説明

ナビゲーションシステムおよびプログラム。

【課題】使用者が音声コマンドを記憶する手間を削減し、かつ様々なサービスを提供することができるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】操作コマンドとして音声コマンドを受け付けるナビゲーション機能を備えた端末装置200と、特定の音声コマンドを認識するために用いられるデータおよび特定の音声コマンドに応じて実行される処理を記述したプログラムを受信する受信機270とを備える。そして、端末装置200は、受信機270により受信されたデータを記憶するグラマDB260と、このグラマDB260に記憶されたデータを用いて音声認識処理を行う音声認識部250と、特定の音声コマンドを受け付けた場合に、受信機270により受信されたプログラムを実行してナビゲーション機能の動作を制御するサービスプログラム実行部230とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声コマンドを含む操作コマンドを受け付けて、目的地への経路案内を行うナビゲーションシステムおよびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、音声認識機能が搭載され、音声コマンドにより操作可能なカーナビゲーションシステムが存在している。このような機種では、ユーザは音声コマンドを発声することでシステムを操作できる。そのため、運転中にも使用可能という点で非常に有用である。
【0003】
特許文献1には、経路案内中でもルートの再設定を行うことができるナビゲーション装置が開示されている。このナビゲーション装置は、所定の条件下で、音声認識処理部またはリモコンユニット等の操作により、設定されたルートとは別のルート選択のための命令の入力を可能としている。
【0004】
特許文献2には、車両内外から画像を取得し、取得した画像から文字認識を行ってナビゲーション装置等の車載情報機器への入力を支援し、操作者の負担を軽減する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−56228号公報
【特許文献2】特開2003−67407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
音声コマンドによる操作が可能なナビゲーションシステムは、コマンドを発声することでシステムを操作できるため、運転中にも使用可能といった利便性がある。しかし、さまざまな操作を音声コマンドのみで行うためには、コマンドの数が膨大になってしまう。そして、操作者はこの音声コマンドを事前に記憶しておかなければならないため、扱いが容易ではなかった。
【0007】
さらに現状では、ナビゲーションシステムの種類によって用意されている音声コマンドも異なっている。そのため、仕事と個人使用で異なる車を使用する場合やレンタカーを使用する場合等、各々の車に異なる種類のカーナビゲーションが搭載されているときは、音声コマンドを使い分けなければならず、使用者の負荷が大きい。
【0008】
本発明は、これらの課題を解決し、使用者が音声コマンドを記憶する手間を削減し、かつ様々なサービスを提供することができるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、次のようなナビゲーションシステムとして構成される。このシステムは、操作コマンドとして音声コマンドを受け付けるナビゲーション機能を備えた端末装置と、特定の音声コマンドを認識するために用いられるデータを受信する受信機とを備える。そして、端末装置は、受信機により受信されたデータを記憶する記憶部と、この記憶部に記憶されたデータを用いて音声認識処理を行う音声認識部とを備える。
【0010】
より好ましくは、受信機は、特定の音声コマンドに応じて実行される処理を記述したプログラムをさらに受信することとし、端末装置は、特定の音声コマンドを受け付けた場合に、受信機により受信されたプログラムを実行してナビゲーション機能の動作を制御するプログラム実行部をさらに備える構成とする。
【0011】
また、本発明の他のナビゲーションシステムは、操作コマンドとして音声コマンドを受け付けるナビゲーション機能を備えた端末装置と、特定の目的地への経路案内を端末装置に行わせるための特定の音声コマンドを端末装置の使用者に通知する通知手段と、特定の音声コマンドを認識するために用いられるデータおよび特定の目的地で特定のサービスを受けるための情報を送信する送信機と、この送信機から送信されたデータおよび情報を受信する受信機とを備える。そして、端末装置は、受信機により受信されたデータおよび情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたデータを用いて音声認識処理を行う音声認識部と、受信された情報を出力して使用者に通知する出力部とを備える。
【0012】
さらに好ましくは、このシステムは、端末装置において特定の音声コマンドが使用されたか否かを管理する管理サーバをさらに備える。また、この管理サーバは、特定のサービスが実行されたか否かをさらに管理することとしても良い。そして、端末装置は、特定の音声コマンドが使用されたことを示す情報および特定のサービスが実行されたことを示す情報を管理サーバに送信する送信部をさらに備える。
