説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション装置を制御するためのプログラム

【課題】 ユーザが、ナビゲーション装置の地図表示を見て、信号機の指示内容または他車両の走行位置をリアルタイムで把握できるようにする。
【解決手段】 車両用ナビゲーション装置1を搭載した車両が、案内交差点手前の所定の距離内に差し掛かると、制御回路19は、無線通信回路10に信号機データおよび他車両データを受信させる準備を行い、信号機データおよび他車両データを受信した場合は、そのデータを3D交差点拡大図に反映させる。また、信号機データおよび他車両データを受信できない間は、受信できる場合と異なった配色で3D交差点拡大図を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両周辺の地図表示を行うナビゲーション装置およびナビゲーション装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両周辺の地図表示を行うナビゲーション装置が広く利用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなナビゲーション装置の地図表示を見て、信号機の指示内容や他車両の走行位置がリアルタイムでわかるようになっていれば、ユーザにとって便利である。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、ユーザが、ナビゲーション装置の地図表示を見て、信号機の指示内容または他車両の走行位置をリアルタイムで把握できるようにすることを第1の目的とする。
【0005】
また近年、ナビゲーション装置は、目的地までの誘導経路案内時に表示する交差点等の詳細図として、進入する交差点およびその周辺の立体図を用いるようになっている。しかし、運転者は、リアルで立体的な画面に意識が向いてしまい、その結果運転時の交通状況の把握がおろそかになってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、ユーザが、ナビゲーション装置の立体表示を見て、リアルタイムで交通状況を把握することができるようにすることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の第1の目的を達成するための本発明の第2の特徴は、ナビゲーション装置が、無線通信回路と、自車両周辺の地図を表示する画像表示装置と、制御回路と、を備え、この制御回路が、無線通信回路を介して、画像表示装置が表示する地図に含まれる地理領域内における信号機の現在の指示内容を示す信号機データを取得し、この取得した信号機データが示す指示内容を、画像表示装置が現在表示する地図に反映させることである。
【0008】
このように、ナビゲーション装置は、取得した現在の信号機データが示す指示内容を現在の表示地図に反映させるので、ユーザが、ナビゲーション装置の地図表示を見て、信号機の指示内容をリアルタイムで把握することができる。
【0009】
なお、「信号機の現在の指示内容を示す」における現在とは、現在位置からその指示内容が表示されている信号機まで自車両が走行するために通常かかる時間程度、現在から離れた時刻をも含む。
【0010】
また、この画像表示装置が、自車両周辺の地図として、現在通過しようとする道路および道路周辺の立体画像を表示するようになっており、さらに、制御回路は、取得した信号機データの示す指示内容を、その立体画像中の信号機の画像に反映させるようになっていてもよい。このようになっていることで、ユーザは、立体画像を見て交通状況をリアルタイムで把握することができる。
【0011】
また、このナビゲーション装置の制御回路は、通信回路を介して信号機データを取得できる時とできない時とで、画像表示装置が表示する地図の配色を切り替えるようになっていてもよい。このようになっていることで、現在信号機のリアルタイム情報を表示地図を見て把握できるか否かを、ユーザが容易に知ることができる。
【0012】
また、上記第1の目的を達成する本発明の第2の特徴は、ナビゲーション装置が、無線通信回路と、自車両周辺の地図を表示する画像表示装置と、制御回路と、を備え、この制御回路が、無線通信回路を介して、画像表示装置が表示する地図に含まれる地理領域内における現在の他車両の位置を示す他車両データを取得し、画像表示装置が現在表示する地図中の、取得した他車両データの示す他の車両の位置に該当する部分に、車両を示す画像を含めることである。
【0013】
このように、ナビゲーション装置は、取得した現在の他車両データが示す車両位置を現在の表示地図に反映させるので、ユーザが、ナビゲーション装置の地図表示を見て、他車両の位置をリアルタイムで把握することができる。なお、「現在の他車両の位置を示す」における現在とは、現在位置から表示されている他車両まで自車両が走行するために通常かかる時間程度、現在から離れた時刻をも含む。
【0014】
