説明

ナビゲーション装置、その地図情報アップデート方法および地図情報アップデートプログラム

【課題】地図情報に格納されていない道路を走行した際に、その経路を地図情報にアップデートするか否かを効果的に判定する。
【解決手段】ナビゲーション装置1において、地図情報を記憶するとともに、新たな地図情報をアップデート可能とされる記憶手段(7,8)と、ナビゲーション装置1の現在位置を検出位置として検出する2種以上の位置検出手段(2,3)とを備え、検出位置が地図の道路上に存在しているかを判定する道路データ有無判定手段6と、道路上にないと判定された場合に、複数の検出位置をつなぐ軌跡を新規検出経路として検出する新規検出経路検出手段6と、所定の走行速度以上で所定の距離以上走行したかに基づき、新規検出経路を1以上の新規検出区間に分割して判別する新規検出経路判別手段6と、新規道路データを記憶手段(7,8)にアップデートする道路データアップデート手段6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、その地図情報アップデート方法および地図情報アップデートプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のナビゲーション装置は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星から送信される信号を受信して自車の現在位置を検出すると共に、ジャイロ等のセンサにより自車の車首が向いている方向、あるいは走行状態等に関する情報を得る。また、ナビゲーション装置は、記憶領域に記憶されている地図情報に基づいて自車の現在位置と地図上の道路とをマッチングさせ、表示部に表示された地図上に自車の現在位置を表示する。さらに、ユーザが所望する目的地まで、経路を案内する機能を有するものもある。
【0003】
ところで、道路若しくは施設等は変化するため、車両が、ナビゲーション装置に記憶されている地図情報にない道路を走行する場合がある。車両が地図情報にない道路を走行中、ナビゲーション装置は、あたかも道路でない場所を走行しているような表示を行い、さらに、目的地までの案内ができないあるいはユーザの意図とは異なる経路を繰り返し案内するといった問題が生じることがある。
【0004】
そこで、ナビゲーション装置を搭載した車両が地図情報にない道路を走行した場合に、その走行位置を新たな道路データとして地図情報に書き込むという方法がある。また、GPS受信機の受信状況が悪い場所では、新たな道路データを地図情報に書き込まないナビゲーション装置が提案されている。GPS受信機の受信状況が悪い場所では、車両の現在位置の検出精度が低いため、検出された新たな道路データの位置の誤差が大きく正確な道路データが得られないからである。(たとえば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2002−48559号公報(請求項1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の方法には以下の問題がある。それは、受信状況が良い場所にてGPS受信機により受信された位置情報が正しいとは限らないという問題である。例えば、入り組んだ高層ビル付近では、高層ビルに反射した電波により、誤った位置情報を取得する場合がある。また、上述の方法は、GPS信号を受信できない場所において用いることができないという問題もある。例えば、トンネル内では、GPS信号を受信できないため、上述の方法を適用できない。
【0006】
また、GPS受信機以外の位置情報を取得するための手段、例えば、加速度センサ等を用いて位置情報の取得を行う場合がある。しかし、例えば、加速度センサを用いる場合には、センサの固定状況および車の振動による影響から、正確な位置情報が得られにくいという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決すること、すなわち、地図情報にない道路を走行した際に、その経路を地図情報にアップデートするか否かを効果的に判定できるナビゲーション装置、その地図情報アップデート方法および地図情報アップデートプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置において、地図を表示するための地図情報を記憶するとともに、新たな地図情報をアップデート可能とされる記憶手段と、ナビゲーション装置の現在位置を検出位置として検出するための2以上の位置検出手段と、を備え、位置検出手段によって検出された検出位置が、地図の道路上に存在しているか否かを判定する道路データ有無判定手段と、道路データ有無判定手段において、検出位置が地図の道路上にないと判定された場合には、複数の検出位置をつなぐ軌跡を新規検出経路として検出する新規検出経路検出手段と、新規検出経路を新規道路データとしてアップデートするか否かにつき、新規検出経路が所定の走行速度以上で所定の距離以上走行したか否かに基づき、新規検出経路を1以上の新規検出区間に分割して判別する新規検出経路判別手段と、新規道路データを記憶手段にアップデートする道路データアップデート手段と、を備えるナビゲーション装置としている。
