説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、およびプログラム

【課題】より立ち寄りやすい施設の情報を車両の運転者に提供することができるナビゲーション装置20を提供する。
【解決手段】本発明のナビゲーション装置20は、リンクデータおよび地図データを格納する地図データ格納部28と、施設ID毎に、当該施設の座標、当該施設の入口が面している道路のリンクID、および当該施設を示すアイコンのデータを格納する施設情報格納部21と、車両の現在位置および進行方向を算出する現在位置算出部27と、車両が走行中の道路における車両の進行方向左側に位置する施設であって、当該道路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出する施設ID抽出部23と、抽出された施設IDに対応する施設のアイコンを、施設ID抽出部23によって抽出されなかった施設IDに対応する施設のアイコンとは異なる態様で表示する表示制御部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に搭載され、走行中の道路付近に存在する施設の情報をユーザに提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、誘導経路周辺に存在している施設の中から、自車両の進行方向の左側に位置している施設のランドマークのみを表示する車載ナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−116565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、場所によっては、高速道路と一般道路とが併走している場所や、バイパス等の高架道路の下を生活道路が併走している場所等がある。このような場所では、2種類の道路が近接していても、一方の道路から他方の道路へは自由に行き来できない場合がある。その場合、例えば、生活道路の左側にコンビニエンスストア等の施設が位置しているとしても、その生活道路と併走している高速道路や高架道路(バイパス)を走行中の車両は、その施設に立ち寄ることができない場合がある。
【0005】
すなわち、車両の進行方向を基準として、道路の左側にあり、かつ、その道路からの距離が短いというだけでは、そこにある施設が、車両の運転者が立ち寄りやすい施設であるとは限らない。そのため、そのような施設の情報を提供されても、運転者は、実際にはその施設に立ち寄ることができない場合がある。
【0006】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、より立ち寄りやすい施設の情報を車両の運転者に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、車両に搭載されるナビゲーション装置であって、道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータおよび地図に関する情報である地図データを格納する地図データ格納手段と、それぞれの施設を識別する施設IDに対応付けて、当該施設の座標、当該施設の入口が位置している道路上の座標、当該入口が位置している道路のリンクID、および当該施設を示すアイコンを格納する施設情報格納手段と、車両の現在位置および進行方向を算出する現在位置算出手段と、現在位置算出手段によって算出された車両の現在位置および進行方向に基づいて地図データ格納手段および施設情報格納手段を参照し、車両が走行中の道路における車両の進行方向左側に位置する施設であって、当該道路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出する施設ID抽出手段と、施設ID抽出手段によって施設IDが抽出された場合に、抽出された施設IDに対応する施設のアイコンを施設情報格納手段から抽出し、抽出したアイコンを、施設ID抽出手段によって抽出されなかった施設IDに対応する施設のアイコンとは異なる態様で表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、車両に搭載されるナビゲーション装置におけるナビゲーション方法であって、ナビゲーション装置が、車両の現在位置および進行方向を算出する現在位置算出ステップと、現在位置算出ステップにおいて算出した車両の現在位置および進行方向に基づいて、道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータおよび地図に関する情報である地図データを格納する地図データ格納手段、および、それぞれの施設を識別する施設IDに対応付けて、当該施設の座標、当該施設の入口が位置している道路上の座標、当該入口が位置している道路のリンクID、および当該施設を示すアイコンを格納する施設情報格納手段を参照して、車両が走行中の道路における車両の進行方向左側に位置する施設であって、当該道路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出する施設ID抽出ステップと、施設ID抽出ステップにおいて抽出した施設IDに対応する施設のアイコンを施設情報格納手段から抽出し、抽出したアイコンを、施設ID抽出ステップにおいて抽出しなかった施設IDに対応する施設のアイコンとは異なる態様で表示する表示制御ステップとを実行することを特徴とするナビゲーション方法を提供する。