説明

ナビゲーションシステム及び方法

【課題】2点の基地局からの距離を利用して移動体通信装置の位置を特定し、その移動体通信装置を探索するための誘導を行う。
【解決手段】応答信号解析部13は、照会信号発信部11が出力した照会信号に対する応答信号を受信して携帯電話機を検出し、応答信号の受信強度から検出された携帯電話機までの距離を算出する。基地局間通信部15は、固定基地局から、固定基地局の位置及び固定基地局から携帯電話機までの距離を受信する。位置推定部17は、移動基地局10と固定基地局から携帯電話機までの距離を利用して、その携帯電話機の位置を推定する。推定された位置へのナビゲーション画面が表示装置130に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信装置の基地局が移動体通信装置から受信する信号の受信強度から算出した距離を用いて、その移動体通信装置を探索するための技術に関し、特に2点の基地局からの距離を利用してその移動体通信装置を探索するためのナビゲーションを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体通信装置の代表例である携帯電話機が発信する信号を、携帯電話機の基地局が受信した信号を用いて、その携帯電話機の位置を特定する技術が知られている。例えば、特許文献1の技術では、まず、3地点の基地局が同一の携帯電話機が発信する信号を受信し、その信号の受信強度に基づいて、信号を受信した各基地局と携帯電話機との距離を算出する。そして、基地局がある3地点を中心として、それぞれの距離を半径とする円を描いたときの交点を、その携帯電話機が存在する位置として特定している。
【特許文献1】特開平7−38951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術では、常に3つの基地局からの距離がわからないと携帯電話機の位置を特定できない。
【0004】
また、3つの基地局からの距離がわかった場合であっても、基地局がある3地点を中心として、それぞれの距離を半径とする円を描いたときに、その円が1点で交わらないときは、携帯電話機の位置を特定できない。これは、障害物の存在などの理由により、基地局が受信する信号の強度が弱められてしまうような場合に起こりうる。
【0005】
特に、大規模災害発生時に、がれきに埋もれてしまった被災者を探索するために、携帯電話機の位置を特定する場合には、これが大きな問題となる。つまり、災害発生時には、建物の倒壊などの影響で、基地局が受信する信号は、実際の距離以上にその受信強度が弱くなることが予想される。
【0006】
そこで、本発明の目的は、2点の基地局からの距離を利用して移動体通信装置の位置を特定し、その移動体通信装置を探索するための誘導を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様に従うナビゲーションシステムは、第1の基地局と第2の基地局とを備え、移動体通信装置の位置へ誘導する。前記第1の基地局は、移動体通信装置を探索するための照会信号を出力して、前記照会信号に応答した移動体通信装置から識別情報を含む応答信号を受信することによって、移動体通信装置を検出する手段と、前記受信した応答信号の受信強度から、検出された移動体通信装置までの距離を算出する手段と、前記第1の基地局の位置を示す位置データと、前記第1の基地局が検出した移動体通信装置の識別情報と、前記第1の基地局から前記第1の基地局が検出した移動体通信装置までの距離を示す距離データとを含む第1の基地局情報を出力する手段と、を備える。前記第2の基地局は、移動体通信装置を探索するための照会信号を出力して、前記照会信号に応答した移動体通信装置から識別情報を含む応答信号を受信することによって、移動体通信装置を検出する手段と、前記受信した応答信号の受信強度から、検出された移動体通信装置までの距離を算出する手段と、前記第2の基地局の位置を特定する手段と、前記第1の基地局から、前記第1の基地局情報を受信する手段と、前記第1及び第2の基地局のいずれもが検出した移動体通信装置のうちの一つである対象移動体通信装置の前記第1の基地局からの距離及び前記第2の基地局からの距離と、前記第1の基地局の位置及び前記第2の基地局の位置とに基づいて、前記第2の基地局に対する前記対象移動体通信装置の相対位置を推定する手段と、前記推定手段によって推定された前記対象移動体通信装置の相対位置に基づいて、前記対象移動体通信装置の位置へ誘導するためのナビゲーション手段と、を備える。