【0009】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、新規検出経路判別手段は、新規検出区間を所定の回数以上走行した場合にのみ道路データとしてアップデートすると判断する。
【0010】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、新規検出経路判別手段は、新規検出区間内で、加速度センサによる加速度センサ位置情報と、複数の衛星から送信されるGPS信号を受信して検出されたGPS位置情報とが一致する頻度が所定回数以上である場合に、道路データとしてアップデートすると判断する。
【0011】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、新規検出経路判別手段は、新規道路データとしてアップデートするか否かをユーザ側に決定させるものとしている。
【0012】
また、別の発明では、上述の発明に加えて、新規検出経路判別手段は、新規検出経路の始点若しくは終点が、道路上にあるか否かを判定するものとしている。
【0013】
また、別の発明では、地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置の地図情報に新規道路データをアップデートする方法であって、ナビゲーション装置の現在位置を検出位置として2種類以上の方法にて検出する位置検出ステップと、位置検出ステップにより検出された検出位置が、地図の道路上に存在しているか否かを判定する道路データ有無判定ステップと、道路データ有無判定ステップにおいて、検出位置が道路上にないと判定された場合には、複数の検出位置の軌跡をつなぐ新規検出経路として検出する新規検出経路検出ステップと、新規検出区間を、新規道路データとしてアップデートするか否かにつき、新規検出経路を1以上の新規検出区間に分割して判別する新規検出経路判別ステップと、新規道路データを記憶手段にアップデートする道路データアップデートステップと、を有するナビゲーション装置の地図情報アップデート方法としている。
【0014】
また、別の発明では、地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置の地図情報に新規道路データをアップデートする処理をコンピュータに実行させる地図情報アップデート用プログラムであって、コンピュータを、地図を表示するための地図情報を記憶するとともに、新たな地図情報をアップデート可能とされた記憶手段、ナビゲーション装置の現在位置を検出位置として検出するための2以上の位置検出手段と、を備え、位置検出手段によって検出された検出位置が、地図の道路上に存在しているか否かを判定する道路データ有無判定手段、道路データ有無判定手段において、検出位置が地図の道路上にないと判定された場合には、複数の検出位置をつなぐ軌跡を新規検出経路として検出する新規検出経路検出手段、新規検出経路を新規道路データとしてアップデートするか否かにつき新規検出経路が所定の走行速度以上で所定の距離以上走行したか否かに基づき、新規検出経路を1以上の新規検出区間に分割して判別する新規検出経路判別手段、新規道路データを記憶手段にアップデートする道路データアップデート手段、として機能させるコンピュータ読み取り可能な地図情報アップデートプログラムとしている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、地図情報に格納されていない道路を走行した際に、その経路を地図情報にアップデートするか否かを効果的に判定できるナビゲーション装置、その地図情報アップデート方法および地図情報アップデートプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置1の構成例を示すブロック図である。
【0017】
ナビゲーション装置1は、本体1a、GPS受信機2、加速度センサ3、その他センサ4、入力装置5および表示部10を備える。本体1aは、CPU(Central Processing Unit)6、HDD(Hard Disk Drive)7、メモリ8および映像制御部9を備える。また、GPS受信機2、加速度センサ3、その他センサ4、入力装置5、HDD7、メモリ8および映像制御部9は、CPU6に接続されている。表示部10は、映像制御部9に接続されている。
【0018】
GPS受信機2は、複数のGPS衛星(不図示)からの電波を受信する。また、GPS受信機2は、受信した電波に重畳されている時刻情報を抽出し、それぞれの電波の到達時間差から、ナビゲーション装置1を搭載した車両の現在の位置情報(例えば、緯度情報および経度情報)を検出する位置検出手段である。得られた位置情報は、CPU6に出力される。
【0019】