または、このシステムは、特定の目的地で特定のサービスが実行されたか否かを管理する管理サーバと、特定のサービスを提供するためのサービス提供サーバとをさらに備える。そして、サービス提供サーバは、特定のサービスが実行されたことを示す情報を管理サーバに送信する。
これらの管理サーバを備える構成とした場合、管理サーバは、所定のタイミングで特定のサービスの提供者から料金を徴収する課金処理を実行する課金サーバとしても良い。
【0013】
また、本発明は、上記のナビゲーションシステムにおける各機能をコンピュータにより実現するプログラムとして実現することもできる。このプログラムは、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して配信したりすることにより提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成された本発明によれば、特定のサービスを提供するために必要な音声コマンドおよびこの音声コマンドを用いた処理に必要なデータやプログラムを、そのサービスが利用可能となる都度に提供することで、使用者が音声コマンドを記憶する手間を削減し、かつ様々なサービスを提供することができるナビゲーションシステムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態は、車両に搭載されるカーナビゲーションシステムや、携帯電話等の持ち運びが容易な情報端末を用いたナビゲーションシステム等に、任意に適用可能であるが、以下では、カーナビゲーションシステムに適用した場合を例として説明する。
【0016】
<システム構成>
図1は、本実施形態が適用されるナビゲーションシステムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のシステムは、情報プロバイダ100と、端末装置200と、サーバ300とを備えて構成される。情報プロバイダ100と端末装置200とは、無線回線による各種の通信手段で接続される。また、端末装置200とサーバ300とは、無線回線を含む広域ネットワークを介して接続される。また、情報プロバイダ100とサーバ300とは、任意の回線による広域ネットワークを介して接続される。
【0017】
本実施形態において、情報プロバイダ100は、音声コマンドに応じた処理を行うためのプログラムと音声認識に用いられるグラマとを端末装置200に送信すると共に、看板等の通知手段を用いて端末装置200の使用者に音声コマンドを通知する。使用者が通知された音声コマンドを発声すると、この音声コマンドが認識され、プログラムが実行される。さらに本実施形態では、端末装置200が情報プロバイダ100から取得したプログラムによる処理においてサーバ300とデータ交換を行うことにより、様々なサービスを享受することができる。
【0018】
<情報プロバイダ100の機能>
図2は、情報プロバイダ100の機能構成例を示す図である。
図2に示すように、情報プロバイダ100は、端末装置200の使用者(車の搭乗者)に音声コマンドを通知するためのコマンド通知手段110と、端末装置200に情報を送信するためのデータ送信装置120とを備える。
【0019】
コマンド通知手段110は、音声コマンドそのものを端末装置200の使用者に知らせるための手段であり、看板等の広告表示、交通情報その他の掲示板など、各種の表示や標識を媒体とすることができる。また、ラジオ放送などによる音声を媒体とした通知手段を採ることもできる。
【0020】
データ送信装置120は、端末装置200において音声コマンドを処理するための各種のデータを送信する装置であり、データを格納したデータ格納部121と、データを送信する送信機122とを備える。送信されるデータには、音声コマンドを認識するために用いられるグラマ、音声コマンドに応じてサービスを実行するために用いられるプログラム(以下、サービスプログラム)、コマンド通知手段110の媒体(看板等)を特定するための媒体IDや位置情報などが含まれる。データを送信する仕組みとしては、送信機122から一定範囲内に存在する端末装置200にのみデータが送信されるものが好ましい。例えば、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、Active RFID(Radio Frequency Identification)、FM多重波による送信などが用いられる。
【0021】
<端末装置200の機能>
図3は、端末装置200の機能構成例を示す図である。
図3に示すように、端末装置200は、車両に搭載される車載装置であり、ナビゲーション機能を実現するナビゲーション実行部210を備えると共に、本実施形態により提供されるサービスのための制御を行うサービス制御部220と、サービスプログラム実行部230と、サービスプログラム・データベース(DB)240とを備える。また、端末装置200は、音声認識を行うための音声認識部250と、グラマ・データベース(DB)260とを備える。また、特に図示しないが、端末装置200には、各種のコマンド入力や設定操作を手動にて行うための入力手段(ボタン等)や、地図等の各種の情報を表示する表示手段(液晶ディスプレイ等)を備える。さらに、広域ネットワークを介してサーバ300にアクセスするためのネットワーク・インタフェースを備える。このネットワーク・インタフェースとしては、無線回線により広域ネットワークにアクセス可能なものが好ましく、例えば無線LANカードや携帯電話が用いられる。
