ナビゲーション装置、ナビゲーションシステムおよび経路表示方法。
【課題】探索された複数の経路の接続関係が複雑な場合でも、ユーザに判り易い要約地図を迅速に画面表示できるナビゲーション装置、ナビゲーションシステムおよび経路表示方法を提供することにある。
【解決手段】地図データから複数の経路を探索し、複数経路の分岐点と合流点をノードとして、これらのノード間を結ぶ拡張リンクによって各経路を定義した後、所定のリンク統合条件に従って、特定の迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合することによって、経路データを更に簡略化する。簡略化された経路データに基いて、最適経路を直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点と結合した形態の要約地図を生成し、この要約地図上に交通状態情報と道路名称を含む文字情報とを追加したものを経路概略図として、ナビケーション画面に表示する。
【解決手段】地図データから複数の経路を探索し、複数経路の分岐点と合流点をノードとして、これらのノード間を結ぶ拡張リンクによって各経路を定義した後、所定のリンク統合条件に従って、特定の迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合することによって、経路データを更に簡略化する。簡略化された経路データに基いて、最適経路を直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点と結合した形態の要約地図を生成し、この要約地図上に交通状態情報と道路名称を含む文字情報とを追加したものを経路概略図として、ナビケーション画面に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション技術に関し、更に詳しくは、現在地またはユーザが指定した地点を出発地として、目的地に至る複数の経路を探索し、これらの経路をユーザに判り易い地図形態で提示するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムおよび経路表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、ユーザが設定した目的までの複数の経路を探索し、これらの経路の全体図を候補経路として表示し、そのうちの1つをユーザに初期経路として選択させる候補経路表示機能を備えている。また、ユーザが選択した初期経路に従って経路誘導中に、走行中の道路状況に応じて異なる探索条件で迂回路を探索し、探索された複数の迂回路を表示する機能を備えたナビゲーション装置が知られている。
【0003】
例えば、特開2003−214879号公報(特許文献1)には、探索された複数の候補経路を地図画面上に表示すると共に、それぞれの経路と対応付けて、予測される所要時間、走行距離、料金等の文字情報を表示するナビゲーション装置が開示されている。また、特開2004−347420号公報(特許文献2)には、探索された複数の候補経路を要約地図にして画面に提示するナビゲーション装置が開示されている。特許文献2は、探索された複数の候補経路について、道路形状の直線化や直交化等のデフォルメ処理を施すことによって、ユーザに見易い要約地図に変換する方法を提案している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−214879号公報
【特許文献2】特開2004−347420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然るに、特許文献1に開示されたナビゲーション装置では、探索された複数の候補経路を原形状のまま画面に表示しているため、経路間の区別や、道路の分岐点、合流点が判別し難いという問題がある。一方、特許文献2に開示されたナビゲーション装置では、複数の候補経路が要約地図として画面に提示されるため、ユーザにとっては、複数の経路を分別し易くなっている。しかしながら、特許文献2では、要約地図上で、経路の構成要素となるリンク間の接続関係に矛盾が発生しないように、複数の経路をそれぞれの道路形状に基いて徐々に変形しているため、デフォルメ処理に時間がかかるという問題がある。
【0006】
一方、探索された複数の経路の接続関係のみに着目し、分岐点、合流点を含むノードと、ノード間を接続するリンクを等間隔のグリッド上に配置する方法が考えられる。この方法によれば、複数の経路の形状を基に変形する方法に比べて、格段に少ない計算時間とメモリ消費量で要約地図を生成することができる。しかしながら、分岐点や合流点の数が多い場合、接続関係が複雑になるため、要約地図がユーザに判り易いものになるとは限らない。
【0007】
本発明の目的は、探索された複数の経路の接続関係が複雑な場合でも、ユーザに判り易い要約地図を迅速に画面表示できるナビゲーション装置、ナビゲーションシステムおよび経路表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、地図データから探索された複数の経路を示す経路データから、複数経路の分岐点と合流点をノードとして、これらのノードによって分割された経路区間を新たなリンクとする経路データを生成し、所定のリンク統合条件に従って、特定の迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合することによって、上記経路データを更に簡略化し、簡略化された経路データに基いて、最適経路を直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点と結合した形態の要約地図を生成し、この要約地図上に交通状態情報と道路名称を含む文字情報とを追加したものを経路概略図として、ナビケーション画面に表示することを特徴とする。
【0009】
元の経路データでは、道路交差点や分岐点をノードとして、経路に沿って多数のリンクが定義されている。本発明では、経路概略図に表示すべき複数経路間の接続関係に基いて、ノードとリンクが再定義されているため、各経路が、元の経路データが示す複数のリンクを包含した距離的に拡張されたリンクで定義される。また、リンク統合条件を満たす迂回路区間で複数のリンクを統合することによって、各経路が更に簡略された経路データで定義される。
【0010】
本発明の1実施例では、ユーザ操作に応答して、表示画面では隠れているリンク統合区間の迂回路を選択的に再生した経路概略図を表示できるようにしている。リンク統合による経路の簡略化は、リンク統合条件を満たす迂回路区間のうち、表示重要度の低い迂回路区間から順に実行され、逆に、リンク統合区間の再生は、表示重要度の高い迂回路区間から順に実行される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、探索された複数の経路間の接続関係に従って、各経路のリンク列を再定義し、簡略化された経路データを基いて、最適経路は直線で表示し、残りの経路は折れ線で表示しているため、要約地図の生成が容易であり、実際には複雑な形状をもつ複数の経路を単純化された経路概略図として、表示画面に迅速に提供できる。また、経路選択時には重要度が低い迂回路部分の複数のリンクを1つのリンクに統合することによって、要約地図が簡略化されているため、要約地図上での渋滞情報や道路名称などの経路説明情報の表示が容易であり、ユーザに候補経路の概要を容易に把握させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明を適用したナビゲーションシステムの1実施例を示す。
ナビゲーションシステムは、自動車に搭載されるナビゲーション装置10と、通信ネットワークNWに接続された交通情報配信サーバ30とからなる。通信ネットワークNWには、複数の無線基地局20が接続してあり、ナビゲーション装置10は、無線基地局20を介して、通信ネットワークNWに接続され、交通情報配信サーバ30から後述する渋滞情報などの交通情報を取得する。
【0013】
ナビゲーション装置10は、装置全体の制御を行う制御部100と、地図データを格納する地図データ記憶部102と、GPSセンサ等により自車の位置情報を取得する現在位置取得部103と、ユーザからの入力を受け付ける入力部104と、ユーザの操作画面や地図を表示する表示部105と、無線基地局20、通信ネットワークNW20を介して交通情報配信サーバ30と通信するための無線通信部106とからなる。図1では省略されているが、ナビゲーション装置10は、画面表示部105へ情報提示に連動させて、ユーザに音声でガイダンス情報を与える音声出力部を備えるようにしてもよい。
【0014】
制御部100は、プロセッサ101と、メモリ107とからなる。
メモリ107には、プロセッサ101が実行する本発明に関係するプログラムソフトとして、ユーザ操作によって入力部104から入力される目的地等の入力情報を受け付ける入力受付制御部110と、出発地設定、目的地設定、初期経路選択、経路誘導など、ナビゲーション装置の状態に応じて、表示部105の表示内容と経路案内を制御する経路案内制御部111と、ユーザが目的地を設定した時、地図データ記憶部102を参照して、出発地(あるいは現在位置)から目的地に至る複数の候補経路を探索する経路探索部112と、探索された複数の候補経路から、初期経路選択用の経路概略図を生成して、表示部105に出力する経路概略図生成部113と、経路探索部112で使用すべき複数の経路探索条件115(115−1〜115−n)を設定するための経路探索条件設定部114とが用意されている。
【0015】
地図データ記憶部102は、比較的大容量の記録媒体をもつハードディスクドライブやDVD(Digital Versatile Disk)ドライブによって構成される。入力部104は、例えば、タッチパネルや操作ボタンからなり、表示部105は、液晶ディスプレイ等の表示画面とスピーカ等の音声出力装置とからなっている。メモリ107は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)からなり、プログラム110〜104は、ROMに格納され、経路探索条件115や地図データ記憶部102から読み出された地図データは、RAMに格納される。
【0016】
ここでは、ネットワークNWを介して交通情報配信サーバ30から交通情報を受信するナビゲーション装置10を示しているが、本発明は、例えば、ネットワークNWを介してWeb(World Wide Web)サーバをアクセスし、各種のWebサービスを享受する機能を備えた通信型のカーナビゲーション装置にも適用できる。
【0017】
図2は、地図データ記憶部102に格納されるナビケーション用の地図データベース40の構成例を示す。
地図データベース40は、地図表示用データ41と、経路計算用データ42と、リンク対応データ43とからなる。地図表示用データ41は、表示画面に表示される地図を定義するためのデータであり、道路データ401と、背景データ402と、文字データ403とからなっている。
【0018】
道路データ401は、図4で詳述するように、端点あるいは分岐点となる複数のノードと、隣接する2つのノード間を接続するリンクとの組合せによって、各道路を記述している。道路の形状は、各リンク内の要所に位置した形状補間点の座標によって表される。
【0019】
背景データ402は、鉄道、河川、建造物など、道路地図の背景となるデータを含み、文字データ403は、地名、道路名、交差点名など、地図上に表示される注記文字列を含む。
【0020】
経路計算用データ42は、ノードとリンクとの組合せによって経路(ノードネットワーク)を記述し、ノード間、リンク間のコスト(所要時間や料金)を表現できるようになっている。また、リンク対応データ43は、各リンクと他のデータブロック、例えば、交通情報配信サーバ30から取得した渋滞情報を示すデータブロックとを対応付けるためものである。
【0021】
各道路を定義するノードとリンクには、それぞれノードID(識別子)とリンクIDが割当てられている。各リンクは、リンクIDによって、例えば、渋滞情報データブロック、道路形状データブロック、名称データブロックなど、他のデータブロックと対応付けられる。
【0022】
カーナビケーション用の地図データには、経路誘導時に出力する看板や走行レーンなどを示す経路誘導用データや、POI検索や住所検索に利用される案内検索用データなどが含まれているが、これらのデータは、本発明には関係しないため、詳細説明は省略する。
【0023】
図3は、地図データ記憶部102に格納される地図データの階層構造を示す。
カーナビケーション装置では、縮尺に応じて地図データを管理するために、図2に示した地図表示用データ41や経路計算用データ42を何段階かの縮尺レベルに分けて管理している。また、各レベルの地図データは、地図領域を緯度と経度に沿って複数のメッシュに分割し、メッシュ毎に管理されている。
【0024】
図3は、最も詳細な地図を示すレベルL(i)を最下位レベルとして、レベルL(i)と上位レベルL(i+1)、L(i+2)のメッシュとの関係を示している。斜線で示すように、レベルL(i)の地図データは、上位レベルL(i+1)の1つのメッシュの拡大地図を示し、レベルL(i+2)の1つのメッシュは、下位レベルL(i+1)の複数のメッシュ(図2では、16メッシュ)を統合した縮尺地図を示している。
【0025】
経路計算用データ42は、上述したレベル間を対応付けるためのデータを含んでいる。また、交通情報配信サーバ30から各ナビゲーション装置に配信されるデータ、例えば、渋滞領域を示すデータは、上述した複数レベルのうちの少なくとも1つのレベルと対応付けられている。
【0026】
本発明の経路探索部112は、地図データ記憶部(地図データベース)102から、経路探索条件115に従って、現在地から目的地に至る複数の経路を探索し、交通情報配信サーバ30から、これらの経路における交通情報を取得する。探索結果を示す経路データは、交通情報配信サーバ30からの配信データと対応付けができるように、レベルを変換して出力される。
【0027】
図4は、道路データ401の基本的な構成の1例を示した図である。