加速度センサ3は、半導体からなるMEMS(micro eletro mechanical systems)センサ等を好適に用いることができる。例えば、検出した加速度を静電容量に変換するセンサーチップと、静電容量を電圧に変換する変換部から構成された加速度センサ3を好適に用いることができる。加速度センサ3は、GPS受信機2とは別の位置検出手段であり、上り坂あるいは下り坂において、車両の高さ方向への変位を検出できる。したがって、CPU6は、GPS受信機2からの2次元の車両位置情報に加えて、加速度センサ3からの車両位置情報を得ることができる。
【0020】
その他センサ4は、例えば、サイドブレーキが操作されたことを検出するサイドブレーキセンサ、あるいは、車両が方向転換等した場合において各制御軸に対する車両の角速度を検出するジャイロ装置等が該当する。その他センサ4は、CPU6に各種情報を与える。
【0021】
入力装置5は、例えば、押釦、タッチパネルあるいはリモートコントローラ等から入力されるユーザの指示を、CPU6に入力信号として与える。
【0022】
CPU6は、信号処理部である。本発明において、CPU6は、GPS受信機2あるいは加速度センサ2等により検出された、検出時における現在位置を示す検出位置が、地図の道路上に存在しているか否かを判定する道路データ有無判定手段として機能する。また、CPU6は、道路データ有無判定手段において、検出位置が地図の道路上にないと判定された場合には、複数の検出位置をつなぐ軌跡を新規検出経路として検出する新規検出経路検出手段、および、新規検出経路を、新規道路データとしてアップデートするか否かを上記2以上の位置検出手段を用いて、新規検出経路が所定の走行速度以上で所定の距離以上走行したか否かに基づき、新規検出経路を1以上の新規検出区間に分割して判別する新規検出経路判別手段としても機能する。CPU6は、GPS受信機2、加速度センサ3、その他センサ4、あるいは入力装置5からの指示あるいは各種信号が入力される。そして、CPU6は、メモリ8あるいはHDD7中のハードディスク等に記憶されている所定のプログラムを読み出して、各種の演算等の処理を実行する。さらに、CPU6は、その処理されたデータを各部に出力する。また、本明細書において、アップデートとは、データの更新、改訂、追加および削除等の1つまたはそれらの組合せを示す。
【0023】
メモリ8は、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等から構成される。ROMは、CPU6が各部を制御するための制御プログラムおよび各定数を記憶する。例えば、ROMは、ナビゲーション装置のOS(Operating System)プログラムあるいはOS上で動作するアプリケーションプログラムを記憶している。RAMは、CPU6からの制御指令に基づいて、各種デバイスとの通信情報を一時的に記憶する。また、RAMは、CPU6のワークメモリとして使用される。なお、メモリ8を、後述するHDD7に記憶される情報の一部または全部を記憶する記憶手段としても良い。
【0024】
記憶手段としてのHDD7は、ナビゲーション装置1の本体1aに内蔵されている。図2は、HDD7内の情報の構成を説明するための構成図である。HDD7は、地図情報DB(Data Base)71および制御プログラム72を格納する。また、地図情報DB71は、既にデータが記憶されている記憶領域、および追加データの書き込みが可能な追加記憶領域を両方有する記憶領域である。
【0025】
ここで、地図情報DB71は、地図を表示するための情報、施設に関する情報等を含む地図データの集合体である。地図データは、地図の縮尺別に記憶されている。例えば、図2では、縮尺が1万分の1である地図データ73a、縮尺が5千分の1である地図データ73b、および縮尺が千分の1である地図データ73cの地図データが含まれている。各縮尺の地図データには、地図を表示するための地図表示レベル管理情報と、各種の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅および緯度幅にて区切られたユニットとを含む。各ユニットには、その区画部分のレイヤが格納されている。例えば、地図データ73aには、地図表示レベル管理情報75、ユニット76a〜76mが含まれ、そのユニット76aの中には、ユニットの内容を示すためのユニットヘッダ78、文字レイヤ79、背景レイヤ80、道路レイヤ81、拡大図レイヤ82およびオプションレイヤ83を含む。
【0026】
図3は、表示部10に地図を表示した際の画面表示84の例である。図4は、図3の画面表示84を作成するための各レイヤを説明する図である。
【0027】
画面表示84は、道路レイヤ81、背景レイヤ80および文字レイヤ79からを合成することにより生成される。道路レイヤ81は、道路を表示するためのレイヤである。また、背景レイヤ80は、地図画面上に建築物、施設、公園若しくは河川等を表示する役割を有する。また、文字レイヤ79は、市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名及び施設の名前等の、文字や地図記号等を表示する役割を有する。