【0008】
好適な実施形態では、前記ナビゲーション手段は、表示装置を備え、前記表示装置に前記推定された前記対象移動体通信装置の相対位置に従って、前記第2の基地局及び前記対象移動体通信装置を少なくとも含む地図を表示するとともに、前記表示装置に前記対象移動体通信装置の応答信号の受信強度を示す表示を行い、当該受信強度を示す表示は、前記対象移動体通信装置の応答信号の受信強度に応じて変動するようにしてもよい。
【0009】
本発明の一実施態様に従う可搬型基地局装置は、移動体通信装置を探索するための照会信号を出力して、前記照会信号に応答した移動体通信装置から識別情報を含む応答信号を受信することによって、移動体通信装置を検出する手段と、前記受信した応答信号の受信強度から、検出された移動体通信装置までの距離を算出する距離算出手段と、自己の位置を特定する手段と、他の検出装置から、前記検出装置の位置を示す位置データと、前記検出装置が検出した移動体通信装置の識別情報と、前記検出装置から該検出装置が検出した移動体通信装置までの距離を示す距離データとを取得する手段と、自己及び前記検出装置のいずれもが検出した移動体通信装置のうちの一つである対象移動体通信装置の自己からの距離及び前記検出装置からの距離と、自己の位置及び前記検出装置の位置とに基づいて、自己に対する前記対象移動体通信装置の相対位置を推定する手段と、前記推定手段によって推定された自己に対する前記対象移動体通信装置の相対位置に基づいて、前記対象移動体通信装置の位置へ誘導するためのナビゲーション手段と、を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る、移動体通信装置の探索システムについて、図面を参照して説明する。本実施形態では、探索システムが探索する対象が移動体通信装置の代表例である携帯電話機である場合の例について説明するが、携帯電話機以外の移動体通信装置の探索にも適用できる。さらに、本実施形態に係る移動体通信装置の探索システムは、例えば、災害発生時に被災者が携帯している携帯電話機を探索して、被災者を救出する目的にも利用できる。
【0011】
図1は、本実施形態の係る携帯電話機の探索システムの全体構成図である。
【0012】
本システムは、同図に示すように、少なくとも2つの基地局10,30を備え、各基地局10,30は、それぞれ、自らのセル1,3内の携帯電話機と通信を行う。また、本システムは、2つの基地局10,30同士が通信可能である。2つの基地局10,30は、任意の通信方法で通信を行うことができ、例えば中継装置を介して通信してもよい。
【0013】
ここで、基地局10は、持ち運び可能な可搬型の移動基地局であり、基地局30は、地面に対して固定されている固定基地局である。基地局30は、移動基地局であってもよい。また、図1では、移動基地局10及び固定基地局30が、それぞれ一つずつの場合の例示をしているが、移動基地局10及び固定基地局30は、それぞれ複数あってもよい。
【0014】
図1において、移動基地局10のセル1と、固定基地局30のセル3とが重なっている領域がある。そして、このようにセル1,3が形成されている地域に、携帯電話機2,2,・・・が存在する。
【0015】
セル1,3内の各携帯電話機2,2,・・・は、それぞれの基地局10,30からの照会信号を受信すると、これに対する応答信号を出力する。この応答信号には、少なくとも、各携帯電話機2,2,・・・の識別情報を含む。移動基地局10及び固定基地局30の双方から照会信号を受信した携帯電話機2,2,・・・は、いずれの場合でもそれぞれの照会信号に対して応答信号を出力する。
【0016】