【0022】
また、図3に示すように、端末装置200には、情報プロバイダ100のデータ送信装置120を構成する送信機122から送信されるデータを受信するための受信機270と、GPSセンサ280と、音声コマンドを入力するための音声入力装置290とが接続されている。
【0023】
ナビゲーション実行部210は、プログラム制御されたCPUとメモリや磁気ディスク等の記憶手段とで実現され、地図データを用いて目的地を設定するための目的地設定部211と、地図データとGPS(Global Positioning System)による位置情報に基づき目的地に到着したか否かを判定する目的地到着判定部212とを備える。また、特に図示しないが、地図データを記憶する記憶装置(磁気ディスク装置(HDD)等)を備え、地図データから生成される地図、現在位置、目的地、ルート、各種のメッセージ等を表示手段に表示する表示制御機能を有している。
【0024】
サービス制御部220は、プログラム制御されたCPUとメモリや磁気ディスク等の記憶手段とで実現され、情報プロバイダ100からデータを取得し、サーバ300とデータ交換を行って、サービスを享受するための制御を行う。サービス制御部220は、情報プロバイダ100から取得したデータのうち、サービスプログラムをサービスプログラムDB240に、グラマをグラマDB260に、それぞれ格納する。サービス制御部220におけるその他の機能の詳細については後述する。
【0025】
サービスプログラムDB240は、磁気ディスク装置(HDD)等の記憶装置により実現され、サービス制御部220から受け取ったサービスプログラムを保持する。このサービスプログラムは、サービスプログラム実行部230により読み込まれ、実行される。また、グラマDB260は、同様に磁気ディスク装置(HDD)等の記憶装置により実現され、サービス制御部220から受け取ったグラマを保持する。このグラマは、音声認識部250が音声認識処理を行う際に参照される。
【0026】
サービスプログラム実行部230は、プログラム制御されたCPUとメモリ等で実現され、サービスプログラムDB240に格納されたサービスプログラムを読み込んで実行する。具体的には、サービスプログラム実行部230は、サービスプログラムに基づき、ナビゲーション実行部210の目的地設定部211を操作して目的地を設定し、ナビゲーション実行部210に経路案内を実行させる。また、車両が目的地に到達した際には、目的地到着判定部212から目的地への到着通知を受け取り、後述するようにクーポンの発行等の特定の処理を実行する。
【0027】
音声認識部250は、プログラム制御されたCPUとメモリ等で実現され、音声入力装置290を介して入力される音声を、グラマDB260に保持されているグラマを参照して解析し、音声コマンドを認識する。認識結果のコマンドは、サービスプログラム実行部230に送られる。サービスプログラム実行部230では、このコマンドを受け付けて、サービスプログラムが実行される。
【0028】
受信機270は、情報プロバイダ100のデータ送信装置120を構成する送信機122に対応する通信方式の受信装置であり、送信機122から送られたデータを受信してサービス制御部220に送る。
GPSセンサ280は、いわゆるGPS(Global Positioning System)の受信装置であり、NAVSTER(NAVigation Satellite Timing And Ranging)衛星からの電波を受信して現在位置の情報を取得し、ナビゲーション実行部210およびサービス制御部220に送る。
音声入力装置290は、マイクロフォンであり、端末装置200の操作者による音声を電気信号に変換して音声認識部250へ送る。
【0029】
図4は、サービス制御部220の機能構成例を示す図である。
図4に示すように、サービス制御部220は、通信制御部221と、フィルタ部222と、データ管理部223とを備える。また、サービス制御部220は、端末装置200の使用者のプロフィール情報を保持するプロフィール・データベース(DB)224と、情報プロバイダ100において音声コマンドが提示される媒体に対する個別のフィルタリングを行うための情報を保持する媒体データベース(DB)225とを備える。
【0030】
通信制御部221は、受信機270を介して受信された情報プロバイダ100からのデータおよびGPSセンサ280を介して受信された位置情報を受け付け、フィルタ部222に送る。また、端末装置200に設けられたネットワーク・インタフェースを介してサーバ300との間でデータの送受信を行う。
【0031】
フィルタ部222は、通信制御部221から受け取ったデータをフィルタリングし、端末装置200の使用者が利用可能なデータをデータ管理部223に送る。ここで、フィルタ部222は、プロフィールDB224および媒体DB225を参照し、GPSセンサ280を介して受信された位置情報に基づいてフィルタリング処理を行う。フィルタリング処理の具体的な手法については、既存の技術を用いて良い。