道路データは、分岐点、交差点等の特徴点を示すノードn(n1〜n4)と、ノード間を接続する道路区間を示すリンクa(a1〜a5)とからなる。道路データには、ノード間の道路形状を表現するために、リンクの途中に形状補間点と呼ばれる点が設定される。図4において、破線矢印で示される区間a1〜a5がリンクであり、黒丸p1〜p10が形状補間点を表している。
【0028】
ナビケーション装置10の経路探索部112で使用する経路探索条件115には、例えば、所要時間優先、あるいは距離優先のように、重要視すべきパラメータを異にした複数の探索条件が用意されている。所要時間優先の経路探索条件では、所要時間計算に適用する交通情報として、内部メモリに予め蓄積しておいた統計交通情報と、交通情報配信サーバ30から動的に受信したリアルタイムの交通情報との何れかを選択できるようになっている。
【0029】
経路探索部112は、ユーザによって指定された経路探索条件115に従って、図4に示した各リンクのコストを計算し、例えば、ダイクストラ法のような経路探索法に基づいて、始点ノード(現在地)から終点ノード(目的地)に至るリンクコストが最小となる経路を最適経路として探索し、リンクコスト順に、選択した幾つかの経路を候補経路とする。ここで探索された候補経路は、それぞれ、図4に示したリンクの列として表現される。
【0030】
図5は、経路探索部112で探索した候補経路のデータ構造の1例を示す。
(A)は、1例として、所要時間優先の経路探索条件で探索された経路データ50のデータ構造を示し、(B)と(C)は、経路データ50に含まれる各リンクの道路形状データ51と名称データ52のデータ構造を示している。
【0031】
経路データ50は、候補経路と対応する複数のデータブロックからなり、各データブロックは、その経路を利用した場合の目的地への到着予想時刻(あるいは所要時間)501と、経路を構成する複数(n本)のリンクをリンクID:502−iとリンク長503−i(i=1〜n)との対で表している。
【0032】
道路路形状データ51は、経路データ50が示すリンクID502と対応して生成されたデータブロックであり、例えば、リンクID511と、始終点の位置512と、リンク通過の所要時間513と、渋滞度514と、そのリンクの始点ノードのID515と、終点ノードのID516と、リンク形状を特定する座標点の数(n)517と、n個の座標点518(X座標518X−i、Y座標518Y−i、i=1〜n)とを含む。始終点の位置512は、現在位置や目的地が当該リンクの途中にある場合に、その位置を表現する座標値を示している。また、所要時間513と渋滞度514の値は、交通情報配信サーバ30から配信された交通情報データから抽出される。
【0033】
名称データ52も、経路データ50が示すリンクID502と対応して生成されたデータブロックであり、例えば、リンクID521と、そのリンク内に存在する交差点名称の個数(k)522と、交差点名称523(523−1〜523−k)と、そのリンクがもつ道路名称の個数(m)524と、個々の道路名称525(525−1〜525−m)とを示す。1つのリンクが、国道y号線の一部であり、且つ、xx街道の一部となっていた場合は、名称データ52は、2つの道路名称525をもつことになる。
【0034】
図6は、経路概略図生成部113の機能を示すフローチャートである。
経路概略図生成処理113は、経路探索部112で生成された複数の候補経路データ50に基いて、候補経路間の接続関係を解析し、要約地図に適した簡略化経路データを生成する経路接続関係解析処理(ステップS1)と、ステップS1で構築された簡略化経路データから重要度の低い迂回路部分の接続関係を省略して、複数の迂回路を1つのリンクに統合する迂回路統合処理(ステップS2)と、接続関係を省略して更に簡略化された経路データに基いて、要約地図を生成する要約地図生成処理(ステップS3)と、要約地図上の各経路に交通情報を追加する交通情報追加処理(ステップS4)と、各経路に道路名称を追加する文字情報追加処理(ステップS5)と、交通情報と道路名称をもつ要約地図を表示部105に出力する表示処理(ステップS6)とからなる。
【0035】
ステップS1では、経路探索部112で生成された候補経路データから、複数の経路が互いに重複する区間、すなわち、経路の分岐点または合流点に接続された基本リンク列を抽出し、重複区間の基本リンク列を1つにまとめ、非重複区間の基本リンク列を1つにまとめて、区間毎に新たなリンク識別子を付与することによって、簡略化された経路データを生成する。簡略化経路データでは、候補経路間の分岐点または合流点をノードと定義することによって、元の経路データ50が示すリンク単位よりも距離的に拡張されたリンクでノード間を結合したデータ構造となる。
【0036】
例えば、経路探索部112で探索された候補経路R1、R2、R3が、図7に示す接続関係にあり、それぞれの経路データが、図8に示した基本リンク列からなる場合を想定する。ここで、ノードSは出発地、ノードGは目的地を示し、a01〜a20は、地図データで使用している元のリンク識別子(基本リンク識別子)を示している。
【0037】
経路R1は、最適経路であり、リンクa01〜a10から構成されている。経路R2、R3は、コスト的に最適経路R1よりも劣る経路であり、経路R2は、リンクa01、a02、a11〜a16、a09、a10から構成され、経路R3は、リンクa01、a02、a11、a12、a17〜a20、a09、a10から構成されている。
【0038】
経路データ間に矢印1で示すように、経路R1、R2、R3は、リンクa01とa02、リンクa09とa10との区間で重複し、経路R2とR3は、リンクa11とa12の区間で重複している。経路接続関係解析処理(ステップS1)では、R1、R2、R3の経路データから、これらの重複区間を抽出し、重複区間と非重複区間に新たなリンク識別子(拡張リンク識別子)L1〜L6を付与して、簡略化された経路データを生成する。
【0039】
図9は、経路接続関係解析処理(ステップS1)で生成した簡略化経路データに含まれるノード、リンクと、経路R1〜R3との関係を示し、図10は、経路R1〜R3の簡略化経路データの構造を示している。
ここで、矢印2は、経路間で重複するリンクを表し、符号N1〜N5は、簡略化経路データにおけるノードを表している。ノードN1は出発地S、ノードN4は目的地G、リンクL1の終点ノードN2は経路R1と他の2つの経路の分岐点、リンクL4の終点ノードN5は、経路R2とR3の分岐点、リンクL3の始点ノードN3は、経路R1、R2、R3が合流点となっている。
【0040】
尚、簡略化経路データでは、各経路は、図10で示した拡張リンク識別子の列(L1、L2、・・・)で定義されているが、各拡張リンク識別子は、図8に示したように、1個または複数の基本リンク識別子と対応付けられている。従って、拡張リンク識別子が指定されれば、基本リンク識別子が特定され、図5に示した道路形状データ51や名称データ52をアクセスできる。
【0041】
初期経路を選択するため表示される複数の候補経路を示す要約地図は、上記簡略化経路データを利用して生成できる。但し、ステップS1で生成した簡略化経路データにおいて、経路分岐点、合流点の個数が多いと、要約地図上での経路の接続関係が複雑になり、ユーザにとって、候補経路間の関係が判りづらいものとなる。そこで、本実施例では、ステップS2で、ステップS1で構築した簡略化経路データから、経路間の不要な接続関係を省略して、複数の迂回路を統合する。この経路接続関係の省略処理(迂回路統合処理)については、後で詳述することにし、ここでは、簡略化経路データに基づく要約地図の生成方法と、分岐点、合流点の個数が多い場合の問題点について説明する。
【0042】
図11(A)〜(D)は、簡略化経路データに基づいて、要約地図生成処理(ステップS3)で生成される要約地図の生成過程の1例を示す。ここでは、図10に示した経路R1〜R3の簡略化経路データを使用する。経路の優先順位は、R1、R2、R3の順であるとする。
【0043】
本実施例では、要約地図を等間隔のグリッド線上に描く。最初のステップS100では、出発地ノードN1(=S)を下側、目的地ノードN4(=G)を上側に配置し、ノードN1、N4を結ぶ直線上に、最優先経路R1のノードN2、N3を等間隔に配置して、リンクL1、L2、L3を配列する。
【0044】
次のステップS101では、ノードN2とN3を結ぶリンクL2の迂回路として、経路R2上のリンクL4、L5を配置し、リンクL4とL5を接続するノードN5を、ノードN2とN3の中間に発生した横方向のグリッド上に配置する。リンクL4を分岐ノードN2の左、右どちらに迂回させるかは、ノードN2におけるリンクL2とL4の実際の位置関係によって決定する。
【0045】
リンクL2とL4の位置関係は、図8に示したリンクL2を構成する最初の基本リンクa03に付随する道路形状データ51の座標点の列と、リンクL4を構成する最初の基本リンクa11に付随する道路形状データ51の座標点の列との比較によって判明する。従って、例えば、反時計回りの角度を正として、配置済みのリンクL2と新たなリンクL4との角度θを計算し、θ>0の場合は左折、θ<0の場合は右折と判断して、迂回方向を決定すればよい。
【0046】
更に次のステップS102では、ノードN5とN3を結ぶリンクL5の迂回路として、経路R3上のリンクL6を配置する。リンクL6を分岐ノードN5の左、右どちらに迂回させるかは、ノードN5におけるリンクL5とL6の実際の位置関係によって決定する。リンクL5の迂回路は、リンクL6のみからなり、途中にノードがないため、ノードN5の左側、またはノードN5とN3との間に新たに発生させた縦方向のグリッド線に沿って、リンクL6を配置することによって、ステップS102が完了する。もし、この迂回路が複数のリンクからなり、迂回路上に配置すべきノードがあれば、迂回路上に等間隔にノードを配置する。本実施例では、ステップS102を実行することによって、要約地図の全ての経路の配置が完了する。
【0047】
最後に、ステップS103で、全てのグリッド線が等間隔になるように、迂回路部分の縦軸と横軸を調整した後、画面サイズに合わせて、経路同士が重ならない範囲で、迂回路を横方向に圧縮する。図11では、最終的に、グリッド線の縦方向の間隔をdy、横方向の間隔をdxとしている。尚、最終的な要約地図には、経路の分岐点、合流点以外に、例えば、インターチェンジ等を示す他のノード表示を追加してもよい。
【0048】
図12は、経路R1〜R3の実際の道路形状に基づく地図(A)と、上述した要約地図生成処理(ステップS3)で生成された要約地図(B)を示す。
実際の道路形状に基づく地図表示では、例えば、図12(A)のN1とN2、N2とN5、N3とN4のように、ノード間が近接した箇所では、渋滞情報や道路名称等の表示スペースが不足するため、ユーザに対して、候補経路の説明情報を正しく伝えることが困難になる。これに対して、図12(B)のように候補経路間の接続関係を重視した要約地図表示にすると、ノード間に、渋滞情報表示や道路名称等の文字列の表示に十分なスペースが確保できるため、候補経路の説明情報をユーザに正しく伝えることが可能となる。
【0049】
図13は、上述した要約地図に基いて作成された経路概略図の表示画面の1例を示す。
表示画面に提示される経路概略図は、符号3で示すように、ステップS3で生成した要約地図上に、ステップS4で、混雑区間、渋滞区間などを表す交通情報を重畳し、ステップS5で、道路名称を示す文字情報を重畳した内容となっている。符号4は、候補経路毎の所要時間、走行距離、料金等を示すコスト情報表示領域である。
【0050】
図示した例では、交通情報として渋滞情報のみを表示しているが、例えば、交通規制、その他の事象をアイコン等で表示してもよい。また、渋滞区間と混雑区間の区別には、塗り潰しパターン、色分け表示など、各種の表示形態を適用できる。
【0051】
図13は、初期経路を選択するための表示画面において、複数の候補経路を概略図として表示しているが、ユーザが選択した初期経路に沿って経路誘導中に、迂回路の分岐点に差しかかった時、分岐点から先の経路の接続関係を図13のような経路概略図で表示することによって、ユーザに経路変更の機会を与えるようにしてもよい。
【0052】
次に、多数の分岐点と合流点をもった経路における迂回路統合処理について説明する。
図14の(A)は、経路R1〜R3の実際の道路形状に基づく地図の1例を示し、(B)は、迂回路統合前の経路R1〜R3の要約地図を示す。図14の経路図は、ノードN5−N6、ノードN7−N8、ノードN9−N10のように、2本の経路R2とR3が、分岐と合流を頻繁に繰り返すパターンとなっている。
【0053】
図15の(A)は、経路R1〜R3の実際の道路形状に基づく地図の他の例を示し、(B)は、迂回路統合前の経路R1〜R3の要約地図を示す。図15の経路図は、ノードN2−N3、ノードN4−N5、ノードN8−N9のように、出発地と目的地の付近で、分岐と合流を頻繁に繰り返すパターンとなっている。
【0054】
これらの経路パターンでは、図14(B)、図15(B)から判るように、候補経路を要約地図として表示した場合でも、経路の分岐と合流が繰り返されため、ユーザにとって見づらい表示内容となる。また、ノード間を等間隔にして表示した場合、出発地ノードと目的地ノードとの間の経路寸法が拡大されるため、画面サイズに合わせて要約地図の縦方向のグリッド寸法を縮小すると、渋滞情報や道路名称等の表示スペースが不足するという問題が発生する。
【0055】
図6に示した迂回路統合処理(S2)は、このように分岐点と合流点の個数が多い経路図において、ユーザによる径路選択には重要でない迂回路部分の接続関係を選択的に省略し、要約地図を更に簡単化するためのものである。
【0056】
図16は、迂回路統合処理(S2)で行われる処理手順の1例を示すフローチャートである。本実施例では、互いに代替関係にある比較的短距離のリンクを統合することによって、経路接続関係を簡単化する。
【0057】
迂回路統合処理(S2)では、プロセッサ101は、先ず、複数の候補経路のうちの1つを選択するためのパラメータiの値を初期値「1」に設定し(ステップS200)、経路Riの経路データが存在するか否かを判定する(S201)。経路Riの経路データが存在していなければ、全ての候補経路についての迂回路統合処理が終了したものと判断して、プロセッサ101は、このルーチンを終了する。
【0058】