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、コンピュータを、車両に搭載されるナビゲーション装置として機能させるプログラムであって、コンピュータに、道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータおよび地図に関する情報である地図データを格納する地図データ格納機能、それぞれの施設を識別する施設IDに対応付けて、当該施設の座標、当該施設の入口が位置している道路上の座標、当該入口が位置している道路のリンクID、および当該施設を示すアイコンを格納する施設情報格納機能、車両の現在位置および進行方向を算出する現在位置算出機能、現在位置算出機能によって算出された車両の現在位置および進行方向に基づいて地図データ格納機能および施設情報格納機能を参照し、車両が走行中の道路における車両の進行方向左側に位置する施設であって、当該道路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出する施設ID抽出機能、および施設ID抽出機能によって施設IDが抽出された場合に、抽出された施設IDに対応する施設のアイコンを施設情報格納機能から抽出し、抽出したアイコンを、施設ID抽出機能によって抽出されなかった施設IDに対応する施設のアイコンとは異なる態様で表示する表示制御機能を実現させることを特徴とするプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のナビゲーション装置によれば、より立ち寄りやすい施設の情報を車両の運転者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム10の構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】地図データ格納部28に格納されるリンクテーブル280のデータ構造の一例を示す図である。
【図3】施設情報格納部21に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図4】施設ID抽出部23が有する閾値テーブル230のデータ構造の一例を示す図である。
【図5】対象となるリンクから施設の入口までの距離の一例を説明するための概念図である。
【図6】表示制御部22による表示の一例を示す概念図である。
【図7】ナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】ナビゲーション装置20の機能を実現するコンピュータ50の一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム10の構成の一例を示すシステム構成図である。ナビゲーションシステム10は、表示装置11、入力装置12、スピーカ13、アンテナ14、センサ15、およびナビゲーション装置20を備える。ナビゲーション装置20は、施設情報格納部21、表示制御部22、施設ID抽出部23、経路探索部24、経路誘導部25、渋滞情報受信部26、現在位置算出部27、および地図データ格納部28を有する。
【0014】
地図データ格納部28には、道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータを含むリンクテーブルおよび地図に関する情報である地図データが格納されている。リンクテーブルには、例えば図2に示すように、リンクに関するデータが、所定の地図領域毎のメッシュデータ281として格納されている。それぞれのメッシュデータ281には、それぞれのメッシュを識別するメッシュID282およびメッシュ内のリンクに関するデータであるリンクデータ283等が含まれる。
【0015】
それぞれのリンクデータ283には、それぞれのリンクを識別するリンクID284、リンクの開始ノード座標285、リンクの終了ノード座標286、リンクの道路種別287、リンク長288、リンクの開始ノードに接続されている他のリンクの識別情報である開始接続リンク289、リンクの終了ノードに接続されている他のリンクの識別情報である終了接続リンク290、およびリンクの名称291が格納されている。
【0016】
センサ15は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機や、方位センサ、距離センサ等であり、測地衛星から送信されたGPS信号や、車両の進行方位、車両の移動距離等を測定し、測定情報を現在位置算出部27に供給する。