【0032】
プロフィールDB224には、使用者の性別、年齢、趣味、嗜好等のプロフィールが保持されている。フィルタ部222は、この情報に基づいて使用者が興味を持つことが想定される内容のデータを選択してデータ管理部223に送ることができる。
【0033】
媒体DB225には、使用者が不要として設定した媒体(広告等)に関する情報が保持されている。フィルタ部222は、通信制御部221から受け取ったデータに対応する音声コンテンツが、媒体DB225に保持されている情報で特定される媒体により提示されたものであるときは、そのデータをデータ管理部223に送らないといった制御を行う。
【0034】
また、フィルタ部222は、GPSセンサ280により取得される位置情報に基づき、車両(端末装置200)の現在位置に応じて通信制御部221から受け取ったデータをデータ管理部223に送ることができる。例えば、現在位置が受信機270によりデータが受信されたときの位置から一定範囲内である場合にのみ、データをデータ管理部223に送るといった制御を行う。さらにまた、フィルタ部222は、端末装置200に内蔵された時計等を用いて受信機270がデータを受信してからの経過時間を計測し、例えば一定時間以内である場合にのみ、データをデータ管理部223に送るといった制御を行うといった制御を行うこともできる。
【0035】
データ管理部223は、サービスプログラムDB240およびグラマDB260に対して、データやプログラムのインストール、更新、削除といった処理を行う。具体的には、データ管理部223は、フィルタ部222を経て新たなデータやプログラムを受け付けるたびに、サービスプログラムDB240にインストールし、または既に保持されているプログラムを更新する。同様に、新たなデータをグラマDB260に格納する。また、これらのデータやプログラムに削除条件等のポリシーが定義されている場合は、このポリシーにしたがって、データやプログラムを削除する。
【0036】
以上の構成では、フィルタ部222において、位置情報や時間情報に基づき、データ送信装置120から受信したデータをデータ管理部223に送るか否かを制御することとした。これに対し、サービス制御部220は位置情報や時間情報に基づく制御を行わずに、データをサービスプログラムDB240およびグラマDB260に格納することとしても良い。この場合、サービスプログラム実行部230において、位置情報や時間情報に基づき、サービスプログラムを実行するか否かを制御することも可能である。さらに、サービスプログラム自体に、特定の処理に関して位置情報や時間情報に基づく実行制御を行うように記述しておくことも可能である。
【0037】
上記の端末装置200におけるナビゲーション実行部210、サービス制御部220、サービスプログラム実行部230、音声認識部250の各機能を、ハードウェアであるCPUと協働して実現するプログラムは、例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して配信したりすることにより提供される。
【0038】
<サーバ300の機能>
図5は、サーバ300の機能構成例を示す図である。
図5に示すサーバ300は、実現される機能に応じた複数のサーバ群によって構成されており、例えば、情報提供サーバ310と、データ配信サーバ320と、課金サーバ330とを備える。
【0039】
情報提供サーバ310は、情報プロバイダ100から端末装置200に送信される各種データを、広域ネットワークを介して情報プロバイダ100のデータ送信装置120に提供する。所定の情報プロバイダ100が提供する音声コマンドやサービス内容が変更された場合には、その情報プロバイダ100のデータ送信装置120に新しいデータを送信し、更新させる。
【0040】
データ配信サーバ320は、情報プロバイダ100が端末装置200に送信するデータと同様のデータを保持し、端末装置200からの要求に応じて、広域ネットワークを介して端末装置200に返送する。この場合、情報プロバイダ100のデータ送信装置120からは、グラマやサービスプログラム等の実体的なデータは送信されず、例えばトリガーとなる認証データなどが送信される。端末装置200のサービス制御部220は、このトリガーとなるデータを取得し、このデータをデータ配信サーバ320に送信し、データ配信サーバ320から実体的なデータを取得する。
【0041】
課金サーバ330は、情報プロバイダ100により提供される音声コマンドやデータの利用状態を管理する管理サーバであり、その利用状態に応じて課金処理を行う。例えば、情報プロバイダ100により提供された特定の音声コマンドが使用されたか否かを管理し、実際に端末装置200に入力された場合に、その使用に応じた課金処理を行う。また、サービスプログラム実行部230により特定の目的地が設定され、その特定の目的地に到着したり、その特定の目的地で特定のサービスが実行されたりした場合に、これらのイベントの発生に応じた課金処理を行うこともできる。
【0042】
<運用例>
次に、本実施形態のナビゲーションシステムの具体的な運用例を示す。
図6は、本実施形態のナビゲーションシステムを適用して、店舗による販売サービスが行われる場合を例とする、システム構成例を示す図である。