また、画像表示装置は、自車両周辺の地図として、現在通過しようとする道路および道路周辺の立体画像を表示するようになっていてもよい。このようになっていることで、ユーザは、立体画像を見て交通状況をリアルタイムで把握することができる。
【0015】
また、ナビゲーション装置の制御装置は、画像表示装置が表示する立体画像中の、他車両データ取得手段が取得した他車両データの示す他の車両の位置であり、かつ構造物の陰となる部分に、透過的に車両を示す画像を含めるようになっていてもよい。このようになっていることで、ユーザは、現実にはユーザから見て構造物の陰に隠れている車両の存在も、立体画像中でその位置において透過的に表示された車両の画像を見ることで、容易に把握することができる。
【0016】
また、ナビゲーション装置の制御回路が、目的地までの誘導経路を案内する様になっている場合、誘導経路を案内すると共に画像表示装置が立体画像を表示していることに基づいて、他車両の通信装置に当該車両の位置データを要求する信号を無線通信回路を用いて送信し、その要求信号への応答として他車両から送信された当該車両の位置データの信号を、無線通信回路を介して取得するようになっていてもよい。
【0017】
また、このナビゲーション装置の制御回路は、通信回路を介して他車両データを取得できる時とできない時とで、画像表示装置が表示する地図の配色を切り替えるようになっていてもよい。このようになっていることで、現在他車両のリアルタイム情報を表示地図を見て把握できるか否かを、ユーザが容易に知ることができる。
【0018】
また、上記第2の目的を達成する本発明の第3の特徴は、ナビゲーション装置が、無線通信回路と、自車両周辺の地図を表示する画像表示装置と、制御回路と、を備え、この制御回路が、無線通信回路を介して、画像表示装置が表示する立体画像に含まれる地理領域内における現在の交通状況を示すリアルタイム交通状況データを取得し、取得したリアルタイム交通状況データを、画像表示装置が表示する立体画像に反映させることである。
【0019】
このように、ナビゲーション装置は、取得した現在のリアルタイム交通状況データが示す交通状況を現在の表示地図に反映させるので、ユーザが、ナビゲーション装置の地図表示を見て、交通状況をリアルタイムで把握することができる。なお、「現在の交通状況」における現在とは、自車両が数百メートル走行するために通常かかる時間程度、現在から離れた時刻をも含む。
【0020】
また、このナビゲーション装置の制御回路は、通信回路を介してリアルタイム交通状況データを取得できる時とできない時とで、画像表示装置が表示する地図の配色を切り替えるようになっていてもよい。このようになっていることで、現在交通状況を表示地図を見て把握できるか否かを、ユーザが容易に知ることができる。
【0021】
また、これら第1〜第3の発明は、ナビゲーション装置を制御するためのプログラムとしても把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、無線通信回路10、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、スピーカ14、RAM16、ROM17、外部記憶媒体18、および制御回路19を有している。
【0023】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。
【0024】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路19に出力する。
【0025】
無線通信回路10は、図示しないアンテナが受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定の無線通信プロトコル(例えばDSRC、無線LAN等)に従った処理を施し、その結果を制御回路19に出力する。また無線通信回路10は、制御回路19から入力されたデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、所定の無線通信プロトコルに従った処理を施し、その結果の信号を上記のアンテナに出力する。
【0026】
より具体的には、無線通信回路10は、信号機データを含む無線信号を受信し、その受信した信号中に含まれる信号機データを制御回路19に出力する。信号機データとは、交差点等に設置される信号機の現在の指示内容(具体的には赤、青、黄)を示すデータである。この信号機データは、図2に示すような、信号機2と接続された無線送信機3が、アンテナ4を介して無線送信するようになっている。無線送信機3は、信号機2の現在の指示内容を検出し、その検出内容および信号機2を一意に識別する識別番号を信号機データに含め、その信号機データを直ちにアンテナ4に出力することで、この無線送信を実現する。また無線送信機3は、この信号機データに、その信号機が指示を出す対象の車両の走行方向の方位を示すデータ、すなわち指示方位データを含めてもよい。
【0027】