【0017】
現在位置算出部27は、センサ15から供給された測定情報および地図データ格納部28に格納されたリンクデータに基づいて、ナビゲーション装置20が搭載された車両が例えば所定距離(例えば10m)移動する毎に、例えばマップマッチング等により当該車両の現在位置および進行方向を算出し、算出した車両の現在位置および進行方向を示す情報を施設ID抽出部23、経路探索部24、および経路誘導部25に提供する。
【0018】
経路探索部24は、出発地点、目的地点、および経由地点の座標や、探索条件等を含む探索情報を、タッチパネル等の入力装置12を介してユーザから受け付けた場合に、地図データ格納部28内のリンクデータを参照し、当該探索情報に基づいて、例えばダイクストラ法等のアルゴリズムを用いて、経由地点を通り出発地点から目的地点へ至る経路を探索し、探索結果を表示制御部22を介して表示装置11に表示する。
【0019】
そして、経路探索部24は、入力装置12を介してユーザから探索された経路を指定する情報を受け付けた場合に、ユーザによって指定された経路を誘導経路として施設ID抽出部23および経路誘導部25へ送る。なお、経路探索部24は、後述する渋滞情報受信部26が受信した渋滞情報を用いて、渋滞している道路に対応するリンクのコストを渋滞の程度に応じて上げ、渋滞しているリンクを極力通らない経路を探索するようにしてもよい。また、経路探索部24は、車両の現在位置を出発地点として経路探索を実行してもよい。
【0020】
経路誘導部25は、経路探索部24から誘導経路を示す情報を受け取った場合に、地図データ格納部28に格納されている、車両の現在位置付近の地図データを取得し、取得した地図データで示される地図上に当該誘導経路および車両の現在位置を示すカーマークを重畳させて表示制御部22へ送ることにより、経路誘導を開始する。
【0021】
そして、経路誘導部25は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置および地図データ格納部28に格納されているリンクデータを参照して、誘導経路上において、車両の前方所定距離以内に、進行方向を指示すべき案内地点が存在する場合に、当該案内地点に関する画像を表示制御部22を介して表示装置11に表示すると共に、誘導を示す音声をスピーカ13を介して再生することにより、進むべき方向を案内する。また、経路誘導部25は、ユーザから経路誘導の終了が指示された場合、あるいは、車両が目的地付近に到着した場合等に、経路誘導を終了し、その旨を施設ID抽出部23に通知する。
【0022】
渋滞情報受信部26は、FM多重放送や電波ビーコン等を介して配信される渋滞情報をアンテナ14を介して受信し、受信した渋滞情報を施設ID抽出部23に供給する。渋滞情報には、渋滞している道路のリンクIDが含まれている。なお、対面通行の道路や片側1車線以上の道路においては、1本の道路であっても、進行方向に応じて2つのリンクIDが対応付けられている。
【0023】
施設情報格納部21には、例えば図3に示すように、それぞれの施設を識別する施設ID210毎に、当該施設が位置する地図上の座標を示す施設座標211、当該施設の入口となるリンク上の座標を示す入口座標212、当該入口座標が位置するリンクのリンクID213、当該施設に対応するアイコンデータ214、および当該施設のジャンル215が予め格納されている。
【0024】
施設ID抽出部23は、経路探索部24から誘導経路を通知された場合に経路誘導部25が経路誘導を開始したものと判定し、経路誘導部25から経路誘導の終了を通知された場合に、経路誘導が終了したものと判定する。経路誘導部25による経路誘導中である場合、施設ID抽出部23は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置および進行方向、ならびに、地図データ格納部28内のリンクデータに基づいて、渋滞情報受信部26が受信した渋滞情報を参照し、誘導経路上において、車両の前方第1の距離(例えば10km)以内の対向車線が渋滞中か否かを判定する。
【0025】
対向車線が渋滞中である場合、施設ID抽出部23は、車両の前方第1の距離以内の誘導経路において、車両の進行方向に対して誘導経路の左側に位置すると共に、誘導経路から所定距離以内(例えば300m以内)の施設の施設IDを施設情報格納部21から抽出する。
【0026】
ここで、対向車線が渋滞中である場合、道路の右側にある施設に立ち寄ることが難しい場合がある。また、対向車線が渋滞中であると、道路の右側の施設に立ち寄った後に、そこから再び元の道路に戻ることが難しい場合がある。そのため、施設ID抽出部23は、対向車線が渋滞中の場合に、走行中の道路の所定距離先までの区間において、進行方向左側の施設の施設IDを、立ち寄りやすい施設の施設IDとして抽出する。
【0027】
