクロンの金膜で覆われている。
【0037】
先端部21の中央部25には、電気フィラメント30のいくつかの巻き30a,30b,30cが設けられている。これらの巻きは、例えば図7では3つであり、中央部で針22の長手方向軸の周りに巻かれており、例えば、直径が約0.1mmのタングステンワイヤで作られている。図示の例では、各巻きは、導電材料からなる槽31を囲む直径約0.5mmの円を形成している。
【0038】
図6に示すように、上述の先端部21は、ヘッド32、例えば、外径数ミリメートルのトンネル効果顕微鏡のヘッドに取り付けられている。このようなヘッド32は例えば、電気発生装置(図6では不図示。)に接続するのに適した中央キャピラリ33と、互いに電気的に絶縁された複数のクロスピース34a,34cと、を有している。
【0039】
図7に示す先端部21は、針22と、第1の端部30d及び第2の端部30eを有するフィラメント30と、を有し、第1の端部30dと第2の端部30eの間には、ヘッド32に電気的に接続された巻き30a,30b,30cがある。一方、先端部の近位部24は、第1のクロスピース34aから給電される中央キャピラリ33に電気的に接続されている。この位置で、フィラメント30の第1の端部10dは針22に電気的に接続され、唯一の電気的接点を形成している。電気加熱回路を閉じるために、フィラメント30の第2の端部30eが、例えば圧着や点溶接によって、一方の絶縁されたクロスピース、例えばクロスピース34cに電気的に接続されている。
【0040】
第1及び第2のクロスピース34a,34cは電気発生装置に接続されている。クロスピース34cについては、キャピラリ33に電気的に接続されている。ヘッド32は、マスク8の近くに位置している。先端部21とマスク8との間の距離は例えば、百マイクロメートル程度のオーダーである。電気発生装置はマスク8にも電気的に接続されており、マスク8と先端部21との間に電位差を生じさせる。
【0041】
変位装置20は、マスク8と先端部1とを、一次元、二次元、または三次元で相対的に動かすように構成されている。このような変位装置は従来、トンネル効果顕微鏡法に使用される種類の位置決め装置、例えば、材料中を電流が流れることによって長さが伸びることのできる圧電素子をベースとした装置とすることができる。図示の例では、3つの矢印X,Y,Zで示すように、固定されたままのマスクに対して3方向にソースを動かすことができる。他の変形適用例も可能である。
【0042】
図示の例では、電気発生装置は、一方では、2つのクロスピース34a,34cに接続されフィラメント30に加熱電流を流す電流発生装置を有している。電気発生装置はまた、先端部とマスクの間に第1の符号の電位差を生じさせるか、またはこの2つの素子の間に第1の符号と反対の第2の符号の電位差を生じさせるようにされた電圧発生装置を有している。
【0043】
第1の電圧発生装置は、ソース1を書き込みモードで使用するように構成されている(液体金属イオンソース)。この目的のために、例えば、マスク8が接地された状態で0〜5キロボルト程度の正電圧を先端部21に印加する種類の電気発生装置を使用することができる。第1の電気発生装置から供給される電流は、例えば1〜10マイクロアンペア程度である。
【0044】
第2の電圧発生装置は、マスク8が接地された状態で数ボルト程度の負電圧を先端部21に印加することができる。この場合、1ピコアンペアより小さく、最大で300ナノアンペア程度であってよい電流が、先端部とマスクとの間を流れることができる。
【0045】
上述の装置は、書き込みモードで液体金属イオンソースとして使用することができる。スイッチを適切な位置に配置することによって、第1の電気発生装置は、先端部1とマスク8との間に数キロボルト程度の正電位差を生じさせる。同時に、電流発生装置は、フィラメント30に十分な電流(例えば、図示の形状の場合は数アンペア程度)を流すことによって伝熱装置を作動させ、巻きの位置で、導電材料を少なくともその融点に等しい温度まで加熱する。図示の形状では、槽において約1000℃の温度に達するには、1.5Wの電力があれば十分である。この動作モード、すなわち液体イオンの放出による書き込みモードでは、先端部からイオンを剥離させようとする印加電界と、針を覆う液体金属膜の表面張力との互いに相反する効果によって、先端部の端部にテイラーコーンが形成される。先端部21とマスク8との間に生じる電位差により、電界蒸発によって層29の導電金属のイオンのビームが形成される。これらによって、サンプルの向かい合う部分が形成される。先端部21からの物質の抽出による腐食は、電流発生装置から発生したエネルギーを伝達するフィラメントの巻きによって液化された槽31からの導電材料の、針に沿った流れによって補償される。こうして、針の端部に配置された材料は、絶えず更新され、長寿命の書き込みモードを実現する。
【0046】