出発地から目的地までの経路選択用の画面では、分岐した後で直ぐに合流するようなリンクは、代替経路として画面に表示する価値は低いと考えられる。そこで、経路Riの経路データが存在していた場合、プロセッサ101は、経路Riに含まれるノード数Nを閾値Thと比較する(S202)。ノード数Nには、経路Ri上の分岐点ノード、合流点ノードの他に、出発地ノードと目的地ノードが含まれる。ノード数Nが閾値Th以下であれば、プロセッサ101は、経路Riにおける接続関係の省略は不要と判断して、パラメータiの値をインクリメントし(S206)、ステップS201に戻る。
【0059】
ノード数Nが閾値Thを超えていた場合、プロセッサ101は、経路Riに他の経路と統合可能リンクが存在するか否かを判定し(S203)、統合可能リンクが存在していなければ、パラメータiの値をインクリメントし(S206)、ステップS201に戻る。ここで、統合可能リンクとは、始点ノード同士、終点ノード同士が互いに一致する1組のリンク(代替リンク)を意味している。
【0060】
図14に例示した経路図では、ノードN5とN6とを結ぶ2つのリンクL5とL11、ノードN7とN8を結ぶ2つのリンクL7とL12、ノードN9とN10を結ぶ2つのリンクL9とL13が、それぞれ統合可能リンクとなる。また、図15に例示した経路図では、ノードN2とN3を結ぶ3つのリンク、ノードN4とN5を結ぶ3つのリンク、ノードN8とN9を結ぶ3つのリンクが、それぞれ統合可能リンクとなる。
【0061】
経路Riに統合可能リンクが存在していた場合、プロセッサ101は、統合可能リンクのうち、所定の統合条件を満たす代替リンクを1つのリンクに統合する(S204)。例えば、リンクの統合条件として閾値距離Lminを指定しておき、代替リンクの中に、始点ノードから終点ノードまでの直線距離、またはリンク長が閾値距離よりも短いリンクがあれば、これら代替リンクを1つのリンクに統合する。但し、他の経路におけるリンク統合処理によって、既に統合済みの代替リンクは、統合対象から除外される。
【0062】
リンクの統合は、リンクの統合条件を満たす複数の統合可能リンクのうち、表示重要度が低い(統合優先度の高い)リンク群、換言すれば、リンク統合条件が示す閾値に対する余裕度の高いものから順に実施する。ノード数が閾値以下となった時、または経路Riで統合可能なリンクがなくなった時、プロセッサ101は、経路Riにおけるリンク統合処理(S204)を終了し、リンク統合によって連結され、拡張された区間に新たなリンク識別子を付与して(S205)、パラメータiの値をインクリメントして(S206)、ステップS201に戻る。
【0063】
リンク統合処理(S204)で扱う簡略化経路データは、図8で説明したように、地図データの基本リンク識別子の列(a01、a02、・・・)で定義された各候補経路を経路間の接続関係に基いて複数区間(重複区間と非重複区間)に分割し、各区間に付与した拡張リンク識別子の列(L1、L4、・・・)によって各経路Riを表したものとなっている。リンク統合処理(S204)では、リンク統合条件を満たす複数組の代替リンクが見つかった場合、統合優先度の高い代替リンク群から順にリンク統合する。ここでのリンク統合は、例えば、統合された各リンク(リンク識別子Li)に、統合マークを付与することを意味している。統合マークには、統合優先度を示す情報を含めるとよい。
【0064】
迂回リンクが統合されると、それまで迂回区間の前後に分かれていた経路重複区間が、統合区間を通して連続した経路重複区間に変化する。ステップS205では、このようにリンク統合によって一本化された経路重複区間に、新たなリンク識別子Lxを付与する。基本リンクの識別子a01、a02、・・・を第1レイヤの識別子、簡略化経路データが示す拡張リンク識別子L1、L2、・・・を第2レイヤの識別子とすると、ステップS205で付与されるリンク識別子Lx1、Lx2、・・・は、第3レイヤの識別子となる。
【0065】
図17(B)は、ノード閾値Tminの値を「5」に設定して、図14の経路図に迂回路統合処理(S2)を行った場合に得られる要約地図を示す。迂回路統合処理によって、図17(A)に符号40〜42で示した迂回路部分が、それぞれ1つのリンクに統合され、図17(B)に符号43で示すように、ノードN2とN3との間の迂回路L20で、経路R3のリンクを全て経路R2に統合した要約地図が得られる。もし、ノード閾値Tminの値を「4」に設定した場合、統合優先度が最も低いノードN5、N6間の2つのリンクL5、L11が、統合対象から除外される。従って、結果的に、迂回路L20に、図14(B)に示したノードN5、N6間の代替リンクを残した要約地図が得られる。
【0066】
図17(A)に示した経路R1、R2では、代替リンクの距離が短い順に、迂回路部分41、42、40の順で統合処理が実行され、リンクL7、L12に統合優先度「1」、リンクL9、L13に統合優先度「2」、リンクL5、L11に統合優先度「3」を示すマークが付される。
【0067】
図18(B)は、ノード閾値Tminの値を「5」に設定して、図15の経路図に迂回路統合処理(S2)を行った場合に得られる要約地図を示す。この場合、図18(A)に符号50〜52で示した迂回路部分が統合され、図18(B)に符号53、54で示すように、ノードN1とN6、ノードN7とN9の間で、経路R1〜R3のリンクを全て統合した要約地図が得られる。
【0068】
上述した実施例によれば、代替経路としての表示価値が低い迂回路部分で経路間の接続関係を省略することによって、要約地図を簡素化できるため、渋滞情報や道路名称等の表示スペースを確保でき、経路概略図で、ユーザに判りやすい経路情報を提供できる。但し、接続関係を部分的に省略したことによって、ユーザは、経路概略図の表示画面で、分岐点、合流点における候補経路の接続関係の全てを確認することができなくなっている。
【0069】
そこで、本発明の更に他の実施例として、表示画面を遷移させることによって、経路概略図(要約地図)では省略された経路部分の分岐、合流状態を容易に確認できるようにしたナビゲーション装置について説明する。
【0070】
図19(A)〜(D)は、図17(A)の経路と対応する経路概略図の表示画面の遷移を示している。表示画面に最初に提示される経路概略図は、図19(A)に示すように、迂回路リンクを統合した図17(B)の要約地図を示している。本実施例では、要約地図上の一部の領域を破線60で囲むことによって、そこにリンク統合で省略された迂回路が隠れていることをユーザを示している。
【0071】
要約地図上の各リンクが、リンク統合されたものか否かの判断は、それが第3レイヤのリンク識別子Lxをもつリンクか否かを判定すればよい。前述したように、図19(A)に示した要約地図では、リンクL20にのみ、第3レイヤのリンク識別子Lx1が付与されている。従って、破線領域60は、リンクL20を囲むように表示される。
【0072】
ユーザが、例えば、カーソル操作等によって破線領域60を選択すると、統合優先度の低い順(表示重要度の高い順)に、隠れ迂回路を再現した要約地図画面に遷移する。最初の遷移画面(B)では、破線領域60を拡大して、統合優先度が最も低いノードN5、N6と、その間の迂回路とを追加した要約地図が表示される。もし、この要約地図にも、リンク統合で省略された迂回路が隠れていれば、新たな破線領域61が表示される。この例では、図17(A)に符号41、42で示した区間に該当するリンク部分に破線領域61が表示される。尚、遷移画面では、再現された迂回路を示す要約地図の部分領域が拡大表示されるため、スクロール操作に応じて表示内容を移動可能にしておく。
【0073】
ユーザが、破線領域61を選択すると、表示画面が図(C)に遷移し、破線領域61を拡大して、統合優先度が次に低いノードN9、N10と、その間の迂回路とを追加し、新たな破線領域62を示す要約経路が表示される。この例では、図17(A)に符号42で示した区間に該当するリンク部分に破線領域62が表示される。ユーザが、更に破線領域62を選択すると、表示画面が図(D)に遷移し、破線領域612拡大して、統合優先度が最も高いノードN9、N10と、その間の迂回路とを追加した要約経路が表示される。
【0074】
上述した表示画面の遷移機能は、経路概略図生成部113にオプション機能として持たせることができる。例えば、図6に示した経路概略図生成部のフローチャートにおいて、画面表示処理(S6)の次に、表示遷移制御部を追加しておき、ユーザが表示画面上でカーソル操作によってリンク統合領域を選択した時、表示遷移制御部が、統合マークが付された1組の代替リンクを統合前の状態に戻した簡略化経路データを生成し、これを要約地図生成処理部S3に渡すようにすればよい。
【0075】
図20(A)〜(D)は、図18(A)の経路と対応する経路概略図の表示画面の遷移を示している。表示画面に最初に提示される経路概略図は、図20(A)のように、迂回路リンクを統合した図18(B)の要約地図を示している。本実施例の場合、リンクの統合箇所が、出発点ノード側と目的地ノード側に分かれているため、隠れ迂回路の位置を示す2つの破線領域70、71が表示される。
【0076】
ユーザが、マウス操作等によって破線領域70を選択すると、表示画面が図(B)に遷移し、破線領域70を拡大して、ノードN8、N9と、その間の迂回路とを追加した要約経路が表示される。図(A)の画面で、ユーザが、破線領域71を選択した場合、表示画面が図(C)に遷移し、破線領域71を拡大して、ノードN2、N3と、その間の迂回路とを追加し、新たな破線領域72を示した要約経路が表示される。ユーザが、破線領域72を選択すると、表示画面が図(D)に遷移し、破線領域612拡大して、ノードN4、N15と、その間の迂回路を追加した要約経路が表示される。
【0077】
図19、図20では、要約地図部分のみを示しているが、実際にユーザに提供される経路概略図は、図13で説明したように、これらの要約地図に交通情報や文字情報を重畳したものとなる。
【0078】
次に、上述した本発明の経路概略図をWebサービスでナビゲーション装置に提供する実施例について説明する。
図21は、図1に示したナビゲーション装置10からアクセスされる交通情報配信サーバ30を示す。本実施例の交通情報配信サーバ30は、高精度の渋滞予測機能を備えており、各ナビゲーション装置10からの要求に応答して、交通情報および経路概略図情報の提供サービスを行う。
【0079】
本実施例のナビゲーション装置10は、ユーザが入力部104から目的地を指定した時、経路案内制御部111が、現在位置取得部103で取得した現在地(出発地)の位置情報と、目的地と、経路探索条件と示す経路概略図要求メッセージを交通情報配信サーバ30に送信し、交通情報配信サーバ30から、出発地から目的地までの経路概略図情報を含む応答メッセージを受信する。尚、経路概略図要求メッセージにおいて、目的地は、ユーザが入力した目的地名称、または目的地名称から変換された位置情報(座標値)によって指定される。
【0080】
本実施例では、交通情報配信サーバ30から経路概略図を入手できるため、ナビゲーション装置10には、図1に示した経路概略図生成部113は不要となる。表示部105には、経路案内制御部111によって、交通情報配信サーバ30からの応答メッセージから抽出した経路概略図が表示される。交通情報配信サーバ30から受信した経路概略図を表示するために、経路案内制御部111から応答メッセージを受け取り、応答メッセージから経路概略図を抽出して表示部105に出力する経路概略図処理部をメモリ107に設けてもよい。
【0081】
交通情報配信サーバ30は、プロセッサ300と、地図データを格納する地図データ記憶部301と、交通管制システムから交通情報を受信して蓄積する交通情報記憶部302と、ネットワークNWに接続された回線インタフェース303と、メモリ304とからなる。メモリ304には、プロセッサ300が実行する本発明に関係するソフトウェアとして、要求応答部310と、交通情報探索部311と、交通情報を加味して経路探索を行う経路探索部312と、ナビゲーション装置10からの要求に応じて経路概略図を生成する経路概略図生成部313とが用意されている。
【0082】
ナビゲーション装置10から送信された要求メッセージは、要求応答部311によって受付けられる。要求応答部311は、受信メッセージが交通情報要求メッセージの場合は、交通情報探索部311を実行し、受信メッセージが経路概略図要求メッセージの場合は経路探索部312を実行する。
【0083】
経路探索部312が、経路概略図要求メッセージに従って、出発地から目的地に至る複数の候補経路を選択すると、経路概略図生成部313が、図6で説明した手順で、迂回路の一部が省略された経路概略図を生成する。経路概略図生成部313で生成された経路概略図と、交通情報探索部311で探索された交通情報は、要求応答部311で応答メッセージに編集され、それぞれ要求元のナビゲーション装置10に送信される。
【0084】
交通情報配信サーバ30側での経路概略図の生成には、経路探索部312で探索した候補経路の他に、ナビゲーション装置10側の経路探索部112で探索した候補経路も利用できるようにしてもよい。この場合、ナビゲーション装置10側で探索した経路情報は、経路概略図要求メッセージによって、交通情報配信サーバ30に通知する。
【0085】
ナビゲーション装置10側の地図データ記憶部102に記憶される道路データと、交通情報配信サーバ30側の地図データ記憶部301に記憶される道路データが、共通のリンクIDで管理されていた場合は、経路探索部112で探索した候補経路は、リンクID列形式で、交通情報配信サーバ30に通知できる。もし、道路データが異なるリンクIDで管理されていた場合、経路探索部112で探索した候補経路は、座標列形式で交通情報配信サーバ30に通知され、交通情報配信サーバ30側で、座標列マッチングによって、リンクの特定とリンク間の接続関係を判断することになる。
【0086】
図22は、PND(Personal Navigation Device)と呼ばれる簡易ナビゲーションシステムに経路概略図を配信サービスする場合に適した交通情報配信サーバ30の構成例を示す。
本実施例の交通情報配信サーバ30は、図示したように、図20で説明した構成要素の他に、経路探索条件設定部314と経路探索条件315(315−1〜315−n)を備えた構成となっている。