なお、施設ID抽出部23は、対向車線が渋滞中でなくとも、中央分離帯が存在する等、進行方向右側に位置する施設への立ち寄りが困難な場面において、走行中の道路の所定距離先までの区間において、進行方向左側の施設の施設IDを、立ち寄りやすい施設の施設IDとして抽出するようにしてもよい。
【0028】
一方、経路誘導中ではない場合、施設ID抽出部23は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置および進行方向、ならびに、地図データ格納部28内のリンクデータに基づいて、渋滞情報受信部26が受信した渋滞情報を参照し、車両が走行中の道路と同一の名称の道路上において、車両の前方第2の距離(例えば1km)以内の対向車線が渋滞中か否かを判定する。
【0029】
対向車線が渋滞中である場合、施設ID抽出部23は、走行中の道路と同一の名称の道路であり、かつ、車両の前方第2の距離以内の道路において、車両の進行方向に対して当該道路の左側に位置すると共に、当該道路から所定距離以内(例えば300m以内)の施設の施設IDを施設情報格納部21から抽出する。
【0030】
ここで、施設ID抽出部23は、例えば図4に示すように、それぞれの施設のジャンル231毎に、当該ジャンル231に対応する施設に対して適用する閾値232を有する閾値テーブル230を保持している。施設ID抽出部23は、経路誘導が行われている状況で抽出したそれぞれの施設ID、あるいは経路誘導が行われていない状況で抽出したそれぞれの施設IDについて施設情報格納部21を参照し、当該施設IDに対応する施設のジャンルを特定し、特定したジャンルに対応する閾値を閾値テーブル230から抽出する。
【0031】
そして、施設ID抽出部23は、誘導経路あるいは走行中の道路と同一名称の道路から施設の入口までの道なりの距離が、抽出した閾値未満の施設の施設IDを抽出し、抽出した施設IDを表示制御部22に通知する。
【0032】
例えば図5(a)に示すような場合、施設Aは、車両の進行方向に対して左側に位置しており、車両の現在位置を示すカーマーク300が位置するリンク301上に入口座標が位置している。この場合、車両の進行方向前方の誘導経路あるいは車両が走行中の道路から施設Aの入口座標までの距離は0mとなる。
【0033】
また、図5(a)において、施設Bは、車両の進行方向に対して左側に位置しているものの、施設Bの入口座標は、カーマーク300が位置するリンク301上ではなく、当該リンク301とノード302において接続しているリンク304上に存在する。この場合、車両の進行方向前方の誘導経路あるいは車両が走行中の道路から施設Bの入口座標までの距離は、ノード302から施設Bの入口座標までのリンク304上の(道なりの)距離となる。
【0034】
また、図5(b)の場合には、施設Cは、車両の進行方向に対して左側に位置しているものの、施設Cの入口座標は、車両の現在位置を示すカーマーク310が位置するリンク311上ではなく、当該リンク311とリンク313を介して接続しているリンク314上に存在する。この場合、車両の進行方向前方の誘導経路あるいは車両が走行中の道路から施設Bの入口座標までの距離は、リンク313およびノード315から施設Cの入口座標までのリンク314上の(道なりの)距離となる。
【0035】
このような状況は、高速道路と一般道路とが併走している場所や、高架道路の下を生活道路が併走している場所等で起こりうる。図5(b)のような場面では、施設Cは車両の進行方向前方の誘導経路あるいは車両が走行中の道路の左側に位置しており、当該道路から当該施設の入口までの距離は短いものの、実際に運転者がその施設Cへ立ち寄るために走行すべき距離は、当該道路から当該施設の入口までの距離よりもはるかに長いものとなる。
【0036】
本実施形態の施設ID抽出部23は、車両の進行方向前方の誘導経路あるいは車両が走行中の道路から左側所定距離以内に存在するだけではなく、当該道路から左側所定距離以内にある施設の中で、当該道路から当該施設の入口までの道なりの距離が短い施設を、立ち寄りやすい施設として運転者に通知する。これにより、ナビゲーション装置20は、より実態に即した利便性の高い情報を運転者に提供することができる。
【0037】
表示制御部22は、経路探索部24から受け取った誘導経路の候補を表示装置11に表示する。また、表示制御部22は、経路誘導部25から誘導経路および車両の現在位置を示すカーマークが重畳された地図データを受け取った場合に、施設ID抽出部23から施設IDを通知されていなければ、当該地図データで示される地図上の施設のアイコンを施設情報格納部21から取得して当該地図上にさらに重畳させて表示装置11に表示する。
【0038】
また、表示制御部22は、入力装置12を介してユーザから地図の表示を指示された場合に、施設ID抽出部23から施設IDを通知されていなければ、ユーザから指示された地点付近の地図のデータを地図データ格納部28から取得すると共に、当該地図上の施設のアイコンを施設情報格納部21から取得し、取得した地図上に取得したアイコンを重畳させて表示装置11に表示する。