【0028】
道路レイヤ81は、道路データおよび道路データを用いて道路を表示するための表示情報等を含む。道路データは、道路の位置を示すために、座標点(ノード)と線(リンク)に関するデータを用いる。例えば、図5に示すように、道路は、ノード40,ノード41,ノード43およびノード44、交差点ノード45、およびノード41と交差点ノード45とを接続するリンク46,ノード43と交差点ノード45とを接続するリンク47,ノード44とノード43とを接続するリンク48およびノード40と交差点ノード45とを接続するリンク49により道路の位置が記憶されている。道路データは、各ノードのノード番号、緯度および経度、リンクのリンク番号およびリンク距離、道路種別、道路幅等が記録されている。なお、本実施の形態では、道路レイヤ81は、道路データおよび道路を表示するための表示情報の両方を有するものである。しかし、このような形態に限らず、道路レイヤ81は、道路情報としてのみ用いられ、後述の背景レイヤ80に、道路データに基づき道路を表示するための情報を備えてもよい。
【0029】
制御プログラム72は、地図を表示するための処理あるいは、目的地までの経路探索のための処理等を実行するためのプログラムを含む。具体的には、GPS受信機2から供給される車両の位置情報に基づき、地図情報DB71に格納された地図情報より所望の地図を表示するための処理を実行するためのプログラムが含まれる。本実施の形態では、制御プログラム72は、経路を探索するための経路探索プログラム74a、制御プログラムを管理するための管理情報74b、および画面に表示するための処理若しくは車両位置を示すアイコン等の画像データとして描画パラメータ74cを含む。さらに、制御プログラム72は、目的地検索を行うために必要な情報、例えば、住所、電話番号あるいは郵便番号等の情報、若しくは、VICS(Vehicle Information and Communication system)情報を表示するための情報等を含むこともある。
【0030】
映像制御部9は、CPU6から入力された映像データ等を合成し、1つの映像信号を表示部10に与える。すなわち、映像制御部9は、画像を表示させるための描画処理部として機能する。具体的には、車両位置の周囲の地図を構成するための文字レイヤ79、背景レイヤ80、および道路レイヤ81等が、CPU6より映像制御部9に入力される。また、車両の位置を示すアイコンのデータおよびその表示情報等も、CPU6より映像制御部9に入力される。すると、映像制御部9は、それらのデータを重ね合せて表示するためにそれらのデータを合成する。そして、映像制御部9は、合成されたデータを1つの映像信号に変換する。さらに、映像制御部9は、その映像信号を表示部10に出力する。
【0031】
表示部10は、液晶ディスプレイ等から好適に構成される。また、映像制御部9にて変換された映像信号が表示部10に入力されると、表示部10にはその映像信号に基づく映像を表示出力できる。
【0032】
次に、ナビゲーション装置1の実施の形態の動作について説明する。図6は、ナビゲーション装置1の概略動作を説明するためのフローチャートである。
【0033】
ナビゲーション装置1の電源をONにすると、GPS受信機2、加速度センサ3およびその他センサ4等が位置情報および車両情報の取得を開始する(ステップS101)。そして、車両の位置情報として、GPS受信機2および加速度センサ3より信号がCPU6に入力される。CPU6は、それらの信号を所定のプログラムにより処理することで、GPS受信機2により取得されたGPS位置情報、および加速度センサにより取得された加速度による位置情報を得て、検出時における現在位置を検出位置として検出する(ステップS102:位置情報検出ステップ)。次に、CPU6は、位置情報に基づき、HDD7中のハードディスクに格納されている地図情報DB71内のユニット76a〜76mの中から、検出位置が含まれるユニットを検索する(ステップS103)。そして、CPU6は、所望のユニットに格納されている各レイヤを映像制御部9に供給する。また、CPU6は、最新の検出位置を現在位置として地図中に表示するためのアイコン等の表示情報も映像制御部9に供給する。したがって、映像制御部9は、各レイヤおよびアイコンデータを重畳した地図画像を作成する(ステップS104)。作成された地図画像は、映像制御部9にて映像信号に変換され、その映像信号は表示部10に出力される。すると、表示部10には、地図等の映像が表示される。
【0034】
ステップS104にて地図画像の作成が終了すると、CPU6は、地図情報DB71に格納されている道路レイヤ81に含まれる道路データと、車両の位置情報とを比較し、道路上に車両が位置しているかを判定する(ステップS105:道路データ有無判定ステップ)。車両が道路上にあると判定される場合(ステップS105においてYES)、ナビゲーション装置1の操作を終了するまで、ステップS102からステップS105までを繰り返す(ステップS107においてNO)。