図6を参照すると、図1に示した情報プロバイダ100、端末装置200、サーバ300に加え、販売サービスを実行する店舗400に店舗サーバ410が設けられている。店舗サーバ410は、サーバ300の課金サーバ330と接続されている。なお、図6において、サーバ300には課金サーバ330のみが記載されている。
また、情報プロバイダ100のコマンド通知手段110は、店舗400や商品の広告が表示された看板であるものとする。そして、この看板に記載された宣伝文句等の特定の語句が音声コマンドとして設定されている。
【0043】
図6の例では、コマンド通知手段110により提供された音声コマンドが使用されて店舗400へ案内されたことを認識できるような仕組みが導入される。具体的には、例えば、音声コマンドが使用された場合にのみキーワード等の特定の情報が端末装置200の使用者に通知されるようにする。このようにすれば、使用者が店舗400でこの特定の情報を店員に伝えることで、音声コマンドが使用されたことを確認できる。また、ネットワークを介して端末装置200と店舗サーバ410との間で直接データ交換を行い、音声コマンドが使用されたことを端末装置200から店舗サーバ410へ通知するようにしても良い。
【0044】
さらに、端末装置200の使用者が、コマンド通知手段110により提供された音声コマンドを使用したくなるように、この音声コマンドが使用された場合に特別なサービス(特典)を提供するようにしても良い。例えば、特典としてクーポンを発行するようにすれば、使用者はクーポンを利用するために、音声コマンドを使用すると考えられる。さらに、このクーポンが利用されれば、そのことによって音声コマンドが使用されたと判断することができる。クーポンを発行するタイミングは、音声コマンドが使用された時点としても良いし、音声コマンドに基づいて設定された目的地に到達した時点としても良い。
【0045】
課金サーバ330は、端末装置200と店舗サーバ410の一方または両方とデータ交換を行い、店舗400におけるサービスの実行状況を管理する。そして、コマンド通知手段110により提供された音声コマンドが使用された結果として店舗400におけるサービスが実行されたことが確認できたならば、店舗400から広告料を徴収する課金処理を実行する。
【0046】
ここで、図6に示すシステムが使用される場合の具体的なシナリオの例を示す。
店舗400はファーストフードの店(名称:○○○)であるものとする。また、情報プロバイダ100のコマンド通知手段110である看板には音声コマンドとして「○○○へ行きたい」と記載されているものとする。
【0047】
端末装置200が搭載された車両が情報プロバイダ100のデータ送信装置120の近くを通ると、データ送信装置120からグラマやサービスプログラム等のデータが送信され、受信機270を介して端末装置200に受け付けられる。端末装置200では、データに含まれるサービスプログラムがサービスプログラムDB240に格納され、グラマがグラマDB260に格納される。
【0048】
次に、端末装置200が搭載された車の搭乗者(以下、利用者)が、コマンド通知手段110である看板を見つけ、記載されている音声コマンドを認知して、「○○○へ行きたい」と発声し端末装置200に入力したものとする。すると、端末装置200の音声認識部250が、グラマDB260を参照して音声認識処理を行い、音声コマンドを認識する。この認識結果に基づき、サービスプログラム実行部230が、サービスプログラムDB240からサービスプログラムを読み込み、実行する。具体的には、ナビゲーション実行部210が制御されて、店舗400が目的地に設定され、経路案内が行われる。また、店舗400から特別なサービスを受けるためのクーポンが発行される。このクーポンは、例えばクーポン固有の数字やIDを、表示手段に表示したり音声出力したりすることで、使用者に提供される。
【0049】
次に、端末装置200が搭載された車両が店舗400に到着し、利用者が店舗400で商品を購入したものとする。このとき、単に商品を購入しただけでは、店舗400側では利用者が音声コマンドを使用したか否かを判断できない。しかし、利用者がクーポンを利用した(出力されたクーポン固有の数字やIDを店員に告げた)場合、音声コマンドが使用されたことを判断することができる。
【0050】
店舗400において、店舗サーバ410にクーポンが利用されたことが登録されると、その情報が店舗サーバ410からサーバ300の課金サーバ330へ送られる。課金サーバ330は、この情報を受信すると、店舗400から広告料金を徴収する課金処理を実行する。
【0051】
なお、以上のように、店舗400においてクーポンが利用されたことを示す情報を店舗サーバ410から課金サーバ330へ送信するのではなく、端末装置200からネットワーク・インタフェースを介して課金サーバ330へ通知するようにしても良い。また、サービスの種類によっては、端末装置200と店舗サーバ410との間でデータ交換を行うことによって、音声コマンドが使用された結果として店舗400によるサービスが実行されたことを端末装置200または店舗サーバ410が認識し、課金サーバ330へ通知するようにしても良い。
【0052】