【0039】
また、表示制御部22は、施設ID抽出部23から施設IDを通知された場合に、当該施設IDに対応する施設のアイコンを施設情報格納部21から取得し、取得したアイコンを予め定められた態様に変更し、それ以外のアイコンと共に表示装置11に表示する。表示制御部22は、例えば、施設ID抽出部23から通知されなかった施設IDに対応する施設のアイコンとは異なる色や大きさとしたり、施設ID抽出部23から通知された施設IDに対応する施設のアイコンを枠で囲んだり点滅させたりすることにより、施設ID抽出部23から通知された施設IDに対応する施設のアイコンを、通知されなかった施設のアイコンとは異なる態様で表示装置11に表示する。
【0040】
例えば、経路誘導中である場合、表示制御部22は、図6(a)に示すように、誘導経路(図中の太線)の前方左側にある施設のアイコン41、アイコン43、およびアイコン44を、それ以外のアイコン42とは異なる態様(図6の例では反転表示)で表示装置11に表示する。
【0041】
また、経路誘導中ではない場合、表示制御部22は、図6(b)に示すように、車両が走行中の道路と同一の名称の道路の前方左側にある施設のアイコン41およびアイコン42を、それ以外のアイコン43およびアイコン44とは異なる態様で表示装置11に表示する。
【0042】
なお、図6(a)の例において、誘導経路の範囲45、範囲46、および範囲47は、車両の前方第1の距離(例えば10km)の範囲を示しており、図6(b)の例において、車両が走行中の道路と同一の名称の道路の範囲48および範囲49は、車両の前方第2の距離(例えば1km)の範囲を示している。
【0043】
このように、ナビゲーション装置20は、経路誘導中には、より遠くまで、立ち寄りやすい施設の情報を運転者に提供することができ、経路誘導が行われていない場合においても、このまま同じ道を走行することが想定できる範囲内で、立ち寄りやすい施設の情報を運転者に提供することができる。
【0044】
図7は、ナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。電源が投入される等の所定のタイミングで、ナビゲーション装置20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0045】
まず、現在位置算出部27は、センサ15から供給された測定情報および地図データ格納部28に格納されたリンクデータに基づいて、例えばマップマッチング等により車両の現在位置および進行方向を算出し、算出した車両の現在位置および進行方向を示す情報を施設ID抽出部23、経路探索部24、および経路誘導部25に提供する(S100)。
【0046】
次に、施設ID抽出部23は、経路誘導部25による経路誘導中であるか否かを判定する(S101)。経路誘導中である場合(S101:Yes)、施設ID抽出部23は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置および進行方向、ならびに、地図データ格納部28内のリンクデータに基づいて、渋滞情報受信部26が受信した渋滞情報を参照し、誘導経路上において、車両の前方第1の距離(例えば10km)以内の対向車線が渋滞中か否かを判定する(S102)。
【0047】
対向車線が渋滞中ではない場合(S102:No)、現在位置算出部27は、再びステップS100に示した処理を実行する。対向車線が渋滞中である場合(S102:Yes)、施設ID抽出部23は、車両の前方第1の距離以内の誘導経路において、車両の進行方向に対して誘導経路の左側に位置すると共に、誘導経路から所定距離以内(例えば300m以内)の施設の施設IDを施設情報格納部21から抽出し(S104)、ステップS106に示す処理を実行する。
【0048】
ステップS101において、経路誘導中ではない場合(S101:No)、施設ID抽出部23は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置および進行方向、ならびに、地図データ格納部28内のリンクデータに基づいて、渋滞情報受信部26が受信した渋滞情報を参照し、車両が走行中の道路と同一の名称の道路上において、車両の前方第2の距離(例えば1km)以内の対向車線が渋滞中か否かを判定する(S104)。
【0049】
対向車線が渋滞中ではない場合(S104:No)、現在位置算出部27は、再びステップS100に示した処理を実行する。対向車線が渋滞中である場合(S104:Yes)、施設ID抽出部23は、走行中の道路と同一の名称の道路であり、かつ、車両の前方第2の距離以内の道路において、車両の進行方向に対して当該道路の左側に位置すると共に、当該道路から所定距離以内(例えば300m以内)の施設の施設IDを施設情報格納部21から抽出する(S105)。