移動基地局10及び固定基地局30は、いずれも例えば携帯電話機2,2,・・・と通信する通信装置を備えたコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する移動基地局10及び固定基地局30内の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0017】
図2は、移動基地局10の構成を示す。
【0018】
移動基地局10は、送信アンテナ110及び受信アンテナ120を備え、携帯電話機2,2,・・・と無線通信を行う。また、移動基地局10は、ユーザインタフェースのための表示装置130と、GPS(Global Positioning System)信号を受信するGPSアンテナ160を備える。
【0019】
移動基地局10は、さらに、送信アンテナ110から出力される照会信号を生成する照会信号発信部11と、受信アンテナ120が受信した応答信号を解析する応答信号解析部13と、応答信号解析部13による解析結果に基づく情報を記憶するセル内端末情報記憶部140と、GPSアンテナ160が受信したGPS信号を処理して、移動基地局10の現在の緯度及び経度を特定するGPS処理部16と、固定基地局30と通信を行う基地局間通信部15と、固定基地局30から送られてきた情報を記憶する固定基地局情報記憶部150と、探索対象の携帯電話機(以下、探索対象端末と称する)を特定する探索対象端末抽出部14と、探索対象端末の位置を推定する位置推定部17と、探索対象端末の位置へと誘導するためのナビゲーション画面を表示する表示制御部18とを備える。
【0020】
照会信号発信部11は、定期的または不定期に携帯電話機2,2,・・・に対する照会信号を生成する。ここで生成された照会信号は、送信アンテナ110から電波として出力される。
【0021】
受信アンテナ120は、照会信号を受信した携帯電話機2が出力する応答信号の電波を受信する。応答信号には、各携帯電話機2,2,・・・の識別情報として電話番号が含まれている(各携帯電話機2,2,・・・を識別する情報であれば、電話番号に限定されないことはいうまでもない。)。
【0022】
応答信号解析部13は、受信アンテナ120が受信した、各携帯電話機2,2,・・・が出力した応答信号を解析し、セル内端末情報を生成する。例えば、応答信号解析部13は、応答信号に含まれている情報を抽出して各携帯電話機2,2,・・・を識別するとともに、応答信号の受信強度に基づいて、移動基地局10から各携帯電話機2,2,・・・までの距離を算出する。ここで生成されたセル内端末情報は、セル内端末情報記憶部140に記憶される。
【0023】
図3は、セル内端末情報記憶部140のデータ構造の一例を示す。すなわち、セル内端末情報記憶部140は、同図に示すように、応答信号に含まれていた携帯電話機2,2,・・・の電話番号141と、移動基地局10から各携帯電話機2,2,・・までの距離142と、応答信号の受信時刻143とをデータ項目として有する。
【0024】
基地局間通信部15は、固定基地局30から送られてくる固定基地局情報を受信して、固定基地局情報記憶部150に格納する。固定基地局30が複数あるときは、基地局間通信部15は、それぞれの固定基地局30から固定基地局情報を収集する。
【0025】
図4は、固定基地局情報記憶部150のデータ構造の一例を示す。すなわち、固定基地局情報記憶部150に格納される固定基地局情報には、固定基地局30の位置情報(緯度及び経度)151と、固定基地局30のセル3内の携帯電話機2,2,・・・の電話番号152と、携帯電話機2,2,・・・の固定基地局30からの距離153とが含まれる。
【0026】
探索対象端末抽出部14は、移動基地局10のセル1内であり、かつ固定基地局30のセル3内に存在する携帯電話機2,2,・・・の中から、探索対象となる探索対象端末を一つ抽出する。例えば、探索対象端末抽出部14は、セル内端末情報記憶部140のセル内端末情報で、最も移動基地局からの距離142が近い携帯電話機から順に、電話番号141,152をキーにして、固定基地局情報記憶部150にもセル内端末情報が記憶されている一台の携帯電話機を抽出して、探索対象端末とする。
【0027】
なお、探索対象端末が複数の固定基地局30の各セル3に属しているときは、以下の処理では、固定基地局からの距離153が近い固定基地局30のセル内端末情報が利用される。