また、課金サーバ330は、端末装置200または店舗サーバ410のいずれか一方からサービスの実行に関する情報を取得するのではなく、双方から情報を取得して通知の照合を行うようにしても良い。さらに、この例では店舗400においてサービスが実行された場合に課金処理を行うこととしたが、音声コマンドの使用に対しても課金を行うようにしても良い。この場合、音声コマンドが入力された時点で、音声コマンドが使用されたことを端末装置200から課金サーバ330へ通知し、この通知に応じて課金サーバ330が、店舗400から広告料金を徴収する課金処理を実行する。課金処理を音声コマンドの使用時とサービスの実行時の2段階に分けて行うことで、情報プロバイダ100により提供される情報の利用の度合いに応じた課金を行うことが可能となる。
【0053】
<本実施形態の他の適用例>
本実施形態のナビゲーションシステムは、上記のような車載装置に経路を出力して案内を行う、いわゆるカーナビゲーションシステムにのみ適用されるものではない。今日では、携帯型のナビゲーション装置も存在し、また携帯電話等の持ち運びが容易な情報端末により経路案内を行うナビゲーションサービスも普及している。したがって、これら種々の情報端末を端末装置200として用い、本実施形態を適用することが可能である。
【0054】
例えば、携帯電話を端末装置200として用いる場合、ナビゲーション実行部210、サービス制御部220、サービスプログラム実行部230、音声認識部250は、プログラム制御された携帯電話のCPUにより実現される。また、サービスプログラムDB240、グラマDB260は、携帯電話に搭載されたメモリにより実現される。端末装置200に接続される受信機270の機能は、携帯電話の通信機能を用いて実現しても良いし、携帯電話に無線LANの機能を搭載して実現しても良い。また、GPSセンサ280の機能は、携帯電話における既存のGPS機能を利用することができる。さらに、音声入力装置290は、携帯電話の通話用マイクロフォンを利用することができる。
【0055】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。例えば、音声コマンドを使用した結果として提供されるサービスの種類によっては、端末装置200を搭載した車両が目的地に到達した時点でサービスが実行されたと判断し、課金処理を実行することもできる。この場合、車両が目的地に到達したか否かは、GPSによって得られる位置情報を端末装置200から取得することで判断することができる。その他、上記実施形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態が適用されるナビゲーションシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態の情報プロバイダの機能構成例を示す図である。
【図3】本実施形態の端末装置の機能構成例を示す図である。
【図4】本実施形態の端末装置におけるサービス制御部の機能構成例を示す図である。
【図5】本実施形態のサーバの機能構成例を示す図である。
【図6】本実施形態のナビゲーションシステムを適用して、店舗による販売サービスが行われる場合を例とする、システム構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
100…情報プロバイダ、110…コマンド通知手段、120…データ送信装置、121…データ格納部、122…送信機、200…端末装置、210…ナビゲーション実行部、211…目的地設定部、212…目的地到着判定部、220…サービス制御部、221…通信制御部、222…フィルタ部、223…データ管理部、224…プロフィール・データベース(DB)、225…媒体データベース(DB)、230…サービスプログラム実行部、240…サービスプログラム・データベース(DB)、250…音声認識部、260…グラマ・データベース(DB)、270…受信機、280…GPSセンサ、290…音声入力装置、300…サーバ、330…課金サーバ、400…店舗、410…店舗サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地への経路案内を行うナビゲーションシステムにおいて、
操作コマンドとして音声コマンドを受け付けるナビゲーション機能を備えた端末装置と、
特定の音声コマンドを認識するために用いられるデータを受信する受信機とを備え、
前記端末装置は、
前記受信機により受信された前記データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記データを用いて音声認識処理を行う音声認識部と
を備える、システム。
【請求項2】
前記受信機は、前記特定の音声コマンドに応じて実行される処理を記述したプログラムをさらに受信し、
前記端末装置は、前記特定の音声コマンドを受け付けた場合に、前記受信機により受信された前記プログラムを実行して前記ナビゲーション機能の動作を制御するプログラム実行部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プログラム実行部は、GPS(Global Positioning System)により取得される位置情報に基づき、現在位置に応じて前記プログラムによる処理を実行する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プログラム実行部は、前記受信機により前記データを受信した時から一定時間内に前記音声コマンドを受け付けた場合に前記プログラムによる処理を実行する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記端末装置は、一定の条件を満たす場合にのみ、前記受信機により受信された前記データを前記記憶部に格納するフィルタ部をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