【0050】
次に、施設ID抽出部23は、ステップS103またはS105において抽出した施設IDの中で、未選択の施設IDを1つ選択し(S106)、施設情報格納部21を参照して、選択した施設IDに対応するジャンルを特定する。そして、施設ID抽出部23は、閾値テーブル230を参照して、特定したジャンルに対応する閾値を抽出する(S107)。
【0051】
次に、施設ID抽出部23は、誘導経路あるいは走行中の道路と同一名称の道路から施設の入口までの道なりの距離が、抽出した閾値未満か否かを判定する(S108)。道なりの距離が、抽出した閾値以上である場合(S108:No)、施設ID抽出部23は、ステップS110に示す処理を実行する。
【0052】
一方、道なりの距離が、抽出した閾値未満である場合(S108:Yes)、施設ID抽出部23は、ステップS106で選択した施設IDを保持し(S109)、ステップS103またはS105において抽出した施設IDを全て選択したか否かを判定する(S110)。ステップS103またはS105において抽出した施設IDを全て選択していない場合(S110:No)、施設ID抽出部23は、再びステップS106に示した処理を実行する。
【0053】
ステップS103またはS105において抽出した施設IDを全て選択した場合(S110:Yes)、施設ID抽出部23は、保持している施設IDを表示制御部22へ送る。表示制御部22は、施設情報格納部21を参照し、施設ID抽出部23から受け取った施設IDに対応する施設のアイコンを、予め定められた態様に変更して表示装置11に表示し(S111)、現在位置算出部27は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0054】
図8は、ナビゲーション装置20の機能を実現するコンピュータ50の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ50は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory)52、ROM(Read Only Memory)53、HDD(Hard Disk Drive)54、受信器55、入力インターフェイス(I/F)56、出力インターフェイス(I/F)57、およびメディアインターフェイス(I/F)58を備える。
【0055】
CPU51は、ROM53またはHDD54に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM53は、コンピュータ50の起動時にCPU51によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ50のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。HDD54は、CPU51によって実行されるプログラムを格納する。受信器55は、アンテナ14を介して受信した渋滞情報をCPU51に提供する。
【0056】
入力インターフェイス56は、入力装置12またはセンサ15からの信号を受信してCPU51へ送る。CPU51は、入力インターフェイス56を介して、入力装置12およびセンサ15を制御し、入力インターフェイス56を介して、入力装置12またはセンサ15から信号を取得する。出力インターフェイス57は、CPU51から取得したデータを、表示装置11またはスピーカ13へ出力する。CPU51は、出力インターフェイス57を介して、表示装置11およびスピーカ13を制御し、生成したデータを、出力インターフェイス57を介して表示装置11またはスピーカ13へ出力する。
【0057】
メディアインターフェイス58は、記録媒体59に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM52を介してCPU51に提供する。CPU51は、当該プログラムを、メディアインターフェイス58を介して記録媒体59からRAM52上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体59は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0058】
コンピュータ50のCPU51は、RAM52上にロードされたプログラムを実行することにより、施設情報格納部21、表示制御部22、施設ID抽出部23、経路探索部24、経路誘導部25、渋滞情報受信部26、現在位置算出部27、および地図データ格納部28の各機能を実現する。また、ROM53またはHDD54には、施設情報格納部21および地図データ格納部28内のデータが格納される。
【0059】
コンピュータ50は、これらのプログラムを、記録媒体59から読み取って実行するが、他の例として、コンピュータ50に通信機能を設け、有線または無線の通信回線を介してこれらのプログラムを取得するようにしてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0061】
