説明

ナビゲーションシステム、経路探索サーバおよび端末装置

【課題】利用者が注目する所望の経路を登録経路として記憶しておき、登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの参加者の移動による混雑に遭遇するかを報知できるようにする。
【解決手段】ナビゲーションシステム10は、イベント情報を蓄積したイベントデータベース36と、所望の案内経路データを登録経路として記憶する登録経路記憶手段24と、経路比較手段23と、を備え、経路探索手段33は、登録経路記憶手段24に記憶された登録経路に基づいてイベントデータベース36を参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、経路比較手段23は、登録経路と比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、登録経路が混雑する旨を予め設定された報知先に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の出発地から目的地まで、公共交通機関を用いた経路を含む案内経路を探索するナビゲーションシステムに関するものであり、特に、多数の人々が参加するイベントの開催期日と、該イベントの終了時刻に関するデータを蓄積したイベントデータベースを備え、所望の経路を登録経路として記憶しておき、登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索して、登録経路と比較経路の一致度が高く、イベント参加者による混雑が予測される場合に、混雑予想を報知し、混雑を回避する行動を採ることができるようにしたナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
交通機関を利用する経路を探索する経路探索システムは、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて、各交通機関の運行時刻データをデータベース化した運行時刻データベースと、これに基づいて交通ネットワークをデータベース化したデータを備えている。そして、これらのデータベースを参照して、乗り継ぎ(乗り換え)を含めて出発地と目的地を結ぶ、利用可能な各交通手段(個々の電車や路線バス)を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(出発地駅、目的地駅、路線、列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示するように構成される。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0007】
また、交通機関に関する検索、案内を行うシステムとして、携帯電話などの端末装置から交通機関の路線情報や時刻表情報を案内する情報配信サーバに接続して所望の出発駅、出発時刻、目的駅などを指定して、乗車可能な路線や列車、電車などの交通手段の情報配信を受け、端末装置に表示することができる案内システムも提供されている。一般に端末装置からこのような利用を行う場合には、ダウンロードしたい情報の存在する場所を特定するためのURL(Uniform Resource Locator)やドメイン名などのアドレス情報を端末装置に入力して当該アドレスにより特定される情報配信サーバ(情報サイト)にアクセスして所望の情報をダウンロードする構成がとられている。
【0008】
交通機関を利用した経路探索、経路案内をするナビゲーションシステムなどにおける経路経探索用のデータは、車載用ナビゲーションシステムや歩行者用ナビゲーションシステムにおける道路ネットワークのデータと同様に交通路線の各駅をノードとし、駅間を双方向リンクとしてネットワーク化したデータの他に、各交通路線上を運行される交通手段ごとに各リンクの運行時刻、所要時間がリンクコストのデータとして加えられる。更に、運賃データが加えられ、探索した案内経路の運賃が合わせて案内されるシステムも存在する。
【0009】
従って端末装置に配信される案内経路データには、利用者が指定した経路探索条件である出発地から目的地までの路線経路や乗車を案内するバス、電車、列車およびその時刻が含まれ、運行時刻表や駅に掲示されるいわゆる駅貼り時刻表などがそのままあるいは必要部分が画面表示できる表示データなどの形式に加工されて端末装置に配信される。端末装置では案内経路のデータや運行時刻表あるいは駅貼り時刻表を表示して経路や乗車すべき交通手段を確認することができる。
【0010】
車載用のナビゲーション装置においては道路交通情報を用いて、渋滞している道路を回避したり、迂回したりする経路を探索して案内するナビゲーション装置が種々提案されている。交通機関を利用した経路を移動する場合、自動車による移動のように渋滞の影響を受けず予定通りの時間で移動できるが、乗車する電車が混雑していて不快感を受ける場合もあり混雑した電車は避けたいという心理が働く。従って、利用者にとって案内された電車の混雑度が関心事になる。このような利用者の要求に応えるため、下記の特許文献2(特開平5−254440号公報)に開示された乗車率表示装置が知られている。
【0011】
特許文献2に開示された乗車率表示装置は、乗車率監視器で抽出された、到着駅に到着する前の列車の車両単位の乗車率と、降車率検出器で検出された到着駅での曜日,時刻などに応じたデータに基づく列車到着時の車両単位の降車率とから、乗車直前の乗車率を乗車直前乗車率計算器が計算するようにしたものである。この乗車率表示装置は駅のホーム上に車両単位で設置されたビデオカメラからの画像より、乗客数を検出し、この乗客数の各車両の乗車定員に対する比率と、前述の乗車直前乗車率とから出発時乗車率を出発時乗車率計算器で計算し、計算結果に基づいて、乗車率表示器は車両単位で乗車直前乗車率と出発時乗車率を表示する。
【0012】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開平5−254440号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献2に開示された乗車率表示装置の技術によれば、駅で乗車を待っている乗客に対して、混雑度の低い空いた車両を案内することができるようになる。しかしながら、この乗車率表示装置はナビゲーションシステム機能を有するものではなく、所望の2地点間の経路を探索して得た案内経路において乗車すべき電車の混雑度を案内することはできないという問題点があった。
【0014】
交通機関の混雑の原因は種々あるが、利用する経路の周辺で多くの人が集まる大規模なイベントが開催される場合、そのイベントの終了時にはイベントに参加して帰宅する人々により交通機関が混雑することになる。このようなイベントの開催に基づく交通機関の混雑は、イベントの開催場所、開催時間や終了時刻がわかれば予測することが可能であり、交通機関を用いた経路探索のサービスを受けているナビゲーションシステムの利用者に案内することができる。
【0015】
しかしながら、上記特許文献2に開示された乗車率表示装置では、リアルタイムにホームに設置したカメラなどの監視機器により各電車の車両ごとの乗車人数や降車人数を計数して過去の曜日ごと、時間ごとの乗車率に基づいて車両ごとの乗車率を推定するものであるから、イベントの終了に基づいて生じる混雑度を推定することができないという問題点があった。
【0016】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、ナビゲーションシステムに多数の人が参加するイベントの開催場所、開催時間などのイベント情報を記憶したイベントデータベースを備え、所望の経路を登録経路として記憶しておき、登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索して、登録経路と比較経路の一致度が高い場合には、比較経路による混雑の影響があると判別しれば、上記問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、イベントの開催場所、開催時間などのイベント情報を記憶したイベントデータベースを備え、利用者が経路探索の結果得られた所望の経路を登録経路として記憶しておき、登録した経路の周辺のイベントを検索し、該イベントの終了に基づいて生じる混雑を推定して利用者に予め報知できるようにしたナビゲーションシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
経路探索用のネットワークデータを参照して出発地から目的地まで、交通機関を利用した経路を含む案内経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段が探索した案内経路データを記憶する案内経路記憶手段と、前記案内経路を表示する表示手段と、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、イベントの開催場所および開催時間を含むイベント情報を蓄積したイベントデータベースと、所望の案内経路データを登録経路として記憶する登録経路記憶手段と、経路比較手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記登録経路が混雑する旨を予め設定された報知先に報知することを特徴とする。
【0019】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗換駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする。
【0020】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記経路探索手段は、前記比較経路を除いて前記登録経路の出発駅から目的駅までの代替経路を探索し、該代替経路を報知することを特徴とする。