また無線通信回路10は、他の車両に搭載された無線通信機と、車車間通信を行うようになっている。他の車両の無線通信機は、位置データ、車速データ、走行方向データ、ブレーキ量データ等の車両データの要求を他の無線通信機から受けると、その時点における、当該車両内の現在位置センサ(例えばGPS受信機)、車速センサ、走行方向センサ(例えば地磁気センサ)、ブレーキ量センサ等が検出したデータに基づいて、位置データ、車速データ、走行方位データ、ブレーキ量データを作成し、それを他車両データとして送信するようになっている。無線通信回路10は、このような他車両の無線通信機に車両データの要求を無線送信し、その応答として当該無線通信機から送信された他車両データを含む無線信号を受信し、その受信した信号中の他車両データを制御回路19に出力する。
【0028】
なお、無線通信回路10は、信号機から信号を受信するための回路、および車車間通信のための回路という、2系統の回路を有している。
【0029】
画像表示装置13は、制御回路19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地周辺の地図、3D交差点拡大図等がある。3D交差点拡大図とは、交差点およびその周辺の道路、構造物、信号機等を立体的に表す詳細地図である。
【0030】
外部記憶媒体18は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、制御回路19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0031】
地図データは、道路片(リンク)および交差点(ノード)の位置、種別、交差点と道路片との接続関係情報等を含む道路データ、および施設データを有している。施設データは、施設毎のエントリを複数有しており、各エントリは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。また、地図データは、地図上の複数の信号機のそれぞれの識別番号と、その識別番号に対応する信号機がどの道路をどの方向に走行する車両に対して指示を与えるものであるかを示す対応表(以下信号機対応表と記す)を有している。
【0032】
制御回路(コンピュータに相当する)19は、ROM17および外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、および外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM16および外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13およびスピーカ14と信号の授受を行う。
【0033】
制御回路19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路探索処理、経路案内処理等がある。
【0034】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や走行方位を特定する処理である。
【0035】
誘導経路探索処理は、操作スイッチ群12からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。
【0036】
経路案内処理は、外部記憶媒体18から地図データを読み出し、算出された誘導経路、目的地、経由地および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置13に出力し、案内交差点の手前所定距離(例えば300メートル)に自車両が到達した等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力し、さらに、その進入しようとする案内交差点の詳細地図を表示する。ここで、案内交差点とは、誘導経路に沿って右左折する交差点、誘導経路に沿って主要道から非主要道に直進する交差点等、誘導経路に沿って道なりでない走行を行う交差点をいう。また、詳細地図は、3D交差点拡大図である。なお、経路案内処理は、制御回路19が外部記憶媒体18中の経路案内プログラム90を実行することによって実現する。
【0037】
また、制御回路19は、図3および図4にフローチャートとして示す信号指示内容表示用プログラム100および他車両表示用プログラム200を並列的にそれぞれ繰り返し実行するようになっている。以下、車両用ナビゲーション装置1を搭載する車両が案内交差点の手前に差し掛かったときの、信号指示内容表示用プログラム100および他車両表示用プログラム200を実行する制御回路19の作動について説明する。
【0038】
制御回路19は、信号指示内容表示用プログラム100の実行において、ステップ110で、自車両が経路案内処理を実行中であるか否かを判定し、実行中であれば続いてステップ120を実行し、実行中でなければステップ110の処理を繰り返す。ステップ120では、経路案内処理が3D詳細図の表示を開始したか否かを判定し、開始していれば続いてステップ130を実行し、開始していなければ続いてステップ110を実行する。このステップ110および120により、制御回路19は、自身が経路案内処理を行っており、かつ3D詳細図表示を開始するという条件が満たされることを待ち、この条件が満たされると、実行をステップ130に移す。