スイッチを第2の位置にすることによって、第2の電圧発生装置は、トンネル効果顕微鏡によって読み取りモードで動作できるように先端部21とマスク8との間に数ボルトの負の電位差を印加する。この電位差の効果によって、例えばナノアンペア程度の電流が先端部21とマスク8との間を流れ、先端部21はこの場合、トンネル効果顕微鏡の先端部として働く。測定された電流からマスク8の表面8aに関する情報を導くためにトンネル効果顕微鏡で使用される種類の適切な検出装置が、この情報を検出するのに使用される。このような検出装置は、トンネル効果顕微鏡の分野で従来使用されており、本明細書ではこれ以上詳しく説明しない。
【0047】
再生モードでは、針22の端部の外部形状を更新することができる。実際、例えば液体金属イオン放出モードでの書き込みの後で、先端部21の端部は極度に腐食している可能性があり、引き続き先端部21を使用できるようにこの端部の形状を更新することが望ましい。このモードでは、先端部1とマスク8との間に電位差を印加せずに、槽に入っている導電材料が、電流発生装置によって行われる加熱によって液化され、この材料が、その最初の形状を回復するまで先端部に沿って流れる。
【0048】
上述の装置を使用すると、例えば読み取りモードで開口部10の位置を検出することができる。ソースが開口部10と向かい合って位置させられた状態で、書き込みモードで、前述のように、荷電クラスタを放出する。前述の実施形態と同様に、マスク8はサンプル4に対して動かされ、サンプルの上面の他の位置を形成する。
【0049】
あるいは、金属化されたマスク8の選択された位置を検出し、後で堆積させたいパターンに相当する開口部10を、マスク8にエッチングで形成することもできる。
【0050】
図8に示すように、それぞれが前述の実施形態の一方または他方に対応する複数のソース1を使用することができる。これらのソースは、互いに異なる材料を含むことができ、開口部10を通して表面4aのただ一つの位置に互いに異なる材料を堆積させるために連続して使用することができる。あるいは、複数のソースは、マスク8を動かした後で別々の位置で連続して使用することができる。
【0051】
図9に示すように、それぞれがマスク8に形成された開口部10と向かい合って機能する複数のソース1を配置することによって、サンプル4の表面4aの並行処理を実施することも可能である。
【0052】
ソースの2つの例を示した。例えば「電子ビームイオントラップ」型の、荷電された液滴状の他の任意の種類のソースを使用することも考えられる。
【0053】
上述の設備によって、超小形電子部品の電気的接続を復元するのに堆積物を使用することが可能となる。
【0054】
本設備を使用して、炭素ナノチューブ、ガリウムヒ素ナノフィラメント、磁気メモリなどの前駆体を局所的に成長させるように、当該前駆体を堆積させることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ナノ製造設備の概略図である。
【図2】図1の部分Aの拡大詳細図である。
【図3】図1の設備のビーム整形装置の適用例の概略図である。
【図4】設備によって実現される検出機能の、図2に対応する概略図である。
【図5】設備による基板形成機能の、図2に対応する概略図である。
【図6】図を明確にするためにビーム整形装置を取り外した後の、設備の第2の例の三次元概略図である。
【図7】図6の設備を備えるようにされた粒子源の一例の概略図である。
【図8】ビーム整形装置が不図示の、第3の実施形態についてのほぼ図1に対応する図である。
【図9】第4の実施形態についてのほぼ図8に対応する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面(4a)を有するサンプル(4)を受けるようにされたサンプルホルダ(3)と、
前記サンプルホルダの方に向けられた下面(8b)と、前記下面の反対側に設けられ、ソース(1)から前記サンプルホルダの方向に放出された粒子ビーム(2)を受けて前記サンプルを形成するようにされた上面(8a)と、前記上面と前記下面との間に設けられ、前記粒子の一部を前記サンプルホルダの方向に通過させるようにされた少なくとも1つの貫通開口部(10)と、を有するサンプル形成マスク(8)と、
前記マスク(8)と前記サンプル(3)との所望の相対位置を検出するようにされた近接場検出装置(6)と、
前記マスク(8)と前記サンプルホルダ(3)との相対的な移動を生じさせ、前記マスクと前記サンプルとを、前記ソースと前記マスクとの前記相対位置とは無関係に、前記所望の相対位置に位置させるようにされた変位装置(9)と、
を有するナノ製造設備において、
前記マスク(8)は、前記貫通開口部の位置に、該貫通開口部を通過する荷電粒子と電気的に相互作用するようにされた少なくとも1つの電極(11)を有することを特徴とするナノ製造設備。
【請求項2】