【0021】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項2にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗り継ぎ駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする。
【0023】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して所定の時間で移動し得る比較経路の到達圏を探索し、
前記経路比較手段は、前記比較経路の到達圏に基づいて、前記登録経路における乗車駅、乗換駅、降車駅への各到着時刻が、それぞれ前記比較経路の到達圏に含まれてから所定の時間内に含まれる場合は、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする。
【0024】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項3にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記経路探索手段は、前記代替経路を探索する際、前記登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、該イベントの終了時刻にイベント参加者がイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な電車が前記比較経路に含まれる場合、該最寄り駅で乗車可能な電車を前記経路探索用ネットワークデータベースから一時削除して、前記代替経路探索を行うことを特徴とする。
【0025】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項7にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記経路探索用ネットワークデータベースから一時削除する電車は、前記イベントの終了時刻にイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な最初の電車から、所定の時間範囲内の後続電車、および、所定の時間範囲以内の乗り継ぎ電車であることを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項9にかかる発明は、
イベントの開催場所および開催時間を含むイベント情報を蓄積したイベントデータベースと、経路探索用のネットワークデータを参照して出発地から目的地まで、交通機関を利用した経路を含む案内経路を探索する経路探索手段を備え、所望の案内経路データを登録経路として記憶する登録経路記憶手段を備えた端末装置から、該登録経路に基づく比較経路の探索が要求されると、前記イベントデータベースを参照して登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索して前記端末装置に送信する経路探索サーバに、ネットワークを介して接続される端末装置であって、
前記端末装置は、経路比較手段を備え、前記経路比較手段は、前記経路探索サーバから受信した比較経路と前記登録経路とを比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする。
【0027】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項9にかかる端末装置において、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗換駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする。
【0028】
本願の請求項11にかかる発明は、請求項9にかかる端末装置において、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記経路探索手段は、前記比較経路を除いて前記登録経路の出発駅から目的駅までの代替経路を探索し、該代替経路を報知することを特徴とする。
【0029】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項9にかかる端末装置において、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする。
【0030】
本願の請求項13にかかる発明は、請求項10にかかる端末装置において、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗り継ぎ駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする。
【0031】
本願の請求項14にかかる発明は、請求項9にかかる端末装置において、
前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して所定の時間で移動し得る比較経路の到達圏を探索し、
前記経路比較手段は、前記比較経路の到達圏に基づいて、前記登録経路における乗車駅、乗換駅、降車駅への各到着時刻が、それぞれ前記比較経路の到達圏に含まれてから所定の時間内に含まれる場合は、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【0032】
また、本願の請求項15にかかる発明は、
経路探索用のネットワークデータを参照して出発地から目的地まで、交通機関を利用した経路を含む案内経路を探索する経路探索手段を備え、探索した案内経路データを端末装置に送信する経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、前記端末装置から指定された所望の案内経路データを登録経路として記憶する登録経路記憶手段と、経路比較手段と、を備え、
前記端末装置から該登録経路に基づく比較経路の探索が要求されると、前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記登録経路が混雑する旨を前記端末装置が指定した報知先に報知することを特徴とする。
【0033】
本願の請求項16にかかる発明は、請求項15にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗換駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする。
【0034】
本願の請求項17にかかる発明は、請求項15にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記経路探索手段は、前記比較経路を除いて前記登録経路の出発駅から目的駅までの代替経路を探索し、該代替経路を報知することを特徴とする。
【0035】
本願の請求項18にかかる発明は、請求項15にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする。
【0036】
請求項19にかかる発明は、請求項16にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗り継ぎ駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする。
【0037】
請求項20にかかる発明は、請求項15にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して所定の時間で移動し得る比較経路の到達圏を探索し、
前記経路比較手段は、前記比較経路の到達圏に基づいて、前記登録経路における乗車駅、乗換駅、降車駅への各到着時刻が、それぞれ前記比較経路の到達圏に含まれてから所定の時間内に含まれる場合は、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする請求項15に記載の経路探索サーバ。
【0038】
請求項21にかかる発明は、請求項17にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路探索手段は、前記代替経路を探索する際、前記登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、該イベントの終了時刻にイベント参加者がイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な電車が前記比較経路に含まれる場合、該最寄り駅で乗車可能な電車を前記経路探索用ネットワークデータベースから一時削除して、前記代替経路探索を行うことを特徴とする。
【0039】
請求項22にかかる発明は、請求項21にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路探索用ネットワークデータベースから一時削除する電車は、前記イベントの終了時刻にイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な最初の電車から、所定の時間範囲内の後続電車、および、所定の時間範囲以内の乗り継ぎ電車であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
請求項1にかかる発明においては、
ナビゲーションシステムは、イベントの開催場所および開催時間を含むイベント情報を蓄積したイベントデータベースと、所望の案内経路データを登録経路として記憶する登録経路記憶手段と、経路比較手段と、を備え、経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記登録経路が混雑する旨を予め設定された報知先に報知する。
【0041】
このような構成によれば、通勤経路など予め登録した登録経路の周辺でイベントが開催される場合、イベントへの参加を終えて離散する群衆が交通機関を利用して移動可能な比較経路と登録経路との一致度、すなわち、登録経路の目的駅への到着時刻とその駅への比較経路の到着時刻が重なる場合には比較経路で移動する人(イベント参加者)による混雑に遭遇することになるから、予め混雑に遭遇することを報知することで混雑を回避することができるようになる。