【0039】
ステップ130では、無線通信回路10中の、信号機から信号を受ける回路の作動を開始させる。続いてステップ140では、無線送信機3から送信された信号機データが無線通信回路10から制御回路19に出力されていれば、それを取得すると共に信号機データを受信したと判定して続いてステップ150を実行し、信号機データが無線通信回路10から制御回路19に出力されていなければ、続いてステップ160を実行する。
【0040】
ステップ150では、ステップ140で取得した信号機データの指示内容を、現在画像表示装置13が現在表示している3D交差点拡大図中の、信号機の立体図形中に反映する。例えば、取得した信号機データの指示内容が赤なら、信号機の立体図形中の赤灯に相当する箇所を濃い赤色で塗りつぶすことで強調し、青灯および黄灯に相当する箇所を薄い色にする。なお、ステップ140において複数の信号機に取り付けられた無線送信機のそれぞれから信号機データを受信している場合、現在の自車両の走行方向と同じ方向に走行する車両に対して指示を行う信号機について信号機データを、優先的に信号機の立体図形中に反映する。
【0041】
自車両と同じ方向に走行する車両に指示を行う信号機(以下表示対象信号機と記す)がどれかについては、信号機データに含まれる識別番号または指示方位データに基づいて特定する。識別番号に基づいて特定する場合は、地図データに含まれる信号機対応表から、各識別番号に対応する道路および方向を特定し、それらが自車両の走行道路および走行方向に合致する識別番号を有する信号データを特定し、その特定した信号データに係る信号機を表示対象信号機とする。指示方位データに基づいて特定する場合は、各信号データのうち、自車両の走行方位に合致する指示方位データを有するものを特定し、その特定した信号データに係る信号機を表示対象信号機とする。
【0042】
なおこのステップ150では、画像表示装置13に表示させる3D交差点拡大図中の各構成要素の配色としては、第1の配色を用いる。
【0043】
信号機データを取得しなかったステップ160では、画像表示装置13に表示させる3D交差点拡大図中の各校正要素の配色として、第1の配色と異なる第2の配色を用いる。この第2の配色は、第1の配色よりも輝度が高い色を多く用いるようになっていてもよいし、第1の配色よりも濃い色を多く用いるようになっていてもよい。また、3D交差点拡大図中の信号機の立体図形としては、3つの表示灯部分が同色となっている図形、すなわちどの表示灯が点灯しているか区別できない図形を用いる。
【0044】
ステップ150、160の後、ステップ170では、経路案内処理において3D交差点拡大図の表示が終了したか否かを判定し、終了していれば今回の信号指示内容表示用プログラム100の実行を終了し、終了していなければステップ140の実行を続ける。
【0045】
このような信号指示内容表示用プログラム100を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、誘導経路案内中の交差点3D拡大図表示時において(ステップ110、120、170参照)、信号機データを受信すれば、その受信した信号機データに基づいて、自車両の進行方向に対応する信号機の現在の指示内容を現在の交差点3D拡大図表示に反映し(ステップ150参照)、信号機データを受信しなければ、交差点3D拡大図の配色や信号機図形の表示形式を、信号機データを受信している場合とは異なったものとする(ステップ160参照)。
【0046】
また制御回路19は、他車両表示用プログラム200の実行において、ステップ210で信号指示内容表示用プログラム100のステップ110と同じ処理を行い、ステップ220でステップ120と同じ処理を行うことで、自身が経路案内処理を行っており、かつ3D詳細図表示を開始するという条件が満たされることを待ち、この条件が満たされると、実行をステップ230に移す。
【0047】
ステップ230では、無線通信回路10中の、車車間通信を行う回路の作動を開始させ、無線通信回路10に車両データの要求信号を送信させる。続いてステップ240では、他の車両の通信機から要求信号への応答として送信された他車両データが無線通信回路10から制御回路19に出力されていれば、それを取得すると共に他車両データを受信したと判定して続いてステップ250を実行し、他車両データが無線通信回路10から制御回路19に出力されていなければ、続いてステップ260を実行する。
【0048】
ステップ250では、ステップ240で取得した他車両データの内容を、現在画像表示装置13が表示している3D交差点拡大図中に反映する。具体的には、他車両データ中に含まれる車両の位置データ、車速データ、および走行方位データに基づいて、その位置データに対応する3D交差点拡大図中の位置にあり、その車速データに対応する移動速度で、その走行方位データに対応する向きに移動するような車両マークを付加する。なおこのとき、その車両マークの表示位置が、3D交差点拡大図中のビル等の構造物の陰に隠れた位置である場合は、ビルを透き通ってその車両マークが見えるような、透過的な表示形式で、ビルおよび車両マークを表示させる。