【0087】
本実施例に適用されるナビゲーション装置10は、図1に示した構成から、地図データ記憶部102、経路探索部112、経路概略図生成部113、経路探索条件設定部114を省略し、メモリ107に、入力受付制御部110と、経路案内制御部111とを備えた構成となる。
【0088】
経路案内制御部111は、ユーザが入力部104から目的地を指定した時、現在位置取得部103で取得した現在地(出発地)の位置情報と、目的地とを示す経路概略図要求メッセージを交通情報配信サーバ30に送信し、交通情報配信サーバ30から、出発地から目的地までの経路概略図情報を含む応答メッセージを受信する。
【0089】
交通情報配信サーバ30から受信した経路概略図は、経路案内制御部111によって、表示部105に出力される。但し、図21で説明したように、経路案内制御部111から応答メッセージを受け取り、応答メッセージから経路概略図を抽出して表示部105に出力する経路概略図処理部をメモリ107に設けてもよい。
【0090】
交通情報配信サーバ30は、ナビゲーション装置10から受信した経路概略図要求メッセージから出発地の位置情報と目的地を抽出し、目的地を位置情報に変換した後、経路探索部312で、出発地から目的地までの複数の候補経路を探索する。この場合、経路探索条件としては、例えば、時間優先をデフォルト条件として指定しておく。経路概略図生成部313は、経路探索部312で探索された候補経路に基いて、図6と同様の手順で、経路概略図を生成する。生成された経路概略図は、要求応答部311で応答メッセージに編集され、要求元のナビゲーション装置10に送信される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明を適用したナビゲーションシステムの1実施例を示す図。
【図2】地図データ記憶部102に格納されるナビケーション用の地図データベース40の構成例を示す図。
【図3】地図データ記憶部102に格納される地図データの階層構造を示す図。
【図4】道路データ401の基本的な構成の1例を示した図。
【図5】経路探索部112で探索した候補経路のデータ構造の1例を示す図。
【図6】経路概略図生成部113の機能を示すフローチャート。
【図7】経路探索部112で探索された候補経路R1、R2、R3の1例を示す図。
【図8】図7に示した候補経路R1、R2、R3のリンク列を示す図。
【図9】経路接続関係解析処理(ステップS1)で生成した簡略化経路データに含まれるノード、リンクと経路R1〜R3との関係を示す図。
【図10】図9に示した経路R1〜R3の簡略化経路データの構造を示す図。
【図11】簡略化経路データに基づいて、要約地図生成処理(ステップS3)で生成される要約地図の生成過程の1例を示す図。
【図12】経路R1〜R3の実際の道路形状に基づく地図(A)と、上述した要約地図生成処理(ステップS3)で生成された要約地図(B)を示す図。
【図13】要約地図に基いて作成された経路概略図の表示画面の1例を示す図。
【図14】実際の道路形状に基づく経路地図の他の例(A)と、接続関係を省略する前の要約地図(B)を示す図。
【図15】実際の道路形状に基づく経路地図の更に他の例(A)と、接続関係を省略する前の要約地図(B)を示す図。
【図16】迂回路統合処理(S2)による経路接続関係の省略手順の1例を示すフローチャート。
【図17】図14(A)に示した経路に迂回路統合処理(S2)を行った場合の経路接続関係の省略箇所(A)と、得られた要約地図(B)を示す図。
【図18】図15(A)に示した経路に迂回路統合処理(S2)を行った場合の経路接続関係の省略箇所(A)と、得られた要約地図(B)を示す図。
【図19】図17(B)の経路概略図から省略箇所を再現する場合の表示画面の遷移を示す図。
【図20】図18(B)の経路概略図から省略箇所を再現する場合の表示画面の遷移を示す図。
【図21】経路概略図情報の提供サービス機能を備えた交通情報配信サーバ30の1実施例を示す図。
【図22】経路概略図情報の提供サービス機能を備えた交通情報配信サーバ30の他の実施例を示す図。
【符号の説明】
【0092】
10:ナビゲーション装置、20:基地局、30:交通情報配信サーバ、40:地図データベース、50:経路データ、51:道路形状データ、52:名称データ、
100:制御部、101:プロセッサ、102:地図データ記憶部、103:現在位置取得部、104:入力部、105:表示部、106:通信部、107:メモリ、110:入力受付制御部、111:経路案内制御部、112:経路探索部、113:経路概略図生成部、114:経路探索条件設定部、115:経路探索条件、
300:プロセッサ、301:地図データ記憶部、302:交通情報蓄積部、303:回線インタフェース、304:メモリ、310:要求応答部、311:交通情報探索部、312:経路探索部、313:経路概略図生成部、314:経路探索条件設定部、
S1:経路接続関係解析処理、S2:迂回路統合処理、S3:要約地図生成処理、S4:交通情報追加処理、S5:名称情報追加処理、S6:表示処理。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション技術に関し、更に詳しくは、現在地またはユーザが指定した地点を出発地として、目的地に至る複数の経路を探索し、これらの経路をユーザに判り易い地図形態で提示するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムおよび経路表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、ユーザが設定した目的までの複数の経路を探索し、これらの経路の全体図を候補経路として表示し、そのうちの1つをユーザに初期経路として選択させる候補経路表示機能を備えている。また、ユーザが選択した初期経路に従って経路誘導中に、走行中の道路状況に応じて異なる探索条件で迂回路を探索し、探索された複数の迂回路を表示する機能を備えたナビゲーション装置が知られている。
【0003】
例えば、特開2003−214879号公報(特許文献1)には、探索された複数の候補経路を地図画面上に表示すると共に、それぞれの経路と対応付けて、予測される所要時間、走行距離、料金等の文字情報を表示するナビゲーション装置が開示されている。また、特開2004−347420号公報(特許文献2)には、探索された複数の候補経路を要約地図にして画面に提示するナビゲーション装置が開示されている。特許文献2は、探索された複数の候補経路について、道路形状の直線化や直交化等のデフォルメ処理を施すことによって、ユーザに見易い要約地図に変換する方法を提案している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−214879号公報
【特許文献2】特開2004−347420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然るに、特許文献1に開示されたナビゲーション装置では、探索された複数の候補経路を原形状のまま画面に表示しているため、経路間の区別や、道路の分岐点、合流点が判別し難いという問題がある。一方、特許文献2に開示されたナビゲーション装置では、複数の候補経路が要約地図として画面に提示されるため、ユーザにとっては、複数の経路を分別し易くなっている。しかしながら、特許文献2では、要約地図上で、経路の構成要素となるリンク間の接続関係に矛盾が発生しないように、複数の経路をそれぞれの道路形状に基いて徐々に変形しているため、デフォルメ処理に時間がかかるという問題がある。
【0006】
一方、探索された複数の経路の接続関係のみに着目し、分岐点、合流点を含むノードと、ノード間を接続するリンクを等間隔のグリッド上に配置する方法が考えられる。この方法によれば、複数の経路の形状を基に変形する方法に比べて、格段に少ない計算時間とメモリ消費量で要約地図を生成することができる。しかしながら、分岐点や合流点の数が多い場合、接続関係が複雑になるため、要約地図がユーザに判り易いものになるとは限らない。
【0007】
本発明の目的は、探索された複数の経路の接続関係が複雑な場合でも、ユーザに判り易い要約地図を迅速に画面表示できるナビゲーション装置、ナビゲーションシステムおよび経路表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、地図データから探索された複数の経路を示す経路データから、複数経路の分岐点と合流点をノードとして、これらのノードによって分割された経路区間を新たなリンクとする経路データを生成し、所定のリンク統合条件に従って、特定の迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合することによって、上記経路データを更に簡略化し、簡略化された経路データに基いて、最適経路を直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点と結合した形態の要約地図を生成し、この要約地図上に交通状態情報と道路名称を含む文字情報とを追加したものを経路概略図として、ナビケーション画面に表示することを特徴とする。
【0009】
元の経路データでは、道路交差点や分岐点をノードとして、経路に沿って多数のリンクが定義されている。本発明では、経路概略図に表示すべき複数経路間の接続関係に基いて、ノードとリンクが再定義されているため、各経路が、元の経路データが示す複数のリンクを包含した距離的に拡張されたリンクで定義される。また、リンク統合条件を満たす迂回路区間で複数のリンクを統合することによって、各経路が更に簡略された経路データで定義される。
【0010】
本発明の1実施例では、ユーザ操作に応答して、表示画面では隠れているリンク統合区間の迂回路を選択的に再生した経路概略図を表示できるようにしている。リンク統合による経路の簡略化は、リンク統合条件を満たす迂回路区間のうち、表示重要度の低い迂回路区間から順に実行され、逆に、リンク統合区間の再生は、表示重要度の高い迂回路区間から順に実行される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、探索された複数の経路間の接続関係に従って、各経路のリンク列を再定義し、簡略化された経路データを基いて、最適経路は直線で表示し、残りの経路は折れ線で表示しているため、要約地図の生成が容易であり、実際には複雑な形状をもつ複数の経路を単純化された経路概略図として、表示画面に迅速に提供できる。また、経路選択時には重要度が低い迂回路部分の複数のリンクを1つのリンクに統合することによって、要約地図が簡略化されているため、要約地図上での渋滞情報や道路名称などの経路説明情報の表示が容易であり、ユーザに候補経路の概要を容易に把握させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明を適用したナビゲーションシステムの1実施例を示す。
ナビゲーションシステムは、自動車に搭載されるナビゲーション装置10と、通信ネットワークNWに接続された交通情報配信サーバ30とからなる。通信ネットワークNWには、複数の無線基地局20が接続してあり、ナビゲーション装置10は、無線基地局20を介して、通信ネットワークNWに接続され、交通情報配信サーバ30から後述する渋滞情報などの交通情報を取得する。
【0013】
ナビゲーション装置10は、装置全体の制御を行う制御部100と、地図データを格納する地図データ記憶部102と、GPSセンサ等により自車の位置情報を取得する現在位置取得部103と、ユーザからの入力を受け付ける入力部104と、ユーザの操作画面や地図を表示する表示部105と、無線基地局20、通信ネットワークNW20を介して交通情報配信サーバ30と通信するための無線通信部106とからなる。図1では省略されているが、ナビゲーション装置10は、画面表示部105へ情報提示に連動させて、ユーザに音声でガイダンス情報を与える音声出力部を備えるようにしてもよい。
【0014】
制御部100は、プロセッサ101と、メモリ107とからなる。
メモリ107には、プロセッサ101が実行する本発明に関係するプログラムソフトとして、ユーザ操作によって入力部104から入力される目的地等の入力情報を受け付ける入力受付制御部110と、出発地設定、目的地設定、初期経路選択、経路誘導など、ナビゲーション装置の状態に応じて、表示部105の表示内容と経路案内を制御する経路案内制御部111と、ユーザが目的地を設定した時、地図データ記憶部102を参照して、出発地(あるいは現在位置)から目的地に至る複数の候補経路を探索する経路探索部112と、探索された複数の候補経路から、初期経路選択用の経路概略図を生成して、表示部105に出力する経路概略図生成部113と、経路探索部112で使用すべき複数の経路探索条件115(115−1〜115−n)を設定するための経路探索条件設定部114とが用意されている。
【0015】
地図データ記憶部102は、比較的大容量の記録媒体をもつハードディスクドライブやDVD(Digital Versatile Disk)ドライブによって構成される。入力部104は、例えば、タッチパネルや操作ボタンからなり、表示部105は、液晶ディスプレイ等の表示画面とスピーカ等の音声出力装置とからなっている。メモリ107は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)からなり、プログラム110〜104は、ROMに格納され、経路探索条件115や地図データ記憶部102から読み出された地図データは、RAMに格納される。
【0016】
ここでは、ネットワークNWを介して交通情報配信サーバ30から交通情報を受信するナビゲーション装置10を示しているが、本発明は、例えば、ネットワークNWを介してWeb(World Wide Web)サーバをアクセスし、各種のWebサービスを享受する機能を備えた通信型のカーナビゲーション装置にも適用できる。
【0017】
図2は、地図データ記憶部102に格納されるナビケーション用の地図データベース40の構成例を示す。
地図データベース40は、地図表示用データ41と、経路計算用データ42と、リンク対応データ43とからなる。地図表示用データ41は、表示画面に表示される地図を定義するためのデータであり、道路データ401と、背景データ402と、文字データ403とからなっている。