【0042】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗換駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知する。
【0043】
このような構成によれば、通勤経路など予め登録した登録経路の周辺でイベントが開催される場合、イベントへの参加を終えて離散する群衆が交通機関を利用して移動することによる混雑を回避するために、登録経路の出発駅を早めに出発して混雑を回避し、あるいは、出発駅を遅めに出発して混雑が緩和した後に移動して混雑を回避することができるようになる。
【0044】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記経路探索手段は、前記比較経路を除いて前記登録経路の出発駅から目的駅までの代替経路を探索し報知する。
【0045】
このような構成によれば、ナビゲーションシステムにおいて混雑を回避する代替経路が探索され、案内されるから、利用者は、通勤経路など予め登録した登録経路の周辺でイベントが開催される場合、イベントへの参加を終えて離散する群衆が交通機関を利用して移動することによる混雑を回避する代替経路を知ることができ、混雑を回避して目的駅に向かうことができるようになる。
【0046】
請求項4にかかる発明においては、請求項1かかるナビゲーションシステムにおいて、前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知する
【0047】
このような構成によれば、通勤経路など予め登録した登録経路の周辺でイベントが開催される場合、イベントへの参加を終えて離散する群衆が交通機関を利用して移動可能な比較経路と登録経路に重複する経路部分があり、登録経路の目的駅に群衆が到着する時刻より遅く利用者が到着する場合には、比較経路で移動する人(イベント参加者)による混雑に遭遇するから、予め混雑に遭遇することを報知することで混雑を回避することができるようになる。
【0048】
請求項5にかかる発明においては、請求項2かかるナビゲーションシステムにおいて、前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗り継ぎ駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知する。
【0049】
このような構成によれば、通勤経路など予め登録した登録経路の周辺でイベントが開催される場合、イベントへの参加を終えて離散する群衆が交通機関を利用して移動可能な比較経路と登録経路に重複する経路部分があり、登録経路の目的駅に群衆が到着する時刻より遅く利用者が到着する場合には、混雑を回避できる時間帯が報知されるから、登録経路の出発駅を早めに出発して混雑を回避し、あるいは、出発駅を遅めに出発して混雑が緩和した後に移動して混雑を回避することができるようになる。
【0050】
請求項6にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して所定の時間で移動し得る比較経路の到達圏を探索し、前記経路比較手段は、前記比較経路の到達圏に基づいて、前記登録経路における乗車駅、乗換駅、降車駅への各到着時刻が、それぞれ前記比較経路の到達圏に含まれてから所定の時間内に含まれる場合は、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知する。
【0051】
このような構成によれば、通勤経路など予め登録した登録経路の周辺でイベントが開催される場合、イベントへの参加を終えて離散する群衆が交通機関を利用して移動可能な比較経路の到達圏がわかるから、イベントへの参加を終えて離散する群衆が登録経路の目的駅に到達する範囲(到達圏)に含まれてから一定の時間範囲の間は群衆による混雑に遭遇するから、予め混雑に遭遇することを報知することで混雑を回避することができるようになる。
【0052】
請求項7にかかる発明においては、請求項3にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記経路探索手段は、前記代替経路を探索する際、前記登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、該イベントの終了時刻にイベント参加者がイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な電車が前記比較経路に含まれる場合、該最寄り駅で乗車可能な電車を前記経路探索用ネットワークデータベースから一時削除して、前記代替経路探索を行う。
【0053】
このような構成によれば、ナビゲーションシステムは、該イベントの終了時刻にイベント参加者がイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な電車が比較経路に含まれる場合、該最寄り駅で乗車可能な電車を経路探索用ネットワークデータベースから一時削除して代替経路を探索するから、探索処理が容易になる。
【0054】
請求項8にかかる発明においては、請求項7にかかるナビゲーションシステムにおいて、経路探索用ネットワークデータベースから一時削除する電車は、前記イベントの終了時刻にイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な最初の電車から、所定の時間範囲内の後続電車、および、所定の時間範囲内の乗り継ぎ電車である。
【0055】
このような構成によれば、代替経路の探索は、該イベントの終了時刻にイベント参加者がイベント会場を出発して拡散していく時間範囲内の電車を経路探索用ネットワークデータベースから一時削除して代替経路を探索するものであるから、混雑する時間帯を回避する代替経路を容易に探索できるようになる。
【0056】
また、本願の請求項9ないし請求項14にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項6にかかるナビゲーションシステムを構成する端末装置を提供することができ、また、本願の請求項15ないし請求項22にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項8にかかるナビゲーションシステムを構成する経路探索サーバを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーションシステムを例示するものであって、本発明をこのナビゲーションシステムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーションシステムにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0058】
図1は、本発明にかかる端末装置20を含むナビゲーションシステム10の構成を示すシステム構成図である。図1に示すようにナビゲーションシステム10は、ネットワーク12を介して接続される端末装置20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。このナビゲーションシステム10は、各種カテゴリに属するPOIの所在地やサービス内容あるいは各種イベント会場で開催されるイベントの詳細情報などのPOI情報を提供するPOI情報配信サーバ50、音楽や各種画像などのコンテンツその他の情報を提供する各種の情報配信サーバ51などを備えて構成されている。
【0059】
経路探索サーバ30はPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51からネットワーク12を経由して必要なデータを取得して自身のデータベースに追加することができる。また、同様にしてPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51に検索要求を送信して所望の検索結果を取得することもできる。
【0060】
本発明にかかるナビゲーションシステム10は、上記の構成に限られるものではなく、経路探索サーバ30はナビゲーションサービス機能とともにPOI所在場所の地図を配信する地図配信サーバの機能を有していてもよい。また、端末装置20も携帯電話を用いることができ、またPDAや音楽プレイヤーなどの携帯機器、あるいは、パーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。また、端末装置20と経路探索サーバ30とが一体になった車載用のナビゲーションシステムのようなスタンドアロンタイプのシステムであってもよい。
【0061】
経路探索サーバ30は、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、イベントデータベース36を備えている。イベントデータベース36にはイベント開催場所の位置情報、開催時期などの詳細情報が蓄積される。端末装置20は後述するように予め通勤経路など、経路探索サーバ30から送信された経路を登録経路として記憶し、登録経路の周辺で開催されるイベント終了時の該イベント参加者による混雑の有無などの案内(以下、比較経路探索の要求という)を経路探索サーバ30に要求することができる。
【0062】
経路探索サーバ30は端末装置20から前記の登録経路に関連した案内要求(比較経路探索の要求)があると、イベントデータベース36を参照して登録経路周辺のイベントを抽出し、該イベントの詳細情報に基づいてイベント終了時に帰宅するイベント参加者による比較経路を探索し、端末装置20に送信する。
【0063】