【0035】
一方、車両が道路上ではない場所に位置していると判定された場合、すなわち、ステップS105において否定的(NO)な判定がなされた場合には、その新規に検出された経路(以後、新規検出経路という。)の経路および新規検出経路における走行速度が記憶される(ステップS106:新規検出経路検出ステップ)。新規検出経路は、新規道路としてアップデートされるか否かが判定される(ステップS108:新規検出経路判定ステップ)。ステップS108において肯定的(YES)な判定の場合には、CPU6は、その新規検出経路を道路レイヤにアップデートする(ステップS109:道路データアップデートステップ)。ステップS109の後あるいは、ステップS108において否定的(NO)な判定の場合には、ステップS102に戻る。
【0036】
図7は、ナビゲーション装置1が、図6中のステップS108において新規検出経路を新規道路としてアップデートするか否かを判定するための処理を説明するフローチャートである。
【0037】
図8は、ナビゲーション装置1を搭載した車両の走行経路を説明する説明図である。また、図9は、図8の地点30と地点38との間の区間を拡大して説明する説明図である。
【0038】
本実施の形態では、ナビゲーション装置1を搭載した車両は、東から西に向けて道路21上を走行している。ナビゲーション装置1の地図情報DB71には、道路20と道路23との間には、道路21と道路22とをつなぐ道路は存在しない。しかし、車両は、道路20と道路23との間にある地点30にて右折した後に南下(紙面では、下方向)し、東西に伸びる道路22と突き当たる地点38にて左折し、道路22を西に向けて走行している。したがって、ナビゲーション装置1は、地点30と地点38との間において、その新規検出経路および新規検出経路内での速度等の走行状態を記録する。
【0039】
新規検出経路が記録されると、CPU6は、その新規検出経路を、1以上の区間に分割し、それぞれの区間をA区間とB区間とに分別する(ステップS201:第1の新規検出区間判別ステップ)。B区間は、車両が所定の速度以上で所定の距離以上走行した区間である。一方、A区間は、所定の速度以下で走行した、あるいはその区間が所定の距離以下である。例えば、20km/h以上で10m以上走行されているというフィルターを設定した場合には、新規検出経路のうち、20km/h以下で走行されたあるいは20km/h以上で10m未満の区間は、A区間と振り分けられる。一方、20km/h以上で10m以上走行された区間は、B区間と振り分けられる。A区間は、ステップS201において、否定的な判定(NO)がなされる。一方、20km/h以上で10m以上走行されたB区間は、ステップS201において肯定的な判定(YES)がなされる。
【0040】
例えば、図8に示す地点30と地点38との間の新規検出経路においては、A区間として、区間A1および区間A2が存在し、B区間として、区間B1および区間B2が存在する。区間A1および区間A2は、ステップS201において否定的な判定(NO)がなされる。一方、区間B1および区間B2は、肯定的な判定(YES)がなされる。
【0041】
次に、ステップS201において肯定的な判定(YES)がなされた各B区間について、CPU6は、2回以上走行したか否かを判定する(ステップS203:第2の新規検出区間判別ステップ)。例えば、CPU6は、新規検出経路の進行方向に対して幅10m内の経路を同一経路としてみなし、そのB区間を2回以上走行したか否かを判定する。
【0042】
次に、CPU6は、ステップS203において肯定的な判定(YES)がなされた各B区間において、GPS位置情報と加速度センサによる位置情報との一致箇所が一定の頻度以上存在するか否かを、判定する(ステップS205:第3の新規検出区間判定ステップ)。例えば、CPU6は、1つのB区間において、GPS位置情報と加速度センサによる位置情報との一致箇所が、10mの範囲内に2点以上存在するか否かを判定する。ステップS205において肯定的な判定(YES)がなされると、その区間は、第1の新規検出区間として確認される(ステップS206)。一方、ステップS203およびステップS205において否定的な判定(NO)がなされると、CPU6は、その時点ではその区間を新しい道路として道路レイヤ81に書き込まないと判断する。
【0043】
また、ステップS201において否定的な判定(NO)がなされたA区間については、まず、CPU6は、そのA区間を、2回以上走行したか否かを判定する(ステップS202:第2の新規検出区間判別ステップ)。ステップS202において肯定的な判定(YES)がなされると、CPU6は、そのA区間毎に、GPS位置情報と加速度センサによる位置情報との一致箇所が一定の頻度以上存在するか否かを、判定する(ステップS204:第3の新規検出経路判別ステップ)。例えば、CPU6は、1つのB区間において、GPS位置情報と加速度センサによる位置情報との一致箇所が、10mの範囲内に2点以上存在するか否かを判定する。ステップS204において肯定的な判定(YES)がなされると、そのA区間は、第2の新規検出区間として確認される(ステップS207)。一方、ステップS202およびステップS204において否定的な判定(NO)がなされると、CPU6は、そのA区間を新しい道路として道路レイヤ81に書き込まない。