【0018】
道路データ401は、図4で詳述するように、端点あるいは分岐点となる複数のノードと、隣接する2つのノード間を接続するリンクとの組合せによって、各道路を記述している。道路の形状は、各リンク内の要所に位置した形状補間点の座標によって表される。
【0019】
背景データ402は、鉄道、河川、建造物など、道路地図の背景となるデータを含み、文字データ403は、地名、道路名、交差点名など、地図上に表示される注記文字列を含む。
【0020】
経路計算用データ42は、ノードとリンクとの組合せによって経路(ノードネットワーク)を記述し、ノード間、リンク間のコスト(所要時間や料金)を表現できるようになっている。また、リンク対応データ43は、各リンクと他のデータブロック、例えば、交通情報配信サーバ30から取得した渋滞情報を示すデータブロックとを対応付けるためものである。
【0021】
各道路を定義するノードとリンクには、それぞれノードID(識別子)とリンクIDが割当てられている。各リンクは、リンクIDによって、例えば、渋滞情報データブロック、道路形状データブロック、名称データブロックなど、他のデータブロックと対応付けられる。
【0022】
カーナビケーション用の地図データには、経路誘導時に出力する看板や走行レーンなどを示す経路誘導用データや、POI検索や住所検索に利用される案内検索用データなどが含まれているが、これらのデータは、本発明には関係しないため、詳細説明は省略する。
【0023】
図3は、地図データ記憶部102に格納される地図データの階層構造を示す。
カーナビケーション装置では、縮尺に応じて地図データを管理するために、図2に示した地図表示用データ41や経路計算用データ42を何段階かの縮尺レベルに分けて管理している。また、各レベルの地図データは、地図領域を緯度と経度に沿って複数のメッシュに分割し、メッシュ毎に管理されている。
【0024】
図3は、最も詳細な地図を示すレベルL(i)を最下位レベルとして、レベルL(i)と上位レベルL(i+1)、L(i+2)のメッシュとの関係を示している。斜線で示すように、レベルL(i)の地図データは、上位レベルL(i+1)の1つのメッシュの拡大地図を示し、レベルL(i+2)の1つのメッシュは、下位レベルL(i+1)の複数のメッシュ(図2では、16メッシュ)を統合した縮尺地図を示している。
【0025】
経路計算用データ42は、上述したレベル間を対応付けるためのデータを含んでいる。また、交通情報配信サーバ30から各ナビゲーション装置に配信されるデータ、例えば、渋滞領域を示すデータは、上述した複数レベルのうちの少なくとも1つのレベルと対応付けられている。
【0026】
本発明の経路探索部112は、地図データ記憶部(地図データベース)102から、経路探索条件115に従って、現在地から目的地に至る複数の経路を探索し、交通情報配信サーバ30から、これらの経路における交通情報を取得する。探索結果を示す経路データは、交通情報配信サーバ30からの配信データと対応付けができるように、レベルを変換して出力される。
【0027】
図4は、道路データ401の基本的な構成の1例を示した図である。
道路データは、分岐点、交差点等の特徴点を示すノードn(n1〜n4)と、ノード間を接続する道路区間を示すリンクa(a1〜a5)とからなる。道路データには、ノード間の道路形状を表現するために、リンクの途中に形状補間点と呼ばれる点が設定される。図4において、破線矢印で示される区間a1〜a5がリンクであり、黒丸p1〜p10が形状補間点を表している。
【0028】
ナビケーション装置10の経路探索部112で使用する経路探索条件115には、例えば、所要時間優先、あるいは距離優先のように、重要視すべきパラメータを異にした複数の探索条件が用意されている。所要時間優先の経路探索条件では、所要時間計算に適用する交通情報として、内部メモリに予め蓄積しておいた統計交通情報と、交通情報配信サーバ30から動的に受信したリアルタイムの交通情報との何れかを選択できるようになっている。
【0029】
経路探索部112は、ユーザによって指定された経路探索条件115に従って、図4に示した各リンクのコストを計算し、例えば、ダイクストラ法のような経路探索法に基づいて、始点ノード(現在地)から終点ノード(目的地)に至るリンクコストが最小となる経路を最適経路として探索し、リンクコスト順に、選択した幾つかの経路を候補経路とする。ここで探索された候補経路は、それぞれ、図4に示したリンクの列として表現される。
【0030】
図5は、経路探索部112で探索した候補経路のデータ構造の1例を示す。
(A)は、1例として、所要時間優先の経路探索条件で探索された経路データ50のデータ構造を示し、(B)と(C)は、経路データ50に含まれる各リンクの道路形状データ51と名称データ52のデータ構造を示している。
【0031】
経路データ50は、候補経路と対応する複数のデータブロックからなり、各データブロックは、その経路を利用した場合の目的地への到着予想時刻(あるいは所要時間)501と、経路を構成する複数(n本)のリンクをリンクID:502−iとリンク長503−i(i=1〜n)との対で表している。
【0032】
道路路形状データ51は、経路データ50が示すリンクID502と対応して生成されたデータブロックであり、例えば、リンクID511と、始終点の位置512と、リンク通過の所要時間513と、渋滞度514と、そのリンクの始点ノードのID515と、終点ノードのID516と、リンク形状を特定する座標点の数(n)517と、n個の座標点518(X座標518X−i、Y座標518Y−i、i=1〜n)とを含む。始終点の位置512は、現在位置や目的地が当該リンクの途中にある場合に、その位置を表現する座標値を示している。また、所要時間513と渋滞度514の値は、交通情報配信サーバ30から配信された交通情報データから抽出される。
【0033】
名称データ52も、経路データ50が示すリンクID502と対応して生成されたデータブロックであり、例えば、リンクID521と、そのリンク内に存在する交差点名称の個数(k)522と、交差点名称523(523−1〜523−k)と、そのリンクがもつ道路名称の個数(m)524と、個々の道路名称525(525−1〜525−m)とを示す。1つのリンクが、国道y号線の一部であり、且つ、xx街道の一部となっていた場合は、名称データ52は、2つの道路名称525をもつことになる。
【0034】
図6は、経路概略図生成部113の機能を示すフローチャートである。
経路概略図生成処理113は、経路探索部112で生成された複数の候補経路データ50に基いて、候補経路間の接続関係を解析し、要約地図に適した簡略化経路データを生成する経路接続関係解析処理(ステップS1)と、ステップS1で構築された簡略化経路データから重要度の低い迂回路部分の接続関係を省略して、複数の迂回路を1つのリンクに統合する迂回路統合処理(ステップS2)と、接続関係を省略して更に簡略化された経路データに基いて、要約地図を生成する要約地図生成処理(ステップS3)と、要約地図上の各経路に交通情報を追加する交通情報追加処理(ステップS4)と、各経路に道路名称を追加する文字情報追加処理(ステップS5)と、交通情報と道路名称をもつ要約地図を表示部105に出力する表示処理(ステップS6)とからなる。
【0035】
ステップS1では、経路探索部112で生成された候補経路データから、複数の経路が互いに重複する区間、すなわち、経路の分岐点または合流点に接続された基本リンク列を抽出し、重複区間の基本リンク列を1つにまとめ、非重複区間の基本リンク列を1つにまとめて、区間毎に新たなリンク識別子を付与することによって、簡略化された経路データを生成する。簡略化経路データでは、候補経路間の分岐点または合流点をノードと定義することによって、元の経路データ50が示すリンク単位よりも距離的に拡張されたリンクでノード間を結合したデータ構造となる。
【0036】
例えば、経路探索部112で探索された候補経路R1、R2、R3が、図7に示す接続関係にあり、それぞれの経路データが、図8に示した基本リンク列からなる場合を想定する。ここで、ノードSは出発地、ノードGは目的地を示し、a01〜a20は、地図データで使用している元のリンク識別子(基本リンク識別子)を示している。
【0037】
経路R1は、最適経路であり、リンクa01〜a10から構成されている。経路R2、R3は、コスト的に最適経路R1よりも劣る経路であり、経路R2は、リンクa01、a02、a11〜a16、a09、a10から構成され、経路R3は、リンクa01、a02、a11、a12、a17〜a20、a09、a10から構成されている。
【0038】
経路データ間に矢印1で示すように、経路R1、R2、R3は、リンクa01とa02、リンクa09とa10との区間で重複し、経路R2とR3は、リンクa11とa12の区間で重複している。経路接続関係解析処理(ステップS1)では、R1、R2、R3の経路データから、これらの重複区間を抽出し、重複区間と非重複区間に新たなリンク識別子(拡張リンク識別子)L1〜L6を付与して、簡略化された経路データを生成する。
【0039】
図9は、経路接続関係解析処理(ステップS1)で生成した簡略化経路データに含まれるノード、リンクと、経路R1〜R3との関係を示し、図10は、経路R1〜R3の簡略化経路データの構造を示している。
ここで、矢印2は、経路間で重複するリンクを表し、符号N1〜N5は、簡略化経路データにおけるノードを表している。ノードN1は出発地S、ノードN4は目的地G、リンクL1の終点ノードN2は経路R1と他の2つの経路の分岐点、リンクL4の終点ノードN5は、経路R2とR3の分岐点、リンクL3の始点ノードN3は、経路R1、R2、R3が合流点となっている。
【0040】
尚、簡略化経路データでは、各経路は、図10で示した拡張リンク識別子の列(L1、L2、・・・)で定義されているが、各拡張リンク識別子は、図8に示したように、1個または複数の基本リンク識別子と対応付けられている。従って、拡張リンク識別子が指定されれば、基本リンク識別子が特定され、図5に示した道路形状データ51や名称データ52をアクセスできる。
【0041】
初期経路を選択するため表示される複数の候補経路を示す要約地図は、上記簡略化経路データを利用して生成できる。但し、ステップS1で生成した簡略化経路データにおいて、経路分岐点、合流点の個数が多いと、要約地図上での経路の接続関係が複雑になり、ユーザにとって、候補経路間の関係が判りづらいものとなる。そこで、本実施例では、ステップS2で、ステップS1で構築した簡略化経路データから、経路間の不要な接続関係を省略して、複数の迂回路を統合する。この経路接続関係の省略処理(迂回路統合処理)については、後で詳述することにし、ここでは、簡略化経路データに基づく要約地図の生成方法と、分岐点、合流点の個数が多い場合の問題点について説明する。
【0042】
図11(A)〜(D)は、簡略化経路データに基づいて、要約地図生成処理(ステップS3)で生成される要約地図の生成過程の1例を示す。ここでは、図10に示した経路R1〜R3の簡略化経路データを使用する。経路の優先順位は、R1、R2、R3の順であるとする。
【0043】
本実施例では、要約地図を等間隔のグリッド線上に描く。最初のステップS100では、出発地ノードN1(=S)を下側、目的地ノードN4(=G)を上側に配置し、ノードN1、N4を結ぶ直線上に、最優先経路R1のノードN2、N3を等間隔に配置して、リンクL1、L2、L3を配列する。
【0044】
次のステップS101では、ノードN2とN3を結ぶリンクL2の迂回路として、経路R2上のリンクL4、L5を配置し、リンクL4とL5を接続するノードN5を、ノードN2とN3の中間に発生した横方向のグリッド上に配置する。リンクL4を分岐ノードN2の左、右どちらに迂回させるかは、ノードN2におけるリンクL2とL4の実際の位置関係によって決定する。
【0045】
リンクL2とL4の位置関係は、図8に示したリンクL2を構成する最初の基本リンクa03に付随する道路形状データ51の座標点の列と、リンクL4を構成する最初の基本リンクa11に付随する道路形状データ51の座標点の列との比較によって判明する。従って、例えば、反時計回りの角度を正として、配置済みのリンクL2と新たなリンクL4との角度θを計算し、θ>0の場合は左折、θ<0の場合は右折と判断して、迂回方向を決定すればよい。
【0046】
更に次のステップS102では、ノードN5とN3を結ぶリンクL5の迂回路として、経路R3上のリンクL6を配置する。リンクL6を分岐ノードN5の左、右どちらに迂回させるかは、ノードN5におけるリンクL5とL6の実際の位置関係によって決定する。リンクL5の迂回路は、リンクL6のみからなり、途中にノードがないため、ノードN5の左側、またはノードN5とN3との間に新たに発生させた縦方向のグリッド線に沿って、リンクL6を配置することによって、ステップS102が完了する。もし、この迂回路が複数のリンクからなり、迂回路上に配置すべきノードがあれば、迂回路上に等間隔にノードを配置する。本実施例では、ステップS102を実行することによって、要約地図の全ての経路の配置が完了する。
【0047】
最後に、ステップS103で、全てのグリッド線が等間隔になるように、迂回路部分の縦軸と横軸を調整した後、画面サイズに合わせて、経路同士が重ならない範囲で、迂回路を横方向に圧縮する。図11では、最終的に、グリッド線の縦方向の間隔をdy、横方向の間隔をdxとしている。尚、最終的な要約地図には、経路の分岐点、合流点以外に、例えば、インターチェンジ等を示す他のノード表示を追加してもよい。
【0048】
図12は、経路R1〜R3の実際の道路形状に基づく地図(A)と、上述した要約地図生成処理(ステップS3)で生成された要約地図(B)を示す。
実際の道路形状に基づく地図表示では、例えば、図12(A)のN1とN2、N2とN5、N3とN4のように、ノード間が近接した箇所では、渋滞情報や道路名称等の表示スペースが不足するため、ユーザに対して、候補経路の説明情報を正しく伝えることが困難になる。これに対して、図12(B)のように候補経路間の接続関係を重視した要約地図表示にすると、ノード間に、渋滞情報表示や道路名称等の文字列の表示に十分なスペースが確保できるため、候補経路の説明情報をユーザに正しく伝えることが可能となる。