端末装置20は後述するように経路比較手段を備えており、登録経路と比較経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲である場合、登録経路が混雑する旨を表示手段に報知する。一致度とは、例えば、登録経路と比較経路が重複し、かつ比較経路の目的駅到着時刻より遅い一定の時間内に登録経路の目的駅到着時刻が入る場合、一致度が高いと判別する。すなわち、この場合登録経路で目的駅に向かうとイベント終了後の帰宅者による混雑の影響を受けることになる。逆に登録経路による目的駅到着時刻が比較経路による目的駅到着時刻よりも早い時刻である場合、一致度は低いと判別する。この場合はイベント終了後の帰宅者の目的駅到着よりも登録経路の目的駅到着時刻が早いから混雑の影響を受けることがないことになる。
【0064】
端末装置20から経路探索サーバ30に対する一般的な地図要求や経路探索要求があった場合のナビゲーションシステム10の動作は、一般的なナビゲーションシステムの動作と同様である。すなわち、端末装置20は現在位置や所望の地点を指定して経路探索サーバ30に当該現在位置や所望の地点を中心とした所定の範囲の地図情報を要求し、経路探索サーバ30から配信された地図情報に基づいて地図画像を表示手段に表示することができる。
【0065】
また、端末装置20は所望の興味対象場所(POI:Point of Interest)の検索を経路探索サーバ30に要求し、経路探索サーバ30から回答されたPOI検索結果から任意のPOIを指定して当該任意のPOIが存在する地点を含む地図情報を要求してその地図画像を表示手段に表示することもできる。
【0066】
更に、端末装置20は所望の出発地、目的地を指定して経路探索サーバ30に出発地から目的地までの最適経路やいくつかの候補経路の探索を要求し、経路探索サーバ30から、案内経路を含む地図情報を経路探索の結果として受信し、地図画像、案内経路画像を表示手段に表示することもできる。
【0067】
地図や案内経路の表示にあたっては、端末装置20においてGPS受信手段などの測位手段が測位した現在位置(緯度・経度)を現在位置マークとして地図画像に重ね合わせて表示し、現在位置を地図上で識別できるようにする。
【0068】
図2は、図1のナビゲーションシステム10の詳細な構成を示すブロック図である。本発明の実施例にかかるナビゲーションシステム10は、図2のブロック図に示すようにインターネットなどのネットワーク12を介して通信する端末装置20と、経路探索サーバ30とから構成されている。
【0069】
端末装置20は、制御手段201、GPS受信手段21、比較経路要求手段22、経路比較手段23、登録経路記憶手段24、描画制御手段25、通信手段26、案内経路記憶手段27、表示手段28、操作入力手段29を備えている。一方、経路探索サーバ30は、制御手段301、比較経路配信手段32、経路探索手段33、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、イベントデータベース36を備えている。
【0070】
制御手段201は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段26はネットワーク12を介して経路探索サーバ30などと通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0071】
GPS手段21はGPS衛星からの信号を受信して現在位置を緯度・経度で算出する。操作入力手段29は、キー、ダイヤル等からなり、端末装置20を操作するための入力、出発地、目的地などの入力機能として用いられる。表示手段28は液晶表示パネル等からなり、経路探索サーバ30から配信された案内経路、地図の表示に使用されるものである。また、表示手段28はメニュー画面を表示し端末装置20を操作するための入力手段としても機能する。
【0072】
経路探索サーバ30から送信される案内経路データは地図データとともに案内経路記憶手段27に記憶され、案内経路データや地図データは必要に応じて案内経路記憶手段27から読み出され、描画制御手段25により描画され表示手段28に表示される。
【0073】
端末装置20の利用者は、日常的に使用する通勤経路の周辺に野球場やサッカー場などのイベント会場があり、野球やサッカーを観戦した人々が帰宅する時間帯と重なり混雑した電車に乗車しなければならない場合がある。そこで本発明では、予めイベント終了に伴う混雑が予想できる場合にはその旨表示手段に報知したり、回避手段を報知するようにする。
【0074】
本発明において、端末装置20は、登録経路記憶手段24に所望の経路を登録しておく。登録する経路はイベントによる混雑予想の報知や回避手段の報知を受けたい経路であり、既に経路探索サーバ30を用いて探索した案内経路を登録する。例えば、経路探索サーバ30を用いて探索した通勤経路を登録経路記憶手段24に登録経路として記憶する。もちろん、ある日時に、所望の出発地から所望の目的地まで移動を予定している経路を、予め経路探索サーバ30を用いて探索し、案内経路を受信して登録経路として登録経路記憶手段24に記憶しておくこともできる。
【0075】
比較経路要求手段22は、登録経路記憶手段24に記憶された登録経路に基づいて経路探索サーバ30に比較経路の探索を要求する。経路探索サーバ30は端末装置20から比較経路探索要求を受信すると、後述するように登録経路周辺のイベントを抽出してその終了時刻にイベント会場を出発する人々が交通機関を利用して移動可能な経路を比較経路として探索し、端末装置20に送信する。
【0076】
端末装置20は経路探索サーバ30から比較経路を受信すると経路比較手段23において、登録経路と比較経路を比較してその一致度を判別する。一致度とは、比較経路に登録経路と重複する経路部分が含まれ、かつ、登録経路における目的駅への比較経路による到着時刻が一定の範囲にあるか否かにより判別される。比較経路による到着時刻よりも登録経路による到着時刻が遅い場合、登録経路は比較経路による混雑に遭遇する。この関係はイベント会場から帰宅する人々が拡散するに要する時間継続する。
【0077】
従って、比較経路による到着時刻よりも登録経路による到着時刻が遅く、その時間の差が前記拡散に要する時間の範囲内である場合には登録経路を利用すると比較経路による混雑に遭遇する、すなわち、イベントによる混雑の影響を受ける可能性が高く、一致度が高いと判別する。この結果、登録経路が混雑することを表示手段28に表示して利用者に報知する。報知方法は表示によらず音声出力、その他の方法であってもよい。
【0078】
経路探索サーバ30において、制御手段301は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段31はネットワーク12を介して端末装置20などと通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0079】
経路探索サーバ30は、前述したように、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、イベントデータベース36を備えている。端末装置20から通常の経路探索要求があると、経路探索手段33は、経路探索用ネットワークデータベース35を参照し、道路ネットワークデータ、交通ネットワークデータに基づいて最適経路を探索して案内経路データを端末装置20に送信する。その際、経路探索索サーバ30は地図データベース34から所要の地図データを読み出して案内経路データとともに端末装置20に送信する。
【0080】
また、端末装置20から所望のPOIや地点を指定して地図データの送信要求があった場合、経路探索サーバ30は地図データベース34から所要の地図データを読み出して案内経路データとともに端末装置20に送信する。
【0081】
本発明において、端末装置20から前述した比較経路探索の要求があると、経路探索手段33は、イベントデータベース36を参照して登録経路周辺のイベントを抽出し、該イベントの詳細情報に基づいてイベント終了時に帰宅するイベント参加者による比較経路を探索し、端末装置20に送信する。
【0082】
ここで、イベントデータベース36に蓄積されるイベントの詳細情報、開催時期情報について述べる。イベントの開催場所はスタジアムの場所やイベント会場の場所、例えば、野球やサッカーの開催されるスタジアムや花火大会の開催場所として事前に位置情報を特定することができる。これらの位置情報は各種の情報配信サーバ50、51(図1参照)などを通じて収集することができる。イベントの開催時期(日時)も同様である。
【0083】
一方、イベント開催時におけるイベント終了時刻には、終了時刻が決まっているもの
と終了時刻が不定なものがある。前者は、例えば大相撲興行やサッカーの試合(延長なし)がある。この場合は、事前にイベントの会場位置、開催日、終了時刻データの登録が可能である。後者は、プロ野球が代表例であり、事前にイベントの会場位置、開催日、は決まっているが、終了時刻が定まらない。
【0084】
しかし、プロ野球では1イニング平均20分程度という統計データがあり、試合が始まってからの残りイニング数で終了時刻を予想することが出来る。インターネット上に試合経過が流れているので、経路探索サーバ30が対象となる試合を監視し、終了時刻を事前に推定することが出来る。あるいは、試合が終了した時点で、終了時刻の確定データを入手することも可能である。従って、大規模イベントの終了時刻は、予め決まっているものはその時刻を、また決まっていない場合は暫定予想時刻で始めて、予想時刻を更新していくようにすれば確度の高い情報になる。
【0085】
図3は、端末装置20において登録経路を設定するための入力画面の例を示す図である。
利用者の登録経路には大別して次の2種類が想定される。第1は、利用者がナビゲーションシステム10に登録した経路である。第2はナビゲーションシステム10が、端末装置20により随時要求した所望の2地点間の経路を探索して得られた経路である。
【0086】
前者は、例えば、定期券で乗車する通勤経路が該当する。通勤経路は固定であり、勤務時間が決まっている利用者は、出発地の出発時間、すなわち登録経路の時刻も固定化できる。一方、後者は、その都度経路探索を行った場合の案内経路であって、経路探索条件に従って出発時刻なども決まる。いずれの場合も、利用者の登録した経路について、その経路における利用時刻(出発時刻等)が決まっていれば、イベント終了後にイベント会場から移動してくる人々に遭遇するか(混雑に遭遇するか)を調べることが出来る。