【0044】
図7および図8に示す例の場合には、区間A1、区間A2、区間B1および区間B2のすべてにおいて、GPS位置情報と加速度センサによる位置情報は、地点31,地点32,地点33,地点34,地点35,地点36,地点37および地点38において一致している。また、地点31,地点32,地点33,地点34,地点35,地点36,地点37および地点38は、区間A1、区間A2、区間B1および区間B2中に、10mの範囲内で2点以上存在する。したがって、区間B1および区間B2は、第1の新規検出区間として認められ、区間A1および区間A2は、第2の新規検出区間として認められる。
【0045】
次に、CPU6は、0以上の第1の新規検出区間(以後第1の新規検出区間群という)および0以上の第2の新規検出区間(以後、第2の新規検出区間群という)が、連続して新規検出経路を構成するか否かを判定する(ステップS208:連続判定ステップ)。ステップS208において、否定的な判定(NO)がなされると、CPU6は、その新規検出経路を新しい道路として道路レイヤ81に書き込まないと判定する。
【0046】
ステップS208において肯定的な判定(YES)がなされた場合には、CPU6は、その新規検出経路内に、第1の新規検出区間が1区間以上存在するか否かを判定する(ステップS209)。ステップS209において否定的な判定(NO)、すなわち、その新規検出経路が第2の新規検出区間だけで構成される場合には、CPU6は、その新規検出経路を新しい道路として道路レイヤ81に書き込まない。
【0047】
ステップS209において肯定的な判定(YES)がなされた場合には、CPU6は、その第1の新規検出区間群と第2の新規検出区間群とで構成される新規検出経路の始点および終点が既存の道路上にあるか否かを判定する(ステップS210:始点終点確認ステップ)。ステップS210において、肯定的な判定(YES)である場合には、CPU6は、その新規検出経路をアップデート対象と判断する。一方、ステップS210において、否定的な判定(NO)である場合には、CPU6は、その区間を新しい道路として道路レイヤに書き込まない。
【0048】
図7および図8に示す例の場合には、区間A1、区間A2、区間B1および区間B2は、連続している。さらに、第1の新規検出区間として、区間B1および区間B2の2つを有する。したがって、既存の道路20上の地点30から既存の道路22上の地点38迄の区間は、CPU6により、アップデート対象の新規検出経路として判断される。
【0049】
ステップS210において、肯定的な判定(YES)がなされた場合には、CPU6は、新規検出経路を新規道路としてアップデートするか否かをユーザに確認する(ステップS211)。具体的には、アップデート対象の新規検出経路を表示部10に表示し、アップデートをするか否かを問うメッセージを表示部10に表示する。ユーザが、アップデートする旨の指示を、入力装置5を通じて入力した場合には、CPU6は、新規検出経路を新規道路データとして、道路レイヤにアップデートすなわちその新規道路データを追加する(ステップS212)。したがって、地図情報DB71が有する道路レイヤ81には、図7の地点30と地点38との間の道路情報が追加される。一方、ユーザが、その道をアップデートしない旨を入力装置5よりCPU6に指示した場合(ステップS211においてNO)には、その道路データは、アップデートされない。
【0050】
以上の説明のように、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置1では、GPS位置情報だけではなく、加速度センサ3による位置情報あるいは速度情報を活用することにより、検出された新規検出経路を新規道路として道路レイヤ81にその道路データをアップデートするべきか否かを判定できる。したがって、GPS情報が不正確になりやすい場所、あるいはGPS情報の取得が出来ない場所においても、複数回走行するような道においては、道路データを追加して書き込みするべきか判断できる。したがって、より正確な道路データのみがアップデートされるようなナビゲーション装置1を実現できる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は、これらの実施の形態に限定されることなく、種々の変形および組合せが可能である。
【0052】