【0049】
また、他車両データ中に含まれる位置データ、車速データ、走行方位データ、およびブレーキ量データに基づいて、車両が交差点に危険な速度で進入しようとしていると判定した場合は、その他車両データに係る車両マークを点滅させる等、当該車両マークの強調表示を画像表示装置13に行わせてもよい。さらにこの強調表示に合わせて、スピーカ14に警告音を出力させてもよい。なおこのステップ250では、画像表示装置13に表示させる3D交差点拡大図中の各構成要素の配色としては、上述の第1の配色を用いる。
【0050】
他車両データを1つも取得しなかったステップ260では、画像表示装置13に表示させる3D交差点拡大図中の各校正要素の配色として、上述の第2の配色を用いる。ステップ250、260の後、ステップ270では、経路案内処理において3D交差点拡大図の表示が終了したか否かを判定し、終了していればステップ280で無線通信回路10の作動を停止した後に今回の他車両表示用プログラム200の実行を終了し、終了していなければ続いてステップ240を実行する。
【0051】
このような他車両表示用プログラム200を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、誘導経路案内中の3D交差点拡大図表示時において(ステップ210、220、270参照)、他車両データを受信すれば、その受信した他車両データの示す他の車両の現在の位置、速度、走行方向等に該当する3D交差点拡大図中の位置に、該当する移動速度、移動方向の車両を示す画像を直ちに含め(ステップ250参照)、他車両データを受信しなければ、交差点3D拡大図の配色や信号機図形の表示形式を、他車両データを受信している場合とは異なったものとする(ステップ260参照)。
【0052】
以上のような作動の車両用ナビゲーション装置1を搭載した車両が、案内交差点手前の所定の距離内に差し掛かると、制御回路19は、無線通信回路10に信号機データおよび他車両データを受信させる準備を行い(ステップ130、230参照)、信号機データおよび他車両データを受信した場合は、そのデータを3D交差点拡大図に反映させる(ステップ150、250参照)。
【0053】
図5に、信号機データおよび他車両データを反映した3D交差点拡大図の一例を示す。この図には、自車両が現在走行している道路31、および道路31上の自車両の現在位置マーク32、および誘導経路に沿った進行方向マーク33、これから通過しようとする交差点についての信号機34、その交差点周辺のビル35〜37、およびその交差点に接続する他の道路38〜40等の図形が、斜め上からの視点で立体的に表示されている。なお、道路41、42、および43の一部は、ビル35および38の陰の部分に入っているが、ビル35および38の先に道路41、42、および43が透けて見えるような透過的な表示形式が用いられていることで、その部分もユーザに見えるようになっている。
【0054】
この3D交差点拡大図において、信号機図形34の赤色表示灯部分34aのみが、赤色で塗りつぶされることで強調表示されている。このようにして、信号機データの指示内容が3D交差点拡大図に反映される。また、ビル図形35、37の陰に該当する部分に、移動する車両マーク41〜43が透過的に表示されている。このようにして、他車両データの内容が3D交差点拡大図に反映される。
【0055】
また、信号機データまたは他車両データのいずれか一方でも受信できない間は、両方受信できる場合と異なった配色で3D交差点拡大図を表示させる(ステップ160、260参照)。図6に、信号機データおよび他車両データを受信できない場合における3D交差点拡大図の一例を、図5と同形式で示す。なお、なお、図5と図6において同一の符号が付された図形は、互いに同一の物を示す図形である。この図においては、信号機図形34において表示灯部分が単一色で塗りつぶされている。また、全体の配色が図5の場合と異なっている。
【0056】
このように、車両用ナビゲーション装置1は、取得した現在の信号機データや他車両データが示す指示内容を現在の3D交差点拡大図に反映させるので、ユーザが、ナビゲーション装置の地図表示を見て、信号機の指示内容をリアルタイムで把握することができる。
【0057】
また、車両用ナビゲーション装置1は、無線通信回路10を介して信号機データまたは他車両データを取得できる時とできない時とで、表示装置が表示する地図の配色を切り替えるようになっているので、現時点で信号機および他車両データのリアルタイム情報を表示地図を見て把握できるか否かを、ユーザが容易に知ることができる。
【0058】