【0087】
登録経路は、図3の入力画面を用いて出発地(あるいは出発駅)、目的地(あるいは目的駅)、経由駅、出発時刻などの経路探索条件を設定して経路探索サーバ30に経路探索要求し、経路探索サーバ30から検索結果として送信される案内経路データを登録経路として登録経路記憶手段24に記憶する。過去に経路探索サーバ30から受信した案内経路データが保存してある場合には、図示していないメニュー画面を用いて保存してある案内経路データから所望の案内経路データを選択して登録経路として登録経路記憶手段24に記憶することもできる。
【0088】
登録経路の設定画面301は、図3に示すように、出発地入力欄302、目的地入力欄303、経由駅入力欄304、出発時刻入力欄305、経路確認ボタン306、通知(報知)方法選択欄307、通知先入力欄308、対象イベント会場入力欄309から構成されている。これらの入力はテキストを用いて直接入力してもよく、各入力欄に設けたプルダウンボタンを操作して保存してあるデータを呼び出して選択するようにしてもよい。また、出発時刻入力欄305の代わりに目的地への到着時刻を指定する到着時刻入力欄を追加してもよい。
【0089】
経路確認ボタン306を操作すると経路探索サーバ30から送信された案内経路を表示手段28に表示することができる。報知内容の通知先(電子メールの送信先アドレス等)を指定する場合には通知先入力欄308を用いて指定する。登録経路に対する対象イベント会場が予め判明している場合は、対象イベント会場入力欄309を用いて指定することもできる。イベント会場は経路探索サーバ30のイベントデータベース36に登録されているので、メニューで選ばせることが可能である。
【0090】
この場合、対象イベント会場入力欄309はプルダウンメニュー形式になっており、特に対象とするイベント会場を絞り込みたい場合、プルダウンメニューから選択することができる。なお、本実施例において、登録経路記憶手段24は端末装置20に備えた例を示しているが、経路探索サーバ30に端末装置20の利用者対応の登録領域を設けることもできる。最後に登録ボタン(図示されていない)を押して、登録経路を記憶する。登録経路を経路探索サーバ30に記憶する場合には端末装置20を利用している利用者のユーザIDを付して送信し、経路を登録する。
【0091】
通知(報知)方法選択欄307には比較経路を受信した後の通知方法を選択する「通知のみ」、「回避時間帯通知」、「回避経路も通知」の何れかを選択するチェックボタンが表示される。「通知のみ」を選択した場合、経路比較手段23は、登録経路と比較経路との経路比較を行い、登録経路に影響があるかないかを判別して影響があると判別した場合、その旨を表示する。
【0092】
「回避時間帯通知」を選択した場合、経路比較手段23は、登録経路と比較経路との経路比較を行い、登録経路に影響があるかないかを判別して影響あると判別した場合、比較経路による登録経路への影響を回避できる登録経路の時間帯、すなわち、登録経路において比較経路による混雑の影響を受けずにすむ登録経路の出発駅の出発時間帯を表示する。
【0093】
「回避経路も通知」を選択した場合、経路比較手段23は、登録経路と比較経路との経路比較を行い、登録経路に影響があるかないかを判別して影響あると判別した場合、比較経路による登録経路への影響を回避できる代替経路の探索を経路探索サーバ30に要求し、経路探索サーバ30は代替経路を探索し、代替経路が得られれば端末装置20に送信し、端末装置20は、経路探索サーバ30から受信した代替経路を表示手段28に表示する。経路探索サーバ30において代替経路が探索されなかった場合には、代替経路がない旨表示し、「通知のみ」あるいは「回避時間帯通知」の何れかと同様の報知を行う。
【0094】
図4は、「通知のみ」を選択した場合に表示手段28に表示される通知画面(報知画面)の表示画面の一例を示す図である。この表示画面401には、比較経路探索がオン(ON)であることを示す状態表示領域402と、報知内容(通知内容)を表示する報知表示領域403がある。報知表示領域403には、例えば、登録経路が通勤経路である場合、帰宅電車に混雑が予想される旨表示され、具体的に年月日、混雑の予想される駅名や影響を与えるイベント会場名などを報知する。
【0095】
図5は、「回避時間帯通知」を選択した場合に表示手段28に表示される通知画面(報知画面)の表示画面の一例を示す図である。この表示画面501には、比較経路探索がオン(ON)であることを示す状態表示領域502と、報知内容(通知内容)を表示する報知表示領域503がある。報知表示領域503には、例えば、登録経路が通勤経路である場合、帰宅電車に混雑が予想される旨表示され、具体的に年月日、混雑の予想される駅名や影響を与えるイベント会場名などを報知されるとともに、混雑を回避するために登録経路における出発駅の出発時間帯を表示する。図5の例では、xx:yyよりも早く、あるいは、xx:yyよりも遅く出発することを推奨するメッセージが表示されている。回避経路を探索した場合に、回避経路の表示が要求された場合には通常の経路表示や地図表示と同様の方法で回避経路を表示する。
【0096】
次に、登録経路に対する比較経路の探索と両経路の経路比較およびその判断の概念について説明する。この説明の前に一般的な経路探索の概念について説明する。経路探索サーバ30は経路探索用ネットワークデータベース35を備え、経路探索用ネットワークデータベース35は、先に説明したように道路ネットワークデータ、交通ネットワークデータを含んでおり、徒歩、自動車の経路は道路ネットワークデータを、交通機関を利用する経路は交通ネットワークデータを参照して経路を探索する。
【0097】
道路ネットワークデータは、以下のように構成されている。例えば、道路が図6に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0098】
すなわち、図6において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図6では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0099】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図6において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0100】
図6ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0101】
これに対して、交通機関の経路探索のための交通ネットワークデータは以下のように構成されている。例えば、図7に示すように交通路線A、B、Cからなる場合、各交通路線A、B、Cに設けられた各駅(航空機の路線においては各空港)をノードとし、各ノード間を結ぶ区間を有向性のリンクで表し、ノードデータ(緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)をネットワークデータとしている。図7において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は交通路線の乗り継ぎ点(乗換え駅など)を示し、各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、交通路線の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図7では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0102】
しかしながら、交通ネットワークは道路ネットワークと比べリンクコストが基本的に異なる。すなわち、道路ネットワークではリンクコストは固定的、静的なものであったが、交通ネットワークでは、図7に示すように交通路線を運行する列車や航空機(以下個々の列車や航空機などの各経路を交通手段と称する)が複数ある。各交通手段毎にあるノードを出発する時刻と次のノードに到着する時刻とが定まっており(時刻表データ、運行データで規定される)、かつ、個々の経路が必ずしも隣接するノードにリンクしない場合がある。例えば、急行と各駅停車の列車のような場合である。このような場合には同じ交通路線上に異なる複数のリンクが存在することになり、またノード間の所要時間が交通手段により異なる場合もある。
【0103】
図7に例示する交通ネットワークにおいては、交通路線Aの同じリンクに複数の交通手段(経路)Aa〜Ac・・・、交通路線Cに複数の交通手段(経路)Ca〜Cc・・・が存在することになる。従って、交通機関の運行ネットワークは、単純な道路ネットワークと異なり、ノード、リンク、リンクコストの各データは交通手段(個々の航空機や列車などの経路)の総数に比例したデータ量になる。このため交通ネットワークのデータは道路ネットワークのデータ量に比べて膨大なデータ量になる。従って、それに応じて、経路探索に要する時間も多くの時間が必要になる。
【0104】
このような交通ネットワークデータを用いて、ある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定する必要がある。
【0105】
例えば、図7において、出発地を交通路線AのノードAXとしてある特定の出発時刻を指定して、交通路線CのノードCYを目的地とする経路探索を行う場合、交通路線A上を運行する交通手段Aa〜Ac・・・のうち出発時刻以降の全ての交通手段を順次出発時の経路として選択する。そして交通路線Cへの乗り継ぎノードへの到着時刻に基づいて、交通路線C上を運行する各交通手段Ca〜Cc・・・のうち、乗り継ぎノードにおいて乗車可能な時刻以降の交通手段の全ての組み合わせを探索して各経路の所要時間や乗り換え回数などを累計して案内することになる。
【0106】