【0028】
位置推定部17は、探索対象端末抽出部14で抽出された探索対象端末の位置を推定する。例えば、位置推定部17は、移動基地局10と固定基地局30との相対的な位置関係と、移動基地局からの距離142と固定基地局からの距離153とに基づいて、探索対象端末の移動基地局10に対する相対位置を推定する。
【0029】
位置推定部17は、例えば、図5に示すような作図法に従って、探索対象端末Tの位置を推定する。すなわち、同図に示すように、移動基地局10と固定基地局30の位置から、互いの相対的な位置関係を定めて、それぞれ、移動基地局O1及び固定基地局O2をプロットする。そして、移動基地局O1から、移動基地局からの距離142に相当する半径r1の円を描く。同様に、固定基地局O2を中心として固定基地局からの距離153に相当するr2の円を描く。そして、これらの円の交点A,Bが探索対象端末Tの存在する候補地点となる。そこで、位置推定部17は、候補地点AまたはBのいずれか一方を探索対象端末Tの位置と推定する。
【0030】
位置推定部17がいずれの候補地点を選択するかは任意であるが、例えば、移動基地局10及び固定基地局30以外の第3の基地局からの距離情報が得られるときは、これを参酌して選択してもよいし、あるいは、移動基地局10が指向性をもって照会信号を発信することができれば、その情報を用いてもよい。
【0031】
また、位置推定部17は、候補地点A,Bのうち、例えば交点Aを探索対象端末Tの位置と推定した後、以下のタイミングで探索対象端末Tの位置を他方の候補地点Bへ切り替えるようにしてもよい。例えば、後述するナビゲーションに従って、推定された探索対象端末Tの位置へ向かって、ユーザが移動基地局10とともに移動すると、移動基地局10から探索対象端末Tまでの距離が変動するので、応答信号解析部13が受信する探索対象端末Tからの応答信号強度も変動する。つまり、移動基地局10が探索対象端末Tへ近づいているときは、応答信号の受信強度が強くなるはずである。しかし、誤った方向へ移動したときは、応答信号の受信強度は弱くなる。そこで、移動基地局10が移動することによって、かえって探索対象端末Tから離れてしまっていることが検出されると、位置推定部17が上述の切り替えを行う。
【0032】
表示制御部18は、図5に示すようなナビゲーション画面500を表示装置130に表示させる。このナビゲーション画面500は、地図領域510と、探索対象端末Tからの応答信号の受信強度を示す強度メータ520と、探索対象端末の強制切り替えボタン530とが表示されている。
【0033】
地図領域510には、移動基地局O1及び固定基地局O2が、互いの位置情報に基づいて定まる相対的な位置に従って、表示される。さらに、地図領域510には、移動基地局O1を中心として移動基地局O1からの距離142に相当する半径r1の円C1と、固定基地局O2を中心として固定基地局O2からの距離153に相当するr2の円C2とが描かれている。ここでは、円C1とC2の交点A、Bのうち、Aに探索対象端末Tが存在するものと推定されているので、Aへ誘導するための矢印Kが、さらに表示されている。
【0034】
強度メータ520は、探索対象端末Tからの応答信号の受信強度に応じて、リアルタイムに変動するようにしてもよい。強度メータ520は、探索対象端末Tからの応答信号の受信強度を示す手法の一例であって、これ以外の方法で探索対象端末Tからの応答信号の受信強度を示してもよい。例えば、探索対象端末Tからの応答信号の受信強度に応じてナビゲーション画面500の中のいずれかの部分の表示色が変動するなど、ナビゲーション画面500の表示態様を変動させてもよい。
【0035】
これにより、ユーザは、矢印Kの方向へ移動基地局10を移動させたときに、応答信号の受信強度の変化を知ることができる。従って、矢印Kの方向へ移動基地局10を移動させたにもかかわらず、応答信号の受信強度が減少し続けるときは、矢印Kの方向が誤りである可能性が高い。このとき、ユーザが探索対象端末の強制切り替えボタン530を押すと、位置推定部17が上述の探索対象端末の切り替え処理を強制的に行うようにしてもよい。