なお、上記の実施形態において、制御回路19が、信号指示内容表示用プログラム100のステップ130および140を実行することで信号機データ取得手段として機能し、他車両表示用プログラム200のステップ230および240を実行することで他車両データ取得手段として機能する。また、制御回路19が、信号指示内容表示用プログラム100のステップ130および140、ならびに他車両表示用プログラム200のステップ230および240を実行することで、リアルタイム交通状況取得手段として機能する。また、制御回路19が、経路案内プログラム90を実行することで経路案内手段として機能する。また、制御回路19が、信号指示内容表示用プログラム100のステップ150および160、ならびに他車両表示用プログラム200のステップ250および260を実行することで、表示制御手段として機能する。
【0059】
(他の実施形態)
なお、3D交差点拡大図に表示する車両マークは、図5に示したような車両の形状である必要はなく、例えば単なる点であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1は、他車両データを車車間通信によって取得していたが、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、他車両の通信機が他車両データを送信する先は、信号機等の交差点付近の構造物に固定された無線機であり、この無線機が、受信した他車両データを一括して送信し、車両用ナビゲーション装置1は、その無線機が送信した他車両データを受信するようになっていてもよい。また、信号機データおよび他車両データは、広範囲なエリアをカバーするように複数の地点に設置された基地局のいずれかに向けて、信号機および車両から送信され、各基地局は、この受信したデータを広域有線ネットワーク上のサーバに送信し、さらにサーバはこれら受信したデータを一括して各基地局に送信し、基地局が、このデータを無線送信し、この無線送信されたデータを車両用ナビゲーション装置1が受信するようになっていてもよい。すなわち、車両用ナビゲーション装置1は、一元管理された信号機データおよび他車両データをサーバ経由で受信するようになっていてもよい。
【0061】
また、信号機データや他車両データをリアルタイムで反映させる対象の地図は、3D交差点拡大図に限らない。例えば平面的な交差点拡大図のみに反映させてもよいし、広域地図のみに反映させてもよい。
【0062】
また、リアルタイムに3D交差点拡大図に反映させるデータは、他車両データや信号機データに限らず、表示する3D交差点拡大図に含まれる地理領域内における現在の交通状況を示すリアルタイム交通状況データであれば、どのようなものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】信号機2および信号機2に取り付けられた無線送信機3を示す図である。
【図3】制御回路19が実行する信号指示内容表示用プログラム100のフローチャートである。
【図4】制御回路19が実行する他車両表示用プログラム200のフローチャートである。
【図5】受信可能時における画像表示装置13が表示する3D詳細図の一例を示す図である。
【図6】受信不能時における画像表示装置13が表示する3D詳細図の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1…車両用ナビゲーション装置、2…信号機、3…無線送信機、4…アンテナ、
10…無線通信回路、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、
13…画像表示装置、14…スピーカ、16…RAM、17…ROM、
18…外部記憶媒体、19…制御回路、30、50…3D交差点拡大図、
31、38、39、40…道路、32…現在位置マーク、33…進行方向マーク、
34…信号機図形、34a…表示灯部分、35〜37…ビル図形、
41〜43…車両マーク、90…経路案内プログラム、
100…信号指示内容表示用プログラム、200…他車両表示用プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信回路と、
自車両周辺の地図を表示する画像表示装置と、
制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記無線通信回路を介して、前記画像表示装置が表示する地図に含まれる地理領域内における信号機の現在の指示内容を示す信号機データを取得する信号機データ取得手段と、
前記信号機データ取得手段が取得した前記信号機データが示す指示内容を、前記画像表示装置が現在表示する前記地図に反映させる表示制御手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記画像表示装置は、自車両周辺の地図として、現在通過しようとする道路および道路周辺の立体画像を表示し、
前記表示制御手段は、前記信号機データ取得手段が取得した前記信号機データの示す指示内容を、前記画像表示装置が表示する前記立体画像中の信号機の画像に反映させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記信号機データ取得手段が、前記信号機データを取得できる時とできない時とで、前記画像表示装置が表示する前記地図の配色を切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