前記マスク(8)は少なくとも1つの第2の電極(12)をさらに有し、前記第1の電極(11)は前記第2の電極(12)と前記サンプルホルダ(3)との間に位置し、前記第2の電極は前記貫通開口部(10)の位置に位置し、前記電極(11;12)と前記サンプルの前記表面(4a)とは、前記電極に電位が印加されたときに前記開口部(10)を通過する前記荷電粒子の動きに電気的な影響を及ぼすようにされた静電レンズをともに形成する、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記第1の電極、前記第2の電極、及び前記サンプルの前記表面(4a)から選択される少なくとも1つの構造物に電位を発生させるようにされた電気発生装置(13;14)をさらに有する、請求項2に記載の設備。
【請求項4】
前記第1の電極(11)は前記マスクの前記下面(8b)に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の設備。
【請求項5】
前記下部電極に接続され、前記開口部を通過する前記粒子が前記表面に到達することによって前記サンプル(4)から分離された荷電素粒子を検出するようにされた検出器(19)をさらに有する、請求項4に記載の設備。
【請求項6】
前記第1の電極と前記サンプルとの間に電位を発生させ、前記マスク(8)と前記サンプル(4)との間の前記粒子の運動エネルギーに影響を及ぼすようにされた電気発生装置(13;14)をさらに有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の設備。
【請求項7】
前記近接場検出装置(6)は、前記サンプルの表面の近くで前記サンプルホルダに対して移動可能なヘッド(37)を有し、前記ヘッド(37)は、前記マスク(8)に対して既知の相対位置に位置している、請求項1から6のいずれか1項に記載の設備。
【請求項8】
前記ヘッド(37)と前記マスク(8)は、前記サンプルの表面にほぼ平行な面内を一体的に移動可能である、請求項7に記載の設備。
【請求項9】
前記ヘッド(37)は、先端部(7)と可とう性のカンチレバー(36)とを有し、前記マスク(8)は前記カンチレバーの薄肉の部分に形成されている、請求項7に記載の設備。
【請求項10】
前記貫通開口部(10)は、前記サンプルホルダへの前記粒子の経路に対して横方向に延びる狭いスリットを有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の設備。
【請求項11】
荷電粒子の前記ビームを前記サンプルホルダ(3)の方向に放出して前記サンプルを形成するようにされた少なくとも1つのソース(1)をさらに有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の設備。
【請求項12】
前記ソース(1)と前記サンプルホルダ(3)との間に配置され、以下の処理、すなわち、
−前記ソースから放出された前記粒子をクラスタとして集めること、
−電荷と、質量と、電荷と質量の比と、から選択される少なくとも1つの所望の特性を有するクラスタのフィルタリング、
−前記マスク(8)の方向への前記クラスタの偏向
のうちの少なくとも1つを行うようにされたビーム整形装置(5)をさらに有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各ソースが互いに異なる材料の粒子を前記サンプルホルダ(3)の方向に放出するようにされた複数のソース(1)を有する、請求項11または12に記載の設備。
【請求項14】
前記マスクは、複数の貫通開口部(10)と、それぞれの貫通開口部の位置に位置する第1の電極(11)と、を有し、それぞれの第1の電極(11)が、対応する前記開口部(10)を通過する前記荷電粒子と電気的に相互作用するようにされている、請求項11または12に記載の設備。
【請求項15】
各ソースが対応する開口部(10)を通って前記サンプルホルダの方向に粒子を放出するようにされた複数のソース(1)を有する、請求項14に記載の設備。
【請求項16】
前記ソース(1)と前記マスク(8)との前記相対位置を検出するようにされたソース位置決めシステム(20)をさらに有する、請求項11から15のいずれか1項に記載の設備。
【請求項17】
前記位置決めシステムは、近接場顕微鏡用の先端部(21)の形態に構成されたソース(1)そのものであって、前記粒子を形成する材料を外面(26a)に有し、前記先端部は、第1の動作モードでは前記先端部(1)と前記マスク(8)との前記相対位置を検出し、第2の動作モードでは前記粒子を放出するようにされたソース(1)そのものを有する、請求項16に記載の設備。
【請求項18】
前記ソースは、前記材料の槽(31)と、前記槽に入っている前記材料を液化し、前記材料を前記ソースの前記先端部(21)に沿って流させる加熱装置(30)と、を有する、請求項17に記載の設備。
【請求項19】