上記説明から明らかなように、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、より立ち寄りやすい施設の情報を車両の運転者に提供することができる。
【0062】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0063】
例えば、施設ID抽出部23は、経路誘導中において、車両の進行方向左側に位置する施設の中で目的地から離れる方向に進む位置にある施設については、その施設までの道なりの距離に所定距離を加算する等により、立ち寄りやすい施設としては推奨し難いようにしてもよい。
【0064】
また、表示制御部22は、車両前方の誘導経路あるいは車両が走行中の道路から左側所定距離以内に存在する施設以外の施設のアイコンを表示しないようにしてもよい。また、表示制御部22は、車両前方の誘導経路あるいは車両が走行中の道路からの道なりの距離が長くなるにつれて、アイコンの色を薄くしたり、アイコンの輝度を下げたりするようにしてもよい。
【0065】
なお、上記した実施形態では、日本等の交通事情に即して、車両が道路の左側を通行する場合を想定して説明したが、本発明はこれに限られず、他の国のように、車両が道路の右側を走行する場合にも本発明を適用することができる。この場合、ナビゲーション装置20は、道路状況が予め定められた条件を満たす場合に、走行中の道路の右側にある施設の中で、当該道路から当該施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設のアイコンを、他の施設のアイコンとは異なる態様で表示する。予め定められた条件とは、例えば、対向車線が渋滞している場合や、対向車線との間に中央分離帯が存在する場合などである。
【符号の説明】
【0066】
10・・・ナビゲーションシステム、11・・・表示装置、12・・・入力装置、13・・・スピーカ、14・・・アンテナ、15・・・センサ、20・・・ナビゲーション装置、21・・・施設情報格納部、22・・・表示制御部、23・・・施設ID抽出部、24・・・経路探索部、25・・・経路誘導部、26・・・渋滞情報受信部、27・・・現在位置算出部、28・・・地図データ格納部、50・・・コンピュータ、51・・・CPU、52・・・RAM、53・・・ROM、54・・・HDD、55・・・受信器、56・・・入力インターフェイス、57・・・出力インターフェイス、58・・・メディアインターフェイス、59・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるナビゲーション装置であって、
道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータおよび地図に関する情報である地図データを格納する地図データ格納手段と、
それぞれの施設を識別する施設IDに対応付けて、当該施設の座標、当該施設の入口が位置している道路上の座標、当該入口が位置している道路のリンクID、および当該施設を示すアイコンを格納する施設情報格納手段と、
前記車両の現在位置および進行方向を算出する現在位置算出手段と、
前記現在位置算出手段によって算出された車両の現在位置および進行方向に基づいて前記地図データ格納手段および前記施設情報格納手段を参照し、前記車両が走行中の道路における前記車両の進行方向左側に位置する施設であって、当該道路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出する施設ID抽出手段と、
前記施設ID抽出手段によって施設IDが抽出された場合に、抽出された施設IDに対応する施設のアイコンを前記施設情報格納手段から抽出し、抽出したアイコンを、前記施設ID抽出手段によって抽出されなかった施設IDに対応する施設のアイコンとは異なる態様で表示する表示制御手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記施設情報格納手段には、
施設のジャンルを示す情報が当該施設の施設IDに対応付けてさらに格納されており、
前記施設ID抽出手段は、
前記車両が走行中の道路における前記車両の進行方向左側に位置するそれぞれの施設について、当該施設のジャンルに対応する閾値を用いて、該当する施設の施設IDを抽出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置であって、
渋滞が発生している道路のリンクIDを含む渋滞情報を受信する渋滞情報受信手段をさらに備え、
前記施設ID抽出手段は、
前記車両が走行中の道路の対向車線が渋滞中である場合に、前記車両が走行中の道路における前記車両の進行方向左側に位置する施設であって、当該道路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