無線通信回路と、
自車両周辺の地図を表示する画像表示装置と、
制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記無線通信回路を介して、前記画像表示装置が表示する地図に含まれる地理領域内における現在の他車両の位置を示す他車両データを取得する他車両データ取得手段と、
前記画像表示装置が現在表示する前記地図中の、前記他車両データ取得手段が取得した前記他車両データの示す他の車両の位置に該当する部分に、車両を示す画像を含める表示制御手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
前記画像表示装置は、自車両周辺の地図として、現在通過しようとする道路および道路周辺の立体画像を表示することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記画像表示装置が表示する前記立体画像中の、前記他車両データ取得手段が取得した前記他車両データの示す他の車両の位置であり、かつ構造物の陰となる部分に、透過的に車両を示す画像を含めることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記制御回路は、目的地までの誘導経路を案内する経路案内手段を有し、
前記他車両データ取得手段は、前記経路案内手段が誘導経路を案内すると共に前記画像表示装置が立体画像を表示していることに基づいて、他車両の通信装置に当該車両の位置データを要求する信号を前記無線通信回路を用いて送信し、その要求信号への応答として他車両から送信された当該車両の位置データの信号を、前記無線通信回路を介して取得することを特徴とする、請求項5または6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記他車両データ取得手段が、前記他車両データを取得できる時とできない時とで、前記画像表示装置が表示する前記地図の配色を切り替えることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
無線通信回路と、
現在通過しようとする道路および道路周辺の立体画像を表示する画像表示装置と、
制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記無線通信回路を介して、前記画像表示装置が表示する前記立体画像に含まれる地理領域内における現在の交通状況を示すリアルタイム交通状況データを取得するリアルタイム交通状況取得手段と、
前記情報取得手段が取得したリアルタイム交通状況データを、前記画像表示装置が表示する前記立体画像に反映させる表示制御手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記リアルタイム交通状況取得手段が、前記リアルタイム交通状況データを取得できる場合とできない場合とで、前記画像表示装置が表示する前記立体画像の配色を切り替えることを特徴とする請求項9に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
無線通信回路を介して、画像表示装置が表示する自車両周辺の地図に含まれる地理領域内における信号機の現在の指示内容を示す信号機データを取得する信号機データ取得手段、および
前記信号機データ取得手段が取得した前記信号機データが示す指示内容を、前記画像表示装置が現在表示する前記地図に反映させる表示制御手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
無線通信回路を介して、画像表示装置が表示する自車両周辺の地図に含まれる地理領域内における現在の他車両の位置を示す他車両データを取得する他車両データ取得手段と、
前記画像表示装置が現在表示する前記地図中の、前記他車両データ取得手段が取得した前記他車両データの示す他の車両の位置に該当する部分に、車両を示す画像を含める表示制御手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
無線通信回路を介して、画像表示装置が表示する道路および道路周辺の立体画像に含まれる地理領域内における現在の交通状況を示すリアルタイム交通状況データを取得するリアルタイム交通状況取得手段、および、
前記情報取得手段が取得したリアルタイム交通状況データを、前記画像表示装置が表示する、現在通過しようとする道路および道路周辺の立体画像に反映させる表示制御手段として、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−242888(P2006−242888A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62354(P2005−62354)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】