【0036】
なお、表示制御部18は、移動基地局10の移動に伴って、地図領域510に表示される地図もリアルタイムに更新するようにしてもよい。
【0037】
図6は、固定基地局30の構成を示す。固定基地局30は、少なくとも以下の機能を備えた携帯電話機の位置検出装置であってもよい。
【0038】
固定基地局30も、移動基地局10と同様に、送信アンテナ310及び受信アンテナ320を備え、携帯電話機2,2,・・・と無線通信を行う。
【0039】
さらに、固定基地局30は、送信アンテナ310から出力される照会信号を生成する照会信号発信部31と、受信アンテナ320が受信した応答信号を解析する応答信号解析部33と、応答信号解析部33による解析結果に基づく情報を記憶するセル内端末情報記憶部340と、移動基地局10と通信を行う基地局間通信部35と、固定基地局30の位置情報(緯度、経度)を記憶した基地局位置情報記憶部36とを備える。
【0040】
照会信号発信部31及び応答信号解析部33は、移動基地局10の照会信号発信部11及び応答信号解析部13と同様の機能を備える。さらに、セル内端末情報記憶部340は、移動基地局10のセル内端末情報記憶部140と同様のデータ項目を有し、固定基地局30のセル3内の携帯電話機に関する情報が記憶される。
【0041】
基地局位置情報記憶部36は、固定基地局30が位置する地点の緯度及び経度が記憶されている。
【0042】
基地局間通信部35は、基地局位置情報記憶部36に記憶されている固定基地局30の位置情報、及びセル内端末情報記憶部340に記憶されている固定基地局30についてのセル3内端末情報を移動基地局10へ送信する。
【0043】
なお、固定基地局30は、少なくとも上記の機能を備えたものであれば、移動基地局10と同様の可搬式の位置検出装置であってもよい。
【0044】
図7は、上述した携帯電話機の探索システムの処理手順を示すフローチャートである。これに従って、本システムの処理手順を説明する。
【0045】
まず、移動基地局10では、照会信号発信部11が生成した照会信号を送信アンテナ110から発信して、セル1内の携帯電話機2,2,・・・がこれに応答して発信した応答信号を受信アンテナ120で受信する。応答信号解析部13が応答信号を解析して、セル1のセル内端末情報を生成し、セル内端末情報記憶部140に格納する。
【0046】
また、固定基地局30も同様に、照会信号発信部31が生成した照会信号を送信アンテナ310から発信して、セル3内の携帯電話機2,2,・・・がこれに応答して発信した応答信号を受信アンテナ320で受信する。応答信号解析部33が応答信号を解析して、セル3のセル内端末情報を生成し、セル内端末情報記憶部340に格納する(S11)。
【0047】
次に、固定基地局30の基地局間通信部35が、セル内端末情報記憶部340に記憶されているセル3のセル内端末情報及び固定基地局30の位置情報を移動基地局10へ送る。移動基地局10では、基地局間通信部15がこれを受信して、固定基地局情報記憶部150に格納する(S12)。
【0048】
なお、これ以降も移動基地局10及び固定基地局30が、断続的にセル内端末情報を収集し、移動基地局10が固定基地局情報を断続的に取得する。
【0049】
探索対象端末抽出部14は、セル内端末情報記憶部140及び固定基地局情報記憶部150を参照して、セル1及びセル3が重なる地域にいる携帯電話機2の中から、移動基地局10に最も近いものを探索対象端末として抽出する(S13)。
【0050】
次に、位置推定部17は、移動基地局10に対する固定基地局30の相対的な位置関係と、探索対象端末の移動基地局からの距離142及び固定基地局からの距離153とに基づいて、2つの探索対象端末の候補地点のうちの一方を、探索対象端末の位置と推定する(S14)。
【0051】
表示制御部18は、移動基地局10の現在位置から探索対象端末の推定された位置へ向かうためのナビゲーション画面500を表示装置130に表示させる(S15)。
【0052】
これにより、ナビゲーション画面500を見たユーザは、移動基地局10を持って探索対象端末を探すために移動を開始することができる。