前記ソースは前記開口部(10)を形成するようにされている、請求項11から18のいずれか1項に記載の設備。
【請求項20】
a)近接場検出装置が、形成マスク(8)と、サンプルホルダ(3)上に配置されたサンプル(4a)の表面と、の所望の相対位置を検出し、
b)変位装置(9)が、前記マスク(8)と前記サンプルホルダ(3)との相対的な移動を生じさせて、前記マスク及び前記サンプルを、ソース(1)と前記マスク(8)との相対位置とは無関係に前記所望の相対位置に位置させ、
前記サンプル形成マスク(8)は、前記サンプルホルダの方に向けられた下面(8b)と、前記下面の反対側に設けられた上面(8a)と、前記上面と前記下面との間に設けられた少なくとも1つの貫通開口部(10)と、を有し、
c)粒子ビームを前記ソース(1)から前記サンプルホルダの方向に放出させ、前記粒子の一部が前記サンプルホルダの方向に前記貫通開口部(10)を通過することによって前記サンプルが形成される、ナノ製造方法において、
ステップc)において、前記ソースは荷電粒子を放出し、
d)前記貫通開口部(10)の位置に配置された前記マスクの少なくとも1つの第1の電極(11;12)によって、前記貫通開口部を通過する前記粒子との電気的な相互作用が生じることを特徴とするナノ製造方法。
【請求項21】
ステップc)において、粒子が、前記サンプルの前記表面(4a)に到達して該表面を形成し、荷電した素粒子を該表面から分離し、
ステップd)において、前記開口部を通過する粒子との相互作用が生じ、前記荷電した素粒子を前記第1の電極(11)によって検出する、請求項20に記載のナノ製造方法。
【請求項22】
ステップd)において、前記第1の電極(11;12)と前記表面(4a)との間に電位差を生じさせ、前記開口部を通過する前記粒子が前記表面に到達したときに前記電位差が前記粒子の運動エネルギーに影響を及ぼすことによって、前記粒子との相互作用が生じる、請求項20または請求項21に記載のナノ製造方法。
【請求項23】
前記マスク(8)は少なくとも1つの第2の電極(12)をさらに有し、前記第1の電極(11)は前記第2の電極と前記サンプルホルダとの間に位置し、前記第2の電極は前記貫通開口部(10)の位置に位置し、ステップd)において、前記電極(11、12)と前記表面(4a)とが前記粒子の軌跡に電気的な影響を及ぼす静電レンズをともに形成することによって、前記開口部を通過する前記粒子との電気的な相互作用が生じる、請求項20から22のいずれか1項に記載のナノ製造方法。
【請求項24】
e)前記ソース(1)と前記開口部(10)との前記相対位置が検出され前記ソースと前記開口部の相対移動が生じて、前記ソースと前記開口部とが、前記ビームの一部が前記開口部を通過するようにそれぞれの適切な位置に位置させられる、請求項20から23のいずれか1項に記載のナノ製造方法。
【請求項25】
少なくともステップa)〜d)が引き続き所望の相対位置で繰り返される、請求項20から24のいずれか1項に記載のナノ製造方法。
【請求項26】
前記ソース(1)から放出された前記粒子をクラスタとして集めるステップと、電荷と、質量と、電荷と質量の比(8)と、から選択される少なくとも1つの所望の特性を有するクラスタをフィルタリングするステップと、クラスタをマスクの方向へ偏向させるステップのうちの少なくとも1つが行われる、請求項20から25のいずれか1項に記載のナノ製造方法。
【請求項27】
少なくともステップc)及びd)が、前記マスクのただ一つの開口部を通して粒子を放出する複数のソース(1)に対して連続的に行われる、請求項20から26のいずれか1項に記載のナノ製造方法。
【請求項28】
少なくともステップc)及びd)が、各ソースがそれぞれの開口部を通して粒子を放出する複数のソース(1)に対して並行して行われる、請求項20から27のいずれか1項に記載のナノ製造方法。
【請求項29】
前記ソース(1)は前記マスクの前記貫通開口部(10)を形成する、請求項20から28のいずれか1項に記載のナノ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−527916(P2009−527916A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555830(P2008−555830)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000287
【国際公開番号】WO2007/096505
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(502155356)サントル ナショナル デ ラ ルシェルシュ シィアンティフィク (セ.エヌ.エール.エス.) (10)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE (C.N.R.S.)
【Fターム(参考)】