このようなネットワークデータを利用して経路探索サーバ30は経路探索条件に従って、出発地から目的地までの最適経路を探索し、その結果を案内経路データとして端末装置20に送信する。経路探索条件に出発地の出発時刻が指定されている場合には目的地への到着時刻が、また、目的地への到着時刻が指定されている場合には、目的地に指定時刻に到着するための出発地の出発時刻が案内経路データに含まれ、端末装置20はこれらを表示手段に経路の詳細とともに表示することができる。案内経路に乗換え駅が含まれる場合には当該乗換え駅で乗り換えるべき電車やその出発時刻も同様にして表示することができる。
【0107】
登録経路はこのようなネットワークデータを参照して、図3に示す入力画面で設定された条件に基づいて経路探索サーバ30において探索される。端末装置20は、経路探索サーバ30が探索した案内経路データを受信して登録経路として登録経路記憶手段24に記憶する。比較経路探索要求手段22が登録経路に基づいた比較経路探索要求を経路探索サーバ30に送信すると、経路探索サーバ30はイベントデータベース36を参照して登録経路の周辺のイベントを抽出し比較経路を探索して端末装置20に送信する。
【0108】
このような登録経路を用いて勤務先から自宅まで帰宅する際、周辺にあるイベント会場で開催されていたイベントの終了時刻が重なると、該イベント会場を出て帰宅するイベント参加者が利用可能な交通機関の経路が登録経路と重複する場合、イベント参加者による混雑に遭遇することになる。そこで、端末装置20は経路探索サーバ30に比較経路の探索を要求する。
【0109】
経路探索サーバ30における比較経路の探索は以下の手順によって行う。先ず、経路探索サーバ30は、イベントデータベース36を参照して、登録経路の周辺地域で開催されるイベントを抽出する。遠くのイベント会場で開催されるイベントは、イベントに参加した人々の移動は時間とともに拡散するので影響が小さくなるので、イベント会場からの経路における駅数、路線時間、距離などで比較経路と登録経路との一致度を判断する基準を設定する。なお、登録経路に対して比較経路を探索する対象にするイベント会場が利用者の経験から既知である場合には、対象イベント会場入力欄309(図3参照)を用いて直接指定できる。経路探索サーバ30は指定されたイベント会場におけるイベントの開催有無と終了時刻を抽出すればよい。
【0110】
次に経路探索サーバ30は、イベントデータベース36から抽出したイベント会場を出発地、登録経路の目的駅を目的地とし、イベント終了時刻を出発時刻として、目的地(目的駅)までの最適経路を比較経路として探索する。イベントの終了時刻が未定なものは先に説明した方法でその終了時刻を予測する。最適経路の他に候補経路を含めた複数の比較経路を探索してもよい。このとき、有料特急利用などは除外し、群集の一般的な利用交通手段に限定して探索を行う。そして経路探索サーバ30は、探索した比較経路のデータを端末装置20に送信する。なお、イベント会場から出発駅まで徒歩となる場合は、当然徒歩時間も含んだ経路探索となる。徒歩時間は混雑を考慮して標準の歩行速度に所定の比率を加味した遅い歩行速度を設定して探索するとよい。
【0111】
次いで、端末装置20が経路探索サーバ30から比較経路を受信すると、経路比較手段23により比較経路と登録経路を比較して両経路の一致度を判別する。すなわち、経路比較手段23は、比較経路(イベント終了時にイベント会場から移動する人々の経路)による目的駅(登録経路として設定された目的駅)の到着時刻と、登録経路の目的駅の到着時刻を比較し、登録経路の目的駅への到着時刻が比較経路による到着時刻より所定の時間以内遅く、かつ両経路に重複する経路部分がある場合には、登録経路に従って乗車する電車が比較経路により移動する人々と重なり、混雑に遭遇する旨の通知を表示する。なお、本実施例においては経路比較手段23を端末装置20に設けた例を説明しているが、登録経路を経路探索サーバ30に記憶する場合、経路比較も経路探索サーバ30が行い、結果のみを端末装置20に送信する構成とすることもできる。
【0112】
この手順の概念を、図8に示す具体例を用いて説明する。図8は、登録経路と比較経路の探索および両経路の経路比較の一例を説明するための概念図である。図8において、登録経路は、例えば、端末装置20の利用者が日常的に利用する通勤経路81(図中、点線の経路)であり、勤務先の最寄り駅82を出発して自宅の最寄り駅83に至る経路である。途中乗り継ぎ駅84で路線Aから路線Cに乗り換える。この例では最寄り駅82と勤務先、最寄り駅と自宅の間はそれぞれ徒歩経路が存在するが、以下の説明では、理解を容易にするため、徒歩区間は「0」として説明する。
【0113】
路線Aの周辺にはイベント会場、例えば、野球場ST.Aが、路線Bの周辺にはサッカー場ST.Bが、路線Cの周辺には同様にイベント会場ST.Cが存在している。各イベント会場ST.A〜ST.Cの位置情報、イベントの開催日時に関する詳細情報はイベントデータベース36に蓄積されており、比較経路の探索において、経路探索サーバ30は登録経路に基づいて、その周辺のイベントを抽出する。
【0114】
このような登録経路81を用いて勤務先から自宅まで帰宅する際、イベント会場ST.Aで開催されていたイベントの終了時刻が重なると、イベント会場ST.Aを出て帰宅するイベント参加者が利用可能な交通機関の経路として路線Aが存在するので、登録経路81で最寄り駅から乗車すると、イベント参加者による混雑に遭遇することになる。そこで、端末装置20は経路探索サーバ30に比較経路の探索を要求する。
【0115】
経路探索サーバ30は登録経路に基づいてイベントデータベース36からイベント会場ST.Aを抽出し、抽出したイベント会場におけるイベントの終了時刻を出発時刻とし、登録経路の目的駅を目的地としてイベント参加者が利用し得る交通機関を利用した最適経路を探索して比較経路85とする。登録経路81には時刻条件(例えば、勤務先を退社する時刻)があり、比較経路85はイベントの終了時刻が出発時刻であるから、比較経路に存在する各駅の到着時刻は経路データとして既知であり、比較経路のデータに含まれて端末装置20に送信される。
【0116】
端末装置20は、経路探索サーバ30から比較経路のデータを受信すると、経路比較手段23において登録経路81と比較経路85との比較を行い両経路の一致度を判別する。一致度の判別は両経路に重複した経路部分があるか否かと、登録経路の目的駅83への両経路の到着時刻により行う。両経路に重複する経路部分がなければ、登録経路が比較経路による混雑の影響を受けることがないことになる。例えば、図8におけるイベント会場ST.Cでイベント開催があったとしても、イベント会場ST.Cから目的駅83の比較経路は登録経路81と重複しないから、該イベント会場ST.Cからの人々の移動の影響を受けることはないので報知の対象としない。
【0117】
また、登録経路において目的駅83に到着する時刻が、比較経路においてその駅に到着する時刻より早い時刻であれば比較経路による混雑の影響が出る前に目的駅に到着して帰宅できるので影響を受けることがないことになる。例えば、図8におけるイベント会場ST.Bでイベント開催があり、イベント会場ST.Bから目的駅83への比較経路が登録経路81と重複しても、イベント終了時刻を出発時刻とする比較経路における目的駅への到着時刻前に登録経路81が目的駅に到着していれば、該イベント会場ST.Cからの人々の移動の影響を受けることはないので報知の対象としない。
【0118】
逆に、登録経路81と比較経路85に重複する経路部分があり、かつ、登録経路による目的駅到着が比較経路による目的駅到着時刻より遅い場合には、比較経路による混雑の影響を受けることになる。ただし、混雑の影響は一定の時間が経過すれば度合いが薄れる。なぜならば、イベント参加者がイベント会場を出発してそれぞれの目的地に向かう場合、人数や経路は時間とともに拡散し、その影響も時間とともに薄れて行くからである。
【0119】
例えば、イベントの終了から30分程度経過すれば、イベント会場を出発する人の数は終了直後に比べて格段に少なくなる。従って、経路比較手段23は両経路の目的駅への到着時刻を比較し、登録経路による目的駅到着が比較経路による目的駅到着時刻より遅く、その差が例えば30分以内である場合には両経路の一致度が高く、登録経路が比較経路による混雑の影響を受けるものと判断し、報知の対象とする。到着時刻の差が30分以上ある場合には経路比較手段23は両経路の一致度が低いと判断し、比較経路による混雑の影響が小さいので、報知の対象としない。
【0120】
報知の方法は上記実施例においては端末装置20の表示手段28に表示する例を説明したが、通知先として端末装置20の利用者の電子メールアドレスなどを指定しておき、電子メールで報知することもできる。この場合、経路比較を経路探索サーバ30で行い、経路探索サーバ30から指定された通知先に電子メールを送信する構成を採ることが好ましい。電子メールのメッセージは図4や図5に示すようなメッセージである。
【0121】
このようにすれば、利用者は、どんなイベントからの群集に遭遇するかもわかって、「野球やサッカーの応援団と遭遇するのは嫌だから、駅でしばらく時間を潰して帰ろう」などの計画が立てられる。なお、任意の経路探索を行って得た案内経路を登録経路として一時記憶し、経路探索サーバ30が前述の処理を行って同様の情報を経路探索時に報知しても良い。また、出発時刻まで時間がある場合は、登録経路を経路探索サーバ30が報知すべき時間まで保存しておいて、後で再チェックして報知するように構成してもよい。
【実施例2】
【0122】
以上説明した実施例1においては、イベント参加者による混雑の影響を受ける場合に、その旨を報知する例を説明したが、経路比較手段23が登録経路と比較経路をもとに回避できる時間帯を算出して報知するように構成することができる。これにより、端末装置20の利用者は、混雑を回避できる時間帯まで時間調整をすることもできる。本実施例2のナビゲーションシステム10の構成は図2に示す構成と同様の構成でよい。
【0123】