たとえば、本実施の形態では、地図情報DB71をHDD7に記憶させているものとしたが、このような形態に限らない。例えば、フラッシュメモリ、DRAM、DVD−RあるいはCD−R等の書き込み可能な記憶媒体に地図情報DB71を記憶させているものとしてもよい。また、ホストコンピュータが地図データを有し、無線通信等の手段を用いて、ホストコンピュータから常に地図情報がナビゲーション装置に送信されているような形態の場合には、ナビゲーション装置で得た道路データをホストコンピュータにアップロードするような形態にしても良い。
【0053】
また、本実施の形態では、ステップS201において、新規検出区間が20km/h以上で10m以上走行された区間であるか否かを判定したが、速度あるいは距離は、他の値でも良い。また、すべての場所で、一定の速度および距離に基づき判定されなくても良い。例えば、農村地域では、新規検出区間が40km/h以上で30m以上走行された区間か否かを判定するものとし、市街地では、10km/h以上で5m以上走行された区間か否かを判定するものとしてもよい。また、速度および距離によりフィルタリングされるのではなく、加速度および走行時間により検出されるようにしてもよい。あるいは、ユーザが検出感度を現実に即して設定できるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、ユーザが最終的にアップデートするか否かを判定できるものとしているが、このような形態に限らない。例えば、ステップS211において、アップデート対象の新規検出経路を、ユーザの許可なしにCPU6がアップデートしてもよい。そのような場合には、アップデート履歴をユーザが閲覧できるようなシステムにすることで、ユーザにより追加された新規道路情報を後から削除できるシステムにしてもよい。
【0055】
また、本実施の形態においては、ステップS202およびステップS203において、新規検出区間が2回以上走行されているか否かを判定しているが、ステップS202およびステップS203は、必須ではない。また、ステップS202およびステップS203はこのような形態に限らず、3回以上走行されているか否かを判定しても良いし、ステップS202とステップS203との判定の基準が異なっていても良い。例えば、ステップS202は2回以上走行されているか否かを判定し、ステップS203では3回以上走行されているかを判定するような形態でも良い。
【0056】
また、本実施の形態では、ステップS204およびステップS205において、CPU6は、そのA区間あるいはB区間毎に、GPS位置情報と加速度センサによる位置情報との一致箇所が所定回数以上存在するか否かを、判定するものとしている。しかし、ステップS204およびステップS205は、必須ではない。また、GPS位置情報あるいは加速度センサによる位置情報に限らず、他の位置情報との一致箇所の存在にて判定されても良い。
【0057】
また、本実施の形態では、ステップS210において、CPU6は、新規検出経路の始点および終点が、道路上にあるか否かを判定するものとしているが、ステップS210は必須ではない。また、このような形態に限らず、始点だけあるいは終点だけが道路上にあるか否かを判定するものとしても良い。あるいは、始点若しくは終点からある一定距離内に道路が位置する場合も含めるようにしてもよい。
【0058】
また、本発明にかかるナビゲーション装置1は、車両に限らず、どのような移動体にも適用できる。たとえば、徒歩の人が用いるようなものでもよいし、飛行体等に備えてもよい。
【0059】
また、本実施の形態においては、新しい道路データを道路レイヤに書き込む形態としているが、このような形態に限らない。例えば、他の追加領域に書き込み、ステップS104にて画像を合成する際に、追加記憶領域も一緒に合成するような形態にしてもよい。また、アップデートしないと判断されたデータは、一定期間保持後消去されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のナビゲーション装置が有するHDD内の情報構成説明図である。
【図3】図1のナビゲーション装置の表示部に表示される画像の例である。
【図4】図3の画像のレイヤ構造を説明するための図である。
【図5】図3の道路レイヤに含まれる道路情報を説明するための図である。
【図6】図1に示すナビゲーション装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図7】図6に示すステップの内、新規検出経路をアップデートするか否かを判定するための処理を説明するフローチャートである。
【図8】ナビゲーション装置を搭載した車の走行状態を示すための概略説明図である。
【図9】図3に示す地点30から地点38までの間の詳細な走行状態を示すために拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1…ナビゲーション装置(コンピュータ)、2…GPS受信機(位置検出手段)、3…加速度センサ(位置検出手段)、4…その他センサ、5…入力装置、6…CPU(道路データ有無判定手段、新規検出区間検出手段、新規検出区間判別手段、道路データアップデート手段)、7…HDD(記憶手段)、8…メモリ(記憶手段)、9…映像制御部、10…表示部、71…地図情報DB(地図情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置において、