【0053】
このときに、移動基地局10が移動したことによって応答信号の受信強度が所定レベル以上減少すると(S16:Yes)、位置推定部17は、探索対象端末の位置を、2つの候補地点のうちの前回の処理で選択しなかった方に切り替える(S17)。そして、ステップS14へ戻り、位置推定部17が新たな探索対象端末の位置を推定して、それ以降の処理を行う。
【0054】
一方で、移動基地局10が移動しても、応答信号の受信強度が所定レベル以上減少しないときは(S16:No)、探索が完了するまでの間、ステップS18以降が繰り返される。
【0055】
本実施形態によれば、移動基地局10によるナビゲーションを受けながら、携帯電話機を見つけだすことができる。つまり、本実施形態に係るシステムは、大規模災害発生時などに、携帯電話機を所持したままがれきに埋もれた被災者の救出に役立てることができる。
【0056】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯電話機の探索システムの全体構成図である。
【図2】移動基地局10の構成を示す。
【図3】セル内端末情報記憶部140のデータ構造の一例を示す。
【図4】固定基地局情報記憶部150のデータ構造の一例を示す。
【図5】ナビゲーション画面500の一例を示す。
【図6】固定基地局30の構成を示す。
【図7】携帯電話機探索の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1,3 セル
2,2,・・・ 携帯電話機
10 移動基地局
11,31 照会信号発信部
13,33 応答信号解析部
14 探索対象端末抽出部
15,35 基地局間通信部
16 GPS処理部
17 位置推定部
18 表示制御部
30 固定基地局
36 基地局位置情報記憶部
140,340 セル内端末情報記憶部
150 固定基地局情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基地局と第2の基地局とを備え、移動体通信装置の位置へ誘導するためのナビゲーションシステムであって、
前記第1の基地局は、
移動体通信装置を探索するための照会信号を出力して、前記照会信号に応答した移動体通信装置から識別情報を含む応答信号を受信することによって、移動体通信装置を検出する手段と、
前記受信した応答信号の受信強度から、検出された移動体通信装置までの距離を算出する手段と、
前記第1の基地局の位置を示す位置データと、前記第1の基地局が検出した移動体通信装置の識別情報と、前記第1の基地局から該第1の基地局が検出した移動体通信装置までの距離を示す距離データとを含む第1の基地局情報を出力する手段と、を備え、
前記第2の基地局は、
移動体通信装置を探索するための照会信号を出力して、前記照会信号に応答した移動体通信装置から識別情報を含む応答信号を受信することによって、移動体通信装置を検出する手段と、
前記受信した応答信号の受信強度から、検出された移動体通信装置までの距離を算出する手段と、
前記第2の基地局の位置を特定する手段と、
前記第1の基地局から、前記第1の基地局情報を受信する手段と、
前記第1及び第2の基地局のいずれもが検出した移動体通信装置のうちの一つである対象移動体通信装置の前記第1の基地局からの距離及び前記第2の基地局からの距離と、前記第1の基地局の位置及び前記第2の基地局の位置とに基づいて、前記第2の基地局に対する前記対象移動体通信装置の相対位置を推定する手段と、
前記推定手段によって推定された前記対象移動体通信装置の相対位置に基づいて、前記対象移動体通信装置の位置へ誘導するためのナビゲーション手段と、を備えるナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ナビゲーション手段は、表示装置を備え、前記表示装置に前記推定された前記対象移動体通信装置の相対位置に従って、前記第2の基地局及び前記対象移動体通信装置を少なくとも含む地図を表示するとともに、前記表示装置に前記対象移動体通信装置の応答信号の受信強度を示す表示を行い、当該受信強度を示す表示は、前記対象移動体通信装置の応答信号の受信強度に応じて変動することを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