【0049】
図13は、上述した要約地図に基いて作成された経路概略図の表示画面の1例を示す。
表示画面に提示される経路概略図は、符号3で示すように、ステップS3で生成した要約地図上に、ステップS4で、混雑区間、渋滞区間などを表す交通情報を重畳し、ステップS5で、道路名称を示す文字情報を重畳した内容となっている。符号4は、候補経路毎の所要時間、走行距離、料金等を示すコスト情報表示領域である。
【0050】
図示した例では、交通情報として渋滞情報のみを表示しているが、例えば、交通規制、その他の事象をアイコン等で表示してもよい。また、渋滞区間と混雑区間の区別には、塗り潰しパターン、色分け表示など、各種の表示形態を適用できる。
【0051】
図13は、初期経路を選択するための表示画面において、複数の候補経路を概略図として表示しているが、ユーザが選択した初期経路に沿って経路誘導中に、迂回路の分岐点に差しかかった時、分岐点から先の経路の接続関係を図13のような経路概略図で表示することによって、ユーザに経路変更の機会を与えるようにしてもよい。
【0052】
次に、多数の分岐点と合流点をもった経路における迂回路統合処理について説明する。
図14の(A)は、経路R1〜R3の実際の道路形状に基づく地図の1例を示し、(B)は、迂回路統合前の経路R1〜R3の要約地図を示す。図14の経路図は、ノードN5−N6、ノードN7−N8、ノードN9−N10のように、2本の経路R2とR3が、分岐と合流を頻繁に繰り返すパターンとなっている。
【0053】
図15の(A)は、経路R1〜R3の実際の道路形状に基づく地図の他の例を示し、(B)は、迂回路統合前の経路R1〜R3の要約地図を示す。図15の経路図は、ノードN2−N3、ノードN4−N5、ノードN8−N9のように、出発地と目的地の付近で、分岐と合流を頻繁に繰り返すパターンとなっている。
【0054】
これらの経路パターンでは、図14(B)、図15(B)から判るように、候補経路を要約地図として表示した場合でも、経路の分岐と合流が繰り返されため、ユーザにとって見づらい表示内容となる。また、ノード間を等間隔にして表示した場合、出発地ノードと目的地ノードとの間の経路寸法が拡大されるため、画面サイズに合わせて要約地図の縦方向のグリッド寸法を縮小すると、渋滞情報や道路名称等の表示スペースが不足するという問題が発生する。
【0055】
図6に示した迂回路統合処理(S2)は、このように分岐点と合流点の個数が多い経路図において、ユーザによる径路選択には重要でない迂回路部分の接続関係を選択的に省略し、要約地図を更に簡単化するためのものである。
【0056】
図16は、迂回路統合処理(S2)で行われる処理手順の1例を示すフローチャートである。本実施例では、互いに代替関係にある比較的短距離のリンクを統合することによって、経路接続関係を簡単化する。
【0057】
迂回路統合処理(S2)では、プロセッサ101は、先ず、複数の候補経路のうちの1つを選択するためのパラメータiの値を初期値「1」に設定し(ステップS200)、経路Riの経路データが存在するか否かを判定する(S201)。経路Riの経路データが存在していなければ、全ての候補経路についての迂回路統合処理が終了したものと判断して、プロセッサ101は、このルーチンを終了する。
【0058】
出発地から目的地までの経路選択用の画面では、分岐した後で直ぐに合流するようなリンクは、代替経路として画面に表示する価値は低いと考えられる。そこで、経路Riの経路データが存在していた場合、プロセッサ101は、経路Riに含まれるノード数Nを閾値Thと比較する(S202)。ノード数Nには、経路Ri上の分岐点ノード、合流点ノードの他に、出発地ノードと目的地ノードが含まれる。ノード数Nが閾値Th以下であれば、プロセッサ101は、経路Riにおける接続関係の省略は不要と判断して、パラメータiの値をインクリメントし(S206)、ステップS201に戻る。
【0059】
ノード数Nが閾値Thを超えていた場合、プロセッサ101は、経路Riに他の経路と統合可能リンクが存在するか否かを判定し(S203)、統合可能リンクが存在していなければ、パラメータiの値をインクリメントし(S206)、ステップS201に戻る。ここで、統合可能リンクとは、始点ノード同士、終点ノード同士が互いに一致する1組のリンク(代替リンク)を意味している。
【0060】
図14に例示した経路図では、ノードN5とN6とを結ぶ2つのリンクL5とL11、ノードN7とN8を結ぶ2つのリンクL7とL12、ノードN9とN10を結ぶ2つのリンクL9とL13が、それぞれ統合可能リンクとなる。また、図15に例示した経路図では、ノードN2とN3を結ぶ3つのリンク、ノードN4とN5を結ぶ3つのリンク、ノードN8とN9を結ぶ3つのリンクが、それぞれ統合可能リンクとなる。
【0061】
経路Riに統合可能リンクが存在していた場合、プロセッサ101は、統合可能リンクのうち、所定の統合条件を満たす代替リンクを1つのリンクに統合する(S204)。例えば、リンクの統合条件として閾値距離Lminを指定しておき、代替リンクの中に、始点ノードから終点ノードまでの直線距離、またはリンク長が閾値距離よりも短いリンクがあれば、これら代替リンクを1つのリンクに統合する。但し、他の経路におけるリンク統合処理によって、既に統合済みの代替リンクは、統合対象から除外される。
【0062】
リンクの統合は、リンクの統合条件を満たす複数の統合可能リンクのうち、表示重要度が低い(統合優先度の高い)リンク群、換言すれば、リンク統合条件が示す閾値に対する余裕度の高いものから順に実施する。ノード数が閾値以下となった時、または経路Riで統合可能なリンクがなくなった時、プロセッサ101は、経路Riにおけるリンク統合処理(S204)を終了し、リンク統合によって連結され、拡張された区間に新たなリンク識別子を付与して(S205)、パラメータiの値をインクリメントして(S206)、ステップS201に戻る。
【0063】
リンク統合処理(S204)で扱う簡略化経路データは、図8で説明したように、地図データの基本リンク識別子の列(a01、a02、・・・)で定義された各候補経路を経路間の接続関係に基いて複数区間(重複区間と非重複区間)に分割し、各区間に付与した拡張リンク識別子の列(L1、L4、・・・)によって各経路Riを表したものとなっている。リンク統合処理(S204)では、リンク統合条件を満たす複数組の代替リンクが見つかった場合、統合優先度の高い代替リンク群から順にリンク統合する。ここでのリンク統合は、例えば、統合された各リンク(リンク識別子Li)に、統合マークを付与することを意味している。統合マークには、統合優先度を示す情報を含めるとよい。
【0064】
迂回リンクが統合されると、それまで迂回区間の前後に分かれていた経路重複区間が、統合区間を通して連続した経路重複区間に変化する。ステップS205では、このようにリンク統合によって一本化された経路重複区間に、新たなリンク識別子Lxを付与する。基本リンクの識別子a01、a02、・・・を第1レイヤの識別子、簡略化経路データが示す拡張リンク識別子L1、L2、・・・を第2レイヤの識別子とすると、ステップS205で付与されるリンク識別子Lx1、Lx2、・・・は、第3レイヤの識別子となる。
【0065】
図17(B)は、ノード閾値Tminの値を「5」に設定して、図14の経路図に迂回路統合処理(S2)を行った場合に得られる要約地図を示す。迂回路統合処理によって、図17(A)に符号40〜42で示した迂回路部分が、それぞれ1つのリンクに統合され、図17(B)に符号43で示すように、ノードN2とN3との間の迂回路L20で、経路R3のリンクを全て経路R2に統合した要約地図が得られる。もし、ノード閾値Tminの値を「4」に設定した場合、統合優先度が最も低いノードN5、N6間の2つのリンクL5、L11が、統合対象から除外される。従って、結果的に、迂回路L20に、図14(B)に示したノードN5、N6間の代替リンクを残した要約地図が得られる。
【0066】
図17(A)に示した経路R1、R2では、代替リンクの距離が短い順に、迂回路部分41、42、40の順で統合処理が実行され、リンクL7、L12に統合優先度「1」、リンクL9、L13に統合優先度「2」、リンクL5、L11に統合優先度「3」を示すマークが付される。
【0067】
図18(B)は、ノード閾値Tminの値を「5」に設定して、図15の経路図に迂回路統合処理(S2)を行った場合に得られる要約地図を示す。この場合、図18(A)に符号50〜52で示した迂回路部分が統合され、図18(B)に符号53、54で示すように、ノードN1とN6、ノードN7とN9の間で、経路R1〜R3のリンクを全て統合した要約地図が得られる。
【0068】
上述した実施例によれば、代替経路としての表示価値が低い迂回路部分で経路間の接続関係を省略することによって、要約地図を簡素化できるため、渋滞情報や道路名称等の表示スペースを確保でき、経路概略図で、ユーザに判りやすい経路情報を提供できる。但し、接続関係を部分的に省略したことによって、ユーザは、経路概略図の表示画面で、分岐点、合流点における候補経路の接続関係の全てを確認することができなくなっている。
【0069】
そこで、本発明の更に他の実施例として、表示画面を遷移させることによって、経路概略図(要約地図)では省略された経路部分の分岐、合流状態を容易に確認できるようにしたナビゲーション装置について説明する。
【0070】
図19(A)〜(D)は、図17(A)の経路と対応する経路概略図の表示画面の遷移を示している。表示画面に最初に提示される経路概略図は、図19(A)に示すように、迂回路リンクを統合した図17(B)の要約地図を示している。本実施例では、要約地図上の一部の領域を破線60で囲むことによって、そこにリンク統合で省略された迂回路が隠れていることをユーザを示している。
【0071】
要約地図上の各リンクが、リンク統合されたものか否かの判断は、それが第3レイヤのリンク識別子Lxをもつリンクか否かを判定すればよい。前述したように、図19(A)に示した要約地図では、リンクL20にのみ、第3レイヤのリンク識別子Lx1が付与されている。従って、破線領域60は、リンクL20を囲むように表示される。
【0072】
ユーザが、例えば、カーソル操作等によって破線領域60を選択すると、統合優先度の低い順(表示重要度の高い順)に、隠れ迂回路を再現した要約地図画面に遷移する。最初の遷移画面(B)では、破線領域60を拡大して、統合優先度が最も低いノードN5、N6と、その間の迂回路とを追加した要約地図が表示される。もし、この要約地図にも、リンク統合で省略された迂回路が隠れていれば、新たな破線領域61が表示される。この例では、図17(A)に符号41、42で示した区間に該当するリンク部分に破線領域61が表示される。尚、遷移画面では、再現された迂回路を示す要約地図の部分領域が拡大表示されるため、スクロール操作に応じて表示内容を移動可能にしておく。
【0073】
ユーザが、破線領域61を選択すると、表示画面が図(C)に遷移し、破線領域61を拡大して、統合優先度が次に低いノードN9、N10と、その間の迂回路とを追加し、新たな破線領域62を示す要約経路が表示される。この例では、図17(A)に符号42で示した区間に該当するリンク部分に破線領域62が表示される。ユーザが、更に破線領域62を選択すると、表示画面が図(D)に遷移し、破線領域612拡大して、統合優先度が最も高いノードN9、N10と、その間の迂回路とを追加した要約経路が表示される。
【0074】
上述した表示画面の遷移機能は、経路概略図生成部113にオプション機能として持たせることができる。例えば、図6に示した経路概略図生成部のフローチャートにおいて、画面表示処理(S6)の次に、表示遷移制御部を追加しておき、ユーザが表示画面上でカーソル操作によってリンク統合領域を選択した時、表示遷移制御部が、統合マークが付された1組の代替リンクを統合前の状態に戻した簡略化経路データを生成し、これを要約地図生成処理部S3に渡すようにすればよい。
【0075】
図20(A)〜(D)は、図18(A)の経路と対応する経路概略図の表示画面の遷移を示している。表示画面に最初に提示される経路概略図は、図20(A)のように、迂回路リンクを統合した図18(B)の要約地図を示している。本実施例の場合、リンクの統合箇所が、出発点ノード側と目的地ノード側に分かれているため、隠れ迂回路の位置を示す2つの破線領域70、71が表示される。
【0076】
ユーザが、マウス操作等によって破線領域70を選択すると、表示画面が図(B)に遷移し、破線領域70を拡大して、ノードN8、N9と、その間の迂回路とを追加した要約経路が表示される。図(A)の画面で、ユーザが、破線領域71を選択した場合、表示画面が図(C)に遷移し、破線領域71を拡大して、ノードN2、N3と、その間の迂回路とを追加し、新たな破線領域72を示した要約経路が表示される。ユーザが、破線領域72を選択すると、表示画面が図(D)に遷移し、破線領域612拡大して、ノードN4、N15と、その間の迂回路を追加した要約経路が表示される。
【0077】
図19、図20では、要約地図部分のみを示しているが、実際にユーザに提供される経路概略図は、図13で説明したように、これらの要約地図に交通情報や文字情報を重畳したものとなる。
【0078】
次に、上述した本発明の経路概略図をWebサービスでナビゲーション装置に提供する実施例について説明する。
図21は、図1に示したナビゲーション装置10からアクセスされる交通情報配信サーバ30を示す。本実施例の交通情報配信サーバ30は、高精度の渋滞予測機能を備えており、各ナビゲーション装置10からの要求に応答して、交通情報および経路概略図情報の提供サービスを行う。
【0079】
本実施例のナビゲーション装置10は、ユーザが入力部104から目的地を指定した時、経路案内制御部111が、現在位置取得部103で取得した現在地(出発地)の位置情報と、目的地と、経路探索条件と示す経路概略図要求メッセージを交通情報配信サーバ30に送信し、交通情報配信サーバ30から、出発地から目的地までの経路概略図情報を含む応答メッセージを受信する。尚、経路概略図要求メッセージにおいて、目的地は、ユーザが入力した目的地名称、または目的地名称から変換された位置情報(座標値)によって指定される。
【0080】