上記地図を表示するための地図情報を記憶するとともに、新たな地図情報をアップデート可能とされる記憶手段と、
上記ナビゲーション装置の現在位置を検出位置として検出するための2以上の位置検出手段と、を備え、
上記位置検出手段によって検出された検出位置が、上記地図の道路上に存在しているか否かを判定する道路データ有無判定手段と、
上記道路データ有無判定手段において、上記検出位置が上記地図の道路上にないと判定された場合には、複数の上記検出位置をつなぐ軌跡を新規検出経路として検出する新規検出経路検出手段と、
上記新規検出経路を新規道路データとしてアップデートするか否かにつき、上記新規検出経路が所定の走行速度以上で所定の距離以上走行したか否かに基づき、上記新規検出経路を1以上の新規検出区間に分割して判別する新規検出経路判別手段と、
新規道路データを上記記憶手段にアップデートする道路データアップデート手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記新規検出経路判別手段は、前記新規検出区間を所定の回数以上走行した場合に前記道路データとしてアップデートすると判断することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記新規検出経路判別手段は、前記新規検出区間内で、加速度センサによる加速度センサ位置情報と、複数の衛星から送信されるGPS信号を受信して検出されたGPS位置情報とが一致する頻度が所定回数以上である場合に前記道路データとしてアップデートすると判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記新規検出経路判別手段は、前記新規道路データとしてアップデートするか否かをユーザ側に決定させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記新規検出経路判別手段は、前記新規検出経路の始点若しくは終点が、道路上にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置の地図情報に新規道路データをアップデートする方法であって、
上記ナビゲーション装置の現在位置を検出位置として2種類以上の方法にて検出する位置検出ステップと、
上記位置検出ステップにより検出された検出位置が、上記地図の道路上に存在しているか否かを判定する道路データ有無判定ステップと、
上記道路データ有無判定ステップにおいて、検出位置が上記道路上にないと判定された場合には、複数の上記検出位置の軌跡をつなぐ新規検出経路として検出する新規検出経路検出ステップと、
上記新規検出区間を、新規道路データとしてアップデートするか否かにつき、上記新規検出経路を1以上の新規検出区間に分割して判別する新規検出経路判別ステップと、
新規道路データを記憶手段にアップデートする道路データアップデートステップと、
を有することを特徴とするナビゲーション装置の地図情報アップデート方法。
【請求項7】
地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置の地図情報に新規道路データをアップデートする処理をコンピュータに実行させる地図情報アップデート用プログラムであって、
コンピュータを、
上記地図を表示するための地図情報を記憶するとともに、新たな地図情報をアップデート可能とされた記憶手段、
上記ナビゲーション装置の現在位置を検出位置として検出するための2以上の位置検出手段と、を備え、
上記位置検出手段によって検出された検出位置が、上記地図の道路上に存在しているか否かを判定する道路データ有無判定手段、
上記道路データ有無判定手段において、検出位置が上記地図の道路上にないと判定された場合には、複数の上記検出位置をつなぐ軌跡を新規検出経路として検出する新規検出経路検出手段、
上記新規検出経路を新規道路データとしてアップデートするか否かにつき上記新規検出経路が所定の走行速度以上で所定の距離以上走行したか否かに基づき、上記新規検出経路を1以上の新規検出区間に分割して判別する新規検出経路判別手段、
新規道路データを上記記憶手段にアップデートする道路データアップデート手段、
として機能させるコンピュータ読み取り可能な地図情報アップデートプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−150796(P2009−150796A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329502(P2007−329502)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】