ユーザによって誘導経路が設定された場合に、当該誘導経路に従って経路誘導を実行する経路誘導手段をさらに備え、
前記施設ID抽出手段は、
前記経路誘導手段によって経路誘導が行なわれている場合には、誘導経路上における前記車両の前方第1の距離未満の範囲について、左側に位置すると共に、当該誘導経路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出し、
前記経路誘導手段によって経路誘導が行なわれていない場合には、前記車両が走行中の道路と同一の名称の道路上における前記車両の前方であって、前記第1の距離よりも短い第2の距離未満の範囲について、左側に位置すると共に、当該誘導経路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記表示制御手段は、
前記施設ID抽出手段によって抽出された施設IDに対応する施設のアイコンの色、大きさ、またはその両方を、前記施設ID抽出手段によって抽出されなかった施設IDに対応する施設のアイコンと異ならせる、あるいは、前記施設ID抽出手段によって抽出された施設IDに対応する施設のアイコンを枠で囲むまたは点滅させることにより、前記施設ID抽出手段によって抽出された施設IDに対応する施設のアイコンを、前記施設ID抽出手段によって抽出されなかった施設IDに対応する施設のアイコンとは異なる態様で表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、
前記表示制御手段は、
前記施設ID抽出手段によって抽出されなかった施設IDに対応する施設のアイコンを表示しないことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
車両に搭載されるナビゲーション装置におけるナビゲーション方法であって、
前記ナビゲーション装置が、
前記車両の現在位置および進行方向を算出する現在位置算出ステップと、
前記現在位置算出ステップにおいて算出した車両の現在位置および進行方向に基づいて、道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータおよび地図に関する情報である地図データを格納する地図データ格納手段、および、それぞれの施設を識別する施設IDに対応付けて、当該施設の座標、当該施設の入口が位置している道路上の座標、当該入口が位置している道路のリンクID、および当該施設を示すアイコンを格納する施設情報格納手段を参照して、前記車両が走行中の道路における前記車両の進行方向左側に位置する施設であって、当該道路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出する施設ID抽出ステップと、
前記施設ID抽出ステップにおいて抽出した施設IDに対応する施設のアイコンを前記施設情報格納手段から抽出し、抽出したアイコンを、前記施設ID抽出ステップにおいて抽出しなかった施設IDに対応する施設のアイコンとは異なる態様で表示する表示制御ステップと
を実行することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項8】
コンピュータを、車両に搭載されるナビゲーション装置として機能させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
道路を示すリンクに関する情報であるリンクデータおよび地図に関する情報である地図データを格納する地図データ格納機能、
それぞれの施設を識別する施設IDに対応付けて、当該施設の座標、当該施設の入口が位置している道路上の座標、当該入口が位置している道路のリンクID、および当該施設を示すアイコンを格納する施設情報格納機能、
前記車両の現在位置および進行方向を算出する現在位置算出機能、
前記現在位置算出機能によって算出された車両の現在位置および進行方向に基づいて前記地図データ格納機能および前記施設情報格納機能を参照し、前記車両が走行中の道路における前記車両の進行方向左側に位置する施設であって、当該道路から施設の入口までの道なりの距離が予め定められた閾値未満の施設の施設IDを抽出する施設ID抽出機能、および
前記施設ID抽出機能によって施設IDが抽出された場合に、抽出された施設IDに対応する施設のアイコンを前記施設情報格納機能から抽出し、抽出したアイコンを、前記施設ID抽出機能によって抽出されなかった施設IDに対応する施設のアイコンとは異なる態様で表示する表示制御機能
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−58884(P2011−58884A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207259(P2009−207259)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】