本実施例では、交通情報配信サーバ30から経路概略図を入手できるため、ナビゲーション装置10には、図1に示した経路概略図生成部113は不要となる。表示部105には、経路案内制御部111によって、交通情報配信サーバ30からの応答メッセージから抽出した経路概略図が表示される。交通情報配信サーバ30から受信した経路概略図を表示するために、経路案内制御部111から応答メッセージを受け取り、応答メッセージから経路概略図を抽出して表示部105に出力する経路概略図処理部をメモリ107に設けてもよい。
【0081】
交通情報配信サーバ30は、プロセッサ300と、地図データを格納する地図データ記憶部301と、交通管制システムから交通情報を受信して蓄積する交通情報記憶部302と、ネットワークNWに接続された回線インタフェース303と、メモリ304とからなる。メモリ304には、プロセッサ300が実行する本発明に関係するソフトウェアとして、要求応答部310と、交通情報探索部311と、交通情報を加味して経路探索を行う経路探索部312と、ナビゲーション装置10からの要求に応じて経路概略図を生成する経路概略図生成部313とが用意されている。
【0082】
ナビゲーション装置10から送信された要求メッセージは、要求応答部311によって受付けられる。要求応答部311は、受信メッセージが交通情報要求メッセージの場合は、交通情報探索部311を実行し、受信メッセージが経路概略図要求メッセージの場合は経路探索部312を実行する。
【0083】
経路探索部312が、経路概略図要求メッセージに従って、出発地から目的地に至る複数の候補経路を選択すると、経路概略図生成部313が、図6で説明した手順で、迂回路の一部が省略された経路概略図を生成する。経路概略図生成部313で生成された経路概略図と、交通情報探索部311で探索された交通情報は、要求応答部311で応答メッセージに編集され、それぞれ要求元のナビゲーション装置10に送信される。
【0084】
交通情報配信サーバ30側での経路概略図の生成には、経路探索部312で探索した候補経路の他に、ナビゲーション装置10側の経路探索部112で探索した候補経路も利用できるようにしてもよい。この場合、ナビゲーション装置10側で探索した経路情報は、経路概略図要求メッセージによって、交通情報配信サーバ30に通知する。
【0085】
ナビゲーション装置10側の地図データ記憶部102に記憶される道路データと、交通情報配信サーバ30側の地図データ記憶部301に記憶される道路データが、共通のリンクIDで管理されていた場合は、経路探索部112で探索した候補経路は、リンクID列形式で、交通情報配信サーバ30に通知できる。もし、道路データが異なるリンクIDで管理されていた場合、経路探索部112で探索した候補経路は、座標列形式で交通情報配信サーバ30に通知され、交通情報配信サーバ30側で、座標列マッチングによって、リンクの特定とリンク間の接続関係を判断することになる。
【0086】
図22は、PND(Personal Navigation Device)と呼ばれる簡易ナビゲーションシステムに経路概略図を配信サービスする場合に適した交通情報配信サーバ30の構成例を示す。
本実施例の交通情報配信サーバ30は、図示したように、図20で説明した構成要素の他に、経路探索条件設定部314と経路探索条件315(315−1〜315−n)を備えた構成となっている。
【0087】
本実施例に適用されるナビゲーション装置10は、図1に示した構成から、地図データ記憶部102、経路探索部112、経路概略図生成部113、経路探索条件設定部114を省略し、メモリ107に、入力受付制御部110と、経路案内制御部111とを備えた構成となる。
【0088】
経路案内制御部111は、ユーザが入力部104から目的地を指定した時、現在位置取得部103で取得した現在地(出発地)の位置情報と、目的地とを示す経路概略図要求メッセージを交通情報配信サーバ30に送信し、交通情報配信サーバ30から、出発地から目的地までの経路概略図情報を含む応答メッセージを受信する。
【0089】
交通情報配信サーバ30から受信した経路概略図は、経路案内制御部111によって、表示部105に出力される。但し、図21で説明したように、経路案内制御部111から応答メッセージを受け取り、応答メッセージから経路概略図を抽出して表示部105に出力する経路概略図処理部をメモリ107に設けてもよい。
【0090】
交通情報配信サーバ30は、ナビゲーション装置10から受信した経路概略図要求メッセージから出発地の位置情報と目的地を抽出し、目的地を位置情報に変換した後、経路探索部312で、出発地から目的地までの複数の候補経路を探索する。この場合、経路探索条件としては、例えば、時間優先をデフォルト条件として指定しておく。経路概略図生成部313は、経路探索部312で探索された候補経路に基いて、図6と同様の手順で、経路概略図を生成する。生成された経路概略図は、要求応答部311で応答メッセージに編集され、要求元のナビゲーション装置10に送信される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明を適用したナビゲーションシステムの1実施例を示す図。
【図2】地図データ記憶部102に格納されるナビケーション用の地図データベース40の構成例を示す図。
【図3】地図データ記憶部102に格納される地図データの階層構造を示す図。
【図4】道路データ401の基本的な構成の1例を示した図。
【図5】経路探索部112で探索した候補経路のデータ構造の1例を示す図。
【図6】経路概略図生成部113の機能を示すフローチャート。
【図7】経路探索部112で探索された候補経路R1、R2、R3の1例を示す図。
【図8】図7に示した候補経路R1、R2、R3のリンク列を示す図。
【図9】経路接続関係解析処理(ステップS1)で生成した簡略化経路データに含まれるノード、リンクと経路R1〜R3との関係を示す図。
【図10】図9に示した経路R1〜R3の簡略化経路データの構造を示す図。
【図11】簡略化経路データに基づいて、要約地図生成処理(ステップS3)で生成される要約地図の生成過程の1例を示す図。
【図12】経路R1〜R3の実際の道路形状に基づく地図(A)と、上述した要約地図生成処理(ステップS3)で生成された要約地図(B)を示す図。
【図13】要約地図に基いて作成された経路概略図の表示画面の1例を示す図。
【図14】実際の道路形状に基づく経路地図の他の例(A)と、接続関係を省略する前の要約地図(B)を示す図。
【図15】実際の道路形状に基づく経路地図の更に他の例(A)と、接続関係を省略する前の要約地図(B)を示す図。
【図16】迂回路統合処理(S2)による経路接続関係の省略手順の1例を示すフローチャート。
【図17】図14(A)に示した経路に迂回路統合処理(S2)を行った場合の経路接続関係の省略箇所(A)と、得られた要約地図(B)を示す図。
【図18】図15(A)に示した経路に迂回路統合処理(S2)を行った場合の経路接続関係の省略箇所(A)と、得られた要約地図(B)を示す図。
【図19】図17(B)の経路概略図から省略箇所を再現する場合の表示画面の遷移を示す図。
【図20】図18(B)の経路概略図から省略箇所を再現する場合の表示画面の遷移を示す図。
【図21】経路概略図情報の提供サービス機能を備えた交通情報配信サーバ30の1実施例を示す図。
【図22】経路概略図情報の提供サービス機能を備えた交通情報配信サーバ30の他の実施例を示す図。
【符号の説明】
【0092】
10:ナビゲーション装置、20:基地局、30:交通情報配信サーバ、40:地図データベース、50:経路データ、51:道路形状データ、52:名称データ、
100:制御部、101:プロセッサ、102:地図データ記憶部、103:現在位置取得部、104:入力部、105:表示部、106:通信部、107:メモリ、110:入力受付制御部、111:経路案内制御部、112:経路探索部、113:経路概略図生成部、114:経路探索条件設定部、115:経路探索条件、
300:プロセッサ、301:地図データ記憶部、302:交通情報蓄積部、303:回線インタフェース、304:メモリ、310:要求応答部、311:交通情報探索部、312:経路探索部、313:経路概略図生成部、314:経路探索条件設定部、
S1:経路接続関係解析処理、S2:迂回路統合処理、S3:要約地図生成処理、S4:交通情報追加処理、S5:名称情報追加処理、S6:表示処理。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地に至る複数の経路を概略図として表示画面に表示するナビケ−ション装置であって、
地図データから上記目的地に至る複数の経路を探索する経路探索部と、
探索された上記複数の経路を示す経路データに基いて、経路概略図を生成する経路概略図生成部とを有し、
上記経路概略図生成部が、
上記経路データを解析して、上記各経路を他の何れかの経路と重複する区間と、他の経路とは重複しない迂回路区間とに分け、所定のリンク統合条件に従って、一部の迂回路区間を経路重複区間に変更し、上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる第1の直線で表現し、優先度順に、残りの経路の迂回路区間と、他の残り経路との重複区間とからなる経路部分を上記第1の直線と並列に配置された第2の直線で表現し、上記第2の直線の両端を上記第1の直線上、または配置済みの他の経路を示す第2の直線上に設けた分岐点ノードまたは合流点ノードに結合した形態の要約地図を生成し、上記要約地図に名称情報と交通状態情報を付与して、上記経路概略図として表示部に出力することを特徴とするナビケ−ション装置。
【請求項2】
前記経路概略図生成部が、
前記経路データから、前記各経路を前記重複区間毎、迂回路区間毎に付与された新たなリンク識別子の列で表現し、前記統合条件に従って、一部の迂回路区間を重複区間に変更して、重複区間からのリンク分岐点と迂回路区間のリンク合流点をそれぞれ分岐点ノード、合流点ノードとする簡略化経路データを生成し、
上記簡略化経路データに基いて、前記要約地図を生成することを特徴とする請求項1に記載のナビケ−ション装置。
【請求項3】
前記経路概略図生成部が、前記始点ノードからの実際の距離には無関係に、前記各分岐点ノードと合流点ノードが縦方向グリッド線と横方向グリッド線の交点に位置した要約地図を生成することを特徴とする請求項1に記載のナビケ−ション装置。
【請求項4】
前記経路概略図生成部が、前記地図データが示す前記分岐点ノードまたは合流点ノードにおける各経路の位置情報に従って、前記第2の直線の分岐方向を決定することを特徴とする請求項1に記載のナビケ−ション装置。
【請求項5】
ネットワークを介して交通情報配信サーバと通信するための無線通信部を備え、
前記経路探索部が、上記交通情報配信サーバから前記各経路の交通状態情報を取得し、前記地図データが示す基本リンク毎に交通状態情報をもつ経路データを生成し、
前記経路概略図生成部が、上記経路データが示す交通状態情報を利用して、前記要約地図に交通状態情報を付与することを特徴とする請求項1に記載のナビケ−ション装置。
【請求項6】
出発地から目的地に至る複数の経路を概略図として表示画面に表示するナビケ−ション装置であって、
地図データから上記目的地に至る複数の経路を探索する経路探索部と、
探索された上記複数の経路を示す経路データに基いて、経路概略図を生成する経路概略図生成部とを有し、
上記経路概略図生成部が、
上記経路データを解析して、上記各経路を他の何れかの経路と重複する区間と、他の経路とは重複しない迂回路区間とに分け、上記各経路を重複区間毎、迂回路区間毎に付与された拡張リンク識別子の列で表現した経路データを生成する経路接続関係解析処理部と、
上記経路接続関係解析処理部で生成された経路データに基づいて、所定のリンク統合条件を満たす迂回路区間を検出し、該迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合する迂回路統合処理部と、
上記迂回路の統合によって経路接続関係が更に簡単化された経路データに基いて、上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点に結合した形態の要約地図を生成する要約地図生成処理部と、
上記要約地図上に、交通状態情報を重畳する交通情報追加処理部と、
上記要約地図上に道路名称を含む文字情報を重畳する文字情報追加処理部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
前記迂回路統合処理部が、ノードの個数が予め指定された閾値を超える経路において、前記リンク統合条件を満たす迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合することを特徴とする請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記迂回路統合処理部が、表示重要度の低い迂回路区間から順に、前記リンク統合条件を満たす迂回路区間が無くなるか、ノード個数が前記閾値以下に減少するまで、前記複数リンクの統合処理を繰り返すことを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記経路概略図生成部が、ユーザ操作に応答して、リンク統合によって隠れている迂回路区間を選択的に再生するための手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
ネットワークに接続された交通情報配信サーバと、上記ネットワークを介して上記交通情報配信サーバと交信するナビケ−ション装置とからなるナビケ−ションシステムであって、
上記交通情報配信サーバが、地図データの記憶部と、交通情報の蓄積部と、経路探索部と、経路概略図生成部と、要求応答部とを有し、
上記ナビケ−ション装置が、上記交通情報配信サーバに出発地と目的地を指定した経路概略図要求メッセージを送信し、上記交通情報配信サーバから取得した経路概略図を表示画面に出力する制御部を備え、
上記交通情報配信サーバの経路探索部が、上記経路概略図要求メッセージに従って、上記地図データから上記目的地に至る複数の経路を探索し、