目的地への経路案内を行うナビゲーションシステムにおいて、
操作コマンドとして音声コマンドを受け付けるナビゲーション機能を備えた端末装置と、
特定の目的地への経路案内を前記端末装置に行わせるための特定の音声コマンドを当該端末装置の使用者に通知する通知手段と、
前記特定の音声コマンドを認識するために用いられるデータおよび前記特定の目的地で特定のサービスを受けるための情報を送信する送信機と、
前記送信機から送信された前記データおよび前記情報を受信する受信機とを備え、
前記端末装置は、
前記受信機により受信された前記データおよび前記情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記データを用いて音声認識処理を行う音声認識部と、
前記情報を出力して前記使用者に通知する出力部と
を備える、システム。
【請求項7】
前記送信機は、前記特定の音声コマンドに応じて実行される処理を記述したプログラムをさらに送信し、
前記受信機は、前記プログラムをさらに受信し、
前記端末装置は、前記特定の音声コマンドを受け付けた場合に、前記受信機により受信された前記プログラムを実行して前記ナビゲーション機能の動作を制御するプログラム実行部をさらに備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記端末装置において前記特定の音声コマンドが使用されたか否かを管理する管理サーバをさらに備え、
前記端末装置は、前記特定の音声コマンドを受け付けた場合に当該特定の音声コマンドが使用されたことを示す情報を前記管理サーバに送信する送信部をさらに備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記管理サーバは、前記特定のサービスが実行されたか否かをさらに管理し、
前記送信部は、前記特定の目的地で前記特定のサービスが実行された場合に、当該特定のサービスが実行されたことを示す情報を前記管理サーバにさらに送信する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記管理サーバは、前記特定の音声コマンドが使用された場合および前記特定のサービスが実行された場合の、少なくとも一方で、当該特定のサービスの提供者から料金を徴収する課金処理を行う、請求項8または請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記特定の目的地で前記特定のサービスが実行されたか否かを管理する管理サーバと、
前記特定のサービスを提供するためのサービス提供サーバとをさらに備え、
前記サービス提供サーバは、前記特定のサービスを実行した場合に、当該特定のサービスが実行されたことを示す情報を前記管理サーバに送信する、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記管理サーバは、前記特定のサービスが実行された場合に、当該特定のサービスの提供者から料金を徴収する課金処理を行う、請求項8または請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
コンピュータを、
操作コマンドとして音声コマンドを受け付け、地図および位置情報に基づいて、表示装置に目的地への経路を表示させて経路案内を行う手段と、
所定の受信機を介して受信された、特定の音声コマンドを認識するために用いられるデータを記憶装置に格納する手段と、
前記記憶装置に記憶された前記データを用いて音声認識処理を行う手段として
機能させる、プログラム。
【請求項14】
前記受信機を介して受信された、前記特定の音声コマンドに応じて実行される処理を記述したプログラムを前記記憶装置に格納する手段と、
前記特定の音声コマンドを受け付けた場合に、前記記憶装置に格納されている前記プログラムを実行して経路案内を行う手段として、前記コンピュータをさらに機能させる、請求項13に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−222515(P2009−222515A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66368(P2008−66368)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【復代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
【復代理人】
【識別番号】100118201
【弁理士】
【氏名又は名称】千田 武
【復代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
【Fターム(参考)】