この手順を、図9に示す具体例を参照して説明する。経路比較手段23は、先の実施例1において説明したように登録経路と比較経路の一致度を判別し、一致度が高く、比較経路による混雑に遭遇する場合、先ず、イベント会場ST.Aからの目的駅(登録経路の下車駅)への最適経路(比較経路)の目的駅到着時刻あるいはそれより5分か10分あるいは電車1、2本分早い時刻を下車駅への到着時刻に指定して、登録経路の時刻表探索を行う。求めた出発駅の出発時間帯は、比較経路により移動する人々より早く目的駅に到着することができる出発時間帯である。なお、その出発時刻が現在時刻より早ければ(既に経過してしまった過去の時間帯であれば)、通知は行わない。
【0124】
このようにして算出した時間帯は、比較経路より早く登録経路の目的駅に到着できる混雑回避時間帯であるが、逆に、比較経路より遅く、かつ、混雑が緩和してから登録経路の目的駅に到着する混雑回避時間帯を求めることもできる。すなわち、イベント会場ST.Aからの目的駅(登録経路の下車駅)への最適経路(比較経路)の目的駅到着時刻より30分以上あるいはさらに電車1、2本分遅い時刻を下車駅への到着時刻に指定して登録経路の時刻表探索を行う。
【0125】
求めた出発駅の出発時間帯は、比較経路により移動する人々より30分以上遅く、イベント参加者が十分拡散し混雑の影響が少なくなってから下車駅に到着できる出発時間帯である。なお、その出発時間帯が終電より後になる場合には、登録経路で移動できないので通知しない。
ナビゲーションシステム10をこのように構成すれば、利用者は登録経路を変更することなく、混雑を回避するための時間調整するための情報を通知(提供)することができるようになる。
【実施例3】
【0126】
実施例2は、混雑を回避できる登録経路の出発時間帯を通知する例であったが、混雑を回避できる代替経路を経路探索サーバ30により探索して通知することもできる。この実施例3のナビゲーションシステム10の構成は、図2に示すナビゲーションシステム10の構成と同様の構成でよい。このような通知は、通勤経路のような日常的に利用する経路を登録経路とする場合に比べて、所望の出発地を予定した時間に出発して所望の目的地に向かう際に、イベント参加者による混雑を回避できる代替経路により目的地に移動することができ好適である。
【0127】
この手順を、図10に示す具体例を参照して説明する。図10において、イベント会場ST.Aで開催されるイベント終了時刻に基づいて、このイベント会場を出発する人々による混雑を回避するための代替経路を探索する例を説明する。ここでは先ず、比較経路と登録経路の経路比較は実施例1と同様にして行い、経路比較手段23により一致度が高いと判別し、比較経路による混雑に遭遇することが判明したものとする。
【0128】
経路探索手段33は、代替経路を探索する場合、イベントデータベース36を参照して抽出したイベント会場ST.Aをイベントの終了時刻に出発し、イベント会場の周辺の駅で乗車可能な全ての方向の電車T1〜T4を抽出する。
次いで、抽出した電車、およびその所定時間または所定本数後の後続電車も抽出する。
更に、抽出した全ての電車のイベント会場の周辺の駅から所定の範囲(時間、駅数)で乗り継ぎ可能な電車T5〜T8、T9〜T12を抽出する。
【0129】
次に、経路探索手段33は、交通ネットワークデータを一時的に編集し、以上説明した全ての抽出電車T1〜T12について、交通ネットワークデータを一時的に編集し、イベント会場の周辺の駅から所定の範囲(時間、駅数)の運行データを削除するか、あるいは乗車できないことを示す属性を与えて、これらの抽出データを交通ネットワークデータから実質的に削除する。次いで、経路探索手段33は、上記のようにして実質的に抽出電車を削除した交通ネットワークデータを用いて、経路探索を行うと、イベント終了により移動する人々が利用可能な電車を除いた代替経路が探索されるから、利用者がこの代替経路で移動すれば、混雑に遭遇せずに目的地に向かうことができるようになる。
【0130】
イベント会場ST.Aの周辺の駅から所定の範囲とは、乗車時間で20分程度とか、駅数で10駅などの範囲で、人々が拡散して密度が低下すると考えられる範囲である。この範囲で、該当する電車T1〜T12に乗車できないことにして経路を探索し、混雑に遭遇しない代替経路を探索すればよい。なお、上記のような拡散を考慮せずに該当電車を単純に削除してしまうと、イベント会場から遠くて影響が無い部分まで削除することになるので、好ましくない。
【実施例4】
【0131】
以上の実施例は、ナビゲーションシステム10においては、イベント会場をイベント終了時刻に出発する人々が最適経路を利用するものとして比較経路を探索する場合を説明したが、人々は必ずしも最短経路で移動するとは限らず、混雑する最寄り駅を避けて徒歩距離が遠い駅を出発駅として選択する人も居る。このため他の思わぬ経路で混雑に遭遇することもありうる。なお、人々で混雑するのは電車の中だけではない。駅の構内が混雑する場合もある。この場合は、人々の移動方向(経路の方向)に関係なく、乗車駅、乗換駅、下車駅で混雑に遭遇することがある。これを嫌う場合は、以下に説明する到達圏探索を行って混雑に関する通知をするとよい。
【0132】
先ず、経路探索サーバ30は端末装置20から比較経路の探索要求があると、経路探索手段33は、登録経路に基づいてイベントデータベース36を参照して登録経路から所定の時間的・位置的範囲内のイベントのみを対象として抽出する。そして、抽出したイベントの終了時刻を出発時刻として到達圏探索を行う。この発明において「到達圏探索」とは、特定の出発地を特定の時刻を出発時刻に出発して移動可能な経路を移動した場合に、出発時刻から、ある時間経過後に到達できる各経路の経路範囲を探索することをいう。経路探索手段33はこのような条件で、例えば5分後の到達圏(5分圏)、10分後の到達圏(10分圏)・・・・35分後の到達圏(35分圏)を探索して比較経路のデータとして端末装置20に送信する。
【0133】
端末装置20は経路探索サーバ30から前述のような到達圏を含む比較経路のデータを受信すると、経路比較手段23は登録経路における各駅の到着時刻と、比較経路の到達圏に含まれる時刻とから両経路の一致度を判別する。この判別を行う登録経路の駅は、乗車駅、乗換駅、降車駅などに制限してもよい。これらの駅では乗車、乗り換え、下車などで駅構内を移動する際の混雑が問題になるからである。
【0134】
経路比較手段23における両経路の一致度の判別は、次のように行う。すなわち、登録経路の乗車駅、乗換駅、降車駅などへの各到着時刻が、それぞれの駅が比較経路の到達圏に含まれてから所定の時間以内の場合は、一致度が高いと判断し、比較経路により移動する人々による混雑の影響ある旨を表示手段28に報知(通知)する。
【0135】
例えば、登録経路の目的駅(下車駅)には比較経路による到着時刻が十分に早く到着する場合、前述した実施例1の経路比較の判別では、一致度が低いと判別され、この下車駅では比較経路による混雑の影響が無いと判断される。しかしながら、比較経路により移動する人々による混雑に登録経路の乗車駅で遭遇してしまうような場合である。このようなケースでは乗車駅構内の階段が狭い場合もあり、事前に混雑に遭遇することが通知されれば、いつもより少し早く駅に行くなどの対応をすることができるようになる。
【0136】
上記のような到達圏探索を行い、抽出したイベントについて該イベントの終了時刻を出発時刻とし5分圏、10分圏・・・・35分圏と、人々が十分拡散する範囲まで行い比較経路データとともに端末装置20に送信する。経路比較手段23は、登録経路に各駅について各到達圏に含まれた駅のうち、乗車駅、乗換駅、下車駅に該当し、かつ、比較経路による到達時刻が所定の時間だけ登録経路における各駅の到着時間より早い場合は混雑の影響有り(一致度が高い)と判別して、通知する。この場合は、「帰宅経路は、○○駅、△△駅でスタジアムBからの帰りの混雑が予想されます」と通知する。
【0137】
なお、上記の各実施例において、登録経路の記憶、登録経路と比較経路の経路比較は端末装置20において行う構成を説明したが、これらを経路探索サーバ30において端末装置20ごと(利用者ごと)に処理するように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、携帯電話を端末装置として使用するシステムであってもよく、また、パーソナルコンピュータ(PC)などの端末装置を用い、WEBサイトからのサービスとして提供するシステムとして構成することもできる。前者のように端末装置として携帯電話を用いる場合には、リアルタイムな状況変化に応じて通知が可能であり、後者の場合は、事前にわかっているイベント中心に情報を得ることができる。両者を組み合わせて、事前にPCを用いて混雑の影響をチェックして、移動中は携帯電話で情報を得るという連携が可能なシステムとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】端末装置において登録経路を設定するための入力画面の一例を示す図である。
【図4】端末装置において、比較経路の影響を報知する際の報知画面の一例を示す図である。
【図5】端末装置において、比較経路の影響を回避できる時間帯を報知する際の報知画面の一例を示す図である。
【図6】経路探索のための道路ネットワークデータの概念を説明するための模式図である。
【図7】交通機関を利用した経路探索のための交通ネットワークデータの概念を説明するための模式図である。
【図8】登録経路と比較経路の探索および両経路の経路比較の一例を説明するための概念図である。
【図9】登録経路と比較経路の探索および両経路の経路比較の他の例を説明するための概念図である。
【図10】代替経路の探索の手順の概念を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0140】
10・・・・ナビゲーションシステム
12・・・・ネットワーク
20・・・・端末装置
201・・・制御手段
21・・・・GPS受信手段
22・・・・比較経路要求手段
23・・・・経路比較手段
24・・・・登録経路記憶手段
25・・・・描画制御手段
26・・・・通信手段
27・・・・案内経路記憶手段
28・・・・表示手段
29・・・・操作入力手段
30・・・・経路探索サーバ
301・・・制御手段
32・・・・比較経路配信手段