上記経路概略図生成部が、上記経路探索部から得た経路データに基いて、所定のリンク統合条件を満たす迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合した後、上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点と結合した形態の要約地図を生成し、
上記要求応答部が、上記要約地図を含む応答メッセージを上記ナビケ−ション装置に送信することを特徴とするナビケ−ションシステム。
【請求項11】
前記経路概略図生成部が、前記経路探索部から得た経路データを解析して、前記各経路を他の何れかの経路と重複する区間と、他の経路とは重複しない迂回路区間とに分け、前記リンク統合によって特定の迂回路区間を経路重複区間に変更した後、上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる第1の直線で表現し、優先度順に、残りの経路の迂回路区間と、他の残り経路との重複区間とからなる経路部分を上記第1の直線と並列に配置された第2の直線で表現し、上記第2の直線の両端を上記第1の直線上、または配置済みの他の経路を示す第2の直線上に設けた分岐点ノードまたは合流点ノードに結合することによって、前記要約地図を生成することを特徴とする請求項9に記載のナビケ−ションシステム。
【請求項12】
前記経路概略図生成部が、
前記経路データから、前記各経路を前記重複区間毎、迂回路区間毎に付与された新たなリンク識別子の列で表現し、重複区間からのリンク分岐点と迂回路区間のリンク合流点をそれぞれ分岐点ノード、合流点ノードとする経路データを生成し、前記リンク統合によって更に簡略化された経路データに基いて、前記要約地図を生成することを特徴とする請求項10に記載のナビケ−ションシステム。
【請求項13】
前記経路概略図生成部が、前記始点ノードからの実際の距離には無関係に、前記各分岐点ノードと合流点ノードが縦方向グリッド線と横方向グリッド線の交点に位置した要約地図を生成することを特徴とする請求項10に記載のナビケ−ションシステム。
【請求項14】
出発地から目的地に至る複数の経路を画面に経路概略図として表示する経路表示方法であって、
地図データから目的地に至る複数の経路を探索するステップと、
探索された上記複数の経路を示す経路データに基いて、経路概略図を生成するステップと、
上記経路概略図を画面に出力するステップとからなり、
上記経路概略図の生成ステップで、
上記経路データを解析して、上記各経路を他の何れかの経路と重複する区間と、他の経路とは重複しない迂回路区間とに分け、
所定のリンク統合条件を満たす迂回路区間を経路重複区間に変更し、
上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点に結合した形態の要約地図を生成し、
上記要約地図上に名称情報と交通状態情報を付与して、上記経路概略図とすることを特徴とする経路表示方法。
【請求項15】
前記経路概略図の生成ステップで
前記最適経路を第1の直線で表現し、優先度順に、残りの経路の迂回路区間と、他の残り経路との重複区間とからなる経路部分を上記第1の直線と並列に配置された第2の直線で表現し、上記第2の直線の両端を上記第1の直線上、または配置済みの他の経路を示す第2の直線上に設けた分岐点ノードまたは合流点ノードに結合することによって、前記要約地図を生成ことを特徴とする請求項13に記載の経路表示方法。
【請求項16】
前記経路概略図の生成ステップで、
前記経路データから、前記各経路を前記重複区間毎、迂回路区間毎に付与された新たなリンク識別子の列で表現し、重複区間からのリンク分岐点と迂回路区間のリンク合流点をそれぞれ分岐点ノード、合流点ノードとする経路データを生成し、該経路データを前記区間変更によって更に簡略化して、前記要約地図を生成することを特徴とする請求項13に記載の経路表示方法。
【請求項1】
出発地から目的地に至る複数の経路を概略図として表示画面に表示するナビケ−ション装置であって、
地図データから上記目的地に至る複数の経路を探索する経路探索部と、
探索された上記複数の経路を示す経路データに基いて、経路概略図を生成する経路概略図生成部とを有し、
上記経路概略図生成部が、
上記経路データを解析して、上記各経路を他の何れかの経路と重複する区間と、他の経路とは重複しない迂回路区間とに分け、所定のリンク統合条件に従って、一部の迂回路区間を経路重複区間に変更し、上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる第1の直線で表現し、優先度順に、残りの経路の迂回路区間と、他の残り経路との重複区間とからなる経路部分を上記第1の直線と並列に配置された第2の直線で表現し、上記第2の直線の両端を上記第1の直線上、または配置済みの他の経路を示す第2の直線上に設けた分岐点ノードまたは合流点ノードに結合した形態の要約地図を生成し、上記要約地図に名称情報と交通状態情報を付与して、上記経路概略図として表示部に出力することを特徴とするナビケ−ション装置。
【請求項2】
前記経路概略図生成部が、
前記経路データから、前記各経路を前記重複区間毎、迂回路区間毎に付与された新たなリンク識別子の列で表現し、前記統合条件に従って、一部の迂回路区間を重複区間に変更して、重複区間からのリンク分岐点と迂回路区間のリンク合流点をそれぞれ分岐点ノード、合流点ノードとする簡略化経路データを生成し、
上記簡略化経路データに基いて、前記要約地図を生成することを特徴とする請求項1に記載のナビケ−ション装置。
【請求項3】
前記経路概略図生成部が、前記始点ノードからの実際の距離には無関係に、前記各分岐点ノードと合流点ノードが縦方向グリッド線と横方向グリッド線の交点に位置した要約地図を生成することを特徴とする請求項1に記載のナビケ−ション装置。
【請求項4】
前記経路概略図生成部が、前記地図データが示す前記分岐点ノードまたは合流点ノードにおける各経路の位置情報に従って、前記第2の直線の分岐方向を決定することを特徴とする請求項1に記載のナビケ−ション装置。
【請求項5】
ネットワークを介して交通情報配信サーバと通信するための無線通信部を備え、
前記経路探索部が、上記交通情報配信サーバから前記各経路の交通状態情報を取得し、前記地図データが示す基本リンク毎に交通状態情報をもつ経路データを生成し、
前記経路概略図生成部が、上記経路データが示す交通状態情報を利用して、前記要約地図に交通状態情報を付与することを特徴とする請求項1に記載のナビケ−ション装置。
【請求項6】
出発地から目的地に至る複数の経路を概略図として表示画面に表示するナビケ−ション装置であって、
地図データから上記目的地に至る複数の経路を探索する経路探索部と、
探索された上記複数の経路を示す経路データに基いて、経路概略図を生成する経路概略図生成部とを有し、
上記経路概略図生成部が、
上記経路データを解析して、上記各経路を他の何れかの経路と重複する区間と、他の経路とは重複しない迂回路区間とに分け、上記各経路を重複区間毎、迂回路区間毎に付与された拡張リンク識別子の列で表現した経路データを生成する経路接続関係解析処理部と、
上記経路接続関係解析処理部で生成された経路データに基づいて、所定のリンク統合条件を満たす迂回路区間を検出し、該迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合する迂回路統合処理部と、
上記迂回路の統合によって経路接続関係が更に簡単化された経路データに基いて、上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点に結合した形態の要約地図を生成する要約地図生成処理部と、
上記要約地図上に、交通状態情報を重畳する交通情報追加処理部と、
上記要約地図上に道路名称を含む文字情報を重畳する文字情報追加処理部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
前記迂回路統合処理部が、ノードの個数が予め指定された閾値を超える経路において、前記リンク統合条件を満たす迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合することを特徴とする請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記迂回路統合処理部が、表示重要度の低い迂回路区間から順に、前記リンク統合条件を満たす迂回路区間が無くなるか、ノード個数が前記閾値以下に減少するまで、前記複数リンクの統合処理を繰り返すことを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記経路概略図生成部が、ユーザ操作に応答して、リンク統合によって隠れている迂回路区間を選択的に再生するための手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
ネットワークに接続された交通情報配信サーバと、上記ネットワークを介して上記交通情報配信サーバと交信するナビケ−ション装置とからなるナビケ−ションシステムであって、
上記交通情報配信サーバが、地図データの記憶部と、交通情報の蓄積部と、経路探索部と、経路概略図生成部と、要求応答部とを有し、
上記ナビケ−ション装置が、上記交通情報配信サーバに出発地と目的地を指定した経路概略図要求メッセージを送信し、上記交通情報配信サーバから取得した経路概略図を表示画面に出力する制御部を備え、
上記交通情報配信サーバの経路探索部が、上記経路概略図要求メッセージに従って、上記地図データから上記目的地に至る複数の経路を探索し、
上記経路概略図生成部が、上記経路探索部から得た経路データに基いて、所定のリンク統合条件を満たす迂回路区間の複数のリンクを1つのリンクに統合した後、上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点と結合した形態の要約地図を生成し、
上記要求応答部が、上記要約地図を含む応答メッセージを上記ナビケ−ション装置に送信することを特徴とするナビケ−ションシステム。
【請求項11】
前記経路概略図生成部が、前記経路探索部から得た経路データを解析して、前記各経路を他の何れかの経路と重複する区間と、他の経路とは重複しない迂回路区間とに分け、前記リンク統合によって特定の迂回路区間を経路重複区間に変更した後、上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる第1の直線で表現し、優先度順に、残りの経路の迂回路区間と、他の残り経路との重複区間とからなる経路部分を上記第1の直線と並列に配置された第2の直線で表現し、上記第2の直線の両端を上記第1の直線上、または配置済みの他の経路を示す第2の直線上に設けた分岐点ノードまたは合流点ノードに結合することによって、前記要約地図を生成することを特徴とする請求項9に記載のナビケ−ションシステム。
【請求項12】
前記経路概略図生成部が、
前記経路データから、前記各経路を前記重複区間毎、迂回路区間毎に付与された新たなリンク識別子の列で表現し、重複区間からのリンク分岐点と迂回路区間のリンク合流点をそれぞれ分岐点ノード、合流点ノードとする経路データを生成し、前記リンク統合によって更に簡略化された経路データに基いて、前記要約地図を生成することを特徴とする請求項10に記載のナビケ−ションシステム。
【請求項13】
前記経路概略図生成部が、前記始点ノードからの実際の距離には無関係に、前記各分岐点ノードと合流点ノードが縦方向グリッド線と横方向グリッド線の交点に位置した要約地図を生成することを特徴とする請求項10に記載のナビケ−ションシステム。
【請求項14】
出発地から目的地に至る複数の経路を画面に経路概略図として表示する経路表示方法であって、
地図データから目的地に至る複数の経路を探索するステップと、
探索された上記複数の経路を示す経路データに基いて、経路概略図を生成するステップと、
上記経路概略図を画面に出力するステップとからなり、
上記経路概略図の生成ステップで、
上記経路データを解析して、上記各経路を他の何れかの経路と重複する区間と、他の経路とは重複しない迂回路区間とに分け、
所定のリンク統合条件を満たす迂回路区間を経路重複区間に変更し、
上記複数の経路のうちの最適経路を一端が始点ノード、他端が終点ノードとなる直線で表現し、残りの経路を折れ線で表現し、各折れ線の両端を他の経路上の分岐点または合流点に結合した形態の要約地図を生成し、
上記要約地図上に名称情報と交通状態情報を付与して、上記経路概略図とすることを特徴とする経路表示方法。
【請求項15】
前記経路概略図の生成ステップで
前記最適経路を第1の直線で表現し、優先度順に、残りの経路の迂回路区間と、他の残り経路との重複区間とからなる経路部分を上記第1の直線と並列に配置された第2の直線で表現し、上記第2の直線の両端を上記第1の直線上、または配置済みの他の経路を示す第2の直線上に設けた分岐点ノードまたは合流点ノードに結合することによって、前記要約地図を生成ことを特徴とする請求項13に記載の経路表示方法。
【請求項16】
前記経路概略図の生成ステップで、
前記経路データから、前記各経路を前記重複区間毎、迂回路区間毎に付与された新たなリンク識別子の列で表現し、重複区間からのリンク分岐点と迂回路区間のリンク合流点をそれぞれ分岐点ノード、合流点ノードとする経路データを生成し、該経路データを前記区間変更によって更に簡略化して、前記要約地図を生成することを特徴とする請求項13に記載の経路表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
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【図15】
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【図20】
【図21】
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【公開番号】特開2008−215858(P2008−215858A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49988(P2007−49988)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
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