移動体通信装置を探索するための照会信号を出力して、前記照会信号に応答した移動体通信装置から識別情報を含む応答信号を受信することによって、移動体通信装置を検出する手段と、
前記受信した応答信号の受信強度から、検出された移動体通信装置までの距離を算出する距離算出手段と、
自己の位置を特定する手段と、
他の検出装置から、前記検出装置の位置を示す位置データと、前記検出装置が検出した移動体通信装置の識別情報と、前記検出装置から該検出装置が検出した移動体通信装置までの距離を示す距離データとを取得する手段と、
自己及び前記検出装置のいずれもが検出した移動体通信装置のうちの一つである対象移動体通信装置の自己からの距離及び前記検出装置からの距離と、自己の位置及び前記検出装置の位置とに基づいて、自己に対する前記対象移動体通信装置の相対位置を推定する手段と、
前記推定手段によって推定された自己に対する前記対象移動体通信装置の相対位置に基づいて、前記対象移動体通信装置の位置へ誘導するためのナビゲーション手段と、を備える可搬型基地局装置。
【請求項4】
可搬型基地局装置を用いた移動体通信装置探索のためのナビゲーション方法であって、
移動体通信装置を探索するための照会信号を出力して、前記照会信号に応答した移動体通信装置から識別情報を含む応答信号を受信することによって、移動体通信装置を検出するステップと、
前記受信した応答信号の受信強度から、検出された移動体通信装置までの距離を算出するステップと、
前記可搬型基地局装置の位置を特定するステップと、
他の検出装置から、前記検出装置の位置を示す位置データと、前記検出装置が検出した移動体通信装置の識別情報と、前記検出装置から該検出装置が検出した移動体通信装置までの距離を示す距離データとを取得するステップと、
前記可搬型基地局装置及び前記検出装置のいずれもが検出した移動体通信装置のうちの一つである対象移動体通信装置の前記可搬型基地局装置からの距離及び前記検出装置からの距離と、前記可搬型基地局装置の位置及び前記検出装置の位置とに基づいて、前記可搬型基地局装置に対する前記対象移動体通信装置の相対位置を推定するステップと、
前記推定された前記可搬型基地局装置に対する前記対象移動体通信装置の相対位置に基づいて、前記対象移動体通信装置の位置へ誘導するステップと、を有する移動体通信装置探索のためのナビゲーション方法。
【請求項5】
可搬型基地局装置のためのコンピュータプログラムであって、
移動体通信装置を探索するための照会信号を出力して、前記照会信号に応答した移動体通信装置から識別情報を含む応答信号を受信することによって、移動体通信装置を検出するステップと、
前記受信した応答信号の受信強度から、検出された移動体通信装置までの距離を算出するステップと、
該可搬型基地局装置の位置を特定するステップ手段と、
移動体通信装置の検出装置から、前記検出装置の位置を示す位置データと、前記検出装置が検出した移動体通信装置の識別情報と、前記検出装置から該検出装置が検出した移動体通信装置までの距離を示す距離データとを取得するステップと、
該可搬型基地局装置及び前記検出装置のいずれもが検出した移動体通信装置のうちの一つである対象移動体通信装置の該可搬型基地局装置からの距離及び前記検出装置からの距離と、該可搬型基地局装置の位置及び前記検出装置の位置とに基づいて、該可搬型基地局装置に対する前記対象移動体通信装置の相対位置を推定するステップと、
前記推定された該可搬型基地局装置に対する前記対象移動体通信装置の相対位置に基づいて、前記対象移動体通信装置の位置へ誘導するステップとを可搬型基地局装置に実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−252388(P2008−252388A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89586(P2007−89586)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】