33・・・・経路探索手段
34・・・・地図データベース
35・・・・経路探索用ネットワークデータベース
36・・・・イベントデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索用のネットワークデータを参照して出発地から目的地まで、交通機関を利用した経路を含む案内経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段が探索した案内経路データを記憶する案内経路記憶手段と、前記案内経路を表示する表示手段と、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、イベントの開催場所および開催時間を含むイベント情報を蓄積したイベントデータベースと、所望の案内経路データを登録経路として記憶する登録経路記憶手段と、経路比較手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記登録経路が混雑する旨を予め設定された報知先に報知することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗換駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記経路探索手段は、前記比較経路を除いて前記登録経路の出発駅から目的駅までの代替経路を探索し、該代替経路を報知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗り継ぎ駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して所定の時間で移動し得る比較経路の到達圏を探索し、
前記経路比較手段は、前記比較経路の到達圏に基づいて、前記登録経路における乗車駅、乗換駅、降車駅への各到着時刻が、それぞれ前記比較経路の到達圏に含まれてから所定の時間内に含まれる場合は、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記経路探索手段は、前記代替経路を探索する際、前記登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、該イベントの終了時刻にイベント参加者がイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な電車が前記比較経路に含まれる場合、該最寄り駅で乗車可能な電車を前記経路探索用ネットワークデータベースから一時削除して、前記代替経路探索を行うことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記経路探索用ネットワークデータベースから一時削除する電車は、前記イベントの終了時刻にイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な最初の電車から、所定の時間範囲内の後続電車、および、所定の時間範囲以内の乗り継ぎ電車であることを特徴とする請求項7に記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
イベントの開催場所および開催時間を含むイベント情報を蓄積したイベントデータベースと、経路探索用のネットワークデータを参照して出発地から目的地まで、交通機関を利用した経路を含む案内経路を探索する経路探索手段を備え、所望の案内経路データを登録経路として記憶する登録経路記憶手段を備えた端末装置から、該登録経路に基づく比較経路の探索が要求されると、前記イベントデータベースを参照して登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索して前記端末装置に送信する経路探索サーバに、ネットワークを介して接続される端末装置であって、
前記端末装置は、経路比較手段を備え、前記経路比較手段は、前記経路探索サーバから受信した比較経路と前記登録経路とを比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする端末装置。
【請求項10】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗換駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記経路探索手段は、前記比較経路を除いて前記登録経路の出発駅から目的駅までの代替経路を探索し、該代替経路を報知することを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項12】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項13】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗り継ぎ駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする請求項10に記載の端末装置。
【請求項14】
前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して所定の時間で移動し得る比較経路の到達圏を探索し、
前記経路比較手段は、前記比較経路の到達圏に基づいて、前記登録経路における乗車駅、乗換駅、降車駅への各到着時刻が、それぞれ前記比較経路の到達圏に含まれてから所定の時間内に含まれる場合は、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項15】
経路探索用のネットワークデータを参照して出発地から目的地まで、交通機関を利用した経路を含む案内経路を探索する経路探索手段を備え、探索した案内経路データを端末装置に送信する経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、前記端末装置から指定された所望の案内経路データを登録経路として記憶する登録経路記憶手段と、経路比較手段と、を備え、
前記端末装置から該登録経路に基づく比較経路の探索が要求されると、前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記登録経路が混雑する旨を前記端末装置が指定した報知先に報知することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項16】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗換駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする請求項15に記載の経路探索サーバ。
【請求項17】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較して両経路の一致度を判別し、一致度が所定の範囲内である場合、前記経路探索手段は、前記比較経路を除いて前記登録経路の出発駅から目的駅までの代替経路を探索し、該代替経路を報知することを特徴とする請求項15に記載の経路探索サーバ。
【請求項18】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする請求項15に記載の経路探索サーバ。
【請求項19】
前記経路比較手段は、前記登録経路と前記比較経路を比較し、両経路に重複する経路部分が含まれ、前記登録経路における目的駅への両経路の到着時刻を判別し、前記登録経路の目的駅への到着時刻が、比較経路の該目的駅への到着時刻より所定の時間範囲内だけ遅い場合、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記比較経路を用いて移動するイベント参加者が登録経路における目的駅または乗り継ぎ駅に到達する時間帯を算出し、該到達時間帯前後の登録経路における混雑回避時間帯を算出して該混雑回避時間帯を報知することを特徴とする請求項16に記載の経路探索サーバ。
【請求項20】
前記経路探索手段は、前記登録経路記憶手段に記憶された登録経路に基づいて前記イベントデータベースを参照して該登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して所定の時間で移動し得る比較経路の到達圏を探索し、
前記経路比較手段は、前記比較経路の到達圏に基づいて、前記登録経路における乗車駅、乗換駅、降車駅への各到着時刻が、それぞれ前記比較経路の到達圏に含まれてから所定の時間内に含まれる場合は、前記一致度が所定の範囲内であると判別し、前記登録経路が混雑する旨を報知することを特徴とする請求項15に記載の経路探索サーバ。
【請求項21】
前記経路探索手段は、前記代替経路を探索する際、前記登録経路の周辺で開催されるイベントを抽出し、該イベントの終了時刻を出発時刻としてイベント参加者が交通機関を利用して移動し得る比較経路を探索し、該イベントの終了時刻にイベント参加者がイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な電車が前記比較経路に含まれる場合、該最寄り駅で乗車可能な電車を前記経路探索用ネットワークデータベースから一時削除して、前記代替経路探索を行うことを特徴とする請求項17に記載の経路探索サーバ。
【請求項22】
前記経路探索用ネットワークデータベースから一時削除する電車は、前記イベントの終了時刻にイベント会場を出発して最寄り駅で乗車可能な最初の電車から、所定の時間範囲内の後続電車、および、所定の時間範囲以内の乗り継ぎ電車であることを特徴とする請求項21に記載の経路探索サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−102046(P2008−102046A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285618(P2006−285618)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】